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2022年1月 1日 (土)

夢のシネマパラダイス613番シアター:スターウォーズ・アンソロジー

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

168782_03出演:フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ベン・メンデルソーン、ドニー・イェン、マッツ・ミケルセン、フォレスト・ウィテカー

監督:ギャレス・エドワーズ

(2016年・アメリカ・134分)フォーラム盛岡

内容:窃盗暴行ひとりで生き抜くためには何でもしてきたアウトローの女性ジン・アーソ。ある日、反乱軍が彼女に接触してくる。それは、ダース・ベイダー擁する帝国軍が開発中の究極兵器デススターの設計に、かつて帝国軍に拉致された彼女の父親ゲイレンが関わっているということだった。しかも、ゲイレンはデススターにとある致命的欠陥を仕込んだのだという。しかし、その工作を実らせデススターを破壊するには設計図を奪取する必要があった。そこでジンは、ならず者ばかりで構成された極秘チーム“ローグ・ワン”の一員となり決死のミッションに挑む・・・。

評価★★★★/80点

マーティン・スコセッシの「沈黙ーサイレンスー」のレビューで、英雄を描いた大河ドラマもいいけど歴史から抹殺された弱者たちを描いた歴史ドラマをこそ見たいと書いた。

まさかスターウォーズサーガでそれを目の当たりにすることになるとは思いもよらなかった。

しかも、「七人の侍」でも「プライベート・ライアン」でも生き証人くらいは残したのに、それすらしない容赦ない展開、そしてその絶望が希望に昇華する結末に激しく心揺さぶられた。

こんな“ハッピーエンド”映画は今まで見たことがない。

しかし、それもこれもエピソード4(1977)でのルークによるデススター破壊作戦の成功あってのこそで、それがなければこんなのテストクリーニングでボツになっててもおかしくないくらいのただの悲劇映画だw

やはりこれはスターウォーズ40年の歴史がなせる業なのだろう。

あと、今回の映画で最も印象に残ったのが、惑星破壊兵器デススターの圧倒的存在感。

エピソード4でデススターが惑星オルデランを破壊した場面は、まるで風船が割れるように一瞬でこっぱみじんになるだけだった。

しかし、今回ジェダの聖都を消滅させるシーンは、爆発の衝撃波が惑星全体に広がっていく上空俯瞰図や巨大な火炎が宇宙空間にまで噴き上がる様子など、リアリティあふれるスケール感で描かれているし、何よりゾッとしたのが大団円で惑星スカリフの水平線の彼方にうっすらと浮かぶ真昼の月のようなデススターが、ゆっくりとこちらに照準を向ける風景の絶望感w

子供時分にはあまり感じることができなかったデススターの恐ろしさをまざまざと実感できただけでもこの映画を見る価値はあった。

でも本当の恐怖は、その後のダース・ベイダー降臨というのが心憎い。

難点を挙げれば、ジンの育ての親ソウ・ゲレラの心の繋がりがいまいちよく分からず消化不良だったことだけど、1作で終わらせるにはもったいないほど“名もなき戦士”の物語をまだまだ見たいと思わせられた。

そうだ!エピソード4見よう!

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ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

171407_03出演:オールデン・エアレンライク、ウディ・ハレルソン、エミリア・クラーク、ドナルド・グローヴァー、タンディ・ニュートン、ポール・ベタニー

監督:ロン・ハワード

(2018年・アメリカ・135分)WOWOW

内容:銀河帝国支配の時代。辺境の惑星でストリートチルドレンとして路上生活を送ってきた青年ハンは、幼馴染キーラと故郷からの脱出を図るが、彼女だけが置き去りになってしまう。パイロットになってキーラを救い出すため帝国軍に入隊するも、歩兵として泥沼の戦場に駆り出される日々。そんな中、上官のベケットが実は兵士ではなく盗賊であることに気づき、その一団に加わることになるが・・・。

評価★★★/60点

ハン・ソロの名前の由来、チューバッカとの出会い、ミレニアムファルコン号を手に入れた経緯など最低限の押さえどころはしっかり描きながらも、基本自由気ままにSF西部劇として仕立てあげられたかんじ。

ただ、ローグ・ワンがスターウォーズサーガとかなりリンクしていたことを踏まえれば、今回の脱線ぶりは個人的にはややマイナス。

レイアのレの字でも出てくればグワッと前のめりになって見れたものを(笑)。ダースモールじゃなぁ・・。

あるいは腹にイチモツあるようなキャラクターの裏切り裏切られという展開にマカロニウエスタンの傑作「続夕陽のガンマン」を思い浮かべたんだけど、ハン・ソロがイーストウッドでベケットがリー・ヴァン・クリーフとすると、品がないけど憎めない愛すべき悪役イーライ・ウォラックが不在なんだよね。ランド・カルリジアンはそういうタマじゃないし。

そう考えると、ハン・ソロと行動を共にする強烈なキャラをもう1人出してもよかった気が。。で最後は三つ巴の決闘とwそこまで徹底的にやってくれればプラスに転じたかも。

まぁ、とはいえキーラの謎もあるし続編見たいかと言われれば~、、見るしかないっしょww

2021年1月 4日 (月)

夢のシネマパラダイス557番シアター:嫌われ松子の一生

リップヴァンウィンクルの花嫁

20160407075011出演:黒木華、Cocco、地曳豪、和田聡宏、原日出子、毬谷友子、金田明夫、りりぃ、綾野剛

監督・脚本:岩井俊二

(2016年・東映・180分)盛岡フォーラム

内容:内気な性格の派遣教師・皆川七海は、ネットで出会った鶴岡鉄也とトントン拍子で結婚することになった。さらに、親族友人が少ないので、結婚式の出席者をこれまたネットで見つけた便利屋の安室に依頼して済ませる。ところが、新婚早々に旦那の浮気が発覚。義母ともめた末に七海の方が家を追い出されてしまう。途方に暮れた彼女は、安室に頼って住み込みのバイトを斡旋してもらうのだが・・・。

評価★★★★/80点

黒木華はまことに稀有な女優さんだ。

21世紀の世にあって誰もが持ちえない昭和の銀幕女優のような古風でおっとりしたオーラをまとっているからだ。

昭和の銀幕女優というのは、切符の買い方さえ知らないような浮世離れした部分があるんだけど、黒木華は池脇千鶴や蒼井優、満島ひかりのような現実社会に真正面からぶつかり合っていく本格派女優の系譜に連なりながら、と同時に世渡りしていくには純粋に過ぎるのではないかというような破格の品の良さも持ち合わせている。

地に足が着いていなさそうに見えて実は肝の据わった芯の強さを持っている、その真逆のベクトルが相殺し合うことなく同居しているところが唯一無二の女優たる所以なのだといえる。それゆえ彼女のキャラクターが映画の格を一段上げているというか、この人が出ていれば大丈夫という安心感を与えてくれる。

その点で今回の映画は主演ということもあって、黒木華の女優としての両面が余すところなく映し出されている。

特段主体性もなくなんとなく生きてきた岩手出身の主人公(自分も岩手出身なので通じるところがあるw)が人生のレールから脱線し、流されるように転落していくんだけど、そこに悲壮感が感じられないのが黒木華らしくて面白いんだよね。

そしてこの黒木華にこれまた特異体質のCoccoを組み合わせたのが白眉で、後半は現実感のない完全なおとぎ話に昇華されている。

スマホでしか繋がれない希薄な現代の虚構世界をたゆたうお嬢さんのメルヘンチックな冒険譚は、まるでスーパーマリオで上に乗った途端に下へ落ちていくブロックをふわりふわりと飛び跳ねていくピーチ姫を想起させる。

しかし、Coccoは何なんだあれは(笑)。素なのか演技なのか、もう完全に何かが憑依しているかんじで、非日常にグイッと持っていかれて少し怖くなっちゃうくらいだった。

P.S.結婚するアテなんて当にあきらめているけど、万に一つ結婚式なんてのがあったら、自分も呼ぶ知り合いがいないことに気づいた・・w

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嫌われ松子の一生

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出演:中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之、市川実日子、柄本明、木村カエラ、宮藤官九郎、柴咲コウ、片平なぎさ、ゴリ、谷原章介、劇団ひとり、BONNIE PINK、土屋アンナ

監督・脚本:中島哲也

(2006年・東宝・130分)仙台フォーラム

評価★★★★/80点

内容:昭和22年、福岡県に生まれた川尻松子。お姫様のような人生を夢見る明るい少女だった松子だったが、愛情の唯一の対象だった父親は、病弱の妹ばかりを可愛がっていた。やがて20代になって中学校の教師になった松子だったが、万引きをした教え子の罪をかぶりクビに。その後、愛を求めて男性遍歴を重ねるたびにますます不幸になっていくのだった。そしていつしかソープ嬢に身を落とし、果ては同棲中のヒモを殺害するまでに至ってしまう・・・。

“いとしいシト、、そしていとしいエイガ”

川尻松子、享年53歳。

家族からは絶縁をつきつけられ、中学教師をクビになるわ、ソープ嬢になるわ、ヒモを殺害して刑務所に入っちゃうわ、挙句のはてに中学生にバットでボコられて野っ原でおっ死んじゃうわと、傍から見れば悲惨な人生を送った女。

そして彼女の人生についてまわる最悪の男運。

病弱な妹にばかり向けられる父親の愛を大人になってからも追い求め続けた松子の周りに引き寄せられてくる男どもは、暴力男やヤクザ男ばかり。しかし、殴られ蹴飛ばされ裏切られ捨てられても、一人ぼっちになるよりはマシだからと男を追っかけ続ける悲しい性を背負った女。

そして片平なぎさが出てくる火スペの断崖絶壁をエイヤーッと一気に飛び降りるかのごとき後先考えない類まれな決断力(!?)がことごとく裏目に出てしまう哀しい運命を背負った女。

そう、彼女は人生の岐路でことごとく昇りのエスカレーターに乗ることができない、そういうタチらしいのだ。

ある意味確信犯的にいつも下りのエスカレーターに飛び乗ってしまう運命の松子は、しかし下りのエスカレーターに抗うように懸命に駆け上がろうと上を向いてひたすら走りつづける。下を向いて後ろを振り返ったら流されるまま絶望という名のドン底に転落していくだけという中で、松子はスクワットを欠かさない見上げたド根性と決して後ろを振り返らないひたむきさと一途さで突き進む。

しかし、その甲斐もむなしくズッコケてしまう松子は失意のドン底にうつぶせのままズルズルと落ちていき、「これで人生が終わったと思いました。」とあきらめかけ最悪自殺まで考えたりもするのだが、しかし次なる夢を見つけると、スックと立ち上がり、また下りのエスカレーターを必死こいて駆け上がろうとするのだ。

その懸命な姿にはある種のもの悲しさと哀愁だけではない滑稽さと可笑しみが漂っている。

それが人間的な魅力に包まれた松子として見る者を魅了し、挙句のはてには感動すら覚えさせてしまったりするのだ・・・。

しかし、そんな必死こいて走りつづけてきた松子もついに走ることをハタと止め後ろを振り向き、下りのエスカレーターに下を向きながら従順に流されていく時を迎える。

中学校のときの元教え子と同棲していた松子が、4年間服役した彼の出所の日に堀の外に迎えに行くと、なななんとブン殴られてKOを喫し、逃げられてしまった、その時だ。文字通りドン底に落ちた松子は駆け上がることをやめ、ゴミ溜めのようなボロ部屋で食いものをむさぼり食い、酒をあおり、寝て起きるだけのなすがままの生活を始める。

