2009年11月24日 (火)

夢のシネマパラダイス351番シアター:座頭市

ICHI

Ichi003 出演:綾瀬はるか、中村獅童、窪塚洋介、柄本明、竹内力、大沢たかお

監督:曽利文彦

(2008年・日本・120分)CS

内容:市は瞽女(こぜ)と呼ばれる盲目の女芸人として旅を続ける身。ある日、チンピラに絡まれた彼女を旅の浪人・藤平十馬が助けに入るが、刀を抜けない十馬を尻目に市はやすやすと5人を斬り捨ててみせる。やがて、2人は美藤の宿場町にたどり着くが、そこは野盗の頭目・万鬼がのさばる町だった・・・。

評価★★☆/50点

天然おトボケ役が板についてきた綾瀬はるかだけど、能面のようなサイボーグ役なり今回の心を閉ざした盲目の女性といった役だと無駄な動きが省かれて、彼女の本来持つ美しさが際立って見えて逆にイイかんじ。

あっ、綾瀬はるかってめっちゃ美人だったんだ・・・lovelyって当たり前や!

でも今回はマジにカッコ良かったし、逆手居合い斬りでズバッと斬られたいとさえ思ったわなww。。

けど、見所はそこだけで、肝心のドラマが文字通り盲目の薄っぺらなのがなんとも・・。

例えば、かつて剣術指南役をつとめるほどの才量の持ち主だったのに、顔にひどい火傷を負ったがために化け物扱いされてしまった万鬼(中村獅童)が、市を見て自分と同じ決して癒されない悲しみを抱えた者の暗い闇を感じ取るわけだけど、そこを言葉だけで匂わせるだけで形としてそれを表わすことをしない点などは、なんでこんなオイシイところに目をつぶるんだ、、、とガッカリしちゃった。

それでいて「砂の器」のようなお涙頂戴の描写を上っ面に挿し込んでくる始末。

まぁ、このてのアイドルアクションとしては正しいひな形なんだろうけど、人間ドラマとしてはかなり中途半端だったなと。殺陣は良かっただけにねぇ。。

市が女性というせっかくの設定がドラマに昇華されていかないもどかしさばかりが気になる残念な映画でございますた。。

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座頭市

Zatoichi 出演:ビートたけし、浅野忠信、夏川結衣、大楠道代、橘大五郎、大家由祐子、岸部一徳

監督:北野武

(2003年・松竹・115分)2003/09/22・渋谷シネパレス

評価★★★/65点

内容:ヤクザの親分・銀蔵と大店の主人・扇屋が牛耳るとある宿場町にやってきた一人の男。金髪で朱塗りの杖を持った盲目の居合いの達人、座頭市だ。また、ちょうど時を同じくして浪人の服部源之助とその妻おしのもその町にやって来る。元藩付きの師範代という身分を捨てた服部は、病気を患う妻のために銀蔵・扇屋の用心棒の職にありつくことに。銀蔵たちを仇と狙う旅芸者のおきぬとおせい姉妹と関わり合いになった座頭市は、やがて因縁や怨恨の入り交じる壮絶な闘いへと突入していく・・・。

“どうしても心の中で引っ掛かるあるセリフ”

大楠道代演じるおうめがラスト近くでこんなセリフを言う。

「悪い奴はみんな死んじまったねえ・・・。」

ホント片っ端から座頭市に斬り殺されていくわけだけど、チンチロリンの長か半かというふうに単純に善か悪かでいえばたしかに銀蔵・扇屋は悪だろう。

しかし、服部と妻おしのはどうか。

長か半かというような単純な割り切り方はできないはずだ。

もちろんおうめのセリフは銀蔵一家を指して言ったもので、服部とおしのを指してはいないのかもしれないが、しかし一応用心棒として雇われた身ではあるわけだし、そういう意味ではおうめの言う悪い奴に服部も入ってしまうことになる。

そこがやはり自分の中で納得できないというか消化不良なところではあるわけで。

なにより、妻おしのの自害シーンの唐突さといったらない。あの処理の仕方はいくらなんでも可哀想すぎはしないか。

肺病という決して癒やされない悲しみを背負いながら夫に添い遂げつづける妻。脱藩し他に仕官を探しながらも食いぶちを稼ぐため用心棒をも請け負う夫。

これは多少の違いはあれど「雨あがる」の夫婦そのものではないか。

それを思うと、いやはや今回の映画は描き方が浅すぎる・・・。

おきぬとおせいが扇屋で絶体絶命のピンチに陥ったときに座頭市が刀で開き戸をこじ開けるシーンが最も典型的だが、座頭市がまるでジュラシック・パークに出てくる肉食竜ラプトルのような非人間的存在であったがゆえ、なおさら服部・おしの夫婦の絆は重要だったはずで、普通ならこっちが主にならなければならないだろう。おきぬ・おせい姉妹パートは従の関係でいいのだ。

しかしどういうわけかこの映画ではそれが完全に逆転してしまっているのだ。

映画を観終わった後にさっぱりと何にも残らないのはこのためだと思う。

はっきりいって人間というものを描けていない。

斬りまくる者の血が通っていないのはラプトルだから仕方がないと割り切っても、斬られる方の血まで通っていないように見せられるのはいかんともしがたい・・・。もしかして緑色の血なのか(笑)?

あと、新吉の剣術の稽古のシーンも正直笑えない。全体的にカット割りがとにかく目まぐるしすぎるんだよね。新吉のあの稽古のシーンは2,3カットだったと思うけど、それまでのテンポの速さと全然合ってないの。間がねぇ、、、単なる間延びになっちゃってんのよ。

まぁ黒澤天皇と比べるのはあまりにも酷だが。

とにかく話を詰め込みすぎですね。おきぬ・おせいのとこはほんとバッサリ居合い抜きしちゃいたい気分。

ただ、映画を観ていて北野武という監督は時代劇の方が資質的に合っているのではないかと感じたのもまた事実。

いっつも個人的な期待値だけは高いんだけどねぇ・・・。

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座頭市物語(1962年・日本・96分)WOWOW

 監督:三隅研次

 出演:勝新太郎、万里昌代、島田竜三、天知茂、柳永二郎

 内容:下総飯岡の首領・助五郎親分のところへ坊主頭の盲目の按摩でなおかつ居合いの達人、座頭市がやって来る。ある日、市は釣り場で出会った病身の浪人・平手造酒と知り合い、なぜか気を通わせるが実はこの浪人、最近勢力を広げつつある助五郎親分のライバル笹川親分の剣客だった。激化する両親分の勢力争いは市をも容赦なく巻き込んでいく・・・。

評価★★★/60点

“勝新版座頭市初体験。北野版を観た後だったので、ちょっと狐につままれた気分・・・。”

いつブチ切れんねんこのオッサン、いつやねんいつやねんと思いながら終わっちゃったかんじ。

ジェットコースターに乗ってるとき、いつ大物に突入するのかと緊張感は高まっているのに、小物だけで終了みたいな・・・。そういう意味ではちょっと地味だったな。

でも特に勝新と天知茂が2人で釣りをするシーンの絶妙な間など、全編に漂う緊張感はさすが。そのわりに殺陣がショボイんだけどねぇ・・・。

2009年10月18日 (日)

夢のシネマパラダイス403番シアター:三谷幸喜特集

12人の優しい日本人

00000398526l 出演:相島一之、塩見三省、豊川悦司、大河内浩、梶原善

監督:中原俊

(1991年・日本・116分)NHK-BS

評価★★★★★/100点

内容:シドニー・ルメットの「十二人の怒れる男」に触発された三谷幸喜の同名舞台劇を映画化したディスカッション・コメディ。殺人事件の陪審員に選ばれた12人の男女が評決を下すまでの数時間を描く。始めは全員が無罪に投票したが、陪審員2号が意義を唱えて有罪に意見を変えたため、12人は延々と続く議論を始めることになった。

“Shall We Talk?”

監督の個性の赴くままに撮られているようでいて実は完璧に計算されつくした理詰めの緻密なカット割りのもとで、陪審員室という密室を縦横無尽に回転させ緊迫した鼓動を響かせた「十二人の怒れる男」。

一方、監督の個性の赴くままに撮られているようでいて実際まったくその通りな本作「12人の優しい日本人」。

そこに映画的な鼓動は見当たらない。

しかし、三谷幸喜の個性の赴くままにあっち行ったりこっち来たりで混乱をきたすシナリオのようでありながら実は完璧に計算されつくした理詰めの構成とセリフと人物造型のもとで、陪審員室という密室を笑いと興奮のるつぼに満ちあふれさせたことは、先の欠点を補って余りある。

そして自分はこちらの方も好きで好きでたまらないのだ。

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<陪審員 みんなでやれば 怖くない>by日本人

ちなみにアメリカ人なら、

<陪審員 ヒーローになれるから 怖くない>

ドイツなら、

<陪審員 規則でやるから 怖くない>ってとこでしょうかね。。

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ラヂオの時間(1997年・東宝・103分)DVD

 監督・脚本:三谷幸喜

 出演:唐沢寿明、鈴木京香、西村雅彦、戸田恵子、細川俊之

 内容:生まれて初めて書いたシナリオが採用され、脚本家としてデビューすることになった主婦・鈴木みや子は、そのラジオドラマ「運命の女」の生放送の収録スタジオにやって来た。ところが本番直前になって、主演女優の千本ノッコが自分の役名が気に入らないとゴネ始め、プロデューサーの牛島はその場を納めるために彼女の要求通り役名をメアリー・ジェーンに変更する。が、それに合わせて他の登場人物の役名も外国人名に変えていくうちに物語はつじつまが合わなくなっていき・・・。

評価★★★☆/70点

CM入りっぱなしのラジオドラマ「運命の女」は眠気をもよおすツマラなさ、、なのに映画はそこそこ面白い・・・。

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みんなのいえ

Minnanoie02 出演:唐沢寿明、田中邦衛、田中直樹、八木亜希子、伊原剛志、野際陽子、中井貴一

監督・脚本:三谷幸喜

(2001年・東宝・115分)2001/06/19・日劇

評価★★★/65点

内容:脚本家の直介(ココリコ)と妻の民子(元フジアナ)はオシャレなマイホームを夢見る若夫婦。2人は新進気鋭のインテリア・デザイナー柳沢(唐沢)に設計を依頼し、施工は民子の父親で大工の長一郎(北の国から)が行うことになる。が、柳沢があげてきた設計図を見て頑固一徹の長一郎は絶句。。プライドの高い正反対の性格である2人はことあるごとに対立を繰り返し・・・。果たして新居は完成するのか!?

