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2019年10月12日 (土)

夢のシネマパラダイス285番シアター:突撃!隣のマイケル・ムーア!

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

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監督・脚本・出演:マイケル・ムーア

(2015年・アメリカ・119分)WOWOW

内容:映画監督マイケル・ムーアが単身アメリカを飛び出し、星条旗を掲げながら“世界侵略の旅inヨーロッパ”を敢行。各国の良い制度や習慣を略奪してアメリカに持ち帰ろうというのだ。まずイタリアに侵略した彼は、有給休暇が年間8週間もあることに衝撃を受ける。その後も訪れた国々で驚くべき常識を知ることになり・・。

評価★★★★/80点

自己責任と個人主義の弱肉強食大国アメリカと社会責任と連帯主義の弱者救済システムを持つヨーロッパを比較して、アメリカのジョーシキをシニカルかつユーモアたっぷりに糾弾していく構成力はドキュメンタリーの枠を超えた面白さで、マイケル・ムーアのセンスを再認識。

ポルトガルのドラッグ合法とかノルウェーの開放型刑務所とかさすがにそれはどうなの!?というのもあったけど、アメリカ型資本主義一辺倒の日本としては対岸の火事として笑っていられない部分もあったりして、興味深く見ることができた。

その中で、日本でも取り入れなきゃダメだなと思ったのは、スロベニアの大学授業料無料をはじめとする教育費の無償化。少子高齢化でマンパワーが枯渇していくことは目に見えているわけだから、広がり続ける経済格差社会の中で高等教育を受けられないというのはそれこそ国益を損ねることにつながると思うんだけどなぁ。どうも政治家先生たちの頭の中では教育に対する優先度が低いようで・・。

あと、映画の中で紹介された各国の様々な施策が実はアメリカ発祥のものばかりというのは目が点になったところで、行き過ぎた資本主義ははたして人を幸せにするのだろうかと日本の行く先にも不安を覚えてしまった。。

でも、その不安を希望に変えていくには自らが声を上げて立ち上がらなければ勝ち取れないのだというのはちょっと耳が痛くなっちゃった。

権力は隙あらば常に抑圧と搾取を狙っていて、流されるまま無関心でいると知らない間にとんでもなく生きづらい世の中になっているかもしれないってことを肝に銘じなければ・・・。

ハンマーとノミを見えるとこに置いておこうw

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華氏911

9111bigthumb 出演:マイケル・ムーア、頭のネジが2,3本吹っ飛んでいるジョージ・W・ブッシュ

監督・脚本:マイケル・ムーア

(2004年・アメリカ・122分)恵比寿ガーデン

評価★★★★☆/85点

内容:イラク戦争を決行したブッシュ大統領を標的に、同時多発テロ時の彼の行動やブッシュ家とビンラディンの関係などを、痛烈に批判していく。カンヌ国際映画祭でパルムドールと国際批評家連盟賞を受賞。

“マイケル・ムーア流レジスタンス”

この世界を正常にするために小さき自分ができることをひとつ見ーっつけた。

この映画を知人友人に広めたるわ(ベターー)。オレ流レジスタンス。

この映画がカンヌで賞を獲り、アメリカでも大ヒットだったにもかかわらずブッシュは再選されてしまったわけで、あと数年続いちゃうんだこんなのが・・・。でも、ブッシュよ、アンタの政権が終わった後どころかアンタの死後にもこの映画は残っていきますからー残・念!

映画というのは主観が入っていて当然だし、それが例えドキュメンタリー映画といわれるものであっても。そうじゃなきゃ映画じゃないと思うので、この映画のスタンスは個人的には全然OK。ていうかこれとは真逆のネオコン&ブッシュ命映画も作りゃいいじゃん。主観バンバン入れて。それでもドキュメンタリーとしての事実は事実なんだから。

映画てのはそういうもん。だと思う。

この点については「ブラックホーク・ダウン」のレビューでも述べてるのでここではこれ以上突っ込んではいきませんが。

ところで、この映画で1番印象に残ったのは、イラク人の母親とアメリカ人の母親が同じことを叫んだこと。

米軍に家を爆撃され、子供親類を亡くした女性が泣き叫びながらアッラーに救いと復讐を求める、一方でイラクで戦死した息子の死を受け容れられないアメリカ人女性も泣き叫びながら神に救いを求める。

結局は同じ痛みと悲しみ、そして絶望の祈りを捧げなければならない。

んで政治家連中は高みの見物。

そんなに戦争したいなら、「西部戦線異状なし」で出てきたセリフのように、囲いの中に指導者を集めてその中で素手の殴り合いをさせて決着つければええやん。あるいは「トロイ」みたいに、1対1の決闘で勝敗をつけるとか(笑)。え?軍産複合体が許してくれない?

そうだなぁ、、10年に1回デカイ戦争しないと国がまわらないシステムだからねアメリカって。

さぁて、次の標的はどこよ。。。

Posted at 2004.10.04

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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年・カナダ/アメリカ・120分)恵比寿ガーデン

 監督・脚本:マイケル・ムーア

 出演:マイケル・ムーア、アブないマリリン・マンソン、キレてるチャールトン・へストン、人殺しが好きなジョージ・ブッシュ、マット・ストーン(誰だっけ)

 内容:マイケル・ムーアがアメリカ銃社会をなで斬りにし、カンヌやアカデミー賞などで多数の賞を受賞したドキュメンタリー。1999年4月20日、コロンバイン高校銃乱射事件が発生。なぜアメリカでは銃犯罪が多発するのか?ムーアは全米ライフル協会会長のチャールトン・へストンらに突撃アポなし取材を敢行していく。

評価★★★★☆/85点

“あ゛ーーー、また自分にとって知りたくもない余計なトリビアが増えてしまったぁぁ・・。”

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シッコ(2007年・アメリカ・123分)CS

 監督・脚本:出演:マイケル・ムーア

 内容:先進国の中で唯一、国民皆保険制度を持たない国アメリカ。約4700万人が無保険のため高額の医療費を払えず、病院に行くことを我慢せざるをえない状態にある。一方、残りの国民の健康保険の大半は民間の保険会社に委ねられているが、はたしてこれらの保険会社は本当に満足のいく医療を提供しているのだろうか!?アメリカの医療の衝撃の実体が明らかになる。。

評価★★★★☆/85点

“ボランティア大国の裏の顔”

底辺に生きる者への対し方でどんな社会か知れるという・・・。

なりふり構わない規制緩和と市場開放による新自由主義が国民の生命に関わる医療を握ったとき、その行き着く先にあったのは、、、

誰も助けてくれない社会だった・・・。

なんという悲しい現実。

弱者が捨てられていく目を覆いたくなるような惨状に思わず涙してしまった。

しかし、市場原理主義ももちろんだけど、その底流にあるアメリカ人のものの考え方の偏り方にはあっけにとられたというか、、究極の個人主義と自己責任論、そして社会主義はおろか社会民主主義でさえも受けつけない徹底した嫌悪感というのは計り知れないものがあるのだなと思った。根本的に価値観が違うというかね・・。

世界の隅々まで自由と民主主義を行き渡らせようと大変な努力(笑)をしているアメリカ、しかし“私”が“私たち”のために、“持てる者”が“持たざる者”のために物事を考えることができない社会こそ最も危険な恐ろしい国ではなかろうか。

政府が国民を恐れるのではなく、国民が政府を恐れてしまうという“ビョーキ”にかかってしまったら世も末か、、って日本は大丈夫なのだろうか。。

アメリカの年次改革要望書に沿って動いている日本の行く末にあるものとはどんな社会なのだろうか・・・。悪寒が・・

とにもかくにも、この映画を見て感じたのは、医療や教育、介護といった国民生活を最低限保障するサービスに関しては、営利を旨とする民間機関ではなく、やはり国と政府にしっかりしたものを提供してもらわなければならないということ。

もちろん、そのためにはスウェーデンなどのヨーロッパ諸国なみとはいかないまでも、かなりの税負担と社会保険料を代償として払わなければならないだろうけど、払った分だけ国民生活に徹底して還元される社会であればそれも許容できるのではなかろうか。

そのためにも政府が国民を恐れる国、つまり国民と政治が密着し、真の意味で国民が政治を取り仕切る国にならなければならないのだと思う。それが本当の民主主義なのだ。

翻って、日本は、、、

まずはとにかく、民間を参入させて市場開放すれば国民にとっても選択肢が増えて良いという論は医療には当てはまらないということだけはよ~く分かった。

2018年5月 3日 (木)

夢のシネマパラダイス179番シアター:マン・オブ・スティール

バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

5874出演:ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ジェシー・アイゼンバーグ、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ジェレミー・アイアンズ、ホリー・ハンター、ガル・ガドット、ケヴィン・コスナー

監督:ザック・スナイダー

(2016年・アメリカ・152分)WOWOW

内容:前作(マン・オブ・スティール)でゾッド将軍と死闘を繰り広げたスーパーマン=クラーク・ケント。しかし、その戦いによって大都市メトロポリスは破壊され多くの死傷者を出し、バットマン=ブルース・ウェインも巻き込まれた友人を亡くしてしまう。そして人々の間でスーパーマン脅威論が芽生え始めるのだった。そんな中、世界を股にかける多国籍企業体の総帥レックス・ルーサーは、スーパーマンを抹殺すべく動き出す・・・。

評価★★★/60点

「ダークナイト」が複雑に入り組んだストーリーラインの中に時代の価値観やメタファーを濃密に織り込ませ、なんだかよく分からなかったけど圧倒されたからもう1回見たいと思わせられたのに対し、今作はなんだかよく分からなかったけど心魅かれるものがなくてスカスカだったからもう見なくていいやと思ってしまった。

まずもってミソの付け始めが冒頭10分のプロローグの不親切な作り方。

メトロポリス上空に鎮座し地球を乗っ取ろうとするゾッド将軍の宇宙船とバトルを繰り広げるスーパーマン。この「マン・オブ・スティール」のクライマックスをそのまま今作の冒頭に持ってくるとは露知らず、記憶の糸をたぐり寄せるのに難儀し、開始早々から半歩遅れで見るハメに陥ってしまった・・・。

いや、しかし待てよ。何の前知識もなしに見たとはいえ、数年前の映画の大団円シーンのことなんて覚えてるかフツー(笑)。こういうのは前作を見ていない人でも分かるように作らないとダメだろと思うのは自分だけだろうか!?

さらに難癖をつけるとすれば、そもそも論のところで2人を対決させるというコンセプト自体に無理があったのではないかと感じてしまった。

2人が戦う理由とか、プロモーターに徹するレックス・ルーサーの行動原理とか、あげくの果てに2人の母親の名前がたまたま同じだったから和解したとか全てが意味不明で、ただ単に主役の座を奪われたくない花形役者同士のいがみ合いにしか見えなかった。

狂気と紙一重なおかつ悪と表裏一体な正義の危うさという00年代以降アメコミ映画のトレンドとなったサブテーマもいい加減飽きてきたし・・

まぁ、そういう意味ではスーパーマンが映画で活躍した80年代は絶対正義が絶対悪を打ち倒すという価値観に何の疑問も抱かなかった時代だったわけで、悪が悪でいることに理由は必要なかった。

一方、バットマンが映画で活躍した90年代は絶対的な正義に揺らぎが生じ始め、何が善で何が悪なのか区別がつきづらくなっていく道徳的観念の崩壊の序章ともいえ(91年「羊たちの沈黙」や95年「セブン」などに代表される時代背景)、その中で復讐心を身にまとったコウモリ男が目には目を歯には歯を、悪には恐怖をの精神で裁きを行っていく。

つまり、根明なスーパーマンと根暗なバットマンはちゃんと棲み分けできるはずなんだけど、「マン・オブ・スティール」でスーパーマンも根暗なベクトルに舵を切ったものだから、キャラクターに対照性がなくなっちゃったんだよね。

それゆえ苦しまぎれにスーパーマンはエイリアンという別次元の問題を持ち出してきて、かえって墓穴を掘っちゃったかんじ。。

DCコミックスのヒーローチーム“ジャスティスリーグ”のスタートとしては少しつまづいちゃったかなぁ・・。ワンダーウーマンに一応期待。。

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マン・オブ・スティール

Poster出演:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ラッセル・クロウ

監督:ザック・スナイダー

(2013年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:クリプトン星の滅亡を悟った父親に最後の希望を託され、地球へと送り出された赤ん坊。ケント夫妻に拾われ、クラークと名付けられ育てられた彼は、次第に他人とは異なる超人的な能力に思い悩むようになる。そして青年になった彼は自分探しの旅を続けていた。そんな中、クリプトン星の再建を企むゾッド将軍がクラークの存在に気づき、地球へと襲来する・・・。

評価★★★★/80点

のっけから「アバター」に寄せたクリプトン星のヴィジュアルイメージには苦笑したけど、超能力が迫害の対象になるのはX-MEN、自分の正体を簡単にバラしてしまうのはアイアンマン、自分のアイデンティティに悩みながらそれを受け入れていくのはダークナイト、というように昨今のヒーローもののエッセンスのいいとこ取りみたいなかんじになっていて、タケちゃんマンと双璧を成すwかつての根明ヒーローの面影はもはやそこにはなかった。

唯一笑えたのは手錠をかけられて取調室に連行されるところくらいだったし。。

個人的にはクラーク・ケント=カル・エルのバックボーンがよく描けていて感情移入できる今回の根暗ヒーローの方が好みではあるけど・・。

あとは何といってもキャスティング。

今までのキャリアの中で家族を守るために命をかけて戦い続けてきた印象が強いラッセル・クロウと、トウモロコシ畑が最も似合う男ケヴィン・コスナーを生みの親と育ての親に、また見事に歳を重ねているダイアン・レインが包容力のある母親というぜいたくな配役が、映画をエモーショナルな部分でかなり底上げしていることは間違いない。

ゾッド将軍一味との怒涛の都市破壊バトルは、例え9.11を完全払拭したことを示すにしても少々やりすぎ感は否めなかったものの、リブートものとしては上々の出来だったと思う。

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ハンコック

B0041576_23375359 出演:ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン、エディ・マーサン、ジェイ・ヘッド

監督:ピーター・バーグ

(2008年・アメリカ・92分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:ロスに暮らす酒びたりの男ハンコックは、実は不死身のスーパーヒーロー。しかし、事件解決のたびに周囲へ大損害を与えたり粗野な言動がもとで市民からは反感を買いまくっていた。そんなある日、PR会社に勤めるレイは踏切内で車が立ち往生していたところをハンコックに助けられる。彼はハンコックに正義のヒーローとしてのイメージアップ戦略を提案するが・・・。

“ダメ超人ハンコック”

市民にうとまれ、バカにされ、ホームレス同然の生活をする飲んだくれハンコック、、これって公園で寂しく暮らしていた牛丼漬けの初期の頃のキン肉マンそのものじゃんww

しかも最大の敵はケツの穴に頭を突っ込まれたバカ囚人2人組というなんともチンケなレベルのもので、これって完全にキン骨マン&イワオじゃんww、、毛色としては完全にシュールなコメディ。

