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2021年1月13日 (水)

夢のシネマパラダイス611番シアター:ジャスティス・リーグ

ジャスティス・リーグ

640出演:ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ガル・ガドット、エズラ・ミラー、ジェイソン・モモア、ジェレミー・アイアンズ、ダイアン・レイン

監督:ザック・スナイダー

(2017年・アメリカ・120分)WOWOW

内容:スーパーマンの犠牲により勝利を得たドゥームズデイとの死闘から数か月。太古の地球に襲来して一度は撃退されたステッペンウルフが、3つ揃うと強大な力をもたらす“マザーボックス”を集めるために再び現れた。そこでバットマンは先の戦いで出会ったワンダーウーマンとともに超人たちのスカウトに乗り出すが・・・。

評価★★★/65点

マーベル大感謝祭=アベンジャーズの明るいドンチャン騒ぎに比べると、DC版の方はお祭り感に乏しく、なかなか乗りきれなかったかんじ。

アベンジャーズでのインフィニティストーンに似たマザーボックスとか二番煎じ感も強くてイマイチ・・。

まぁ、スーパーマンが不在というのは大きい要素だけど、全体的に暗いトーンだし、それぞれのヒーローの持つ世界観も合致しきれていなくて奥行きがなかったかなと。

けど、チームになっても暗いってのはけっこう致命的だよねw

で、この暗さは一体何なんだろうと考えてみると、ヒーローの抱える孤独を見つめた上での成長過程を今まで描けてこなかったというか、その積み重ね=キャラの歴史が浅いというところに行き着いちゃうのかなと。そういう意味では見切り発車も甚だしいかんじだったのかもしれない。

うーん、マーベルが少年ジャンプだとすると、DCは少年チャンピオンてとこなのかな(笑)。

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アクアマン

Aquamanposter出演:ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、ウィレム・デフォー、パトリック・ウィルソン、ドルフ・ラングレン、ニコール・キッドマン

監督:ジェームズ・ワン

(2018年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:ある嵐の夜、港町の灯台守が海岸に打ち上げられた女性を救助する。彼女は海底国アトランティスの女王アトランナだった。やがて2人は恋に落ち、男の子アーサーを授かるが、アトランティスからの追っ手にアトランナは連れ戻されてしまう・・。時は流れ、たくましく成長したアーサーの前にアトランティスの隣国ゼベルの王女メラが現れる。アーサーの異父弟であるアトランティス王オームが地上の人類征服に乗り出したという。アーサーはその暴走を止めるべく戦いに身を投じていく・・・。

評価★★★/60点

マーベル映画マイティ・ソーをDCに置き換えたような趣で、SFからアドベンチャーまで色々な要素を詰め込んでいるものの、文字通りどこかの海賊版レベル。デジャヴもここまでインフレーション起こすと胸焼けしちゃうねw

話の筋も魚人族vs人間がメインになるのかと思っていたら、大雑把な内輪もめの兄弟ゲンカに終始していくし。。ブラックマンタのまさかの造型含めてヴィランの印象も弱い。重力から解放された縦横無尽のアクションだけが見所だった。

でも、唯一これ見て安心したのはワンピースの実写化はたぶん大丈夫だろうってこと(笑)。

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ワンダーウーマン

34614829922_f535b237de_z出演:ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、ダニー・ヒューストン、デヴィッド・シューリス、コニー・ニールセン

監督:パティ・ジェンキンス

(2017年・アメリカ・141分)WOWOW

内容:外界から隔絶されている女性だけが暮らす島に生まれ育ったアマゾン族の王女ダイアナは、最強の戦士になることを夢見て日々過酷な修行に励んでいた。そんなある日、外界から飛来した戦闘機が墜落し、ダイアナはアメリカ人パイロットのスティーブを救出。人類世界は第一次世界大戦の最中であることを知る。その裏に軍神アレスによる人類殲滅計画があると見抜いた彼女は、その野望を阻止すべく島から出てロンドンへ向かう・・・。

評価★★★★/75点

特別ワンダーなことは何もないオーソドックスな展開ながらも、女性主人公がピンで活躍するスーパーヒロイン映画はとんと見たことがなかったので新鮮ではあった。

特に、タイトルロールを演じたガル・ガドットのセクシー一辺倒ではないアスリート的美しさを兼ね備えたカッコ良さがピカイチ✨

映画から奇異な色メガネを外させることに成功しているし、男社会のルールを全く知らないイノセントなキャラ設定も相まって、男性ヒーロー映画にはない女性ならではの柔らかさと気品と力強さのある作品に仕上がっていたと思う。

また、時代設定をハイテク満載の現代ではなく、騎馬と戦車、長槍と機関銃という近世の遺物と近代兵器が混在していた第一次世界大戦時に置いたのも上手かった。剣と盾と投げ縄を携えて身ひとつで戦うワンダーウーマンの接近格闘アクションの入門編として格好の舞台だったと思う。

まぁ、第二次世界大戦だとナチスヒトラーという絶対悪が存在するので、軍神アレス云々の入り込む余地がないってのはあるよね。

次作でもっと時代が下った時に、時代背景に合わせて彼女のキャラクターにアレンジを加えるのか、処女性の担保も含めて楽しみなところだ。

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バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

20170614115645 出演: ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ジェシー・アイゼンバーグ、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ジェレミー・アイアンズ、ホリー・ハンター、ガル・ガドット、ケヴィン・コスナー

監督:ザック・スナイダー

(2016年・アメリカ・152分)WOWOW

内容:前作(マン・オブ・スティール)でゾッド将軍と死闘を繰り広げたスーパーマン=クラーク・ケント。しかし、その戦いによって大都市メトロポリスは破壊され多くの死傷者を出し、バットマン=ブルース・ウェインも巻き込まれた友人を亡くしてしまう。そして人々の間でスーパーマン脅威論が芽生え始めるのだった。そんな中、世界を股にかける多国籍企業体の総帥レックス・ルーサーは、スーパーマンを抹殺すべく動き出す・・・。

評価★★★/60点

「ダークナイト」が複雑に入り組んだストーリーラインの中に時代の価値観やメタファーを濃密に織り込ませ、なんだかよく分からなかったけど圧倒されたからもう1回見たいと思わせられたのに対し、今作はなんだかよく分からなかったけど心魅かれるものがなくてスカスカだったからもう見なくていいやと思ってしまった。

まずもってミソの付け始めが冒頭10分のプロローグの不親切な作り方。

メトロポリス上空に鎮座し地球を乗っ取ろうとするゾッド将軍の宇宙船とバトルを繰り広げるスーパーマン。この「マン・オブ・スティール」のクライマックスをそのまま今作の冒頭に持ってくるとは露知らず、記憶の糸をたぐり寄せるのに難儀し、開始早々から半歩遅れで見るハメに陥ってしまった・・・。

いや、しかし待てよ。何の前知識もなしに見たとはいえ、数年前の映画の大団円シーンのことなんて覚えてるかフツー(笑)。こういうのは前作を見ていない人でも分かるように作らないとダメだろと思うのは自分だけだろうか!?

さらに難癖をつけるとすれば、そもそも論のところで2人を対決させるというコンセプト自体に無理があったのではないかと感じてしまった。

2人が戦う理由とか、プロモーターに徹するレックス・ルーサーの行動原理とか、あげくの果てに2人の母親の名前がたまたま同じだったから仲直りとか全てが意味不明で、ただ単に主役の座を奪われたくない花形役者同士のいがみ合いにしか見えなかった。

狂気と紙一重なおかつ悪と表裏一体な正義の危うさという00年代以降アメコミ映画のトレンドとなったサブテーマもいい加減飽きてきたし・・。

まぁ、そういう意味ではスーパーマンが映画で活躍した80年代は絶対正義が絶対悪を打ち倒すという価値観に何の疑問も抱かなかった時代だったわけで、悪が悪でいることに理由は必要なかった。

一方、バットマンが映画で活躍した90年代は絶対的な正義に揺らぎが生じ始め、何が善で何が悪なのか区別がつきづらくなっていく道徳的観念の崩壊の序章ともいえ(91年「羊たちの沈黙」や95年「セブン」などに代表される時代背景)、その中で復讐心を身にまとったコウモリ男が目には目を歯には歯を、悪には恐怖をの精神で裁きを行っていく。

つまり、根明なスーパーマンと根暗なバットマンはちゃんと棲み分けできるはずなんだけど、「マン・オブ・スティール」でスーパーマンも根暗なベクトルに舵を切ったものだから、キャラクターに対照性がなくなっちゃったんだよね。

それゆえ苦しまぎれにスーパーマンはエイリアンという別次元の問題を持ち出してきて、かえって墓穴を掘っちゃったかんじ。。

DCコミックスのヒーローチーム“ジャスティスリーグ”のスタートとしては少しつまづいちゃったかなぁ・・。

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マン・オブ・スティール

157426_02出演:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ラッセル・クロウ

監督:ザック・スナイダー

(2013年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:クリプトン星の滅亡を悟った父親に最後の希望を託され、地球へと送り出された赤ん坊。ケント夫妻に拾われ、クラークと名付けられ育てられた彼は、次第に他人とは異なる超人的な能力に思い悩むようになる。そして青年になった彼は自分探しの旅を続けていた。そんな中、クリプトン星の再建を企むゾッド将軍がクラークの存在に気づき、地球へと襲来する・・・。

評価★★★★/80点

のっけから「アバター」に寄せたクリプトン星のヴィジュアルイメージには苦笑したけど、超能力が迫害の対象になるのはX-MEN、自分の正体を簡単にバラしてしまうのはアイアンマン、自分のアイデンティティに悩みながらそれを受け入れていくのはダークナイト、というように昨今のヒーローもののエッセンスのいいとこ取りみたいなかんじになっていて、タケちゃんマンと双璧を成すwかつての根明ヒーローの面影はもはやそこにはなかった。

唯一笑えたのは、手錠をかけられて取調室に連行されるところくらいだったし。。

個人的にはクラーク・ケント=カル・エルのバックボーンがよく描けていて感情移入できる今回の根暗ヒーローの方が好みではあるけど・・。

あとは何と言ってもキャスティング。

今までのキャリアの中で家族を守るために命をかけて戦い続けてきた印象が強いラッセル・クロウと、トウモロコシ畑が最も似合う男ケヴィン・コスナーを生みの親と育ての親に、また見事に歳を重ねているダイアン・レインが包容力のある母親という贅沢な配役が、映画をエモーショナルな部分でかなり底上げしていることは間違いない。

ゾッド将軍一味との怒涛の都市破壊バトルは、例え9.11を完全払拭したことを示すにしても少々やりすぎ感は否めなかったものの、リブートものとしては上々の出来だったと思う。

2021年1月10日 (日)

夢のシネマパラダイス390番シアター:ピクサーアニメ第2倉庫

WALL・E ウォーリー

2682405328_6d3e9a8dce 声の出演(日本語吹き替え):横堀悦夫、園崎未恵、草刈正雄、小川真司、小山茉美

監督・脚本:アンドリュー・スタントン

(2008年・アメリカ・103分)WOWOW

評価★★★★/75点

 

内容:人類に見捨てられ、ゴミに埋めつくされた29世紀の地球。そこで700年もの間、黙々とゴミ処理に励んでいるロボットのウォーリー。天涯孤独の彼は、ミュージカル映画「ハロー・ドーリー」の中の登場人物みたいに自分もいつか誰かと手をつなぎたいという夢を抱いていた。そんなある日、突如着陸してきた探査船から一体のロボット・イヴが降り立った。ウォーリーはたちまちイヴに心惹かれていくが・・・。

“目は口ほどに物を言う”

人間ではないものを擬人化することにかけては右に出るものがないピクサーがたどり着いた擬人化の最終進化形。それは鼻もなければ口もない、セリフもなければ足までないツンツルテンのデジタルロボットと、汚染物質とサビがビッシリくっついたアナログロボットだった!

喜び、泣き、笑い、怒りといった感情を“目”と“手”だけで表現する。それは例えば手をつなぎたいのに言い出せないで相手の手をもどかしそうに見つめる、その仕草だけで十分に映画たりえるのはチャップリンの「街の灯」(1931)なんかにも通じるところなんだけど、映画・アニメーションの原初的な動きが普遍的な愛―愛おしさや優しさ、つまりは人の温もり―をダイレクトに伝達してくれる、そのオーソドックスな素晴らしさを再確認させてくれただけでもこの映画を見た甲斐はあったというもの。

しかも、それを無機質なロボットで表現したのだからスゴイの一言だわ。

絵柄とか世界観が自分の大好きなTVゲーム「ラチェット&クランク」シリーズに似ていて馴染みやすかったし、あとはやはり人間以上にピュアで感情豊かなウォーリーにイチコロでやられたかんじ。

足のないイヴや歩くことをやめた人間とは対照的にキャタピラをカタカタ震わせながら地に足を着けて駆け回る姿、そしてイヴを一途に想いつづけるけなげな姿に思わずホロリとさせられてしまった。

まぁ、無人と化した地球で黙々と働きつづけるウォーリーの日常を追ったシュールな前半部分にもうちょっと捻りをきかせたエピソードを持ってきて、“700年間ひとりぼっち”というウォーリーの境遇にもっとスポットライトを当ててほしかった気もするけど。イヴの登場が早すぎたような・・。

でも、こういう映画を作れてしまうピクサーはやっぱりスゴイと思う。

宮崎アニメ以外で、見終わった後もう一度見たいと思わせる作品を作ってくれるピクサー、ずっとついて行きまっせ!

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カールじいさんの空飛ぶ家

O0264039110307093801 声の出演:飯塚昭三、大木民夫、立川大樹、松本保典、松元環季

監督:ピート・ドクター

(2009年・アメリカ・103分)WOWOW

内容:古い一軒家に住むカールじいさんは、最愛の妻エリーに先立たれてからひとり孤独に暮らしていた。しかし、家が地上げにあい、立ち退かなければならなくなる。そして迎えた立ち退きの日の朝、カールはエリーと約束した伝説の場所パラダイス・フォールへ旅立つことを決意する。。

評価★★★★/75点

個人的映画会社格付けにおいて文句なしのAAAを付けられる唯一の会社、ピクサー!

今回もまた期待を裏切ることのない出来で、その信頼は揺るぎのないものに!

