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2019年9月 1日 (日)

夢のシネマパラダイス164番シアター:パニック・ルーム

ルーム

O0480091513629160745 出演:ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョーン・アレン、ショーン・ブリジャース、ウィリアム・H・メイシー

監督・レニー・アブラハムソン

(2015年・アイルランド/カナダ・118分)WOWOW

内容:5歳の誕生日を迎えたジャックは、天窓から空しか見えない狭い部屋に母親ジョイと2人で暮らしていた。外には何もないと教えられ、部屋の中が世界の全てだと信じていたジャック。しかしその日、ジョイから自分たちはある男に拉致監禁された身であることを告げられる。そして脱出するために、ジョイは綿密な計画を立てて行動を開始するのだが・・・。

 

評価★★★★/80点

アカデミー主演女優賞目当てで見たけど、本当の見所は子役にあった!というオチ。

高校生の時に拉致監禁レイプされ、犯人との間に子供までもうけてしまい、7年経過したというあまりにも衝撃的な題材ながら、生まれた時からルームの中の世界しか知らない子供の無垢な空想視点を主軸に据えたことでルーム脱出前の嫌悪感すれすれのシリアスな要素を中和しているのがこの映画のキモ。

さらに、映画のメインとなるルームからの解放後も、好奇の目から気を病んでいく母親に対し、あっという間に新たな環境に適応していく子供のまっさらな感性が優しく包み込み母親をつなぎ止める。

子供の力がこの映画の何よりの生命線だったのだとすれば、子役の演技は文句なしの120点満点!

どのようにこんな難しい役柄を子供ながらに咀嚼して演技に持ち込んだのか考えただけで凄いなぁと感心しちゃうけど、お願いだからマコーレー・カルキンとかブラッド・レンフロのような悲劇的な道は歩まないでねw

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パニック・ルーム

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出演:ジョディ・フォスター、フォレスト・ウィテカー、ドワイト・ヨーカム、ジャレッド・レト

監督:デビッド・フィンチャー

(2002年・アメリカ・112分)MOVIX仙台

評価★★★/65点

 

内容:マンハッタンの高級住宅地。離婚したメグは11歳の娘サラを連れて、4階建てのエレベーター付き、かつ頑丈な“パニック・ルーム”付きの一軒家に引っ越した。しかし、その夜、何者かが家に侵入し・・・。

“自分だったら失禁しちゃうけどね・・・”

母娘たった2人で4階建てに住んじゃう神経も一般庶民の自分にとっては尋常ではないけど、それはともかくとしてあのメンツが実際ウチに入り込んできたら失禁しちゃうと思うマジでww冗談じゃなく、ウン。。

なのに、なにを呑気にトイレでオシッコしてるんだよジョディおばさんったら。眠いのは分かるし、水洗の音が犯人たちをビクリとさせたのも分かるけどさ。

なんだかユルいんだよね全体的に。

感覚的なものもあるけど、具体的にはパニック・ルームに備え付けられているモニターがご親切にもやけに多いことと、鍵穴まで通り抜けてしまうまるでネズミのようにチョロチョロと動き回るように見せかけて実は計算されつくした精密機械じかけのカメラワークが悪い意味で一役買っちゃってるかなと。

サスペンス・スリラーなはずなのに、安心・安全・安定の3大保険に加入しちゃってるんだよね・・。

一生懸命外で大雨降らせて不安感煽っても、この3大保険の効力の前にはなすすべなく、緊迫緊張などどこ吹く風。

緊張感がないから、パニック・ルームの鉄扉に手をはさんじゃうんだよ覆面レスラー、、ちゃう覆面ドロボーさんよ(笑)。

フォレスト・ウィテカー演じる犯人が、オレがこの頑丈な部屋を造ったんだと何度も豪語してらしたが、オレがこの一見何の穴もない流麗かつ完璧な映画を作ったんだと雄弁に語るデビッド・フィンチャーの神の手が垣間見えて余計に“つくりもの”世界という感が否めなくて、母娘の命をかけた攻防戦にイチイチ入り込むことができず、フツーにボーッと見てしまった。TV向きだねこれは。。

2017年1月 3日 (火)

夢のシネマパラダイス127番シアター:自分の子供たちを戦争に行かせたくありません。

硫黄島からの手紙

324563view001出演:渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童、裕木奈江

監督:クリント・イーストウッド

(2006年・アメリカ・141分)2006/12/25・盛岡フォーラム

評価★★★★★/95点

内容:戦況が悪化の一途をたどる1944年6月。アメリカ留学の経験をもち、米軍との戦いの厳しさを誰よりも覚悟していた陸軍中将栗林が硫黄島に降り立った。着任早々、栗林は本土防衛の最期の砦である硫黄島を死守すべく、島中にトンネルを張り巡らせ、地下要塞を築き上げる。そんな栗林の登場に硫黄島での日々に絶望していた西郷ら兵士たちは希望を見出す。しかし、古参の将校たちの間では反発が高まり、、、。米軍は当初圧倒的な戦力の違いから5日で陥落できると踏んでいたが、予想以上の日本軍の抵抗により36日間に及んだ激戦となった硫黄島の戦いをイーストウッド監督、スピルバーグ製作により日米双方の視点から見つめた硫黄島2部作の第2作目。

“2006年から61年前の硫黄島にタイムスリップした現代人・二宮和也が間近で体験した硫黄島の激戦!世界ウルルン滞在記。”

といっても過言ではないつくりにはなっていると思う。

だって、あの言葉遣いは実際どうなの

なんかふと2005年の年末にテレ朝でやった山田太一ドラマスペシャル「終りに見た街」を思い出してしまった。

システムエンジニアをしている中井貴一扮する主人公とその家族が、朝家でフツーに起きたら昭和19年の東京になっちゃってたというとんでもない話。

主人公の友人(柳沢慎吾)も息子とともに昭和19年の東京にタイムスリップしてしまうのだけど、その息子(窪塚俊介)がなんか今回の映画の西郷(二宮和也)と似てたような気がしたもんで。。

冷めた視線とかやる気のない感じとか。だってあんなヤル気のない「天皇陛下万歳!」を映画で見たのは初めて(笑)。

それはともかくあのTVドラマはあの時代にタイムスリップしたことによるジェネレーションギャップをことさら強調して描くことで戦争の恐ろしさを過去の絵空事としてではなく、より現実感をもって伝えられていたように思うが、一方今回の「硫黄島からの手紙」は内地・東京のお話ではない。最前線の戦場に置かれた兵士たちの話なのだ。

ここにあのTVドラマとの大きな違いが生じる。

そう、、少なくとも自分は最前線の戦場に置かれた兵士たちどころか、あの戦争でお国のために戦ったいわゆる旧帝国軍人の話や体験談などことごとく聞いたことがないのである。

たぶん自分みたいに戦後何十年も経って生まれてきた人たちはみんなそうだと思う。

空襲や原爆、特攻、沖縄のひめゆり部隊などは耳にタコができるくらい聞かされてきたし、脳裏に焼きつくくらい映像で見せられてきたが、なぜか外地で戦っていた兵隊さんたちの話は、まるでタブーであるかのごとくほとんど聞かされたことがないし、そういう映画すらほとんど見たことがない。

なのに判で押したようなステレオタイプとして旧帝国軍人は人道にもとる極悪非道な絶対悪として言われ、教えられ、描かれてきた感は拭えない。

個人的には、人殺しを生業とする軍隊に良い軍隊などあるわけがないと思っているので、それが善か悪かと問われれば問答無用で悪と答えるだろう。

しかし、その悪の中に自ら進んで飛び込んでいった者であれ、強制的に放り込まれた者であれ、彼ら軍人一人一人を単純にいっしょくたに悪一色で片付けてしまう思考の処理の仕方は絶対におかしいと思うのだ。それは日本軍であれ米軍であれ。

問題は、善良な人間がその悪の中に入っていかざるをえなかった時に、その人間が内に持っていた理想や信じていた大義が、戦争の圧倒的に無慈悲な現実の前で打ちのめされ殺がれていく中で、次第に彼の中にある善なるもの悪なるもののせめぎ合いさえもなくなっていく、すなわち人間性が消失していくという愚かで醜くて空しい狂気の過程こそが重要であって、誰が善で誰が悪か、どっちが善でどっちが悪かという結果ありきの線引きは意味を成さないと思うのだ。

もちろんそのせめぎ合いの中で人間性を完全に消失してしまい、狂気の戦闘マシーンへとなりはてる者もいれば、かろうじて人間性を失わない者もいるだろう。

そしてその悲劇の過程を通した上で戦争という悪、軍隊という悪、死ぬことを強要する狂気という絶対悪へと駆り出していった国家の罪というものをあぶり出していくというのが至極まっとうな戦争映画だと自分は思う。

例えば今回の映画の製作にも名を連ねるスピルバーグが監督した「プライベート・ライアン」では、トム・ハンクス演じたミラー大尉がアメリカ本国にいた時に何の職業に就いていたかを部下たちが予想して賭けをするというシークエンスがあったが、国語の教師をしていたことが明らかになることで、生きることを子供たちに教えるはずの教師が暴力と殺戮の世界である戦争に駆り出されるという異常性と悲劇を如実に暴き出していたと思う。

しかし、今までの日本映画なりTVドラマなりで描かれてきた軍人像というのはそういう過程を骨抜きにして、最初っからこの人は善良で正直者で可哀想な人ですよ、こっちの人は悪の塊で善良な人や敵国の一般住民をとにかく虐げ、殺しまくる人間性の欠片もない人ですよというふうに完全に色分けして描かれてきた面が相当あると思う。

前々から戦場を描いた日本の戦争映画って、なんで狂気を描けなくてこんなうわべだけの薄っぺらい“青春映画”(戦争映画ではなく・・・)になっちゃうんだろう、と思うことがしばしばだったのだけど、そういう思考回路で作っちゃうからそうなっちゃうわけで、この思考がいかに幼稚で薄っぺらなものかということは今回の映画を見るまでもなく分かろうものだ。

、、、がしかし、ここが1番大きな問題だと思うのだが、今まで日本人はそれを建て前上良しとしてきた面があった(と自分は感じる)のではないだろうか。

心のどこかであの戦争の被害者を演じることで、加害者としての側面や戦争の闇、狂気の部分というものから逃避し思考をストップさせてしまうある種の逃避装置として働いてきたのではないだろうか、ステレオタイプな描き分けというあまりにも単純で通り一辺倒の手法を通してあの戦争の総括から逃げ続けてきたのではないだろうか、、、そして日本の戦争映画というのはいつしか被害や加害、善か悪かを超えた理不尽な悲劇としてではなく、あくまで被害者として狂気ではなくいかに可哀想に描くか、ということになっていき、戦場を描いた映画というのが数えるほどもないという体たらくに陥ってしまったし、日本人もそれを良しとした・・・。

そういうことが今回のクリント・イーストウッド監督作のアメリカ映画を通して一気に骨抜きにされた気がしてならない。

日本人の多くが教えられてきたであろうあの戦争は間違った悪い侵略戦争だったという認識を暗黙の了解のもと旧日本軍=旧帝国軍人がやったことは全て悪という図式(逃避装置)でいっしょくたにして極力触れないようにしてきた一方、それじゃああの戦争を外地でお国のために懸命に戦った500万人(うち200万人余が戦死)もの日本人を断罪できるのか、といったらほとんどの日本人は断罪ではなく、哀悼の方を選ぶだろう(当たり前だ)。

しかも、うち300万人余は外地から無事復員してきて、生きて無事に帰ってこれて本当に良かったねぇと家族に迎えられ(かくいう自分の祖父もノモンハン事件からシベリア抑留などの死線を経て無事生きて帰ってきた)、その後良い父親なり良い息子、そして普通の良き日本人として戦後日本社会の礎として懸命に生きてきたはずなのだ。

そういう建て前と本音のひずみの中に埋没することを避け、上っ面の中を浮遊してきた日本人、、、“天皇”や“靖国”の問題、突きつめていけば国家の戦争責任としての罪の問題にケリをつけられない、あるいはケリをつけようとしないできた日本人には「硫黄島からの手紙」のような映画は作れないし作りようがないのかもしれない。これから先も・・・。

そういうことを考えても、60年前にアメリカに戦争で負け、60年後映画でもアメリカに負けた、、、と言わざるをえないほどの衝撃を少なくとも自分は受けた。

日本人の自分でさえ、玉砕や潔い自決が美徳とされたあの時代の兵隊さんたちの内面を知ることや理解することが到底難しい中で、冷めた視線をもち、絶対に生きて帰るんだという意志をもつ現代っ子的なキャラである西郷(二宮和也)を中間点に置いて第三者的立場で語らせたのは上手いし、各々の人物の深みのある人間像の描き方には唸るしかない。

誇りある帝国軍人としての教育と鬼畜米英の精神的な貧弱さを徹底的に叩き込まれてきたであろうエリート憲兵隊員清水(加瀬亮)が現実と真実を目前で見せられることによって、理想と信念が揺らいでいき生への執着を見せ始める様、そして極めつけは今まで典型的ステレオタイプの憎まれ役で描かれてきたであろう厳格な帝国軍人伊藤中尉(中村獅童)のあまりにも皮肉の効いた顛末など、どれをとっても本当に考えさせられてしまう描写の連続だったと思う。

「天皇陛下万歳!」と叫ぶ姿、泣き叫びながら手榴弾を腹に抱いて自決する酷い姿、ものすごい砲弾の雨あられの中で排泄物の入ったバケツを四苦八苦しながら拾い上げる姿、、、本音と建て前のひずみの中に埋没していき、もがき苦しむ日本兵の姿に、人間の、そして日本人の深い所をえぐられたような、そんな重い衝撃を受けた。