“「ダメだ、、、、自分の問題ですから。」とバーテン真田広之みたいに客を無視して一から妥協しないで作り直してもらいたいかも、職人三谷さん。。”

とはいうものの映画というのは、そもそものところどこかしら妥協の産物なのだろうからなぁ、黒澤天皇といった例外を除けば。

さらにいえば、脚本、演出家として一流の職人である三谷幸喜のものづくりに対するモットーがそっくりそのままこの映画に反映されているのかもしれない。

脚本は基本的には一人で完成させることができるが、映画にしろ舞台にしろ一人の力で作り上げるのはまず不可能。

様々な分野の職人が寄り集まって1つの作品を完成させるのだから。

その際、職人と職人、プロとプロとのぶつかり合いの中で、やはりどこかで妥協というものが必要になってくるわけで、そう、この映画で描かれた家造りと同じように。

バーテン真田は完全に一個人の世界へと没入していく、だからこそまさに自分の問題であるわけで、三谷さん自身もシナリオ作りに関してはバーテン真田になっているのだろう。

しかし、それらの集合体としてのひとつの家造り、映画作りは三谷さんに言わせれば題名にある通り、まさにみんなの問題なのだ。家族みんなの。監督一人の問題ではなくスタッフみんなの。

もしかして、それは田中邦衛親父のような職人の本来の気質とは相容れない考え方なのかもしれない。

三谷さん自身もシナリオ作りに関してはそういう面を持っているのだろうが、映画づくりにおいては唐沢デザイナーへと変貌を遂げるのだろう。一歩引いた形での立ち位置で。

ものづくりは傲慢にならなければ良いものを作り上げることはできないという面もある。しかし三谷さんはそういうやり方じゃなくても、ひとつの目的に向かってみんなが同じ方向を向いて作り上げる上においては、傲慢ではなく妥協と譲歩によってこそ良いものができるのだと言っているのだと思う。

これは笑いというある意味では最も難しい題材を毎回取り上げている三谷さんだからこそ言えるなんとも奥深い含蓄ある主張だと思うんだよね。

ここまで書いてきて、あれ、それで評価★3つなの??と気付いたけど・・・・。

やはり傲慢な血がたぎりまくっている映画を観るとこっちも熱くなるんだよな・・・。そういう独善的な映画の方が実際好きなのだ。。。

ごめんなさい三谷さん。

あなたはイイ人だ。これからもあなたの映画を観続けていくことだけは間違いない。大好きです!

取ってつけたような、、、(笑)ホントにゴメンなさい。。

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竜馬の妻とその夫と愛人

Vxbregygu 出演:木梨憲武、中井貴一、鈴木京香、江口洋介、橋爪功、トータス松本

監督:市川準

(2002年・東宝・115分)2002/09/24・シャンテ・シネ

評価★★★/60点

内容:三谷幸喜が2000年に書き下ろした舞台劇の映画化。坂本竜馬が暗殺されてから13年後の明治13年。新政府の間に維新の英雄である坂本竜馬の妻おりょうのよからぬ噂が広まっていた。これ以上竜馬の名声を汚すわけにはいかんと、役人でおりょうの義弟・菅野覚兵衛が竜馬の十三回忌を催すためという名目でおりょうの下に送られる。そこで彼が見たものは、西村松兵衛というサエないテキヤと再婚し、なおかつ竜馬にそっくりの愛人・虎蔵と駆け落ち寸前という有り得ない状況にあるおりょうの姿だった・・・。

“舞台という三次元的な文法を映画という二次元的な文法に落としこむことができていないため、どうしても単調かつ窮屈に感じてしまう。”

舞台のテンポや臨場感を出すための必須方法として長回しをこの映画でも使ってはいるが、なかなか画面に効果として表れてこないのが苦しい。

特に松兵衛のおんぼろ長屋での松兵衛&覚兵衛vs虎蔵のおりょう争奪舌戦(おりょうは外で最初待機しているが途中で中に入ってくる)での4人の掛け合い応酬のシーンなどはその典型で、どうも市川準のテンポにうまく乗ることができない。。

まぁ、シナリオの面白さだけが浮き立ってしまったかんじだが、その中でまるでビックリ箱みたいにどんなサプライズが出てくるのか良い意味で分からないノリさんの演技に救われたかんじかな。

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笑の大学

Wara 出演:役所広司、稲垣吾郎、高橋昌也、小松政夫

監督:星護

(2004年・東宝・121分)2004/11/08・MOVIX仙台

評価★★★★/75点

内容:太平洋戦争突入目前の昭和15年。言論・思想統制が厳しさを増す時代、芝居もまた台本の段階で厳しい検閲を受けていた。そんな年の秋、連日バッサバッサと検閲で台本を切り捨てていくカタブツ検閲官・向坂(役所)のもとに今日やって来たのは、浅草の軽演劇一座“笑の大学”の座付き作家・椿(ゴロー丸)。ここに一度も笑ったことがない男と笑いに命をかける男の必死の攻防戦が幕を開ける!

“役所広司の椿は想像できるが、稲垣の向坂は想像できない。”

それだけ役所広司の役者としての幅が広いのは一目瞭然で、もし両者が役を入れ替えたら稲垣の向坂よりも役所広司の椿の役回りの方で笑えてしまうのではないかと容易に勘ぐってしまうくらいだ。

例えばこの映画で向坂のサルマタ失敬!は笑えるが、椿のサルマタ失敬は笑えない。

それは当然といえば当然で、お堅い検閲官がサルマタ失敬!をやるから笑えるのであって、笑いをつくる椿がそれをしても笑えないのかもしれないが、役所広司が椿だったら笑えるんじゃないかという期待が俄然出てくる。それくらい役所広司は凄いし巧いと思う。

この映画で笑えるところといったらほとんどが役所広司・向坂パートで、稲垣の椿パートで笑えたのは椿と向坂の最初のやり取りで稲垣がセリフを噛みそうなところくらいだ(笑)。ウンナンのナンチャンに負けず劣らずカミカミマンかも。。

もうちょっとなんかこう椿はなんとかならなかったかなぁ、と。

その他脚本、演出ともに別段映画にしなくてもいいのではないかと思わせてしまうくらい特に取り立てて言うべきこともないのだけど、役所広司はホントに凄いというただ1点のみだけでこの映画を観る価値はなんとか見出せた。

向坂の指示どおりに椿が最後に書いてきた笑えない台本を読んだときの役所広司の演技は絶品です。

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THE 有頂天ホテル

B000c5pnt6_09_lzzzzzzz 出演:役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子、戸田恵子、生瀬勝久、麻生久美子、YOU、オダジョー、角野卓造、寺島進、原田美枝子、唐沢寿明、津川雅彦、伊東四朗、西田敏行etc..

監督・脚本:三谷幸喜

(2005年・東宝・136分)2006/01/26・盛岡フォーラム

評価★★★★★/90点

内容:新年を控えた大みそかの夜。都内の高級ホテル“ホテルアバンティ”ではカウントダウンパーティーを2時間後に控えていた。ホテルの威信に関わる一大イベントを無事に終えることが副支配人の新堂に課せられた責務だったが、そんな新堂をあざ笑うかのように従業員とワケあり宿泊客たちを襲う数々のトラブル。はたして彼らは新年を無事に迎えることができるのか!?

“観終わって自然と笑みがこぼれ幸せになれる映画。”

単純なことだけど、昨今そういう映画がことに少ない。

最近はとかく考えさせる映画が流行りだが、中にはただ無駄に凝っているだけで、当の映画、作り手が世界をどう捉えているかが全く分からない意味不明な作品も多々存在する。

その中で、三谷作品は世界を、人間をどのように捉え、どのように考え、どのように表現するかという「創る」ことに関して非常に洗練されていると思う。

それは25人(+1匹)の人間たちの多面的な人生模様を個性を殺さずに切り取っていることからだけでも十分すぎるほど分かる。

しかも、彼らの人生模様は連鎖しつながっているのだ。

ミスチルが人間は連鎖する生き物だよ♪と歌っているように、人と人はつながっているんだということを面白おかしく36度5分の人の温もりで描写していく。

“幸せを運んでくるお人形”を巧く使ってリレーのように接点を分かりやすく明示したのも手法として本当にうまいと思う。

また、特に今回の作品では3番目のどのように表現するかという部分で三谷“監督”は腕をあげたといっていいのではないかと思う。

今までの三谷映画は舞台のエッセンスが前面に押し出され、「映画」という枠の中で見るにはどこか違和感がつきまとっていた。

しかし、今回の作品は、舞台的でありながら、しかし決して舞台ではないその微妙なバランスの中でれっきとした映画として何の違和感もなく最後まで見ることができた。

それは、セットの緻密さといった美術や裏方の面の貢献も大きいと思うのだが、三谷演出も長回しなど舞台演出の味を残して底上げしつつ、映画としてのレベルを保っていたと感じた。

とにもかくにも上質で純粋に面白い“パクリ”映画を心ゆくまで楽しませてもらった。良い意味でのパクリでっせ。。

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ザ・マジックアワー

The_magic_hourthumb 出演:佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるか、西田敏行、小日向文世、寺島進、戸田恵子、伊吹吾郎、香川照之

監督・脚本:三谷幸喜

(2008年・東宝・136分)2008/07/04・盛岡フォーラム

内容:港町・守加護。街を牛耳るギャングのボス・天塩(西田敏行)の愛人マリ(深津絵里)に手を出し、海に沈められる寸前の備後(妻夫木聡)。助かる唯一の条件として天塩が示したのは、5日以内に伝説の殺し屋デラ富樫を連れてくること。そこで備後は最後の手段として映画監督になりすまし、無名の俳優・村田大樹(佐藤浩市)を雇って、映画撮影と称してデラ富樫役を演じさせ、天塩をダマすことを画策するが・・・。

評価★★★★★/100点

三谷監督の前作「THE有頂天ホテル」の流れをくむ愛すべき“パクリ”映画といえると思うけど、今回のパクリ方は壮大そのもので、ギャングが街を牛耳る暗黒街=シカゴを連想させる架空の町・守加護(スカゴ)を舞台にしているのがキモで、今までの作品をはるかに超える大風呂敷の広げ方といっていい。

しかも、街のメインストリートといい港の波止場といい、あからさまにこれはオープンセットですよといわんばかりのリアリティのない舞台装置の造りは完全に舞台演劇向きで、これを映画で仕立てようというのはかなりの力量を要するといわなければならない。

が、今回、三谷監督はそれを嬉々としてやってのけてしまった。

映画の撮影と思い込んで伝説の殺し屋役を演じる売れない役者と、伝説の殺し屋と思い込んで仲間に引き入れる本物のギャングが誤解に誤解を重ねるシチュエーションコメディというストーリーラインの設定の勝利といえばそれまでだけど、マジックアワーが太陽が地平線の向こうに落ちてから光が消えてなくなるまでの淡い光に包まれた昼と夜の境目を表わすごとく、虚構と現実を時には重ね合わせ時には逆転させ行き来させた巧さは特筆もので、まさに喜劇のマジックアワーを堪能できてしまう。

そして、その虚構と現実の境目にある守加護というつくりものの街がまぁ見事にマッチしているんだわ。

また、裏方さんに至るまでそれぞれの登場人物に“人生で最も輝く瞬間”を提供しているのも三谷監督らしい演出ぶりで買いだし、なによりも映画への愛にあふれているのがイイ。

市川崑監督の「黒い十人の女」(1961)のオマージュを中井貴一&天海祐希の劇中映画で出してくるのを皮切りに、映画撮影の舞台裏を表舞台に反転させたシナリオは三谷監督の並々ならぬ映画好きが滲み出てくるものになっている。

「カサブランカ」(1942)をパロッたと思われる「暗黒街の用心棒」なる名画(?)に憧れる売れない役者の映画にかける思い、スクリーンにかける思いがイタイくらいに伝わってくるのも印象的で、思いもかけず自分の大写しの映像がスクリーンいっぱいに映し出されているのを見るシーンは涙してしまうほど感動してしまったweep

ギャングのボス天塩と愛人マリがラストで元サヤに収まるオチも「純然たるコメディ」を貫いていてヨロシイし、最後まで抱腹絶倒の映画を作ってくれた三谷監督に拍手!

