2009年11月27日 (金)

夢のシネマパラダイス326番シアター:山のあなた~徳市の恋~

山のあなた~徳市の恋~

B001g7dpdu_09 出演:草彅剛、加瀬亮、マイコ、広田亮平、三浦友和、堤真一

監督:石井克人

(2008年・東宝・94分)WOWOW

内容:毎年、春先になると山の温泉場で仕事をしている按摩の徳市(草彅剛)と福市(加瀬亮)は、今年も馴染みの温泉場へ向かって山道を歩いていた。と、そこへ東京から来た女性(マイコ)を乗せた馬車が追い越していく。そして温泉場へ着いて早々、徳市はこの女性に呼ばれて何かとご贔屓されるようになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

清水宏監督の「按摩と女」(1938)をカバーした今回の映画。

“リメイク”ではなく“カバー”と銘打っているのがミソで、リメイクは新たに作り直すという意味でいえば同時代性をもたせたり新たな解釈を加えて独自の作家性を出すためにオリジナルを換骨奪胎することもいとわない面があると思うのだけど、一方“カバー”には、ストーリーの組み立てからセリフ、カット割りに至るまであくまでオリジナルに忠実に作るという意味合いがあるのだと思う。

まぁ、そこらへんのことはオリジナル作を見たことがないので比較のしようがないのだけれど、それを別にしても今回の作品は一個の映画として品のある素晴らしい一品に仕上がっていたと思う。

時代を超えて郷愁を誘う佇まいを残す深緑あふれる山あいの温泉地。

その中で馬車の歩みのごとくゆったりと紡がれていくクラシカルな筆致が、ある種のパラレルワールドを現出させていて、さらにそこに現代ならではの洗練された美しいカラー映像と研ぎ澄まされた高質サラウンドがブレンドされ、非常に上品な世界観を醸し出していたと思う。

草彅剛やマイコをはじめ役者陣も良かったし。

とかく昔の映画は音の聞こえが悪く、セリフが聞き取れない作品が多いのだけど、こういう古き良き日本を見せてくれる珠玉の一品になるならどんどんカバーしてもらいたいものだけどね。

それにしても、昔の日本語って実にキレイだったんだね。オリジナルも見たくなったな。

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山の郵便配達

Post 出演:トン・ルーチュン、リィウ・イエ、ジャオ・シィウリ

監督:フォ・ジェンチイ

(1999年・中国・93分)岩波ホール

評価★★★★/80点

内容:’80年代初頭の中国湖南省西部の山間地帯。長年に渡って郵便配達をしてきた父親にも引退の時が近づいていた。そして父親はその仕事を息子に継がせるため、息子とともに自らの最後の仕事へと出発する。それは一度の配達に2泊3日を要する過酷な道のり。道中、父親は多くを語らず黙々と仕事をこなす中で息子に仕事の責任の重さと誇りを伝えていくのだった。。

“天然マイナスイオン150%!!”

超高層ビル群がこれでもかというくらい林立し、リニアモーターカーが走る街、上海。

悠久の中国のイメージというと万里の長城やシルクロード、雲崗、紫禁城、はたまた黄河や長江といった歴史遺産の雄大さを思い浮かべるけど、こと現代中国となるとひと昔前はチャリンコ軍団、黒縁メガネ、薪ストーブ、農業といったキーワードを真っ先に連想していた。

でもそんな時代遅れな見方をしているオイラみたいな奴が今の上海見たらそりゃ度肝を抜かれるわなぁ。

東京や横浜を凌ぐ進化を遂げているといっても過言ではないくらいの急激な都市化ぶりには暫し呆然としてしまう。

3ヶ月でその様相が一変してしまうといわれるほどの大都市上海。

その上海を筆頭とする都市化と中国の経済成長ぶりはいまや飛ぶ鳥を落とす勢いである。

しかし、上海から西方へ1000km行けばこの映画のロケ地となった湖南省がある。思わず郷愁に駆られてしまうような、時が止まっている風景がまだそこにはある。

中国の大都市はおおよそ東シナ海沿いに集中しているので、そこから内陸へ入れば入っていくほど地方色が強まっていくわけだが、ロケハンには相当苦労したのではないかと想像できる。

こんなことを日本人であるオイラが言うのもなんだけど、中国には急速な経済成長や開発独裁もよろしいが、この映画で描かれたような風景はこれから先も残していってもらいたいものです。ダムの底に沈めるようなことはしないで・・・。

って日本人がそんなん言える資格はないんだけどさ。だって日本はそういう風景を何十年も前に捨てちゃったんだから。。

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小さな中国のお針子(2002年・フランス・110分)2003/02/01・Bunkamura

 監督・脚本:ダイ・シージエ

 出演:ジョウ・シュン、チュン・コン、リィウ・イエ

 内容:1971年、文化大革命吹き荒れる中国。医者の息子ルオとマーは、反革命分子の子として、再教育のため山奥の村に送られ、厳しい労働を強いられていた。そんなある日、仕立て屋の老人が美しい孫娘のお針子とともにやって来る。友人が所持する西欧の本に夢中になる3人。そして禁書とされる本が彼らの人生を大きく変えていく。

評価★★★★/75点

“あまりの恐怖に歯医者の予約キャンセルしちゃったじゃんかよ~~。”

あれはないだろ、、、イスに縛り付けてよーー。

歯の削れる生々しい音。嗚呼ん・・・wobbly

オイラの虫歯は今も確実に進行している(笑)。

あと、マラリアの治し方。あれって冗談じゃないんスか。

2009年11月23日 (月)

夢のシネマパラダイス98番シアター:絶望的な闘いの先にあるもの・・・

闇の子供たち

1 出演:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、鈴木砂羽、佐藤浩市

監督:阪本順治

(2008年・日本・138分)WOWOW

内容:大手新聞社のタイ特派員・南部浩行は、タイで行われている闇ルートの臓器移植の取材を始める。一方、タイの社会福祉センターにやって来たNGO職員の音羽恵子は、幼児買売春を強制される子供たちの悲惨な現実に打ちのめされながらも、最近センターに姿を見せなくなった少女の救出に奔走するが・・・。

評価★★★/65点

タイにおけるおぞましい幼児の人身売買、売買春の現実を鋭利な筆致であらわにしていく衝撃作といっていいと思うけど、生きたまま心臓をえぐり取られ、幼児性愛者にいたぶられ弄ばれ、ゴミ収集車に捨てられる子供たちの惨状には思わず目を覆いたくなってしまった。

でも、これが東京から地図の上で20cm離れた所にある現実なのか・・・。

しかし、このかなりヘビーな問題に対して目をそらさず真正面から見据えた映画の作り手の志は買いたいものの、終盤になってそれが空回りしている面は否めず、、。

特にデモ中にいきなりドンパチが始まるくだりはわけが分からない(笑)。

また、南部(江口洋介)が過去に幼児買春をしたことがあったというオチと、南部の部屋で幼児買春の事件記事が貼り付けられた鏡を与田(妻夫木聡)が凝視するラストのくだりは、観客の側の心をも暴き立てようとするがごとき強烈な問題意識にあふれていて、他人事ではいられなくなってしまうという意味でそれ自体の描写は理解できるものの、この唐突なオチのさらなる先に落としどころを持ってこなければならないはずなのに、南部が首を吊ってハイ終わりじゃなかろうに・・・。

人がそれぞれ持つ闇の恐さを暴くのも結構な話だが、それ以上に描かなければならないのは臓器売買、人身売買を成立させているシステムなり真相を暴くことなはずで、それを描かないまま中途半端に放り投げるというのは、じゃあそれまでに描かれてきた突撃取材はいったい何だったんだということになりはしまいか。。

しかも、エンディングはこれまた唐突に桑田佳佑のわけの分からん歌謡曲ときたもんだ。サザンは別格に好きだけど、この使い方には完全に辟易・・・。これだけで赤点やってもいいくらいなんだけど。。

なんというか、作り手の感情の方がヒートアップして先走っちゃって、逆に支離滅裂ここに極まれりになっちゃった悪例といえばいいだろうか。そんな映画ですた。。

重たいテーマだけに、後味の悪さは想定内だったけど、この後味の悪さは想定外だったなww。。

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トラフィック

Traffic 出演:マイケル・ダグラス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ベニチオ・デル・トロ、ドン・チードル、デニス・クエイド

監督:スティーブン・ソダーバーグ

(2000年・アメリカ・148分)DVD

評価★★★★☆/85点

内容:メキシコ、サンディエゴ、ワシントンの同時3点ドキュメント調で描かれる麻薬戦争の舞台裏・・・根深く浸透した麻薬の密売ルートに挑む麻薬捜査の物語。当時キャサリン・ゼタ・ジョーンズは実際にマイケル・ダグラスの手にかかり妊娠中であったが、身重の妻役をやけくそで?演じきったことでも有名ww。

“アメリカにおける銃社会が実際問題無くならないのと同様に、実際、国家対策的な麻薬戦争に勝つというのはベトナムあるいは今も続けられているテロ戦争で勝つより難しいということをアメリカ人はおろか日本人である我々もうすうす感じている。。”

需要-生産-加工-流通-消費という需要・供給システムの確立。そこに政府、国際資本、マフィア、地元ゲリラ、いたるところにはびこる腐敗などが複雑に絡み合う。

これはもう一大産業どころの話ではない。想像を絶する世界的規模のものだ。

このタガを崩すのは実際問題ムリだろう。テロ戦争に勝つより難しいといってもいいと思う。

アメリカは中南米(コロンビア、メキシコなど)への軍事援助などを展開し、ドラッグ・ウォー(麻薬戦争)を行ってはいるが、何の成果も上げていないというのが実情なのだ。

だが実は、アメリカ政府自体が何食わぬ顔で麻薬を利用してきたというウラの顔も存在することが、話をややこしくさせる・・・。

この映画でもその一端が語られているが、具体的には、世界各地で反米勢力と親米の地元勢力を戦わせる代理戦争の戦略の中で、アメリカは麻薬栽培を親米勢力の資金源にさせてきたといういわくがある。

それは例えば50年代中国国共内戦におけるゴールデントライアングルでの麻薬栽培。

60年代にかけてのキューバカストロ政権転覆を図ることを目的に、亡命キューバ人勢力の資金作りとしてアメリカ本土への麻薬密輸の容認(結局ピッグス湾事件でこのカストロ転覆作戦は失敗に終わる)。

全く同様のタイプで80年代のニカラグアやレバノンetc.