そして、十数年にわたる引きこもりは松子を野ブタのような姿形に変えてしまう。。

ここで唐突に出てくる光ゲンジの内海くんとやらの追っかけにはつい爆笑してしまうが、それはさておき七転び八起きの松子は長い雌伏のときを経てもう一度美容師になる夢を見つけ、さあ、また下りのエスカレーターを駆け上がるゾーーッ(あのブヨブヨの体で・・)と決意を新たにし、2階のアパートの部屋を出て階段を降り公園に捨ててしまった名刺を拾いに行く、、そして前のめりにブッ倒れてそのまま起き上がることはなかった松子・・・。

いつもならそこでスックと立ち上がって夢に向かって走り出す松子は、夢の切符をしっかり握りしめたまま長い眠りにつくのだった。

はたから見れば、悲惨な転落人生には違いない。

しかし、そこには愛の血潮に染まって幸せをつかむために駆け上がっていこうとする人間臭さにまみれた女の、懸命に必死こいて生きる剥き出しの姿があった。

だが、なんといってもこの物語をミュージカル調で描いてしまおうという中島哲也監督のイマジネーションにも度肝を抜かれてしまう。おそらく松子と同じくエイヤーーッと一気に飛び降りるかのごとき後先考えない類まれな決断力と見上げたド根性を持っているんだろうね。

正直自分の頭の引き出しの中にはミュージカルという道具立ては全くなかったからなぁ・・。

普通この手の人間ドラマを描くなら、例えば荒戸源次郎の「赤目四十八瀧心中未遂」(2003)のような幻想とエロの世界に彼岸(あの世)の入口がポッカリと穴を開けている異界ワールド(そこに堕ちていく男女)だとか、例えミュージカル調でいくにしても、この悲惨さと暗さはラース・フォン・トリアーの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000)だろう。

しかし、この中島哲也という男は「アメリ」(2001)のファンタジー調で描いちゃうんだよなぁ。。

はっきりいって好きです(笑)。こういう人間を肯定的に見ることができる人って好き。ラース・フォン・トリアーとは真逆なんだねたぶん。

そしてミュージカルも、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」におけるミュージカルが主人公セルマの現実逃避の道具にしかすぎなかったのに対し、本作では映画のテンポとリズムを高める変速ギアのような役割も果たしていて良かったし、何より松子がコミカルに歌い踊る姿は最高に楽しかった。BONNIE PINKの“LOVE IS BUBBLE”とかAIの“What Is A Life”も最高だったし。

下りのエスカレーターを必死こいて駆け上がる姿の滑稽さと可笑しみを音楽と歌で花いっぱい幸せいっぱいに歌い踊って表現する。

なんて愛おしいんだ。

川尻松子は自分にとっての“いとしいシト”(byゴラム)になっちゃったかも・・・。そしてこの映画が自分にとって愛しいエイガになっちゃったかもしれないぞ。

さてさて、最後はこの言葉で締めくくろう。

1986年アパルトヘイト吹き荒れる南アフリカの黒人居住区で起こった学生運動を女子高生の視点で描いたミュージカル映画「サラフィナ」(1992)のマイレビューから。

人は泣き、笑い、叫び、そして歌うんだ!!ジャーーン♪

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鬼龍院花子の生涯(1982年・東映・146分)CS

 監督:五社英雄

 出演:仲代達矢、夏目雅子、高杉かほり、岩下志麻、夏木マリ、仙道敦子、山本圭、丹波哲郎、夏八木勲

 内容:土佐の侠客・鬼政こと鬼龍院政五郎の奔放な半生を、養女・松恵の目を通して描いた任侠ロマン。闘犬場でのいざこざから宿敵・末長の娘つるを強奪した鬼政は、彼女が産んだ花子を溺愛するようになる。一方、養女・松恵は女学校を出て小学校教師となり、労働争議を支援する高校教師・田辺と結婚、高知を出て大阪で暮らし始めるが・・・。

評価★★★/60点

“なめられたいぜよっ!”

いろんな意味でww

しかし、花子のブスっぷりは度を越しすぎ!あれはヒドイだろ(笑)。

仙道敦子-夏目雅子の松恵役は良かったし、ふくよかなオッパイには目を奪われっぱなしだったし(まさか湯婆婆のを見せられるとは・・)、それらを全て呑みこむほどの圧巻の演技を見せた仲代達矢もスゴかったけど、花子の捨て駒っぷりだけはいかんともしがたかったな。

まぁ、哀れさを出すには格好のキャスティングだったのかもしれないけど・・。

まぁでも、五社映画って濃ゆすぎてあまり好きじゃないんだけど、薄幸の夏目雅子のおかげもあってこれは最後まで見れますた。。

2020年12月29日 (火)

夢のシネマパラダイス608番シアター:レヴェナント 蘇えりし者

レヴェナント:蘇えりし者

Sp_mailvisual出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター、フォレスト・グッドラック

監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ

(2015年・アメリカ・156分)盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:1823年アメリカ北西部。毛皮採集のためにミズーリ川沿いを進む一団。ガイド役を務めるベテランハンターのグラス(レオナルド・ディカプリオ)は、息子のホークとともにその一行に加わっていた。しかしある時、先住民の襲撃を受けて多数の犠牲者を出す事態に。さらに、逃走中グラスは熊に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。もはや息も絶え絶えの中、最期を看取るために残った仲間のフィッツジェラルド(トム・ハーディ)が裏切り、ホークを殺されたうえにグラスは生き埋めにされてしまうのだが・・・。

“復讐するは神にあり”

今までいろいろな映画を見るたびに散々言ってきたことだけど、どんなに醜態をさらけ出そうが石にかじりついてでも生への執着にしがみつく人間を描いた映画が最も好きだ。

それに照らせば今作はまさにドンピシャ!

クマに襲われ瀕死の重傷を負おうが、仲間に生き埋めにされ酷寒の地に置き去りにされようが崖から転落しようが川の濁流に流されようが、傷口に火薬を塗り込み火を当てて焼き固め、生魚や生肉を食らい、かっさばいた馬の腹の中に潜り込んで布団代わりにしてまで生き抜こうとするグラスの執念と怨念にただただ釘付け。

また、グラスのサバイバルの原動力となる復讐相手のフィッツジェラルドも他人を蹴落としてまで金を手に入れ生き抜こうとする点で自分の尺度でみれば非常に魅力的で、トム・ハーディあってのディカプリオだったのだということは指摘しておきたい。

あとは何と言っても映像美。

監督は誰かときかれたら迷わずにテレンス・マリックと答えてしまいそうなほど大自然の荘厳な映像叙事詩として仕上がっていて、五感をフルに動員して見せられる2時間40分は湿り気のないカラリとした西部劇のくくりを軽々と飛び越えてしまっている。

しっとりと浸みてきて尚且つ重厚さに圧倒される絵の前ではごくごくシンプルなストーリーでも十二分だ。

さらに、例えば至近距離から撃たれた馬が卒倒し即死するシーンをはじめ、問答無用で訪れる無秩序な死の描写は普通の映画と比べてもショッキングで、形容としてこの言葉が合っているかどうか分からないけど、まるでホロコーストの映画を見ている時と同じようなおぞましい緊迫感にあふれている。

そしてラストの肉を切らせて骨を断つグラスとフィッツジェラルドの肉弾戦がこれまた目を覆いたくなるほどの死闘で、映画を見終わったあとはドッと疲れと無常感が押し寄せてきた・・・。

とはいえ、この余韻は数日引きずりそうだけどね。。

P.S.クマに襲われた時の対処教材としても絶対見ておくべき映画だと思うw

2019年9月 1日 (日)

夢のシネマパラダイス164番シアター:パニック・ルーム

ルーム

O0480091513629160745 出演:ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョーン・アレン、ショーン・ブリジャース、ウィリアム・H・メイシー

監督・レニー・アブラハムソン

(2015年・アイルランド/カナダ・118分)WOWOW

内容:5歳の誕生日を迎えたジャックは、天窓から空しか見えない狭い部屋に母親ジョイと2人で暮らしていた。外には何もないと教えられ、部屋の中が世界の全てだと信じていたジャック。しかしその日、ジョイから自分たちはある男に拉致監禁された身であることを告げられる。そして脱出するために、ジョイは綿密な計画を立てて行動を開始するのだが・・・。

 

評価★★★★/80点

アカデミー主演女優賞目当てで見たけど、本当の見所は子役にあった!というオチ。

高校生の時に拉致監禁レイプされ、犯人との間に子供までもうけてしまい、7年経過したというあまりにも衝撃的な題材ながら、生まれた時からルームの中の世界しか知らない子供の無垢な空想視点を主軸に据えたことでルーム脱出前の嫌悪感すれすれのシリアスな要素を中和しているのがこの映画のキモ。

さらに、映画のメインとなるルームからの解放後も、好奇の目から気を病んでいく母親に対し、あっという間に新たな環境に適応していく子供のまっさらな感性が優しく包み込み母親をつなぎ止める。

子供の力がこの映画の何よりの生命線だったのだとすれば、子役の演技は文句なしの120点満点!

どのようにこんな難しい役柄を子供ながらに咀嚼して演技に持ち込んだのか考えただけで凄いなぁと感心しちゃうけど、お願いだからマコーレー・カルキンとかブラッド・レンフロのような悲劇的な道は歩まないでねw

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パニック・ルーム

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出演:ジョディ・フォスター、フォレスト・ウィテカー、ドワイト・ヨーカム、ジャレッド・レト

監督:デビッド・フィンチャー

(2002年・アメリカ・112分)MOVIX仙台

評価★★★/65点

 

内容:マンハッタンの高級住宅地。離婚したメグは11歳の娘サラを連れて、4階建てのエレベーター付き、かつ頑丈な“パニック・ルーム”付きの一軒家に引っ越した。しかし、その夜、何者かが家に侵入し・・・。

“自分だったら失禁しちゃうけどね・・・”

母娘たった2人で4階建てに住んじゃう神経も一般庶民の自分にとっては尋常ではないけど、それはともかくとしてあのメンツが実際ウチに入り込んできたら失禁しちゃうと思うマジでww冗談じゃなく、ウン。。

なのに、なにを呑気にトイレでオシッコしてるんだよジョディおばさんったら。眠いのは分かるし、水洗の音が犯人たちをビクリとさせたのも分かるけどさ。

なんだかユルいんだよね全体的に。

感覚的なものもあるけど、具体的にはパニック・ルームに備え付けられているモニターがご親切にもやけに多いことと、鍵穴まで通り抜けてしまうまるでネズミのようにチョロチョロと動き回るように見せかけて実は計算されつくした精密機械じかけのカメラワークが悪い意味で一役買っちゃってるかなと。

サスペンス・スリラーなはずなのに、安心・安全・安定の3大保険に加入しちゃってるんだよね・・。

一生懸命外で大雨降らせて不安感煽っても、この3大保険の効力の前にはなすすべなく、緊迫緊張などどこ吹く風。

緊張感がないから、パニック・ルームの鉄扉に手をはさんじゃうんだよ覆面レスラー、、ちゃう覆面ドロボーさんよ(笑)。

フォレスト・ウィテカー演じる犯人が、オレがこの頑丈な部屋を造ったんだと何度も豪語してらしたが、オレがこの一見何の穴もない流麗かつ完璧な映画を作ったんだと雄弁に語るデビッド・フィンチャーの神の手が垣間見えて余計に“つくりもの”世界という感が否めなくて、母娘の命をかけた攻防戦にイチイチ入り込むことができず、フツーにボーッと見てしまった。TV向きだねこれは。。

2018年7月 6日 (金)

夢のシネマパラダイス48番シアター:スラムドッグ$ミリオネア

スラムドッグ$ミリオネア

20090419093644出演:デヴ・パテル、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント、アニル・カブール

監督:ダニー・ボイル

(2008年・英/米・120分)WOWOW

評価★★★★☆/85点

内容:インドのムンバイ出身の青年ジャマールは、人気TV番組「クイズ・ミリオネア」に出演、次々に難問をクリアし1千万ルピーを獲得!ところが、最終問題を残した1日目の収録後、ジャマールはイカサマを疑われ警察に逮捕されてしまう。スラム育ちでまともに教育を受けたことがないジャマールがクイズを勝ち抜けられるわけがないとする警察に対し、彼はその過酷な過去を語り始める・・・。

“この映画を見てヨカッタ!ファイナル・アンサー!”