しかし不死身の超人=社会不適合者の社会復帰プロジェクトというネタはディスコミュニケーション時代の今のご時世に合っていて、深刻なウィル・スミスの表情もあいまって感情移入できて意外に楽しめてしまった。

が、これではヒーローものとしてあまりにも華も見せ場もないと思ったのか、ハンコックとメアリー(シャーリーズ・セロン)は実は夫婦でお互い近づくとパワーを失ってしまうという突拍子もない設定を何の前触れもなく繰り出してきて、映画の毛色が一気に様変わりしてしまった。

まるで前後半で2人の監督を使ってるような脈絡の無さなのだけど、シャーリーズ・セロンほどのスター女優が脇役の奥さんに収まるはずないよな、とは感じてたのよね。でも、もうちょっとあからさまな伏線があっても良かったんじゃないかと思うんだけど・・。

シリーズ化するという前提でいうならば、今回の映画はプロローグというかんじなのかな。

ていうかこの地味さを続編でうさ晴らししてもらわないと許さへんで

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スーパーマン リターンズ

20060827_240267 出演:ブランドン・ラウス、ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ、マーロン・ブランド

監督:ブライアン・シンガー

(2006年・アメリカ・154分)盛岡フォーラム

評価★★★☆/70点

内容:スーパーマンが謎の失踪を遂げてから5年。スーパーマン不在となったメトロポリスでは犯罪が急増、加えて宿敵レックス・ルーサーも出所してしまう。そんな中、地球に戻ってきたスーパーマン。しかし、久々に再会したかつての恋人ロイス・レインは、彼との思い出を振り切り、スーパーマン不要論の記事でピュリツァー賞を受賞するまでに至っていた・・・。前シリーズの2作目「スーパーマン2冒険編」の後を引き継ぎ、5年ぶりに地球に戻ってきたスーパーマンの活躍を描く。

“意外にもダサくなかった掛け値なしの王道路線”

スーパーマンと聞くと自分なんかはオンタイムで見れてない世代なので、ダサいユーモアとショボイSFXの映画という印象がけっこうあったりなんかして、やっぱアメコミ系といえばオンタイムで最初に見たバットマンでしょ、となるわけで。。

だから今回の約20年ぶりの復活劇にはさほどの期待をかけていたわけではなかったのだけど、フタを開けてみたら意外にも楽しめてしまった。

まぁ、昨今のアメコミ系ヒーローが判で押したように苦悩と葛藤を最大の敵とし、正義とは何かという疑問をつきつけられる悩めるヒーロー(=地に足のついた人間)ばかりだったので、アメリカンソウルにあふれた保守的ともいえる王道路線のヒーロー像(=天空から見下ろす神)が逆に新鮮に映ったかんじ。

最新の映像技術も決して大仰にではなく、ほどよいサジ加減でドラマと絡んでいてよかったし。

また、分かりやすい勧善懲悪もののバリバリ王道路線だと、下手すると単調になりがちなんだけども、そこを2時間半の長尺にわたってダレることなく見せ切ったブライアン・シンガーはやっぱスゴイと思う。普通だったら100分くらいにまとめられそうなところを。

X-MENファイナルディシジョンを蹴ってまで本作を監督しただけのことはあると思った。ほんとにスーパーマンにゾッコンなんだろうね(笑)。

ロイス・レインのピュリツァー賞をとった記事“なぜ世界はスーパーマンを必要としないのか”というスーパーマン不要論をもっと掘り下げるのかと思いきや、結局ただ単にヤリ逃げされた鋼鉄の男に対するうっぷん晴らしにしかすぎなかったところとか、ロイス&ジュニアとスーパーマンとの関係の中途半端さなど気になるツッコミどころもあったのだけど、それらは次回作の伏線とみればいいのかな。

でも、あと15年後くらいに子供がこれ見たらダッセェとかって言うのかも(笑)。。

いろんな映画にいえることだけど、次の世代に引き継がれていくような映画を作ってもらいたいもんだと切に願います。

2018年5月 2日 (水)

夢のシネマパラダイス358番シアター:潜入捜査は命がけ

土竜の唄 潜入捜査官REIJI

T02200310_0722101612825903589出演:生田斗真、仲里依紗、山田孝之、上地雄輔、的場浩司、遠藤憲一、岩城滉一、大杉漣、岡村隆史、堤真一

監督:三池崇史

(2014年・東宝・130分)DVD

内容:警察学校を史上最低の成績で卒業したダメ巡査の菊川玲二は、正義感だけは人一倍ある。が、ついに署長からクビを宣告されてしまう、、というのは表向きで、秘かに潜入捜査官(通称モグラ)としての密命が下されたのだ。その任務は、関東最大勢力“数寄矢会”に潜入し、4代目会長を挙げるという危険な任務だった・・・。

評価★★★★/75点

もはや飽きるを通り越して嫌悪感さえ催すこともしばしばになってきたクドカンワールド

が、今回は予想に反して大当たり

それはクドカンのシナリオの手癖をうまく咀嚼し、テンポ良く三池節に染め上げた演出力のなせる技にあるといっていいけど、「脳男」で不気味すぎるほどの静謐なオーラを醸し出していた生田斗真の180度異なるハジケっぷりも大いに貢献したといっていい。

予告編で印象的だった全裸で車のボンネットにくくり付けられて爆走するシーンがのっけから出てくるハイテンションに一気に映画の中に入っていけたけど、それを超える勢いで乗っかってきた生田斗真の体当たり演技には感服した。

そしてセルフ人間洗車、ホルモン蝶結び、タバスコ目薬、ゲテモノ不老不死ジュース、盃丸かじり、早漏防止術などヒネリも何もないカビの生えたような小ネタのマシンガン連発に大いに乗せられてしまったw

これだったら続編もあっていいかも。。

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X-ミッション

Poster2出演:エドガー・ラミレス、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー、デルロイ・リンドー

監督:エリクソン・コア

(2015年・独/中/米・114分)WOWOW

内容:Xスポーツのアスリートだったジョニー・ユタは、競技中の事故で親友を亡くしてしまう。そんな彼に目を付けたのはFBI捜査官ホールだった。巷ではXスポーツを駆使した犯罪集団による強盗事件が立て続けに発生。Xスポーツのカリスマであるボーディ率いるチームの関与が捜査線上に浮かび上がる中、FBIはユタを特別捜査官に任命し、ボーディのチームに潜入させることにするが・・・。

評価★★★/65点

映画を見終わった後にキアヌ・リーブスの出世作「ハートブルー」(1991)のリメイクと知って大仰天!それ早く教えてくれよ~と思ってしまったんだけど。。

というのもFBI捜査官が潜入捜査先のワルと固い友情で結ばれていくプロットがワイスピみたいで、そちらのベクトルで見ていたものだから、途中でそれが裏切られてただの凡庸なドンパチ映画になっちゃってガックリきてたんだよね。

山岳モトクロスから始まり、スカイダイブ、ウイングスーツでのベースジャンプ、サーフィン、スノボ、ロッククライミングなど繰り広げられる絶景パフォーマンスをスクリーンの大画面で見れば迫力が違ったんだろうなとちょっと後悔しつつ、それを抜きにしても見てるこちらのテンションがなかなか上がっていかなかったというのは、やはり取って付けたようなストーリー展開に魅力がないからと思われ・・。

こちらが見たかったのは人が死なない痛快作だったのに、シーシェパードにマシンガン持たせたらドン引きだろww

せっかくのCG無しという謳い文句もどこか宝の持ち腐れのような中途半端作だった。。

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インファナル・アフェア

Inf1出演:トニー・レオン、アンディ・ラウ、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、エディソン・チャン

監督:アンドリュー・ラウ

(2002年・香港・102分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:ハリウッド史上最高額でリメイク権が落札された香港黒社会を舞台にしたサスペンスドラマ。1991年、ストリート育ちの青年ラウは香港マフィアに入ってすぐ、その優秀さに目を付けたボスによって警察学校に送り込まれる。一方、警察学校で優秀な成績を収めていた青年ヤンは、警視に能力を見込まれマフィアへの潜入を命じられる。やがて2人の青年は、偽りの身分の中で着実に実績を積みそれぞれの組織で重要なポストを与えられていく。そして10年後、麻薬取り引き絡みのもつれから警察、マフィア双方がスパイの存在に気付いてしまうのだった・・・。

“つかみはイマイチ、終り良ければすべて良しだ!”

ほとんど何の予備知識もなしで見に行ったのだけど、オープニングの不親切極まりないとってつけたような速攻プロローグでいきなりつまづいてしまった。顔の区別がつかねぇし。話の事態を理解するまでけっこうかかってしまった・・。

そんなわけで出だしは低調だったのだけど、しかし話が進めば進むほど加速度的に映画の中にのめり込んでいく自分をはっきりと認識することができた。圧倒的追い込みでクライマックスへとなだれ込んでいき、もう目が離せないとはこのことよw

しかし画面を支配しているのはあくまでも“静”。

だって1番あからさまな“動”っていったら指の動きぐらいじゃん(笑)。

この映画全体を支配しているのは、視線、空気、音、思考、疑念といった静であり、それら“静”の中でふつふつと“動”がみなぎっているのだ。

例えていえば、冷えた水風呂に焼け石を放り込んだといえばいいだろうか。そんなふつふつと上昇してくるような状態。

逆に焼け石に水風呂の水をぶっかけてもまさに焼け石に水だから何の効果も意味もないわけで。ただヌルくなるだけ。

そういうところはこの映画しっかりと分かっていらっしゃる。拍手。

えっ?ハリウッドがリメイク?“動”全快のハリウッドが・・・?

「焼け石に水」にならなきゃいいけど

Posted at 2003.10.21

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インファナル・アフェアⅡ無間序曲

Inf2 出演:エディソン・チャン、ショーン・ユー、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、カリーナ・ラウ

監督:アンドリュー・ラウ

(2003年・香港・119分)盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:1991年、香港マフィアのボスであるクワンが暗殺された。手を下したラウは警察学校に送り込まれ、一方、クワンの私生児であることが発覚したため警察学校を退学になってしまったヤンは、ウォン警部に拾われ、組織への潜入を命じられる。前作の10年前に遡り、中国返還に揺れる香港を舞台に、ヤンとラウがそれぞれスパイになる過程が描かれる。

“北野武も真っ青の無限ブルーに否応なしに暗黒映画の深淵までズルズルと引きずり込まれてしまう。”

黒か白か。はたまた灰色か。

いや、これは青と赤のせめぎ合いだ。

冷静なスピリットと激情のパッションとが絶え間なく対峙し絡み合い、無限の螺旋を形づくる。

この螺旋に魅せられて1度飛び込んだが最後、果てのない業の螺旋に捕らえられ、それこそ無間にまで呑み込まれてしまう。

どうやら自分ももはやそこから逃げる術をとことん見失ってしまったらしい。

見終わった後、矢も盾もたまらずエピソード2である前作を速攻借りに行きましたがな。

こんなことめったにないんだけど、銃で乱射されたような衝撃に駆られてしまった。1回見てはいるんだけど、これ見て見ないわけにはいかないっしょ

そう、それこそ螺旋だよ。

Posted at 2004.09.23

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インファナル・アフェアⅢ 終極無間

Imf3 出演:トニー・レオン、レオン・ライ、ケリー・チャン、アンソニー・ウォン

監督:アンドリュー・ラウ

(2003年・香港・118分)盛岡フォーラム

内容:ヤンの殉職から10ヶ月。警官として生きることを選んだ元マフィアのラウは、警察内部に残る潜入マフィアを次々と始末していく。しかし、彼の前に保安部のエリート警官・ヨンが立ちはだかる。本土の大物密輸商人・シェンと接触しているヨンが潜入マフィアであると確信したラウは、彼の身辺を調べ始めるが・・・。

評価★★★/65点

1、2作目に関しては映画とのガチンコ勝負で見る側の方が打ちのめされるほどの衝撃と完敗を喫したが、今回は土俵下から後出しジャンケンの連発を繰り出されたかんじで、勝負をさせてもらえないツマラなさで覆われている。

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ディパーテッド

A5c7a5a3a5d1a1bca5c7a5c3a5c9 出演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォルバーグ、マーティン・シーン、アレック・ボールドウィン

監督・マーティン・スコセッシ

(2006年・アメリカ・152分)盛岡フォーラム

内容:マサチューセッツ州ボストン。犯罪組織とのつながりを持つ自らの生い立ちと決別すべく警官を志したビリー・コスティガン。一方、マフィアのボス、コステロによって育てられ、スパイとなるべく警察に送り込まれたコリン・サリバン。互いの存在を知らぬまま警察学校を優秀な成績で卒業した2人。やがて、コリンはマフィア撲滅のための特別捜査官に抜擢され、一方ビリーは、マフィアを内部から突き崩すべくコステロのもとへ潜入するという極秘任務を命じられるのだった。こうしてそれぞれに緊張の二重生活を送る2人だったが、ついに警察、マフィア双方ともに内通者の存在をかぎつけ、いよいよ2人は窮地に追い込まれていく・・・。アカデミー賞では作品・監督など4部門で受賞。スコセッシにとっては6回目のノミネートで念願かなっての初受賞となった。

評価★★★☆/70点

自分の好きな映画がリメイクされると、どうしてもオリジナルと比較してアラ探しをしてしまうのだけど、今回もその例にもれず。。

オリジナルの香港映画に関しては特に1作目、2作目が大好きでハマってしまったくちで。

静謐でダークな世界観の中で繰り広げられるギリギリのサスペンスと、シブくて陰のある男オーラをみなぎらせる俳優陣の存在感とぶつかり合いが人間の永遠に逃れられない業をえぐり出していく“無間道”ドラマは、香港ノワールの完成度としても一級品だったと思う。

さて、そこでスコセッシによるリメイク「ディパーテッド」となるわけだが、一言でいえば、きちっとしたフォーマットの中で合理的にサクサクと物語が処理されていく印象を受けたというのが見終わったときの第1印象だ。

スコセッシがこのリメイク企画の映画化にあまり乗り気ではなかったという話を聞いていたせいもあるのだろうけど、すっきりと型におさまりすぎていて、なにか逆にスコセッシらしくないというか。。

ただ、なぜスコセッシが乗り気ではなかったのかということについては、本作を見るかぎりほぼ明確に答えが出せるように思う。

それはスコセッシが数十年来構想をあたためていた企画をついに実現させた「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2001年)にある。

この「ギャング・オブ・ニューヨーク」では、1800年代中頃のNYを舞台にプロテスタントvsカトリック=イングリッシュvsアイリッシュという人種・宗教対立の構図の中で、自分の父親を殺した仇を討つためにアイリッシュのディカプリオが、その仇であるダニエル・デイ・ルイスのもとに近寄り、組織の右腕にまで登りつめ父子愛に似た関係まで結ぶ。しかし一方で、復讐心をメラメラと煮えたぎらせるディカプリオと、真相を知ってもなお息子として見ようとする葛藤と苦悩の中でディカプリオを試すダニエル・デイ・ルイスの人間ドラマが描かれるわけで、「インファナル・アフェア」の擬似フォーマットがすでにこの「ギャング・オブ・ニューヨーク」にはあるのだ。

