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2019年10月12日 (土)

夢のシネマパラダイス285番シアター:突撃!隣のマイケル・ムーア!

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

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監督・脚本・出演:マイケル・ムーア

(2015年・アメリカ・119分)WOWOW

内容:映画監督マイケル・ムーアが単身アメリカを飛び出し、星条旗を掲げながら“世界侵略の旅inヨーロッパ”を敢行。各国の良い制度や習慣を略奪してアメリカに持ち帰ろうというのだ。まずイタリアに侵略した彼は、有給休暇が年間8週間もあることに衝撃を受ける。その後も訪れた国々で驚くべき常識を知ることになり・・。

評価★★★★/80点

自己責任と個人主義の弱肉強食大国アメリカと社会責任と連帯主義の弱者救済システムを持つヨーロッパを比較して、アメリカのジョーシキをシニカルかつユーモアたっぷりに糾弾していく構成力はドキュメンタリーの枠を超えた面白さで、マイケル・ムーアのセンスを再認識。

ポルトガルのドラッグ合法とかノルウェーの開放型刑務所とかさすがにそれはどうなの!?というのもあったけど、アメリカ型資本主義一辺倒の日本としては対岸の火事として笑っていられない部分もあったりして、興味深く見ることができた。

その中で、日本でも取り入れなきゃダメだなと思ったのは、スロベニアの大学授業料無料をはじめとする教育費の無償化。少子高齢化でマンパワーが枯渇していくことは目に見えているわけだから、広がり続ける経済格差社会の中で高等教育を受けられないというのはそれこそ国益を損ねることにつながると思うんだけどなぁ。どうも政治家先生たちの頭の中では教育に対する優先度が低いようで・・。

あと、映画の中で紹介された各国の様々な施策が実はアメリカ発祥のものばかりというのは目が点になったところで、行き過ぎた資本主義ははたして人を幸せにするのだろうかと日本の行く先にも不安を覚えてしまった。。

でも、その不安を希望に変えていくには自らが声を上げて立ち上がらなければ勝ち取れないのだというのはちょっと耳が痛くなっちゃった。

権力は隙あらば常に抑圧と搾取を狙っていて、流されるまま無関心でいると知らない間にとんでもなく生きづらい世の中になっているかもしれないってことを肝に銘じなければ・・・。

ハンマーとノミを見えるとこに置いておこうw

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華氏911

9111bigthumb 出演:マイケル・ムーア、頭のネジが2,3本吹っ飛んでいるジョージ・W・ブッシュ

監督・脚本:マイケル・ムーア

(2004年・アメリカ・122分)恵比寿ガーデン

評価★★★★☆/85点

内容:イラク戦争を決行したブッシュ大統領を標的に、同時多発テロ時の彼の行動やブッシュ家とビンラディンの関係などを、痛烈に批判していく。カンヌ国際映画祭でパルムドールと国際批評家連盟賞を受賞。

“マイケル・ムーア流レジスタンス”

この世界を正常にするために小さき自分ができることをひとつ見ーっつけた。

この映画を知人友人に広めたるわ(ベターー)。オレ流レジスタンス。

この映画がカンヌで賞を獲り、アメリカでも大ヒットだったにもかかわらずブッシュは再選されてしまったわけで、あと数年続いちゃうんだこんなのが・・・。でも、ブッシュよ、アンタの政権が終わった後どころかアンタの死後にもこの映画は残っていきますからー残・念!

映画というのは主観が入っていて当然だし、それが例えドキュメンタリー映画といわれるものであっても。そうじゃなきゃ映画じゃないと思うので、この映画のスタンスは個人的には全然OK。ていうかこれとは真逆のネオコン&ブッシュ命映画も作りゃいいじゃん。主観バンバン入れて。それでもドキュメンタリーとしての事実は事実なんだから。

映画てのはそういうもん。だと思う。

この点については「ブラックホーク・ダウン」のレビューでも述べてるのでここではこれ以上突っ込んではいきませんが。

ところで、この映画で1番印象に残ったのは、イラク人の母親とアメリカ人の母親が同じことを叫んだこと。

米軍に家を爆撃され、子供親類を亡くした女性が泣き叫びながらアッラーに救いと復讐を求める、一方でイラクで戦死した息子の死を受け容れられないアメリカ人女性も泣き叫びながら神に救いを求める。

結局は同じ痛みと悲しみ、そして絶望の祈りを捧げなければならない。

んで政治家連中は高みの見物。

そんなに戦争したいなら、「西部戦線異状なし」で出てきたセリフのように、囲いの中に指導者を集めてその中で素手の殴り合いをさせて決着つければええやん。あるいは「トロイ」みたいに、1対1の決闘で勝敗をつけるとか(笑)。え?軍産複合体が許してくれない?

そうだなぁ、、10年に1回デカイ戦争しないと国がまわらないシステムだからねアメリカって。

さぁて、次の標的はどこよ。。。

Posted at 2004.10.04

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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年・カナダ/アメリカ・120分)恵比寿ガーデン

 監督・脚本:マイケル・ムーア

 出演:マイケル・ムーア、アブないマリリン・マンソン、キレてるチャールトン・へストン、人殺しが好きなジョージ・ブッシュ、マット・ストーン(誰だっけ)

 内容:マイケル・ムーアがアメリカ銃社会をなで斬りにし、カンヌやアカデミー賞などで多数の賞を受賞したドキュメンタリー。1999年4月20日、コロンバイン高校銃乱射事件が発生。なぜアメリカでは銃犯罪が多発するのか?ムーアは全米ライフル協会会長のチャールトン・へストンらに突撃アポなし取材を敢行していく。

評価★★★★☆/85点

“あ゛ーーー、また自分にとって知りたくもない余計なトリビアが増えてしまったぁぁ・・。”

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シッコ(2007年・アメリカ・123分)CS

 監督・脚本:出演:マイケル・ムーア

 内容:先進国の中で唯一、国民皆保険制度を持たない国アメリカ。約4700万人が無保険のため高額の医療費を払えず、病院に行くことを我慢せざるをえない状態にある。一方、残りの国民の健康保険の大半は民間の保険会社に委ねられているが、はたしてこれらの保険会社は本当に満足のいく医療を提供しているのだろうか!?アメリカの医療の衝撃の実体が明らかになる。。

評価★★★★☆/85点

“ボランティア大国の裏の顔”

底辺に生きる者への対し方でどんな社会か知れるという・・・。

なりふり構わない規制緩和と市場開放による新自由主義が国民の生命に関わる医療を握ったとき、その行き着く先にあったのは、、、

誰も助けてくれない社会だった・・・。

なんという悲しい現実。

弱者が捨てられていく目を覆いたくなるような惨状に思わず涙してしまった。

しかし、市場原理主義ももちろんだけど、その底流にあるアメリカ人のものの考え方の偏り方にはあっけにとられたというか、、究極の個人主義と自己責任論、そして社会主義はおろか社会民主主義でさえも受けつけない徹底した嫌悪感というのは計り知れないものがあるのだなと思った。根本的に価値観が違うというかね・・。

世界の隅々まで自由と民主主義を行き渡らせようと大変な努力(笑)をしているアメリカ、しかし“私”が“私たち”のために、“持てる者”が“持たざる者”のために物事を考えることができない社会こそ最も危険な恐ろしい国ではなかろうか。

政府が国民を恐れるのではなく、国民が政府を恐れてしまうという“ビョーキ”にかかってしまったら世も末か、、って日本は大丈夫なのだろうか。。

アメリカの年次改革要望書に沿って動いている日本の行く末にあるものとはどんな社会なのだろうか・・・。悪寒が・・

とにもかくにも、この映画を見て感じたのは、医療や教育、介護といった国民生活を最低限保障するサービスに関しては、営利を旨とする民間機関ではなく、やはり国と政府にしっかりしたものを提供してもらわなければならないということ。

もちろん、そのためにはスウェーデンなどのヨーロッパ諸国なみとはいかないまでも、かなりの税負担と社会保険料を代償として払わなければならないだろうけど、払った分だけ国民生活に徹底して還元される社会であればそれも許容できるのではなかろうか。

そのためにも政府が国民を恐れる国、つまり国民と政治が密着し、真の意味で国民が政治を取り仕切る国にならなければならないのだと思う。それが本当の民主主義なのだ。

翻って、日本は、、、

まずはとにかく、民間を参入させて市場開放すれば国民にとっても選択肢が増えて良いという論は医療には当てはまらないということだけはよ~く分かった。

2019年10月 6日 (日)

夢のシネマパラダイス376番シアター:キル・ビル

Kill 出演:ユマ・サーマン、デビッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、ルーシー・リュー、栗山千明

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

(2003年・アメリカ・113分)MOVIX仙台

評価★★★/65点

 

内容:結婚式の真っ最中に襲われ、夫とお腹の中にいた子供を殺され、自らも頭部に銃弾を受け4年間昏睡状態になっていたザ・ブライドが長い眠りから目覚めた。彼女はかつてのボスに復讐を開始する!タランティーノが6年の沈黙を破ってメガホンをとり、世界中のB級アクションへ溢れるオマージュを捧げたバイオレンス映画の前編。

“悲しいときーー。悲しいときーー・・・”

友達の笑い話を聞くとき最初は面白くてワハハハって聞いてるけど、途中からもうどうでもよくなってきて、でも面白くないからもういいよとも言えず、、、付き合い笑いでフフッてするときーーっ。

悲しいときーー。悲しいときーー・・・、

タランティーノのネタ話を見るとき最初のSBのマークなどが面白くてワハハハ上手いわーって見てるけど、途中からもうどうでもよくなってきて、でもお金もったいないからもう帰ろうかとも言えず、、、皆に合わせてフフッてするときーーっ。

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キル・ビル Vol.2(2004年・アメリカ・136分)MOVIX仙台

 監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

 出演:ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン、ゴードン・リュー

 内容:オーレン石井を倒したザ・ブライドの標的は、バド、エル・ドライバー、そして最大の標的であるビルの残り3人となった。さっそく彼女は次なる標的バドを倒すためにテキサスの荒野へ向う。一方、日本刀の名手バドはもはや殺し屋としての面影もなく、アル中に落ちぶれていた。が、ザ・ブライドが復讐にやって来ることを予期していたバドの計略にはまってしまった彼女は生き埋めにされてしまう・・・。

評価★★★★/75点

“梶芽衣子の怨み節に捧げるものの見事なタランティーノの語り節。”

咲いてみせたらブッ放された バカなブライド怨み節♪

運命哀しとあきらめて ブライド涙の怨み節♪

憎い口惜しい許せない 消すに消えないこの傷は 尽きぬ女の怨み節♪

夢よ未練と嗤われて 覚めてみせますまだ覚めきれぬ 女ごころの怨み節♪

真っ赤なバラにゃ棘がある 刺したかないが刺さずにゃおけぬ 燃えるブライド怨み節♪

死んで花実が咲くじゃなし怨み一筋生きていく 女いのちの怨み節♪

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

よくぞブライドに化身させてくれた!

