お気に入り

最近のトラックバック

2018年5月 2日 (水)

夢のシネマパラダイス562番シアター:家族はつらいよ

家族はつらいよ

E27d8733出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン

監督・脚本:山田洋次

(2016年・松竹・108分)WOWOW

内容:東京郊外に暮らす平田一家。ゴルフと酒をこよなく愛する家主の周造は、定年後の隠居生活を謳歌する日々。そんなある夜、妻・富子の誕生日に気付いて、何でもプレゼントするぞーと言って妻が出してきたのはなんと離婚届!サインとハンコが欲しいのだという。思いもよらぬ事態に同居する長男夫婦と近所に暮らす長女夫婦も集まって家族会議が開かれるが・・・。

評価★★★★/80点

現代版東京物語を松竹伝統の人情ものとしてトレースした「東京家族」にえらく心を打たれた自分。まさかその4年後に全く同じキャストでこれまた松竹伝統のホームコメディに仕上げてくるとは思いもよらなかった。

しかし、「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」で培われた昭和印の喜劇調を久々に味わえたのはどこか温かい懐かしさに包まれたし、家族みんなで家の居間で見たんだけど、楽しい時間を共有できてよかった。

さすが安定の山田節といったところだけど、実際は細部まで緻密に作り込まれた隙のない職人芸ということができ、それを全く感じさせないありふれた日常風景として見せるところが山田洋次のなせる技なんだろうね。

また、それをしっかり咀嚼する役者陣も完璧そのもの。

性格を含め「東京家族」と瓜二つのキャラクター設定というのも、混同する違和感よりも既知の安心感の方が勝って映画の世界にすんなり入っていくことができたし。

特に、「東京家族」では大都会東京で行き所のない寄る辺なさに無愛想一辺倒の縮こまった型にはめられていた父親役の橋爪功が、今回は水を得た魚のようにやりたい放題で最高に面白かったし、あとはやはり何と言っても蒼井優♪

毎回言ってるかもしれないけど、理想の結婚相手は蒼井優ちゃんです

 -----------------------

歩いても歩いても

N_609bcdr2214rpl 出演:阿部寛、夏川結衣、YOU、高橋和也、田中祥平、樹木希林、原田芳雄

監督・脚本:是枝裕和

(2007年・日本・114分)CS

内容:夏のある日。子連れのゆかり(夏川結衣)と再婚した良多(阿部寛)は、15年前に亡くなった兄の命日に合わせて東京近郊の実家を訪れる。が、開業医を引退した父(原田芳雄)とはもともと反りが合わなかった上、失業中の身の上でもあり気が重い帰郷だった。ひと足先に、姉(YOU)一家も到着していて、久しぶりに家族全員が集まった。。

評価★★★★/80点

「男はつらいよ寅次郎相合い傘」(1975)にこんなシーンがある。

めちゃ美味メロンを人数分に切って食べようとしたら、ちょうどそこに寅さんが商売から帰ってくるんだけど、妹のさくらがうっかり寅さんの分を勘定に入れ忘れてしまい、いじけた寅さんがとらやの面々と大ゲンカになるという爆笑シーンだ。

たかが一片のメロンごときでしつこすぎるくらいムキになる寅さんの度量の小ささが笑いを生み出すわけだけど、今回の映画も男連中の他人から見れば笑ってしまうような「小っちぇ~」ことにこだわる様がリアルに描かれていてまことに面白い。

しかし、この面白さの裏には思わず背筋がゾクゾクしてしまうような怨念と、思わず卒倒してしまいそうな毒があるのがミソ。

和気あいあいとした空間に漂う様々な恨みつらみや口に出せない秘密、その中で料理を手順を踏んで作るように消化していく夏の一日、そんなお盆に3世代が集まる家族の風景、そしてそこに刻まれる何十年にも渡る家族の歴史劇が、建前9:最強本音爆弾1のセリフ劇で見事にあぶり出されていく今回の映画。

夫と妻、父と息子、母と娘、嫁と姑、祖父と孫、従兄弟、、、ズケズケと何でも言い合える関係もあれば、遠慮から奥歯に物がはさまったような言い方しかできないぎこちない関係もある・・・。その中でこの映画はそれぞれの関係性における微妙な間や会話の妙が絶妙で恐ろしいくらいにリアルなのだ。

まるで録音した自分の声を聴いた時のような居心地の悪さ、と同時に懐かしい思い出を思い起こさせる居心地の良さをも喚起させてくれる世界がそこには広がっている。

なんとも不思議な感覚を味わわせてくれる映画だ。

例えば自分なんかは、ゆかり(夏川結衣)の連れ子であるあつし(田中祥平)に妙にシンクロしてしまって(笑)。。

それはおそらく小学校時代に転校が多かったこととかも関係してると思うんだけど、彼が初めて敷居をまたいだ家で感じる居心地の悪さと緊張感が痛いくらいに伝わってきて見てて可哀想になってくる一方、彼がしたたかに立ち回る様もリアルに実感できて、コイツ大人やなぁと感心してしまった。

普段はあまりにもありきたりすぎて立ち止まって考えることがない家族の風景。温かくて痛くて優しくて哀しくてウザッたくて、それでも無性に帰りたくなって、、、そんな家族の愛おしい情景。

一年に一日、この映画を日本人全員が見る日ってのを作ってもいいんじゃなかろうか(笑)。

それにしても樹木希林、上手すぎ。そしてYOU、そのまんまww。原田芳雄は鈴木清順と見間違えちゃったけど・・。

 -----------------------

メゾン・ド・ヒミコ

Himiko 出演:オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯、西島秀俊、歌澤寅右衛門

監督:犬童一心

(2005年・日本・131分)WOWOW

評価★★☆/50点

内容:ある日、24歳の沙織(柴咲コウ)のもとを岸本(オダジョー)という男性が訪ねてくる。彼は、沙織と母親を捨ててゲイ・卑弥呼として生きていく道を選んだ父親(田中泯)の恋人だった。岸本は、ゲイのための老人ホーム“メゾン・ド・ヒミコ”を建てて運営していた彼がガンになり余命いくばくもないことを沙織に伝え、ホームを手伝わないかと誘うのだが・・・。

“「たそがれ清兵衛」の田中泯の変身っぷりには脱帽・・・。”

「ハッシュ!」(2001)のときもそうだったけど、このての性的マイノリティを扱った映画には深入りするのを避けちゃう傾向があって、今回もやっぱダメだった・・・。

ゲイ老人たちのファッションにもドン引きだったし、ダンスホールでのハイテンションぶりもムリ

「ブスの処女と、性病持ちのオカマどっちがいい?ギャハハハ」、、、グーでぶん殴りたくなったんですけど、あのジジイ(笑)。

というかんじで、立ち入ることができない異界ワールドだったのだけど、ただ1つ思ったのは、このての人々ほど愛するということへの純粋さを持ち合わせている人種はいないだろうなということ。そこの点はちょっと羨ましさを抱いてしまったかも。

他人はおろか社会からも拒絶されてしまうという絶対的な孤独を身をもって知っているからこそ生み出される想いなんだろうね。そしてそこを突き抜けちゃうと、ああいう開放的な世界の住人になることができる、のかなw

その中で、彼らが作った小さな共同体にまぎれ込んでくるノンケの沙織の孤独と憂鬱の方が際立って見えてくるのはうまいつくりになっているなとは思う。

そういう点では、この映画は沙織の傷ついた人生の再生物語という側面の方が強いわけで、ゲイ映画ではないんだよね。彼らの人物像の内面に映画自体が深入りしてないし。ま、それでも生理的にちょっとダメだったけど・・・。

あとはまぁ、なんといっても柴咲コウの化粧っ気のない地味ぃ~なコンビニ店員姿だな。ちょっと引いたわ(笑)。。

 -----------------------

酒井家のしあわせ(2006年・日本・102分)NHK-BS

 監督・脚本:呉美保

 出演:森田直幸、ユースケ・サンタマリア、友近、鍋本凪々美、谷村美月、笑福亭仁鶴

 内容:三重県のとある田舎町。一見ごく普通の家族にみえる酒井家だったが、14歳の長男・次雄(森田直幸)は最近家庭にうんざりしていた。母・照美(友近)は再婚、次雄は事故死した前夫の連れ子、下の娘・光(鍋本凪々美)は母と義父・正和(ユースケ)との間にできた父親違いの妹という複雑な家庭環境にあったからだ。そんなある日、照美とケンカした正和が突然、好きな男ができたとカミングアウトして家を出て行ってしまう・・・。

評価★★★★/75点

“だ、ダマされた・・・。”

家族の何気ない日常を切り取っていく視点が独特の間の中でユーモアたっぷりに描かれていて、終始楽しく見ることができた。

例えば、家族で外出する時に、オカンが早くしなさいと急かしているくせに、当の本人が1番遅く家を出てくるシーンも、車の中でジィーッと待っている夫と子供たちの姿がたまらなくおかしかったり。どこの家のオカンも同じなんだな(笑)。

しかしこの監督、コミカルな間を作って、「あ、それってあるある」というエピソードをテンポよく見せていく演出の手腕はかなりこなれているなという印象。と思ったら新人さんなのね、この監督。。

あとこの映画で外せないのが、配役の妙。

日テレ「エンタの神様」のひとりコントにそのまんま出てきてもおかしくないような格好の友近が、決して類型的ではない妙にリアルなオカン像を演じていて新鮮だったし、関西弁をしゃべれないユースケ・サンタマリアの不器用なオトン役がものすごくしっくりきていた。

そして極めつけが仁鶴wwユースケが笑い転げちゃうのも無理ないわ。

とにかくほんわか温かいぬくもりが残るかなりしあわせな映画だったと思う。これからが楽しみな若手監督さんだね。

 -----------------------

アルゼンチンババア

Big 出演:役所広司、堀北真希、鈴木京香、森下愛子、手塚理美、岸辺一徳

監督:長尾直樹

(2007年・日本・112分)盛岡フォーラム

評価★★★/60点

内容:高校生のみつこは、両親との3人暮らしだったが、誰よりも活気のあった母親が病気で亡くなってしまう。そしてその直後、墓石彫り職人の父親が行方をくらましてしまうのだった。それから半年後、父親はどうやら町外れの草原に建つ古ぼけた洋館にいるらしいことが判明する。しかし、その屋敷にはアルゼンチンババアと呼ばれている謎の女が住んでいるらしい。みつこは勇気を出して訪ねてみるが・・・。

“あのハチミツ、、二缶ほど譲ってくれませんか(笑)”

アルゼンチンババア特製の媚薬ハチミツが欲しいってことと、堀北真希のムチウチ症姿が見れたってことくらいしか得るものがなかったな(笑)。

でも、フツー原作ものの映画って、映画が面白くなくても原作は読んでみたいなという場合が多いのだけど、今回は正直全く読みたいと思わなかったんだよね。そういう意味では逆に不思議な映画だったともいえるけど・・・。

登場人物の行動や会話がことごとく意味不明で伝わってこなくて、一人蚊帳の外で見続けなければならない、なんとも題名に相応しいわけの分かんない遠い世界の映画だったけど、その中で孤軍奮闘した堀北真希ちゃんを見るぶんには十二分に元が取れるのもまたたしかで。。やっぱ不思議な映画。

でも、、ババアに鈴木京香をあてるってどうなんだろという根本的なところも気になる。室井滋とか夏木マリはたまたYOU、久本雅美あたりだろフツー。あるいは大竹しのぶ、浅野温子あたり?