それに加えて、家族みんなで見に行ったんだけども、館内もゲラゲラ笑いっぱなしで、映画の本来あるべき姿というのを体感できてもの凄く幸せなひとときを過ごすことができた気がする。

三谷監督は日本のビリー・ワイルダーといっても過言ではない!?

夢のシネマパラダイス434番シアター:真実のとき

真実の瞬間<とき>

2 出演:ロバート・デ・ニーロ、アネット・ベニング、ジョージ・ウェント

監督・脚本:アーウィン・ウィンクラー

(1991年・アメリカ・104分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

内容:1950年代にハリウッドを吹き荒れた赤狩りの嵐に、敢然と立ち向かった1人の映画監督の姿を描く人間ドラマ。1951年9月、売れっ子監督のデイヴィッド・メリルは、20世紀フォックスの代表ダリル・F・ザナックから、非米活動委員会の共産主義者のリストに自分の名が挙げられていることを聞かされた。助かるために誰かを告発するよう勧められたメリルは、「友人を売れるかバッキャロー!」と一蹴し、そのため撮影所への立ち入りを禁止されてしまう・・・。

“Shame on you!Shame on you!”

こういうことを労力をかけてわざわざ映画にしなくてもいいような時代と社会であってほしい。

映画という媒体には観る者に思考と議論を呼び起こし、“真実”に対する理解を促す、そういう力が備わっているのは百も承知なのだけど、それ以前に本来映画というのは夢を売るものなのだから。

それを夢と親友を強制的に天秤にかけさせることを平然とやってのけていた時代があったなんて・・。デ・ニーロの「恥を知れ!」という言葉が深く耳に残る。

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大いなる陰謀

Lions_lambs_2_1a 出演:ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズ、マイケル・ペーニャ

監督:ロバート・レッドフォード

(2007年・アメリカ・92分)WOWOW

内容:対テロ戦争の持論を展開している共和党のホープと謳われる上院議員アーヴィング(トム・クルーズ)は、世論の支持を得てポイントを稼ごうとベテラン女性ジャーナリスト(メリル・ストリープ)の単独インタビューを行う。だが、アーヴィングが掲げた戦略の裏に“仕組まれた真実”が潜んでいると確信した彼女は、その真相を明らかにしようとする。そんな中、大学教授(レッドフォード)の教え子である2人の若者は戦地アフガニスタンで新たな作戦に就こうとしていた・・・。

評価★★☆/50点

映画見終わったあと、“大いなる陰謀”という大仰な題名をつけるほどの映画なのか!?と疑問に思ってしまったが、しかし少なくともオイラにとっては常識中の常識であることを、かの国の人々からすれば大いなる陰謀として目に映ってしまうのだとしたら、アメリカという国はほとほと救いようがないと言わなければならない。

例えば、ヒスパニックと黒人の学生が奨学金目当てに志願兵にならざるをえない現実、つまりは貧困層やマイノリティが戦場に駆り出される現実というのはベトナム戦争から何にも変わっていないわけで、それこそトム・クルーズが20年前に主演した「7月4日に生まれて」(1989)なり「プラトーン」(1986)などでさんざん描かれてきたことだろう。

あるいは、マイケル・ムーアの「華氏911」(2004)で描き出される現実の方がよっぽど苛酷で真に迫ってくる。

それをこの映画では、ネオコンの論理を能弁と語りつくす共和党上院議員と結果的には風見鶏と化してしまうジャーナリスト、そして椅子にカッコ良く佇むだけのリベラルなインテリ教授というステレオタイプのキャラクターに、三者三様のこれまたステレオタイプな会話劇をおっかぶせるだけで描こうというのだから、作り手のストレートな真摯さがかえってあざとく見えてしまいなんとも薄っぺらいものとしか感じられなくなってしまう。

大学院に進みたいと思いながらも、そのために銃を手に取り国のために戦わなければならないマイノリティの学生と、その対極にいるような裕福な環境に恵まれながら無気力と無関心の塊の白人学生の対比など、その言わんとするところは分からなくはないのだけども、こんなありきたりなレベルの描写じゃ考えさせられるところまではいかないわな。。

まぁ、これだけの大スターを揃えたからなんとか体を保っていられる作品だといえると思うけど、でも、この「大いなる陰謀」って邦題だったのね。って配給会社の陰謀だなこれはww。

原題は「子羊に率いられたライオン」か。こっちはこっちで意味深な題名に内容が追いついていないと思うんだけど・・・。

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海と毒薬(1986年・日本・123分)NHK-BS

 監督・脚本:熊井啓

 出演:奥田瑛二、渡辺謙、田村高廣、神山繁、成田三樹夫、西田健、岸田今日子、根岸季衣

 内容:昭和20年5月、大学医学部の研究生・勝呂は連夜の米軍による空襲の下、鬱屈した日々を送っていた。医学部では部長の死去により、後任の座を第一外科の橋本教授と第二外科の権藤教授が争っている。劣勢の橋本は失地回復を焦り、軍から委嘱された米軍捕虜8名の生体解剖を受け入れた。肺切除の限度と絶命との関連を調べる名目の手術に臨んだ勝呂は、動揺を隠せなかったが、同僚の戸田はためらいなく役目をこなしていくのだった・・・。第二次世界大戦末期に実際に起きた、米軍捕虜に対する生体解剖実験を題材にした社会派ドラマ。

評価★★★★/80点

グロい手術シーンを見てるとき、20数年看護婦やってるウチのオカンが言った一言、、、

「あ、これ豚の内臓だわね。あ、こっちは絶対マグロのだわ。」と何事もないかのように、あっけらかんとした表情で言うオカン。。

オカン、あちら側の人間になっちゃってたのね・・・shock

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キリング・フィールド

01killing_fields 出演:サム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール、ジョン・マルコヴィッチ

監督:ローランド・ジョフィ

(1984年・英/米・141分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:70年代初頭、ベトナム戦争の戦火は隣国カンボジアにも飛び火し、アメリカが支援するロン・ノル政権と革命勢力ポル・ポト派の過激派クメール・ルージュによる内戦は激化の一途をたどっていた。ニューヨーク・タイムズ紙の特派員であるシドニー・シャンバーグは、現地通訳のプランとともに取材を続けていた。しかし、1975年にクメール・ルージュが首都プノンペンを制圧すると、シャンバーグは国外退去を余儀なくされ、プランとの音信は途絶えてしまう。一方、プランは、想像を絶する虐殺を行うクメール・ルージュの苛烈な支配を逃れて、決死の逃避行を繰り広げていた・・・。アカデミー助演男優賞を受賞したハイン・S・ニョールは実際にポル・ポト政権の恐怖政治を体験したカンボジア難民。しかし、1996年にNYで何者かによって射殺された。

“戦争にはヒーローやヒロインなんていないんだという冷徹な視点が、映画に重みとリアリティを与えている。”

カンボジア人の通訳兼ガイド、ディス・プランの必死で生き抜こうとする姿、真実を伝えようとする姿が戦争という残酷な実態を淡々と、しかし力強く暴き出していく。

こういう戦争映画も珍しいと思うのだけど、アメリカではなくイギリスの作品という面が影響しているのかも。

それにしても年端も行かぬ少年たちや少女までもが銃を構えている姿には心が痛む。

そして、子供たちが兵士にされている現実はベトナムから40年近く経った今も変わっていない・・・。

現在世界には40カ国で約30万人の児童兵が戦場で働かされているという(2004年作品の「イノセント・ボイス-12歳の戦場」より)。

銃と殺戮ではなく、夢と笑顔を与えられる世界になることを願うのみです。

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グッドナイト&グッドラック

Good 出演:デヴィッド・ストラザーン、ジョージ・クルーニー、ロバート・ダウニー・Jr

監督・脚本:ジョージ・クルーニー

(2005年・アメリカ・93分)2006/05/10・盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:1953年、米ソ冷戦が激しさを増す中、アメリカ国内ではマッカーシー上院議員を旗頭に、国内の共産主義者の徹底した排除活動「赤狩り」の嵐が吹き荒れ、アメリカ全土を覆っていた。共産主義者とみなされた者はどんな職業であろうと容赦なく職を奪われていく。そんな中、CBSの人気キャスターであるエド・マローとプロデューサーのフレッドは報道番組「シー・イット・ナウ」の中で、マッカーシーこそがアメリカの自由の敵であると訴える内容の放送に踏み切るのだが・・・。

“その男、監督につき、その名はジョージ・クルーニー”

正直心を突き動かすような激しい情動と荒ぶる波動に乏しく、どこまでも一定の周波数で描かれ、モノクローム映像や当時のドキュメンタリー映像ともあいまって落ち着きすぎの感は否めない。

その忍耐限界ギリギリの90分弱で収めたのは大正解だろう。

しかし、その90分を通して貫かれるエドワード・マローの静かなる目線は決してブレることなく、その眼光は熱く煮えたぎっていた。

おそらくこの鋭い眼光が見据える先にあるのは、国際社会で強引な手法で暴走を続ける今現在のアメリカなのだろう。もっと突っ込んで言えば、ブッシュその人なのだろうと思う。そして9.11以降の恐怖を煽るような偏ったジャーナリズムにも・・・。

これは今、作っておかなければならない、そして観ておかなければならない映画なのかもしれない。

激しく揺れ動く現代情勢において、この恐ろしいまでに堅実で落ち着き払ったモノクロームの映像世界がやけに重くのしかかってくる。

ジョージ・クルーニー。確かな監督である。

次回作が楽しみだ。

(初記)2006/05/11

2009年10月11日 (日)

夢のシネマパラダイス408番シアター:ジャッキー押忍!

ヤングマスター/師弟出馬(1980年・香港・100分)NHK-BS

 監督:ジャッキー・チェン

 出演:ジャッキー・チェン、ウェイ・ペイ、ユン・ピョウ

 内容:捨て子だったタイガーとチェンは、正風道場のカン先生に拾われ、カンフーを学びつつ今や立派な若者に成長していた。そんなある日、カン先生の厳しい修行に嫌気がさしていたタイガーが道場を飛び出し、大悪党キム一味の用心棒となってしまう。そんな彼を心配したチェンは、彼を連れ戻しに向かうのだが・・・。

評価★★★★/75点

“弟子にして下さい!マスター・ジャッキー!”

我らがジャッキーだったらマスター・ヨーダにも勝てる!

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プロジェクトA

51d98cnmw9l__sl500_aa240_ 出演:ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポー、ディック・ウェイ

監督:ジャッキー・チェン

(1984年・香港・105分)DVD

内容:20世紀初頭の香港を舞台に、海上警察と陸上警察のいがみ合いと海賊討伐を、徹底したアクションで描いたジャッキー・チェンの娯楽大作。ドラゴンが所属する海上警察隊と、ジャガーが率いる陸上警察隊は、事あるごとにいがみ合っていた。ある日、両者は酒場で乱闘騒ぎを起こし、その非が海上警察側にあるとの裁定が下ったことで、ドラゴンたちは陸上警察に組み込まれてしまう。しかし、大掛かりな密輸組織を追って、大立ち回りを演じたドラゴンは、ジャガーと意気投合した。

評価★★★★☆/85点

“ジャッキーに飛び蹴りされたい!”

