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2019年9月22日 (日)

夢のシネマパラダイス596番シアター:あなたは昨日食べた夕食を思い出せますか?

秘密 THE TOP SECRET

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出演:生田斗真、岡田将生、吉川晃司、松坂桃李、栗山千明、リリー・フランキー、椎名桔平、大森南朋

監督:大友啓史

(2016年・松竹・149分)WOWOW

内容:死者の脳にアクセスし、その人物が見た映像を再生するMRIという捜査手法で事件解決を目指す特別捜査機関“第九”。ある時、一家惨殺事件を起こし死刑が執行された露口(椎名桔平)のMRI捜査が行われることに。それは今も行方不明となっている一家の長女・絹子の手がかりを探るためだった。第九の室長・薪(生田斗真)にスカウトされた新人捜査官・青木(岡田将生)は露口の脳内に潜入。が、そこに映っていたのは思わぬものだった・・・。

評価★★☆/50点

死者の脳内に残った視覚情報を映像化し、それをもとに犯罪捜査を行うというアイデアは、死者の脳に眠る記憶にダイブし秘密を探るプロットが出てくる海外ドラマ「フリンジ」を想起させ、いまいち消化不良だった同監督作「プラチナデータ」を超えるような本格SFサスペンスを基調とするのかと期待したのだが・・。

フタを開けてみたら「ハンニバル」以来の脳みそ観賞付き&近親相姦まであるグログロな猟奇殺人もののサイコホラーで気分が萎えた。

また、例えば28人殺しの凶悪犯・貝沼(吉川晃司)の脳内映像を見て、多くの捜査官があっちの世界に引きずり込まれておかしくなったとは具体的にどういうことなの?とか、絹子と貝沼、薪と貝沼、薪と鈴木(松坂桃李)の関係性など全ての要素が説明不足でストンと腑に落ちてこない。

要はあれやこれやと詰め込みすぎなのかもね。

そういう点では、少女でありながら稀代のサイコパスという露口絹子のキャラ設定が今まで誰も手を出そうとしてこなかったタブーな領域ゆえに、映画として絹子の一点突破で突き進んだ方がまだマシだったのではないかと思ってしまう。まぁ、だからといってそれを見たいかといわれたら勘弁して下さいってなるけども(笑)。。

映像は毎度のことながらエッジが効いているだけに、脚本頑張れとしか言いようがないね・・。

P.S.「客観的に見ないとダメだ。主観的に見てしまうとあちら側に持っていかれるぞ!」ってセリフがあったけど、映画がそうなっちゃってどうするww

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ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

Poster2出演:西島秀俊、キム・ヒョジン、真木よう子、浜田学、中村ゆり、伊武雅刀

監督・脚本:キム・ソンス

(2013年・日/韓・120分)WOWOW

内容:ある日、仕事から帰宅した石神武人は妻の死体を発見する。間髪入れずに電話が鳴り出てみると、目の前で死んでいるはずの妻の声で、実家に行くので帰れないという。混乱する中、石神は警察を名乗る2人組に拉致されかけるが間一髪で逃走し、通りかかった韓国人女性記者のカン・ジウォンに助けられるが・・・。

評価★★☆/50点

失われたアイデンティティを奪還するための謎解きサスペンスとアクション満載の決死の逃走劇という点ではボーン・アイデンティティ、またDNAがミステリーの重要なファクターになっているという点ではプラチナデータを想起してしまうけど、そのどちらにも遠く及ばなかったかんじ・・・。

自分の中に別人の記憶が上書きされて頭の中はその人になってしまったものの、現実ではそれぞれに妻がいて2人分の人生が混在してしまうので記憶喪失よりもややこしくてタチが悪いw

しかも見てるこっちが全く先が読めないのはまだしも、主人公までずっと右往左往状態なので、なんか途中からついて行くのがイヤになってくる(笑)。予定調和が全くないのも問題なんだなと。かといって、真実が明らかになっていく後半もでっかく膨らませた風船が一気にしぼんでしまうような失速感に満ちていてイマイチだったし。。

あとアクションに関しても、ジェイソン・ボーンを引き合いに出してしまった時点で分が悪い面があるとはいえ、例えば主人公が追っ手から逃げる時に片側3車線の道路を車にひかれそうになりながら横断するシーンがあるけど、見てて全然ヒヤヒヤしないのw

全体的にチープで子供だましな撮り方で、体張ってますという触れ込みと実際どう撮ってどのように見せるかという違いを分かっていない。

原作の方が何十倍も面白いんだろうなぁってのがありありと伝わってくるような映画だった(笑)ってそれじゃダメじゃん!

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プラチナデータ

O0800113512401227792出演:二宮和也、豊川悦司、鈴木保奈美、生瀬勝久、杏、水原希子、遠藤要、和田聰宏、中村育ニ、萩原聖人

監督:大友啓史

(2012年・東宝・134分)WOWOW

内容:近未来の日本。警視庁の科学捜査機関である特殊解析研究所は全国民のDNAデータを収集登録する“プラチナデータ”を実現。それを活用した捜査システムを使えば一挙に犯罪撲滅を図れる期待がもてるため、政府もDNA法案成立を急いでいた。しかしそんな中、法案反対者やシステム開発の関係者が立て続けに殺害される事件が起きる。そして、犯人の残したDNAから捜査システムが導き出した犯人はシステム開発の責任者である天才科学者・神楽龍平だった。まさかの事態に逃亡を余儀なくされた神楽を、叩き上げの浅間刑事が追い詰めていくが・・・。

評価★★★/65点

原作既読。

全能の捜査システムを操る側にいた人間が一転して犯人として追われる立場になってしまう「マイノリティ・リポート」。

逃亡しながら真犯人を探し出し自らの容疑を晴らそうとする「逃亡者」。

国家によるハイテク監視システムの脅威を描く「エネミー・オブ・アメリカ」。

と、SF・サスペンス・ミステリーの3大要素を日本を舞台にしていながら程よく詰め込んでいる面白さと、近い将来ありえるかもしれないアナザーワールドとしてみれる面白さがあり、映像化には向いてるなと思いながら読破したのだけれど、映画化するにあたって主人公が二重人格という反則スレスレの荒技をうまく落とし込めるのかという不安は少なからずあった。

つまり、事件の時は別人格で、犯人はもしかして自分なのか?というサスペンスと、プラチナデータとは何なのかというミステリーを両立させることができるのかという不安だが、やはり予想通りこの設定が足を引っ張ってしまった感は否めず。

映像面に関しては小説を読んでこちらが思い浮かべていた脳内映像をはるかに凌ぐレベルで上々だったのだけど、話がやっぱ大味になっちゃったよねぇっていう・・・。

神楽はシロであるということに映画自体がはなっから確信をもって描いているし、肝心かなめのスズランが出てこないため二重人格設定が宝の持ち腐れになっていると思うし、そのネタバレに時間を割かなければならないため逆に犯人の動機の描き方やサスペンス要素が未消化になってしまったかんじがする。

まぁ、原作ものの映画化はえてして難しいものだけど、今回は特に難しいものだったように思う。

そういう意味では2時間スイスイと見れるエンタメとして手堅く作られているだけでも良しとしなければならないのかも。。

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ペイチェック 消された記憶(2003年・アメリカ・118分)MOVIX仙台

 監督:ジョン・ウー

 出演:ベン・アフレック、アーロン・エッカート、ユマ・サーマン、コルム・フィオール

 内容:仕事を終えると機密漏えいを防ぐために記憶を消されるという契約で、オールコム社の新システムの極秘開発を行っているSEのジェニングス。大仕事を終えた彼は、記憶消去後に報酬ではなく19個のガラクタを渡され、しかも謎の組織とFBIに追われるハメに。自分はなぜ追われているのか、その謎解きを始めるのだが・・・。

評価★★★★/75点

この頃のベン・アフレックは「パールハーバー」「デアデビル」「ジーリ」など駄作街道驀進中だったので、今作も右から左へ受け流すかのごとく記憶の断片にも残らない作品になっているのかなと勝手に思い込んでいた。

が、ふたを開けてみたら、あらビックリ。ベン・アフレック臭が消えているだけでなく、ヒッチコックを5倍くらい消臭剤で薄めて現代版にアレンジしたかんじで、ホントだったらそんなの評価低くするんだけど、もともと低かった期待値を大きく上回る出来だったということでww

ただ終盤も終盤になって白いハトが出てきてやっとで、あ、監督ジョン・ウーだったんだっけと思い出したくらいジョン・ウー節というか匂いが消されててこれまたビックリ。なにせジョン・ウー必須アイテムの銃が脇に追いやられてしまってるのだから無理もないか。

本当に開発されてたのは、超強力消臭剤だったのか!?

マジメなところジョン・ウー映画の辞書に“逃げる”という言葉が今までなかったように思われるのだけど、今回はそれを上手く採用したことがイイ方向に出たのでは。独特の匂いがしないという副作用もあったけどね。

2019年9月15日 (日)

夢のシネマパラダイス20番シアター:ディズニーアニメ第2倉庫

ズートピア

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声の出演(吹き替え版):上戸彩、三宅健太、高橋茂雄、玄田哲章、竹内順子、Dream Ami

監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア

(2016年・アメリカ・108分)WOWOW

内容:肉食動物も草食動物も関係なく共生している動物たちの楽園ズートピアで史上初のウサギの警察官となったジュディ。しかし、周りからは半人前扱いされ、任されるのは駐車違反の取り締まりばかり。そんな中、巷では連続行方不明事件が多発し、ジュディにも捜査へ参加するチャンスが巡ってくる。そして偶然知り合った詐欺師のキツネ・ニックとともに捜査をするのだが・・・。

評価★★★★/75点

アニメが本来持つ伝える力の純度の高さというものをこれほど感じられる作品はないのではなかろうか。

様々な個性を持ったアニマルキャラが共存する自由の地ズートピアをユーモアたっぷりに描きながらも現実の人間社会とリンクさせ、肉食動物と草食動物、大型動物と小型動物、オスとメス、マジョリティとマイノリティなど様々な要素にメタファーを織り込み、見ているこちら側にまで先入観や偏見をさりげなく植え付ける仕掛けになっているところがこの映画のミソ。

また、アイスショップでキツネにはアイスは売らないと言われてすったもんだするシーンなんかも、キツネは少々差別を受けても仕方ないよなとスルーしちゃったし、事件のキーワードとなる“夜の遠吠え”=オオカミの仕業と推理するくだりもオオカミが犯人ならとどこかで納得してしまうし、正義感が強く警察学校を首席で卒業した優秀なジュディなら間違うはずがないと思ってしまう。

ここら辺の先入観を逆手に取ったミスリードの仕方が実に上手くて、お手柄を立てたジュディが「狂暴化したのは肉食動物だけだから、生来持つDNAのせいなのかも」「けどニック、もちろんあなたは別よ」と発言してしまうところで、理性がもたらす“悪意なき差別”に我々もハッと気付かされることになる。

その気付きを学んで、ジュディとニックは悪意ある差別をまき散らそうとする真の黒幕を一刀両断するわけで、一筋縄ではいかない差別・偏見のはびこる人間社会を分かりやすい縮図として表し、お互いの違いを認め合うことの大切さという子供から大人まで理解できるメッセージ性を有した作品に仕上げてしまうのだから恐れ入る。

そして、ここまで高いクオリティを保った作品を提示できるのは、たぶん今ディズニーしかないということも実感してしまうジブリファンなのだったw

P.S. 日本アニメは宮崎駿、押井守、大友克洋、新海誠など作家性が前面に出るのが常なので、今作みたいにディズニー印のもとに共同監督+脚本家7人なんていうアベンジャーズばりのチーム体制で作り上げていく手法は日本ではあまり出来ないのかもね。。

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ベイマックス

45110声の出演(吹き替え版):川島得愛、本城雄太郎、菅野美穂、小泉孝太郎

監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ

(2014年・アメリカ・102分)WOWOW

内容:近未来の最先端都市サンフランソウキョウ。幼い頃に両親を亡くした14歳の少年ヒロは、兄のタダシとともに叔母キャスのもとで暮らしていた。飛び級で高校を卒業してしまった天才のヒロは、タダシが通う大学に入ることを夢見ていた。そして入試を兼ねた研究発表も無事終わるが、その会場で爆発事故が起こってタダシが命を落とし、ヒロはメンタルをすっかりやられてしまう。そんな彼の前に現われたのは、タダシが残した形見のケアロボット“ベイマックス”だった・・・。

評価★★★/60点

主人公の少年がトトロとゴーストバスターズのマシュマロマンを掛け合わせたようなツルツルロボのベイマックスに包み込まれるように抱き寄せられる予告編のワンシーンくらいしか予備知識がない中で見たんだけど、予告編のイメージとしてはピクサーのウォーリーと未来少年ヒロの友情癒やし系物語かと思っていた。

しかし、見始めていくと次第にMr.インクレディブル的ヒーローアクションものの様相を呈してきて、最後はマーベルのロゴがでん!と出た後にスタン・リーまで出てきて。

そっか、、原題のビッグヒーロー6ってそういうことだったのか・・・。

うまいこと予告編に刷り込まれたかんじだけど、マーベルヒーローという前情報だけでも知ってればもっと面白く見れたはず、と思ったのは自分だけw?

