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2022年1月 4日 (火)

夢のシネマパラダイス585番シアター:家族の愛のカタチ

万引き家族

Visualsp

出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、樹木希林、松岡茉優、城桧吏、佐々木みゆ、池松壮亮、高良健吾、池脇千鶴、柄本明

監督・脚本:是枝裕和

(2018年・日本・120分)TOHOシネマズ日本橋

内容:東京の下町の古ぼけた一軒家で暮らす5人の家族。治(リリー・フランキー)の日雇い稼ぎはあてにならず、一家の暮らしはおばあちゃん(樹木希林)の年金頼り。それでも足りない分は万引きでまかなっていた。そんなある日、治は団地のベランダで幼い女の子が部屋を閉め出され寒さに震えているのを見かねて連れ帰る。ゆりと名乗るその子は家に帰るのを拒否したため、そのまま一家と暮らし始めるが・・・。 

評価★★★★☆/85点

この映画で1番好きなシーンは、家族で海に行った時に祥太が亜紀姉ちゃん(松岡茉優)のビキニの胸元に目が釘付けになっているのを父リリー・フランキーがめざとく見つけて茶化すところ。オッパイに興味が湧くのも、朝起きた時にアソコが大きくなっているのも、それは病気じゃなくて大人の男なら誰でもそうなるんだと言って祥太を安心させるシーンにほっこり。

このシーンがなんで印象的だったかというと、名作ドラマ「北の国から」でシチュエーションは違えど、純くんと田中邦衛が全く同じやり取りをする場面があって、それを真っ先に思い出したから。パクリかと思ったくらいww

でも、この祥太とリリー・フランキーの関係性にしても、初枝ばあちゃん(樹木希林)と信代(安藤サクラ)や亜紀の関係性にしても、一言一言の会話の裏側にある複雑なバックグラウンドを想像させる演出が途轍もなく緻密かつ奥深くてホント見入っちゃった。

そして、余計な期待のいらない打算的なつながり、それでも芽生えてくる愛情と切りがたい心のつながり、そして結局まとわり付いてくる血のつながりという呪縛、これらが渾然一体と絡み合った一筋縄ではいかない疑似家族のカタチにいろいろと考えさせられて、終わってみればエゲツない余韻。。

いや、正確にいえばモヤモヤ~としたかんじに襲われて何とも言えない気持ちになったけど、自分の中でこんな良い意味でのモヤモヤ映画は初めてかもw

このモヤモヤは、セーフティネットからこぼれ落ちた彼らを見て見ぬふりをして、時にはワイドショーの表面的な情報を鵜吞みにして上から目線で断罪する世間様のひとりである自分が、彼らを善悪の物差しで測りかねている居心地の悪さだったのか。それともスカイツリーは見えるけど隅田川の花火は音しか聞こえないワンルームに独り暮らす自分も、下手したら彼らのような境遇に転げ落ちてもおかしくないのではないかという一抹の不安を感じた怖さなのか。

自分の心の中も渾然一体・・・。

とりあえず、自分の部屋はキレイにしておこう!とだけは決心したww

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浅田家!

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出演:二宮和也、妻夫木聡、黒木華、菅田将暉、渡辺真起子、北村有起哉、風吹ジュン、平田満

監督・脚本:中野量太

(2020年・東宝・127分)WOWOW

内容:幼い頃から写真を撮るのが大好きだった浅田政志は、なりたい&やりたいことをテーマに家族全員でコスプレした姿を撮った写真集を出版する。すると写真界の芥川賞・木村伊兵衛写真賞を受賞!プロの写真家として歩み始めるが、軌道に乗り出した矢先に東日本大震災が発生する・・・。

評価★★★★/75点

「湯を沸かすほどの熱い愛」では末期がんの宣告を受けた肝っ玉母ちゃんのダダ漏れの愛を、「長いお別れ」では認知症になった父親の介護の悲喜こもごもをそれぞれユーモアを交えて描いた中野量太監督。

絶望的な悲しみを陰うつなシリアスドラマではなく陽気なポジティブ喜劇に切り取っていくセンスは、その先にある生きる喜びこそ人の営みの本質であるということを謳い上げていて、昨今の閉塞リアリズム全盛時代において稀有な存在になっている。

繊細なテーマである東日本大震災という悪夢のような喪失を取り上げた今作でもそのスタンスが変わらないのがスゴイところで、家族写真にフォーカスして絆を描き出す演出にはあざとさがなく素直に見ることができる。ラストの二段落ちにもほっこり脱力w

ちびまる子ちゃんに出てくるたまちゃんのお父さんばりに写真好きだった父親からカメラを向けられると一目散に逃げまどっていた自分のことを少し後悔(笑)。

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湯を沸かすほどの熱い愛

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出演:宮沢りえ、杉咲花、伊東蒼、篠原ゆき子、駿河太郎、松坂桃李、オダギリジョー

監督・脚本:中野量太

(2016年・日本・125分)WOWOW

内容:銭湯を営んでいた幸野家。しかし、1年前に旦那の一浩が失踪してからは休業状態になり、妻の双葉は女手一つで中学生の娘・安澄を育てていた。そんなある日、双葉は末期ガンで余命2か月の宣告を受けてしまう。絶望に沈みながらも、家業の銭湯の再開やイジメにあっている安澄のことなど、死ぬまでに解決しなければならない問題が山ほどあると思い立った彼女は、すぐさま行動に移していく・・・。

評価★★★★/80点

冒頭、銭湯の入口に貼られた“湯気のごとく店主が蒸発しました。当分の間、お湯は沸きません”という張り紙のユーモアセンスがとにかく秀逸。

これを書いた双葉さんって人のパーソナリティに多大な魅力を感じさせるとともに、このてのジャンル映画お得意の涙の安売りというアウトラインを良い意味で裏切ってくれるのではないかとさえ期待。

で、結局泣かされちゃったけど(笑)、泣かせのポイントが死にゆく者の喪失によるセンチメンタルな悲しみではなく、残される者の絆の回復による救済の喜びにあるところが白眉。

しかも、その絆をつなぐのが先立つお母ちゃんの偉大な愛というのが良いし、作為的にもほどがある疑似家族描写のミルフィーユ状態が“ごっこ”に見えず納得させられてしまうのも、宮沢りえ=双葉さんの太陽のような存在感あってこそだったと思う。

総じて男はボケーッとだらしなくて、女は現実に立ち向かう強さを持っているんだよねw

その中でも、娘役の杉咲花には瞠目!助演女優賞です。

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おおかみこどもの雨と雪

Mainvisual声の出演:宮崎あおい、大沢たかお、黒木華、西井幸人、染谷将太、谷村美月、麻生久美子、菅原文太

監督・脚本:細田守

(2012年・東宝・117分)DVD

内容:都内の大学に通っていたわたしの母親・花は、学内でもぐりの学生だった父と出会い恋に落ちた。父は自分が二ホンオオカミと人間との間にできた末裔“おおかみおとこ”であることを打ち明けたが、母の気持ちは変わらなかった。やがて一緒に暮らし始めた2人の間には、雪の日に生まれたわたし・雪と、雨の日に生まれた弟の雨という2人の“おおかみこども”を授かった。しかし、雨が生まれて間もないある日、父親が突然亡くなった。そして母はわたしたちを一人で育てていくと決め、遠い田舎の農村に移り住んだのだった・・・。

評価★★★★/75点

母が好きになった人はオオカミ男でした、という突拍子もない一言から幕を開ける今回の作品。

ところが、人と獣が混じり合うというのは「トワイライト」のようなアメリカンファンタジーなら何の抵抗もなく見られるのだけど、ことこれが日本となると若干のアレルギーを催してしまうのはなぜだろう・・。

って考えると、手塚治虫がさんざん描いてきた異形と変身の系譜、あるいは今村昌平がイヤというくらい暴き立てた日本に深く根付く土着の自然信仰(オオカミの場合は山神信仰といっていいかもしれない)と近代化の間にはびこる差別、そしてなにより両者の作品に潜む特異なエロスの匂いを想起してしまうからかもしれない。

要は、差別という言葉を用いたように、ジブリ的な人と自然の対立の構図とは異なるもっと生々しい現実=タブーを避けては通れないということだ。

母が好きになった人はオオカミ男でした、という開巻宣言にはそういう命題が否応なく含まれてくるわけで、そこを見せられる怖さみたいなものを違和感というかアレルギーとして感じてしまうのかもしれない。

が、、フタを開けてみたら、それはほぼ杞憂に終わった

避けては通れない要素をさわりだけなぞってはいるものの、純然たる母性愛讃歌に特化することで、そういう描写を周到に回避しているのが本作の特徴といえるだろう。

まず、異形への恐れという点では、雪の変身シーンを見れば分かるように非常に漫画チックで愛嬌のあるものになっていてグロテスクさを排除しているし、花と彼氏が結ばれるくだりでも狼男と交わることに花は何ら逡巡することなく受け入れていることから異形というキーワードはかなり薄められているといってよい。

また、差別という点でも花の親や友達を登場させず、人里離れたド田舎に早々引っ込むことで差別に対し無自覚なマジョリティを排除しているし、それどころか人目を避けて引っ越してきたのにいつの間にか周りの人達にお世話になっていると花が言うように、外部との交流を前提としない村社会に簡単に受け入れられていて、もはやただの「北の国から」状態ww

そしてエロについては、ファミリー向けアニメをして排除されるのは当然なこととはいえ、狼男とのベッドシーンを描くこと自体すでにチャレンジャーだと思うけど、そのシーンで男の姿をオオカミの影として描いたことまでがギリギリのラインだったか。

ということで、何もそこまで難しく考えることはない。

“その程度の”作品なのだ(笑)。

しかし、その程度であることに失望よりも安心感の方が大いに上回ったのが正直なところで。。

自分はこの程度で良かったと思う

ただ、この映画のビジュアルポスターで両手に雪と雨を抱いてすっくと立っている花の力強い母としてのイメージを劇中の花から感じられなかったのは唯一の失望ポイントで、やっぱ結局線の細い10代少女キャラから抜け出せてないじゃんっていう思いは強く持った。

その点では宮崎あおいの声もいただけない。可愛すぎる宮崎あおいとしか聞こえないことがその違和感を増幅させてしまっているからだ。

清純な良き妻をイヤというほど演じてきても、なぜかほとんどの作品で子を育てる強き母親にはなれずじまいの宮崎あおいとダブって見えてしまうのは痛い。

まぁ、演出力は図抜けているし、背景画の細密さとかも良いし、一筋縄ではいかない作家性も出してきて、次回作が待ちきれない監督になったことは確かだ。

Posted at 2013.7.12

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人魚の眠る家

174949_02出演:篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎、川栄李奈、山口紗弥加、田中哲司、田中泯、松坂慶子

監督:堤幸彦

(2018年・松竹・120分)WOWOW

内容:娘・瑞穂の小学校受験が終わったら離婚する。播磨薫子と別居中のIT機器メーカー社長の夫・和昌はそう決めていたが、ある日、瑞穂がプールで溺れて意識不明になってしまう。医師から脳死と告げられ、臓器提供を一旦は受け入れる薫子だったが、直前になって翻意。和昌の会社の研究員・星野が開発した最新技術を取り入れて延命措置を取るのだが・・・。

評価★★★/65点

科学の力を駆使して死を操作してしまう神の領域に踏み込んだある種クレイジーな人間のエゴを描き出している今作。

そのエスカレートしていくベクトルが、逆に脳死や臓器移植という他人事のように考えていた難しくて重いテーマに対するハードルを下げることに繋がっていて、自分の無知に気づかされるとともに、常に自分の価値観と対峙させられて、なかなかに考えさせられる映画だったと思う。

まぁ、母親(篠原涼子)に感情移入するのは難しかったけど、母娘の愛情という普遍的なテーマに落ち着かせるのはグウの音も出ない展開ではあった。ただ、当たり前すぎてちょっと淡泊だった気もするけど。。

あと、もうちょっとホラーテイストを含んでるかと思ったら、エンドクレジットで東野圭吾原作と知ってビックリ!堤幸彦の演出スプレー臭だけは相変わらずだったのに(笑)

しかし、日本は臓器移植が極端に少なかったり、死の境界線があいまいだったり欧米のように合理的にならないのは、日本人の死生観が独特だったりするからなのかな。ホントに難しい問題。。

2021年12月25日 (土)

夢のシネマパラダイス348番シアター:偏執狂の詩

ゲーム

Game2 出演:マイケル・ダグラス、ショーン・ペン、デボラ・カーラ・アンガー

監督:デヴィッド・フィンチャー

(1997年・アメリカ・128分)1998/02/13・仙台第1東宝

評価★★★★★/95点

 

内容:「人生が一変するような素晴らしい体験ができる」。大富豪ニコラスが48歳の誕生日に1枚のカードを弟のコンラッドから受け取ったことから、さまざまな事件に見舞われるミステリー。現実とゲームの境界線があやふやなままに展開するストーリーに純粋に引き込まれるか引き込まれないかで、このD・フィンチャーが構築した新たな恐怖世界に対する評価はかなり変わる。試される映画です・・・。

“まやかしの★5つ!いや、永遠の★5っつ!?”