「クイズ・ミリオネア」で次々に問題を正答させていくジャマール、インチキだと疑われ警察に尋問されるジャマール、過酷な少年時代を生き抜いてきたジャマールの生い立ち。

この3つの視点をモンタージュやフラッシュバックを巧みに用いながら交差させていく今回の映画、そのリズム感と疾走感たるや特筆すべきものがあるのだけど、なにより過酷な中にも横溢する生命力と希望の光に満ちているのがイイ。

例えば、ジャマールがスターのサイン欲しさに肥溜めに飛び込むシーンがあったけど、ダニー・ボイルの名を一躍高めた「トレインスポッティング」(1996)で便器の中に落ちた座薬を取ろうと頭から飛び込むヤク中の主人公の倦怠感と閉塞感とは好対照をなしている。

そして、そのあふれんばかりのバイタリティが現代インドを象徴するエネルギーと結びつき、ジャマールのラティカへの一途な想いに集約されていくプロットは、魅力的なサウンドスケープの増幅効果もあいまって見る者の目をとらえて離さない。

ラティカが好みだったのもプラスに働いたしww

混沌と興奮のるつぼの日常のすぐそばにある貧困と闇、その負のベクトルをひっくり返さんばかりの躍動感と高揚感にあふれたこの映画は、今のインドでなければ作りようがないものなのかもしれない。

D:幸せな映画だった!

ファイナルアンサー!!

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LION/ライオン~25年目のただいま~

Lionderlangewegnachhause出演:デヴ・パテル、サニー・パワール、ルーニー・マーラ、デヴィッド・ウェナム、ニコール・キッドマン

監督:ガース・デイヴィス

(2016年・オーストラリア・119分)WOWOW

内容:優しい養父母のもと、オーストラリアで幸せに暮らす青年サルーには悲しい過去があった。インドの田舎町に生まれた彼は、5歳の時に迷子になったことから家族と生き別れ、現在の養父母に引き取られていた。そして、成人したサルーはインドの本当の家族への想いを募らせるようになり、わずかな記憶を頼りにグーグルアースで故郷の家を探し出すことにする・・・。

評価★★★/65点

運命のいたずらで迷子になり、あげくの果てにストリートチルドレンとして孤児院に送られてしまう5歳の少年サルーのアンビリバボーな境遇を描く前半と、オーストラリア人夫婦の養子となり何不自由ない暮らしを送る大学生サルーの自分探しの旅に至るまでの複雑な心の内を描く後半に分かれる本作。

実話ベースの映画化ゆえの難しさか、母を訪ねて三千里みたいな自分の足と労力でっていう部分が後半パタリとなくなって、映画的かつ抒情的だった前半と比べると後半は置きに行った感が強くてダレた点がいまいち。

まぁ、エンドクレジットで本人映像を流されるとグゥの音も出なくなってしまったし、さらなる事実に呆然としてしまったけど・・😢

あとは、やっぱり前半の子役が印象的で白眉。青年になったサルーを演じたデヴ・パテルも考えてみれば「スラムドッグミリオネア」から随分とたくましく成長しちゃったなぁw

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クイズ・ショウ(1994年・アメリカ・132分)NHK-BS

 監督:ロバート・レッドフォード

 出演:ジョン・タトゥーロ、ロブ・モロー、レイフ・ファインズ、ポール・スコフィールド、ハンク・アザリア

 内容:1956年にスタートしたクイズ番組「21」は、無敵を誇るチャンピオンのハービーが連勝を続けながら、社会現象になるほどの人気を得ていた。しかし、次第に視聴率が伸び悩み始め、スポンサーはもっと見栄えのするチャンピオンに変更しろと要求する。プロデューサーのダンは、オーディションを受けに来たイケメンのチャーリーに白羽の矢を立て、八百長を仕組むのだが・・・。

評価★★★/60点

実話としての実直さがそのままレッドフォードの監督としての資質ともろにかぶっていて、遊び心のないえらくクソ真面目な映画になっちゃったかんじ。

ジョン・タトゥーロをはじめキャスティングは絶妙だっただけに、もうちょっとシニカルさやブラックな毒気をまぶしてもよかった気がするんだけど。。

まぁ、今の感覚でいうとたかがクイズ番組でここまでなる!?ていうかんじだけどね

でも、当時のテレビ番組は生放送が主体だったんだろうし、その中で一躍スターの座に上りつめるというのは文字通りアメリカンドリームだったのだろうから、それがヤラセで作られた虚像だったということになれば一大スキャンダルになるのは当然のことだったのかもね。

その上でこの映画が興味深かったのは、事のてん末においてテレビ局やスポンサーは全くの無傷で、スターに祭り上げられた出演者個人だけが矢面に立たされ粛清されたことだ。

それは取りも直さず視聴者こそがスターを求め、またスターを引きずり下ろすことを欲し、それに加担したわけで、メディアに流されやすい大衆心理の残酷さを物語っていたと思う。

そういう意味では今も昔もテレビってのは本質的に何ら進化していないんだねぇ・・w

2018年6月18日 (月)

夢のシネマパラダイス127番シアター:自分の子供たちを戦争に行かせたくありません。

硫黄島からの手紙

324563view001出演:渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童、裕木奈江

監督:クリント・イーストウッド

(2006年・アメリカ・141分)2006/12/25・盛岡フォーラム

評価★★★★★/95点

内容:戦況が悪化の一途をたどる1944年6月。アメリカ留学の経験をもち、米軍との戦いの厳しさを誰よりも覚悟していた陸軍中将栗林が硫黄島に降り立った。着任早々、栗林は本土防衛の最期の砦である硫黄島を死守すべく、島中にトンネルを張り巡らせ、地下要塞を築き上げる。そんな栗林の登場に硫黄島での日々に絶望していた西郷ら兵士たちは希望を見出す。しかし、古参の将校たちの間では反発が高まり、、、。米軍は当初圧倒的な戦力の違いから5日で陥落できると踏んでいたが、予想以上の日本軍の抵抗により36日間に及んだ激戦となった硫黄島の戦いをイーストウッド監督、スピルバーグ製作により日米双方の視点から見つめた硫黄島2部作の第2作目。

“2006年から61年前の硫黄島にタイムスリップした現代人・二宮和也が間近で体験した硫黄島の激戦!世界ウルルン滞在記。”

といっても過言ではないつくりにはなっていると思う。

だって、あの言葉遣いは実際どうなの

なんかふと2005年の年末にテレ朝でやった山田太一ドラマスペシャル「終りに見た街」を思い出してしまった。

システムエンジニアをしている中井貴一扮する主人公とその家族が、朝家でフツーに起きたら昭和19年の東京になっちゃってたというとんでもない話。

主人公の友人(柳沢慎吾)も息子とともに昭和19年の東京にタイムスリップしてしまうのだけど、その息子(窪塚俊介)がなんか今回の映画の西郷(二宮和也)と似てたような気がしたもんで。。

冷めた視線とかやる気のない感じとか。だってあんなヤル気のない「天皇陛下万歳!」を映画で見たのは初めて(笑)。

それはともかくあのTVドラマはあの時代にタイムスリップしたことによるジェネレーションギャップをことさら強調して描くことで戦争の恐ろしさを過去の絵空事としてではなく、より現実感をもって伝えられていたように思うが、一方今回の「硫黄島からの手紙」は内地・東京のお話ではない。最前線の戦場に置かれた兵士たちの話なのだ。

ここにあのTVドラマとの大きな違いが生じる。

そう、、少なくとも自分は最前線の戦場に置かれた兵士たちどころか、あの戦争でお国のために戦ったいわゆる旧帝国軍人の話や体験談などことごとく聞いたことがないのである。

たぶん自分みたいに戦後何十年も経って生まれてきた人たちはみんなそうだと思う。

空襲や原爆、特攻、沖縄のひめゆり部隊などは耳にタコができるくらい聞かされてきたし、脳裏に焼きつくくらい映像で見せられてきたが、なぜか外地で戦っていた兵隊さんたちの話は、まるでタブーであるかのごとくほとんど聞かされたことがないし、そういう映画すらほとんど見たことがない。

なのに判で押したようなステレオタイプとして旧帝国軍人は人道にもとる極悪非道な絶対悪として言われ、教えられ、描かれてきた感は拭えない。

個人的には、人殺しを生業とする軍隊に良い軍隊などあるわけがないと思っているので、それが善か悪かと問われれば問答無用で悪と答えるだろう。

しかし、その悪の中に自ら進んで飛び込んでいった者であれ、強制的に放り込まれた者であれ、彼ら軍人一人一人を単純にいっしょくたに悪一色で片付けてしまう思考の処理の仕方は絶対におかしいと思うのだ。それは日本軍であれ米軍であれ。

問題は、善良な人間がその悪の中に入っていかざるをえなかった時に、その人間が内に持っていた理想や信じていた大義が、戦争の圧倒的に無慈悲な現実の前で打ちのめされ殺がれていく中で、次第に彼の中にある善なるもの悪なるもののせめぎ合いさえもなくなっていく、すなわち人間性が消失していくという愚かで醜くて空しい狂気の過程こそが重要であって、誰が善で誰が悪か、どっちが善でどっちが悪かという結果ありきの線引きは意味を成さないと思うのだ。

もちろんそのせめぎ合いの中で人間性を完全に消失してしまい、狂気の戦闘マシーンへとなりはてる者もいれば、かろうじて人間性を失わない者もいるだろう。

そしてその悲劇の過程を通した上で戦争という悪、軍隊という悪、死ぬことを強要する狂気という絶対悪へと駆り出していった国家の罪というものをあぶり出していくというのが至極まっとうな戦争映画だと自分は思う。

例えば今回の映画の製作にも名を連ねるスピルバーグが監督した「プライベート・ライアン」では、トム・ハンクス演じたミラー大尉がアメリカ本国にいた時に何の職業に就いていたかを部下たちが予想して賭けをするというシークエンスがあったが、国語の教師をしていたことが明らかになることで、生きることを子供たちに教えるはずの教師が暴力と殺戮の世界である戦争に駆り出されるという異常性と悲劇を如実に暴き出していたと思う。

しかし、今までの日本映画なりTVドラマなりで描かれてきた軍人像というのはそういう過程を骨抜きにして、最初っからこの人は善良で正直者で可哀想な人ですよ、こっちの人は悪の塊で善良な人や敵国の一般住民をとにかく虐げ、殺しまくる人間性の欠片もない人ですよというふうに完全に色分けして描かれてきた面が相当あると思う。

前々から戦場を描いた日本の戦争映画って、なんで狂気を描けなくてこんなうわべだけの薄っぺらい“青春映画”(戦争映画ではなく)になっちゃうんだろう、と思うことがしばしばだったのだけど、そういう思考回路で作っちゃうからそうなっちゃうわけで、この思考がいかに幼稚で薄っぺらなものかということは今回の映画を見るまでもなく分かろうものだ。