ちょっと鈴木京香は役違いのような気が。まぁ、「ゼブラーマン」でコスプレ好きになって一皮剥けた女優さんだからババアもやってみたかったのかな

 -----------------------

リトル・ミス・サンシャイン

Lms 出演:グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキン、ポール・ダノ、アビゲイル・ブレスリン

監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス

(2006年・アメリカ・100分)仙台フォーラム

評価★★★★★/95点

内容:アリゾナ州ニューメキシコに住むフーヴァー家は、家族それぞれに問題を抱え崩壊寸前。父は独自の成功論をまとめた自著の売り込みに必死、長男は一言も発さず、祖父はヤク中、伯父はゲイの恋人にフラれて自殺未遂と、まとめ役の母は一苦労。そんなある日、7歳の娘オリーヴがカリフォルニアで開かれる美少女コンテストの本選に進むことになる。そこで一家は、オンボロのミニバスに家族全員で乗り込み、カリフォルニア目指して出発するのだが・・・。

“オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)って誰かに似てるよねぇ・・・”

ってあれよあれ、フィギュアスケートの安藤美姫だよ。あの出っ腹はさておき、精神年齢もほぼ変わらんだろうし・・(笑)。

というのはさておき、この映画、オイラ的2007ベストムービーにまず間違いなく選ばれるであろう愛すべき一品になってしまいました。

とにもかくにも笑いと涙が同時に押し寄せてくる映画体験というのはそうざらにあることではないので、そういう意味でも心に残る一本となりますた。

しっかし、途中から笑いのドツボにハマッちゃって笑って泣いてんだか感動して泣いてんだか最後は分からなくなっちゃったな・・・。

色覚異常で空を飛べないと分かり、野っ原で完全ふてくされ状態になった15歳の兄ドウェーンを無言で肩に寄り添いながら慰める大人な7歳オリーヴ。

笑いの導火線に火が付いたのはこの次のシーン。ドウェーンが「分かった。」と気を取り直して車に戻るときに土手を登るわけだけど、オリーヴちゃんあの体型もあって登れないんだ(笑)。そこをドウェーンが抱っこして持ち上げて登る何気ないシーンがなんとも可笑しみのあるオチで、シリアスな感傷モードに入る一歩手前で何気なく笑いに転回させる絶妙さに完全に引き込まれてしまった。

クラクションが鳴り止まなくなったミニバスを警官に停車させられ、トランクに積んであるシーツにくるまれたジイちゃんの遺体が見つかってしまうのかという絶体絶命の状況で、エロ本がドサッと落ちてきて、それを見つけた警官がニヤリとするオチも最高で、何も知らない妻シェリル(トニ・コレット)の不安そうな表情とエロ本を3冊(うち1冊はゲイもの)も買い込んでいたフランク(スティーヴ・カレル)へのお前はなんて奴だ!というリチャード(グレッグ・キニア)の視線とフランクのえっ何?オレ何かした?という表情がこれまた何気なく描かれていて、逃げ場のないバスのミニ空間の中に凝縮される人間模様が面白おかしく自然に描かれてるんだよね。

この自然なオーソドックスすぎる演出も良くて、例えばギアのブッ壊れたミニバスを家族みんなで押して発進させて飛び乗るこの映画を象徴するシーンや、ラストの珍妙なダンスを家族みんなで踊るシーンだとか、とにかく映画的な動きというのが終始物語をしっかりと牽引していく。

しっかり映画しちゃってるんだよねこれ。こういう映画見ると嬉しくなっちゃう。

才能が少々欠けようが負け組と揶揄されようが前に進むしかないんだというメッセージも心にしみわたりました。

イイ映画です。

ちなみにオリーヴのタヌキ腹は、詰め物を入れてるのだそうで、実際のアビゲイルちゃんはフツーの体型らしいですw

2018年1月 4日 (木)

夢のシネマパラダイス547番シアター:日本版あの頃にタイムスリップ!

だけがいない

Poster2出演:藤原竜也、有村架純、鈴木梨央、中川翼、林遣都、福士誠治、安藤玉恵、及川光博、杉本哲太、石田ゆり子

監督:平川雄一郎

(2016年・日本・120分)盛岡フォーラム

内容:売れない漫画家・藤沼悟は、事件や事故に遭遇すると、その原因が取り除かれるまで発生直前の時点に何度もタイムスリップする“再上映(リバイバル)”と呼ぶ能力を持っていた。しかし、それは自分ではコントロールできないのでほとほと嫌気が差していたが、リバイバルがきっかけでバイト仲間の愛梨と親しくなる。そんなある日、またもやリバイバルが発生。悟が違和感の正体をつかめない中、一緒にいた母親だけが何かに気づきリバイバルは解消された。しかしその直後、母親は何者かに殺害されてしまい、悟が犯人に仕立て上げられてしまう。そして母を助けようとする悟にリバイバルが再発動。今度は20年前の小学生時代にタイムスリップしてしまう・・・。

評価★★★/65点

総じて漫画原作の実写映画化は期待ハズレに終わることが多い。あるいは漫画と映画は全くの別物ということもできるけど、今回の原作は緻密に組み立てられた構成力とキャラクター造形、完璧な伏線回収など、漫画としてはもちろんそれだけで映像媒体としてもすでに完成されたハイクオリティ作品なので、映画化もよほどのヘマをしなければ失敗しないはず、だと思っていたw

そういう点で今回の映画を見ると、雛月加代を親の虐待から助け出すところまでは、ドンピシャのキャスティングしかり風景からプロダクトデザインに至るまでの映像しかり、ビックリするくらい忠実に原作をトレースし、正直マンガを知らないで映画見てたらより面白かったかもと思ってしまうくらいほぼ完璧な仕上がり。

が、しかし、この雛月救出までに1時間半を費やしてしまい、残り30分でまるで夏休み最後の日に徹夜で溜まりにたまった宿題を大慌てで取りかかる小学生のようにあたふたと風呂敷を畳むもあえなく轟沈

第4コーナー過ぎてからのまさかの失速にこちらも撃沈しちゃったんだけど、犯人が八代先生(及川光博)ということにたどり着くのも拙速すぎだし、何より1番分かりづらくて混乱するのが1988年の世界で悟が八代に橋から川に突き落とされた後、2006年の現在に戻ってからなんだよね。

2006年に愛梨(有村架純)と河川敷で会った悟が警察に逮捕された直後にリバイバルが起きたにもかかわらず、八代に突き落とされた悟が戻ったのはそこではなく、映画の冒頭でピザ屋の配達中に小学生を助けようとしてトラックにはねられた後の病室で、しかも病室にいるのは事故を目撃していた愛梨ではなく、妊娠している加代。さらになぜか愛梨とは面識がなくなっている、と矢継ぎ早に進むので見ているこちら側は混乱するばかり。。

さらにデパートの屋上で八代と格闘して悟が首を切られるも八代は逮捕されて一件落着、かと思いきやエピローグでいきなり2016年に飛んで、お墓参りの墓石に悟の名前が、、えっ?死んだの!?と呆然とする中でジ・エンド。

例えば、愛梨と面識がないことは原作通り悟がずっと植物状態になっていたということで済む話のはずなのに、、どうなっているんだこの脚本ww

半ば見切り発車としか言いようがないラスト30分の力技にある意味ド肝を抜かれたけどw、それまでの丁寧さとかけ離れた粗雑な出来とのあまりの落差に監督2人いるのか!?といぶかってしまうくらい目が点になってしまった・・・。

リバイバルというのが普通のタイムトラベルものと異なり、意識だけが当時の自分自身に飛ぶ(あるいは当時の自分の姿になる)ところが新機軸な設定だけに、うーん、、この出来というか納め方には残念至極としか言いようがない。

タイムトラベルものはお手の物のハリウッドで実写化求ム。

 ---------------------

青天の霹靂

P1399016757866出演:大泉洋、柴咲コウ、劇団ひとり、笹野高史、風間杜夫

監督・脚本:劇団ひとり

(2014年・東宝・96分)WOWOW

内容:39歳の売れない独り身マジシャンの晴夫は、幼い頃に母に捨てられ、父親ともいまや10年以上絶縁状態だった。そんなある日、警察からホームレス状態の父の死を知らされる。遺骨を抱え、やりきれない気持ちで父の住み家だった荒川の河川敷に佇む晴夫だったが、そんな彼を一閃の雷が直撃。そして気付くと、40年前の浅草にタイムスリップしていた。やがて演芸ホールでスプーン曲げを披露して人気マジシャンとなった晴夫は、同じくマジシャンをやっていた若き日の父とその助手を務める母と出会う。そして、父とコンビを組むことになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

手品とタイムスリップという映画のモチーフに鑑みていえば、プロットの運び方、伏線の張り方、心象風景の描き方、カットバックの使い方、スローモーションや省略などの時間軸の操作、巧みなカメラワークetc..要は映画とは嘘をついていいものだという心得をしっかりわきまえた手練れの演出に満ちている。

しかしその反面、冒頭の主人公のマジックを吹き替えなしのワンカット長回しで捉えるシーンなど、映画につかみとリアリティをもたせるツボもちゃんと押さえているのも強みだ。

多少その手法に酔いすぎてクドく見えるようなシーンもあるけど、およそこれが初監督作とは思えないほどエモーショナルにあふれた非常に見やすい作品に仕上がっていたと思う。

ただ、しいて希望を挙げれば、お腹いっぱいになる前に終わっちゃったてことかなw

でもこういうのってもっと盛っちゃいたいはずだし、見る方もそれを期待している所もあるんだけども、逆に編集でバッサバッサとカットして90分弱にまとめてしまう肝っ玉の強さは、やはり大いなるセンスといわなければならないだろう。

次回作が楽しみな監督のひとりになったな。

 ---------------------

この胸いっぱいの愛を

C_b0010500579_tl_2 出演:伊藤英明、ミムラ、勝地涼、宮藤官九郎、吉行和子、愛川欽也、倍賞千恵子

監督:塩田明彦

(2005年・東宝・130分)MOVIX仙台(試写会)

評価★★☆/45点

内容:百貨店に勤める比呂志は、出張で小学生時代を過ごした北九州・門司を訪れた。しかし、何か様子が違う。新聞見ると、、えっ?1986年?20年前じゃん!タ、タイムスリップ。。ていうか、少年時代の自分にも会っちゃった・・・。そんなこんなで比呂志は実家だった旅館に住みついてしまう。そんなある日、彼は憧れだった近所の和美姉ちゃんと再会する。彼女は難病のすえこの世を去ってしまう運命にあるのだが、今ならば救えるかもしれないと比呂志は考える・・・。

“タイムパラドックスの定石を捨ててまで描き出したのがこれなの・・・?思わず失笑。”

タイムスリップする1986年という時代設定がまずはビミョー・・・。

だって昭和61年やろ。

バブル景気がちょうど幕を開けた頃だと思うのだけど、なんかイメージとしてパッとしないというか、そんな昔でもなければつい最近でもないという時代背景の中途半端さが気になった。

しかもそれに輪をかけたように伊藤英明のメインストーリーがこれまたビミョーなんだよなぁ・・・。タイムパラドックスなど眼中にないくらいお構いなしで突き進むのは大目に見るとしても、肝心要のメインストーリーに力がなかったら、ただの独りよがりなだけの映画じゃないか。。

サブストーリーである若いヤクザ(勝地涼)、老婦人(倍賞千恵子)、クドカンのエピソードの方がフツーに感情移入できただけにメインの物足りなさが一層際立ってしまった。

これは多分に失われた命を取り戻そうという事の重みに対して、シナリオに力がないのか、伊藤英明に力がないのか、あまりにも人間ドラマの描写が軽すぎるというアンバランスさに起因するように思う。

そもそも「黄泉がえり」(2002)では現世で生きる人々のもとに亡くなった大切な人が舞い降りてくるという、あちらから会いたい人がやって来るという構図なのだけど、今作ではこちらから会いに行くという構図になっている。その点ですでに作為的要素が含まれているといってもいいのだけど、この映画のメインとなるのは結局この世を去った憧れの人を救おう、生き永らえさせようとする話なわけで、そこら辺はどうも自分は胡散臭さを感じてしまった。

だって要は積極的に未来を変えて死者を甦らせようとするわけで、そこに十分な説得力、つまり死んだ者は絶対に生き返らないという命題を覆す魔力を持たせるにはやはりタイムパラドックスの定石を使っていくしかないと思うのだけど。。

しかし、この映画はそれをあえて無視した上で完全に人間ドラマに徹した感がある、、、のだが、ものの見事に肩透かしをくらったような力の無さには目を覆うばかり。

作為に満ちた独りよがりな映画とはまさにこのことを言うのではなかろうか。

ただ、塩田監督もなにやら罪滅ぼしでもしたかったのか、それとも塩田監督なりのケジメの付け方なのか、ラストに出てきた生き永らえた和美(ミムラ)の姿にはなんとも厳しすぎる年輪が刻まれていて、それまでの演出とはかけ離れていたので驚いたというか、また別な意味で肩透かしをくらっちゃった・・(笑)。なんだかわけの分からん映画だったな。。

自分が思うに、生んだ直後に亡くなってしまった母親、今まで幻だった母親に会うことになる若いヤクザ(勝地涼)の話をメインにすればそれなりに見れたのではないかと思う。命のやり取りはこの映画には重すぎる・・・。

あるいは、どうせだったらどっかの老人ホームのバスが崖下に転落しちゃうとかさ(笑)、んでその拍子に1946年にタイムスリップしちゃうとか。だってジッちゃんバッちゃんの方が人生で本当にひとつだけやり直したいことの重みって説得力がありそうだし。