また、ディカプリオとダニエル・デイ・ルイスの2人の間に決定的な揺らぎをもたらしていくキャメロン・ディアスの三角関係もまんま「ディパーテッド」におけるディカプリオ、マット・デイモン、女性カウンセラーの三角関係として流用されているし(「インファナル・アフェア」ではカウンセラーのケリー・チャンに潜入捜査官トニー・レオンが想いを寄せているという形で、潜入マフィアのアンディ・ラウにはマリーという婚約者がいる)。

仏教観がにじみ出るのが「インファナル・アフェア」ならば、プロテスタントvsカトリックという宗教対立はもとより、スコセッシの宗教観がにじみ出ているのも「ギャング・オブ・ニューヨーク」なわけで、つまるところ「ギャング・オブ・ニューヨーク」で「インファナル・アフェア」のスコセッシ版リメイクは事足りているわけで・・・。

今回の「ディパーテッド」は、ディカプリオはまたまたアイリッシュの出自をもったキャラで、現代の「ギャング・オブ・ニューヨーク」もとい「ギャング・オブ・ボストン」といったところだが、そこに宗教観は全くなく、「インファナル・アフェア」とは異なるラストの合理的解釈の切り口などを見てもスコセッシらしくなく、あくまで雇われ監督としてのやっつけ仕事という感は否めない。

が、その中でスコセッシ節を堅実に出してきたがゆえ、なおさら残酷かつ痛々しいシーンばかりが目立ってしまったかんじ・・・。

役者陣に関しては奮闘は認めるとしても、ディカプリオ&マット・デイモンは童顔すぎて、う~ん・・・

いっそのことフォーマットを西部劇にした方がよかったのでは、というのはあまりにも冒険、かな。

でも、これで念願のアカデミー賞獲っちゃうというのも皮肉だよなぁ。。

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フェイク(1997年・アメリカ・126分)仙台第1東宝

 監督:マイク・ニューウェル

 出演:ジョニー・デップ、アル・パチーノ、マイケル・マドセン、アン・ヘッチ

 評価★★★★/75点

 内容:FBI捜査官ピストーネは、おとり捜査のためにマフィア組織に潜入することを命ぜられる。ドニー・ブラスコという名で接触を図った彼に最初に近づいたのは組織の末端の気さくな男レフティだった。レフティは聡明で行動力あふれるドニーとの出会いに、あきらめていた出世への夢を再び抱くようになるが・・・。

“あれだけ命張って、得たものが雀の涙ほどって一体・・・。”

ようするにメダルとたった500ドルで友情を裏切ってしまったという何とも哀しいお話。

話の展開としては、実話ゆえの難しさか、フィクションならばもっと盛り上げたりスリリングにできる展開にできるネタなのだけども、なんか淡々と進んでいくかんじで少し惜しい気もする。

例えば、兄貴分に付いたレフティは、俺たちは組織の小さな歯車の1コに過ぎないと半ばあきらめてるけど、このレフティがもしも上昇志向のある若手組員だったならばもっと違う展開にすることだってできたはずだ。

まぁレフティの人物造形がリストラされていく中年オヤジの悲哀たっぷりなので致し方ないか。。ホント、あの哀愁を帯びた表情が頭にこびりついて離れないもん。

だから、スリルよりも人物同士の友情に重きを置いた点は当然の帰結ともいえるし、やっぱりこの点は買いたい。

ただ、どうしてもマフィアものでアル・パチーノとくると「ゴッドファーザー」のマイケルを思い浮かべてしまうんだよね。マイケルをほとんど感じさせないキャラとアル・パチーノの巧い演技でその点は消されてるけど、ニューヨークとマイアミといったら「ゴッドファーザーPart2」そのまんまじゃんみたいな(笑)。ソニーソニーソニーっていったらゴッドファーザーの長男ジェームズ・カーン扮するソニーじゃんみたいな・・・。ちょっとかぶりすぎw

2018年1月 1日 (月)

夢のシネマパラダイス575番シアター:お伽の国からやってきたーーッ!PARTⅡ

PAN~ネバーランド、夢のはじまり~

Pan出演:ヒュー・ジャックマン、リーヴァイ・ミラー、ギャレット・ヘドランド、ルーニ・マーラ、アマンダ・サイフリッド

監督:ジョー・ライト

(2015年・アメリカ・112分)WOWOW

内容:第二次大戦下のロンドン。12歳の少年ピーターが暮らす孤児院では夜ごと子供たちが消えていなくなっていた。ピーターは院長が空飛ぶ海賊船に高値で売りつけていることを知るが、ピーターもさらわれてしまう。行く先は海賊黒ひげが支配する“ネバーランド”だった・・・。

評価★★★/60点

全体的に児童向け「アバター」といった趣でサクサク見ていける作品。が、あまりにもライト感覚すぎて印象に残らないスルー映画・・。

ファンタジーの王道として遜色ない凝った画作りやミュージカル調を織り交ぜた世界観は悪くなかっただけに、新味のないあまりにもストレートすぎるストーリーが求心力を二段くらい引き下げていたのが悔やまれるところ。。ピーターと宿敵フック船長が無二の親友という設定はかなり意外なはずなのに、なんだかうまく生かしきれてないんだよねぇ。

まぁ、続編を想定してまずはピーターが空を飛べるまでを描いたのかもしれないけど、ダークサイドに落ちていくフックをこそ見たかった気も・・。

だって、続編ないでしょもうww

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マレフィセント

2035558_201403250103429001395723962出演:アンジェリーナ・ジョリー、シャールト・コプリー、エル・ファニング、サム・ライリー、イメルダ・スタウントン

監督:ロバート・ストロンバーグ

(2014年・アメリカ・97分)WOWOW

内容:かつて妖精の国のマレフィセントと人間界のステファンは種族の壁を越えた仲の良い友達だった。ところが、成長するにつれ、国を守るべく戦うマレフィセントと侵略する側の重臣ステファンは敵対関係に陥ってしまう。そして、王座を目指すステファンが行った恐るべき仕打ちにより、マレフィセントは復讐の鬼と化すのだった。やがて、ステファンと王妃の間に待望のロイヤルベビーであるオーロラ姫が誕生する。お城で盛大なパーティーが開かれる中、魔女と恐れられるマレフィセントが現れ、オーロラ姫に呪いをかけてしまうが・・・。

評価★★☆/50点

“王国に誕生したロイヤルベビーのオーロラ姫に恐ろしい魔女マレフィセントが呪いをかけ、16歳になった時に永遠の眠りについてしまう。しかし、婚約者フィリップ王子がマレフィセントを撃退し、真実の愛のキスによりオーロラ姫は目を覚まし2人は結ばれる”

特に興味もない眠れる森の美女のあらましだけどw、今回はマレフィセント視点で描いた作品。

人間にとって恐怖の対象となるモンスターに従来とは全く逆のキャラクターを付与し、その視点から描いた映画には「シュレック」や「モンスターズ・インク」、「もののけ島のナキ」などがある。また、魔女という点では魔女の宅急便があり、これはマイノリティである魔女っ子が人間社会に溶け込むための奮闘劇になっている。

このように感情移入しやすい親しみあるキャラクターに変えることで(もともとキングコングやゴジラを含めて怪物・モンスターには同情すべき悲劇性がつきものだけど)、意外性のある新たな物語を楽しむことができる。

しかし、歴史あるディズニーアニメが確立した魔女というのは、狡猾、強欲、憎悪、嫉妬、執念深さといった人間の醜い情念や怨念を凝縮したような根っからの悪役(ぱっと思い出すところではハリー・ポッターのヴォルデモート卿に近い)だけに、どのように描くのだろうと思っていたら、えっ!?よ、よ、妖精!?可憐でメルヘンチックな妖精ですか!?設定そのものを変えてるじゃん(笑)。

英雄と悪者の両方を兼ね備えている、とマレフィセントは形容されているけど、魔女と妖精じゃ全然違うだろ!

さらに解せないのは、従来とは逆視点で描くのだからより多面的な要素を捉えるのかと思いきや、ステファン王が完全悪役に徹していて、結局は勧善懲悪に落ち着いちゃってるところだ。これじゃはっきりいって逆視点で描く意味もないだろって思うんだけど。。

しかも、ステファンがどんなに悪だとしてもオーロラ姫にとっては実の父親でしょ。それをマレフィセントがやっつけてオーロラと一緒に暮らしてめでたし×2ってすごい腑に落ちないんだけど。

ちょっと全体的にビミョーだったな・・・。

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オズ はじまりの戦い(2013年・アメリカ・130分)WOWOW

 監督:サム・ライミ

 出演:ジェームズ・フランコ、ミラ・クニス、レイチェル・ワイズ、ミシェル・ウィリアムズ、ビル・コッブス、トニー・コックス

 内容:しがない奇術師のオズは、カンザスを巡業中に竜巻に巻き込まれて不思議な魔法の国に迷い込む。その国の名前もオズといい、邪悪な魔女の悪政に苦しむ人々は、国と同じ名を持つ魔法使いが救ってくれるという古くから伝わる予言が現実になったと大喜び。財宝に目がくらんだオズは救世主を装うのだが・・・。

評価★★☆/50点

見終わってから知ってしまった。

この映画が1939年のミュージカル映画「オズの魔法使い」の前日譚であることに・・・。

ガ^^^^^ンモヒャ━━((゜Д゜Uu))━━!!!!!!

何の前知識もなくテレビでやってたからとりあえず見ただけというかんじの自分のこの映画に対するモチベーションは、サム・ライミとおとぎ話というやや危なっかしげな取り合わせのみにあったといってもよくw

ところがフタを開けてみればケレンも毒気もないオーソドックスなファンタジーになっていて拍子抜け。

極彩色のカラーの過剰なまでの色味具合は往年の古典映画を意識しているなとは感じたけど、そういう技術的なことはともかく中身がさっぱりツマラなくて・・。

ペテン師のような奇術使いが必死こいて魔法使いを演じるというプロットは面白いはずなのに、二味くらい足りないんだよなぁ。ジェームズ・フランコに魅力がないのかキャラ作りが弱いのか、その両方なのだろうけど、オズの小物っぷりだけが際立ってしまったかんじで・・・。

しかし、いわゆる“ゆきて帰りし物語”において子供ではなく大人がその世界に入り込んでいくというのは成長譚に欠ける分やはり味気がないなと。

その部類で面白かったのはスピルバーグの「フック」だけだし。。

しかも今回は“ゆきて帰らぬ物語”になっていてオチのつけ方も味気ない。

ファンタジーでこれだけ心弾まなかったのは初めてかも・・・

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オズの魔法使(1939年・アメリカ・102分)NHK-BS

A0009400_2315893  出演:ジュディ・ガーランド、バート・ラー、ジャック・へイリー、レイ・ボルジャー、ビリー・バーク

監督:ヴィクター・フレミング

 内容:カンザスの農場に住むドロシーは、家もろとも竜巻に飛ばされ、不思議なオズの国へやって来た。もとの世界へ帰るため、ドロシーは脳みそのないカカシ、心のないブリキの木こり、臆病なライオンたちとともにエメラルドシティに住む魔法使いに会いに行く・・・。

評価★★★/65点

「オズはじまりの戦い」経由で観賞。

ホントはこちらを先に見るべきだったのだろうけど、なるほどサム・ライミの2013年作がオリジナル作に対するつながりをしっかり持った上での作風になっていたことがよく分かった。オズってただのペテン師だったんだというのも改めて知ってビックリしたしw

セットのハリボテ感覚やおかしなメイクなど技術に拙さはあるものの、今から70年以上前の作品であることを踏まえれば、今作が世界のファンタジーの元祖といってもいいスタンダードであることはしっかり体感できた気がする。

でもこの映画が公開された1939年って、かの有名な「風とともに去りぬ」や西部劇の金字塔「駅馬車」が公開された年でもあるんだよね。

ハリウッドのマスターピースが揃いにそろった花の39年組てかんじ(笑)!?

しかも「オズの魔法使」と「風とともに去りぬ」って同じ監督(ヴィクター・フレミング)というのもスゴイ!

最初はリチャード・ソープでスタートしたものの、12日目で解雇され、その後3日間つなぎでジョージ・キューカーが務めてヴィクター・フレミングにバトンタッチ。テクニカラーのオズの国と竜巻の特殊撮影を3ヶ月で撮って風とともに去っていきw、残りのセピアカラーのカンザスのシーンをキング・ヴィダーが撮ったということで、、どんだけ紆余曲折してるんだよみたいな(笑)。

また、スタンダードな名曲“虹の彼方に”は覆面試写の段階でカットを命じられていたというから驚き。

名画は一日にして成らず!という言葉がピタリとくる作品だったんだね。

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ジャックと天空の巨人

Poster出演:ニコラス・ホルト、エレノア・トムリンソン、スタンリー・トゥッチ、イアン・マクシェーン、ビル・ナイ、ユアン・マクレガー

監督:ブライアン・シンガー

(2013年・アメリカ・114分)WOWOW

内容:貧しい農夫の青年ジャックは、市場で見知らぬ僧侶から自分の馬と引き換えに不思議な豆を手に入れる。そして激しい嵐吹き荒れるある日、お城を抜け出したイザベル姫がジャックのおんぼろ小屋で雨宿りをしていると、豆から芽が出て、小屋もろともみるみるうちに天空に伸びていった。そして王家の捜索隊に参加したジャックが豆の木を登っていくと、そこは世にも恐ろしい巨人が住む国だった・・・。

評価★★★/60点

童話のジャックと豆の木がどういう話だったかすら忘れかけていた自分にとっては、人間と巨人の戦いをクライマックスにした今回の映画を見るモチベーションは、ほぼ進撃の巨人の実写映画化を脳内イメージするためだけにあったといっていい(笑)。

いや、その点この映画の巨人の造形はキモくておぞましくて良く出来ていたとは思う。人間を食らうシーンはうまくカットされていたけど、本家進撃の方はちゃんと見せてくれるんだろうねw!?