しかし、ジャッキーの決死の時計台からの落下シーンでの落下直後のセリフが、

「1つ大事なことを学んだよ。地球には間違いなく引力があるよ。エヘヘ。」って(笑)。

この期に及んでもまだ笑いを取りにいくジャッキー。

深刻さなど微塵もみせないジャッキーの映画魂にはホントに感服してしまう。

オイラの中でジャッキーはハロルド・ロイドやバスター・キートンをも超えた!まさに伝説shine

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プロテクター(1985年・香港・97分)テレ東木曜洋画劇場

 監督:ジェームズ・グリッケンハウス

 出演:ジャッキー・チェン、ダニー・アイエロ、ソーン・エリス、ロイ・チャオ

 内容:ファッションデザイナー誘拐事件をきっかけに、ジャッキー扮するNYの刑事がシンジケートを相手に香港とNYを行ったり来たりの大活躍、、、といきたいところだったが、ジャッキー2回目のアメリカ進出となった今作はまたもや不発に終わる。。3度目の正直となった「レッド・ブロンクス」で念願だった全米1位を獲得するまでさらにここから10年の月日を要した。

評価★★★/60点

やっぱジャッキーが銃を使うと面白さも半減やな・・・。

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サンダーアーム龍兄虎弟(1986年・香港・98分)NHK-BS

 監督:ジャッキー・チェン

 出演:ジャッキー・チェン、アラン・タム、ローラ・フォルネル

 内容:数千年の昔、聖地エルサレムを中心とする宗教戦争で、6種の「神の秘宝」が各地に四散した。そして、その6種の秘宝を集めることに狂奔していた邪教集団の教祖は、宝探しのプロフェッショナル“アジアの鷹”ことジャッキーに目をつける・・・。ジャッキーが石垣から木に飛び移るシーンの撮影中に誤って落下、頭蓋骨陥没骨折の重傷を負ったことでも有名。

評価★★★☆/70点

誘拐シーンでさえも思わず笑ってしまうほどの演出で彩られている本編を味わった後は、演出の域を超えたシリアスなNGシーンでお口を調えて下さい。

ジャッキー命punch

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プロジェクトA2(1987年・香港・105分)DVD

 監督:ジャッキー・チェン

 出演:ジャッキー・チェン、マギー・チャン、ロザムンド・クワン、リッキー・ホイ

 内容:前作で海賊グループの壊滅に成功したドラゴンは、その功を買われ水上警察署長に任命された。が、ダイヤ泥棒の濡れ衣を着せられてしまい、さらにドラゴンの就任を快く思わない前署長がドラゴンを失脚させるために陰謀を張り巡らしてきて・・・。

評価★★★★★/90点

TVのリモコンの消音ボタンを押してそのまま観続けても面白さが全く減退することがない。この映画の凄さはそこにある。

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プロジェクト・イーグル(1991年・香港・116分)NHK-BS

 監督・脚本:ジャッキー・チェン

 出演:ジャッキー・チェン、ドゥドゥ・チェン、エバ・コーポ

 内容:「サンダーアーム/龍兄虎弟」のキャラクターである“アジアの鷹”が再び登場する、ジャッキー版インディ・ジョーンズ。

評価★★★★/80点

キートンとフェアバンクスはいつものことながら、インディ・ジョーンズにチャーリーズ・エンジェルかよ。ジャッキー最高っ!押忍!

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ツイン・ドラゴン

Pibf1182_l 出演:ジャッキー・チェン、シー・チェン、レン・シークアン

監督:チュン・チュアン

(1992年・香港・104分)DVD

評価★★★★☆/85点

内容:赤ん坊の時に生き別れになり離ればなれに育った双子の兄弟。兄はNYで一流指揮者となり、弟は香港の暗黒街で生きていた。その双子が再会を果たし、マフィアを相手に戦いながら繰り広げる恋のさや当てを描いたアクション・コメディ。ジャッキーは一人二役の大奮闘。

“ジャッキーこそサイレントどたばた喜劇の正統な後継者であるということをこれほどまでに示している映画もなかろう。”

大げさな仕草、単純明快な筋立て!

セリフなんていらない。字幕でいい!

音なんていらない。簡単な想像力だけでいい!

色なんていらない。モノクロでいいんだ!

サイレント映画にしても十分すぎるほど通じちゃうんだ。これぞジャッキーなのだ!

ジャッキー命!押忍っ!

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レッド・ブロンクス(1995年・アメリカ・105分)盛岡中劇

 監督:スタンリー・トン

 出演:ジャッキー・チェン、アニタ・ムイ

 内容:NYのブロンクスで休暇を過ごしていたクーン刑事が、ダイヤ密売シンジケートによって荒廃した街を救うため、巨大な悪に立ち向かう!

評価★★★★★/100点

同時上映だったスタローンの「ジャッジ・ドレッド」がなんとチンケに見えたことか。。

ジャッキー映画の中で実はこれが1番好き。

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WHO AM I?(1999年・香港・120分)Video

 監督:ジャッキー・チェン

 出演:ジャッキー・チェン、ミッシェル・フェレ、山本未来

 内容:ヘリの墜落で救出された男は記憶を失っていた。原住民から“フー・アム・アイ”と名付けられた男は、自分の記憶を求めて町に出るが、なぜか命を狙われるハメに・・・。

評価★★★/65点

ワールドワイドにロケするのは結構だが、それと反比例してジャッキーのコミカルアクションが減るのは困る。

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シャンハイ・ヌーン(2000年・アメリカ・111分)WOWOW

 監督:トム・デイ

 出演:ジャッキー・チェン、オーウェン・ウィルソン、ルーシー・リュー、ロジャー・ユーファン

 内容:西部開拓時代のアメリカ。アメリカに連れ去られた中国の王女を救い出すため、近衛兵チョンとガンマンのロイが手を組んだ!ジャッキーのハリウッド進出第2弾となった西部劇カンフー・アドベンチャー。

評価★★★☆/70点

単純明快、完璧なご都合主義、コミカルアクション。

これがジャッキー映画なのでっス。ハリウッドに行っても変わらないスタンスはご立派。命がけアクションは影をひそめたものの、やはり見ていて楽しい。

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ラッシュアワー2(2001年・アメリカ・90分)WOWOW

 監督:ブレット・ラトナー

 出演:ジャッキー・チェン、クリス・タッカー、エリザベス・ペーニャ、チャン・ツィイー

 内容:香港のアメリカ大使館で、少女による爆破事件が発生。香港にバカンスに来ていたリー捜査官とカーターが捜査を進めるうちに、事件は思いもよらない方向へ展開していく・・・。

評価★★★/55点

白すぎケバすぎチャン・ツィイー、、、けど喜んで彼女のかかと落とし受けます!

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タキシード(2002年・アメリカ・99分)DVD

 監督:ケヴィン・ドノヴァン

 出演:ジャッキー・チェン、ジェニファー・ラヴ・ヒューイット、ジェイソン・アイザックス

 内容:運転の腕前を買われて富豪の運転手にスカウトされたジミー。ある時、富豪のタキシードに袖を通してみると、なんとダンスや格闘技までこなせる特殊能力が身についてしまった。実は諜報部員だった富豪になりすまし、ジミーは危険な任務に挑むのだが・・・。

評価★★/40点

ジェニファーのお色気攻撃が、いちいちウザイ。。

と、エロエロな自分が言うのもなんだかだけど、オイラはジャッキーだけが見たいのよ、ジャッキー映画では。

まぁ今までのジャッキー映画でジェニファーと似たような女キャラがいないではなかったけど、ジャッキーとテンポが合ってないんだよなぁ今回は。かみ合わないテンポに最後までノリきれず・・・。

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シャンハイ・ナイト(2003年・アメリカ・114分)DVD

 監督:デビッド・ギブソン

 出演:ジャッキー・チェン、オーウェン・ウィルソン、ドニー・イェン、アイダン・ギレン

 内容:1887年、アメリカで保安官となったチョンに、中国皇帝の龍玉を守っていた父が謎の英国人に殺されたとの報せが届く。チョンはかつての相棒ロイを連れ、ロンドンへ向かう。

評価★★☆/45点

“ジャッキーvsドニー・イェン3分12R紫禁城-ニューヨーク-ロンドン決戦の方が客呼べると思う。。”

好きな映画スターは誰かと訊かれたら真っ先にジャッキーの名を挙げるオイラでもさすがにこれは評価できない。

話にキレがなければジャッキーにもキレが・・・見てて哀しくなってきちゃったよ。。

前作は、異文化同士の出会いと摩擦によるギャップのコミカルさが面白かったし、アクションにもそのコミカルさが反映されていた。

もともとジャッキー映画のアクションはコミカルさが売りだから、その点でも前作はストーリーとアクションの相乗効果がしっかりかみ合っていたと思う。

ところが、本作ときたら。

何が問題って、ジャッキーの中国人としてのアイデンティティが全くゼロになっちゃってて、ほんとジョン・ウェインという名前のアメリカ人になっちゃってるんだよね。だから相棒のホンマもんアメリカ人との絡みも全然面白くない。

妹リンちゃんを主人公にした方が良かったんちゃうか。。

あ゛っ、次作“シャンハイ・モーニング”なんてのはナシだぞ(笑)。

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メダリオン(2003年・香/米・88分)DVD

 監督:ゴードン・チャン

 出演:ジャッキー・チェン、クレア・フォーラニ、リー・エバンス

 内容:聖なるメダルで死者を蘇らせることができる少年ジャイ。彼を狙う犯罪組織スネークヘッドを、香港警察のエディが追う。一度は命を落とすエディだったが、メダルの力で超人的パワーを得て復活する!スゴッ。。

評価★★★/60点

最初はハリウッド映画としてのいい加減さが目に付いてどうなることかと不安になったけど、途中からは香港映画としてのいい加減さが板について安心して見ることができたというオチ。

たとえハリウッドで映画を作ろうともジャッキー映画の基本は香港映画特有のいい加減さにあると思うわけで。そうじゃないとジャッキー映画は面白くならないのでっス!といういい加減な感想・・。

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80デイズ

80day 出演:ジャッキー・チェン、スティーブ・クーガン、セシル・ドゥ・フランス、ジム・ブロードベンド

監督:フランク・コラチ

(2004年・アメリカ・121分)2004/11/16・MOVIX仙台

評価★★/40点

内容:1956年にアカデミー作品賞受賞した「80日間世界一周」をジャッキーの製作総指揮・主演でリメイク。19世紀のロンドン。変わり種の発明家フォッグ氏は王立科学アカデミー長官ケルヴィン卿と80日間で世界一周ができるかどうか賭けをし、無謀な旅に出ることに。フォッグ氏のお供をするのは、イングランド銀行から有名な仏像を盗み、フォッグ氏の助手に成りすましているパスパルトゥーことラウ・シン(ジャッキー)だった・・・。

“シュワちゃん、サザエさんになるの巻!?いやいや、あれは「あたしンチ」に出てくるオカンそのものだぁッ!フ~~ッ、、、アホらし・・・。”

そもそもなぜジャッキーである必要があるのか。

徹底的にジャッキー色に染めてくれるのならまだしも、あれじゃただロケハンを映画にしただけだろ、おい。。

しかもスケールがどう考えても50年前のオリジナル版の方がデカイぞ・・・。

カメオ出演という言葉を生み出したともいわれる元祖デヴィッド・ニーブン版には、フランク・シナトラ、マレーネ・ディートリッヒ、シャルル・ボワイエ、バスター・キートンをはじめとして43人もの往年の大スターが出てくるけど、今回のはどうだ。

どっかの首相じゃないけどサプライズが足りへんよサプライズが。

しかしまぁオリジナル版はいろいろな意味でビッグだったわけで、トッドAO方式なる大型スクリーン方式で撮影され、エキストラは7万人!