でも、そうはいっても今回の作品はウォーリーの擬人化されたキャラの豊かな感情表現にも、Mr.インクレディブルの魅力的なキャラクター造形のアンサンブルにも遠く及ばないけどね

やっぱりピクサーに比べるとディズニーはひとかけの隠し味の工夫と、もうひとかけの毒気が足りないんだよなぁ。。

せめてビッグヒーロー6のチームメンバーになるヒロのオタク同級生たちをもっと前面に出してほしかったな。

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アナと雪の女王

T0018069p声の出演(吹き替え版):神田沙也加、松たか子、原慎一郎、ピエール瀧、津田英佑、多田野曜平

監督:クリス・バック、ジェニファー・リー

(2013年・アメリカ・102分)WOWOW

内容:アレンデール王国の幼いプリンセス姉妹エルサとアナ。姉エルサには触れたものを凍らせてしまう魔法の能力があったが、ある時、不注意で妹アナに怪我を負わせてしまう。それ以来、責任を感じたエルサは部屋に引きこもってしまう。それから時は流れ、国王夫妻が事故で亡くなり、エルサは王位を継ぐことに。しかし、戴冠式の最中に力を制御できなくなり、真夏の王国を厳冬に変えてしまったエルサは、王宮から逃亡し、今度は雪山に築いた氷の城に引きこもってしまう。アナは、なんとか姉と王国の危機を救おうと雪山へ向かうのだが・・・。

評価★★★★/75点

2014年記録づくめの特大ヒットとなった今作をリアルタイムで見ていない自分は世の中のフィーバーをいくぶん冷めた視線というか半信半疑で見ていたところがあった。

それはディズニーアニメは大人の鑑賞に耐えうるものではないという先入観がいまだに拭いきれていなかったからだ。いまだにというのは「塔の上のラプンツェル」(2010)が目を見張るような良作だったのに対し、その流れがアナ雪にも受け継がれているのかまだ十分信用できなかったということで

しかし、満を持して見てみたら、その流れはちゃんと踏襲されていて水準以上の作品になっていたと思う。

その流れとは具体的には3DCGの作画技術が生み出す魅力的なキャラクタリゼーションにあるといっていいと思うけど、特に顔の造形力と表情筋の豊かさは特筆もので、実写の質感に寄せていくリアル志向なベクトルではなく、あくまでアニメーションであることを意識したデフォルメとクレイアニメに近い柔らかく暖かみのある質感が親近感のわくキャラクターにつながっていて、そのポイントがアナ雪ではより強調されて描かれていたと思う。

それにより複雑な感情表現も登場人物に違和感なく反映されていて、それが自然と個性に昇華されているのが最大の強みだと思う。

これはジョン・ラセターをはじめとするピクサーの血が入り込んでいることが大きいと思うけど、反面ストーリーラインの方がオーソドックスで平板にすぎて、歴史的なメガヒットに足る魅力があったかといえばやや疑問。

姉妹に愛憎劇が絡むと「何がジェーンに起ったか」(1962)のようなおぞましいほどのスリラーに変貌を遂げちゃうけど、ディズニーの王道プリンセス物語に沿った予定調和なソフトタッチがやや物足りなかったかな。

さっき複雑な感情表現と書いたけど、その点ではまだまだ足りなかったし、例えばエルサの苦悩はもっと掘り下げてもよかった。エルサの感情が爆発するレット・イット・ゴーもう歌っちゃうの!?と正直意表をつかれちゃったし。エルサにしろアナにしろ、あるいは両親の死など、それぞれの要素がこちらの感情を強く喚起するまでの奥行きと広がりに乏しかったのはかなり惜しかった。

しかし、それを補ってあまりあるミュージカルの魅力は満載で、さすがミュージカルの本場アメリカだと思わせてくれる素晴らしさだった♪

考えてみればディズニーアニメで1番の傑作「美女と野獣」も音楽と作劇が見事に融合していたけど、それを彷彿とさせるかんじだったし。

で、結局メガヒットの最大の功労者は、音楽の力、そして神田沙也加と松たか子の吹き替えに尽きるってことなのかなと(笑)。

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プレーンズ

Poster2声の出演(吹き替え版):瑛太、石田太郎、井上芳雄、山口智充、小林沙苗、天田益男

監督:クレイ・ホール

(2013年・アメリカ・92分)WOWOW

内容:田舎の農場で働く農薬散布機のダスティは、世界一周レースに出てチャンピオンになることを夢見ていた。レース用飛行機ではない彼の夢を誰もまともに取り合ってくれない中、親友の燃料トラック・チャグとフォークリフト・ドッティだけは応援していた。その甲斐もあり、ダスティは奇跡的に本選出場を決めるが、高所恐怖症という最大の弱点をどうにも克服できずにいた・・・。

評価★★★/60点

ピクサー製作「カーズ」のスピンオフ企画だけど、ピクサーではなくディズニーが製作している変わり種。

話の構成や画作りも「カーズ」をほぼ踏襲しているんだけど、なぜいまいち面白くないんだろう・・

なんかピクサーとディズニーのレベルの差が如実に表れちゃったかんじだけど、その差はシナリオの精度といってよく、絵は同じでもシナリオに魅力がないと全体として歴然としたレベルの差になってしまうという、これほど分かりやすい対照実験もないよな

特に挫折と成長というキーワードを欠いた主人公のキャラクターが映画を一本調子なものにして奥行きを狭めてしまっているんだよね。

その点ピクサーはそこに時間と手間ひまをかけて上手く作っているわけで。

まぁ、正直今回のはテレビ映画向きのレベルだよね。と思ったらもともとそういう企画だったのかい。納得。。

P.S. 2作目も似たようなもんでした・・・w

2019年8月 3日 (土)

夢のシネマパラダイス530番シアター:原爆が残したもの・・・

母と暮せば

D0_hzneucaicqbd出演:吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、小林稔侍、橋爪功

監督・脚本:山田洋次

(2015年・松竹・130分)WOWOW

内容:長崎に原爆が投下された昭和20年8月9日、医大生の浩二は一瞬にしてこの世からいなくなった。夫を病気で、長男を南方戦線で亡くしている母親の伸子は、次男坊はどこかで生きていると思いながら助産婦の仕事をしながら一人で暮らしていた。浩二の婚約者だった町子はそんな伸子のことを気にかけ、足繁く訪ねてくれていた。そして3年目の8月9日、伸子の前にひょっこり浩二の幽霊が現われる。そして2人は思い出話に花を咲かせるのだった・・・。

評価★★★☆/70点

終戦から70年経ち、今や戦地に行った兵士たちは年齢的に考えてもほとんどいない世の中になってしまった。13歳の時に終戦を迎えたという山田洋次もすでに85歳。

銃後の世代でさえもはや危うい。自分が思っている以上にあの戦争は風化してしまっているのだと思う。そして高齢になっても精力的に映画を撮り続ける山田洋次にとって最近のきな臭い世の中の風潮もあいまって撮らずにはいられなかったのだろう。

昭和15年の東京を舞台にした「母べえ」(2007)で市井の人々のささやかな幸せを喰いつぶしていく不気味な戦時の空気を描いていたけど、今回は数多の生命を一瞬で消し去った原爆投下から3年後の長崎を舞台に、いまだ消えることなく日常に刻まれた傷跡を描き出した。

広島が舞台の「父と暮せば」と対になった作りになっていて、生き残った者の負い目というテーマは同じなのだけど、生き残った自分は幸せになってはいけないんだと自問自答する娘の痛々しさが心に刺さった「父と暮せば」と比べると、今回は母と息子というマザコンすれすれの親子愛とキリスト教の死生観が根本にあるために若干メッセージ性が甘めの方向に出てしまった感はあるかなとは思う。

けど、原爆を語り継ぐことをライフワークとしてきた吉永小百合の演技は心に響くものがあったし、菩薩のような彼女でさえも「どうしてあの娘だけが幸せになるの?」と呪詛の言葉を吐かざるを得ないところに、戦争・原爆のもたらした虚しさとおぞましさが胸をついた。

あとは何といってもたった2カットで表現した原爆投下直後の惨劇シーンだろう。

医科大の教室内がビカッと真っ白に光った後に万年筆のインク瓶がトロトロと溶けていき、ガラス片の粉塵が猛烈な爆風で吹きすさび真っ暗闇に覆われていく、、、そのあまりの衝撃に何も言葉が出てこなかった。

山田洋次渾身の一作になったといっていいだろう。

ただ、映像から色や温度は伝わってきても匂いまではあまり伝わってこなくて、戦争を知る最後の世代の山田洋次でさえも描き切れないところに風化の恐ろしさを感じてしまったことも付け加えておきたい。

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父と暮せば

Kura 出演:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信

監督・脚本:黒木和雄

(2004年・日本・99分)NHK-BS

評価★★★★/80点

 

内容:広島に原爆が投下されてから3年。図書館に勤める美津江は、愛する人たちを原爆で失い、自分だけが生き残ったことに負い目を感じながらひっそりと暮していた。そんな彼女はある日、図書館で大学助手の木下という青年と出会い、互いに惹かれあっていったが、「うちは幸せになってはいけんのじゃ」と恋心を押さえ込んでしまう。それを見かねた彼女の父・竹造は亡霊となって姿を現し、“恋の応援団長”として娘の心を開かせようとするのだが・・・。

“広島の原爆慰霊碑に記銘されている「安らかに眠って下さい。過ちは二度と繰り返しませんから。」という言葉を忘れずに受け継いでいくためには、とにかく語り継いでいくことしか道はない。”

戦争・被爆体験の記憶を風化させてはならないという声は、戦後70年が経ち、TVゲームばりのシミュレーション感覚で戦争がTV画面から流れてくることにどこか感覚が麻痺しかけている現在、特に声高に叫ばれていることだが、風化を防ぐためにはとにかく戦争体験者の悲惨な記憶を世代を越えて語り継いでいかなければならない。

風化させてはならないのならば語り継いでいかなければならない。~しなければならない、それは義務であり責任であり使命である。戦争を体験した者としての。

と、疑問のはさみ込む余地などないような当然なこととして自分なんかは考えてきたのだが、この映画を見てハッと気付かされたことがある。

それは、語り継ぐ者の苦悩とツラさだ。

思い出したくもない、他人に話したくもない悲惨な体験の記憶を吐露すること。そのエネルギーと勇気はそれを受け取る側からは計り知れないほどのものがあるのだろう。

原爆投下から3年後の広島で生きる美津江の苦悩、未来を断絶させてしまうほどの人間そのものを深くえぐる傷。

「あんときの広島では死ぬるんが自然で、生き残るんが不自然なことじゃったんじゃ。」という言葉にしばし絶句してしまう。

生き残った者としての苦しみを切々と表現した宮沢りえと、その何十倍もの苦しみを背負いながら美津江を大らかに包んでいく「恋の応援団長」原田芳雄の存在感にただただ脱帽するばかりだ。

次の世代に継いで行く、それにはもちろん受け取る次の世代の側にも義務と責任と使命が課されるわけだが、はたして語り継ぐ側とどれだけ価値観を共有できるのか、どれだけ彼らのつらく苦しい記憶を実体と重さのあるものとして受け止められるのかという問題も最近は出てきたように感じられる。

先の戦争では日本軍兵士の多くが実は餓死で亡くなっているというのは事実だが、この飽食の時代に、はたして飢餓を想像できるだろうか。以前TVで、あまりにも空腹で、炭をガリガリかじって食べたんです、という元兵士の話を聞いたが正直自分はわけが分からなかった。だって、炭って・・・。

また、例えば、ひめゆり部隊の沖縄戦に関する語り部の証言が「退屈で飽きてしまった」などということが高校の入試問題に平気で出てしまう、今はそんな時代になってしまったのだ。

風化は日々進んでいる。

とにかくもう時間がない。次の世代に継いでいかなければならない時間が・・・。

戦後70年経って、涙を流しながらやっとで重い口を開く方もいる。戦後70年経っても、いまだに戦争の悪夢にうなされる方々がいる。

自分の祖父はシベリア抑留を経験していたが、中学生の時に交通事故であっけなく逝ってしまった。

祖父には右手の親指がなかったが、戦争で銃弾を受けたせいだと言っていた。

結局、祖父からは戦争体験らしいものを聞くことなく別れてしまったのだが、今となっては少し心残りな気もする。

シベリア抑留、ほとんど分からないし知らない。

これは、問題だ。。

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黒い雨

Bnashzxau 出演:北村和夫、田中好子、市原悦子、小沢昭一、三木のり平、沢たまき

監督・脚本:今村昌平

(1989年・東映・123分)NHK-BS

評価★★★★★/90点

 

内容:1945年8月6日、高丸矢須子は瀬戸内海の小船の上で強烈な閃光を見た。その直後、空は見る見る暗くなり、矢須子は黒い雨を浴びてしまう。5年後、福山市に移り住んだ矢須子は、原爆症の疑いをかけられて縁談がなかなかまとまらず、彼女の面倒を見る叔父は気をもんでいた。やがて、矢須子は発病し、被爆の後遺症に悩まされる・・・。

“「正義の戦争より不正義の平和の方がマシ」という印象的なセリフがあったけど、昭和20年の日本より平成20年の日本の方がマシ、、、と今の後期高齢者の方々は本当に思えるんだろうか、、というのもなんだか怪しい世の中になってきちゃってるような気がしてならない。。”

自分にとってトラウマになっている映画というのは何本かあって、それは例えば「ターミネーター」だとか「オーメン」「バタリアン」など小学校低学年で見た映画が多いのだけど、その中で最強のトラウマ映画といえるのが、小1で見せられたアニメ版「はだしのゲン」。

ヤッター!アニメ見れるぜー!と意気込んで見に行ったが最後、劇場の座席が電気イスに感じられてしまうほどの苦痛を味わってしまったわけで。それはまさに永遠に続くかと思われるほどの醒めない悪夢だった・・・。

ただ小さい頃、親にこの手の反戦映画を網羅させられたのは今となっては良い経験になったと思うし、戦争という悲劇のトラウマを小学生くらいで植え付けるというのは教育上大変によろしいことだと思うので、親には感謝しております(笑)。。

んで「火垂るの墓」をはさんで「黒い雨」を見たのが小5くらいだったと思うんだけど、これがまたエライ思い出があって。

母親に連れられて自分と弟、妹の4人で見に行ったのだけど、劇場窓口でチケットを買って劇場に入っていったら、職員のオバちゃんが風船だとかキャラクターもののお面だとかの特典グッズをくれるわけ。

お、ラッキーと思いながら「黒い雨」が上映される2階に上がっていこうとしたっけ、そのオバちゃんが「東映アニメ祭りはそっちじゃなくて1階ですよ!」と教えてくれる(笑)。ようするにそのオバちゃんは自分らが東映アニメ祭りを見に来たんだろうと早合点してそのグッズをくれたのだ。そりゃそうだよなぁ妹なんてまだ幼稚園かそこらだったんだから、まっさか今村昌平のゲテモノ作品を見に来たなんて露ほども思わないだろうよ。

しかし母親が「いいえ、黒い雨を見に来たのでこっちでいいんです!」とキッパリ。ポカーンとしてるオバちゃんの顔が今でも忘れられない・・。

とともに田中好子のオッパイを見てしまったという記憶もしっかり残ってるんだけど(笑)。

いやぁ、、、自分が親になったら絶対に東映アニメ祭りの方を見せるよ、ウン。

ただ、ガキの時点でこの映画、半分分かって半分分からないような映画だったんだけど、胃の中を何かドス黒く熱いものがうごめき、這いずり回っているような息苦しさと圧迫感を終始感じたのはたしかだ。

