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2022年9月25日 (日)

夢のシネマパラダイス567番シアター:絶叫!ZQNパニック!

新感染 ファイナル・エクスプレス

Mv62183_46013beadba1b5952f00caf7ec29e422出演:コン・ユ、チョン・ユミ、マ・ドンソク、キム・スアン、チェ・ウシク

監督:ヨン・サンホ

(2016年・韓国・118分)東宝シネマズ新宿

内容:韓国の各地で謎のパンデミックが発生し、感染者は次々と狂暴化し始めていた。そんな中、ファンドマネージャーのソグは、娘のスアンを別居中の妻に会わせるため、ソウル発プサン行きの高速鉄道に乗り込む。が、乗客の中に感染者がいたことから密室と化した列車内はたちまちパニックに陥ってしまう。終着駅まで2時間、ソグは愛する娘を守るべく他の乗客たちとともに必死の戦いに挑んでいくが・・・。

評価★★★★/85点

走る密室に動かない時限爆弾ではなく追っかけてくるゾンビの群れという、予測不可能さが常につきまとうシチュエーションが、崖っぷちな絶望感を倍増させているのに加えて、韓国映画特有の情け容赦のなさも相まって最後までハラハラドキドキ。

ゾンビが暗闇では動きが止まるかわりに音には超敏感という独自設定(ウィル・スミスのアイアムレジェンドでは逆に日光に弱く夜に活発になる設定だった)も上手く生かしていたし、ありがちな走り出したら止まらないノンストップパニックではなく各駅停車の鈍行パニックなので、電車内だけでなく駅構内にもロケーションを広げているのも良い。

それにより中だるみが回避されているし、その際にもセーフティゾーンとデスゾーンの境界線を意識した絵面で緊迫感を生み出し飽きさせない。

そして、籠城戦から開放された車両基地での全速ダッシュゾンビ軍団からの逃走劇のカタルシスは圧巻!

また、海外ドラマ「ウォーキングデッド」でもお馴染みの“ゾンビよりも人間の方が恐ろしい”という裏テーマもしっかり押さえていて、その中で超自己チュー人間の主人公が利他的な真人間に成長していく姿もベタなりに心打たれるものがあって見応えがあった。

なかなか頑張ってる以上の余韻が皆無だった「アイアムアヒーロー」と比べると格段の違い、、日本映画がんばろw

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アイアムアヒーロー

Poster2出演:大泉洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢悠、岡田義徳、片瀬那奈、マキタスポーツ、塚地武雅、風間トオル、徳井優

監督:佐藤信介

(2015年・東宝・127分)盛岡フォーラム

内容:漫画家アシスタントをする35歳の鈴木英雄は、同棲している彼女にもあきれ果てられるほど肩身の狭い日々を送っている。そんなある日、徹夜仕事から帰宅した英雄は、なにやら様子がおかしい彼女に突然襲われる。なんとか逃げ出した英雄だったが、街中で目の当たりにしたのは新型ウイルスに感染し、異形の姿に変貌を遂げた者たち(ZQN・ゾキュン)が次々と人々を襲う光景だった・・・。

評価★★★☆/70点

正直期待はあまりしていなかった。

グロくて生々しく生理的不快指数の高いキワドい描写が多い原作マンガにあって、大泉洋&長澤まさみのNHK大河ドラマ組と清純派筆頭の有村架純というキャスティングは突き抜けた冒険はしづらいだろうなと思ったし、そう考えると「ワールド・ウォーZ」のような血しぶきの少ない俯瞰的なパンデミック路線に舵を切るのだろうと予想していた。

ところがフタを開けてみたら、あらビックリ。

ZQNのリアルで気持ち悪い造形は完璧だったし、売れない漫画家・鈴木英雄(大泉洋)のさえない日常風景が恋人てっこ(片瀬那奈)のZQN変貌により崩壊していく序盤は、原作ファンとしては100点満点の出来。さらにそれに続く職場事務所でのドランクドラゴン塚地が金属バットで頭をベッコンバッコンするモラルや葛藤無視の暴走っぷりは、ゾンビより人間の方がはるかに恐ろしいことをショッキングな映像でつづる海外ドラマ「ウォーキング・デッド」を凌駕するものだったと思う。

終盤アウトレットモールでの大スプラッタ祭りも邦画でここまでやるかっていうくらい過激だったし、全体的なインパクトは絶大で、えっ?ここでもう終わっちゃうの!?と思ってしまうくらいあっという間の2時間だった。

あとは何といっても大泉洋のハマり具合が笑っちゃうくらいハンパなかったことだね。初めて発砲する時の「はーい」という掛け声はあまりにもマンガのイメージ通りで背中に電流が走ったくらいww

あと、序盤にチョイ役で出てくる中田コロリ役のラーメンズ片桐もまんまで(笑)、というか原作者の花沢健吾が芸能人を当て書きしてるふしがあるのであれだけど、見終わってみればキャスティングも満点。

こうなると否が応にも続編に期待しちゃいたいところだけど、ズッコケ臭がプンプンするのでやらない方がいっかな

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ワールド・ウォーZ

O0480071112654808260 出演:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ジェームズ・バッジ・デール、ダニエラ・ケルテス、デヴィッド・モース

監督:マーク・フォースター

(2013年・アメリカ・116分)DVD

内容:フィラデルフィアで妻と2人の娘と平穏な日々を送っていたジェリー・レイン。ある日、家族を乗せた車で渋滞中にビル群の爆発や相次ぐ玉突き事故などの異様な光景を目の当たりにする。さらに人の群れが手当たり次第に人に咬みつき、被害者は突如として凶暴化するのだった。なんとか現場を逃れた彼のもとにかつて勤務していた国連から、謎のウイルスが全世界的に感染拡大しているという連絡を受け、調査隊への参加を要請される・・・。

評価★★★★/75点

“Around The World In Seven Days”

アメリカの大都会フィラデルフィアとNY、韓国の米軍基地、聖地エルサレム、ウェールズのWHO研究所の全4ステージを“Z”と戦いながら、カーアクション、チャリンコレース、飛行機パニック、密室劇といった多彩なサバイバルシチュエーションとミッションをこなしてクリアしていくアクションRPG!という言葉がピタリとくる映画w

出会い頭に車が衝突しようが、飛行機の中で手榴弾を爆発させて客席が吹き飛ぼうが、その飛行機が墜落しようが、鋭利な破片が脇腹に突き刺さって貫通しようが、3日も寝れば全快になってしまうブラピの不死身ぶりはまさにゲームの主人公そのもの。

しかし、それをご都合主義と揶揄することは容易いものの、追うゾンビと逃げる人間というゾンビ映画の基本シークエンスであるミニマムな主観視点に、空撮とモブシーンというパニック映画のマクロな俯瞰視点を距離的空間的スケールで加えることにより阿鼻叫喚のパンデミック映画にブラッシュアップした演出はバカにはできない。

端的にいえばゾンビを天変地異と同類としたディザスタームービーにしたという点が新しいというか。要するにイナゴの大群だよね(笑)。

で、グロさを控え目にしている点も含めてテンポよく見れてしまう面白さはある。

ただ、ディザスタームービーにしちゃうと絶望が心地良いという欠点が出てきて、そこがクリアされていないため、どうしてもゲーム的になっちゃうんだよね。

それはつまりZを殲滅することに対する罪悪感、もっといえば肉親に手を下さなければならない絶望という極限状況まで追い込まれた人間模様を描かなければダメだったと思う。

まぁ、ブラピが出るビッグバジェットのイメージ的にそれは難しかったのかもしれないし、そんな悪夢のような心地の悪い映画を見たいかというと見たくはないんだけどね

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コンテイジョン

621 出演:マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グィネス・パルトロー、ケイト・ウィンスレット

監督:スティーヴン・ソダーバーグ

(2011年・アメリカ・106分)WOWOW

内容:ある日、香港からアメリカに帰国した女性がその2日後に高熱で死亡。同じような事例が世界各地で相次ぎ、それが短期間で死に至るような新種のウイルスによることが判明する。驚異的な速さで感染拡大し、死亡者も増大していく中、世界保健機関WHOやアメリカ疾病予防管理センターCDCなどはウイルスの特定とワクチン開発に乗り出すとともに、感染者の隔離と感染ルートの解明に奔走するが・・・。

評価★★★☆/70点

香港で発生した新種の殺人ウイルスが驚異的なスピードで全世界に広がっていくパニック群像劇だけど、不思議と緊迫感も迫り来る恐怖も感じられない。

それは締まりがないということではなく、驚異的なまでにそつなくまとめられていて、退屈はしないし、ifストーリー&シミュレートとしては面白く見られるのだけども、どこまでも淡々と状況説明だけに終始していてテンションが上がってこないのだ。

39度の熱にうなされている人々を35度の低熱で見つめ続ける他人事な感覚は好みではない。

まぁ、ソダーバーグ映画特有の熱量のなさについてはすでに免疫ができているので物足りなさを面白さが上回ったかんじではあるけど、映画を見たという感触には乏しい。

やはりこう考えてくると、映画にはヒーローがいた方がいいんだなと思ってしまうわけだけど・・

しかし、今回はワールドワイドなマクロ視点(システム管理する側)をベースにしていたので、どうしても個人・家族レベルのミクロ視点(管理される側)とは一定の距離を置かざるをえなかったのかもしれない。

そういう点ではソダーバーグの演出は舌を巻くばかりにこなれていて巧いとしか言いようがなく、どこぞの国の「感染列島」なんかよりは断然見応えがあることだけはたしかだw

★追記(2022年9月)

コロナ禍で2年以上マスク生活を強いられている中で再見。

大好きなグウィネス・パルトロウが序盤も序盤で泡吹いて絶命し検死で開頭されてしまう残酷さを目の当たりにして、コロナがもたらした混沌と恐怖、そしてヒーロー不在のやるせない現実を重ね合わせるとともに、感染経路の追求や濃厚接触者の行動履歴の特定など映画のリアリティに瞠目せざるを得ない。

いや、今回の映画ではコロナをはるかに上回る感染速度と致死性の高いウイルスのためロックダウン以上のカオスが一応は描かれているけど、そちら側のパニックエンタメに走らず、コロナで声高に叫ばれた「非接触」というキーワードを執拗に落とし込むなど、ここまで来るともはや笑うに笑えないレベル。。

1989年にバックトゥザフューチャーが描いた2015年の未来予測が話題になったことがあったが、ここまで的確に当たってしまった映画はそうそう無いかも・・。

ターミネーターの未来世界が来ないことを願うばかりですww

2022年1月 9日 (日)

夢のシネマパラダイス614番シアター:犯人は何処にー罪の声の真実ー

罪の声

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出演:小栗旬、星野源、松重豊、古舘寛治、市川実日子、火野正平、宇崎竜童、梶芽衣子、宇野祥平、篠原ゆき子

監督:土井裕泰

(2020年・東宝・142分)WOWOW

内容:1984年(昭和59年)に起きた食品会社を標的とした脅迫事件は、日本中を恐怖に陥れた劇場型犯罪として昭和最大の未解決事件となった。あれから35年後、新聞記者の阿久津はすでに時効となっている事件の真相を追う企画班に入れられ取材を始める。一方、京都でテーラーを営む曽根は、父親の遺品の中から見つけた古いカセットテープに小さい頃の自分の声が録音されていることに気づく。しかし、その声はあの事件で使われた脅迫テープと同じものだった・・・。

評価★★★★/80点

グリコ森永事件は自分が6歳の時だったのでほとんど記憶になく、2011年に放送された「NHKスペシャル未解決事件」でその詳細を初めて知った程度だった。

その点で当時5歳だった主人公・曽根俊也(星野源)の記憶をたどる旅は、どこか自分自身とも重ね合わせることができて感情移入しやすくて見入ってしまった。

また、プロットの構成も証言者のもとを訪ねてひたすら聞き込みを繰り返していくオーソドックスなものなんだけど、曽根と阿久津(小栗旬)2つのアプローチが交錯し真相に繋がっていくのは面白かったし、その真相が犯人捜しだけではなく、事件を通して十字架を背負わされた当事者たちの埋もれた人生にフォーカスしていくのも見ごたえがあった。

「目の前の不幸から目をそらさずに素数になるまで割り切って割り切って真実を明らかにする」というセリフが印象的だったけど、まさにその言葉通り丁寧に描写が積み重ねられていて、決して想像力に物を言わせたような突飛な小手先に陥らない説得力があったように思う。

考えてみれば先述したNHKスペシャルもドラマ仕立てで、めちゃくちゃ面白かったんだ。ノンフィクションドラマであれだけ面白いんだから、そりゃフィクションまぶしたら面白くならないはずがないよねw

ただ、あまりドバッと大量だと途端につまらなくなるし、その点この映画でのふりかける量は絶妙なんだよね。あくまで堅実に。良作。

P.S.