普通自分の中では★5つを付けた作品はいつ見ても飽きないし、いつ見ても★5つ。そんな自分にとって真にかけがえのない数少ない映画たちに★5つを付けてきた。

しかし、、である。この映画はそれらの映画とは一線を画する。

いつ見ても★5つではない。1998年2月13日に劇場で見たそのたった1回そのときだけのものである。

そして見終わってすぐ思ったのは、もう二度とこの映画は見ない、そう決心したのを今でもはっきりと憶えている。

そしてこの映画はその後自分の中で永遠に封印したはずだった。

はずだった、というのはつい先日不覚にもその封印を解いてしまったからなのだが・・・。

そして後悔。

見るんじゃなかった。やっぱり見るんじゃなかった。

劇場で体験した唯一無二の衝撃と笑撃、あの強烈な体験をそのまま追体験できるはずもなく。。

唯一無二の衝撃と笑撃、それはいわずもがな映画のラストに集約されるわけだが、と同時にこの映画を二度と見ることはないだろうと思わせしめたのもこの映画のラストに集約される。

個人的にいえばラストを知ってしまった以上は、この映画を再び見ることはほとんど何の意味もなさないと思う。

これは例えば自分が同じく★5つを付けた「スティング」や「ユージュアル・サスペクツ」、はたまた★5つは付けていないが同じ監督作の「セブン」などとは道理がちがう。

道理がちがうとは、つまり前記3作品にあって「ゲーム」にはないもの。それはズバリ伏線の有無である。

はっきりいって「ゲーム」には必要最低限の伏線、ニコラスの親父が家の屋根から飛び降りる場面、しか張られていない。

しかもこの伏線はアッといわせるラストでしか活きてこないわけで、中盤は全くのガラ空きといってもよいつくりになっている。

前記3作品を例にとると、大親分から50万ドルだまし取れるか、カイザー・ソゼとはいったい何者なのか、犯人は誰なのかという明快なコンセプトのもとで伏線をうまく絡ませることによってストーリーに厚みと深みをもたせることができ、ひいては登場人物それぞれの存在をも際立たせていくことにもつながっていく。

つまり、伏線というのは、ストーリーに幅をもたせることのみならず、ストーリーを安定させるという重要な役割も担うものだということ。

さて、、「ゲーム」である。

たしかに伏線が始めに張られ、それがラストで効いてくる必要最低限のことはやっている。しかし問題はその中身なのだ。

この映画でいう明快なコンセプトとは、“ゲーム”とはいったい何なのか、そして誰が黒幕なのかということだと思うが、それに対する中盤における伏線は一切無いといってもよい。

それゆえ非常に不安定な中でストーリーは進んでいき、見る側としても次第に不安を覚えていく。

ここでいう不安とは、先の見えないストーリーに対する足場のない怖さからくるサスペンス映画が本来もっている不安要素と、こちらの方が大きいのだがこの映画は果たして納得のいく着地をしてくれるのだろうかという映画そのものに対する不安である。

ともかく「ゲーム」という映画は、伏線がないことによって始めとラストをつなぐプロセスがほとんど欠けてしまい、ともすればこの映画本来のコンセプトさえぼやけて見失ってしまいかねない。映画を見るという我々の目的意識さえも麻痺させ停止させてしまうくらいに・・。

だが、それでも思わず★5つをつけてしまうのは、ラストの大どんでん返しによるところがやはり大きいわけで。しかもそのやり方が実に憎々しく、やられたというよりもこちらの戦意を喪失させるだけのパワープレイでぶん殴られたといったところか・・・。

そもそも力づくで映画のコンセプトを解決してしまうというのはこの上なく最低レベルのやり方なのだが、憎たらしいことにこの映画は始めの伏線によって一応納得させる形で解決させているし、“死”という人間の存在証明にとって究極のアイテムを持ち出してきて、しかもそれを逆転させてしまう。

この点については文句の言いようがないし、もうホント参りましたという他にない。

が、しかしそれが通用するのもたった1回だけ。2回目以降ではこの映画のパワープレイはもはや通用いたしません。

中盤プロセスが欠如している中で始めと終わりだけが糸一本だけでつながっている。

こんな映画、何回も見るだけ無駄っちゅうことですわな。

今度こそ封印は完了しました。★5っつとともに・・・。

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セブン

41pv7hfn55l__aa240_ 出演:ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グィネス・パルトロウ、ケビン・スペイシー

監督:デヴィッド・フィンチャー

(1995年・アメリカ・126分)1996/02/03・仙台第1東宝

評価★★★★/75点

内容:退職を1週間後に控えたサマセットと新人刑事ミルズのコンビは、被害者がキリスト教の七つの大罪に見立てられ殺害されるという連続殺人事件に直面していた。3人が殺されたところで、ジョン・ドゥという容疑者が捜査線上に浮かび、サマセットとミルズは男の部屋に踏み込む。しかしその時、帰ってきた男は2人にいきなり発砲して逃走するのだった・・・。

“大学受験で訪れた仙台の映画館で、よりによって試験前日にこの映画を見てしまったオレ・・・”

この映画を見たことによってある意味変な緊張感もどこかへブッ飛び、なぜか平常心で試験に臨むことができた・・。ミルズの境遇を思えば自分が今直面していることなんてちっぽけなもんさ、と。

そしてめでたくそこの大学を卒業してしまった次第です(笑)。

映画を見終わって泊まってたホテルまで歩いていったんだけど、仙台の街を歩いてみてこの町は好きだなぁ、肌に合うなと直感したくらいなんか分かんないんだけども温かかったことを覚えています。トレーシーが「この町は嫌い!」と泣きながら言ってたのとは違うぞ、と。

実際仙台はホント住みやすい良いところなんです。

と、仙台の宣伝はこのくらいにして、この映画で1番印象に残ったのは、なんといっても“雨”だよね。

ブラック・レインもおったまげなくらいの雨、雨、雨。

なんであっちの人って傘をささないのと思ったのはまず置いといて、この雨、明らかに計算された仕掛けとして映画の中で機能している。

というのもこの映画における“雨”というのは、ケビン・スペイシー演じる犯人の内面を表しているのではないか。

始めから終盤までずっと雨が降っているのだけど、ある時点で雨は完全に止み、そして完全に晴れる。

それは犯人が警察に出頭した時点を境にしているわけで、ようするに彼が言うところの努力と忍耐と観察力によって自分の果たすべき使命を全うしたことによる達成と成就と解放を暗示しているのだろう。

よって車の後部座席でみせる彼の笑顔がマジで怖いわけ。本当に晴れ晴れとしているわけだから。なんかオウム事件を思い出してイヤだったな。

ところで、この映画は現代社会における人々の無関心という側面を異様な形で切り取った映画だともいえるけど、そこでクローズアップされてくるのがミルズと妻トレーシーの関係。

夫婦関係という固い絆で結ばれているはずの2人が名もなき大都会という街のフィルターを通してみると実はそれぞれが無関心だったのではないか、少なくとも出世に躍起になっていたミルズは、ということが浮き彫りになっていく。

でも、それが罪になるかというと、しかもあんな仕打ち、、ってありなん?なんかデヴィッド・フィンチャーってものすごいドライで性悪なヤツだと思うわw

だってこんな世界に生を受けた子供は幸せなのか、こんな世の中で子供を育てられるのか怖いと思った、とサマセットに言わせしめるわけだけど、何なのこのネガティブマインドは。芥川龍之介じゃあるまいし(笑)

映画の中でずっと雨が降ってたのに、見終わって感じたのはものすごっドライな映画だったなぁということ。

だから逆に仙台の街が温かく感じられたのかもね。

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ミュージアム

Museum_large出演:小栗旬、尾野真千子、野村周平、丸山智己、田畑智子、大森南朋、伊武雅刀、松重豊、妻夫木聡

監督:大友啓史

(2016年・日本・132分)WOWOW

内容:ある雨の日。犬に食い殺された惨殺死体が発見され、現場にはドッグフードの刑と書かれた謎のメモが。それが自らをアーティストと呼ぶ“カエル男”による連続猟奇殺人事件の始まりだった。捜査を担当する沢村と西野は、残されたメッセージの解読に奔走。やがて、事件被害者たちがある事件の裁判員をつとめていた共通点に突き当たる・・・。

評価★★★☆/70点

全編雨降りの陰鬱な雰囲気、ジョン・ミルトン「失楽園」の七つの大罪ならぬ平安時代の僧・源信「往生要集」の八大地獄を想起させる際立ったグロ死体の数々。

これってどう見てもデヴィッド・フィンチャーの「セブン」なんだけど、カエル男のバックグラウンドに「砂の器」的な日本人独特の情念や悲哀を全く付け足さず、どこまでもドライで猟奇的なサイコ野郎に徹しさせたのは良い。

眉毛まで剃ったスキンヘッドの妻夫木も意外で面白かったし。

そのカエル男が引きこもり男の部屋に侵入してくる際に、ドアの向こう側からバンバンと叩く音がした後に鍵がガチャリと静かに開くシーンが、一人暮らしの自分には1番のホラーだった😵

けど、なんでこれがR指定にならないんだw!?

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コレクター(1997年・アメリカ・116分)DVD

 監督:ゲイリー・フレダー

 出演:モーガン・フリーマン、アシュレイ・ジャッド、ケリー・エルウェス

 内容:ノースカロライナ州ダーハムで8人が失踪し3人が惨殺されるという連続女子大生誘拐事件が発生。ワシントンDC署の刑事クロスは、自分の姪が被害者になったことを知り、現地に向かう。が、そんな中、女性を監禁して飼育する異常犯人“コレクター”の魔の手が女医ケイトに忍び寄っていた・・・。

評価★★/40点

“犯人に2,3発銃を直にブッ放したい気分。”

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スパイダー(2001年・アメリカ・103分)WOWOW

 監督:リー・タマホリ

 出演:モーガン・フリーマン、モニカ・ポッター、マイケル・ウィンコット

 内容:政財界の重要人物の娘が誘拐される。犯人は、経歴を詐称して教師になりすましていた男。彼は、事件担当者にアレックス捜査官を名指しし、巧妙な犯罪ゲームを楽しみ始める。「コレクター」のJ・パターソンの原作を映画化。

評価★★★/60点

こっちの“模倣犯”の方が面白かったということだけはいえる。

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スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(2002年・仏/加/英・98分)WOWOW

 監督:デイヴィッド・クローネンバーグ

 出演:レイフ・ファインズ、ミランダ・リチャードソン、ガブリエル・バーン

 内容:統合失調症の治療を終えて精神病院を退院した男デニス。彼は20年ぶりに故郷の町に戻り、ウィルキンソン夫人の家で同じような人々と共同生活を送ることになった。デニスはノートに少年時代の記憶をパズルを組み合わせるように書きつけていく。そして現実と妄想が混在する彼の記憶から血なまぐさい記憶が甦ってくるのだった・・・。

評価★★/45点

レイフ・ファインズの額に浮き出る血管がなんともイヤ。

てことは演技が上手いってことなんだけどもさ。。生理的にダメ。

2021年8月25日 (水)

夢のシネマパラダイス188番シアター:ミッドナイトスワン

ミッドナイトスワン

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出演:草彅剛、服部樹咲、田中俊介、上野鈴華、佐藤江梨子、平山祐介、根岸季衣、水川あさみ、田口トモロヲ、真飛聖

監督・脚本:内田英治

(2020年・日本・124分)WOWOW

内容:新宿のショーパブで働くトランスジェンダーの凪沙。ある時、育児放棄にあっていた親戚の中学生の娘・一果を養育費目当てで預かることにするが、一果は一向に心を開いてくれない。そんな中、凪沙に内緒でバレエ教室に通うようになった一果は、バレエに生きがいを見出していく。やがて凪沙と一果は次第に心を通わせていくが・・・。

評価★★★★/80点

身体を資本とするトップバレエダンサーのキャリア人生の短さと表裏一体である華麗な身体表現。そこに宿る美しさと儚さ。

そして、熾烈な競争と極限の重圧にさらされる中、華奢な身体ひとつだけで勝負しなければならないバレエは、フィジカルとメンタルの危ういバランスに左右される芸術だ。

そのため、喜怒哀楽を歌と踊りで表現するミュージカル映画と比べると、バレエ映画は魂を削るような悲劇性を避けて通れない宿命にある。

なので、映画にとっての最強の取り合わせは何だろうと考えた時、それはバレエなのではないかと思ってしまうくらい心を揺さぶられ圧倒されてしまう人間ドラマになることが多い。

その点で今回の映画も言葉のないバレエの身体表現ゆえの凄みを存分に感じさせる作品になっていたと思う。

社会の片隅で生きるトランスジェンダーと、母親からネグレクトを受けていた少女というヘビー級に重い設定ははっきり言って反則だけど、頭のてっぺんから足のつま先まで完ぺきなポジショニングとポージングが織りなす美しさを味わうバレエが、トランスジェンダーの苦しみをより際立たせる残酷なモチーフになっていたし、あざとさやベタに陥らないヘビー級の演技を見せた草彅剛とウソのないバレエパフォーマンスを見せた新人女優さんに引き込まれて見入ってしまった。

やや雑な作劇や救いのない展開など、途中からまるでページをめくる手に躊躇してしまうような面持ちにもなってしまったけど、バレエシーンに浄化されたかんじ。

音楽も印象的で、余韻から逃してくれない哀しみがあった。

アカデミー賞も納得。

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彼らが本気で編むときは、

Kareraga出演:生田斗真、柿原りんか、ミムラ、門脇麦、柏原収史、小池栄子、りりィ、田中美佐子、桐谷健太

監督・脚本:荻上直子

(2017年・日本・127分)WOWOW

内容:母親と2人暮らしの小5の女の子トモ。母が男と出て行き放置されるのは毎度のごとくで、その時は叔父マキオを頼って訪ねて行く。ある日、マキオの家に行くと、初めて会うリンコというマキオの恋人がいた。彼女は性別適合手術を受けて女性となったトランスジェンダーだった。家庭の温もりを知らないトモは、母親以上に愛情を注いでくれる明るく優しいリンコに戸惑うのだが・・・。

評価★★★★/80点

近年急速に耳にすることが多くなったLGBTとかトランスジェンダーとか性同一性障害といった言葉の正確な意味合いや違いを分かっていない自分にとって、今回トランスジェンダーのリンコさんを通して初めてその生き方に思いを巡らせ共感することができたように思う。

ていうか男とか女とか抜きに人として素敵だなと素直に思えた。

あまたの孤独や絶望、葛藤に直面してきたであろう心の傷を美しい心に変えていく強さを感じ取れたし、生田斗真の女性らしい細やかな仕草まで行き届いたあざとさゼロの演技が素晴らしすぎて説得力があった。

あとは何と言っても母親フミコ(田中美佐子)の存在がリンコさんにとって大きかったんだろうなぁって。いろいろなタイプの母親が出てきたけど、絶対的理解者の母親の愛によってリンコさんの優しさと強さは育まれたのだと思う。

一方、対照的に描かれるのが、トモちゃんの同級生カイくんと母親ナオミ(小池栄子)の関係性だけど、とはいえ「ああいう種類の人になることは罪深い」と吐き捨てるナオミのような保守的な視点の方がまだまだ世間一般的なのだろうか。

そしてほんわか幸せな疑似家族のあっけない結末には、う~む、そっかぁ、、と現実に引き戻されてやりきれなくなっちゃったけど、とはいえ考えてみれば親戚なわけだからね。ダメ母は放っといてこれからもトモちゃんをよろしくお願いします。。

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Laundry ランドリー

138147_01出演:窪塚洋介、小雪、内藤剛志、角替和枝、木野花

監督:森淳一

(2001年・日本・126分)シネ・アミューズ

評価★★★★/85点

 

内容:幼い頃、頭部に傷を負い、脳に知能障害を抱える青年テル。彼は毎日祖母の経営するコインランドリーで洗濯物を盗まれないように見張り続けている。彼にとってはこのコインランドリーだけが世界のすべてだった。そんなある日、コインランドリーに水絵という女性がやって来る。テルは彼女が置き忘れた洗濯物を届けてあげたことから言葉を交わすようになる。しかし、水絵はある日突然故郷へと帰ってしまった。最後にここにやって来たときに忘れたワンピースを残して・・・。

“★4っつ付けたのはオレが別に優しいわけだからじゃないんだぜ。ただちょっとこの映画が気に入っただけだからよ。”

と、サリー(内藤剛志)風に言ってみた。

いや、正直なところこの映画はなんかちょっと気に入っちゃったんだよね。

それしか上手い言葉が見当たらないんだ。なんか、ちょっとなんだよ。。

楽しくもあり、優しくもあり、哀しくもあり、せつなくもあり・・。いろいろな要素が渾然一体となっている。

つまりはこれすなわち“生きる”ってことなのでしょうか。

結局19戦負け続けのボクサーはそれでもボクシングが好きだからボクシングを続けるし、嫁に対する愚痴をこぼすジイさんだって孫ができれば嬉しいし、オバさんは毎度のごとく花を撮りつづけて、その写真を誰かに見せびらかすことを生きがいにするんだろうし、水絵の妹はラクダと付き合うことができて。