とにかく「黄泉がえり」の二匹目のドジョウとはなりえなかったな今回は。

 ---------------------

バブルへGO!!タイムマシンはドラム式(2006年・東宝・116分)WOWOW

 監督:馬場康夫

 出演:阿部寛、広末涼子、吹石一恵、伊藤裕子、劇団ひとり、薬師丸ひろ子

 内容:2007年の日本。国は800兆円の借金を抱え、日本経済は破綻寸前。そんな日本の危機を救うべく、財務省官僚の下小路(阿部寛)はある計画をぶち上げていた。それは、1990年にタイムスリップしてバブル崩壊をくい止めようというものだった。ところが、先にタイムスリップしていた開発者の田中真理子(薬師丸ひろ子)がそのまま行方不明になってしまう。そこで下小路は、真理子の娘で借金取りに追われているフリーターの真弓に目をつけ、真弓は母親を救うためにタイムマシンに乗り込むのだったが・・・。

評価★★★/60点

バブル全盛期に山ん中に秘密基地を作ったりして駆けずり遊んでいた小学生時代の自分にははっきりいってあまりピンとこなくて実感がわかない題材だし、しかしかといってバブル崩壊後の失われし10年の真っ只中で就職超氷河期にブチ当たってしまった自分からするとああいう軽いノリで描かれるとなんだかしゃくにさわるし・・・(笑)。なんだかなぁ。。

タイムマシーンを起動するのに洗剤を入れるというのは笑えたけどね。

 ---------------------

地下鉄<メトロ>に乗って(2006年・日本・121分)WOWOW

 監督:篠原哲雄

 出演:堤真一、岡本綾、常盤貴子、大沢たかお、笹野高史、吉行和子

 内容:43歳の営業マンである真次(堤真一)はある日、父が倒れたという連絡を受ける。が、真次は大財閥の総帥であった傲慢な父に反発し、高校卒業後に家を出たっきり一度も会っていなかった。そんな真次が地下鉄を出ると、、、昭和39年の東京にタイムスリップしていた!しかも真次の恋人であるみち子(岡本綾)もタイムスリップしてしまう。そして真次は、若き日の父(大沢たかお)に出くわすのだった・・・。

評価★★★/60点

とうとう解りあえなかった父親が戦前、戦中、戦後という激動の昭和をどのように生きてきたのか、その知られざる真実にスポットを当てることによって父親と息子がつながっていくという、いたってシンプルなお涙頂戴もののはずだったのに。

そこにいきなり80年代角川映画もビツクリの近親相姦ネタに、あげくの果てに妹が自殺(正確には存在自体を消してしまう)しちゃうって、、、こんなん2時間で消化しきれねぇよ。韓流ドラマみたいに全50話くらいでやってくれ(笑)。

しかも、階段から突き落とされたお時(常盤貴子)の人生はどうなっちゃうんだよ。全然消化不良じゃん。

ていうか肝心のテーマが一気にボヤけちゃったし・・・。

自分の祖父も小沼佐吉(大沢たかお)と同じように、戦時中に満州行って結局ソ連軍に連行されて、シベリア抑留を体験してなんとか生きて日本に帰ってくることができた人だったから、かなりリンクするところはあったと思うんだけど、ラストの仰天ネタに一気にガクッときてしまった・・・。

2017年12月31日 (日)

夢のシネマパラダイス561番シアター:カンヌに好かれる女、河瀬直美

萌の朱雀

Moeno_2 出演:國村隼、尾野真千子、和泉幸子、柴田浩太郎、神村泰代

監督・脚本:河瀬直美

(1997年・日本・95分)DVD

評価★★★/65点

内容:ふるさとを愛する気持ちとは裏腹に、離ればなれになって暮らすことを余儀なくされる一家の様子を綴ったドラマ。河瀬直美監督の故郷である奈良県の山間部を舞台に、出演者の大半に地元の素人を起用して、セリフを極端に排した即興風の演出により、日本の風土や人間性を浮き彫りにしていく。カンヌ国際映画祭で、カメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞した。

“関西人って、、こんな寡黙だったっけ。。”

光と影の淡い存在感、風に揺らめく風鈴、森のざわめき、染み込んでくるような生活音、それら日常にひそむ何気ないものの存在感が、土地の力や空気感となって静かだが確かな呼吸としてフィルムにとらえられていく。

感覚がいやでも研ぎ澄まされていく映像にただただ身を任せてみるのも一興ではある。

ただ、自分にとって映画は、やはり1スジ2ヌケ3ドウサ=シナリオ→映像→キャスト・演技・演出という優先順位で見ていきたいタイプなので、省略に省略を重ねたある意味不親切なストーリー描写には正直途中でついて行くのをやめたくなってしまうくらいにどうでもよくなってくる。

きっちりと作り込まれたシナリオじゃないとダメという自分の勝手なスタンスがこの映画とキョリを置かせちゃうんだよね。

それにしたって何しゃべってるのか分からないのよね、これ。耳に残るはヒグラシの鳴き声のみ。。

 ---------------------

殯の森(2007年・日本・97分)盛岡フォーラム

 監督・脚本:河瀬直美

 出演:うだしげき、尾野真千子、渡辺真起子、ますだかなこ、斉藤陽一郎

 内容:我が子を幼くして亡くし、夫とも別れた過去を背負っていた真千子は、奈良の山間部にあるグループホームに介護福祉士として赴任する。彼女はそこで33年前に亡くした妻との思い出の中に浸るひとりの老人と出会う。そんなある日、真千子は、老人を妻のお墓参りに連れて行くのだが・・・。カンヌ国際映画祭でグランプリ(審査員特別大賞)を受賞。

評価★★★/65点

“彷徨と迷子の違い”

死や老いというものに対してまだ真剣に向き合うことがない年代の自分にとって、それをまともに感じられるのは映画を観たときくらいのものだ。

しかし、それでも自分にとってどういう映画が好きかといわれれば、ワラにもすがる思いでとにかく必死に生きようとする者を描いた映画が好きだと答えるだろう。死という絶対的に抗えない存在に対し、しゃにむに対峙する光り輝く生をこそ見たいのだ。

その中でこの映画は、妻を亡くした夫、子供を亡くした母親という身近な人の死という逃れられない喪失の中で、生きる意味を見出せずに漂いつづける2つの魂を描いている。

そして亡くした妻の墓がある原初の森深くの聖域で癒しの光により浄化され、生の実感を取り戻すという、そういう意味では極めて幻視的な映画だといえるだろう。

いわば必死な生というよりは闇に彷徨う生を描いているといった方がいいかもしれないが、その彷徨う生が、森という闇と彷徨そして生と死の境界にはもってこいの舞台装置の中で、再生への一歩を見出す姿を描いている。

しかし、そうはいっても映画という、監督が対峙する世界に対し監督自らが自覚的に再構築するという点でかなり無自覚かつ説明不足な作品であることは間違いなく、緑が目に迫ってくる映像世界だけでもっていた映画といえなくもないし、かと思えば情感の喚起を促すにあたっての監督のエゴが徹底されているわけでも決してないという、観る側にとっては立ち位置に非常に苦心してしまう映画だといえると思う。

そこらへんはセルフドキュメンタリーとフィクションの区別がつけづらいという河瀬直美の作風も少なからず影響しているのだと思われるが、個人的にはちょっととっつきにくいな、と。

まぁ、人が彷徨う映画というのは実は好きで、例えば北野武の「ドールズ」(2002)なんかはけっこうお気に入りなのだけど、ただやはりそこで死あるいは生が絶えずそこにあって透けて見えてくる情景だとか心象というものを描いてくれないと文字通りただの迷子としか見えなくなっちゃうんで、映画としては味も素っ気もないものになってしまうんだよね。

そこらへんもうちょっと今回の映画は詰めていって描いてもらいたかったな、と。

なんかまだ粗い素描というか下絵を見せられただけのような感が強く、決して満足のいく作品ではなかったことはたしかだ。

ただ、映像面に関しては感性豊かな繊細さが感じられて思わず見入ってしまったところもあり、一応最後まで見られるプラマイゼロの映画だったというかんじかなぁ。。

 ---------------------

あん

An_main2385x580出演:樹木希林、永瀬正敏、内田伽羅、市原悦子、太賀、浅田美代子、水野美紀

監督・脚本:河瀬直美

(2015年・日/仏/独・113分)WOWOW

内容:町の公園前にある小さなどら焼き屋で雇われ店長をしているワケあり男、千太郎。常連の女子中学生くらいしか寄り付かないような中、ある日求人募集の張り紙を見てバイトしたいと老女、徳江が訪れる。当初は渋っていた千太郎だったが、徳江さん手作りの粒あんの絶品的美味さに雇うことに。するとたちまち評判となり大繁盛していくが・・・。

評価★★★★☆/85点

“神ってる樹木希林に5万点!”

春の風に優しく揺れる満開のソメイヨシノの桜並木の花びらを一身に愛でながら、どら焼き屋を訪ねてくる徳江さん(樹木希林)の姿、、そのお店で働けると分かって喜ぶ姿、、客足がパッタリ途絶えて店を早仕舞いした時に店長にあいさつして退出していく姿、そのどれもに思わず涙がこみ上げてきてしまった。

樹木希林を見ただけでパブロフの犬のようになってしまうなんて涙もろくなるにも程があるんだけどw、所さんの笑ってコラえてのダーツの旅に出てくるおばあちゃん村人を見てウルっときてしまうのに似ていて、アドリブとも演技ともつかない自然体な存在感に吸い込まれていったかんじ。

これが例えば同じハンセン病患者役の市原悦子だと、やはり演じてる感がより強く出ちゃってて、逆に若干の違和感を感じちゃうんだよね。それくらい樹木希林の凄さが際立つんだけど、考えてみれば出演してきたどの映画でもボソボソっと呟いてただそこに居るだけなのに圧倒的な存在感を醸し出してきた女優さんだと気付かされる。

おばあちゃんの笑顔の裏に隠された本音爆弾をブスリブスリと突き刺していく「歩いても歩いても」とか、「借りぐらしのアリエッティ」の家政婦役なんて声だけなのにジブリ史上最も醜悪なキャラに仕上がっちゃってたし・・(笑)。

以前、女友達が1番好きな女優は樹木希林だと言ってて一瞬引いちゃったことがあったけどw、ようやっとその意味するところが理解できた気がする。

また、風景を主役としてきた河瀬直美監督が大都会東京をどう撮るのかというのも興味深かったけど、桜の季節からひと巡りする四季の移ろいを陽射しと風と木々の色づきで優しく映し取っていて印象的だったし、商業映画ベースのフォーマットで作られていたのもあって今までで1番見やすい作品だった。

癩(らい)病という烙印を押された途端に社会の目が単色化し、一切の個性がはぎ取られていく中でも光を求め人間であることを求め続けた徳江さんの「何かになれなくても自分たちには生きる意味がある」という言葉は本当に心に響いたなぁ。

ハンセン病については、「もののけ姫」でチラッと扱われていて知る程度だったんだけど、まさか1996年まで公益の名の下に強制隔離政策がとられていたなんて驚きを超えて唖然とするばかり。

って、そういう自分も無自覚な悪意と無理解の一人だったんだなぁと思う。自戒を込めて・・。

2017年12月30日 (土)

夢のシネマパラダイス504番シアター:忘れられない人

思い出のマーニー

Mig声の出演:高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、杉咲花、吉行和子、黒木瞳

監督:米林宏昌

(2014年・東宝・103分)盛岡フォーラム

内容:中1の杏奈は幼い頃に両親を相次いで亡くし、里子に出されて育ったが、心を閉ざし気味で周りから浮いた存在だった。そんな中、ぜんそくの療養を兼ねて養母の親戚が住む海辺の田舎町で夏休みを過ごすことに。そこで彼女は、入江に建つ古い洋館を目にしてなぜか懐かしさを覚える。そして夏祭りの夜、小舟で洋館へやって来た杏奈は、マーニーという金髪の少女と出会う・・・。

評価★★★/65点

主人公アンナの活気と生気のない病んだ魚の目をした顔を見て、ジブリ最大の迷作「ゲド戦記」の主人公アレンを想起してしまい、背中に何かザワザワしたものを感じながら見てしまったのだけど、それは要するにアンナが闇に取り込まれて彼岸からこちらの世界に戻ってこられない危険性を感じ取ったからだ。

つまりマーニーはあちらの世界の住人で、アンナはそれに憑りつかれて引きずり込まれてしまう、となるとそれは完全にホラーだ。

まぁいくら何でもジブリに限ってそれはないとはいえ、そう思わせる不穏さが今のジブリにはあるのかも(笑)。

それは千と千尋なんかと比べると顕著で、親に見捨てられたのかもという不安感や育ての親になじめないなど他人を受け入れることができない主人公のキャラクター設定は、常に親不在の運命をウジウジせず事もなげに受け入れるジブリキャラクターを見慣れている者にとってはやはり違和感を感じてしまったし、いやそこが見たいんじゃないんだけどっていう不満感はずっとくすぶっていたかも。。