先日開業したばかりの最新設備が調っているシネコンで見たのだが、閉所恐怖症の自分は地下洞窟の中に響き渡る砲弾の轟音を聞いて足がガクガク震えそうになったくらいだ・・・。

そして、序盤で米軍が硫黄島を爆撃してくるシーンで空から爆弾がズドーンという腹に響くもの凄い爆音とともに砂塵を巻き上げて降り注いでくるところなんかは、ああ、これが爆弾が空から落ちてくるってことなんだ、、、と生まれて初めて実感したというか体感した気がする。

もちろん、この映画が硫黄島の戦いの悲劇を全て描き出していたとは思わない。

8月にNHKスペシャルで「硫黄島玉砕戦/生還者61年目の証言」を見たが、それによると米軍が硫黄島を制圧した後も何千という日本兵が地下にこもっていたそうだ。

そして“生きて虜囚の辱めを受けず”と徹底的に教育され投降が許されなかった彼らを新たに襲ったのが飢餓だったというのも悲しい・・・。

炭を食べたとか、遺族の方には決して話せないような仲間内での陰惨な悲劇など、それを証言者の一人は「畜生の世界」と言っていたのがあまりにも印象的だった。

いまだ1万数千もの日本兵の遺骨が未収集のまま眠っている硫黄島。

それを知っている日本人ははたしてどのくらいいるのだろうか。

自分も初めて知ったくちなのだが、渡辺謙がインタビューで言っていたように日本人は過去の戦争についてあまりにも知らなさすぎる。

それを戦後60年経った今考えさせてくれた今回の映画には感謝してもしきれないくらいだ。

中国映画の「鬼が来た!」(ちなみに本国中国では上映禁止処分)、そして今回のアメリカ映画「硫黄島からの手紙」で中国人、アメリカ人が提示した一言では括りきれない日本人像に自分は衝撃を受けた。

日本人自身の手で撮った真の戦争映画が世に出る日がいつかやって来るのだろうか・・・。

Posted at 2006/12/29

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野火

689ecc7e483d1c57f823484a793b2c00出演:塚本晋也、森優作、神高貴宏、入江庸仁、山本浩司、中村優子、中村達也、リリー・フランキー

監督・脚本:塚本晋也

(2014年・日本・87分)盛岡フォーラム

内容:日本軍の敗北が濃厚となった太平洋戦争末期のフィリピン・レイテ島。結核を患った田村一等兵は野戦病院行きを命じられ、部隊から追い出される。しかし野戦病院でも食糧不足を理由に追い返され、行き場を失った彼は、酷暑のジャングルを彷徨いつづける・・・。

評価★★★★/80点

今までの戦争映画は、反戦悲劇のイデオロギーを基調としながらも、いわゆる英雄譚めいたミッションもの(作戦遂行もの)のフォーマットをとって、そこにキャラクターやストーリーをかぶせてくることが多かったと思う。

しかし、指揮系統が失われ、飢えて痩せこけた兵士達の撤退作戦と呼べるものですらないジャングルの彷徨にはイデオロギーなど存在するわけもなく、ただただ餓鬼・畜生と化した人間の姿だけが浮き彫りになる。

戦争には物語などない。ある意味それが戦争の真実なのだろう。

また、そのリアリズムを強化するのが目を覆いたくなるほどの人体破壊描写なんだけど、肉体が金属化していく男の不条理をグロテスクに紡いだ「鉄男」から一貫して肉体の内部・深部にフォーカスを絞ってきた監督だけに、今回の映画は監督ならではの破壊衝動と肉体論を結実させたというなるべくしてなった流れだったのだと思う。

でも、人間の身体がいともたやすくグチャグチャになり、そこにウジ虫が湧くような光景こそが戦争の真実なのだろう。

さらにその中で世界から色が消えていくのが戦争だと思うけど、吸い込まれそうな空の青、生命力あふれる密林の緑、そして誘惑してくるような花の妖しげな赤と、大自然のどぎついまでの美しさが際立つ色もまた印象的だった。

しかし、自分は子供の頃、「はだしのゲン」や「黒い雨」「ビルマの竪琴」などを親に見せられて戦争に対するトラウマを植え付けられたくちなんだけどw、この映画はそのレベルを超えていて子供に見せるのは躊躇しちゃいそう

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野火(1959年・大映・105分)NHK-BS

 監督:市川崑

 出演:船越英二、ミッキー・カーティス、滝沢修、浜口喜博、石黒達也、稲葉義男

 内容:太平洋戦争末期、フィリピン戦線レイテ島で日本軍は山中に追い込まれ飢餓状況にあった。病気で原隊を追い出され、野戦病院にも入れてもらえない田村一等兵は、敗走する戦友2人と合流するが、飢餓に苦しむ彼らは“猿”と称して兵士の死肉を食べていた。田村は彼らと決別し、さらなる彷徨を続けるが・・・。

評価★★★/65点

2015年の塚本晋也監督版を先に見てからの鑑賞。大岡昇平の原作を読んだことがないので分からないけど、塚本版がかなり忠実にこの市川版を踏襲していることが分かってちょっと驚いた。

ただ、市川版の方がモノローグやセリフで状況を論理的に説明していて分かりやすいんだけど、視線を一向に合わせない上官など物語性を排除し、人間が人間でなくなる非論理の世界をまるで白昼夢のように肌感覚に迫るまで描き切った塚本版の方が上か。

あとはやっぱり市川版のモノクロに対し、塚本版のカラーが活写するどぎつい天然色の威力は凄まじく、映画の世界観をより増幅させていたと思う。

と、なぜか塚本版にばかり目がいってしまったけど、感傷に訴えてくる市川版の手法も決して悪くはない。

今度は原作の方をしっかり読んでみたいと思う。

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太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-

Img_0出演:竹野内豊、ショーン・マッゴーワン、井上真央、山田孝之、中嶋朋子、岡田義徳、トリート・ウィリアムズ、ダニエル・ボールドウィン、阿部サダヲ、唐沢寿明

監督:平山秀幸

(2011年・東宝・128分)WOWOW

内容:1944年、日本軍の重要拠点であるサイパン島。劣勢に立たされていた守備隊は、圧倒的な兵力差を誇るアメリカ軍に上陸を許し、陥落寸前まで追い込まれていた。そしてついに軍幹部は玉砕命令を発令。そんな中、陸軍歩兵第18連隊の大場栄大尉は生きることに執着し、無駄死にすることなくアメリカ軍への抵抗を続けることを決意する。そんな彼の人望を慕って、上官を失った兵士や民間人たちが集まってきて、やがて彼らはサイパン島の最高峰タッポーチョ山に潜み、ゲリラ戦を展開していく・・・。

評価★★★/60点

サイパン島の激戦終結後も多数の民間人と共にジャングルにこもり1年半もの間アメリカ軍に抵抗しつづけた大場大尉の実話を日本軍、アメリカ軍双方に加えて民間人も含めた視点から描いた丁寧な筆致は好感が持てるのだけど、作品としてはあまりパッとしない印象。

要は、アメリカ軍視点はいらなかったと思う。

この映画の軸となるべきは、一人でも多くの敵を殺し、生きて虜囚の辱めを受けず徹底抗戦すべし!という、軍人勅諭や戦陣訓によって叩き込まれた軍人としての使命感と、一人でも多くの日本人を生かし日本の地を踏ませたいという人としての思いの狭間の葛藤を縦軸に、軍人と民間人がジャングル奥地で共生するという異常な状況下での苛酷さを横軸にして描かれるべきものだからだ。

しかし、それが米軍視点の勝手な賛美が介入してくることにより、何かうわべだけの美化描写になってしまった感が否めない。

例えば横軸として挙げた軍民一体化は、沖縄戦最大の悲劇といってもよく、その先駆として行われたサイパン戦でも追いつめられた民間人はバンザイクリフから次々に飛び降りていったわけで、“奇跡”などという綺麗事では片づけられないそういう戦争のおぞましさや悲惨さを描かなければサイパン戦を題材にした意味がなかろう。そこがこの映画は甘いし浅いと思う。

せっかくの井上真央や中嶋朋子の良い演技があるのに、その存在価値が軽くなっちゃってて、なんかもったいなぁと。

まぁ、唐沢寿明演じる堀内一等兵の人物造形なんかは完全に浮いてたけど、岡本喜八の独立愚連隊に出てきそうなキャラで個人的には好きだったw

って本当にいたんだ!こんな入れ墨兵士

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聯合艦隊司令長官山本五十六-太平洋戦争70年目の真実-(2011年・東映・141分)WOWOW

 監督:成島出

 出演:役所広司、玉木宏、柄本明、柳葉敏郎、阿部寛、吉田栄作、椎名桔平、坂東三津五郎、原田美枝子、田中麗奈、伊武雅刀、宮本信子、香川照之

 内容:日本が恐慌にあえいでいた1939年。国内では好戦ムードが盛り上がり、陸軍が日独伊三国同盟の締結を強硬に主張していた。しかし、海軍次官の山本五十六は慎重論を唱える。ドイツと結べばアメリカとの戦争は必然であり、両国の国力の差を見知っていた山本にとっては絶対に避けなければならない戦いだった。そんな中、山本は聯合艦隊司令長官に就任するが、その翌年に三国同盟が締結され、対米戦が日に日に現実味を帯びてくる・・・。

評価★★★/65点

太平洋戦争を題材にしたこのての映画を見ると、国力が日本の10倍のアメリカに勝てないことは明白でありながら、あの悲惨な戦争をおっ始めた挙句、日本を焼け野原にするまで延々と長引かせた責任者は誰なのかという視点を拭い去れないのだけど、この映画を見るかぎりその責任は内地で談合を繰り返す軍人官僚や日独伊三国軍事同盟を強行した陸軍上層部にあったということらしい。

また、真珠湾攻撃やミッドウェー海戦での不手際も南雲中将など取り巻きにその責任はあり、山本五十六はつとめて冷静かつ良心的な名将として描かれている。

要は、彼の言うとおりにしていればあんな事にはならなかったのに、という描き方だ。

そこに若干の違和感を感じずにはいられないのだけど、役所広司の堂々とした存在感と物腰柔らかな包容力にほだされて、結局受け入れてしまう(笑)。

いや、それじゃダメなんだけど、こういうエリート軍人を伝記ものに括るような映画はどうしても美化のフィルターがかかってしまうのだということを承知して見ないとダメなんだろうね。

ただこの映画、評価できるところも少なからずある。

それは戦争を遂行したのは軍部であることは明白なのだけど、軍部だけが突出して暴走していたのではなく、マスコミ・メディアが戦争をあおり、国民自身が好戦的ムードに包まれそれを後押ししていたという点を描いたところだ。

もちろんその背景には不景気や政治不信といった社会の閉塞感、また軍国教育や大本営発表といった情報操作があったのだろうけど、その図式はなにも当時にかぎったことではなく今の世の中にも通じるものだろう。

だからこそ「自分の目と耳と心を開いて広く世界を見なさい」という山本五十六の言葉をしっかり噛みしめなければならないのだと思う。あの戦争を絶対繰り返さないためにも・・・。

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陸軍(1944年・松竹・87分)WOWOW

 監督:木下恵介

 出演:田中絹代、笠智衆、上原謙、東野英治郎、杉村春子

 内容:九州小倉で質屋を営む高木家は、奇兵隊の山県有朋の知己を得たことをきっかけに、お国への滅私奉公を家訓としてきた。明治37年、智彦は使用人のわかと結婚。やがて日露戦争が勃発するが、智彦は病弱のため前線で働けず、銃後でしか国に尽くせなかった。それから時を経た昭和。智彦は果たせなかった思いを太平洋戦争に出征する息子に託す。妻のわかも天子様のために役立てるのだと安堵する中、出征の朝を迎えるが・・・。

評価★★★★/75点

原恵一監督の「はじまりのみち」において丸ごと引用した「陸軍」のラストシーンに痛く心を打たれ、見たいと思っていたらTV放送していたので鑑賞することに。

まず、冒頭の松竹のロゴの登場シーンからえらく古い映画だなと思ってたら昭和19年だって

しかし、軍が主導した戦意高揚映画が「陸軍」の他にも何本も作られていたなんて、不幸で悲しい時代だったんだなと改めて思う。

肝心の映画の方は国策映画とはいえ、当時の風俗や時代の風潮が色濃く感じられて有意義だったし、母親が戦地に向かっていく息子を見送るラスト10分はやはり感動的で胸に迫ってくるものがあった。

それまでは「天子様からの預かりもの」である息子が立派な兵隊になれるように小さい頃から厳しく叱咤しながら育ててきた軍国の母のお手本のような姿が印象的だったけど、いざ息子を送り出す段になると、気丈な建前から一転哀しみの本音が顔を出してくるのは母親として自然なことだろうし、当然なことを当然なこととして描いた勇気に拍手したい。

他にも子供が橋から川に飛び込む度胸試しみたいなところを通りかかった母親が、男なんだから潔く飛び込め!と背中を押したり、今の時代では考えられないシーンもあったりして面白かった。

あと、印象的だったのが水戸光圀編纂の大日本史が一家の家宝として象徴的に映し出されていたことだ。

これは光圀が創始した水戸学というものが、絶対の忠誠の対象は将軍や殿様などではなく天皇なのだとした朱子学的思想の一環として編まれたものであるため、天子様=天皇を尊ぶ教典として重宝されたことがうかがえるものなのだろうと思われる。

いずれにしてもこの映画は時代を越えて残されるべき作品だし、今だからこそ見なければならない映画だと思う。

2016年11月 6日 (日)

夢のシネマパラダイス385番シアター:6歳のボクが、大人になるまで。

6歳のボクが、大人になるまで。

20150410230940出演:パトリシア・アークエット、エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレーター、イーサン・ホーク