、、がしかし、ここが1番大きな問題だと思うのだが、今まで日本人はそれを建て前上良しとしてきた面があった(と自分は感じる)のではないだろうか。

心のどこかであの戦争の被害者を演じることで、加害者としての側面や戦争の闇、狂気の部分というものから逃避し思考をストップさせてしまうある種の逃避装置として働いてきたのではないだろうか、ステレオタイプな描き分けというあまりにも単純で通り一辺倒の手法を通してあの戦争の総括から逃げ続けてきたのではないだろうか、、そして日本の戦争映画というのはいつしか被害や加害、善か悪かを超えた理不尽な悲劇としてではなく、あくまで被害者として狂気ではなくいかに可哀想に描くか、ということになっていき、戦場を描いた映画というのが数えるほどもないという体たらくに陥ってしまったし、日本人もそれを良しとした・・・。

そういうことが今回のクリント・イーストウッド監督作のアメリカ映画を通して一気に骨抜きにされた気がしてならない。

日本人の多くが教えられてきたであろうあの戦争は間違った悪い侵略戦争だったという認識を暗黙の了解のもと旧日本軍=旧帝国軍人がやったことは全て悪という図式(逃避装置)でいっしょくたにして極力触れないようにしてきた一方、それじゃああの戦争を外地でお国のために懸命に戦った500万人(うち200万人余が戦死)もの日本人を断罪できるのか、といったらほとんどの日本人は断罪ではなく、哀悼の方を選ぶだろう(当たり前だ)。

しかも、うち300万人余は外地から無事復員してきて、生きて無事に帰ってこれて本当に良かったねぇと家族に迎えられ(かくいう自分の祖父もノモンハン事件からシベリア抑留などの死線を経て無事生きて帰ってきた)、その後良い父親なり良い息子、そして普通の良き日本人として戦後日本社会の礎として懸命に生きてきたはずなのだ。

そういう建て前と本音のひずみの中に埋没することを避け、上っ面の中を浮遊してきた日本人、、“天皇”や“靖国”の問題、突きつめていけば国家の戦争責任としての罪の問題にケリをつけられない、あるいはケリをつけようとしないできた日本人には「硫黄島からの手紙」のような映画は作れないし作りようがないのかもしれない。これから先も・・・。

そういうことを考えても、60年前にアメリカに戦争で負け、60年後映画でもアメリカに負けた、と言わざるをえないほどの衝撃を少なくとも自分は受けた。

日本人の自分でさえ、玉砕や潔い自決が美徳とされたあの時代の兵隊さんたちの内面を知ることや理解することが到底難しい中で、冷めた視線をもち、絶対に生きて帰るんだという意志をもつ現代っ子的なキャラである西郷(二宮和也)を中間点に置いて第三者的立場で語らせたのは上手いし、各々の人物の深みのある人間像の描き方には唸るしかない。

誇りある帝国軍人としての教育と鬼畜米英の精神的な貧弱さを徹底的に叩き込まれてきたであろうエリート憲兵隊員清水(加瀬亮)が現実と真実を目前で見せられることによって、理想と信念が揺らいでいき生への執着を見せ始める様、そして極めつけは今まで典型的ステレオタイプの憎まれ役で描かれてきたであろう厳格な帝国軍人伊藤中尉(中村獅童)のあまりにも皮肉の効いた顛末など、どれをとっても本当に考えさせられてしまう描写の連続だったと思う。

「天皇陛下万歳!」と叫ぶ姿、泣き叫びながら手榴弾を腹に抱いて自決する酷い姿、ものすごい砲弾の雨あられの中で排泄物の入ったバケツを四苦八苦しながら拾い上げる姿、、本音と建て前のひずみの中に埋没していき、もがき苦しむ日本兵の姿に、人間の、そして日本人の深い所をえぐられたような、そんな重い衝撃を受けた。

先日開業したばかりの最新設備が調っているシネコンで見たのだが、閉所恐怖症の自分は地下洞窟の中に響き渡る砲弾の轟音を聞いて足がガクガク震えそうになったくらいだ・・・。

そして、序盤で米軍が硫黄島を爆撃してくるシーンで空から爆弾がズドーンという腹に響くもの凄い爆音とともに砂塵を巻き上げて降り注いでくるところなんかは、ああ、これが爆弾が空から落ちてくるってことなんだ、と生まれて初めて実感したというか体感した気がする。

もちろん、この映画が硫黄島の戦いの悲劇を全て描き出していたとは思わない。

8月にNHKスペシャルで「硫黄島玉砕戦/生還者61年目の証言」を見たが、それによると米軍が硫黄島を制圧した後も何千という日本兵が地下にこもっていたそうだ。

そして“生きて虜囚の辱めを受けず”と徹底的に教育され投降が許されなかった彼らを新たに襲ったのが飢餓だったというのも悲しい・・・。

炭を食べたとか、遺族の方には決して話せないような仲間内での陰惨な悲劇など、それを証言者の一人は「畜生の世界」と言っていたのがあまりにも印象的だった。

いまだ1万数千もの日本兵の遺骨が未収集のまま眠っている硫黄島。

それを知っている日本人ははたしてどのくらいいるのだろうか。

自分も初めて知ったくちなのだが、渡辺謙がインタビューで言っていたように日本人は過去の戦争についてあまりにも知らなさすぎる。

それを戦後60年経った今考えさせてくれた今回の映画には感謝してもしきれないくらいだ。

中国映画の「鬼が来た!」(ちなみに本国中国では上映禁止処分)、そして今回のアメリカ映画「硫黄島からの手紙」で中国人、アメリカ人が提示した一言では括りきれない日本人像に自分は衝撃を受けた。

日本人自身の手で撮った真の戦争映画が世に出る日がいつかやって来るのだろうか・・・。

Posted at 2006/12/29

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野火

689ecc7e483d1c57f823484a793b2c00出演:塚本晋也、森優作、神高貴宏、入江庸仁、山本浩司、中村優子、中村達也、リリー・フランキー

監督・脚本:塚本晋也

(2014年・日本・87分)盛岡フォーラム

内容:日本軍の敗北が濃厚となった太平洋戦争末期のフィリピン・レイテ島。結核を患った田村一等兵は野戦病院行きを命じられ、部隊から追い出される。しかし野戦病院でも食糧不足を理由に追い返され、行き場を失った彼は、酷暑のジャングルを彷徨いつづける・・・。

評価★★★★/80点

今までの戦争映画は、反戦悲劇のイデオロギーを基調としながらも、いわゆる英雄譚めいたミッションもの(作戦遂行もの)のフォーマットをとって、そこにキャラクターやストーリーをかぶせてくることが多かったと思う。

しかし、指揮系統が失われ、飢えて痩せこけた兵士達の撤退作戦と呼べるものですらないジャングルの彷徨にはイデオロギーなど存在するわけもなく、ただただ餓鬼・畜生と化した人間の姿だけが浮き彫りになる。

戦争には物語などない。ある意味それが戦争の真実なのだろう。

また、そのリアリズムを強化するのが目を覆いたくなるほどの人体破壊描写なんだけど、肉体が金属化していく男の不条理をグロテスクに紡いだ「鉄男」から一貫して肉体の内部・深部にフォーカスを絞ってきた監督だけに、今回の映画は監督ならではの破壊衝動と肉体論を結実させたというなるべくしてなった流れだったのだと思う。

でも、人間の身体がいともたやすくグチャグチャになり、そこにウジ虫が湧くような光景こそが戦争の真実なのだろう。

さらにその中で世界から色が消えていくのが戦争だと思うけど、吸い込まれそうな空の青、生命力あふれる密林の緑、そして誘惑してくるような花の妖しげな赤と、大自然のどぎついまでの美しさが際立つ色もまた印象的だった。

しかし、自分は子供の頃、「はだしのゲン」や「黒い雨」「ビルマの竪琴」などを親に見せられて戦争に対するトラウマを植え付けられたくちなんだけどw、この映画はそのレベルを超えていて子供に見せるのは躊躇しちゃいそう

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野火(1959年・大映・105分)NHK-BS

 監督:市川崑

 出演:船越英二、ミッキー・カーティス、滝沢修、浜口喜博、石黒達也、稲葉義男

 内容:太平洋戦争末期、フィリピン戦線レイテ島で日本軍は山中に追い込まれ飢餓状況にあった。病気で原隊を追い出され、野戦病院にも入れてもらえない田村一等兵は、敗走する戦友2人と合流するが、飢餓に苦しむ彼らは“猿”と称して兵士の死肉を食べていた。田村は彼らと決別し、さらなる彷徨を続けるが・・・。

評価★★★/65点

2015年の塚本晋也監督版を先に見てからの鑑賞。大岡昇平の原作を読んだことがないので分からないけど、塚本版がかなり忠実にこの市川版を踏襲していることが分かってちょっと驚いた。

ただ、市川版の方がモノローグやセリフで状況を論理的に説明していて分かりやすいんだけど、視線を一向に合わせない上官など物語性を排除し、人間が人間でなくなる非論理の世界をまるで白昼夢のように肌感覚に迫るまで描き切った塚本版の方が上か。

あとはやっぱり市川版のモノクロに対し、塚本版のカラーが活写するどぎつい天然色の威力は凄まじく、映画の世界観をより増幅させていたと思う。

と、なぜか塚本版にばかり目がいってしまったけど、感傷に訴えてくる市川版の手法も決して悪くはない。

今度は原作の方をしっかり読んでみたいと思う。

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ハクソー・リッジ

171672_02出演:アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー、ヒューゴ・ウィーヴィング、ヴィンス・ヴォーン

監督:メル・ギブソン

(2016年・豪/米・139分)WOWOW

内容:アメリカの田舎町で育ったデズモンド・ドスは、「汝、殺すことなかれ」の教えを胸に刻んで育ってきたが、第二次世界大戦が激化する中、衛生兵であれば自分も国に尽くせると陸軍に志願する。しかし訓練で武器に触れることを拒否。上官や他の兵士たちから嫌がらせを受け、ついには命令拒否で軍法会議にかけられるも自分の主張を貫き通し、晴れて衛生兵として従軍を認められる。そして1945年5月、デズモンドは沖縄の激戦地で150mの断崖がそびえ立つハクソー・リッジ(前田高地)に到着するが・・・。

評価★★★☆/70点 

実話というのは恐れ入った。

のどかで平和な平時に一般人がライフルを所持していたら逮捕され裁判にかけられるけど(当のアメリカは別としてもw)、戦時に一般人が兵士と名を変えた時に所持を拒否すると裁判にかけられるという、戦争の持つ矛盾。志願兵でありながら武器を持たないで戦争に向かう主人公のバックグラウンド。そして彼の宗教に裏打ちされた倫理観、正義感が軍隊においてはいかにおかしなことなのか。

これらを理解させるのに1時間もの長尺を使って描いたのは、メル・ギブソンの覚悟を感じさせて良い。

そして、それでもっての後半、肉片飛び散る沖縄の戦場の地獄絵図😵

四の五の言わせぬあまりの凄惨さは、前半の理屈などひねりつぶしてしまうほど強烈だけど、そこで信念を貫き通す主人公の神ってる姿にただただ圧倒されてしまった。

日本軍については、バンザイ突撃なども描かれていて特に違和感はなかったけど、沖縄戦の特徴である軍民混在の実像には程遠いように感じた。

ハクソーリッジのあった浦添では住民の2人に1人が亡くなり、4軒に1軒が一家全滅という悲劇を被ったという。

戦争はダメだねホントに。

日本映画でちゃんとした沖縄戦を描いた映画作ってくれないかなぁ。。

P.S.日本は赤紙1枚で戦争へというイメージが強いせいか嫌々行きました感がつきまとう。しかしアメリカは第二次世界大戦の映画を見ると先を争って志願したというイメージがあって、今作なんて入隊テストに落ちて地元の知り合いが2人自殺したなんて話まで出てきてビックリ。

そんな中、武器は絶対持ちたくないし、人を殺したくないけどお国のために戦争に行きたいって、お上の立場からしたら確かにめんどくさいのかもw

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太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-