ユマ・サーマンがまたカッコ良いんだよなぁ。

色調を抑えたクローズアップの顔のなんと清冽なことよ。

女の強さを芯の中から浮き上がらせたブライド(ユマ・サーマン)に惚れました。。

“人を呪わば穴二つ”という格言があって、人のことを怨んで殺そうとする者は、その報いで自分の墓穴も掘ってしまうことになるという意味なのだけど、全くその通りブライドは埋められちゃうわけで(笑)。

タランティーノはそういうことまでよく分かっていらっしゃるようで。う~ん、、ホントかな(笑)。。。

でもとにかく1作目は個人的にはあまりノレなかったのだけど、今回は相当に入り込んでしまいました。よく出来てる。ウン。

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プラネット・テラーinグラインドハウス

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出演:ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、ブルース・ウィリス、ジョシュ・ブローリン、マーリー・シェルトン

監督・脚本:ロバート・ロドリゲス

(2007年・アメリカ・105分)WOWOW

内容:テキサスの田舎町。米軍基地で生物化学兵器が流出、そのガスを浴びた町の人々が次々にゾンビと化してしまう。ゴーゴーダンサーのチェリーはゾンビに右脚を食いちぎられ、女医のダコタは不倫相手が脳みそを食い尽くされてしまう。町中がパニックになる中、チェリーは無くなった脚にマシンガンを装着し、ダコタはガーターベルトに注射器を装着し立ち向かっていくが・・・。

評価★★★☆/70点

昔はゾンビ映画というとスプラッタ要素に耐えられず敬遠してきたんだけど、ウォーキングデッドで耐性ができている今は逆に大好物になってしまったクチ(笑)。

で、70~80年代のB級ホラーテイストを再現したお遊び満載の今作は、ロバート・ロドリゲス生来の資質をリミットMAXにまで押し上げたともいえるけど、もはやくだらない悪趣味の域を超えた痛快レベルにまで昇華されていて、見ていてかなり楽しい♪

特に、片脚マシンガンのヒロイン、チェリーは背徳的エロスをまとっていて、この作品だけで終わらせるのはもったいないほど💕

その他のキャラクターもゲップが出るほどの突き抜け感を有しておりハズレはない。

例え本気バカであろうとも、やっぱり映画愛に彩られた作品はジャンルに関係なく映画好きの心を弾ませるものなのだね。

まぁ、とはいえ〇ン玉ネタはやりすぎかなと思ったし、決して万人向けではないんだけど・・w

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デス・プルーフinグラインドハウス(2007年・アメリカ・113分)WOWOW

 監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

 出演:カート・ラッセル、ロザリオ・ドーソン、ローズ・マッゴーワン、シドニー・タミーア・ポワチエ、ゾーイ・ベル

 内容:ダイナマイトボディの美女ジャングル・ジュリアは、テキサス州オースティンの人気ラジオDJ。ある日、彼女は女友達と行きつけのメキシコ料理店で楽しい女子会を開く。しかし、そんな彼女たちを嗜虐的に眺める男がいた。ドクロマークの付いたシボレーを駆るスタントマン・マイクと名乗るその男は、次第に血に飢えた本性をあらわにしていく・・・。

評価★★★★/80点

“THE END”のテロップを見て思わず快哉を叫んでしまったのは初めてかもしれない。

なんだろ、便秘が治ってスッキリしてよっしゃー!みたいな痛快至極な終わり方がとにかく最高で、このカタルシスだけで見る価値あり。

前知識ゼロで見たものだから、前半はスタントマン・マイクのキャラクターをつかむのが手探り状態で、この顔にキズあり男は一体何者なんだ?と思いながら見ていたのだけど、何のことはないただの変態イカレポンチだったというオチw

でもこのカート・ラッセルは今まで見た中で1番輝いてたと思う✨

あとは、タランティーノ十八番の伏線なしの下世話な下ネタ話を女子会トークとしてダラダラと延々見せられるのも、AVの前段のフリートークを早送りするように普通ならイライラするんだけど、タランティーノの手にかかるとニヤつきながら見れてしまうんだよね(笑)。

雑談が映画になるってスゴイよ。だってこの雑談がなければ30分で終わる映画じゃんww

カーチェイスもマッドマックスみたいでアドレナリン全開だったし、音楽センスも良かったし、ブスギャルたちの美脚も💓💓だったし、わたくしはタランティーノの趣味を全面的に支持します♪♪

2018年1月 3日 (水)

夢のシネマパラダイス474番シアター:妄想をアニメで表現する天才!?新海誠

雲のむこう、約束の場所

00000577472l 声の出演:吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香

監督・脚本:新海誠

(2004年・日本・91分)スカパー

評価★★★/65点

内容:大国に分断統治されている、もうひとつの日本。青森に暮らす二人の少年は、津軽海峡の向こうに見える北海道の“塔”に憧れとも畏怖ともしれない思いを抱く。彼らは、その塔へ行くために軍の廃品で小型飛行機を作り始めるが・・・。架空の戦後史を辿る日本を舞台に、ふたりの少年とひとりの少女のある“約束”を主軸に、心の触れ合いを描く。

“世界の片隅で、渇をさけぶ”

まさかこれが新海誠の全てじゃないだろうな、と切に信じたい。

この人の作品はこれが初めてなので、あまり突っ込んだことは言えないけど、おそらく「物語る」人というよりは「イメージと情景をふくらませる」人というかんじがする。物語のサンプルは乏しいが、イメージのサンプルは彼の頭の引き出しに余すところなくインプットされているのではなかろうか。

そういう点においては、大友克洋と同じベクトルにいる人だと思うのだけども、大友は驚異的なデッサン力でイメージに息を吹き込むのに対し、新海誠はデジタル技術で息を吹き込むという違いがあるのは一目瞭然。

そこに何ら問題はないし、映像も意外に柔らかくて印象的なのだが、この両者の最大の違いは、イメージの質ではないかと思う。

大友克洋のもつイメージというのは、古典的な既成のイメージを軽く飛び越えてしまう、あるいは壊してしまうような異質で斬新なイメージであり、これをアニメとして具現化するのは漫画コミックのように大友一人で出来るものでは決してない。まず不可能といっていい。大友を中心とした組織体制を作っていかなければ成し得ないものだ。

対して、新海誠のもつイメージというのは、誰もが持ちえる既成ド真ん中のものであり、誰もが共通に持つ記憶の引き出しをスーと開けてくれるようなイメージなのだ。

ただそのイメージの質は、良くいえば繊細、悪くいえばやや庵野秀明を表面的になぞった程度ということができ、新海誠はそのイメージをデジタルカメラで一瞬一瞬おさめてインプットしていき、作品をつくる際にパソコンにしまわれた写真アルバムの中から一枚一枚イメージを取り出すような形で絵にしていく。

これははっきり言えば一人でできる類のものなのである。しかも現在はデジタルという便利な道具を使える時代。

新海誠は今の時代に出るべくして出てきた才能の人なのだろうか。

しかし、その彼の、イメージを絵に落とす段階での作画技術における才能とその手法を認めた上で、やはりイメージから物語を生成するという才能の方ははっきりいって断然に乏しいと言わざるをえない。

世界観を作り出すところまではいけても、その先を作り出すことができていない。

宮崎駿や大友のような相手をねじ伏せてしまうような豪腕も持っていない。その腕はか細くて投げられた球筋はあまりにも単調で弱々しい。それを孤独なデジタルでなんとか補っているといったかんじで、これはピュアなどという評価で解決処理していいような問題ではない。

だから、冒頭で述べたように、これが新海誠のすべてなのだとしたらあまりにもガッカリというか、これから先、大丈夫なのかなと不安になるし、まだまだ進化・深化していくものだと信じたい。

どこかで必ず1回脱皮しないと、一人のアニメ作家としてリアルな存在を確立するのは難しいと思う。ましてやポスト宮崎駿などというのはあまりにあまりにもな飛躍ではなかろうか。

期待をこめた上でやや厳しい視点で評価させてもらいました。。いや、嫌いじゃないのよ全然。好きな方なんだけども、なんかね・・。

Posted at 2006/02/09

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ほしのこえ(2002年・日本・25分)NHK-BS

 監督・脚本:新海誠

 声の出演:篠原美香、新海誠

 内容:美加子と昇は仲の良い同級生。中3の夏、美加子は国連宇宙軍の選抜に選ばれたことを昇に告げる。翌年、美加子は地球を後にし、昇は高校へ進学。地球と宇宙という超長距離恋愛を続ける2人は、メールで連絡を取り続ける。が、メールの往復にかかる時間は次第に何年も開いていくのだった・・・。新海誠が7ヶ月をかけ、ひとりで制作したフルCGアニメーション。

評価★★★/65点

“ロボットと石炭ストーブが共存できる世界観の作り方は純粋に巧いしスゴイと思う。”

分業体制で制作することが当たり前のアニメ制作を、パソコンの前でたった一人で作っちゃうということがどれほど凄いことなのか、素人の自分には分かりかねるけど、一個の作品としてちゃんと見られるものになっているのは確かだ。

絵的には人物画がやや稚拙だし、止め絵がやけに多いのは気になるけど、それを補って余りあるフルデジタル背景画は、パソコンの壁紙にマッチするほど一枚絵としてのクオリティが高い。

非常に内向的かつ思索的、悪くいえば閉鎖的きわまりない作品にあって、どこまでも無限に広がるかのような壮大かつ美しく果てしない空間(空や雲、宇宙そして地上)が提示されているのは救いだし、バランスをとるのにも大きな働きを成している。

新海誠の武器はこの背景画にあるのかもしれない。

特に、宇宙戦艦に女子中学生が乗っちゃうような西暦2046年という時代を舞台にしているのに、なぜに学校の教室に石炭ストーブなの(笑)!?というミスマッチな設定というか明らかに意図的なノスタルジーの記号なんだけど、そこらへんの世界観の作り方があざとくなくてすんなり自分の中に入ってきちゃうのも新海ワールドの巧さなのかも。

ただ強いていえば、やはり物語が主人公とヒロインの中に埋没しちゃって、30分くらいの短編だから見れるものの長編でこれやられたら相当キツイと思う。

ノボルくん、君も待つだけじゃなく何か行動しろよ、、と思うのは自分だけだろうか。。

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秒速5センチメートル

Comix1 声の出演:水橋研二、近藤好美、花村怜美、尾上綾華

監督・脚本:新海誠

(2007年・日本・60分)2007/06/13・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:小学校の卒業と同時に東京と栃木に離ればなれになった貴樹と明里。2人は文通を続けていたが、貴樹が鹿児島に引っ越すことになってしまう。大雪の降る中、貴樹は電車に乗って明里に会いに行くのだが・・・。貴樹と明里の再会の日を描いた「桜花抄」、高校生の貴樹に想いを寄せる同級生の花苗の視点から描いた「コスモナウト」、そして最終話「秒速5センチメートル」の3編を収録した連作短編アニメーション。ちなみに秒速5センチメートルとは、桜の花びらが落ちる速度。

“自分の長所と短所を十分自覚した上で勝負できる土俵に持ち込んだ新海誠の作戦勝ち”

「雲のむこう、約束の場所」を見たときに、新海誠という作り手は“物語る人”ではなく、“イメージと情景をふくらませる人”だと感じたが、今回、3つの短編からなる構成方法をとったことで、よりそれが明確化されたと思う。

物語を形づくっていく才能に絶対的に乏しいが、イメージをふくらませる、、、いや、もとい、妄想を具現化していくことにかけては天下一品の才を持つ中では、非常に的を射た作り方だったと思う。

これは別に新海誠は作り手として劣っているとかいうことでは全然なくて、ピッチャーにも球種に得手不得手があるように、それを自覚した上で自分のペースに持ち込んでいく組み立てをしていくのは当たり前だし、そういう意味ではこれ以上合理的な手法はない。

例えば、物語を形づくることができないというのは、人物の成長過程を描けないということでもあるが、それも時系列を断片的に区切って一足飛びにすることでカバーできてしまうわけで。

まぁ、とはいってもただ年食ってるだけという見方もできるけど・・・。

さらに、その手法が完全に裏目に出ているところもあり、1番顕著なのは第2話でのタカキの無表情というか、あれはもう完全にノッペラボウと言っていいと思うんだけど、カナエに呼びかけられて振り返る時の顔といったら恐い怖い。

なんかタカキという容れ物だけで、魂どこに置き忘れてきたんだよお前は、みたいな。蟲師に出てくる蟲にとり憑かれた人みたいな、絶対バケモノだよあれ(笑)。

ま、言い換えれば“記号”でしかないってことなんだけど。

1話目はもう完全に「北の国から」だから(笑)、すんなり見れたからよかったけど、2話目のタカキには違和感感じまくりだったな。

3話目は完全に山崎まさよしのPVと化してたけど、断片化されたイメージを繋ぎ合わせてファイナライズして1つの作品にしていくという新海誠の特徴が実に端的に表れていたという点では見所はあったかな、と。

ただ、決定的な欠落やボロも平気で出しているんだけど、今回★4っつ付けているように、それ以上に見る者の過去の記憶のひとかけらひとかけらを一気に増幅させてしまうほどのイメージ力の洪水の連鎖にはあきれるを通り越して感服してしまうんだよね。

どうすればこんな青臭くて気持ち悪いくらいの自意識を持てるんだろう・・・(笑)。いや、これは決してけなしているわけじゃなくて、スゴイって思うんだよねホントに。

また、そうじゃなきゃ映画なんて作れるはずもないとは思うんだけど、そういうのを全部突き抜けて見る側に伝わってくるものを作れるというのはやはりスゴイなと。

個人的にはカナエの姉ちゃんが車のBGMでリンドバーグの“君のいちばんに・・♪”をかけてるところでビンゴきたぁーーッ!ってかんじだったけど(笑)。

新海誠が自分の得意とする本領が発揮できる土俵に持ち込んで勝負できたのが今回は結果的には良かったのだろうと思う。

少なくとも自分は、この5センチメンタルな情景にシビレまくりますた。。

Posted at 2007/06/14

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星を追う子ども

E6989fe38292e8bfbde38186e5ad90e381a 声の出演:金元寿子、入野自由、井上和彦、島本須美、折笠富美子

監督・脚本:新海誠

(2011年・日本・116分)DVD

内容:父の形見のラジオから流れてきた不思議な唄が忘れられない少女アスナ。ある日彼女は、地下世界アガルタから来たという少年シュンと出会うものの、少年は突然姿を消してしまう。シュンとの再会を願うアスナは、新任教師のモリサキからアガルタにまつわる不思議な神話を聞かされるのだった。そして、そんなアスナの前に、シュンと瓜二つの少年シンが現われる・・・。

評価★☆/30点

SONYじゃなくてSOMY、iPadじゃなくてiPed、東芝じゃなくてトーチファ、任天堂じゃなくてニンテンドゥー、、ジブリじゃなくて痔デス。。

パクリ王国の中国で今度はジブリがヤラレたーっ(笑)!

