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2021年12月25日 (土)

夢のシネマパラダイス348番シアター:偏執狂の詩

ゲーム

Game2 出演:マイケル・ダグラス、ショーン・ペン、デボラ・カーラ・アンガー

監督:デヴィッド・フィンチャー

(1997年・アメリカ・128分)1998/02/13・仙台第1東宝

評価★★★★★/95点

 

内容:「人生が一変するような素晴らしい体験ができる」。大富豪ニコラスが48歳の誕生日に1枚のカードを弟のコンラッドから受け取ったことから、さまざまな事件に見舞われるミステリー。現実とゲームの境界線があやふやなままに展開するストーリーに純粋に引き込まれるか引き込まれないかで、このD・フィンチャーが構築した新たな恐怖世界に対する評価はかなり変わる。試される映画です・・・。

“まやかしの★5つ!いや、永遠の★5っつ!?”

普通自分の中では★5つを付けた作品はいつ見ても飽きないし、いつ見ても★5つ。そんな自分にとって真にかけがえのない数少ない映画たちに★5つを付けてきた。

しかし、、である。この映画はそれらの映画とは一線を画する。

いつ見ても★5つではない。1998年2月13日に劇場で見たそのたった1回そのときだけのものである。

そして見終わってすぐ思ったのは、もう二度とこの映画は見ない、そう決心したのを今でもはっきりと憶えている。

そしてこの映画はその後自分の中で永遠に封印したはずだった。

はずだった、というのはつい先日不覚にもその封印を解いてしまったからなのだが・・・。

そして後悔。

見るんじゃなかった。やっぱり見るんじゃなかった。

劇場で体験した唯一無二の衝撃と笑撃、あの強烈な体験をそのまま追体験できるはずもなく。。

唯一無二の衝撃と笑撃、それはいわずもがな映画のラストに集約されるわけだが、と同時にこの映画を二度と見ることはないだろうと思わせしめたのもこの映画のラストに集約される。

個人的にいえばラストを知ってしまった以上は、この映画を再び見ることはほとんど何の意味もなさないと思う。

これは例えば自分が同じく★5つを付けた「スティング」や「ユージュアル・サスペクツ」、はたまた★5つは付けていないが同じ監督作の「セブン」などとは道理がちがう。

道理がちがうとは、つまり前記3作品にあって「ゲーム」にはないもの。それはズバリ伏線の有無である。

はっきりいって「ゲーム」には必要最低限の伏線、ニコラスの親父が家の屋根から飛び降りる場面、しか張られていない。

しかもこの伏線はアッといわせるラストでしか活きてこないわけで、中盤は全くのガラ空きといってもよいつくりになっている。

前記3作品を例にとると、大親分から50万ドルだまし取れるか、カイザー・ソゼとはいったい何者なのか、犯人は誰なのかという明快なコンセプトのもとで伏線をうまく絡ませることによってストーリーに厚みと深みをもたせることができ、ひいては登場人物それぞれの存在をも際立たせていくことにもつながっていく。

つまり、伏線というのは、ストーリーに幅をもたせることのみならず、ストーリーを安定させるという重要な役割も担うものだということ。

さて、、「ゲーム」である。

たしかに伏線が始めに張られ、それがラストで効いてくる必要最低限のことはやっている。しかし問題はその中身なのだ。

この映画でいう明快なコンセプトとは、“ゲーム”とはいったい何なのか、そして誰が黒幕なのかということだと思うが、それに対する中盤における伏線は一切無いといってもよい。

それゆえ非常に不安定な中でストーリーは進んでいき、見る側としても次第に不安を覚えていく。

ここでいう不安とは、先の見えないストーリーに対する足場のない怖さからくるサスペンス映画が本来もっている不安要素と、こちらの方が大きいのだがこの映画は果たして納得のいく着地をしてくれるのだろうかという映画そのものに対する不安である。

ともかく「ゲーム」という映画は、伏線がないことによって始めとラストをつなぐプロセスがほとんど欠けてしまい、ともすればこの映画本来のコンセプトさえぼやけて見失ってしまいかねない。映画を見るという我々の目的意識さえも麻痺させ停止させてしまうくらいに・・。

だが、それでも思わず★5つをつけてしまうのは、ラストの大どんでん返しによるところがやはり大きいわけで。しかもそのやり方が実に憎々しく、やられたというよりもこちらの戦意を喪失させるだけのパワープレイでぶん殴られたといったところか・・・。

そもそも力づくで映画のコンセプトを解決してしまうというのはこの上なく最低レベルのやり方なのだが、憎たらしいことにこの映画は始めの伏線によって一応納得させる形で解決させているし、“死”という人間の存在証明にとって究極のアイテムを持ち出してきて、しかもそれを逆転させてしまう。

この点については文句の言いようがないし、もうホント参りましたという他にない。

が、しかしそれが通用するのもたった1回だけ。2回目以降ではこの映画のパワープレイはもはや通用いたしません。

中盤プロセスが欠如している中で始めと終わりだけが糸一本だけでつながっている。

こんな映画、何回も見るだけ無駄っちゅうことですわな。

今度こそ封印は完了しました。★5っつとともに・・・。

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セブン

41pv7hfn55l__aa240_ 出演:ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グィネス・パルトロウ、ケビン・スペイシー

監督:デヴィッド・フィンチャー

(1995年・アメリカ・126分)1996/02/03・仙台第1東宝

評価★★★★/75点

内容:退職を1週間後に控えたサマセットと新人刑事ミルズのコンビは、被害者がキリスト教の七つの大罪に見立てられ殺害されるという連続殺人事件に直面していた。3人が殺されたところで、ジョン・ドゥという容疑者が捜査線上に浮かび、サマセットとミルズは男の部屋に踏み込む。しかしその時、帰ってきた男は2人にいきなり発砲して逃走するのだった・・・。

“大学受験で訪れた仙台の映画館で、よりによって試験前日にこの映画を見てしまったオレ・・・”

この映画を見たことによってある意味変な緊張感もどこかへブッ飛び、なぜか平常心で試験に臨むことができた・・。ミルズの境遇を思えば自分が今直面していることなんてちっぽけなもんさ、と。

そしてめでたくそこの大学を卒業してしまった次第です(笑)。

映画を見終わって泊まってたホテルまで歩いていったんだけど、仙台の街を歩いてみてこの町は好きだなぁ、肌に合うなと直感したくらいなんか分かんないんだけども温かかったことを覚えています。トレーシーが「この町は嫌い!」と泣きながら言ってたのとは違うぞ、と。

実際仙台はホント住みやすい良いところなんです。

と、仙台の宣伝はこのくらいにして、この映画で1番印象に残ったのは、なんといっても“雨”だよね。

ブラック・レインもおったまげなくらいの雨、雨、雨。

なんであっちの人って傘をささないのと思ったのはまず置いといて、この雨、明らかに計算された仕掛けとして映画の中で機能している。

というのもこの映画における“雨”というのは、ケビン・スペイシー演じる犯人の内面を表しているのではないか。

始めから終盤までずっと雨が降っているのだけど、ある時点で雨は完全に止み、そして完全に晴れる。

それは犯人が警察に出頭した時点を境にしているわけで、ようするに彼が言うところの努力と忍耐と観察力によって自分の果たすべき使命を全うしたことによる達成と成就と解放を暗示しているのだろう。