まず、カールとエリーのなれ初めから始まるオープニング、そして2人の幸せな夫婦生活をサイレント風につづった5分にも満たないモンタージュシーンに一気にゾッコンになってしまった。

カールじいさんが冒険ブックにあったエリーの写真を見て在りし日の思い出にふける終盤のシーンもそうだけど、絵だけで見せきる力というのはズバ抜けていて、愛らしさ、温かさ、優しさ、哀しさといった要素が全て織り込まれているその映像からは説得力と感動が喚起される。

さらにそれを強化・増幅させているのが音楽で、ここまで映像とうまく融合した珠玉の音楽というのは久方ぶりで、必要最低限のセリフしかない今回の作品において、音楽の果たした役割は非常に大きいといえよう。

そしたっけば、音楽を担当したマイケル・ジアッチーノって自分の大好きなLOSTシリーズの音楽もやってたと知ってビックリ。他にも「Mr.インクレディブル」「レミーのおいしいレストラン」なんかもやってて、なるほどそれぞれの作品の世界観を十二分に引き立てる術を心得た作曲家なんだなと。今後要注目

テーブルマウンテンに下りたあとに、いかにもディズニーらしい動物キャラが出てきた時は色合いがガラリと変わって不安になったけど、ピクサーらしい独創的な味付けが加えられていてさすがだなと思わせられたし、ひとひねり利かせたユーモアのセンスや絶妙な間の取り方など随所に巧さを感じさせるかなり完成度の高い作品なんだけども、唯一意外にあっけなく家が飛んだのにはあれっ!?てかんじだったかもw

ただ、体にホースをくくりつけて家を運ぶくだりが長かったように、飛ぶこと自体にはそこまで執着していない印象で、飛ぶというよりは浮いているといった方が的確なような気もする。

そこらへんはどうしてもジブリと比較しちゃうんだけど、チャールズ・マンツの飛行船とカールじいさんの家の空中戦はラピュタのゴリアテとタイガーモス号を思い起こさせたな。

そして最後に思うのは、自分もああいう幸せな結婚してみたいなぁ、ってこと

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トイ・ストーリー3(2010年・アメリカ・103分)WOWOW

T0008404p 声の出演:唐沢寿明、所ジョージ、日下由美、辻萬長、松金よね子、大塚周夫、永井一郎、三ツ矢雄二

監督:リー・アンクリッチ

内容:前作から12年後。アンディは17歳になり、大学進学のため寮に引っ越すことに。すでにオモチャで遊ぶこともなくなっていたアンディはウッディだけを寮に持っていくことにし、それ以外のオモチャは屋根裏にしまうことにするのだが、母親の手違いで危うくゴミに出されそうになってしまう。アンディに見捨てられたと憤慨する彼らは保育園行きを決断するのだが・・・。

評価★★★★★/100点

シリーズものの3作目はえてして方向性を間違えた凡作が多い。それはアニメ映画もまたしかり、シュレックシリーズの体たらくを見れば分かる通り、ネタ切れとマンネリによる失速から逃れるのは至難の業としかいいようがない。

そんな壁に絶対にハズレのないピクサーが挑む!というか手を出しちゃったかとゲンナリしちゃったのだけど、、フタを開けてみたらその不安は一気に雲散霧消、3作目にして最高傑作という離れ技を前にしてピクサーやっぱスゲェーッ!と拍手喝采してしまった。

なにより、めくるめくキャラクターのアンサンブルには脱帽するしかない。

10以上のキャラクターに躍動する個性を吹き込むだけでも目を見張るのに、スリンキーのバネ胴体やミセス・ポテトヘッドの右目など小道具としての特性を駆使した見せ場も工夫されていて十二分に楽しめてしまうし、ウッディがトイレの便座によじ登るときにトイレットペーパーを敷いたり細かなところまで気が利いていてつい目を細めてしまう

あとは泣かせどころ満載のストーリー!

かくいう自分は4回泣かされてしまいますた。。

冒頭からしてすでに涙腺をつかまれてしまい・・。自分たちの存在を思い出してもらおうと、オモチャ箱の中でアンディの携帯を鳴らす精一杯の努力がなんともせつなくて

いつしか忘却の彼方へ追いやられてしまうオモチャの背負う宿命に立ち向かっていくウッディたちの生き生きとした姿には胸躍らされるとともに身につまされっぱなしだったのだけど、溶鉱炉で皆で手をつないで最期を悟るところはついにこらえきれず・・

で、ラスト、アンディとの別れでさらなる追い打ちをかけられ・・w

別れが印象的な映画は、カリオストロ、ラピュタ、ローマの休日、ゴースト~ニューヨークの幻~、リトル・ダンサーなど心に焼き付いて離れない映画ばかりなのだけど、今回は最も幸せな気分に浸れる別れの映画になっていたと思う。

しかし、これで終わりかと思いきや、エンドロールでチャックルズの笑顔にとどめを刺されてジ・エンド。

世の中だけでなく様々な映画作品でもディスコミュニケーションが蔓延する中、何があってもみんな一緒!とチームプレイと絆と思いやりを前面に押し出した作風にはなんとも清々しい気持ちにさせられた。

自分の心の中に間違いなく宝物として残る映画だったと思う。

P.S. しかし、セピア調で語られるロッツォの過去のなんとせつないことよ・・。かと思えばケン&バービーのおバカコントに爆笑したり。涙あり、笑いあり、活劇あり、ドラマあり、傑作です!

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カーズ2

Cars2_03 声の出演:山口智充、土田大、大塚芳忠、朴路美、パンツェッタ・ジローラモ、福澤朗、戸田恵子

監督:ジョン・ラセター

(2011年・アメリカ・113分)WOWOW

内容:天才レーサー、ライトニング・マックイーンは、久々に故郷ラジエーター・スプリングスに帰ってきて羽根を伸ばしていたが、ひょんなことからワールド・グランプリに出場することに。そこでマックイーンは、大親友のおんぼろレッカー車、メーターをピット・クルーのメンバーとして帯同させることにする。一方、英国のスパイ、マックミサイルはある事件を追っていて・・・。

評価★★★/60点

今まで一度もハズレがなかった鉄板ピクサー、初めてハズしたかも

今回の映画を一言でいえば、めまぐるしくてせわしなくてドタバタしているといえばいいだろうか。

前作にあったノスタルジックな味わいから一転してアクション満載のカーレース映画へ変貌をとげた今作は、さらにマックイーンからメーターに視点を移してかなりのシフトチェンジを果たしているのだけれど、ただのドタバタカーレースだけをピクサーに求めるものではない自分にとってはやや消化不良。。

キャラクターの成長の深度がピクサーの真骨頂だとするならば、苦悩や葛藤からは最も程遠いムードメーカーのメーターを主軸に据えた時点で作品の風合いはガラリと変わらざるをえないわけで、そこを穴埋めするのにスパイアクションを取り入れたのは理にかなってはいるのだけど、イマイチそこに見る方としては乗り切れなかったかなと。

まぁ、アニメ映画としてのエンタメ水準をゆうに超えているのは言うまでもない出来だけど、どうしてもピクサーの場合はハードル一気に上げて見ちゃうからなぁ・・w

驚異のCG映像もまるでプレステ3でも見ているかのようだったけど、3Dを意識しすぎたあざといカットもあってちょっと気に障ったし(笑)。。

結果、今回の映画はクルマじゃなくてもよかった気が・・

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メリダとおそろしの森

O04500636org_20120418000601声の出演:大島優子、山路和弘、塩田朋子、木村有里、内田直哉

監督:マーク・アンドリュース、ブレンダ・チャップマン

(2012年・アメリカ・94分)WOWOW

内容:中世スコットランドのダンブロッホ王国。王女メリダは弓を手に野山を駆け回るのが大好きなお転婆少女で、立派な王女に育てたい母親のエリノア王妃とは衝突してばかり。そんなある日、メリダの夫選びが元で親子げんかしたメリダは家出ならぬ城出してしまう。そして森で不思議な鬼火に導かれた先で魔女と出会ったメリダは、自分の運命を変えてほしいと願うが・・・。

評価★★★☆/70点

メリダとおそろしの魔女となぜか頭にインプットされていたので、ハンガーゲームのジェニファー・ローレンスばりの弓矢の名手がカーリーヘアをなびかせながら魔女と対決するのかと思いきや、まさかくまモンと大島優子の痛快ドタバタコント劇になっているとは露知らず。

結果、爆笑させてもらったのでこの点数だけど、全体的にはピクサーらしからぬ大雑把な仕上がり。

そもそも、この映画の主人公ってメリダじゃなくて、くまモン王妃じゃんw

おてんばで勝気なメリダの成長よりもガミガミ王妃の改心の方がほろっとしたし、生シャケにむしゃぶりついたり、女性としての恥じらいを見せたりといったくまモンの演出は非常によく練られていて楽しく見られた。

あと何よりCGが凄すぎで、毛並みとか表情とかビジュアル面はさすがピクサーだけに一歩図抜けている。

まぁ、ピクサーの場合どうしても期待のハードル値を上げて見てしまうので、今回のようなお子ちゃまレベルだとガクンと評価が下がっちゃうけどw、それでも他の凡百のアニメ映画よりは断然見れてしまうのだから相変わらずピクサーには恐れ入る。

ディズニーは余計な口出しすんじゃないぞー(笑)。

といいつつ、ディズニーの「塔の上のラプンツェル」の方が出来としては上だったのはどーゆーこと!?

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ファインディング・ドリー

168779_02声の出演:室井滋、木梨憲武、上川隆也、中村アン、田中雅美、八代亜紀

監督・脚本:アンドリュー・スタントン

(2016年・アメリカ・96分)WOWOW

内容:1年前にニモ捜索の旅に同行したドリーは、相変わらず物忘れがひどいものの楽しい毎日を送っていた。しかしそんなある日、ひょんなことから幼い頃に離ればなれになってしまった家族との記憶を取り戻す。居ても立っても居られなくなったドリーは、わずかな手がかりをもとにカリフォルニアの海を目指す。そして、そんなドリーを放っておけず、ニモと父親マーリンも一緒について行くのだが・・・。

評価★★★★/75点

前作から13年経っても変わらない作風だったのは嬉しいけど、良くいえば欲を出さずに手堅く道を踏み外さなかったかんじ。悪くいえば、チャレンジ精神に乏しくボールを置きに行ったかんじ。

前作以上に人工物主体の閉鎖空間における箱庭アドベンチャーに舵を切ったつくりは、アクションが映えるとはいえトイストーリー的で新味はない。

しかし、ニワトリ並みの記憶力しかない健忘症のドリーをはじめサブキャラに至るまで、障害をキャラクター造型に意図的に取り入れているんだけど、それらはハンデではなく豊かな個性として描いているところにオーソドックスなストーリーを感じさせない面白さがあって、プラスマイナスでいえば完全にプラス。

ルイ・アームストロングの「素晴らしき世界」の使い方など音楽のセンスも良かったし、やはりさすがピクサー印の映画だったなという感想に落ち着く。

ただ、なぜ八代亜紀なんだ?てところだけは腑に落ちないw

2020年12月30日 (水)

夢のシネマパラダイス160番シアター:ヘイトフル・エイト

ヘイトフル・エイト

H8_2出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

(2015年・アメリカ・168分)WOWOW

内容:南北戦争後のワイオミング。賞金稼ぎのジョン(カート・ラッセル)は駅馬車を貸し切って、1万ドルの賞金首の女・デイジーを乗せて雪山を走っていた。そこへ、馬が倒れて立ち往生していた元騎兵隊の賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)に頼まれて、お尋ね者3人の死体と共に乗せてやることに。さらにもう1人自称保安官の男にも呼び止められて拾ってあげた一行は、猛吹雪を避けて道中にある紳士服店に立ち寄るが、そこには店番をしていたメキシコ人と3人の先客がいた・・・。

評価★★★/65点

一言でいえば、巨匠めいたタランティーノに面食らったといえばいいか。

まるでポール・トーマス・アンダーソンが撮ったと言われても納得してしまいそうなくらい絵の構図で見せまくり、格調というにはグロシーンのオンパレードなのであれだけど、牽引力のある無駄話がかすんでしまうくらいショットで見せる。

タランティーノ特有の安っぽさが無いんだよね。

それを成長といえばいいのか、いやこれってタランティーノにかぎっては退化じゃないのか(笑)!?

で、結局これって西部劇の名を借りた密室劇だったわけだけど、尺はこの長さでいいからタランティーノ十八番の時制を交錯させる手法をもっとバンバン使って、最初から密室に8人がドンッと居座った状態で通してほしかった気も・・。そうすればサスペンスとしての緊迫感はもっと出たと思うんだけどな。

こう書いてきて明らかに自分の嗜好ベクトルは、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」だったのだと気付くw

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スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

Sukiyaki 出演:伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、堺雅人、小栗旬、石橋貴明、木村佳乃、クエンティン・タランティーノ、香川照之、桃井かおり

監督:脚本:三池崇史

(2007年・日本・121分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:壇ノ浦の戦いから数百年後、山あいの寒村“湯田・ユタ”。ある時、その村に大量の金塊が眠っているという噂が立ち、平清盛(佐藤浩市)率いる平家ギャングと源義経(伊勢谷友介)率いる源氏ギャングは一触即発の状態になっていた。そんな抗争渦巻く村に、一人の凄腕ガンマン(伊藤英明)が流れ着く。両軍ともこの謎のガンマンを用心棒に引き入れるべく動き出すのだが・・・。

“犯されて、射抜かれて、舐めくり回される佳乃さま!!”