電車の中で叔父さん(北村和夫)が被爆するシーンの衝撃、そして死屍累々の廃墟と化し、焼けただれた皮膚がズルリと剥け落ちてくるゾンビと化した人間たちが呻き声を上げながら方々をさまよう広島の街を、叔父さん、叔母さん(市原悦子)、矢須子(田中好子)の3人が必死で逃げ回る情景はあまりにも強烈で、川を流れてくる死体とか、道ばたに転がっている黒コゲになった死体だとか、おそらくこういう衝撃は自分の中の記憶としてずっと残っていくんだろうと思う。

つい先日、二次被爆の悲劇を描いた「夕凪の街、桜の国」の原作マンガを読んだときに、髪の毛が抜け落ちるシーンを見て、この「黒い雨」を見たときの圧迫感と同じものを感じて何とも言い表すことのできない重苦しさにとらわれてしまった。

遠い国で起きている戦争が、夕飯時のTVから流れてくるヴァーチャルなものとしか感じられない今の時代にあって、いかに戦争の悲惨さを子供たちに実感できるものとして伝えていくかというのは、戦後から3世代経った自分たちに課された大きな宿題なのかもしれない。

そういう意味では映画の果たす役割って大きいんだよなぁ。

人間、こういうことはすぐ忘れていっちゃう生き物だから・・・。

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夕凪の街 桜の国

Ph1_yugagi20comic 出演:田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、伊崎充則、藤村志保、堺正章

監督:佐々部清

(2007年・日本・118分)2007/08/07・盛岡フォーラム

評価★★★/65点

 

内容:原爆投下から13年後の広島。母(藤村志保)と2人で暮らす平野皆実(麻生久美子)は、会社の同僚・打越(吉沢悠)から告られるが、原爆で死んでいった多くの人々を前にして自分だけ幸せになっていいのだろうかとためらってしまう。やがて、そんな彼女を原爆症の恐怖が襲う・・・。所かわって現在の東京。定年退職した父・旭(堺正章)と暮らしている娘の七波(田中麗奈)。ある日、父の行動を不審に思った七波は、親友の東子(中越典子)と父の後をつけるが、乗り込んだバスがたどり着いたのは広島だった・・・。

“いい映画だったな止まり。根本的に何かが足りない。。”

佐々部清という監督は、一貫して理想的な人間関係のもとにある心優しき人間ドラマを描きつづけていて、その作風はどこまでも爽やかかつ良心的、なおかつ昭和の良き時代の家族観と温かさ、懐かしさを共有しているという点では山田洋次の系譜に連なる作り手さんだと思う。

しかし、今回はその持てる特徴がアダになってしまった感が強いのではないかと思う。

こうの史代の原作を素直なほど忠実に映像化しているのは認めるが、翻っていえば100P足らずの物語をトレースすることは誰にでもできることだ。

問題は、原作でこうの史代が描く温かく優しい街並みや笑顔の絶えない人々、その表面と上っ面だけをバカ正直にトレースしてしまったことであり、その裏にある決して癒されない悲しみ、決して終わることのない憎しみと怒り、決して消えることのない記憶、つまりは広島が「ヒロシマ」になってしまった原爆という毒がすっぽり抜け落ちているのだ。

たった1発の爆弾、たった一瞬の閃光が60年間3世代にわたり刻みつける負の遺産、その重みと痛みがこの映画からは伝わってきにくい・・・。

原作を読み終わったときの読後感は、かなり精神的にズシリとくるものがあり、なんて哀しいマンガなんだと思ったものだが、この映画を見終わると、いい映画だったな止まりで終わっちゃうんだよね。

そういう意味ではかなりガッカリしたかも。。。

マンガと映画、どっちを薦めるかといったら、100%マンガの方をすすめるな。

記憶が歴史というものを形づくるとするならば、この記憶を決して風化させてはならない、決して忘れてはならない。

今も続く物語・・・。

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ひろしま(1953年・日本・104分)WOWOW

 監督:関川秀雄

 出演:岡田英次、原保美、加藤嘉、山田五十鈴、月丘夢路

 内容:昭和28年夏の広島。高校教師北川が受け持つクラスで、授業中に女子生徒が鼻血を出して倒れた。それは原爆の放射能による白血病が原因で、このクラスでは生徒の3分の1が被爆者だった。8年前のあの日、彼らが見たもの体験したこととは・・・。8万人を超す広島市民がエキストラとして参加し、原爆投下直後の広島を再現。ベルリン国際映画祭で長編劇映画賞を受賞。しかし、大手配給元がGHQに忖度して反米的な描写シーンのカットを製作側に要求するも折り合わず、一般公開が中止になったことで、長らく日の目をみることがなかった幻の作品。

評価★★★★☆/85点

原爆を扱った映画というと真っ先に思い浮かぶのが今村昌平監督の「黒い雨」とアニメ映画「はだしのゲン」で、小学生時分に見たこともあってトラウマともいうべき強烈な映画体験として記憶に刻まれている。

あれから約30年、最近ではヒロシマ・ナガサキの映画をとんと見なくなってしまったのだけど、まさか60年以上前に製作され、一般公開されることなくお蔵入りになっていた原爆の映画があったとは驚きだったし、なにより今回初めて見て、その凄絶すぎる映像に衝撃を受けた。

特に原爆投下直後の広島の惨状を映し出した30分以上のシーンは今まで見た原爆映画の中で最も生々しく直視に堪えないものだった。

3ヘクタールのオープンセットを作り80棟に及ぶ家屋や電車を燃やし、黒焦げに焼き尽くされガレキに埋まる街の様子を映像化したそうで、使われたガレキは原爆で生じた実物だったそうだ。

しかし、なによりこの地獄絵図が真に迫り心に突き刺さるのは、阿鼻叫喚の修羅場を彷徨する群衆を演じているのが一般市民のエキストラで、その中には実際の被爆者も多くいたということで、原爆の恐ろしさや被爆の苦しみ、その一人一人の思いや声が画面から圧倒されんばかりに伝わってくることにある。

しかもこれが原爆投下からたった8年後に地元で作られたというのが凄いところで、それこそ戦争と天災の違いはあれど東日本大震災での惨状をここまで克明に描けるかと考えると、今回の映画のもの凄さはある意味常軌を逸しているとまで言えると思う。

しかし、それが政治的圧力で未公開になってしまったというのは本当に悲劇としか言いようがないけど、記憶をつなぎ語り継ぐという意味で全ての日本人そして世界中の人々に目をそらすことなく見てもらいたい映画だ。そういう普遍性を持ったかけがえのない作品だと思う。

P.S. 宮島のおみやげ屋さんでピカドン土産として原爆で亡くなった人々の頭蓋骨(一応セリフではレプリカに決まってるだろうと言っていたが・・)が売られていたり、その後のシーンで戦災孤児が掘り出した本物の頭蓋骨を米兵に売ろうとするシーンがあったけど、これって実話だそう・・。

他にも墨汁のような黒い雨や、被爆直後の灼熱地獄から逃れるために飛び込んだ川で女学生たちが「君が代」を歌うところなど本当に脳裏に焼き付くようなシーンの連続する映画だった。

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鏡の女たち(2002年・日本・129分)NHK-BS

 監督・脚本:吉田喜重

 出演:岡田茉莉子、田中好子、一色紗英、山本未來、室田日出男

 内容:東京郊外に住む川瀬愛(岡田茉莉子)。以前は亡き夫と娘・美和の3人で暮らしていたが、美和は娘の夏来を産むと、母子手帳だけを持って失踪した。それから24年後、その母子手帳を持った女性が見つかるが、その女性は尾上正子と名乗る記憶喪失者(田中好子)だった。実の娘か確信を持てない愛は、アメリカに住む夏来(一色紗英)を呼び寄せる。やがて、正子の記憶の断片は、3人を愛が美和を産んだ地、広島へと向かわせる・・・。

評価★★☆/50点

割れた鏡、抑揚のない語り口、泳がない視線、微動だにしないカメラ・・・。

様々なメタファーが込められているとは思いつつ、まるで能でも見せられているかのような様式美に彩られたつくりは、はっきりいって不気味以外の何ものでもない。

能面の下に覆い隠された、一瞬の閃光で焼きつくされたヒロシマの亡霊。

かがみ合わせのように表裏一体となったあの世とこの世、その死の世界に向かって開かれた窓である鏡が割れているというのは、両者の間に決定的な欠落があるということだろうか。

すなわち、生者は死者について語ることはできない、ヒロシマの真実を語ることはできないのだと。それをアイデンティティを喪失した女性たちを通して描き出そうとしたのかもしれない。

しかし、逆説的にいうならば、この映画には決定的にヒロシマというものが欠落しているともいえ、個人的には理解に苦しむ難しい映画だったというのが正直なところ・・・。

でも、語りつくせないからこそ、我々は絶えず原爆について語り継ぎ語りつくそうと努力しなければならないのかもしれない。

忘却の彼方に決して置き忘れてはならないために・・・。

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TOMORROW 明日(1988年・日本・105分)NHK-BS

 監督・脚本:黒木和雄

 出演:桃井かおり、南果歩、仙道敦子、黒田アーサー、佐野史郎、原田芳雄

 内容:昭和20年8月8日の長崎。結婚式が執り行われていたある家では、肺病で兵役を免除された花婿と看護婦の花嫁を、両家の家族が祝福していた。花嫁の姉は臨月のお腹を抱え、花婿の友人は戦場で捕虜を見殺しにしたことを悔やみ、花嫁の妹は召集令状を手にうろたえる恋人を慰める。やがて姉が産気づき、難産の末、明け方に小さな命が誕生した。そして8月9日・・・。

評価★★★☆/70点

「どうやって子供はできるの?」という少年の問いかけに対し、「こうやってできるんだよ」というのを丹念に綴った夏の一日、、、1945年8月8日。

少年は性に目覚め、乙女は恋に恋焦がれ、花嫁は花婿と結婚式をあげ、女は男と結ばれ、子供を出産し、女は母になり男は父になる。

「アメリ」(2001)で、アメリが「今この瞬間に愛を交わし合い絶頂を迎えているカップルはどのくらいいるんだろう・・」と想像するシーンがあるけど、そうやって日々生命は紡がれ、次の世代につながっていく。

そうやって家族というものはできていくのだ。

「どうやって子供はできるの?」「こうやってできるんだよ」

その日常が、一瞬で霧のごとく消されてしまうラストの衝撃はあまりにも重い。

連綿とつながれてきた彼らの生の営みがブツリと断絶されてしまうことが最初から予定調和として分かっている映画、、、それをはたして映画と呼んでいいのだろうか。

いや、そんな映画があっていいはずがない。こんな恐ろしい映画があっていいはずがない。

彼らに明日が来ないことをはじめから知っている映画なんて・・・。

と同時に核兵器の恐ろしさをこれほど如実に描き出した映画もないこともまたたしかなのだ。

閃光が走る直前に映し出される路地裏で遊ぶ子供たちの楽しそうな姿が目に焼きついて離れない。

2018年1月 4日 (木)

夢のシネマパラダイス547番シアター:日本版あの頃にタイムスリップ!

だけがいない

Poster2出演:藤原竜也、有村架純、鈴木梨央、中川翼、林遣都、福士誠治、安藤玉恵、及川光博、杉本哲太、石田ゆり子

監督:平川雄一郎

(2016年・日本・120分)盛岡フォーラム

内容:売れない漫画家・藤沼悟は、事件や事故に遭遇すると、その原因が取り除かれるまで発生直前の時点に何度もタイムスリップする“再上映(リバイバル)”と呼ぶ能力を持っていた。しかし、それは自分ではコントロールできないのでほとほと嫌気が差していたが、リバイバルがきっかけでバイト仲間の愛梨と親しくなる。そんなある日、またもやリバイバルが発生。悟が違和感の正体をつかめない中、一緒にいた母親だけが何かに気づきリバイバルは解消された。しかしその直後、母親は何者かに殺害されてしまい、悟が犯人に仕立て上げられてしまう。そして母を助けようとする悟にリバイバルが再発動。今度は20年前の小学生時代にタイムスリップしてしまう・・・。

評価★★★/65点

総じて漫画原作の実写映画化は期待ハズレに終わることが多い。あるいは漫画と映画は全くの別物ということもできるけど、今回の原作は緻密に組み立てられた構成力とキャラクター造形、完璧な伏線回収など、漫画としてはもちろんそれだけで映像媒体としてもすでに完成されたハイクオリティ作品なので、映画化もよほどのヘマをしなければ失敗しないはず、だと思っていたw

そういう点で今回の映画を見ると、雛月加代を親の虐待から助け出すところまでは、ドンピシャのキャスティングしかり風景からプロダクトデザインに至るまでの映像しかり、ビックリするくらい忠実に原作をトレースし、正直マンガを知らないで映画見てたらより面白かったかもと思ってしまうくらいほぼ完璧な仕上がり。

が、しかし、この雛月救出までに1時間半を費やしてしまい、残り30分でまるで夏休み最後の日に徹夜で溜まりにたまった宿題を大慌てで取りかかる小学生のようにあたふたと風呂敷を畳むもあえなく轟沈

第4コーナー過ぎてからのまさかの失速にこちらも撃沈しちゃったんだけど、犯人が八代先生(及川光博)ということにたどり着くのも拙速すぎだし、何より1番分かりづらくて混乱するのが1988年の世界で悟が八代に橋から川に突き落とされた後、2006年の現在に戻ってからなんだよね。

2006年に愛梨(有村架純)と河川敷で会った悟が警察に逮捕された直後にリバイバルが起きたにもかかわらず、八代に突き落とされた悟が戻ったのはそこではなく、映画の冒頭でピザ屋の配達中に小学生を助けようとしてトラックにはねられた後の病室で、しかも病室にいるのは事故を目撃していた愛梨ではなく、妊娠している加代。さらになぜか愛梨とは面識がなくなっている、と矢継ぎ早に進むので見ているこちら側は混乱するばかり。。

さらにデパートの屋上で八代と格闘して悟が首を切られるも八代は逮捕されて一件落着、かと思いきやエピローグでいきなり2016年に飛んで、お墓参りの墓石に悟の名前が、、えっ?死んだの!?と呆然とする中でジ・エンド。

例えば、愛梨と面識がないことは原作通り悟がずっと植物状態になっていたということで済む話のはずなのに、、どうなっているんだこの脚本ww

半ば見切り発車としか言いようがないラスト30分の力技にある意味ド肝を抜かれたけどw、それまでの丁寧さとかけ離れた粗雑な出来とのあまりの落差に監督2人いるのか!?といぶかってしまうくらい目が点になってしまった・・・。