監督・脚本:リチャード・リンクレーター

(2014年・アメリカ・165分)盛岡フォーラム

内容:テキサスの小さな田舎町に住む6歳の少年メイソンは、シングルマザーのオリヴィアと姉サマンサとの3人暮らしで、父親は離婚してアラスカへ旅立ったまま。そんな中、母親が博士号を取るためにヒューストンへ引っ越すことに。そこで少年時代を送っていくメイソンは、母の再婚や父との再会、そして初恋と様々な経験を重ねていく・・・。オーディションで選ばれた6歳の少年エラー・コルトレーンを主演に据え、主人公の6歳から18歳までの12年間の成長と家族の物語を、実際に12年間かけて撮影するという斬新な手法で描き出したヒューマンドラマ。

評価★★★☆/70点

数あるメディアの中で映画に最も魅かれるのはなぜなのか。

それは言いかえれば、映画の映画たるゆえんは何なのかということでもある。

映画は視覚芸術だという一言で片付けることもできるけど、おおむね2時間前後しかない強い拘束力を受けている中で、時間軸の省略や要約などスクリーン上で時間を変化させ再創造する、その映画固有の時間表現ーカットとモンタージュの組み合わせーに夢のような能力を感じ取っているからなのかもしれない。

それは飛躍、短縮、シンクロなど時として目も覚めるような形で時間の流れの異様さをあらわにする。

そういう点では今回の映画は、同じキャストで足かけ12年に渡る撮影を経て家族の軌跡を3時間に収めるという今までにない手法で作られているのだけど、12年という淡々とした時間の流れ=人生がすでに立派なドラマになっているのだということを如実に感じられる作品だったと思う。

映画のひとコマひとコマ1ショット1ショットが一瞬間を表し、これらの固定した各コマの映像の一連続から映画全体が成り立っていることを思えば、「時間は途切れない。一瞬というのは常に今ある時間のことだ」というラストのセリフはこの映画の構造を象徴していて印象深い。

瞬間瞬間の積み重ねが人生を形づくっていく、まさに“今を生きる”ことの愛おしさ、尊さが染み渡ってきた。映画を流れるこういう時の流れも悪くはない。

あと、興味深かったのが家庭環境あるいは食卓風景の中にまで大統領選などの政治やイラク戦争、マリファナ、銃などが当たり前のように浸透していることで、アメリカの社会背景が垣間見れて面白かった。

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マイライフ・アズ・ア・ドッグ

084 出演:アントン・グランセリウス、マンフレッド・セルネル、メリンダ・キンナマン

監督:ラッセ・ハルストレム

(1985年・スウェーデン・102分)NHK-BS

評価★★★★/75点

内容:1950年代末のスウェーデン、海辺の町に住む少年イングマルは、たとえつらいことがあっても、ソ連の人工衛星スプートニクに乗せられて死んでしまったライカ犬よりは自分の方がまだマシだといつも思っていた。母親の病気がひどくなって、叔父の家に引き取られることになったイングマルは、ある日、サッカーの練習に行って鮮やかにゴールを決めるガキ大将サガに出会う・・・。人生に目覚め、少しずつ大人になっていくナイーブな少年の成長物語。

“見たいものと見たくないもの”

少年イングマルはベリットの裸は見たかった。しかし母親の怒り叫ぶ姿と怒鳴り声には耳をふさぎ自分のワーワー声でかき消して目をそむけていた。

星空の向こうにある母親との楽しい思い出は見たかったが、病床で母親が苦しむ姿からは目をそむけて見たくなかった。

ライカ犬が自分より不幸だったであろう姿は必死に頭をめぐらせて見たかったが、自分が抱えている悩みや苦しみからは他の不幸に代用することによって目をそむけていた。

しかし、叔父の家で成長した今のイングマルなら、それら見たくないものからも目をそむけることはないだろう。

そいえば、個人的なことになるけど、自分が小1の時に劇場で親に見せられたアニメ映画「はだしのゲン」は自分の想像力を破壊してしまうほどの残酷さにもう見れなくて見れなくて耐え切れなくて、ずっと後ろを振り返って映写機から出てくる透明で青白い光の粒子のカーテンをじっと見つめていたことが今でも思い出される。でもそれから数年後に見た「火垂るの墓」はちゃんと見れたっけ。

ちなみに小1の時に、「はだしのゲン」は見たくなかったけど、テレビで夕方5時からやってたテレビドラマで毎回出てくる大原麗子の入浴シーンは見たかった(笑)。5時までに遊びを切り上げてまで見てたからなぁ・・

20年経った今でも記憶に残ってるくらいなのだから大原麗子にメロメロだったんだろうなオレ。。イングマルがベリットに夢中だったように。

それにしてもベリットの像は何処へ・・・。

今自分が見たいのはあの像だな。見たくないのはもちろん我が愛しのレアル・マドリーの敗れた姿です。

2016年10月16日 (日)

夢のシネマパラダイス364番シアター:犯人は、まだそこにいる。

64-ロクヨン-前編/後編

A0163972_8525372出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、窪田正孝、鶴田真由、芳根京子、瑛太、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、緒形直人、永瀬正敏、三浦友和

監督・脚本:瀬々敬久

(前編2016年・東宝・121分/後編2016年・東宝・119分)WOWOW

内容:昭和64年1月3日に発生した少女誘拐殺人事件。三上刑事(佐藤浩市)らが捜査にあたる中、1月7日に昭和が幕を閉じる。そしてロクヨンと隠語で呼ばれるその事件も未解決のまま時が経った平成14年。刑事部から警務部広報官に異動になった三上は、ある交通事故の報道方針をめぐる記者クラブとの対応で県警との板挟みにあい、神経をすり減らしていく。そんな中、ロクヨンの時効を1年後に控え、警察庁長官が被害者家族の雨宮(永瀬正敏)と面会する話が持ち上がる。三上は14年ぶりに雨宮のもとを訪ねるが・・・。

評価★★★★/80点

原作未読。NHKドラマ視聴済。

「八日目の蝉」といい「紙の月」といいNHKドラマが映画をしのぐハイクオリティだったため、今回もどうなんだろうと思ったら、やっぱりTVドラマの方が見応えがあった。

もちろん尺の違いはあるんだけど、地方の閉塞感の中で蠢く様々な感情や葛藤が澱のように沈み溜まっていく陰うつな質感や、ノイズの気色悪い響きが重苦しさを喚起する劇伴などTVドラマの方が印象的だったし、主人公三上も受け身な中間管理職オジさんの悲哀をよく表していたという点でドラマ版のピエール瀧の方がハマっていたと思う。佐藤浩市はやっぱカッコ良すぎなんだよねw

でもまぁ、映画の方も豪華すぎるオールスターキャストの演技合戦は十分見応えがあったし、前後編に分けてボリューム感を出した気概は買いたい。

ただ、唯一どっちらけだったのが、ヘリウムガスが切れてなんとか地声を隠そうと頑張る吉岡秀隆の声つぶし演技。もうコントでしょあれ・・

あと、ひとつ消化不良だったのが、後編で雨宮(永瀬正敏)が目崎(緒形直人)の次女を車に乗せて家まで送る時に雨宮が号泣するシーンが唐突に出てくるんだけど、常識的に考えて小さい女の子がそんな簡単に知らない男の車に乗るかなぁ(雨宮翔子ちゃんは目崎の車に乗っちゃったわけだけど・・)という疑問があって、もしかして当初雨宮は誘拐しようとしたのか!?とも勘繰りたくなったけど、何の状況描写もなかったので、そこは見終わった後も引っかかった。

あと、TVドラマでは目崎の逮捕を匂わせるところで終わるものの、映画の方は目崎逮捕のために三上がとんでもない行動に打って出て目的を果たすものの警察を追われることを匂わせるところで終わるという違いがあって、随分と突っ走ったものだなぁと驚いたけど、これはこれで悪くない着地点だなとは思った。

結局最後に言いたいこと。今後はNHKドラマより映画の方を先に見ることにします(笑)。

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予告犯

142642565665371468179出演:生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、窪田正孝、小松菜奈、小日向文世、滝藤賢一、荒川良々

監督:中村義洋

(2015年・東宝・119分)WOWOW

内容:ある日、新聞紙製の頭巾をかぶった男が、集団食中毒を起こした食品加工会社に制裁を加えるとする予告動画がネットに投稿され、翌日実際に会社の工場が放火された。その後も、“シンブンシ”と名付けられた男は、世の中の不正義に対してネットで私刑を予告し次々に実行していく。一方、警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香は、男の正体を探ろうと捜査を続けるが・・・。

評価★★★/65点

日本文化礼賛番組が幅を利かせる一方、「腎臓を売ってまで来たかった国がこんなザマでごめん」というセリフを真と受け取らざるを得ない現実、そして自分の境遇を社会のせいにするなんて卑怯だという詰問に対し「あなたには分からない」と言い放つ格差社会の諦念が胸に迫る。

この頑張っても報われない時代が生み出した勝ち組と負け組の断絶はよく描けていたと思うし、予告犯と警察との攻防戦も見ごたえがある。

ただ一方、どこかでこの映画に一抹の違和感を拭えなかったのもたしかで、それはネットの動画配信で法で裁けない悪をさらし者にして成敗するシンブンシの行為に、痛快さよりもイスラム国の残虐動画を連想させる怖さを感じ取ったからだ。

しかもこれを正当化するのに情緒話に落として風呂敷を畳もうとするのも少し気持ち悪くて興ざめしたし、犯人目線で描いているだけに死をもって解決するというのがなおさら後味が悪くてすっきりしなかったなと。

まぁ、共感できそうでできないというか、共感したくない自分がいるというか・・。そういう意味では戸田恵梨香の女刑事の方に6:4で肩入れしたいんだけどねw

現代版「天国と地獄」にはなりえなかったな・・・。

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犯人に告ぐ

Xnqrhdllga 出演:豊川悦司、石橋凌、小澤征悦、笹野高史、片岡礼子、井川遥

監督:瀧本智行

(2007年・日本・117分)WOWOW

評価★★★/65点

内容:6年前、自ら指揮を執っていた誘拐事件でミスを犯し、人質の少年を殺された責任を取らされ左遷された神奈川県警警視・巻島は、川崎市内で起きた連続児童殺人事件の捜査責任者として本部に呼び戻された。そして生放送のニュース番組に出演した巻島は、BADMANと名乗る犯人に直接語り始め、犯人を挑発。ここに劇場型捜査の幕が切って落とされた・・・。

“今夜は震えて眠れ!”

かっちょええーー!!スィ、スィびれますた。。

このセリフ聞いただけでも、これ見た甲斐はあったかんじだけど、映画としてはバカ正直なまでにご丁寧なつくりで、映画的な躍動に乏しい面はあったかな、と。

また、プロローグの6年前の誘拐事件の捜査でナンパ男を犯人と間違えてしまうところで、あんなオバハンをナンパする奴なんているのか?という点・・。

過去に会見で逆ギレした巻島(トヨエツ)が、左遷された足柄署から、テレビ慣れしているという理由で呼び戻されるというのもフツーありえるのか?という点・・。

また、同級生のニュースキャスター杉村(片岡礼子)の胸元を見てとち狂った植草(小澤征悦)の暴走ぶりや、ラスト近くでトヨエツが刺されちゃうのも「踊る大捜査線」をもじったようで間が抜けるし、全体的にもうちょっと精査してもらいたいような出来ではあった。

ただその中で、トヨエツの刑事っぷりは見応えがあったし、あとは笹野高史が要所要所でイイ味出してるんだよねぇ。

そんなこんなでなんとか最後まで見れてしまったけど。まぁ、テレビで見る分にはちょうどいいかなというかんじかな。

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大誘拐 Rainbow Kids(1991年・東宝・120分)NHK-BS

 監督・脚本:岡本喜八

 出演:北林谷栄、緒形拳、風間トオル、西川弘志、樹木希林、嶋田久作

 内容:紀州一の大富豪・柳川とし子刀自がド素人3人組に誘拐された。ところが、刀自は犯人たちから自分の身代金が5千万円と聞くや、自分のプライドが許さないとブチギレ、身代金を100億と勝手に決めてしまう。てんやわんやの犯人たちに毅然とした態度で指図をしていく刀自。一方、和歌山県警本部長の井狩は、捜査に全力を注ぐが・・・。

評価★★★☆/70点

風間&内田&西川の大根役者っぷりが際立つ冒頭15分を見て思わず心が折れそうになったけど(笑)。。

しかし、彼ら誘拐犯のトーシロ同然のお粗末ぶりも、彼らを取り巻く緒形拳や樹木希林、天本英世、竜雷太といったプロの名役者たちで固めた脇役陣との対比が物語上うまくリンクしていて、そういう点では適材の配役だったのかも。

そしてそして忘れてはならない北林谷栄の素晴らしさ。

微笑ましく見ていられる可愛いお婆ちゃんの裏の顔にプロを手玉にとるしたたかさと、ダテに資産家やってるんじゃないのヨ!というプライド、そして子供たちをお国に持っていかれた戦禍を乗り越えてきた経験値を36キロの小さな身体に沸々とわき立たせるその姿はなんとも凛々しく、痛快なオチもあいまって印象的だった。

しかし、、場になじまない音楽だけはダサくて気になったなw。

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模倣犯(2002年・東宝・123分)日劇2

 監督:森田芳光

 出演:中居正広、藤井隆、津田寛治、木村佳乃、山崎努、伊東美咲

 内容:東京の下町で豆腐屋を営む有馬義男。20歳になる孫娘・古川鞠子が失踪してから10ヶ月、事件は何の進展も見せていなかった。が、そんなある日、下町の公園のゴミ箱から女性の右腕とショルダーバッグが発見される。そして、それを報じるワイドショーの生放送中に犯人からの電話が入り、一連の女性誘拐殺人の犯行声明を告げるのだった・・・。