さらには、何といってもアフガニスタン。

ソ連が侵攻した際、アメリカのてこ入れによりオサマ・ビン・ラディンなどに代表されるゲリラが作られるが(後に周知の通り911同時テロでアメリカはこの飼い犬に咬まれてしまうのだが)、その資金源として麻薬栽培が行われた。そして現在、アフガンは世界最大のアヘン生産国となってしまった・・・。

アメリカのウラの顔。

と同時に、「麻薬カルテルを壊滅してやる!」と高らかに謳いあげているアメリカのオモテの顔。

、、、どう考えても救いようのない話である。

アメリカ社会の内深くまで侵攻している麻薬を消滅させるという麻薬戦争に勝つというのは、テロ戦争に勝つよりというよりも、ほとんど不可能といってもいいのではないか。

このへんのコノテーションをおそらく内包しているアメリカとまだ切実な問題となっていない日本とではこの映画の見方も違ってくるのではないだろうか。

ということで、映画の話に戻すと、この映画の凄いところは、あまりにも救いようがなくやりきれない麻薬戦争の絶望的な現実というマクロ的観点へ話を収束させ、そこに至るまでを至極客観的に描写している点にあると思う。

1つ1つの話は、家庭にドラッグが忍び込んでいくといったようにミクロ的なものだが、それらが並行・交錯して語られていくことにより、最終的にはマクロ的なものへと標榜する。

しかも別段難しいストーリーではない中で2時間30分近くで収めてしまうというのは、この監督ちょっと伊達じゃないな、と。

加えて実は最初から救いようのない話になることは自明の理であったこの映画において、ラストで差し込む微かな光は唯一の救いであるし、この終わらせ方の演出、この監督心憎いな、と。

要するにこの監督すげぇなと感心してしまいました。

もちろん、デル・トロとゼタ・ジョーンズの特筆ものの演技にも感心しなければなりませんが。

いずれにせよ、我々のいる現実世界も、そして映画の中の彼らもこの終わりなき戦いをこれからも続けていくことだろう。

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インサイダー

Insider 出演:ラッセル・クロウ、アル・パチーノ、クリストファー・プラマー、ダイアン・ヴェノーラ

監督・脚本:マイケル・マン

(1999年・アメリカ・158分)仙台第1東宝

評価★★★★★/90点

内容:大手のタバコ会社の企業秘密を暴こうと立ち上がった報道番組プロデューサーと元タバコ会社役員の姿を追った実録社会派ドラマ。

“もう一度見る価値があるかと問われれば、、、あると答えます。”

バシバシ実名が出てくる社会派の映画はもともと好きな部類ではある。しかし、ここまでズシリと重心の重い作品には最近そうは出会わない。

TV局にまで及んでくる巨大な見えざる圧力に苦しみつづけ、自分の家族の未来が人質にとられてしまうという不条理な現実を突きつけられる普通の男の闘いを静かな眼差しで見つめていく。

それは例えばマフィア犯罪の重要証人になり、マフィアに命を狙われるといった話でさえ薄っぺらく見えてしまうくらい重苦しいものだ。

勝利を勝ち取ったというヒーロー像はこの映画にはない。長く苦しい孤独ともいえる闘いが続くのみ。そして、それを演じきったラッセル・クロウの凄さ。

さらに、低音で鳴り響く音楽と凝りに凝ったカメラアングルがさらなる効果を演出していて、特に回転ドアのショットや、バーグマン(アル・パチーノ)とワイガンド(ラッセル・クロウ)が初めて会う場所での待ち合わせシーンのカメラ位置など強烈に印象に残る。

この監督に恋愛映画撮らせたらどうなるんだろうと思うくらい臨場感たっぷりのバリバリ骨太な映画だ。

しかしまぁ、硬派ネタを追い求めるバーグマンにアル・パチーノ+硬派ネタ専門家マイケル・マンとくりゃ女の出る幕はないわなぁww

ワイガンドの奥さんの気持ちと彼女がとった行動はそれが理由なんだと勝手に決めつけたいが、、、これって実話だったのね。。

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ペリカン文書(1993年・アメリカ・141分)WOWOW

 監督・脚本:アラン・J・パクラ

 出演:ジュリア・ロバーツ、デンゼル・ワシントン、サム・シェパード

 内容:法科の女子大生ダービーは、最高裁判事殺人事件に対して大胆な仮説をレポートで提出。しかし、その“ペリカン文書”と呼ばれるそのレポートは、事件の核心に迫っていた。国家上層部の黒幕に命を狙われるハメになった孤立無援の彼女は、ジャーナリストのグランサムに助けを求める・・・。

評価★★★☆/70点

社会悪の糾弾という社会派としての側面と、スリルとサスペンスとしての娯楽面が3:7、いわば広く一般受けするような興収重視の割合でブレンドされていて、非常に見やすい作品になっている。

初めて見たのが高1の時だったこともあって、オイラにとってのハリウッド製サスペンス・ミステリー映画の基準点になっている、そんな作品でっス。

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逃亡者(1993年・アメリカ・130分)NHK-BS

 監督:アンドリュー・デイビス

 出演:ハリソン・フォード、トミー・リー・ジョーンズ、ジュリアン・ムーア

 内容:シカゴの著名な外科医リチャード・キンブルは、ある夜、自宅に押し入った片腕の男に襲われ、妻を殺害される。ところが、キンブルは妻殺しの容疑で逮捕されてしまい、不利な状況証拠を突きつけられて死刑判決を受けてしまう。が、護送中に交通事故に巻き込まれたキンブルは混乱に乗じてその場から逃走、身の潔白を証明しようと奔走する・・・。

評価★★★★☆/85点

追う者と追われる者という普通対立すべき相容れない両者が、お互い執念のかぎりを尽くした逃走劇をこれでもかと繰り広げる様が非常によく描かれている極上のエンターテイメント。

そして、その相容れないはずの両者が執念から解放されたとき、お互いを認め合い妙な連帯感で結ばれていくラストに思わず拍手。

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地雷を踏んだらサヨウナラ(1999年・日本・111分)DVD

 監督:五十嵐匠

 出演:浅野忠信、川津祐介、羽田美智子、市毛良枝、矢島健一

 内容:1972年、内戦の激化するカンボジア。25歳のフリージャーナリスト、一ノ瀬泰造は、ロバート・キャパや沢田教一に憧れて戦場カメラマンを志し、激動のインドシナ半島を駆け巡るうちにアンコール・ワットをカメラにおさめることにとりつかれてしまう。しかし、そこは解放軍クメール・ルージュの聖域という超危険地帯だった・・・。

評価★★★/60点

この映画に対する作り手側のテーマが浮いちゃってるんだよねぇ。

まるで地雷原をたどたどしい足取りで歩いているみたいに地に足がついてなくて、その割りを食った役者陣がかわいそう。

2009年11月22日 (日)

夢のシネマパラダイス407番シアター:想いはつたわる!?

容疑者Xの献身

Yougisya_x_no_kensin 出演:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、松雪泰子、長塚圭史、堤真一

監督:西谷弘

(2008年・東宝・128分)WOWOW

内容:ある冬の日、顔を潰され指も焼かれた全裸の絞殺死体が発見される。が、ほどなく身元は富樫という男性であることが判明。貝塚北警察署の刑事・内海薫(柴咲コウ)と警視庁刑事・草薙(北村一輝)は、富樫の元妻・花岡靖子(松雪泰子)を容疑者と睨むが、彼女には完璧なアリバイがあった。困り果てた2人は、さっそくガリレオこと物理学者の湯川(福山雅治)に相談を持ちかける。そこで偶然にも、靖子のアパートの隣に住むサエない男・石神哲哉(堤真一)が、湯川の大学時代の同級生であることが分かる。やがて、湯川は石神がこの事件に関わっているのではと疑念を抱き始めるが・・・。

評価★★★★/80点

普段、小説をほとんど読むことがないオイラだけど、本屋大賞と直木賞受賞作だけは読むようにしていて。

その中でも、東野圭吾の直木賞受賞作の今回の原作は、宮部みゆきの「火車」と並んで今までで1,2を争うほど印象に残った小説。

なんて哀しく、そして心洗われる作品なんだろうと、サスペンス・ミステリーという範疇を超えた人間ドラマのエンタメ作として一気に読破してしまった。

だから、映画化されると聞いたときは、イエー^^ヾ(。・ω・)人(・ω・)ノーいshinenoteと飛び上がって喜んだけど、月9ドラマと同じ軽妙なタッチで描かれたら原作のテイストが損なわれやしないかという不安要素があって。。

、、だったんだけど、それは全くの杞憂に終わったようだ。

原作には登場しない内海薫を捨て駒にしてまで、あくまで石神と花岡靖子をメインに据え、TVドラマとは一転シリアスなトーンにして、音楽も月9でおなじみの曲はほとんど使わず、、フムフムよく分かっていらっしゃるなという印象。

石神も原作では小太りで目が細い冴えないオッサンで、堤真一はもの凄っかけ離れたイメージだったんだけども、なんともまぁ彼の演技には脱帽しちゃいましたわ。もう彼の独壇場というかんじで、映画の空気を彼一人の存在感で確定させちゃったような。

役者に引き込まれてしまうというのはこういうことを言うのかもしれないなってことを久々に感じさせてくれますた。。

その点では、柴咲コウはホント今回はご愁傷さまでしたとしか言いようがなくて、福山ガリレオとの丁々発止の掛け合いもほとんどなく、、、何の見せ場もなかったな。

ま、それは次回作に期待するとしてだ。ともかく、東野圭吾の文体がそもそもシナリオ的な要素を多分に含んでいるので映像化しやすいという面はあるのかもしれないけど、今回は「手紙」(2006)並みに心に残る秀作になったと思いまッス。

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鉄道員(ぽっぽや)

04ken01 出演:高倉健、大竹しのぶ、広末涼子、吉岡秀隆、志村けん、小林稔侍

監督:降旗康男

(1999年・東映・112分)1999/05/25・岩手教育会館(試写会)

評価★★★/65点

内容:北海道のローカル単線・幌舞線の終着駅、幌舞。駅長の佐藤乙松は、不器用だが真面目だけが取り柄の筋金入りの鉄道員(ぽっぽや)。職務に忠実なあまり、生後2ヶ月で死んでいった娘や病気で亡くなった妻を看取ることさえできなかった乙松は、近く廃線になる幌舞線とともに定年を迎えようとしていた。そんなある日、一人の少女が乙松の前に現れる・・・。

“線路は何のためにあんねん!”