リバイバルというのが普通のタイムトラベルものと異なり、意識だけが当時の自分自身に飛ぶ(あるいは当時の自分の姿になる)ところが新機軸な設定だけに、うーん、、この出来というか納め方には残念至極としか言いようがない。

タイムトラベルものはお手の物のハリウッドで実写化求ム。

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青天の霹靂

P1399016757866出演:大泉洋、柴咲コウ、劇団ひとり、笹野高史、風間杜夫

監督・脚本:劇団ひとり

(2014年・東宝・96分)WOWOW

内容:39歳の売れない独り身マジシャンの晴夫は、幼い頃に母に捨てられ、父親ともいまや10年以上絶縁状態だった。そんなある日、警察からホームレス状態の父の死を知らされる。遺骨を抱え、やりきれない気持ちで父の住み家だった荒川の河川敷に佇む晴夫だったが、そんな彼を一閃の雷が直撃。そして気付くと、40年前の浅草にタイムスリップしていた。やがて演芸ホールでスプーン曲げを披露して人気マジシャンとなった晴夫は、同じくマジシャンをやっていた若き日の父とその助手を務める母と出会う。そして、父とコンビを組むことになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

手品とタイムスリップという映画のモチーフに鑑みていえば、プロットの運び方、伏線の張り方、心象風景の描き方、カットバックの使い方、スローモーションや省略などの時間軸の操作、巧みなカメラワークetc..要は映画とは嘘をついていいものだという心得をしっかりわきまえた手練れの演出に満ちている。

しかしその反面、冒頭の主人公のマジックを吹き替えなしのワンカット長回しで捉えるシーンなど、映画につかみとリアリティをもたせるツボもちゃんと押さえているのも強みだ。

多少その手法に酔いすぎてクドく見えるようなシーンもあるけど、およそこれが初監督作とは思えないほどエモーショナルにあふれた非常に見やすい作品に仕上がっていたと思う。

ただ、しいて希望を挙げれば、お腹いっぱいになる前に終わっちゃったてことかなw

でもこういうのってもっと盛っちゃいたいはずだし、見る方もそれを期待している所もあるんだけども、逆に編集でバッサバッサとカットして90分弱にまとめてしまう肝っ玉の強さは、やはり大いなるセンスといわなければならないだろう。

次回作が楽しみな監督のひとりになったな。

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この胸いっぱいの愛を

C_b0010500579_tl_2 出演:伊藤英明、ミムラ、勝地涼、宮藤官九郎、吉行和子、愛川欽也、倍賞千恵子

監督:塩田明彦

(2005年・東宝・130分)MOVIX仙台(試写会)

評価★★☆/45点

内容:百貨店に勤める比呂志は、出張で小学生時代を過ごした北九州・門司を訪れた。しかし、何か様子が違う。新聞見ると、、えっ?1986年?20年前じゃん!タ、タイムスリップ。。ていうか、少年時代の自分にも会っちゃった・・・。そんなこんなで比呂志は実家だった旅館に住みついてしまう。そんなある日、彼は憧れだった近所の和美姉ちゃんと再会する。彼女は難病のすえこの世を去ってしまう運命にあるのだが、今ならば救えるかもしれないと比呂志は考える・・・。

“タイムパラドックスの定石を捨ててまで描き出したのがこれなの・・・?思わず失笑。”

タイムスリップする1986年という時代設定がまずはビミョー・・・。

だって昭和61年やろ。

バブル景気がちょうど幕を開けた頃だと思うのだけど、なんかイメージとしてパッとしないというか、そんな昔でもなければつい最近でもないという時代背景の中途半端さが気になった。

しかもそれに輪をかけたように伊藤英明のメインストーリーがこれまたビミョーなんだよなぁ・・・。タイムパラドックスなど眼中にないくらいお構いなしで突き進むのは大目に見るとしても、肝心要のメインストーリーに力がなかったら、ただの独りよがりなだけの映画じゃないか。。

サブストーリーである若いヤクザ(勝地涼)、老婦人(倍賞千恵子)、クドカンのエピソードの方がフツーに感情移入できただけにメインの物足りなさが一層際立ってしまった。

これは多分に失われた命を取り戻そうという事の重みに対して、シナリオに力がないのか、伊藤英明に力がないのか、あまりにも人間ドラマの描写が軽すぎるというアンバランスさに起因するように思う。

そもそも「黄泉がえり」(2002)では現世で生きる人々のもとに亡くなった大切な人が舞い降りてくるという、あちらから会いたい人がやって来るという構図なのだけど、今作ではこちらから会いに行くという構図になっている。その点ですでに作為的要素が含まれているといってもいいのだけど、この映画のメインとなるのは結局この世を去った憧れの人を救おう、生き永らえさせようとする話なわけで、そこら辺はどうも自分は胡散臭さを感じてしまった。

だって要は積極的に未来を変えて死者を甦らせようとするわけで、そこに十分な説得力、つまり死んだ者は絶対に生き返らないという命題を覆す魔力を持たせるにはやはりタイムパラドックスの定石を使っていくしかないと思うのだけど。。

しかし、この映画はそれをあえて無視した上で完全に人間ドラマに徹した感がある、、、のだが、ものの見事に肩透かしをくらったような力の無さには目を覆うばかり。

作為に満ちた独りよがりな映画とはまさにこのことを言うのではなかろうか。

ただ、塩田監督もなにやら罪滅ぼしでもしたかったのか、それとも塩田監督なりのケジメの付け方なのか、ラストに出てきた生き永らえた和美(ミムラ)の姿にはなんとも厳しすぎる年輪が刻まれていて、それまでの演出とはかけ離れていたので驚いたというか、また別な意味で肩透かしをくらっちゃった・・(笑)。なんだかわけの分からん映画だったな。。

自分が思うに、生んだ直後に亡くなってしまった母親、今まで幻だった母親に会うことになる若いヤクザ(勝地涼)の話をメインにすればそれなりに見れたのではないかと思う。命のやり取りはこの映画には重すぎる・・・。

あるいは、どうせだったらどっかの老人ホームのバスが崖下に転落しちゃうとかさ(笑)、んでその拍子に1946年にタイムスリップしちゃうとか。だってジッちゃんバッちゃんの方が人生で本当にひとつだけやり直したいことの重みって説得力がありそうだし。

とにかく「黄泉がえり」の二匹目のドジョウとはなりえなかったな今回は。

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バブルへGO!!タイムマシンはドラム式(2006年・東宝・116分)WOWOW

 監督:馬場康夫

 出演:阿部寛、広末涼子、吹石一恵、伊藤裕子、劇団ひとり、薬師丸ひろ子

 内容:2007年の日本。国は800兆円の借金を抱え、日本経済は破綻寸前。そんな日本の危機を救うべく、財務省官僚の下小路(阿部寛)はある計画をぶち上げていた。それは、1990年にタイムスリップしてバブル崩壊をくい止めようというものだった。ところが、先にタイムスリップしていた開発者の田中真理子(薬師丸ひろ子)がそのまま行方不明になってしまう。そこで下小路は、真理子の娘で借金取りに追われているフリーターの真弓に目をつけ、真弓は母親を救うためにタイムマシンに乗り込むのだったが・・・。

評価★★★/60点

バブル全盛期に山ん中に秘密基地を作ったりして駆けずり遊んでいた小学生時代の自分にははっきりいってあまりピンとこなくて実感がわかない題材だし、しかしかといってバブル崩壊後の失われし10年の真っ只中で就職超氷河期にブチ当たってしまった自分からするとああいう軽いノリで描かれるとなんだかしゃくにさわるし・・・(笑)。なんだかなぁ。。

タイムマシーンを起動するのに洗剤を入れるというのは笑えたけどね。

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地下鉄<メトロ>に乗って(2006年・日本・121分)WOWOW

 監督:篠原哲雄

 出演:堤真一、岡本綾、常盤貴子、大沢たかお、笹野高史、吉行和子

 内容:43歳の営業マンである真次(堤真一)はある日、父が倒れたという連絡を受ける。が、真次は大財閥の総帥であった傲慢な父に反発し、高校卒業後に家を出たっきり一度も会っていなかった。そんな真次が地下鉄を出ると、、、昭和39年の東京にタイムスリップしていた!しかも真次の恋人であるみち子(岡本綾)もタイムスリップしてしまう。そして真次は、若き日の父(大沢たかお)に出くわすのだった・・・。

評価★★★/60点

とうとう解りあえなかった父親が戦前、戦中、戦後という激動の昭和をどのように生きてきたのか、その知られざる真実にスポットを当てることによって父親と息子がつながっていくという、いたってシンプルなお涙頂戴もののはずだったのに。

そこにいきなり80年代角川映画もビツクリの近親相姦ネタに、あげくの果てに妹が自殺(正確には存在自体を消してしまう)しちゃうって、、、こんなん2時間で消化しきれねぇよ。韓流ドラマみたいに全50話くらいでやってくれ(笑)。

しかも、階段から突き落とされたお時(常盤貴子)の人生はどうなっちゃうんだよ。全然消化不良じゃん。

ていうか肝心のテーマが一気にボヤけちゃったし・・・。

自分の祖父も小沼佐吉(大沢たかお)と同じように、戦時中に満州行って結局ソ連軍に連行されて、シベリア抑留を体験してなんとか生きて日本に帰ってくることができた人だったから、かなりリンクするところはあったと思うんだけど、ラストの仰天ネタに一気にガクッときてしまった・・・。

2016年8月28日 (日)

夢のシネマパラダイス35番シアター:教師びんびん物語!

いまを生きる

Mp186 出演:ロビン・ウィリアムス、イーサン・ホーク、ゲイル・ハンセン

監督:ピーター・ウィアー

(1989年・アメリカ・128分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:1959年、創立100周年を迎えたバーモントの全寮制の名門校に、英語教師キーティングが着任した。彼は初授業の日に、ラテン語の「カーぺディエム(いまを生きよ)」というモットーを生徒たちに与え、型破りな授業を行って人生を楽しむ心を教える。

“キーティングは実在する”

自分が小学4年のときだから1987年かな?少年少女友情の船ってやつでグアム・サイパンに行ったことがある。

その時の班長さんを、この映画を見るたびに思い出してしまう。

すべての班長さんが教師を目指している大学の教育学部の学生で、うちの班長さんもそんな一人だった。

ほとんど毎日が船の中での集団生活で、班での行動が主。そういう中で班長さんからはいろいろ教わった。

特に耳にタコができるくらい聞かされたのが、「今この一瞬を大切に生きろ」ということ。

「今から10秒後にはどうなっているか分からないんだ」「今、俺が話している間も1秒1秒時は過ぎていってるんだ!」みたいなことを熱~く語ってたっけ。

今でも時折ふと班長さんの言葉を思い出すことがあって。

その後、ちゃんと教師になれたのかなぁ。。

オフ会で班長さんの家に遊びに行った時、「ビーバップハイスクール」見せてもらったことを鮮烈に覚えているんだけど・・

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ビリギャル

T0019660p出演:有村架純、伊藤淳史、野村周平、あがた森魚、安田顕、吉田羊、田中哲司

監督:土井裕泰

(2015年・東宝・117分)WOWOW

内容:名古屋の私立女子高に通う高2の工藤さやか。いつもギャル友と遊びまくり勉強なんて全くしない日々を送り、ついに成績は偏差値30の学年ビリに。そこで心配した母親はさやかを塾に通わせることにする。ノリで第一志望を慶應大学と宣言したさやかに対し、塾講師の坪田は巧みな指導でやる気を引き出していくが・・・。

評価★★★/60点

この映画の描写力からするとビリギャルが合格したのは慶応大学ではなく偏差値45の桂王大学の間違いじゃないかと思えるくらいのリアリティしか感じられないのが全体的に映画をユルユルなかんじにしているけど、勉強のノウハウや慶応に受かったという結果ありきの美談よりもポジティブな人間力と家族再生の物語として描いたのは作劇の手法として間違ってはいない。

ただ、塾>学校という構図でことさらに学校教育を貶める論法が一貫して見られるのは違和感ありで、挙句のはてに授業中に寝ててもOKってそれはあんまり。学校でしか寝る所がないんです!ていうセリフは初めて聞いたよ(笑)。

まぁ、長い物には巻かれよ方式の均一化を是とする学校教育と、一人一人の個性に応じて教え方を変えられる塾とではたしかに方針は違うんだろうし、自分の可能性を信じなくさせてつぶしてしまうダメ教師もいるんだろう、、いや、実際そういう先生はいたし、生徒をクズ呼ばわりする学校は救いようがない。

にしても一介の映画が学校は寝る所と嬉々として描くのは違うと思う。

環境うんぬんより結局最後は自分の意志とヤル気なわけだから、そこさえしっかり描けていれば学校を絶対悪のように描かなくてもよかったと思う。

まぁ、下痢ピーに悩まされる有村架純を見れたのは乙ではあったけどねww

しかし、英語と日本史は詰め込みで偏差値上げることはできるとしても、小論文は偏差値とは別な尺度の自分で考えまとめる文章力や時事ネタの知識が必要で、よほど鍛錬しないとちょっとやそっとじゃ向上しないはず。そこの嘘っぽさだけはすごく引っかかったな・・。

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ブタがいた教室(2008年・日本・109分)CS

 監督:前田哲

 出演:妻夫木聡、大杉漣、田畑智子、戸田菜穂、原田美枝子

 内容:都心の小学校。6年2組の担任教師・星先生は、ある日教室に子ブタを連れてくる。それは、生きるものを育てそれを最終的に自分たちで食べるまでに至る過程を学ぶことを目的にした授業の一環だった。生徒たちは子豚にPちゃんと名前をつけ可愛がるようになるのだが、1年が経ち卒業を前に、ブタを食肉とするか後輩たちに託すかの選択に迫られる・・・。

評価★★★☆/70点

なんとも酷なお話だなぁと思いつつも、ドキュメンタリ要素を取り入れた劇映画として見る価値は十分にあるなかなかの作品になっていたと思う。

生徒たちの討論シーンでは台本がなかったということらしいけど、その実験性が映画の虚構性を良い意味で逸脱していて真に迫るものになっていたし、自分も一緒になって考えさせられてしまった。

まぁ、結末はいくらなんでも先に決まっていたのだろうけど、作り手・大人たちの作為のレールをかき消すほどの子供たちの本音演技には脱帽。

テレビドキュメンタリーの方も見てみたいなぁと思った。

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デンジャラス・マインド(1995年・アメリカ・99分)DVD