評価★★/40点

山崎努以外オーバーアクションにしか見えない役者陣にはなんら落ち度はない。脚本もつとめた監督にこそ難があるのは一目瞭然。

特に犯人が説明セリフで逐次報告してくれる映画ほどツマラナイものはないわけで、小説と映画は別物とはいうけど、登場人物の心の機微を子細に描いていく宮部原作をここまでシュールに換骨奪胎してしまう森田演出が自分には全く合わなかった・・・。

だって犯人が遺体を埋めるために闇夜に山中で土を掘っているところをわざわざ下から見上げるアングルで撮って、その上空の星空にこれ見よがしに流れ星がいくつも流れていくなんて、もうドン引きするしかないでしょ(笑)。

食べ物が全然美味しそうに見えない食事風景も含め、何かしらの演出意図があったのだろうけど、それを知ったとしてもダメだなこれは。。

映画化するのが10年早かった気がする・・w

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レディ・ジョーカー(2004年・東映・121分)DVD

 監督:平山秀幸

 出演:渡哲也、徳重聡、吉川晃司、國村隼、大杉漣

 内容:新製品発売を1週間後に控えたビール業界最大手の日之出ビール社長・城山恭介が“レディ・ジョーカー”と名乗る5人の犯行グループによって誘拐された。その5人とは、小さな町薬局の老店主、元自衛官のトラック運転手、信用金庫の職員、町工場の若い旋盤工、ノンキャリア刑事。彼らは競馬場で知り合い、それぞれ異なった理由で犯行に至った。しかし、誘拐の2日後、捜査陣が事件解決へ動き出す中、犯人側が突然城山を解放する・・・。

評価★★/40点

NHKの土曜ドラマでじっくり見たいなぁ、、ってかんじ。。

2016年9月29日 (木)

夢のシネマパラダイス68番シアター:“グローリー・トゥー・ザ・フィルムメーカー”北野武vol.1

HANA-BI

Hanabi 出演:ビートたけし、岸本加世子、大杉漣、寺島進、渡辺哲

監督・脚本:北野武

(1997年・日本・118分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:逮捕劇の失態から後輩を死なせ、同僚の堀部を下半身不随に追いやった刑事の西は、その責務を果たそうとしていた。銀行を襲って得た金を堀部らに渡した彼は、死期の近い妻と最後の旅に出るが、警察とヤクザの双方から追われることに。一方、無気力だった堀部は、絵を描くようになって生きる力を取り戻していくが・・・。ヴェネチア国際映画祭作品賞受賞。

“上手いんだけども、美味いとは言えない・・・。”

映画公開当時、ヴェネチアでグランプリを獲ったことでイの一番に劇場に走ったのだけど、えっなんでこれが賞獲るん?と面食らってしまったことを覚えている。

つい先日久方ぶりに見たのだけど、時間軸をズラした編集だとかモンタージュの使い方、省略の妙、またサイレントのパントマイムでも見ているような言葉を交わさない夫婦の道行きの情景など映画のつくりとしては本当に上手いし、ラストの「ありがとう、、、ごめんね、、、」という、映画の中で妻が発した唯一の言葉と打ち寄せる波の音にジィ~んときてしまうのも確かで、賞を獲る獲らんは別にして映画としてはかなり良く出来てるということだけは再認識できた。

しかしだ。

そういう映画的な上手さはあるんだけど、それが自分の中で美味さとして伝わってこないのが玉にキズで、やはり自分にとっては何かもうひとつ味が決定的に足りないのだ。

なんというか「花-美」じゃなくて「HANA-BI」になっているように、日本じゃなくて外国にある日本料理屋ってかんじで、あっちの人には受けるような味になっているというか・・・。

ギリギリの間が作り出す乾いた暴力と死への焦燥、、、「死」というものに対するあまりにも冷めた視線がどうも肌に合わないというのもあるし。なんかね

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Dolls ドールズ

R031031 出演:菅野美穂、西島秀俊、三橋達也、松原智恵子、深田恭子、武重勉

監督・脚本:北野武

(2002年・松竹・113分)シネマヴェーラ渋谷

評価★★★★/80点

内容:近松門左衛門の「冥途の飛脚」の出番を終えた忠兵衛と梅川の人形が何かを囁きながら静かに遠くを眺めている・・・。結婚の約束を交わしていながら、社長令嬢との縁談が決まった男と、その男に捨てられたショックで自殺未遂の末、記憶喪失に陥ってしまう女。年老いたヤクザの親分と、彼をひたすら待ち続けるひとりの女。事故で再起不能になった国民的アイドルと、彼女を慕い続ける盲目の青年・・・。残酷な運命に導かれた3つの愛の物語を、文楽の人形を語り部に、美しくそして切なく描いたラブストーリー。

“浄瑠璃。正直いうと何それ?人形。NHKでやってた三国志の?文楽。三遊亭?Dolls。すごく良くない?、、こんなんでいいのか?”

マメミムメモマメミムメモマメミムマジカルビームマメミムメモマメ、、耳から離れない。こんなんでいいのか?

冗談はさておき、って冗談じゃないんだけどねホント、、奇しくも北野映画で1番好きな映画になってしまったりして。。たしか監督はベネチアで、これは好き嫌い分かれる映画だと言ってたけど、どうやら自分の肌には合っていたらしい。

ではどこが?と言われると、、う~ん、、全体的にとか抽象的な言葉になっちゃうんだけど。なにせホントに浄瑠璃とか文楽の世界はほとんど知らないから、監督がこの映画でやりたかったことというのが大雑把にしかつかめないわけで。。

まぁ、道行きくらいは知ってるし、浄瑠璃に出てくる人形と登場人物を重ね合わせて描いているということくらいは菅野美穂の歩き方ひとつとって見ても一目瞭然で分かる。しかし、その真に監督の意図するところまでたどり着けなかったというのが正直なところで。はたしてこの映画の終着地点にあるものを例えば究極の愛という言葉で単純に呼んでいいものかどうか、それすら自分の中では解しきれていない。

では、この映画の何が自分をそこまで引き込ませてしまうのか。

そもそも究極の愛とは何かと考えてみると、女にとっては男が浮気をしないこと、男にとっては女が年を取らないことに行き着いてしまうと思うのだが、そうやって見るとこの映画はその法則をしっかり踏襲している気はする。

西島&菅野コンビでは、赤い紐で結ばれているわけだから男は浮気できないし、ラストで死んじゃうから年の取りようがない。三橋&松原コンビでは、撃たれて死ぬ&どこかイカレちゃって時が止まったままということで成立。深キョン&追っかけ男コンビでは、アイドルは年を取らないことと男が自分の目を潰してしまったこと&車に轢かれたかなんかして男死亡ということで成立、ということには一応なる。

とにかく究極の愛=死という図式は往々にして成り立つし、死というキーワードは避けて通れないものである。

しかし、ここでやっかいな問題にブチ当たる。

北野武は“死”を描くのが好き!という問題に。

北野映画において“死”というのは同じく避けて通れないものである。しかもその“死”の描き方は非常に暴力的かつ非常に乾いた描き方である。空虚な拳銃の音で“死”を表現してきたといっても過言ではないだろう。

その北野映画が道行きや情死に代表されるような男女の死をはたして描けるのか。北野映画に出てくるヤクザものとは違うんだぞってことを分かってんのかなぁという不安は、この映画を見ている間もあった。

だって相も変わらずヤクザ出てくるし・・。えっ、なんでヤクザなの?みたいな。

、、が、ゴメンなさい。全くの杞憂でした。

まず、明確な道行きの場面を描いているということと、北野映画には死がつきものという自分の中に刷り込まれた常識によって死者の世界、黄泉の世界への入り口をいやが上にも垣間見てしまう感覚が肌にヒリヒリと伝わってくる。自然の美しさに息を飲むというよりも、肌にヒリヒリ伝わってくるようなこの感覚に息が詰まりそうというのが正直なところ。

そういう点でいえば、佐和子(菅野美穂)の見た悪夢で、祭りの帰りに男たちに引きずられ、おそらく暴行を受けているであろうシーン、しかも遠景ショット、が描かれていたのは自分自身の息が詰まりそうな気持ちを代弁してくれたという意味でもまさに的を射た描写であった。

また、筆致が「あの夏、いちばん静かな海」により近く、その筆致がブレない範囲で“死”を描いてくれた。三橋親分の死は赤い一片の紅葉によって、追っかけファンの死は警察によって洗い流されていく赤い血と、幻のごとく浮かび上がってくる彼の姿によって表現される。

おもわず唸ってしまうような描写であった。

そして西島&菅野コンビだが、うわっと思ってしまうほどの唐突さにビックリはしたけど、なるほどなという収め方。オープニングが浄瑠璃を上演している舞台ならばラストのカットも舞台、しかも壮大な舞台装置、で幕を下ろしたというのは上手いと思った。

ようするに、映画を彩っていた息もつまるような死の感覚と柔らかな死の描写に引き込まれ、またそれに感心あるいは感嘆までしてしまったわけである。

でも待てよ。ヤバクないかこれって・・・。

死への憧憬を抱いてしまうなんて。あまりにも美しすぎるがゆえの、あまりにも北野映画の常識にとらわれてしまっている自分自身ゆえの。本当はとてつもなく残酷なはずなのに。

やはりどうも自分は監督が設けた終着地点とはかけ離れたところに不時着してしまったらしいし、自分がなんとかたどり着いた地点の相当先を北野武という監督は進んでいるらしい。

こりゃまだまだ北野映画とお付き合いしていかないとダメらしいや・・・。

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監督・ばんざい(2007年・日本・104分)WOWOW

 監督・脚本:北野武

 出演:ビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏、吉行和子、宝田明、内田有紀

 内容:ギャング映画を得意とする映画監督キタノ・タケシは、ある時、ギャング映画を封印することを宣言し、これまで撮らなかったタイプの映画に挑戦することにする。そして、小津映画風、昭和30年代もの、ホラー映画、恋愛映画、時代劇、SFなどに挑むが、ことごとく途中失敗に終わってしまう。そこでキタノ監督は最後の切り札として、詐欺師の母親が、政財界の大物の息子らしき男に娘を嫁がせようとするコメディを撮ることにするが・・・。

評価★★☆/50点

江守徹や吉行和子をはじめとして豪華役者陣が芸人ビートたけしのグダグダなネタ見せのためだけに放り投げられている惨状を見せつけられて、いったい何がおもろいねん!という一言に尽きるんだけど・・・。

「座頭市」という定型的なフォーマットを与えられた中で興行と評価両面で成功を収めてしまったことによる反動であることには違いないんだろうけど、この映画はそういう定型的なフォーマットをおバカにぶち壊してしまうことで、自分を枠の中に押し込めようとする人々の野望から映画作家“北野武”を取り戻そうとするためのリハビリ映画といえばいいだろうか。

でも、そんなん見せられるこっちの身にもなってみろってんだバカヤロー(笑)。

いや、まぁ前作よりは元気そうでなによりなんだけどさ。。

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アキレスと亀

0809_01 出演:ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、大森南朋

監督・脚本:北野武

(2008年・日本・119分)CS

内容:裕福な家庭に生まれた真知寿は絵を描くのが好きで、画家になる夢を持っていた。しかし、ある時父の会社が倒産し、両親が自殺したことで環境が一変。辛く孤独な少年時代を送ることになる。青年となった真知寿は、働きながら美術を学び、さらに彼の才能を信じて疑わないただ一人の理解者・幸子と出会い、結婚する。しかし、その後も画家としての芽が出ない日々が延々と続いていき・・・。

評価★★★/65点

北野作品では久々のストーリーものだと思うんだけど、真知寿の少年時代、青年時代に関してはなかなか抑えたタッチを見せていたのに、中年時代にたけしが出てきた途端にそれまでのつながりが途切れてしまったような違和感がありありでイマイチ。

だって、柳憂怜がどうやって金髪のたけしになるのかということだけでもつながりなんてあったもんじゃないだろう。

はっきりいってたけしと大杉漣を入れ替えた方が断然良かったと思う。

ただ、それでも「死」が異様なまでに横溢しているこの映画の求心力はハンパなく、その点で北野武はやはりれっきとした映画作家なのだと思い知らされるのもたしかだ。

ところで、ラストの“ついにアキレスは亀に追いついた”という答えの意味するところを考えてみたのだけど。

まず、前方からスタートした亀に後方からスタートしたアキレスは永遠に追いつけない、なぜなら亀のいる地点にアキレスが来たとき亀は少し先まで進んでいて、さらにその位置まで来ても亀はさらにその少し先まで進んでいるからだ、というパラドックス自体をコーラ缶を蹴り飛ばすように一蹴していると考えてみる。

すると、そもそもアキレスの目標設定が常に亀のいる地点に置かれていること自体がおかしいとするならば、真知寿のそれは先人のオンリーワンに対する模倣に模倣を重ねるスタイルからの脱却、つまりは自分の自分にしかできない道というのをようやく見つけたということではなかろうか。

それは、妻とともに生きる道であり、通俗的な画商の言葉から決別し、売れようが売れまいが自分のやりたいようにやる道。つまり、たとえ画家になる夢を追うのを諦めたとしても妻とともに自称ゲージツ家を続ける道だ。

死をモチーフにしてまでも結局創造と独創の果実を勝ち得ることができなかった自分の才能の限界を認識した上で、一度は見放しながら再び迎えに来てくれた妻とともに新たなスタート地点に立ったのだ。