ハウルにもののけ姫にキツネザル、飛行石、コナン、ゲド戦記、親不在、、よくぞここまであからさまに繰り出してきたもんだと開いた口がふさがらなくなっちゃったけど、これは重症だよホントw

「秒速5センチメートル」で妄想を具現化するのは上手いが物語を形づくる才能はないと指摘したけど、それがそっくりそのまま表れちゃったかんじ・・。

何もかもが唐突すぎて、ここまで物語れないとはちょっと想定外だったな。

人物の内面と行動が乖離しっぱなしで、要は出てくる人物全員が自分の妄想から抜け出せないアフォどもばかりで見てて気持ち悪くなってくるばかりだし、伏線を書けないのねこの人って。小学生じゃないんだからさwこの脚本持ってこい!オレが直してやるからww

描きたい絵、描きたいキャラを数珠つなぎに繋げただけ、、ってただの妄想だろこれ・・。

で、ファンタジー世界でアスナに成長の跡が見られるかっていうと、ただ銃の撃ち方を覚えただけじゃないかっていう

女子中学生に銃の引き鉄を引かせるってのは最っ低な映画だよホント。

フォローのしようがないよ・・。マジでこの脚本持ってこいって話(笑)。

まずさ、アスナだけど、学級委員長の優等生が異世界アガルタをいとも簡単に受け入れ足を踏み入れていくためには相当な覚悟と動機が必要なわけで、そのためには“良い子を演じる孤独な少女像”を明確に印象づけなければならない。つまり現実では居場所がないということを納得させなければならない。最後の最後で「アタシ、、寂しかったんだ・・」とポツリと言われてももはや遅いのだ。

ここをしっかり描けていれば、アガルタに自分の居場所などもとよりないと吐き捨てるシンの心情とリンクしてくるわけで、話の幅は格段に広がる。

あるいはもう一度シュンと会えるかもしれないという思いを抱えてアガルタへ旅立つという見方もできなくはないけど、アスナにとっての喪失はシュンではなく父親の死の方がはるかにデカイはず。シュンなどはっきりいってどうでもいいのだw

その証拠に、地上の星を見たいがためにわざわざやって来て、その代償として命を亡くすシュンの死が、身投げのような絵と身元不明の少年の遺体が発見されたという電話だけで描かれるという味気なさでスルーされているではないか。

例えばそのときにアスナの目の前で世界に溶けて消えていくくらいの描写はあってよかったし、父親の形見である鉱石ラジオにクラヴィスのかけらが使われていたわけだから、それを見たシュンにクラヴィスとアガルタを結びつける説明をさせれば父親とアガルタに何らかの関係があったのかもしれない、つまりアガルタに行けばなにか父親について分かることがあるかもしれないとアスナに思わせる方が自然だろう。ただなんとなくモリサキに引っ付いていくのとはわけが違うのだ。

他にもいろいろツッコミどころはあるけど、推敲は大事なんだよ。だろ?新海。

分かったら次の脚本まずオレんとこに持ってこい(笑)!

Posted at 2012/01/10

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君の名は。

T0020640p1声の出演:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、成田凌、谷花音

監督・脚本:新海誠

(2016年・東宝・107分)盛岡フォーラム

内容:1000年ぶりにティアマト彗星が地球に接近する1か月前。岐阜県飛騨地方の糸守町に暮らす女子高生の三葉は、最近同級生から身に覚えのないオカシな言動を指摘されるが、そういう日は決まって東京の男子高校生になる夢を見ていた。一方、東京の男子高校生・瀧も、山奥の田舎町で女子高生になっている夢に悩まされていた。やがて2人は自分たちが実際入れ替わっていることに気付くのだが・・・。

評価★★★★★/100点

新海誠に長編は向かないし描けない。これは今までの5作品の拙レビュー(「言の葉の庭」は14番シアターでレビュー)で出した結論だった。

妄想力は図抜けてあるのに肝心の物語を生み出す力が図抜けて低い。

個人のモノローグだけで完結してしまうちっぽけな物語(いわゆるセカイ系)と、その閉鎖性を凌駕してしまうほどの圧倒的にリアルな背景画が描き出す厳然とある巨大な現実世界との不均衡を、シンガーソングライターのPVショーでフェティッシュな世界観に生まれ変わらせる。

これはどう考えても長編では心もとないレベルなのである。

しかし今回、その殻をものの見事に突き破った。

いや、そもそもジブリの妄想だけで映画を1本作れてしまう才の持ち主である。物語性の基本である起承転結とキャラクター造型に社交性を持たせれば大化けするのは必然だったともいえるわけで(笑)。

特に、今まで内にこもる根暗なこじらせ優等生を主要キャラに据えることが多かっただけに、今回の瀧と三葉のハジけたキャラ造型が果たした役割は非常に大きかったと思う。

ちょっと短気で三葉から目立つことはしないでと注意されるくらい行動派キャラな瀧のオッパイ揉み×2シーンだけ取ってみても今までの新海からは考えられない健全な進化だしw、閉鎖的な田舎町の暮らしに嫌気がさしている三葉が「こんな町イヤやー!早よ東京行きたーい!」と声に出して叫ぶのも今まではありえないことだった。

そしてこの感情の発露が共感にしろ反感にしろ他者とのつながりを生み出していく、その関係性の究極形が入れ替わりだと思うんだけど、まさに“結び”=“絆”というテーマを描き出すのに十分な説得力を有していたと思う。

まぁ、普通のことを普通の文法で語れるようになっただけともいえるけど、コメディタッチや物語のアップテンポな疾走感など、今まで新海が持ち合わせていなかった要素を組み込んだことで、恋しさと切なさだけが十八番だった新海節に心強さが加わって、こりゃ完全に篠原涼子の歌になっちゃった(笑)。

それは半分冗談としても確実な進化を遂げた作品になっていたと断言していいと思う。RADの曲も良かった♪

P.S. 映画公開半年後、事情があって岩手から東京に引っ越した。で、実際住んでみて、この映画で描かれている東京は、東京は東京でもド真ん中の東京のアイコン的風景なのだということがよく分かったwwあんな家賃の高い四谷なんて住めねーよ

そんな自分は隅田川沿いで質素に暮らしております。。

2018年1月 2日 (火)

夢のシネマパラダイス422番シアター:必ず訪れる“死”を見つめて・・・

岸辺の旅

Poster2出演:深津絵里、浅野忠信、小松政夫、村岡希美、奥貫薫、蒼井優、柄本明

監督・脚本:黒沢清

(2015年・日/仏・128分)WOWOW

内容:夫の優介が失踪して3年、瑞希はピアノ教師をしながら孤独な日々を送っていた。そんなある日、優介が突然帰ってくるが、自分はすでに死んでいるという。そして3年の間を過ごした思い出の地をめぐる旅に瑞希を誘うのだった・・・。

評価★★★☆/70点

魂の抜け殻のような表情で知覚麻痺した生者と何食わぬ顔で現実世界の日常に違和感なく溶け込む死者の対比が、此岸と彼岸の境界をあいまいにしていて少々面食らってしまったけど、死者が生者を引きずり込むのではなく生者の方が死者を引き留めるという逆転の視点はなかなか面白い。

随所で宇宙物理学を引き合いに出して黒沢ワールドのあり得ない設定に理論武装を加えているけど、正直そんなのはどうでもよくてw、人が死を受け止めるまでの喪失感と後悔の念、その想いの深さや重さに共感できただけで十分だったように思う。

自分にも必ず訪れる最愛の人の死、そして自分の死。かけがえのない日々を一日一日かみしめて生きていこうと思った。

お盆に見るといいかもね。

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銀河鉄道の夜

20060324 声の出演:田中真弓、坂本千夏、堀絢子、一城みゆ希、常田富士男

監督:杉井ギサブロー

(1985年・日本・107分)NHK-BS

評価★★★★/75点

内容:宮沢賢治の名作童話を登場人物を猫に置き換えて映画化した、幻想的な長編アニメーション。父親が北洋漁業へ出たまま帰らない少年・ジョバンニは、病気の母を抱えて、放課後は文選工として働いていた。学校では級友達からいじめられ、親友のカンパネルラだけが彼をかばってくれる。ある時、丘の上で星空を見上げていたジョバンニの前に、不思議な汽車が出現した。彼が乗り込むと、車内にはカンパネルラがいて、2人は銀河への旅へと出掛けていく・・・。

“ハリポタに出てくる「闇の魔術に対する防衛術」を習得したいくらい、この作品で描かれる「闇」は深遠かつ幻想的、そしてなにより絶望的だ。”

幼稚園のときに劇場で見たのだが、その時にはっきりとこれは他のアニメ(例えば東映アニメ祭りとか)とは違うという違和感と言い知れぬ不安と恐怖を抱いたのを覚えている。

今見返してみてもあの時の感覚は如実によみがえってくるし、印象もさほど変わらない。

変わったといえば、“闇”というものが宮沢賢治の作品世界で重要なファクターを占めているということが、彼の様々な物語に触れてきたことによって今では理解できる、そのことを念頭に置いて今はこの映画を見られるということくらいか。

その観点でいえば、この映画は宮沢賢治の作品世界を非常に上手く表現してくれたと思う。

特に闇。

題名に夜とあるので当然といえば当然なのだけど、夜の暗闇、夕方から夜にかけて薄暗くなっていく森を覆っていく暗闇、銀河の星々を巡る漆黒の銀河鉄道、その宇宙空間の暗黒、そして人物の心に巣食う孤独の闇。

それが絶望的な“闇”として当時幼稚園児だった自分に落ちてきたのだ。

そう、草むらで星空を見つめていたジョバンニに天が降ってきたように。

その不安な“闇”は、例えば固く閉ざされたドアの向こう側から声だけを発し姿を現さないジョバンニの病気の母親であったり、活版所で鳴り響く不穏な電話の音であったり、蛾が電球の光に吸い寄せられて鱗粉をふり撒きながら羽をバタつかせる最後の飛行音であったり、、、

はたまた静寂の冬の森の奥深くから聞こえてくる凍裂のようにドコンドコンという音を立てながら走り抜ける銀河鉄道であったり、道すがらパッパッと点滅していた電灯がプツッと消える瞬間であったり、時計の音や雫がポタリポタリと滴る音、森をつんざくような鳴き声と林を滑空する鳥の不気味な影、そしてジョバンニとカンパネルラの会話における異様に長い間と静寂、、、

そして極めつけは猫人間!

それらが積み重なり増幅されて“闇”の空間を創り出し、宮沢賢治の作品世界を映像と音で表わしてくれた。

これは見事という他ない。

が、あまりにも見事すぎたため、当時幼稚園児だった自分には、“闇”のもつ言い知れぬ恐怖の方が少々過ぎてしまったようだ。しかも、その時の感覚が今に至っても消えない。

一人では見れない映画です(笑)。。

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私の中のあなた

943f4028 出演:キャメロン・ディアス、アビゲイル・プレスリン、アレック・ボールドウィン、ジェイソン・パトリック、ソフィア・ヴァジリーヴァ、ジョーン・キューザック

監督:ニック・カサベテス

(2009年・アメリカ・110分)WOWOW

内容:フィッツジェラルド家の11歳の次女アナはある日、両親を相手に訴訟を起こした。白血病にかかった長女ケイトを救うために遺伝子操作によってドナーにぴったりの身体に生み出された現実と、ケイトの治療のために何度も手術台に上がることに耐えられなくなったのだ。このまさかの行動を発端に家族のバランスは崩れていくのだが・・。

評価★★★★/75点

子供が親を告訴するという強烈ネタを引っさげたパンチの効いた問題作かと思いきや、かなり散文的かつ叙情的な趣のあるつくりになっていて意外だった。

登場人物には誰ひとり悪人はおらず、しかも各々に視点とテーマが与えられているのがこの映画のミソだろう。

周りが見えなくなろうとも人生の全てを白血病の娘のためにフォーカスする母親(キャメロン・ディアス)や、事故死した娘の死を仕事にまで引きずってしまい涙する女性判事(ジョーン・キューザック)をみれば分かるように、決して正解の出ない生と死の問題、そして家族の問題においては論理ではなく感情で突き動かされるのが人間なのだということ。そしてその感情によって絆が生まれ深まるのだということがよく伝わってきて、温かみのある愛にあふれた作品になっていて良かった。

感情は時にエスカレートして人を傷つけることがあるけど、その一歩手前で相手を思いやる気持ちが垣間見えて胸を打たれた。優しい穏やかな気持ちになれるんだよね

まぁ、法廷からして論理を捨てていて、神の視点を取っ払っているので、やや視点のボヤけた曖昧さは残るものの、涙よりも笑顔を忘れない演出は買い!