ド変態映画ですこれ。

オープニングからタランティーノが出てくる映画なんてろくなものになるわけないんだから(笑)、そこで、あっ、この映画ってそういう映画なんだとスイッチを切り換えて見れば、そこそこ楽しめる映画ではあるけど。

タランティーノの映画も、すき焼きかヤミ鍋かというくらいのB級ゴッタ煮映画なのだから、オープニングでタランティーノを出してきてこの映画の指標を示してくれたのはせめてもの救いだった。

ていうか、それがなかったら、とてもじゃないが見られないけどねw

しかし、名の知れた豪華俳優陣が嬉々としておフザケキャラを演じているのはそれだけでも見ていて楽しいものがあったのも確か。

ガトリング砲をブッ放すヘンリィ6世・佐藤浩市、LOTRのゴラムばりの一人芝居を見せる不死身の香川照之、トランスタコ踊りの木村佳乃、タマを失くしたタカさんの保毛男田保毛男・・。

その保毛男田保毛男が襲ってくるときの伊勢谷友介の素演技がこの映画1番の見せ場だったな(笑)。ってコントやん。。

血まみれの弁天を通称ダブルBと呼ばせるところなんかは、まんまタランティーノのパクリだけど、そのおバカさを払拭するかのようなルリ子・桃井姐さんのカッコ良さも特筆ものだったし。

んで1番まともだったのが大友克洋のAKIRAから命名されたアキラこと小栗旬だったけど、アニオタ・タランティーノとルリ子から生まれたのが小栗旬って、、全然ハーフになってないんですけどww。

ほいで結局1番わけの分からなかったのが伊藤英明。他のキャラに消されて何の色も出なかったな、かわいそうに。

まぁ、こういう何でもござれのB級&R指定の娯楽映画は年に1回くらいだったら見てもいいかもね。一緒に見に行った連れには大不評だったけど・・・。

でも、これを山田洋次に撮らせてたら、三池ワールドとは天地の差がある大層まともな和製「シェーン」になるんだろうなぁ(笑)。

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駅馬車(1939年・アメリカ・99分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、トーマス・ミッチェル、クレア・トレヴァー

 内容:19世紀末、アリゾナからニューメキシコまで9人の乗客を乗せた駅馬車が平原を進む。途中、若妻の出産やアパッチの襲撃などのハプニングに遭いながらも旅を続ける西部劇史上不滅の名編、らしい。。飲んだくれ医師役のトーマス・ミッチェルがアカデミー助演男優賞受賞。

評価★★★/60点

正直かったるい。。

登場人物が多いわりにはキャラが活きてないかなと。光ってたのは飲んだくれのトーマス・ミッチェルくらいなもの。

ただ、一点、モニュメントバレーのロケーションだけは最高で、自分も馬に乗って颯爽と駆けてみたいとは思った。

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黄色いリボン(1949年・アメリカ・103分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、ジョアン・ドルー、ジョン・エイガー

 内容:西部民謡をアレンジした同名の主題歌も有名な、ジョン・フォード一家総出演による叙情派西部劇。「アパッチ砦」「リオ・グランデの砦」とともにフォード監督の騎兵隊3部作を成し、これはその第2作目。またフォードにとっては初のカラー西部劇で、アカデミー撮影賞も受賞。

評価★★★/60点

正直途中までジョン・ウェインがどの役演ってるのか分からなかった。。

まっさか退役間近の老将ジイさんじゃないよな、と最初から決めかかってた自分もバカだけど。だってまだジイさん演る年齢じゃないっしょ。この時って、まだ40歳くらいだったはず。

笠智衆も真っ青だなw

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リオ・グランデの砦(1950年・アメリカ・105分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、クロード・ジャーマン・ジュニア

 内容:勇ましいアメリカ騎兵隊魂を高らかに謳い上げたジョン・フォードの騎兵隊3部作の第3作。

評価★★★/55点

西部劇としては何の取り柄もない映画だが、ただ1点、ローマ式の馬の乗り方は一見の価値あり。

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ヴェラクルス(1954年・アメリカ・94分)NHK-BS

 監督:ロバート・アルドリッチ

 出演:ゲイリー・クーパー、バート・ランカスター、デニーズ・ダーセル

 内容:1866年のメキシコ。南軍少佐のトレーンは、無法者のエリンから馬を買ったが、その馬が軍隊から盗まれたものだったため、エリンもろとも軍隊の迫撃をくらってしまう。必死こいて逃げる2人は、たまたま知り合ったデ・ラボルデエル侯爵から、伯爵令嬢マリーをメキシコのベラクルスまで送り届けるよう頼まれるが・・・。

評価★★★/65点

血塗られたようなどぎつい赤で彩られたオープニングクレジットから想像していたのとはかけ離れた中途半端さ。

名優2人のキャラとその対比が良くできていただけに残念。。

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騎兵隊(1959年・アメリカ・119分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、ウィリアム・ホールデン、コンスタンス・タワーズ

 内容:南北戦争たけなわの1863年4月、北軍の劣勢を挽回するために、グラント将軍はヴィックスバーグ攻撃強行を決意し、補給路を断つために敵陣の中にあるニュートン駅破壊を企てる。元鉄道技師のマーロウ大佐(J.ウェイン)は、騎兵隊を率いてニュートン駅に向かって出発する。彼の隊には軍医のケンドール少佐(W.ホールデン)が配属されたが、医者嫌いのマーロウとは最初っからソリが合わない。。やがて一行は南部のとある農園に宿泊することになるが、そこの女主人に作戦会議を盗み聞きされてしまい・・・。

評価★★☆/45点

甘すぎる。。

マーロウとケンドールをもっとこう極端に対峙させてほしかったんだけどなぁ。

ジョン・ウェインが女性から強烈ビンタを喰らうところが1番の見所。。

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墓石と決闘(1967年・アメリカ・102分)NHK-BS

 監督:ジョン・スタージェス

 出演:ジェームズ・ガーナー、ジェイソン・ロバーズ、ロバート・ライアン、ジョン・ヴォイト

 内容:1881年、弟をクラントン一味に殺されたワイアット・アープは、ドク・ホリデイの協力でビリー・クラントンを倒し、OK牧場の決闘は終わった。しかし、決闘の張本人であるアイク・クラントンはいつの間にか姿を消していた。その後アープは、連邦保安官に任命されて捜索隊を組織する権限を得ると、なりふり構わずクラントンを追いかけ始める。西部開拓史上最も有名なOK牧場の決闘に関係した男たちのその後の運命を描いた西部劇。

評価★★★☆/70点

西部劇でちゃんとした法廷シーンを見るとは思いもしなかった。

さらに勧善懲悪からだんだんズレていくという視点をはじめとして非常に新鮮な印象を持った。やはり実話だけのことはある。

でもまさかこんな後日談があったなんて、、やっぱり新鮮。

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ポストマン(1997年・アメリカ・177分)WOWOW

 監督:(製作のほかに挿入歌までやっちゃってます・・)ケビン・コスナー

 出演:ケビン・コスナー、オリビア・ウィリアムズ、ウィル・パットン

 内容:核戦争後の社会を舞台に、失意の人々に手紙を届け、希望を与えることで独裁者に立ち向かった郵便配達夫の勇気ある生きざまを描く近未来ウエスタン。

評価★★★/55点

薄っぺらい内容でよく3時間もたせたなぁと逆に感心してしまう。。

面白くて良い映画を作るゾ!というコスナーの心意気だけは伝わってくる・・w

夢のシネマパラダイス77番シアター:ウォレスとグルミットシリーズ

B000cs471i09 ウォレスとグルミット チーズホリデー(1989年・イギリス・23分)DVD

 監督:ニック・パーク

 声の出演(吹き替え版):萩本欽一

 評価★★★★/80点

内容:発明家の英国紳士ウォレスと愛犬グルミット。2人は大事なホリデーを前に旅行先を思案中。一息入れようとするウォレスだったが、大好物のチーズを切らしていたことに気づき、どうせ旅行に行くならチーズの美味しいところへ行こうと思いつく。そしてふと窓の外を見やると、美味しそうに輝くまん丸お月様が。さっそく、2人は宇宙船を作り、いざ月へ向けて旅立つのだった。

“チーズが大嫌いな自分でも、この作品に出てくるクランベリーチーズは食べたい!純粋に美味しそうなんだもの。”

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ウォレスとグルミット/ペンギンにをつけろ(1993年・イギリス・29分)DVD

 監督:ニック・パーク

 声の出演(吹き替え版):萩本欽一

 内容:グルミットの誕生日にウォレスは垂直の壁まで登れてしまうNASA製のその名もテクノズボンをプレゼント。しかし、それを買ったおかげで家計がヤバイ状態に。仕方なくウォレスは空いている部屋を貸しに出し、ほどなくしてかわいいペンギンが下宿することになるが・・・。

評価★★★★★/100点

未来少年コナン風ロボット、フィルム・ノワール風陰影でたたずむグルミット、赤外線、無表情なのに超絶演技ペンギンくん全て赤丸花マル二重丸。

スリル・サスペンス・ハートフルコメディがわずか30分たらずにブレンドされている、それをストレートに見せてしまう、これを傑作と言わずして何と言おう!

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ウォレスとグルミット、危機一(1996年・イギリス・31分)DVD

 監督:ニック・パーク

 声の出演:萩本欽一

 内容:窓拭きサービスの新商売を始めたウォレスとグルミット。が、ウォレスはお客さんである毛糸屋のウェンドレンに恋してしまう。しかし、この毛糸屋にはある秘密があった・・・。

評価★★★★/85点

新聞紙の質感、欽ちゃんの声、30分、グルミットの目、バック・トゥ・ザ・フューチャー風朝起き、はたまたターミネーター風サイボーグなどなど全て赤丸でっす!

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ウォレスとグルミットのおすすめ(2002年・イギリス・35分)DVD

 監督:ロイド・プライス、クリス・サドラー

 声の出演:萩本欽一

 内容:発明家ウォレスが日常生活を快適にするために作った様々な発明品をフィーチャーした全10篇からなる短編シリーズ。

評価★★★☆/70点

以前NHK-BSでこのシリーズを一挙放送したときには、前3作の合間合間にintermission風に3篇ずつくらい挿んで放映してたんだけど、このやり方には非常に好感がもてた。じゃないとちょっと飽きちゃうかもしれない。。悪く言えば1篇3~4分の小ネタ集にしか過ぎないわけだから。でも、アイデアは面白いし、このシリーズ独特のほのぼの感も出ていて良い。

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ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!

Aaifxsmmjw 監督:ニック・パーク、スティーヴ・ボックス

声の出演:萩本欽一、大川透、飯島直子

(2005年・米/英・85分)2006/03/24・MOVIX仙台

内容:町一番の美女で資産家のレディ・トッティントンが主催するお祭り“巨大野菜コンテスト”。しかし町にウサギが大繁殖したため、ウォレスと愛犬グルミットは、開発したウサギ回収マシーンを駆使して野菜を守るのに大忙し。が、そんなウォレスとグルミットの活躍にイヤな顔をするキザ男ヴィクター。そんなある夜、正体不明の巨大生物が出現、巨大野菜は食い荒らされ、町は恐怖に陥る・・・。アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞。

評価★★★★/80点

今までのシリーズは3作とも30分未満の短編だった。しかし、そのどれもがまるでトロリとしたクランベリーチーズとコクのあるレアチーズを何層にも重ね合わせ、釜で焼いた後ひと晩熟成させたレアチーズタルトのような超濃厚なエッセンスが詰まりにつまった作品だった。

しかもこの超濃厚エッセンスには保存料、着色料など一切の合成添加物は使用されていないのです!!味は格別、ブラックコーヒーもついて至福満腹の30分に舌鼓を打つ。

これほど贅の極みを尽くした100%素材の良さを引き出した純正手作り作品を自分は知らない。

それに比べると、尺が約3倍に伸びた今回の作品は、市販のスライスチーズとまではいかないまでも、濃厚さがやや薄まってはいる。

一部にCG安定剤も使っているようだが、そこはほとんど気にならない。しかし、やはり短編と長編の違いとでもいおうか、一本の映画としての形を整えなければならない長編の文法の中で、短編の歯切れのよい呼吸のリズムと勢いに欠けるきらいはある。

とはいっても、それは贅沢な悩みでもあるわけで、あっという間の85分、十分楽しめる作品に仕上がっている。

特に言葉を発することができない犬のグルミットの表情の千変万化には今回も度肝抜かれっぱなし。“目は口ほどに物を言う”をこれほど完璧に表現しているキャラクターを自分は知らない。

ほんとアカデミー賞ものの演技でっせ。

さぁ、次回作もあると期待して、あと5年気長に待ちましょか。もちろんその時は日本語吹き替え版でね♪

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ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~

Pre監督:マーク・バートン、リチャード・スターザック

(2015年・英/仏・86分)WOWOW

内容:イギリスの片田舎にある山の牧場。ある日、退屈な日々に飽きてどうしようもなくなったリーダー格のひつじのショーンと仲間たちは、牧場主を眠らせてトレーラーハウスに閉じ込めてしまった。牧羊犬ビッツァーは牧場主を起こそうとしたが、そのトレーラーが動き出してしまい、後を追うビッツァーと共に山の下の都会へ暴走していってしまう。心配になったショーンたちは2人を捜しに行くのだが・・・。 クレイアニメ「ウォレスとグルミット」のスピンオフTVシリーズの映画化作。

評価★★★★★/100点

映画はまずストーリーありきだと思っている自分にこのストップモーションアニメは鉄槌をくらわす。

映画とはアクションであり、活劇なのだ!と。

いや、考えてみればウォレスとグルミットシリーズですでに教わっていたことだし、もっと遡れば自分はジャッキー映画をさんざん見てきた世代じゃないかw映画にとって言葉なんて取るに足らないものなんだって。

「あー」「うー」「メー」しかセリフがなくても、アクションと演出のアイデア、そして無表情さえ表情豊かに見えてしまう微に入り細をうがつキャラクター造形により雄弁な映像が形作られる。

なによりアナログ感覚満載の手作り粘土が醸し出す質感とミニチュア感・立体感の唯一無二の味わいが絶妙で、これがただの3DCGアニメだったらさほど面白くなかったのではとさえ思えてしまうくらいだ。

笑いのセンス、音楽のセンス、映像のセンス全てがドンピシャ。映画とは何なのかで立ち止まった時に思い出そう。

ショーン!カムバーック(笑)!

2019年9月22日 (日)

夢のシネマパラダイス596番シアター:あなたは昨日食べた夕食を思い出せますか?