真知寿の作品(といっても道に転がっていたさび付いたコーラの缶)を初めて「それください」と言ってくれた(初めての買い手になった)のは妻であり、少年時代、真知寿を親戚の家に預けたまま必ず迎えに来るという約束を反故にして自殺してしまった母とは対照的に、「一緒に帰ろう」と迎えに来てくれたのも妻であり、、、たった一人の真の良き理解者の存在を再認識した真知寿はその時点ではじめてゲージツという名の呪縛から解き放たれたのだ。

親以外に真の良き理解者を得るなんて、そんな可能性みじんもない自分からしたら、なんて羨ましいんだって思うよ(笑)。

真知寿はゲージツには負けても人生には勝ったといえるのかもね。

しかし、このお話を監督本人に重ね合わせるとするならば、「Takeshi’s」「監督ばんざい」と今回の3作の迷走を経て、自分のやりたいようにやると脱皮した監督が次作どんな吹っ切れた作品を送り出すのか。。

振り子のふり切れた死の想念を焼きつけられるのかと思うと恐くて仕方がない・・・。

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龍三と七人の子分たち

7187fde2a6098d813bdc8c3cc31c94a7出演:藤竜也、近藤正臣、中尾彬、品川徹、小野寺昭、安田顕、矢島健一、下條アトム、勝村政信、萬田久子、ビートたけし

監督・脚本:北野武

(2014年・日本・111分)WOWOW

内容:かつて“鬼の龍三”と恐れられた70歳の元ヤクザも、引退した今では息子家族のもとで肩身の狭い毎日を送っていた。そんなある日、オレオレ詐欺に引っかかった龍三は、その裏に暴走族あがりのチンピラが幅を利かせる“京浜連合”の存在を知る。若いもんに勝手な真似はさせられねぇ!と立ち上がった龍三は、昔の任侠仲間を呼び集めて“一龍会”を結成し、京浜連合成敗に立ち上がるが・・・。

評価★★★/65点

緊張と緩和の振り子がカタルシスを生み出す北野映画独特の作劇から緊張だけを取っ払ったようなかんじで、良くいえばマイルド、悪くいえば締まりがなくてやや味気ない。

これはつまり、映画風の北野武とテレビ風のビートたけしの振り子から後者の方にベクトルを置いて見せたということだろう。

しかし、カミソリのような狂気性が鳴りを潜めすっかり丸くなり、モンスター老人を批評するような真っ当なご意見番になってしまったビートたけしははっきり言って古臭くなっているのはたしかで、あくまで映画を見ていたい自分にとっては北野武の絵がない寂しさがツライところ。。

まぁ、演出の手際の良さは毎度のことながら冴え渡っているだけに、題材の真新しさがないぶんコントのお約束の寄せ集めにしか見えないのは何かもったいない気がした。

藤竜也をはじめとするご老体どもはいい味出してたし、音楽も良かったんだけどねぇ。。

2016年8月21日 (日)

夢のシネマパラダイス309番シアター:真夏の納涼ホラー大会!!

REC/レック

20150919035250出演:マヌエラ・ベラスコ、フェラン・テラッサ、ホルヘ・ヤマン・セラーノ、カルロス・ラサルテ

監督・脚本:ジャウマ・パラゲロ、パコ・プラサ

(2007年・スペイン・77分)WOWOW

内容:スペイン・バルセロナのローカルテレビ局レポーターのアンヘラは、スペイン版「プロフェッショナル仕事の流儀」のようなドキュメンタリー番組の収録のため、カメラマンのマルコスとともに消防署を訪ねていた。しかし、消防士の同行取材中に「老婆が叫んでいる」という通報があり、通報元のアパートへ向かうが・・・。

評価★★★/65点

手持ちカメラのPOV視点は、その場の臨場感や現実感を体感させる手段として有効的ではあるんだけど、同時に物語を紡ぎ出せないという欠点もある。

その点、今作は密室空間にシチュエーションを限定することで前者の利点を活かすことに成功しているとは思う。

しかし、結局これって富士急ハイランドの戦慄迷宮を別室でモニタリングしてるのと変わらないような絶対的安心感が一方ではあって、はっきりいってTVゲームのバイオハザードをプレイしてるよりも怖くなかった(笑)。

それに加えて、カメラマンの視野しか基本ない中で画角の狭さというのが逆に単調な怖さしか生み出せなくて見ていてだんだん飽きてきてしまった。

最後の暗視スコープ映像は別な恐怖感があってよかったけど、正味80分がまさに我慢の限界だったね

ああ゛ー、手ブレのめまいが止まらない~~

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仄暗い水の底から(2001年・東宝・101分)MOVIX仙台

 監督:中田秀夫

 出演:黒木瞳、小日向文世、小木茂光、徳井優

 内容:5歳の娘・郁子の親権をめぐって別れた夫と争っている松原淑美は、新しい職場にほど近いマンションへ引っ越してきた。はじめは快適そうに見えたマンション暮らしだが、大きくなる天井のシミや、上階の子供の足音など、淑美の気にさわることが次第に増えていく・・・。

評価★★★☆/70点

力強く瞬く魂の底から湧き上がってくる黒木瞳の演技に思わず引きずり込まれてしまう佳作。

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the EYE〔アイ〕(2002年・香港/タイ・99分)WOWOW

 監督・脚本:オキサイド・パン、ダニー・パン

 出演:アンジェリカ・リー、ローレンス・チョウ、チャッチー・ルチナーレン

 内容:幼少期に失明し、20歳になって角膜移植手術を受けたマンは、視力が回復するが、死者の姿や奇妙な夢が見えるようになる。その恐怖を運命として受け入れる決意をした矢先、あまりに衝撃的な事実に直面する・・・。

評価★★★/60点

通信簿ごときでメソメソすんなってあのガキに説教してやりたいけど、怖がり屋の自分が言えるわけございません。

しかしまぁ、シックス・センスを見てたはずがいきなりインディペンデンス・デイになって、と思ったらこんな哀しいラブストーリーはいかがですか、とサジを投げかけられた自分はなんだか消化不良。

冒頭にこの映画は海賊版ではないだとか、目をそらすなだとかいう字幕が出てきたけど、作り手はどれくらい本気なのだろう。半分くらいジョーク入ってるんだよね、ちゃうのw?

もし100%マジだったのであればこの映画の作り手と自分との間にあるデッカイ壁は永遠に取り払えないだろう。。

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ボイス

Voice 出演:ハ・ジウォン、キム・ユミ、チェ・ウジェ、チェ・ジヨン

監督・脚本:アン・ビョンギ

(2002年・韓国・102分)WOWOW

評価★★/40点

内容:脅迫に悩まされ、携帯電話の番号を変えた女性記者ジウォン。ある日、誰も番号を知らないはずのその電話が鳴り、親友の娘ヨンジュが電話をとった。すると、ヨンジュは奇怪な叫び声をあげ、その時から人が変わったように異常な行動をとるようになっていく。果たしてその番号に隠された事実とは・・・?

“怨霊よりもお化けよりも祟りよりなにより、女同士の罵り合いといがみ合いと嫉妬の方が100倍恐いということをこの映画は死に物狂いで伝えたいらしい。”

とにかく映画の作り手に理路整然という言葉を死に物狂いで教えてあげたい気分。

にしても主人公は松たか子に似てたし、そしてなんといってもヨンジュ。

森山直太郎ちゃうの?

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感染(2004年・東宝・98分)WOWOW

 監督・脚本:落合正幸

 出演:佐藤浩市、高嶋政伸、星野真里、真木よう子、木村多江

 内容:経営危機に陥ったとある病院では、建物の老朽化も進み、医薬品も足りない劣悪な環境に院内感染すら引き起こしかねない惨状になっており、医者や看護士も大半が辞めていった。そして、残された従業員の心身も限界に達している中で起きた医療ミス。さらに、内臓が溶け始めた急患が運び込まれてきて・・・。

評価★★★/55点

ジョジョの奇妙な冒険の独特な擬音が頭中を駆け巡ってどうにも正常ではいられなくなった・・・。

ウジュルウジュルウジュルウジュル、、、ギランギロン、ベッローン、ミロン、メッにょ~~ん、、、ドゴゴゴゴゴゴゴドギャーーッ!ニニャァー、ヒク、、ヒク、、ヒク、、ビクッ、メシャッグッガボボボドローン、、ガボボン、、、ムルルオオオーーん

ズルリンドギョッボキョッグニャリ、、バッギョーーン、ドヒンドヒュドヒュンドピュ、、、ドッバー、ショアァアーッ、、、ウェルオオオオーーンズルリン、、、ズギュウウウウンッガオンズリュン!

た、助けて、、、ドバァーーーッ!

、、見事に感染いたしました。。

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予言(2004年・東宝・95分)WOWOW

 監督:鶴田法男

 出演:三上博史、酒井法子、堀北真希、小野真弓、山本圭

 内容:妻と娘とともに車で帰省中の里見英樹。急ぎの仕事のため、途中で車を止めて電話ボックスに立ち寄った里見は、そこで古びた新聞記事の切れ端を見つける。そこには娘の死亡記事が載っていた。と、大型トラックが車に突っ込んできて・・・。

評価★★★/55点

無間地獄ってこういう所なんだろうなというイメージだけは強く頭に焼き付けられた。

「感染」と「予言」をオムニバス形式で一本にして、45分+45分の90分でやってくれたら★1つプラスしたのに。

、、ていうかTVドラマでええやんっていう話・・・。

2016年1月18日 (月)

夢のシネマパラダイス464番シアター:恐るべしスカーレット・ヨハンソン!

LUCY/ルーシー

T0017709q1出演:スカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、チェ・ミンシク、アムール・ワケド、アナリー・ティプトン

監督・脚本:リュック・ベッソン

(2014年・フランス・89分)WOWOW

内容:台北のホテルでマフィアの闇取引に巻き込まれてしまったごく普通の女性ルーシーは、身体に新種の麻薬が入った袋を埋め込まれ、運び屋として利用されてしまう。ところが、お腹を蹴られた際に袋が破れ、その麻薬が体内に漏れ出してしまう。そしてその後、彼女の脳内に異変が。なんと通常の人間は脳の潜在能力の10%しか活用できないが、ルーシーの脳はそれを凌駕した覚醒を始めたのだという。マフィアの追手が迫る中、脳科学者ノーマン博士と会うべくパリへと向かうルーシーだったが、その間にも脳の覚醒は進行していき・・・。

評価★★★/60点

まるでX-MENのいちキャラクターの誕生秘話といっても通用するような映画だったけど、期待してたのとはちょっと違ったかな。。

自分がイメージしていたのは、90年代にアクション映画で活躍したジーナ・デイビスのような体当たり演技でスクリーンの中をド派手に動き回る王道アクションのカッコ良さと、類まれな美貌とスタイルを持つスカヨハのあふれんばかりのお色気フェロモンを満喫できる90分だったのだけど、まさかワンピースのルフィのような覇王色を身にまとったスカヨハが悠然と歩く中を敵が勝手に吹っ飛ぶサイキック映画になっているとは・・・。全然お腹いっぱいにならないんですけど

生命が誕生して10億年、生命進化の最強形態スカーレット・ヨハンソンを堪能するには物足りない出来だったことはたしかだ。

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真珠の耳飾りの少女

P308 出演:スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース、トム・ウィルキンソン

監督:ピーター・ウェーバー

(2003年・イギリス/ルクセンブルク・100分)バウスシアター

評価★★★★/80点

内容:画家フェルメールが描いた1枚の絵をめぐって繰り広げられる歴史ドラマ。1665年のオランダ。一家の家計を支えるため、フェルメールの家で奉公することになった少女グリート。優れた色彩感覚をもつ彼女は画家に認められ、2人はやがて特別な関係になるが・・・。

“愛憎と嫉妬うずまく気位は高いが零落した疑似伏魔殿VSスカーレット・ヨハンソン”

前もって雑誌でポスターを見たときは、こりゃ「ピアノ・レッスン」ばりの愛欲乱舞が展開するのかななんて思ったのだが。

フェルメールがグリートのスカートの股ぐらに顔を突っ込んで、ただでさえ神妙で困惑した表情がますます苦悶にもだえるのかぁっ、スカーレット・ヨハンソンっ、と展開していったのは自分の脳内妄想だけだったのね

あるいは「薔薇の名前」に漂うような閉所恐怖症的な異様な雰囲気とにおいに包まれているのか、なんてことも想像してたのだけども、いい意味で裏切られたかんじ。

まるでカトリック修道院に仕える敬虔な修道女そのままのグリートの清貧なにおいが、疑似伏魔殿を文字通り修道院に変えてしまったような、そんな錯覚さえ覚えてしまった。

あの祖母はさしずめ修道院長といったところか。

その中で、他とは隔絶されたフェルメールのアトリエ部屋は、その過ぎゆく時間と光と陰が織り成す空間とが相まって不思議で魅惑的な小宇宙を醸し出していた。

しかし、とにかくはスカーレット・ヨハンソンをベタ褒めしないわけにはいくまい。

たった一人で敵を向こうに回して苦悩の表情を浮かべながら映画のバランスを保った、その真摯な姿はあのジャンヌ・ダルクでさえも太刀打ちできないだろう。

恐るべしスカーレット・ヨハンソン。

いつかはマリー・アントワネットまたはルクレチア・ボルジア、いやいやブランヴィリエ侯爵夫人なんかどうでしょう。そんな悪女を演じる姿を見てみたいものだ。

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マッチポイント

Ohevwkwcsm 出演:ジョナサン・リース・マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン、エミリー・モーティマー、ブライアン・コックス

監督・脚本:ウディ・アレン

(2005年・米/英/ルクセンブルグ・124分)仙台チネ・ラヴィータ

評価★★★★/80点

内容:イギリスのロンドン。元プロテニスプレイヤーのアイルランド人青年クリスは、会員制テニスクラブのコーチとして働き始める。英国の上流階級に憧れる彼は、やがて実業家のボンボンであるトムと親しくなり、その妹クロエと付き合い始める。やがて、彼女と結婚し、義父の会社の重役として迎えられ順風満帆な人生が始まるかと思いきや、、トムのフィアンセでアメリカ人の女優の卵ノラを一目見るや、その官能的な魅力にイチコロになってしまい・・・。

“負け組人生にドップリ浸かっているオイラはクリスになれるのか!?”