 監督:ジョン・N・スミス

 出演:ミシェル・ファイファー、ジョージ・ズンザ、コートニー・B・ヴァンス

 内容:元海兵隊員ルアンは、長年の夢だった教師になるが、赴任校は問題児ばかりが集まる荒廃校だった!原作のルアン・ジョンソン自らの体験を綴った感動作。

評価★★★★/80点

生徒に教えてくれと懇願されることほど先生にとって本望なことはないよね。って、実話ってのがスゴイ。。

妊娠は伝染するのよ!と言われた時のM・ファイファーの唖然とした表情といったらない。このシーンで女優として一皮むけたな(笑)。

2016年3月 5日 (土)

夢のシネマパラダイス175番シアター:生涯モラトリアム宣言

もらとりあむタマ子

Poster2出演:前田敦子、康すおん、伊東清矢、鈴木慶一、中村久美、富田靖子

監督:山下敦弘

(2013年・日本・78分)WOWOW

内容:東京の大学を卒業したものの就職もせず、スポーツ用品店を営む父親が一人で暮らす甲府の実家へ戻ってきたタマ子。店を手伝うわけでもなく、家事も父親任せで、漫画を読んだりしてただゴロゴロと過ごす日々を送っていた。そんな中、父親にアクセサリー教室の講師との再婚話が持ち上がり・・・。

評価★★★★/80点

天下のAKBでセンターを務めたスーパーアイドルが劇中ではアイドル志望のぐうたらニートを演じるというのは大きなチャレンジだったと思う。

ところが、履歴書用の写真を見て父親がププッと吹き出してしまうシーンで、実際そのアイドルっぽいブリッ子な写真を見るとたしかに笑わずにはいられなくて

この写真一枚でアイドルから女優に脱皮したといっていい(笑)。それくらい、前田敦子の性格ブスなタマ子はハマっていた。

また、20代の頃に延べ2年プータローを経験し、30代となった今は職を得てはいるものの相変わらずパラサイトシングルと化している自分にとってはタマ子のモラトリアムな生活はかなり身に覚えのあることで・・はっきりいって面白かったww

ただ、三十路ともなると、年頃の娘と暮らす男やもめの心持ちもよく分かり、そんな2人の絶妙な距離感というのがよく描けていたと思う。

その距離感というのは、減らず口は一丁前でも少なくとも今は動きたくないと父親に甘えっぱなしの娘と、それに苛立ちながらも本音では可愛い子には旅をさせたくない父親の共犯関係ともいえる。

しかし、実は最も敏感にその相互依存に気付いているタマ子。季節を追うごとにモラトリアムの居心地の良さを侵食してくる包囲網が狭まっていき、ラストで「夏終わったら家を出てけ」という父親の一言に「合格」と答えるやり取りはこれまた絶妙だった。

やっぱ親にも突き放す勇気がないとダメなのかもしれないけど、なかなか言える言葉じゃないよねぇ。

そういえば自分の大好きなTVドラマ「北の国から帰郷編」で、東京から帰省してきた純が父・五郎にこのまま富良野に残って父さんと一緒に居ていいかと訊くとそれを断る名シーンを思い出したw

ま、、自分のこと考えると笑えなくなっちゃうけどね

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百円の恋

Poster2出演:安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平、根岸季衣

監督:武正晴

(2014年・日本・113分)WOWOW

内容:実家にひきこもり、仕事もせずダラダラと過ごす32歳の一子。ある日、離婚して子連れで実家に戻ってきた妹とケンカしたことがきっかけで、アパートで一人暮らしをするハメに。仕方なく100円コンビニで深夜のバイトを始めるが、人付き合いが苦手で接客なんてやる気なし。そんな中、近所のボクシングジムで練習に励む中年ボクサーの狩野と知り合い、デートに誘われるという珍事に見舞われるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

実家でスナック菓子をボリボリ頬張りながらぐうたらしている三十路の独身ニート女、、おそらく世の中で1番イタイ人種であると同時に映画の主人公に1番なりづらいキャラクターではないだろうか。

さらにそこにボクシングときたらもう南海キャンディーズのしずちゃんくらいしか思い浮かばないんだけどw、安心してください、ここにいますよ!安藤サクラが!

最近の女優で役のためなら太ることもいとわないデニーロアプローチをするほどの演技派は「そこのみにて光り輝く」の池脇千鶴くらいしか思い浮かばないけど、今回の安藤サクラの女優魂にはほとほと感服した。

「モンスター」のシャーリーズ・セロンと「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリー・スワンクを一人で演じきってしまったような凄さといっても過言ではないだろう。

最初見た時は安藤サクラと気付かないくらいでっぷりとしたオバハン体型に仰天したけど、そこからシャープなボクサー体型に変貌をとげるのだから恐れ入る。しかも撮影期間がたったの2週間って、ライザップでも無理だろ(笑)。

また、ボクシングシーンも凄いのなんの。聞くところによると朝の6時から深夜2時半までぶっ通しで撮影してたらしく、極限の向こう側にイッた妥協のなさに圧倒された。

負け犬が一念発起して立ち上がるというありきたりなストーリーを安藤サクラの身ひとつで説得力をもたせてしまう、、この映画を見て役者の力量がストーリーを転がしていくという意味をあらためて再認識した気がする。

安藤サクラ。

ガチの女優である。

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横道世之介

8bf053b7出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛、井浦新、國村隼、きたろう、余貴美子

監督・脚本:沖田修一

(2012年・日本・160分)WOWOW

内容:1987年。長崎から大学進学で上京してきた横道世之介(高良健吾)。あか抜けないお人好しの世之介は、嫌みのない図々しさが人を吸い寄せ入学式早々から友達ができる。一方、年上の女性・片瀬千春(伊藤歩)に片思いをするも、お嬢様の与謝野祥子(吉高由里子)から猛烈アタックをかけられたりと大学生活を満喫していたが・・・。

評価★★★★/75点

不思議な映画だ。

160分間大きな山場も感動もないにもかかわらず、最後まで心地よく見られ、しかも160分という大長編を見た疲労感もなく後味も爽やかなのだ。

これは一体何なのか、見終わったあともよく分からないけど、なにかこう全体的にNHKの朝ドラの味わいに似た安心感はあったかな。それはドラマに無鉄砲なドタバタや非日常的な逸脱を排し、あくまで日常に寄り添った作劇の安心感といえばいいだろうか。

例えば、サンバサークルが牧場で合宿する一見シュールな場面であっても、ジャージ姿というアイテムが日常あるあるに落とし込み豊かなユーモアにしてしまう。

そういう巧さがこの映画にはあると思う。

そしてなにより人の懐に土足で踏み込んでくるKY男でありながら、他人の頼み事ははなっから受け入れる根っからのお人好しという世之介の天然キャラが良い。

鬱陶しさが優しさや真面目さと両立されているため、かえって共感を呼ぶ不思議な魅力に引き込まれてしまったし、さらなる天然ぶりを発揮する吉高お嬢さまとの相性もバツグンで、とにかく見ていて楽しい。

まさか楽しいなんていう感想をこの映画に抱くとは思いもよらなかったけど、世之介の屈託のない笑顔が過去のものだと分かる中盤以降はせつなさも加わって、より心に残る映画になっていたと思う。

この映画を見て、なにか特別な出来事とかではなく、長い時を経てふと甦ってくる懐かしい日々の思い出の中に登場することが、自分の生きた証なんだなぁと感じて、なんかちょっと楽になったw

いや、別に人の心に残る生き方をしようなんてこれっぽちも思ってないけど、あるひと時を一緒に過ごしていくであろう仲間たちとの何気ない日常こそ大切なんだなぁって。だからこの映画を見ていて楽しかったんだと思う。

忘れた頃にまた横道世之介に会いにこよっかな

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百万円と苦虫女

100man出演:蒼井優、森山未來、ピエール瀧、竹財輝之助、齋藤隆成、笹野高史、佐々木すみ江

監督・脚本:タナダユキ

(2008年・日活・121分)NHK-BS

内容:短大を卒業したものの、アルバイト生活を送る21歳の鈴子(蒼井優)。ひょんなことから警察沙汰を起こしてしまった彼女は、受験中の弟に前科者扱いされ、勢いあまって百万円貯まったら家を出て行く!と宣言する。そして百万円が貯まると、宣言通り実家を後にして、誰も知らない土地へと旅立つ鈴子だったが・・・。

評価★★★★/75点

三十路で独身で実家暮らしで低収入の典型的パラサイトチルドレンの自分は、自分のことを誰も知らない土地で暮らしてみたいと思うことが少なからずある。自分の所在をなくしてしまいたいという願望だ。

それは18で地元から都会に出て10年もたずに舞い戻ってきてしまった自分の場合、いつまでたっても結婚も自立もできずに親に迷惑をかけ続けていることからくる所在のなさだ。家族、親せき、地元の目が精神衛生上の圧迫になっていることは否めない・・

一方、映画の主人公、鈴子は21歳。前途洋々の若さであるが、就職浪人中のフリーター生活を変えようと家を出ること自体オイラから言わせればすでに自立している(笑)。

しかもこの女、決定的にモテるのである。どこ行ってもモテまくるのであるww

他者とのつながりに思いやりを求めるよりも傷つくことの方を恐れている鈴子の冷め具合いは自分も含めた現代の若者世代に共通する感性だとはいえ、ここまでモテる女のコが人間関係を忌避して土地をさすらうというのは若干の無理がある。

また、そこで出てくるのが“前科”というキーワードになるのだけど、同居人の男の持ち物を全て捨てたというのは後ろめたい犯罪というよりは武勇伝という方がまっとうで、所在なさの根拠とするには弱い気がする。

要は全体的にリアリティがないのだ。

まぁ、友達とその彼氏と3人でルームシェアするというそもそものところからしてあり得ない話だけど。。

しかし、このリアリティのなさを蒼井優のぶっちぎりの存在感が吹き飛ばしていて、映画を最高に魅力あるものにしているのだから、やっぱり映画はやめられない。映画も自分にとってある意味現実逃避だけど・・・w

でも、ホントにこの映画見て蒼井優にゾッコン

床に大の字になって寝転がるところとか、キュートな外面とは裏腹にグチや毒を吐くところとか最高にイイ♪

良妻賢母ぶりが板につきすぎている宮崎あおいが聖母マリア化している一方、いまだに手の届きそうなところにいるフツーの女のコでいつづける蒼井優の良さに今さらながらに気付かされただけでもこの映画を見てヨカッタ×2(^^♪

今一番好きな女優は誰かと訊かれたら迷うことなく蒼井優と答えます!

あ゛ー、蒼井優みたいな人いないかなぁw

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パレード

52897d159a6db740790ccace4e77482e出演:藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介、キムラ緑子、正名僕蔵、石橋蓮司

監督・脚本:行定勲

(2010年・日本・118分)NHK-BS

内容:都内のマンションの一室。そこでは映画会社の宣伝マン・直輝(藤原竜也)、酒好きのイラストレーター・未来(香里奈)、先輩の彼女に恋をした大学生・良介(小出恵介)、若手人気俳優と極秘交際中の琴美(貫地谷しほり)の男女4人がルームシェアしていた。彼らの共同生活の基本理念は、居たければ居ていいし、居たくなくなったら出ていけばいいというチャットのようなもの。しかし、ある日そこに男娼のサトル(林遣都)が加わったことで彼らの穏やかな日常は微妙に歪み始めていく・・・。

評価★★★☆/70点

冒頭、マンションの一室の外からヘリコプター音がしているのを見て真っ先に思い浮かべた映画があった。

森田芳光監督の「家族ゲーム」だ。

あの映画では、同じく外でけたたましくヘリの音がしているにもかかわらず、そんなのお構いなく惰眠をむさぼる家族の姿が印象的だった。それは社会や他者に対する無関心のカリカチュアといえるけど、その“家族”すら“個人”にとって代わられた現在にあっては、マンションの一室は家族団らんの場ではなく、チャットや掲示板のような匿名空間と化してしまった。

孤独はイヤだけど干渉されたくない、干渉されるのはイヤだけど誰かとは繋がっていたい、イヤなら去ればいいし居たければ笑っていればいいという、なあなあで居心地が良いかわりに真実味のない上辺だけの付き合いの場。

しかし一方では、ヘリの音がすれば目を覚まして外をのぞき見るし、隣の住人が怪しいことをしていると思えば詮索してみたりと、自分たちのテリトリーの外には人一倍好奇心旺盛だったりする。

まさにその他大勢が跋扈する“世間”と仮装して仮面をかぶった彼らとは本質的には変わらないのだ。

しかもその自分たちのテリトリーであっても匿名と実名の狭間にあるという危ういバランスの中にある。しかし、彼らにとってはそれが予定調和の日常に安住するための強固な土台となっているのだ。

そこらへんのビミョーかつ絶妙な若者の距離感をこの映画は非常にうまく描き出していたと思う。

そして、仮装行列“パレード”に仮面を付けずに闖入してきた男娼のサトルによって彼らの匿名性が徐々に引きはがされていき、ついには直輝が仮面を取っ払おうとしてそのバランスが崩壊するのかと思いきや、「それでも今まで通り仮装行列を続けていくよね?分かってんだろKY男!」というラストの同居人たちの刺すような冷めた視線は強烈だった。

赤信号みんなで渡れば怖くない的な、ゆるそうに見えて実はスゴイ窮屈な運命共同体だったのか。

自分含めて現代人がストレス溜まりまくりなのも道理なわけだ・・

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ばしゃ馬さんとビッグマウス(2013年・東映・119分)WOWOW

 監督・脚本:吉田恵輔

 出演:麻生久美子、安田章大、岡田義徳、山田真歩、秋野暢子、松金よね子、井上順

 内容:学生時代から脚本家を目指すも一向に芽の出る気配のない34歳の馬淵みち代(麻生久美子)は、友人を誘ってシナリオスクールへ通うことに。するとそこで、超自信過剰な28歳の自称天才脚本家・天童義美(安田章大)と出会う。ものの見事に対照的な2人だったが、天童はばしゃ馬のように頑張り続ける馬淵に一目惚れ。対する馬淵は、口先だけの天童を毛嫌いしていたが・・・。

評価★★★☆/70点

この映画のシナリオがコンクールの1次予選を通過するとはとても思えないんだけどw、何気ない日常をイタイ笑いに切り取っていく描写力はグランプリ級!