秘密 THE TOP SECRET

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出演:生田斗真、岡田将生、吉川晃司、松坂桃李、栗山千明、リリー・フランキー、椎名桔平、大森南朋

監督:大友啓史

(2016年・松竹・149分)WOWOW

内容:死者の脳にアクセスし、その人物が見た映像を再生するMRIという捜査手法で事件解決を目指す特別捜査機関“第九”。ある時、一家惨殺事件を起こし死刑が執行された露口(椎名桔平)のMRI捜査が行われることに。それは今も行方不明となっている一家の長女・絹子の手がかりを探るためだった。第九の室長・薪(生田斗真)にスカウトされた新人捜査官・青木(岡田将生)は露口の脳内に潜入。が、そこに映っていたのは思わぬものだった・・・。

評価★★☆/50点

死者の脳内に残った視覚情報を映像化し、それをもとに犯罪捜査を行うというアイデアは、死者の脳に眠る記憶にダイブし秘密を探るプロットが出てくる海外ドラマ「フリンジ」を想起させ、いまいち消化不良だった同監督作「プラチナデータ」を超えるような本格SFサスペンスを基調とするのかと期待したのだが・・。

フタを開けてみたら「ハンニバル」以来の脳みそ観賞付き&近親相姦まであるグログロな猟奇殺人もののサイコホラーで気分が萎えた。

また、例えば28人殺しの凶悪犯・貝沼(吉川晃司)の脳内映像を見て、多くの捜査官があっちの世界に引きずり込まれておかしくなったとは具体的にどういうことなの?とか、絹子と貝沼、薪と貝沼、薪と鈴木(松坂桃李)の関係性など全ての要素が説明不足でストンと腑に落ちてこない。

要はあれやこれやと詰め込みすぎなのかもね。

そういう点では、少女でありながら稀代のサイコパスという露口絹子のキャラ設定が今まで誰も手を出そうとしてこなかったタブーな領域ゆえに、映画として絹子の一点突破で突き進んだ方がまだマシだったのではないかと思ってしまう。まぁ、だからといってそれを見たいかといわれたら勘弁して下さいってなるけども(笑)。。

映像は毎度のことながらエッジが効いているだけに、脚本頑張れとしか言いようがないね・・。

P.S.「客観的に見ないとダメだ。主観的に見てしまうとあちら側に持っていかれるぞ!」ってセリフがあったけど、映画がそうなっちゃってどうするww

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ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

Poster2出演:西島秀俊、キム・ヒョジン、真木よう子、浜田学、中村ゆり、伊武雅刀

監督・脚本:キム・ソンス

(2013年・日/韓・120分)WOWOW

内容:ある日、仕事から帰宅した石神武人は妻の死体を発見する。間髪入れずに電話が鳴り出てみると、目の前で死んでいるはずの妻の声で、実家に行くので帰れないという。混乱する中、石神は警察を名乗る2人組に拉致されかけるが間一髪で逃走し、通りかかった韓国人女性記者のカン・ジウォンに助けられるが・・・。

評価★★☆/50点

失われたアイデンティティを奪還するための謎解きサスペンスとアクション満載の決死の逃走劇という点ではボーン・アイデンティティ、またDNAがミステリーの重要なファクターになっているという点ではプラチナデータを想起してしまうけど、そのどちらにも遠く及ばなかったかんじ・・・。

自分の中に別人の記憶が上書きされて頭の中はその人になってしまったものの、現実ではそれぞれに妻がいて2人分の人生が混在してしまうので記憶喪失よりもややこしくてタチが悪いw

しかも見てるこっちが全く先が読めないのはまだしも、主人公までずっと右往左往状態なので、なんか途中からついて行くのがイヤになってくる(笑)。予定調和が全くないのも問題なんだなと。かといって、真実が明らかになっていく後半もでっかく膨らませた風船が一気にしぼんでしまうような失速感に満ちていてイマイチだったし。。

あとアクションに関しても、ジェイソン・ボーンを引き合いに出してしまった時点で分が悪い面があるとはいえ、例えば主人公が追っ手から逃げる時に片側3車線の道路を車にひかれそうになりながら横断するシーンがあるけど、見てて全然ヒヤヒヤしないのw

全体的にチープで子供だましな撮り方で、体張ってますという触れ込みと実際どう撮ってどのように見せるかという違いを分かっていない。

原作の方が何十倍も面白いんだろうなぁってのがありありと伝わってくるような映画だった(笑)ってそれじゃダメじゃん!

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プラチナデータ

O0800113512401227792出演:二宮和也、豊川悦司、鈴木保奈美、生瀬勝久、杏、水原希子、遠藤要、和田聰宏、中村育ニ、萩原聖人

監督:大友啓史

(2012年・東宝・134分)WOWOW

内容:近未来の日本。警視庁の科学捜査機関である特殊解析研究所は全国民のDNAデータを収集登録する“プラチナデータ”を実現。それを活用した捜査システムを使えば一挙に犯罪撲滅を図れる期待がもてるため、政府もDNA法案成立を急いでいた。しかしそんな中、法案反対者やシステム開発の関係者が立て続けに殺害される事件が起きる。そして、犯人の残したDNAから捜査システムが導き出した犯人はシステム開発の責任者である天才科学者・神楽龍平だった。まさかの事態に逃亡を余儀なくされた神楽を、叩き上げの浅間刑事が追い詰めていくが・・・。

評価★★★/65点

原作既読。

全能の捜査システムを操る側にいた人間が一転して犯人として追われる立場になってしまう「マイノリティ・リポート」。

逃亡しながら真犯人を探し出し自らの容疑を晴らそうとする「逃亡者」。

国家によるハイテク監視システムの脅威を描く「エネミー・オブ・アメリカ」。

と、SF・サスペンス・ミステリーの3大要素を日本を舞台にしていながら程よく詰め込んでいる面白さと、近い将来ありえるかもしれないアナザーワールドとしてみれる面白さがあり、映像化には向いてるなと思いながら読破したのだけれど、映画化するにあたって主人公が二重人格という反則スレスレの荒技をうまく落とし込めるのかという不安は少なからずあった。

つまり、事件の時は別人格で、犯人はもしかして自分なのか?というサスペンスと、プラチナデータとは何なのかというミステリーを両立させることができるのかという不安だが、やはり予想通りこの設定が足を引っ張ってしまった感は否めず。

映像面に関しては小説を読んでこちらが思い浮かべていた脳内映像をはるかに凌ぐレベルで上々だったのだけど、話がやっぱ大味になっちゃったよねぇっていう・・・。

神楽はシロであるということに映画自体がはなっから確信をもって描いているし、肝心かなめのスズランが出てこないため二重人格設定が宝の持ち腐れになっていると思うし、そのネタバレに時間を割かなければならないため逆に犯人の動機の描き方やサスペンス要素が未消化になってしまったかんじがする。

まぁ、原作ものの映画化はえてして難しいものだけど、今回は特に難しいものだったように思う。

そういう意味では2時間スイスイと見れるエンタメとして手堅く作られているだけでも良しとしなければならないのかも。。

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ペイチェック 消された記憶(2003年・アメリカ・118分)MOVIX仙台

 監督:ジョン・ウー

 出演:ベン・アフレック、アーロン・エッカート、ユマ・サーマン、コルム・フィオール

 内容:仕事を終えると機密漏えいを防ぐために記憶を消されるという契約で、オールコム社の新システムの極秘開発を行っているSEのジェニングス。大仕事を終えた彼は、記憶消去後に報酬ではなく19個のガラクタを渡され、しかも謎の組織とFBIに追われるハメに。自分はなぜ追われているのか、その謎解きを始めるのだが・・・。

評価★★★★/75点

この頃のベン・アフレックは「パールハーバー」「デアデビル」「ジーリ」など駄作街道驀進中だったので、今作も右から左へ受け流すかのごとく記憶の断片にも残らない作品になっているのかなと勝手に思い込んでいた。

が、ふたを開けてみたら、あらビックリ。ベン・アフレック臭が消えているだけでなく、ヒッチコックを5倍くらい消臭剤で薄めて現代版にアレンジしたかんじで、ホントだったらそんなの評価低くするんだけど、もともと低かった期待値を大きく上回る出来だったということでww

ただ終盤も終盤になって白いハトが出てきてやっとで、あ、監督ジョン・ウーだったんだっけと思い出したくらいジョン・ウー節というか匂いが消されててこれまたビックリ。なにせジョン・ウー必須アイテムの銃が脇に追いやられてしまってるのだから無理もないか。

本当に開発されてたのは、超強力消臭剤だったのか!?

マジメなところジョン・ウー映画の辞書に“逃げる”という言葉が今までなかったように思われるのだけど、今回はそれを上手く採用したことがイイ方向に出たのでは。独特の匂いがしないという副作用もあったけどね。

2019年9月15日 (日)

夢のシネマパラダイス20番シアター:ディズニーアニメ第2倉庫

ズートピア

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声の出演(吹き替え版):上戸彩、三宅健太、高橋茂雄、玄田哲章、竹内順子、Dream Ami

監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア

(2016年・アメリカ・108分)WOWOW

内容:肉食動物も草食動物も関係なく共生している動物たちの楽園ズートピアで史上初のウサギの警察官となったジュディ。しかし、周りからは半人前扱いされ、任されるのは駐車違反の取り締まりばかり。そんな中、巷では連続行方不明事件が多発し、ジュディにも捜査へ参加するチャンスが巡ってくる。そして偶然知り合った詐欺師のキツネ・ニックとともに捜査をするのだが・・・。

評価★★★★/75点

アニメが本来持つ伝える力の純度の高さというものをこれほど感じられる作品はないのではなかろうか。

様々な個性を持ったアニマルキャラが共存する自由の地ズートピアをユーモアたっぷりに描きながらも現実の人間社会とリンクさせ、肉食動物と草食動物、大型動物と小型動物、オスとメス、マジョリティとマイノリティなど様々な要素にメタファーを織り込み、見ているこちら側にまで先入観や偏見をさりげなく植え付ける仕掛けになっているところがこの映画のミソ。

また、アイスショップでキツネにはアイスは売らないと言われてすったもんだするシーンなんかも、キツネは少々差別を受けても仕方ないよなとスルーしちゃったし、事件のキーワードとなる“夜の遠吠え”=オオカミの仕業と推理するくだりもオオカミが犯人ならとどこかで納得してしまうし、正義感が強く警察学校を首席で卒業した優秀なジュディなら間違うはずがないと思ってしまう。

ここら辺の先入観を逆手に取ったミスリードの仕方が実に上手くて、お手柄を立てたジュディが「狂暴化したのは肉食動物だけだから、生来持つDNAのせいなのかも」「けどニック、もちろんあなたは別よ」と発言してしまうところで、理性がもたらす“悪意なき差別”に我々もハッと気付かされることになる。

その気付きを学んで、ジュディとニックは悪意ある差別をまき散らそうとする真の黒幕を一刀両断するわけで、一筋縄ではいかない差別・偏見のはびこる人間社会を分かりやすい縮図として表し、お互いの違いを認め合うことの大切さという子供から大人まで理解できるメッセージ性を有した作品に仕上げてしまうのだから恐れ入る。

そして、ここまで高いクオリティを保った作品を提示できるのは、たぶん今ディズニーしかないということも実感してしまうジブリファンなのだったw

P.S. 日本アニメは宮崎駿、押井守、大友克洋、新海誠など作家性が前面に出るのが常なので、今作みたいにディズニー印のもとに共同監督+脚本家7人なんていうアベンジャーズばりのチーム体制で作り上げていく手法は日本ではあまり出来ないのかもね。。

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ベイマックス

45110声の出演(吹き替え版):川島得愛、本城雄太郎、菅野美穂、小泉孝太郎

監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ

(2014年・アメリカ・102分)WOWOW

内容:近未来の最先端都市サンフランソウキョウ。幼い頃に両親を亡くした14歳の少年ヒロは、兄のタダシとともに叔母キャスのもとで暮らしていた。飛び級で高校を卒業してしまった天才のヒロは、タダシが通う大学に入ることを夢見ていた。そして入試を兼ねた研究発表も無事終わるが、その会場で爆発事故が起こってタダシが命を落とし、ヒロはメンタルをすっかりやられてしまう。そんな彼の前に現われたのは、タダシが残した形見のケアロボット“ベイマックス”だった・・・。

評価★★★/60点

主人公の少年がトトロとゴーストバスターズのマシュマロマンを掛け合わせたようなツルツルロボのベイマックスに包み込まれるように抱き寄せられる予告編のワンシーンくらいしか予備知識がない中で見たんだけど、予告編のイメージとしてはピクサーのウォーリーと未来少年ヒロの友情癒やし系物語かと思っていた。

しかし、見始めていくと次第にMr.インクレディブル的ヒーローアクションものの様相を呈してきて、最後はマーベルのロゴがでん!と出た後にスタン・リーまで出てきて。

そっか、、原題のビッグヒーロー6ってそういうことだったのか・・・。

うまいこと予告編に刷り込まれたかんじだけど、マーベルヒーローという前情報だけでも知ってればもっと面白く見れたはず、と思ったのは自分だけw?

でも、そうはいっても今回の作品はウォーリーの擬人化されたキャラの豊かな感情表現にも、Mr.インクレディブルの魅力的なキャラクター造形のアンサンブルにも遠く及ばないけどね

やっぱりピクサーに比べるとディズニーはひとかけの隠し味の工夫と、もうひとかけの毒気が足りないんだよなぁ。。

せめてビッグヒーロー6のチームメンバーになるヒロのオタク同級生たちをもっと前面に出してほしかったな。

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アナと雪の女王

T0018069p声の出演(吹き替え版):神田沙也加、松たか子、原慎一郎、ピエール瀧、津田英佑、多田野曜平

監督:クリス・バック、ジェニファー・リー

(2013年・アメリカ・102分)WOWOW

内容:アレンデール王国の幼いプリンセス姉妹エルサとアナ。姉エルサには触れたものを凍らせてしまう魔法の能力があったが、ある時、不注意で妹アナに怪我を負わせてしまう。それ以来、責任を感じたエルサは部屋に引きこもってしまう。それから時は流れ、国王夫妻が事故で亡くなり、エルサは王位を継ぐことに。しかし、戴冠式の最中に力を制御できなくなり、真夏の王国を厳冬に変えてしまったエルサは、王宮から逃亡し、今度は雪山に築いた氷の城に引きこもってしまう。アナは、なんとか姉と王国の危機を救おうと雪山へ向かうのだが・・・。

評価★★★★/75点

2014年記録づくめの特大ヒットとなった今作をリアルタイムで見ていない自分は世の中のフィーバーをいくぶん冷めた視線というか半信半疑で見ていたところがあった。

それはディズニーアニメは大人の鑑賞に耐えうるものではないという先入観がいまだに拭いきれていなかったからだ。いまだにというのは「塔の上のラプンツェル」(2010)が目を見張るような良作だったのに対し、その流れがアナ雪にも受け継がれているのかまだ十分信用できなかったということで

しかし、満を持して見てみたら、その流れはちゃんと踏襲されていて水準以上の作品になっていたと思う。

その流れとは具体的には3DCGの作画技術が生み出す魅力的なキャラクタリゼーションにあるといっていいと思うけど、特に顔の造形力と表情筋の豊かさは特筆もので、実写の質感に寄せていくリアル志向なベクトルではなく、あくまでアニメーションであることを意識したデフォルメとクレイアニメに近い柔らかく暖かみのある質感が親近感のわくキャラクターにつながっていて、そのポイントがアナ雪ではより強調されて描かれていたと思う。

それにより複雑な感情表現も登場人物に違和感なく反映されていて、それが自然と個性に昇華されているのが最大の強みだと思う。

これはジョン・ラセターをはじめとするピクサーの血が入り込んでいることが大きいと思うけど、反面ストーリーラインの方がオーソドックスで平板にすぎて、歴史的なメガヒットに足る魅力があったかといえばやや疑問。

姉妹に愛憎劇が絡むと「何がジェーンに起ったか」(1962)のようなおぞましいほどのスリラーに変貌を遂げちゃうけど、ディズニーの王道プリンセス物語に沿った予定調和なソフトタッチがやや物足りなかったかな。