ポテッとした唇と吸い込まれるような肉感を持った肢体を完備する、男を夢中にさせ決して後悔させない女サラ。

一方、上流階級への入口にはもってこいのお金に困ることもない、安定した人生・家族設計は約束されたようなもの、大企業経営者の娘で英国上流階級のお嬢様クロエ。

このSEXしまくりたい女と、幸せで安定した家庭を築ける女との二重生活という男の永遠の妄想を現実化した夢のようなお話、、、いやいや現実はそうそうストレートインにはいかなかったというお話を、ヒッチコック風サスペンスの単純明快さと従来のウディ・アレンのシニカルな残酷世界を織り交ぜて、笑いのタッチをかなり抑えた正攻法で描いていく。

個人的には、分かりやすすぎるくらいに分かりやすい内容とテーマ(例えば作中にも出てきたドストエフスキーの「罪と罰」のモチーフや、モンゴメリー・クリフトの「陽のあたる場所」やアラン・ドロンの「太陽がいっぱい」を彷彿とさせる展開etc..)で、非常にとっつきやすく、またスカーレット・ヨハンソンの妖艶さにメッロメロになってしまいスクリーンに釘付け状態になってしまった。

そして、“マッチポイント”を起点にした古典的かつ単純なプロットとシナリオをこれほど深みのある人間劇へと昇華させてしまうウディ・アレンの手腕には脱帽するほかないし、こういう分かりやすい映画で、よりウディ・アレンの才を再確認できたことは大きかった。

オープニングシーンで、テニスコートのネットにボールが当たり、向こう側のコートにポトリと落ちれば勝ち、しかしこちら側に落ちれば負けという主人公クリスの独白を伏線として印象付けさせておいて、大団円でクリスが証拠隠滅のために川に投げた指輪が橋の欄干に当たり、川ではなくこちら側に落ちてしまう。

見る側はこれは完全にクリスの怒涛の転落人生の始まりかと予想を立てるわけだが、運命とは皮肉なもので、その指輪を拾ったジャンキーが犯人とされ(しかも死人)、クリスはまんまと完全犯罪を成し遂げてしまう。

このプロットのオチにはかなりヤラレたし、ラストで好運な人生を手に入れたはずのクリスの表情が全っ然幸せそうじゃないという皮肉がまた効いていて、非常に印象的な映画になっていたと思う。

人の一生は、テニスボールがネットに当たり、向こう側に落ちるかこちら側に落ちるかという運・不運の危うい選択=マッチポイントを日々日常の中で繰り返しているといっても過言ではない。けど、負け組人生にドップリと浸かっている自分としては、いかに運を引き寄せるか、それにはぶっちゃけ努力よりも行動が大事なんだと、この映画を見て思わされた一方、あんまり運・不運にとらわれ過ぎてても幸福になれるとはかぎらず、決められた幸福ではなく、自分なりの幸福を探し求めていくことが大事なのだとウディ・アレンは言っているような気がした。

ま、、不倫する勇気も人殺しする勇気も自分にはないけどね・・。それくらいの事しないと強力な運は向いてこないのかいな

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それでも恋するバルセロナ(2008年・スペイン/米・96分)WOWOW

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、スカーレット・ヨハンソン、パトリシア・クラークソン、ケヴィン・ダン、レベッカ・ホール

評価★★★/65点

 内容:婚約者と結婚間近のヴィッキーと自由奔放なクリスティーナ。親友同士のアメリカ人2人は、ひと夏のバカンスを過ごすためバルセロナに降り立つ。そこで色男の画家フアン・アントニオと出会った2人の前に、さらに彼の元妻マリア・エレーナが現れ・・・。

“アブナいけど憎めない、そんな映画です。”

恋がしてぇーーッ!!

この映画を見て真っ先に思ったこと。

恋がした~~いよ~~

つーか、日本に来た外国人の若い女のコに、「盛岡に連れて行ってあげるから、わんこそばと清酒を楽しんで、セックスしよう!」って誘ったらノコノコとついて来るのかよっっちゅう話・・・w。

ありえねーだろ!!

でも、これが情熱の国スペインのバルセロナでワイルドな画家相手だと話は違ってくるらしい、、、が、ちょっと待てよ、この画家の正体は「ノーカントリー」のおかっぱモンスターだぞww

さらにはこのモンスターとキチガイ妻とアバズレ女が奇妙な3P生活をおっ始める始末で、自分にとっちゃ非現実的この上ない話なのだけど、これがウディ・アレンの手にかかれば平和で幸せな小品になってしまうのだから恐れ入る。

といってもスカーレット・ヨハンソンのはちきれんばかりのボディに釘付けになったのが飽きずに見れた最大の要因だけどもねww

ただ、ひと夏のアバンチュールというには、あまりにも性欲>恋愛、アンモラル>モラルの振れ幅が大きすぎて共感の入り込む余地が少ないのがイタイ。

ま、オトコ目線から見ればなんとも羨ましいかぎりだけど・・・。

で、、最後に行き着くところは、、、やっぱ恋がしてぇーーッ!!

2015年12月26日 (土)

夢のシネマパラダイス44番シアター:はたして戦場は娯楽たりえるのか!?

フューリー

20141203181622a78出演:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル、ジェイソン・アイザックス

監督・脚本:デヴィッド・エアー

(2014年・イギリス・135分)WOWOW

内容:1945年4月。連合国軍は戦況を優位に進めベルリンに向けて進軍していたが、ドイツ軍の捨身の反転攻勢に苦しめられていた。そんな中、北アフリカ→フランス→ドイツと転戦してきたベテラン曹長ウォーダディーが駆る戦車“フューリー号”に、補充兵として戦闘経験ゼロの新兵ノーマンが配属されてきた。乗員5名となったフューリー号は敵陣深くへと進軍していくが・・・。

評価★★★☆/70点

戦車に特化した戦争映画はたぶん初めて見たと思う。

話のつくりとしては、戦車に乗って巡る戦場1日体験ツアーといったロードムービー的要素を軸とし、そこに「硫黄島からの手紙」の二宮和也や「プライベート・ライアン」のジェレミー・デイビスのような戦争を知らない現代若者の視点を取り入れることで、戦争の惨状をより身近に真に迫ったものとして実感させるものになっていて、それは一応の成功をみせていたと思う。

また、ロードムービーの必須テーマである“成長”も、戦闘経験のない新兵が敵を殺しまくることに何のためらいもなくなるいっぱしの兵士に成長する姿として描き出されていて、わずか一日でそのように変貌してしまう恐ろしさはよく伝わってくる。

ただ、潜水艦映画は数多くあれど戦車映画はない理由がなんとなく分かったというか、絶対外には出られない&敵の姿を視認できない潜水艦は、密室の中に極限状況の緊迫感と人間関係が充満するわけだけど、戦車は外に出られるし敵の姿も見れるので、そこらへんがちょっとヌルくて中途半端なかんじはしたかな。

戦車の後ろに歩兵がついて敵陣地を進んでいくという遮蔽物としての役割も担っていたとかは目からウロコだったけど。。

しかし、この映画で特筆すべきはそんなことではない。

それは、ブラピをはじめとする米兵が正義ヅラしていないということだ。

第二次世界大戦はファシズムから自由と民主主義を守るために戦ったのだとし、原爆投下でさえも正義と言ってはばからないアメリカは、かの戦争を描いた映画でも、こちらは正義であちらは悪と白黒明確なキャラ付けをしていることがほとんどだった。

「プライベート・ライアン」なんて兵士を国もとの母親に帰してやるために捜し出すという崇高なミッションまで付与されていたりして(笑)、それはつまり米兵が汚い言葉は吐けども汚い行為はしないというキャラクターにつながっていくのだけど、今回は平気で捕虜を射殺するわ、民間人の家に押し入ってそこの娘に手を出すわ(ブラピが若い2人に任せておこうと母親を制するが、そんな道理が許されるはずはない)、かなり醜悪な一面をも描き出していて、善悪二元論では割り切れない戦争の姿をさらけ出している。

戦場とは文字通り無慈悲な殺し合いの場なのだということを正面切って描いていて、第二次大戦を題材にした従来の戦争映画とは一線を画していたと思う。

戦争とは悲惨なものなのだ。

長渕剛の歌にあるように、戦争には正義もクソもないのだから・・・。

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ハート・ロッカー

O0800112410516331041 出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース

監督:キャスリン・ビグロー

(2008年・アメリカ・131分)WOWOW

評価★★★/60点

内容:2004年夏、イラク・バグダッド郊外。アメリカ陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班。任務明けまで残り38日。が、新たにリーダーとして赴任してきたジェームズ二等兵の慎重とは真逆の無謀ともいえる爆弾処理のやり方にチームを組む周りの隊員は不安を感じていくのだった・・・。アカデミー作品賞、監督賞など6部門で受賞。

“映画は麻薬のようなものである”

この映画を見る前も見た後も思うこと。

「アバター」の方がアカデミー賞獲ってしかるべきだった!!

イマジネーションとテクノロジーの豊穣な結びつきによる誰も見たことのない世界と、リアリズムとテクノロジーの不条理な結びつきによる誰も見たことのない世界。

シネマ中毒の自分はやっぱり前者を支持してしまうのであるけれども、リアリズム=肉体とテクノロジー=爆弾の緊迫した対峙はたしかに見応えはあるし、その最たるものとして身体の中に爆弾を埋め込まれた人間爆弾という不条理でおぞましい現実には目を覆いたくなってしまう。

またリアリズム=手持ちカメラとテクノロジー=映像技術として捉えるならば、情緒を廃した客観性を主体とする中で不条理で虚無的な戦場の真実を浮かび上がらせることには成功している。

しかし、、だ。

あまりにもドライなこの映画のタッチは、その代償としてドラマまでをも廃棄してしまった感が否めず、感情移入すら入り込むことを許してくれない。

まるで黒ヒゲ危機一発ゲームを傍から見ているかのようで、しかもこのゲームに自分は参加していないのだという安心感が自分の心情を空疎にさせる。そして後半、差し込み穴の数が少なくなっていくうちに恐怖がジワジワと襲ってくるのだけども、エピソードの単調な羅列がそれを相殺していく・・・。

戦争ジャンキーとなったジェームズの姿が「ディア・ハンター」(1978)でロシアンルーレット漬けになるクリストファー・ウォーケンとダブって見えたけど、そこらへんもっと掘り下げてほしかったし、正直これだったら最初っからドキュメンタリーで撮ればよかったのにと思ってしまった・・・。

短絡的だとか露悪的と揶揄されようが、自分は安直なドラマ、もっとカッコ良くいえば自分のエモーショナルな部分を揺さぶるようなドラマをこそ見たい。

「アバター」には、それがあった。

P.S. クソイラクともやっとでオサラバだ!とエルドリッジがヘリで去るシーンがあったけど、同じようなシーンを「プラトーン」とかのベトナム映画でも見た気が。同じことをイヤというほど繰り返すんだアメリカって国は。。

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グリーン・ゾーン

Greenzone 出演:マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、エイミー・ライアン、ジェイソン・アイザックス

監督:ポール・グリーングラス

(2010年・米/仏/西/英・114分)WOWOW

内容:大量破壊兵器を保有しているとしてイラクに侵攻したアメリカ軍。バグダッド陥落から1ヶ月。ロイ・ミラー准尉率いる部隊は、大量破壊兵器の発見という極秘任務に就いていたが、その痕跡すら掴めずにいた。次第に、情報源への疑いを強めていくミラーだったが・・・。

評価★★★★/75点

イラクに大量破壊兵器はあったのか!?探しても探しても大量破壊兵器が見つからないのはなぜか!?