前に進むためにあるんだろうが。えっ、乙松さんよ。

なのに決して前へ進むことをせず2時間もの間停車したまま動かないというのは、、、そういう映画オイラは見たくないし、何にも見出せません。

しかも挙句の果てにお棺となって前へ進む、ってのは・・・catface、あの~、勝手に逝ってらっしゃいませ。せっかく志村けんも出てることだし、ドリフでやったら。

雪と駅と健さん3点セットに目一杯サービスして★3っつ。

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ホテル・ビーナス(2004年・日本・125分)DVD

 監督:タカハタ秀太

 出演:草彅剛、中谷美紀、香川照之、市村正親、パク・ジョンウ、コ・ドヒ

 内容:フジテレビで放映されていた人気バラエティ「チョナン・カン」からのスピンオフ企画として製作されたセンチメンタルな群像ドラマ。ある最果ての街。片足が不自由な謎の老オカマ“ビーナス”が経営しているホテル・ビーナスには、生きることに希望を抱けない青年、酒に溺れる医者とホステスをしている妻、花屋を夢見る娘、常にピストルを持っている少年などワケありな人々が住んでいた。そこへある日、流れ者の男が幼い少女を連れてやって来る・・・。

評価★★/45点

フジの新春かくし芸大会でこういう外国語劇やるよね、、ってレベル。。

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人間の証明(1977年・東映・133分)WOWOW

 監督:佐藤純彌

 出演:岡田茉莉子、松田優作、ジョージ・ケネディ、ジョー山中、三船敏郎、岩城滉一

 内容:東京のホテル・ニューオータニでNYのハーレムからやって来た黒人男性(ジョー山中)が、「ストーハ」という言葉と西条八十の詩集を残して殺された。捜査線上に見え隠れするファッションデザイナー八杉恭子(岡田茉莉子)とその息子(岩城滉一)。黒人男性の過去を追って渡米する警視庁の棟居(松田優作)。やがて、八杉と黒人男性の意外な関係、そしてNY市警のシュフタン刑事(G・ケネディ)と棟居の関係が明らかになっていく・・・。「犬神家の一族」に次ぐ角川映画第2弾として、メディアミックスを駆使した大量宣伝とTVCM絨毯爆撃で大ヒットを記録した。「母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね?」は流行語になった。

評価★★★/60点

一様で扁平な内容よりも、次から次へと大物が出てくる顔見世興行の方に心が躍る贅沢な一品。

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アカルイミライ

Mirai2 出演:オダギリジョー、浅野忠信、藤竜也、笹野高史、りょう、加瀬亮

監督:黒沢清

(2002年・日本・115分)2003/01/28・下高井戸

評価★★★/65点

内容:仁村雄二(オダジョー)は、兄貴分的な存在で温厚な有田守(浅野)とおしぼり工場でバイトしている。雄二は他人とうまく渡り合えず無鉄砲な性格で、工場の社長である藤原(笹野)の言動にいちいちムカついてキレかかっている。そんな彼を見かねた守は2人だけにしか分からないサインを提案する。そしてその頃から守は自分が飼っている猛毒のアカクラゲの飼育方法を雄二に事細かに教えるのだった。そんなある日、守はクラゲを託して突然姿を消した・・・。

“守の「行け!」「待て!」の合図”

今、ウチのワン公に必死で教えてるところですflair。。

それくらいしかこの映画から得られるものがなかったんだわ・・・。

解らないようで、、、やっぱ解らない映画でした。

でも、あの真水に慣らされたクラゲたちが海に帰ったらどうなるんだろう。また順応できるのだろうか。それでも川を下っていくクラゲたち。

ラストの少年たちはあのままどこに流されていくのだろう。

時だけは変わらず流れていく・・・。

あのクラゲを見てふと宮崎あおい主演の「害虫」に出てくる、“あらゆる悪徳こそが人間存在の本質であり、善とはただかろうじて悪ではない状態にすぎない”という一説をなぜか思い出してしまった。

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嗤う伊右衛門(2003年・東宝・128分)2004/02/10・ヴァージンシネマズ六本木

 監督:蜷川幸雄

 出演:唐沢寿明、小雪、香川照之、池内博之、椎名桔平、六平直政

 内容:切腹を命じられた父親の介錯をした後、浪人へ身を落とした境伊右衛門は、御行乞食の又市から民谷家への婿入り話を持ちかけられる。相手は民谷家の娘・お岩。彼女は天然痘に冒されたせいで、顔の右側が崩れてしまっていたが、周りの冷たい視線にもめげず凛とした佇まいで懸命に生きていた。そして伊右衛門とお岩は晴れて夫婦となった。が、かつてお岩を好いていた与力の伊東はそれを面白く思わず・・・。

評価★★★☆/70点

内容はたいしたことない。しかし、観てから相当日数が経つというのに、伊右衛門、お岩、与力の伊東の狂気じみた情念だけが脳裏に焼きついて離れない。

離れようとしない・・・。

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天国の本屋~恋火(2004年・松竹・111分)WOWOW

 監督:篠原哲雄

 出演:竹内結子、玉山鉄二、香里奈、新井浩文、原田芳雄、香川照之

 内容:管弦楽団を解雇されたピアニストの健太は、人材管理人を名乗る男に連れられ、「天国の本屋」へやって来る。といっても彼は死んでいるわけではないらしく、ただのアルバイト要員だという。そこへ生前憧れていた翔子がやって来て・・・。松久淳、田中渉の小説「天国の本屋」「恋火」を基に映画化。天国と地上で交錯する愛を描いた異色ファンタジー。

評価★★★/60点

ちょっとイイ話にはなってるけど、映画として優しすぎて正直すぎることが逆にアダになっているかんじ。

ま、オイラの地元の本屋から原作が広まったのはチョット自慢だけどね。

2009年7月31日 (金)

夢のシネマパラダイス608番シアター:夜のピクニック

夜のピクニック

Cinema_045 出演:多部未華子、石田卓也、郭智博、貫地谷しほり、加藤ローサ

監督:長澤雅彦

(2006年・松竹・117分)WOWOW

内容:夜を徹して80kmを歩き通す高校生活最大のイベント“歩行祭”。3年生となり、今年が最後の歩行祭となる甲田貴子は、ひとつの賭けを胸にこの日を迎える。それは、一度も話したことのないクラスメートの西脇融に話しかけること。実は2人には、友人たちも知らない秘密があった・・・。

評価★★☆/50点

高校生が24時間かけて80キロを歩き通すただそれだけの物語。

しかし、恩田陸の原作は素晴らしく、原作とは別なとこだけどオイラも北高ていう名前の高校に通っていたので、なんかあの頃の甘酸っぱい青春の記憶がある種のせつなさと共にリンクして甦ってきて、懐かしくも清々しい余韻に浸ることができる原作だった。

しかし、これを映画化すると聞いたときは、映画になるのかこれ?と思ってしまったけど、なんかNHKの土曜ドラマ枠で十分なかんじだったな、、と。

「みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう。」と銘打ってるわりに、どうしてこんなにフツーなんだろうと思ってしまう映画になってて、ま、ある程度予想はしてたけど・・・。

ゴールを新たなスタートと重ね合わせて描いたラストなど、ところどころでは秀逸なシーンもあったけど、それに比例するかのようにセンスのない絵が多くていまいちダメ××。

もっと映像で観る側の気持ちを喚起してくれないと、文字通りツマラナイだけやん。原作にはそれがあったのに。。

ましてや、アニメを使ってくるなんて・・・。こっちが求めてたベクトルと違っててちょっと付いていけなかったなぁ・・・。

そこに変わらずあり続ける風景という“静”の中で、未来に向かってひたすら歩き続けるという“動”というものを映像としてもっとうまく捉えてほしかった気がする。

その点でいえば、北野武なんか適任ちゃうの、、、というのはありえないかww。。岩井俊二あたりだったらねぇ。

ま、原作はヨカッタということで・・。

2009年1月14日 (水)

夢のシネマパラダイス10番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.1

生きる

07101801 出演:志村喬、日守新一、田中春男、千秋実、小田切みき、山田巳之助、藤原釜足、小堀誠

監督・脚本:黒澤明

(1952年・東宝・143分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

内容:30年間無欠勤の模範的な役人である、市役所の市民課長・渡辺勘治は、ある日、自分が胃ガンのために余命いくばくもないことを知った。早くに妻を失ってから男手ひとつで育て上げてきた息子にも冷たくされ、渡辺は絶望のあまり街をさまよう。生きることの意味を考え始めた渡辺は、翌日から人が変わったように遮二無二働き出し、貧民街の環境を改善してそこに小さな公園を造ることに情熱を注ぐのだった・・・。

“黒澤明の「残酷狂時代」”

定年間近の生ける屍、渡辺課長よりは若く健康でブラックホール並みの胃袋を持つ事務員、小田切みきの方にどこからどう見たって近いだろうと自負できるオイラにとっては、単純に渡辺さんみたいなお方には付きまとわれたくないなという感想しか浮かばなかった・・・。

異様に光った鬼気迫る瞳で、「いや、そ、そんな、私は、ただ、、、私は、、、君、、、私は、、もうすぐ死ぬんだ、、、君は、どうして、そんなに、その、活気があるのか、君を、その、見ていると、何か、何か、、温かくなる。。」なんて切実に訴えられたら、そりゃはっきり言ってキモイ以外の何ものでもないわな(笑)。

1枚のレントゲン写真から幕を開けたこの物語は、後半1枚の遺影を前に集まった人々が、故人について語るドラマへと飛躍し、そして語る彼らの本性が1枚1枚レントゲンに写し出されるように暴かれていき、ラストに至ってはこの映画を観る側の本性さえも暴かれてしまうわけで、この点についてはさすが世界のクロサワだなと感嘆してしまう。

しかし、映画のつくりに感嘆はできても、肝心の物語の核心にまで個人的になかなか入っていけないもどかしさがあって、それはやはり渡辺課長という人物が、自分にとっては何かまだ遠い存在だったということが大きな要因なのかもしれない。

しかし、物語には入り込めなくても映画のつくり自体には感嘆したのと同様、渡辺課長には観てるこっちの方が疲れてきても、それを演じた志村喬には脱帽してしまう。

とにかくあの瞳は、、、恐いです。なんか、「アバウト・シュミット」のJ・ニコルソンの死んだ魚の目を思い出しちゃった。

あと、あの鬼気迫る目を見て、ふとチャップリンを思い浮かべてしまったのだけど、この映画が喜劇にも通じるユーモア要素を兼ね備えていることを考えると何かどこかで繋がっているのかもしれない。奇しくも1952年度のキネ旬の邦画第1位が「生きる」で外国映画第1位が「チャップリンの殺人狂時代」だったり。