さっき複雑な感情表現と書いたけど、その点ではまだまだ足りなかったし、例えばエルサの苦悩はもっと掘り下げてもよかった。エルサの感情が爆発するレット・イット・ゴーもう歌っちゃうの!?と正直意表をつかれちゃったし。エルサにしろアナにしろ、あるいは両親の死など、それぞれの要素がこちらの感情を強く喚起するまでの奥行きと広がりに乏しかったのはかなり惜しかった。

しかし、それを補ってあまりあるミュージカルの魅力は満載で、さすがミュージカルの本場アメリカだと思わせてくれる素晴らしさだった♪

考えてみればディズニーアニメで1番の傑作「美女と野獣」も音楽と作劇が見事に融合していたけど、それを彷彿とさせるかんじだったし。

で、結局メガヒットの最大の功労者は、音楽の力、そして神田沙也加と松たか子の吹き替えに尽きるってことなのかなと(笑)。

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プレーンズ

Poster2声の出演(吹き替え版):瑛太、石田太郎、井上芳雄、山口智充、小林沙苗、天田益男

監督:クレイ・ホール

(2013年・アメリカ・92分)WOWOW

内容:田舎の農場で働く農薬散布機のダスティは、世界一周レースに出てチャンピオンになることを夢見ていた。レース用飛行機ではない彼の夢を誰もまともに取り合ってくれない中、親友の燃料トラック・チャグとフォークリフト・ドッティだけは応援していた。その甲斐もあり、ダスティは奇跡的に本選出場を決めるが、高所恐怖症という最大の弱点をどうにも克服できずにいた・・・。

評価★★★/60点

ピクサー製作「カーズ」のスピンオフ企画だけど、ピクサーではなくディズニーが製作している変わり種。

話の構成や画作りも「カーズ」をほぼ踏襲しているんだけど、なぜいまいち面白くないんだろう・・

なんかピクサーとディズニーのレベルの差が如実に表れちゃったかんじだけど、その差はシナリオの精度といってよく、絵は同じでもシナリオに魅力がないと全体として歴然としたレベルの差になってしまうという、これほど分かりやすい対照実験もないよな

特に挫折と成長というキーワードを欠いた主人公のキャラクターが映画を一本調子なものにして奥行きを狭めてしまっているんだよね。

その点ピクサーはそこに時間と手間ひまをかけて上手く作っているわけで。

まぁ、正直今回のはテレビ映画向きのレベルだよね。と思ったらもともとそういう企画だったのかい。納得。。

P.S. 2作目も似たようなもんでした・・・w

2019年8月 3日 (土)

夢のシネマパラダイス530番シアター:原爆が残したもの・・・

母と暮せば

D0_hzneucaicqbd出演:吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、小林稔侍、橋爪功

監督・脚本:山田洋次

(2015年・松竹・130分)WOWOW

内容:長崎に原爆が投下された昭和20年8月9日、医大生の浩二は一瞬にしてこの世からいなくなった。夫を病気で、長男を南方戦線で亡くしている母親の伸子は、次男坊はどこかで生きていると思いながら助産婦の仕事をしながら一人で暮らしていた。浩二の婚約者だった町子はそんな伸子のことを気にかけ、足繁く訪ねてくれていた。そして3年目の8月9日、伸子の前にひょっこり浩二の幽霊が現われる。そして2人は思い出話に花を咲かせるのだった・・・。

評価★★★☆/70点

終戦から70年経ち、今や戦地に行った兵士たちは年齢的に考えてもほとんどいない世の中になってしまった。13歳の時に終戦を迎えたという山田洋次もすでに85歳。

銃後の世代でさえもはや危うい。自分が思っている以上にあの戦争は風化してしまっているのだと思う。そして高齢になっても精力的に映画を撮り続ける山田洋次にとって最近のきな臭い世の中の風潮もあいまって撮らずにはいられなかったのだろう。

昭和15年の東京を舞台にした「母べえ」(2007)で市井の人々のささやかな幸せを喰いつぶしていく不気味な戦時の空気を描いていたけど、今回は数多の生命を一瞬で消し去った原爆投下から3年後の長崎を舞台に、いまだ消えることなく日常に刻まれた傷跡を描き出した。

広島が舞台の「父と暮せば」と対になった作りになっていて、生き残った者の負い目というテーマは同じなのだけど、生き残った自分は幸せになってはいけないんだと自問自答する娘の痛々しさが心に刺さった「父と暮せば」と比べると、今回は母と息子というマザコンすれすれの親子愛とキリスト教の死生観が根本にあるために若干メッセージ性が甘めの方向に出てしまった感はあるかなとは思う。

けど、原爆を語り継ぐことをライフワークとしてきた吉永小百合の演技は心に響くものがあったし、菩薩のような彼女でさえも「どうしてあの娘だけが幸せになるの?」と呪詛の言葉を吐かざるを得ないところに、戦争・原爆のもたらした虚しさとおぞましさが胸をついた。

あとは何といってもたった2カットで表現した原爆投下直後の惨劇シーンだろう。

医科大の教室内がビカッと真っ白に光った後に万年筆のインク瓶がトロトロと溶けていき、ガラス片の粉塵が猛烈な爆風で吹きすさび真っ暗闇に覆われていく、、、そのあまりの衝撃に何も言葉が出てこなかった。

山田洋次渾身の一作になったといっていいだろう。

ただ、映像から色や温度は伝わってきても匂いまではあまり伝わってこなくて、戦争を知る最後の世代の山田洋次でさえも描き切れないところに風化の恐ろしさを感じてしまったことも付け加えておきたい。

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父と暮せば

Kura 出演:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信

監督・脚本:黒木和雄

(2004年・日本・99分)NHK-BS

評価★★★★/80点

 

内容:広島に原爆が投下されてから3年。図書館に勤める美津江は、愛する人たちを原爆で失い、自分だけが生き残ったことに負い目を感じながらひっそりと暮していた。そんな彼女はある日、図書館で大学助手の木下という青年と出会い、互いに惹かれあっていったが、「うちは幸せになってはいけんのじゃ」と恋心を押さえ込んでしまう。それを見かねた彼女の父・竹造は亡霊となって姿を現し、“恋の応援団長”として娘の心を開かせようとするのだが・・・。

“広島の原爆慰霊碑に記銘されている「安らかに眠って下さい。過ちは二度と繰り返しませんから。」という言葉を忘れずに受け継いでいくためには、とにかく語り継いでいくことしか道はない。”

戦争・被爆体験の記憶を風化させてはならないという声は、戦後70年が経ち、TVゲームばりのシミュレーション感覚で戦争がTV画面から流れてくることにどこか感覚が麻痺しかけている現在、特に声高に叫ばれていることだが、風化を防ぐためにはとにかく戦争体験者の悲惨な記憶を世代を越えて語り継いでいかなければならない。

風化させてはならないのならば語り継いでいかなければならない。~しなければならない、それは義務であり責任であり使命である。戦争を体験した者としての。

と、疑問のはさみ込む余地などないような当然なこととして自分なんかは考えてきたのだが、この映画を見てハッと気付かされたことがある。

それは、語り継ぐ者の苦悩とツラさだ。

思い出したくもない、他人に話したくもない悲惨な体験の記憶を吐露すること。そのエネルギーと勇気はそれを受け取る側からは計り知れないほどのものがあるのだろう。

原爆投下から3年後の広島で生きる美津江の苦悩、未来を断絶させてしまうほどの人間そのものを深くえぐる傷。

「あんときの広島では死ぬるんが自然で、生き残るんが不自然なことじゃったんじゃ。」という言葉にしばし絶句してしまう。

生き残った者としての苦しみを切々と表現した宮沢りえと、その何十倍もの苦しみを背負いながら美津江を大らかに包んでいく「恋の応援団長」原田芳雄の存在感にただただ脱帽するばかりだ。

次の世代に継いで行く、それにはもちろん受け取る次の世代の側にも義務と責任と使命が課されるわけだが、はたして語り継ぐ側とどれだけ価値観を共有できるのか、どれだけ彼らのつらく苦しい記憶を実体と重さのあるものとして受け止められるのかという問題も最近は出てきたように感じられる。

先の戦争では日本軍兵士の多くが実は餓死で亡くなっているというのは事実だが、この飽食の時代に、はたして飢餓を想像できるだろうか。以前TVで、あまりにも空腹で、炭をガリガリかじって食べたんです、という元兵士の話を聞いたが正直自分はわけが分からなかった。だって、炭って・・・。

また、例えば、ひめゆり部隊の沖縄戦に関する語り部の証言が「退屈で飽きてしまった」などということが高校の入試問題に平気で出てしまう、今はそんな時代になってしまったのだ。

風化は日々進んでいる。

とにかくもう時間がない。次の世代に継いでいかなければならない時間が・・・。

戦後70年経って、涙を流しながらやっとで重い口を開く方もいる。戦後70年経っても、いまだに戦争の悪夢にうなされる方々がいる。

自分の祖父はシベリア抑留を経験していたが、中学生の時に交通事故であっけなく逝ってしまった。

祖父には右手の親指がなかったが、戦争で銃弾を受けたせいだと言っていた。

結局、祖父からは戦争体験らしいものを聞くことなく別れてしまったのだが、今となっては少し心残りな気もする。

シベリア抑留、ほとんど分からないし知らない。

これは、問題だ。。

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黒い雨

Bnashzxau 出演:北村和夫、田中好子、市原悦子、小沢昭一、三木のり平、沢たまき

監督・脚本:今村昌平

(1989年・東映・123分)NHK-BS

評価★★★★★/90点

 

内容:1945年8月6日、高丸矢須子は瀬戸内海の小船の上で強烈な閃光を見た。その直後、空は見る見る暗くなり、矢須子は黒い雨を浴びてしまう。5年後、福山市に移り住んだ矢須子は、原爆症の疑いをかけられて縁談がなかなかまとまらず、彼女の面倒を見る叔父は気をもんでいた。やがて、矢須子は発病し、被爆の後遺症に悩まされる・・・。

“「正義の戦争より不正義の平和の方がマシ」という印象的なセリフがあったけど、昭和20年の日本より平成20年の日本の方がマシ、、、と今の後期高齢者の方々は本当に思えるんだろうか、、というのもなんだか怪しい世の中になってきちゃってるような気がしてならない。。”

自分にとってトラウマになっている映画というのは何本かあって、それは例えば「ターミネーター」だとか「オーメン」「バタリアン」など小学校低学年で見た映画が多いのだけど、その中で最強のトラウマ映画といえるのが、小1で見せられたアニメ版「はだしのゲン」。

ヤッター!アニメ見れるぜー!と意気込んで見に行ったが最後、劇場の座席が電気イスに感じられてしまうほどの苦痛を味わってしまったわけで。それはまさに永遠に続くかと思われるほどの醒めない悪夢だった・・・。

ただ小さい頃、親にこの手の反戦映画を網羅させられたのは今となっては良い経験になったと思うし、戦争という悲劇のトラウマを小学生くらいで植え付けるというのは教育上大変によろしいことだと思うので、親には感謝しております(笑)。。

んで「火垂るの墓」をはさんで「黒い雨」を見たのが小5くらいだったと思うんだけど、これがまたエライ思い出があって。

母親に連れられて自分と弟、妹の4人で見に行ったのだけど、劇場窓口でチケットを買って劇場に入っていったら、職員のオバちゃんが風船だとかキャラクターもののお面だとかの特典グッズをくれるわけ。

お、ラッキーと思いながら「黒い雨」が上映される2階に上がっていこうとしたっけ、そのオバちゃんが「東映アニメ祭りはそっちじゃなくて1階ですよ!」と教えてくれる(笑)。ようするにそのオバちゃんは自分らが東映アニメ祭りを見に来たんだろうと早合点してそのグッズをくれたのだ。そりゃそうだよなぁ妹なんてまだ幼稚園かそこらだったんだから、まっさか今村昌平のゲテモノ作品を見に来たなんて露ほども思わないだろうよ。

しかし母親が「いいえ、黒い雨を見に来たのでこっちでいいんです!」とキッパリ。ポカーンとしてるオバちゃんの顔が今でも忘れられない・・。

とともに田中好子のオッパイを見てしまったという記憶もしっかり残ってるんだけど(笑)。

いやぁ、、、自分が親になったら絶対に東映アニメ祭りの方を見せるよ、ウン。

ただ、ガキの時点でこの映画、半分分かって半分分からないような映画だったんだけど、胃の中を何かドス黒く熱いものがうごめき、這いずり回っているような息苦しさと圧迫感を終始感じたのはたしかだ。

電車の中で叔父さん(北村和夫)が被爆するシーンの衝撃、そして死屍累々の廃墟と化し、焼けただれた皮膚がズルリと剥け落ちてくるゾンビと化した人間たちが呻き声を上げながら方々をさまよう広島の街を、叔父さん、叔母さん(市原悦子)、矢須子(田中好子)の3人が必死で逃げ回る情景はあまりにも強烈で、川を流れてくる死体とか、道ばたに転がっている黒コゲになった死体だとか、おそらくこういう衝撃は自分の中の記憶としてずっと残っていくんだろうと思う。

つい先日、二次被爆の悲劇を描いた「夕凪の街、桜の国」の原作マンガを読んだときに、髪の毛が抜け落ちるシーンを見て、この「黒い雨」を見たときの圧迫感と同じものを感じて何とも言い表すことのできない重苦しさにとらわれてしまった。

遠い国で起きている戦争が、夕飯時のTVから流れてくるヴァーチャルなものとしか感じられない今の時代にあって、いかに戦争の悲惨さを子供たちに実感できるものとして伝えていくかというのは、戦後から3世代経った自分たちに課された大きな宿題なのかもしれない。

そういう意味では映画の果たす役割って大きいんだよなぁ。

人間、こういうことはすぐ忘れていっちゃう生き物だから・・・。

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夕凪の街 桜の国

Ph1_yugagi20comic 出演:田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、伊崎充則、藤村志保、堺正章

監督:佐々部清

(2007年・日本・118分)2007/08/07・盛岡フォーラム

評価★★★/65点

 

内容:原爆投下から13年後の広島。母(藤村志保)と2人で暮らす平野皆実(麻生久美子)は、会社の同僚・打越(吉沢悠)から告られるが、原爆で死んでいった多くの人々を前にして自分だけ幸せになっていいのだろうかとためらってしまう。やがて、そんな彼女を原爆症の恐怖が襲う・・・。所かわって現在の東京。定年退職した父・旭(堺正章)と暮らしている娘の七波(田中麗奈)。ある日、父の行動を不審に思った七波は、親友の東子(中越典子)と父の後をつけるが、乗り込んだバスがたどり着いたのは広島だった・・・。

“いい映画だったな止まり。根本的に何かが足りない。。”