よって車の後部座席でみせる彼の笑顔がマジで怖いわけ。本当に晴れ晴れとしているわけだから。なんかオウム事件を思い出してイヤだったな。

ところで、この映画は現代社会における人々の無関心という側面を異様な形で切り取った映画だともいえるけど、そこでクローズアップされてくるのがミルズと妻トレーシーの関係。

夫婦関係という固い絆で結ばれているはずの2人が名もなき大都会という街のフィルターを通してみると実はそれぞれが無関心だったのではないか、少なくとも出世に躍起になっていたミルズは、ということが浮き彫りになっていく。

でも、それが罪になるかというと、しかもあんな仕打ち、、ってありなん?なんかデヴィッド・フィンチャーってものすごいドライで性悪なヤツだと思うわw

だってこんな世界に生を受けた子供は幸せなのか、こんな世の中で子供を育てられるのか怖いと思った、とサマセットに言わせしめるわけだけど、何なのこのネガティブマインドは。芥川龍之介じゃあるまいし(笑)

映画の中でずっと雨が降ってたのに、見終わって感じたのはものすごっドライな映画だったなぁということ。

だから逆に仙台の街が温かく感じられたのかもね。

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ミュージアム

Museum_large出演:小栗旬、尾野真千子、野村周平、丸山智己、田畑智子、大森南朋、伊武雅刀、松重豊、妻夫木聡

監督:大友啓史

(2016年・日本・132分)WOWOW

内容:ある雨の日。犬に食い殺された惨殺死体が発見され、現場にはドッグフードの刑と書かれた謎のメモが。それが自らをアーティストと呼ぶ“カエル男”による連続猟奇殺人事件の始まりだった。捜査を担当する沢村と西野は、残されたメッセージの解読に奔走。やがて、事件被害者たちがある事件の裁判員をつとめていた共通点に突き当たる・・・。

評価★★★☆/70点

全編雨降りの陰鬱な雰囲気、ジョン・ミルトン「失楽園」の七つの大罪ならぬ平安時代の僧・源信「往生要集」の八大地獄を想起させる際立ったグロ死体の数々。

これってどう見てもデヴィッド・フィンチャーの「セブン」なんだけど、カエル男のバックグラウンドに「砂の器」的な日本人独特の情念や悲哀を全く付け足さず、どこまでもドライで猟奇的なサイコ野郎に徹しさせたのは良い。

眉毛まで剃ったスキンヘッドの妻夫木も意外で面白かったし。

そのカエル男が引きこもり男の部屋に侵入してくる際に、ドアの向こう側からバンバンと叩く音がした後に鍵がガチャリと静かに開くシーンが、一人暮らしの自分には1番のホラーだった😵

けど、なんでこれがR指定にならないんだw!?

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コレクター(1997年・アメリカ・116分)DVD

 監督:ゲイリー・フレダー

 出演:モーガン・フリーマン、アシュレイ・ジャッド、ケリー・エルウェス

 内容:ノースカロライナ州ダーハムで8人が失踪し3人が惨殺されるという連続女子大生誘拐事件が発生。ワシントンDC署の刑事クロスは、自分の姪が被害者になったことを知り、現地に向かう。が、そんな中、女性を監禁して飼育する異常犯人“コレクター”の魔の手が女医ケイトに忍び寄っていた・・・。

評価★★/40点

“犯人に2,3発銃を直にブッ放したい気分。”

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スパイダー(2001年・アメリカ・103分)WOWOW

 監督:リー・タマホリ

 出演:モーガン・フリーマン、モニカ・ポッター、マイケル・ウィンコット

 内容:政財界の重要人物の娘が誘拐される。犯人は、経歴を詐称して教師になりすましていた男。彼は、事件担当者にアレックス捜査官を名指しし、巧妙な犯罪ゲームを楽しみ始める。「コレクター」のJ・パターソンの原作を映画化。

評価★★★/60点

こっちの“模倣犯”の方が面白かったということだけはいえる。

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スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(2002年・仏/加/英・98分)WOWOW

 監督:デイヴィッド・クローネンバーグ

 出演:レイフ・ファインズ、ミランダ・リチャードソン、ガブリエル・バーン

 内容:統合失調症の治療を終えて精神病院を退院した男デニス。彼は20年ぶりに故郷の町に戻り、ウィルキンソン夫人の家で同じような人々と共同生活を送ることになった。デニスはノートに少年時代の記憶をパズルを組み合わせるように書きつけていく。そして現実と妄想が混在する彼の記憶から血なまぐさい記憶が甦ってくるのだった・・・。

評価★★/45点

レイフ・ファインズの額に浮き出る血管がなんともイヤ。

てことは演技が上手いってことなんだけどもさ。。生理的にダメ。

2021年1月 1日 (金)

夢のシネマパラダイス500番シアター:ゴッドファーザー・オブ・Jホラー黒沢清

クリーピー 偽りの隣人

Creepy出演:西島秀俊、竹内結子、川口春奈、藤野涼子、笹野高史、東出昌大、香川照之

監督・脚本:黒沢清

(2016年・松竹・130分)WOWOW

内容:1年前に失態を犯して警察を辞めた高倉は、現在は大学で犯罪心理学を教えている。そして妻の康子と心機一転郊外の一軒家に引っ越し、新生活をスタートさせていた。ある日彼は、警察の後輩だった野上から6年前に起きた未解決の一家失踪事件の捜査協力を頼まれる。そして事件を唯一免れていた長女に会うのだが、彼女には断片的な記憶しかなかった。一方、高倉夫妻は、新居の隣人・西野の言動にストレスと違和感を感じ始めるが・・・。

評価★★★★/80点

曖昧模糊となっていく此岸(この世)と彼岸(あの世)の境界を、死者が飄々と踏み越えてくる恐怖を描くことを得意としてきた黒沢清。

しかし、そんな大げさな非日常よりも、自分の家の垣根ひとつ越えた隣家で何か異常なことが起きているのではないかという不安感の方が、日常と地続きなだけに身近な怖さがあるし、例えば隣人が「私の家、幽霊出るんです」と言うより「あの人お父さんじゃないです。全然知らない人です」と言ってくる方がよっぽど不気味で怖い。

そして、ご近所さんへの違和感が次第に自分たち家族の日常を侵食してくる様は妙な生々しさがあって、その不穏な雰囲気が見てるこちら側にまで漏れ出してきて嫌~なかんじ・・。

なにより香川照之の怪演が凄まじいのなんの。TVドラマでの豪快な悪役っぷりとはまた異なる神経質でヤバそうなかんじが後ろ姿だけ見ても伝わってきて、上手さを感じる以上に背筋がぞわぞわッとしてくる。

妻(竹内結子)の内面がイマイチ伝わってこないといった欠落はあるものの、警察までもが餌食になっていく後半のおどろおどろしさと、頼るものがもう無い世界の終わりの中を車で疾走する時の合成感丸出しのシーンに快哉w