そしてテルは水絵と一緒になることができて。

最初この映画を見ていて違和感を持ったのが、登場人物に名前がないことだったんだよね。

テルと水絵だって途中までは、“ボク”と“あの人”か“女狐”だったわけで。

ここで、クローズアップされてくるのが、現代社会に通じる人間関係の希薄さであることは言うまでもない。

そもそもコインランドリーという空間自体がその地域社会における孤立感や孤独感を象徴するのに格好の空間なのではなかろうか。

これはあくまで個人的な印象かもしれないけど、なんか夜にコインランドリーで洗濯するのって寂しい気持ちになるんだよなぁ。昼間は昼間でまた侘しいし・・。銭湯は一人で行ってもそんな気分には全然ならないんだけど、コインランドリーだけはダメなんだよなぁ。。

まあとにかくコインランドリーの持つ閉鎖性と、現代社会における人間関係の希薄さ、これが“ボク”と“あの人”という距離感となって表れていたのではないかと思う。

そしてここで重要だと思うのが、現代社会における人間関係の希薄さは、つまるところ物語の希薄さにつながっちゃうということ。情報がどんどん過多になっていく中で個人ですべてが完結してしまう時代。

現代において、物語はもはや成立し得ないといえるのではないだろうか。

それに加えてこの映画には、コインランドリーという閉鎖性、孤立感が加わる。

この映画を見て感じた「なんかちょっとイイ感じ」という掴みどころの無さというのは、そういうところに原因を求めることもできそうだ。なんかフワフワしたかんじというか浮遊感というか。それがまた逆に現代という時代を象徴しているようで個人的にはすごく買いだったけど。

しかし、よくこの脚本を仕上げたよなぁと脚本・監督の森淳一に感心してしまう。いわば物語が成立しえないゼロの地点から立ち上げているわけだから。

しかもよくありがちなファンタジーに逃げるわけでもなく、あくまで現実世界を舞台としているところがなにげにスゴイ。

いわゆる社会的弱者でありながら、極めて純真無垢な要素を併せ持つテルというキャラクター。しかし、この映画では彼は強き者として描かれる。そして、現代における弱者とは、もしかして水絵に代表されるような他人との人間関係がうまくとれなくなってしまった人々なのかもしれないということをテルに救われる水絵を通して暗示する。

水絵の気持ちも何となく分かるなと感じたのは自分だけではないと思う。

ようするに皆弱いんだよ、人間ってのは。でも弱くても生きていけるんだよ、人間ってのは、助け合えばさ。

そう。“愛”を持てば!ってことをこの森淳一というお方は優しい眼差しでおっしゃってるわけだ。

「私は変わる!」と宣言した水絵。

結局彼女は変われたのかということについてこの映画は深追いしていない。

いや、それよりもそんな肩肘張って変わろうとしなくてもいいんだよ、というようなやはり森淳一監督の優しさが伝わってくる。

そういえばこの映画を見ていて思い出したことがあったんだ。

名作ドラマ「北の国から」でのシュウ・宮沢りえの言葉を。

「昔のこと消せる消しゴムがあるといい・・・」

アダルトビデオに出演していた過去が純・吉岡秀隆にバレてしまい、会ってくれなくなったことについて吾郎・田中邦衛にもらす言葉だ。

もちろんそんな消しゴムなんてあるわけないんだけど、この映画のLaundry<ランドリー>=洗濯=キレイにするということと何か相通じるものがあると思ったので。

結局シュウと純はまたやり直すことになり、水絵もテルによって救われまた生きる力を取り戻す。

そう、人生は何度でもやり直せるんだよな。

なんかちょっとじゃなく、実はすごくイイ映画を見させてもらった気がしてきたぞ。

2021年1月13日 (水)

夢のシネマパラダイス611番シアター:ジャスティス・リーグ

ジャスティス・リーグ

640出演:ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ガル・ガドット、エズラ・ミラー、ジェイソン・モモア、ジェレミー・アイアンズ、ダイアン・レイン

監督:ザック・スナイダー

(2017年・アメリカ・120分)WOWOW

内容:スーパーマンの犠牲により勝利を得たドゥームズデイとの死闘から数か月。太古の地球に襲来して一度は撃退されたステッペンウルフが、3つ揃うと強大な力をもたらす“マザーボックス”を集めるために再び現れた。そこでバットマンは先の戦いで出会ったワンダーウーマンとともに超人たちのスカウトに乗り出すが・・・。

評価★★★/65点

マーベル大感謝祭=アベンジャーズの明るいドンチャン騒ぎに比べると、DC版の方はお祭り感に乏しく、なかなか乗りきれなかったかんじ。

アベンジャーズでのインフィニティストーンに似たマザーボックスとか二番煎じ感も強くてイマイチ・・。

まぁ、スーパーマンが不在というのは大きい要素だけど、全体的に暗いトーンだし、それぞれのヒーローの持つ世界観も合致しきれていなくて奥行きがなかったかなと。

けど、チームになっても暗いってのはけっこう致命的だよねw

で、この暗さは一体何なんだろうと考えてみると、ヒーローの抱える孤独を見つめた上での成長過程を今まで描けてこなかったというか、その積み重ね=キャラの歴史が浅いというところに行き着いちゃうのかなと。そういう意味では見切り発車も甚だしいかんじだったのかもしれない。

うーん、マーベルが少年ジャンプだとすると、DCは少年チャンピオンてとこなのかな(笑)。

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アクアマン

Aquamanposter出演:ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、ウィレム・デフォー、パトリック・ウィルソン、ドルフ・ラングレン、ニコール・キッドマン

監督:ジェームズ・ワン

(2018年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:ある嵐の夜、港町の灯台守が海岸に打ち上げられた女性を救助する。彼女は海底国アトランティスの女王アトランナだった。やがて2人は恋に落ち、男の子アーサーを授かるが、アトランティスからの追っ手にアトランナは連れ戻されてしまう・・。時は流れ、たくましく成長したアーサーの前にアトランティスの隣国ゼベルの王女メラが現れる。アーサーの異父弟であるアトランティス王オームが地上の人類征服に乗り出したという。アーサーはその暴走を止めるべく戦いに身を投じていく・・・。

評価★★★/60点

マーベル映画マイティ・ソーをDCに置き換えたような趣で、SFからアドベンチャーまで色々な要素を詰め込んでいるものの、文字通りどこかの海賊版レベル。デジャヴもここまでインフレーション起こすと胸焼けしちゃうねw

話の筋も魚人族vs人間がメインになるのかと思っていたら、大雑把な内輪もめの兄弟ゲンカに終始していくし。。ブラックマンタのまさかの造型含めてヴィランの印象も弱い。重力から解放された縦横無尽のアクションだけが見所だった。

でも、唯一これ見て安心したのはワンピースの実写化はたぶん大丈夫だろうってこと(笑)。

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ワンダーウーマン

34614829922_f535b237de_z出演:ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、ダニー・ヒューストン、デヴィッド・シューリス、コニー・ニールセン

監督:パティ・ジェンキンス

(2017年・アメリカ・141分)WOWOW

内容:外界から隔絶されている女性だけが暮らす島に生まれ育ったアマゾン族の王女ダイアナは、最強の戦士になることを夢見て日々過酷な修行に励んでいた。そんなある日、外界から飛来した戦闘機が墜落し、ダイアナはアメリカ人パイロットのスティーブを救出。人類世界は第一次世界大戦の最中であることを知る。その裏に軍神アレスによる人類殲滅計画があると見抜いた彼女は、その野望を阻止すべく島から出てロンドンへ向かう・・・。

評価★★★★/75点

特別ワンダーなことは何もないオーソドックスな展開ながらも、女性主人公がピンで活躍するスーパーヒロイン映画はとんと見たことがなかったので新鮮ではあった。

特に、タイトルロールを演じたガル・ガドットのセクシー一辺倒ではないアスリート的美しさを兼ね備えたカッコ良さがピカイチ✨

映画から奇異な色メガネを外させることに成功しているし、男社会のルールを全く知らないイノセントなキャラ設定も相まって、男性ヒーロー映画にはない女性ならではの柔らかさと気品と力強さのある作品に仕上がっていたと思う。

また、時代設定をハイテク満載の現代ではなく、騎馬と戦車、長槍と機関銃という近世の遺物と近代兵器が混在していた第一次世界大戦時に置いたのも上手かった。剣と盾と投げ縄を携えて身ひとつで戦うワンダーウーマンの接近格闘アクションの入門編として格好の舞台だったと思う。

まぁ、第二次世界大戦だとナチスヒトラーという絶対悪が存在するので、軍神アレス云々の入り込む余地がないってのはあるよね。

次作でもっと時代が下った時に、時代背景に合わせて彼女のキャラクターにアレンジを加えるのか、処女性の担保も含めて楽しみなところだ。

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バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

20170614115645 出演: ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ジェシー・アイゼンバーグ、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ジェレミー・アイアンズ、ホリー・ハンター、ガル・ガドット、ケヴィン・コスナー

監督:ザック・スナイダー

(2016年・アメリカ・152分)WOWOW

内容:前作(マン・オブ・スティール)でゾッド将軍と死闘を繰り広げたスーパーマン=クラーク・ケント。しかし、その戦いによって大都市メトロポリスは破壊され多くの死傷者を出し、バットマン=ブルース・ウェインも巻き込まれた友人を亡くしてしまう。そして人々の間でスーパーマン脅威論が芽生え始めるのだった。そんな中、世界を股にかける多国籍企業体の総帥レックス・ルーサーは、スーパーマンを抹殺すべく動き出す・・・。

評価★★★/60点

「ダークナイト」が複雑に入り組んだストーリーラインの中に時代の価値観やメタファーを濃密に織り込ませ、なんだかよく分からなかったけど圧倒されたからもう1回見たいと思わせられたのに対し、今作はなんだかよく分からなかったけど心魅かれるものがなくてスカスカだったからもう見なくていいやと思ってしまった。

まずもってミソの付け始めが冒頭10分のプロローグの不親切な作り方。

メトロポリス上空に鎮座し地球を乗っ取ろうとするゾッド将軍の宇宙船とバトルを繰り広げるスーパーマン。この「マン・オブ・スティール」のクライマックスをそのまま今作の冒頭に持ってくるとは露知らず、記憶の糸をたぐり寄せるのに難儀し、開始早々から半歩遅れで見るハメに陥ってしまった・・・。

いや、しかし待てよ。何の前知識もなしに見たとはいえ、数年前の映画の大団円シーンのことなんて覚えてるかフツー(笑)。こういうのは前作を見ていない人でも分かるように作らないとダメだろと思うのは自分だけだろうか!?

さらに難癖をつけるとすれば、そもそも論のところで2人を対決させるというコンセプト自体に無理があったのではないかと感じてしまった。

2人が戦う理由とか、プロモーターに徹するレックス・ルーサーの行動原理とか、あげくの果てに2人の母親の名前がたまたま同じだったから仲直りとか全てが意味不明で、ただ単に主役の座を奪われたくない花形役者同士のいがみ合いにしか見えなかった。

狂気と紙一重なおかつ悪と表裏一体な正義の危うさという00年代以降アメコミ映画のトレンドとなったサブテーマもいい加減飽きてきたし・・。

まぁ、そういう意味ではスーパーマンが映画で活躍した80年代は絶対正義が絶対悪を打ち倒すという価値観に何の疑問も抱かなかった時代だったわけで、悪が悪でいることに理由は必要なかった。

一方、バットマンが映画で活躍した90年代は絶対的な正義に揺らぎが生じ始め、何が善で何が悪なのか区別がつきづらくなっていく道徳的観念の崩壊の序章ともいえ(91年「羊たちの沈黙」や95年「セブン」などに代表される時代背景)、その中で復讐心を身にまとったコウモリ男が目には目を歯には歯を、悪には恐怖をの精神で裁きを行っていく。

つまり、根明なスーパーマンと根暗なバットマンはちゃんと棲み分けできるはずなんだけど、「マン・オブ・スティール」でスーパーマンも根暗なベクトルに舵を切ったものだから、キャラクターに対照性がなくなっちゃったんだよね。

それゆえ苦しまぎれにスーパーマンはエイリアンという別次元の問題を持ち出してきて、かえって墓穴を掘っちゃったかんじ。。

DCコミックスのヒーローチーム“ジャスティスリーグ”のスタートとしては少しつまづいちゃったかなぁ・・。

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マン・オブ・スティール

157426_02出演:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ラッセル・クロウ

監督:ザック・スナイダー

(2013年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:クリプトン星の滅亡を悟った父親に最後の希望を託され、地球へと送り出された赤ん坊。ケント夫妻に拾われ、クラークと名付けられ育てられた彼は、次第に他人とは異なる超人的な能力に思い悩むようになる。そして青年になった彼は自分探しの旅を続けていた。そんな中、クリプトン星の再建を企むゾッド将軍がクラークの存在に気づき、地球へと襲来する・・・。

評価★★★★/80点

のっけから「アバター」に寄せたクリプトン星のヴィジュアルイメージには苦笑したけど、超能力が迫害の対象になるのはX-MEN、自分の正体を簡単にバラしてしまうのはアイアンマン、自分のアイデンティティに悩みながらそれを受け入れていくのはダークナイト、というように昨今のヒーローもののエッセンスのいいとこ取りみたいなかんじになっていて、タケちゃんマンと双璧を成すwかつての根明ヒーローの面影はもはやそこにはなかった。

唯一笑えたのは、手錠をかけられて取調室に連行されるところくらいだったし。。

個人的にはクラーク・ケント=カル・エルのバックボーンがよく描けていて感情移入できる今回の根暗ヒーローの方が好みではあるけど・・。

あとは何と言ってもキャスティング。

今までのキャリアの中で家族を守るために命をかけて戦い続けてきた印象が強いラッセル・クロウと、トウモロコシ畑が最も似合う男ケヴィン・コスナーを生みの親と育ての親に、また見事に歳を重ねているダイアン・レインが包容力のある母親という贅沢な配役が、映画をエモーショナルな部分でかなり底上げしていることは間違いない。

ゾッド将軍一味との怒涛の都市破壊バトルは、例え9.11を完全払拭したことを示すにしても少々やりすぎ感は否めなかったものの、リブートものとしては上々の出来だったと思う。

2021年1月 3日 (日)

夢のシネマパラダイス383番シアター:ザッツ超能力!