この大量破壊兵器をマクガフィンとして繰り広げられるアクションムービーの体をなしている今回の作品。

ジェイソン・ボーンシリーズを舞台をイラクに移植したような娯楽作でありながら、イラクの悲惨な状況下を社会派感覚織り交ぜて描き出した手腕はかなりのもので、そのスピーディな展開は2時間では足りないほど濃密。

事実を隠蔽してまで開戦に突っ走る国防総省(パウンドストーン)、ネオコン=国防総省と対立するCIA(マーティン・ブラウン)、政府のプロパガンダ機関になり下がるメディア(ローリー・デイン)、さらにそこに真相を握るイラク側のキーマン(アル・ラーウィ)、イラクの一市民(フレディ)を配置し、その中をスター気取りの自由人(ロイ・ミラー)が縦横無尽に駆け回ることでイラク戦争の背景を暴き出していく。

非常に単純化された構図ともいえるけど、あくまでアクションエンタメに舵を取ったスタンスの中でのバランス感覚は秀逸だ。

加えて、ポール・グリーングラスのスタイリッシュな映像もリアリティがあって抜群に良い。

即物的で人に興味のない、すなわちエモーショナルな部分に乏しい「ハート・ロッカー」よりも国家にノーを突きつけるあからさまなヒロイックを描くこっちの方が自分は好きだ。

おそらくそこには欺瞞であるとかプロパガンダであるといった揶揄がつきまとうのであろうけれども、人間対人間のむき出しのバトル(感情面であれ身体面であれ)こそ映画の真髄だと思うし、それをこそ見たい者にとっては、イラク戦争という関心事を舞台に強引にエンタメにまとめきったポール・グリーングラスの手腕を自分は買いたい。

しっかし、戦争ていうのはいかに茶番劇かってことだよね。こんなので数万人が無駄死にするなんて報われないよ・・・。

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プライベート・ライアン

P009 出演:トム・ハンクス、トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、マット・デイモン

監督:スティーブン・スピルバーグ

(1998年・アメリカ・169分)仙台第1東宝

評価★★★★★/90点

内容:1944年、米英連合軍によるノルマンディー上陸作戦は多数の死傷者を出しながらもなんとか成功を収める。そんな中、戦渦を切り抜けたミラー大尉は、軍首脳から「ライアン2等兵を捜し出し、故郷の母親のもとへ帰国させよ」との命令を受ける。ミラーは部下を指揮して、落下傘の誤降下で行方が知れなくなったライアンを捜しに、敵地の前線へと向かうのだった。

“映画を観終わって、映画館を一歩出たときの眼前に広がる高層ビル群を前にして一瞬立ちすくんだ。あの息が詰まるようなクソ世界から、隔絶された現実世界へいきなり舞い戻ったための一種の時差ボケのような感覚だったのかもしれない。あの時の一瞬の眩暈と何ともいえない気持ちは一生忘れることはないだろう。”

それほどまでに映画の世界に入り込んでいた。

というよりは強引に入り込まされていたといえる。

冒頭30分については既に言い尽くされているが、あの揚陸艇のハッチが開けられた瞬間に自分も首根っこ引っつかまれて海中に引きずり込まれるように、突如として映画の中に入り込まざるを得なかったのだ。

なんともあざとい手法にまんまと引っかかってしまったものだ。

スピルバーグの手法のパターンについては熟知していたものを、予想を超える強烈なアッパーカットを喰らってしまった。

しかし、あの強烈な衝撃波こそ映画のリアリティそして戦争というリアリティなのかもしれない。

同年に公開され、今作と好対照をなす「シン・レッド・ライン」と合わせて、まさに20世紀、戦争の世紀を締めくくるのに相応しい映画だったと思う。

そして21世紀、戦争映画の世界標準となったことは疑う余地がない。(他ジャンルの映画にまで良くも悪くも影響を与えてしまったが・・・。)

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ローン・サバイバー

20140402220335出演:マーク・ウォルバーグ、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、ベン・フォスター、エリック・バナ、アレクサンダー・ルドウィグ

監督・脚本:ピーター・バーグ

(2013年・アメリカ・121分)WOWOW

内容:2005年、アフガニスタン。米海軍特殊部隊ネイビーシールズの4名が、タリバン指導者の暗殺任務“レッド・ウィング作戦”遂行のためアフガン山岳地帯に降下する。衛星電話さえ繋がりにくい孤立状況の中、タリバンの秘密基地を発見したまでは良かったものの、4人は運悪く現地の非戦闘員と遭遇。その処遇をめぐる苦渋の判断が4人を絶体絶命の状況に陥らせてしまう・・・。

評価★★★/65点

映画の構成力、映像の筆致はともにレベルが高い。特に冒頭4分弱で「フルメタル・ジャケット」の前半1時間分、殺人兵器養成合宿と同等のインパクトを与えるに足る実際の訓練風景がもたらす画力と巧さには唸ってしまう。これにより、その後の一見するとあり得なさすぎな転落に次ぐ転落劇に説得力が与えられている。

しかし、25年前だったらスタローンのランボー1人で敵を根絶やしにできたのだろうけどw、永久に終わらない泥沼の戦いを続けている現在では、そういう絵空事を娯楽アクションに転化する余裕はなくなっているらしい。

それどころか敵に追い立てられ、蜂の巣のなぶり殺し状態を延々見せられるに至っては感情移入することすらままならない。つまりは敵を狩る側にいたアメリカが、狩られる側に身を置くことになってしまった立場の逆転をまざまざと見せつけられるわけだ。

しかし、例え敵地の戦場で作戦が失敗し、いかなる代償を払おうとも、それは武勇伝という美談になり、変わらずアメリカは正義であり続け、これからも自由を守るために戦うのだ!と星条旗をなびかせながら決意を新たにする英雄気取りの正当化視点にはいささか違和感を覚える。

例えば、アメリカにタリバンが潜入し、米司令官を暗殺するべく隠密作戦を実行中、牧場のカウボーイと出くわすも人道的観点から解放。ところがそれがきっかけで米軍に察知され撃退されてしまう。あるいは、北朝鮮工作員が日本人を拉致するために潜入するも見つかって自衛隊にボコボコにされる。

このタリバン&工作員と今回のネイビーシールズは何が違う!?根っこは同じ自業自得な話ではないのか。

それでも他国に土足で踏み込むことを是とするアメリカの正義はやはりどこか違うだろ、と思ってしまう。

25年前、アフガンでランボーはタリバンと手を組みソ連軍と戦った。しかし今ではそのタリバンと戦うはめに陥り、反タリバン勢力と手を組んでいる。25年後、その構図はどうなっているのやら・・・。

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ブラックホーク・ダウン

Black 出演:ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア、エリック・バナ

監督:リドリー・スコット

(2001年・アメリカ・145分)MOVIX仙台

評価★★☆/45点

内容:1993年、内戦が続くソマリアの秩序を維持するために、米軍は武装勢力アイディード派の幹部捕獲作戦を敢行。作戦は1時間で完了するはずだったが、戦闘ヘリ“ブラックホーク”が民兵によって撃墜され、戦いは泥沼に陥ってしまう・・・。

“アメリカ一極支配の終焉

オープニングでこの映画は事実に基づくと前置きする通り、実話ベースの映画ではあるのだけど、人物の掘り下げを敢えてすることもなく、ゆえに名前と顔も一致しないから見る側に感情の付け入る隙を与えず、淡々と戦闘を描き、淡々と死を描く。そして死は単なる客観的事実でしかないという感情度外視の描き方がハンパなく、見終わっても何も感じなかったのが逆に怖いくらいの作品だった。

作品世界との距離を縮める要素を持たないノースタンスの描写は、好意的にみれば観客側に委ねる作りともいえるけど、悪くいえば主義主張のない単なる逃げとも受け取れるわけで、どうも今回は後者の感が強かったような・・。

まじめな話、自分でもなんでだろうと思うくらい冷めて見てる自分がいて、、と、ふとこの映画を見ている自分の顔って、統合作戦本部のサム・シェパードの作戦指示を上空500フィートを旋回するヘリから伝える上官の無機質でのっぺりとした顔と同じであることに気付く。

それはつまり、テレビのニュース映像を通して戦争の断片にしか過ぎない成り行きをただ見ているだけのあまりにも遠すぎる距離感といってよい。要はこの距離感というのは、まさに映画の作り手側の意図するところであり、作り手側と映画自体との距離感でもあるのだろう。

しかし、先述したことに戻るけど、肝心の作り手側が最初からほっぽり出してるだけじゃんともいえるわけで、そこに何か意味を見出すというのはかなり難しいところではあると思う。

ただ、奇しくもアメリカ同時多発テロ事件と同じ年に映画が公開されたというのは時代性を捉えた作品であることもたしかで、世界の警察として秩序保持のために他人の揉め事に率先して首を突っ込んだあげく敢え無く自滅するアメリカの限界を赤裸々に描き出しているという点で見る価値はあるのかも。

それはまるでスズメバチの巣を突っついて返り討ちに遭う大バカ者といったかんじだけどw、映画のラストで「他人の戦争に飛び入り参加するなんて戦争中毒なのか?それとも英雄のつもりなのか?」という問いに対し、「仲間のために戦う。それだけだ」という主人公の答えが全然本質的な答えになっていないところがアメリカの矛盾を露呈させていて面白かった。

ところで、以前ピュリツァー賞写真展が開催されて足を運んだことがあって、ちょうどこの映画で描かれていた出来事を撮った写真が1993年だったかのピュリツァー賞を受賞していた。死んでいる米兵の遺体が裸にされて群衆に引きずり回されている写真だった。たった数枚の写真だけで、2時間半という長尺を割くこの映画を凌駕してしまう真実がそこにはあった。

もちろん様々なメディアや媒体ツールを通して考えなければならない問題ではあるけど、この映画を見ちゃうと、なにも映画がノンフィクションと同じ土俵に立ってそのマネ、模倣をしたって何の意味もないとも思ってしまう。

だって、どう頑張ったって虚構にしかすぎないのだから。

だから映画には作り手の主観が入って当然だと思うし、何も逃げることはない。英雄に描きたかったら描けばいいじゃんってだけのこと。あるいは批判的に描きたかったら描けばいいじゃんってだけのこと。

そしてノンフィクションとはまた違ったより多角的な視点から物事を考えたり捉えたりすることができるのではないかなと。

それでいいと思うんだよね映画って。映画というのはそういう一歩踏み込んだ自由な表現の媒体であるべきだと思うから。そこに踏み込めないというのはまた最初に戻っちゃうけど映画としてどうなんだろうと、自分は思ってしまう。

この映画にはもっとわがままに描いてもらいたかったけど、わずか10年かそこら前の話を描くにはまだ時期尚早だったということか・・・。

(*)ソマリア内戦について

一応2000年には国連の監視の下に暫定政権が樹立されはしたが、いまだに中央政権は確立されておらず、文字通りの無政府状態と言ってよい状態が続いている。2006年あたりからは隣国エチオピア軍をも巻き込んだ紛争が活発化し、つい先日にはアメリカ軍がアルカイダ掃討と銘打って空爆を行った。

個人的にはいわゆるソマリア内戦に関していえば、第三者が介入しなくてはならない、そうじゃないと解決しない問題だったと思う。たとえそれがアメリカであろうとも。

ソマリアにも十分すぎるほどの非はあることを忘れてはならない。特に問題の解決手段を武器と殺戮にしか求めないやり方には。

もちろんその武器を与えてやったのは冷戦時代のアメリカ、そして旧ソ連だったわけだけど・・・。しかも解決手段を同じ武器でもって介入するというアメリカのやり方もいかがなものか。難しい問題です。

19世紀のアフリカ全土にわたる植民地化時代、列強諸国のいいように民族が分断され、国境線が引かれ(話によると地図上に定規で線を引いて国境線が決められたという)、そのいいかげんなツケが今アフリカで多発する紛争という悲劇に結びついているのは言うまでもない。

そのツケから顔をそらして無関心を装う西欧諸国にも問題ありありなのだ。

しかるにこの映画はそんなこと1つも・・・。映画までもが顔をそらしてどないすんねん。一歩間違えるとただのエイリアン映画でっせ。

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遠すぎた橋(1977年・イギリス・175分)NHK-BS

 監督:リチャード・アッテンボロー

 出演:ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、ジェームズ・カーン

 内容:第二次世界大戦のノルマンディ上陸作戦から3ヵ月後の1944年9月、連合軍が企てた史上空前の空陸共同作戦、マーケットガーデン作戦が失敗に終わるまでを豪華スター共演で見せる戦争スペクタクル。

評価★★★/60点

いよいよダラけてきた頃に、最後の切り札レッドフォード登板というなんとも贅沢な使い方。

しかし、その効果もなくダラけたまま終了。。

ドイツ軍側からも描写するという斬新な試みをしているが、大風呂敷広げすぎて、戦争と人間の愚かさ、残酷さを描くには程遠いシロモノとなってしまった。

でも、壮大なスペクタクルとして見た場合、落下傘部隊の降下シーンなど見るべき価値はある、、かな。

2015年12月20日 (日)

夢のシネマパラダイス240番シアター:リトル・フォレスト

リトル・フォレスト夏・秋/冬・春

Poster2出演:橋本愛、三浦貴大、松岡茉優、温水洋一、桐島かれん

監督:森淳一

(夏秋編・2014年・日本・112分/冬春編・2015年・日本・121分)WOWOW

内容:都会になじめず故郷である東北の小さな集落に戻ってきたいち子。近くにスーパーもコンビニもない中、自給自足の田舎暮らしを始めた彼女は、四季の移ろいを感じながら自分の本当の居場所を探していく。

評価★★★★/80点

岩手がロケ地ということで地元県民としては評価も甘くなってしまうとはいえ、それを抜きにしてもめちゃくちゃイイ映画だった。

基本、農作業→料理→食事の繰り返しを日記形式のモノローグで綴っていくエッセイみたいなかんじで、劇映画的かつドラマ的な要素は皆無。それは要するにいち子はもとより両親の不在など重要なファクターについての“Why”をほとんどスルーしているということであり、全編4時間通して見てもそれらの答えは明確には示されない。いち子の自給自足生活が淡々と描かれるだけだ。

なのに、それでも見終わったあと幸福感で満腹になるのは、しっかり地に足のついた人の営みと息遣いが自分の根源的なところにジワジワ響いてくるからだろう。

特にラストのいち子の締めのセリフが良い。

「生きることは、ただ同じ場所をぐるぐる回りながら円を描いているのではなく、“らせん”なのだ。何かあるたびに少しずつ上に伸びたり下に伸びたり横に広がったりして“らせん”は大きくなっていく。そう考えたら、もう少し頑張ってみようって思えた♪」

ようするに“らせん”=成長ということもできると思うけど、里山の暮らしの春夏秋冬1年に渡る定点観測がその言葉の強い裏付けになっていて説得力があるんだよね。

他人に殺させた生き物と、他人が精魂込めて育てた作物を何食わぬ顔で食べている自分にも気付かされたし、ホント感謝しながら食べないと。。良い食育映画でもありました。

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銀の匙 Silver Spoon

138857192490901118227_2出演:中島健人、広瀬アリス、市川知宏、黒木華、上島竜兵、吹石一恵、吹越満、哀川翔、竹内力、石橋蓮司、中村獅童

監督・脚本:吉田恵輔

(2013年・東宝・111分)WOWOW

内容:進学校に通っていたものの受験に失敗した八軒勇吾は、逃げるように大蝦夷農業高校(通称エゾノー)に入学する。もちろんこれまで農業に縁のなかった八軒は、生きた家畜を相手にする酪農実習に悪戦苦闘。また周りの生徒も実家が農家というのがほとんどで、それぞれに具体的な夢や目標を持っており、ここでも劣等感に苛まれてしまう。しかし、御影アキや駒場一郎などのクラスメイトの支えもあり日々成長していく八軒だったが・・・。

評価★★★★/75点

原作マンガ大好き人間としては、キャスティングからロケーション、そしてユルイ笑いが随所に織り込まれた演出に至るまでエゾノーライフをほぼ完ぺきに再現してくれたという点で十分合格点。

まぁ、マンガ自体が特に山場があったりするわけではないので映画化しても盛り上がりに欠ける不安はあったんだけど、北海道の田舎&農業高校あるあるネタをベースに都会暮らし&進学校では味わえない価値観とのカルチャーギャップの中で育まれる友情と成長譚という青春マンガのエッセンスは見事に抽出されていたと思う。

ただ、2時間の映画だとまだまだ食い足りないので次はぜひ連続ドラマで!