しかし、親の愛を受けられずに悩むのって「ゲド戦記」といい今作といい、ジブリの偉大な父・宮崎駿の存在を後進はいまだに払拭できていないってことなのかもね。

そういう点では東京から洋館に引っ越してきた彩香ちゃんの方がよっぽどジブリらしかったと思うけど、生きる意味を探すのに四苦八苦する時代だからこその作劇なのかな。

けど、ジブリに自分探しの旅なんて似合わないよね・・・。

 ----------------------

マイ・ガール

R080610209l 出演:アンナ・クラムスキー、マコーレー・カルキン、ダン・エイクロイド、ジェイミー・リー・カーティス

監督:ハワード・ジフ

(1991年・アメリカ・102分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:1972年、ペンシルベニア州。葬儀屋を営む父親と祖母の3人暮らしをしている11歳の少女ベーダは、大好きな父にガールフレンドができたことから悩み始める。そして相談相手の幼なじみトーマスとの間に淡い恋が・・・。

“なかなかにシビアな題材を扱っているが、映画のバランスの取り方が絶妙で心に残る作品に仕上がっている。”

ベーダは11歳という設定だったけど、自分自身も8,9歳くらいの時かな。死という恐怖に対して異常ともいえるほど悩み抜いたことを鮮明に覚えているのだけども、自分の抱えていた死のイメージというのが、死とは永遠の孤独という黒沢清の「回路」で描かれたイメージに近いものがあって。

死そのものというよりも家族や友達に永遠に会うことができないという恐怖に打ち震えていたといった方が正しいかも。

だから、11歳の少女ベーダが死について割り切れない複雑な感情を抱いているというのも自分自身の体験と感情に見事にリンクして、ベーダの日常世界に容易に入っていくことができた。

それゆえ、ラストの方で息子トーマス(M・カルキン)の死に打ちひしがれる彼の母親に対して「私の母親が天国でトーマスを見守って一緒にいるから大丈夫よ。」と慰めるベーダの言葉は胸に響いたし、彼女なりにしっかりと死というものを受け止め、成長した姿を見せてくれてうれしかった。

また、一方では、妻と死に別れ男手ひとつでベーダを育ててきた父親(D・エイクロイド)の心情というものもよく描かれていて、父娘の葛藤が繊細に見る者に伝わってくる。

こういう流れでいくと、ともすれば重くなりそうなものだが、それをコメディのベクトルにうまく舵取りしたJ・リー・カーティスの存在も素晴らしい。

この映画における描写は、あくまでも子供の日常世界を軸としながらも、まるで水平線から朝日が昇るかのように確実に大人の世界が広がってくる。そして次第に少女の頃の世界は太陽が出ている青空にうっすらと浮かぶ真昼の月のごとく淡い思い出となっていくのだろう。

そういう微妙なバランスが絶妙なサジ加減でとれているのが、この映画が心にいつまでも残る所以なのだろう。

名作です。

 ----------------------

マイ・フレンド・フォーエバー(1995年・アメリカ・100分)CS

 監督:ピーター・ホルトン

 出演:ブラッド・レンフロ、ジョゼフ・マゼロ、アナベラ・シオラ、ダイアナ・スカーウィッド

 内容:母子家庭の孤独な12歳のエリックの隣に住むのは、輸血が原因でエイズ感染した11歳のデクスター。2人は打ち解け合うようになり、エイズ治療の特効薬発見の記事を頼りに旅に出るが・・・。

評価★★★★☆/85点

“我が映画人生で1番泣いた映画”

エリック(ブラッド・レンフロ)とデクスター(ジョゼフ・マゼロ)のひと夏のかけがえのない思い出を、ありふれた演出で描いていくプロットには別段感傷にひたることもなく見ていたのだけど、ラストの“スニーカー”には思わずヤラレてしまった。

全ての思い出と友情の証の象徴としてスニーカー、しかも片方のスニーカーというアイテムを持ち出してくるとは全くの予想の範囲外で、完全に無防備だったマイハートはめちゃくちゃに揺れまくり、後はもうゲリラ豪雨のごとく泣き崩れてしまいますた。。

声をあげて泣いた初めての映画だな。でも、先日、久方ぶりに泣く気マンマンで見たっけ、もう泣けないのね(笑)。

そっかぁ、やっぱ不意打ちというのが1番効果があるんだなぁ。不意打ち以外で泣けるのは「火垂るの墓」だけだな。

しかし、、その泣かせてくれたブラッド・レンフロも25歳という若さで逝っちゃうんだから、、現実の方がツライね・・。

 ----------------------

きみに読む物語

20051003_36049 出演:ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス、ジーナ・ローランズ、ジェームズ・ガーナー

監督:ニック・カサヴェテス

(2004年・アメリカ・123分)MOVIX仙台

評価★★★★/75点

内容:療養施設で暮らす老婦人を初老の男が訪ね、物語を読み聞かせる・・・。現代からの回想形式で、1940年のアメリカ南部、裕福な少女アリーと地元の青年ノアの恋物語が綴られていく。

“終わり良ければ全てよし、、、もとい始め良ければ全てよし。”

珠玉のラブストーリーとまでは言えないかもしれないが、心に響く純粋な愛の物語だったとは確実に言える、そんな映画だったと思う。

特に真っ赤な夕映えの湖をゆっくりボートが進んでいくオープニングはピカイチだった。

映画としては、先の展開が読めるというありがちなストーリーでありながら、オープニングから滞ることのないしかも透明度の高い流れをしっかり作り出していて、変なつっかかりや邪推などに陥る前に純粋にその流れに乗れてしまう。

美しい映像と音楽にただただ身を任せながら物語の中に入っていくことができた。

この映画には“流れ”がある。この映画はそれに尽きると思う。それがなければただの平凡な映画に終わっていたことだろう。

 ----------------------

マイ・ルーム(1996年・アメリカ・99分)NHK-BS

 監督:ジェリー・ザックス

 出演:レオナルド・ディカプリオ、ダイアン・キートン、メリル・ストリープ、ロバート・デ・ニーロ

 内容:20年間連絡を取っていなかった姉ベッシーから電話を受けたリー。姉は白血病で、親類からの骨髄移植以外に助かる望みはなかったが・・・。

評価★★★★/80点

絆を縛り付ける負の連鎖を優しい眼差しと素直な心が解きほぐしていく。家族にとって1番の良薬は皆の笑顔なんだね。納得!

 ----------------------

トニー滝谷

Tony 出演:イッセー尾形、宮沢りえ、篠原孝文、四方堂亘

監督・脚本:市川準

(2004年・日本・75分)仙台フォーラム

内容:トニー滝谷の名前は、本当にトニー滝谷だった・・・。太平洋戦争時、上海のナイトクラブでトロンボーン吹きをしていた父親にトニーと名付けられたトニー滝谷。生まれて3日で母親が死に、孤独な幼少期を送ったトニーは、やがて美大に進みデザイン会社に就職。その後独立してイラストレーターになったトニーは、彼の家に出入りする編集者の一人、小沼英子に恋をし結婚する。しかし、幸せな日々は長くは続かなかった・・・。村上春樹の短編集「レキシントンの幽霊」に収められた同名小説を映画化した切ない愛の物語。

評価★★★★☆/85点

「トニー滝谷の名前は、本当にトニー滝谷だった。」で始まるストーリーテリング。微細な音まで丁寧に拾い上げ収めている映像。孤独を背負う男トニー滝谷と、恐いくらい幸せな在りし日々の思い出が影として残るほどの残り香を漂わせる妻を見事に体現しきったイッセー尾形と宮沢りえ。

それら3つの要素が全くぶつかり合うこともなく本当に自然に融けあっている。

こういう映画を見たのはもしかして初めてかもしれない。

ほとんどの映画は3つの要素のうちどれかひとつが突出していて他をカバーしているか、あるいはそれぞれの要素がぶつかり合って互いに強め合ったり弱め合ったりする中から映画という眼差しや面白さを抽出しようとするか、またはそうせざるを得ない映画が大半だと思う。

しかし、この「トニー滝谷」という映画には、それが恐いくらいに無いのだ。よどみと衝突と干渉というものが一切ない。

だから恐いくらいに心地良い。

それでいて世界観は恐いくらいにしっかりと確立されているという。。これが完璧ということなのだろうか。

市川準は村上春樹という透明な地肌に静かで柔らかなタッチで映画の香りを浸透させていき、スクリーンという鏡に見事に投影させたといえるのではないだろうか。

これほどの技量をもったメイクアップアーティストを自分は他に知らない。

 ----------------------

ぼくの伯父さん(1958年・フランス・120分)NHK-BS

 監督・脚本:ジャック・タチ

 出演:ジャック・タチ、ジャン=ピエール・ゾラ

 内容:ユニークな詩情と文明批評、アバンギャルド風の構成などをない交ぜにし、場面の動きと音楽によって進行していく独特の喜劇映画で、ジャック・タチ監督によるユロ氏を主人公とした一連のシリーズの代表作。プラスチック工場の社長の息子はモダン住宅の自宅が大嫌いで、ユロ伯父さんと彼が住む庶民街を好んでいた。社長夫妻にはそれが面白くなく、就職やお嫁さんを世話してなんとかユロ氏を一人前の人物にしようとするが・・・。

評価★★★/65点

“映画を見るというよりは上質の4コマ漫画をパラパラめくって読むかんじに似ている。”

ひとつひとつのエピソードの中には面白くないエピソードもあるのだけども、全体を通して1つの作品としてみれば面白かったといえる、そんなちょっと不思議な魅力に彩られたクスッと笑える映画。

ユロ伯父さんがアパートの部屋の窓ガラスに反射した太陽光を向かいの日陰の鳥小屋に当ててあげるところなど、どこか優しいタッチがいいね。

世の中には、ビリー・ワイルダーの「情婦」(1957)で、自分のメガネに太陽光を反射させてわざと他人の目に向けるクソジジイもいるからな(笑)。いや、もとい、法曹界の大御所ウィルフレッド卿(チャールズ・ロートン)でございますた。。

2016年11月 6日 (日)

夢のシネマパラダイス385番シアター:6歳のボクが、大人になるまで。

6歳のボクが、大人になるまで。

20150410230940出演:パトリシア・アークエット、エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレーター、イーサン・ホーク

監督・脚本:リチャード・リンクレーター

(2014年・アメリカ・165分)盛岡フォーラム

内容:テキサスの小さな田舎町に住む6歳の少年メイソンは、シングルマザーのオリヴィアと姉サマンサとの3人暮らしで、父親は離婚してアラスカへ旅立ったまま。そんな中、母親が博士号を取るためにヒューストンへ引っ越すことに。そこで少年時代を送っていくメイソンは、母の再婚や父との再会、そして初恋と様々な経験を重ねていく・・・。オーディションで選ばれた6歳の少年エラー・コルトレーンを主演に据え、主人公の6歳から18歳までの12年間の成長と家族の物語を、実際に12年間かけて撮影するという斬新な手法で描き出したヒューマンドラマ。

評価★★★☆/70点

数あるメディアの中で映画に最も魅かれるのはなぜなのか。

それは言いかえれば、映画の映画たるゆえんは何なのかということでもある。

映画は視覚芸術だという一言で片付けることもできるけど、おおむね2時間前後しかない強い拘束力を受けている中で、時間軸の省略や要約などスクリーン上で時間を変化させ再創造する、その映画固有の時間表現ーカットとモンタージュの組み合わせーに夢のような能力を感じ取っているからなのかもしれない。

それは飛躍、短縮、シンクロなど時として目も覚めるような形で時間の流れの異様さをあらわにする。

そういう点では今回の映画は、同じキャストで足かけ12年に渡る撮影を経て家族の軌跡を3時間に収めるという今までにない手法で作られているのだけど、12年という淡々とした時間の流れ=人生がすでに立派なドラマになっているのだということを如実に感じられる作品だったと思う。

映画のひとコマひとコマ1ショット1ショットが一瞬間を表し、これらの固定した各コマの映像の一連続から映画全体が成り立っていることを思えば、「時間は途切れない。一瞬というのは常に今ある時間のことだ」というラストのセリフはこの映画の構造を象徴していて印象深い。

瞬間瞬間の積み重ねが人生を形づくっていく、まさに“今を生きる”ことの愛おしさ、尊さが染み渡ってきた。映画を流れるこういう時の流れも悪くはない。

あと、興味深かったのが家庭環境あるいは食卓風景の中にまで大統領選などの政治やイラク戦争、マリファナ、銃などが当たり前のように浸透していることで、アメリカの社会背景が垣間見れて面白かった。