ちょっとした会話の間や表情、雰囲気など微妙なニュアンスを的確につかみ取るさりげない演出を一貫して持続できる才はなかなかのもので、なにより役者のオーラを消し去る容赦のなさは唯一無二。

それにより、自分は特別な何かなのだと頑なに信じ込む何ものでもない者のどんぐりの背比べと傷の舐め合いに生々しいリアリティが生み出されている。

そして、ばしゃ馬さん(麻生久美子)とビッグマウス(安田章大)のこじらせぶりのいたたまれなさがどこか身に覚えのある自分に跳ね返ってきて、見ていて笑えるんだけど切なくてツラくなってくるんだよね・・・。

でも、この映画の教えてくれる教訓は、自分をさらけ出さないと夢をあきらめることを肯定して真に前に進んでいくことはできないってことなのだろうけど、誰に吐き出すでもなく人知れずフェードアウトしていった自分はあの2人に比べたらよっぽどカッコ悪いよなぁ、、と身につまされていくのは自分だったというオチ・・

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中学生円山(2013年・東映・119分)WOWOW

 監督・脚本:宮藤官九郎

 出演:草彅剛、平岡拓真、鍋本凪々美、刈谷友衣子、YOU、ヤン・イクチュン、坂井真紀、仲村トオル

 内容:妄想癖のある中2の円山克也は両親と妹と団地住まい。今日も頭の中はエロい妄想でいっぱいの克也は前々から“エッチなあること”を成就するために日夜柔軟体操に励んでいる。そんなある日、仕事はせずベビーカーを押しながら団地をうろつく謎めいたシングルファーザーの下井が上階に引っ越してくる。そしてほどなくして、団地で殺人事件が発生。克也は下井が犯人ではないかとの妄想に取り憑かれていくのだが・・・。

評価★★★/60点

神が人間に与えたもうたオマケみたいな力=妄想を人並み以上に持ち合わせている自負はあるものの、あのような目的の屈伸運動にいそしんだこともなければ試してみたいと思ったことすらない自分としては(笑)、この中2のガキに共感しうるところはあまりなかった。

まぁようするにプロットの1つ1つがツマラなかったといえばそれまでだけど、悪ノリと悪ふざけと映画的でたらめさだけで出来ているかんじでイマイチ乗り切れなかった。

唯一、「息もできない」のヤン・イクチュンが出てくる韓流くずれネタはウケたw、、ってそれもちょっと悲しいな。。

うーん、、クドカンの映画畑でのクリエイティブな仕事はもう底が見えたかなぁ・・。小ネタの天才であることは疑う余地はないけど、映画という枠内で大きな物語を描くことにかけては凡庸なのだということで、やっぱこの人は舞台とテレビの人なんだと思う。

あまちゃんでクドカンワールドに初めて触れた年配の人はこれ見て卒倒するだろうなww

2016年1月 2日 (土)

夢のシネマパラダイス487番シアター:P.S. I LOVE YOU

her/世界でひとつの彼女

24036_l出演:ホアキン・フェニックス、スカーレット・ヨハンソン(声)、エイミー・アダムス、ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルド、クリス・プラット

監督・脚本:スパイク・ジョーンズ

(2013年・アメリカ・126分)WOWOW

内容:近未来のロサンゼルス。他人に代わって手紙を書く代筆ライターのセオドアは、妻キャサリンと離婚調停中。そんなある日、最新の人工知能型OSを購入したセオドアは、さっそくPCにアップデートする。すると起動した画面からサマンサと名乗る女性の声が話しかけてきた。実体はないものの、ユーモラスかつセクシーでバイタリティーに満ち溢れるサマンサに魅了されたセオドアは、毎日会話を重ねていくうちに恋に落ちていくのだが・・・。

評価★★★/65点

腕時計、メガネ、リストバンド、指輪など身につけられる次世代の携帯機器として注目を集めるウェアラブル端末。コンピューター技術を“身につける”ことが現実的になった今、ハード・ソフトともに進化していき、社会に定着し生活を変えていくであろうことは想像にかたくない。

その点で本作を見ると、インナーイヤホンをつけて超小型モバイルPCと会話方式で通信し様々な機能を利用できることをはじめとして、あと5年後10年後には実現しているんじゃなかろうかと思える手の届きそうな近未来社会が描かれ、違和感なく映画の世界に入っていくことができる。

その意味で人工知能を搭載した次世代OSに恋をするというのも、主人公となるプレイヤーが異性のキャラクターと恋に落ちる恋愛シミュレーションTVゲームを一歩進めたような未来設定であり、これまた将来ありそうかもと思わせてくれる。

しかし、肝となるのはコンピューターに自我があるという点なんだけども、その発想と着眼点が視覚情報を完全に遮断した会話劇以上の何か、新次元の驚きに導いてくれたとはいいがたく・・・。

要はテレクラとかチャットと変わんないよねっていう

果てはデリヘル呼んで3P!?っていうのもオタクの妄想としてありがちだしw

まぁ、サマンサはもともとユーザーの好みに最適化されたOSなだけに、理想の恋人と思い描いた通りの恋愛ができるという、いわば二次元恋愛の妄想の具現化といえるわけだけど、自我をもったサマンサがユーザーの束縛から自立していくのは納得のいく展開ではあるんだけどね。。

ただ、非モテ男子の自分からすると、サマンサが自分の他に640人の彼氏がいるとかってかなりショックで(笑)。

それだったら、自分に一途になったサマンサが最恐の電脳ストーカーになるホラー話の方がよっぽど見たかったかなぁww

さて、ところでサマンサ役で声だけ出演のスカヨハの評価がすこぶる高かったそうだけど、吹き替え好きの自分はそっちの方で見たのでスカヨハのセクシーなハスキーボイスに触れることはできなかった。

でも、吹き替え版の方のサマンサもめちゃくちゃ良くて。落ち着いた大人の女性のしっとり感と色気たっぷりの包容力にメロメロになって妄想力も大開放!

で、声をあてたのが林原めぐみだと知ってまたビックリ。綾波レイがアラサーになるとこうなっちゃうんだっていうw

いやぁ、こういう声だったら自分もこの次世代OS欲しいわ。

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ロング・エンゲージメント

013 出演:オドレイ・トトゥ、ギャスパー・ウリエル、ジャン=ピエール・ベッケル、ドミニク・べテンフェルド

監督・脚本:ジャン=ピエール・ジュネ

(2004年・フランス・133分)MOVIX仙台

評価★★★/65点

内容:時は第一次世界大戦。故意に負傷しサボタージュを図ったという罪で5人のフランス兵が軍法会議で死刑を宣告された。その中にはマチルドの幼なじみの婚約者マネクの名も。しかし、マチルドは「マネクは絶対に生きている」と直感し、私立探偵を雇い、彼の捜索を続けるのだった。。

“冒頭でいきなり電話線に足を引っ掛けてズッ転んだ自分は、置いてきぼりをくらってペースをつかむことができないまま鑑賞を終えようとしていた。。”

戦争のリアリズムと“アメリ”ファンタジーが共存した映像美と、これはフランス版「初恋の来た道」だという自分の直感だけを頼りになんとか見続けていたわけで、それはもはやヤケのやんぱち状態といってもよかった。

その中でかろうじて抱いた感想は、戦争を舞台にしたミステリー仕立てという今まであまり味わったことのない題材に、ある種の戸惑いと違和感を覚えてしまったということと、弾が飛び交う戦場という残酷なまでのリアリズムを軽く凌駕してしまうマチルド=オドレイ・トトゥワールドの不思議な魅力しか印象に残らなかったということだ。

しかし、この彼女の一途な魅力がなければ2回も劇場に足を運ぶことはなかっただろう。

そして、2回目の鑑賞と相成ったわけだが、登場人物の顔と名前が一致して話についていきながらミステリーの謎解きも理解できるに至っても、やはり1回目のときに抱いたのと同じ感想しか持てなかったのだった・・。

なんと言えばいいのか、うまく言葉が浮かばないが、同じような映画で「戦火の勇気」はフツーに何の違和感もなく見られるのに、略してロンゲーの方には違和感を抱いてしまうわけで。

人物が複雑に入り乱れてわんさか小道具が出てくるわりに、フタを開けてみれば何てことはないミステリーだったし、そもそものところミステリーにする必要があるのかという疑問も湧いてきてしまう。

なにか複雑にこんがらかった糸をただ単に一本に引き伸ばしただけで、知恵の輪を外す時のような発想の転換、角度の転換といった醍醐味が感じられなかったのが大きいのかもしれない。

一見無秩序に配置された人物たちがマチルドの直感の糸で結ばれていく様は、まるで紙の上で始点と終点を鉛筆で線を引き、その線上に後からなぞっていくような、そんなインチキ臭さを覚えてしまった。

しかし、このインチキ臭さをマチルド=オドレイ・トトゥの不思議で圧倒的な存在感とピュアな魅力が完全に消し去ってしまっているのがなんともズルイ。

しかも、、、それにまんまと取り憑かれてしまった自分は思ったほどイヤなかんじはしなかったわけで、いやそれ以上に爽快かつ心が暖まる余韻でもってこの映画を見終えたのがまたなんとも不思議でならないのだ。

しかし、また見たいかと言われれば、、、うーむと黙りこくってしまう以外にない自分がいて、二律背反にさいなまれてしまっている・・。こういうのを本当の意味で、良くもなく悪くもなくと言えばいいのかな。。

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エターナル・サンシャイン

Eternalsunshine2704regus 出演:ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、キルスティン・ダンスト、マーク・ラファロ

監督:ミシェル・ゴンドリー

(2004年・アメリカ・107分)DVD

評価★★★★/80点

内容:バレンタインを目前にしたある日、ジョエルの元に謎の通知が届く。それは、喧嘩別れした彼女クレメンタインが彼の記憶をすべて消してしまったというものだった。別れの辛い気持ちを体験するくらいなら、最初から出会わない方が良かったのか?彼は自分も彼女の記憶を失くそうと、記憶除去を専門とするラクーナ社を訪れるが・・・。記憶の中に残る共に過ごした日々を辿っていくユニークなラブストーリー。アカデミー賞で脚本賞受賞。

“この映画の両輪が逆回転しているように見えたのは、実は目の錯覚だった。そう、高速で回転している車のタイヤを見たときのように。”

逆回転しているように見えたが、実は前に進んでいたんだね。

再スタートというやり直し地点に立ったジョエルとクレメンタイン。しかし、その再スタート地点は最初のスタート地点よりもはるか前方に進んだ地点に確かにあった。

重層的にまとめられているようで、何ものにも侵すことのできない愛と想いの強さという一本太っとい芯が通っているのがこの映画に絶妙なバランスをもたらしていた。

文字通りどこから見ても逆回転したままの「メメント」はもう見ることはないだろうし、見る気も起きないが、この映画は同じ逆回転でもまた見てもいいと思わせてくれる映画だ。

運命の赤い糸に導かれて・・・。

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キューティ・ブロンド(2001年・アメリカ・96分)NHK-BS

 監督:ロバート・ルケティック

 出演:リース・ウィザースプーン、ルーク・ウィルソン、セルマ・ブレア、マシュー・デイビス

 内容:大学一の人気者エルは明るいブロンド美人だが、ブロンドゆえ恋人にフラれてしまう。エルは「金髪は頭が悪い」というレッテルを解消しようと猛勉強し、ハーバードのロー・スクールに進むが・・・。

評価★★★/65点

一貫して偏差値40で描かれたエル。しかし彼女の人間力は痛快なまでのオンリーワンだった!

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幸せになるためのイタリア語講座(2000年・デンマーク・112分)NHK-BS

 監督・脚本:ロネ・シェルフィグ

 出演:アンダース・W・ベアテルセン、ピーター・ガンツェラー、ラース・コンルード

 内容:コペンハーゲン近郊の街。それぞれの事情で日常に疲れていた独身男女6人が、週1回のイタリア語講座で出会い、次第に人生と恋への希望を取り戻す。。ベルリン映画祭で銀熊賞ほか全4部門を受賞。

評価★★★/65点

“結局、髪切ってくれない美容師さん。。”

6人の男女の痛みや喪失、愛を描いた物語がやや散文的な乏しさで語られちゃってて、ハンドカメラの効用がやや意味のないものに陥ってしまっているのは否めない。

でも、中年オジさんオバさんたちが幸せになるために悩み傷つき孤軍奮闘する様は見る側の心にもちゃんと迫ってきた。

やっぱ恋しないとな、オレ・・・

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ウィンブルドン(2004年・英/仏・99分)WOWOW

 監督:リチャード・ロンクレイン

 出演:キルスティン・ダンスト、ポール・ベタニー、ニコライ・コスター=ワルドウ、ジョン・ファブロー

 内容:「ブリジット・ジョーンズの日記」の製作陣が手がけたロマンチック・ラブストーリー。テニス選手としてのピークを過ぎたピーターは、引退を決意。一方、リジーは将来が有望視される上り調子の若手プレイヤー。テニスの聖地ウィンブルドンで2人が出会ったとき、恋の天使が微笑み、運命が動き出す!