チャップリン映画の3大要素といえば、“愛する”“働く”“食べる”と言っていいと思うけど、「生きる」も見事なまでにそれを貫いている。

やはりこの映画は、黒澤明の残酷狂時代ともいうべき傑作なのかもしれないな、なんてことをふと思ってしまいました。

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羅生門(1950年・大映・88分)DVD

 監督・脚本:黒澤明

 出演:三船敏郎、京マチ子、森雅之、志村喬、千秋実

 内容:戦乱と天災地変と疫病の続く平安の乱世、都に近い山科のやぶの中で旅の侍・武弘の死体が発見される。検非違使は関係者である武弘の妻・真砂と盗賊・多襄丸を取り調べ、巫女を使って武弘の霊からも証言を得るが、彼ら3人の陳述はすべて食い違っていた。事件を目撃した杣売(そまうり)は、この様子を羅生門の下で旅法師に語りながら怖れおののき続ける・・・。芥川龍之介の小説「藪の中」に材をとり、人間のエゴや不信感、不条理などを抉り出す心理ドラマ。戦後、日本から初めて正式出品されたヴェネチア映画祭で作品賞受賞。後にアカデミー名誉賞(後の外国語映画賞)も受賞し、クロサワの名を世界に知らしめると同時に、日本映画黄金期の到来を告げる記念碑的作品となった。

評価★★★★★/100点

“死闘と呼ぶにふさわしい多襄丸と侍の斬り合いが目に焼きついて離れない。あれは殺陣ではなく、まさに殺人だった。”

「用心棒」でのラグビー並みの斬り合い肉弾戦も、「椿三十郎」での0.3秒瞬殺斬りも非常に印象的だが、それらとは対照的なこの映画の型も何もあったものではないヘッピリ腰バトルが1番好きかも。

両者のジリジリしたにらみ合いの最中のんきに首スジを掻く多襄丸。と思ったらヘッピリ腰同士ヒィヒィ息をあげて、時には野獣のごとき叫び声をあげながら、のたうち這いずり転げ回り足を引っ張り合いながら斬り合う両者。

土に突き刺さる剣、切り株に刺さったまま抜けない剣、そして侍に突き刺さる多襄丸の投げた剣。

死闘から生還してへたり込む多襄丸に覆いかぶさるように鳴り響くセミの声がまた印象深い。

人を一人殺めるってこういうことなんだという実感を眼前で見せられたような気がしてしまった。

ドシャ降りの豪雨と焼けつく太陽の生々しい陽光の下で繰り広げられる人間模様もまた実に生々しかった。

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用心棒

Ph_s 出演:三船敏郎、仲代達矢、山田五十鈴、東野英治郎、加東大介、志村喬、藤原釜足

監督:脚本:黒澤明

(1961年・東宝・110分)NHK-BS

評価★★★★☆/85点

内容:2人の親分が縄張り争いを続ける宿場町に、桑畑三十郎と名乗る浪人がやって来た。男は両方の親分に自分を売り込み、高く買ってくれた方に用心棒として味方につくと持ちかける。浪人は、腕も立つが頭もよく切れる男で、巧みな策略で双方を戦わせていくが・・・。アクションの切れ味に加え、ユーモアたっぷりの黒澤演出が冴えわたる娯楽活劇。

“傑物黒澤と怪物三船が暴れまくる娯楽劇。これを見ずしていつ死ねる!”

日米安保問題など激しい政治闘争が渦巻き、やがてカラーテレビ放送など経済成長への端緒を開いた節目となった時代、世の中のパッションがそのまま反映された映画は数多い。

日本映画が最も輝いていた時代だ。

その中でもこの「用心棒」は、娯楽性という面で翌年公開の続編「椿三十郎」とならんで珠玉の中の珠玉ともいえる一本だ。

砂じん吹きすさぶ中、悠然と立ち構える三船敏郎、イギリス製のマフラーを首に巻きつけ拳銃を携えた、いったいどこぞの時代やねんという仲代達矢、棺おけ担いでそそくさそそくさ東野英治郎、アホ丸出しの剛力男・加東大介、紅一点の司葉子、そしてどこまでもヘッピリ腰なヤクザたち。

このメンツでルパン3世撮れるだろ(笑)。

それくらい魅力的なキャラクターたちが入り乱れるシマ争いは、ユーモアも満点、しかし命がけ・・・。

高見の見物を決めこむ三十郎が物見はしごを降りて地上に降り立ったとき、一陣の風の中、怪物の疾風怒濤の大立ち回りのもと、辺りは地獄絵図と化す。

拳銃を向ける卯之助(仲代達矢)にズッズッと近寄っていく三十郎(三船)の凄みたるや、思わず卯之助が躊躇して後ずさりしてしまうのも分かるほどのリアリティが画面から伝わってくる。

このシーンを観る側に力づくで納得させてしまうこの映画は、やはり正真正銘のホンモノだと言うほかない。

一度斬っただけでは人は死なないということから生まれた衝撃の2度斬り3度斬りの殺陣、そしてドスッバツッという効果音。舞い上がる砂じんには砂以外に塩ときな粉が混ぜられていたという演出の凝りよう。

伸び伸びと楽しんで撮ったと黒澤は語っているが、役者は相当に大変だったようだ。

暴れるだけ暴れまわったあげく、「あばよ!」と捨て台詞を残して後片付けもせずにさっさと町を去っていく三十郎の後ろ姿は、これが娯楽だ!見たかお前ら!と言わんばかりのやりきった黒澤明の颯爽とした自信の表れとダブって見えてしまう気がしてならない。

傑物黒澤と怪物三船が暴れまくる娯楽劇。これを見ずしていつ死ねる!

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姿三四郎(1943年・東宝・97分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:藤田進、大河内傳次郎、月形龍之介、志村喬、轟夕起子

 内容:明治15年、修道館・矢野正五郎の闇討ちで柔術と柔道の闘いに直面した三四郎は、柔道に誠実な矢野の門下生となった。己の力量に慢心する三四郎は矢野の教えを受け、心身共により鍛えられていく。様々な対戦者に打ち勝った三四郎は、柔術派の檜垣の挑戦を受け、右京ヶ原の決闘に挑む。。原作の出版広告を見た黒澤が自ら企画、脚色した監督デビュー作で、同じ年にデビューした木下恵介と並んで、優れた新人監督に贈られる山中貞雄賞を同時受賞した。

評価★★★★/75点

“笑撃の黒澤柔道ダンス”

柔道とは思えない、まるでジャパニーズ・ダンスと呼んだ方がしっくりくるようなダイナミックさにまずは度肝を抜かれるというか、それはもう漫画の世界で思わず笑っちゃうくらいなんだけど、黒澤映画が黒澤映画たるゆえんの「面白い映画を作るんだ!」という意気込みや躍動感が作風としてすでにデビュー作から感じられるというのは正直驚いた。

黒澤明は最初っから黒澤明だったんだ。やっぱスゴイ監督さんなんだな。

お寺の境内に上がっていく石階段で、ヒロインの娘の下駄の鼻緒を三四郎が手ぬぐいですげ替えてあげるシーンのカット転換のなんと美しいことよ。藤田進と轟夕起子の淡い恋はなんともカビの生えたような古風な恋愛劇だったけど、あのシーンはホレボレしちゃった。

間の作り方が恐ろしいほど巧いんだよなぁ。

そして、敵役の月形龍之介の洋装風のシャレた出で立ちは後の黒澤映画でおなじみの悪役、仲代達矢にもつながると思うんだけど、ラストの右京ヶ原の対決なんかも黒澤映画の原点を見ているようで見ていて興奮してしまった。

強風吹きすさぶ中、駆けるように流れる白い雲と揺れ動くようにさんざめくススキ野の群れ、そこに睨み合いながら佇む2人の男。ビリビリと震えがくるようなシーン、、、監督1作目で撮れねぇよフツー。。しかも戦時中だってさ。

黒澤明、、、神っス。

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続姿三四郎(1945年・日本・83分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:藤田進、月形龍之介、河野秋武、轟夕起子、森雅之、大河内傳次郎

 内容:前作で檜垣源之助を倒した三四郎に、今度は檜垣の弟で復讐に燃える空手家・鉄心&源三郎兄弟が牙をむく!

評価★★★/65点

“弟、、、怖っ。。”

公開が昭和20年4月ということらしいけど、東京大空襲の翌月に映画なんて観れたのかという疑問はさておき、雨あられと降り注ぐ爆撃の中でこういう娯楽映画を作ってしまう黒澤はやはり初めっからただ者ではなかったということなのだろう。

アメリカ人ボクサーとの異種格闘技戦、そして空手の使い手である檜垣鉄心・源三郎兄弟との決闘など画面の荒さはあるものの見応えのあるシーンがつづくし、前作で三四郎が打ち破り病床のふちにある檜垣源之助と三四郎、小夜との哀しい三角関係のシーンも非常に印象に残る。

また、能装束を纏った言葉を発しない源三郎の造型はモノクロ画面の中ではかなり不気味で、一方、鉄心の方は江頭2:50とオッパッピーを掛け合わせたような動きでこれまたかなり滑稽で、それを考えると、もっと檜垣兄弟をクローズアップさせてほしかった気もする。

しかし、、あのご時世にどうやってあんなに外人集めたんだろ。。

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どですかでん(1970年・東宝・126分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:頭師佳孝、伴淳三郎、井川比佐志、田中邦衛、三波伸介、渡辺篤、三谷昇

 内容:電車バカの六ちゃんは、毎日、電車の走る音を「どですかでん」と口マネしながら、町内を回っている。六ちゃんの住む集落には、暗い過去を背負ったり、苦しい現在に打ちのめされ悩んだりしながらも、優しい心を持って懸命に生きている人たちがたくさん住んでいた・・・。黒澤映画初のカラー作品。

評価★/20点

日本はもとより、世界に通用する映画を世に送り出そうと結成された四騎の会の企画作品がこれかよ。。何も言葉が浮かんで来ん・・・。

夢のシネマパラダイス7番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.2

天国と地獄

Kurop22 出演:三船敏郎、山崎努、仲代達矢、香川京子

監督:黒澤明

(1963年・東宝・黒澤プロ・143分)並木座リバイバル上映

評価★★★★★/100点

内容:横浜の高台に豪邸を構える勢靴会社の重役権藤の子供と間違えられ、あろうことか権藤のお抱え運転手の子供が誘拐されてしまう。権藤は悩みぬいた末に3000万円の身代金を払い、子供を救い出す。やがて、警察の捜査線上にある一人の青年が浮かび上がってくるのだった・・・。エド・マクべインの「キングの身代金」が原作。新幹線を借り切って撮影された現金受け渡しのシークエンスは有名で、これを模倣したと思われる誘拐事件が実際に起きるなど、さまざまな反響を呼んだ傑作。