 ---------------------

マイライフ・アズ・ア・ドッグ

084 出演:アントン・グランセリウス、マンフレッド・セルネル、メリンダ・キンナマン

監督:ラッセ・ハルストレム

(1985年・スウェーデン・102分)NHK-BS

評価★★★★/75点

内容:1950年代末のスウェーデン、海辺の町に住む少年イングマルは、たとえつらいことがあっても、ソ連の人工衛星スプートニクに乗せられて死んでしまったライカ犬よりは自分の方がまだマシだといつも思っていた。母親の病気がひどくなって、叔父の家に引き取られることになったイングマルは、ある日、サッカーの練習に行って鮮やかにゴールを決めるガキ大将サガに出会う・・・。人生に目覚め、少しずつ大人になっていくナイーブな少年の成長物語。

“見たいものと見たくないもの”

少年イングマルはベリットの裸は見たかった。しかし母親の怒り叫ぶ姿と怒鳴り声には耳をふさぎ自分のワーワー声でかき消して目をそむけていた。

星空の向こうにある母親との楽しい思い出は見たかったが、病床で母親が苦しむ姿からは目をそむけて見たくなかった。

ライカ犬が自分より不幸だったであろう姿は必死に頭をめぐらせて見たかったが、自分が抱えている悩みや苦しみからは他の不幸に代用することによって目をそむけていた。

しかし、叔父の家で成長した今のイングマルなら、それら見たくないものからも目をそむけることはないだろう。

そいえば、個人的なことになるけど、自分が小1の時に劇場で親に見せられたアニメ映画「はだしのゲン」は自分の想像力を破壊してしまうほどの残酷さにもう見れなくて見れなくて耐え切れなくて、ずっと後ろを振り返って映写機から出てくる透明で青白い光の粒子のカーテンをじっと見つめていたことが今でも思い出される。でもそれから数年後に見た「火垂るの墓」はちゃんと見れたっけ。

ちなみに小1の時に、「はだしのゲン」は見たくなかったけど、テレビで夕方5時からやってたテレビドラマで毎回出てくる大原麗子の入浴シーンは見たかった(笑)。5時までに遊びを切り上げてまで見てたからなぁ・・

20年経った今でも記憶に残ってるくらいなのだから大原麗子にメロメロだったんだろうなオレ。。イングマルがベリットに夢中だったように。

それにしてもベリットの像は何処へ・・・。

今自分が見たいのはあの像だな。見たくないのはもちろん我が愛しのレアル・マドリーの敗れた姿です。

2016年7月29日 (金)

夢のシネマパラダイス601番シアター:マッドマックスシリーズ

マッドマックス

Max2出演:メル・ギブソン、ジョアン・サミュエル、ヒュー・キース・バーン

監督・脚本:ジョージ・ミラー

(1979年・オーストラリア・94分)NHK-BS

内容:追跡専門のパトカーに乗る警官のマックスが暴走族を追跡していた途中、彼らのうちの一人が事故死した。復讐を開始した暴走族は、マックスの相棒を焼き殺し、妻子を連れて旅に出ていたマックスを追いかけ、マックスの妻と子をひき殺す・・・。暴走族に妻子を殺された警察官が復讐のために戦いを挑む姿を、ハードなカーアクションとショッキングな残酷描写で見せるアクション映画。

評価★★★/65点

環境に悪そうな車がブギャンブギャンいわせながら爆走する様は、古ぼけた時代性も感じられて逆に心地良かったりするし、悪玉の額にハエが止まっている安っぽさはB級ぽくて良いんだけど、けっこう後味は悪い映画なんだよね。

まるで「激突!」(1971)のトラックかはたまた「ジョーズ」(1975)のサメのごとく、どこまでも追っかけてくる暴走族軍団に、引っ張って引っ張って終盤ついに轢き殺されてしまうマックス(メル・ギブソン)の妻子。

そして復讐の鬼と化すマックスの青い瞳が不気味に瞬くとき、後に残るは死体と空しさだけ・・・。

はっきりいって、めちゃくちゃ怖いです。。

しかし、、ホント、オーストラリアってハエ多いよねぇ(笑)。水曜どうでしょうでオーストラリア横断ロケやってた時も大泉洋にハエたかりまくってたからなぁ。。しかも、日本のよりも一回り大きいらしいし、、って、この話引っ張ります??いえ・・。

いや、ゴキブリもめちゃ多いんだってよ

 -----------------------

マッドマックス2(1981年・豪・96分)WOWOW

 監督・脚本:ジョージ・ミラー

 出演:メル・ギブソン、ブルース・スペンス、ヴァーノン・ウェルズ

 内容:前作から数年後。石油が枯渇し無政府状態となった世界。砂漠を旅するマックスは、凶悪な暴走族と懸命に戦う小さな村から用心棒を頼まれ、協力することにするが・・・。

評価★★★/60点

砂埃、オッパイ、モヒカン、野生児、火炎放射器、ハンドボウガン、暴走族、荒野、改造車、ボンテージファッション、、、

まんま北斗の拳!

でも、実は北斗の拳の2,3年前に公開されてるんだね、この映画って。

この映画が全ての元凶だったのか。。ひでぶっ

と冗談はさておくとしても、物語のアウトラインは馬をバイクと車に変えた現代版SF西部劇になっているんだけど、今回の話は聞くところによると日本のテレビ時代劇「隠密剣士」のエピソードが元ネタになってるらしくて、そう考えると流れ者の一匹狼が最初はうさん臭がられながらも善意の人々を救って去っていく基本プロットって黒澤明の「椿三十郎」なんかにも通じるところはあるのかも。

あるいはこのような普遍的なヒーロー像はそれこそ西部劇の「シェーン」をも想起させるところだけど、オーストラリアの乾ききった風土のせいかあまりにも描写がドライすぎて道徳観念そっちのけのバイオレンスが際立ってしまい、メル・ギブソンの憂いを秘めた青い瞳をもってしてもかの作品のような神話性までを獲得するには至らなかったようだ。

 -----------------------

マッドマックス/サンダードーム(1985年・オーストラリア・107分)WOWOW

 監督・脚本:ジョージ・ミラー

 出演:メル・ギブソン、ティナ・ターナー、アンジェロ・ロシット、ポール・ラーソン

 内容:生きるために砂漠を彷徨うマックスが辿り着いた町バータータウン。そこは女王が治める町で、豊富な電力により栄えており、住民たちはサンダードームと呼ばれる闘技場での残酷な決闘ショーに熱狂していた。そんな中、町の電気技師が女王に反逆を企て、それに巻き込まれたマックスは砂漠へ追放されてしまう。が、行き倒れた所を謎の子供たちに救われる・・・。

評価★★☆/50点

前2作の出がらしの薄まったお茶みたいな中身で、狂気と憎悪が渦巻く殺伐とした空気はどこかへ雲散霧消、しかもティナ・ターナーの印象が強すぎてメル・ギブソンがかすんじゃってるという体たらく。しかも武器がフライパンって、そりゃないだろww

完全なファミリー映画に成り下がっちゃったね。。

でも、線路を爆走する機関車の逃走劇が「怒りのデスロード」のウォータンクにつながってると思うと少しは見所あるのかも。。

 -----------------------

マッドマックス 怒りのデスロード

Poster_3_fury_road_mad_max_by_cesar出演:トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、ヒュー・キース=バーン、ロージー・ハンティントン・ホワイトリー、ゾーイ・クラヴィッツ

監督・脚本:ジョージ・ミラー

(2015年・オーストラリア・120分)盛岡フォーラム

内容:資源が枯渇し、砂漠化が進行した世界。愛する家族を守れなかったトラウマを抱え、本能のままに彷徨する元警官のマックスは、ある日、ウォーボーイズという武装集団に拉致されてしまう。彼らは、水を独占し、一帯を支配する独裁者イモータン・ジョーに仕える狂信者たちで、マックスは放射能被ばくのため短命な彼らの“輸血袋”として利用される。そんな中、ジョー配下の女戦士フュリオサが、ジョーに囚われていた5人のワイブス(子産み女)を引き連れ逃亡。裏切りに怒り狂うジョーは、容赦ない追跡を開始する。そしてマックスもまた、この狂気の追跡劇に巻き込まれていくが・・・。

評価★★★★★/100点

バカと天才は紙一重というけど、こと映画に関してはバカはバカのままで終わるのが常だった。

しかし今回、天才というバカの向こう側に行き着いた映画を初めて体感してしまった。掛け値なしのB級バカ映画が正真正銘の大傑作に変貌を遂げる奇跡を目の当たりにする快感といえばいいだろうか。

普段ならこのての狂乱のバイオレンスアクションなど見向きもしない還暦過ぎの母親と妹まで虜にしてしまったのだから、まさに麻薬ばりのブッ飛び映画である。

それはつまるところ緩急の急でしか成り立っていない映画だからだといえるけど、それを可能にしているのは極端なセリフの少なさにある。特に説明セリフはほとんどなく、そのぶん映像イメージで全てを語らせる。

そしてそれを保証担保するのがCGを極力排した実写ありきの映画的リアリティと、人喰い男爵というネーミングに恐怖ではなく笑いがこぼれてしまうようなマンガ的なお遊び感覚との絶妙なブレンドである。

それはオープニングに端的に表れていて、石油と水の奪い合い、、核戦争、、人類は汚染され、、世界は崩壊した、と断片的にワードを羅列した直後に、一面の荒涼とした砂漠を背景に双頭のトカゲをむさぼり食う男が佇む、その圧倒的な画づらだけで世界観を表現し説得力をもたせてしまう。さらに、このトカゲの踊り食いするようなヤバそうな奴が30秒後には謎の集団にあっけなく拉致されるというまさに緩急の急な定石外しがイカれた世界観をさらに強固なものにしていて一気に引き込まれてしまう。

そして極め付きがインディ・ジョーンズ最後の聖戦に出てくるペトラ遺跡を彷彿させるイモータン・ジョーの砦の威容と滝のように降り注ぐ水に群がる群衆シーンのスペクタクルショーだ。

ここまで開巻わずか10分の早業、セリフはほとんど無いにもかかわらず、あふれんばかりのイメージの洪水に完全に飲み込まれ、その後はウォータンクとともに映画内をアドレナリン全開で爆走させられてしまった。

そのイメージとは先にインディ・ジョーンズを挙げたけど、圧政を敷くイモータン・ジョーとウォーボーイズたちはインディ・ジョーンズ魔宮の伝説の邪教集団を想起させるし、棒飛び隊をはじめとする彼らの武装改造マシン軍団は風林火山の武田騎馬軍団、皮膚病に冒されたジョーの出で立ちはナウシカの皇弟やダースベイダーをも想起させる。さらにフュリオサはクシャナ殿下だし、大砂嵐は竜の巣だし、タイヤに無数のスパイクを装着した“ヤマアラシ”は「ベン・ハー」の戦車隊、汚泥の大地を竹馬で歩く人間(?)はハリーポッターの死喰い人、そして「激突」「スピード」「駅馬車」「十戒」というふうに自分にとっての古典イメージを刺激されまくりで、もうどうにも止まらない♪

砂塵舞う殺風景な一面の荒野を車で突っ走るだけなのに、とめどなくイマジネーションを喚起する豊饒の海を疾走するような爽快感に包まれるといえばいいだろうか。

自分のライブラリの引き出しをこれほど開放してくれた映画はなかなか稀で、近年では「アバター」くらいだけど、3DCG技術などテクノロジーの追求により未知なる異世界を創造し体感させる=サイエンスフィクションとリアリティを両立させたのが「アバター」だとしたら、今作はアナクロ趣味全開でそれを実践してしまったのだから恐れ入る。

例えばコーマドーフ・ウォリアーの火炎放射器付きエレキギターのボディに便器のフタが使われていたり、イモータン・ジョーの愛車ギガホースのダッシュボードに今まで葬ってきた無数の車のエンブレムが装飾されていたり、その他にもスパナ、フォーク、スプーン、電話のダイヤル、道路標識、自転車のタイヤ、空き缶、馬の歯etc..ありとあらゆる廃品が至る所で使われていて映像の密度を濃くしているし、ディストピアな終末世界に現代と地続きのリアリティを付与している。

さらに、フュリオサの左手が義手になった経緯にほとんど触れないなど説明セリフの少なさで多くを語らせず、シーンごとの意味合いを見る側にゆだねることで逆に情報量を増幅させているのもミソ。

それゆえ例えば、ウォーボーイズが口に銀のスプレーを噴霧したり、フュリオサが額に黒いグリースを塗りたくる行為なども俄然濃厚なイメージをかき立てられるわけだ。

この省略の美学のもと、凄まじいアクションが研ぎ澄まされたリアリティをもって120分間ダイレクトに迫ってくるので、脳内が覚醒しまくりで大変なことに・・

アカデミー賞では技術・美術部門を総なめにしたけど、惜しむらくは監督賞逃したことだね。獲らせてあげたかったなぁ。

しかし、場外ホームランをかっ飛ばした次の続編はいろんな意味で難しくなったぞ~w

2016年6月 5日 (日)