全共闘に対するどこか突き放したような冷めた視点とか分かるわーwと思ってたら、後日、原作者が自分と同学年であることを知って、この作品が自分にハマッた理由が腑に落ちた気がした。

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検察側の罪人

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出演:木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、大倉孝二、八嶋智人、酒向芳、キムラ緑子、松重豊、山崎努

監督・脚本:原田眞人

(2018年・東宝・123分)WOWOW

内容:若手検事の沖野は、心酔するエリート検事最上がいる東京地検刑事部に配属となり、さっそく老夫婦強盗殺人事件を担当することになる。が、事件の重要参考人の中にかつて時効になった女子高生殺害事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた最上は、目の色を変えて松倉を追及していく。そのやり方に沖野は次第に疑問を抱き始めるが・・・。

評価★★★☆/70点

行動派で正義感の強い型破りな検事役で大ヒットを飛ばしたテレビドラマHEROとは真逆の絵に描いたようなエリート検事・最上を演じたキムタクの汚れ役は新鮮だったし、新米検事の二宮や異様な存在感を発する犯人役など役者陣は軒並み見応えがある。

が、いかんせんシナリオ演出ともに不親切で共感の足がかりを得られないのがイマイチ。

特に最上の親友で国会議員・丹野の収賄スキャンダルやインパール作戦との絡みが雑でうまく伝わってこない。

インパールについては、丹野が反旗を翻す戦前回帰思想の先につながるものの象徴として描かれている面があり、最上もついぞ自らの手で裁くことなく今に至る過去の愚行から生還した祖父を持つ。

そんな中で最上は法で裁くことができない悪に鉄槌を下すため一線を越えるわけだけど、法より自分の正義を優先した行為を正当化するために丹野の遺志(歴史修正主義の断罪)をまるで免罪符であるかのように持ち出してくる。

けれども、所詮100パー私怨による復讐にすぎない最上のやってることは、結局インパールを指揮した大本営のなりふり構わない暴走と何ら変わらないわけで。

しかし、映画はそこの矛盾点を半ば意図的に放っぽり出してるのでタチが悪いんだよねw

また演出においても、築地本願寺での葬儀シーンや、二宮と吉高がベッドインした後の上下逆さまで寝るシンメトリーなど妙に異様さが際立っている。

ようするに漫才コンビ千鳥のフレーズを借りていえば、原田眞人のクセがすごいんじゃ~(笑)!

とは言いつつ、観客置いてけぼり感も含めて見た後の疲労度は高いけど、こういう生半可にはいかない映画も時には良い。ってことにしておくw

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三度目の殺人

172308_02出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず、満島真之介、市川実日子、橋爪功、斉藤由貴、吉田鋼太郎

監督・脚本:是枝裕和

(2017年・東宝・125分)WOWOW

内容:何よりも裁判の勝ちを優先するエリート弁護士の重盛は、供述が二転三転して手に負えないと同僚がサジを投げた殺人事件の弁護を引き受けることに。被告人の三隅は、解雇された工場の社長を殺害したかどで逮捕され、30年前にも殺人で服役しているうえ、今回も強盗殺人を認めており死刑は確実とみられていた。重盛は無期懲役に持ち込もうと戦略を立てるが、肝心の三隅は証言をコロコロ変え、重盛にも本心を見せないのだった・・・。

評価★★★☆/70点

いわゆる法廷サスペンスものの最終的なベクトルがたったひとつの真実の追求にあるとするならば、今回の映画はその定石をスルーしているので見る側としては戸惑ってしまうというのが正直なところ。

それどころか真実は十人十色であり、水面下の談合忖度調整により不条理や不都合=本当のことを取っ払ったストンと胸に落ちるそれらしいストーリーが形作られる。そして公の法廷の場にこれが真実ですよと差し出され、下される判決・・。

そんな人が人を裁く司法のあり方とそのシステムの内幕を描いているんだなと2回見てようやく気付いたけど、結局こちら側にはストンと胸に落ちてこないっていうオチ(笑)。

まぁ、原作によらないオリジナル映画だからこその強度が十二分にあるのは確かだし、いろいろ考えさせられるので見応えはあったけども。。

でもって頭の回転が鈍い自分の胸に1番響いたのは、万引きしないと父親に会えない娘の哀しさだった。でもこれも良い風にとった自分の信じたい解釈のひとつでしかないのかも・・w

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22年目の告白ー私が殺人犯ですー

Bc4c04a9出演:藤原竜也、伊藤英明、夏帆、野村周平、石橋杏奈、竜星涼、早乙女太一、平田満、岩松了、岩城滉一、仲村トオル

監督:入江悠

(2017年・日本・117分)WOWOW

内容:1995年、東京で連続殺人事件が発生。牧村刑事らの必死の捜査にもかかわらず2010年に時効を迎えてしまう。しかし、それから7年後。曽根崎という男が自ら犯人だと名乗り出て、告白本の出版会見を大々的に行う。マスコミ報道は過熱しネットも熱狂、本はベストセラーとなり、賛否渦巻く中で一躍時の人となっていくが・・・。 

評価★★★/65点

22年前って曾根崎(藤原竜也)はどう見ても未成年だったのでは?という違和感は最初からあったけど、あそこまでの展開は予想がつかず、サスペンスでこういうジェットコースタームービーは珍しいので楽しめたのはたしか。

とはいえ、どんでん返しの連チャンはその場しのぎの面白さで、強引なご都合主義を飲み込むほどの描写力には乏しかったかなと。

ようするに琴線にあまり響いてこないんだよね。

被害者遺族含めて登場人物の横のつながりが薄かったのが世界観の狭さにつながっていて、ヘヴィーな内容のわりにあくまでこれは画面の中で起きている出来事というライト感覚になっちゃってるのかなぁと。まぁ、破綻はせずによくまとめてるとは思うけどね。

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愚行録

E6849ae8a18ce98cb2e38386e382a3e382b6e383出演:妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜、中村倫也、眞島秀和、濱田マリ、平田満

監督:石川慶

(2016年・日本・120分)WOWOW

内容:エリートサラリーマンの夫と美人で有名な妻、その一人娘の田向一家が殺害される事件が起きて1年。未解決の中、週刊誌記者の田中武志は、一家の関係者の取材を始める。そして被害者夫の会社の同僚や、妻の大学時代の友人らの証言から一家の意外な素顔が明らかになっていく。そんな中、田中も妹の光子が育児放棄の疑いで逮捕されるという問題を抱えていた・・・。

評価★★★/65点

地方私大出の自分からすると、有名ブランド私大の中の学内ヒエラルキーは全くもって別世界で、「あの世界を知らない人にどう言っても伝わらない」というセリフはまさに的確。

まぁそこが映画を見る上での足かせになっているわけではなかったけど、独特な距離感はあったかも。

ただ、題名通りなそれぞれの愚行っぷりがレベルは違えどどこか他人事ではない人間の姿をさらけ出していて気持ち悪かったし、犯人の犯行動機が単なる復讐ではないところが、もの凄く現代的な薄気味悪さがあって怖かった。

なんだけど、1番の凶行者が狂言回しのカイザー・ソゼだったことに気付かされてさらなるブルーの底に。。重すぎるよ・・。

役者陣は軒並み好演。特に実は素演技だった!?小出恵介ww

2021年1月13日 (水)

夢のシネマパラダイス611番シアター:ジャスティス・リーグ

ジャスティス・リーグ

640出演:ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ガル・ガドット、エズラ・ミラー、ジェイソン・モモア、ジェレミー・アイアンズ、ダイアン・レイン

監督:ザック・スナイダー

(2017年・アメリカ・120分)WOWOW

内容:スーパーマンの犠牲により勝利を得たドゥームズデイとの死闘から数か月。太古の地球に襲来して一度は撃退されたステッペンウルフが、3つ揃うと強大な力をもたらす“マザーボックス”を集めるために再び現れた。そこでバットマンは先の戦いで出会ったワンダーウーマンとともに超人たちのスカウトに乗り出すが・・・。

評価★★★/65点

マーベル大感謝祭=アベンジャーズの明るいドンチャン騒ぎに比べると、DC版の方はお祭り感に乏しく、なかなか乗りきれなかったかんじ。

アベンジャーズでのインフィニティストーンに似たマザーボックスとか二番煎じ感も強くてイマイチ・・。

まぁ、スーパーマンが不在というのは大きい要素だけど、全体的に暗いトーンだし、それぞれのヒーローの持つ世界観も合致しきれていなくて奥行きがなかったかなと。

けど、チームになっても暗いってのはけっこう致命的だよねw

で、この暗さは一体何なんだろうと考えてみると、ヒーローの抱える孤独を見つめた上での成長過程を今まで描けてこなかったというか、その積み重ね=キャラの歴史が浅いというところに行き着いちゃうのかなと。そういう意味では見切り発車も甚だしいかんじだったのかもしれない。

うーん、マーベルが少年ジャンプだとすると、DCは少年チャンピオンてとこなのかな(笑)。

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アクアマン

Aquamanposter出演:ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、ウィレム・デフォー、パトリック・ウィルソン、ドルフ・ラングレン、ニコール・キッドマン

監督:ジェームズ・ワン

(2018年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:ある嵐の夜、港町の灯台守が海岸に打ち上げられた女性を救助する。彼女は海底国アトランティスの女王アトランナだった。やがて2人は恋に落ち、男の子アーサーを授かるが、アトランティスからの追っ手にアトランナは連れ戻されてしまう・・。時は流れ、たくましく成長したアーサーの前にアトランティスの隣国ゼベルの王女メラが現れる。アーサーの異父弟であるアトランティス王オームが地上の人類征服に乗り出したという。アーサーはその暴走を止めるべく戦いに身を投じていく・・・。

評価★★★/60点

マーベル映画マイティ・ソーをDCに置き換えたような趣で、SFからアドベンチャーまで色々な要素を詰め込んでいるものの、文字通りどこかの海賊版レベル。デジャヴもここまでインフレーション起こすと胸焼けしちゃうねw