X-MEN:アポカリプス

O0314046813888471784出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、オスカー・アイザック、ニコラス・ホルト、ローズ・バーン、ヒュー・ジャックマン

監督:ブライアン・シンガー

(2016年・アメリカ・144分)WOWOW

内容:紀元前3600年、エジプト。最古のミュータントである“アポカリプス”は、4人の騎士を従え神として世界に君臨していた。しかし、新しい肉体へ魂を移す儀式の最中に反乱が起こり、崩壊したピラミッドとともに地中深くに封印された。そして1983年。プロフェッサーX・チャールズは若きミュータントの教育に努め、人間との共存を図っていた。一方、マグニートー・エリックは身を隠して妻子とともにひっそりと暮らしていた。そんな中、アポカリプスが長き眠りから復活する・・・。

評価★★★/65点

自分の1番好きな漫画はワンピースなのだけど、周りでは連載20年の間に卒業していった人もいる。

その理由で多いのが、キャラクターが多すぎてわけが分からなくなったというのがあって、一度離れてたけどまた読もうかなという人でも途中下車しちゃうとやっぱもう無理ってなるんだよね。

で、そういう奴にかぎってストーリーもグダグダしてきてツマンナイよねとか平気で言う。なので、こっちとしては一生懸命キャラの相関関係とか説明してワンピースの面白さを力説するんだけど、その努力が実ったことは一度もない。そのたびに、グダグダどころか20年経っても面白さが上げ潮状態の漫画なんて他にはないですからー!と自分に言い聞かせるのだった。。

がしかし、同じく約20年に渡って続くX-MENシリーズにおいて、自分は彼らと全く同じことをやってしまっていることに気づいた(笑)。キャラクター多すぎてわけ分かんねーよ!って。

ていうかこのシリーズに関しては毎回同じ感想しか抱いていないw

特に今回はプロフェッサーXが半分くらい拘束状態、マグニートーも棒立ち状態で、その他大勢の方が前面に出てくるので、それぞれのキャラクターが過去作にどう繋がっていくのか、また前作で歴史改変されたことでキャラクターにどのような変化があったのかが、正直言ってコアなファンじゃないと分からないのはツライところ。。

漫画でいえば2~3年周期で連載再開ってことと同じだから、ハンター×ハンターみたいなもんでしょ。だとすると、やっぱ記憶の糸をたどるのが難しい、って言い訳してみる。。

いやでも今回はホント、ストーリーをただ追いするだけで、何の旨味もなく終わっちゃったかんじ。真剣に1作目から見直してみるか、ってこれも毎回言ってるなww

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X-MEN:フューチャー&パスト

20140602214353出演:ヒュー・ジャックマン、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ハル・ベリー、ニコラス・ホルト、エレン・ペイジ、イアン・マッケラン、パトリック・スチュワート

監督:ブライアン・シンガー

(2014年・アメリカ・132分)WOWOW

内容:2023年、対ミュータント兵器“センチネル”の暴走によってミュータントばかりか人類も滅亡の危機に瀕していた。そこでプロフェッサーXは宿敵マグニートーと手を組み、兵器が開発された50年前の1973年にウルヴァリンの意識を送り込むことにするが・・・。

評価★★★★/80点

2000年公開の1作目から足掛け15年、ウルヴァリンを主役としたスピンオフを含めて7作目となった今作だけど、いまだに全てのキャラクターをつかみきれていない自分にとっては、このシリーズを見るのはどうしても腰が重くなってしまって・・

しかし今回は、人間とミュータントは共存できるとするプロフェッサーXと、ミュータントは人間を支配するべきだとするマグニートー、またミュータント全滅の危機の発端となったトラスク博士暗殺犯ミスティーク、そしてその暗殺を阻止するため過去に送り込まれるウルヴァリンさえ押さえておけば大丈夫なので、頭の中が整理できて見られて、今までの作品の中では1番面白かった。レベル低っww

でも要はなんでこのシリーズが食わず嫌いかというと、様々なミュータントが敵味方入り乱れてワチャワチャなってキャラクターがつかみづらいからで

その点、今回は先の4人にスポットが絞られているので分かりやすくなっているし、あとはやはりタイムトラベルものの醍醐味であるスリルとサスペンスが上手くブレンドされていて自分好みの作りになっていたのが大きいかな。

巷ではプロフェッサーXがなんで生きているのかとか矛盾点がいくつか挙げられてたみたいだけど、前作で死んだんだっけ!?ということすら記憶に乏しい自分にとってはそんなの関係なく、ほぼ単発ものとして楽しめてしまったかんじだしw

正直、これだけ楽しめちゃうと、1作目からもう1回見てみようかなという気にもさせられたけど、、それでも腰は重いままなのだった(爆)。。

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ウルヴァリン:SAMURAI(2013年・アメリカ・125分)WOWOW

 監督:ジェームズ・マンゴールド

 出演:ヒュー・ジャックマン、真田広之、TAO、福島リラ、ハル・ヤマノウチ、ウィル・ユン・リー、ファムケ・ヤンセン

 内容:第二次大戦中の長崎で日本軍の捕虜となっていたローガンは、原爆に遭うが日本兵のヤシダに救われる。それから数十年後、カナダのロッキー山脈で暮らしていたローガンのもとにヤシダの使者が現われる。余命わずかのヤシダがローガンに一目会いたいというのだ。そして日本を訪れたローガンだったが・・・。

評価★★☆/50点

原作コミックにこのエピソードがあるのかは知らないけど、前作ウルヴァリン・ゼロからのつながりはなく、完全なスピンオフというかんじ。最後とってつけたようにマグニートーと死んだはずのプロフェッサーXが出てきて次作へつながりをもたせたけどw

しかし、単発でこういうの持ってくるんだったらもうちょっとマシなの見せてほしいよ(笑)。これじゃただのヘンテコなニッポン映画じゃん。

B-29が飛来してきただけで切腹する日本兵から始まり、真田広之の初登場シーンのアクロバティックな剣道の稽古や、芝の増上寺の正門に立つマシンガン持った警備とか、もうツッコミどころ満載。。

あと、長崎の原爆を生き残った元日本兵があんなクソジジイになるかっつーの。日本人なめんときやーww

しかし、ニンジャやサムライを出してくるなら、いっそのこと戦国時代を舞台にした方がよっぽど面白かったと思うんだけどな。

でも、あのラブホだけは興味津々

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X-MEN:ファースト・ジェネレーション

Bdql9rgtze_movieposter出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ケヴィン・ベーコン、ローズ・バーン、ジャニュアリー・ジョーンズ、ジェニファー・ローレンス

監督:マシュー・ヴォーン

(2011年・アメリカ・131分)WOWOW

内容:1962年、アメリカ。プロフェッサーXとして後にX-MENを設立することになる遺伝子学の若き専門家チャールズ・エグゼビアは、CIAから捜査協力を依頼される。それは核戦争寸前まで突き進んでいた米ソ冷戦の中、超能力を駆使して暗躍するミュータント集団“ヘルファイヤークラブ”を調査するというものだった。そしてチャールズは、第二次大戦中にナチスの科学者ショウに母親を殺されたエリック・レーンシャーと出会うのだが・・・。

評価★★★★/75点

映画を見終わったあとの1作目のX-MENを見直したいと思った時点で今回の映画は上出来だったというべきだろう。

チャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)とエリック(マイケル・ファスベンダー)の決別が最初から分かっている中で、そこに着地させるまでの構成力はこのジャンルの中でもズバ抜けているといっていいと思う。

理想論の前者と現実論の後者のバックボーンや、そのどちらに共感してついて行くかという各キャラクターの内面描写をしっかり描き、さらに荒唐無稽が前提のSF設定にホロコーストや米ソ冷戦という史実を絡ませることでフィクションに重みと説得力をもたせるシナリオの巧さが、この作品をより生き生きとしたものにしていたと思う。

今をときめくジェニファー・ローレンスの艶めかしいボディラインを拝めるのもイイし、それまでの3作に大した思い入れもなかったので(笑)、思わぬ拾い物だった。

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ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009年・アメリカ・108分)WOWOW

 監督:ギャヴィン・フッド

 出演:ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、リン・コリンズ、ダニー・ヒューストン、テイラー・キッチュ、ライアン・レイノルズ

 内容:19世紀半ば。ミュータント能力を持つ少年ローガンは、ある悲劇から能力を覚醒させ、同じく能力を持った兄ビクターと2人で生きていくことに。以来、不死身の再生能力と戦闘能力を持つ2人は、俗世から距離を置き、150年以上に渡り幾多の戦場に身を投じてきた。しかし、そんな暮らしに嫌気が差したローガンは、軍を抜けてカナダの山奥で恋人と静かに暮らすことを選ぶ。一方、ビクターは戦争がもたらす狂気に魅せられ殺人鬼と化してしまい、その矛先はローガンにも向けられるのだった・・・。

評価★★★/65点

X-MENシリーズにそれほど傾倒しているわけではない者からすると、その中のいちキャラクターのみに焦点をしぼったスピンオフにはなかなか興味を抱けるものではない

また、ウルヴァリンの隠された謎が解き明かされるといっても、その謎が何だったのかさえ思い出せない者からすると、、ってそれは自分が悪いんだけどw、まぁしかし、アクション部分は見応えがあるし、歌わなくても存在感を知らしめるには十分の熱演を見せるヒュー・ジャックマンの魅力もあってSFアクションとしてフツーに楽しめるのはたしか。

しかし、勉強不足な自分が失礼を承知で言わさせてもらえば、もうちょっとシンプルなストーリー展開でもよかったんじゃないかな。ぶっちゃけ兄ビクターとの確執一点張りの方が逆にローガンにより感情移入できた気がする。

つまりビクター=セイバートゥースをもっとしっかり描くべきだったのではないかということに尽きるけど。だって、このセイバートゥースって1作目X-MENでマグニートー側についてた奴でしょ。この後どうつながっていくんだろっていう・・。

ま、、別にいっか(笑)。。

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X-MEN:ファイナル・ディシジョン

20070422_281624 出演:ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、パトリック・スチュワート、ファムケ・ヤンセン、アンナ・パキン、イアン・マッケラン

監督:ブレット・ラトナー

(2006年・アメリカ・105分)WOWOW

評価★★★/65点

 

内容:プロフェッサーXの右腕だったジーン・グレイの死により、いまだその動揺から立ち直れずにいるX-MEN。そんな中、ミュータントの能力を治療して消去し普通の人間に戻すことのできる新薬“キュア”が天才科学者によって開発される。ミュータントのまま生きるか、それとも人間になるかという究極の選択に大きく揺れるミュータント社会。マグニートー率いる強硬派ブラザーフッドは、キュアの根絶を狙い、キュア開発のカギを握る少年の強奪に動き出す。一方、放浪中のサイクロプスはジーンが生きていることを知り、感動の再会を果たすのだが・・・。

“X-MENオールスター感謝祭蔵出し祭り!?”

ミュータントを人間に変える新薬「キュア」を人間側が開発し、もしかしてそれがミュータントを絶滅に追い込むかもしれないというのに、当のミュータント同士が殺り合うというのはどうしても腑に落ちないものがある。

ミュータントは病気であるという人間の主張のもとで薬は作られたわけだから、病ではなく個性・アイデンティティであるとするミュータント側からすればそう簡単に受け入れられるものとは思えず、両者の間にある狭間の中で苦悩し葛藤する視点をもっと突っ込んで取り入れるべきではなかったか。

そういう点でいえば、ウルヴァリンと二重人格の最恐女ファムケ・ヤンセンのラブロマンス(?)を軸に据えたのは完全なミステークであり、視点がズレてしまっている。

本来ならローグ(アンナ・パキン)をこそ前面に押し出さなければならないはずなのに。。

とはいえ、登場キャラの多さに名前と顔が一致しなかった1作目から6年経ってしっかりした予備知識もついてきたせいか、なんだかんだいって3作品の中では1番面白かったかも。

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X-MEN2(2003年・アメリカ・134分)DVD

 監督:ブライアン・シンガー

 出演:ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、パトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ファムケ・ヤンセン

 内容:政府高官のストライカーがミュータント狩りを開始し、プロフェッサーXを捕らえてしまう。X-MENのメンバーは、宿敵マグニートーと手を組み、プロフェッサーXを救出すべくストライカーに立ち向かう。

評価★★★/60点

“早押し並べ替えクイズ!!同一人物に並べ替えよ。”

Aグループ

 エグゼビア、ファムケ・ヤンセン、マリー、カート・ワグナー

 ボビー・ドレイク、ローガン、エリック・レーンシャー

 スコット、ハル・ベリー、レイベン、キティ・プライド

 タイラー・メイン

Bグループ

 サイクロプス、ストーム、デスストライク、シャドウキャット

 ミスティーク、ジーン・グレイ、プロフェッサーX

 セイバートゥース、ウルヴァリン、ローグ

 ナイトクロウラー、アイスマン、マグニートー

問題出した当の本人が1番分かってねぇっ・・。しかもBグループ1人多いっ!

なんでっ?

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X-MEN(2000年・アメリカ・105分)WOWOW

 監督:ブライアン・シンガー

 出演:ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ファムケ・ヤンセン、ハル・ベリー

 内容:DNAの突然変異によって特殊能力を生まれ持った超人類“ミュータント”。人類を抹殺しようとするマグニートーに、人類とミュータントとの共存を目指すプロフェッサーXとX-MENが立ち向かう!

評価★★★/60点

なんか久しぶりにジョジョの奇妙な冒険に出てくるスタンド能力を思い出した。

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ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

E3839fe382b9e3839ae383ace382b0e383aae383出演:エヴァ・グリーン、エイサ・バターフィールド、クリス・オダウド、ルパート・エヴェレット、テレンス・スタンプ、ジュディ・デンチ、サミュエル・L・ジャクソン

監督:ティム・バートン

(2016年・アメリカ・127分)WOWOW

内容:フロリダに暮らす孤独な高校生ジェイク。祖父エイブだけが唯一の理解者で、祖父の語る冒険譚を聞くのが大好きだったのだが、ある日、祖父が謎の死を遂げてしまう。そしてジェイクは祖父の最期のメッセージに導かれ、ウェールズの小さな孤島へ向かい、古めかしい屋敷にたどり着く。そこでは女主人ミス・ペレグリンと、奇妙な能力を持った子供たちがひっそりと暮らしていたのだが・・・。 

評価★★★☆/70点

一言でいえばティム・バートン版X-MEN。

しかし、マッチョイムズを信奉するアメコミに対し、ティム・バートンの視点はあくまでダークファンタジー。

幼気な少年少女たちの内なる異形性の持つグロテスクさやフリークス感が際立っていて、一見してティム・バートン印になっているのはやはり流石。

特に“奇妙なこどもたち”の奇妙さはX-MENとは比べ物にならないくらい図抜けて魅力的だったと思う。

その反面、同じ1日をずっと繰り返すタイムループという不条理ナンセンスな設定がいまいち機能しているとはいえず(だってループの外の本当の現実世界での暮らしに憧れる悪役サミュエル・L・ジャクソンの方がある意味健全ではないかともいえるわけで)、ティム・バートン印のもう一本の柱である切なさや哀しさといったネガティブでシニカルな情緒面が相殺されているのは惜しい気も。。

まぁ、全体的な世界観とモンスターも含めたキャラクター造型が自分好みだったので映画としては及第点。

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ファンタスティック・フォー〔超能力ユニット〕

200fullfantasticfour 出演:ヨアン・グリフィス、ジェシカ・アルバ、クリス・エヴァンス、マイケル・チクリス

監督:ティム・ストーリー

(2005年・アメリカ・106分)MOVIX仙台

内容:人類の進化と宇宙嵐の関係を研究している若き天才科学者リード。彼はある日、その謎を解明するため、親友のベン、元恋人で女性科学者のスー、彼女の弟ジョニーとともに、実業家でスーの今の恋人でもあるビクターの援助を受けて宇宙実験を実施することに。だがその最中、5人は予想外に早くやって来た宇宙嵐の放射線を浴びてしまった。それは彼らのDNAに変化をもたらし、皆それぞれに違った力が表れていく・・・。

評価★★★/60点

レイザーラモンHGが宣伝隊長になっただけのことはあるいい加減なお話。。

いや、だって超能力を手に入れたのに、みんながみんなあっちこっちの方向を向いていて全然まとまりがないんだもん。話に求心力が・・・。

悪役も悪役っぽくなかったし、いまいち燃えなかったな。

それとも素人が超能力を手に入れたらこんなんなっちゃうのよ、てなことなのか。

見所はジェシカ・アルバの胸元のみ、、ま、いっか(笑)。

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ファンタスティック・フォー:銀河の危機(2007年・アメリカ・92分)WOWOW

 監督:ティム・ストーリー

 出演:ヨアン・グリフィス、ジェシカ・アルバ、クリス・エヴァンス、マイケル・チクリス、ダグ・ジョーンズ

 内容:巷では国民的ヒーローとなったファンタスティック・フォーのリードとスーが結婚するという話題で持ちきり。が、世界各地では謎の閃光の飛来により異常現象が発生していた。そして、2人の結婚式当日、閃光がニューヨークにも出現する。その正体は、銀色のボードを駆る生命体“シルバーサーファー”。さらに、このシルバーサーファーが現れた星は、8日以内に滅びていることが判明し・・・。

評価★★★/60点

ゴムゴム人間ルフィが大活躍する「ワンピース」の実写化は十分できる!ということだけは、リードの伸縮自在アクションを見てよぉく分かった(笑)。

「Mr.インクレディブル」から「ファンタスティック・フォー」ときて、ついに満を持してワンピース!、、ってそれくらいしか見所がないんだよねこれ。。

この軽さと中身の無さには脱帽するしかない。

銀河の危機というより、ハリウッドの危機だろ

2019年10月12日 (土)

夢のシネマパラダイス285番シアター:突撃!隣のマイケル・ムーア!