それは1950年代後半という時代が映画産業に求めたニーズでもあったわけで、世界一周というプロットも含めその時代と見事にマッチした当時としては破格にビッグな映画だったのだ。

それでなければアカデミー賞で5部門も獲れるはずはなかろう。

だが、それから50年後のグローバリゼーション全盛の今の時代に八十日間世界一周をリメイクすることにどんな面白さを見出せるというのか。

企画段階で気付けよ、と言ってやりたいがネタ切れ問題が深刻なハリウッドにとってはワラをもつかむ気持ちだったのか・・・。

もう、やけのやんぱちでジャッキーを起用したとしか考えたくないけど、ハリウッド超大作と呼ぶにはあまりにも貧相で稚拙であり、またジャッキー映画と呼ぶにはあまりにも笑うに笑えない薄っぺらさである。

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THE MYTH/神話

Imgf27cfd53exz1i7 出演:ジャッキー・チェン、キム・ヒソン、レオン・カーフェイ、マリカ・シェラワット、チェ・ミンス

監督・脚本:スタンリー・トン

(2005年・香/中・120分)2006/03/27・MOVIX仙台

内容:我らがジャッキーが初めて挑んだ本格武侠アドベンチャー。考古学者のジャックは最近同じ夢ばかり見ていた。その夢に登場する美しい女性のことが頭から離れないジャックだったが、この夢が何を意味しているのか分からなかった。一方、今から2200年前、秦の時代。皇帝の信頼厚い将軍モンイーは、隣国の朝鮮から迎える新たな妃・ユシュウ姫の警護を任されるが・・・。

評価★★★★/80点

「グリーン・デスティニー」が火をつけ、それ以来毎年のように送り出されてきた武侠映画。

そこに最後の大物ジャッキー・チェンがついに重い腰を上げた、ということだけでもジャッキーファンの自分は感涙ものなのだが、一抹の不安としてあったジャッキーのアイデンティティであるコミカル要素がはたして武侠映画の要素と相容れるのかという部分も、現代(コミカルないつものジャッキー)と2200年前の昔(シリアスなジャッキー)という2段階構成にすることによって、ジャッキーの良さと特徴を活かすことに成功している。

2段階構成にしたことにより武侠映画としては異質になったものの、そのかわりストーリーに深みが増したこと、ジャッキーの硬軟織り交ぜた信頼に足るアクション、今までのジャッキー映画の中でピカ一の韓国美人女優キム・ヒソンが相手役となりロマン要素も十分、中国政府の前面協力によるスケール感アップと久々にジャッキー映画を心ゆくまで堪能できた気がする。

もちろんジャッキー映画に伝統的な稚拙さやご都合主義もいつになく健在なのだが、ジャッキーファンのオイラにとってはこの部分が健在であればあるほどジャッキー映画の良さが際立ってくると思っているので、その点でも合格点です。

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プロジェクトBB

Projekutobb 出演:ジャッキー・チェン、ルイス・クー、マイケル・ホイ、カオ・ユアンユアン、ユン・ピョウ

監督:ベニー・チャン

(2006年・香港・126分)2007/04/10・盛岡名劇

内容:ギャンブル狂のサンダル(ジャッキー)、妻がいながら他の女に貢いでいるフリーパス(ルイス・クー)、心を病んだ妻を抱える大家(マイケル・ホイ)は3人組の泥棒チーム。そんなある日、大家の家に空き巣が入り、盗んで貯めた大金が盗まれてしまった。追いつめられた3人は、ギャングのボスから仕事を請け負い、富豪のリー家から赤ん坊を誘拐してしまうのだが・・・。

評価★★★★☆/85点

「香港国際警察NEW POLICE STORY」(2004)でハリウッドナイズされたジャッキーの香港への原点回帰といえる帰還にもろ手を挙げて喜んでから3年、ついに香港でのジャッキーの本領発揮といえるアクションコメディがお目見えした!

「赤ちゃん泥棒」(1987)はたまた「スリーメン&ベイビー」(1987)をなぞったような、これぞ香港映画というユル~いストーリー、ジャッキー映画十八番のドタバタ劇、そしてジャッキーのコミカル&決死アクションの三拍子そろった、これぞ香港ジャッキー映画決定版といえる出来で、「ツイン・ドラゴン」(1992)を彷彿とさせる三拍子そろった楽天的なジャッキー映画を見ることができて非常に満足度は高かった。

必死の格闘バトルで死人が1人も出ないところもいつもながらに好感が持てるし、今回は吹き替えで観たんだけど、マイケル・ホイ役の広川太一郎の脱力オヤジギャグ満載のアドリブも炸裂して十分に楽しめる。

もうちょっとアクションの方に比重を置いてほしかったかんじもするけど、まぁ年だしねジャッキーも。あんまり無理されてもね。例えば、階段の長い手すり(しかもカーブがかっている)をうつ伏せになって頭から滑り降りるシーンひとつとっても、フツーに考えたら本当に危ないで。エンドロールのNG集にもあったけどさ。

ジャッキー最高!!

しかし、赤ん坊を投げるわ落とすわ引っ掴むわ爆走させるわ凍らせるわ電気ショックを与えるわ、、、アンタらちょっとやり過ぎだぞ(笑)。

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ドラゴン・キングダム

869cdda7 出演:ジャッキー・チェン、ジェット・リー、マイケル・アンガラノ、コリン・チョウ

監督:ロブ・ミンコフ

(2008年・アメリカ・105分)WOWOW

評価★★★★/80点

内容:ボストンに住む気弱なカンフーオタクの学生ジェイソン。ある日、彼は不良たちに脅されて、中国人の老人が経営する馴染みの質屋に盗みに入るハメに。そして不良に撃たれた老人に謎の棒を託されたジェイソンも追い詰められてしまい、ビルの屋上から転落・・・。が、目を覚ますと、そこは言葉も通じない古代中国だった。そんな中、ジェイソンの前にルー・ヤンという酔拳の達人が現れ、その棒がジェイド将軍によって石に封印されてしまった孫悟空の武器「如意棒」だと知らされる・・・。

“これがホントのドラゴンボールだ!!”

宮本武蔵vs佐々木小次郎、武田信玄vs上杉謙信、星飛雄馬vs花形満、バッファローマンvsウォーズマン、矢吹丈vs力石徹、孫悟空vsべジータ、アル・パチーノvsロバート・デ・ニーロ、、、

これらドリームマッチにまた新たな1ページが加わった。

ジャッキーvsジェット・リーshine!!

この2人の共演を見れただけでもファンとしては嬉しいかぎりだけど、往年のカンフー映画にオマージュを捧げつつ、元祖酔拳のジャッキーと元祖少林寺拳法のジェット・リーという最高の素材を甦らせた手腕もなかなかのもので、しかもこれを実現したのがアメリカ映画というところがスゴイしビツクリ。

かなり香港映画のお勉強というか好きじゃないとこういうのは作れないと思うんだけど、2人のキャラを殺さずに両雄並び立たせた作り手の上手さには思わず納得してしまった。

スター・ウォーズでいえば、オビワン・ケノービとマスター・ヨーダにジャッキーとジェット・リーをあてて、2人の間にルーク・スカイウォーカー役のカンフーオタク少年を介在させるつくりは、まぁ型にハマりすぎているといえばそれまでだけどもね。

でも、これしか選択肢はなかっただろうし、あるいはハリウッドに対抗して本場香港でホンモノの1本を2人に作ってもらうってのは欲張りかな。。

2009年9月22日 (火)

夢のシネマパラダイス17番シアター:人は泣き、笑い、叫び、そして歌う

エディット・ピアフ~愛の讃歌~

Lavieenrose_2_1a 出演:マリオン・コティヤール、シルヴィー・テステュー、パスカル・グレゴリー、エマニュエル・セニエ

監督・脚本:オリヴィエ・ダアン

(2007年・仏/英/チェコ・140分)WOWOW

内容:1915年、フランス・パリ。第一次大戦に出兵中の父、路上で歌を歌い日銭を稼ぐ母のもとに生まれた少女は、その後祖母が経営する娼館に預けられた。やがて兵役から戻った父に引き取られると、路上で大道芸をする父の手伝いをする中で、自らも人前で歌うことを覚える。そして1935年、彼女はパリ市内の名門クラブのオーナー、ルイ・ルプレにスカウトされ舞台に立ったことで大きな転機を迎えることになる・・・。伝説のシャンソン歌手エディット・ピアフ、彼女の47年間の激動の生涯を綴った伝記映画。アカデミー主演女優賞を受賞。

評価★★★☆/70点

晩年のエディット・ピアフと若かりし頃のエディット・ピアフをランダムにクロスオーバーさせた構成はあまりにも拙く、伝記映画としては下手な部類に入ると思うのだけど、マリオン・コティヤールの圧巻の演技が全てをわしづかみにしていったかんじで、終わってみれば映画の中に引きずりこまれっぱなしの140分だった。

とにもかくにもマリオン・コティヤールのバケモノ演技は必見で、エディット・ピアフはどういう人物でどういう人生を送ったのか、それすら途中からどうでもよくなってくるほどだ。

普段の下卑た声と話し方から一転、歌いだすと天性の歌姫に変貌する様は、自分の世代からいうと美空ひばりよりは浜崎あゆみと通じるものがあるように思うのだが、歌うことをやめたら自分を信じられなくなる鬼気迫る姿を全身で表現し、身を震わせて歌うという言葉を文字通り体現したエディット・ピアフ=マリオン・コティヤールに圧倒され、思わず涙してしまった。

特に、彼女の初コンサートシーンで、あえて歌声を流さず、ステージ上での彼女の一挙手一投足のパフォーマンスのみを静謐に捉えた演出は白眉で、ただただスゴイの一言。

どうやら歌のシーンはほとんどがピアフ本人の本物の歌声を吹き替えしてるそうだけど、それにしたってマリオン・コティヤールの演技は絶賛されてしかるべきで、アカデミー賞獲ったのも納得できる。

音楽映画では、ビョークの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000)以来の衝撃を味わわせてもらった。

それにしても「TAXi」シリーズで、ことあるごとにエッチをすっぽらかされるコメディエンヌぶりとエロ可愛さが印象的だったマリオン・コティヤールが、こんな怪演を見せるなんて思いもしなかったなぁ・・・。

女優って、凄い。。

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サラフィナ(1992年・南ア/英/独・97分)NHK-BS

 監督:ダレル・ジェームス・ルート

 出演:ウーピー・ゴールドバーグ、レレティ・クマロ、ミリアム・マケバ

 内容:1968年、アパルトヘイト政策下の南アフリカ。ソウェトの黒人居住区に住むサラフィナはスターになることを夢見る高校生。担任でもあり、アフリカの真実の歴史を教え込む良き歴史教師のメリー先生のもとで楽しい学校生活を送っていた。そんな学校生活で1番の目玉は学園祭。そしてその学園祭でサラフィナたち生徒はメリー先生の指導のもと、出し物にネルソン・マンデラを主人公にした創作ミュージカルをやろうとするのだが、、、そんなある日、子供たちに危険思想を植え付けたとしてメリー先生が警察に連行されてしまう。。。学生によるアパルトヘイト抵抗運動「ソウェト蜂起」をテーマにした同名ブロードウェイミュージカルの映画化。