Img_0出演:竹野内豊、ショーン・マッゴーワン、井上真央、山田孝之、中嶋朋子、岡田義徳、トリート・ウィリアムズ、ダニエル・ボールドウィン、阿部サダヲ、唐沢寿明

監督:平山秀幸

(2011年・東宝・128分)WOWOW

 

内容:1944年、日本軍の重要拠点であるサイパン島。劣勢に立たされていた守備隊は、圧倒的な兵力差を誇るアメリカ軍に上陸を許し、陥落寸前まで追い込まれていた。そしてついに軍幹部は玉砕命令を発令。そんな中、陸軍歩兵第18連隊の大場栄大尉は生きることに執着し、無駄死にすることなくアメリカ軍への抵抗を続けることを決意する。そんな彼の人望を慕って、上官を失った兵士や民間人たちが集まってきて、やがて彼らはサイパン島の最高峰タッポーチョ山に潜み、ゲリラ戦を展開していく・・・。

評価★★★/60点

サイパン島の激戦終結後も多数の民間人と共にジャングルにこもり1年半もの間アメリカ軍に抵抗しつづけた大場大尉の実話を日本軍、アメリカ軍双方に加えて民間人も含めた視点から描いた丁寧な筆致は好感が持てるのだけど、作品としてはあまりパッとしない印象。

要は、アメリカ軍視点はいらなかったと思う。

この映画の軸となるべきは、一人でも多くの敵を殺し、生きて虜囚の辱めを受けず徹底抗戦すべし!という、軍人勅諭や戦陣訓によって叩き込まれた軍人としての使命感と、一人でも多くの日本人を生かし日本の地を踏ませたいという人としての思いの狭間の葛藤を縦軸に、軍人と民間人がジャングル奥地で共生するという異常な状況下での苛酷さを横軸にして描かれるべきものだからだ。

しかし、それが米軍視点の勝手な賛美が介入してくることにより、何かうわべだけの美化描写になってしまった感が否めない。

例えば横軸として挙げた軍民一体化は、沖縄戦最大の悲劇といってもよく、その先駆として行われたサイパン戦でも追いつめられた民間人はバンザイクリフから次々に飛び降りていったわけで、“奇跡”などという綺麗事では片づけられないそういう戦争のおぞましさや悲惨さを描かなければサイパン戦を題材にした意味がなかろう。そこがこの映画は甘いし浅いと思う。

せっかくの井上真央や中嶋朋子の良い演技があるのに、その存在価値が軽くなっちゃってて、なんかもったいなぁと。

まぁ、唐沢寿明演じる堀内一等兵の人物造形なんかは完全に浮いてたけど、岡本喜八の独立愚連隊に出てきそうなキャラで個人的には好きだったw

って本当にいたんだ!こんな入れ墨兵士

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聯合艦隊司令長官山本五十六-太平洋戦争70年目の真実-(2011年・東映・141分)WOWOW

 監督:成島出

 出演:役所広司、玉木宏、柄本明、柳葉敏郎、阿部寛、吉田栄作、椎名桔平、坂東三津五郎、原田美枝子、田中麗奈、伊武雅刀、宮本信子、香川照之

 内容:日本が恐慌にあえいでいた1939年。国内では好戦ムードが盛り上がり、陸軍が日独伊三国同盟の締結を強硬に主張していた。しかし、海軍次官の山本五十六は慎重論を唱える。ドイツと結べばアメリカとの戦争は必然であり、両国の国力の差を見知っていた山本にとっては絶対に避けなければならない戦いだった。そんな中、山本は聯合艦隊司令長官に就任するが、その翌年に三国同盟が締結され、対米戦が日に日に現実味を帯びてくる・・・。

評価★★★/65点

太平洋戦争を題材にしたこのての映画を見ると、国力が日本の10倍のアメリカに勝てないことは明白でありながら、あの悲惨な戦争をおっ始めた挙句、日本を焼け野原にするまで延々と長引かせた責任者は誰なのかという視点を拭い去れないのだけど、この映画を見るかぎりその責任は内地で談合を繰り返す軍人官僚や日独伊三国軍事同盟を強行した陸軍上層部にあったということらしい。

また、真珠湾攻撃やミッドウェー海戦での不手際も南雲中将など取り巻きにその責任はあり、山本五十六はつとめて冷静かつ良心的な名将として描かれている。

要は、彼の言うとおりにしていればあんな事にはならなかったのに、という描き方だ。

そこに若干の違和感を感じずにはいられないのだけど、役所広司の堂々とした存在感と物腰柔らかな包容力にほだされて、結局受け入れてしまう(笑)。

いや、それじゃダメなんだけど、こういうエリート軍人を伝記ものに括るような映画はどうしても美化のフィルターがかかってしまうのだということを承知して見ないとダメなんだろうね。

ただこの映画、評価できるところも少なからずある。

それは戦争を遂行したのは軍部であることは明白なのだけど、軍部だけが突出して暴走していたのではなく、マスコミ・メディアが戦争をあおり、国民自身が好戦的ムードに包まれそれを後押ししていたという点を描いたところだ。

もちろんその背景には不景気や政治不信といった社会の閉塞感、また軍国教育や大本営発表といった情報操作があったのだろうけど、その図式はなにも当時にかぎったことではなく今の世の中にも通じるものだろう。

だからこそ「自分の目と耳と心を開いて広く世界を見なさい」という山本五十六の言葉をしっかり噛みしめなければならないのだと思う。あの戦争を絶対繰り返さないためにも・・・。

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陸軍(1944年・松竹・87分)WOWOW

 監督:木下恵介

 出演:田中絹代、笠智衆、上原謙、東野英治郎、杉村春子

 内容:九州小倉で質屋を営む高木家は、奇兵隊の山県有朋の知己を得たことをきっかけに、お国への滅私奉公を家訓としてきた。明治37年、智彦は使用人のわかと結婚。やがて日露戦争が勃発するが、智彦は病弱のため前線で働けず、銃後でしか国に尽くせなかった。それから時を経た昭和。智彦は果たせなかった思いを太平洋戦争に出征する息子に託す。妻のわかも天子様のために役立てるのだと安堵する中、出征の朝を迎えるが・・・。

評価★★★★/75点

原恵一監督の「はじまりのみち」において丸ごと引用した「陸軍」のラストシーンに痛く心を打たれ、見たいと思っていたらTV放送していたので鑑賞することに。

まず、冒頭の松竹のロゴの登場シーンからえらく古い映画だなと思ってたら昭和19年だって

しかし、軍が主導した戦意高揚映画が「陸軍」の他にも何本も作られていたなんて、不幸で悲しい時代だったんだなと改めて思う。

肝心の映画の方は国策映画とはいえ、当時の風俗や時代の風潮が色濃く感じられて有意義だったし、母親が戦地に向かっていく息子を見送るラスト10分はやはり感動的で胸に迫ってくるものがあった。

それまでは「天子様からの預かりもの」である息子が立派な兵隊になれるように小さい頃から厳しく叱咤しながら育ててきた軍国の母のお手本のような姿が印象的だったけど、いざ息子を送り出す段になると、気丈な建前から一転哀しみの本音が顔を出してくるのは母親として自然なことだろうし、当然なことを当然なこととして描いた勇気に拍手したい。

他にも子供が橋から川に飛び込む度胸試しみたいなところを通りかかった母親が、男なんだから潔く飛び込め!と背中を押したり、今の時代では考えられないシーンもあったりして面白かった。

あと、印象的だったのが水戸光圀編纂の大日本史が一家の家宝として象徴的に映し出されていたことだ。

これは光圀が創始した水戸学というものが、絶対の忠誠の対象は将軍や殿様などではなく天皇なのだとした朱子学的思想の一環として編まれたものであるため、天子様=天皇を尊ぶ教典として重宝されたことがうかがえるものなのだろうと思われる。

いずれにしてもこの映画は時代を越えて残されるべき作品だし、今だからこそ見なければならない映画だと思う。

2018年4月 2日 (月)

夢のシネマパラダイス385番シアター:6歳のボクが、大人になるまで。

ムーンライト

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出演:トレヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、ジャネール・モネイ、アシュトン・サンダーズ、ジャレル・ジェローム、ナオミ・ハリス、マハーシャラ・アリ

監督・脚本:バリー・ジェンキンズ

(2016年・アメリカ・111分)WOWOW

内容:マイアミの貧困地域。小学校でチビ呼ばわりされ毎日いじめられている内気な少年シャロン。麻薬中毒の母親ポーラから育児放棄にも遭っている彼にとって心を許せるのは、ひょんなことから助けられ何かと面倒を見てくれる麻薬の売人フアンとその恋人テレサ、そして同級生のケビンだけだった。やがて高校生になったシャロンは、ケビンに友だち以上の感情を抱き始め・・。

評価★★★☆/70点

人種差別、LGBT、貧困、イジメ、虐待、ドラッグと、主人公を取り巻くありとあらゆるマイノリティの苦難。

あまりにもヘヴィーでキレイごとではない内容ながら、見終わってみるとキレイな映画だったなぁという意外な印象。

それはおそらくリトル、シャロン、ブラックの3話構成に起承転結でいうところの承しかないという大胆な省略術によるところが大きいのだと思う。

特にシャロン→ブラックへのまるで別人な変貌は完全に転なのだけど、その間の過程および因果関係が全く描かれていないため、自壊寸前のダークな暴力性よりも感傷に流されるピュアな叙情性の方がより強調されたということだろう。

この映画はそこをどう捉えるかがキモだと思うけど、個人的には映画としてのパンチ力に若干欠けるかなという印象。。

ただ、役者がすこぶる良いので、描かれなかった余白にこちら側がくみ取れるだけの具体的な心情を乗せることができているのは、さすがアカデミー受賞作だけのことはあるなとは思った。

しかし、フアンをあっさり退場させるなんて10人脚本家がいたら1人くらいしか思いつかない芸当だろうなw

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6歳のボクが、大人になるまで。

20150410230940出演:パトリシア・アークエット、エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレーター、イーサン・ホーク

監督・脚本:リチャード・リンクレーター

(2014年・アメリカ・165分)盛岡フォーラム

内容:テキサスの小さな田舎町に住む6歳の少年メイソンは、シングルマザーのオリヴィアと姉サマンサとの3人暮らしで、父親は離婚してアラスカへ旅立ったまま。そんな中、母親が博士号を取るためにヒューストンへ引っ越すことに。そこで少年時代を送っていくメイソンは、母の再婚や父との再会、そして初恋と様々な経験を重ねていく・・・。オーディションで選ばれた6歳の少年エラー・コルトレーンを主演に据え、主人公の6歳から18歳までの12年間の成長と家族の物語を、実際に12年間かけて撮影するという斬新な手法で描き出したヒューマンドラマ。

評価★★★☆/70点

数あるメディアの中で映画に最も魅かれるのはなぜなのか。

それは言いかえれば、映画の映画たるゆえんは何なのかということでもある。

映画は視覚芸術だという一言で片付けることもできるけど、おおむね2時間前後しかない強い拘束力を受けている中で、時間軸の省略や要約などスクリーン上で時間を変化させ再創造する、その映画固有の時間表現ーカットとモンタージュの組み合わせーに夢のような能力を感じ取っているからなのかもしれない。

それは飛躍、短縮、シンクロなど時として目も覚めるような形で時間の流れの異様さをあらわにする。

そういう点では今回の映画は、同じキャストで足かけ12年に渡る撮影を経て家族の軌跡を3時間に収めるという今までにない手法で作られているのだけど、12年という淡々とした時間の流れ=人生がすでに立派なドラマになっているのだということを如実に感じられる作品だったと思う。