久々の黒沢製サスペンスホラーを思う存分堪能させて頂きました。

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予兆 散歩する侵略者劇場版

4b8a767a8f2d277eaf0e821976c73051出演:夏帆、染谷将太、東出昌大、中村映里子、岸井ゆきの、渡辺真起子、大杉漣

監督・脚本:黒沢清

(2017年・日本・140分)WOWOW

内容:同僚の浅川みゆきから「家に幽霊がいる」と告白された山際悦子は、夫の辰雄が勤務する病院の心療内科にみゆきを連れて行く。診察の結果、彼女は“家族”の概念が欠落していることが分かった。一方、同じ病院で夫から新任の外科医・真壁を紹介されるのだが・・・。

評価★★★/65点

宇宙人が地球侵略の前段階として人間という生き物を理解するために、人間を動かしている根本にある“概念”を奪って集める、というオンリーワンなシチュエーションだけ取ってみれば白眉。で、奪われた人間は廃人同様になってしまうのも面白い。

そこに黒沢清お得意の侵食してくる彼岸のイメージが上手く作用していて絵的にも見所あり。

なのだけど、本格的な侵略前ということか意外に盛り上がらないw

か弱い女性主人公が侵略者の人差し指を受けつけない特異体質の持ち主であるアイデアも意外にキーファクターとはならず、愛する人のためなら人類が滅んでも構わないというパーソナルな思い=愛の強さに話が収れんしていくんだけども、純粋なセカイ系にもなりきれていない中途半端さに最後まで足を引っ張られたかんじ。。

その中で、無表情がしっかり表情になっている逆説を恐ろしいほど体現している東出昌大が、愛の概念を手に入れたらどんな表情になったんだろうというのは見たかったなぁ。

ちなみに1番好きなシーンは、染谷将太がシャベルで東出の頭を後ろからガッツリぶっ叩くのをワンカットで映し出したところw

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散歩する侵略者

172099_02出演:長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、恒松祐里、前田敦子、満島真之介、光石研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史、長谷川博己

監督・脚本:黒沢清

(2017年・松竹・129分)WOWOW

内容:数日間失踪していた夫・真治が病院で保護された。妻の鳴海はまるで別人のような夫の言動に戸惑いを隠せない。しかし、そんなのお構いなく夫は毎日ふらふらと散歩に出かけ、やがては散歩のガイドになってくれと彼女に頼んでくるのだった。一方、町では一家惨殺事件が発生するなど不穏な出来事が頻発し、フリー記者の桜井は独自調査を始めるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

「予兆 散歩する侵略者」の方を先に鑑賞。

かげりのある空間描写が不穏をかき立てる黒沢なじみのホラー系の「予兆~」とは対照的な本作の軽快なコミカルテイストに少々面食らう。

が、予兆~での制御されたアンドロイドのような表情の東出&染谷とは逆に、本能で動く血まみれ女子高生&高校生クイズに出てきそうな生意気男子が殊のほか良くて、それに振り回される長谷川博己も面白い。

また、いつもの飄々とした松田龍平と引きこもりが治った満島真之介のやり取りも面白かったし、愛は地球を救うを体現した長澤まさみがめちゃくちゃイイ💕

絵的に見るべき点はクライマックスの無人爆撃機くらいしかない中で、生き生きとしたキャラクタリゼーションの新鮮さに最後まで引っ張られたかんじ。

あと、予兆~では愛の概念を知らぬまま終わった東出が今回は愛を説く牧師役として出てくるけど、空虚さが全く変わっていないのは笑えたw

シリアスとユーモラスの狭間であやういバランスのとれたウェルメイドな作りは黒沢清の新たな方向性なのか、なw?

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回路

Kairo02 出演:加藤晴彦、麻生久美子、小雪、武田真治、風吹ジュン、役所広司

監督・脚本:黒沢清

(2000年・東宝・118分)2001/02/18・仙台東宝

評価★★★☆/70点

 

内容:ごく平凡なOL生活を送る工藤ミチ(麻生久美子)の同僚がある日、自殺し、勤め先の社長も失踪してしまう。一方、大学生の川島亮介(加藤晴彦)の周りではインターネットを介して奇妙な現象が起き始める。胸騒ぎを感じた亮介は、同じ大学でインターネットに詳しい研究者の唐沢春江(小雪)に相談を持ちかけるが、次々に友達や家族が消えていく・・・。カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。

“怖いから見たくないと顔を手で隠しても指と指の間から見たくなってしまう、いや、絶対見なければならないと思わせるような世界がそこには広がっていた。”

地球上あるいはこの世界の中で唯一人間のみが“死”というものを発見した。

いつかは必ず“死”が訪れてしまうことを知ってしまった人間。

それこそが宗教や哲学の原点であり、死とは何か、翻ってこの世を生きることとはどのような意味をもつのかという探求、それは決して避けえない“死”を受けとめるために生まれてきたといっても過言ではない。

この作品では生者と死者、此岸と彼岸の境界がネットとパソコンのディスプレイを通して消失していき、2つの世界がジワリジワリと重なっていくさまが描かれている。

そして、あたかも皆既日食のごとく光と闇が重なっていく最大公約数のところに鮮明に見えてくるのは、孤独というキーワードだった。

死とは永遠の孤独であり、死者は永遠に「助けて、助けて」と呟きつづける存在。

しかし実はその“孤独”が現代社会を構築していくシステムの中で大きな存在となりつつある、いや、もうすでになっている現在。

人とのつながり、社会とのつながり、国家とのつながりが希薄になってきたその極端な形を、光と闇という二項対立の壁を取り払った不条理なホラーとして表出させた黒沢清監督の手腕はたしかに大きい。

なぜあちらの世界が侵食してくるのかということを武田真治に語らせた不条理の理はともかく、人と人とのつながりを最後の最後まで求める主人公の一貫した姿から、生きるということに人と人とが理解しあうこと、心と心をつなげることという意味を見出すことが一応できる。

しかし、それは一応という前書きがどうしても付いてしまうくらいの弱々しいものであり、監督の視線の冷たさと突き放し方には、映画を見る側とのつながりさえ拒絶してしまうくらいの投げやりとでもいうような一方的な厳しさがある。春江の描き方なんか特に。

そのため映画と自分との間の回路が半ば開いているようで開いていない状態のまま推移してしまった。

自分としては、人と人とが理解し合うことの難しさと対になる、それゆえに生まれる心と心の交流の温かさを描いてこそ、より説得力をもって伝わってくるものだと考えているのだが、ホラーにそこまで求めるのも酷か・・。

だが、そういう要求を思わず求めてしまうほどのある種哲学的な世界、見たくないと顔を手で覆っても絶対指と指の間から見たくなってしまう、いや、見なければならないと思わせるような世界がそこには広がっていた。

まるで救いを求めるかのごとく無機質な携帯を片手に持った人々であふれかえる街、しかしそこにあふれかえる情報の波の中で他者とコミュニケーションをとることにもはや肉体(身体)は完全に不用となっている。

そんな中、間接的な形の中で次第にコミュニケーションを苦手とし、あるいは苦しみさえ抱き閉じこもって、そういう力を無くしていく人々と社会・・・。

これって、たしかにホラーなのかもしれない。。

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Sakebi 出演:役所広司、小西真奈美、伊原剛志、葉月里緒菜、オダギリジョー、奥貫薫、加瀬亮

監督・脚本:黒沢清

(2006年・日本・104分)2007/03/01・盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

 

内容:有明の埋立地で、身元不明の赤い服の女が殺害された。死因は溺死。この事件の捜査に当たった刑事の吉岡は、被害者の周辺に残る自分の痕跡と不確かな記憶に「自分が犯人ではないのか?」という妙な感情に襲われる。苦悩を深める吉岡は、殺害現場に舞い戻るが、そこで不気味な女の叫び声を耳にする・・・。

“これぞ<映画>!”