“こらーーそこのもがき苦しんでる女ーッ、トタンの壁をキリキリかきむしるなーーッ”

ホントにやめてくださいよ。マジで。耳に残るんだから・・・。

といってもあのドヤ街はスゴイ。梶原一騎もビックリだ。

さらに山崎努の無表情の踊りはスゴイ。オイラは爆笑だ。緊迫場面であれはないでしょホント。今でも笑いがこみ上げてくるっつーに。

しかし医者を目指そうという男がああいう事件を起こすのかねえ。。

権藤の息子が似てるってのもオカシな話だし。権藤の奥さんも見分けがつかないっていうのは、もう双子としか考えられない・・・はっ!ま、まさか・・・そういうことだったのか・・・。

(ここからはオイラの妄想です。。)

け、警部。権藤はEDだったんですよ。満たされない奥さんは愛人の青木と関係を持ち、身ごもったんです。

青木のことを愛していた奥さんは悩んだ。

しかし、身ごもっているのが双子だということが分かり、彼女は決意するのです。

彼女は権藤に妊娠を打ち明ける。

不思議に思いながらも喜ぶ権藤。

彼はまさか双子とは思いもよらない。青木もまたしかり。

つまり、生まれてきた子供のうち一人は権藤の息子として、もう一人は青木の息子として育てられてきたのです。

そして、青木とその息子真一くんと一緒にいたい奥さんは青木を運転手として雇い入れた・・・真相は奥さんのみが知る。

金を出すことを渋る権藤をまさに悲壮ともいえる執着をもって説得する奥さんの行動もこれで理解できる。

警部、この双子の行く末こそまさに天国と地獄なのでは。

いかがです、警部。

仲代警部「・・・・・。」

黒澤先生ゴメンなさ~い。もう賞賛され尽くしているので、わたくし何も言うことがございません。このような妄想で話を広げることしかできませんですた。。。

でも凄いんです、この映画はホントに。

実は実際のロケ地を見ると、権藤邸の方が、下町よりも下の方にあるという恐るべき事実をテレビを見て知り、注意してみたんですが、、、上に建ってるように見えるーーーッ。

く、く、黒澤天皇は現人神だったんじゃーー。合掌。

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悪い奴ほどよく眠る(1960年・東宝・150分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:三船敏郎、森雅之、志村喬、三橋達也、香川京子

 内容:汚職事件の犠牲となった父の仇を討つべく、その遺児が悪徳政治家に復讐していく姿を描いた黒澤プロの第1回作品。

評価★★★/55点

予想のつかない展開に持っていったのはそれなりに引き込まれるが、なんつーか1つ1つのプロットに土台無理がある。新築の家を建てたのはいいが、そこかしこから雨漏りしちゃってます、、この映画は。

もうちょっと重厚なものを期待していたのだけど、昭和初期の少年探偵物でも読んでるような稚拙さには思わず失笑・・・。

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素晴らしき日曜日(1947年・東宝・108分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:沼崎勲、中北千枝子

 内容:雨の日曜日、恋人同士の勇造と昌子は敗戦直後の焼け跡がまだ残る街へ出かける。持ち金はたったの35円。やがて2人は無人の野外音楽堂へ歩を進める。そして、聴き損なった交響曲コンサートを始めようと勇造は舞台に立ち、昌子は幻の観客に向かって自分たちへの拍手を求めるのだった・・・。D・W・グリフィス監督の「恋と馬鈴薯」に触発された黒澤監督が、当時無名だった2人を主役に、隠し撮りを多用して仕上げた一品。

評価★★/40点

“この2人にはついて行けません、、黒澤先生”

これが戦争が終わって、復興の礎を築こうとしている古き良き時代の恋人のあるべき日曜日の姿なの?思わず笑っちゃったんですけど・・。

特に後半。これはもう喜劇です。

おそらくあのご婦人はいまだ処女。接吻さえ頑なに拒否する貞節なご婦人。古き良き時代のよくある設定。

が、男の方は欲求不満。まぁそうやろ。

前半は浮浪児と良家のボンボンの対比や、動物園で男が豚などの動物をブルジョアに例えて風刺する場面など、一見すると社会批評はたまたいざ立ち上がらんプロレタリア青年、、といきたいところだが、この男その気配もなく、戦争帰りとはいえ鬱々としていてやる気もない。

後半、その謎が解ける。

なんだ、欲求不満なんじゃん・・・(笑)。

男が住む下宿屋でご婦人に迫る男。下宿屋を飛び出していくご婦人。が、戻ってきて服を脱ごうとして泣き崩れるご婦人。と、なんと彼女ににじり寄って一緒にすすり泣くバカ男。

な、なぜ泣くこの男はーー。オイラも泣かなきゃいけんのかい・・・。ムリだっつうの。

結局何も起こらず、2人でまた外に出て行く。

そして満月の夜。月に向かって“まんまるお月さま”をオペラ調で歌う男。ここでブランコに乗ってるのは「生きる」(1952)につながってるのかしら。

とはいえ、ちょっとおかしくなってる男。

そして午前中のデートで交響曲の演奏会を見ることができなかった2人は闇夜で誰もいない野外音楽堂へ。

何するかと思いきや、「僕が指揮者になる。君は観客。必ず未完成交響曲が聴こえてくるよ!」と男が言う始末。聴こえるわけないやんと思いつつ半ば男に圧倒されて頷くご婦人。意気揚々と指揮者になりきろうとする男。が、しかしあえなく崩れ落ちる男、、、「ぼ、僕にはできない。」(テレビの前で爆笑するオイラhappy02

ご婦人のもとへうなだれて来る男。指をくわえて悔しがるご婦人。「あなたならできるわ!」(腹抱えて笑っているオイラhappy02

やる気を出す男。半狂乱で指揮棒を振り上げる男。

と、ご婦人も幻聴で頭がおかしくなり男のもとに走り寄り、接吻heart04

その後、駅での別れ際。「また来週の日曜日ねんlovely」とご婦人。妙に艶かしい目つき。

来週ヤッタるぞーーッと意気込む男。(まだ笑いが治まらないオイラ)

チャンチャン。満月の夜は何かが起こる、、、黒澤先生どう観ればよろしいのですかーーー。。。

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酔いどれ天使

Kurop07 出演:志村喬、三船敏郎、山本礼三郎

監督:黒澤明

(1948年・東宝・98分)DVD

内容:闇市の住人を診療する酔いどれの医者真田は、顔役・松永の銃傷を治療して以来、彼の肺病の心配をするようになる。松永の病は進行していたが、彼は真田の忠告を受け入れようとしない。しかし、兄貴分の岡田が出所した頃には、松永は極道の世界は空しいものだと認め始めるのだった・・・。

評価★★★☆/70点

「結核ほど理性のいる病はない。」

口酸っぱく志村喬が仰せになっているが、薬用のアルコールを水で薄めてまで飲むオッサンに言われたくねーよ。と思いつつ三船敏郎演じる松永を見てるとまさに言い得て妙なわけで。

とにかく三船敏郎の存在感が凄い。たしかこれが映画出演2作目、しかも初主役。いやはや驚く。

特に兄貴分・岡田との鬼気迫る格闘シーンは見もの。

鈍い光を放つナイフ。生への執着。白いペンキ。生きるか、死ぬか。ドロドロとした渇望。だって死にたくねーーもん俺ぁよーという切実な息遣い。

「羅生門」(1950)での森雅之との格闘とともに必見のシーンだろう。

本物の悪には染まっていない、すなわち理性がまだ僅かに残っていた松永。そういう中途半端さというかある種の悲哀がうまく表現されていたし、それを引き出した志村喬がまたイイ!

松永に幾度となく引っぱたかれながらも奴等と対等以上に我を通すオッサン。

やはり黒澤―三船―志村。セットで真の黒澤映画なのだな、と自分で納得。

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野良犬(1949年・東宝・122分)NHK-BS

 監督:黒澤明

 出演:三船敏郎、志村喬、淡路恵子

 内容:上着のポケットに拳銃を無造作に入れたままバスに乗っていた刑事の村上は、そのバスの中で拳銃を盗まれてしまう。必死になって拳銃を探す村上、だがしかしその盗まれた拳銃が使用された強盗事件が発生してしまう・・・。拳銃を盗まれてしまった若い刑事が必死に犯人を追う姿を描いたサスペンス。

評価★★★★/80点

“みんな野良犬だった。あの時代を生き抜くために。そしてときに野良犬は狂犬になる。”

冒頭、野良犬の顔。

鋭くささくれ立った眼光。口から這い出すザラザラした赤い舌。獲物を嗅ぎ分けるヒクヒク動いている鼻。むさ苦しい呼吸。いつ襲ってくるともしれない危険な臭い。

この冒頭から一気に引き込まれてしまう。

そして、東京の雑踏。飯を必死でむさぼりガッツキ食う人々。うだるような暑さ。村上の目。犬小屋並みのバラック小屋。密閉空間にひしめき合う人々。じわじわと滲み出る汗。虚ろな目で無心に呼吸する踊り子たち。

凄まじいまでの東京の風景。こいつらたしかに野良犬だ。

みんな生きるのに必死なのだ。

恐ろしいまでの黒澤の観察眼にただただ唖然とするばかり。

しかし、その中で登場人物でただ一人だけ浮いている男がいる。奥さんと3人の子供、くつろげる家。志村喬演ずる佐藤警部、彼だけがいわば正常といえよう。

映画の中におけるその絶妙な配置とバランス。

村上だけではこの作品は成り立たなかったのは言うまでもない。

しかし、村上という男はホントに野良犬だ。なにせ、あいつから吐かせるまで食いついて離れません!と怒り狂った土佐犬あるいはドーベルマンのような顔つきで言われちゃあね・・bearing

佐藤警部と行動をともにするうちにだんだん飼い馴らされていくとはいっても、やはり戦争に行き復員してきた村上とそうではない佐藤との世代間対立といったものも浮き出てきて興味深かった。そういった社会背景までも取り込むこの映画はやはりスゴイ!