評価★★★☆/70点

“人は泣き、笑い、叫び、そして歌う”

単なるメッセージ映画としか言いようがない出来なのが惜しいが、この映画にみなぎるパッションとエネルギーにはもの凄いものがある。

それゆえミュージカル仕立てにした真意も空回りしてしまっているのだが。。

しかし、対話の中で歌ほど人の心に届きやすいものはないわけで。ただの言葉よりも。

絶望と希望の狭間でうごめく人々、その人間性の最後の拠り所として歌ほど大きい力はないのはたしかなのだ。

2009年9月19日 (土)

夢のシネマパラダイス128番シアター:シンドラーのリスト

Mp132 出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングスレー、レイフ・ファインズ

監督:スティーブン・スピルバーグ

(1993年・アメリカ・195分)盛岡フォーラム

評価★★★★★/100点

内容:第二次世界大戦下、1200人のユダヤ人の命をナチス・ドイツの虐殺から救った実在のドイツ人実業家オスカー・シンドラーの生涯を描いたヒューマンドラマ。トーマス・キニーリーが実際にシンドラーに助けられた人々の証言をもとに構成したノンフィクション小説をもとにしている。

“人が撃たれて棒切れのごとく倒れるシーンや、しおれた死体が焼かれるシーンより何よりも絶句してしまったラスト。”

シンドラーに命を救われた人々が、演じた役者たちとともに彼のお墓参りをするラストのエピローグ。

もう言葉にならなかった。

映画といういわば創作の中に実体としての存在が姿を現す。

ホロコーストという事実を伝えていかなければならない、語り継がなければならない、風化させてはいけないというスピルバーグの並々ならぬ強い意志を感じ取ることができる。

広義としての娯楽という枠を超えたこの映画のパワーに敬意を表して★5つにします。本当は序列などこの映画には必要ないし、あまりつけたくもないのだけど、原作、脚色がある以上やはり評価しなければならないかなと考えました。

しっかし、あのゲート所長も実在の人物ってとこが恐ろしいよなあ。架空の創作人物だとばっかり思っていたので。。

でも、1番観ていて言い知れぬ怖さに震えたというか引っかかったのは、ゲート所長の無差別射撃でもなければ赤い服の少女の遺体でもない。

それは、貨車に詰め込まれたユダヤ人たちにシンドラーが水をかけてやるシーンで、それを見てヘラヘラ笑っているドイツ軍人たちの姿を見たときだった。

なんとも言い知れぬ嫌悪感と恐怖感に襲われた。

人が簡単に無意味に撃ち殺されるシーンなどは、あまりにも自分の住む現実世界からは程遠い出来事なので、主観の入り込む余裕さえない、いわばあくまでも客観的に距離を置いて見るしかなかったのだが、あのシーンだけは違ったのだ。

自分の住む現実の日常にも潜んでいる差別、イジメみたいなものの本質が1番端的に現れていると感じたのだ。なにか自分にも身に覚えがある、、みたいな。

卑劣な行為を繰り返すドイツ軍と自分との間に接点みたいなものを感じてしまい急に恐ろしくなった。もし、あの時代あの場所で自分がドイツ軍人だったら同じことをしてしまうのではないか、と。

シンドラーの言葉が忘れられない。

「ゲート所長も戦争がなければ普通の良い男だ。日常の世界では良い部分しか表に出ない。戦争は人間の最も悪い部分を引き出す・・・本当のパワーとは人を殺す正当な理由がある時に殺さないことだ。」

そう、それは許すこと、、、。

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ヒトラーの贋札

Nise_2 出演:カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール、デーヴィト・シュトリーゾフ

監督・脚本:ステファン・ルツォヴィツキー

(2007年・独/オーストリア・96分)WOWOW

内容:第二次世界大戦の最中、ナチスは米英の経済崩壊を狙うため贋ポンド札を製造するベルンハルト作戦を計画。世界的贋作師サリーや印刷技師ブルガーなどザクセンハウゼン強制収用所にはユダヤ系専門家たち数十人が集められた。収容所内で破格の待遇を受け、贋ポンド作りに従事するサリーたちだったが、自分の延命と引替えに同胞を苦しめるナチスに荷担するジレンマに次第に葛藤と苦悩を深めていく・・・。

評価★★★★/75点

贋札というと、真っ先に「ルパン3世カリオストロの城」に出てくるゴート札を思い出しちゃうんだけど、実際に国家ぐるみの贋札製造作戦があったなんて初めて知ったな。

と同時に、戦争ってのは手段を選ばない何でもありのものなんだなということも実感。

その最たるものがホロコーストなわけだけど、命の灯を簡単に握りつぶされてしまうような苛酷な状況の中で、その殺戮者たちの悪事に手を貸さなければならないなんて・・・。

しかもその悪事が成功すれば、ますますもって家族や同胞を苦しめることにつながってしまう。が、逆に失敗すれば、即ガス室送り・・・。

自分の命と正義感を天秤にかけられるという究極の選択、その苦悩と葛藤の中で描き出される生への執着と一縷の信念。

こんなことを言ってはあれだけど、一級の娯楽作として申し分ない要素を兼ね備えた作品に仕上がっていたと思う。

まるで収容所というよりは刑務所を舞台にしたスリリングな犯罪劇でも見ているようなかんじで、ホロコーストを扱った今までの作品群とは趣を異にする視点だったけど、薄っぺらい壁一枚隔てた向こう側に横たわる累々たる死がホロコーストの恐怖をいやが上にも実感させて緊張感は途切れることがない。

また、主人公サリーの人物像も、転んでもただでは起きないような狡猾でズル賢いキャラクターで、そういう視点でも面白い作品だったと思う。

ホロコーストについて毎度のごとく考えさせられるとともに、究極の人間ドラマとスリリングなサスペンスの娯楽作としても楽しめてしまうトンでも映画。

それが「ヒトラーの贋札」なのです。。

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夜と霧(1955年・フランス・32分)NHK-BS

 監督:アラン・レネ

 内容:ポーランドのアウシュビッツ強制収容所に関する短編記録映画。第二次大戦中のナチスによる残虐行為の数々を、カラーでとらえた廃墟のアウシュビッツと、モノクロの当時の再現場面とのモンタージュ構成によって描き出す。

評価:点数なし。点数を付けたくありません。。

観る前の30分。「おおし、これ見たらプレステやっぞー!」

観ている30分。胃がキリキリと痛む悪夢・・・。

観た後の30分。・・・・・・・・・。

しかし、1時間後にはゲームという仮想世界に逃げ込んでしまうのだった・・。

ただ、自分にできること。この映画を観た記憶を忘れない。この映画を忘れない。

2009年4月12日 (日)

夢のシネマパラダイス426番シアター:ナショナル・トレジャー★ブラッカイマー印★

ザ・ロック

Rockposter 出演:ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー、エド・ハリス、マイケル・ビーン

監督:マイケル・ベイ

(1996年・アメリカ・137分)仙台日之出プラザ

評価★★★★/80点

内容:毒ガス兵器を所持する連中にアルカトラズ島が占拠され、国防総省に1億ドルの要求を突きつけてきた。FBIの化学兵器スペシャリストとアルカトラズ刑務所からの唯一の脱走者である元英国諜報員が潜入。自ら心臓に解毒剤を打つなど今回もN・ケイジはハイテンション全快!

“どう見ても緑色のでかいスーパーボールを20コ数珠つなぎにしたモノにしか見えない。”

それなのにあのボール地べたに落としても弾まないでやんの(笑)。。

それはそうとこの映画、設定が見事なことは言うまでもないし、ブラッカイマー組もその点についてはお手のものなのだが、その初期設定の転がし方が“らしくない”のだ。

ドッカンドッカン直滑降で突き進んでいくのが売りのブラッカイマー組らしからぬ理性的な転がし方とさじ加減で捌いていくことに良い意味で拍子抜けというか驚いた。

だって反乱の首領がラストに「バカなことをしてしまった。」と後悔するなんて(笑)。

ただこの展開の仕方については、殊にブラッカイマーだからこそ評価したいし、なんといってもショーン・コネリーの存在が大きい。

ショーン・コネリーの存在感が、ブラッカイマーのB級魂を食い破った、そんなところだろう。

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ナショナル・トレジャー(2004年・アメリカ・131分)2005/03/30・MOVIX仙台

 監督:ジョン・タートルトーブ

 出演:ニコラス・ケイジ、ハーベイ・カイテル、ジョン・ボイト、ダイアン・クルーガー

 内容:はるか彼方の昔より伝来し封印された秘宝を解くカギは、アメリカ独立宣言にあった!?伝説の秘宝を追う歴史学者にして冒険家のベン・ゲイツは、秘宝の謎を解く鍵を発見するのだが・・・。

評価★★★/65点

ファミ通今週号の豪華目玉付録は、ウォルト・ディズニーが提供するアドベンチャーゲーム「ナショナル・トレジャー」の最短攻略チャート完全収録DVD!!

なんとこのゲーム、最短攻略チャートに沿ってやれば2時間足らずでクリアーできます。

それをいちいち懇切丁寧に映像で収録してくれるのだから、これほどありがた迷惑なことはないのだ、、、いや、ありがたいことはないのだ。。

えっ?それをスクリーンで大々的にかけるって?い、いいんじゃないスか・・・ハハハ。

そんな映画です。

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ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記

Nt2 出演:ニコラス・ケイジ、ジョン・ヴォイト、ハーヴェイ・カイテル、エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、ヘレン・ミレン

監督:ジョン・タートルトーブ

(2007年・アメリカ・124分)2008/01/10・盛岡フォーラム

内容:リンカーン大統領暗殺にまつわる講演をしていたベン・ゲイツ。と、そこにウィルキンソンと名乗る古美術商が乱入してきて、暗殺犯の一味の名前を記した失われた日記の一部を提示。なんとそこには、ベンの先祖の名が記されていた。大統領暗殺者の末裔という汚名を着せられてしまったベンは、先祖の無実を晴らすべく調査を開始するが・・・。

評価★★★★/75点

コースガイド付き攻略本に沿ってテンポよくサクサク進んでいくような展開は前作と同様だが、ファミリーものにしたことで、よりハリウッド王道路線を地で行く映画になった。

こういうのはもう何も考えないで見ないとダメやね。今回、オイラにはそれが吉と出たかんじ。。

特に、名だたる名優陣が宝探しに躍起になって滑って転げ回って水浸しになるドタバタ劇を見るのはかなりツボにハマりますた。だって、この1年前にエリザベス女王を演じてアカデミー賞獲ったヘレン・ミレンがでっせ(笑)。しかもその息子が女王の書斎に忍び込んじゃうんだから・・。ドツボっス。

敵役エド・ハリスもなにげに人が良くて、前作のショーン・ビーンもそうだったし。なにかと憎めない映画でもあるんだよね。またまた続編に期待でッス。

でも、お次はアメリカ史じゃなくてもっと世界に飛び出していってもらいたいな。たかだか220年ちょいしか経っていないアメリカ史はやはり底が浅いし、ロマンも薄れ気味なので、やっぱインカとかエジプトとかさー。

あっ、日本でもええのよ。仁徳天皇陵でドンチャン騒ぎ、、って宮内庁が黙っとらんかw。。

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デジャヴ

Taqkmixzen 出演:デンゼル・ワシントン、ポーラ・パットン、ヴァル・キルマー、ジム・カヴィーゼル

監督:トニー・スコット

(2006年・アメリカ・127分)2007/03/25・盛岡フォーラム

評価★★★★☆/85点

内容:ハリケーン・カトリーナの傷跡が色濃く残るニューオーリンズ。ミシシッピー川で500人以上もの犠牲者を出した凄惨なフェリー爆破事件が発生する。捜査を開始したATF捜査官ダグ・カーリンは、川岸で発見された女性の焼死体の発見の通報が、フェリー爆破の前だったことを知り、この女性クレアが事件の鍵を握っていると確信する。そしてFBIへの協力を要請される中で、ダグは政府が極秘に開発した“白雪姫(タイム・ウィンドウ)”と呼ばれる映像装置を見せられる。それは、4日と6時間前の映像をリアルタイムで再生できる驚くべきシステムだったのだが・・・。

“ん?どっかで見たことのある顔だなぁ、、、ていうかこれってデジャヴ!?”