夢のシネマパラダイス141番シアター:ミッション・インポッシブルシリーズ

ミッション:インポッシブル

Missionimpossible 出演:トム・クルーズ、ジョン・ヴォイト、エマニュエル・ベアール、ジャン・レノ

監督:ブライアン・デ・パルマ

(1996年・アメリカ・110分)仙台第1東宝

評価★★★★/75点

内容:極秘スパイ組織IMFのメンバーであるイーサン・ハントたちは、東欧に潜入しているCIA情報員のリストを盗んだアメリカ大使館員と情報の買い手を捕らえる指令を受けた。しかし、作戦はなぜか敵に筒抜けで、メンバーの数人が銃弾に倒れてしまう。辛くも逃れたハントはIMFに内通者がいることを聞かされ、今回の作戦がそれを暴くために仕組まれたものであることを知るのだが、、、。

“「クレアの味を知っているからねぇ・・・」このエロ親父

ジョン・ヴォイトのイヤらしい目が脳裏から離れない。。セクハラ親父でっせどう見ても。

しかもエマニュアル・べアールに手を出すなんて。うう・・考えただけでも・・・。ていうか妄想すんなオレ・・

マックスばあさんの方がお似合いだろうがよ。。

 -----------------------

M:I-2(2000年・アメリカ・124分)DVD

 監督:ジョン・ウー

 出演:トム・クルーズ、ダグレー・スコット、サンディ・ニュートン、ビング・レイムス

 内容:休暇を楽しむイーサン・ハントにまたもや指令が下る。それは、ロシアの医学博士が開発した、感染後約30時間で人間の赤血球を破壊する殺人ウイルスの行方を探し出せというものだった・・・。

評価★★★☆/70点

“あまりにもジョン・ウーの独特な映像美が強すぎて、映画のもつスリルにハラハラドキドキできない。ルーサーに比べたら観てるこちら側のスリル感なんてちっぽけなもんだ。”

ライトバンの中にこもってモニター見ながらイーサン・ハントのバックアップをする男、ルーサー。

イーサンが何を好き勝手しようがモニターを見てただ待つしかない男、ルーサー。

「敵がそこまで来ているーーッ!」「おい、あと19秒しかないぞーーッ!」「10、9、8、7、6、、、急げーーッ!」・・・ただ叫び伝えることしかできない男、ルーサー。

爆弾まで仕掛けられてしまう男、ルーサー。

浮いた話が全くない男、ルーサー。

そのくせ実はけっこうイイ奴、それがルーサー。

心拍数上がりまくりで、強心臓じゃないと耐えられない精神的重労働に文句一つこぼさず務める男、ルーサー。

Part3にも出てほしい男、ルーサー。

はたしてPart3まで心臓もつのかな・・・。

 -----------------------

M:i:Ⅲ

061117_mi3_dvd 出演:トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ヴィング・レイムス、マギー・Q、ローレンス・フィッシュバーン

監督:J・J・エイブラムス

(2006年・アメリカ・126分)2006/08/03・MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:看護士ジュリアとの結婚を控えるイーサン・ハントは、一線を退いて教官としてスパイの育成に務めていた。そんなある日、イーサンのもとに新たなミッションが届く。教え子である女性エージェントのリンジーがベルリン潜入中に、闇ブローカーのオーウェン・デイヴィアンの組織に拘束されてしまったのだ。さっそくイーサンは、同僚とともに救出へ向かうのだが・・・。

“ヤル気満々ハイテンションフルスロットルで疾走するトム・クルーズにジャッキーの幻影を見た!”

上海の裏町をラン・ローラ・ランも真っ青の全力疾走、ビルからビルへスパイダーマンも真っ青の大ジャンプからカリオストロのルパンも真っ青のビルの壁面直滑降。

ここだけ聞けばジャッキー・チェンの映画としか言いようがないのだけど、開けてびっくり見てびっくり、ヤル気満々のトム・クルーズが必死の形相で世界を股に息もつかせぬ熱血体当たり演技を120分にわたって繰り広げる本気度120%のサスペンスアクションになっていたのだ。

断じてこれはスパイ映画とは呼べないシロモノだが(笑)、しかしミッション・インポッシブルシリーズでは1番出来の良い作品だといえよう。

1作目の裏切りサスペンスネタをより洗練させ、2作目の「24」ばりのタイムリミットネタとハードアクションをよりスピーディかつ派手にしたことで、前2作がそれぞれシンプルかつバージョンアップした上でうまく融合された形となった。

また、“ラビットフット”と呼ばれる世界を破滅に導く武器名としか分からないシロモノが、いわゆるマクガフィンとして映画のサスペンスと緊張を持続させる道具として効果的に用いられている。

結局最後までラビットフットとは何だったのか詳しく明かされることはなかったが、そのことが全く気にならないほど映画としての完成度は高い。これほどマクガフィンがうまく活かされている映画というのは近年では稀ではないだろうか。

J・J・エイブラムスの確かな手腕を見出せる作品だった。

しかし、、、イーサンの奥さんのド素人とは思えない銃さばき・・・まさか奥さんもどっかの秘密組織に(笑)!?

 -----------------------

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

Img_579923_22207219_0 出演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、ポーラ・パットン、ミカエル・ニクヴィスト、ジョシュ・ホロウェイ、レア・セドゥ、トム・ウィルキンソン、ヴィング・レイムス、ミシェル・モナハン

監督:ブラッド・バード

(2011年・アメリカ・132分)盛岡フォーラム

内容:ロシアで核テロを目論むコードネーム“コバルト”という人物の情報を入手する任務についていたイーサン・ハントだったが、その最中クレムリンで爆破事件が発生。その容疑がイーサンのチームにかけられてしまう。米国大統領は政府の関与を否定するべく“ゴースト・プロトコル”を発令、イーサンらはIMFから登録を抹消されてしまう。後ろ盾を失ったままイーサンたちは孤立無援のミッションの遂行を余儀なくされる・・・。

評価★★★★/80点

デビューから30年、常にハリウッドのトップランナーとして君臨してきたトム・クルーズ。

考えてみれば30年間ヒット作を絶え間なく出し続けるということがどれほどスゴイことか、例えば音楽シーンなんかを見てもそうめったに出来ることではない。

ではどうやってヒット作を生み出しつづけてきたのか。それは時代のトレンドを捉え貪欲に自分の可能性にチャレンジし進化してきた証なのだろう。それが大スターであり続けるゆえんなのだ。

それをふまえていえば、ミッション・インポッシブルのテーマは“挑戦”、“既成概念を打ち破る発想”、“不可能を可能にする”というものであり、それはそのままトム・クルーズという役者そのものを言い表しているともいえると思うのだけど、ミッションシリーズ4作目となる今回はその衰えを知らぬ飽くなきエンタメ魂を身をもって体感できた気がする。

なにより地上828メートルの壁面に余裕でへばりついているだけでも高所恐怖症の自分からするともの凄いことなんだけどw、映画そのものの方も東西冷戦の古典的対立構図の象徴であるクレムリン爆破というプロットで度肝を抜いたかと思えば、大仕掛けの“だるまさんが転んだ”で笑いをとり、趣向をこらしたスリリングなアクションがこれでもかと続くあれよあれよという間の130分は新鮮な驚きと面白さに満ちあふれている。

最大のポイントは、今まではイーサン・ハントの個人能力を活かした一人舞台という色合いが濃かったのが、今回はチームワークを活かしたアンサンブルに切り替わっていて筋立てに幅が出ていることにあるといえる。

しかも、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、ポーラ・パットンというチームメンバーがみんなユニークで、コミカルなドタバタ劇風に味付けされているのも大きな強みだ。

ジェレミー・レナーが過去の事件で心に傷を抱えハントに負い目を持っていたり、ポーラ・パットンは恋人のエージェントを女殺し屋に殺されて復讐心を抱えていたり、サイモン・ペッグは、、相変わらずボケまくりだけどw、キャラクターの背景がしっかり作りこまれていて、それをベースに映画が構築されている。その点でキャラ立てのクオリティに関して常に120点満点を与えられるピクサーアニメ出身のブラッド・バードは初実写映画でもさすがの手腕を発揮している。

1作ごとにメンバーを入れ替えているイーサンのチームだけど、ぜひとも次回作もこのメンバーでやってもらいたいものだ。

しかし、女暗殺者のレア・セドゥ。ブルジュ・ハリファから突き落とすにはもったいない美人さんだったなぁ・・

 -----------------------

ミッションインポッシブル/ローグ・ネイション

Poster2出演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴィング・レイムス、アレック・ボールドウィン

監督・脚本:クリストファー・マッカリー

(2015年・アメリカ・131分)盛岡フォーラム

内容:イーサン・ハント率いるIMFは、世界各地で事件を引き起こす謎の組織“シンジケート”を追っていたが、情報が洩れて逆にイーサンが囚われの身になってしまう。さらに、CIA長官によってIMFが解散を命じられ、CIAに吸収される事態に。そんな中、イーサンは謎の女スパイ・イルサに助けられ窮地を脱出、バラバラになったメンバーに秘かに接触し、シンジケートを暴くべく動き出すが・・・。

評価★★★★/80点

離陸する軍用機の機体にしがみつくオープニングショットからラストのソロモン・レーン捕縛作戦に至るまでジェットコースター感覚の行き着く暇もない怒涛のアクションシークエンスで成り立っている映画なんだけど、アクションがそれ別個に逸脱して存在するのではなく、ストーリーラインにしっかり乗っかった上で不自然さや違和感のない流れになっているところがこの映画のスゴイところ。

要はアクションのために物語があるのではなく、物語のためにアクションがあるといえるのだけど、アクション映画でそれを形成できるというのはそうそうあるものではない。

ではこの映画の稀有なバランス感覚は何に由来するのか、と考えると1番大きいのはIMFチームメンバーの強固なキャラクターと絶妙な立ち位置のバランスにあったのではないかと思う。

これまでのシリーズの作品はイーサンの個人プレイだけで場を醸成してきた感が強く、まぁ前作あたりからチームプレイも大切にしてきてはいたのだけど、今作でそれが確立されたかんじ。

オラオラ感の抜けたイーサン、ボケ担当ベンジー、堅物ブラント、古株ルーサー、謎の美女イルサとまるでルパン三世一味を思わせるバランスの良さで、うまく緊張と緩和が生み出され観客を飽きさせることがない。特にベンジー(サイモン・ペッグ)はMVP級だった。

あとはここに銭形警部が加われば完璧なんだけど、アレック・ボールドウィンはイマイチちょっとなぁw

ともかくこのベストな布陣プラスアルファで次作も臨んでほしいところ。チームメンバーにファミリー感を取り入れたことで進化を遂げたワイルドスピードシリーズに追随する流れになっていけばいいけどね。

 -----------------------

(おまけ)

ナイト&デイ

Knight001590x873 出演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ピーター・サースガード、ヴィオラ・デイヴィス、ポール・ダノ

監督:ジェームズ・マンゴールド

(2010年・アメリカ・109分)WOWOW

内容:妹の結婚式のためボストンへ向かおうとしていたジューンは、空港でロイと名乗る男と出会う。機内でも近くの席になり、ナイスガイな彼の笑顔に浮かれるジューンだったが、これが彼女の人生を変える出会いになるとはこのときは知るよしもなかった。ふと化粧室に行って戻ってくるまでは・・・。

評価★★★/60点

ジェイソン・ボーンシリーズをはじめとする00年代のストイックなスタイリッシュアクションのすっかりお得意様になってしまったオイラからすると、今回の80年代臭がプンプンするお気楽アクションの大げさなノリはなかなかなじめず、アドレナリンのかわりに眠気が襲ってきてしまった・・。

とはいえ、寄る年波をものともしない中年オジサンとオバサン、いやお姉さんwの魅力は幾分も減退しておらず、2人のスター性はスクリーンにMAXに焼きついている。

ちょっとお姉さんのしわが増えたかな、、とは思ったけど(笑)、お茶目な天然ボケ姿はやはりキャメロンの真骨頂であり、どこまでも颯爽なトムはトムでありつづける。

そんな2人に陰のあるシリアスさは似合わない。明朗な能天気アクションであればこそ、この2人の魅力が生きるのだとストンと納得!

、、、で、一体誰と戦ってたんだっけ!?