夢のシネマパラダイス11番シアター:世界の黒澤シネマスタイルズvol.5

赤ひげ

Kurop23 出演:三船敏郎、加山雄三、山崎努、団令子、桑野みゆき、香川京子、内藤洋子

監督・脚本:黒澤明

(1965年・東宝・185分)NHK-BS

評価★★★★★/95点

内容:江戸の小石川療養所の医師、赤ひげの破天荒だが慈愛にあふれる生き様を、あるエリート青年医師の目を通して描くヒューマニズム巨編。「病気の原因は社会の貧困と無知によるもので、これには治療法がない」というのが口癖の赤ひげだが、それでも人の命を救うため黙々と働き続ける。その姿に、最初は彼に反発していた青年医師だが、次第にエリート意識を捨てて敬意を抱くようになる。黒澤絶頂期の大力作。

“映画の8割は人間の悲しみと不幸で溢れている。しかし、映画を観終わった後は自分の心の中が希望と嬉しさと幸せであふれ返っている。この映画を通して自分も赤ひげ先生に心を診断されたようだ。”

身体を診断するのと同時に心も診断してしまう赤ひげ。

しかし、忘れてはならないのは、例えばおとよにしても彼女の悲しみ、傷、不幸はいくら赤ひげの手にかかっても完全に消し去ることはできないということだ。

家族もなく、12歳で売春させられていたおとよの悲しみと傷は一生消えることはない。

同じことは毒を飲んで一家心中したがなんとか生き残った小ねずみにもいえる。

家族で親兄弟話し合って死ぬことに決めたというのはあまりにもむごく残酷だ。

これらがいわば赤ひげの言うところの貧困と無知に対する闘い、貧困と無知が起こらなければ病気など起こらないということにつながるのだが、一方ではおとよ自身、小ねずみ(長坊だっけか)自身自分の力で生きていかなければならない。多少癒えはしても消え去ることはない悲しみと傷を背負って生きていかなければならない。

その自分自身で生きる力を取り戻す手助けを赤ひげ、そして保本は施していくわけだ。

そしてそこで重要なのがいかに相手と心を通わせ合うかということになるわけだが、この映画では保本の変化と成長を通してその過程を描いていく。

この映画の白眉はまさにここにあると思う。

長崎に留学していたエリート新人である保本。彼は療養所に来るまでは最新の西洋医学書にのみ頼ろうとしていたわけだが、赤ひげやおとよと接していくうちにだんだん変化をみせ、しまいには口調まで赤ひげと同じになっていく。

そこまでに至る描写が実に素晴らしい。

特に印象的なのが、蒔絵師のジイさんの臨終シーンから目を背け、ただ醜悪なものとしてしか見られなかった保本が、病人の人生における内に秘めた悲しみや不幸を知った時、臨終シーンが赤ひげの言っていたとおり荘厳に見えてくるところだ。

それはなにも病人に対する保本の同情がそのように見させたのではないだろう。

その病人がとてつもなく大きな悲しみ、不幸を抱いていてもなお生きていく力を今までしっかり持っていたという真の強さを認識したときに荘厳に見えたのだと思う。

だからこそ病人の苦痛や死のすさまじさから目をそらしてはいけないのだと赤ひげは言うのだと思う。

これはなにか現代にも通じるものがあると思う。

おとよの世話疲れから、また赤ひげに言わせれば“世の中”を急激に見たための知恵熱でぶっ倒れた保本。

そう、現代の世の中もいつも人間の不幸で覆われているではないか。

そして人生は喜びよりも悩み、苦しみの方が圧倒的に多い。それでもしかししっかり地に足をつけて生きていかなければならない。

別々のシーンで赤ひげと保本は同じことを言う。「わしは実にイヤなやつだ。下劣な男だ。」「わたしは実にダメなやつなんです。わたしは下劣なやつです。」と。しかしそれを分かっているからこそ、それでも療養所で医者として生きていく赤ひげとその決心をする保本。

この映画は時代劇という枠をかる~く超越してしまっている。

考えてみればこの映画、刀が出てこない。チャンバラシーンもない。赤ひげは素手で闘う。療養所のオバさんたちは刀のかわりに大根1本で女郎の頭をぶっ叩く。

相手は死なない。

医者も看護師も人を殺すことなどできるはずがないのだ。

だから刀など必要なかった。必要なのは言葉であり、現実を直視する目であり、無知と闘う頭であり、強さと優しさを併せ持つ心である。ようするにいっぱしの人間なのだ。

そして彼らは命の尊さ、真の力強さを知っている。

今の医者はどうだか知らないけど・・・(笑)。

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Kurop27 出演:仲代達矢、植木等、隆大介、原田美枝子、ピーター、寺尾聰、根津甚八

監督・脚本:黒澤明

(1985年・日/仏・162分)NHK-BS

内容:シェイクスピアの「リア王」を下敷きに、3本の矢の逸話で知られる毛利元就の3人の息子の物語を組み合わせて描いた戦国絵巻。70歳になる一文字家の領主・秀虎は、ある日、3人の息子に家督を譲り、城を1つずつ与えて引退すると告げた。真っ直ぐな性格の三男・三郎は父の弱気を批判し、その場で秀虎に追放される。一方、長男・太郎の正室・楓の方は、親兄弟を秀虎に滅ぼされ、略奪された形で嫁になったことから、長男を軽んじた秀虎の態度に不満を覚えていた・・・。

評価★★★★/75点

体裁としては、「蜘蛛巣城」(1957)のカラー版というかんじで、原田美枝子が山田五十鈴、仲代達矢が三船敏郎、盲目の野村萬斎が怪かしの妖婆といったふうにリンクしている。

また、映画のつくりも「蜘蛛巣城」と同じく演劇・舞台を意識した様式美で彩られており、アカデミー賞を受賞したワダ・エミの黄・赤・青・白を人物に当てはめて使った装飾衣装から、どこまでも果てしないロングショットに至るまでかなり徹底していて、むしろ「蜘蛛巣城」よりも静と死に深くこだわった作品になっているように思う。

黒澤映画の醍醐味が動と生にあることは誰も異論はないだろうが、このいつの世も繰り返される人間の悪行、そして安らぎよりも悲しみと苦しみを奪い合う人の世への無常観漂うレクイエムを自覚した今回の作品は、まさに壮大な舞台劇を見ている錯覚に陥ってしまう。

しかし、この壮観さがハンパないんだわ(笑)。

向こうの山の尾根に敵軍がズラリと並んでいるシーンや、燃えさかる城から仲代達矢が出てくるシーンなど、80年代死に体にあった日本映画界にあって巨匠黒澤の底力を見せつけられたような、そんなスゲェ映画だった。

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(1990年・日/米・121分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:寺尾聰、倍賞美津子、原田美枝子、いかりや長介、マーティン・スコセッシ、笠智衆

 内容:夢をモチーフにした8話の短編から成るオムニバスドラマ。日照り雨の日に狐の嫁入りを見てしまった5歳の“私”が主人公の第1話「日照り雨」を皮切りに、次第に成長していく私が見た「桃畑」、「雪あらし」、「トンネル」、「鴉」、「赤富士」、「鬼哭」、「水車のある村」の計8話から成る夢を、様々なスタイルで描きながら、文明社会への批判と自然とのかかわりの重要さが語られる。

評価★★★/60点

黒澤明の頭の中はいったいどうなってるのかと覗いてみたら、テリー・ギリアムやティム・バートン、デヴィッド・リンチ、クローネンバーグなどの混沌とした世界とは似ても似つかない理路整然とした夢で、あれれ、、てかんじ。。

しかもオチもなんにもないんだもん。ただの説教臭いメッセージの羅列になっちゃっててイマイチ楽しめず。

まぁ、このとき御年80歳のお爺さんだったことを考えると、こういう作りになるのもしゃあないのかなぁ。

でも、手榴弾くくりつけた犬=“犬死に”の暗喩とか、どぎつい赤富士と放射能汚染、動き出すゴッホの絵など随所に印象的な造型の具現化が見られるのもたしかで、これはこれでお見事な映画なのかもしれない。

ただ、1スジ(シナリオ)2ヌキ(映像)3ドウサ(演技)を重視するオイラとしては、2ヌキだけの映画ってのはどうもイマイチ、、ねぇ、、複雑。。。

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まあだだよ(1993年・東宝・134分)NHK-BS

 監督・脚本:黒澤明

 出演:松村達雄、香川京子、井川比佐志、所ジョージ、油井昌由樹、寺尾聰

 内容:随筆家・内田百閒とその門下生たちとの心の触れ合いを様々なエピソードで綴った黒澤明の遺作。昭和18年の春、百閒先生は作家活動に専念するため旧制高校を去ることを教え子たちに告げた。生徒たちは「仰げば尊し」を歌って敬愛する先生を送る。しかし退職後も先生と門下生の交流は続いていくのだった。

評価★★☆/50点

“正直、、「もういいよ。」って早く言ってほしかった・・・(笑)。”

夏目漱石門下の随筆家・内田百閒とその門下生との交流を、人情味オンリーで描ききった作品で、所ジョージや、若かりし頃から黒澤映画に出続けている香川京子の好演などほほ笑ましく見ていられる映画ではある。

、、、のだが、逆にこれが黒澤映画だと思って見ると途端にツマラなくなってしまうわけで・・・。

往年のダイナミックさもなければ「夢」などの絵画的美しさも見受けられず、社会風刺もなければゲージツ的でもない、そういう損得勘定の一切皆無な映画の中で、善人100%の師弟関係とドンチャン騒ぎ、、、正直気持ち悪いcatface、、もとい、こっ恥ずかしい。。

ツッコミ役のいない映画見るのがこれほどツライものだとは思わなかったわ・・・。

だからぁ、北海道から鹿児島まで各駅を暗誦してるオッサンに誰かツッコんでやれよ(笑)。気になってしかたなかった。

でも、先生だけは最後までちゃんと聞いてるんだよな。

優しい映画だ。しかも度を越した優しい映画だ・・・。ダウンタウンの松っちゃんが提供する優しさライセンスを無条件で差し上げたい気分です。

ようするに、、、映画としてイマイチ。。

でもでも、オイラにとっての映画のお師匠は黒澤先生にほかならず、これからも黒澤映画を見続けていこうと考えておるわけであります。黒澤映画ほど素晴らしい映画体験をすることはできないのだから。

オイラにとって黒澤明は「まあだだよ」なんだよね。

まだまだです。

2009年1月11日 (日)

夢のシネマパラダイス276番シアター:いまいち肌に合わない70s80s日本映画

赤頭巾ちゃん気をつけて(1970年・東宝・89分)NHK-BS

 監督・脚本:森谷司郎

 出演:岡田裕介、森和代、富川徹夫、中尾彬

 内容:東大入試の中止が発表された1969年の冬、名門日比谷高校の卒業を間近に控えた薫は、風邪をひくわ足の爪を剥がしちゃうわ愛犬まで死んじゃうわ、全くついていない1日を送るハメになる・・・。

評価★☆/30点

東大法学部を目指す受験生の会話ってああいうかんじなの??