、、、ていうかヴァル・キルマーじゃん(笑)!!

ドッヒャーー、、L|゜0゜|7ぅそぉぉ...

ヴァル・キルマーの顔が1番のデジャヴだったというオチ・・・。

まぁそれはともかく映画自体も相当にエーッッ!!Σ(゜□゜)ノ系ってな映画だったもんで。

ジェリー・ブラッカイマー印といえばそれまでだけど、でも、どう考えてもそりゃオカシイだろというツッコミどころ満載な荒唐無稽映画を作れるのはハリウッドしかなく、しかもそういうツッコミを力づくでねじ伏せて、ブラックホールのような求心力で考えさせるヒマなく最後まで一気にグイグイ見させてしまう映画を作れてしまうのもハリウッドでしかなく、しかもそういう映画に出会えた時ほど映画の面白さを実感できることはない。

映画ってどこかで必ずウソをつくものだと思うし、そうじゃないと映画にはなりえないと思うんだけど、この映画のようなミエミエのウソをつきまくった中で、それを凌駕する発想でもってウソに説得力をもたせ、ハリウッド十八番のご都合主義で爽快にまとめ上げてしまう、こういう大ウソつき映画はっきりいって大っ好きなんです、ハイ(笑)。

まぁそれがタイムパラドックスものの醍醐味といえばそれまでなんだけど、経験したことがないことを以前に経験したことがあるように感じるというデジャヴを、タイムパラドックスにつなげてしまう語り口と発想の巧さというのはやはりスゴイな、と。

なにやら“ホイーラー境界”だとか“アインシュタイン=ローゼンの橋”、“分岐宇宙論”だとか右から左へ受け流したくなるようなわけの分からんご託にも妙に知識欲をくすぐられちゃったし、4日と6時間前の映像を壁を通り抜けるなどなんでもござれで見れてしまう監視システム“白雪姫”も面白い。

複数の衛星による三角測量で熱源を感知する云々というくだりなんてGPSそのものだと思うんだけど、いまや自分のパソコンのグーグルアースで自宅の物置がくっきりと映し出されているのを目の当たりにできちゃう時代だから、なんかこんなん将来作れそうなんて思えてくるし。でも、まさかそのものズバリのタイムマシンだったとは思いもよらなかったけど。。

そういえばトニー・スコットの兄貴であるリドリー・スコットの「ブレード・ランナー」で、一枚の写真を立体的な3次元映像にしてその中を奥行きなど無関係に自由自在に見れるという装置があったけど、今回のはその改良型なのかななんて。

そしてそしてなんといってもゴーグルという陳腐な小道具の使い方ね(笑)。

カーチェイスを撮りたいがためだけにあつらえられたようなものだけど、しかし「マトリックス・リローデッド」でこれ以上のカーチェイスはもうないだろと思っていただけに、まさか時空を超えた追跡劇を見せられるとは思わなかった。度肝を抜かれやんした。

ジェリー・ブラッカイマー&トニー・スコット黄金コンビでは1番面白かったかも。

ていうか「エネミー・オブ・アメリカ」もこのコンビだったような・・・。

2009年3月27日 (金)

夢のシネマパラダイス293番シアター:殺人の追憶

ゾディアック

20071111_256484 出演:ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr、アンソニー・エドワーズ、ブライアン・コックス

監督:デヴィッド・フィンチャー

(2006年・アメリカ・157分)CS

評価★★★★/75点

内容:1969年7月4日、カリフォルニアで若いカップルが銃撃され、男性は一命をとりとめたものの、9発もの弾丸を浴びた女性は絶命、警察に通報してきた男が自分が犯人だと言い残した。それから約1ヵ月後の8月1日、新聞社に一通の手紙が届いた。それは、のちに自らを“ゾディアック”と名乗る者からの犯行声明で、差出人に通じる暗号文も添えられていた。そして、その暗号文を新聞の一面に載せなければ大量殺人を決行すると脅迫してきたのだった。以来、新聞記者エイブリーと風刺漫画家グレイスミスはこの事件に没頭していくことになる・・・。

“「ダーティハリー」のハリー・キャラハン刑事の行動が初めて理解できた気がする。。”

1968年のクリスマスに幕を開けた“ゾディアック”による連続殺人事件と、その最も危険なゲームに翻弄されつづけた4人の男の人生。

10日後、、1ヵ月後、、3ヵ月後、、半年後、、1年後、、1年半後、、2年後、、4年後、、7年後、、、と矢継ぎ早かつ淡々と時間と場所を飛ばしていき、結局1991年にロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)が本を出版するまでの23年間にわたる長いスパンを描いていくのだが、2時間40分の長尺の中でデヴィッド・フィンチャーにしてはかなり単調な構成になっていて、観る側にかなりの労苦と忍耐を強いるものになっている。

しかし、それが逆に泥沼にはまって抜け出せなくなった事件捜査関係者の徒労と疲弊、そして人間の知への果てなる探求心やマニアックなまでの欲求をも体感させるものになっていて、最後までジッと見入ってしまった。

そして、ドッと疲れた・・・。

掴めそうで掴めないジレンマ、解かれることを望まない謎、限りなく黒に近い灰色、トークショーに生出演したシリアル・キラー、、、追えば追うだけハマる迷宮。。そして、2時間40分咀嚼し続けなければならない徒労感。

しかし、結局映画を通して最も見せつけられたのは、1番この事件にのめり込んだのは間違いなくオレなんだ!と自信をもって豪語しているデヴィッド・フィンチャーの自己顕示欲だったというオチ・・・。

「セブン」や「ゲーム」などとはまた違った形で今回またそれを見せ付けられたかんじがして、胸くそ悪くなってきた(れっきとしたホメ言葉ですので・・・w)。

しかし、「ダーティハリー」でイーストウッドが44マグナムを問答無用で犯人(ゾディアックがモデルになっている)のどてっ腹にブッ放し、警察バッジを投げ捨てたのも分かるわなぁ、今回のを見ちゃうと。。

あな恐ろしや・・・。オイラはこんなんハマりたくありません。。。

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殺人の追憶

Mom出演:ソン・ガンホ、キム・サンギョン、パク・ヘイル、キム・レハ

監督・脚本:ポン・ジュノ

(2003年・韓国・131分)2004/04/06・とうきゅうスクエア

内容:1986年、ソウル。若い女性の変死体が発見された。その後も同じ手口の殺人事件が連続して発生。特別捜査本部が設置され、個性も操作方法も全く違う2人の刑事が事件の解明にあたる。韓国を震撼させた実際に起こった未解決連続殺人事件をもとにしたサスペンス。

評価★★★/65点

時代の空気や背景、歴史といったベースをかなり意識したつくりになっている映画だと思うが、それらがDNAに刻み込まれている韓国の人々にとっては自分と社会、時代とのつながりや関わりを事件を通して追体験するという側面もあると思うわけで、彼の国の人にとってはまさに追憶たりうる映画だと思う。

しかし、韓国で行われていた防空訓練なぞ知りもしないオイラみたいな日本人にとっては、この映画で残るものといえば拷問フェチの暴力変態デカをはじめとするただの韓国変態オトコ図鑑のインデックスだけで、、はっきりいえば。

手の込んだ残虐な殺人や暴力、またそれに対する怒りをただなぞって見ていくことはできても、時代を追憶していくことなんてまずもってできないわな。下手すりゃ妄想でっせ。。

まぁでも、終盤からラストにかけての圧倒されんばかりの描写力をはじめとして最後まで見せきる力をゆうに持った作品であることは確かだけども。

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インソムニア

Pac2_2 出演:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムス、ヒラリー・スワンク、モーラ・ティアニー

監督:クリストファー・ノーラン

(2002年・アメリカ・119分)2002/09/22・MOVIX仙台

評価★★★/60点

内容:24時間太陽が沈まないアラスカの町ナイトミュートで、爪を切られ洗髪された17歳の少女の全裸死体が発見される猟奇殺人事件が発生。ロス市警から派遣された不眠症の刑事、地元の女性刑事、犯人の三つ巴の心理劇が繰り広げられる。

“インソムニアって体長10cmくらいのムカデかなにかの虫の学術名かと勝手に思ってた。とにかく足がいっぱいあるやつ・・・?”

予備知識は猟奇殺人ものということしか知らなかったので、何なんだろうインソムニアってと考えてたら、なんか古生代や中生代あたりから生き永らえている虫の名前にありそうだなと勝手に思ってしまったんだい。

そして死体からそのムカデが出てくる。。プチプチッて。ウゲェッ、オェッ。

でもなぜ死体からムカデが、、どうやって死体にムカデを入れた、、いやもしかして生きている間に体内に?、、とかなんとか勝手に想像してしまったんだい。

そしたらなああんだ、、、不眠症かよっ・・・。

しかも冒頭からすでに、あ、犯人ってロビン・ウィリアムスだとすぐに感づく。

となるとアル・パチーノら捜査陣はいかにしてロビンにたどりつくのか、そのプロセスを丹念に追っていく久々の正統派路線をとるんだろうな、と序盤の作り込みを見てて勝手に思った。

が、しかし、、あ゛っ、仲間撃った・・・え?