なんか音楽の使い方とか「アイ・アム・サム」(2001)と似たような作風だったのが気になったけど、監督は違うのね。。

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ワンダフルライフ(1999年・日本・118分)シネマライズ

 監督・脚本:是枝裕和

 出演:ARATA、小田エリカ、寺島進、谷啓、内藤剛志、伊勢谷友介

 内容:「あなたは昨日お亡くなりになりました。」と言われ、天国の入口にある施設にやって来た22人の老若男女。彼らはこれから7日間の間に大切な思い出をひとつだけ選ばなければならず、その思い出だけを持って天国に向かうのだという。しかも、その思い出は施設職員の手により撮影され、最終日に上映されることになっているという・・・。天国への入口で、人生を思い起こし大切な記憶を選ぶ死者たちを即興的に撮るという設定で、人間存在の本質に迫った作品。数々の国際映画祭で受賞し、1999年の単館系邦画興行成績で1位になった。

評価★★★★/80点

死者という最大の弱者に視点を当てるという毒気とユーモアの中で、さまざまな家族の肖像や人間の肖像を切り取っていく手法はさすがの一言。上手すぎる。

自分だったら何を選ぶだろうな、とついつい考え込んでしまったけど、でもよくよく考えてみたら、人生でたったひとつの最高の思い出の中で永遠に生き続けることができるのが天国って、、それもちょっと怖いよなぁ

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みなさん、さようなら

Sayo 出演:レミ・ジラール、ステファン・ルソー、マリー=ジョゼ・クローズ

監督・脚本:ドゥニ・アルカン

(2003年・カナダ/フランス・99分)仙台フォーラム

内容:末期ガンに冒された大学教授レミ。息子は放蕩者の父を嫌っていたが、最期だけはと、父の望むにぎやかな病室を演出しようとする・・・。生と死、父子の確執と和解を、シニカルなユーモアと政治的メッセージを交えて描く。アカデミー賞外国語映画賞やカンヌ国際映画祭の主演女優賞などを受賞。

評価★★★/65点

“回りまわって、、、やっぱり金だなおい(笑)。”

この映画で学んだこと。お金ですよお金。やっぱお金が1番!。おいおい・・。

あとはあれだな。映画見終わった後ウチ帰ってすぐにしたことが、秘儀“北京の花”と奥義“四川の竜”をネットでググッたことだからね(笑)。

あのエロジジイに負けず劣らずのエロジジイになってみせます。どうもボクですww

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息子の部屋(2001年・イタリア・99分)NHK-BS

 監督:ナンニ・モレッティ

 出演:ナンニ・モレッティ、ラウラ・モランテ、ジャスミン・トリンカ

 内容:イタリアの港町に住む精神科医のジョバンニは、妻パオラ、娘のイレーネ、息子のアンドレアと幸せに暮らしていた。が、ある日、アンドレアがダイビング事故で死んでしまう。事故前、アンドレアが学校の教材を盗んだ疑いをかけられていたことから心に微かなわだかまりを抱え、さらに事故当日、アンドレアとのジョギングの約束を破ってしまったことから自分を責めるジョバンニ。そんなある日、息子宛に1通の手紙が届く。それは息子のガールフレンドからのものだった・・・。カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞。

評価★★★★/80点

非常に地味でオーソドックスかつありきたりな語り口、息子との関係を描いたエピソード等も含めて底が浅い。

が、見終わった後の余韻は、なぜか青々とした海のごとくとてつもなく底が深い。

2017年12月30日 (土)

夢のシネマパラダイス504番シアター:忘れられない人

思い出のマーニー

Mig声の出演:高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、杉咲花、吉行和子、黒木瞳

監督:米林宏昌

(2014年・東宝・103分)盛岡フォーラム

内容:中1の杏奈は幼い頃に両親を相次いで亡くし、里子に出されて育ったが、心を閉ざし気味で周りから浮いた存在だった。そんな中、ぜんそくの療養を兼ねて養母の親戚が住む海辺の田舎町で夏休みを過ごすことに。そこで彼女は、入江に建つ古い洋館を目にしてなぜか懐かしさを覚える。そして夏祭りの夜、小舟で洋館へやって来た杏奈は、マーニーという金髪の少女と出会う・・・。

評価★★★/65点

主人公アンナの活気と生気のない病んだ魚の目をした顔を見て、ジブリ最大の迷作「ゲド戦記」の主人公アレンを想起してしまい、背中に何かザワザワしたものを感じながら見てしまったのだけど、それは要するにアンナが闇に取り込まれて彼岸からこちらの世界に戻ってこられない危険性を感じ取ったからだ。

つまりマーニーはあちらの世界の住人で、アンナはそれに憑りつかれて引きずり込まれてしまう、となるとそれは完全にホラーだ。

まぁいくら何でもジブリに限ってそれはないとはいえ、そう思わせる不穏さが今のジブリにはあるのかも(笑)。

それは千と千尋なんかと比べると顕著で、親に見捨てられたのかもという不安感や育ての親になじめないなど他人を受け入れることができない主人公のキャラクター設定は、常に親不在の運命をウジウジせず事もなげに受け入れるジブリキャラクターを見慣れている者にとってはやはり違和感を感じてしまったし、いやそこが見たいんじゃないんだけどっていう不満感はずっとくすぶっていたかも。。

しかし、親の愛を受けられずに悩むのって「ゲド戦記」といい今作といい、ジブリの偉大な父・宮崎駿の存在を後進はいまだに払拭できていないってことなのかもね。

そういう点では東京から洋館に引っ越してきた彩香ちゃんの方がよっぽどジブリらしかったと思うけど、生きる意味を探すのに四苦八苦する時代だからこその作劇なのかな。

けど、ジブリに自分探しの旅なんて似合わないよね・・・。

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マイ・ガール

R080610209l 出演:アンナ・クラムスキー、マコーレー・カルキン、ダン・エイクロイド、ジェイミー・リー・カーティス

監督:ハワード・ジフ

(1991年・アメリカ・102分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:1972年、ペンシルベニア州。葬儀屋を営む父親と祖母の3人暮らしをしている11歳の少女ベーダは、大好きな父にガールフレンドができたことから悩み始める。そして相談相手の幼なじみトーマスとの間に淡い恋が・・・。

“なかなかにシビアな題材を扱っているが、映画のバランスの取り方が絶妙で心に残る作品に仕上がっている。”

ベーダは11歳という設定だったけど、自分自身も8,9歳くらいの時かな。死という恐怖に対して異常ともいえるほど悩み抜いたことを鮮明に覚えているのだけども、自分の抱えていた死のイメージというのが、死とは永遠の孤独という黒沢清の「回路」で描かれたイメージに近いものがあって。

死そのものというよりも家族や友達に永遠に会うことができないという恐怖に打ち震えていたといった方が正しいかも。

だから、11歳の少女ベーダが死について割り切れない複雑な感情を抱いているというのも自分自身の体験と感情に見事にリンクして、ベーダの日常世界に容易に入っていくことができた。

それゆえ、ラストの方で息子トーマス(M・カルキン)の死に打ちひしがれる彼の母親に対して「私の母親が天国でトーマスを見守って一緒にいるから大丈夫よ。」と慰めるベーダの言葉は胸に響いたし、彼女なりにしっかりと死というものを受け止め、成長した姿を見せてくれてうれしかった。

また、一方では、妻と死に別れ男手ひとつでベーダを育ててきた父親(D・エイクロイド)の心情というものもよく描かれていて、父娘の葛藤が繊細に見る者に伝わってくる。

こういう流れでいくと、ともすれば重くなりそうなものだが、それをコメディのベクトルにうまく舵取りしたJ・リー・カーティスの存在も素晴らしい。

この映画における描写は、あくまでも子供の日常世界を軸としながらも、まるで水平線から朝日が昇るかのように確実に大人の世界が広がってくる。そして次第に少女の頃の世界は太陽が出ている青空にうっすらと浮かぶ真昼の月のごとく淡い思い出となっていくのだろう。

そういう微妙なバランスが絶妙なサジ加減でとれているのが、この映画が心にいつまでも残る所以なのだろう。

名作です。

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マイ・フレンド・フォーエバー(1995年・アメリカ・100分)CS

 監督:ピーター・ホルトン

 出演:ブラッド・レンフロ、ジョゼフ・マゼロ、アナベラ・シオラ、ダイアナ・スカーウィッド

 内容:母子家庭の孤独な12歳のエリックの隣に住むのは、輸血が原因でエイズ感染した11歳のデクスター。2人は打ち解け合うようになり、エイズ治療の特効薬発見の記事を頼りに旅に出るが・・・。

評価★★★★☆/85点

“我が映画人生で1番泣いた映画”

エリック(ブラッド・レンフロ)とデクスター(ジョゼフ・マゼロ)のひと夏のかけがえのない思い出を、ありふれた演出で描いていくプロットには別段感傷にひたることもなく見ていたのだけど、ラストの“スニーカー”には思わずヤラレてしまった。

全ての思い出と友情の証の象徴としてスニーカー、しかも片方のスニーカーというアイテムを持ち出してくるとは全くの予想の範囲外で、完全に無防備だったマイハートはめちゃくちゃに揺れまくり、後はもうゲリラ豪雨のごとく泣き崩れてしまいますた。。

声をあげて泣いた初めての映画だな。でも、先日、久方ぶりに泣く気マンマンで見たっけ、もう泣けないのね(笑)。

そっかぁ、やっぱ不意打ちというのが1番効果があるんだなぁ。不意打ち以外で泣けるのは「火垂るの墓」だけだな。

しかし、、その泣かせてくれたブラッド・レンフロも25歳という若さで逝っちゃうんだから、、現実の方がツライね・・。

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きみに読む物語

20051003_36049 出演:ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス、ジーナ・ローランズ、ジェームズ・ガーナー

監督:ニック・カサヴェテス

(2004年・アメリカ・123分)MOVIX仙台

評価★★★★/75点

内容:療養施設で暮らす老婦人を初老の男が訪ね、物語を読み聞かせる・・・。現代からの回想形式で、1940年のアメリカ南部、裕福な少女アリーと地元の青年ノアの恋物語が綴られていく。

“終わり良ければ全てよし、、、もとい始め良ければ全てよし。”

珠玉のラブストーリーとまでは言えないかもしれないが、心に響く純粋な愛の物語だったとは確実に言える、そんな映画だったと思う。

特に真っ赤な夕映えの湖をゆっくりボートが進んでいくオープニングはピカイチだった。

映画としては、先の展開が読めるというありがちなストーリーでありながら、オープニングから滞ることのないしかも透明度の高い流れをしっかり作り出していて、変なつっかかりや邪推などに陥る前に純粋にその流れに乗れてしまう。

美しい映像と音楽にただただ身を任せながら物語の中に入っていくことができた。

この映画には“流れ”がある。この映画はそれに尽きると思う。それがなければただの平凡な映画に終わっていたことだろう。

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マイ・ルーム(1996年・アメリカ・99分)NHK-BS

 監督:ジェリー・ザックス

 出演:レオナルド・ディカプリオ、ダイアン・キートン、メリル・ストリープ、ロバート・デ・ニーロ

 内容:20年間連絡を取っていなかった姉ベッシーから電話を受けたリー。姉は白血病で、親類からの骨髄移植以外に助かる望みはなかったが・・・。

評価★★★★/80点

絆を縛り付ける負の連鎖を優しい眼差しと素直な心が解きほぐしていく。家族にとって1番の良薬は皆の笑顔なんだね。納得!