って進撃の巨人ネタはここらへんにしといて、今度はロードオブザリングの話をしようか(笑)。というくらい色合いに独自色はなくて、まぁディズニーテイストの子供向けファンタジーという言葉がピッタリくる映画だったかなとは思うけど、それだったら主人公が18歳よりは普通に12,3歳の少年にした方がよかった気が。

まぁどちらにせよブライアン・シンガーが監督ということでいえば全然物足りない中途半端な出来栄えだけどね。。

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スノーホワイト

O0700057912238838269 出演:クリステン・スチュワート、シャーリーズ・セロン、クリス・へムズワース、サム・クラフリン、ボブ・ホスキンス、レイ・ウィンストン

監督:ルパート・サンダーズ

(2012年・アメリカ・127分)WOWOW

内容:平和な王国に生まれた王女スノーホワイト。が、幼い頃に母を亡くし、父王も後妻となったラヴェンナによって殺され、自身も城の塔で幽閉生活を強いられる。それから7年後、自分の魔力にかげりが見え始めたラヴェンナは、スノーホワイトが自分の美を脅かす存在であり、スノーホワイトの心臓を手に入れれば永遠の若さと美しさを手に入れられるという魔法の鏡のお告げを聞く。ラヴェンナの魔の手が忍び寄る中、スノーホワイトは間一髪のところで城から脱出し、黒い森へと逃げ込むが・・・。

評価★★☆/50点

白雪姫ってどんな話だっけ?という程度にオッサンになってしまった自分からすると、毒リンゴや7人のこびとが出てきたところで、ああーそいえばディズニーアニメで見たなぁと記憶の断片がよみがえってきたけど、映画としてはそれ以上でも以下でもなかったかなと。

童話というよりはロビン・フッド的というかLOTR的というか、そういう感触で、まさかシシ神さまが出てくるとは思わなかったけどw、なんかイマジネーションの限界を見せられてしまった感の方が強く・・・。

それに加えて話がイマイチ広がっていかないツマラなさも如何ともしがたく・・。

それはスノーホワイトの復讐譚に魅力を感じなかったことが大きく、さらにいえばそもそものところで彼女に魅力を感じなかったてのがなんとも・・・。

「塔の上のラプンツェル」の髪長姫のような元気ハツラツなキャラを求めるのは極端かもしれないけど、もうちょっと表情にゆとりがあってもいいような。。

なんかシガニー・ウィーバーにしか見えなくなってくるんだよね

無理して闘争本能むき出しにしてもシャーリズ姐さんに勝てるわけないんだから・・wこんなこと言いたかないけど、クリステン・スチュワートより、ジェニファー・ローレンスの方が断然イイと思う。。

2016年8月16日 (火)

夢のシネマパラダイス57番シアター:ハンガーゲーム

ハンガーゲーム

Img_1043377_46717251_0 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・へムズワース、ウディ・ハレルソン、レニー・クラヴィッツ、スタンリー・トゥッチ、ドナルド・サザーランド

監督:ゲイリー・ロス

(2012年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:近未来。独裁国家パネムは、エリート層の最先端都市キャピトルとそれに隷属する12の貧困地区で構成されていた。かつてそれらの地区が反乱を企てたことから、政府は反乱の抑止を目的に毎年各地区から12~18歳の男女一人ずつを選び、最後の一人になるまで殺し合いをさせる“ハンガー・ゲーム”を開催していた。そんな中、第12地区に住む16歳の少女カットニスは、くじ引きでプレイヤーに選ばれてしまった妹に代わって出場を志願。男子で選ばれた同級生ピータ・メラークとともにハンガー・ゲームに参加することになる・・・。

評価★★★/55点

中学生に殺し合いをさせる「バトルロワイアル」のような企画はハリウッドでは通用しないんじゃないかと思ってたけど、通用しちゃったよw

しかも歴史的大ヒットだって

で、どんだけ残虐でヤバい映画なんだろ、、と思ってたら、何のこたぁない。PG-12というあってなきがごとくの緩いレイティングを確保するために描写のハードルをかなり下げているのだ。そうでなければティーンを取り込んで4億ドル超という史上空前のヒットは飛ばせない。

そういう点では完全なティーン向けというかんじで安心して見ていられるんだけど、主人公は100%生き残るという安心感があまりにも絶対的すぎて、緊迫感やがむしゃらな生への渇望や葛藤が全く伝わってこないのは痛い。

なによりゲーム開始直後に出場者の半分が死ぬって、、そんなのありww!?

あと特に主催者側の大人たちがことあるごとに介入してきて主人公のいいように事が進むご都合主義ありきの展開は興ざめもいいところ。

例えばゲームのエリアから外れそうになると引き戻すために介入してくるって、、隔絶された島にすればいいだけの話だろ。74回も開催されてるのにそんなことも分からないのかっていう・・(笑)。

あげくの果てにはゲーム中にルール改正してルールが二転三転するって何だそりゃ。。ホントに74回やってきたのかww!?

また、スポンサーや観衆を味方につけないと生き残れないという設定も、この意図されたご都合主義をシナリオに組み込むためにできた設定にしかなっておらず、物語の中に全く活かされていない。

前半1時間を主人公のセルフプロモーションに当てたのは悪くないとは思ったけど、肝心のゲーム自体がメチャクチャじゃ何の意味もない。このての映画でカタルシスを感じないというのはもはや致命的だ。

ただ、それでも甘めの点数なのは、主人公カットニスを演じたジェニファー・ローレンスの魅力がハンパなくてベタ惚れしちゃったためで

主人公の設定16歳を22歳で演じるため大人びた印象が出るのは当然といえば当然だけども、思わず引き込まれてしまうだけの年の差以上の魅力と品格がある。はっきりいってこの映画にはそぐわないくらいだ。

それに比べてカットニスと恋の三角関係を演じることになる(?)相手役の俳優たちはアイドル然としているので、なんかジェニファーと合ってないんだよね。そういう器じゃないっていうか・・(笑)。

なんだか粗ばっかりが目立ってしまったかんじだけど、続編では女優として大きすぎる存在になりつつあるジェニファーに見合う映画になっていることを願うばかりだ。

あるいは降板してもいいんだよ(爆)。。

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ハンガーゲーム2(2013年・アメリカ・147分)WOWOW

 監督:フランシス・ローレンス

 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、レニー・クラヴィッツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ドナルド・サザーランド

 内容:第74回ハンガーゲームで優勝し、故郷に凱旋を果たしたカットニスを待っていたのは民衆の熱狂的な支持だった。彼らはカットニスの戦いに、圧政からの独立の機運を重ね合わせていたのだ。しかし、その声を封じ込めようとする独裁政府は、カットニスを抹殺するために秘策を用意する。それは、第75回ハンガーゲームを歴代優勝者24名による記念大会にするというものだった。こうしてカットニスは、再び戦いの場へと引きずり出されてしまうが・・・。

評価★★☆/50点

2時間半ダラダラと付き合わされたあげく突きつけられた真実、、、この映画って結局ただの前フリじゃねーか!

もう、何なんだよこれ・・。

しかも本選が始まるまで80分も要するなんて、こんなどうでもいいティーン向け映画でそこまでもったいつけなくてもいいだろ(笑)。

肝心のゲームも前作と同じくご都合主義満載で腰砕けだし。ポスターにあった“覚悟はいいか”というキャッチコピーってようするに面白くもない映画に2時間半付き合う覚悟はあるかってことだったんですかw

ジェニファー、、何度も言うけど降りていいんだからね

P.S. 「ハンガー・ゲームFINAL」鑑賞済。生き残りをかけたサバイバルゲームという当初のフォーマットから政権打倒の革命戦士ジャンヌ・ダルクの悲劇という全く別物へと変容を遂げたはいいものの、前後編に分けてまでやる必要あるか!?という薄っぺらい内容で正直気に食わなかったw

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メイズ・ランナー

175345出演:ディラン・オブライエン、ウィル・ポールター、カヤ・スコデラーリオ、アムル・アミーン、キー・ホン・リー

監督:ウェス・ボール

(2014年・アメリカ・113分)WOWOW

内容:深い地の底から上がってくるエレベーターの中で目覚めたものの、自分の名前以外の記憶が一切ない青年トーマス。扉が開くとそこは巨大な壁に囲まれた草原。そこでは同じようにして送られてきた同世代の若者たちがコミュニティを作って暮らしていた。さらに壁の奥は巨大迷路になっていて、夜になると閉じられ朝には新たな迷路に変わる中、足の速い“ランナー”と呼ばれる精鋭たちが攻略に挑んでいた。トーマスもそれに加わり、脱出の糸口をつかもうとするが・・・。

評価★★★/60点

なぜ?どうして?を極力省いた作劇は「CUBE」ぽくて面白そうだなと思ったのもつかの間、なんと迷路の謎は9割方解けていたという不条理の入り込む余地のない茶番劇に肩すかし。。

ならば、せめて迷路を舞台にと思いきや、これまた迷路の外で行こか戻ろかの押し問答に終始する始末で、ティーン向けと割り切って見てもかなり消化不良。

とはいえ、高い壁に囲まれた迷路のセットヴィジュアルやプロダクトデザインは「進撃の巨人」なんかより数段上をいっているのがやはり腐ってもハリウッドなんだなと(笑)。

いや、まぁ進撃の巨人の方が数段駄作だったんだけどね・・

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ダイバージェント

Poster2出演:シェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、アシュレイ・ジャッド、ジェイ・コートニー、ケイト・ウィンスレット

監督:ニール・バーガー

(2014年・アメリカ・139分)WOWOW

内容:最終戦争から150年経った未来。人類は過去の教訓から、国家や宗教という概念を捨て、新たな社会体制を築き上げていた。それは、人類を性格別に勇気ある“勇敢”、正直者の“高潔”、優しき“平和”、利他的な“無欲”、知識豊富な“博学”という5つの共同体に分けるというものだった。人々は16歳になると性格診断テストを受け、結果が示した共同体への所属を義務づけられる。そんな中、無欲出身のベアトリスは16歳になり診断を受けるが、結果は5つのどれにも該当しない異端者(ダイバージェント)と判定される。ダイバージェントは、人類を滅ぼす危険分子として抹殺される運命にあったが、ベアトリスは名前を変え“勇敢”に加入することに成功するのだが・・・。

評価★★/45点

ティーンエイジ向けと割り切って見てもこれはヒドすぎる。

まずもって国家や人種、宗教の垣根を取っ払い、人類を博学=科学者・教育、平和=農民・食料生産、高潔=裁判官・司法、勇敢=軍人警察・治安維持、無欲=公務員・行政の5つのグループに分け、そのコミュニティで一生を送らせれば平和が維持できるという社会システムの仕組みがよく分からなくて映画に入り込めない。

これだけ見れば別にディストピアでも何でもなく江戸時代の士農工商と変わりないわけで、カースト制や管理社会というよりは職能集団別の同業者組合という方がしっくりくる。

なので、これをディストピアとして見る時にキーとなるのは、5つの派閥に入らない無派閥しかない。ところが、このホームレス扱いの無派閥についてほとんどスル―されているところが大問題なのだ。

例えば、この無派閥が人口の大半を占めているのであれば、5大派閥をエリート支配層とするピラミッド型の階級社会と捉えることもできる。あるいは、無派閥が各派閥の脱落者からなるということは、逆にいえば多様性が生まれるわけで、それを束ねて率いる首領がどの適性にも当てはまらない“異端者”となるはずだ。それが、社会を滅ぼす危険分子として迫害や抹殺の対象となるゆえんではないのか。

なのに、この異端者娘ときたら、とりあえず“勇敢”に入っちゃお♪っていきなりスポ根青春グラフィティが始まってしまう。で、さらに無派閥そっちのけで“博学”が“無欲”に迫害をしかける、、ってなんじゃそりゃ(笑)。

あと、職能集団とは別な視点で、ハリー・ポッターの組分けのような性格・資質による違いでみても、“高潔”は毒舌、“博学”は上から目線、“無欲”はノーと言えない日本人wなんだけど、結局自分で行きたい派閥を自由に選べるからその設定意味ないよねっていう・・

これほどいい加減な劣化映画見たことないww

主人公も若かりし頃のケイト・ウィンスレットの劣化版てかんじだったし

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GANTZ

GANTZ:PERFECT ANSWER

Bdcam_20110129_163645990 出演:二宮和也、松山ケンイチ、吉高由里子、本郷奏多、夏菜、綾野剛、伊藤歩、田口トモロヲ、山田孝之

監督:佐藤信介

(2010年・東宝・130分&2011年・東宝・141分)WOWOW

内容:大学生の玄野計は、地下鉄のホームで線路に落ちた客を助けようとして、幼なじみの加藤勝とともに電車にはねられてしまう。しかし、死んだはずの2人は見慣れぬマンションの一室で目覚める。そこには、他にも死んだはずの人々が集められており、部屋の中央には謎の黒い球体“GANTZ”が鎮座していた。やがて彼らは、GANTZから“星人”と呼ばれる異形の敵を倒すというミッションを与えられ、いきなり戦いの場へと転送されてしまうのだった・・・。

評価★★★/55点

原作は全くの未読。

そして映画見終わっても読む気なし(笑)。

だってネギ星人って、、何だよアレw

まぁ、テンポは悪くないし、アクションのクオリティも特に2作目の方は見事な出来で、日本映画もここまでできるんだと少しビックリした。

けど、ゲーム世界の延長戦からどこまでも抜け出ない安っぽさとストーリーの生ぬるさにパーフェクトなファイナルアンサーなど途中からどうでもよくなってきて、アクションと夏菜の肢体を追うばかりになってしまった・・・おいおい

ま、そういう類の映画だからいいんだろうけどww

あとは、異様なオーラを醸し出す綾野剛くらいかなぁ見どころなのは。。最近は完全にテレビ慣れしてきちゃったけど、クローズZEROとかこの映画での妖しいインパクトは強烈だった。

時代劇なんかでも見てみたいかんじと思ってたら本家本元の大河に出ちゃって、でも会津の殿様ってふうじゃないんだよなぁ。十三人の刺客みたいなサムライ役で見たい。

とにかく近年稀に見る逸材の今後が楽しみです。

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バトルロワイアル(2000年・東映・114分)WOWOW

 監督:深作欣二

 出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、塚本高史、柴咲コウ、ビートたけし

 内容:大不況に見舞われ失業者があふれかえる日本では、少年犯罪が多発し、学校崩壊は増大。それに対し大人たちの怒りが爆発!強い大人の復権を目的とした“新世紀教育改革法”通称BR法が公布された。それは全国の中学3年生の中から無作為に選ばれた1クラスを、最後の1人になるまで殺し合わせるというあまりにも過酷で理不尽なものだった・・・。内容のあまりの衝撃性に賛否両論を巻き起こした同名小説の映画化。

評価★/30点

思想もテーマもあったもんじゃない。

殺しは単なる見世物としかなっておらず、いわばオーメンやファイナル・デスティネーションのような血しぶき博覧会と同等のものしか持ち合わせていない映画。

問題はそれを中学生にやらせるところなのだけど、どう考えても山本太郎が中学生に見えるはずもなく(笑)、そこは特に気にはならなかった。

しかしそれ以前に、映画自体が全くもってツマラナイことの方が大問題ww

やはり登場人物ひとりひとりのバックボーンが全く見えてこないのは致命的で、その中で何にも取り憑かれていない中学生の殺し合いを延々見せられる倦怠感といったらない。。

正真正銘の駄作だと思う。

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バトルロワイアル2 鎮魂歌(2003年・東映・133分)DVD