映画のひとコマひとコマ1ショット1ショットが一瞬間を表し、これらの固定した各コマの映像の一連続から映画全体が成り立っていることを思えば、「時間は途切れない。一瞬というのは常に今ある時間のことだ」というラストのセリフはこの映画の構造を象徴していて印象深い。

瞬間瞬間の積み重ねが人生を形づくっていく、まさに“今を生きる”ことの愛おしさ、尊さが染み渡ってきた。映画を流れるこういう時の流れも悪くはない。

あと、興味深かったのが家庭環境あるいは食卓風景の中にまで大統領選などの政治やイラク戦争、マリファナ、銃などが当たり前のように浸透していることで、アメリカの社会背景が垣間見れて面白かった。

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マイライフ・アズ・ア・ドッグ

084 出演:アントン・グランセリウス、マンフレッド・セルネル、メリンダ・キンナマン

監督:ラッセ・ハルストレム

(1985年・スウェーデン・102分)NHK-BS

評価★★★★/75点

 

内容:1950年代末のスウェーデン、海辺の町に住む少年イングマルは、たとえつらいことがあっても、ソ連の人工衛星スプートニクに乗せられて死んでしまったライカ犬よりは自分の方がまだマシだといつも思っていた。母親の病気がひどくなって、叔父の家に引き取られることになったイングマルは、ある日、サッカーの練習に行って鮮やかにゴールを決めるガキ大将サガに出会う・・・。人生に目覚め、少しずつ大人になっていくナイーブな少年の成長物語。

“見たいものと見たくないもの”

少年イングマルはベリットの裸は見たかった。しかし母親の怒り叫ぶ姿と怒鳴り声には耳をふさぎ自分のワーワー声でかき消して目をそむけていた。

星空の向こうにある母親との楽しい思い出は見たかったが、病床で母親が苦しむ姿からは目をそむけて見たくなかった。

ライカ犬が自分より不幸だったであろう姿は必死に頭をめぐらせて見たかったが、自分が抱えている悩みや苦しみからは他の不幸に代用することによって目をそむけていた。

しかし、叔父の家で成長した今のイングマルなら、それら見たくないものからも目をそむけることはないだろう。

そいえば、個人的なことになるけど、自分が小1の時に劇場で親に見せられたアニメ映画「はだしのゲン」は自分の想像力を破壊してしまうほどの残酷さにもう見れなくて見れなくて耐え切れなくて、ずっと後ろを振り返って映写機から出てくる透明で青白い光の粒子のカーテンをじっと見つめていたことが今でも思い出される。でもそれから数年後に見た「火垂るの墓」はちゃんと見れたっけ。

ちなみに小1の時に、「はだしのゲン」は見たくなかったけど、テレビで夕方5時からやってたテレビドラマで毎回出てくる大原麗子の入浴シーンは見たかった(笑)。5時までに遊びを切り上げてまで見てたからなぁ・・

20年経った今でも記憶に残ってるくらいなのだから大原麗子にメロメロだったんだろうなオレ。。イングマルがベリットに夢中だったように。

それにしてもベリットの像は何処へ・・・。

今自分が見たいのはあの像だな。見たくないのはもちろん我が愛しのレアル・マドリーの敗れた姿です。

2016年10月16日 (日)

夢のシネマパラダイス364番シアター:犯人は、まだそこにいる。

64-ロクヨン-前編/後編

A0163972_8525372出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、窪田正孝、鶴田真由、芳根京子、瑛太、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、緒形直人、永瀬正敏、三浦友和

監督・脚本:瀬々敬久

(前編2016年・東宝・121分/後編2016年・東宝・119分)WOWOW

内容:昭和64年1月3日に発生した少女誘拐殺人事件。三上刑事(佐藤浩市)らが捜査にあたる中、1月7日に昭和が幕を閉じる。そしてロクヨンと隠語で呼ばれるその事件も未解決のまま時が経った平成14年。刑事部から警務部広報官に異動になった三上は、ある交通事故の報道方針をめぐる記者クラブとの対応で県警との板挟みにあい、神経をすり減らしていく。そんな中、ロクヨンの時効を1年後に控え、警察庁長官が被害者家族の雨宮(永瀬正敏)と面会する話が持ち上がる。三上は14年ぶりに雨宮のもとを訪ねるが・・・。

評価★★★★/80点

原作未読。NHKドラマ視聴済。

「八日目の蝉」といい「紙の月」といいNHKドラマが映画をしのぐハイクオリティだったため、今回もどうなんだろうと思ったら、やっぱりTVドラマの方が見応えがあった。

もちろん尺の違いはあるんだけど、地方の閉塞感の中で蠢く様々な感情や葛藤が澱のように沈み溜まっていく陰うつな質感や、ノイズの気色悪い響きが重苦しさを喚起する劇伴などTVドラマの方が印象的だったし、主人公三上も受け身な中間管理職オジさんの悲哀をよく表していたという点でドラマ版のピエール瀧の方がハマっていたと思う。佐藤浩市はやっぱカッコ良すぎなんだよねw

でもまぁ、映画の方も豪華すぎるオールスターキャストの演技合戦は十分見応えがあったし、前後編に分けてボリューム感を出した気概は買いたい。

ただ、唯一どっちらけだったのが、ヘリウムガスが切れてなんとか地声を隠そうと頑張る吉岡秀隆の声つぶし演技。もうコントでしょあれ・・

あと、ひとつ消化不良だったのが、後編で雨宮(永瀬正敏)が目崎(緒形直人)の次女を車に乗せて家まで送る時に雨宮が号泣するシーンが唐突に出てくるんだけど、常識的に考えて小さい女の子がそんな簡単に知らない男の車に乗るかなぁ(雨宮翔子ちゃんは目崎の車に乗っちゃったわけだけど・・)という疑問があって、もしかして当初雨宮は誘拐しようとしたのか!?とも勘繰りたくなったけど、何の状況描写もなかったので、そこは見終わった後も引っかかった。

あと、TVドラマでは目崎の逮捕を匂わせるところで終わるものの、映画の方は目崎逮捕のために三上がとんでもない行動に打って出て目的を果たすものの警察を追われることを匂わせるところで終わるという違いがあって、随分と突っ走ったものだなぁと驚いたけど、これはこれで悪くない着地点だなとは思った。

結局最後に言いたいこと。今後はNHKドラマより映画の方を先に見ることにします(笑)。

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予告犯

142642565665371468179出演:生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、窪田正孝、小松菜奈、小日向文世、滝藤賢一、荒川良々

監督:中村義洋

(2015年・東宝・119分)WOWOW

内容:ある日、新聞紙製の頭巾をかぶった男が、集団食中毒を起こした食品加工会社に制裁を加えるとする予告動画がネットに投稿され、翌日実際に会社の工場が放火された。その後も、“シンブンシ”と名付けられた男は、世の中の不正義に対してネットで私刑を予告し次々に実行していく。一方、警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香は、男の正体を探ろうと捜査を続けるが・・・。

評価★★★/65点

日本文化礼賛番組が幅を利かせる一方、「腎臓を売ってまで来たかった国がこんなザマでごめん」というセリフを真と受け取らざるを得ない現実、そして自分の境遇を社会のせいにするなんて卑怯だという詰問に対し「あなたには分からない」と言い放つ格差社会の諦念が胸に迫る。

この頑張っても報われない時代が生み出した勝ち組と負け組の断絶はよく描けていたと思うし、予告犯と警察との攻防戦も見ごたえがある。

ただ一方、どこかでこの映画に一抹の違和感を拭えなかったのもたしかで、それはネットの動画配信で法で裁けない悪をさらし者にして成敗するシンブンシの行為に、痛快さよりもイスラム国の残虐動画を連想させる怖さを感じ取ったからだ。

しかもこれを正当化するのに情緒話に落として風呂敷を畳もうとするのも少し気持ち悪くて興ざめしたし、犯人目線で描いているだけに死をもって解決するというのがなおさら後味が悪くてすっきりしなかったなと。

まぁ、共感できそうでできないというか、共感したくない自分がいるというか・・。そういう意味では戸田恵梨香の女刑事の方に6:4で肩入れしたいんだけどねw

現代版「天国と地獄」にはなりえなかったな・・・。

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犯人に告ぐ

Xnqrhdllga 出演:豊川悦司、石橋凌、小澤征悦、笹野高史、片岡礼子、井川遥

監督:瀧本智行

(2007年・日本・117分)WOWOW

評価★★★/65点

内容:6年前、自ら指揮を執っていた誘拐事件でミスを犯し、人質の少年を殺された責任を取らされ左遷された神奈川県警警視・巻島は、川崎市内で起きた連続児童殺人事件の捜査責任者として本部に呼び戻された。そして生放送のニュース番組に出演した巻島は、BADMANと名乗る犯人に直接語り始め、犯人を挑発。ここに劇場型捜査の幕が切って落とされた・・・。

“今夜は震えて眠れ!”

かっちょええーー!!スィ、スィびれますた。。

このセリフ聞いただけでも、これ見た甲斐はあったかんじだけど、映画としてはバカ正直なまでにご丁寧なつくりで、映画的な躍動に乏しい面はあったかな、と。

また、プロローグの6年前の誘拐事件の捜査でナンパ男を犯人と間違えてしまうところで、あんなオバハンをナンパする奴なんているのか?という点・・。

過去に会見で逆ギレした巻島(トヨエツ)が、左遷された足柄署から、テレビ慣れしているという理由で呼び戻されるというのもフツーありえるのか?という点・・。

また、同級生のニュースキャスター杉村(片岡礼子)の胸元を見てとち狂った植草(小澤征悦)の暴走ぶりや、ラスト近くでトヨエツが刺されちゃうのも「踊る大捜査線」をもじったようで間が抜けるし、全体的にもうちょっと精査してもらいたいような出来ではあった。

ただその中で、トヨエツの刑事っぷりは見応えがあったし、あとは笹野高史が要所要所でイイ味出してるんだよねぇ。

そんなこんなでなんとか最後まで見れてしまったけど。まぁ、テレビで見る分にはちょうどいいかなというかんじかな。

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大誘拐 Rainbow Kids(1991年・東宝・120分)NHK-BS

 監督・脚本:岡本喜八

 出演:北林谷栄、緒形拳、風間トオル、西川弘志、樹木希林、嶋田久作

 内容:紀州一の大富豪・柳川とし子刀自がド素人3人組に誘拐された。ところが、刀自は犯人たちから自分の身代金が5千万円と聞くや、自分のプライドが許さないとブチギレ、身代金を100億と勝手に決めてしまう。てんやわんやの犯人たちに毅然とした態度で指図をしていく刀自。一方、和歌山県警本部長の井狩は、捜査に全力を注ぐが・・・。

評価★★★☆/70点

風間&内田&西川の大根役者っぷりが際立つ冒頭15分を見て思わず心が折れそうになったけど(笑)。。

しかし、彼ら誘拐犯のトーシロ同然のお粗末ぶりも、彼らを取り巻く緒形拳や樹木希林、天本英世、竜雷太といったプロの名役者たちで固めた脇役陣との対比が物語上うまくリンクしていて、そういう点では適材の配役だったのかも。

そしてそして忘れてはならない北林谷栄の素晴らしさ。

微笑ましく見ていられる可愛いお婆ちゃんの裏の顔にプロを手玉にとるしたたかさと、ダテに資産家やってるんじゃないのヨ!というプライド、そして子供たちをお国に持っていかれた戦禍を乗り越えてきた経験値を36キロの小さな身体に沸々とわき立たせるその姿はなんとも凛々しく、痛快なオチもあいまって印象的だった。