「純粋に形而上学的な悩みで自殺したエンペドクレスが好きだ」とかなんとかって、、、おいおいそれがうら若き高校生の男女の会話かよ。。ついてけないわ・・・。

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夏の妹(1972年・日本・96分)NHK-BS

 監督・脚本:大島渚

 出演:栗田ひろみ、石橋正次、りりィ、小松方正

 内容:本土復帰直後の沖縄で撮影を行い、青春メロドラマのスタイルを借りながら、沖縄の感傷的で通俗的な幻想性を明らかにしようとした大島渚の異色作。一人の少女の視点を通じて、日本と沖縄の同化ではなく、“異化”を訴える。

評価★★☆/50点

妙に達観している大人たちにちょっと興ざめ。

まぁ、今ならDNAで済む話だが。。

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華麗なる一族(1974年・東宝・211分)WOWOW

 監督:山本薩夫

 出演:仲代達矢、京マチ子、佐分利信、月丘夢路、田宮二郎、二谷英明

 内容:富と権力をめぐる人間たちの野望と愛憎を描く社会派ドラマ。関西財界を牛耳る銀行頭取の万俵大介は、妻と2人の息子と暮らしながら、執事として同居する愛人の相子に家の実権を握らせ、息子たちとの相克は日常的なものになっていた。ある日、長男の鉄平が専務を務める製鋼会社が大介の銀行に融資を求めるが、大介は増資計画が甘いとこれを拒否する。が、この冷たい仕打ちには、鉄平は自分の子供ではなく、妻が自分の父に犯されたときにできた子供だと大介が思い込んでいるという背景があった・・・。

評価★★★/60点

近親相姦あり、3Pあり、何でもあり、見応えあり。

しかし、昼ドラにしてはもの凄い豪華キャストやなぁ。あ゛っ、昼ドラじゃないっけ・・(笑)。

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野性の証明

040701_aii_2 出演:高倉健、薬師丸ひろ子、中野良子、夏木勲、三國連太郎、舘ひろし

監督:佐藤純彌

(1978年・東映・143分)NHK-BS

評価★★/40点

内容:東北の寒村で大量虐殺事件が発生。唯一生き残った少女・長居頼子はショックから記憶喪失となっていたが、当時山中でサバイバル訓練を行っていた自衛隊員・味沢岳史に養女として引き取られることになる。退役した味沢は、地方都市・羽代市で保険外交員として頼子と平穏な生活を送っていたが、羽代市を牛耳っている大場総業会長の巨大な謀略に巻き込まれてしまう・・・。

“映画の作り手が全員揃いにそろって半狂乱している。”

バクテリアウイルスとやらに感染しているのは頼子(薬師丸ひろ子)の親父じゃなくて、監督をはじめとする映画の作り手じゃないのか!?

頼子は元祖貞子だし・・・。

みんなウイルスに感染して、ある者はランボーになってみたり、ある者は仁義なき闘い、またある者は華麗なる一族はたまた八つ墓村か、、、またある者はルパン3世の音楽かけてみたり、みんなめちゃくちゃな方向を向いちゃって錯乱状態のごっちゃごちゃ。

いいとこ取りを全部口の中に入れたあげく、のどに詰まらせて窒息死。。。

それでも映画になるんだということは一応証明されたけど。ある意味スゴイわ。

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蘇える金狼(1979年・東映・131分)WOWOW

 監督:村川透

 出演:松田優作、風吹ジュン、佐藤慶、成田三樹夫、小池朝雄、岩城滉一、千葉真一

 内容:浅倉哲也は表向きは平凡なサラリーマンだが、夜はボクシングジムで身体を鍛え、巨大資本乗っ取りを企むという別な顔を持っていた。ある日、現金輸送車を襲って得た1億円で麻薬を仕入れた浅倉は、上司の愛人である永井京子を麻薬漬けにして手なずけるが・・・。

評価★★★/60点

“サブリミナルのように一瞬キムタクの幻影が現れてどうにも・・・。”

食欲、性欲、物欲にまみれるトンでも男なのに、なんでこんなに男前でカッコええんやろ。もう男にとっての憧れ以外のなにものでもないわな。オッパイあんなに揉んじゃって・・・。ってそこかい!

しかし、メシほお張りながらSEXするのはやめろや(笑)。。

でもラスト、生命力の塊のような男の壮絶な死にざまの美学には恐怖すら感じちゃったね。やっぱ松田優作という役者さんはスゴかったんだなぁということを実感。

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オキナワの少年(1983年・東宝・117分)NHK-BS

 監督:新城卓

 出演:藤川一歩、内藤剛志、小野みゆき、岡田奈々、緒形拳

 内容:沖縄から集団就職で東京にやって来た、映画に情熱をかける一人の男の少年時代と、東京での青春時代を交錯させながら沖縄人としての葛藤を描く・・。

評価★☆/35点

おかしい。おかしいぞ、この映画。

沖縄県人はこれ観てうなずくのか?そうだとしたらオイラは沖縄についてまだ何も理解していないらしい。。

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優駿 ORACION(1988年・東宝・128分)WOWOW

 監督:杉田成道

 出演:斉藤由貴、緒形直人、吉岡秀隆、緒形拳、石橋凌、仲代達矢、田中邦衛

 内容:北海道静内町の牧場で父とともにサラブレッドを育てている博正は、日本一の競走馬を決める日本ダービーの制覇を夢見ていた。彼らが育てたサラブレッドの1頭は「オラシオン(祈り)」と名付けられ、東京の会社社長・和具のもとに引き取られることになる・・・。原作は宮本輝の同名小説。

評価★★/40点

「北の国から」の杉田成道が監督だっただけに期待したのだけど、原作読む気が失せるほど魅力に乏しい出来でガックリ。

やっぱ北海道が舞台のシナリオは倉本聰か山田洋次じゃなきゃダメやな(笑)。。

2009年1月 8日 (木)

夢のシネマパラダイス222番シアター:ユージュアル・サスペクツ/ダマされる快感

Pya03_2 出演:ガブリエル・バーン、ケヴィン・スペイシー、スティーヴン・ボールドウィン、チャズ・パルミンテリ、ケヴィン・ポラック、ピート・ポスルスウェイト、ベニチオ・デル・トロ

監督:ブライアン・シンガー

(1995年・アメリカ・105分)

評価★★★★★/100点

内容:コカイン密輸事件の陰で集められた5人の犯罪者たちと、それを追う捜査官の姿を描いたクライム・ミステリー。ある夜、コカイン取引き現場の貨物船が大爆発し、27人が死亡、大量のコカインと9100万ドルが消えるという事件が起きた。捜査官のクイヤンは、現場でただ1人生き残ったヴァーバルを尋問。ヴァーバルは、事件の黒幕が伝説のギャング、カイザー・ソゼで、彼が襲撃の実行犯として5人の犯罪者を集めたと語り始める・・・。

“映画を観つづけていく指標”

映画が好きになる端緒になったのが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「インディ・ジョーンズ」であるとすれば、週1必ずレンタル屋に行くルーティンワークを定着させるきっかけになったのが「ゴッドファーザー」(1972)と「スティング」(1973)だ。

そして映画なしでは生きられない体質にさせてしまった映画が、この「ユージュアル・サスペクツ」なのだ。

当時高校生だったオイラは、この映画を観終わるやいなや親や友達、恋人にあたりかまわず薦めて、一緒に観て驚愕のラストの反応を脇で眺め、そうだろそうだろスゲェだろ、と一人ニヤケていたのを今でも覚えているんだけど(笑)。

とにかく誰かにこの興奮を伝えたくて伝えたくてタマらなくなった最初の映画でもあったわけで、間違いなく自分の中で殿堂入りしている映画といっていい。

二転三転するプロット、ドッヒェーsign01と驚くどんでん返しのラスト、そしてそれとともにドミノ倒しのごとくそれまでの伏線や暗示が一気に答えにつながるカタルシスと快感を味わえるという点では、「スティング」の系譜に連なる映画といえるけど、この「ユージュアル・サスペクツ」が映画史に残る1回限りの大ウソにダマされる快感であるとすれば、ちょうど同時期に公開された「セブン」では、あまりにも理不尽な絶望のラストが同じケヴィン・スペイシーによってもたらされることになる。

さらに「ゲーム」(1997)における全く先の読めない展開と、開いた口がふさがらなかった幸福のどんでん返し、そして「シックス・センス」(1999)のトンでもない秘密と系譜は続いていくわけだけど、「ユージュアル・サスペクツ」ほど純粋にダマされた、シマッタァァ、、と思った作品はない。

たぶんこういう映画にまた出会いたいがために、オイラはこれからも映画を観つづけていくのだと思う。

カイザー・ソゼに再び出会うために・・・。

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スティング

20051003220003 出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ロバート・ショウ、チャールズ・ダーニング

監督:ジョージ・ロイ・ヒル

(1973年・アメリカ・129分)

評価★★★★★/100点

内容:「明日に向って撃て!」の監督・主演トリオが再び組み、アカデミー作品・監督賞など7部門を獲得。全体を7章に分け、それぞれに本の扉のようなタイトルを挿入したクラシカルな構成、当時のファッションを念入りに再現した衣装デザイン、ラグタイムピアノをアレンジした音楽など、古き良き時代の雰囲気に満ちたノスタルジックなスタイルが特色の娯楽映画の傑作。

シカゴの下町を根城にケチな詐欺を働いていたフッカーら3人組のチンピラは、大組織の手下と知らずに1人の男をカモって大金を手にする。怒った組織はリーダー格のルーサーを殺害。ルーサーの親友ゴンドーフを頼ったフッカーは、ルーサーを殺したのが大親分のロネガンだと知るやゴンドーフとともに復讐を計画する。ゴンドーフは昔の詐欺仲間を集め、競馬のインチキノミ屋を開いてロネガンから50万ドルをだまし取る計画を練る。。。

“とどめの一撃!ヤラれた!イッた!ヌケる!鮮烈!快感!失神!オシャレな最強絶頂計画全7コース(前説付き)3800円!レンタル体験コースも実施中!”