話の筋も魚人族vs人間がメインになるのかと思っていたら、大雑把な内輪もめの兄弟ゲンカに終始していくし。。ブラックマンタのまさかの造型含めてヴィランの印象も弱い。重力から解放された縦横無尽のアクションだけが見所だった。

でも、唯一これ見て安心したのはワンピースの実写化はたぶん大丈夫だろうってこと(笑)。

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ワンダーウーマン

34614829922_f535b237de_z出演:ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、ダニー・ヒューストン、デヴィッド・シューリス、コニー・ニールセン

監督:パティ・ジェンキンス

(2017年・アメリカ・141分)WOWOW

内容:外界から隔絶されている女性だけが暮らす島に生まれ育ったアマゾン族の王女ダイアナは、最強の戦士になることを夢見て日々過酷な修行に励んでいた。そんなある日、外界から飛来した戦闘機が墜落し、ダイアナはアメリカ人パイロットのスティーブを救出。人類世界は第一次世界大戦の最中であることを知る。その裏に軍神アレスによる人類殲滅計画があると見抜いた彼女は、その野望を阻止すべく島から出てロンドンへ向かう・・・。

評価★★★★/75点

特別ワンダーなことは何もないオーソドックスな展開ながらも、女性主人公がピンで活躍するスーパーヒロイン映画はとんと見たことがなかったので新鮮ではあった。

特に、タイトルロールを演じたガル・ガドットのセクシー一辺倒ではないアスリート的美しさを兼ね備えたカッコ良さがピカイチ✨

映画から奇異な色メガネを外させることに成功しているし、男社会のルールを全く知らないイノセントなキャラ設定も相まって、男性ヒーロー映画にはない女性ならではの柔らかさと気品と力強さのある作品に仕上がっていたと思う。

また、時代設定をハイテク満載の現代ではなく、騎馬と戦車、長槍と機関銃という近世の遺物と近代兵器が混在していた第一次世界大戦時に置いたのも上手かった。剣と盾と投げ縄を携えて身ひとつで戦うワンダーウーマンの接近格闘アクションの入門編として格好の舞台だったと思う。

まぁ、第二次世界大戦だとナチスヒトラーという絶対悪が存在するので、軍神アレス云々の入り込む余地がないってのはあるよね。

次作でもっと時代が下った時に、時代背景に合わせて彼女のキャラクターにアレンジを加えるのか、処女性の担保も含めて楽しみなところだ。

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バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

20170614115645 出演: ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ジェシー・アイゼンバーグ、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ジェレミー・アイアンズ、ホリー・ハンター、ガル・ガドット、ケヴィン・コスナー

監督:ザック・スナイダー

(2016年・アメリカ・152分)WOWOW

内容:前作(マン・オブ・スティール)でゾッド将軍と死闘を繰り広げたスーパーマン=クラーク・ケント。しかし、その戦いによって大都市メトロポリスは破壊され多くの死傷者を出し、バットマン=ブルース・ウェインも巻き込まれた友人を亡くしてしまう。そして人々の間でスーパーマン脅威論が芽生え始めるのだった。そんな中、世界を股にかける多国籍企業体の総帥レックス・ルーサーは、スーパーマンを抹殺すべく動き出す・・・。

評価★★★/60点

「ダークナイト」が複雑に入り組んだストーリーラインの中に時代の価値観やメタファーを濃密に織り込ませ、なんだかよく分からなかったけど圧倒されたからもう1回見たいと思わせられたのに対し、今作はなんだかよく分からなかったけど心魅かれるものがなくてスカスカだったからもう見なくていいやと思ってしまった。

まずもってミソの付け始めが冒頭10分のプロローグの不親切な作り方。

メトロポリス上空に鎮座し地球を乗っ取ろうとするゾッド将軍の宇宙船とバトルを繰り広げるスーパーマン。この「マン・オブ・スティール」のクライマックスをそのまま今作の冒頭に持ってくるとは露知らず、記憶の糸をたぐり寄せるのに難儀し、開始早々から半歩遅れで見るハメに陥ってしまった・・・。

いや、しかし待てよ。何の前知識もなしに見たとはいえ、数年前の映画の大団円シーンのことなんて覚えてるかフツー(笑)。こういうのは前作を見ていない人でも分かるように作らないとダメだろと思うのは自分だけだろうか!?

さらに難癖をつけるとすれば、そもそも論のところで2人を対決させるというコンセプト自体に無理があったのではないかと感じてしまった。

2人が戦う理由とか、プロモーターに徹するレックス・ルーサーの行動原理とか、あげくの果てに2人の母親の名前がたまたま同じだったから仲直りとか全てが意味不明で、ただ単に主役の座を奪われたくない花形役者同士のいがみ合いにしか見えなかった。

狂気と紙一重なおかつ悪と表裏一体な正義の危うさという00年代以降アメコミ映画のトレンドとなったサブテーマもいい加減飽きてきたし・・。

まぁ、そういう意味ではスーパーマンが映画で活躍した80年代は絶対正義が絶対悪を打ち倒すという価値観に何の疑問も抱かなかった時代だったわけで、悪が悪でいることに理由は必要なかった。

一方、バットマンが映画で活躍した90年代は絶対的な正義に揺らぎが生じ始め、何が善で何が悪なのか区別がつきづらくなっていく道徳的観念の崩壊の序章ともいえ(91年「羊たちの沈黙」や95年「セブン」などに代表される時代背景)、その中で復讐心を身にまとったコウモリ男が目には目を歯には歯を、悪には恐怖をの精神で裁きを行っていく。

つまり、根明なスーパーマンと根暗なバットマンはちゃんと棲み分けできるはずなんだけど、「マン・オブ・スティール」でスーパーマンも根暗なベクトルに舵を切ったものだから、キャラクターに対照性がなくなっちゃったんだよね。

それゆえ苦しまぎれにスーパーマンはエイリアンという別次元の問題を持ち出してきて、かえって墓穴を掘っちゃったかんじ。。

DCコミックスのヒーローチーム“ジャスティスリーグ”のスタートとしては少しつまづいちゃったかなぁ・・。

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マン・オブ・スティール

157426_02出演:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ラッセル・クロウ

監督:ザック・スナイダー

(2013年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:クリプトン星の滅亡を悟った父親に最後の希望を託され、地球へと送り出された赤ん坊。ケント夫妻に拾われ、クラークと名付けられ育てられた彼は、次第に他人とは異なる超人的な能力に思い悩むようになる。そして青年になった彼は自分探しの旅を続けていた。そんな中、クリプトン星の再建を企むゾッド将軍がクラークの存在に気づき、地球へと襲来する・・・。

評価★★★★/80点

のっけから「アバター」に寄せたクリプトン星のヴィジュアルイメージには苦笑したけど、超能力が迫害の対象になるのはX-MEN、自分の正体を簡単にバラしてしまうのはアイアンマン、自分のアイデンティティに悩みながらそれを受け入れていくのはダークナイト、というように昨今のヒーローもののエッセンスのいいとこ取りみたいなかんじになっていて、タケちゃんマンと双璧を成すwかつての根明ヒーローの面影はもはやそこにはなかった。

唯一笑えたのは、手錠をかけられて取調室に連行されるところくらいだったし。。

個人的にはクラーク・ケント=カル・エルのバックボーンがよく描けていて感情移入できる今回の根暗ヒーローの方が好みではあるけど・・。

あとは何と言ってもキャスティング。

今までのキャリアの中で家族を守るために命をかけて戦い続けてきた印象が強いラッセル・クロウと、トウモロコシ畑が最も似合う男ケヴィン・コスナーを生みの親と育ての親に、また見事に歳を重ねているダイアン・レインが包容力のある母親という贅沢な配役が、映画をエモーショナルな部分でかなり底上げしていることは間違いない。

ゾッド将軍一味との怒涛の都市破壊バトルは、例え9.11を完全払拭したことを示すにしても少々やりすぎ感は否めなかったものの、リブートものとしては上々の出来だったと思う。

2020年12月30日 (水)

夢のシネマパラダイス610番シアター:打倒!藤井聡太

3月のライオン前後編

Eyecatch出演:神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果耶、前田吟、高橋一生、板谷由夏、奥貫薫、佐々木蔵之介、加瀬亮、伊勢谷友介、伊藤英明、豊川悦司

監督:大友啓史

(2017年・東宝・前編138分/後編140分)東宝シネマズ日本橋

内容:17歳のプロ棋士・桐山零。彼は幼い頃に交通事故で家族を失い、父の友人だったプロ棋士・幸田の内弟子になり、中学生棋士としてプロデビュー。しかし同じくプロを目指して挫折した幸田の実子である姉弟との軋轢もあり、高校入学を機に幸田家を出て下町のアパートで一人暮らしを始めていた。そんなある日、先輩棋士たちに酔い潰され道ばたでグッタリしているところを川本あかり(倉科カナ)に介抱される。以来、長女あかり、次女ひなた、末っ子モモの3姉妹とその祖父が暮らす川本家との交流が始まる・・・。

評価★★★★/80点

原作漫画ファンとしては、前後編4時間半超のボリュームで実写化してくれた贅沢さを素直に喜びたいところ。

染谷将太のまさかの二階堂をはじめとするハズレのないキャスト陣はもちろん、カレーに唐揚げに卵サラダにという最強のふくふく食卓風景から、見る側にも圧がかかる対局シーンに至るまで違和感がない再現率にはとりあえず脱帽(^^♪

各々が何かしらの枷を背負っているキャラクターもしっかり描けていたし、全体的には好印象だった。

ただ、前編・後編と分けて考えるよりは、4時間半の1本の映画を2つに分けたと見た方がいい作りになっていて、原作エピソードを満遍なく取り込んだ結果、逆に単独で見ると意外に奥行きが感じられない印象はあったかも。。

ここら辺のバランスの取り方は難しいところで、じゃあどのエピソードが不要だったのかといわれると、やっぱどれも必要だなと思うし、それどころか将棋部の野口センパイが出てこないのはなぜだ!?とヤキモキしてしまったくらいだから、まぁこれはこれで良しとしようか(笑)

有村架純の下着姿も見れたしなぁ♪っておいw!