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

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監督・脚本・出演:マイケル・ムーア

(2015年・アメリカ・119分)WOWOW

内容:映画監督マイケル・ムーアが単身アメリカを飛び出し、星条旗を掲げながら“世界侵略の旅inヨーロッパ”を敢行。各国の良い制度や習慣を略奪してアメリカに持ち帰ろうというのだ。まずイタリアに侵略した彼は、有給休暇が年間8週間もあることに衝撃を受ける。その後も訪れた国々で驚くべき常識を知ることになり・・。

評価★★★★/80点

自己責任と個人主義の弱肉強食大国アメリカと社会責任と連帯主義の弱者救済システムを持つヨーロッパを比較して、アメリカのジョーシキをシニカルかつユーモアたっぷりに糾弾していく構成力はドキュメンタリーの枠を超えた面白さで、マイケル・ムーアのセンスを再認識。

ポルトガルのドラッグ合法とかノルウェーの開放型刑務所とかさすがにそれはどうなの!?というのもあったけど、アメリカ型資本主義一辺倒の日本としては対岸の火事として笑っていられない部分もあったりして、興味深く見ることができた。

その中で、日本でも取り入れなきゃダメだなと思ったのは、スロベニアの大学授業料無料をはじめとする教育費の無償化。少子高齢化でマンパワーが枯渇していくことは目に見えているわけだから、広がり続ける経済格差社会の中で高等教育を受けられないというのはそれこそ国益を損ねることにつながると思うんだけどなぁ。どうも政治家先生たちの頭の中では教育に対する優先度が低いようで・・。

あと、映画の中で紹介された各国の様々な施策が実はアメリカ発祥のものばかりというのは目が点になったところで、行き過ぎた資本主義ははたして人を幸せにするのだろうかと日本の行く先にも不安を覚えてしまった。。

でも、その不安を希望に変えていくには自らが声を上げて立ち上がらなければ勝ち取れないのだというのはちょっと耳が痛くなっちゃった。

権力は隙あらば常に抑圧と搾取を狙っていて、流されるまま無関心でいると知らない間にとんでもなく生きづらい世の中になっているかもしれないってことを肝に銘じなければ・・・。

ハンマーとノミを見えるとこに置いておこうw

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華氏911

9111bigthumb 出演:マイケル・ムーア、頭のネジが2,3本吹っ飛んでいるジョージ・W・ブッシュ

監督・脚本:マイケル・ムーア

(2004年・アメリカ・122分)恵比寿ガーデン

評価★★★★☆/85点

内容:イラク戦争を決行したブッシュ大統領を標的に、同時多発テロ時の彼の行動やブッシュ家とビンラディンの関係などを、痛烈に批判していく。カンヌ国際映画祭でパルムドールと国際批評家連盟賞を受賞。

“マイケル・ムーア流レジスタンス”

この世界を正常にするために小さき自分ができることをひとつ見ーっつけた。

この映画を知人友人に広めたるわ(ベターー)。オレ流レジスタンス。

この映画がカンヌで賞を獲り、アメリカでも大ヒットだったにもかかわらずブッシュは再選されてしまったわけで、あと数年続いちゃうんだこんなのが・・・。でも、ブッシュよ、アンタの政権が終わった後どころかアンタの死後にもこの映画は残っていきますからー残・念!

映画というのは主観が入っていて当然だし、それが例えドキュメンタリー映画といわれるものであっても。そうじゃなきゃ映画じゃないと思うので、この映画のスタンスは個人的には全然OK。ていうかこれとは真逆のネオコン&ブッシュ命映画も作りゃいいじゃん。主観バンバン入れて。それでもドキュメンタリーとしての事実は事実なんだから。

映画てのはそういうもん。だと思う。

この点については「ブラックホーク・ダウン」のレビューでも述べてるのでここではこれ以上突っ込んではいきませんが。

ところで、この映画で1番印象に残ったのは、イラク人の母親とアメリカ人の母親が同じことを叫んだこと。

米軍に家を爆撃され、子供親類を亡くした女性が泣き叫びながらアッラーに救いと復讐を求める、一方でイラクで戦死した息子の死を受け容れられないアメリカ人女性も泣き叫びながら神に救いを求める。

結局は同じ痛みと悲しみ、そして絶望の祈りを捧げなければならない。

んで政治家連中は高みの見物。

そんなに戦争したいなら、「西部戦線異状なし」で出てきたセリフのように、囲いの中に指導者を集めてその中で素手の殴り合いをさせて決着つければええやん。あるいは「トロイ」みたいに、1対1の決闘で勝敗をつけるとか(笑)。え?軍産複合体が許してくれない?

そうだなぁ、、10年に1回デカイ戦争しないと国がまわらないシステムだからねアメリカって。

さぁて、次の標的はどこよ。。。

Posted at 2004.10.04

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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年・カナダ/アメリカ・120分)恵比寿ガーデン

 監督・脚本:マイケル・ムーア

 出演:マイケル・ムーア、アブないマリリン・マンソン、キレてるチャールトン・へストン、人殺しが好きなジョージ・ブッシュ、マット・ストーン(誰だっけ)

 内容:マイケル・ムーアがアメリカ銃社会をなで斬りにし、カンヌやアカデミー賞などで多数の賞を受賞したドキュメンタリー。1999年4月20日、コロンバイン高校銃乱射事件が発生。なぜアメリカでは銃犯罪が多発するのか?ムーアは全米ライフル協会会長のチャールトン・へストンらに突撃アポなし取材を敢行していく。

評価★★★★☆/85点

“あ゛ーーー、また自分にとって知りたくもない余計なトリビアが増えてしまったぁぁ・・。”

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シッコ(2007年・アメリカ・123分)CS

 監督・脚本:出演:マイケル・ムーア

 内容:先進国の中で唯一、国民皆保険制度を持たない国アメリカ。約4700万人が無保険のため高額の医療費を払えず、病院に行くことを我慢せざるをえない状態にある。一方、残りの国民の健康保険の大半は民間の保険会社に委ねられているが、はたしてこれらの保険会社は本当に満足のいく医療を提供しているのだろうか!?アメリカの医療の衝撃の実体が明らかになる。。

評価★★★★☆/85点

“ボランティア大国の裏の顔”

底辺に生きる者への対し方でどんな社会か知れるという・・・。

なりふり構わない規制緩和と市場開放による新自由主義が国民の生命に関わる医療を握ったとき、その行き着く先にあったのは、、、

誰も助けてくれない社会だった・・・。

なんという悲しい現実。

弱者が捨てられていく目を覆いたくなるような惨状に思わず涙してしまった。

しかし、市場原理主義ももちろんだけど、その底流にあるアメリカ人のものの考え方の偏り方にはあっけにとられたというか、、究極の個人主義と自己責任論、そして社会主義はおろか社会民主主義でさえも受けつけない徹底した嫌悪感というのは計り知れないものがあるのだなと思った。根本的に価値観が違うというかね・・。

世界の隅々まで自由と民主主義を行き渡らせようと大変な努力(笑)をしているアメリカ、しかし“私”が“私たち”のために、“持てる者”が“持たざる者”のために物事を考えることができない社会こそ最も危険な恐ろしい国ではなかろうか。

政府が国民を恐れるのではなく、国民が政府を恐れてしまうという“ビョーキ”にかかってしまったら世も末か、、って日本は大丈夫なのだろうか。。

アメリカの年次改革要望書に沿って動いている日本の行く末にあるものとはどんな社会なのだろうか・・・。悪寒が・・

とにもかくにも、この映画を見て感じたのは、医療や教育、介護といった国民生活を最低限保障するサービスに関しては、営利を旨とする民間機関ではなく、やはり国と政府にしっかりしたものを提供してもらわなければならないということ。

もちろん、そのためにはスウェーデンなどのヨーロッパ諸国なみとはいかないまでも、かなりの税負担と社会保険料を代償として払わなければならないだろうけど、払った分だけ国民生活に徹底して還元される社会であればそれも許容できるのではなかろうか。

そのためにも政府が国民を恐れる国、つまり国民と政治が密着し、真の意味で国民が政治を取り仕切る国にならなければならないのだと思う。それが本当の民主主義なのだ。

翻って、日本は、、、

まずはとにかく、民間を参入させて市場開放すれば国民にとっても選択肢が増えて良いという論は医療には当てはまらないということだけはよ~く分かった。

2018年9月29日 (土)

夢のシネマパラダイス271番シアター:るろうに剣心

るろうに剣心

T0010720q 出演:佐藤健、武井咲、吉川晃司、蒼井優、青木崇高、綾野剛、須藤元気、奥田瑛二、江口洋介、香川照之

監督・脚本:大友啓史

(2012年・日本・134分)盛岡フォーラム

内容:幕末の混乱期に人々を殺め“人斬り抜刀斎”と恐れられた剣客がいた。そして明治維新から10年後。再び抜刀斎が惨殺を繰り返し世間を騒がせる。そんな中、手配書に見入るひとりの浪人がいた。その名は緋村剣心。自ら立てた“不殺の誓い”に従い、斬れない刀を手に流浪の旅を続けていたのだ。そんなある日、亡き父の道場を引き継ぐ女剣士・神谷薫を抜刀斎を名乗る男から助けた剣心は薫の道場に居候することになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

*原作漫画は未読

ジャンプ漫画の実写化はドラゴンボールや北斗の拳など、ことハリウッドの実写化ではロクなことにならないのは周知の通りw

しかし、今回は幕末という史実のリアリティをベースにした世界観の中で、荒唐無稽な漫画のエッセンスをファンタジックに寄りすぎないレベルで巧みに織りまぜ、躍動感とケレン味あふれる本格時代劇アクションとなっている。

これはもはやジャンプ漫画の実写化という枠を超えたクオリティというにふさわしいテイストで、さすが自分と同じ盛岡出身の大友啓史監督だけのことはあるw

大河ドラマ「龍馬伝」での陰影のある映像の質感や長回しを用いた演出にハマッていた者としては今回も期待以上の画づらを見せてくれてまずは満足。

ただ、不満点がないわけではない。

話がめっぽうツマラナイのだ(笑)。

キャラクターに深みがないのが最大の要因だと思うのだけど、そのくせにせわしなくバトルシーンが続くので、映画のテンションとこちらのテンションが微妙にかみ合わない。

物語の運び方をもうちょっと丹念に煮詰めていって、状況説明の先にあるキャラクターの心情に寄り添ってちゃんと感情移入させてほしかった。

、、って、脚本書いたのも大友啓史だったのかい

まぁ、続編あったらもち見るけど、音楽もちょっとウザかったので今度は控え目でお願いします。。

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るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編

O0390052513068472391出演:佐藤健、武井咲、伊勢谷友介、青木崇高、蒼井優、神木隆之介、江口洋介、藤原竜也、小澤征悦、土屋太鳳、滝藤賢一、田中泯、福山雅治

監督:大友啓史

(京都大火編・2014年・日本・139分/伝説の最期編・同・135分)WOWOW

内容:明治11年。幕末に“人斬り抜刀斎”と恐れられた緋村剣心。今は東京の神谷道場で女師範の薫らとともに穏やかな日々を送っていた。しかしその頃京都では、剣心の後釜として幕府側の影の人斬り役を務めていた志々雄真実が暗躍していた。維新後、口封じのために明治新政府によって暗殺されたはずだったが、実は生きていて、復讐するために京都で恐るべき軍団を作り上げたという。危機を察した政府上層部の大久保利通は、剣心に志々雄の討伐を要請するが、その矢先に大久保は志々雄一派に暗殺されてしまう。そして剣心は京都へ向かうことを決断するが・・・。

評価★★★☆/70点

まずもってアクション演出にかけては最高点。

古今東西あるチャンバラ活劇&剣戟アクションの中で今作の殺陣のアクション演出ほど極みに達したものはないだろう。

アングル、カット割り、スピード感、即興性すべてにおいて言うことなしだし、例えば中国の武侠映画でよく見られるワイヤーアクションの飛翔感や浮遊感が生み出す優美性とは異なる身体性を強調したライブ感が、アクションシーンに圧倒的な迫力を生み出していたと思う。

また、時代劇の定石では、クライマックスにもってくるであろう一大決闘シーンを序盤からつるべ打ちのごとく畳みかけてくるのもエンタメ度全開でお腹いっぱいで、その点では大満足。

ただ、逆にいえば、良質な時代劇が持ちうる静の中に宿る緊張感や叙情性、また感情の奥行きを生み出す余韻や余白には絶対的に乏しく、それを大音量の音楽でとにかく埋め合わせているのがこの映画ともいえる。

前後編4時間半近く見ても一向にキャラクター(特にサブキャラ)に深みが感じられなかったのもある意味スゴイww

まぁしかし音楽のウザいこと×2セリフも聞き取れないくらいだったな・・。

P.S.歴史好きの戯れ言としていえば、ペリーの黒船がなしえなかった江戸砲撃を志々雄の鋼鉄船で見たかったような

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無限の住人

B9dc9809335a42e31a4deddc9af5ee04728x826出演:木村拓哉、杉咲花、福士蒼汰、市原隼人、戸田恵梨香、栗山千明、満島真之介、山本陽子、北村一輝、市川海老蔵、田中泯、山崎努

監督:三池崇史

(2017年・日本・141分)WOWOW

内容:かつて百人斬りの異名を持つ剣豪・万次。妹を目の前で殺され生きる意味を失い、さらに謎の老婆によって永遠の命を与えられ、以来50年以上まさに生きる屍として孤独に過ごしてきた。そんなある日、浅野凛という少女が現れ、統主・天津影久率いる剣客集団に両親を殺された仇討ちの助っ人を頼まれる・・・。

評価★★☆/50点

主人公の万次に謎の蟲を与えて不老不死の身体にする怪しい老婆・八尾比丘尼。

この名前を聞いた時に真っ先に思い浮かべたのが手塚治虫の「火の鳥・異形編」だ。

時は戦国、火の鳥の羽根でどんな病も治すことができる蓬莱寺の八尾比丘尼。暴君である父の病を治されてはならないと息子・左近介は比丘尼を殺害する。しかし、事を終えて寺領を出ようとするもそこから出られなくなってしまった左近介は、絶えず集まってくる病人のために仕方なく比丘尼として病を治していく。そして比丘尼として生きるようになって30年後、自分を殺しに左近介がやって来る、、

といういわゆる因果応報の無限ループものなんだけど、人を殺めた罰として永遠に背負うことになる人間の業の恐ろしさにただただ圧倒されてしまった。

それが頭に入っていたので、今回のキムタクじゃねーやw、万次はどのような業を背負わされるのかと思いきや、何回ゲームオーバーになってもTo be continuedできるテレビゲームばりのチープさだったというオチ・・。魅力的なはずの中ボスキャラたちもあれよあれよの使い捨てで、まるで何かの総集編w!?