評価★★★★/75点

“カジュアルウィンブルドンも悪くない。”

小・中・高とテニスをやっていた自分から見ると明らかに試合シーンは作りもの感が強いのがありありで、あくまでも“らしく”見える程度でしかない。

しかし、その“らしく”見せる演出がまるでラケットの真芯に当てて最適なコースに打ち返すかのごとく的確にツボを押さえていて、受け止める方の自分は、作りもの感に辟易してしまうどころか、ウィンブルドンのセンターコートで固唾を飲んで観戦している感覚にさえなってしまう。そこが凄く上手いと思う、この映画は。

曇天と格式のウィンブルドンを、降りしきる雨でさえも明るいリズムで弾けてしまうほどカジュアルに描いたことには最初は少々面食らったけど、ポール・ベタニー&K・ダンストのキャラクターも相まって非常に楽しく見ることができた。

それにしてもテニスでも試合前のエッチ問題ってあるんだね。。おいおい・・

いや、サッカーのW杯って1ヶ月間くらい開催期間があるじゃん。そしたっけ南米のとある強国で、規律に厳しい監督が選手たちの奥さんを同伴させることを禁止したの。そしたら選手たちが鬱憤たまり過ぎて試合でいいパフォーマンスが出なくて敗退。これを教訓にその国は奥さんも派遣することにしたというウソのようなホントの話。

いや、どうでもいいんだけどね、こんな話(笑)。。

2015年11月 9日 (月)

夢のシネマパラダイス598番シアター:ぺコロスの母に会いに行く

ぺコロスの母に会いに行く

Img_0出演:岩松了、赤木春恵、原田貴和子、加瀬亮、竹中直人、大和田健介、原田知世、宇崎竜童

監督:森崎東

(2013年・日本・113分)

内容:ぺコロス(小玉ねぎ)のようなハゲ頭が特徴の売れないバツイチ漫画家・岡野ゆういちは、地元長崎で母みつえと息子まさきと気ままに暮らしている。ところが夫に先立たれて以来、みつえの認知症が進行していた。そのため、ゆういちは悩んだ末にみつえを介護施設へ預けることにするが・・・。

評価★★★★/80点

認知症が原因による徘徊などで行方不明になった老人が年間1万人(うち死亡350人、未発見200人)を超える中で、「ボケるのも悪いことばかりじゃない」とはそう簡単に言えることではないと思うけど、温かな親子の絆と幸せな介護のひとつの理想型を見せてもらった気はする。

特に親を施設に預けることがどこかで親を置き去りにして逃げていくという罪悪感を感じさせるところは、後々訪れるであろう親の介護なんて普段頭の中にない自分にとっては思ってもみないことだったし、心がキュッとせつなくなってしまった。

最初はコミカルなユーモア描写のぬるさに軽いかんじで見始めたけど、ぺコロスが母親を介護施設に預けるシーンから俄然この映画は重みを増したと思う。

しかし、認知症を扱ったTVドキュメンタリーなどを見ると、介護する側にとって1番ツライのは、症状を発症した肉親の変貌だという。

そのドキュメンタリーでは、認知症の母親を30歳になる娘が自宅介護していて、娘のことを思い出せない母親から時ならず向けられる暴力や罵詈雑言に憔悴しきっているのを見て逆にこちらの心が折れそうになったけど、しかしその中でも笑顔が1番の良薬だと信じて母親に付き添い続ける娘の姿には、もし自分だったらあんなに激しい言葉と抵抗を見せる母親の変貌ぶりを前にありのままの自分でいられるだろうかとかなり不安になってしまった。

ツラくて苦しいことの方が多く忍耐が必要であろう介護において、ありのままの自分でいることと笑顔がなによりも大事なのだろうと思う。

その点で今回の映画は、“ありのままの自分”と“笑顔”というキーポイントを余すことなく取り入れて描き出してくれたと思う。母親に自分のことを思い出してもらうためにハゲ頭を差し出すぺコロスと、カツラを付けているため母親に他人と思われてわめき散らされる竹中直人は好対照だったし、至るところにユーモアが散りばめられていて、辛い現実を受け入れた上で笑い飛ばそうという心の強さをしっかり描けていたと思う。

一青窈のエンディング曲も良かった。

で、最後に行き着くのは、ボケるなら笑顔でボケようww!

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0.5ミリ

20141018011946出演:安藤サクラ、柄本明、坂田利夫、草笛光子、津川雅彦、織本順吉、木内みどり、東出昌大、ベンガル、浅田美代子

監督・脚本:安藤桃子

(2013年・日本・196分)WOWOW

内容:介護ヘルパーの山岸サワは、派遣先の家で不祥事を起こしてしまい解雇されてしまう。住む所も失い、一文無しで途方に暮れるサワは、カラオケ店の受付でまごつく老人に便乗し、強引に同室となって楽しく一夜を過ごす。味をしめた彼女は、その後も駐輪場の自転車を次々とパンクさせている老人や、本屋でエロ本を万引きしようとしていた老人など、行く先々で孤独そうな老人の弱みを握っては、一方的に押しかけて住み込みで身の回りの世話をしていくのだったが・・・。

評価★★★/65点

200分休憩なしで映画を見るというのはかなりの体力を有するのだけど、それに見合った対価をこの映画から得られたかといえばちょっとビミョー

最後まで飽きずに見れはしたけど、頭に残ったのは戦争はいけないっ!ていう説教のみ

ただ、ボケ老人になっても悲惨な戦争体験だけは忘れることはできないという主張は、くどさはあるけど今のご時世において心に響いてくることではある。

あとは、何といっても安藤サクラ。

基本狂言回しとしての役回りなんだけど、赤の他人のプライベート空間に土足で上がりこみ食い物にしながらも、孤独な老人たちの凝り固まった心のすき間、その0.5ミリの鍵穴に入り込み頑なに閉じられた心の扉を開け放っていく。介護を偽善でも善意でもなく特別視せずに家事のひとつとして扱う彼女の姿が怖いくらいに自然体で、それが映画にとてつもない説得力を生み出していたと思う。

結果的に、安藤サクラの怪女優ぶりを堪能する200分はそんなに悪くなかったw

2015年9月 3日 (木)

夢のシネマパラダイス419番シアター:舟を編む

舟を編む

Poster出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、池脇千鶴、伊佐山ひろ子、八千草薫、小林薫、加藤剛

監督:石井裕也

(2013年・日本・133分)WOWOW

内容:1995年。玄武書房営業部に勤める馬締光也(松田龍平)は、真面目だけが取り柄の落ちこぼれ社員。そんなある日、彼は大学で言語学を専攻していたことを買われて辞書編集部に異動することに。そこでは松本教授(加藤剛)のもとで見出し語が24万語という辞書『大渡海』の編纂が進められていた。しかし、ベテラン編集者・荒木(小林薫)はもうすぐ定年で、あとはお調子者の西岡(オダギリジョー)と契約社員のおばさん(伊佐山ひろ子)だけという苦境にあった。そんな中で馬締は辞書作りに没頭していくのだった・・・。

評価★★★★/75点

あまりにも誠実で優しく、あまりにも素直で生真面目な原作をそのまま映画にしたらひたすら地味な作品になっちゃうのではないかと思ってたけど、まさにそのまんまだった(笑)。

ただ、地味で舌足らずな中にも、1冊の辞書を作るために費やされる15年という時の流れを実感させるだけの人々の思いや成長の軌跡というのはしっかり描けていたし、性的な匂いが全くしない聖母マリア化した宮崎あおいwが映画に華を添えていて清々しいピュアな作品に仕上がっていたと思う。

でも、かぐやちゃんがどうやってマジメ君を好きになったのかがこの描写だと永遠の謎で(笑)、なんかホント空から天使が舞い降りてきたみたいなかんじで、マジメ君のような根暗でモテない自分は激しく嫉妬してしまった

しかし、辞書作りがこれほどまでの時間と労力を使うものだったとは思わなかったけど、しかもあんな少人数しか携わらないというのも驚きで、そりゃ15年かかるだろっていうww

なんかトヨタ方式のカイゼンを取り入れたくなってくるようなかんじだけど、効率とスピードばかり重視される今の世の中において忘れられがちな大切なものを思い出させてくれるという意味でも心に残る映画ではあったかな。

よーし、オレはあんな達筆な恋文じゃなくて、ちゃんと言葉で愛を伝えられる相手をまずは見つけるところから始めるぞーそこからかよっ!

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の・ようなもの のようなもの(2015年・松竹・95分)WOWOW

 監督:杉山泰一

 出演:松山ケンイチ、北川景子、伊藤克信、尾藤イサオ、でんでん、野村宏伸、内海桂子、三田佳子

 内容:30歳で脱サラして落語家になった出船亭志ん田は、師匠・志ん米の自宅に住み込み修行中。真面目すぎるのが災いして芸はなかなか上達せず、思いを寄せる師匠の娘・夕美からもけちょんけちょんに言われる始末。そんなある日、先代師匠の十三回忌追善公演が迫る中で後援会長が、落語家を辞めたあと行方知れずの志ん魚(しんとと)の噺が聞きたいと言い出したからさぁ大変!志ん田お前探しに行ってこーい!となるのだが・・・。

評価★★★/65点

下っ腹が出て無精ヒゲを生やしたうだつの上がらない中年親父になった志ん魚(伊藤克信)の変わりっぷりに35年の時の流れを否が応にも感じざるを得ないけど、映画を流れる温かく優しい眼差しは変わることなく、人情味あふれる作品になっていたと思う。

特に、新味がないことが味わいを深める逆説的要素を持つ今作において、志ん田役の松山ケンイチが森田ワールドの遺伝子のバトンを器用に引き継いでおり、あざとさを感じさせないのが良かった。

また、秋吉久美子が出ていないことだけは合点がいかなかったけど、前作のキャスト陣や森田作品ゆかりの面々が顔見世興行的に出てきて、ほぼスジなしの同窓会映画にもなってて見ていてほっこりできる。

しかし考えてみれば、いち監督に対するオマージュ作ってなかなか無いから、よっぽど慕われてた監督さんだったんだね。

これぞ映画愛!

ただ、これだけは言っとく。ホントに新味はないし、中身もない(笑)。。

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の・ようなもの(1981年・日本・103分)WOWOW

 監督・脚本:森田芳光

 出演:伊藤克信、尾藤イサオ、秋吉久美子、麻生えりか、でんでん、加藤治子

 内容:東京の下町。駆け出しの若手落語家・志ん魚は、23歳の誕生日に風俗へ行き、そこで相手をしてくれたエリザベス嬢と友達以上恋人未満のような関係になる。さらに、講師として出向いた女子高の落研で出会った由美のことを好きになり、付き合うことに。が、デートの帰りにお邪魔した彼女の家で披露した落語は相手の親からダメ出しを食らってしまう始末・・・。

評価★★★/60点

これが80年代のセンスなのかといえばそれまでだけど、78年生まれの自分には感覚だけで撮られたような森田演出はシュールすぎてなかなかに付いて行きづらいw

ていうかこれってデビュー作なのか!と考えれば、まだ洗練されていない恥ずかしいくらいの森田監督独特な感性の原液をポタポタと垂らしているようなかんじで見る価値はあるかな。

まだ暗い明け方の東京をトボトボと歩き続ける主人公の姿を見て、青春のあてのなさは伝わってくるしね。

でも結局そんなことよりも頭に残るのは、おすぎとピーコ調の小堺一機&関根勤コンビと、大事なとこが見えそで見えない秋吉久美子の肢体なのだった

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しゃべれども しゃべれども

Photo_top出演:国分太一、香里奈、森永悠希、松重豊、八千草薫、伊東四朗

監督:平山秀幸

(2007年・日本・109分)シネマズグランベリーモール

評価★★★/65点

内容:東京の下町。二つ目の落語家・今昔亭三つ葉は、若手のくせして頑なに古典落語に情熱を注ぎ込み、普段から着物を羽織っている珍しいタイプの噺家さんだったが、真打ちになれずに今ひとつ伸び悩んでいた。そんな三つ葉は、ひょんなことから落語を使った話し方教室を始めるハメになってしまう。そこに集まってきたのは、美人だがめちゃくちゃ無愛想な女性・十河五月、関西弁を笑われていじめられている大阪から引っ越してきた転校少年・村林優、コワモテでアガリ症というプロ野球解説者・湯河原太一。集まるたびに言い争いが絶えない彼らだったが・・・。

“人情と温かさが肝心の可笑しみにつながっていかないもどかしさにイマイチはじけず・・・。”

かれこれ15年くらい前、高校生の時に学校で文化芸術鑑賞会というのがあり、春風亭柳昇の落語を生で聞いたことがある。

軽妙でトボケたような語り口に、体育館に集まった全校生徒が爆笑の渦に巻き込まれるほど面白かったことを覚えているのだが、しかし悲しいことに落語で笑ったのはこれ以降一度もない・・・。

そういう意味では、今回この映画を観るにあたっては落語の面白さを再確認したいなという期待感を強くして観たのだけども。

しかし、フタを開けてみたら、映画自体がうだつの上がらない二つ目といった趣だったような・・・。

いや、良作には違いないんだ。でもなんだろ、クソ真面目に実直すぎる語り口が、いや、もうちょっと笑わせてくれよみたいな。。

なんか古典芸能たる落語を扱った映画としては敷居の下げ方を間違えてるような、そんな違和感を抱いちゃったな。

現代の特に若者に共通してみられるディスコミュニケーションの問題を、ことばを操るプロである噺家の落語とリンクさせて描こうという切り口はすごく面白いのだけど、この映画観ると落語である必要があまり感じられないというか・・・。

それこそ同じ香里奈が出てた「深呼吸の必要」のさとうきび畑の収穫作業の方がよっぽどうまく描けてると思う。

特に刺すような鋭い目つきが印象的だった無愛想の塊みたいな十河五月(香里奈)のラストの笑顔に変わっていく過程が、唐突な飛躍で分かりづらかったし説得力に欠けるというか。なんかね・・・。

実直で優しい映画にイチャモンつけるのはあまり本意ではないけど、もうちょっと可笑しみを期待していただけに自分としてはややギャップがあったかな、と。。

国分くんをはじめ役者さんたちも脇役を含めて皆がんばっていて良かったのだけど、例えば三つ葉の一世一代の見せ場である「火焔太鼓」も、国分くん落語がんばっててスゴイなぁ、、、止まりとしか感じられないのが、この映画の限界を如実に示しているのかもしれない。

ただ、佐藤多佳子の原作はものすごく読んでみたい気にはなった。

“ことば”がテーマなだけに彼女自身の言の葉で綴られた作品で、直に感じてこの映画の穴埋めをしたいと思います。

あと、「まんじゅうこわい」「火焔太鼓」を通しで見てみたいな。

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深呼吸の必要(2004年・松竹・123分)NHK-BS

 監督:篠原哲雄

 出演:香里奈、谷原章介、成宮寛貴、金子さやか、久遠さやか、長澤まさみ、大森南朋

 内容:沖縄のとある離島。本土とは比べものにならない陽射しが降り注ぐ2月下旬、さときび畑の収穫期恒例のアルバイト“キビ刈り隊”の募集に集まった5人の若者たち。彼らは農家で寝食を共にして35日間で約7万本のさとうきびを刈り取らなければならない。しかし、全くの初心者である5人は慣れない仕事にもたつくばかり。さらに、キビ刈り隊の常連の男の偉そうな振る舞いに5人は苛立ちを募らせていき・・・。

評価★★★★/80点

「言いたくないことは言わなくてもいい」と言うおじいの家のルールに、映画自体までもが素直なほどに従順なのは玉にキズだが、日頃ため息ばかりが先につく自分にとっては一服の清涼剤になったのも確か。

要するにめちゃくちゃイイ映画なんです

2015年4月12日 (日)

夢のシネマパラダイス157番シアター:日本の家族の風景

東京家族

Poster_2出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン

監督・脚本:山田洋次

(2012年・松竹・146分)WOWOW

内容:瀬戸内の小島に暮らす老夫婦の平山周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)は、久しぶりに子どもたちに会うために東京へやって来る。郊外で開業医を営む長男・幸一(西村雅彦)と、下町の商店街で美容院を営む長女・滋子(中嶋朋子)はそれぞれに家庭を持ち、日々の暮らしに追われている。そんな中、老夫婦の心配の種はいまだに独身でバイト暮らしのような生活をしている次男の昌次(妻夫木聡)のことだったが・・・。