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聖の青春

4d7b2ef5a98eea3ee3bdc69663f95c39d42d36b0 出演:松山ケンイチ、
東出昌大、染谷将太、安田顕、柄本時生、筒井道隆、竹下景子、リリー・フランキー

監督:森義隆

(2016年・日本・124分)WOWOW

内容:広島で生まれ幼い頃に難病を患い入退院を繰り返していた村山聖は、父親から教わった将棋に熱中するようになる。すぐに頭角を現し10代の頃から東の天才・羽生善治、西の怪童・村山聖と称されるまでになり、その後広島から単身大阪へ出て17歳という異例の早さでプロデビューを果たす。やがて、ライバル羽生に追いつくために拠点を東京へ移して将棋に打ち込むが、病魔は少しずつ彼の身体を蝕んでいく・・・。

評価★★★☆/70点

ダウンタウンの松本人志がテレビ番組で、仕事に手ぶらで行って手ぶらで帰ってくる棋士のカッコ良さに憧れると言っていた。

たしかに明晰な頭脳とジッと正座できる忍耐力でもって身ひとつでお金を稼ぐ美学ってなんか分かるなぁと思ったけど、映画を見てプロの世界というのはそんな生半可なスマートさとはかけ離れた壮絶なものなのだということがよく分かった。

全国に数多いるであろう天才少年のさらにひと握りしかプロになれない(基本的に1年に4人しかなれない&26歳以下の年齢制限あり)狭き門のさらにその先に待つ過酷な勝負の世界。

ある者はこう言う。

トップレベルの戦いは、まるで爆弾魔が仕掛けた時限爆弾の装置で複数の配線コードのうちどれかを切れば解除できるという究極の選択を延々やり続けることに似ている、と。しかも、その配線コードは赤か青かの2通りではない。1手打つ指し手の平均は80通りあるといわれている・・😵

そんな神経をすり減らしていく生きるか死ぬかのような戦いを10時間以上も続けていったら、それはもう狂気の世界だろう。

そして、そこに命を削りながら一心不乱に身を置き続けた村山聖という男の生き様もまた常人では計り知れない凄さがあって、なんだか最後は泣きそうになるくらい胸に迫ってくるものがあった。

偏屈で破天荒な外面の悪さとは裏腹な孤独な内面に宿る生真面目さや優しさを、大増量した松山ケンイチが上手く体現していて見入ってしまったし、それ以上に名人羽生善治を演じた東出昌大がスゴイのなんの。将棋を指している時の一瞬一瞬の仕草がホントに羽生が憑依したかのように見える時があって、背中にゾワッと悪寒が走ってしまうくらいだった。

聖×羽生というコントラストが本作のキーワードだったとすれば、松山×東出は今回本当に良い仕事をしてくれたと思う。

81マスの盤上の海にダイブして深く深く潜り込んでいくうちに、「その深淵から戻ってこれなくなるんじゃないかと時々怖くなる時がある」と真顔でつぶやく羽生、その羽生と同じ景色を見るために判断力を鈍らせるわけにはいかないと抗がん剤や鎮痛剤の投与さえ拒否する聖の執念。

その世界を極めた者にしか持ちえない境地といっていいのかどうか分からないけど、2人に近づきがたい畏怖の存在を感じ取って圧倒された。

それに比べて自分のなんとヌルい人生よ・・wちゃんと生き抜こっ!

夢のシネマパラダイス151番シアター:新聞記者

新聞記者

20190214shimbunkisha_full出演:シム・ウンギョン、松坂桃李、本田翼、岡山天音、西田尚美、高橋和也、北村有起哉、田中哲司

監督:藤井道人

(2019年・日本・113分)WOWOW

内容:日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育った東都新聞の社会部記者・吉岡(シム・ウンギョン)。ある日、社会部に医療系大学新設計画に関する匿名のFAXが届き、吉岡は上司の陣野(北村有起哉)からその極秘文書の裏を取るよう指示される。そして彼女は内閣府の神崎(高橋和也)という人物にたどり着く。一方、外務省から内閣情報調査室へ出向している杉原(松坂桃李)は、政権を維持するために情報操作する仕事に悩みながら日々を送っていた。そんな中、外務省時代の上司だった神崎が自殺してしまう・・・。

評価★★★★★/90点

ウォーターゲート事件を題材にした「大統領の陰謀」とその前日譚でベトナム戦争の愚行に迫る「ペンタゴンペーパーズ」、イラク戦争の大義の欺まんを暴く「記者たち衝撃と畏怖の真実」、原発問題に切り込む「チャイナシンドローム」、巨大宗教権力の闇に挑む「スポットライト世紀のスクープ」、政治権力に対するジャーナリズムの矜持を描いた「グッドナイト&グッドラック」etc..

“ペンは剣よりも強し”な実録社会派ドラマを量産してきたアメリカ映画の懐の深さに羨ましさを感じてきた中、まさか令和の時代に攻めに攻めたポリティカルサスペンスを日本映画で見ることができるとは思いもよらなかった。

しかも、憲政史上最長政権が健在だった中でガッツリ批判的な内容を一目でそれと分かるように描いてしまうのだから、その映画人としての勇気は大いに買いたいところ。

ただ、その気概が強すぎて娯楽作品としての遊びがないのと、総理に直結しながら霞が関の中でも実態がよく分からないとされる内閣情報調査室と田中哲司の仏頂面を権力体制の象徴として描き、政治家を一切出さないのも映画の奥行きを狭めたきらいはある。

まぁ、映画原案の東京新聞・望月衣塑子記者や元文部官僚が劇中のTV座談会に実際に登場するくらいだから、政権批判のベクトルに前のめりになる作りになるのは当初の狙いだったのだろうけど。

あと、キャラ設定にやや難ありだったとはいえ、主演女優のシム・ウンギョンの頑張りは大いに認めたいところ。

聞くところによると日本人女優がことごとくオファーを蹴ったということで白羽の矢が立ったらしいけど、望月記者に密着した森達也監督のドキュメンタリー映画の中で、彼女に対して朝鮮人呼ばわりする脅迫クレーマーが出てきたので、それに対する強烈な意趣返しだとしたら面白かったのに。

ちなみに、望月記者当人は感情の湿りが強い映画のシム・ウンギョンとは真逆の佐藤仁美みたいな男勝りキャラだったw

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スポットライト 世紀のスクープ

Spotlight560x840出演:マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス、リーヴ・シュレイバー、ビリー・クラダップ、スタンリー・トゥッチ

監督:トム・マッカーシー

(2015年・アメリカ・128分)WOWOW

内容:2001年、ボストン。地元のボストン・グローブ新聞社に編集局長として赴任したマーティ・バロンは、ゲーガン事件-神父による80人にものぼる子供への性的虐待事件-の見直しを命じる。しかし読者の多くをカトリック信者が占める中ではタブーとされる醜聞であり、幹部は難色を示す。そんな中でウォルター・ロビンソンら4人の記者たち“スポットライト”チームに事件の調査取材が任された・・・。

評価★★★/65点

いくら世界で最も宗教に疎い日本人のひとりとはいえ、ひとつの街で250人もの神父が児童の性的虐待に関わっていた事実、そしてこれは世界的にみれば氷山の一角にすぎないという事実には驚きを通り越してドン引きするしかない。

なんだけど、あまりにも実話としての重みがセンセーショナルすぎて各方面への配慮と慎重さが求められたのか、映画のプロット構築が真面目すぎて、角の立たない無難な作りに終始してる感が強かったかなぁ。

スポットライトのチームスタッフにあっても主人公を置かず、被害者は不特定多数、加害者は教会組織という中で個人の顔がなかなか見えてこなくて、そこが物足りない部分だったのかなという気はする。

まぁ、意図した作りだったんだろうし、その土地と教会が密接に結びついているアメリカ社会においてタブーに切り込んだだけでも評価すべきことなのかもしれないけど、これでアカデミー賞てのは正直意外。。

ただ、声なき声にスポットライトを当てるジャーナリズムの使命を疎かにしてしまった自省という面を重くとらえている向きもあって、ジャーナリズム=正義として必ずしも描こうとしていないところが、この映画の誠実さを如実に示しているところではあるんだよね。

しかしまぁ、事実は小説より奇なりとはいうけど、ここまでおぞましい事実を突きつけられるとなんだかねぇ・・。

教会は万能で何でもできるというセリフがあったけど、キリスト教に全くの門外漢な自分としては、教会が地域で果たす役割やその聖域性を肌で知っていれば、この映画に対する見方もかなり違ってくるんだろうなぁとは思った。だって警察や弁護士はじめ地域も薄々感づいていたわけでしょ。けど子供を守るべき大人が声を上げられない動けないってどんだけ硬直した社会なんだよ・・・。

日本でも教師のわいせつ事件とかビックリするくらい多いらしいけど、学校も閉鎖空間だし、もう第3者のカウンセラーとか学校に常設してオープンにするとか、あるいはそういう輩にはGPS付けるしか防ぎようがないと思うな。

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消されたヘッドライン

1 出演:ラッセル・クロウ、ベン・アフレック、レイチェル・マクアダムス、ヘレン・ミレン、ジェイソン・ベイトマン、ロビン・ライト・ペン

監督:ケヴィン・マクドナルド

(2009年・米・127分)WOWOW

 

内容:ワシントンDC。ある夜、ヤク中の黒人少年が何者かに射殺され、地元紙ワシントン・グローブの記者カル・マカフリーが取材を開始する。その翌朝、コリンズ下院議員の秘書ソニアが地下鉄で不審な死を遂げる。マスコミがコリンズとソニアの不倫疑惑を一斉に報じる中、コリンズは旧知の間柄であるカルにソニアの死は自殺ではないと主張する。カルは女性新米記者デラとともに取材を進めていくが・・・。

評価★★★☆/70点

真実を追い求めようとする者の姿ほどアツい人間力が発揮されるものはない。

銃という飛び道具を持つ刑事よりも、ペンと足と信用で勝負する新聞記者の方がより人間力が試されるという点で、個人的には新聞記者を描いた映画はかなり好みの部類。

骨太な社会派「紳士協定」(1947)やラブロマンス「ローマの休日」(1953)、戦場の真実を追った「キリング・フィールド」(1984)など古今を問わず様々なジャンルに及んでいるけど、やはり「クライマーズ・ハイ」(2008)のような新聞社を舞台にした作品や、権力を監視することが本来の職務であるジャーナリスト魂を感じさせる「大統領の陰謀」(1976)のような作品が好きかな。

その点でいえば、今回の映画はドンピシャのネタだと思うんだけども、軍産複合体の実態にジワリジワリと迫っていくプロセスはスリリングで面白かったものの、結局最後に個人の問題に帰結してしまったどんでん返しにはいささか辟易してしまった。

巨悪の闇を隠そうと事件を矮小化しようとする権力側とそれに対抗するジャーナリズムという「大統領の陰謀」的構図を踏襲しつつ、その裏側に売れることありきで針小棒大にネタを書き立てようとするメディアの危うさを盛り込んだのは買いなのだけど、さらにそこにひとひねり付け加えたことで、実は事実そのものが矮小なものだったのだというオチは、まるでピンと張り詰めた風船が一気にしぼんでしまったような呆気なさを感じて思わずガクッときてしまう。

誰よりも速く情報を知りたい、何よりもスキャンダラスなニュースを知りたいというWEB&メディア社会に生きる我々に対する皮肉とメディアへの警鐘が裏テーマとしてあったということなのだろうけど、ちょっと消化不良だったかな。

まぁ、とはいえ、ラッセル・クロウの一癖ある人物像や、脇に配された女性陣の印象深い存在感など役者陣はおおむね良かったし、二転三転する展開も面白く、見て損はない作品だとは思った。

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大統領の陰謀

Image848 出演:ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン、ジェイソン・ロバーズ

監督:アラン・J・パクラ

(1976年・アメリカ・132分)NHK-BS

評価★★★★/80点

 

内容:1972年6月17日、ワシントンのウォーターゲートビルにある民主党全国委員会本部に5人の男たちが侵入し逮捕された。男たちは盗聴器を仕掛けるために入り込んだが、共和党の狂信者による単独犯行として片付けられる。「ワシントン・ポスト」の若い記者バーンスタインとウッドワードは、事件の背後に何者かの陰謀を感じ取り、追跡調査に乗り出した。ウォーターゲート事件の真相究明に奔走した「ワシントン・ポスト」紙記者の実話の映画化。

“ディープ・スロートが始めからしゃべっとれば済む話ちゃうの?とついつい思ってしまう。。”

事件から30数年経った2005年に、ディープ・スロートの正体が元FBI副長官だったことが判明して一躍話題になっちゃったけど。

でも、この映画見ると、ラストでしゃべるくらいなら最初からしゃべっとけば逆に自分の身も安全だろうにと思っちゃった。。実際はどうだったのか分からんが。

そいえばX-ファイルにもディープ・スロートって出てきたっけ。この映画からきているのだろうか。

でもまぁ、この映画で気になったのはディープ・スロートくらいなもんで、他は全体を通していえばほぼ完璧ともいえる映画だったと思う。

幾層にも重なった断片的な情報の積み重ねを玉ネギの表皮を1枚1枚剥がしていくようにしっかりと描き出していく。

例えば、2万5千ドルの小切手にケネス・ダールバーグという名前を見つけるくだりでも、事務所になんとか入り込むために受付の女性との口八丁手八丁のやりとりをするところを手抜きをせずにちゃんと描く。

それによって、断片的な情報がより実体をもったものとして生きてくる。

そして、その積み重ねによって、最初は得体の知れない何かとしか分からなかったものの正体が徐々に明らかになっていく。

真実に辿り着くまでの過程の描き方が非常に緻密で素晴らしく、見ごたえのある作品になっていると思う。

ただ難点、アメリカ人にとっては難点じゃないだろうけど、特に初めてこの映画を見る日本人には見てるうちに何がナンだか分からなくなってくるのではないかなと。アメリカの選挙方式も含めて。。

恥ずかしながら自分も途中からわけが分からなくなったくちで・・。2回見てやっと理解。。

というのも関係者の人物名が多すぎて、人物関係がつかめなくなっちゃうんだよね。

ケネス・ダールバーグあたりまでは追えるけど、その後ずらりと次から次へとスタンズやらスローンやらポーター、、え?何者?カーンバック??カムバックじゃなくて?チェーピン???ホールドマンって誰?って黒幕かよ!