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天然コケッコー

1005558 出演:夏帆、岡田将生、柳英里沙、藤村聖子、夏川結衣、佐藤浩市

監督:山下敦弘

(2007年・日本・121分)DVD

内容:山と田んぼが広がる木村町。中2の右田そよは、小中学生合わせて全校生徒たった6人という小さな分校に通っていた。そんな新学期のある日、東京からイケメンの男子生徒・大沢広海が転校してきて、そよの心は波立つ。が、そんな彼女の期待とは裏腹に広海は自己チューでクールなワンマン男で・・・。

評価★★★★/80点

ああ、いい映画だったぁ、、以外の言葉が思いつかない典型的な作品。

おそらく大人の視点でこの田舎を描いていくと「松ヶ根乱射事件」(2006)になるのだろうけど、今回のは徹底的に子供視点オンリーで描くことで大人の出来事が完全にほったらかしになっているのが面白く新鮮で、あらためてこの監督さんの器用さに舌を巻いてしまった。

とはいっても、右田そよ(夏帆)の中2・中3という時期は子供から大人へさしかかる微妙な分岐点であり、天然の世界から打算の世界を垣間見てしまう恐怖や距離感というのはうまく描かれていたと思う。

天然の世界がずっと続いていけばいいのに、、という願望が、いわばノスタルジーなわけだけど、しかし成長するにしたがっていつしかその世界は大人の諸事情とその世界の外にある残酷なほどの“真実”に飲み込まれてゆく・・・。

それは例えば、小学1年生のさっちゃんが1学年上のカッちゃんに厳しいツッコミを入れられてジュース屋さんごっこを拒否られるシーンにも何気なく、しかし印象的に描かれているのだ。

そういうどこにでもある風景、どこにでもある日常、ここではないどこかはいつもここにあるということをこれだけ自然に描けてしまうのだから、この監督さんはスゴイし、なによりも映画というものの素晴らしさにまで気付かせてくれたこの作品に拍手を送りたい。

ようするに、イイ映画なんです

2015年12月11日 (金)

夢のシネマパラダイス510番シアター:世界最速の走り屋ども

ラッシュ/プライドと友情

F0064229_20414551出演:クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール、オリヴィア・ワイルド、アレクサンドラ・マリア・ララ、クリスチャン・マッケイ

監督:ロン・ハワード

(2013年・米/独/英・124分)WOWOW

内容:1970年。F3のサーキットで顔を合わせ、宿命のライバルとなっていくジェームズ・ハントとニキ・ラウダ。酒好き女好きの遊び人ながら天才肌のハントと、内省的な頭脳派のラウダという正反対の2人はF1レーサーへとのし上がっていく。1976年、そんな2人は年間チャンピオンを巡って熾烈なデッドヒートを繰り広げていた。そしてラウダ優勢で迎えた第10戦ドイツGPが悪天候の中で開催されるが・・・。

評価★★★/65点

自分が小中学生の頃、アイルトン・セナの黄金期である1990年前後の数年間だけF1をちょいかじりしたことがある自分にとっては、ニキ・ラウダもジェームズ・ハントも全く知るよしもなく・・・。

そんな中で、裸足でパンクした自転車に乗って毎日を人生最後の日のように享楽的に生きている感性・天才肌のハントと、公道では制限速度を守って走り、幸せは敵だとみなすような徹底したリスク管理のもとに生きている理詰め・完璧主義のラウダという好対照なキャラクターは魅力的ではある。

が、しかし、それが死線の淵で繰り広げられるライバル同士のしのぎ合いというカタルシスに昇華できていたかというと、やや中途半端な印象。

2人の関係が水と油というよりは、醤油とソースくらいにしか感じられなくて、つまりはそこに憎しみや怒りといった怨念が介在していないので心情的に盛り上がらないのと、レース外を詰め込みすぎて肝心のチャンピオン争いがダイジェスト的になってしまい、いまいちピンとこないのが乗りきれなかった所かなぁ。

要は感情移入できないんだよね・・・。

コクピットの両側に210リットルの燃料タンクを搭載した死亡率20%の走る棺桶というF1マシンのリスク面ももう少し分かりやすく前面に押し出してもよかったかなと思うし。。

実話ベースだけに脚色しづらい面はあったのだろうけど、全体的にもっと大げさでよかったかなぁ、と。

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世界最速のインディアン

2ce2a_2出演:アンソニー・ホプキンス、クリス・ローフォード、アーロン・マーフィ、クリス・ウィリアムズ

監督・脚本:ロジャー・ドナルドソン

(2005年・ニュージーランド/米・127分)DVD

評価★★★★★/95点

内容:ニュージーランド南端の町に独りで暮らしている63歳の初老バート・マンローは、1920年代製のオンボロバイク“インディアン”を自ら改造し、ひたすら速く走ることに人生を捧げてきた。そんな彼の夢は、ライダーの聖地、アメリカはユタ州のボンヌヴィル塩平原で行われる記録会に出て世界記録に挑戦することだった!

“人に会ったら名乗って握手。これ鉄則!”

こういう純度120%の善人映画を見せられると逆にあざとさが透けて見えてツッコミを入れたくなってしまうことがままあるのだけど、今回のこの映画についてはどこまでも素直に見ることができた。

なにより25年間夢を追い続けてきた爺さん、バート・マンロー(A・ホプキンス)の人柄に見てるこっちが自然に惹かれてしまうのだから。

デヴィッド・リンチの「ストレイト・ストーリー」に出てくる頑固ジイちゃんを想起させるキャラクターだけど、あっちが時速数キロのトラクターでくるならこっちは時速300キロのモンスターバイクじゃい!

、、、と気を吐いたかどうかは知らないが、1920年ものの熟成ウイスキーならぬタイヤは割れ目だらけフォークはオシャカ寸前の40年以上乗り続けてきたオンボロバイクを、台所のドアの蝶つがいやブランデー瓶のコルクをつぎはぎして改造。もともと時速85キロまでしか出ないマシンを時速300キロのマシンへ生まれ変わらせてしまう。。

この18歳の心を持った御年63歳、心臓に持病有り&尿道つまり気味のジイちゃんの夢を追う一途な姿に、人々は自然に魅かれ、従順になっていく。

うら若きバアさんがベッドに連れ込むくらいだからね、言っとくけど(笑)。

とにもかくにもこのジイちゃんに名乗られ、握手しちゃったらもう終わり。どんな気難しい人間も心優しき人間になって後押ししないではいられなくなるのだから。

ゲイ、インディアンなどのマイノリティから白人に至るまで、まさにアメリカたるところのアメリカ人が、ある意味現実味のないおバカな夢を追う地球の裏側からやって来たニュージーランドの田舎ジジイを無条件で応援する。

日本の格差社会など足下にも及ばないほどの厳しい現実社会が横たわる現代アメリカにおいてアメリカンドリームはもはや過去のものとなっているのかもしれないが、1960年代への郷愁も含めてそれを信じ続けていたいというアメリカの希望と良心があらわになっていると言ったら言い過ぎだろうか。

何十年も夢を追い続けてきてなおかつ60数年も生きてきた人間は、ちょっとやそっとのハプニングが襲ってきても動じない。車輪がポロッと取れても、車体がドテッと横転しても人生とはそういうものなのだと泰然自若として笑顔で受け入れる。

まるで生死にまで動じないかのごときバート・マンローの姿は、しかし死を意識しているからこそ生きることの重みと幸せを噛みしめているのだ。

映画というものはどうあったって人間を描くことしかできないのだということを思い知らされるとともに、それが最良の形で観る者に伝わってくる。

これをおとぎ話だとは言いたくない。

最良かつ最高の映画だと言いたい。

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スピード・レーサー

20080718_194009 出演:エミール・ハーシュ、クリスティナ・リッチ、マシュー・フォックス、スーザン・サランドン、ジョン・グッドマン

監督・脚本:アンディ&ラリー・ウォシャウスキー

(2008年・アメリカ・135分)WOWOW

内容:レース界に彗星のごとく現れた若き天才、スピード・レーサー。彼を引き抜くべく巨大スポンサーのローヤルトンは高額のオファーを提示するが、スピードはレース中に命を落とした兄レックスの遺志を継ぐべく、今まで通り父が率いる家族経営の会社を選択する。が、その結果ローヤルトンの執拗な脅しに遭うハメに。スピードは、家族と恋人トリクシーに支えられながら、正体不明のレーサーXと手を組み、兄の命を奪ったクロスカントリーレースに挑む・・・。日本製アニメ「マッハGo!Go!Go!」の実写映画化。

評価★★★/65点

日本のオリジナルアニメはほとんど見たことがなくて、懐かしのアニメ特集といったテレビでかじった程度なんだけど、ふ~ん、、こんな内容だったんだww

という程度の感想しか思いつかないんだけど、まぁ「スパイキッズ」(2001)のレーシングカー版といったかんじで、家族の絆を前面に出してくる構成は微笑ましく楽しみながら見られるんだけど、決定的にレーシング場面に魅力を感じられなかったのが痛い。

ライブ・アクション・カートゥーンと銘打った新次元映像らしいけど、まるで氷上のスケートリンクをスラーッと流れていくかのようで、そこに重力を感じ取ることができないのだ。

それはつまり摩擦抵抗もなければ遠心力も感じられない世界で、端的にいえばスピードを感じ取ることができない。

その中でめまぐるしいカット割りとド派手な視覚映像の洪水がジェットコースターのように流れ込んでくるので、とにかく目ぇ疲れる×2・・

マッハ号に仕込まれた数々の特殊機能は面白かっただけに、レース映像には疑問符をつけざるをえない。

そういう意味では実写でありながら、どこまでもアニメ的な映像世界の構築にこだわっていて、それはかなりの面で成功していると思うんだけど、それを見て別段心が躍らされることがなかったというのが正直なところ。

でも、ヒップホップ調の主題歌はめちゃカッコ良かったし、大好きな海外ドラマ「LOST」に出てるマシュー・フォックスが重要な役どころで出てくるのも見所で、全体として見れば好きが嫌いを上回ったかんじかな。

それにしても、真田広之、、出る意味あったのか!?

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デイズ・オブ・サンダー(1990年・アメリカ・108分)NHK-BS

 監督:トニー・スコット

 出演:トム・クルーズ、ロバート・デュバル、ニコール・キッドマン

 内容:ストックカーレースに情熱のすべてを燃やす若者の友情や恋を、迫力のレースシーンとガンズ・アンド・ローゼス、ジェフ・ベックなど豪華アーティストのサウンドに乗せて描く。

評価★★/40点

やりたい、見せたい、描きたいところだけをただ箇条書きにして羅列する。典型的なアイドル映画といえば聞こえはいいが・・・。

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トルク(2004年・アメリカ・84分)WOWOW

 監督:ジョセフ・カーン

 出演:マーティン・ヘンダーソン、アイス・キューブ、モネット・メイザー、ジェイ・ヘルナンデス

 内容:無二のスピードとテクニックを持ちながら、身に覚えのない嫌疑をかけられ姿を隠していたライダー、フォードが街に戻ってきた。が、またしても無実の罪で命を狙われることに・・・。

評価★★★/60点

荒馬をバイク馬鹿に換えただけで、基本的に西部劇と変わらない。

ただ、単刀直入な物言い(おバカ一直線と言いなさいw)は嫌いになれない。

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頭文字<イニシャル>D THE MOVIE

Id 出演:ジェイ・チョウ、鈴木杏、エディソン・チャン、ショーン・ユー、アンソニー・ウォン

監督:アンドリュー・ラウ、アラン・マック

(2005年・香港・109分)盛岡フォーラム

内容:豆腐屋を営む父と2人暮らしの高校生・藤原拓海は、父のハチロク(AE86)で豆腐を毎日配達するうちに、いつしか完璧なドライビングテクニックを身につけていた。そんな彼はやがて、峠攻めのスペシャリストを自負する走り屋たちに次々にバトルを申し込まれる・・・。しげの秀一のベストセラーコミックの映画化。

評価★★★/65点

“え゛ーーっ!?で、、、結局・・・”

鈴木杏は援交少女のままジ・エンド!??あの終わり方はないやろう、いくらなんでも(笑)。しばし立ち上がれなかったよ・・・。

拓海となつきのわけの分からん恋愛パートをはじめとして、ストーリー展開としてはB級のどうでもいいかんじの出来なのだけど、しかし一転、峠バトルに関してはAAA級をやってもいいくらい見応えがあり、このてのレーシングバトル映画としては見応えは十分といっていい。

、、が、それもあのいい加減な尻切れトンボのような終わり方に一気に雲散霧消してしまった。

スポーツ万能、勉強オール1、てかんじ・・。

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