「私は死んだ。だからみんなも死んでください」という、映画を締めくくる言葉とは到底相容れないような衝撃的なセリフで終わる作品だが、新聞紙が吹きすさぶゴーストタウンを独りさまよう役所広司の姿を捉えたワンカットで世界の崩壊を表現してしまう、これを“映画”と言わずして何と言おう。

そういう意味でもまさに素晴らしい映画体験を満喫できたと思う。

冒頭、男が水たまりに女の顔を押し付けて殺害するシーンがワンカットで描かれていることからして、今まで見たことがないようなヘンな違和感を感じたものだが、ワンカットで撮った(?)男の飛び降り、瞬きしない赤い服の幽霊(葉月里緒菜)の形相、奥貫薫が凶器でゴツンと男の頭をブッ叩くシーンなど微妙な違和感が見る側に侵食してくる。

この違和感は今までの映画の文法から外れたもの、それはつまるところ“本当のこと”が違和感として感じられてしまうのだろう。

かと思えば、その幽霊がわざわざドアを開けて出て行ったり、空をドッヒューンと飛んでいったり、吉岡(役所広司)が真顔で幽霊が出る相手を間違えることってあるんでしょうか?と言ったり、そういう滑稽なシーンも平気で繰り出してくる。

そっくり丸ごとホンモノと、とてつもないバカバカしさの奇妙な融合がこれほどまでに新鮮な世界観として映ってしまうというのも珍しい。

これぞ“映画”!

20世紀に我々日本人が捨て去ってきたもの、見て見ぬふりをしてきたもの、ひた隠してきたものが21世紀に入ってボロボロと露わになってきている中で、この映画で描かれる赤い服の幽霊が内包するテーマというのは非常に示唆的であるように思う。

そういう時代性も含めて、見応えがあったし、さらに黒沢清にありがちな支離滅裂さがなかったのも見やすくて良かった。

“目の前にいる人が、全然私を見てくれない”呪縛、ゾゾーッ・・。

いったいどれだけの人を、モノを見過ごしやり過ごしてきたのだろう自分は・・・。

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ドッペルゲンガー(2002年・日本・107分)WOWOW

 監督:黒沢清

 出演:役所広司、永作博美、ユースケ・サンタマリア、柄本明

 内容:早崎道夫は、医療機器メーカーで人工人体の開発にあたっているエリート研究者。10年前に開発した血圧計が大ヒットして以来、スランプ状態に陥った彼はストレスを募らせていた。そんなある日、早崎の前に突然、彼に瓜二つの外見を持つ分身ドッペルゲンガーが出現。早崎は必死でその存在を否定しようとするが・・・。

評価★★/40点

コメディだと気付くのが、遅すぎた・・w

2020年12月30日 (水)

夢のシネマパラダイス396番シアター:日本が生んだ怪物ゴジラ

シン・ゴジラ

Img_main出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、高良健吾、松尾諭、市川実日子、余貴美子、國村隼、平泉成、柄本明、大杉漣、片桐はいり、小出恵介、斎藤工、高橋一生、塚本晋也、古田新太、前田敦子、三浦貴大、野村萬斎

監督:庵野秀明・樋口真嗣

(2016年・東宝・120分)盛岡フォーラム

内容:ある日、東京湾で水蒸気爆発が起こり、アクアトンネルが崩落する重大事故が発生。対応に当たる政府内では、官房副長官・矢口(長谷川博己)が未知の海底生物の可能性を指摘するが、総理(大杉漣)以下閣僚たちは一笑に付す。しかし直後、巨大不明生物が姿を現わして蒲田に上陸、街を這いずり回るように蹂躙しながら東京都心に向けて侵攻していく。この事態を受けて政府は自衛隊出動に動くが、対応は後手後手に回るのだった。さらにその後、不明生物は屹立し二足歩行体に進化する。そんな中、米国特使としてカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が極秘来日し、巨大生物の正体“ゴジラ”に関する資料を日本側に提供する・・・。

評価★★★★★/100点

“庵野版日本のいちばん長い日”

当初この映画を映画館で見る気は毛頭なかった。

日本が生んだ唯一無二の大怪獣であり破壊神であるゴジラ。

日本人の一人としてそれをリスペクトしながらも、1954年のオリジナル1作目以外の日本のゴジラ映画は10歳向けのお子ちゃまランチレベルで、ツッコミ入れて笑う以外見るに値しないものだと思っていたので、当然今作もその程度だと決めてかかっていた。

なんてったって監督は20年かかってもエヴァをまともに締めれない庵野秀明と、「日本沈没」「隠し砦の三悪人」「進撃の巨人」とオリジナルをことごとく残念作に改変してしまう樋口真嗣である(笑)。どう考えたって不安>期待とならざるをえず・・・。

一方、桁違いのスペクタクルならば本家ハリウッドのお手の物と思いきや、めっちゃ速く走っちゃう怪物にゴジラを見出せなかったり、夜の暗闇ばかりで暗視ゴーグル付けないと分からなかったり、、結局今までのゴジラ映画で満足できたのは30作中(邦28作・洋2作)オリジナル1作目しかないわけで・・。

じゃあ、このオリジナル作にあって他の作品にないものは何なのかといえば、戦後10年足らずの忌まわしい戦争の記憶が生み出す濃密な既視感、つまりゴジラの災厄=空襲を想起させるリアリティがあるということだ。

そういう視点でみると、今作はまさしく3.11の東日本大震災と原発事故を想起させるシミュレーション映画になっていて見応えは十分。

しかしこの映画の真髄は、非常時だからこそ露わになる和をもって貴しとなす日本独自の伝言ゲーム的意思決定のプロセスに特化することで、日本人とは何かという領域にまで達しているところにある。しかも、それでも何だかんだ言ってチームジャパンはやるときゃやるんだ!という理想をオチにしたことで爽快感を持たせたのが心憎い。

つまりこれはゴジラ映画の名を借りた日本人論なのだと思う。

まぁ、理想をオチにしたっていう時点ですでに虚構なんだけど、ゴジラという圧倒的フィクションを3.11の際に政府官邸・政治家・東電・官僚がすったもんだしていた内情に照らし合わせて描いた目の付け所が上手かったし、庵野秀明の中にある巨神兵→エヴァ→ゴジラという系譜の中でゴジラでやりたい放題やりながら3つ目の原爆投下の可能性という絶望感まで描き切ったんだからスゴイの一言だよこれは。