もうお手上げ~~。

結局2回目はメモしながら見たけど、これがけっこう凄い人物相関図になるのね。。

ハワード・ハントからチャールズ・コルソンとマレン社に枝分かれした後、ホールドマンに至るまでの流れがけっこうどころじゃなく凄い。

この映画に出てくるウォーターゲート事件に関連した人物名、ワシントンポスト勤務者以外でなんと25人くらいになります。これにウッドワード、バーンスタイン、ディープ・スロートなどを含めるとざっと30人にはなるんだよね。

脳の処理能力超えてるだろww

まあ逆にいえば2時間ちょいによく収めたなあってことなんだけど。

でもディープ・スロートが最初にしゃべっとけば、とやっぱり思っちゃうよねこれ・・。

2019年9月15日 (日)

夢のシネマパラダイス20番シアター:ディズニーアニメ第2倉庫

ズートピア

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声の出演(吹き替え版):上戸彩、三宅健太、高橋茂雄、玄田哲章、竹内順子、Dream Ami

監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア

(2016年・アメリカ・108分)WOWOW

内容:肉食動物も草食動物も関係なく共生している動物たちの楽園ズートピアで史上初のウサギの警察官となったジュディ。しかし、周りからは半人前扱いされ、任されるのは駐車違反の取り締まりばかり。そんな中、巷では連続行方不明事件が多発し、ジュディにも捜査へ参加するチャンスが巡ってくる。そして偶然知り合った詐欺師のキツネ・ニックとともに捜査をするのだが・・・。

評価★★★★/75点

アニメが本来持つ伝える力の純度の高さというものをこれほど感じられる作品はないのではなかろうか。

様々な個性を持ったアニマルキャラが共存する自由の地ズートピアをユーモアたっぷりに描きながらも現実の人間社会とリンクさせ、肉食動物と草食動物、大型動物と小型動物、オスとメス、マジョリティとマイノリティなど様々な要素にメタファーを織り込み、見ているこちら側にまで先入観や偏見をさりげなく植え付ける仕掛けになっているところがこの映画のミソ。

また、アイスショップでキツネにはアイスは売らないと言われてすったもんだするシーンなんかも、キツネは少々差別を受けても仕方ないよなとスルーしちゃったし、事件のキーワードとなる“夜の遠吠え”=オオカミの仕業と推理するくだりもオオカミが犯人ならとどこかで納得してしまうし、正義感が強く警察学校を首席で卒業した優秀なジュディなら間違うはずがないと思ってしまう。

ここら辺の先入観を逆手に取ったミスリードの仕方が実に上手くて、お手柄を立てたジュディが「狂暴化したのは肉食動物だけだから、生来持つDNAのせいなのかも」「けどニック、もちろんあなたは別よ」と発言してしまうところで、理性がもたらす“悪意なき差別”に我々もハッと気付かされることになる。

その気付きを学んで、ジュディとニックは悪意ある差別をまき散らそうとする真の黒幕を一刀両断するわけで、一筋縄ではいかない差別・偏見のはびこる人間社会を分かりやすい縮図として表し、お互いの違いを認め合うことの大切さという子供から大人まで理解できるメッセージ性を有した作品に仕上げてしまうのだから恐れ入る。

そして、ここまで高いクオリティを保った作品を提示できるのは、たぶん今ディズニーしかないということも実感してしまうジブリファンなのだったw

P.S. 日本アニメは宮崎駿、押井守、大友克洋、新海誠など作家性が前面に出るのが常なので、今作みたいにディズニー印のもとに共同監督+脚本家7人なんていうアベンジャーズばりのチーム体制で作り上げていく手法は日本ではあまり出来ないのかもね。。

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ベイマックス

45110声の出演(吹き替え版):川島得愛、本城雄太郎、菅野美穂、小泉孝太郎

監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ

(2014年・アメリカ・102分)WOWOW

内容:近未来の最先端都市サンフランソウキョウ。幼い頃に両親を亡くした14歳の少年ヒロは、兄のタダシとともに叔母キャスのもとで暮らしていた。飛び級で高校を卒業してしまった天才のヒロは、タダシが通う大学に入ることを夢見ていた。そして入試を兼ねた研究発表も無事終わるが、その会場で爆発事故が起こってタダシが命を落とし、ヒロはメンタルをすっかりやられてしまう。そんな彼の前に現われたのは、タダシが残した形見のケアロボット“ベイマックス”だった・・・。

評価★★★/60点

主人公の少年がトトロとゴーストバスターズのマシュマロマンを掛け合わせたようなツルツルロボのベイマックスに包み込まれるように抱き寄せられる予告編のワンシーンくらいしか予備知識がない中で見たんだけど、予告編のイメージとしてはピクサーのウォーリーと未来少年ヒロの友情癒やし系物語かと思っていた。

しかし、見始めていくと次第にMr.インクレディブル的ヒーローアクションものの様相を呈してきて、最後はマーベルのロゴがでん!と出た後にスタン・リーまで出てきて。

そっか、、原題のビッグヒーロー6ってそういうことだったのか・・・。

うまいこと予告編に刷り込まれたかんじだけど、マーベルヒーローという前情報だけでも知ってればもっと面白く見れたはず、と思ったのは自分だけw?

でも、そうはいっても今回の作品はウォーリーの擬人化されたキャラの豊かな感情表現にも、Mr.インクレディブルの魅力的なキャラクター造形のアンサンブルにも遠く及ばないけどね

やっぱりピクサーに比べるとディズニーはひとかけの隠し味の工夫と、もうひとかけの毒気が足りないんだよなぁ。。

せめてビッグヒーロー6のチームメンバーになるヒロのオタク同級生たちをもっと前面に出してほしかったな。

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アナと雪の女王

T0018069p声の出演(吹き替え版):神田沙也加、松たか子、原慎一郎、ピエール瀧、津田英佑、多田野曜平

監督:クリス・バック、ジェニファー・リー

(2013年・アメリカ・102分)WOWOW

内容:アレンデール王国の幼いプリンセス姉妹エルサとアナ。姉エルサには触れたものを凍らせてしまう魔法の能力があったが、ある時、不注意で妹アナに怪我を負わせてしまう。それ以来、責任を感じたエルサは部屋に引きこもってしまう。それから時は流れ、国王夫妻が事故で亡くなり、エルサは王位を継ぐことに。しかし、戴冠式の最中に力を制御できなくなり、真夏の王国を厳冬に変えてしまったエルサは、王宮から逃亡し、今度は雪山に築いた氷の城に引きこもってしまう。アナは、なんとか姉と王国の危機を救おうと雪山へ向かうのだが・・・。

評価★★★★/75点

2014年記録づくめの特大ヒットとなった今作をリアルタイムで見ていない自分は世の中のフィーバーをいくぶん冷めた視線というか半信半疑で見ていたところがあった。

それはディズニーアニメは大人の鑑賞に耐えうるものではないという先入観がいまだに拭いきれていなかったからだ。いまだにというのは「塔の上のラプンツェル」(2010)が目を見張るような良作だったのに対し、その流れがアナ雪にも受け継がれているのかまだ十分信用できなかったということで

しかし、満を持して見てみたら、その流れはちゃんと踏襲されていて水準以上の作品になっていたと思う。

その流れとは具体的には3DCGの作画技術が生み出す魅力的なキャラクタリゼーションにあるといっていいと思うけど、特に顔の造形力と表情筋の豊かさは特筆もので、実写の質感に寄せていくリアル志向なベクトルではなく、あくまでアニメーションであることを意識したデフォルメとクレイアニメに近い柔らかく暖かみのある質感が親近感のわくキャラクターにつながっていて、そのポイントがアナ雪ではより強調されて描かれていたと思う。

それにより複雑な感情表現も登場人物に違和感なく反映されていて、それが自然と個性に昇華されているのが最大の強みだと思う。

これはジョン・ラセターをはじめとするピクサーの血が入り込んでいることが大きいと思うけど、反面ストーリーラインの方がオーソドックスで平板にすぎて、歴史的なメガヒットに足る魅力があったかといえばやや疑問。

姉妹に愛憎劇が絡むと「何がジェーンに起ったか」(1962)のようなおぞましいほどのスリラーに変貌を遂げちゃうけど、ディズニーの王道プリンセス物語に沿った予定調和なソフトタッチがやや物足りなかったかな。

さっき複雑な感情表現と書いたけど、その点ではまだまだ足りなかったし、例えばエルサの苦悩はもっと掘り下げてもよかった。エルサの感情が爆発するレット・イット・ゴーもう歌っちゃうの!?と正直意表をつかれちゃったし。エルサにしろアナにしろ、あるいは両親の死など、それぞれの要素がこちらの感情を強く喚起するまでの奥行きと広がりに乏しかったのはかなり惜しかった。

しかし、それを補ってあまりあるミュージカルの魅力は満載で、さすがミュージカルの本場アメリカだと思わせてくれる素晴らしさだった♪

考えてみればディズニーアニメで1番の傑作「美女と野獣」も音楽と作劇が見事に融合していたけど、それを彷彿とさせるかんじだったし。

で、結局メガヒットの最大の功労者は、音楽の力、そして神田沙也加と松たか子の吹き替えに尽きるってことなのかなと(笑)。

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プレーンズ

Poster2声の出演(吹き替え版):瑛太、石田太郎、井上芳雄、山口智充、小林沙苗、天田益男

監督:クレイ・ホール

(2013年・アメリカ・92分)WOWOW

内容:田舎の農場で働く農薬散布機のダスティは、世界一周レースに出てチャンピオンになることを夢見ていた。レース用飛行機ではない彼の夢を誰もまともに取り合ってくれない中、親友の燃料トラック・チャグとフォークリフト・ドッティだけは応援していた。その甲斐もあり、ダスティは奇跡的に本選出場を決めるが、高所恐怖症という最大の弱点をどうにも克服できずにいた・・・。

評価★★★/60点

ピクサー製作「カーズ」のスピンオフ企画だけど、ピクサーではなくディズニーが製作している変わり種。

話の構成や画作りも「カーズ」をほぼ踏襲しているんだけど、なぜいまいち面白くないんだろう・・

なんかピクサーとディズニーのレベルの差が如実に表れちゃったかんじだけど、その差はシナリオの精度といってよく、絵は同じでもシナリオに魅力がないと全体として歴然としたレベルの差になってしまうという、これほど分かりやすい対照実験もないよな

特に挫折と成長というキーワードを欠いた主人公のキャラクターが映画を一本調子なものにして奥行きを狭めてしまっているんだよね。

その点ピクサーはそこに時間と手間ひまをかけて上手く作っているわけで。

まぁ、正直今回のはテレビ映画向きのレベルだよね。と思ったらもともとそういう企画だったのかい。納得。。

P.S. 2作目も似たようなもんでした・・・w

2018年11月 6日 (火)

夢のシネマパラダイス568番シアター:天下分け目の決戦!