そこには生命の重みどころか人生そのものすら感じられない無機質な物語しかなく薄っぺらい。

残る唯一の見所となるべきチャンバラ活劇も、るろ剣や十三人の刺客と比べれば及第点以下。

これだけの重厚キャストを揃えておきながら流しそうめんみたいな映画になっちゃうとは残念無念。。これは連続ドラマでやるべきだな。

杉咲花だけは二重丸✨

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五条霊戦記//GOJOE

Gojo1 出演:隆大介、浅野忠信、永瀬正敏、岸部一徳、國村隼

監督:石井聰互

(2000年・東宝・137分)仙台第一東宝

評価★★★☆/70点

 

内容:平安末期、平家が支配する闇の時代。源義経こと九郎義経は山にこもり日々武術や妖術の鍛錬に明け暮れていた。五条大橋で平家武者を次々と斬って捨てるその姿は鬼と恐れられ、近寄るものはほとんどいない。しかし、神から鬼を退治せよとの啓治を受けた武蔵坊弁慶は、義経を討つべく身の丈ほどもある刀を担いで乗り込んでいった。。

“雰囲気は好き。”

中世、闇の時代というオープニング字幕が示すように、この時代の雰囲気を出すことにこだわっていてそれがよく伝わってくる出来栄えだったと思う。

仙頭武則がプロデューサーだった効果はあったんじゃないかな。萌の朱雀なんかで見せた畏怖の自然を余すところなく見せていて、その点では成功していたと思う。

中世が闇、暗黒の時代だったかは別にしても、あの時代明らかに人々の観念の中に鬼や物の怪は存在していたわけで。タタリもざらにあったでしょう。

アニメ「もののけ姫」でも描かれていた通り、しかし、もののけ姫の色づかいよりもさらに深遠な森、誰も立ち入ることのできない場所というのは絶対あったはずで、そういう雰囲気はこの作品の中でよく出ていたと思う。

が、しかし、この映画、残念でならなかったのがカメラ。

バトルが見せ場なのに、ほとんど近いアングルからしか撮ってない!

こだわりすぎじゃないかってかんじで。

カメラは引くどころか近寄りすぎーー。。目ぇ疲れるーー。。剣と剣がぶち当たるとこしか写ってなーーい、火花バチッ×2

昨今は接近アングルが流行りなのかしらんけど、遠近織り交ぜてやった方が・・・。

サイバーバトルにこだわるのは別にいいのだが、、惜しい。

あと、浅野忠信の義経ってのもなんか妖艶さが足りなくて物足りなかったなぁ。。

Posted at 2000.10.20

2018年5月 2日 (水)

夢のシネマパラダイス358番シアター:潜入捜査は命がけ

土竜の唄 潜入捜査官REIJI

T02200310_0722101612825903589出演:生田斗真、仲里依紗、山田孝之、上地雄輔、的場浩司、遠藤憲一、岩城滉一、大杉漣、岡村隆史、堤真一

監督:三池崇史

(2014年・東宝・130分)DVD

内容:警察学校を史上最低の成績で卒業したダメ巡査の菊川玲二は、正義感だけは人一倍ある。が、ついに署長からクビを宣告されてしまう、、というのは表向きで、秘かに潜入捜査官(通称モグラ)としての密命が下されたのだ。その任務は、関東最大勢力“数寄矢会”に潜入し、4代目会長を挙げるという危険な任務だった・・・。

評価★★★★/75点

もはや飽きるを通り越して嫌悪感さえ催すこともしばしばになってきたクドカンワールド

が、今回は予想に反して大当たり

それはクドカンのシナリオの手癖をうまく咀嚼し、テンポ良く三池節に染め上げた演出力のなせる技にあるといっていいけど、「脳男」で不気味すぎるほどの静謐なオーラを醸し出していた生田斗真の180度異なるハジケっぷりも大いに貢献したといっていい。

予告編で印象的だった全裸で車のボンネットにくくり付けられて爆走するシーンがのっけから出てくるハイテンションに一気に映画の中に入っていけたけど、それを超える勢いで乗っかってきた生田斗真の体当たり演技には感服した。

そしてセルフ人間洗車、ホルモン蝶結び、タバスコ目薬、ゲテモノ不老不死ジュース、盃丸かじり、早漏防止術などヒネリも何もないカビの生えたような小ネタのマシンガン連発に大いに乗せられてしまったw

これだったら続編もあっていいかも。。

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X-ミッション

Poster2出演:エドガー・ラミレス、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー、デルロイ・リンドー

監督:エリクソン・コア

(2015年・独/中/米・114分)WOWOW

内容:Xスポーツのアスリートだったジョニー・ユタは、競技中の事故で親友を亡くしてしまう。そんな彼に目を付けたのはFBI捜査官ホールだった。巷ではXスポーツを駆使した犯罪集団による強盗事件が立て続けに発生。Xスポーツのカリスマであるボーディ率いるチームの関与が捜査線上に浮かび上がる中、FBIはユタを特別捜査官に任命し、ボーディのチームに潜入させることにするが・・・。

評価★★★/65点

映画を見終わった後にキアヌ・リーブスの出世作「ハートブルー」(1991)のリメイクと知って大仰天!それ早く教えてくれよ~と思ってしまったんだけど。。

というのもFBI捜査官が潜入捜査先のワルと固い友情で結ばれていくプロットがワイスピみたいで、そちらのベクトルで見ていたものだから、途中でそれが裏切られてただの凡庸なドンパチ映画になっちゃってガックリきてたんだよね。

山岳モトクロスから始まり、スカイダイブ、ウイングスーツでのベースジャンプ、サーフィン、スノボ、ロッククライミングなど繰り広げられる絶景パフォーマンスをスクリーンの大画面で見れば迫力が違ったんだろうなとちょっと後悔しつつ、それを抜きにしても見てるこちらのテンションがなかなか上がっていかなかったというのは、やはり取って付けたようなストーリー展開に魅力がないからと思われ・・。

こちらが見たかったのは人が死なない痛快作だったのに、シーシェパードにマシンガン持たせたらドン引きだろww

せっかくのCG無しという謳い文句もどこか宝の持ち腐れのような中途半端作だった。。

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インファナル・アフェア

Inf1出演:トニー・レオン、アンディ・ラウ、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、エディソン・チャン

監督:アンドリュー・ラウ

(2002年・香港・102分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:ハリウッド史上最高額でリメイク権が落札された香港黒社会を舞台にしたサスペンスドラマ。1991年、ストリート育ちの青年ラウは香港マフィアに入ってすぐ、その優秀さに目を付けたボスによって警察学校に送り込まれる。一方、警察学校で優秀な成績を収めていた青年ヤンは、警視に能力を見込まれマフィアへの潜入を命じられる。やがて2人の青年は、偽りの身分の中で着実に実績を積みそれぞれの組織で重要なポストを与えられていく。そして10年後、麻薬取り引き絡みのもつれから警察、マフィア双方がスパイの存在に気付いてしまうのだった・・・。

“つかみはイマイチ、終り良ければすべて良しだ!”

ほとんど何の予備知識もなしで見に行ったのだけど、オープニングの不親切極まりないとってつけたような速攻プロローグでいきなりつまづいてしまった。顔の区別がつかねぇし。話の事態を理解するまでけっこうかかってしまった・・。

そんなわけで出だしは低調だったのだけど、しかし話が進めば進むほど加速度的に映画の中にのめり込んでいく自分をはっきりと認識することができた。圧倒的追い込みでクライマックスへとなだれ込んでいき、もう目が離せないとはこのことよw

しかし画面を支配しているのはあくまでも“静”。

だって1番あからさまな“動”っていったら指の動きぐらいじゃん(笑)。

この映画全体を支配しているのは、視線、空気、音、思考、疑念といった静であり、それら“静”の中でふつふつと“動”がみなぎっているのだ。

例えていえば、冷えた水風呂に焼け石を放り込んだといえばいいだろうか。そんなふつふつと上昇してくるような状態。

逆に焼け石に水風呂の水をぶっかけてもまさに焼け石に水だから何の効果も意味もないわけで。ただヌルくなるだけ。

そういうところはこの映画しっかりと分かっていらっしゃる。拍手。

えっ?ハリウッドがリメイク?“動”全快のハリウッドが・・・?

「焼け石に水」にならなきゃいいけど

Posted at 2003.10.21

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インファナル・アフェアⅡ無間序曲

Inf2 出演:エディソン・チャン、ショーン・ユー、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、カリーナ・ラウ

監督:アンドリュー・ラウ

(2003年・香港・119分)盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:1991年、香港マフィアのボスであるクワンが暗殺された。手を下したラウは警察学校に送り込まれ、一方、クワンの私生児であることが発覚したため警察学校を退学になってしまったヤンは、ウォン警部に拾われ、組織への潜入を命じられる。前作の10年前に遡り、中国返還に揺れる香港を舞台に、ヤンとラウがそれぞれスパイになる過程が描かれる。

“北野武も真っ青の無限ブルーに否応なしに暗黒映画の深淵までズルズルと引きずり込まれてしまう。”

黒か白か。はたまた灰色か。

いや、これは青と赤のせめぎ合いだ。

冷静なスピリットと激情のパッションとが絶え間なく対峙し絡み合い、無限の螺旋を形づくる。

この螺旋に魅せられて1度飛び込んだが最後、果てのない業の螺旋に捕らえられ、それこそ無間にまで呑み込まれてしまう。

どうやら自分ももはやそこから逃げる術をとことん見失ってしまったらしい。

見終わった後、矢も盾もたまらずエピソード2である前作を速攻借りに行きましたがな。

こんなことめったにないんだけど、銃で乱射されたような衝撃に駆られてしまった。1回見てはいるんだけど、これ見て見ないわけにはいかないっしょ

そう、それこそ螺旋だよ。

Posted at 2004.09.23

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インファナル・アフェアⅢ 終極無間

Imf3 出演:トニー・レオン、レオン・ライ、ケリー・チャン、アンソニー・ウォン

監督:アンドリュー・ラウ

(2003年・香港・118分)盛岡フォーラム

内容:ヤンの殉職から10ヶ月。警官として生きることを選んだ元マフィアのラウは、警察内部に残る潜入マフィアを次々と始末していく。しかし、彼の前に保安部のエリート警官・ヨンが立ちはだかる。本土の大物密輸商人・シェンと接触しているヨンが潜入マフィアであると確信したラウは、彼の身辺を調べ始めるが・・・。

評価★★★/65点

1、2作目に関しては映画とのガチンコ勝負で見る側の方が打ちのめされるほどの衝撃と完敗を喫したが、今回は土俵下から後出しジャンケンの連発を繰り出されたかんじで、勝負をさせてもらえないツマラなさで覆われている。

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ディパーテッド

A5c7a5a3a5d1a1bca5c7a5c3a5c9 出演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォルバーグ、マーティン・シーン、アレック・ボールドウィン

監督・マーティン・スコセッシ

(2006年・アメリカ・152分)盛岡フォーラム

内容:マサチューセッツ州ボストン。犯罪組織とのつながりを持つ自らの生い立ちと決別すべく警官を志したビリー・コスティガン。一方、マフィアのボス、コステロによって育てられ、スパイとなるべく警察に送り込まれたコリン・サリバン。互いの存在を知らぬまま警察学校を優秀な成績で卒業した2人。やがて、コリンはマフィア撲滅のための特別捜査官に抜擢され、一方ビリーは、マフィアを内部から突き崩すべくコステロのもとへ潜入するという極秘任務を命じられるのだった。こうしてそれぞれに緊張の二重生活を送る2人だったが、ついに警察、マフィア双方ともに内通者の存在をかぎつけ、いよいよ2人は窮地に追い込まれていく・・・。アカデミー賞では作品・監督など4部門で受賞。スコセッシにとっては6回目のノミネートで念願かなっての初受賞となった。

評価★★★☆/70点

自分の好きな映画がリメイクされると、どうしてもオリジナルと比較してアラ探しをしてしまうのだけど、今回もその例にもれず。。

オリジナルの香港映画に関しては特に1作目、2作目が大好きでハマってしまったくちで。

静謐でダークな世界観の中で繰り広げられるギリギリのサスペンスと、シブくて陰のある男オーラをみなぎらせる俳優陣の存在感とぶつかり合いが人間の永遠に逃れられない業をえぐり出していく“無間道”ドラマは、香港ノワールの完成度としても一級品だったと思う。

さて、そこでスコセッシによるリメイク「ディパーテッド」となるわけだが、一言でいえば、きちっとしたフォーマットの中で合理的にサクサクと物語が処理されていく印象を受けたというのが見終わったときの第1印象だ。

スコセッシがこのリメイク企画の映画化にあまり乗り気ではなかったという話を聞いていたせいもあるのだろうけど、すっきりと型におさまりすぎていて、なにか逆にスコセッシらしくないというか。。

ただ、なぜスコセッシが乗り気ではなかったのかということについては、本作を見るかぎりほぼ明確に答えが出せるように思う。

それはスコセッシが数十年来構想をあたためていた企画をついに実現させた「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2001年)にある。

この「ギャング・オブ・ニューヨーク」では、1800年代中頃のNYを舞台にプロテスタントvsカトリック=イングリッシュvsアイリッシュという人種・宗教対立の構図の中で、自分の父親を殺した仇を討つためにアイリッシュのディカプリオが、その仇であるダニエル・デイ・ルイスのもとに近寄り、組織の右腕にまで登りつめ父子愛に似た関係まで結ぶ。しかし一方で、復讐心をメラメラと煮えたぎらせるディカプリオと、真相を知ってもなお息子として見ようとする葛藤と苦悩の中でディカプリオを試すダニエル・デイ・ルイスの人間ドラマが描かれるわけで、「インファナル・アフェア」の擬似フォーマットがすでにこの「ギャング・オブ・ニューヨーク」にはあるのだ。