と霧の中の事故からいきなりそれまでの路線を脱線して別路線へと乗り換えてしまった。

オイラは正直とまどってしまった。

だって「セルピコ」であんなに熱血で正義感の塊の新米警官だったパチーノが、30年後には自己保身に奔走してるんだもの。そんなのありってかんじ。。

でもラストで警官としての道を再度取り戻したので良しとするか。

ただこれだけは確実にいえるな。

「セルピコ」のときからずっっと不眠症だったと(笑)。

あ、「セルピコ」のラストでも死ぬんだった・・・。

2009年3月 2日 (月)

夢のシネマパラダイス338番シアター:“グローリー・トゥ・ザ・フィルムメーカー”北野武vol.2

キッズ・リターン

Kids 出演:安藤政信、金子賢、石橋凌、森本レオ、山谷初男、寺島進、丘みつこ

監督・脚本:北野武

(1996年・日本・108分)仙台フォーラム

評価★★★★/75点

内容:偶然に再会したシンジとマサルの高校時代の回想から物語は幕を開ける。2人はいつも授業をさぼって悪ふざけをしていたが、けんかで負けたことをきっかけにマサルはボクシングを始める。が、素質を見出されたのは彼にくっついて入門したシンジの方だった。マサルはボクシングをあきらめ、ヤクザの道に進む。それぞれに成功をつかんだ2人だったが、やがて運命に引きずられるようにして転落していった。。

“親が出てこないのが少々気になるくらい。”

まぁ、先公があのバカ共はほっとけとサジを投げてるくらいだから、それ以前に親は投げ出しちゃってるはずなんだろうけども。

でも、家庭を描かないことでこの映画がパーソナルな映画になっているかといえばそうともいえない。

なぜなら同じかていでも過程の方も描いていないわけだから。

その手法が北野流といえる特徴ともいえるし、北野映画の独特な味と色を醸し出していて個人的には好きなのだけども、ただあのラストの「まだ始まってねえよ。」という決め台詞。

少なくとも彼らが家庭・ファミリーと過程・プロセスを顧みることをしなければ同じことの繰り返しにしかならない何の意味も成さない言葉になってしまうことだけは確かだ。

まぁ北野映画には一貫して家庭の影が皆無だし、過程に関してもいかに排除し省略していくかが第一にあるから、北野映画の手法も諸刃の剣ではあるのかもしれない。

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菊次郎の夏

Kikujiro 出演:ビートたけし、関口雄介、岸本加世子、吉行和子、細川ふみえ

監督・脚本:北野武

(1999年・日本・121分)1999/06/12・ルミエール1

評価★★★★/80点

内容:浅草で祖母と暮らす小学3年生の正男は、夏休みを利用して写真でしか見たことのない母に会いに行くことを決意。そんな正男を心配した近所のオバハンは、無職でブラブラしている夫・菊次郎を同行させることにする。嫌々引き受けた菊次郎は、正男との旅も右往左往でいい加減。だがそんな2人の間にもやがて交流が生まれ、ついに正男の母と対面の時を迎えるが・・・。

“映画監督北野武とお笑い芸人ビートたけしのバランスが加速度的な崩壊をみせていくのにもかかわらず、物語は破綻するどころか加速度的な面白さと求心力をみせていく。”

お笑いのネタやセンスだけを取り上げればはっきりいって古臭いのだが、ビートたけしだからこそ許される、ビートたけしだからこそ笑えるギャグの数々が映画の中でほとんど暴走気味といっていいくらいに発揮されている。

まぁようするに面白いんですわ。

しかも映画がちゃんと成立しちゃってるんだもんなぁ。

実は暴走しているかに見えたビートたけしは、映画監督北野武の手のひらでちょこまか動き回っているにすぎなかったと、そういうことなのかもね。

笑いのセンスは言わずもがな、映画のセンスもやっぱ相当あるわなと再実感。。

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あの夏、いちばん静かな海。

Anonatsu 出演:真木蔵人、大島弘子、河原さぶ、藤原稔三

監督・脚本:北野武

(1991年・東宝・101分)NHK-BS

評価★★★★/75点

内容:耳が不自由な青年と少女の淡い恋を、台詞の少ない簡潔な映像や、北野監督独特の編集技術で描き出したラブストーリー。清掃車のアルバイトをする聴覚障害者の茂は、壊れたサーフボードを拾ったのを機にサーフィンを始めた。同じ障害者で茂の恋人の貴子は、いつも浜辺で彼を見守っている。やがて茂はサーファー仲間とも親しくなっていき、大会にも出場するようになったのだが、夏が終わるとともに茂の姿は海辺から消えていた・・・。

“オレンジの皮むきならオイラにまかせろ!”

だって下手なんだもんあの人たち。

ま、そんなことよりこの映画はあれだな、記録には残らないけど記憶には絶対残る映画だな。

バックグラウンドで波の音ってのはすごく好きだし。だからサザンの“チャコの海岸物語♪”も好きなのです、、映画と関係ねぇー。

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その男、凶暴につき

Sonootoko 出演:ビートたけし、白竜、岸部一徳、川上麻衣子、芦川誠、佐野史郎

監督:北野武

(1989年・松竹富士・103分)WOWOW

内容:人気タレントのビートたけしが本名の北野武名義で初監督に挑戦した暴力性みなぎるハード・バイオレンス。マイペースゆえに署内でも孤立している刑事の吾妻は、同僚の刑事を巻き込んだ麻薬組織の暗躍を知り、後輩の菊池とともに事件の真相を追った。売人を締め上げて、表向きはレストランの経営者である黒幕の仁藤に接近した吾妻は、仁藤が差し向けた殺し屋の清弘に命を狙われる。。。

評価★★★☆/70点

まるでしなった鋭利な刃の上をヒタヒタと進むようなヒンヤリとした緊張感、そして静寂と暴力の不思議で刺激的な共存。

危険な美的世界。

1作目から北野映画たる世界観を完璧に確立してしまえるというのはやはりただ者ではない。しかし、当時それを見抜いていたのは淀長だけだった・・・。

夏祭り、海、車の後部座席、、、北野映画のベースがすでに詰まっているのも見所。

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ソナチネ

Sonatine 出演:ビートたけし、勝村政信、大杉漣、寺島進

監督・脚本:北野武

(1993年・松竹・93分)DVD

評価★★★/65点

内容:北嶋組の幹部・村川は、友好団体の中松組の助っ人をすることになり、弟分の片桐やケンらを連れて沖縄を訪れた。中松組と敵対する阿南組は村川たちが来たことでかえって刺激され、抗争はますます激化。村川たちは中松組幹部の上地とともに、海の近くの廃家に身を隠す。何もすることがなくなった村川たちはダラダラとした日々を過ごすが・・・。

“ダウンタウンのガキ使ばりの幼稚で過激な内輪遊びと夏休みごっこ。そこに死臭漂うフィルターをかぶせると身もすくむような美しさと熱さと冷たさが意味もなく押し寄せてくる。”

熱いものに触れて、パッと手を引いたら実はそれは異常に冷たいものだった。。

冷酷な凶気と内なるパッションは表裏一体。

それを燦々と太陽が照りつける灼熱の沖縄に焼き付ける。

暑いはずなのに、そぞろ寒い悪寒に襲われて見ていて怖くなってくる。

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BROTHER(2000年・日/英・114分)WOWOW

 監督:北野武

 出演:ビートたけし、オマー・エプス、真木蔵人、大杉漣

 内容:ヤクザ同士の抗争で組織を追われた男がアメリカのロスに移住し、そこで腹違いの弟と出会う・・・。北野映画おなじみのバイオレンス・アクションが繰り広げられる北野監督第9作目。

評価★★★/55点

世界標準という言葉が耳に痛い。指詰めより腹切りより何よりこの言葉が痛ぇーーwobbly。。

2009年2月22日 (日)

夢のシネマパラダイス236番シアター:激動「中国」

さらば、わが愛/覇王別姫

94e89a495ca95p 出演:レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リー

監督:チェン・カイコー

(1993年・香港・172分)DVD

評価★★★★★/95点

内容:京劇の古典「覇王別姫」を演じる2人の役者の愛憎を、50年に及ぶ中国の激動の時代を背景に描いた大河ドラマ。幼い頃から兄弟のように育った段小と程蝶衣は、京劇「覇王別姫」のコンビとして人気を博していた。段小はある日、しつこい客に絡まれていた娼婦の菊仙を助けたことがきっかけで、彼女と結婚する。少年時代から段小にほのかな恋心を抱いていた程蝶衣は、二度と共演はしないと捨て台詞を吐いて彼の前を去るが・・・。

“恥も外聞もかなぐり捨てた人間の愛憎劇と、中国の恥部を赤裸々に描き出した歴史描写。恥の上塗りがこの映画を貶めてしまうのかと思いきや、全く別次元のレベルにまで映画を押し上げている。”

この映画を観てから知ったんだけど、京劇の歴史ってまだ200年くらいなもんだと知ってちょっと驚いた。中国5千年の歴史からすれば200年って、、、ね。

しかも「覇王別姫」の初演は1921,2年だという。

つまりこの映画はそのまま京劇、そして「覇王別姫」のたどった運命を描いているともいえるわけだ。

ときには時代の中でもてはやされ、ときには売国奴として、ときには旧体制の遺物として糾弾、迫害を受けるティエイーの姿は、そのまま京劇そのものの姿に置き換えることもできよう。

そして嵐のような時代の流れに呑み込まれていった京劇の歴史を考えたとき、京劇役者のティエイー、シャオロウ、そしてシェンが繰り広げた愛憎劇、そして彼らの悲劇はまさに運命としかいいようのないものであったといえる。

中国をたゆたう悠久の大河のごとく流れる歴史の中に呑み込まれていった京劇と京劇役者の人間たち。

映画を観終わって無常観を感じずにはいられなかった。

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長江哀歌

Flr_2 出演:チャオ・タオ、ハン・サンミン、ワン・ホンウェイ、リー・チュウビン

監督・脚本:ジャ・ジャンクー

(2006年・中国・113分)DVD

内容:中国悲願の一大国家事業、三峡ダム建設により水没することが決まっている古都・奉節。山西省の炭鉱夫サンミンは、16年前に別れた妻子を捜してこの街にやって来る。一方、2年前に三峡の工場に働きに出たっきり音信不通の夫グォ・ビンを捜しにシェン・ホンも山西省からやって来た・・・。愛する人を捜してこの街にやって来た男女の物語を軸に、ダム建設により移住を強いられ困難に直面してもなお懸命に生きる市井の人々の暮らしを描く。ヴェネチア国際映画祭グランプリ。

評価★★★★☆/85点

映画というものが持つ側面に、世界の現在ともいうべきものが色濃く影を落としているとするならば、今回の映画ほどリアルタイムの“今”を写し取った作品はないだろう。

北京オリンピックに湧いた華やかな中国は記憶に新しい。

しかし、この映画で描かれる中国は、開発独裁のもと急速な経済発展を遂げている中国の別の現実、悠久のロマンあふれる景色の裏側に横たわる厳しい現実を突きつける。

三国志の舞台にもなった長大な歴史の積み重ねを一瞬でジャラジャラポンにしてしまうくらいの奔流押し寄せる現代中国の不調和な光景が目の前に展開され、思わず息をのんでしまう。

しかも、その不調和でシュールな光景はなんとも映画的すぎるほどに映画的で、ラスト近くのビルの崩壊シーンなんかは、デヴィッド・フィンチャーの「ファイト・クラブ」(1999)がいとも容易く霞んでしまうほどの強烈な情景で、ただただ圧倒されてしまう。

もし、携帯電話が出てこなかったら、昭和3,40年代の頃の風景ととられてもおかしくないような情景なのだが、しかし、今の中国はまさにそういうアンバランスさの上に成り立っている状態なのかもしれない。

その点でいえば、ラストに出てくる綱渡りのロングショットはなんとも意味深げだ。

でも、ロケットビル??(建設途中で事業中止になり、未完成のまま実際に放置されていたらしい)とか、UFOには何の意味があったのだろう・・。

あとは、次々と船室の2階に上がってきた半裸の男たちが無言で大盛りの麺を一本ずつすするシーンだとか、京劇の衣装を着ながらポータブルゲームしてたりだとか、寂寥感漂う映画かと思いきや、どこかしこに変テコなユーモアが差し挟まれていて、いろんな意味で心に残る作品になってしまった。

いやぁ、、映画ってホントにいいもんですねぇ。。

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