あとは、時代的に政治がどんどんポピュリズム化する中、ひっきりなしに朝昼晩の情報番組に取り上げられる劇場型政治になっているからこそ受け入れられた映画だとは思うけどね。とともに、日本の政治は何も決められない(特に2009年政権交代後に民主党がやらかしたこと)ことに対する不信感が浸透しているからこそ作れた映画だと思う。少なくとも3.11以前だったら様々な専門用語含め何のこっちゃ!?となったでしょ。

あと上手いなぁと思ったのが、アメリカ側の政府高官の顔をほとんど映さないこと。たぶん顔出しした途端に安っぽくなっちゃうよねw

他にもゴジラ第二形態の気持ち悪さ(TOKIOが番組で捕獲したことで話題になった幻の深海古代生物ラブカをモチーフにしているらしい)や、ラストに映し出されるゴジラの尻尾が人間のモニュメントのように見えるのはどういう意味なのかなどネタは尽きない。

個人的には、あれは原爆ドームや原爆慰霊碑にある「安らかに眠って下さい、過ちは繰り返しませんから」という碑文モニュメントと同じ意味を持つものだと思った。つまり、放射性廃棄物に由来するゴジラを作り出したのは人間であり、人災といえる福島の原発事故を明らかに意識した作りから察するに、また同じことを繰り返すのか人間よ!という警告を阿鼻叫喚の地獄絵図のようにも見えるモニュメントを通して象徴的に描いてみせたということではなかろうか。

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ゴジラ

E382b4e382b8e383a9poster 出演:志村喬、河内桃子、宝田明、平田昭彦、菅井きん

監督:本多猪四郎

(1954年・東宝・97分)NHK-BS

内容:東宝特撮スタッフの総力を結集した日本初の特撮怪獣映画で、以後の国内外の特撮映画に多大な影響を与えた記念碑的作品。水爆実験の影響で太古の眠りから覚めた体長50メートルの大怪獣ゴジラは、口から放射能をまき散らしながら東京を恐怖に陥れる。。空前の大ヒットを受け、翌年には続編「ゴジラの逆襲」が急遽製作された。その後シリーズ化され、1975年の第15作「メカゴジラの逆襲」でいったん終了(昭和ゴジラシリーズ)。84年に復活し、95年の「ゴジラVSデストロイア」まで7作(平成ゴジラシリーズ)。99年に再復活し04年「ゴジラFINAL WARS」まで6作製作された(ミレニアムシリーズ)。また、第1作は「怪獣王ゴジラ」の題でアメリカにも紹介され、日本映画で初めてNYの一流劇場でロードショー公開されるなど海外でも人気で、98年にはハリウッド版が製作された。

評価★★★★☆/85点

“今までありったけのゴジラシリーズを見てきたそのラストにこの本家本元を見てしまった、その衝撃!オキシジェンデストロイヤーで魚が一瞬で液化される以上の衝撃よ。”

まさに、ゴジラ映画における最初で最後のオンリーワン。

とにかくゴジラもそうだけど、人間がちゃんと描かれていることに衝撃!

特に芹澤博士の科学者としての使命と倫理との狭間で揺れる苦悩を描いていたのには感動すら覚えた。

「長崎の原爆から命からがら逃れてきたのに」とか「また疎開しなきゃならないの?」とか、当時のリアルな時代性も直に伝わってくるし。

ゴリラとクジラとの造語だといわれているゴジラ。命名はちょっとおフザケだけども、しかし出来上がったゴジラはおフザケでも何でもないれっきとした万人が知るところのゴジラだったのだ。これはスゴイことだ。

よくテレビなどで耳にする言葉、“日本が世界に誇るゴジラ”。そう言われる所以がやっとで自分なりに納得できた気がする。

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ゴジラ

P16 出演:田中健、沢口靖子、宅麻伸、夏木陽介、小林桂樹

監督:橋本幸治

(1984年・日本・103分)WOWOW

評価★★★/65点

 

内容:火山活動により30年ぶりに甦ったゴジラ。核エネルギーを養分とするゴジラはソ連原潜を沈め、静岡井浜原発を破壊し放射能を吸収し海中へと消える。その後東京湾に姿を見せたゴジラは新宿副都心へと練り歩いていくのだった。生物学者の林田らはゴジラの帰巣本能を利用して三原山火口に誘導する作戦を立てるが、米ソは原子爆弾使用を日本政府に強く迫る。そんな中、ソ連の核ミサイルが誤発射されてしまい・・・。

“森本毅郎のリアリティと、かまやつ&武田鉄矢のバカっぷりとの落差が激しすぎて、人間たちが仕掛けた単なるお遊びにしか見えなくなってくる。おとなしめゴジラが見ていて可哀想になってくる。”

幼稚園の時に親に泣きながらダダこねて見たい×10!って説得し続けて劇場に連れて行ってもらった初めての記念すべき映画だったはずなのに。

今見ると、ありゃまぁこんなんなの?てかんじで、正直見るんじゃなかった(笑)。あの時の感動と恐怖と興奮を自分の中の三原山に封印しておくんだった・・。

ともかくリアリティ勝負の本気度と内輪向けのお遊び度のブレが相当気になったな。

それにしても小林桂樹首相のラストの涙。あのぉ~東京都民が相当数激甚被害にあってると思うんスけど。。首都高の渋滞の車列が一瞬で火の海になっちゃってたりするし。

ま、1作目のゴジラ以外のゴジラ映画にそんなツッコミ入れても意味ないけどw

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ゴジラVSビオランテ(1989年・東宝・105分)NHK-BS

 監督・脚本:大森一樹

 出演:三田村邦彦、田中好子、高嶋政伸、峰岸徹、高橋幸治、小高恵美、鈴木京香、沢口靖子、永島敏行

 内容:ゴジラが三原山に没して5年。あの時、ゴジラが破壊しつくした新宿副都心でゴジラ細胞(G細胞)が採取されていた。G細胞には核を無力化する力があるという。そこで日本政府は、遺伝子工学の権威・白神博士に抗核バクテリアの開発を託した。博士は中東某国の研究所にいた際に、爆破テロに遭い最愛の一人娘・英理加を失っていた。そんな中、超能力少女・三枝未希が三原山の火口の中でゴジラが息づいていることを確認、ほどなくゴジラが復活する。一方、芦ノ湖には、博士が愛娘の遺伝子が入ったバラをG細胞と融合させて生み出された巨大怪植物が出現していた・・・。

評価★★☆/50点

沢口靖子がビオランテになってしまうおぞましさは、なるほど科学技術をもてあそびゴジラとビオランテを作り出した人間こそが怪物なのだというテーゼを如実に示してくれるが、いかんせんその肝心の人間ドラマがちゃちいアクション含めて幼稚すぎて見るに堪えない・・・。

科学者が亡くなった自分の娘を蘇らせるためにバラと娘の遺伝子とゴジラ細胞を掛け合わせて作り上げた禁断のキメラ生物ビオランテ、しかも娘の心が宿った異形のもつ哀しみというモチーフは手塚治虫から鋼の錬金術師にいたるまでハズレなしのはずだったんだけど、ここで大ハズレ(笑)。