レッドクリフPartⅠ

279_2 出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、中村獅童、リン・チーリン

監督:ジョン・ウー

(2008年・中/日/台/韓・145分)盛岡フォーラム

内容:西暦208年。魏の曹操は呉蜀の制圧に向け80万の大軍を率いて南下を開始した。最初の標的となった僅か2万の劉備軍は、関羽・張飛・趙雲らの猛将を擁しながらも敗走を重ねる。そして、天才軍師の諸葛孔明は、江東の孫権との同盟を結ぶ以外に道はないと進言し、自ら呉の地へと赴く。そこで孔明は、呉の司令官・周瑜と出会う。。

評価★★★★/75点

人形劇、漫画、TVゲームと子供の頃から連綿と付き合ってきた三国志が満を持して実写映画として登場!ということだけでも血湧き肉躍る心持ちにさせられるのだけど、と同時に横山光輝が60巻かけて描いた大長編を2部作とはいえ描ききるのは到底無理という中で、三国志最大の見せ場である赤壁の戦いに的を絞ったのは賢いやり方だったとは思う。

その中で、人物紹介もそこそこに観客をいきなり渦中に巻き込む演出は三国志初心者の目にどう映るかは疑問だけど、織田信長や徳川家康、武田信玄にいちいちキャラクター説明が不用なように、三国志の登場人物も同じである自分からするとかなり満足のいく出来。

唯一、劉備だけは覇気のないオッサン風のバカ殿っぽく描かれていて意外だったけど、孔明や関羽を引き立たせるための設定だったのかも。そういう点では孫権もやや頼りなさげで、これも周瑜を引き立たせるためだったのだろう。

まぁ、演出といったって、ぶっちゃけオールスターキャスト時代劇の忠臣蔵を見るようなものだから、大ボケかまさないかぎりは面白くならないはずがないフォーマットだからね。

その中で、全体としては、人海戦術とCGを駆使したド派手な戦闘アクションを基本とした構成の中で、関羽・張飛・趙雲といったおなじみの英雄の大見得を切る見せ場もたっぷりあってファンとしては嬉しいかぎりのシーンの連続だったし、周瑜と孔明のカリスマ博識バトルはゾクゾクもの、絶世の美女・小喬(リン・チーリン)には目を奪われっぱなし、さらに三国志の様々なTVゲームで大変お世話になった最強布陣・八卦の陣を壮大な実写で見れたとくれば、あれよあれよという間の2時間半で、赤壁の戦いに向けてオイラのテンションはMAX状態!

まだ、大本番前の第一幕でしかないので評価しづらいところだけど、まずはこの壮大な歴史スペクタクルの夢の映像化に祝福を送りたい。

約15年ぶりにアジア圏に凱旋してきたジョン・ウーの並々ならぬ意気込みがスクリーンからも伝わってきたし、久々にこれが娯楽映画だ!と思える映画を見れた気がする。

第二幕に期待っス。

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レッドクリフPartⅡ-未来への最終決戦-(2009年・中/日/台/韓/米・144分)盛岡フォーラム

 監督:ジョン・ウー

 出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、中村獅童、リン・チーリン

 内容:80万の曹操軍を5万の軍勢で撃退した孫権・劉備連合軍だったが、依然として強い勢力を誇る曹操は、2千隻の軍船を率いて長江の赤壁へと進軍する。慣れない土地で疫病が蔓延するものの、曹操の非情な決断が功を奏し対岸の連合軍にも疫病が飛び火、劉備軍が撤退するハメに陥ってしまう。ひとり孫権軍に残った孔明と周瑜が策を練る中、周瑜の妹・尚香が曹操軍に潜入する・・・。

評価★★★/65点

PartⅠが145分だったからPartⅡもそのくらいじゃないとダメやろっちゅうことで作ったのかもしれないけど、完全に冗長な作品に堕してしまい、MAX状態だった自分のテンションは尻つぼみに・・・。

1作目は個々のキャラクターの見せ場を存分に引き出すことで娯楽大作として見所満載の作品に仕上がっていたけど、今回の第二幕の見せ場はスクリーンを焼き尽くさんばかりの爆薬たっぷりの炎と赤壁の海上戦のスペクタクルのみ。

たしかにそれで十分元は取れるのだけど、そこに介在する人間の魅力が決定的に乏しいのがなんともイタイ。

早々に劉備軍が撤退してしまうため、関羽・張飛・趙雲といった勇猛果敢な闘将の出番がほとんどなくなってしまったことがかなり影響していて、知将の周瑜と孔明の泰然自若の面構えだけが強調されすぎてしまい、さらに孫権も1作目同様パッとしなかったし、どうも人間味が足りず・・・。

さらに、蜀の将軍たちに代わって前線に出て行く周瑜の妹・尚香と敵のおデブ隊長とのロマンスも蛇足に過ぎて面白くないし、周瑜の妻・小喬の命を賭した決断と行動もイマイチ燃えず。

唯一、善悪二面性を強烈に持ち合わせた曹操だけが人間臭かったのはなんとも皮肉だ。

史実はどうあれ、人物がある程度ステレオタイプに描かれるのは致し方ないとしても、もうちょっと造型深く描いてほしかったかなと。

どうせだったら、関羽や張飛の出番が少ないぶん、他のキャラにもっとスポットを当てた方が良かったのかも。

例えば、赤壁の戦いにおいて重要な役割を担った呉の老将・黄蓋なんて絶対に面白いと思うんだけどなぁ。演じてる役者さんが北大路欣也に似てたしww

わざと周瑜と対立し、その不満を理由に曹操に投降した黄蓋。しかしそれは曹操を油断させるための偽りの投降で、戦いの火蓋が切って落とされると、自軍の軍船に火を放って曹操軍に突入。その最中、流れ矢に当たったものの九死に一生を得て火攻めの最大の功労者となった。わざと自身を苦しませて敵を欺いたこの黄蓋の行為は「苦肉の策」という名言の語源となったことでも有名だ。

ところがだ、映画ではこの苦肉の計は周瑜にあっさり却下されちゃって(笑)、かわりに小喬が曹操陣営に赴く話にすり替わってしまった。。

分かりやすすぎるくらい分かりやすいお話ゆえ、いろいろ脚色しやすかったのだろうけど、手を加えすぎて逆に「危急存亡の秋」(これも三国志からの語源)になってしまったら元も子もない。

とにもかくにも、第二幕はな~んか物足りなかったなぁ・・。

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関ヶ原

Mv61335_992725679791aa4c82204dff1486cfa8出演:岡田准一、有村架純、平岳大、東出昌大、北村有起哉、音尾琢真、滝藤賢一、西岡徳馬、松山ケンイチ、役所広司

監督・脚本:原田眞人

(2017年・東宝・149分)WOWOW

内容:1598年、豊臣秀吉が息を引き取った。幼い頃より秀吉に仕えてきた石田三成は、虎視眈々と次の天下の座を狙う徳川家康と対立していく。三成を筆頭にした文治派に不満を抱いていた福島正則・加藤清正をはじめとする武断派に甘言を説いて豊臣家臣団の分断を図るなど権謀術数を仕掛けてくる家康。それに対し三成は、天下を二つに割って家康と対峙し討つための準備を進めていく。そして1600年9月15日、三成率いる西軍優勢と思われる中で天下分け目の関ヶ原の戦いが幕を開けるが・・・。

評価★★★/65点

司馬遼太郎の原作は未読。

てっきり関ヶ原の戦場での状況を克明に描いていく作品なのかと思いきや、関ヶ原に至るまでの両陣営の経緯の方にかなりの時間を割いていて、見ている途中で関ヶ原に布陣したところでラストだったりして、とヤキモキしてしまった。

しかしまぁ、2時間半によくまとめて描ききったなぁと原田眞人監督の豪腕ぶりには感心してしまうけど、どうせだったら前後編に分ければよかったのに(笑)。

滑舌無視の早口言葉や方言丸出しでセリフが聞き取れない問題は置いとくとしても、関ヶ原への経緯を描いた再現ドラマを1.5倍速で見せられているような置いてけぼり感は少なからずあって、見る側にかなりのレベルを要求される映画なのはたしか。

完全に蛇足だった伊賀忍者とのエピソード含めて、面白さより中途半端なイマイチ感の方が勝っちゃったかなぁ・・。

例えば、敗軍の将として打ち首を待つ三成と天下取りの家康との対面シーンも「対面は無言で終わった」というナレーション付きのワンカットだけでスルーしてしまうツマラなさがあって、余韻も何もあったもんじゃないw

聞くところによると、当初は小早川秀秋を主人公にして描くプランもあったということで、映画の尺の制限を考慮すればそっちの方が分かりやすかったんじゃないかなぁ。あるいは、関ヶ原の前日にあった前哨戦・杭瀬川の戦いなどを織り交ぜた数日間の水面下の攻防とかけ引きに的を絞った方が、、というかそれが見たかった。。

2018年3月11日 (日)

夢のシネマパラダイス261番シアター:子供を経験したすべての大人たちへ

聲の形

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声の出演:入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、松岡茉優

監督:山田尚子

(2016年・松竹・129分)WOWOW

内容:ガキ大将だった小6の石田将也は、聴覚障害を持つ転校生・西宮硝子をいじめるようになり他のクラスメイトも追随。そのせいで硝子は転校を余儀なくされることになったが、今度は将也がいじめられる側になってしまう。中学生に上がってもそれは変わらず、完全に心を閉ざしてしまった将也は、高3になって自殺を決意する。しかし、その前にかつていじめていた硝子に謝るために手話サークルを訪ねるが・・・。

評価★★★★/80点

イジメや障害などの重い問題を青年誌ではなく少年誌というハードルを下げた媒体で真正面から描いた原作マンガは、自分の過去体験の苦い部分をほじくり返されるような居心地の悪さもあいまって衝撃を受けた作品だった。

その苦い部分としてふっと思い出したこと。

小学6年生の時に、隣のクラスの班長も務めるような優等生タイプだった女子がギョウ虫検査に引っかかったという根も葉もない噂をチラッと耳にした自分は、ある日の全校集会終わりに廊下ですれ違いざまに「うわー!菌がうつるー!」と大げさにわめいてバカにした。彼女も周りの生徒も「えっ?何のこと?」と当惑した様子だったが、その後彼女はスクールカーストの上位から転落していったように記憶している。