佐々部清という監督は、一貫して理想的な人間関係のもとにある心優しき人間ドラマを描きつづけていて、その作風はどこまでも爽やかかつ良心的、なおかつ昭和の良き時代の家族観と温かさ、懐かしさを共有しているという点では山田洋次の系譜に連なる作り手さんだと思う。

しかし、今回はその持てる特徴がアダになってしまった感が強いのではないかと思う。

こうの史代の原作を素直なほど忠実に映像化しているのは認めるが、翻っていえば100P足らずの物語をトレースすることは誰にでもできることだ。

問題は、原作でこうの史代が描く温かく優しい街並みや笑顔の絶えない人々、その表面と上っ面だけをバカ正直にトレースしてしまったことであり、その裏にある決して癒されない悲しみ、決して終わることのない憎しみと怒り、決して消えることのない記憶、つまりは広島が「ヒロシマ」になってしまった原爆という毒がすっぽり抜け落ちているのだ。

たった1発の爆弾、たった一瞬の閃光が60年間3世代にわたり刻みつける負の遺産、その重みと痛みがこの映画からは伝わってきにくい・・・。

原作を読み終わったときの読後感は、かなり精神的にズシリとくるものがあり、なんて哀しいマンガなんだと思ったものだが、この映画を見終わると、いい映画だったな止まりで終わっちゃうんだよね。

そういう意味ではかなりガッカリしたかも。。。

マンガと映画、どっちを薦めるかといったら、100%マンガの方をすすめるな。

記憶が歴史というものを形づくるとするならば、この記憶を決して風化させてはならない、決して忘れてはならない。

今も続く物語・・・。

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ひろしま(1953年・日本・104分)WOWOW

 監督:関川秀雄

 出演:岡田英次、原保美、加藤嘉、山田五十鈴、月丘夢路

 内容:昭和28年夏の広島。高校教師北川が受け持つクラスで、授業中に女子生徒が鼻血を出して倒れた。それは原爆の放射能による白血病が原因で、このクラスでは生徒の3分の1が被爆者だった。8年前のあの日、彼らが見たもの体験したこととは・・・。8万人を超す広島市民がエキストラとして参加し、原爆投下直後の広島を再現。ベルリン国際映画祭で長編劇映画賞を受賞。しかし、大手配給元がGHQに忖度して反米的な描写シーンのカットを製作側に要求するも折り合わず、一般公開が中止になったことで、長らく日の目をみることがなかった幻の作品。

評価★★★★☆/85点

原爆を扱った映画というと真っ先に思い浮かぶのが今村昌平監督の「黒い雨」とアニメ映画「はだしのゲン」で、小学生時分に見たこともあってトラウマともいうべき強烈な映画体験として記憶に刻まれている。

あれから約30年、最近ではヒロシマ・ナガサキの映画をとんと見なくなってしまったのだけど、まさか60年以上前に製作され、一般公開されることなくお蔵入りになっていた原爆の映画があったとは驚きだったし、なにより今回初めて見て、その凄絶すぎる映像に衝撃を受けた。

特に原爆投下直後の広島の惨状を映し出した30分以上のシーンは今まで見た原爆映画の中で最も生々しく直視に堪えないものだった。

3ヘクタールのオープンセットを作り80棟に及ぶ家屋や電車を燃やし、黒焦げに焼き尽くされガレキに埋まる街の様子を映像化したそうで、使われたガレキは原爆で生じた実物だったそうだ。

しかし、なによりこの地獄絵図が真に迫り心に突き刺さるのは、阿鼻叫喚の修羅場を彷徨する群衆を演じているのが一般市民のエキストラで、その中には実際の被爆者も多くいたということで、原爆の恐ろしさや被爆の苦しみ、その一人一人の思いや声が画面から圧倒されんばかりに伝わってくることにある。

しかもこれが原爆投下からたった8年後に地元で作られたというのが凄いところで、それこそ戦争と天災の違いはあれど東日本大震災での惨状をここまで克明に描けるかと考えると、今回の映画のもの凄さはある意味常軌を逸しているとまで言えると思う。

しかし、それが政治的圧力で未公開になってしまったというのは本当に悲劇としか言いようがないけど、記憶をつなぎ語り継ぐという意味で全ての日本人そして世界中の人々に目をそらすことなく見てもらいたい映画だ。そういう普遍性を持ったかけがえのない作品だと思う。

P.S. 宮島のおみやげ屋さんでピカドン土産として原爆で亡くなった人々の頭蓋骨(一応セリフではレプリカに決まってるだろうと言っていたが・・)が売られていたり、その後のシーンで戦災孤児が掘り出した本物の頭蓋骨を米兵に売ろうとするシーンがあったけど、これって実話だそう・・。

他にも墨汁のような黒い雨や、被爆直後の灼熱地獄から逃れるために飛び込んだ川で女学生たちが「君が代」を歌うところなど本当に脳裏に焼き付くようなシーンの連続する映画だった。

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鏡の女たち(2002年・日本・129分)NHK-BS

 監督・脚本:吉田喜重

 出演:岡田茉莉子、田中好子、一色紗英、山本未來、室田日出男

 内容:東京郊外に住む川瀬愛(岡田茉莉子)。以前は亡き夫と娘・美和の3人で暮らしていたが、美和は娘の夏来を産むと、母子手帳だけを持って失踪した。それから24年後、その母子手帳を持った女性が見つかるが、その女性は尾上正子と名乗る記憶喪失者(田中好子)だった。実の娘か確信を持てない愛は、アメリカに住む夏来(一色紗英)を呼び寄せる。やがて、正子の記憶の断片は、3人を愛が美和を産んだ地、広島へと向かわせる・・・。

評価★★☆/50点

割れた鏡、抑揚のない語り口、泳がない視線、微動だにしないカメラ・・・。

様々なメタファーが込められているとは思いつつ、まるで能でも見せられているかのような様式美に彩られたつくりは、はっきりいって不気味以外の何ものでもない。

能面の下に覆い隠された、一瞬の閃光で焼きつくされたヒロシマの亡霊。

かがみ合わせのように表裏一体となったあの世とこの世、その死の世界に向かって開かれた窓である鏡が割れているというのは、両者の間に決定的な欠落があるということだろうか。

すなわち、生者は死者について語ることはできない、ヒロシマの真実を語ることはできないのだと。それをアイデンティティを喪失した女性たちを通して描き出そうとしたのかもしれない。

しかし、逆説的にいうならば、この映画には決定的にヒロシマというものが欠落しているともいえ、個人的には理解に苦しむ難しい映画だったというのが正直なところ・・・。

でも、語りつくせないからこそ、我々は絶えず原爆について語り継ぎ語りつくそうと努力しなければならないのかもしれない。

忘却の彼方に決して置き忘れてはならないために・・・。

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TOMORROW 明日(1988年・日本・105分)NHK-BS

 監督・脚本:黒木和雄

 出演:桃井かおり、南果歩、仙道敦子、黒田アーサー、佐野史郎、原田芳雄

 内容:昭和20年8月8日の長崎。結婚式が執り行われていたある家では、肺病で兵役を免除された花婿と看護婦の花嫁を、両家の家族が祝福していた。花嫁の姉は臨月のお腹を抱え、花婿の友人は戦場で捕虜を見殺しにしたことを悔やみ、花嫁の妹は召集令状を手にうろたえる恋人を慰める。やがて姉が産気づき、難産の末、明け方に小さな命が誕生した。そして8月9日・・・。

評価★★★☆/70点

「どうやって子供はできるの?」という少年の問いかけに対し、「こうやってできるんだよ」というのを丹念に綴った夏の一日、、、1945年8月8日。

少年は性に目覚め、乙女は恋に恋焦がれ、花嫁は花婿と結婚式をあげ、女は男と結ばれ、子供を出産し、女は母になり男は父になる。

「アメリ」(2001)で、アメリが「今この瞬間に愛を交わし合い絶頂を迎えているカップルはどのくらいいるんだろう・・」と想像するシーンがあるけど、そうやって日々生命は紡がれ、次の世代につながっていく。

そうやって家族というものはできていくのだ。

「どうやって子供はできるの?」「こうやってできるんだよ」

その日常が、一瞬で霧のごとく消されてしまうラストの衝撃はあまりにも重い。

連綿とつながれてきた彼らの生の営みがブツリと断絶されてしまうことが最初から予定調和として分かっている映画、、、それをはたして映画と呼んでいいのだろうか。

いや、そんな映画があっていいはずがない。こんな恐ろしい映画があっていいはずがない。

彼らに明日が来ないことをはじめから知っている映画なんて・・・。

と同時に核兵器の恐ろしさをこれほど如実に描き出した映画もないこともまたたしかなのだ。

閃光が走る直前に映し出される路地裏で遊ぶ子供たちの楽しそうな姿が目に焼きついて離れない。

2018年1月 4日 (木)

夢のシネマパラダイス547番シアター:日本版あの頃にタイムスリップ!

だけがいない

Poster2出演:藤原竜也、有村架純、鈴木梨央、中川翼、林遣都、福士誠治、安藤玉恵、及川光博、杉本哲太、石田ゆり子

監督:平川雄一郎

(2016年・日本・120分)盛岡フォーラム

内容:売れない漫画家・藤沼悟は、事件や事故に遭遇すると、その原因が取り除かれるまで発生直前の時点に何度もタイムスリップする“再上映(リバイバル)”と呼ぶ能力を持っていた。しかし、それは自分ではコントロールできないのでほとほと嫌気が差していたが、リバイバルがきっかけでバイト仲間の愛梨と親しくなる。そんなある日、またもやリバイバルが発生。悟が違和感の正体をつかめない中、一緒にいた母親だけが何かに気づきリバイバルは解消された。しかしその直後、母親は何者かに殺害されてしまい、悟が犯人に仕立て上げられてしまう。そして母を助けようとする悟にリバイバルが再発動。今度は20年前の小学生時代にタイムスリップしてしまう・・・。

評価★★★/65点

総じて漫画原作の実写映画化は期待ハズレに終わることが多い。あるいは漫画と映画は全くの別物ということもできるけど、今回の原作は緻密に組み立てられた構成力とキャラクター造形、完璧な伏線回収など、漫画としてはもちろんそれだけで映像媒体としてもすでに完成されたハイクオリティ作品なので、映画化もよほどのヘマをしなければ失敗しないはず、だと思っていたw

そういう点で今回の映画を見ると、雛月加代を親の虐待から助け出すところまでは、ドンピシャのキャスティングしかり風景からプロダクトデザインに至るまでの映像しかり、ビックリするくらい忠実に原作をトレースし、正直マンガを知らないで映画見てたらより面白かったかもと思ってしまうくらいほぼ完璧な仕上がり。

が、しかし、この雛月救出までに1時間半を費やしてしまい、残り30分でまるで夏休み最後の日に徹夜で溜まりにたまった宿題を大慌てで取りかかる小学生のようにあたふたと風呂敷を畳むもあえなく轟沈

第4コーナー過ぎてからのまさかの失速にこちらも撃沈しちゃったんだけど、犯人が八代先生(及川光博)ということにたどり着くのも拙速すぎだし、何より1番分かりづらくて混乱するのが1988年の世界で悟が八代に橋から川に突き落とされた後、2006年の現在に戻ってからなんだよね。

2006年に愛梨(有村架純)と河川敷で会った悟が警察に逮捕された直後にリバイバルが起きたにもかかわらず、八代に突き落とされた悟が戻ったのはそこではなく、映画の冒頭でピザ屋の配達中に小学生を助けようとしてトラックにはねられた後の病室で、しかも病室にいるのは事故を目撃していた愛梨ではなく、妊娠している加代。さらになぜか愛梨とは面識がなくなっている、と矢継ぎ早に進むので見ているこちら側は混乱するばかり。。

さらにデパートの屋上で八代と格闘して悟が首を切られるも八代は逮捕されて一件落着、かと思いきやエピローグでいきなり2016年に飛んで、お墓参りの墓石に悟の名前が、、えっ?死んだの!?と呆然とする中でジ・エンド。

例えば、愛梨と面識がないことは原作通り悟がずっと植物状態になっていたということで済む話のはずなのに、、どうなっているんだこの脚本ww

半ば見切り発車としか言いようがないラスト30分の力技にある意味ド肝を抜かれたけどw、それまでの丁寧さとかけ離れた粗雑な出来とのあまりの落差に監督2人いるのか!?といぶかってしまうくらい目が点になってしまった・・・。

リバイバルというのが普通のタイムトラベルものと異なり、意識だけが当時の自分自身に飛ぶ(あるいは当時の自分の姿になる)ところが新機軸な設定だけに、うーん、、この出来というか納め方には残念至極としか言いようがない。

タイムトラベルものはお手の物のハリウッドで実写化求ム。

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青天の霹靂

P1399016757866出演:大泉洋、柴咲コウ、劇団ひとり、笹野高史、風間杜夫

監督・脚本:劇団ひとり

(2014年・東宝・96分)WOWOW

内容:39歳の売れない独り身マジシャンの晴夫は、幼い頃に母に捨てられ、父親ともいまや10年以上絶縁状態だった。そんなある日、警察からホームレス状態の父の死を知らされる。遺骨を抱え、やりきれない気持ちで父の住み家だった荒川の河川敷に佇む晴夫だったが、そんな彼を一閃の雷が直撃。そして気付くと、40年前の浅草にタイムスリップしていた。やがて演芸ホールでスプーン曲げを披露して人気マジシャンとなった晴夫は、同じくマジシャンをやっていた若き日の父とその助手を務める母と出会う。そして、父とコンビを組むことになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

手品とタイムスリップという映画のモチーフに鑑みていえば、プロットの運び方、伏線の張り方、心象風景の描き方、カットバックの使い方、スローモーションや省略などの時間軸の操作、巧みなカメラワークetc..要は映画とは嘘をついていいものだという心得をしっかりわきまえた手練れの演出に満ちている。

しかしその反面、冒頭の主人公のマジックを吹き替えなしのワンカット長回しで捉えるシーンなど、映画につかみとリアリティをもたせるツボもちゃんと押さえているのも強みだ。

多少その手法に酔いすぎてクドく見えるようなシーンもあるけど、およそこれが初監督作とは思えないほどエモーショナルにあふれた非常に見やすい作品に仕上がっていたと思う。

ただ、しいて希望を挙げれば、お腹いっぱいになる前に終わっちゃったてことかなw

でもこういうのってもっと盛っちゃいたいはずだし、見る方もそれを期待している所もあるんだけども、逆に編集でバッサバッサとカットして90分弱にまとめてしまう肝っ玉の強さは、やはり大いなるセンスといわなければならないだろう。