核エネルギーを無力化する効力がある抗核エネルギーバクテリアなどシナリオ要素は非常に魅力的ではあっただけに、やっぱり見せ方がしょぼいとダメになっちゃうんだねぇ、という好例ww

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ゴジラVSデストロイア(1995年・東宝・103分)NHK-BS

 監督:大河原孝夫

 出演:辰巳琢郎、石野陽子、林泰文、小高恵美、大沢さやか

 内容:香港に身体中が赤く発行したゴジラが上陸する。ゴジラの体内で核分裂が暴走し、ゴジラ自身がメルトダウンしてしまう危険性があることが判明する。一方その頃、かつてゴジラを倒した兵器オキシジェンデストロイヤーによって変貌を遂げた古代生物デストロイアが東京湾に現れる・・・。平成ゴジラシリーズの最後を飾るべく登場したシリーズ第22作で、1954年の「ゴジラ」の正統な続編に位置するシリーズ完結編。89年の「ゴジラVSビオランテ」で大森一樹が確立させた平成ゴジラの世界観を収束させる物語となっている。90年代のゴジラシリーズは、VSキングギドラ、VSモスラ、VSメカゴジラ、VSスペースゴジラと作品が重ねられ、この作品で一旦集結するが、ハリウッド版「GODZILLA/ゴジラ」を経た99年末に、4年ぶりに再び復活を果たすことになる。

評価★★/45点

“最凶原発!トンだメイド・イン・ジャパン”

メイド・イン・ジャパン。

バック・トゥ・ザ・フューチャーでデロリアンに使われているマイクロチップが日本製なのを見て、1955年のブラウン博士がデロリアンが壊れるのも当然だと納得するシーンがある。

そう、当時“メイド・イン・ジャパン”は「単なる劣悪品」としか見られていなかった。

しかしそれが“安いが劣悪”を経て“安くて優良品”へと変貌を遂げ、アメリカをはじめとして世界を席巻した。

ゴジラもそうだ。

最初は「単なるB級怪獣」としか見られていなかったゴジラがハリウッド殿堂入りするほどの名優へと変貌を遂げてきたのである。

メイド・イン・ジャパン、ゴジラ。

だがしかし、この映画をはじめとする平成ゴジラは日本人としていかがなものか。「安くて優良」が日本が誇るメイド・イン・ジャパンだったのだとすれば、この映画は「高くて劣悪」がピッタリ。「安いが劣悪」よりもタチが悪いではないか。

平成大不況、失われし10年、、経済復興から発展してきた日本の経済をはじめとする成長率とゴジラ映画の勢力がダブって見えてしまうのは自分だけだろうか。まるで様々な不祥事が雨後のタケノコのごとく湧き出している企業事件に煽られている今の日本経済を指し示しているようなかんじだし。

その意味でいえば、まさにゴジラは戦後日本の象徴とは言えるのだが・・・。

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三大怪獣 地球最大の決戦(1964年・日本・93分)WOWOW

 監督:本多猪四郎

 出演:夏木陽介、小泉博、星由里子、若林映子、ザ・ピーナッツ、志村喬

 内容:金星人と名乗る謎の女性が全国各地に現れ、かつて金星の高度な文明を滅ぼした宇宙怪獣キングギドラの地球攻撃を予言する。そして、それに呼応するかのようにラドンとゴジラが復活し各地を蹂躙し始める。一方、黒部ダムに落下した隕石の中からついにキングギドラが誕生。インファント島の小美人(ザ・ピーナッツ)は、モスラを使ってゴジラとラドンを説得し、モスラ&ラドン&ゴジラ連合による対キングギドラ戦を提案するが・・・。

評価★★/45点

“「モスラが諦めないで説得を続けています。」”

この一言に尽きるねこの映画は(爆)

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GODZILLA/ゴジラ(1998年・アメリカ・138分)仙台第1東宝

 監督・脚本:ローランド・エメリッヒ

 出演:マシュー・ブロデリック、ジャン・レノ、ハンク・アザリア、マリア・ピティロ

 内容:日本を代表する大怪獣ゴジラをハリウッドが最先端SFXを駆使して映画化したブロックバスター映画。従来のゴジラのイメージを一新するデザインが賛否両論を巻き起こした。

評価★★★/65点

正直に告白してくれ、エメリッヒよ。

ゴジラの名を借りてTレックスとヴェラキラプトルを街中で暴れさせたかっただけなのだ、と。

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GODZILLA ゴジラ

Godzilla5ac47出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス、デヴィッド・ストラザーン

監督:ギャレス・エドワーズ

(2014年・アメリカ・123分)盛岡フォーラム

内容:1999年、フィリピンの炭鉱地下で謎の巨大生物の化石が発見された。同じ年、日本の雀路羅(ジャンジラ)市で原子力発電所が原因不明の放射能事故に見舞われる。15年後、かの事故で妻を亡くした原発職員のジョーは事故の真相を暴くことに取りつかれていたが、米軍大尉の息子フォードはそんな父からは距離を置き、妻子とサンフランシスコで暮らしていた。しかしある日、ジョーが立入禁止区域に侵入して逮捕されたとの知らせを受け、フォードは急ぎ日本へ向かう・・・。

評価★★★/60点

こんなもんかぁ、、というのが正直な感想だけど、そこには多分に大いなる期待値を下回ったという意味合いがある。

じゃあ、その大いなる期待値はどこから来たかというと、上空数千メートルから海兵隊がゴジラが降臨した地獄の釜底のような廃都にクモの糸を伝うように降下していく予告編に充満する終末観によるものだった。

いわずもがな、その終末観は人間が破壊神ゴジラに蹂躙されることによって生み出されるものだと自分は期待していた。

つまり人間vsゴジラという構図である。

ところがこの予告編の場面は実際はゴジラvsムートーで、人間は全く蚊帳の外なのだ。

いや、このシーンだけではない。ゴジラvsムートーという題名にした方がいいくらいにそちらの方が主役と化してしまっているのだ。それどころかアメリカ第七艦隊に両側を護衛されながら円陣を組んで太平洋を悠々と突き進むゴジラ、、ってそれは違うだろ!例えば、獰猛なナイルワニが川を渡る時に両側を舟で並走できるかって、んなバカな話がどこにあるw

ゴジラは人間くそ喰らえ!ムートーくそ喰らえ!とならなければならないはずで、第七艦隊を駆逐するのが当然のスジだろう。

そう考えると、この映画の問題の本質は、ムートーが出しゃばりすぎなことよりも、ゴジラの人間ガン無視度がハンパないことに尽きるのではなかろうか・・・。

あと、やっぱり気になったのがヘンな日本描写

ジャンジラ市という名前だけでもヘンだけど、日本にはない海外様式の原発の形状(原発の横にある円筒形の冷却塔から煙がモクモク出ている風景)とか、日本なのにアメ車しか走ってないとかw、もうそこが気になり出すと映画のリアルが感じられなくてテンションが冷めちゃうんだよね。

あと、映像の方も破壊された街並みやゴジラを捉えたロングショットはよく撮れてたけど、全体的に夜の暗い画ばかりでツマラナイ・・。

いやぁ、自分の期待していたゴジラはこんなはずじゃなかったんだけどなぁ。。って、98年版ゴジラでもそう言ってたっけ(笑)

2019年10月12日 (土)

夢のシネマパラダイス285番シアター:突撃!隣のマイケル・ムーア!