また、ディカプリオとダニエル・デイ・ルイスの2人の間に決定的な揺らぎをもたらしていくキャメロン・ディアスの三角関係もまんま「ディパーテッド」におけるディカプリオ、マット・デイモン、女性カウンセラーの三角関係として流用されているし(「インファナル・アフェア」ではカウンセラーのケリー・チャンに潜入捜査官トニー・レオンが想いを寄せているという形で、潜入マフィアのアンディ・ラウにはマリーという婚約者がいる)。

仏教観がにじみ出るのが「インファナル・アフェア」ならば、プロテスタントvsカトリックという宗教対立はもとより、スコセッシの宗教観がにじみ出ているのも「ギャング・オブ・ニューヨーク」なわけで、つまるところ「ギャング・オブ・ニューヨーク」で「インファナル・アフェア」のスコセッシ版リメイクは事足りているわけで・・・。

今回の「ディパーテッド」は、ディカプリオはまたまたアイリッシュの出自をもったキャラで、現代の「ギャング・オブ・ニューヨーク」もとい「ギャング・オブ・ボストン」といったところだが、そこに宗教観は全くなく、「インファナル・アフェア」とは異なるラストの合理的解釈の切り口などを見てもスコセッシらしくなく、あくまで雇われ監督としてのやっつけ仕事という感は否めない。

が、その中でスコセッシ節を堅実に出してきたがゆえ、なおさら残酷かつ痛々しいシーンばかりが目立ってしまったかんじ・・・。

役者陣に関しては奮闘は認めるとしても、ディカプリオ&マット・デイモンは童顔すぎて、う~ん・・・

いっそのことフォーマットを西部劇にした方がよかったのでは、というのはあまりにも冒険、かな。

でも、これで念願のアカデミー賞獲っちゃうというのも皮肉だよなぁ。。

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フェイク(1997年・アメリカ・126分)仙台第1東宝

 監督:マイク・ニューウェル

 出演:ジョニー・デップ、アル・パチーノ、マイケル・マドセン、アン・ヘッチ

 評価★★★★/75点

 内容:FBI捜査官ピストーネは、おとり捜査のためにマフィア組織に潜入することを命ぜられる。ドニー・ブラスコという名で接触を図った彼に最初に近づいたのは組織の末端の気さくな男レフティだった。レフティは聡明で行動力あふれるドニーとの出会いに、あきらめていた出世への夢を再び抱くようになるが・・・。

“あれだけ命張って、得たものが雀の涙ほどって一体・・・。”

ようするにメダルとたった500ドルで友情を裏切ってしまったという何とも哀しいお話。

話の展開としては、実話ゆえの難しさか、フィクションならばもっと盛り上げたりスリリングにできる展開にできるネタなのだけども、なんか淡々と進んでいくかんじで少し惜しい気もする。

例えば、兄貴分に付いたレフティは、俺たちは組織の小さな歯車の1コに過ぎないと半ばあきらめてるけど、このレフティがもしも上昇志向のある若手組員だったならばもっと違う展開にすることだってできたはずだ。

まぁレフティの人物造形がリストラされていく中年オヤジの悲哀たっぷりなので致し方ないか。。ホント、あの哀愁を帯びた表情が頭にこびりついて離れないもん。

だから、スリルよりも人物同士の友情に重きを置いた点は当然の帰結ともいえるし、やっぱりこの点は買いたい。

ただ、どうしてもマフィアものでアル・パチーノとくると「ゴッドファーザー」のマイケルを思い浮かべてしまうんだよね。マイケルをほとんど感じさせないキャラとアル・パチーノの巧い演技でその点は消されてるけど、ニューヨークとマイアミといったら「ゴッドファーザーPart2」そのまんまじゃんみたいな(笑)。ソニーソニーソニーっていったらゴッドファーザーの長男ジェームズ・カーン扮するソニーじゃんみたいな・・・。ちょっとかぶりすぎw

2018年1月 1日 (月)

夢のシネマパラダイス575番シアター:お伽の国からやってきたーーッ!PARTⅡ

PAN~ネバーランド、夢のはじまり~

Pan出演:ヒュー・ジャックマン、リーヴァイ・ミラー、ギャレット・ヘドランド、ルーニ・マーラ、アマンダ・サイフリッド

監督:ジョー・ライト

(2015年・アメリカ・112分)WOWOW

内容:第二次大戦下のロンドン。12歳の少年ピーターが暮らす孤児院では夜ごと子供たちが消えていなくなっていた。ピーターは院長が空飛ぶ海賊船に高値で売りつけていることを知るが、ピーターもさらわれてしまう。行く先は海賊黒ひげが支配する“ネバーランド”だった・・・。

評価★★★/60点

全体的に児童向け「アバター」といった趣でサクサク見ていける作品。が、あまりにもライト感覚すぎて印象に残らないスルー映画・・。

ファンタジーの王道として遜色ない凝った画作りやミュージカル調を織り交ぜた世界観は悪くなかっただけに、新味のないあまりにもストレートすぎるストーリーが求心力を二段くらい引き下げていたのが悔やまれるところ。。ピーターと宿敵フック船長が無二の親友という設定はかなり意外なはずなのに、なんだかうまく生かしきれてないんだよねぇ。

まぁ、続編を想定してまずはピーターが空を飛べるまでを描いたのかもしれないけど、ダークサイドに落ちていくフックをこそ見たかった気も・・。

だって、続編ないでしょもうww

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マレフィセント

2035558_201403250103429001395723962出演:アンジェリーナ・ジョリー、シャールト・コプリー、エル・ファニング、サム・ライリー、イメルダ・スタウントン

監督:ロバート・ストロンバーグ

(2014年・アメリカ・97分)WOWOW

内容:かつて妖精の国のマレフィセントと人間界のステファンは種族の壁を越えた仲の良い友達だった。ところが、成長するにつれ、国を守るべく戦うマレフィセントと侵略する側の重臣ステファンは敵対関係に陥ってしまう。そして、王座を目指すステファンが行った恐るべき仕打ちにより、マレフィセントは復讐の鬼と化すのだった。やがて、ステファンと王妃の間に待望のロイヤルベビーであるオーロラ姫が誕生する。お城で盛大なパーティーが開かれる中、魔女と恐れられるマレフィセントが現れ、オーロラ姫に呪いをかけてしまうが・・・。

評価★★☆/50点

“王国に誕生したロイヤルベビーのオーロラ姫に恐ろしい魔女マレフィセントが呪いをかけ、16歳になった時に永遠の眠りについてしまう。しかし、婚約者フィリップ王子がマレフィセントを撃退し、真実の愛のキスによりオーロラ姫は目を覚まし2人は結ばれる”

特に興味もない眠れる森の美女のあらましだけどw、今回はマレフィセント視点で描いた作品。

人間にとって恐怖の対象となるモンスターに従来とは全く逆のキャラクターを付与し、その視点から描いた映画には「シュレック」や「モンスターズ・インク」、「もののけ島のナキ」などがある。また、魔女という点では魔女の宅急便があり、これはマイノリティである魔女っ子が人間社会に溶け込むための奮闘劇になっている。

このように感情移入しやすい親しみあるキャラクターに変えることで(もともとキングコングやゴジラを含めて怪物・モンスターには同情すべき悲劇性がつきものだけど)、意外性のある新たな物語を楽しむことができる。

しかし、歴史あるディズニーアニメが確立した魔女というのは、狡猾、強欲、憎悪、嫉妬、執念深さといった人間の醜い情念や怨念を凝縮したような根っからの悪役(ぱっと思い出すところではハリー・ポッターのヴォルデモート卿に近い)だけに、どのように描くのだろうと思っていたら、えっ!?よ、よ、妖精!?可憐でメルヘンチックな妖精ですか!?設定そのものを変えてるじゃん(笑)。

英雄と悪者の両方を兼ね備えている、とマレフィセントは形容されているけど、魔女と妖精じゃ全然違うだろ!

さらに解せないのは、従来とは逆視点で描くのだからより多面的な要素を捉えるのかと思いきや、ステファン王が完全悪役に徹していて、結局は勧善懲悪に落ち着いちゃってるところだ。これじゃはっきりいって逆視点で描く意味もないだろって思うんだけど。。

しかも、ステファンがどんなに悪だとしてもオーロラ姫にとっては実の父親でしょ。それをマレフィセントがやっつけてオーロラと一緒に暮らしてめでたし×2ってすごい腑に落ちないんだけど。

ちょっと全体的にビミョーだったな・・・。

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オズ はじまりの戦い(2013年・アメリカ・130分)WOWOW

 監督:サム・ライミ

 出演:ジェームズ・フランコ、ミラ・クニス、レイチェル・ワイズ、ミシェル・ウィリアムズ、ビル・コッブス、トニー・コックス

 内容:しがない奇術師のオズは、カンザスを巡業中に竜巻に巻き込まれて不思議な魔法の国に迷い込む。その国の名前もオズといい、邪悪な魔女の悪政に苦しむ人々は、国と同じ名を持つ魔法使いが救ってくれるという古くから伝わる予言が現実になったと大喜び。財宝に目がくらんだオズは救世主を装うのだが・・・。

評価★★☆/50点

見終わってから知ってしまった。

この映画が1939年のミュージカル映画「オズの魔法使い」の前日譚であることに・・・。

ガ^^^^^ンモヒャ━━((゜Д゜Uu))━━!!!!!!

何の前知識もなくテレビでやってたからとりあえず見ただけというかんじの自分のこの映画に対するモチベーションは、サム・ライミとおとぎ話というやや危なっかしげな取り合わせのみにあったといってもよくw

ところがフタを開けてみればケレンも毒気もないオーソドックスなファンタジーになっていて拍子抜け。

極彩色のカラーの過剰なまでの色味具合は往年の古典映画を意識しているなとは感じたけど、そういう技術的なことはともかく中身がさっぱりツマラなくて・・。

ペテン師のような奇術使いが必死こいて魔法使いを演じるというプロットは面白いはずなのに、二味くらい足りないんだよなぁ。ジェームズ・フランコに魅力がないのかキャラ作りが弱いのか、その両方なのだろうけど、オズの小物っぷりだけが際立ってしまったかんじで・・・。

しかし、いわゆる“ゆきて帰りし物語”において子供ではなく大人がその世界に入り込んでいくというのは成長譚に欠ける分やはり味気がないなと。

その部類で面白かったのはスピルバーグの「フック」だけだし。。

しかも今回は“ゆきて帰らぬ物語”になっていてオチのつけ方も味気ない。

ファンタジーでこれだけ心弾まなかったのは初めてかも・・・

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オズの魔法使(1939年・アメリカ・102分)NHK-BS

A0009400_2315893  出演:ジュディ・ガーランド、バート・ラー、ジャック・へイリー、レイ・ボルジャー、ビリー・バーク

監督:ヴィクター・フレミング

 内容:カンザスの農場に住むドロシーは、家もろとも竜巻に飛ばされ、不思議なオズの国へやって来た。もとの世界へ帰るため、ドロシーは脳みそのないカカシ、心のないブリキの木こり、臆病なライオンたちとともにエメラルドシティに住む魔法使いに会いに行く・・・。

評価★★★/65点

「オズはじまりの戦い」経由で観賞。

ホントはこちらを先に見るべきだったのだろうけど、なるほどサム・ライミの2013年作がオリジナル作に対するつながりをしっかり持った上での作風になっていたことがよく分かった。オズってただのペテン師だったんだというのも改めて知ってビックリしたしw

セットのハリボテ感覚やおかしなメイクなど技術に拙さはあるものの、今から70年以上前の作品であることを踏まえれば、今作が世界のファンタジーの元祖といってもいいスタンダードであることはしっかり体感できた気がする。

でもこの映画が公開された1939年って、かの有名な「風とともに去りぬ」や西部劇の金字塔「駅馬車」が公開された年でもあるんだよね。

ハリウッドのマスターピースが揃いにそろった花の39年組てかんじ(笑)!?

しかも「オズの魔法使」と「風とともに去りぬ」って同じ監督(ヴィクター・フレミング)というのもスゴイ!

最初はリチャード・ソープでスタートしたものの、12日目で解雇され、その後3日間つなぎでジョージ・キューカーが務めてヴィクター・フレミングにバトンタッチ。テクニカラーのオズの国と竜巻の特殊撮影を3ヶ月で撮って風とともに去っていきw、残りのセピアカラーのカンザスのシーンをキング・ヴィダーが撮ったということで、、どんだけ紆余曲折してるんだよみたいな(笑)。

また、スタンダードな名曲“虹の彼方に”は覆面試写の段階でカットを命じられていたというから驚き。

名画は一日にして成らず!という言葉がピタリとくる作品だったんだね。

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ジャックと天空の巨人

Poster出演:ニコラス・ホルト、エレノア・トムリンソン、スタンリー・トゥッチ、イアン・マクシェーン、ビル・ナイ、ユアン・マクレガー

監督:ブライアン・シンガー

(2013年・アメリカ・114分)WOWOW

内容:貧しい農夫の青年ジャックは、市場で見知らぬ僧侶から自分の馬と引き換えに不思議な豆を手に入れる。そして激しい嵐吹き荒れるある日、お城を抜け出したイザベル姫がジャックのおんぼろ小屋で雨宿りをしていると、豆から芽が出て、小屋もろともみるみるうちに天空に伸びていった。そして王家の捜索隊に参加したジャックが豆の木を登っていくと、そこは世にも恐ろしい巨人が住む国だった・・・。

評価★★★/60点

童話のジャックと豆の木がどういう話だったかすら忘れかけていた自分にとっては、人間と巨人の戦いをクライマックスにした今回の映画を見るモチベーションは、ほぼ進撃の巨人の実写映画化を脳内イメージするためだけにあったといっていい(笑)。

いや、その点この映画の巨人の造形はキモくておぞましくて良く出来ていたとは思う。人間を食らうシーンはうまくカットされていたけど、本家進撃の方はちゃんと見せてくれるんだろうねw!?