 監督:深作欣二、深作健太

 出演:藤原竜也、前田亜季、前田愛、忍成修吾、酒井彩名、竹内力、ビートたけし

 内容:あれから3年、BRを生き延びた七原秋也は反BR法のテロ集団を組織し、全ての大人たちに宣戦布告!再び壮絶な戦いが展開される。。本作のクランクイン直後に深作欣二監督が亡くなったため、息子・健太氏が引き継ぎなんとか完成にまでこぎつけた。

評価★☆/35点

ポテチつまんでニタニタしながらこの映画観てる自分もどうかと思うけどさぁ・・・

脳ミソが飛び散ろうが血しぶきが上がろうが、女のコの絶叫が響こうが竹内力が見事なトライを決めようが、そんなことよりもポテチが奥歯に挟まって歯ぐきに刺さったことの方が切実な問題としてマジに痛かった。映画もイタかったけどww

深作組もいったい真面目なんだか不真面目なんだかよく分からなかったな。でも、もし大真面目だったとしたら救いようがないくらい痛いよこれは。。

2016年3月 5日 (土)

夢のシネマパラダイス175番シアター:生涯モラトリアム宣言

もらとりあむタマ子

Poster2出演:前田敦子、康すおん、伊東清矢、鈴木慶一、中村久美、富田靖子

監督:山下敦弘

(2013年・日本・78分)WOWOW

内容:東京の大学を卒業したものの就職もせず、スポーツ用品店を営む父親が一人で暮らす甲府の実家へ戻ってきたタマ子。店を手伝うわけでもなく、家事も父親任せで、漫画を読んだりしてただゴロゴロと過ごす日々を送っていた。そんな中、父親にアクセサリー教室の講師との再婚話が持ち上がり・・・。

評価★★★★/80点

天下のAKBでセンターを務めたスーパーアイドルが劇中ではアイドル志望のぐうたらニートを演じるというのは大きなチャレンジだったと思う。

ところが、履歴書用の写真を見て父親がププッと吹き出してしまうシーンで、実際そのアイドルっぽいブリッ子な写真を見るとたしかに笑わずにはいられなくて

この写真一枚でアイドルから女優に脱皮したといっていい(笑)。それくらい、前田敦子の性格ブスなタマ子はハマっていた。

また、20代の頃に延べ2年プータローを経験し、30代となった今は職を得てはいるものの相変わらずパラサイトシングルと化している自分にとってはタマ子のモラトリアムな生活はかなり身に覚えのあることで・・はっきりいって面白かったww

ただ、三十路ともなると、年頃の娘と暮らす男やもめの心持ちもよく分かり、そんな2人の絶妙な距離感というのがよく描けていたと思う。

その距離感というのは、減らず口は一丁前でも少なくとも今は動きたくないと父親に甘えっぱなしの娘と、それに苛立ちながらも本音では可愛い子には旅をさせたくない父親の共犯関係ともいえる。

しかし、実は最も敏感にその相互依存に気付いているタマ子。季節を追うごとにモラトリアムの居心地の良さを侵食してくる包囲網が狭まっていき、ラストで「夏終わったら家を出てけ」という父親の一言に「合格」と答えるやり取りはこれまた絶妙だった。

やっぱ親にも突き放す勇気がないとダメなのかもしれないけど、なかなか言える言葉じゃないよねぇ。

そういえば自分の大好きなTVドラマ「北の国から帰郷編」で、東京から帰省してきた純が父・五郎にこのまま富良野に残って父さんと一緒に居ていいかと訊くとそれを断る名シーンを思い出したw

ま、、自分のこと考えると笑えなくなっちゃうけどね

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百円の恋

Poster2出演:安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平、根岸季衣

監督:武正晴

(2014年・日本・113分)WOWOW

内容:実家にひきこもり、仕事もせずダラダラと過ごす32歳の一子。ある日、離婚して子連れで実家に戻ってきた妹とケンカしたことがきっかけで、アパートで一人暮らしをするハメに。仕方なく100円コンビニで深夜のバイトを始めるが、人付き合いが苦手で接客なんてやる気なし。そんな中、近所のボクシングジムで練習に励む中年ボクサーの狩野と知り合い、デートに誘われるという珍事に見舞われるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

実家でスナック菓子をボリボリ頬張りながらぐうたらしている三十路の独身ニート女、、おそらく世の中で1番イタイ人種であると同時に映画の主人公に1番なりづらいキャラクターではないだろうか。

さらにそこにボクシングときたらもう南海キャンディーズのしずちゃんくらいしか思い浮かばないんだけどw、安心してください、ここにいますよ!安藤サクラが!

最近の女優で役のためなら太ることもいとわないデニーロアプローチをするほどの演技派は「そこのみにて光り輝く」の池脇千鶴くらいしか思い浮かばないけど、今回の安藤サクラの女優魂にはほとほと感服した。

「モンスター」のシャーリーズ・セロンと「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリー・スワンクを一人で演じきってしまったような凄さといっても過言ではないだろう。

最初見た時は安藤サクラと気付かないくらいでっぷりとしたオバハン体型に仰天したけど、そこからシャープなボクサー体型に変貌をとげるのだから恐れ入る。しかも撮影期間がたったの2週間って、ライザップでも無理だろ(笑)。

また、ボクシングシーンも凄いのなんの。聞くところによると朝の6時から深夜2時半までぶっ通しで撮影してたらしく、極限の向こう側にイッた妥協のなさに圧倒された。

負け犬が一念発起して立ち上がるというありきたりなストーリーを安藤サクラの身ひとつで説得力をもたせてしまう、、この映画を見て役者の力量がストーリーを転がしていくという意味をあらためて再認識した気がする。

安藤サクラ。

ガチの女優である。

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横道世之介

8bf053b7出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛、井浦新、國村隼、きたろう、余貴美子

監督・脚本:沖田修一

(2012年・日本・160分)WOWOW

内容:1987年。長崎から大学進学で上京してきた横道世之介(高良健吾)。あか抜けないお人好しの世之介は、嫌みのない図々しさが人を吸い寄せ入学式早々から友達ができる。一方、年上の女性・片瀬千春(伊藤歩)に片思いをするも、お嬢様の与謝野祥子(吉高由里子)から猛烈アタックをかけられたりと大学生活を満喫していたが・・・。

評価★★★★/75点

不思議な映画だ。

160分間大きな山場も感動もないにもかかわらず、最後まで心地よく見られ、しかも160分という大長編を見た疲労感もなく後味も爽やかなのだ。

これは一体何なのか、見終わったあともよく分からないけど、なにかこう全体的にNHKの朝ドラの味わいに似た安心感はあったかな。それはドラマに無鉄砲なドタバタや非日常的な逸脱を排し、あくまで日常に寄り添った作劇の安心感といえばいいだろうか。

例えば、サンバサークルが牧場で合宿する一見シュールな場面であっても、ジャージ姿というアイテムが日常あるあるに落とし込み豊かなユーモアにしてしまう。

そういう巧さがこの映画にはあると思う。

そしてなにより人の懐に土足で踏み込んでくるKY男でありながら、他人の頼み事ははなっから受け入れる根っからのお人好しという世之介の天然キャラが良い。

鬱陶しさが優しさや真面目さと両立されているため、かえって共感を呼ぶ不思議な魅力に引き込まれてしまったし、さらなる天然ぶりを発揮する吉高お嬢さまとの相性もバツグンで、とにかく見ていて楽しい。

まさか楽しいなんていう感想をこの映画に抱くとは思いもよらなかったけど、世之介の屈託のない笑顔が過去のものだと分かる中盤以降はせつなさも加わって、より心に残る映画になっていたと思う。

この映画を見て、なにか特別な出来事とかではなく、長い時を経てふと甦ってくる懐かしい日々の思い出の中に登場することが、自分の生きた証なんだなぁと感じて、なんかちょっと楽になったw

いや、別に人の心に残る生き方をしようなんてこれっぽちも思ってないけど、あるひと時を一緒に過ごしていくであろう仲間たちとの何気ない日常こそ大切なんだなぁって。だからこの映画を見ていて楽しかったんだと思う。

忘れた頃にまた横道世之介に会いにこよっかな

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百万円と苦虫女

100man出演:蒼井優、森山未來、ピエール瀧、竹財輝之助、齋藤隆成、笹野高史、佐々木すみ江

監督・脚本:タナダユキ

(2008年・日活・121分)NHK-BS

内容:短大を卒業したものの、アルバイト生活を送る21歳の鈴子(蒼井優)。ひょんなことから警察沙汰を起こしてしまった彼女は、受験中の弟に前科者扱いされ、勢いあまって百万円貯まったら家を出て行く!と宣言する。そして百万円が貯まると、宣言通り実家を後にして、誰も知らない土地へと旅立つ鈴子だったが・・・。

評価★★★★/75点

三十路で独身で実家暮らしで低収入の典型的パラサイトチルドレンの自分は、自分のことを誰も知らない土地で暮らしてみたいと思うことが少なからずある。自分の所在をなくしてしまいたいという願望だ。

それは18で地元から都会に出て10年もたずに舞い戻ってきてしまった自分の場合、いつまでたっても結婚も自立もできずに親に迷惑をかけ続けていることからくる所在のなさだ。家族、親せき、地元の目が精神衛生上の圧迫になっていることは否めない・・

一方、映画の主人公、鈴子は21歳。前途洋々の若さであるが、就職浪人中のフリーター生活を変えようと家を出ること自体オイラから言わせればすでに自立している(笑)。

しかもこの女、決定的にモテるのである。どこ行ってもモテまくるのであるww

他者とのつながりに思いやりを求めるよりも傷つくことの方を恐れている鈴子の冷め具合いは自分も含めた現代の若者世代に共通する感性だとはいえ、ここまでモテる女のコが人間関係を忌避して土地をさすらうというのは若干の無理がある。

また、そこで出てくるのが“前科”というキーワードになるのだけど、同居人の男の持ち物を全て捨てたというのは後ろめたい犯罪というよりは武勇伝という方がまっとうで、所在なさの根拠とするには弱い気がする。

要は全体的にリアリティがないのだ。

まぁ、友達とその彼氏と3人でルームシェアするというそもそものところからしてあり得ない話だけど。。

しかし、このリアリティのなさを蒼井優のぶっちぎりの存在感が吹き飛ばしていて、映画を最高に魅力あるものにしているのだから、やっぱり映画はやめられない。映画も自分にとってある意味現実逃避だけど・・・w

でも、ホントにこの映画見て蒼井優にゾッコン

床に大の字になって寝転がるところとか、キュートな外面とは裏腹にグチや毒を吐くところとか最高にイイ♪

良妻賢母ぶりが板につきすぎている宮崎あおいが聖母マリア化している一方、いまだに手の届きそうなところにいるフツーの女のコでいつづける蒼井優の良さに今さらながらに気付かされただけでもこの映画を見てヨカッタ×2(^^♪

今一番好きな女優は誰かと訊かれたら迷うことなく蒼井優と答えます!

あ゛ー、蒼井優みたいな人いないかなぁw

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パレード

52897d159a6db740790ccace4e77482e出演:藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介、キムラ緑子、正名僕蔵、石橋蓮司

監督・脚本:行定勲

(2010年・日本・118分)NHK-BS

内容:都内のマンションの一室。そこでは映画会社の宣伝マン・直輝(藤原竜也)、酒好きのイラストレーター・未来(香里奈)、先輩の彼女に恋をした大学生・良介(小出恵介)、若手人気俳優と極秘交際中の琴美(貫地谷しほり)の男女4人がルームシェアしていた。彼らの共同生活の基本理念は、居たければ居ていいし、居たくなくなったら出ていけばいいというチャットのようなもの。しかし、ある日そこに男娼のサトル(林遣都)が加わったことで彼らの穏やかな日常は微妙に歪み始めていく・・・。

評価★★★☆/70点

冒頭、マンションの一室の外からヘリコプター音がしているのを見て真っ先に思い浮かべた映画があった。

森田芳光監督の「家族ゲーム」だ。

あの映画では、同じく外でけたたましくヘリの音がしているにもかかわらず、そんなのお構いなく惰眠をむさぼる家族の姿が印象的だった。それは社会や他者に対する無関心のカリカチュアといえるけど、その“家族”すら“個人”にとって代わられた現在にあっては、マンションの一室は家族団らんの場ではなく、チャットや掲示板のような匿名空間と化してしまった。

孤独はイヤだけど干渉されたくない、干渉されるのはイヤだけど誰かとは繋がっていたい、イヤなら去ればいいし居たければ笑っていればいいという、なあなあで居心地が良いかわりに真実味のない上辺だけの付き合いの場。

しかし一方では、ヘリの音がすれば目を覚まして外をのぞき見るし、隣の住人が怪しいことをしていると思えば詮索してみたりと、自分たちのテリトリーの外には人一倍好奇心旺盛だったりする。

まさにその他大勢が跋扈する“世間”と仮装して仮面をかぶった彼らとは本質的には変わらないのだ。

しかもその自分たちのテリトリーであっても匿名と実名の狭間にあるという危ういバランスの中にある。しかし、彼らにとってはそれが予定調和の日常に安住するための強固な土台となっているのだ。

そこらへんのビミョーかつ絶妙な若者の距離感をこの映画は非常にうまく描き出していたと思う。

そして、仮装行列“パレード”に仮面を付けずに闖入してきた男娼のサトルによって彼らの匿名性が徐々に引きはがされていき、ついには直輝が仮面を取っ払おうとしてそのバランスが崩壊するのかと思いきや、「それでも今まで通り仮装行列を続けていくよね?分かってんだろKY男!」というラストの同居人たちの刺すような冷めた視線は強烈だった。

赤信号みんなで渡れば怖くない的な、ゆるそうに見えて実はスゴイ窮屈な運命共同体だったのか。

自分含めて現代人がストレス溜まりまくりなのも道理なわけだ・・

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ばしゃ馬さんとビッグマウス(2013年・東映・119分)WOWOW

 監督・脚本:吉田恵輔

 出演:麻生久美子、安田章大、岡田義徳、山田真歩、秋野暢子、松金よね子、井上順

 内容:学生時代から脚本家を目指すも一向に芽の出る気配のない34歳の馬淵みち代(麻生久美子)は、友人を誘ってシナリオスクールへ通うことに。するとそこで、超自信過剰な28歳の自称天才脚本家・天童義美(安田章大)と出会う。ものの見事に対照的な2人だったが、天童はばしゃ馬のように頑張り続ける馬淵に一目惚れ。対する馬淵は、口先だけの天童を毛嫌いしていたが・・・。

評価★★★☆/70点

この映画のシナリオがコンクールの1次予選を通過するとはとても思えないんだけどw、何気ない日常をイタイ笑いに切り取っていく描写力はグランプリ級!