次回作が楽しみな監督のひとりになったな。

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この胸いっぱいの愛を

C_b0010500579_tl_2 出演:伊藤英明、ミムラ、勝地涼、宮藤官九郎、吉行和子、愛川欽也、倍賞千恵子

監督:塩田明彦

(2005年・東宝・130分)MOVIX仙台(試写会)

評価★★☆/45点

内容:百貨店に勤める比呂志は、出張で小学生時代を過ごした北九州・門司を訪れた。しかし、何か様子が違う。新聞見ると、、えっ?1986年?20年前じゃん!タ、タイムスリップ。。ていうか、少年時代の自分にも会っちゃった・・・。そんなこんなで比呂志は実家だった旅館に住みついてしまう。そんなある日、彼は憧れだった近所の和美姉ちゃんと再会する。彼女は難病のすえこの世を去ってしまう運命にあるのだが、今ならば救えるかもしれないと比呂志は考える・・・。

“タイムパラドックスの定石を捨ててまで描き出したのがこれなの・・・?思わず失笑。”

タイムスリップする1986年という時代設定がまずはビミョー・・・。

だって昭和61年やろ。

バブル景気がちょうど幕を開けた頃だと思うのだけど、なんかイメージとしてパッとしないというか、そんな昔でもなければつい最近でもないという時代背景の中途半端さが気になった。

しかもそれに輪をかけたように伊藤英明のメインストーリーがこれまたビミョーなんだよなぁ・・・。タイムパラドックスなど眼中にないくらいお構いなしで突き進むのは大目に見るとしても、肝心要のメインストーリーに力がなかったら、ただの独りよがりなだけの映画じゃないか。。

サブストーリーである若いヤクザ(勝地涼)、老婦人(倍賞千恵子)、クドカンのエピソードの方がフツーに感情移入できただけにメインの物足りなさが一層際立ってしまった。

これは多分に失われた命を取り戻そうという事の重みに対して、シナリオに力がないのか、伊藤英明に力がないのか、あまりにも人間ドラマの描写が軽すぎるというアンバランスさに起因するように思う。

そもそも「黄泉がえり」(2002)では現世で生きる人々のもとに亡くなった大切な人が舞い降りてくるという、あちらから会いたい人がやって来るという構図なのだけど、今作ではこちらから会いに行くという構図になっている。その点ですでに作為的要素が含まれているといってもいいのだけど、この映画のメインとなるのは結局この世を去った憧れの人を救おう、生き永らえさせようとする話なわけで、そこら辺はどうも自分は胡散臭さを感じてしまった。

だって要は積極的に未来を変えて死者を甦らせようとするわけで、そこに十分な説得力、つまり死んだ者は絶対に生き返らないという命題を覆す魔力を持たせるにはやはりタイムパラドックスの定石を使っていくしかないと思うのだけど。。

しかし、この映画はそれをあえて無視した上で完全に人間ドラマに徹した感がある、、、のだが、ものの見事に肩透かしをくらったような力の無さには目を覆うばかり。

作為に満ちた独りよがりな映画とはまさにこのことを言うのではなかろうか。

ただ、塩田監督もなにやら罪滅ぼしでもしたかったのか、それとも塩田監督なりのケジメの付け方なのか、ラストに出てきた生き永らえた和美(ミムラ)の姿にはなんとも厳しすぎる年輪が刻まれていて、それまでの演出とはかけ離れていたので驚いたというか、また別な意味で肩透かしをくらっちゃった・・(笑)。なんだかわけの分からん映画だったな。。

自分が思うに、生んだ直後に亡くなってしまった母親、今まで幻だった母親に会うことになる若いヤクザ(勝地涼)の話をメインにすればそれなりに見れたのではないかと思う。命のやり取りはこの映画には重すぎる・・・。

あるいは、どうせだったらどっかの老人ホームのバスが崖下に転落しちゃうとかさ(笑)、んでその拍子に1946年にタイムスリップしちゃうとか。だってジッちゃんバッちゃんの方が人生で本当にひとつだけやり直したいことの重みって説得力がありそうだし。

とにかく「黄泉がえり」の二匹目のドジョウとはなりえなかったな今回は。

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バブルへGO!!タイムマシンはドラム式(2006年・東宝・116分)WOWOW

 監督:馬場康夫

 出演:阿部寛、広末涼子、吹石一恵、伊藤裕子、劇団ひとり、薬師丸ひろ子

 内容:2007年の日本。国は800兆円の借金を抱え、日本経済は破綻寸前。そんな日本の危機を救うべく、財務省官僚の下小路(阿部寛)はある計画をぶち上げていた。それは、1990年にタイムスリップしてバブル崩壊をくい止めようというものだった。ところが、先にタイムスリップしていた開発者の田中真理子(薬師丸ひろ子)がそのまま行方不明になってしまう。そこで下小路は、真理子の娘で借金取りに追われているフリーターの真弓に目をつけ、真弓は母親を救うためにタイムマシンに乗り込むのだったが・・・。

評価★★★/60点

バブル全盛期に山ん中に秘密基地を作ったりして駆けずり遊んでいた小学生時代の自分にははっきりいってあまりピンとこなくて実感がわかない題材だし、しかしかといってバブル崩壊後の失われし10年の真っ只中で就職超氷河期にブチ当たってしまった自分からするとああいう軽いノリで描かれるとなんだかしゃくにさわるし・・・(笑)。なんだかなぁ。。

タイムマシーンを起動するのに洗剤を入れるというのは笑えたけどね。

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地下鉄<メトロ>に乗って(2006年・日本・121分)WOWOW

 監督:篠原哲雄

 出演:堤真一、岡本綾、常盤貴子、大沢たかお、笹野高史、吉行和子

 内容:43歳の営業マンである真次(堤真一)はある日、父が倒れたという連絡を受ける。が、真次は大財閥の総帥であった傲慢な父に反発し、高校卒業後に家を出たっきり一度も会っていなかった。そんな真次が地下鉄を出ると、、、昭和39年の東京にタイムスリップしていた!しかも真次の恋人であるみち子(岡本綾)もタイムスリップしてしまう。そして真次は、若き日の父(大沢たかお)に出くわすのだった・・・。

評価★★★/60点

とうとう解りあえなかった父親が戦前、戦中、戦後という激動の昭和をどのように生きてきたのか、その知られざる真実にスポットを当てることによって父親と息子がつながっていくという、いたってシンプルなお涙頂戴もののはずだったのに。

そこにいきなり80年代角川映画もビツクリの近親相姦ネタに、あげくの果てに妹が自殺(正確には存在自体を消してしまう)しちゃうって、、、こんなん2時間で消化しきれねぇよ。韓流ドラマみたいに全50話くらいでやってくれ(笑)。

しかも、階段から突き落とされたお時(常盤貴子)の人生はどうなっちゃうんだよ。全然消化不良じゃん。

ていうか肝心のテーマが一気にボヤけちゃったし・・・。

自分の祖父も小沼佐吉(大沢たかお)と同じように、戦時中に満州行って結局ソ連軍に連行されて、シベリア抑留を体験してなんとか生きて日本に帰ってくることができた人だったから、かなりリンクするところはあったと思うんだけど、ラストの仰天ネタに一気にガクッときてしまった・・・。

2016年8月28日 (日)

夢のシネマパラダイス35番シアター:教師びんびん物語!

いまを生きる

Mp186 出演:ロビン・ウィリアムス、イーサン・ホーク、ゲイル・ハンセン

監督:ピーター・ウィアー

(1989年・アメリカ・128分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:1959年、創立100周年を迎えたバーモントの全寮制の名門校に、英語教師キーティングが着任した。彼は初授業の日に、ラテン語の「カーぺディエム(いまを生きよ)」というモットーを生徒たちに与え、型破りな授業を行って人生を楽しむ心を教える。

“キーティングは実在する”

自分が小学4年のときだから1987年かな?少年少女友情の船ってやつでグアム・サイパンに行ったことがある。

その時の班長さんを、この映画を見るたびに思い出してしまう。

すべての班長さんが教師を目指している大学の教育学部の学生で、うちの班長さんもそんな一人だった。

ほとんど毎日が船の中での集団生活で、班での行動が主。そういう中で班長さんからはいろいろ教わった。

特に耳にタコができるくらい聞かされたのが、「今この一瞬を大切に生きろ」ということ。

「今から10秒後にはどうなっているか分からないんだ」「今、俺が話している間も1秒1秒時は過ぎていってるんだ!」みたいなことを熱~く語ってたっけ。

今でも時折ふと班長さんの言葉を思い出すことがあって。

その後、ちゃんと教師になれたのかなぁ。。

オフ会で班長さんの家に遊びに行った時、「ビーバップハイスクール」見せてもらったことを鮮烈に覚えているんだけど・・

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ビリギャル

T0019660p出演:有村架純、伊藤淳史、野村周平、あがた森魚、安田顕、吉田羊、田中哲司

監督:土井裕泰

(2015年・東宝・117分)WOWOW

内容:名古屋の私立女子高に通う高2の工藤さやか。いつもギャル友と遊びまくり勉強なんて全くしない日々を送り、ついに成績は偏差値30の学年ビリに。そこで心配した母親はさやかを塾に通わせることにする。ノリで第一志望を慶應大学と宣言したさやかに対し、塾講師の坪田は巧みな指導でやる気を引き出していくが・・・。

評価★★★/60点

この映画の描写力からするとビリギャルが合格したのは慶応大学ではなく偏差値45の桂王大学の間違いじゃないかと思えるくらいのリアリティしか感じられないのが全体的に映画をユルユルなかんじにしているけど、勉強のノウハウや慶応に受かったという結果ありきの美談よりもポジティブな人間力と家族再生の物語として描いたのは作劇の手法として間違ってはいない。

ただ、塾>学校という構図でことさらに学校教育を貶める論法が一貫して見られるのは違和感ありで、挙句のはてに授業中に寝ててもOKってそれはあんまり。学校でしか寝る所がないんです!ていうセリフは初めて聞いたよ(笑)。

まぁ、長い物には巻かれよ方式の均一化を是とする学校教育と、一人一人の個性に応じて教え方を変えられる塾とではたしかに方針は違うんだろうし、自分の可能性を信じなくさせてつぶしてしまうダメ教師もいるんだろう、、いや、実際そういう先生はいたし、生徒をクズ呼ばわりする学校は救いようがない。

にしても一介の映画が学校は寝る所と嬉々として描くのは違うと思う。

環境うんぬんより結局最後は自分の意志とヤル気なわけだから、そこさえしっかり描けていれば学校を絶対悪のように描かなくてもよかったと思う。

まぁ、下痢ピーに悩まされる有村架純を見れたのは乙ではあったけどねww

しかし、英語と日本史は詰め込みで偏差値上げることはできるとしても、小論文は偏差値とは別な尺度の自分で考えまとめる文章力や時事ネタの知識が必要で、よほど鍛錬しないとちょっとやそっとじゃ向上しないはず。そこの嘘っぽさだけはすごく引っかかったな・・。

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ブタがいた教室(2008年・日本・109分)CS

 監督:前田哲

 出演:妻夫木聡、大杉漣、田畑智子、戸田菜穂、原田美枝子

 内容:都心の小学校。6年2組の担任教師・星先生は、ある日教室に子ブタを連れてくる。それは、生きるものを育てそれを最終的に自分たちで食べるまでに至る過程を学ぶことを目的にした授業の一環だった。生徒たちは子豚にPちゃんと名前をつけ可愛がるようになるのだが、1年が経ち卒業を前に、ブタを食肉とするか後輩たちに託すかの選択に迫られる・・・。

評価★★★☆/70点

なんとも酷なお話だなぁと思いつつも、ドキュメンタリ要素を取り入れた劇映画として見る価値は十分にあるなかなかの作品になっていたと思う。

生徒たちの討論シーンでは台本がなかったということらしいけど、その実験性が映画の虚構性を良い意味で逸脱していて真に迫るものになっていたし、自分も一緒になって考えさせられてしまった。

まぁ、結末はいくらなんでも先に決まっていたのだろうけど、作り手・大人たちの作為のレールをかき消すほどの子供たちの本音演技には脱帽。

テレビドキュメンタリーの方も見てみたいなぁと思った。

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デンジャラス・マインド(1995年・アメリカ・99分)DVD

 監督:ジョン・N・スミス

 出演:ミシェル・ファイファー、ジョージ・ズンザ、コートニー・B・ヴァンス

 内容:元海兵隊員ルアンは、長年の夢だった教師になるが、赴任校は問題児ばかりが集まる荒廃校だった!原作のルアン・ジョンソン自らの体験を綴った感動作。

評価★★★★/80点

生徒に教えてくれと懇願されることほど先生にとって本望なことはないよね。って、実話ってのがスゴイ。。

妊娠は伝染するのよ!と言われた時のM・ファイファーの唖然とした表情といったらない。このシーンで女優として一皮むけたな(笑)。

2016年3月 5日 (土)

夢のシネマパラダイス175番シアター:生涯モラトリアム宣言

もらとりあむタマ子

Poster2出演:前田敦子、康すおん、伊東清矢、鈴木慶一、中村久美、富田靖子

監督:山下敦弘

(2013年・日本・78分)WOWOW

内容:東京の大学を卒業したものの就職もせず、スポーツ用品店を営む父親が一人で暮らす甲府の実家へ戻ってきたタマ子。店を手伝うわけでもなく、家事も父親任せで、漫画を読んだりしてただゴロゴロと過ごす日々を送っていた。そんな中、父親にアクセサリー教室の講師との再婚話が持ち上がり・・・。

評価★★★★/80点

天下のAKBでセンターを務めたスーパーアイドルが劇中ではアイドル志望のぐうたらニートを演じるというのは大きなチャレンジだったと思う。

ところが、履歴書用の写真を見て父親がププッと吹き出してしまうシーンで、実際そのアイドルっぽいブリッ子な写真を見るとたしかに笑わずにはいられなくて

この写真一枚でアイドルから女優に脱皮したといっていい(笑)。それくらい、前田敦子の性格ブスなタマ子はハマっていた。

また、20代の頃に延べ2年プータローを経験し、30代となった今は職を得てはいるものの相変わらずパラサイトシングルと化している自分にとってはタマ子のモラトリアムな生活はかなり身に覚えのあることで・・はっきりいって面白かったww

ただ、三十路ともなると、年頃の娘と暮らす男やもめの心持ちもよく分かり、そんな2人の絶妙な距離感というのがよく描けていたと思う。

その距離感というのは、減らず口は一丁前でも少なくとも今は動きたくないと父親に甘えっぱなしの娘と、それに苛立ちながらも本音では可愛い子には旅をさせたくない父親の共犯関係ともいえる。

しかし、実は最も敏感にその相互依存に気付いているタマ子。季節を追うごとにモラトリアムの居心地の良さを侵食してくる包囲網が狭まっていき、ラストで「夏終わったら家を出てけ」という父親の一言に「合格」と答えるやり取りはこれまた絶妙だった。

やっぱ親にも突き放す勇気がないとダメなのかもしれないけど、なかなか言える言葉じゃないよねぇ。

そういえば自分の大好きなTVドラマ「北の国から帰郷編」で、東京から帰省してきた純が父・五郎にこのまま富良野に残って父さんと一緒に居ていいかと訊くとそれを断る名シーンを思い出したw

ま、、自分のこと考えると笑えなくなっちゃうけどね

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百円の恋

Poster2出演:安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平、根岸季衣

監督:武正晴

(2014年・日本・113分)WOWOW

内容:実家にひきこもり、仕事もせずダラダラと過ごす32歳の一子。ある日、離婚して子連れで実家に戻ってきた妹とケンカしたことがきっかけで、アパートで一人暮らしをするハメに。仕方なく100円コンビニで深夜のバイトを始めるが、人付き合いが苦手で接客なんてやる気なし。そんな中、近所のボクシングジムで練習に励む中年ボクサーの狩野と知り合い、デートに誘われるという珍事に見舞われるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

実家でスナック菓子をボリボリ頬張りながらぐうたらしている三十路の独身ニート女、、おそらく世の中で1番イタイ人種であると同時に映画の主人公に1番なりづらいキャラクターではないだろうか。

さらにそこにボクシングときたらもう南海キャンディーズのしずちゃんくらいしか思い浮かばないんだけどw、安心してください、ここにいますよ!安藤サクラが!