と思うくらい2人しか印象に残ってないてのもある意味スゴイよねww

 -----------------------

(番外編)

ワルキューレ

A5efa5eba5ada5e5a1bca5eca1a1c9bd 出演:トム・クルーズ、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、テレンス・スタンプ

監督:ブライアン・シンガー

(2008年・アメリカ・120分)WOWOW

内容:第二次大戦下、アフリカ戦線で左目を失い奇跡の生還をはたしたシュタウフェンベルク大佐。ヒトラー独裁政権へ反感を抱いていた彼は、ドイツ軍内部の反ヒトラー勢力の一員になる。そして、彼はヒトラー暗殺後、ベルリンの予備軍によって政権及び国内を掌握するクーデター計画“ワルキューレ作戦”を立案、暗殺の実行も任されることになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

先日テレビで42回もヒトラー暗殺は企てられていたというのをやっててビックリ仰天しちゃったんだけど、ていうか42回も失敗し続ける確率って、どんだけ悪魔に魅入られた男だったんだヒトラーは・・・。

結局、ヨーロッパ全土を火の海にしたあげく自ら命を絶ったわけだけど、今回の映画は歴史に「ifもしも・・」があるならば、と思わず考えてしまう作品になっている。

軍や警察、政治の中枢にまでネットワークが及ぶ反ヒトラー組織があったというのは目からウロコだったし、歴史的事実として暗殺計画が失敗に終わることが分かっている中で緊張感の途切れることのない演出に引っ張られて最後まで見入ってしまった。

ただ、微妙なボタンのかけ違いから計画が破綻していくプロセスを見るのは、まるで完全犯罪が崩れていく犯罪ドラマを見ているかのようなのだけど、そこにはシニカルな視点もなければ破滅の美学もない。

かといって血生臭さもなければ悲壮感が漂うわけでもなく、いたってシンプルな娯楽サスペンスにしか見えない軽さは、この手の映画ではいかがなものかとも思うけど、まぁ面白ければいいのか・・ww

まぁ、たしかにスーパーヒーロー、トム・クルーズに悲壮感なんて似合わないしな。

彼が銃殺されてしまうラストにはド肝を抜かれたけど、悲壮というよりはやっぱ美しくてカッコ良くて様になるんだよね。

そういう点では、トム・クルーズが大石内蔵助をやってる忠臣蔵を見ているような感覚とでも言えばいいのかな。。秩序だった存在感のある安定したエンタメ作だったとは思う。

2016年1月23日 (土)

夢のシネマパラダイス294番シアター:特集:爆走族!

ニード・フォー・スピード(2014年・アメリカ・131分)WOWOW

 監督:スコット・ウォー

 出演:アーロン・ポール、ドミニク・クーパー、イモージェン・プーツ、ラモン・ロドリゲス、マイケル・キートン

 内容:自動車修理工場を営むトビーは、週末になると公道レースに熱を上げる凄腕ドライバーだが、かつてレース対決で親友を死なせた罪を着せられ服役した過去があった。親友を死に追いやった本当の張本人ディーノへの復讐を誓うトビーは、非合法ストリート・レースへの参加を決意するが・・・。

評価★★★☆/70点

知った顔がほとんどいないこともあって何の気なしに見ていたら、いつの間にか夢中になって映画を楽しんでいる自分がいた。

復讐劇と逃走劇に加えロードムービー的要素も加味されたプロットは、単純すぎるきらいはあれど最低限のテンションは持続できているし、それよりも何よりも本気度120%のカーレースとカーアクションを見ぃーや!という自信に満ちあふれた映像が130分の長尺を飽きることなく牽引できていて楽しめた。

クラシックなアメ車からスーパースポーツカーまでより取り見取りなかっちょいいクルマたち、市街地の公道からハイウェイ、荒野から峠道に至るまで様々なロケーションに富んだカーバトルがてんこ盛りで、ネタを出し惜しみすることなく見せきった爽快感があって良かったと思う。

あと、イモージェン・プーツがめちゃくちゃキュートで必見の価値があったことも付け加えておこう

 ----------------------

60セカンズ

60sec 出演:ニコラス・ケイジ、アンジェリーナ・ジョリー、ジョバンニ・リビージ、デルロイ・リンドー

監督:ドミニク・セナ

(2000年・アメリカ・118分)WOWOW

内容:かつて高級車専門の伝説的窃盗犯として名を馳せたメンフィスは、今は田舎で子供たちと戯れる日々。しかし、窃盗組織から弟を救うため、弟に代わって再び現役に復帰するはめに・・・。超高級車ばっかりが次々とクラッシュする様には思わず指をくわえて見入ってしまう。。。

評価★★/45点

“だから、、、欲張りすぎなんだよ50台なんて

「25台は大丈夫だ。問題は残りの25台だ。」ってロバート・デュバルも言っとるやん。

この時点で25台いらねえじゃん(笑)。

その半分の12台でいいよはっきりいって。

もっと削いで削いでシンプルなつくりで良かったと思うんだけどな。

しかし、けなげな兄弟愛があれば警察も許してくれるのネ、、っておいおい・・・。

 ----------------------

ル・ブレ

2002077 出演:ジェラール・ランヴァン、ブノワ・ポールヴールド、ジョセ・ガルシア、ロッシ・デ・パルマ

監督:アラン・ベルベリアン

(2002年・フランス・108分)朝日生命ホール

評価★★★★/75点

内容:服役中のモルテスが看守に購入を依頼した宝くじが、なななんと1500万ユーロの大当たり!しかし、看守の妻は当たりくじを持ったままアフリカへ。モルテスは看守を拉致して脱獄し、アフリカを目指す。警察や殺し屋までもが入り乱れるパリ~アフリカ間宝くじ争奪カーチェイスの幕が切って落とされた!

“見ながらゲラゲラ笑ってたけど、自分の身になって考えてみると、ホントあいつがそばにいたら厄介だよな・・・。”

続編を切に希望いたします(笑)。

キャラがすごく立ってるからシリーズにしやすいんじゃないかな。

モンキー・パンチがルパン3世みたいだと言ってたらしいけど、ほんとそれくらいキャラがそれぞれ際立ってる。

黒人に変装したレジオが入れ歯を便器の中に落としてしまい、洗ってまた付けようとしたときに、モルテスがもう付けなくていいからここでちょっと待ってろと言うんだよね。

犯罪してるわりにすごく優しいのねこのオッサン。

うん、これやっぱ見たいわまだ。

 ----------------------

激突!

P0000307 出演:デニス・ウィーヴァー、ティム・ハーバート

監督:スティーヴン・スピルバーグ

(1971年・アメリカ・90分)

評価★★★★/80点

内容:山道を車で走っていた平凡なサラリーマンのデイヴィッドは、途中、大型タンクローリーに進路を阻まれた。彼はいらいらしてこれを追い抜くが、そのタンクローリーはなぜかデイヴィッドを執拗に追い回し、ついには彼の命までも狙う。。。スピルバーグが監督したテレビ・ムービーで、日本では劇場公開もされた。

“最凶の嫌がらせ!”

そりゃ谷底に落として飛び跳ねて喜びたい気持ちも分かるわなぁ。

ちなみにジョジョの奇妙な冒険第3部に出てくる“運命の車輪(ホイール・オブ・フォーチュン)”は、そっくりそのままこの映画からもじってるね。

 ----------------------

ミニミニ大作戦

47014192 出演:マーク・ウォルバーグ、シャーリズ・セロン、エドワード・ノートン、ジェイソン・ステイサム

監督:F・ゲイリー・グレイ

(2003年・アメリカ・110分)DVD

内容:窃盗のプロ、チャーリーは50億円相当の金塊強奪を計画するが、仲間の裏切りで金塊のみならず、チャーリーが慕っていたジョンも失ってしまった。1年後、ジョンの娘を新たに仲間に加え、金塊の再奪取を計画。それはミニ・クーパーを使った大掛かりなプロジェクトだった。。

評価★★★★/75点

原題がThe Itarian Jobって。まんまやん・・・。

この愛着すら湧いてくる邦題のつけ方は心憎いばかり。

ミニミニ、、、イイなぁ

 ----------------------

ミシェル・ヴァイヨン

00000542544l 出演:サガモール・ステヴナン、ダイアン・クルーガー、ピーター・ヤングブラッド・ヒルズ

監督:ルイ=パスカル・クヴレア

(2003年・フランス・104分)WOWOW

内容:フランスで50年近く人気を保ってきた大ベストセラーコミックを、リュック・べッソンの脚本で映画化。天才レーサーのミシェルを擁するチーム、ヴァイヨンと勝つためには手段を選ばないチーム、リーダーの戦い!レースシーンが実際にル・マンに参戦して撮影されたことでも話題になった。

評価★★★/65点

青い瞳、青い車体、蒼い空、青白い氷の結晶、青い炎、青いジャケット、碧いアスファルト、、、演出も、青かった

 ----------------------

ドリヴン

00000448155l 出演:シルベスター・スタローン、キップ・パルデュー、エステラ・ウォーレン、ジーナ・ガーション、バート・レイノルズ

監督:レニー・ハーリン

(2001年・アメリカ・116分)仙台フォーラム

評価★★★☆/70点

内容:ある日、元レーサーのジョーに、チームに戻る気がないかという話が舞い込む。彼はまたとないこの機会に飛びつくが、彼の役目はランキングから落ちてしまった新人レーサーを返り咲かせることだった・・・。

“スタローンのはじけた笑顔を久々に見れてスゴクうれしくなった。”

1等賞しか受け付けなかったスタローンが、3等賞でホントにウレシそうな笑顔を見せてくれた。

もうNo.1にならなくていいんだよスタローン、今度は特別なオンリーワンを目指していってほしいと思います。

「信念てのはタチの悪い伝染病みたいなもんさ。信念をもった奴の隣にいるとそれが自分にもうつっちまうんだ。」

スタローンの口からこんなシブい言葉が出てくるなんて。

とにかくこの映画のスタローンを見て妙に感慨深くうれしくなっちゃいました。

2016年1月18日 (月)

夢のシネマパラダイス464番シアター:恐るべしスカーレット・ヨハンソン!

LUCY/ルーシー

T0017709q1出演:スカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、チェ・ミンシク、アムール・ワケド、アナリー・ティプトン

監督・脚本:リュック・ベッソン

(2014年・フランス・89分)WOWOW

内容:台北のホテルでマフィアの闇取引に巻き込まれてしまったごく普通の女性ルーシーは、身体に新種の麻薬が入った袋を埋め込まれ、運び屋として利用されてしまう。ところが、お腹を蹴られた際に袋が破れ、その麻薬が体内に漏れ出してしまう。そしてその後、彼女の脳内に異変が。なんと通常の人間は脳の潜在能力の10%しか活用できないが、ルーシーの脳はそれを凌駕した覚醒を始めたのだという。マフィアの追手が迫る中、脳科学者ノーマン博士と会うべくパリへと向かうルーシーだったが、その間にも脳の覚醒は進行していき・・・。

評価★★★/60点

まるでX-MENのいちキャラクターの誕生秘話といっても通用するような映画だったけど、期待してたのとはちょっと違ったかな。。

自分がイメージしていたのは、90年代にアクション映画で活躍したジーナ・デイビスのような体当たり演技でスクリーンの中をド派手に動き回る王道アクションのカッコ良さと、類まれな美貌とスタイルを持つスカヨハのあふれんばかりのお色気フェロモンを満喫できる90分だったのだけど、まさかワンピースのルフィのような覇王色を身にまとったスカヨハが悠然と歩く中を敵が勝手に吹っ飛ぶサイキック映画になっているとは・・・。全然お腹いっぱいにならないんですけど

生命が誕生して10億年、生命進化の最強形態スカーレット・ヨハンソンを堪能するには物足りない出来だったことはたしかだ。

 -----------------------

真珠の耳飾りの少女

P308 出演:スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース、トム・ウィルキンソン

監督:ピーター・ウェーバー

(2003年・イギリス/ルクセンブルク・100分)バウスシアター

評価★★★★/80点

内容:画家フェルメールが描いた1枚の絵をめぐって繰り広げられる歴史ドラマ。1665年のオランダ。一家の家計を支えるため、フェルメールの家で奉公することになった少女グリート。優れた色彩感覚をもつ彼女は画家に認められ、2人はやがて特別な関係になるが・・・。

“愛憎と嫉妬うずまく気位は高いが零落した疑似伏魔殿VSスカーレット・ヨハンソン”

前もって雑誌でポスターを見たときは、こりゃ「ピアノ・レッスン」ばりの愛欲乱舞が展開するのかななんて思ったのだが。

フェルメールがグリートのスカートの股ぐらに顔を突っ込んで、ただでさえ神妙で困惑した表情がますます苦悶にもだえるのかぁっ、スカーレット・ヨハンソンっ、と展開していったのは自分の脳内妄想だけだったのね

あるいは「薔薇の名前」に漂うような閉所恐怖症的な異様な雰囲気とにおいに包まれているのか、なんてことも想像してたのだけども、いい意味で裏切られたかんじ。

まるでカトリック修道院に仕える敬虔な修道女そのままのグリートの清貧なにおいが、疑似伏魔殿を文字通り修道院に変えてしまったような、そんな錯覚さえ覚えてしまった。

あの祖母はさしずめ修道院長といったところか。

その中で、他とは隔絶されたフェルメールのアトリエ部屋は、その過ぎゆく時間と光と陰が織り成す空間とが相まって不思議で魅惑的な小宇宙を醸し出していた。

しかし、とにかくはスカーレット・ヨハンソンをベタ褒めしないわけにはいくまい。

たった一人で敵を向こうに回して苦悩の表情を浮かべながら映画のバランスを保った、その真摯な姿はあのジャンヌ・ダルクでさえも太刀打ちできないだろう。

恐るべしスカーレット・ヨハンソン。

いつかはマリー・アントワネットまたはルクレチア・ボルジア、いやいやブランヴィリエ侯爵夫人なんかどうでしょう。そんな悪女を演じる姿を見てみたいものだ。

 -----------------------

マッチポイント

Ohevwkwcsm 出演:ジョナサン・リース・マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン、エミリー・モーティマー、ブライアン・コックス

監督・脚本:ウディ・アレン

(2005年・米/英/ルクセンブルグ・124分)仙台チネ・ラヴィータ

評価★★★★/80点

内容:イギリスのロンドン。元プロテニスプレイヤーのアイルランド人青年クリスは、会員制テニスクラブのコーチとして働き始める。英国の上流階級に憧れる彼は、やがて実業家のボンボンであるトムと親しくなり、その妹クロエと付き合い始める。やがて、彼女と結婚し、義父の会社の重役として迎えられ順風満帆な人生が始まるかと思いきや、、トムのフィアンセでアメリカ人の女優の卵ノラを一目見るや、その官能的な魅力にイチコロになってしまい・・・。

“負け組人生にドップリ浸かっているオイラはクリスになれるのか!?”