ちょっとした会話の間や表情、雰囲気など微妙なニュアンスを的確につかみ取るさりげない演出を一貫して持続できる才はなかなかのもので、なにより役者のオーラを消し去る容赦のなさは唯一無二。

それにより、自分は特別な何かなのだと頑なに信じ込む何ものでもない者のどんぐりの背比べと傷の舐め合いに生々しいリアリティが生み出されている。

そして、ばしゃ馬さん(麻生久美子)とビッグマウス(安田章大)のこじらせぶりのいたたまれなさがどこか身に覚えのある自分に跳ね返ってきて、見ていて笑えるんだけど切なくてツラくなってくるんだよね・・・。

でも、この映画の教えてくれる教訓は、自分をさらけ出さないと夢をあきらめることを肯定して真に前に進んでいくことはできないってことなのだろうけど、誰に吐き出すでもなく人知れずフェードアウトしていった自分はあの2人に比べたらよっぽどカッコ悪いよなぁ、、と身につまされていくのは自分だったというオチ・・

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中学生円山(2013年・東映・119分)WOWOW

 監督・脚本:宮藤官九郎

 出演:草彅剛、平岡拓真、鍋本凪々美、刈谷友衣子、YOU、ヤン・イクチュン、坂井真紀、仲村トオル

 内容:妄想癖のある中2の円山克也は両親と妹と団地住まい。今日も頭の中はエロい妄想でいっぱいの克也は前々から“エッチなあること”を成就するために日夜柔軟体操に励んでいる。そんなある日、仕事はせずベビーカーを押しながら団地をうろつく謎めいたシングルファーザーの下井が上階に引っ越してくる。そしてほどなくして、団地で殺人事件が発生。克也は下井が犯人ではないかとの妄想に取り憑かれていくのだが・・・。

評価★★★/60点

神が人間に与えたもうたオマケみたいな力=妄想を人並み以上に持ち合わせている自負はあるものの、あのような目的の屈伸運動にいそしんだこともなければ試してみたいと思ったことすらない自分としては(笑)、この中2のガキに共感しうるところはあまりなかった。

まぁようするにプロットの1つ1つがツマラなかったといえばそれまでだけど、悪ノリと悪ふざけと映画的でたらめさだけで出来ているかんじでイマイチ乗り切れなかった。

唯一、「息もできない」のヤン・イクチュンが出てくる韓流くずれネタはウケたw、、ってそれもちょっと悲しいな。。

うーん、、クドカンの映画畑でのクリエイティブな仕事はもう底が見えたかなぁ・・。小ネタの天才であることは疑う余地はないけど、映画という枠内で大きな物語を描くことにかけては凡庸なのだということで、やっぱこの人は舞台とテレビの人なんだと思う。

あまちゃんでクドカンワールドに初めて触れた年配の人はこれ見て卒倒するだろうなww

2016年1月17日 (日)

夢のシネマパラダイス313番シアター:舞妓はレディ

舞妓はレディ

Poster3出演:上白石萌音、長谷川博己、富司純子、田畑智子、草刈民代、渡辺えり、竹中直人、高嶋政宏、濱田岳、岸部一徳、妻夫木聡、津川雅彦

監督・脚本:周防正行

(2014年・東宝・135分)WOWOW

内容:京都の歴史ある花街・下八軒の老舗お茶屋にある日、16歳の春子が舞妓になりたいと訪ねてきた。しかし、鹿児島生まれで青森育ちの彼女は薩摩弁と津軽弁丸出しで、女将さんから最初は門前払いを受ける。が、そこに偶然居合わせた言語学の教授が春子に興味を持ち、舞妓になれるかどうかで呉服屋の社長と賭けをすることになった。そのおかげで、なんとか仕込み(見習い)として置いてもらえることになった春子は、先輩舞妓から芸や立ち居振る舞い、そして教授から京ことばを教わり修行の日々を送っていく・・・。

評価★★★/60点

昭和30年代の集団就職で上野駅に降り立った地方の田舎少女にしか見えないオープニングと、可憐で凛とした舞妓はんにしか見えないラストとではまるで別人のような主人公(上白石萌音)の変貌ぶりは、成長の証を写し撮ったものといえるのだけど、不思議とそれを感じられなかったのはなぜだろう・・・。

と考えると、話の基本設定はオードリー・ヘプバーンの「マイ・フェア・レディ」を完コピしてるんだけど、それに照らし合わせてみれば、やはり主人公のキャラが弱いかなと。

要は、えっ!?この子ホントに舞妓になれるの!?無理だろーwと思わせるミッションインポッシブル感がなかったということ。地元でブーブー言わせてた田舎のヤンキー娘だったらまだしも、津軽の純粋培養娘じゃあやっぱり弱いんだよなぁ。。

あと行き着くところは、なぜにミュージカル!?ってところ(笑)。

ミュージカル仕立ての映画は嫌いではないけど、これは自分の中ではかなり合わなかった

北野武の「座頭市」みたいに、ラストで全員で舞妓はレディ音頭を歌い踊って締めという形にした方が良かったと思う。

花街の文化に対するノウハウやトリビアといった新味にも乏しく、全体的に中途半端な映画だった。

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シコふんじゃった(1991年・東宝・103分)DVD

 監督・脚本:周防正行

 出演:本木雅弘、清水美砂、柄本明、竹中直人、田口浩正

 内容:何でも要領よくすり抜けてきた大学4年生の秋平は、卒業するのに必要な単位をもらうために、教授が監督を務める相撲部に入部しなければならなくなってしまう。しかし、肝心の相撲部は、部員が大学8年生!!の青木ただ1人という有り様だった・・・。

評価★★★★★/100点

こちらの隙をうかがって思わぬところから笑いのツボをおさえた攻撃をしかけてくる。

まさに立ち合いからバランスを崩されまくりで心地よく押し切られてしまう快作!

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ファンシイダンス(1989年・日本・101分)NHK-BS

 監督・脚本:周防正行

 出演:本木雅弘、鈴木保奈美、大沢健、彦摩呂、田口浩正、近田和正、竹中直人

 内容:塩野陽平は東京の大学生だが、実家の寺を継がなければならない宿命を背負っていた。それで住職の資格を得ようと1年間の禅寺修行のため弟の郁生と田舎の山奥の明軽寺に入ることになる。しかし安易な気持ちで構えていた彼を待っていたのは、先輩僧侶のシゴキや苛酷な修行の数々だった・・・。

評価★★★☆/70点

全体的に演出、演技ともにぎこちなさは残るものの、このわずか2年後の「シコふんじゃった」で完成形を迎える周防コメディの原型を見られるという点で見応えがあるし、しかもそれがすでに十分面白いのだから恐れ入る。

その型とは、一般には縁遠い業界をネタに、トリビア的な要素を絡めながらそこに飛び込んでいった素人人間の悪戦苦闘と人間模様をコミカルに描き出すものだけど、今作と「シコふんじゃった」、そして「Shall we ダンス?」までの3作はこのフォーマットを踏襲していて、娯楽性として見事にそれがハマっている。

まぁ、でもこの映画で1番ウケたのは、バブル時代のケバケバしい空気が存分に映し出されていたことだね。

鈴木保奈美の付けてるイヤリングがまるでインカ帝国で発掘された耳飾りみたいで笑えたww

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Shall we ダンス?

Shallwe83_839383x出演:役所広司、草刈民代、竹中直人、渡辺えり子、草村礼子、柄本明、徳井優

監督・脚本:周防正行

(1996年・東宝・136分)

評価★★★★/85点

内容:まじめなだけが取り柄でこれといった趣味もない平凡なサラリーマンの杉山は、ある日電車の中でダンス教室の窓辺に物憂げに佇む1人の女性を見かけ、その姿に目を奪われてしまう。数日後、彼女のことが忘れられない杉山はそのダンス教室を訪れて、生まれて初めて社交ダンスを習い始める。はじめは不純な動機で始めた社交ダンス。しかし、次第に彼はダンスそのものに純粋にのめり込んでいくようになり・・・。

“だからといってダンスをしたいとは思わない。”

やっぱこの映画は「フル・モンティ」であって、決して「リトル・ダンサー」ではない。

世間のしがらみやプライドに縛られる大人たち。そこにはどうしても羞恥心がつきまとってしまう。

どこまでも一途なガキんちょにはなれない。言葉では言い表すことができないけどとにかく好きだ!という一途さと情熱ははっきりいって持ち合わせていない。プロでもないかぎり。

だからこの映画にしろ「フル・モンティ」にしろコメディ要素を加味せざるを得ない。

というかクソまじめに描こうとしてもおそらく勝手に自然にコメディに傾いていくだろう。

そういう意味では、この映画はしっかりと、そしてほとんど確信犯的にコメディ要素のツボを押さえているといってよい。

単に竹中直人を出しとけばそれでよい、それで大丈夫だろうという曖昧な期待と推測はこの映画にはない。近年はそういう使われ方しちゃってることが多いけど、この映画では皆無。

こと周防監督作品の中では彼はちゃんと生きてる。

しかし、一方ではこのコメディ要素は諸刃の剣。

ゆえに冒頭で述べたように、面白かったからといってダンスをしたいとは思わない。心にググググッと迫ってくるところまでには至らなかった。それが諸刃の剣の悲しいさが。

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(おまけ)

Shall we Dance?シャル・ウィ・ダンス?

Shall 出演:リチャード・ギア、ジェニファー・ロペス、スーザン・サランドン、スタンリー・トゥッチ

監督:ピーター・チェルソム

(2004年・アメリカ・106分)2005/05/03・PLEX

評価★★★★/75点

内容:周防正行監督の「Shall we ダンス?」のリメイク。単調な毎日に空虚感を覚えていた弁護士のジョンは、ある日通勤電車の中から見かけたダンス教室の物憂げな美女が気になりだして・・・。

“別格のオリジナル版と比べちゃうとこのハリウッド版は気の抜けた炭酸といったかんじが否めないが、リメイクと思って見なければドライベルモットとラズベリーの入ったバラ色のカクテルといったかんじで十分まとまりのある味に仕上がっている。”

ダンスの上手い下手を夜のベッドテクニックの下ネタ話にするところなどは序の口としても、やはりラストのリチャード・ギアのタキシード姿withバラの花と奥さんとの濃厚キッスを出されたもんにゃこちらはもはやお手上げする他ない。

日本で正面切ってあれを絵にできる役者といったら、田村正和くらいしか思い浮かばない。

あと印象的だったのが、スタンリー・トゥッチ。

この人は自分の中では、「ペリカン文書」で最高裁判事をポルノ映画館でイヤらしい手つきで絞殺するハゲ男という印象がずっとあったのだけど、今作のスパークぶりでまた要危険人物の階段を一段上がったな。

日本で再リメイクするなら、リチャード・ギア役は田村正和、スタンリー・トゥッチは宇梶剛士ってとこかw

2015年3月12日 (木)

夢のシネマパラダイス369番シアター:私はココで生きていく!

みなさん、さようなら

Minasan_poster_600出演:濱田岳、倉科カナ、永山絢斗、波瑠、ナオミ・オルテガ、田中圭、ベンガル、大塚寧々

監督・脚本:中村義洋

(2012年・日本・120分)WOWOW

内容:1981年。マンモス団地に暮らす中学1年の悟は突然、「一生、団地の中だけで生きていく!」と宣言し、敷地から出ずに学校へも行かなくなった。しかし、規則正しい生活に努め、夜には団地のパトロールも欠かさない。そんな悟は16歳で団地内のケーキ屋に就職、その後恋人もでき、順風満帆な団地生活が続くかと思われたが、その間にも107人いた団地の同級生は次々と団地を去って行った・・・。

評価★★★/65点

団地の中から外に出ないで一生を生きていくと決めた主人公という奇想天外な設定には、社会問題となっている引きこもりやモラトリアムからの自立、また朽ちゆく団地そのものに豊かさを次世代につなげることができずに停滞化していく日本の現状を重ねたりといった様々なメタファーを見出すことが可能ではある。

いや、それどころか“団地”を別なワードに置き換えれば、自分の殻を打ち破ってその世界から外に出ることがいかに難しいことかというのは容易に理解ができることだ。

なのに、どこかでだからどうしたと冷めた視線で見てしまったのは、脱力コメディのノリとセットになるべき不条理性がなかったのと、団地から出ない理由がトラウマにあると明らかにされた途端、永遠につづく日常という寓話性がなくなって、ただのグダグダな物語になっちゃったかんじで面白くなかったからだ。

まぁ、そもそも寓話として見るにしても下系が過ぎてダメなんだけどねw

でも、12歳から30歳までをフツーに演じられる濱田岳はやはり凄いと思う。

ところで最近、“普通であること”を求めるフレーズを様々な映画で見聞きすることが多くなった。今回も倉科カナが涙ながらに普通でいたいと願っていて、あっ!また来たなと思ったけど、現在の閉塞的な社会状況と何か影響し合ってるのかね。。

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夜を賭けて

Xjbmamxqu 出演:山本太郎、ユー・ヒョンギョン、山田純大、樹木希林、李麗仙、清川虹子、唐十郎、奥田瑛二、風吹ジュン

監督:金守珍

(2002年・日本・133分)シネ・アミューズ

評価★★★★/80点

内容:1958年、大阪。かつて東洋一を誇った兵器工場跡地近辺に朝鮮人部落があった。ある日、その住人のヨドギ婆が、工場跡地から鉄クズを掘り起こして大金を得た。その噂は瞬く間に集落の住人たちに広まっていく。そんな時、かつて集落に住んでいた金義夫が帰ってきた。義夫たちも鉄クズ盗みを始め、そのうち彼らは“アパッチ”と呼ばれるようになる。しかし、鉄クズは国有財産のため、警察の取り締まりは日々厳しくなっていき・・・。

“今ではもはやアナクロとなってしまったアツさを画面に甦らせようと、モノづくりの情熱を賭けてジタバタドタバタ懸命に悪戦苦闘している姿に好感を覚えずにはいられない。”

アツさ、アツいことが表舞台を大手を振って歩けたのはひと昔もふた昔も前のこと。今それを直球で描こうというのは恥ずかしいとされる時代である。

さらに、そのアツさを描けたとしてもそれが直球であればあるほどコメディにしかならなくなってしまうというジレンマを抱えてしまう。

アツいことはもうすでに時代遅れのお寒いものなのだ。

がしかし、その点でこの映画を観ると、危うさはあるがギリギリ成功している映画だといえるのではないだろうか。

下手をするとドタバタ喜劇に陥ってしまう一歩手前でしっかりと地に足をつけ現実を直視している映画だといえると思う。

だが、下手をするとと述べたように、あくまでも危うさは抱えている。

ひと昔前ふた昔前のアツい映画にはなんといっても“鬱陶しさ”があった。

それはベットリとしたむさ苦しさであり、焼けつくような匂いであり、どす黒い汚さであり、それらがみなぎる生へとつながっていく。

みなぎる生とはつまり“人間”である。

この映画には、その“鬱陶しさ”がない。

ゆえにこの映画のアツさとは、湿度がない汗をかかないアツさなのだ。

言葉を変えれば軽い。重い剛速球ではなく軽い直球といったところか。

そういう意味ではやはり今の時代を反映してスマートなのだが、今の時代ではここまでが限界だろう。

しかもこれを在日ではないフツーの日本人だけで描けたかどうか。

たぶん無理。

アツさがまだちゃんと生きている朝鮮半島の血、そしてそれを受け継いできた在日の人たちの力がなければ今こういう映画を作り上げるというのは難しいだろう。

日本の役者陣もそれに応えてよく頑張ったと思うけどね。

うん、良い映画だ。

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ホテル・ハイビスカス

Cpdgdxuyyz 出演:蔵下穂波、照屋政雄、余貴美子、平良とみ、ネスミス

監督:中江裕司

(2002年・日本・92分)DVD

評価★★★/65点

内容:沖縄の名護にある家族経営の宿「ホテル・ハイビスカス」(ちなみに客室はたった1室)。三線とビリヤードが得意な父ちゃん、働き者で美人のチヨコ母ちゃん、黒人とのハーフのケンジ兄にぃ、白人とのハーフのサチコ姉ねぇ、そしていつもくわえタバコのおばぁ。小学3年の美恵子はこんな“インタァナソナル”な家族に囲まれ楽しい毎日を過ごしていた。。。