最近の女優で役のためなら太ることもいとわないデニーロアプローチをするほどの演技派は「そこのみにて光り輝く」の池脇千鶴くらいしか思い浮かばないけど、今回の安藤サクラの女優魂にはほとほと感服した。

「モンスター」のシャーリーズ・セロンと「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリー・スワンクを一人で演じきってしまったような凄さといっても過言ではないだろう。

最初見た時は安藤サクラと気付かないくらいでっぷりとしたオバハン体型に仰天したけど、そこからシャープなボクサー体型に変貌をとげるのだから恐れ入る。しかも撮影期間がたったの2週間って、ライザップでも無理だろ(笑)。

また、ボクシングシーンも凄いのなんの。聞くところによると朝の6時から深夜2時半までぶっ通しで撮影してたらしく、極限の向こう側にイッた妥協のなさに圧倒された。

負け犬が一念発起して立ち上がるというありきたりなストーリーを安藤サクラの身ひとつで説得力をもたせてしまう、、この映画を見て役者の力量がストーリーを転がしていくという意味をあらためて再認識した気がする。

安藤サクラ。

ガチの女優である。

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横道世之介

8bf053b7出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛、井浦新、國村隼、きたろう、余貴美子

監督・脚本:沖田修一

(2012年・日本・160分)WOWOW

内容:1987年。長崎から大学進学で上京してきた横道世之介(高良健吾)。あか抜けないお人好しの世之介は、嫌みのない図々しさが人を吸い寄せ入学式早々から友達ができる。一方、年上の女性・片瀬千春(伊藤歩)に片思いをするも、お嬢様の与謝野祥子(吉高由里子)から猛烈アタックをかけられたりと大学生活を満喫していたが・・・。

評価★★★★/75点

不思議な映画だ。

160分間大きな山場も感動もないにもかかわらず、最後まで心地よく見られ、しかも160分という大長編を見た疲労感もなく後味も爽やかなのだ。

これは一体何なのか、見終わったあともよく分からないけど、なにかこう全体的にNHKの朝ドラの味わいに似た安心感はあったかな。それはドラマに無鉄砲なドタバタや非日常的な逸脱を排し、あくまで日常に寄り添った作劇の安心感といえばいいだろうか。

例えば、サンバサークルが牧場で合宿する一見シュールな場面であっても、ジャージ姿というアイテムが日常あるあるに落とし込み豊かなユーモアにしてしまう。

そういう巧さがこの映画にはあると思う。

そしてなにより人の懐に土足で踏み込んでくるKY男でありながら、他人の頼み事ははなっから受け入れる根っからのお人好しという世之介の天然キャラが良い。

鬱陶しさが優しさや真面目さと両立されているため、かえって共感を呼ぶ不思議な魅力に引き込まれてしまったし、さらなる天然ぶりを発揮する吉高お嬢さまとの相性もバツグンで、とにかく見ていて楽しい。

まさか楽しいなんていう感想をこの映画に抱くとは思いもよらなかったけど、世之介の屈託のない笑顔が過去のものだと分かる中盤以降はせつなさも加わって、より心に残る映画になっていたと思う。

この映画を見て、なにか特別な出来事とかではなく、長い時を経てふと甦ってくる懐かしい日々の思い出の中に登場することが、自分の生きた証なんだなぁと感じて、なんかちょっと楽になったw

いや、別に人の心に残る生き方をしようなんてこれっぽちも思ってないけど、あるひと時を一緒に過ごしていくであろう仲間たちとの何気ない日常こそ大切なんだなぁって。だからこの映画を見ていて楽しかったんだと思う。

忘れた頃にまた横道世之介に会いにこよっかな

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百万円と苦虫女

100man出演:蒼井優、森山未來、ピエール瀧、竹財輝之助、齋藤隆成、笹野高史、佐々木すみ江

監督・脚本:タナダユキ

(2008年・日活・121分)NHK-BS

内容:短大を卒業したものの、アルバイト生活を送る21歳の鈴子(蒼井優)。ひょんなことから警察沙汰を起こしてしまった彼女は、受験中の弟に前科者扱いされ、勢いあまって百万円貯まったら家を出て行く!と宣言する。そして百万円が貯まると、宣言通り実家を後にして、誰も知らない土地へと旅立つ鈴子だったが・・・。

評価★★★★/75点

三十路で独身で実家暮らしで低収入の典型的パラサイトチルドレンの自分は、自分のことを誰も知らない土地で暮らしてみたいと思うことが少なからずある。自分の所在をなくしてしまいたいという願望だ。

それは18で地元から都会に出て10年もたずに舞い戻ってきてしまった自分の場合、いつまでたっても結婚も自立もできずに親に迷惑をかけ続けていることからくる所在のなさだ。家族、親せき、地元の目が精神衛生上の圧迫になっていることは否めない・・

一方、映画の主人公、鈴子は21歳。前途洋々の若さであるが、就職浪人中のフリーター生活を変えようと家を出ること自体オイラから言わせればすでに自立している(笑)。

しかもこの女、決定的にモテるのである。どこ行ってもモテまくるのであるww

他者とのつながりに思いやりを求めるよりも傷つくことの方を恐れている鈴子の冷め具合いは自分も含めた現代の若者世代に共通する感性だとはいえ、ここまでモテる女のコが人間関係を忌避して土地をさすらうというのは若干の無理がある。

また、そこで出てくるのが“前科”というキーワードになるのだけど、同居人の男の持ち物を全て捨てたというのは後ろめたい犯罪というよりは武勇伝という方がまっとうで、所在なさの根拠とするには弱い気がする。

要は全体的にリアリティがないのだ。

まぁ、友達とその彼氏と3人でルームシェアするというそもそものところからしてあり得ない話だけど。。

しかし、このリアリティのなさを蒼井優のぶっちぎりの存在感が吹き飛ばしていて、映画を最高に魅力あるものにしているのだから、やっぱり映画はやめられない。映画も自分にとってある意味現実逃避だけど・・・w

でも、ホントにこの映画見て蒼井優にゾッコン

床に大の字になって寝転がるところとか、キュートな外面とは裏腹にグチや毒を吐くところとか最高にイイ♪

良妻賢母ぶりが板につきすぎている宮崎あおいが聖母マリア化している一方、いまだに手の届きそうなところにいるフツーの女のコでいつづける蒼井優の良さに今さらながらに気付かされただけでもこの映画を見てヨカッタ×2(^^♪

今一番好きな女優は誰かと訊かれたら迷うことなく蒼井優と答えます!

あ゛ー、蒼井優みたいな人いないかなぁw

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パレード

52897d159a6db740790ccace4e77482e出演:藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介、キムラ緑子、正名僕蔵、石橋蓮司

監督・脚本:行定勲

(2010年・日本・118分)NHK-BS

内容:都内のマンションの一室。そこでは映画会社の宣伝マン・直輝(藤原竜也)、酒好きのイラストレーター・未来(香里奈)、先輩の彼女に恋をした大学生・良介(小出恵介)、若手人気俳優と極秘交際中の琴美(貫地谷しほり)の男女4人がルームシェアしていた。彼らの共同生活の基本理念は、居たければ居ていいし、居たくなくなったら出ていけばいいというチャットのようなもの。しかし、ある日そこに男娼のサトル(林遣都)が加わったことで彼らの穏やかな日常は微妙に歪み始めていく・・・。

評価★★★☆/70点

冒頭、マンションの一室の外からヘリコプター音がしているのを見て真っ先に思い浮かべた映画があった。

森田芳光監督の「家族ゲーム」だ。

あの映画では、同じく外でけたたましくヘリの音がしているにもかかわらず、そんなのお構いなく惰眠をむさぼる家族の姿が印象的だった。それは社会や他者に対する無関心のカリカチュアといえるけど、その“家族”すら“個人”にとって代わられた現在にあっては、マンションの一室は家族団らんの場ではなく、チャットや掲示板のような匿名空間と化してしまった。

孤独はイヤだけど干渉されたくない、干渉されるのはイヤだけど誰かとは繋がっていたい、イヤなら去ればいいし居たければ笑っていればいいという、なあなあで居心地が良いかわりに真実味のない上辺だけの付き合いの場。

しかし一方では、ヘリの音がすれば目を覚まして外をのぞき見るし、隣の住人が怪しいことをしていると思えば詮索してみたりと、自分たちのテリトリーの外には人一倍好奇心旺盛だったりする。

まさにその他大勢が跋扈する“世間”と仮装して仮面をかぶった彼らとは本質的には変わらないのだ。

しかもその自分たちのテリトリーであっても匿名と実名の狭間にあるという危ういバランスの中にある。しかし、彼らにとってはそれが予定調和の日常に安住するための強固な土台となっているのだ。

そこらへんのビミョーかつ絶妙な若者の距離感をこの映画は非常にうまく描き出していたと思う。

そして、仮装行列“パレード”に仮面を付けずに闖入してきた男娼のサトルによって彼らの匿名性が徐々に引きはがされていき、ついには直輝が仮面を取っ払おうとしてそのバランスが崩壊するのかと思いきや、「それでも今まで通り仮装行列を続けていくよね?分かってんだろKY男!」というラストの同居人たちの刺すような冷めた視線は強烈だった。

赤信号みんなで渡れば怖くない的な、ゆるそうに見えて実はスゴイ窮屈な運命共同体だったのか。

自分含めて現代人がストレス溜まりまくりなのも道理なわけだ・・

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ばしゃ馬さんとビッグマウス(2013年・東映・119分)WOWOW

 監督・脚本:吉田恵輔

 出演:麻生久美子、安田章大、岡田義徳、山田真歩、秋野暢子、松金よね子、井上順

 内容:学生時代から脚本家を目指すも一向に芽の出る気配のない34歳の馬淵みち代(麻生久美子)は、友人を誘ってシナリオスクールへ通うことに。するとそこで、超自信過剰な28歳の自称天才脚本家・天童義美(安田章大)と出会う。ものの見事に対照的な2人だったが、天童はばしゃ馬のように頑張り続ける馬淵に一目惚れ。対する馬淵は、口先だけの天童を毛嫌いしていたが・・・。

評価★★★☆/70点

この映画のシナリオがコンクールの1次予選を通過するとはとても思えないんだけどw、何気ない日常をイタイ笑いに切り取っていく描写力はグランプリ級!

ちょっとした会話の間や表情、雰囲気など微妙なニュアンスを的確につかみ取るさりげない演出を一貫して持続できる才はなかなかのもので、なにより役者のオーラを消し去る容赦のなさは唯一無二。

それにより、自分は特別な何かなのだと頑なに信じ込む何ものでもない者のどんぐりの背比べと傷の舐め合いに生々しいリアリティが生み出されている。

そして、ばしゃ馬さん(麻生久美子)とビッグマウス(安田章大)のこじらせぶりのいたたまれなさがどこか身に覚えのある自分に跳ね返ってきて、見ていて笑えるんだけど切なくてツラくなってくるんだよね・・・。

でも、この映画の教えてくれる教訓は、自分をさらけ出さないと夢をあきらめることを肯定して真に前に進んでいくことはできないってことなのだろうけど、誰に吐き出すでもなく人知れずフェードアウトしていった自分はあの2人に比べたらよっぽどカッコ悪いよなぁ、、と身につまされていくのは自分だったというオチ・・

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中学生円山(2013年・東映・119分)WOWOW

 監督・脚本:宮藤官九郎

 出演:草彅剛、平岡拓真、鍋本凪々美、刈谷友衣子、YOU、ヤン・イクチュン、坂井真紀、仲村トオル

 内容:妄想癖のある中2の円山克也は両親と妹と団地住まい。今日も頭の中はエロい妄想でいっぱいの克也は前々から“エッチなあること”を成就するために日夜柔軟体操に励んでいる。そんなある日、仕事はせずベビーカーを押しながら団地をうろつく謎めいたシングルファーザーの下井が上階に引っ越してくる。そしてほどなくして、団地で殺人事件が発生。克也は下井が犯人ではないかとの妄想に取り憑かれていくのだが・・・。

評価★★★/60点

神が人間に与えたもうたオマケみたいな力=妄想を人並み以上に持ち合わせている自負はあるものの、あのような目的の屈伸運動にいそしんだこともなければ試してみたいと思ったことすらない自分としては(笑)、この中2のガキに共感しうるところはあまりなかった。

まぁようするにプロットの1つ1つがツマラなかったといえばそれまでだけど、悪ノリと悪ふざけと映画的でたらめさだけで出来ているかんじでイマイチ乗り切れなかった。

唯一、「息もできない」のヤン・イクチュンが出てくる韓流くずれネタはウケたw、、ってそれもちょっと悲しいな。。

うーん、、クドカンの映画畑でのクリエイティブな仕事はもう底が見えたかなぁ・・。小ネタの天才であることは疑う余地はないけど、映画という枠内で大きな物語を描くことにかけては凡庸なのだということで、やっぱこの人は舞台とテレビの人なんだと思う。

あまちゃんでクドカンワールドに初めて触れた年配の人はこれ見て卒倒するだろうなww

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