彼女との接点はほぼその時かぎりで、その後自分は転校したのだけど、このマンガを読んだ時に罪悪感のカケラもなく言い放ったあの一言を急に思い出した。

彼女はどうなっちゃったんだろう、、あの一言がどれだけ傷つけたんだろう、、と。

その後、転校先でしっぺ返しを食らったようにイジメに近いことを受けた自分は、将也の境遇がめちゃくちゃ刺さったし、中高と良い人ぶった無干渉の傍観者になった自分は川井さんを見て、なんか自分の嫌な部分を見透かされているような気がしてドキリとしてしまった。

なんだか常に自分の後ろめたい感情を呼び覚まされながら読み進めたマンガだったけど、映画の方は残酷性がややソフトになっているものの、よりピンポイントに上手くまとめ上げられていた。また、各登場人物の内面もしっかり表現され、映像含めて原作の伝えたいエッセンスやクオリティを損なうことなく描ききってくれたと思う。

マンガと同様に将也の姉ちゃんの顔出しNGってのは笑えたけどw

どこか実写ドラマ化してくれる勇気のある局ないかなぁ。

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STAND BY ME ドラえもん

Poster2声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昂、関智一、妻夫木聡

監督:八木竜一、山崎貴

(2014年・東宝・95分)WOWOW

内容:運動に勉強に何をやってもダメな小学生のび太は、いつもジャイアンやスネ夫にいじめられる日々を送っていた。そんなある日、彼の前に22世紀からタイムマシンに乗って彼の孫の孫セワシが、ネコ型ロボット“ドラえもん”を連れてやって来た。のび太の最低最悪な未来を変えるため、ドラえもんを世話係として置いていくというのだが・・・。

評価★★★/60点

秦基博の主題歌がカラオケの十八番になっている自分にとっては、映画の方もどんな感じなんだろうと気にはなっていて、今回約30年ぶりにドラえもんを見ることに。

で、30年ぶりに見てみて、図らずも劇中で大人になったのび太が、ドラえもんは子供時代の友達で、その思い出を大切に胸に仕舞っておきたいので今は会わなくていいみたいなことを言うんだけど、それがそっくりそのまま自分の映画の感想になっちゃった

大山のぶ代のドラえもんを見ていた80年代のノスタルジーを喚起させるでもなく、“ドラ泣き”させるでもなく、なんか中途半端な印象だったな。

その中で、泣かせエピソードの羅列が感動に集約していかない平板さが1番の欠点だと思うけど、3Dを意識した絵作りがけっこうよく出来ていただけに、22世紀の未来を舞台にするとかそういう意外性がほしかった。

あるいは、別れと旅立ち(巣立ち)を裏テーマとして想起してしまうスタンド・バイ・ミーとわざわざ銘打つなら、ジャイアンとスネ夫が完全におざなりになっている今作のつくりはいただけないし、ドラえもんとの別れのあとにウソ800飲んでやっぱり戻ってきてハッピーエンドというオチもいただけなかった。

そう考えると、やはり22世紀のセワシの視点でドラえもんとのび太たちの関係を見るというのはひとつの手法として有りだったのではないかと思う。

まぁ、ドラえもんは子供のための作品だと思うので、中年のオッサンがとやかく言うことではないんだけどねww

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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲

Shinchan02声の出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ

監督・脚本:原恵一

(2001年・東宝・89分)WOWOW

評価★★★★/75点

 

内容:春日部に誕生した「20世紀博」。そこはひろしやみさえたちが育った70年代のテレビ番組や映画、そして暮らしなどを再現した懐かしい世界に浸れるテーマパークだった。大人たちは子供そっちのけで20世紀博に熱中していく。そんな姿をしんちゃん達“かすかべ防衛隊”の面々は不安な目で見つめるのだった・・・。21世紀をなかったことにして、再び世界を20世紀の時代に返そうと画策するイエスタデイ・ワンス・モアのリーダー、ケンと自分たちの未来を守るべく立ち上がったしんちゃんの壮絶な戦い!

“子供は笑えて親は泣けるという触れ込みに該当しない80’s生まれの独身男が恐れ多くも言わさせていただけるならば・・・”

汚いカネと燃えないゴミで覆われている21世紀も捨てたもんじゃないなと

しんちゃん一家が夕日に照らされたかすかべの家に帰ってきて玄関開けてただいまーっと言うラストシーンを見てそんな思いを抱いた。

ついでにエンディングにカーペンターズのイエスタデイ・ワンス・モア♪が流れたらもっと良かったのに。。

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若い頃は

好きな曲がかかるのを待ちながら

よくラジオを聴いていたっけ

そんな曲がかかると笑いながら

一緒に口ずさんだものだった

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

そんな幸せなひと時は

それほど昔のことじゃないのに

あの歌はどこへ?と、どんなに心配したことか

でもここにあの歌の数々はよみがえってきたね

久しく会わなかった友達のように

どの曲も 大好き

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

でも歌の歌詞が

彼が彼女を失恋させるくだりになると

今でも無性に泣きたくなってしまう

まるであの頃のように

過ぎ去った日々よもう一度

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

こうしてあの頃のことを振り返り

消えていった年月や楽しかったことを思い出すと

あまりにも変わってしまった今日のことが少し悲しく思えてしまう

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

あの頃よく歌っていたのは恋の歌

歌詞も隅々まで覚えていたっけ

そんな懐かしいメロディは今でも私の心に快く響きます

過ぎ去った日々を溶かしていったあの頃のように

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

最高の想い出ばかりが鮮明によみがえってきて

泣きたくなるものさえあるんだ

まるであの頃のように

過ぎ去った日々よ もう一度・・・  

                 by カーペンターズ

今から何十年か経ったとき、今日この時を懐かしいと思えるのかな。

そう思えるように今日一日を大切に生きていこうっと。

懐かしいと思えるのは、その時を生きていた自分の心が豊かだったという何よりの証拠なのだから!

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クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶジャングル(2000年・東宝・90分)WOWOW

 監督:原恵一

 声の出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原哲治、玄田哲章

 内容:クレしん映画版シリーズ第8作。

評価★★★/65点

しんちゃんだと思ってバカにしてはいけない(笑)。ジャパニメーションの高水準を如実に示す好例といえるのでは。冗談じゃなく。

2018年1月 4日 (木)

夢のシネマパラダイス547番シアター:日本版あの頃にタイムスリップ!

だけがいない

Poster2出演:藤原竜也、有村架純、鈴木梨央、中川翼、林遣都、福士誠治、安藤玉恵、及川光博、杉本哲太、石田ゆり子

監督:平川雄一郎

(2016年・日本・120分)盛岡フォーラム

内容:売れない漫画家・藤沼悟は、事件や事故に遭遇すると、その原因が取り除かれるまで発生直前の時点に何度もタイムスリップする“再上映(リバイバル)”と呼ぶ能力を持っていた。しかし、それは自分ではコントロールできないのでほとほと嫌気が差していたが、リバイバルがきっかけでバイト仲間の愛梨と親しくなる。そんなある日、またもやリバイバルが発生。悟が違和感の正体をつかめない中、一緒にいた母親だけが何かに気づきリバイバルは解消された。しかしその直後、母親は何者かに殺害されてしまい、悟が犯人に仕立て上げられてしまう。そして母を助けようとする悟にリバイバルが再発動。今度は20年前の小学生時代にタイムスリップしてしまう・・・。

評価★★★/65点

総じて漫画原作の実写映画化は期待ハズレに終わることが多い。あるいは漫画と映画は全くの別物ということもできるけど、今回の原作は緻密に組み立てられた構成力とキャラクター造形、完璧な伏線回収など、漫画としてはもちろんそれだけで映像媒体としてもすでに完成されたハイクオリティ作品なので、映画化もよほどのヘマをしなければ失敗しないはず、だと思っていたw

そういう点で今回の映画を見ると、雛月加代を親の虐待から助け出すところまでは、ドンピシャのキャスティングしかり風景からプロダクトデザインに至るまでの映像しかり、ビックリするくらい忠実に原作をトレースし、正直マンガを知らないで映画見てたらより面白かったかもと思ってしまうくらいほぼ完璧な仕上がり。

が、しかし、この雛月救出までに1時間半を費やしてしまい、残り30分でまるで夏休み最後の日に徹夜で溜まりにたまった宿題を大慌てで取りかかる小学生のようにあたふたと風呂敷を畳むもあえなく轟沈

第4コーナー過ぎてからのまさかの失速にこちらも撃沈しちゃったんだけど、犯人が八代先生(及川光博)ということにたどり着くのも拙速すぎだし、何より1番分かりづらくて混乱するのが1988年の世界で悟が八代に橋から川に突き落とされた後、2006年の現在に戻ってからなんだよね。

2006年に愛梨(有村架純)と河川敷で会った悟が警察に逮捕された直後にリバイバルが起きたにもかかわらず、八代に突き落とされた悟が戻ったのはそこではなく、映画の冒頭でピザ屋の配達中に小学生を助けようとしてトラックにはねられた後の病室で、しかも病室にいるのは事故を目撃していた愛梨ではなく、妊娠している加代。さらになぜか愛梨とは面識がなくなっている、と矢継ぎ早に進むので見ているこちら側は混乱するばかり。。

さらにデパートの屋上で八代と格闘して悟が首を切られるも八代は逮捕されて一件落着、かと思いきやエピローグでいきなり2016年に飛んで、お墓参りの墓石に悟の名前が、、えっ?死んだの!?と呆然とする中でジ・エンド。

例えば、愛梨と面識がないことは原作通り悟がずっと植物状態になっていたということで済む話のはずなのに、、どうなっているんだこの脚本ww

半ば見切り発車としか言いようがないラスト30分の力技にある意味ド肝を抜かれたけどw、それまでの丁寧さとかけ離れた粗雑な出来とのあまりの落差に監督2人いるのか!?といぶかってしまうくらい目が点になってしまった・・・。

リバイバルというのが普通のタイムトラベルものと異なり、意識だけが当時の自分自身に飛ぶ(あるいは当時の自分の姿になる)ところが新機軸な設定だけに、うーん、、この出来というか納め方には残念至極としか言いようがない。

タイムトラベルものはお手の物のハリウッドで実写化求ム。

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青天の霹靂

P1399016757866出演:大泉洋、柴咲コウ、劇団ひとり、笹野高史、風間杜夫

監督・脚本:劇団ひとり

(2014年・東宝・96分)WOWOW

内容:39歳の売れない独り身マジシャンの晴夫は、幼い頃に母に捨てられ、父親ともいまや10年以上絶縁状態だった。そんなある日、警察からホームレス状態の父の死を知らされる。遺骨を抱え、やりきれない気持ちで父の住み家だった荒川の河川敷に佇む晴夫だったが、そんな彼を一閃の雷が直撃。そして気付くと、40年前の浅草にタイムスリップしていた。やがて演芸ホールでスプーン曲げを披露して人気マジシャンとなった晴夫は、同じくマジシャンをやっていた若き日の父とその助手を務める母と出会う。そして、父とコンビを組むことになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

手品とタイムスリップという映画のモチーフに鑑みていえば、プロットの運び方、伏線の張り方、心象風景の描き方、カットバックの使い方、スローモーションや省略などの時間軸の操作、巧みなカメラワークetc..要は映画とは嘘をついていいものだという心得をしっかりわきまえた手練れの演出に満ちている。

しかしその反面、冒頭の主人公のマジックを吹き替えなしのワンカット長回しで捉えるシーンなど、映画につかみとリアリティをもたせるツボもちゃんと押さえているのも強みだ。