“ま、ようするに何が言いたいかっていうと、、、沖縄はエエところだっちゅうことサァ!それが分かればエエ。”

「男はつらいよハイビスカスの花」で沖縄の魅力にとりつかれた自分の飛行機初体験が沖縄だった。

車走らせてると、どこまで続いてるんだと思うくらいフェンスが延々と巡らされてて、不思議に思って後で尋ねたら米軍基地のフェンスだと地元のおじいが教えてくれたっけ。

重い歴史を今も変わらず背負っているところではあるんだけど、それも含めてほんとエエ所なんだよね。

ヨーシ、洗剤1年分ホテル・ハイビスカスに贈呈ダァッ!!新しい洗濯機も入ったみたいだしネ。

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永遠のアフリカ(2000年・アメリカ・114分)NHK-BS

 監督:ヒュー・ハドソン

 出演:キム・ベイシンガー、バンサン・ペレーズ、エバ・マリー・セイント

 内容:イタリアの上流階級で優雅な生活を送るクーキーは、ある日、恋人のパウロからアフリカで生活したときの話を聞く。幼いころからアフリカに憧れていた彼女は、母親の反対を押し切りパウロと一人息子の3人でアフリカへと旅立つ。

評価★★★/65点

学生時代、ケニアの留学生がこんな事言ってたな。

アフリカのほとんどの人たちは日本と同じで、動物園に行かないとキリンやゾウやライオンを見ることはできないと。

まぁ考えてみりゃそうだよな(笑)。

でもアフリカのイメージってどうしてもこの映画に出てくる大自然そのものだしねぇ・・・。

まだオイラには遠くて遠いところなんだなアフリカって。そんなことを考えさせられたりもしました。

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アンジェラの灰(1999年・アメリカ・145分)NHK-BS

 監督:アラン・パーカー

 出演:エミリー・ワトソン、ロバート・カーライル、マイケル・リッジ、ジョー・ブリーン

 内容:1930年代アイルランドの街リムリック。マラキとアンジェラは5人の子供に恵まれていたが、マラキは仕事もなく、失業手当すら酒代に使ってしまうダメ親父。アンジェラはそんな夫の尻を叩く毎日だが、ひとりまたひとりと子供たちが天国へ旅立っていってしまう。そんな中、長男のフランクは自由の国アメリカへ行くことを夢見ながら毎日を懸命に生きていく。。

評価★★★☆/70点

“「わたしは神を信じますがここまでの仕打ちが続くとさすがに疑わざるを得ません。」、、、ってなんでお前が言えんねん!このゴキブリ糞親父!”

神さまがお手上げなのは、お前の飲んだくれとバカ気位の高さと果て無き性欲だろがボケ(笑)。

そのせいでアンジェラは真っ白に燃えつきて灰になりましたとさ、、と思ったら灰になったのは金貸し強欲ババァだったというオチ。。

神さまはお手上げです、ハイ。

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マグノリアの花たち(1989年・アメリカ・116分)WOWOW

 監督:ハーバート・ロス

 出演:サリー・フィールド、ジュリア・ロバーツ、シャーリー・マクレーン、ドリー・パートン

 内容:アメリカ南部の小さな町を舞台に、6人の女性たちの愛と友情を映し出していく。シェルビーの結婚式の日、トルーヴィーの美容院には常連客が集まっていた。シェルビーの母マリン、町長の未亡人で温厚なクレリー、金持ちの未亡人で偏屈なウィザーたちだ。半年後のクリスマスの日、シェルビーは妊娠を発表したがマリンは素直に喜べない。シェルビーは糖尿病で、子供を産んではいけない体だったのだ・・・。

評価★★★/60点

“あの女性陣にとっては、ロットを頭に巻いてただダベッていることが実は何よりも1番幸せなひとときなのかもね。”

井戸端会議してるときの奥さま方の目って爛々と光り輝いてるもんな・・・。

ま、男のオレには何がおもろいのかよく分からんが(笑)。。。

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ケス

198 出演:デヴィッド・ブラッドレイ、リン・ペリー、コリン・ウェランド、フレディ・フレッチャー

監督:ケネス・ローチ

(1969年・イギリス・112分)1996/07/26・シネ・アミューズ

評価★★★★/80点

内容:イングランド北部ヨークシャー地方の寂れた炭坑町バーンズリーに住むビリー・キャスパーは年の離れた兄とケンカが絶えず、学校でもチビでおとなしい地味な少年。ある日、ビリーは修道院跡でハヤブサの巣を見つけ、巣からヒナを持ち帰り、そのヒナをケスと名付けて飼育を始める。ケスの調教は日ごとに成果を見せていくが、ひょんなことから悲劇が起きてしまう・・・。ハヤブサと戯れることだけが生きがいの労働者階級の少年の姿を、叙情性と冷酷さが同居する鮮やかなタッチで描き出した秀作。

“味も素っ気もない風景、味も素っ気もない日常、何の飾り気もない描写。しかしこれらもバイタリティーにあふれた子供たちの手にかかれば味のある色が付くのです。”

体育の授業でサッカーやってる場面が1番ウケる。

子供相手にマジになってる負けず嫌いの先公。しかもマンUの背番号9のユニ着てるんだもんなぁ。授業じゃねえよあれは(笑)。

ボビー・チャールトンに憧れるビールっ腹のオヤジ。ああいうオヤジ今でもいるんだよね。スカパーでプレミアリーグ見てるとああいうオヤジだらけだもん。

でも苛酷な環境の厳しい映画の中での何とも微笑ましいシーンだったね。

2015年2月19日 (木)

夢のシネマパラダイス199番シアター:桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ

Poster出演:神木隆之介、橋本愛、東出昌大、大後寿々花、清水くるみ、山本美月、松岡茉優、落合モトキ、浅香航大、前野朋哉

監督:吉田大八

(2012年・日本・103分)WOWOW

内容:ある金曜日の放課後。バレー部のキャプテンで成績も優秀、彼女は学園一の美女という、校内ヒエラルキー最上位に位置する桐島が部活をやめたらしいとの噂が広まる。学校に来ず連絡も取れない桐島を巡って、バレー部の部員はもちろん、桐島の彼女や親友たちにも動揺が広がる。さらにその影響は、吹奏楽部の部長や映画部の前田ら、桐島とは無縁だった生徒たちにも及んでいき・・・。

評価★★★★★/90点

だめだ。

動揺を隠しきれない。

映画を見て登場人物に共感することはあっても、まさか海馬に電流が走る思いをすることになろうとは・・・

ドラフト形式で選ぶ体育のサッカーのチーム分けでは中位~下位指名が常で、しかもシネマ好きのメガネっ子、部活は体育会系とは程遠いテニス部だった自分は、前田(神木隆之介)にそれなりのシンパシーを感じながら見ていた。

それなりのというのは、学園カーストの中でなるだけ浮いた存在にならないように空気を読んで無難に生きる道を選んだ自分にとって、前田というのは実は最も遠い存在といえるからだ。

例えば映画雑誌の中でもマニアックな部類に入る「映画秘宝」を堂々と教室で読むような、それを小馬鹿にする者たちなんて眼中にないというメンタリティと、それほど夢中になれるものを持ち合わせ、それにまっすぐに取り組む嘘のない生き方を自分はしていたとは到底言えないということだ。

ドラフトが終わるまでは引退しないという野球部のキャプテンになんてなれない自分は、そういう意味では本質的には“中身空っぽ”な宏樹(東出昌大)たちの部類に入るのだと思う。

かといって例えば学園カーストの頂点にいる神のような桐島の不在によって自分の立ち位置がすぐにぐらついてしまうようなポジションに自分が居たわけでもなくw、カーストの底辺よりちょっと上のその他大勢の中でぬくぬくと馴れ合って生きていたのだ。前田やキャプテンのようにしっかりと自分というものを持っていないこと自体すでに負け組であることにすら気づかずに・・・。

いや、映画ではそれに気づいたのは宏樹ただ一人だ。普段はそんなこと誰も気づかない。

その点ではある意味、見たくなかった映画でもある(笑)。

そしてそれは、前田の恋の予感フラグが一瞬にして崩れ去るシーンを目の当たりにして確信に変わった。

こういうのどっかで見たことあるなぁ、、って俺だよw!!

あ、なんか思わせぶりな顔で自分の方見てるんだけど、、んなわけあるか!

じゃあまたね♪という一言に深い意味を見出してしまったり、、って普通の会話だろ!

、、というモテない男のたくましすぎる想像力と先入観はただの夢でしかないという、そんな封印していた記憶を掘り返すような地獄の断頭台をまともに喰らってしまった自分はもはや平静ではいられなかった。

最後に言おう。

凄い映画だった・・・。

P.S. 

唯一引っかかったのは吹奏楽部の部長さん(大後寿々花)が影が薄い生徒というところ。吹部の部長といったらかなり上位のステータスだと思うんだけど。。

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幕が上がる

Poster2_2出演:百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏、ムロツヨシ、志賀廣太郎、黒木華

監督:本広克行

(2015年・日本・119分)WOWOW

内容:今年もあっさりと地区予選で敗退した富士ヶ丘高校演劇部。引退した先輩たちに代わって新部長となった高橋さおりは、部員たちをどうまとめていけばいいのか分からず悩める日々を送っていた。そんな中、かつて学生演劇の女王と呼ばれた新任の吉岡先生が赴任してくる。そして全国大会出場という目標を高らかに告げる先生のもと、弱小演劇部員たちは高い壁に挑んでいく・・・。

評価★★★/65点

平田オリザが「演劇を作る面白さは、同じ日本語を話しているつもりでも相手の受け取り方がそれぞれ違ってくるように、バラバラのイメージを持った人間が集まって一定期間内で作品を作り上げていくことにある」と言っていたけど、演劇部の部員たち各々の多様性が主人公さおり(百田夏菜子)のモノローグによって矮小化され勝手に方向付けされてしまうのでちょっと興ざめしちゃったかなぁ。

まぁ、ももクロメンバーのキャラクターや特徴が登場人物にトレースされているであろうことを考えれば、それを脳内補完できるももクロFAN限定映画なのだろう。

でも、泣く前にまでモノローグでわざわざ説明入れるってのはやりすぎにもほどがある(笑)。

と、どちらかといえば不満点の方が目についたかんじだけど、でもメンバーたちは予想以上に演技できてたんじゃないかなとは思う。一人芝居やワンカット長回しなど自然体でこなせていたし、ドーム球場5万人の前でパフォーマンスできるだけのことはある強心臓ぶりをみせてくれたと思う。

また、無限の速さで広がる宇宙の果てには誰もたどり着くことはできず、どんなに遠くへ行ってもそこはどこでもないどこかでしかない=まだ何者にもなれていない将来に対する不安感と、しかし一方で人はどこまででも行ける切符を手にしている=何者にでもなれる可能性があるという学生時代特有の鬱屈感と夢を抱ける喜び=王道の青春譚を宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をうまいこと引き合いに出して表現していたのもナイスだった。

あとはやっぱり黒木華に助けられた部分はかなり大きかったね。これぞ女優っていう存在感をみせてくれたと思う。

しかし、天龍源一郎、、ってなんで(笑)?

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告白

260b67cbd1bec5ef95c2d165e4a38e99 出演:松たか子、木村佳乃、岡田将生、西井幸人、藤原薫、橋本愛、芦田愛菜、新井浩文

監督・脚本:中島哲也

(2010年・東宝・106分)CS

評価★★★☆/70点

内容:とある中学校の終業式。1年B組の担任・森口悠子は、その日で教職を辞することを生徒たちに告げ、ある告白を始める。それは数ヵ月前、一人娘の愛美が二人の生徒に殺害されたという衝撃的なものだった。そして、少年法に守られた彼らに自分なりの復讐をしたのだと。その後、森口は学校を辞め、事情を知らない熱血教師の寺田が新担任としてクラスにやってくるが・・・。

“すべての子供たちに宣戦布告する!大人版「バトルロワイアル」”

本屋大賞が好きなオイラはもちろん原作を読んでいたのだけれども、登場人物5人の視点から告白するという一人称形式の特異な文体とグサグサと突き刺してくるような復讐劇の面白さにスラスラと読んでいけたとはいえ、これが本屋大賞!?といぶかってしまうくらい後味は悪く・・。

こんな暗い話がはたして映画になるのか、、一人称独白スタイルが映画に転換できるのか、、クドイくらいのビジュアル波状攻撃を繰り出してくる中島ワールドとどう結びつくのか、、全く想像つかず・・。

で、、フタを開けてみたら、やっぱり暗く、その上グロく、それでもクドく、、正直また見たいとは到底思えないシロモノだったのだけど、しっかり映画として成立していてさすがだなという出来栄えではあった。

一貫して原作ものを題材にしながらも、多彩な演出と大胆なアレンジでオリジナルのイメージを超えた別次元のオリジナルにしてしまう中島監督のハイテンションマジックは今回かなり抑え目ではあった。

しかし、極彩色を排し、逆光とスローモーションを過剰なまでに多用した硬質な画面構成は隅ずみまでキメられており、その濃い陰影の中からかえって毒々しさがあらわに出てきて不快感は増すばかり。

同じ陰惨な原作という点では「嫌われ松子の一生」(2006)があるけど、めくるめくスピードでカラフルかつユーモラスに女の転落人生を描いたあちらとは対照的な作風となっていて興味深かった。

“役者”と“行動”によって話を展開させた「嫌われ松子」と、“映像”と“説明”によって展開させた「告白」といったところか。。

もっといえばあちらはどんな人間でも肯定しようというヒューマニズムがあったけど、今回は一方的な憎悪から生まれる虚しさしかなく、そこにはメラメラと燃えさかる生命力のカケラもない。