しかし、、場になじまない音楽だけはダサくて気になったなw。

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模倣犯(2002年・東宝・123分)日劇2

 監督:森田芳光

 出演:中居正広、藤井隆、津田寛治、木村佳乃、山崎努、伊東美咲

 内容:東京の下町で豆腐屋を営む有馬義男。20歳になる孫娘・古川鞠子が失踪してから10ヶ月、事件は何の進展も見せていなかった。が、そんなある日、下町の公園のゴミ箱から女性の右腕とショルダーバッグが発見される。そして、それを報じるワイドショーの生放送中に犯人からの電話が入り、一連の女性誘拐殺人の犯行声明を告げるのだった・・・。

評価★★/40点

山崎努以外オーバーアクションにしか見えない役者陣にはなんら落ち度はない。脚本もつとめた監督にこそ難があるのは一目瞭然。

特に犯人が説明セリフで逐次報告してくれる映画ほどツマラナイものはないわけで、小説と映画は別物とはいうけど、登場人物の心の機微を子細に描いていく宮部原作をここまでシュールに換骨奪胎してしまう森田演出が自分には全く合わなかった・・・。

だって犯人が遺体を埋めるために闇夜に山中で土を掘っているところをわざわざ下から見上げるアングルで撮って、その上空の星空にこれ見よがしに流れ星がいくつも流れていくなんて、もうドン引きするしかないでしょ(笑)。

食べ物が全然美味しそうに見えない食事風景も含め、何かしらの演出意図があったのだろうけど、それを知ったとしてもダメだなこれは。。

映画化するのが10年早かった気がする・・w

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レディ・ジョーカー(2004年・東映・121分)DVD

 監督:平山秀幸

 出演:渡哲也、徳重聡、吉川晃司、國村隼、大杉漣

 内容:新製品発売を1週間後に控えたビール業界最大手の日之出ビール社長・城山恭介が“レディ・ジョーカー”と名乗る5人の犯行グループによって誘拐された。その5人とは、小さな町薬局の老店主、元自衛官のトラック運転手、信用金庫の職員、町工場の若い旋盤工、ノンキャリア刑事。彼らは競馬場で知り合い、それぞれ異なった理由で犯行に至った。しかし、誘拐の2日後、捜査陣が事件解決へ動き出す中、犯人側が突然城山を解放する・・・。

評価★★/40点

NHKの土曜ドラマでじっくり見たいなぁ、、ってかんじ。。

2016年9月29日 (木)

夢のシネマパラダイス68番シアター:“グローリー・トゥー・ザ・フィルムメーカー”北野武vol.1

HANA-BI

Hanabi 出演:ビートたけし、岸本加世子、大杉漣、寺島進、渡辺哲

監督・脚本:北野武

(1997年・日本・118分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:逮捕劇の失態から後輩を死なせ、同僚の堀部を下半身不随に追いやった刑事の西は、その責務を果たそうとしていた。銀行を襲って得た金を堀部らに渡した彼は、死期の近い妻と最後の旅に出るが、警察とヤクザの双方から追われることに。一方、無気力だった堀部は、絵を描くようになって生きる力を取り戻していくが・・・。ヴェネチア国際映画祭作品賞受賞。

“上手いんだけども、美味いとは言えない・・・。”

映画公開当時、ヴェネチアでグランプリを獲ったことでイの一番に劇場に走ったのだけど、えっなんでこれが賞獲るん?と面食らってしまったことを覚えている。

つい先日久方ぶりに見たのだけど、時間軸をズラした編集だとかモンタージュの使い方、省略の妙、またサイレントのパントマイムでも見ているような言葉を交わさない夫婦の道行きの情景など映画のつくりとしては本当に上手いし、ラストの「ありがとう、、、ごめんね、、、」という、映画の中で妻が発した唯一の言葉と打ち寄せる波の音にジィ~んときてしまうのも確かで、賞を獲る獲らんは別にして映画としてはかなり良く出来てるということだけは再認識できた。

しかしだ。

そういう映画的な上手さはあるんだけど、それが自分の中で美味さとして伝わってこないのが玉にキズで、やはり自分にとっては何かもうひとつ味が決定的に足りないのだ。

なんというか「花-美」じゃなくて「HANA-BI」になっているように、日本じゃなくて外国にある日本料理屋ってかんじで、あっちの人には受けるような味になっているというか・・・。

ギリギリの間が作り出す乾いた暴力と死への焦燥、、、「死」というものに対するあまりにも冷めた視線がどうも肌に合わないというのもあるし。なんかね

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Dolls ドールズ

R031031 出演:菅野美穂、西島秀俊、三橋達也、松原智恵子、深田恭子、武重勉

監督・脚本:北野武

(2002年・松竹・113分)シネマヴェーラ渋谷

評価★★★★/80点

内容:近松門左衛門の「冥途の飛脚」の出番を終えた忠兵衛と梅川の人形が何かを囁きながら静かに遠くを眺めている・・・。結婚の約束を交わしていながら、社長令嬢との縁談が決まった男と、その男に捨てられたショックで自殺未遂の末、記憶喪失に陥ってしまう女。年老いたヤクザの親分と、彼をひたすら待ち続けるひとりの女。事故で再起不能になった国民的アイドルと、彼女を慕い続ける盲目の青年・・・。残酷な運命に導かれた3つの愛の物語を、文楽の人形を語り部に、美しくそして切なく描いたラブストーリー。

“浄瑠璃。正直いうと何それ?人形。NHKでやってた三国志の?文楽。三遊亭?Dolls。すごく良くない?、、こんなんでいいのか?”

マメミムメモマメミムメモマメミムマジカルビームマメミムメモマメ、、耳から離れない。こんなんでいいのか?

冗談はさておき、って冗談じゃないんだけどねホント、、奇しくも北野映画で1番好きな映画になってしまったりして。。たしか監督はベネチアで、これは好き嫌い分かれる映画だと言ってたけど、どうやら自分の肌には合っていたらしい。

ではどこが?と言われると、、う~ん、、全体的にとか抽象的な言葉になっちゃうんだけど。なにせホントに浄瑠璃とか文楽の世界はほとんど知らないから、監督がこの映画でやりたかったことというのが大雑把にしかつかめないわけで。。

まぁ、道行きくらいは知ってるし、浄瑠璃に出てくる人形と登場人物を重ね合わせて描いているということくらいは菅野美穂の歩き方ひとつとって見ても一目瞭然で分かる。しかし、その真に監督の意図するところまでたどり着けなかったというのが正直なところで。はたしてこの映画の終着地点にあるものを例えば究極の愛という言葉で単純に呼んでいいものかどうか、それすら自分の中では解しきれていない。

では、この映画の何が自分をそこまで引き込ませてしまうのか。

そもそも究極の愛とは何かと考えてみると、女にとっては男が浮気をしないこと、男にとっては女が年を取らないことに行き着いてしまうと思うのだが、そうやって見るとこの映画はその法則をしっかり踏襲している気はする。

西島&菅野コンビでは、赤い紐で結ばれているわけだから男は浮気できないし、ラストで死んじゃうから年の取りようがない。三橋&松原コンビでは、撃たれて死ぬ&どこかイカレちゃって時が止まったままということで成立。深キョン&追っかけ男コンビでは、アイドルは年を取らないことと男が自分の目を潰してしまったこと&車に轢かれたかなんかして男死亡ということで成立、ということには一応なる。

とにかく究極の愛=死という図式は往々にして成り立つし、死というキーワードは避けて通れないものである。

しかし、ここでやっかいな問題にブチ当たる。

北野武は“死”を描くのが好き!という問題に。

北野映画において“死”というのは同じく避けて通れないものである。しかもその“死”の描き方は非常に暴力的かつ非常に乾いた描き方である。空虚な拳銃の音で“死”を表現してきたといっても過言ではないだろう。

その北野映画が道行きや情死に代表されるような男女の死をはたして描けるのか。北野映画に出てくるヤクザものとは違うんだぞってことを分かってんのかなぁという不安は、この映画を見ている間もあった。

だって相も変わらずヤクザ出てくるし・・。えっ、なんでヤクザなの?みたいな。

、、が、ゴメンなさい。全くの杞憂でした。

まず、明確な道行きの場面を描いているということと、北野映画には死がつきものという自分の中に刷り込まれた常識によって死者の世界、黄泉の世界への入り口をいやが上にも垣間見てしまう感覚が肌にヒリヒリと伝わってくる。自然の美しさに息を飲むというよりも、肌にヒリヒリ伝わってくるようなこの感覚に息が詰まりそうというのが正直なところ。

そういう点でいえば、佐和子(菅野美穂)の見た悪夢で、祭りの帰りに男たちに引きずられ、おそらく暴行を受けているであろうシーン、しかも遠景ショット、が描かれていたのは自分自身の息が詰まりそうな気持ちを代弁してくれたという意味でもまさに的を射た描写であった。

また、筆致が「あの夏、いちばん静かな海」により近く、その筆致がブレない範囲で“死”を描いてくれた。三橋親分の死は赤い一片の紅葉によって、追っかけファンの死は警察によって洗い流されていく赤い血と、幻のごとく浮かび上がってくる彼の姿によって表現される。

おもわず唸ってしまうような描写であった。

そして西島&菅野コンビだが、うわっと思ってしまうほどの唐突さにビックリはしたけど、なるほどなという収め方。オープニングが浄瑠璃を上演している舞台ならばラストのカットも舞台、しかも壮大な舞台装置、で幕を下ろしたというのは上手いと思った。

ようするに、映画を彩っていた息もつまるような死の感覚と柔らかな死の描写に引き込まれ、またそれに感心あるいは感嘆までしてしまったわけである。

でも待てよ。ヤバクないかこれって・・・。

死への憧憬を抱いてしまうなんて。あまりにも美しすぎるがゆえの、あまりにも北野映画の常識にとらわれてしまっている自分自身ゆえの。本当はとてつもなく残酷なはずなのに。

やはりどうも自分は監督が設けた終着地点とはかけ離れたところに不時着してしまったらしいし、自分がなんとかたどり着いた地点の相当先を北野武という監督は進んでいるらしい。

こりゃまだまだ北野映画とお付き合いしていかないとダメらしいや・・・。

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監督・ばんざい(2007年・日本・104分)WOWOW

 監督・脚本:北野武

 出演:ビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏、吉行和子、宝田明、内田有紀

 内容:ギャング映画を得意とする映画監督キタノ・タケシは、ある時、ギャング映画を封印することを宣言し、これまで撮らなかったタイプの映画に挑戦することにする。そして、小津映画風、昭和30年代もの、ホラー映画、恋愛映画、時代劇、SFなどに挑むが、ことごとく途中失敗に終わってしまう。そこでキタノ監督は最後の切り札として、詐欺師の母親が、政財界の大物の息子らしき男に娘を嫁がせようとするコメディを撮ることにするが・・・。

評価★★☆/50点

江守徹や吉行和子をはじめとして豪華役者陣が芸人ビートたけしのグダグダなネタ見せのためだけに放り投げられている惨状を見せつけられて、いったい何がおもろいねん!という一言に尽きるんだけど・・・。

「座頭市」という定型的なフォーマットを与えられた中で興行と評価両面で成功を収めてしまったことによる反動であることには違いないんだろうけど、この映画はそういう定型的なフォーマットをおバカにぶち壊してしまうことで、自分を枠の中に押し込めようとする人々の野望から映画作家“北野武”を取り戻そうとするためのリハビリ映画といえばいいだろうか。