ダマされたと思ってご購入下さい。

なんてったって映画というものにのめり込むきっかけになったのがこの作品ですから。

「スティング」と「ゴッドファーザー」。

オイラの生涯ベスト1です。

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(おまけ)

レインディア・ゲーム(2000年・アメリカ・104分)WOWOW

 監督:ジョン・フランケンハイマー

 出演:ベン・アフレック、ゲイリー・シニーズ、シャーリズ・セロン

 内容:クリスマスに起こったカジノ襲撃事件。犯人は射殺されたが、全員が殺されたわけではなかった。生き残ったのは3人。いったい誰が誰を欺き、誰と誰が憎みあっているのか?複雑に絡み合う人間関係とドラマが繰り広げられるサスペンス。

評価★★/40点

何なんだこれは。。出てくる奴みんな低脳。コメディとしても見れないという救いようの無さ。

ヌードになる価値があるのかいシャーリズさんよ・・。

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コンフィデンス(2003年・アメリカ・97分)WOWOW

 監督:ジェームズ・フォーリー

 出演:エドワード・バーンズ、レイチェル・ワイズ、アンディ・ガルシア、ダスティン・ホフマン

 内容:詐欺師のジェイクが奪った金は、暗黒街の大物キングのものだった。ジェイクは穴埋めのため別の詐欺計画を練るが、新たに女スリ師やFBI捜査官も登場し、二転三転の騙し合いが始まる・・・。

評価★★/40点

詐欺というかパクリというか盗用というか三番煎じというか盗作というか、、、ようするに訴えたら勝てるんちゃう。「スティング」からのまんま盗用だろこれって(笑)。

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パーフェクト・ストレンジャー(2007年・アメリカ・110分)CS

 監督:ジェームズ・フォーリー

 出演:ハル・ベリー、ブルース・ウィリス、ジョヴァンニ・リビシ、ゲイリー・ドゥーダン

 内容:毒薬で殺害された幼なじみのグレースの殺人事件を追う女性記者のロウィーナ。彼女は、グレースが出会い系サイトで知り合った広告業界の大物ハリソン・ヒルと不倫関係にあったことから、ヒルに疑いの目を向けるが・・・。

評価★★★/60点

<ラスト7分11秒、衝撃の事実にあなたは絶対ダマされる>というキャッチコピーからして胡散臭いものがあるけど(笑)、微に入り細をうがつような伏線を描いてこそ、その強弁も生きてくるだろうに、故意にそれを描かない中で豪語するんだから、ただのタチの悪い誇大広告でしかない。

たしかにラスト7分11秒までは真相が分からないんだけど、何度も言うようだけど、これといった伏線を描かないのだから当たり前なわけで、そんな中でネタばらしされても何のダマされた感も沸かないし、ただストーリーを追うことしかできない映画としか言いようがないっしょ。

そこに何の面白味も見出すことができない中で、ハル・ベリーのお色気しか印象に残らないという・・。まぁ、その目の保養にプラス1点なんだけど(笑)。

2009年1月 7日 (水)

夢のシネマパラダイス13番シアター:のだめカンタービレを探せ!

アマデウス

Ama 出演:F・マーレイ・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ

監督:ミロス・フォアマン

(1984年・アメリカ・160分)NHK-BS

評価★★★★★/100点

内容:1823年冬、ウィーンの精神病院で、かつてオーストリア皇帝ヨーゼフ2世の宮廷に仕えていた作曲家のアントニオ・サリエリは、「モーツァルトを殺したのは私だ」と意外な告白を始める。その昔、天才を鼻にかけて傍若無人に振る舞う下卑た青年のモーツァルトと宮廷で出会ったサリエリは、彼の才能への嫉妬から、モーツァルトに対して復讐を開始する・・・。35歳の若さでこの世を去った天才作曲家モーツァルトの死の謎に迫ったピーター・シェーファーの戯曲の映画化。アカデミー作品賞をはじめ8部門を獲得した。

“映画の聖典に挙げてもいいくらいの傑作。”

憧れ、祈り、失望、嫉妬、憎しみ、怒り、呪い、羨望、偏愛、歓喜、後悔、、、およそ人間が持つ根源的な感情と逃れられないサガと弱さを、重厚な美術と軽妙洒脱な旋律とけたたましい高笑いにのせてスクリーンという名の五線譜の上で奏でていく超一級娯楽作品。

要らない音符や小節はひとつもない完璧な作品である。

また、神への帰依から復讐、裏切り、そして贖罪へと続いていく宗教色の強い演出スタイルも映画に重みを与えていて良い。

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神童

T0005109 出演:成海璃子、松山ケンイチ、手塚理美、甲本雅裕、西島秀俊、貫地谷しほり、吉田日出子、柄本明

監督:萩生田宏治

(2006年・日本・120分)WOWOW

評価★★★★/80点

内容:13歳の中学生・成瀬うたは、周りから神童と呼ばれるくらいのピアノの天才少女。が、学校では球技禁止、いつも手袋着用という生活に息苦しさを覚え、ピアノも好きかどうか分からなくなっていた。そんなうたは、ある日、音大を目指して浪人中の和音(ワオ)と出会う・・・。

“神童成海璃子に垂涎sweat02

まずもって落ちこぼれ音大生のワオ(松山ケンイチ)の出すピアノの音色と、天才少女うた(成海璃子)の出す音色に明らかな違いがあった(と感じた)ところで、この映画に一気に引き込まれてしまった感が強い。

さらにその音色が、朴訥で愚直なワオと13歳にして完成された才を持つがゆえの孤独を内に抱えるうたという人物キャラクターにも繋がっていて、ストーリーに十分な説得力をもたせていたと思う。

とにかく耳に流れてくるクラシックの旋律がとても心地良く、ラストのワオとうたの連弾も何か映画が終わってほしくないというような深い余韻を与えてくれた。

そして、やっぱりなによりも成海璃子の当時14歳だったとは到底見えない存在感たっぷりの神童ぶりには驚かされる。

14歳の初主演がこれってどうよ(笑)。

宮沢りえの14歳の時と比べたりしても、ちょっと図抜けているというか。早熟の天才で終わることはまずないだろうけど、今後の出演作選びも含めて目が離せない女優さんだと思う。

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ミュージック・オブ・ハート(2000年・アメリカ・123分)DVD

 監督:ウェス・クレイブン

 出演:メリル・ストリープ、アンジェラ・バセット、アイダン・クイン、グロリア・エステファン

 内容:ハーレムにやって来たバイオリン教師のロベルタは、人種も個性も違う子供たちに音楽と触れ合う喜びを教えていく。しかし、市の教育委員会からの資金が打ち切られ、教室は存続の危機に・・・。

評価★★★/65点

“実話を映画化する難しさなのか。観る側の心が離れていく寸でのところで必死につかまってしがみついてくる。。”

へぇ~~弓って馬の尾毛でできてるのかぁ。初めて知った、、というトリビアは置いといて、肝心の映画はそれなりに感動はできる。それなりに・・。

というのも、実話ゆえの難しさなのか、1つ1つのプロットに掘り下げがない。それだけで完結してしまってるんだよね。

ただの事実の羅列にしかなっていない。先生の家庭での生活と教室風景を交互交互に羅列してるだけ。

そんでいつの間にか上手くなってるんだよなぁ、あいつらのバイオリンnotes

はっきりいって映画としては旨味に欠けるといわざるを得ないと思うけど、メリル・ストリープほか出演者とバイオリン、そして財団に与して許しまひょ。

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ドラムライン(2002年・アメリカ・119分)DVD

 監督:チャールズ・ストーン3世

 出演:ニック・キャノン、オーランド・ジョーンズ、ゾーイ・サルダナ、レナード・ロバーツ

 内容:音楽プロデューサー、ダラス・オースティンの実体験を下敷きにした青春ドラマ。スポーツ競技のハーフタイムにパフォーマンスを行うマーチングバンドを題材に、大学の名門バンドに入部した天才ドラマーの挫折と成長を描く。NYのハーレム出身のデヴォンは、アトランタAT&T大学のマーチングバンドのリー監督にドラマーとしての才能を見出され入学する。が、その勝ち気で自信過剰な性格から次々と衝突を繰り返してしまう・・・。

評価★★★☆/70点

“青森ねぶたと盛岡さんさ踊りで殴りこみをかけたい気分!”

勝つ自身はあるで(笑)!

映画としては、このての映画の定型的なリズムから決して逸脱しないありふれたものだったけどね。

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五線譜のラブレター(2004年・アメリカ・125分)WOWOW

 監督:アーウィン・ウィンクラー

 出演:ケビン・クライン、アシュレイ・ジャッド、ジョナサン・プライス、ケビン・マクナリー

 内容:実在の作曲家コール・ポーターの人生を、彼を支えた妻の愛と音楽で綴る。始まりは1920年代のパリ。ポーターはリンダと出会い、やがて結婚。世に数々の名曲を送り出していく。ナタリー・コールやエルヴィス・コステロらミュージシャンが多数出演。

評価★★☆/50点

全く同じテンポと形式の繰り返しからなるこの映画は、まるでどこまでも交わることのない5本一組の等間隔な五線譜のようにきっちりしすぎている。

しかも、そこにはリズムとアクセントというものが全く書きこまれていないのだ・・・。

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歓びを歌にのせて(2004年・スウェーデン・132分)DVD

 監督・脚本:ケイ・ポラック

 出演:ミカエル・ニュクビスト、フリーダ・ハルグレン、ヘレン・ヒョホルム

 内容:世界的な名声を得る天才指揮者ダニエルは、しかし、想像を絶するプレッシャーと過酷なスケジュールのため、心身ともに限界に達していた。そんなある日の演奏中にブッ倒れてしまった彼は、第一線から退くことを決断し、幼年期を過ごした北部の小さな村に移り住むことに。が、やがて地元の聖歌隊を指導してほしいと頼まれて・・・。

評価★★★★/80点

“ハリウッドだったら絶対ありえないであろうまさかの結末になんか消化不良なかんじも・・・。”

ハッピーエンドで終わらせてほしかったなぁというのが本音だけど、ああいう結末だったからこそラストの大合唱が映画史上屈指の名シーンになりえたのかもね。しかし、、、ステージに上がる前に意気揚々とサイクリングして心臓に負担かけるバカがどこにいる(笑)。

あと、スウェーデンだけあって、脱ぎっぷりはさすがだったねlovely

っと、冗談はさておき、純粋に良い映画だったと思います。ハイ。

登場人物がみんな不器用なせいもあって、映画そのものもどこか不器用なかんじは否めなかったけれども、映画が奏でる旋律は真っ直ぐに伝わってまいりますた。素直な良い映画です。

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