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

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監督・脚本・出演:マイケル・ムーア

(2015年・アメリカ・119分)WOWOW

内容:映画監督マイケル・ムーアが単身アメリカを飛び出し、星条旗を掲げながら“世界侵略の旅inヨーロッパ”を敢行。各国の良い制度や習慣を略奪してアメリカに持ち帰ろうというのだ。まずイタリアに侵略した彼は、有給休暇が年間8週間もあることに衝撃を受ける。その後も訪れた国々で驚くべき常識を知ることになり・・。

評価★★★★/80点

自己責任と個人主義の弱肉強食大国アメリカと社会責任と連帯主義の弱者救済システムを持つヨーロッパを比較して、アメリカのジョーシキをシニカルかつユーモアたっぷりに糾弾していく構成力はドキュメンタリーの枠を超えた面白さで、マイケル・ムーアのセンスを再認識。

ポルトガルのドラッグ合法とかノルウェーの開放型刑務所とかさすがにそれはどうなの!?というのもあったけど、アメリカ型資本主義一辺倒の日本としては対岸の火事として笑っていられない部分もあったりして、興味深く見ることができた。

その中で、日本でも取り入れなきゃダメだなと思ったのは、スロベニアの大学授業料無料をはじめとする教育費の無償化。少子高齢化でマンパワーが枯渇していくことは目に見えているわけだから、広がり続ける経済格差社会の中で高等教育を受けられないというのはそれこそ国益を損ねることにつながると思うんだけどなぁ。どうも政治家先生たちの頭の中では教育に対する優先度が低いようで・・。

あと、映画の中で紹介された各国の様々な施策が実はアメリカ発祥のものばかりというのは目が点になったところで、行き過ぎた資本主義ははたして人を幸せにするのだろうかと日本の行く先にも不安を覚えてしまった。。

でも、その不安を希望に変えていくには自らが声を上げて立ち上がらなければ勝ち取れないのだというのはちょっと耳が痛くなっちゃった。

権力は隙あらば常に抑圧と搾取を狙っていて、流されるまま無関心でいると知らない間にとんでもなく生きづらい世の中になっているかもしれないってことを肝に銘じなければ・・・。

ハンマーとノミを見えるとこに置いておこうw

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華氏911

9111bigthumb 出演:マイケル・ムーア、頭のネジが2,3本吹っ飛んでいるジョージ・W・ブッシュ

監督・脚本:マイケル・ムーア

(2004年・アメリカ・122分)恵比寿ガーデン

評価★★★★☆/85点

内容:イラク戦争を決行したブッシュ大統領を標的に、同時多発テロ時の彼の行動やブッシュ家とビンラディンの関係などを、痛烈に批判していく。カンヌ国際映画祭でパルムドールと国際批評家連盟賞を受賞。

“マイケル・ムーア流レジスタンス”

この世界を正常にするために小さき自分ができることをひとつ見ーっつけた。

この映画を知人友人に広めたるわ(ベターー)。オレ流レジスタンス。

この映画がカンヌで賞を獲り、アメリカでも大ヒットだったにもかかわらずブッシュは再選されてしまったわけで、あと数年続いちゃうんだこんなのが・・・。でも、ブッシュよ、アンタの政権が終わった後どころかアンタの死後にもこの映画は残っていきますからー残・念!

映画というのは主観が入っていて当然だし、それが例えドキュメンタリー映画といわれるものであっても。そうじゃなきゃ映画じゃないと思うので、この映画のスタンスは個人的には全然OK。ていうかこれとは真逆のネオコン&ブッシュ命映画も作りゃいいじゃん。主観バンバン入れて。それでもドキュメンタリーとしての事実は事実なんだから。

映画てのはそういうもん。だと思う。

この点については「ブラックホーク・ダウン」のレビューでも述べてるのでここではこれ以上突っ込んではいきませんが。

ところで、この映画で1番印象に残ったのは、イラク人の母親とアメリカ人の母親が同じことを叫んだこと。

米軍に家を爆撃され、子供親類を亡くした女性が泣き叫びながらアッラーに救いと復讐を求める、一方でイラクで戦死した息子の死を受け容れられないアメリカ人女性も泣き叫びながら神に救いを求める。

結局は同じ痛みと悲しみ、そして絶望の祈りを捧げなければならない。

んで政治家連中は高みの見物。

そんなに戦争したいなら、「西部戦線異状なし」で出てきたセリフのように、囲いの中に指導者を集めてその中で素手の殴り合いをさせて決着つければええやん。あるいは「トロイ」みたいに、1対1の決闘で勝敗をつけるとか(笑)。え?軍産複合体が許してくれない?

そうだなぁ、、10年に1回デカイ戦争しないと国がまわらないシステムだからねアメリカって。

さぁて、次の標的はどこよ。。。

Posted at 2004.10.04

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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年・カナダ/アメリカ・120分)恵比寿ガーデン

 監督・脚本:マイケル・ムーア

 出演:マイケル・ムーア、アブないマリリン・マンソン、キレてるチャールトン・へストン、人殺しが好きなジョージ・ブッシュ、マット・ストーン(誰だっけ)

 内容:マイケル・ムーアがアメリカ銃社会をなで斬りにし、カンヌやアカデミー賞などで多数の賞を受賞したドキュメンタリー。1999年4月20日、コロンバイン高校銃乱射事件が発生。なぜアメリカでは銃犯罪が多発するのか?ムーアは全米ライフル協会会長のチャールトン・へストンらに突撃アポなし取材を敢行していく。

評価★★★★☆/85点

“あ゛ーーー、また自分にとって知りたくもない余計なトリビアが増えてしまったぁぁ・・。”

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シッコ(2007年・アメリカ・123分)CS

 監督・脚本:出演:マイケル・ムーア

 内容:先進国の中で唯一、国民皆保険制度を持たない国アメリカ。約4700万人が無保険のため高額の医療費を払えず、病院に行くことを我慢せざるをえない状態にある。一方、残りの国民の健康保険の大半は民間の保険会社に委ねられているが、はたしてこれらの保険会社は本当に満足のいく医療を提供しているのだろうか!?アメリカの医療の衝撃の実体が明らかになる。。

評価★★★★☆/85点

“ボランティア大国の裏の顔”

底辺に生きる者への対し方でどんな社会か知れるという・・・。

なりふり構わない規制緩和と市場開放による新自由主義が国民の生命に関わる医療を握ったとき、その行き着く先にあったのは、、、

誰も助けてくれない社会だった・・・。

なんという悲しい現実。

弱者が捨てられていく目を覆いたくなるような惨状に思わず涙してしまった。

しかし、市場原理主義ももちろんだけど、その底流にあるアメリカ人のものの考え方の偏り方にはあっけにとられたというか、、究極の個人主義と自己責任論、そして社会主義はおろか社会民主主義でさえも受けつけない徹底した嫌悪感というのは計り知れないものがあるのだなと思った。根本的に価値観が違うというかね・・。