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トニー滝谷

Tony 出演:イッセー尾形、宮沢りえ、篠原孝文、四方堂亘

監督・脚本:市川準

(2004年・日本・75分)仙台フォーラム

内容:トニー滝谷の名前は、本当にトニー滝谷だった・・・。太平洋戦争時、上海のナイトクラブでトロンボーン吹きをしていた父親にトニーと名付けられたトニー滝谷。生まれて3日で母親が死に、孤独な幼少期を送ったトニーは、やがて美大に進みデザイン会社に就職。その後独立してイラストレーターになったトニーは、彼の家に出入りする編集者の一人、小沼英子に恋をし結婚する。しかし、幸せな日々は長くは続かなかった・・・。村上春樹の短編集「レキシントンの幽霊」に収められた同名小説を映画化した切ない愛の物語。

評価★★★★☆/85点

「トニー滝谷の名前は、本当にトニー滝谷だった。」で始まるストーリーテリング。微細な音まで丁寧に拾い上げ収めている映像。孤独を背負う男トニー滝谷と、恐いくらい幸せな在りし日々の思い出が影として残るほどの残り香を漂わせる妻を見事に体現しきったイッセー尾形と宮沢りえ。

それら3つの要素が全くぶつかり合うこともなく本当に自然に融けあっている。

こういう映画を見たのはもしかして初めてかもしれない。

ほとんどの映画は3つの要素のうちどれかひとつが突出していて他をカバーしているか、あるいはそれぞれの要素がぶつかり合って互いに強め合ったり弱め合ったりする中から映画という眼差しや面白さを抽出しようとするか、またはそうせざるを得ない映画が大半だと思う。

しかし、この「トニー滝谷」という映画には、それが恐いくらいに無いのだ。よどみと衝突と干渉というものが一切ない。

だから恐いくらいに心地良い。

それでいて世界観は恐いくらいにしっかりと確立されているという。。これが完璧ということなのだろうか。

市川準は村上春樹という透明な地肌に静かで柔らかなタッチで映画の香りを浸透させていき、スクリーンという鏡に見事に投影させたといえるのではないだろうか。

これほどの技量をもったメイクアップアーティストを自分は他に知らない。

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ぼくの伯父さん(1958年・フランス・120分)NHK-BS

 監督・脚本:ジャック・タチ

 出演:ジャック・タチ、ジャン=ピエール・ゾラ

 内容:ユニークな詩情と文明批評、アバンギャルド風の構成などをない交ぜにし、場面の動きと音楽によって進行していく独特の喜劇映画で、ジャック・タチ監督によるユロ氏を主人公とした一連のシリーズの代表作。プラスチック工場の社長の息子はモダン住宅の自宅が大嫌いで、ユロ伯父さんと彼が住む庶民街を好んでいた。社長夫妻にはそれが面白くなく、就職やお嫁さんを世話してなんとかユロ氏を一人前の人物にしようとするが・・・。

評価★★★/65点

“映画を見るというよりは上質の4コマ漫画をパラパラめくって読むかんじに似ている。”

ひとつひとつのエピソードの中には面白くないエピソードもあるのだけども、全体を通して1つの作品としてみれば面白かったといえる、そんなちょっと不思議な魅力に彩られたクスッと笑える映画。

ユロ伯父さんがアパートの部屋の窓ガラスに反射した太陽光を向かいの日陰の鳥小屋に当ててあげるところなど、どこか優しいタッチがいいね。

世の中には、ビリー・ワイルダーの「情婦」(1957)で、自分のメガネに太陽光を反射させてわざと他人の目に向けるクソジジイもいるからな(笑)。いや、もとい、法曹界の大御所ウィルフレッド卿(チャールズ・ロートン)でございますた。。

2016年11月 6日 (日)

夢のシネマパラダイス469番シアター:ソロモンの偽証

ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判

E0133078_1234422出演:藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、前田航基、望月歩、佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、田畑智子、余貴美子、松重豊、小日向文世、尾野真千子、津川雅彦

監督:成島出

(前篇2015年・松竹・121分/後篇2015年・松竹・146分)WOWOW

内容:バブル期の1990年。クリスマスの朝、中学2年の藤野涼子は雪の降り積もった校庭で同級生の柏木卓也の遺体を発見する。警察は自殺と判断するが、大出俊次ら不良グループが屋上から突き落とした殺人であるとの匿名の告発状が届く。やがてそれはマスコミにも伝わり、ワイドショーを連日賑わすことに。さらに別の女子生徒が事故で亡くなってしまう。この異常事態に、クラス委員でもある藤野は真相を探るために生徒だけによる校内裁判を開くことを決意する・・・。

評価★★★/65点

まず原作からいうと文庫本全6巻、3千ページもの文量を要するわりには最もオーソドックスな種明かしなので、宮部みゆき=本格ミステリーと思って読むと肩透かしをくらってしまう。

ただ、読んでいくとこの小説の主眼はそこではなくて、学校生活で決めつけられていくステロタイプなキャラクターとは異なる、学校という隔絶された場所では埋もれていた十人十色の登場人物の背景や心情や成長があらわになっていく面白さ、さらには見て見ぬふり知って知らぬふりをしている無関心の空気が事件の呼び水になっていく怖さにあることが分かってくる。

しかし、その点で映画を見ると、この2つのポイントを押さえた描写も掘り下げもスルーされていて、藤野涼子とその他大勢、そして事の真相はどうだったのかという構図にしかなっておらず、全体的に消化不良。。

しかもそういうベクトルで作るならば柏木卓也の素性およびキャラクターをないがしろにし能面のまま退場させたのも納得のいかないところだし、柏木と接点のあった被告人・大出俊次の子分である井口と橋田までスルーしているのも解せない。

これといったどんでん返しもないため、この作りだとどうしても後篇は尻すぼみ感が否めなくなっちゃうんだよね。

これはもう切に連続ドラマ化を願うしかないか・・・。

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十二人の怒れる男

12_angry_men出演:ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、エド・べグリー、E・G・マーシャル、マーティン・バルサム

監督:シドニー・ルメット

(1957年・アメリカ・95分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:NYの法廷で殺人事件の審理が終わった。被告は17歳の少年で、実父殺害の容疑が掛けられている。あとは12人の陪審員による評決を残すのみであった。11人が有罪に投票するが、ただ1人だけが有罪の証拠が乏しいと無罪を主張する。判決は全員一致でなければならず、陪審員たちは、事件の真相を探るべく議論を開始した。

“13人目のどうでもいい男”

昔の映画だからとあまり期待しないで見始めたのが運のツキ。この物語の時間にドップリとハマり、陪審員室から一歩も出られなくなってしまった。。

父親の胸を10cmブツリと刺して殺した犯人!?その容疑者である17歳の息子の顔のクローズアップ。

もうね、何なのこのイタイケな瞳がウルウルしてる少年の顔は。蛇ににらまれたカエルか、はたまたエサを欲しがる衰弱しきったネコか、いや、アイフルのCMに出てくるチワワだよあれは(笑)。

ボ、ボクは殺してないよ~とでも言わんばかりに訴えかけてくる弱々しい顔。真っ先に「真実の行方」のE・ノートンを思い出しちまった。

とにかくあまりにも型にハマッたクローズアップになぜか引き込まれていった、、、途端に、あ、コイツ有罪だなと、そこで思考停止。。

さあ、オレを納得させ得るだけの、オレの思考を無罪に変更させ得るだけの論を張ってみろヘンリー・フォンダめ!

と思いきや、この事件、状況証拠ばっかなのね(笑)。しかも殺害現場の線路をはさんだ向かい側の建物の窓から通過中の電車の窓越しに!少年が父親を刺すところを見た、ときたもんだ。

ありえねえよ!ていうか絶対無理です!

有罪が崩れるとしたらココしかないなと薄々読めちゃったけど。

でも、、まさか眼鏡とはねぇ。一本取られたかんじ。ハイ、納得しちゃいました・・。

自分は眼鏡とコンタクトを使い分けてて、眼鏡をかけてる時に人差し指でズリ落ちてくる眼鏡を上にあげるときがけっこうあるんだけど、コンタクトしてる時に無意識のうちに人差し指でかけてもいない眼鏡を上にあげちゃうんだよね(笑)。あ゛っ、眼鏡かけてないじゃん今は。恥ずかし・・みたいな。

そういうこともあって、切り札の眼鏡ネタが出てきてやっとで有罪とは確信できない、と思うに至ったのでした。9対3で無罪優勢のところでついに陥落・・・。

気が付いたら、あの陪審員室の空間にどっぷり浸かっている自分がいた。

“真実”を“独占”する陪審員。

なんという責任。なんという重さ。

優柔不断な自分には絶対できない。。

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告発

Jqimszmmk 出演:クリスチャン・スレーター、ケビン・ベーコン、ゲイリー・オールドマン

監督:マーク・ロッコ

(1994年・アメリカ・123分)DVD

評価★★★★/80点

内容:アルカトラズ刑務所を閉鎖に追い込んだ実際の事件に基づき、若き弁護士と囚人との友情を描いたヒューマンドラマ。1930年代後半、若きエリート弁護士ジェームズは、アルカトラズ刑務所内で起きた殺人事件を担当することになった。被告は25年の刑で服役中のヘンリー・ヤングという囚人で、彼は事件について何もしゃべろうとしない。裁判でほとんど勝ち目がないと思われたが、ジェームズは少しずつヘンリーの心を開かせ、事件の真相に次第にたどり着いていく・・・。

“十二人の優しいアメリカ人”

200人の面前で起こった殺人事件。

それは猿にでもできる簡単な裁判。裁判を始める前から結果が分かりきっている事件。事実を事実として見れば死刑判決以外考えられない事件。

映画で描かれた裁判の中で証言台に立ったのは元刑務官、グレン副所長、ハムソン所長、そしてヤングの4人。

ただ、元刑務官の証言は無効扱いになってしまったので実質3人。しかもグレンは、はなっから暴行の事実を否定するわけで。

要はハムソン所長が3年間で10回くらいしかアルカトラズに行っていなかったという事実と、死刑から過失致死罪に減刑されて再びアルカトラズに戻るくらいなら死刑にされた方がマシだと泣き叫ぶヤングの証言と、ヤングが法律で定められた独房収容期間最高19日間をはるかに超える3年間の長きにわたって地下牢の穴蔵に入れられていたという事実、この3点からしか判断材料がない。

はっきりいって決定的な証拠となるものは出てこないわけで、裁判劇としてはいたって地味な展開である。

例えば、アルカトラズでの暴行の事実についてことごとく口をつぐんでいた囚人が遂に証言台に立つだとか、だってラストで毅然とした表情で歩いていくヤングに対して囚人たちが皆で鉄格子を叩いて共鳴しているじゃないか。

あるいは、精神分析医に証言させるとか、3年間も真っ暗な独房に入っていたら人間どうなるのか。

そういう証言や証言者の肉付けを加えて外堀をしっかり埋めてもらいたかったという不満も少なからずある。

しかし、その不満を押し込めてしまうほどのヘンリー・ヤング(K・ベーコン)の鬼気迫る存在感とジェームズ(C・スレーター)の何者にも侵されない信念と勇気。

この2人にとにかく圧倒され、それを凝視するほかない状態に見る側の自分が追い込まれ、そして2人の勝利に納得させられたといっていい。

12人の陪審員が下した判断は、第1級殺人罪では無罪、しかし過失致死罪で有罪という結論だった。

陪審員室で繰り広げられたであろう議論のやり取りの方にも興味と関心がわき上がってくる。

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それでもボクはやってない

274ac出演:加瀬亮、役所広司、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ、田中哲司、光石研、清水美砂、竹中直人、小日向文世

監督・脚本:周防正行

(2007年・東宝・143分)盛岡フォーラム

内容:フリーターの金子徹平(加瀬亮)は、会社面接に行くために乗った満員電車で、女子中学生に痴漢したとして現行犯逮捕される。徹平は警察・検察の自白強要にも屈せず、一貫して何もやってないと訴え続けるが、起訴されて裁判に持ち込まれることに。そこでベテラン弁護士・荒川(役所広司)と新米の須藤(瀬戸朝香)が弁護することになるのだが、有罪率99.9%の刑事裁判の中で徹平は果たして無罪を勝ち取れるのか・・・!?