評価★★★★★/90点

見てビックリした。

小津の東京物語の実質リメイク作といっても差し支えのないほど忠実にトレースしているとは思わなかったからだ。

しかもさらに驚くことに、そのトレースはオリジナルから60年後のスカイツリーそびえる東京を舞台とする中でも違和感なく受け入れられるほど馴染んでいて、東京物語が描いた家族というテーマが時代を軽く超越してしまうほど普遍的なものであることを今さらながらに思い知ったかんじだ。

小津ならではの朴訥なセリフ回しも最初はどうかなと思ったけど、言葉を大切にする山田節と良い意味でつながっていて良かったし。

さらに、この現代に置き換えた物語がすこぶる胸に突き刺さり心を揺さぶられることになろうとは自分でも驚いた。

いやいや、さらに驚いたのは三十路の自分が1番心に響いたのが、広島の小島から子供たちに会いに上京してきた老夫婦の所在なさだったということだ(笑)。

共感というよりは心がつまされたというべきだけど、横浜の高級ホテルに追いやられ部屋のベッドに2人でただ座って窓からじっと空を見上げるところとか、2人で手を取り合って歩く姿とか、なんか自分の親に重ねて見ちゃったのかもしれないけど泣けちゃったなぁ

かといって長男や長女が冷たい人間なわけではなく、親元から巣立って東京に出て家庭を作り懸命に生きている。自分は次男の昌次に近い年齢だけど、昌次だって自分の足で立ってしっかり生きていこうとしているわけで、それに比べていまだに親のスネかじりなパラサイトシングルの自分のなんと未熟なことか、、とメンタル落ちてしまった・・・。

さて、役者陣にも触れておきたい。

総じて女優陣の方が印象深かったけど、特に蒼井優のけなげさと中嶋朋子の悪気のない鬱陶しさが良かった。

ひとつツッコミどころがあるとしたら、やはり妻夫木と橋爪&吉行夫婦は親子には見えないこと。どう見ても祖父母と孫だろっていう

他には3.11を意図的にクローズアップしたり、最近の若いもんは~とか、この国をどげんかせんといかん!みたいな説教臭さがちょっと鼻につくこともあったけど、御年82の大おじいちゃん監督の小言と思えば気にならないww

ていうか82歳だよアータ!山田洋次ってホントにスゴイ。

家族の在り方と日本人の風景を一貫して描き続けてきた山田洋次だからこそできた現代版東京物語は深く心の奥に染み入ってきた。

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HOME 愛しの座敷わらし(2012年・東映・110分)WOWOW

 監督:和泉聖治

 出演:水谷豊、安田成美、橋本愛、濱田龍臣、草笛光子、高島礼子、石橋蓮司、宇津井健

 内容:サラリーマンの父・晃一(水谷豊)の転勤で東京から岩手の田舎町に引っ越してきた高橋一家。しかし、新しい住まいは築200年の古民家で、都会暮らしに慣れていた妻の史子(安田成美)は不満タラタラ。中学生の長女(橋本愛)も学校生活に不安を覚え、小学生の長男(濱田龍臣)も持病のぜんそくでサッカーをやりたくても出来ない日々。おまけに同居する晃一の母親(草笛光子)には認知症の症状が現れ始め、家族の中にぎくしゃくした空気が淀んでいたが・・・。

評価★★★☆/70点

舞台が地元岩手、さらに岩手山とかジョイスとかステラモンテとか岩銀とかおそらく岩手県人にしか分からない見慣れた風景がわんさか出てくるとあれば点数も甘くなるというもの。

映画では滝田村となってたけど、たぶん滝沢村(現滝沢市)のことでしょ。盛岡と滝沢の境界に住んでる身としては嬉しいかぎり♪

ただ、あの古民家のロケ地は遠野だと思うし、そこに岩手山を背景合成して、設定としてはおそらく雫石方面、小岩井農場近辺なのかなぁってかんじはした。岩手高原スキー場が映ってたし、、というこれも岩手県人にしか分からない話ww

でも、実写版ジブリといってもいいくらい癒される映像美に収めてもらえるとは地元民としては嬉しいかぎりだし、こんな素晴らしい所に自分は住んでたんだぁと岩手の田舎の美しさを再認識した。

でも、あんな築200年の曲がり家に住んでる人なんて実際いるのかどうかは知らないけど、冬をあの家で越すのはマジ厳しいぞー!って思ってたら、冬を待たずにそそくさと出て行きやがってーッ

冬の厳しさを知らずにこれ見て田舎の暮らしはいいなぁとかって、見当違いもはなはだしいからな(笑)。この映画の舞台となった季節は夏から秋口という1番住み心地の良い時期だからね。

まるで東京人が岩手に古民家の別荘持ってて夏休みの間だけ楽しみに来たみたいなズルさを感じちゃったな

ていうか早く帰りすぎ

いやまぁ、ちょっとグチっちゃったけど、見てよかったと思える映画ではあったよw

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はじまりのみち

286758_5d4932出演:加瀬亮、田中裕子、ユースケ・サンタマリア、濱田岳、斉木しげる、光石研、濱田マリ、大杉漣、宮崎あおい

監督・脚本:原恵一

(2013年・松竹・96分)WOWOW

内容:太平洋戦争のさなか、戦意高揚の国策映画を作ることを求められていた日本映画界に監督デビューした木下恵介。昭和19年に発表した「陸軍」のラストが女々しいと軍当局から批判を受け、以後の映画製作が出来なくなってしまった木下は、映画会社に辞表を提出し、失意のうちに実家の浜松へと戻る。しかし、そこにも空襲が及んでいたため、病気療養中の母親を連れて山間の村へ疎開することを決意。家族の反対を押し切り、母をリヤカーに乗せて徒歩で疎開先へ向かうことにするのだが・・・。

評価★★★★/80点

木下恵介監督のフィルモグラフィーを懇切丁寧に映し出し引用するのは映画としては反則技だと思うけど、親子の情の清らかな美しさと血も涙もない戦争への嫌悪という映画のテーマに則っていえば、この手法は正解だったというしかない。

少なくともその意図するところは非常によく伝わってきたと思う。

前者については、進軍ラッパとともに意気揚々と戦場へ向けて行進していく息子を母親が必死に追いかける「陸軍」のシーンと、息子が母親を乗せたリヤカーを戦火から逃れるために必死に引いていく今回の映画のシーンが対比としてうまく描き出されている。

また、後者についても、「新・喜びも悲しみも幾歳月」での海上保安庁の観覧式で息子の門出を見守る母親が「戦争に行く船じゃなくてよかった」とつぶやくシーンが、「陸軍」の行進シーンと合わせ鏡のようになっていて、監督木下恵介の戦争に対する一貫した姿勢がうかがえるものになっている。

劇映画としてみても、古き良き日本映画を思わせる佳品だったし、木下恵介入門映画としてみても見る価値がある作品だった。

とはいえ、この監督さんの映画ってほとんど見たことがないんだけど・・

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我が母の記

Img_11266_61883917_02c2c9出演:役所広司、樹木希林、宮崎あおい、南果歩、キムラ緑子、ミムラ、三浦貴大、三國連太郎

監督・脚本:原田眞人

(2011年・松竹・118分)WOWOW

内容:人気作家の伊上洪作は、妻と3人の娘がいるが、亭主関白で厳格な家長として家族に接していた。そんな中、洪作の妹夫婦が面倒を見ていた母・八重を洪作が引き取ることになるが、夫を亡くして以来、認知症が出始めていた。さらに、幼少期、曽祖父の愛人に預けられ親元を離れて育てられた洪作は、母に捨てられたという複雑な感情をいまだに抱えていた・・・。

評価★★★☆/70点

1スジ2ヌケ3動作という言葉がある。

良い映画を作る条件で、1番目に大事なのはシナリオで、2番目が撮影、3番目が役者の演技ということなのだけど、この3つが完璧に揃った映画にはめったにお目にかかれるものではない。

しかし、この中の1つでも突出していれば映画としての面白さと見応えは格段に増すというもので、1スジでいえば三谷幸喜が真っ先に思い浮かぶ。

では2ヌケは?ということになると、ここに入ってくるのが原田眞人なのである。

群像劇を描ける数少ない映画監督である原田眞人は、特に室内における奥行きを意識した空間演出と、陰影に厚みを持たせた格調高い画作りが特色で、その中で3動作となる役者はまるであらかじめ決められた動線に従うかのような動きをする。自由を与えられているのはカメラだけで、その統制の取れた演出は歴史劇としての様式美と群像劇としてのダイナミックさが両立した骨太な舞台空間を生み出す。

そこで今回の映画を見ると、邸宅や別荘など比較的狭い空間を主としたホームドラマという点で新境地を開いていると思うのだけど、ここでも演出力が違和感なく発揮されているのは見所だし、予定調和に抗うかのような役者陣のアンサンブルは見事にハマっていたと思う。

しかし、2ヌケは完璧なのだけど、1スジが庶民には理解しにくい浮世離れした家庭環境なので感情移入しづらかったというのがあって・・。主人公の少年時代をもうちょっと多くカットバックしてくれてもよかった気がする。

まぁ、個人的にはセーラー服から喪服まで着こなしてしまう宮崎あおいを見れただけで十分だけどねww

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間宮兄弟

Mo4255_f1出演:佐々木蔵之介、塚地武雄、常盤貴子、沢尻エリカ、北川景子、戸田菜穂、中島みゆき

監督・脚本:森田芳光

(2006年・日本・119分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:東京の下町のマンションで一緒に暮らしている間宮兄弟。兄・明信(佐々木蔵之介)はビール会社の商品開発研究員。弟・徹信(塚地武雄)は小学校の校務員。商店街を歩くときは必ずグリコじゃんけんをするような間柄の2人は、横浜ベイスターズの試合をスコアをつけながらテレビ観戦したり、ポップコーン片手にDVD観賞したり、紙飛行機を作って飛ばしたりといつも一緒に行動しては楽しく暮らしていた。で、2人に足りないものは恋人・・。そこで2人は、弟の働いている小学校の葛原先生(常盤貴子)と、兄の行きつけのレンタルビデオ屋のバイト店員・直美(沢尻エリカ)をカレーパーティに招くのだが・・・。

“中島みゆきのお腹の中から生まれてくるのは間違いなく間宮兄弟だ!”

パッと感想が思い浮かばないほどにつかみどころがなく、しかし今まで感じたことがないような魅力にあふれた、なんとも不思議な映画だった。

まるで移動図書館ばりに部屋の中をグルリと取り囲む本棚に整然と並べられたバラエティに富んだ本の数々から推測される趣味や興味の範囲の広さ、また、ちゃんとした定職に就きそこそこの社交性もあることから、この三十路の兄(佐々木蔵之介)と弟(塚地武雄)は電車男ばりの引きこもりアキバオタクというよりは雑学好きのインドア派ということができると思う。ただ、アフターファイブを兄弟2人っきりで過ごすというところが異様なだけで・・・。

しかも、その精神構造はまるで小学校5,6年生とでもいわんばかりの、性に目覚める前の少年といったかんじで、どこかほのぼのとした懐かしさを匂わせているところが、この映画の不思議な感触につながっているのだと思う。

例えば、兄弟があれこれクイズを出し合うところなんかは、まんま自分の小学生の頃を思い出したし。父親とよく登山に行ってたのだけど、下山するまで延々と親にクイズを出し続けてたもん(笑)。

そして、その少年がそのまま大人になったらどうなるか、しかも兄弟で、、というおとぎ話のような有り得なさを、有り得るぞこれはと思わせているのが中島みゆき

このキャスティング以外考えられない。

中島みゆきのお腹の中からだったらこの兄弟も生まれてくるだろという、いやこの兄弟以外生まれてこないだろ(笑)、うん。キャスティングの妙だね。

ストーリー展開としては女性にとってはイイ人どまりのモテない間宮兄弟の生態と失恋を描いていくのだけど、ネガティブではなく幸せな空気感に満ちた日常としてとらえていて、見る方としては妙な親近感がわいてしまう。

まぁ、自分も似たようなもんだけど・・・。

弟が自分で編集したMDを憧れの人妻に手渡そうとしたら、胸のファスナーを意味ありげに下げて「MDは聴かないの。」とipodを見せながら冷たくあしらわれてしまうシーンは自分にも痛かったなぁ。自分もMD編集するの大好きだからさ。

でも、モテなくても楽しもうと思えば日常は楽しめるんだ、と生きる勇気をもらった、かなw

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故郷(1972年・松竹・96分)BS

 監督・脚本:山田洋次

 出演:井川比佐志、倍賞千恵子、伊藤千秋、伊藤まゆみ、笠智衆、前田吟、渥美清

 内容:瀬戸内海の小島で石船と呼ばれる小さな砕石運搬船を操り暮らしている石崎家。船長の精一と妻で機関長の民子、祖父の仙造と二人の子どもたち一家はささやかながらも幸せな日々を送っていた。しかし、工事の大規模化と造船技術の発展で小さな石船の仕事は割に合わなくなっていき、さらに建造から20年経つ石船の老エンジンの調子もどんどん悪くなってしまう・・・。

評価★★★★/80点

1978(昭和53)年生まれの自分は、山田洋次の撮る昭和の日本の風景を見ると、胸がキュッとしめつけられ郷愁に駆られてしまう。もうどうしようもないくらいに

自分のDNAにしっかと“昭和”が浸みついている証なのだろうけど、まだコンクリートに覆われていない土と木のある瀬戸内の島々から、それとは打って変わって都会の広島の街並みに至るまで日常風景の全てが胸に染み渡る。

映画公開から40数年。大都市への一極集中はますます強まり、過疎化はおろか地方消滅というセンセーショナルな言葉まで現実的に語られ始めている昨今。

「朝から晩まで汗水たらして働いて、何一つ悪いことしていないのに、どうしてこんな綺麗な故郷を出ていかなくてはならないのか。なぜみんな出ていっちゃうんだろうねぇ・・」という渥美清の言葉が忘れられない。

また、渥美清が良い仕事してるんだよねぇ

それにしても、あんな北朝鮮のボロ船みたいな木造船wで砕石を運んでたなんて驚きだけど、海にドバーッと落とす時の船の傾き方は異常だろww転覆するかと思った

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