ポテッとした唇と吸い込まれるような肉感を持った肢体を完備する、男を夢中にさせ決して後悔させない女サラ。

一方、上流階級への入口にはもってこいのお金に困ることもない、安定した人生・家族設計は約束されたようなもの、大企業経営者の娘で英国上流階級のお嬢様クロエ。

このSEXしまくりたい女と、幸せで安定した家庭を築ける女との二重生活という男の永遠の妄想を現実化した夢のようなお話、、、いやいや現実はそうそうストレートインにはいかなかったというお話を、ヒッチコック風サスペンスの単純明快さと従来のウディ・アレンのシニカルな残酷世界を織り交ぜて、笑いのタッチをかなり抑えた正攻法で描いていく。

個人的には、分かりやすすぎるくらいに分かりやすい内容とテーマ(例えば作中にも出てきたドストエフスキーの「罪と罰」のモチーフや、モンゴメリー・クリフトの「陽のあたる場所」やアラン・ドロンの「太陽がいっぱい」を彷彿とさせる展開etc..)で、非常にとっつきやすく、またスカーレット・ヨハンソンの妖艶さにメッロメロになってしまいスクリーンに釘付け状態になってしまった。

そして、“マッチポイント”を起点にした古典的かつ単純なプロットとシナリオをこれほど深みのある人間劇へと昇華させてしまうウディ・アレンの手腕には脱帽するほかないし、こういう分かりやすい映画で、よりウディ・アレンの才を再確認できたことは大きかった。

オープニングシーンで、テニスコートのネットにボールが当たり、向こう側のコートにポトリと落ちれば勝ち、しかしこちら側に落ちれば負けという主人公クリスの独白を伏線として印象付けさせておいて、大団円でクリスが証拠隠滅のために川に投げた指輪が橋の欄干に当たり、川ではなくこちら側に落ちてしまう。

見る側はこれは完全にクリスの怒涛の転落人生の始まりかと予想を立てるわけだが、運命とは皮肉なもので、その指輪を拾ったジャンキーが犯人とされ(しかも死人)、クリスはまんまと完全犯罪を成し遂げてしまう。

このプロットのオチにはかなりヤラレたし、ラストで好運な人生を手に入れたはずのクリスの表情が全っ然幸せそうじゃないという皮肉がまた効いていて、非常に印象的な映画になっていたと思う。

人の一生は、テニスボールがネットに当たり、向こう側に落ちるかこちら側に落ちるかという運・不運の危うい選択=マッチポイントを日々日常の中で繰り返しているといっても過言ではない。けど、負け組人生にドップリと浸かっている自分としては、いかに運を引き寄せるか、それにはぶっちゃけ努力よりも行動が大事なんだと、この映画を見て思わされた一方、あんまり運・不運にとらわれ過ぎてても幸福になれるとはかぎらず、決められた幸福ではなく、自分なりの幸福を探し求めていくことが大事なのだとウディ・アレンは言っているような気がした。

ま、、不倫する勇気も人殺しする勇気も自分にはないけどね・・。それくらいの事しないと強力な運は向いてこないのかいな

 -----------------------

それでも恋するバルセロナ(2008年・スペイン/米・96分)WOWOW

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、スカーレット・ヨハンソン、パトリシア・クラークソン、ケヴィン・ダン、レベッカ・ホール

評価★★★/65点

 内容:婚約者と結婚間近のヴィッキーと自由奔放なクリスティーナ。親友同士のアメリカ人2人は、ひと夏のバカンスを過ごすためバルセロナに降り立つ。そこで色男の画家フアン・アントニオと出会った2人の前に、さらに彼の元妻マリア・エレーナが現れ・・・。

“アブナいけど憎めない、そんな映画です。”

恋がしてぇーーッ!!

この映画を見て真っ先に思ったこと。

恋がした~~いよ~~

つーか、日本に来た外国人の若い女のコに、「盛岡に連れて行ってあげるから、わんこそばと清酒を楽しんで、セックスしよう!」って誘ったらノコノコとついて来るのかよっっちゅう話・・・w。

ありえねーだろ!!

でも、これが情熱の国スペインのバルセロナでワイルドな画家相手だと話は違ってくるらしい、、、が、ちょっと待てよ、この画家の正体は「ノーカントリー」のおかっぱモンスターだぞww

さらにはこのモンスターとキチガイ妻とアバズレ女が奇妙な3P生活をおっ始める始末で、自分にとっちゃ非現実的この上ない話なのだけど、これがウディ・アレンの手にかかれば平和で幸せな小品になってしまうのだから恐れ入る。

といってもスカーレット・ヨハンソンのはちきれんばかりのボディに釘付けになったのが飽きずに見れた最大の要因だけどもねww

ただ、ひと夏のアバンチュールというには、あまりにも性欲>恋愛、アンモラル>モラルの振れ幅が大きすぎて共感の入り込む余地が少ないのがイタイ。

ま、オトコ目線から見ればなんとも羨ましいかぎりだけど・・・。

で、、最後に行き着くところは、、、やっぱ恋がしてぇーーッ!!

2015年12月20日 (日)

夢のシネマパラダイス218番シアター:魔女の宅急便

魔女の宅急便

20041212184905声の出演:高山みなみ、佐久間レイ、山口勝平、信沢三恵子

監督・脚本:宮崎駿

(1989年・東映・112分)

評価★★★★★/100点

内容:魔女の娘で13歳のキキは、一人前の魔女になるため、黒猫のジジと一緒にホウキに乗って自立の旅に出発した。たどり着いたコリコの街でキキは、親切な夫婦に部屋を貸してもらい、早速ホウキを使って宅急便の仕事を始める。女子画学生のウルスラやトンボ少年と親しくなったキキは、失敗を繰り返しながらも仕事に精を出すが、ある日、魔法の力が弱くなって空を飛べないことに気付いてしまう・・・。

“年と回を重ねて見るごとに自分の中の評価が上昇していく稀有な映画。この映画の魔法は日ごと強まっているらしい。”

初めてこの映画を見たのは、小学5年生のときに劇場でだが、母親は大感動していたものの、自分的にはそれほど心には残らない映画だと感じていた。

ラピュタのように何ら冒険があるわけでもないし、描いているのは人間が住む世界における日常に過ぎないではないか、と。ちょっと空を飛べるだけの女の子ってだけの話じゃんという印象がやはり強かった。

ま、小学3年のときに見たトトロよりはまだマシかなぁという程度の感覚。だがナウシカ、ラピュタには遠く及ばないなという感覚である。

が、しかし、それから2,3年ごとに1度TVで放映されていくのを見るうちに、なぜか自分の中の感動度と評価の度合いが徐々に高まっていっているのだ。

おそらくキキに対する感情移入の強さは初めて見た時と全く変わっていないと思う。

トンボやおそのさんなどのサブキャラクターも同様だし、キャラの強さも強烈に立っているというわけでもない。

自然にそこに立っているといった方がいいか。

やはりこの映画が描いているのは、人間の住む世界の日常に過ぎないのだ。

だが、この“日常”を描いている映画が実はそんなに多くはないのだということに様々な映画を見ていくうちに今更ながらに気付くわけで。。

最初は単なる日常を描いていることに何ら興味もドラマ性も見出せなかったのが、“日常”を描くことの希少さに逆に気付いたときに、この映画の凄さが実感として湧いてくるのだ。しかもアニメ映画というジャンルで考えるとなおさらだろう。

食べる。着る。拭く。話す。寝る。作る。といったことをこの映画は何気なくだがしっかりと描き出していく。

宮崎アニメというのは、元来そういう傾向があるが、この映画が最たる例だといえよう。

しかし、この映画の本当の凄さは、“日常”をしっかり描いているという単にそのことのみではない。

ファンタジーという非日常空間という場において人間世界の“日常”をしっかり描いているというところが真にこの映画の凄いところだと思うのだ。

考えてみるとこの映画の設定はちょっとスゴイと思う。

ヨーロッパ風の街並み、しかしラジオからはユーミンの歌が流れている。さらに一般に悪魔のような女と形容される言葉であったり、キリスト教世界においては悪魔との交際によって魔力を得た女であり中世ヨーロッパでは魔女狩りも行われるなどのマイナスイメージが強い魔女が主人公、猫がしゃべれる、、とまさに設定は非日常、さらに言えばまっとうなファンタジーという設定なのだ。

この設定の中でさらに強固で強力なファンタジーへと昇華させていくのかと思いきや、視線を人間の住む世界の“日常”へと最初っから落として話を進めていくではないか。

初めて見たときは、このことに何か物足りなさを感じていたと思うのだけど、今になってみると逆にそのことの凄さが際立って見えてくるわけで。

様々な映画を見ていく中で、同じ映画でも自分の映画の見方が変わってきているのだなということがまざまざと実感できる映画だと思う。

これからもこの映画を見つづけていきたいと思う。

〔追記〕

 この映画と表裏一体となっているのが実は「千と千尋の神隠し」なのではないかと思うのだが、なぜか「千と千尋」はそんなに好きになれない。「千と千尋」もファンタジーという場において仕事という“日常”を描いているのだが・・・。

例えば同じ仕事という“日常”でも「魔女宅」では“人間の住む世界の日常”だが、「千と千尋」では“人間が立ち入ることのできない異世界における日常”という違いがある。

どうやらそこら辺に自分的には何か引っかかるものがあるらしい・・。

 ----------------------

魔女の宅急便

001出演:小芝風花、広田亮平、尾野真千子、山本浩司、吉田羊、新井浩文、浅野忠信、筒井道隆、宮沢りえ

監督:清水崇

(2014年・東映・108分)DVD

内容:13歳の魔女見習いキキは、魔女のいない町で1年修行するという一族の掟に従い、黒猫のジジと一緒にほうきに乗って旅立った。そしてたどり着いたのは海辺の港町。しかし知らない土地で彼女を見る世間の目も優しくはなく、仕事を探すあてもなく右往左往するが、丘の上で出会ったパン屋の女将・おソノさんに部屋を間借りさせてもらえることに。さっそく宅急便の仕事を始めるキキだったが・・・。

評価★★☆/50点

ちまたで言われてるほど悪くはないが、それでも確実にツマラナイ

まぁ、すべての帰結はホラー畑の清水崇がファンタジーを撮るというどう考えても畑違いだろってとこに行き着いてしまうけど、その点でいえば今回の作品にはホラー映画をお化け側の視点で描くようなぎこちなさを感じちゃったな。

せっかく清水崇を監督に据える出たとこ勝負でいくなら、トンボを主人公にするくらいのフォーマットの転換がほしかった。

拙いCGのせいで人がホウキに乗って飛ぶという肝心要のシーンよりもトンボ自作の羽根付き自転車の方にリアリティがあったことからしても、空を飛びたいと願う生身の人間を主人公にした方が面白かったのに、と思ってしまうのは自分だけw!?

ていうか、国民のDNAにまで染み込んでいるジブリアニメ版にはない面を強調するならトンボとキキの恋しかないわけだし、絶対トンボ主人公の方がよかったと思う。

これじゃ実写にする意味がないよ・・・。

より以前の記事一覧

2020年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