評価★★★★/80点

周防正行監督が11年ぶりにメガホンをとった待望の作品のテーマは“裁判”。

周防監督といえば、禅寺のお坊さん、学生相撲、社交ダンスとマイナーな世界を綿密なリサーチをもとに軽妙洒脱なコメディタッチで描き、作品世界と我々観客との間に異文化コミュニケーションともいうべき身近な空間を創出してしまう稀有な才能の持ち主だ。

その映画を一言で言い表すならば、お笑いエンターテインメントといえると思うが、そこに通底する笑いを生み出しているのは登場人物の真摯で一生懸命な姿が一般人から見れば逆に滑稽に映ってしまうというギャップであり、周防映画の色は作品のテーマ選びによるところが大きいといっても過言ではない。

そんな周防監督が満を持して次に選んだのが“裁判”だった。

09年までに新たな裁判員制度が始まろうとしている中では実にタイムリーなテーマだが、これをどう料理し、どのようなギャップを目の前に映し出して笑わせてくれるのか。

と、例えば三谷幸喜の「12人の優しい日本人」のような密室コメディを思い浮かべてしまうのだが、しかし、フタを開けてみたら、、、全然笑うことができないではないか・・・。

笑えない。。。

密室コメディならぬ密室ドキュメンタリーといった方がしっくりくる出来。

しかし一見地味な作品にあって周防監督の作劇術や映画のつくりといった構成は今までの作品とほとんど変わっていないことが分かる。

要はその生み出されたギャップが笑いではなく、シリアスな驚きとして転化、認識されてしまうという違いだけで、たしかにコメディタッチを抑えているとはいってもユーモアな作風が一変してしまうような映画のつくりではなく、あくまでも今までの周防映画の色や特色(竹中直人などの周防映画の常連俳優がこぞって出演しているというようなことだけではなく)が随所に散りばめられた作品になっている。

つまり、この映画を受け取る側が、例えば普段ワイドショーやTVドラマなどから受け取る“裁判”とこの映画で描かれる“裁判”とのイメージギャップの差を、笑いではなくシリアスな驚きとして受け取ってしまわざるをえない現実こそが大問題なのであり、それがこの映画の狙いでもあるのだろう。

そういう意味でこの身近な社会に横たわる笑えない現実を真摯な視点で描き出した周防監督の狙いは見事にハマッたといってよく、10年のブランクなど全く感じさせない映画になっている。

でも、ホント目が点になりっぱなしの140分だったけど、これ見て1番問題だなと思ったのは、警察のあまりにもずさんな初動捜査ではなかろうか。

ここがしっかりしてないから、こういう冤罪が起きちゃうのではないかと思ってしまうくらいにヒドイ扱い。

この前、新聞を読んでたら、痴漢被害にあった女子生徒が相手を取り押さえて警察に届け出たときの署での対応ぶりに信じられない思いにとらわれたという都立高女性教諭のコラム記事があった。

警察署で捜査員から「大企業に勤めているので、クビになるかもしれないけど、犯人だと断言できる?」「裁判になると嫌な目に遭うよ」などと言われ、被害届を出さないまま帰されてしまった生徒の話や、「お前のスカートも短いからなぁ、1回目に黙っていたからまた触っていいと思ったんだろうな」などと生徒に非があるかのような言葉を投げつけられた話、セクハラまがいの行為を受けた話など、被害者が二重に傷つくというあまりにも理不尽な対応にこれまた驚愕してしまったが、これが容疑者への聴取となったら、、、映画での描写のように容易に想像がつくというものだ。。

最近では被害者の聴取に女性警官をあてるなどの配慮をする署も増えているというが、そんなの当たり前じゃないのか。。それが今までなされてこなかったということにまたビックリ。

てかへたしたら年間数千件、いや万単位で起こってるかもしれない痴漢のバカ多さに警察も面倒くさくなってしまうのかもしれないが、、、いや、それじゃ済まされない話だなホント。

満員電車に乗るときは背中から乗る!しかと覚えておこう。

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39・刑法第三十九条

Iwutwauyd_2出演:鈴木京香、堤真一、岸部一徳、江守徹、杉浦直樹、吉田日出子

監督:森田芳光

(1999年・松竹・133分)早稲田松竹

評価★★★★/80点

内容:夫婦殺人事件の犯人として逮捕された劇団員の青年・柴田真樹(堤真一)は、容疑そのものは認めたものの事件当時の記憶がなく、殺意は否認する。やがて裁判が始まると、弁護側は心神喪失を主張、精神鑑定により柴田が多重人格と認定される。ところが、鑑定を行った教授(杉浦直樹)の助手・小川香深(鈴木京香)は、その鑑定に疑問を覚え、独自の調査で柴田の内面に迫っていくが・・・。犯行時、犯人が心神耗弱もしくは心神喪失の場合は罪に問わないという刑法第三十九条の法の問題点を突いたサイコサスペンス。

“本当の狂気とは・・・”

心神喪失者・耗弱者の責任能力は、はたして的確にはかられてきたのだろうか。

昨今続発する凶悪な犯罪事件でことあるごとに精神障害の可能性が論じられ、一にも二にもまずは精神鑑定ありきということが時々不思議に感じてしまうこともあったのだが。。

しかし、心の病がある意味粗製乱造花盛りで用いられるのは、あまりにも常人には理解できない事件が日常の中で積み重ねられ、それが常態化してしまった時に、我々にはもはや狂気=心の病=犯罪という構図でしか理解する術を持てないからなのかもしれない。

が、だとすればますますもって冒頭に述べた心神喪失者・耗弱者の責任能力は的確にはかられてきたのか、という問題がクローズアップされてくるのではないかと思う。

その中でこの森田芳光監督の意欲的な作品は、そういう問題を、裁く側、鑑定する側の解釈の不備や矛盾を彼ら個々の人間性や心にまで踏み込み、デフォルメ、強調した異様な形で露わにしていく。

そして彼らに対峙する被告の狂気の偽装と、その裏にあるズシリと重い真実が刑法第三十九条を骨抜きにしていく。

これは、紛う方なき問題作だ。

まるで心が病んで闇を抱え人間性に欠陥があるかのごとき精神鑑定員と、感情を排した機械的な処理者として描かれる弁護士と検察官。

一方、人生を賭けた強靭な精神力で法に立ち向かう工藤啓輔(=柴田真樹)。

彼は、心に深い闇を抱えている。その闇が心の病にすり替わっていく容易さと安直さをあざ笑うかのように、狂気の偽装が同条の運用にあたっての問題点を浮き彫りにしていく。

しかしこの映画はそこで終わらない。

狂気の偽装をひも解いて工藤啓輔の哀しく重い人間性を露わにしていくことで、本当の狂気とはひとりの人間として裁きを受ける権利、その人間としての権利を奪う刑法第三十九条そのものにあるのではないか、というところにまで突き進んでしまうのだ。

しかも工藤啓輔の闇を解放したのは、鑑定人・小川香深の心の闇だった。

闇も人間の一部なのだ。

ここにこの映画の凄みが集約される。

この同条適用にあたっての問題提起においそれと答えを出せるものではないが、しかし非常に重い問題であることはたしかだ。

それにしても一本の映画でここまでまとめ上げることができるというのは驚くべきワザとしか言いようがない。

映画としての狂気、役者としての狂気を間近に肌で感じられたような気がする。久々にビリビリとくる映画だった。

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真実の行方(1996年・アメリカ・131分)NHK-BS

 監督:グレゴリー・ホブリット

 出演:リチャード・ギア、エドワード・ノートン、ローラ・リニー

 内容:シカゴの大司教が惨殺され、教会に住んでいた少年アーロンが容疑者として逮捕された。野心家の敏腕弁護士ベイルは、不利な状況にもかかわらず彼の弁護を買って出るが・・・。

評価★★★☆/70点

見ず嫌いでこの映画を見ないこと約10年!よくまぁ10年もの間、内容結末ともに知らないできたもんだ(笑)。

地味ぃ~な印象がずっとあったんだよね、これ。作品選びに難がありすぎるリチャード・ギアの法廷ものというだけで遠ざけてたからなぁ。

いやはや、先入観は改めないと。

ま、それもこれもエドワード・ノートンのおかげなんだけどね。。

2016年10月30日 (日)

夢のシネマパラダイス265番シアター:世界の片隅で脱原発を叫ぶ

希望の国

T0012498p 出演:夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵、清水優、梶原ひかり、河原崎建三、筒井真理子、でんでん

監督・脚本:園子温

(2012年・日/英/台・133分)WOWOW

内容:東日本大震災から数年後。長島県沖で巨大地震が発生、福島につづいて今度は長島原発が事故を起こしてしまう。そんな中、長島県大原で酪農を営む小野家の庭先に、原発から半径20キロ圏内の警戒区域の境界線が引かれる。向かいの鈴木家は強制退避を命じられる一方、ギリギリで圏外となった小野一家は町に残ることにするが・・・。

評価★★★★☆/85点

昔、黒沢明監督の「夢」(1990)で原発事故で放出された放射能から逃げ惑うエピソードがあって、霧のように迫ってくる赤黄色に着色された放射能が印象的だった。

しかし、あの悪夢が正夢となってしまった今、圧倒的な現実感を伴なって描き出される家族の悲しい悲しい物語は言葉に出来ないほどの重みと鋭さをもって胸に迫ってきた。

被災地の生々しい惨状を写し取ったロケーション、そして福島の魂の叫びを仮託した行き場のない怒りと悲しみに満ちあふれた言葉のひとつひとつが胸に突き刺さってきた。

そして、かつての在りし幸せな日々の夢の中で生きているお母さん(大谷直子)が一心不乱に盆踊りの炭坑節を踊るシーンには涙を堪えることができなかった。

久々にこんな情念の込められた映画を見た思いがする。

しかし、原発事故がなければ作られることはなかったであろうこの映画が、震災の悲劇からわずか1年半で公開されたというのも凄いことだと思う。

宮崎駿監督が「風立ちぬ」のインタビューで、「製作途中に震災が起きて時代に追いつかれ追い抜かれたかんじがした」と言ったことが心に残っているのだけど、今回の映画でまさにそこに必死にしがみついてメッセージを発信しようとする園子温の強い覚悟に感服した。

あと同じインタビューで、「福島の原発が爆発した後、風が轟々と吹いたんです。上の部屋で寝転がっていると、その後ろの木が本当にうわーっと鳴りながら震えていました。爽やかな風ではない、おそろしく轟々と吹き抜ける風です。死をはらみ毒を含む風です。風立ちぬとはこういう風なんだと思った」という言葉も非常に印象的だったけど、今回の映画でゴウゴウと異様な音を立てる風の唸りがその言葉を想起させて、時代を吹き抜けていく風を敏感に感じ取る表現者としてのたしかな眼力を見た気がした。

国も東電もいまだに原発事故を収束させる道筋を示せないどころか、原発再稼動に躍起になっている中、この原発問題を風化させないためにも、一人でも多くの人にこの映画を見てもらいたいと思う。

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天空の蜂

20151013193952出演:江口洋介、仲間由紀恵、綾野剛、光石研、向井理、柄本明、國村隼、竹中直人、石橋蓮司、本木雅弘

監督:堤幸彦

(2015年・松竹・139分)WOWOW

内容:1995年、愛知県の錦重工業小牧工場。その日、完成した最新鋭軍用巨大ヘリ“ビッグB”のお披露目式典に出席するため、開発責任者の湯原は妻子とともに赴いていた。しかし、息子の高彦が格納庫に忍び込み遊んでいる最中、突然ビッグBが何者かの遠隔操作で動き出し、高彦を乗せたまま離陸してしまう。そのまま機体は福井県にある高速増殖炉“新陽”の真上でホバリングを始めた。そして、犯人は政府に対し、日本全土の原発即時停止を要求し、従わなければビッグBを原子炉に墜落させると宣言する・・・。

評価★★★☆/70点

2011年3月11日から5年、日本人の心のどこかに小骨のように突き刺さっている原発問題。

しかしながら見て見ないフリをする“沈黙する群衆”でいることの心地良さにすでに安住してしまってもいる中で、原発テロというセンセーショナルなテーマは、それだけでかなりの求心力を映画にもたらしていたと思うし、ツッコミどころ満載のライトな娯楽作(つまりはアメリカ的なポップコーンムービー)に落とし込んだ作劇も個人的には買いではあった。

しかし、時代設定を原作通り1995年に据え置いてまで東日本大震災をラストのエピローグに持ってくるのだったら、福島に全く触れないのが腑に落ちない。

「本当に狂っているのは誰なのか、いつかお前たちは知ることになる」という犯人の予言、さらには原作者東野圭吾の先見性のインパクトまで薄くなってしまうと思ったのは自分だけだろうか。あるいは原子力ムラの圧力がかかったのかとも邪推したくなってしまうが、このラストだけがお茶を濁したようなかんじで消化不良・・・。

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K-19

K19regular 出演:ハリソン・フォード、リーアム・ニーソン、ピーター・サースガード、クリスチャン・カマルゴ

監督:キャスリン・ビグロー

(2002年・アメリカ・138分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:米ソ冷戦下の1961年。大西洋を航行中のソ連の潜水艦K-19で原子炉の冷却装置が故障。必死の修理の甲斐なく、乗組員は次々と被爆し倒れていく。部下の安全を優先させたい副艦長と国家に忠誠を誓う艦長の対立もエスカレートしていき・・・。ちなみにこの監督、、女性です。。

“ふと頭をよぎった。。”

日本には原子炉が52基ある、、、しかも至る所で原子炉事故の隠蔽が明るみに出ている今日この頃。

原発列島日本、、、末恐ろしいところに住んでるのかもしれないなオイラ(笑)。

ホントこの映画見て恐くなっちゃった。

放射能を浴びて皮膚が真っ赤に焼けただれ、激しい嘔吐と呼吸困難に襲われる姿には思わず戦慄を覚えてしまう。

ドンパチの一切ない潜水艦映画というのは非常に珍しいが、どんな部品を使っているかも分からないような不良潜水艦の極限状況の中で巻き起こる緊迫した人間模様と放射能事故の恐怖に一気に見入ってしまった。