でも、そんなん見せられるこっちの身にもなってみろってんだバカヤロー(笑)。

いや、まぁ前作よりは元気そうでなによりなんだけどさ。。

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アキレスと亀

0809_01 出演:ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、大森南朋

監督・脚本:北野武

(2008年・日本・119分)CS

内容:裕福な家庭に生まれた真知寿は絵を描くのが好きで、画家になる夢を持っていた。しかし、ある時父の会社が倒産し、両親が自殺したことで環境が一変。辛く孤独な少年時代を送ることになる。青年となった真知寿は、働きながら美術を学び、さらに彼の才能を信じて疑わないただ一人の理解者・幸子と出会い、結婚する。しかし、その後も画家としての芽が出ない日々が延々と続いていき・・・。

評価★★★/65点

北野作品では久々のストーリーものだと思うんだけど、真知寿の少年時代、青年時代に関してはなかなか抑えたタッチを見せていたのに、中年時代にたけしが出てきた途端にそれまでのつながりが途切れてしまったような違和感がありありでイマイチ。

だって、柳憂怜がどうやって金髪のたけしになるのかということだけでもつながりなんてあったもんじゃないだろう。

はっきりいってたけしと大杉漣を入れ替えた方が断然良かったと思う。

ただ、それでも「死」が異様なまでに横溢しているこの映画の求心力はハンパなく、その点で北野武はやはりれっきとした映画作家なのだと思い知らされるのもたしかだ。

ところで、ラストの“ついにアキレスは亀に追いついた”という答えの意味するところを考えてみたのだけど。

まず、前方からスタートした亀に後方からスタートしたアキレスは永遠に追いつけない、なぜなら亀のいる地点にアキレスが来たとき亀は少し先まで進んでいて、さらにその位置まで来ても亀はさらにその少し先まで進んでいるからだ、というパラドックス自体をコーラ缶を蹴り飛ばすように一蹴していると考えてみる。

すると、そもそもアキレスの目標設定が常に亀のいる地点に置かれていること自体がおかしいとするならば、真知寿のそれは先人のオンリーワンに対する模倣に模倣を重ねるスタイルからの脱却、つまりは自分の自分にしかできない道というのをようやく見つけたということではなかろうか。

それは、妻とともに生きる道であり、通俗的な画商の言葉から決別し、売れようが売れまいが自分のやりたいようにやる道。つまり、たとえ画家になる夢を追うのを諦めたとしても妻とともに自称ゲージツ家を続ける道だ。

死をモチーフにしてまでも結局創造と独創の果実を勝ち得ることができなかった自分の才能の限界を認識した上で、一度は見放しながら再び迎えに来てくれた妻とともに新たなスタート地点に立ったのだ。

真知寿の作品(といっても道に転がっていたさび付いたコーラの缶)を初めて「それください」と言ってくれた(初めての買い手になった)のは妻であり、少年時代、真知寿を親戚の家に預けたまま必ず迎えに来るという約束を反故にして自殺してしまった母とは対照的に、「一緒に帰ろう」と迎えに来てくれたのも妻であり、、、たった一人の真の良き理解者の存在を再認識した真知寿はその時点ではじめてゲージツという名の呪縛から解き放たれたのだ。

親以外に真の良き理解者を得るなんて、そんな可能性みじんもない自分からしたら、なんて羨ましいんだって思うよ(笑)。

真知寿はゲージツには負けても人生には勝ったといえるのかもね。

しかし、このお話を監督本人に重ね合わせるとするならば、「Takeshi’s」「監督ばんざい」と今回の3作の迷走を経て、自分のやりたいようにやると脱皮した監督が次作どんな吹っ切れた作品を送り出すのか。。

振り子のふり切れた死の想念を焼きつけられるのかと思うと恐くて仕方がない・・・。

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龍三と七人の子分たち

7187fde2a6098d813bdc8c3cc31c94a7出演:藤竜也、近藤正臣、中尾彬、品川徹、小野寺昭、安田顕、矢島健一、下條アトム、勝村政信、萬田久子、ビートたけし

監督・脚本:北野武

(2014年・日本・111分)WOWOW

内容:かつて“鬼の龍三”と恐れられた70歳の元ヤクザも、引退した今では息子家族のもとで肩身の狭い毎日を送っていた。そんなある日、オレオレ詐欺に引っかかった龍三は、その裏に暴走族あがりのチンピラが幅を利かせる“京浜連合”の存在を知る。若いもんに勝手な真似はさせられねぇ!と立ち上がった龍三は、昔の任侠仲間を呼び集めて“一龍会”を結成し、京浜連合成敗に立ち上がるが・・・。

評価★★★/65点

緊張と緩和の振り子がカタルシスを生み出す北野映画独特の作劇から緊張だけを取っ払ったようなかんじで、良くいえばマイルド、悪くいえば締まりがなくてやや味気ない。

これはつまり、映画風の北野武とテレビ風のビートたけしの振り子から後者の方にベクトルを置いて見せたということだろう。

しかし、カミソリのような狂気性が鳴りを潜めすっかり丸くなり、モンスター老人を批評するような真っ当なご意見番になってしまったビートたけしははっきり言って古臭くなっているのはたしかで、あくまで映画を見ていたい自分にとっては北野武の絵がない寂しさがツライところ。。

まぁ、演出の手際の良さは毎度のことながら冴え渡っているだけに、題材の真新しさがないぶんコントのお約束の寄せ集めにしか見えないのは何かもったいない気がした。

藤竜也をはじめとするご老体どもはいい味出してたし、音楽も良かったんだけどねぇ。。

2016年8月21日 (日)

夢のシネマパラダイス309番シアター:真夏の納涼ホラー大会!!

REC/レック

20150919035250出演:マヌエラ・ベラスコ、フェラン・テラッサ、ホルヘ・ヤマン・セラーノ、カルロス・ラサルテ

監督・脚本:ジャウマ・パラゲロ、パコ・プラサ

(2007年・スペイン・77分)WOWOW

内容:スペイン・バルセロナのローカルテレビ局レポーターのアンヘラは、スペイン版「プロフェッショナル仕事の流儀」のようなドキュメンタリー番組の収録のため、カメラマンのマルコスとともに消防署を訪ねていた。しかし、消防士の同行取材中に「老婆が叫んでいる」という通報があり、通報元のアパートへ向かうが・・・。

評価★★★/65点

手持ちカメラのPOV視点は、その場の臨場感や現実感を体感させる手段として有効的ではあるんだけど、同時に物語を紡ぎ出せないという欠点もある。

その点、今作は密室空間にシチュエーションを限定することで前者の利点を活かすことに成功しているとは思う。

しかし、結局これって富士急ハイランドの戦慄迷宮を別室でモニタリングしてるのと変わらないような絶対的安心感が一方ではあって、はっきりいってTVゲームのバイオハザードをプレイしてるよりも怖くなかった(笑)。

それに加えて、カメラマンの視野しか基本ない中で画角の狭さというのが逆に単調な怖さしか生み出せなくて見ていてだんだん飽きてきてしまった。

最後の暗視スコープ映像は別な恐怖感があってよかったけど、正味80分がまさに我慢の限界だったね

ああ゛ー、手ブレのめまいが止まらない~~

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仄暗い水の底から(2001年・東宝・101分)MOVIX仙台

 監督:中田秀夫

 出演:黒木瞳、小日向文世、小木茂光、徳井優

 内容:5歳の娘・郁子の親権をめぐって別れた夫と争っている松原淑美は、新しい職場にほど近いマンションへ引っ越してきた。はじめは快適そうに見えたマンション暮らしだが、大きくなる天井のシミや、上階の子供の足音など、淑美の気にさわることが次第に増えていく・・・。

評価★★★☆/70点

力強く瞬く魂の底から湧き上がってくる黒木瞳の演技に思わず引きずり込まれてしまう佳作。

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the EYE〔アイ〕(2002年・香港/タイ・99分)WOWOW

 監督・脚本:オキサイド・パン、ダニー・パン

 出演:アンジェリカ・リー、ローレンス・チョウ、チャッチー・ルチナーレン

 内容:幼少期に失明し、20歳になって角膜移植手術を受けたマンは、視力が回復するが、死者の姿や奇妙な夢が見えるようになる。その恐怖を運命として受け入れる決意をした矢先、あまりに衝撃的な事実に直面する・・・。

評価★★★/60点

通信簿ごときでメソメソすんなってあのガキに説教してやりたいけど、怖がり屋の自分が言えるわけございません。

しかしまぁ、シックス・センスを見てたはずがいきなりインディペンデンス・デイになって、と思ったらこんな哀しいラブストーリーはいかがですか、とサジを投げかけられた自分はなんだか消化不良。

冒頭にこの映画は海賊版ではないだとか、目をそらすなだとかいう字幕が出てきたけど、作り手はどれくらい本気なのだろう。半分くらいジョーク入ってるんだよね、ちゃうのw?

もし100%マジだったのであればこの映画の作り手と自分との間にあるデッカイ壁は永遠に取り払えないだろう。。

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ボイス

Voice 出演:ハ・ジウォン、キム・ユミ、チェ・ウジェ、チェ・ジヨン

監督・脚本:アン・ビョンギ

(2002年・韓国・102分)WOWOW

評価★★/40点

内容:脅迫に悩まされ、携帯電話の番号を変えた女性記者ジウォン。ある日、誰も番号を知らないはずのその電話が鳴り、親友の娘ヨンジュが電話をとった。すると、ヨンジュは奇怪な叫び声をあげ、その時から人が変わったように異常な行動をとるようになっていく。果たしてその番号に隠された事実とは・・・?

“怨霊よりもお化けよりも祟りよりなにより、女同士の罵り合いといがみ合いと嫉妬の方が100倍恐いということをこの映画は死に物狂いで伝えたいらしい。”

とにかく映画の作り手に理路整然という言葉を死に物狂いで教えてあげたい気分。

にしても主人公は松たか子に似てたし、そしてなんといってもヨンジュ。

森山直太郎ちゃうの?

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感染(2004年・東宝・98分)WOWOW

 監督・脚本:落合正幸

 出演:佐藤浩市、高嶋政伸、星野真里、真木よう子、木村多江

 内容:経営危機に陥ったとある病院では、建物の老朽化も進み、医薬品も足りない劣悪な環境に院内感染すら引き起こしかねない惨状になっており、医者や看護士も大半が辞めていった。そして、残された従業員の心身も限界に達している中で起きた医療ミス。さらに、内臓が溶け始めた急患が運び込まれてきて・・・。

評価★★★/55点

ジョジョの奇妙な冒険の独特な擬音が頭中を駆け巡ってどうにも正常ではいられなくなった・・・。

ウジュルウジュルウジュルウジュル、、、ギランギロン、ベッローン、ミロン、メッにょ~~ん、、、ドゴゴゴゴゴゴゴドギャーーッ!ニニャァー、ヒク、、ヒク、、ヒク、、ビクッ、メシャッグッガボボボドローン、、ガボボン、、、ムルルオオオーーん

ズルリンドギョッボキョッグニャリ、、バッギョーーン、ドヒンドヒュドヒュンドピュ、、、ドッバー、ショアァアーッ、、、ウェルオオオオーーンズルリン、、、ズギュウウウウンッガオンズリュン!

た、助けて、、、ドバァーーーッ!

、、見事に感染いたしました。。

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予言(2004年・東宝・95分)WOWOW

 監督:鶴田法男

 出演:三上博史、酒井法子、堀北真希、小野真弓、山本圭

 内容:妻と娘とともに車で帰省中の里見英樹。急ぎの仕事のため、途中で車を止めて電話ボックスに立ち寄った里見は、そこで古びた新聞記事の切れ端を見つける。そこには娘の死亡記事が載っていた。と、大型トラックが車に突っ込んできて・・・。

評価★★★/55点

無間地獄ってこういう所なんだろうなというイメージだけは強く頭に焼き付けられた。

「感染」と「予言」をオムニバス形式で一本にして、45分+45分の90分でやってくれたら★1つプラスしたのに。

、、ていうかTVドラマでええやんっていう話・・・。

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