って進撃の巨人ネタはここらへんにしといて、今度はロードオブザリングの話をしようか(笑)。というくらい色合いに独自色はなくて、まぁディズニーテイストの子供向けファンタジーという言葉がピッタリくる映画だったかなとは思うけど、それだったら主人公が18歳よりは普通に12,3歳の少年にした方がよかった気が。

まぁどちらにせよブライアン・シンガーが監督ということでいえば全然物足りない中途半端な出来栄えだけどね。。

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スノーホワイト

O0700057912238838269 出演:クリステン・スチュワート、シャーリーズ・セロン、クリス・へムズワース、サム・クラフリン、ボブ・ホスキンス、レイ・ウィンストン

監督:ルパート・サンダーズ

(2012年・アメリカ・127分)WOWOW

内容:平和な王国に生まれた王女スノーホワイト。が、幼い頃に母を亡くし、父王も後妻となったラヴェンナによって殺され、自身も城の塔で幽閉生活を強いられる。それから7年後、自分の魔力にかげりが見え始めたラヴェンナは、スノーホワイトが自分の美を脅かす存在であり、スノーホワイトの心臓を手に入れれば永遠の若さと美しさを手に入れられるという魔法の鏡のお告げを聞く。ラヴェンナの魔の手が忍び寄る中、スノーホワイトは間一髪のところで城から脱出し、黒い森へと逃げ込むが・・・。

評価★★☆/50点

白雪姫ってどんな話だっけ?という程度にオッサンになってしまった自分からすると、毒リンゴや7人のこびとが出てきたところで、ああーそいえばディズニーアニメで見たなぁと記憶の断片がよみがえってきたけど、映画としてはそれ以上でも以下でもなかったかなと。

童話というよりはロビン・フッド的というかLOTR的というか、そういう感触で、まさかシシ神さまが出てくるとは思わなかったけどw、なんかイマジネーションの限界を見せられてしまった感の方が強く・・・。

それに加えて話がイマイチ広がっていかないツマラなさも如何ともしがたく・・。

それはスノーホワイトの復讐譚に魅力を感じなかったことが大きく、さらにいえばそもそものところで彼女に魅力を感じなかったてのがなんとも・・・。

「塔の上のラプンツェル」の髪長姫のような元気ハツラツなキャラを求めるのは極端かもしれないけど、もうちょっと表情にゆとりがあってもいいような。。

なんかシガニー・ウィーバーにしか見えなくなってくるんだよね

無理して闘争本能むき出しにしてもシャーリズ姐さんに勝てるわけないんだから・・wこんなこと言いたかないけど、クリステン・スチュワートより、ジェニファー・ローレンスの方が断然イイと思う。。

2016年8月16日 (火)

夢のシネマパラダイス57番シアター:ハンガーゲーム

ハンガーゲーム

Img_1043377_46717251_0 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・へムズワース、ウディ・ハレルソン、レニー・クラヴィッツ、スタンリー・トゥッチ、ドナルド・サザーランド

監督:ゲイリー・ロス

(2012年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:近未来。独裁国家パネムは、エリート層の最先端都市キャピトルとそれに隷属する12の貧困地区で構成されていた。かつてそれらの地区が反乱を企てたことから、政府は反乱の抑止を目的に毎年各地区から12~18歳の男女一人ずつを選び、最後の一人になるまで殺し合いをさせる“ハンガー・ゲーム”を開催していた。そんな中、第12地区に住む16歳の少女カットニスは、くじ引きでプレイヤーに選ばれてしまった妹に代わって出場を志願。男子で選ばれた同級生ピータ・メラークとともにハンガー・ゲームに参加することになる・・・。

評価★★★/55点

中学生に殺し合いをさせる「バトルロワイアル」のような企画はハリウッドでは通用しないんじゃないかと思ってたけど、通用しちゃったよw

しかも歴史的大ヒットだって

で、どんだけ残虐でヤバい映画なんだろ、、と思ってたら、何のこたぁない。PG-12というあってなきがごとくの緩いレイティングを確保するために描写のハードルをかなり下げているのだ。そうでなければティーンを取り込んで4億ドル超という史上空前のヒットは飛ばせない。

そういう点では完全なティーン向けというかんじで安心して見ていられるんだけど、主人公は100%生き残るという安心感があまりにも絶対的すぎて、緊迫感やがむしゃらな生への渇望や葛藤が全く伝わってこないのは痛い。

なによりゲーム開始直後に出場者の半分が死ぬって、、そんなのありww!?

あと特に主催者側の大人たちがことあるごとに介入してきて主人公のいいように事が進むご都合主義ありきの展開は興ざめもいいところ。

例えばゲームのエリアから外れそうになると引き戻すために介入してくるって、、隔絶された島にすればいいだけの話だろ。74回も開催されてるのにそんなことも分からないのかっていう・・(笑)。

あげくの果てにはゲーム中にルール改正してルールが二転三転するって何だそりゃ。。ホントに74回やってきたのかww!?

また、スポンサーや観衆を味方につけないと生き残れないという設定も、この意図されたご都合主義をシナリオに組み込むためにできた設定にしかなっておらず、物語の中に全く活かされていない。

前半1時間を主人公のセルフプロモーションに当てたのは悪くないとは思ったけど、肝心のゲーム自体がメチャクチャじゃ何の意味もない。このての映画でカタルシスを感じないというのはもはや致命的だ。

ただ、それでも甘めの点数なのは、主人公カットニスを演じたジェニファー・ローレンスの魅力がハンパなくてベタ惚れしちゃったためで

主人公の設定16歳を22歳で演じるため大人びた印象が出るのは当然といえば当然だけども、思わず引き込まれてしまうだけの年の差以上の魅力と品格がある。はっきりいってこの映画にはそぐわないくらいだ。

それに比べてカットニスと恋の三角関係を演じることになる(?)相手役の俳優たちはアイドル然としているので、なんかジェニファーと合ってないんだよね。そういう器じゃないっていうか・・(笑)。

なんだか粗ばっかりが目立ってしまったかんじだけど、続編では女優として大きすぎる存在になりつつあるジェニファーに見合う映画になっていることを願うばかりだ。

あるいは降板してもいいんだよ(爆)。。

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ハンガーゲーム2(2013年・アメリカ・147分)WOWOW

 監督:フランシス・ローレンス

 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、レニー・クラヴィッツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ドナルド・サザーランド

 内容:第74回ハンガーゲームで優勝し、故郷に凱旋を果たしたカットニスを待っていたのは民衆の熱狂的な支持だった。彼らはカットニスの戦いに、圧政からの独立の機運を重ね合わせていたのだ。しかし、その声を封じ込めようとする独裁政府は、カットニスを抹殺するために秘策を用意する。それは、第75回ハンガーゲームを歴代優勝者24名による記念大会にするというものだった。こうしてカットニスは、再び戦いの場へと引きずり出されてしまうが・・・。

評価★★☆/50点

2時間半ダラダラと付き合わされたあげく突きつけられた真実、、、この映画って結局ただの前フリじゃねーか!

もう、何なんだよこれ・・。

しかも本選が始まるまで80分も要するなんて、こんなどうでもいいティーン向け映画でそこまでもったいつけなくてもいいだろ(笑)。

肝心のゲームも前作と同じくご都合主義満載で腰砕けだし。ポスターにあった“覚悟はいいか”というキャッチコピーってようするに面白くもない映画に2時間半付き合う覚悟はあるかってことだったんですかw

ジェニファー、、何度も言うけど降りていいんだからね

P.S. 「ハンガー・ゲームFINAL」鑑賞済。生き残りをかけたサバイバルゲームという当初のフォーマットから政権打倒の革命戦士ジャンヌ・ダルクの悲劇という全く別物へと変容を遂げたはいいものの、前後編に分けてまでやる必要あるか!?という薄っぺらい内容で正直気に食わなかったw

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メイズ・ランナー

175345出演:ディラン・オブライエン、ウィル・ポールター、カヤ・スコデラーリオ、アムル・アミーン、キー・ホン・リー

監督:ウェス・ボール

(2014年・アメリカ・113分)WOWOW

内容:深い地の底から上がってくるエレベーターの中で目覚めたものの、自分の名前以外の記憶が一切ない青年トーマス。扉が開くとそこは巨大な壁に囲まれた草原。そこでは同じようにして送られてきた同世代の若者たちがコミュニティを作って暮らしていた。さらに壁の奥は巨大迷路になっていて、夜になると閉じられ朝には新たな迷路に変わる中、足の速い“ランナー”と呼ばれる精鋭たちが攻略に挑んでいた。トーマスもそれに加わり、脱出の糸口をつかもうとするが・・・。

評価★★★/60点

なぜ?どうして?を極力省いた作劇は「CUBE」ぽくて面白そうだなと思ったのもつかの間、なんと迷路の謎は9割方解けていたという不条理の入り込む余地のない茶番劇に肩すかし。。

ならば、せめて迷路を舞台にと思いきや、これまた迷路の外で行こか戻ろかの押し問答に終始する始末で、ティーン向けと割り切って見てもかなり消化不良。

とはいえ、高い壁に囲まれた迷路のセットヴィジュアルやプロダクトデザインは「進撃の巨人」なんかより数段上をいっているのがやはり腐ってもハリウッドなんだなと(笑)。

いや、まぁ進撃の巨人の方が数段駄作だったんだけどね・・

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ダイバージェント

Poster2出演:シェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、アシュレイ・ジャッド、ジェイ・コートニー、ケイト・ウィンスレット

監督:ニール・バーガー

(2014年・アメリカ・139分)WOWOW

内容:最終戦争から150年経った未来。人類は過去の教訓から、国家や宗教という概念を捨て、新たな社会体制を築き上げていた。それは、人類を性格別に勇気ある“勇敢”、正直者の“高潔”、優しき“平和”、利他的な“無欲”、知識豊富な“博学”という5つの共同体に分けるというものだった。人々は16歳になると性格診断テストを受け、結果が示した共同体への所属を義務づけられる。そんな中、無欲出身のベアトリスは16歳になり診断を受けるが、結果は5つのどれにも該当しない異端者(ダイバージェント)と判定される。ダイバージェントは、人類を滅ぼす危険分子として抹殺される運命にあったが、ベアトリスは名前を変え“勇敢”に加入することに成功するのだが・・・。

評価★★/45点

ティーンエイジ向けと割り切って見てもこれはヒドすぎる。

まずもって国家や人種、宗教の垣根を取っ払い、人類を博学=科学者・教育、平和=農民・食料生産、高潔=裁判官・司法、勇敢=軍人警察・治安維持、無欲=公務員・行政の5つのグループに分け、そのコミュニティで一生を送らせれば平和が維持できるという社会システムの仕組みがよく分からなくて映画に入り込めない。

これだけ見れば別にディストピアでも何でもなく江戸時代の士農工商と変わりないわけで、カースト制や管理社会というよりは職能集団別の同業者組合という方がしっくりくる。

なので、これをディストピアとして見る時にキーとなるのは、5つの派閥に入らない無派閥しかない。ところが、このホームレス扱いの無派閥についてほとんどスル―されているところが大問題なのだ。

例えば、この無派閥が人口の大半を占めているのであれば、5大派閥をエリート支配層とするピラミッド型の階級社会と捉えることもできる。あるいは、無派閥が各派閥の脱落者からなるということは、逆にいえば多様性が生まれるわけで、それを束ねて率いる首領がどの適性にも当てはまらない“異端者”となるはずだ。それが、社会を滅ぼす危険分子として迫害や抹殺の対象となるゆえんではないのか。

なのに、この異端者娘ときたら、とりあえず“勇敢”に入っちゃお♪っていきなりスポ根青春グラフィティが始まってしまう。で、さらに無派閥そっちのけで“博学”が“無欲”に迫害をしかける、、ってなんじゃそりゃ(笑)。

あと、職能集団とは別な視点で、ハリー・ポッターの組分けのような性格・資質による違いでみても、“高潔”は毒舌、“博学”は上から目線、“無欲”はノーと言えない日本人wなんだけど、結局自分で行きたい派閥を自由に選べるからその設定意味ないよねっていう・・

これほどいい加減な劣化映画見たことないww

主人公も若かりし頃のケイト・ウィンスレットの劣化版てかんじだったし

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GANTZ

GANTZ:PERFECT ANSWER

Bdcam_20110129_163645990 出演:二宮和也、松山ケンイチ、吉高由里子、本郷奏多、夏菜、綾野剛、伊藤歩、田口トモロヲ、山田孝之

監督:佐藤信介

(2010年・東宝・130分&2011年・東宝・141分)WOWOW

内容:大学生の玄野計は、地下鉄のホームで線路に落ちた客を助けようとして、幼なじみの加藤勝とともに電車にはねられてしまう。しかし、死んだはずの2人は見慣れぬマンションの一室で目覚める。そこには、他にも死んだはずの人々が集められており、部屋の中央には謎の黒い球体“GANTZ”が鎮座していた。やがて彼らは、GANTZから“星人”と呼ばれる異形の敵を倒すというミッションを与えられ、いきなり戦いの場へと転送されてしまうのだった・・・。

評価★★★/55点

原作は全くの未読。

そして映画見終わっても読む気なし(笑)。

だってネギ星人って、、何だよアレw

まぁ、テンポは悪くないし、アクションのクオリティも特に2作目の方は見事な出来で、日本映画もここまでできるんだと少しビックリした。

けど、ゲーム世界の延長戦からどこまでも抜け出ない安っぽさとストーリーの生ぬるさにパーフェクトなファイナルアンサーなど途中からどうでもよくなってきて、アクションと夏菜の肢体を追うばかりになってしまった・・・おいおい

ま、そういう類の映画だからいいんだろうけどww

あとは、異様なオーラを醸し出す綾野剛くらいかなぁ見どころなのは。。最近は完全にテレビ慣れしてきちゃったけど、クローズZEROとかこの映画での妖しいインパクトは強烈だった。

時代劇なんかでも見てみたいかんじと思ってたら本家本元の大河に出ちゃって、でも会津の殿様ってふうじゃないんだよなぁ。十三人の刺客みたいなサムライ役で見たい。

とにかく近年稀に見る逸材の今後が楽しみです。

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バトルロワイアル(2000年・東映・114分)WOWOW

 監督:深作欣二

 出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、塚本高史、柴咲コウ、ビートたけし

 内容:大不況に見舞われ失業者があふれかえる日本では、少年犯罪が多発し、学校崩壊は増大。それに対し大人たちの怒りが爆発!強い大人の復権を目的とした“新世紀教育改革法”通称BR法が公布された。それは全国の中学3年生の中から無作為に選ばれた1クラスを、最後の1人になるまで殺し合わせるというあまりにも過酷で理不尽なものだった・・・。内容のあまりの衝撃性に賛否両論を巻き起こした同名小説の映画化。

評価★/30点

思想もテーマもあったもんじゃない。

殺しは単なる見世物としかなっておらず、いわばオーメンやファイナル・デスティネーションのような血しぶき博覧会と同等のものしか持ち合わせていない映画。

問題はそれを中学生にやらせるところなのだけど、どう考えても山本太郎が中学生に見えるはずもなく(笑)、そこは特に気にはならなかった。

しかしそれ以前に、映画自体が全くもってツマラナイことの方が大問題ww

やはり登場人物ひとりひとりのバックボーンが全く見えてこないのは致命的で、その中で何にも取り憑かれていない中学生の殺し合いを延々見せられる倦怠感といったらない。。

正真正銘の駄作だと思う。

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バトルロワイアル2 鎮魂歌(2003年・東映・133分)DVD

 監督:深作欣二、深作健太

 出演:藤原竜也、前田亜季、前田愛、忍成修吾、酒井彩名、竹内力、ビートたけし

 内容:あれから3年、BRを生き延びた七原秋也は反BR法のテロ集団を組織し、全ての大人たちに宣戦布告!再び壮絶な戦いが展開される。。本作のクランクイン直後に深作欣二監督が亡くなったため、息子・健太氏が引き継ぎなんとか完成にまでこぎつけた。

評価★☆/35点

ポテチつまんでニタニタしながらこの映画観てる自分もどうかと思うけどさぁ・・・

脳ミソが飛び散ろうが血しぶきが上がろうが、女のコの絶叫が響こうが竹内力が見事なトライを決めようが、そんなことよりもポテチが奥歯に挟まって歯ぐきに刺さったことの方が切実な問題としてマジに痛かった。映画もイタかったけどww

深作組もいったい真面目なんだか不真面目なんだかよく分からなかったな。でも、もし大真面目だったとしたら救いようがないくらい痛いよこれは。。

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