ていうか、この監督さんって女性なのね。。それにもある意味戦慄を覚えるな(笑)。

Posted at 2002.12.21

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東京原発

Gen出演:役所広司、段田安則、平田満、田山涼成、岸辺一徳、吉田日出子

監督:山川元

(2002年・日本・110分)シネマ・ソサエティ

評価★★★/65点

内容:東京都民からカリスマ的な人気を集める天馬都知事は、ある日緊急会議を招集し、その席上で、悪化する財政立て直しの切り札として「ここ東京に原子力発電所を誘致する!」と前代未聞の爆弾宣言をする。会議は文字通りの紛糾状態に。。一方その頃、お台場にはフランスから船で極秘裏に運ばれてきた大量のプルトニウム燃料が陸揚げされていた。政府は、反対派の抗議運動を避けるため、そのプルトニウムを一般道路で福井の原発まで輸送する計画を進めるのだったが・・・。

“ラストだけが映画映画してる、、そんな映画でございました。。”

今現在住んでいるオラが街が北からは六ヶ所村、南からは福島と挟み撃ちにあってる自分にしてみれば憂うべきことなのだろうけど、ま、、この狭い日本列島どこに住もうが同じか。。

ていうか現実問題、今の自分にとっちゃ放射能やらチェレンコフの光がどうこうよりも、仕事場の休憩室でみんなが吸ってるタバコの煙の方が大問題だよ(笑)。

だって休憩室のドア開けると、一瞬部屋の中が白いんだもん。助けてー。。

ま、ためにはなったけどねこの映画。

、、と簡単に考えていた中で現実に起きてしまった福島の事故。コメディになりえない恐ろしい現実にただただ打ちひしがれるばかりだ。

そういう意味で今となっては逆にトンデモ作になってしまった貴重な映画といえるのかもしれない。。

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チャイナ・シンドローム

200501_img_10出演:ジェーン・フォンダ、マイケル・ダグラス、ジャック・レモン

監督・脚本:ジェームズ・ブリッジス

(1979年・アメリカ・122分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:ロサンゼルスのテレビ局の女性ニュースキャスター、キンバリーはカメラマンのリチャードとともに最新の原子力発電所の取材に出かけるが、突然、所内に震動が起こり、制御室が大騒ぎになる。キンバリーは、放射能漏れが発覚し原子炉の運転が停止される一部始終をフィルムに収めたが、様々な妨害が加わり、結局局の上司に押さえられ放送はできずに終わる。不満なリチャードはそのフィルムを物理学者に見せる。一方、安全性を主張する発電所側だったが、ただ一人初老の技術者だけがその事故の危険性を訴えようとするのだった・・・。この技術者ジャック・ゴーデルを演じたジャック・レモンがカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞。

この映画が公開された年に映画を地で行くような重大な放射能漏れ事故がペンシルベニア州のスリーマイル島の原子力発電所で起こり、あまりに現実そのものの映画内容に、映画が大ヒットを記録したことは有名。

ちなみに題名の「チャイナ・シンドローム」とは、メルトダウン(炉心融解)を起こした場合、融解した炉心が地中を溶かし、アメリカの反対側の中国までたどり着いてしまうという“最悪の事故”を示す言葉。

“核の恐怖より恐ろしい人災という名の恐怖”

世界でも稀にみる地震大国に原発を乱立させてきたニッポン。

しかし、1番恐ろしいのは天災ではなく、人災だということがこの映画を見ると如実に分かる。

核が生み出す放射能の恐怖という点では映像的にも例えば「K-19」(2002)なんかの方が圧倒的なリアリティを有しているとは思うが、人災の恐怖をこれほど深刻かつエキサイティングに描いた映画はざらにはない。

しかも、映画が公開された年には奇しくもスリーマイル島原発事故が起きているし、1986年にはあのチェルノブイリ(ウクライナ)で史上最悪の事故が、新しいところでは1999年に茨城の東海村で日本最悪の原子力事故が起き、被爆した作業員2名が死亡している。

そしてつい最近雨後のタケノコのごとく明るみに出てきた原発事故の隠蔽や虚偽報告の数々。

いくら設備がピッカピカでもそれを管理する人間組織が芯から腐っていたら何の意味もない・・・。

この恐るべき人災映画で描かれていたのは決してフィクションなどではないということが深刻なリアリティを与えているのだ。

、、、が、現実はもっとヤバイ状況にあるのかもしれない。最近の様々な企業の不祥事のニュースを見せられるとそう思わざるをえない。

Posted at 2007.06.23

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9デイズ(2002年・アメリカ・117分)WOWOW

 監督:ジョエル・シュマッチャー

 出演:アンソニー・ホプキンス、クリス・ロック、ピーター・ストーメア

 内容:チェコの首都プラハ。人類滅亡を招くP.N.B(ポータブル核爆弾)の解除を実施するため、CIAのゲイロードは相棒とともに武器商人と交渉していたが、相棒が殺されてしまう。そこで、9日後の交渉のために、相棒の双子の弟でダフ屋のジェイクを代わりに立てて決死のおとり作戦を決行するが・・・。

評価★★★/55点

核爆弾が入ったスーツケースが車から落ちる!階段を転がる!あげくの果てに投げるっ!

だ、大丈夫なのか・・!?

2016年8月12日 (金)

夢のシネマパラダイス121番シアター:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

ギャラクシー街道

Dru2ht1vqaacpi出演:香取慎吾、綾瀬はるか、小栗旬、優香、遠藤憲一、山本耕史、大竹しのぶ、西田敏行

監督・脚本:三谷幸喜

(2015年・東宝・109分)WOWOW

内容:西暦2265年。木星と土星の間にあるスペースコロニー「うず潮」と地球との幹線ルート246666(通称ギャラクシー街道)。賑わっていたのも今は昔。その片隅にあるサンドサンドバーガー・コスモ店の店主ノアは、経営不振で地球へのホームシック状態。妻のノエはそんな夫を案じる中、ノアの元カノ・レイが夫婦で店を訪れるが・・・。

評価★★☆/50点

三谷幸喜に全幅の信頼を置いている自分は、この映画の巷での悪評をどうにも信じられずにいたけど、実際見てみたら本当に拍子抜けを食らってしまったw

例えていうなら三谷印の美味しいビヤガーデンに行ったらノンアルコールビールを出されたような失望感を味わわされたといえばいいだろうか。

三谷節の十八番といえば、スタジオやホテルや法廷や城内というように限定空間という箱庭シチュエーションでのドタバタ劇で、そこで繰り広げられる笑いの真髄は、いたって大真面目な登場人物たちの意思疎通や認識のビミョーな齟齬・誤解が生みだすボタンのかけ違いにある。

例えば「ザ・マジックアワー」で佐藤浩市がマフィアの大ボスの前でナイフを猟奇的に舐め回すシーンに抱腹絶倒するのは、当の本人だけが映画撮影を行っていると思い込む一方、マフィアも彼を本物の殺し屋と錯覚する両者の勘違いを第3者視点でツッコミながら見られる面白さがあるからだ。

そういう点で見ると今回の映画は、狭い店内という限定空間を踏襲しているものの、肝心のボタンのかけ違いが単なる宇宙人の特質の違いにしかなっていなくて、ヒステリーを起こした大竹しのぶの電磁波放電スパークやボンテージ姿の遠藤憲一の出産シーンなど名うての役者が宇宙人に扮する面白さしか笑いどころがないんだよね。

キャラクターの見た目の面白さだけで2時間付き合えるほどの忍耐力は自分にはなかったかな・・

まぁ、小栗旬がスーパーヒーローのキャプテンソックスに変身した後のもッさい着ぐるみ状態には脱力を超えたシュールさがあって思わず爆笑しちゃったけど、そういうヴィジュアル頼みだけではないキャラクターを絡み合わせた群像劇をこそ見たかった。

三谷幸喜はそれが出来過ぎるくらい出来る人なはずなので、やはり今回は失敗作

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

Starlord出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ジャイモン・フンスー、ジョン・C・ライリー、グレン・クローズ、ベニチオ・デル・トロ

監督:ジェームズ・ガン

(2014年・アメリカ・121分)WOWOW

内容:子供の頃に地球から宇宙船で誘拐されたピーター・クイル。26年経った今では名打てのトレジャーハンターになっており、母親の形見であるウォークマンを片手にノリノリで宇宙を飛び回る日々。そんな中、ピーターは謎の球体“オーブ”を手に入れる。しかしその途端に、美しい暗殺者ガモーラや賞金稼ぎのアライグマ・ロケットとその相棒である樹木型ヒューマノイド・グルートに命を狙われるハメに。しかし、4人揃って逮捕され刑務所送りになってしまう。刑務所では凶暴な囚人ドラックスと出会い、ひょんなことからワケあり5人組は手を組み“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”を結成するが・・・。

評価★★★/60点

10ccの名曲で幕を開けた時は、SFと70年代ポップスの組み合わせという独創的なセンスにワクワクしてしまったんだけど、その後はな~んかハジケないまま終わっちゃったかんじ。

何の予備知識もなかったので、キャラクターの顔と名前や関係性、舞台となる地名までもがあやふやになってしまって1時間見たところで巻き戻して最初っから見るハメになったのは自分が悪いとは思う(笑)。

しかし、8歳のときに宇宙人にアブダクトされた主人公が26年後、ウォークマン片手に陽気な足どりで別な惑星を闊歩する根明キャラにどうすればなるのか、自分の想像の範囲外で違和感があったし、亡き母の形見である「最強ミックスvol.1」の音楽たちが地球への望郷のアイテムになっていないのも共感しかねるところで、いまいちノリきれない。

明るくスカッとするポップコーンムービーとしてしか見れないもどかしさといえばいいだろうか、ドラマとしての真新しさも一切なかっただけに、感情移入に足るキャラクターの掘り下げがもっと欲しかった。

まぁ、トレジャーハンターのピーター、紅一点もとい緑一点のガモーラ、全身タトゥー男のドラックス、凶暴アライグマのロケット、植物版チューバッカのグルートと、“宇宙戦隊ゴレンジャー”ばりの顔見世としては頭に残ったので、続編はそこそこ楽しめそう、、ってそれでいいのかw!?

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ギャラクシー・クエスト

Galaxy出演:ティム・アレン、シガニー・ウィーバー、アラン・リックマン、トニー・シャローブ、サム・ロックウェル

監督:ディーン・パリソット

(1999年・アメリカ・102分)DVD

評価★★★★★/90点

内容:宇宙探査局の乗組員の活躍を描いた地球の人気テレビドラマ「ギャラクシー・クエスト」。これを歴史ドキュメンタリーだと勘違いしているサーミアン星人は、宿敵の攻撃から守ってほしいと、出演者たちに助けを求めてやって来た!?へっ?間抜けな俳優達と本気度100%のサーミアン星人の触れ合い漫才は必見!!

“ドリームワークスに対する自分の信用格付けは、この映画を見たことによってワンランク上がった。”

AAAとまではもちろんいかないが、こういう映画を作ってくれるところだったら投資してもいい気分だ、とさえ思ってしまった。トカゲヘッドにかけてそういう感情さえ抱いてしまったのだ。見ることを躊躇していた自分が恥ずかしい・・。

しかし、この映画、当時住んでた仙台では上映されていたのだろうか。。それすら分からない、、記憶にない。。

もうブラックホールに飛び込んで出てきたくない気分

そもそもこの映画のことを初めて知ったのは某映画雑誌で、執筆者が選ぶ年間ベスト10にランクインしていた時だった。

しかしこともあろうか、ますます自分は見るのを躊躇してしまったのだ。だって読者が選んだランクでは30位以内にも入ってないんだもん。

ハハァン、要するに単館系、インディーズものなのね、と憶測をつける。

たしかに出てる役者はB級っぽいし、レンタル屋行ってパッケージを見てみると、ピンクと緑って・・。

ああ、なんか頭のお堅い執筆者、批評家連中あるいはオタク系の好きそうな映画なんだろうなぁと目星をつけ、結局借りるのをやめる。そしてめぼしいメジャー作品をほとんど見終わった頃にやっとでレンタルする順番が回ってきたという次第なのだった。

そしたらドリームワークス製作でまずビツクリ、そして映画の出来にブッ飛び!

何なんじゃこりゃあ!お、お、お、面白すぎる!