多少その手法に酔いすぎてクドく見えるようなシーンもあるけど、およそこれが初監督作とは思えないほどエモーショナルにあふれた非常に見やすい作品に仕上がっていたと思う。

ただ、しいて希望を挙げれば、お腹いっぱいになる前に終わっちゃったてことかなw

でもこういうのってもっと盛っちゃいたいはずだし、見る方もそれを期待している所もあるんだけども、逆に編集でバッサバッサとカットして90分弱にまとめてしまう肝っ玉の強さは、やはり大いなるセンスといわなければならないだろう。

次回作が楽しみな監督のひとりになったな。

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この胸いっぱいの愛を

C_b0010500579_tl_2 出演:伊藤英明、ミムラ、勝地涼、宮藤官九郎、吉行和子、愛川欽也、倍賞千恵子

監督:塩田明彦

(2005年・東宝・130分)MOVIX仙台(試写会)

評価★★☆/45点

内容:百貨店に勤める比呂志は、出張で小学生時代を過ごした北九州・門司を訪れた。しかし、何か様子が違う。新聞見ると、、えっ?1986年?20年前じゃん!タ、タイムスリップ。。ていうか、少年時代の自分にも会っちゃった・・・。そんなこんなで比呂志は実家だった旅館に住みついてしまう。そんなある日、彼は憧れだった近所の和美姉ちゃんと再会する。彼女は難病のすえこの世を去ってしまう運命にあるのだが、今ならば救えるかもしれないと比呂志は考える・・・。

“タイムパラドックスの定石を捨ててまで描き出したのがこれなの・・・?思わず失笑。”

タイムスリップする1986年という時代設定がまずはビミョー・・・。

だって昭和61年やろ。

バブル景気がちょうど幕を開けた頃だと思うのだけど、なんかイメージとしてパッとしないというか、そんな昔でもなければつい最近でもないという時代背景の中途半端さが気になった。

しかもそれに輪をかけたように伊藤英明のメインストーリーがこれまたビミョーなんだよなぁ・・・。タイムパラドックスなど眼中にないくらいお構いなしで突き進むのは大目に見るとしても、肝心要のメインストーリーに力がなかったら、ただの独りよがりなだけの映画じゃないか。。

サブストーリーである若いヤクザ(勝地涼)、老婦人(倍賞千恵子)、クドカンのエピソードの方がフツーに感情移入できただけにメインの物足りなさが一層際立ってしまった。

これは多分に失われた命を取り戻そうという事の重みに対して、シナリオに力がないのか、伊藤英明に力がないのか、あまりにも人間ドラマの描写が軽すぎるというアンバランスさに起因するように思う。

そもそも「黄泉がえり」(2002)では現世で生きる人々のもとに亡くなった大切な人が舞い降りてくるという、あちらから会いたい人がやって来るという構図なのだけど、今作ではこちらから会いに行くという構図になっている。その点ですでに作為的要素が含まれているといってもいいのだけど、この映画のメインとなるのは結局この世を去った憧れの人を救おう、生き永らえさせようとする話なわけで、そこら辺はどうも自分は胡散臭さを感じてしまった。

だって要は積極的に未来を変えて死者を甦らせようとするわけで、そこに十分な説得力、つまり死んだ者は絶対に生き返らないという命題を覆す魔力を持たせるにはやはりタイムパラドックスの定石を使っていくしかないと思うのだけど。。

しかし、この映画はそれをあえて無視した上で完全に人間ドラマに徹した感がある、、、のだが、ものの見事に肩透かしをくらったような力の無さには目を覆うばかり。

作為に満ちた独りよがりな映画とはまさにこのことを言うのではなかろうか。

ただ、塩田監督もなにやら罪滅ぼしでもしたかったのか、それとも塩田監督なりのケジメの付け方なのか、ラストに出てきた生き永らえた和美(ミムラ)の姿にはなんとも厳しすぎる年輪が刻まれていて、それまでの演出とはかけ離れていたので驚いたというか、また別な意味で肩透かしをくらっちゃった・・(笑)。なんだかわけの分からん映画だったな。。

自分が思うに、生んだ直後に亡くなってしまった母親、今まで幻だった母親に会うことになる若いヤクザ(勝地涼)の話をメインにすればそれなりに見れたのではないかと思う。命のやり取りはこの映画には重すぎる・・・。

あるいは、どうせだったらどっかの老人ホームのバスが崖下に転落しちゃうとかさ(笑)、んでその拍子に1946年にタイムスリップしちゃうとか。だってジッちゃんバッちゃんの方が人生で本当にひとつだけやり直したいことの重みって説得力がありそうだし。

とにかく「黄泉がえり」の二匹目のドジョウとはなりえなかったな今回は。

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バブルへGO!!タイムマシンはドラム式(2006年・東宝・116分)WOWOW

 監督:馬場康夫

 出演:阿部寛、広末涼子、吹石一恵、伊藤裕子、劇団ひとり、薬師丸ひろ子

 内容:2007年の日本。国は800兆円の借金を抱え、日本経済は破綻寸前。そんな日本の危機を救うべく、財務省官僚の下小路(阿部寛)はある計画をぶち上げていた。それは、1990年にタイムスリップしてバブル崩壊をくい止めようというものだった。ところが、先にタイムスリップしていた開発者の田中真理子(薬師丸ひろ子)がそのまま行方不明になってしまう。そこで下小路は、真理子の娘で借金取りに追われているフリーターの真弓に目をつけ、真弓は母親を救うためにタイムマシンに乗り込むのだったが・・・。

評価★★★/60点

バブル全盛期に山ん中に秘密基地を作ったりして駆けずり遊んでいた小学生時代の自分にははっきりいってあまりピンとこなくて実感がわかない題材だし、しかしかといってバブル崩壊後の失われし10年の真っ只中で就職超氷河期にブチ当たってしまった自分からするとああいう軽いノリで描かれるとなんだかしゃくにさわるし・・・(笑)。なんだかなぁ。。

タイムマシーンを起動するのに洗剤を入れるというのは笑えたけどね。

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地下鉄<メトロ>に乗って(2006年・日本・121分)WOWOW

 監督:篠原哲雄

 出演:堤真一、岡本綾、常盤貴子、大沢たかお、笹野高史、吉行和子

 内容:43歳の営業マンである真次(堤真一)はある日、父が倒れたという連絡を受ける。が、真次は大財閥の総帥であった傲慢な父に反発し、高校卒業後に家を出たっきり一度も会っていなかった。そんな真次が地下鉄を出ると、、、昭和39年の東京にタイムスリップしていた!しかも真次の恋人であるみち子(岡本綾)もタイムスリップしてしまう。そして真次は、若き日の父(大沢たかお)に出くわすのだった・・・。

評価★★★/60点

とうとう解りあえなかった父親が戦前、戦中、戦後という激動の昭和をどのように生きてきたのか、その知られざる真実にスポットを当てることによって父親と息子がつながっていくという、いたってシンプルなお涙頂戴もののはずだったのに。

そこにいきなり80年代角川映画もビツクリの近親相姦ネタに、あげくの果てに妹が自殺(正確には存在自体を消してしまう)しちゃうって、、、こんなん2時間で消化しきれねぇよ。韓流ドラマみたいに全50話くらいでやってくれ(笑)。

しかも、階段から突き落とされたお時(常盤貴子)の人生はどうなっちゃうんだよ。全然消化不良じゃん。

ていうか肝心のテーマが一気にボヤけちゃったし・・・。

自分の祖父も小沼佐吉(大沢たかお)と同じように、戦時中に満州行って結局ソ連軍に連行されて、シベリア抑留を体験してなんとか生きて日本に帰ってくることができた人だったから、かなりリンクするところはあったと思うんだけど、ラストの仰天ネタに一気にガクッときてしまった・・・。

2018年1月 2日 (火)

夢のシネマパラダイス580番シアター:スター・ウォーズ続3部作

スター・ウォーズ/フォースの覚醒

 

926647_1159095954102428_664934172_n出演:ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライヴァー、デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、アンディ・サーキス

 

監督:J・J・エイブラムス

 

(2015年・アメリカ・136分)盛岡フォーラム

 

内容:帝国の崩壊から30年後。帝国軍の残党「ファースト・オーダー」が台頭していた。劣勢に立たされていた共和国陣営は、それを挽回するため、ずっと行方をくらませている最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーを探し出そうとする。一方、ファースト・オーダーもルーク抹殺を目論み、ルークの居場所を示す地図を手に入れようとダースベイダーを崇拝するカイロ・レンを送り出す。そんな中、砂漠の惑星で暮らす少女レイは、砂漠で迷子になっていたドロイドBB-8を助けるのだが・・・。

 

評価★★★★☆/85点

 

黒沢清監督の「岸辺の旅」で、いまだ加速度的に拡がりつづける宇宙はまだ始まったばかり、しかもそんな広大な宇宙が10の500乗個も存在している、という印象的なセリフに度肝を抜かれたものだけど、と考えると“遠い昔、はるか彼方の銀河系に”スター・ウォーズのユニバースがあってもおかしくないのではないか。砂漠の惑星ジャクーやジャングルに覆われたタコダナ、緑豊かな惑星ディカーは存在するのかもしれない・・・。

 

要は何を言いたいかというと、今作で描かれた世界は実在すると思わせるだけのリアリティーがあったということだ。

 

エピソード4~6のオリジナルシリーズはセットのミニチュア感や模型との合成のチグハグ感が、プリクエルのエピソード1~3ではこれ見よがしなCG映像の作り物感が目立っていたのだけど、今回はそういう違和感やぎこちなさが一掃され、眼前に広がってくるリアリティと迫力満載の映像に圧倒されてしまった。

 

なかでも砂漠の惑星ジャクーのシーンは、まるで「アラビアのロレンス」を想起させるくらい壮大な映像に彩られていて序盤から心をつかまれたんだけど、そこでポイントになったのがロングショットの多用ではないかと思う。

 

壮大なロケーションと卑小な人間の対比が逆にその世界の中に人物が存在しているという実存感を押し上げているのがミソで、実景映像に加えてスターデストロイヤーや帝国軍の歩行型マシンAT-ATの残骸、ミレニアム・ファルコン号などの巨大ガジェットやジャンクヤードの建物、大型クリーチャーなどが遠近感や奥行きを与えるのに大いなる効果をあげていたと思う。

 

そもそも、ファンと作り手の思いがスター・ウォーズというスペースオペラの世界観をオリジナル公開から30年以上経てなおビッグバンのごとく膨れ上がらせ続けてきたことで、オリジナルの頃から変わらないほとんど奥行きのない王道の物語展開wも深遠なる魅力に昇華されてしまうのだけど、そこで視覚的に嘘くささがないというのはかなり重要なことで、その意味で今回プロダクションデザインの果たした役割というのは大きかったと思う。

 

その点エピソード1~3はエピソード4~6より前の話にもかかわらず、やはりCGの先進性が出過ぎではあったんだよね。

 

しかし今回は、実写と特殊効果の按配が絶妙で、安心してスター・ウォーズの世界に没入することができた。

 

ラストにレイがルークに会いに行く孤島の空撮なんかはまさに鳥肌もので、アイルランドにある世界遺産のキリスト教遺跡の無人島らしいけど、やはり実際の景観に勝るものはないんだなと痛感。

 

登場人物もレイや懐かしのハン・ソロはじめ抜群のキャラクター造型で魅力満載だったし、大満足の一作だった。

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