だから今回の映画ははっきりいってもう見なくていい。面白いけど好きくないつーか(笑)。。

ただ、原作が一方的な主観=語り部のカメラだけで紡がれる文法だったのに対し、映画は映像という神の視点=観客の視点が加わることで、彼らの独白ははたして本当のことを言っているのかという疑義が入り込む余地が生まれ、5人の語り手それぞれの解釈(告白)がそれぞれ異なるように、見ている自分たちの解釈をも揺さぶることで本作のテーマであるディスコミュニケーションを助長するという意味では上手いつくりになっていたとは思う。

「な~んてね」という言葉の選択は秀逸だったし、それで締めたのも上手かった。

とはいえ、もう一回見る気はさらさらないけどね・・・w

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櫻の園(1990年・日本・96分)NHK-BS

 監督:中原俊

 出演:中島ひろ子、つみきみほ、白鳥靖代、梶原阿貴、三野輪有紀、岡本舞、南原宏治

 内容:毎年チェーホフの「桜の園」が上演される私立櫻華女学園の創立記念日の朝。開演を控えた演劇部員たちだったが、前夜部員のひとりがタバコを吸って補導されたことで上演中止の危機に陥り動揺が広がる・・・。

評価★★★/65点

女子高特有の外界から閉ざされた異空間な雰囲気はよく描けていたと思うけど、それは同時に男目線からすると理解の範ちゅうを超えたところに感情線があるため、青臭さしか感じ取れない気持ち悪さに延々苛まれる副作用もある。しかもその副作用が少々強かった・・。

要は伝統ある名門女子高だけにいいとこのお嬢様しか通っていないのか、みんな大人な落ち着きがあって、異物が混在していない平板さが間口を狭めていて、正直これを清々しさや瑞々しさといった感傷には落とし込めなかったなぁと。。

まぁ、上演2時間前の限定シチュエーションという時間軸の制約を考えれば小綺麗にまとまってるとは思うけどね。。

ってこれ、「海街diary」の吉田秋生のマンガ原作なのか。今度読んでみよう。

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パリ20区、僕たちのクラス(2008年・フランス・128分)WOWOW

 監督:ローラン・カンテ

 出演:フランソワ・べゴドー、フランク・ケイタ、ナシム・アムラブ、ローラ・バケラ、ウェイ・ホァン

 内容:外国からの移民が多いパリ20区のとある中学校。様々な出身国からなる24人の生徒たちのクラスを受け持つ国語教師フランソワの新学期が始まった。彼は正しく美しいフランス語を教えようとしていたが、スラングに馴れた生徒たちの言葉は乱れ、フランス語すらたどたどしい生徒までいる始末。それでもフランソワは、彼らと粘り強く正面から向き合っていくのだが・・・。

評価★★★/60点

98年フランスW杯で優勝したフランス代表は「ブラック・ブラン・ブール」(黒人・白人・アラブ人)の融合チームとして多民族移民国家のシンボルとしてもてはやされたことは記憶に新しい。

しかし、現実の社会ではその多様性は価値観の優れたバランスではなく崩壊寸前のカオスを生み出してしまう危うさをもった生半可なものではないということが、学校の教室という最も分かりやすい舞台を描いた今回の映画を見てよく分かった。

まぁ、それ以前に南アW杯で大惨敗を喫したフランス代表を見れば如実に分かることだけどww

ただ、子供の頃から見続けてきた学園ドラマのフォーマット-型破りな先生が保守的な職員室と対峙しながら問題児や落ちこぼれを熱血指導で立ち直らしていく-が身についている自分にとっては、解決の糸口が見えない現実の重さを見せられるのは少々荷が重く・・・。

たしかに中学生が直面するにはあまりにもシビアな現実には目が点になってしまうのだけれど。

しかし、異質な者を排除していく傾向にある日本の教室において、異質な教師が船頭役に立つ構図はカタチになるのかもしれないけど、逆に異質な者だらけのフランスの教室においては型破りとは程遠いフツーのオッサンが教師の方がカタチになるのかもしれない。

でも、にしたってスレイマンの退学すんなり決まりすぎだろー。。盛り上がりに欠けるやんw

フランス版二十四の瞳は、はっきりいって面白くなかったです(笑)。

2012年2月14日 (火)

夢のシネマパラダイス226番シアター:のだめカンタービレを探せPartⅡ

のだめカンタービレ最終楽章前編・後編

Wbhjfr_6117_movie_r2 出演:上野樹里、玉木宏、瑛太、水川あさみ、ウエンツ瑛士、ベッキー、山田優、吉瀬美智子、竹中直人

監督:武内英樹(前編)・川村泰祐(後編)

(前編2009年・東宝・121分)(後編2010年・東宝・123分)CS

内容:プラティニ国際音楽コンクールで優勝した千秋は、かつてシュトレーゼマンも指揮を務めたことがあるルー・マルレ・オーケストラの指揮者となる。しかし、オケは資金難のために散々な有り様になっており、団員のヤル気もゼロ・・。オケに失望した千秋は、のだめに定期公演でのチェレスタの演奏を頼むが・・・。

評価★★★★/80点

マンガの方は読んでなくて、TVドラマから入ったのだけど、珍しくハマッてしまったドラマで、映画も大いに楽しみにしていたクチ。

変態キャラのだめと俺様キャラ千秋というトンでもキャラを主軸に据える中で、日本人が外人を演じるといったフザケたキャスティングや、ドラえもんのこんにゃく翻訳機といった小道具に、CGエフェクトやアニメを多用した大胆な映像描写など、お遊び感覚満載の演出は頭をやわらかくして見ないとダメなくらい幼稚さに溢れているのだけど、ここまで徹底的にマンガ的に描かれると逆に潔くてアッパレに思えてくる。

一方、このコミカルなベクトルと対になる音楽のベクトルはおフザケとは程遠いホンモノ感に彩られていて、この両極端のベクトルをブレない振れ幅で貫き通そうとする意志がつくり手から伝わってきて素直に見れてしまうのだ。

それが独特なのだめワールドを形作っていると思うのだけども、そのベクトルの振れ幅がTVドラマよりも大きくなっているのが映画版の特徴だろう。

コミカルなベクトルはウザイほどの過剰さで増幅されている一方、オケシーンは贅沢なまでの迫力でスケールアップしていて、特に後者においては映画化する意義は断然あったといっていい。

クラシック音楽に疎い自分が胸弾ませながら音を楽しむ=“音楽”を体感できた作品が他にあっただろうかと思うくらい見応えがあるし聴き入ってしまう。

また、TVドラマではドラマとオケの比率が7:3くらいだったのが、映画では半々くらいになっていて、しかも両方のベクトルの振れ幅は最大値にまで振り切れている。

特に前編はその点では完ぺきともいえる出来で、やや後編に関してはのだめの苦悩というシリアス度が増したせいか振れ幅は尻すぼみになっている感はあるものの、のだめファンとしては十分に満足できるものになっていたと思う。

とにかく楽しめたってことだけでこの映画版は大成功!

またいつか、のだめに会えることを願って・・・

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マエストロ!

Poster2_3出演:松坂桃李、miwa、西田敏行、古舘寛治、濱田マリ、斉藤暁、嶋田久作、松重豊

監督:小林聖太郎

(2015年・松竹・129分)WOWOW

内容:ヴァイオリニストの香坂は、若くして名門オーケストラのコンサートマスターを務めていたが、不況のあおりで解散してしまい、海外オケへの就活も上手くいかない。しかしそんなある日、オケ再結成の話が舞い込んでくるが、練習場はなぜか廃工場、集まった団員も再就職できない“負け組”連中たちとアマチュアフルート奏者の女のコだけだった。さらに、肝心の指揮者は経歴も素性も不明の老人で・・・。

評価★★★/60点

楽器演奏シーンのリアリティなど音楽に対する真摯な姿勢はよく伝わってくるけど、こちらの心の琴線を震わせるような喜怒哀楽が生み出す感動はなかったかなぁ。凡庸な設定が弾けることなく凡庸なまま終わっちゃったかんじ。。

要はキャラクターの内面や心情変化を音楽によって表現しきれていなくて、例えば、のだめカンタービレは“楽”なんだけど、どれかひとつが突出していれば感情移入できてまた違ったのかも。ただ、その点で最も良かったのはmiwaちゃんで初演技とは思えない余韻を残してくれた。

それでも、音楽による感情表現という点では、アマチュアだったら変化のしがいもあるんだろうに(その点miwaはアマチュア役だった)、落ちぶれ楽団員とはいってもあくまでプロオケだから音の良し悪しや違いが素人耳にはよく分からないんだよね

あと、一度解散した名門オケが再結成コンサートを行うという目的意識がやや弱かったのもパンチ力がなかった所以か・・・。

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スウィングガールズ

Vesu367  出演:上野樹里、貫地谷しほり、豊島由佳梨、本仮屋ユイカ、平岡祐太、白石美帆

監督・脚本:矢口史靖

(2004年・東宝・105分)2004/08/22・お台場映画王

評価★★★☆/70点

東北は山形県置賜地方のとある高校。友子(上野樹里)たちは補習をサボる目的で、野球部の試合会場に弁当を届けに行ったが、その食あたり弁当にあたってしまった吹奏楽部員たちが軒並みダウンしてしまう。仕方なく数合わせのためにブラスバンドの代役を務めることになったド素人の友子たちだったが、次第にジャズの虜になっていき・・・。楽器の猛特訓を積んで撮影に臨んだガールズ(&ボーイ)が演じる笑いあり涙ありの青春グラフィティ。上野樹里や本仮屋ユイカを開眼させた出世作。

“平岡祐太がアンガールズの田中に見えて仕方なかったスレ。ジャンガジャンガ♪”

うーん、迷ったあげくにこの点数。ま、楽しいっちゃ楽しいし、飽きることなく観れるのだけど。

しかしまぁ、「ウォーターボーイズ」では海で練習しているのが高校生が海で溺れているというニュースになり、今回は集団食あたりでニュースになりと、もろもろの細部にわたって展開が同じ。しかも「ウォーターボーイズ」のときと同じニュース番組だろあれって(笑)。

拓雄(平岡祐太)が、中古品は前に使ってた人の癖がついてしまい扱いづらくて大変だべした、と友子たちに忠告していたんだけど、この映画はまさにそんな中古品すれすれの作品ww

しかし矢口監督の癖があからさまにすっごく軽くて手の平で転がせるような扱いやすさになっているのが、ある意味で矢口映画の特徴というか強みなのかもしれないし、評価すべきところなのかも。

が、しかしである。

映画は監督であったりとか役者、または映像、シナリオといった作り手の癖を見るのもひとつの楽しみだということは百も承知なのだけど、個人的に矢口史靖の癖はもうそろそろ自分の中で許容量を越えてついに倦怠期に足を一歩踏み入れてしまった感がこの作品を観て強くあったというのはまぎれもない事実で。

例えば友子たちが、復帰してきた吹奏楽部員に半ば追い出される格好になって、最初は強がりを言ってたのに全員泣き出しちゃうシーン。あれ全然感情移入できないんだよね。なんで皆そろいに揃って泣くんだよ。本仮屋ユイカだけ泣けよみたいなww

また、一回脱退していた軍団が自分たちの持ってるブランド品を売ったお金で中古の楽器買って戻ってくるところも、練習もしないでなんでそげなに上手くなってんの?というのも引っかかって引っかかって仕方なかった・・。

今まで効いていたはずの矢口マジックがどうやらもう効かなくなってきたみたい。

そんなぁ、悲しいっちゃ。どうしてくれんだべぇこれから・・・(笑)。

でも「ウォーターボーイズ」より良かったとこを強いて挙げれば、妻夫木が最後の見せ場で人前に出るのを躊躇しちゃうあの映画唯一のわけ分かんねシーンがあったのだけども、この映画では田舎の線路をルーズソックス履いた女子高生軍団が練り歩くシーンに象徴されるように、友子を筆頭にとにかくストレートに突き進んでいく姿、とにかくスウィングしだくでたまんね!っていう一直線な姿が伝わってきたことかな。

なんだべ、やっぱこれ好きでねえのかおメエww

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くちびるに歌を(2014年・日本・132分)NHK-BS

 監督:三木孝浩

 出演:新垣結衣、木村文乃、桐谷健太、眞島秀和、石田ひかり、木村多江、井川比佐志

 内容:長崎の五島列島にある中学校。産休に入る幼なじみの音楽教師ハルコの代理として、東京からやって来た柏木ユリ。美人のピアニストがやって来たと学校中は大騒ぎだが、当の本人は全くやる気なし。ハルコに頼まれイヤイヤ合唱部の顧問を引き受けたが、ピアノは決して弾こうとしなかった。そんな中、合唱コンクールの県大会が近づいていた・・・。

評価★★★/60点

同じ島つながりで「二十四の瞳」みたいにもっと明朗な映画かと思いきや、2時間10分のうち1時間半にわたって仏頂面を通す柏木先生(新垣結衣)同様に映画もいまいちハジケない。

って考えると、そもそもガッキー視点で作ったことがビミョーなズレを生んだ感があって、どうみても中心軸にあるのは家庭の問題を抱えるナズナと自閉症の兄に寄り添うサトルのはずなので、先生は脇に置いといて生徒視点で描く「スウィングガールズ」方式で作るべきだったのではと思ってしまう。

そっちの方が成長度合いも明確に描けたと思うし、だって指導らしいことほとんどしてないじゃん、この先生(笑)。しかもガッキーが乗ってる車のオンボロ度はどう考えてもコメディっしょ。「北の国から」の田中邦衛でさえもっとマシな車に乗ってたよww

なんかそういう点でも必要以上に温度差を感じちゃう映画だったなと。

いや、今振り返ればスゴイいい話であることはたしかなんだけどね。。

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オーケストラ!(2009年・フランス・124分)WOWOW

 監督:ラデュ・ミヘイレアニュ

 出演:アレクセイ・グシュコフ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン、ミュウ=ミュウ、ドミトリー・ナザロフ

 内容: 旧ソ連時代、ボリショイ交響楽団で指揮者を務め、巨匠と呼ばれていたアンドレイ。しかし、共産党政権に楯突いたことからその座を追われ、30年経った今では劇場清掃員になっていた。そんなある日、支配人室の清掃中にパリからの出演依頼のFAXを見たアンドレイは、突拍子もない作戦を思いつく・・・。

評価★★★/65点

耳に騒音としか認識できないドタバタコメディと心に切なくしみるドラマとのギャップがどうも肌に合わなくてイマイチだったけど、クライマックスの演奏シーンに全部持ってかれたかんじ。

とはいえ、こういう楽団ものって、「スウィングガールズ」しかり「ブラス!」しかり音符が踊って音が響いてなんぼだと思うんだけど、そういうシーンがあまりにも少なく、かわってメインとなる楽団員集めもサクサク進みすぎて味わいがない。まさかかわりに銃弾が飛び交うとは思いもよらなかったけど・・w

なんだかこのいい加減さについて行けないんだよね・・・。

背景にある黒い歴史の悲劇についてもっと知ってればまた違う感触を抱いたのかも。。

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