作品の少数精鋭主義戦略を売りにしていたドリームワークスだけのことはある。

そして単純バカな自分は確信をもった。

ドリームワークスは信用できると(笑)。

以上、約20年前の戯れ言でありましたww

2016年2月 1日 (月)

夢のシネマパラダイス261番シアター:子供を経験したすべての大人たちへ

STAND BY ME ドラえもん

Poster2声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昂、関智一、妻夫木聡

監督:八木竜一、山崎貴

(2014年・東宝・95分)WOWOW

内容:運動に勉強に何をやってもダメな小学生のび太は、いつもジャイアンやスネ夫にいじめられる日々を送っていた。そんなある日、彼の前に22世紀からタイムマシンに乗って彼の孫の孫セワシが、ネコ型ロボット“ドラえもん”を連れてやって来た。のび太の最低最悪な未来を変えるため、ドラえもんを世話係として置いていくというのだが・・・。

評価★★★/60点

秦基博の主題歌がカラオケの十八番になっている自分にとっては、映画の方もどんな感じなんだろうと気にはなっていて、今回約30年ぶりにドラえもんを見ることに。

で、30年ぶりに見てみて、図らずも劇中で大人になったのび太が、ドラえもんは子供時代の友達で、その思い出を大切に胸に仕舞っておきたいので今は会わなくていいみたいなことを言うんだけど、それがそっくりそのまま自分の映画の感想になっちゃった

大山のぶ代のドラえもんを見ていた80年代のノスタルジーを喚起させるでもなく、“ドラ泣き”させるでもなく、なんか中途半端な印象だったな。

その中で、泣かせエピソードの羅列が感動に集約していかない平板さが1番の欠点だと思うけど、3Dを意識した絵作りがけっこうよく出来ていただけに、22世紀の未来を舞台にするとかそういう意外性がほしかった。

あるいは、別れと旅立ち(巣立ち)を裏テーマとして想起してしまうスタンド・バイ・ミーとわざわざ銘打つなら、ジャイアンとスネ夫が完全におざなりになっている今作のつくりはいただけないし、ドラえもんとの別れのあとにウソ800飲んでやっぱり戻ってきてハッピーエンドというオチもいただけなかった。

そう考えると、やはり22世紀のセワシの視点でドラえもんとのび太たちの関係を見るというのはひとつの手法として有りだったのではないかと思う。

まぁ、ドラえもんは子供のための作品だと思うので、中年のオッサンがとやかく言うことではないんだけどねww

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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲

Shinchan02声の出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ

監督・脚本:原恵一

(2001年・東宝・89分)DVD

評価★★★★/75点

内容:春日部に誕生した「20世紀博」。そこはひろしやみさえたちが育った70年代のテレビ番組や映画、そして暮らしなどを再現した懐かしい世界に浸れるテーマパークだった。大人たちは子供そっちのけで20世紀博に熱中していく。そんな姿をしんちゃん達“かすかべ防衛隊”の面々は不安な目で見つめるのだった・・・。21世紀をなかったことにして、再び世界を20世紀の時代に返そうと画策するイエスタデイ・ワンス・モアのリーダー、ケンと自分たちの未来を守るべく立ち上がったしんちゃんの壮絶な戦い!

“子供は笑えて親は泣けるという触れ込みに該当しない80’s生まれの独身男が恐れ多くも言わさせていただけるならば・・・”

汚いカネと燃えないゴミで覆われている21世紀も捨てたもんじゃないなと

しんちゃん一家が夕日に照らされたかすかべの家に帰ってきて玄関開けてただいまーーっと言うラストシーンを見てそんな思いを抱きました。

ついでにエンディングにカーペンターズのイエスタデイ・ワンス・モア♪が流れたらもっと良かったのに。。

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若い頃は

好きな曲がかかるのを待ちながら

よくラジオを聴いていたものだった

そんな曲がかかると笑いながら

一緒に口ずさんだものだった

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

そんな幸せなひと時は

それほど昔のことじゃないのに

あの歌はどこへ?と、どんなに心配したことか

でもここにあの歌の数々はよみがえってきたね

久しく会わなかった友達のように

どの曲も 大好き

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

でも歌の歌詞が

彼が彼女を失恋させるくだりになると

今でも無性に泣きたくなってしまう

まるであの頃のように

過ぎ去った日々よもう一度

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

こうしてあの頃のことを振り返り

消えていった年月や楽しかったことを思い出すと

あまりにも変わってしまった今日のことが少し悲しく思えてしまう

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

あの頃よく歌っていたのは恋の歌

歌詞も隅々まで覚えていたっけ

そんな懐かしいメロディは今でも私の心に快く響きます

過ぎ去った日々を溶かしていったあの頃のように

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

最高の想い出ばかりが鮮明によみがえってきて

泣きたくなるものさえあるんだ

まるであの頃のように

過ぎ去った日々よ もう一度・・・  

                    by カーペンターズ

今から何十年か経ったとき、今日この時を懐かしいと思えるのかな。

そう思えるように今日一日を大切に生きていこうっと。

懐かしいと思えるのは、その時を生きていた自分の心が豊かだったという何よりの証拠なのだから!

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(おまけ)

クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶジャングル(2000年・東宝・90分)テレ朝

 監督:原恵一

 声の出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原哲治、玄田哲章

 内容:クレしん映画版シリーズ第8作。

評価★★★/65点

しんちゃんだと思ってバカにしてはいけない(笑)。ジャパニメーションの高水準を如実に示す好例といえるのでは。冗談じゃなく。

2016年1月23日 (土)

夢のシネマパラダイス294番シアター:特集:爆走族!

ニード・フォー・スピード(2014年・アメリカ・131分)WOWOW

 監督:スコット・ウォー

 出演:アーロン・ポール、ドミニク・クーパー、イモージェン・プーツ、ラモン・ロドリゲス、マイケル・キートン

 内容:自動車修理工場を営むトビーは、週末になると公道レースに熱を上げる凄腕ドライバーだが、かつてレース対決で親友を死なせた罪を着せられ服役した過去があった。親友を死に追いやった本当の張本人ディーノへの復讐を誓うトビーは、非合法ストリート・レースへの参加を決意するが・・・。

評価★★★☆/70点

知った顔がほとんどいないこともあって何の気なしに見ていたら、いつの間にか夢中になって映画を楽しんでいる自分がいた。

復讐劇と逃走劇に加えロードムービー的要素も加味されたプロットは、単純すぎるきらいはあれど最低限のテンションは持続できているし、それよりも何よりも本気度120%のカーレースとカーアクションを見ぃーや!という自信に満ちあふれた映像が130分の長尺を飽きることなく牽引できていて楽しめた。

クラシックなアメ車からスーパースポーツカーまでより取り見取りなかっちょいいクルマたち、市街地の公道からハイウェイ、荒野から峠道に至るまで様々なロケーションに富んだカーバトルがてんこ盛りで、ネタを出し惜しみすることなく見せきった爽快感があって良かったと思う。

あと、イモージェン・プーツがめちゃくちゃキュートで必見の価値があったことも付け加えておこう

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60セカンズ

60sec 出演:ニコラス・ケイジ、アンジェリーナ・ジョリー、ジョバンニ・リビージ、デルロイ・リンドー

監督:ドミニク・セナ

(2000年・アメリカ・118分)WOWOW

内容:かつて高級車専門の伝説的窃盗犯として名を馳せたメンフィスは、今は田舎で子供たちと戯れる日々。しかし、窃盗組織から弟を救うため、弟に代わって再び現役に復帰するはめに・・・。超高級車ばっかりが次々とクラッシュする様には思わず指をくわえて見入ってしまう。。。

評価★★/45点

“だから、、、欲張りすぎなんだよ50台なんて

「25台は大丈夫だ。問題は残りの25台だ。」ってロバート・デュバルも言っとるやん。

この時点で25台いらねえじゃん(笑)。

その半分の12台でいいよはっきりいって。

もっと削いで削いでシンプルなつくりで良かったと思うんだけどな。

しかし、けなげな兄弟愛があれば警察も許してくれるのネ、、っておいおい・・・。

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ル・ブレ

2002077 出演:ジェラール・ランヴァン、ブノワ・ポールヴールド、ジョセ・ガルシア、ロッシ・デ・パルマ

監督:アラン・ベルベリアン

(2002年・フランス・108分)朝日生命ホール

評価★★★★/75点

内容:服役中のモルテスが看守に購入を依頼した宝くじが、なななんと1500万ユーロの大当たり!しかし、看守の妻は当たりくじを持ったままアフリカへ。モルテスは看守を拉致して脱獄し、アフリカを目指す。警察や殺し屋までもが入り乱れるパリ~アフリカ間宝くじ争奪カーチェイスの幕が切って落とされた!

“見ながらゲラゲラ笑ってたけど、自分の身になって考えてみると、ホントあいつがそばにいたら厄介だよな・・・。”

続編を切に希望いたします(笑)。

キャラがすごく立ってるからシリーズにしやすいんじゃないかな。

モンキー・パンチがルパン3世みたいだと言ってたらしいけど、ほんとそれくらいキャラがそれぞれ際立ってる。

黒人に変装したレジオが入れ歯を便器の中に落としてしまい、洗ってまた付けようとしたときに、モルテスがもう付けなくていいからここでちょっと待ってろと言うんだよね。

犯罪してるわりにすごく優しいのねこのオッサン。

うん、これやっぱ見たいわまだ。

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激突!

P0000307 出演:デニス・ウィーヴァー、ティム・ハーバート

監督:スティーヴン・スピルバーグ

(1971年・アメリカ・90分)

評価★★★★/80点

内容:山道を車で走っていた平凡なサラリーマンのデイヴィッドは、途中、大型タンクローリーに進路を阻まれた。彼はいらいらしてこれを追い抜くが、そのタンクローリーはなぜかデイヴィッドを執拗に追い回し、ついには彼の命までも狙う。。。スピルバーグが監督したテレビ・ムービーで、日本では劇場公開もされた。

“最凶の嫌がらせ!”

そりゃ谷底に落として飛び跳ねて喜びたい気持ちも分かるわなぁ。

ちなみにジョジョの奇妙な冒険第3部に出てくる“運命の車輪(ホイール・オブ・フォーチュン)”は、そっくりそのままこの映画からもじってるね。

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ミニミニ大作戦

47014192 出演:マーク・ウォルバーグ、シャーリズ・セロン、エドワード・ノートン、ジェイソン・ステイサム

監督:F・ゲイリー・グレイ

(2003年・アメリカ・110分)DVD

内容:窃盗のプロ、チャーリーは50億円相当の金塊強奪を計画するが、仲間の裏切りで金塊のみならず、チャーリーが慕っていたジョンも失ってしまった。1年後、ジョンの娘を新たに仲間に加え、金塊の再奪取を計画。それはミニ・クーパーを使った大掛かりなプロジェクトだった。。

評価★★★★/75点

原題がThe Itarian Jobって。まんまやん・・・。

この愛着すら湧いてくる邦題のつけ方は心憎いばかり。

ミニミニ、、、イイなぁ

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ミシェル・ヴァイヨン

00000542544l 出演:サガモール・ステヴナン、ダイアン・クルーガー、ピーター・ヤングブラッド・ヒルズ

監督:ルイ=パスカル・クヴレア

(2003年・フランス・104分)WOWOW

内容:フランスで50年近く人気を保ってきた大ベストセラーコミックを、リュック・べッソンの脚本で映画化。天才レーサーのミシェルを擁するチーム、ヴァイヨンと勝つためには手段を選ばないチーム、リーダーの戦い!レースシーンが実際にル・マンに参戦して撮影されたことでも話題になった。

評価★★★/65点

青い瞳、青い車体、蒼い空、青白い氷の結晶、青い炎、青いジャケット、碧いアスファルト、、、演出も、青かった

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ドリヴン

00000448155l 出演:シルベスター・スタローン、キップ・パルデュー、エステラ・ウォーレン、ジーナ・ガーション、バート・レイノルズ

監督:レニー・ハーリン

(2001年・アメリカ・116分)仙台フォーラム

評価★★★☆/70点

内容:ある日、元レーサーのジョーに、チームに戻る気がないかという話が舞い込む。彼はまたとないこの機会に飛びつくが、彼の役目はランキングから落ちてしまった新人レーサーを返り咲かせることだった・・・。

“スタローンのはじけた笑顔を久々に見れてスゴクうれしくなった。”

1等賞しか受け付けなかったスタローンが、3等賞でホントにウレシそうな笑顔を見せてくれた。

もうNo.1にならなくていいんだよスタローン、今度は特別なオンリーワンを目指していってほしいと思います。

「信念てのはタチの悪い伝染病みたいなもんさ。信念をもった奴の隣にいるとそれが自分にもうつっちまうんだ。」

スタローンの口からこんなシブい言葉が出てくるなんて。

とにかくこの映画のスタローンを見て妙に感慨深くうれしくなっちゃいました。

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