世界の隅々まで自由と民主主義を行き渡らせようと大変な努力(笑)をしているアメリカ、しかし“私”が“私たち”のために、“持てる者”が“持たざる者”のために物事を考えることができない社会こそ最も危険な恐ろしい国ではなかろうか。

政府が国民を恐れるのではなく、国民が政府を恐れてしまうという“ビョーキ”にかかってしまったら世も末か、、って日本は大丈夫なのだろうか。。

アメリカの年次改革要望書に沿って動いている日本の行く末にあるものとはどんな社会なのだろうか・・・。悪寒が・・

とにもかくにも、この映画を見て感じたのは、医療や教育、介護といった国民生活を最低限保障するサービスに関しては、営利を旨とする民間機関ではなく、やはり国と政府にしっかりしたものを提供してもらわなければならないということ。

もちろん、そのためにはスウェーデンなどのヨーロッパ諸国なみとはいかないまでも、かなりの税負担と社会保険料を代償として払わなければならないだろうけど、払った分だけ国民生活に徹底して還元される社会であればそれも許容できるのではなかろうか。

そのためにも政府が国民を恐れる国、つまり国民と政治が密着し、真の意味で国民が政治を取り仕切る国にならなければならないのだと思う。それが本当の民主主義なのだ。

翻って、日本は、、、

まずはとにかく、民間を参入させて市場開放すれば国民にとっても選択肢が増えて良いという論は医療には当てはまらないということだけはよ~く分かった。

2019年10月 6日 (日)

夢のシネマパラダイス376番シアター:キル・ビル

Kill 出演:ユマ・サーマン、デビッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、ルーシー・リュー、栗山千明

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

(2003年・アメリカ・113分)MOVIX仙台

評価★★★/65点

 

内容:結婚式の真っ最中に襲われ、夫とお腹の中にいた子供を殺され、自らも頭部に銃弾を受け4年間昏睡状態になっていたザ・ブライドが長い眠りから目覚めた。彼女はかつてのボスに復讐を開始する!タランティーノが6年の沈黙を破ってメガホンをとり、世界中のB級アクションへ溢れるオマージュを捧げたバイオレンス映画の前編。

“悲しいときーー。悲しいときーー・・・”

友達の笑い話を聞くとき最初は面白くてワハハハって聞いてるけど、途中からもうどうでもよくなってきて、でも面白くないからもういいよとも言えず、、、付き合い笑いでフフッてするときーーっ。

悲しいときーー。悲しいときーー・・・、

タランティーノのネタ話を見るとき最初のSBのマークなどが面白くてワハハハ上手いわーって見てるけど、途中からもうどうでもよくなってきて、でもお金もったいないからもう帰ろうかとも言えず、、、皆に合わせてフフッてするときーーっ。

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キル・ビル Vol.2(2004年・アメリカ・136分)MOVIX仙台

 監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

 出演:ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン、ゴードン・リュー

 内容:オーレン石井を倒したザ・ブライドの標的は、バド、エル・ドライバー、そして最大の標的であるビルの残り3人となった。さっそく彼女は次なる標的バドを倒すためにテキサスの荒野へ向う。一方、日本刀の名手バドはもはや殺し屋としての面影もなく、アル中に落ちぶれていた。が、ザ・ブライドが復讐にやって来ることを予期していたバドの計略にはまってしまった彼女は生き埋めにされてしまう・・・。

評価★★★★/75点

“梶芽衣子の怨み節に捧げるものの見事なタランティーノの語り節。”

咲いてみせたらブッ放された バカなブライド怨み節♪

運命哀しとあきらめて ブライド涙の怨み節♪

憎い口惜しい許せない 消すに消えないこの傷は 尽きぬ女の怨み節♪

夢よ未練と嗤われて 覚めてみせますまだ覚めきれぬ 女ごころの怨み節♪

真っ赤なバラにゃ棘がある 刺したかないが刺さずにゃおけぬ 燃えるブライド怨み節♪

死んで花実が咲くじゃなし怨み一筋生きていく 女いのちの怨み節♪

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

よくぞブライドに化身させてくれた!

ユマ・サーマンがまたカッコ良いんだよなぁ。

色調を抑えたクローズアップの顔のなんと清冽なことよ。

女の強さを芯の中から浮き上がらせたブライド(ユマ・サーマン)に惚れました。。

“人を呪わば穴二つ”という格言があって、人のことを怨んで殺そうとする者は、その報いで自分の墓穴も掘ってしまうことになるという意味なのだけど、全くその通りブライドは埋められちゃうわけで(笑)。

タランティーノはそういうことまでよく分かっていらっしゃるようで。う~ん、、ホントかな(笑)。。。

でもとにかく1作目は個人的にはあまりノレなかったのだけど、今回は相当に入り込んでしまいました。よく出来てる。ウン。

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プラネット・テラーinグラインドハウス

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出演:ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、ブルース・ウィリス、ジョシュ・ブローリン、マーリー・シェルトン

監督・脚本:ロバート・ロドリゲス

(2007年・アメリカ・105分)WOWOW

内容:テキサスの田舎町。米軍基地で生物化学兵器が流出、そのガスを浴びた町の人々が次々にゾンビと化してしまう。ゴーゴーダンサーのチェリーはゾンビに右脚を食いちぎられ、女医のダコタは不倫相手が脳みそを食い尽くされてしまう。町中がパニックになる中、チェリーは無くなった脚にマシンガンを装着し、ダコタはガーターベルトに注射器を装着し立ち向かっていくが・・・。

評価★★★☆/70点

昔はゾンビ映画というとスプラッタ要素に耐えられず敬遠してきたんだけど、ウォーキングデッドで耐性ができている今は逆に大好物になってしまったクチ(笑)。

で、70~80年代のB級ホラーテイストを再現したお遊び満載の今作は、ロバート・ロドリゲス生来の資質をリミットMAXにまで押し上げたともいえるけど、もはやくだらない悪趣味の域を超えた痛快レベルにまで昇華されていて、見ていてかなり楽しい♪

特に、片脚マシンガンのヒロイン、チェリーは背徳的エロスをまとっていて、この作品だけで終わらせるのはもったいないほど💕

その他のキャラクターもゲップが出るほどの突き抜け感を有しておりハズレはない。

例え本気バカであろうとも、やっぱり映画愛に彩られた作品はジャンルに関係なく映画好きの心を弾ませるものなのだね。

まぁ、とはいえ〇ン玉ネタはやりすぎかなと思ったし、決して万人向けではないんだけど・・w

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デス・プルーフinグラインドハウス(2007年・アメリカ・113分)WOWOW

 監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

 出演:カート・ラッセル、ロザリオ・ドーソン、ローズ・マッゴーワン、シドニー・タミーア・ポワチエ、ゾーイ・ベル

 内容:ダイナマイトボディの美女ジャングル・ジュリアは、テキサス州オースティンの人気ラジオDJ。ある日、彼女は女友達と行きつけのメキシコ料理店で楽しい女子会を開く。しかし、そんな彼女たちを嗜虐的に眺める男がいた。ドクロマークの付いたシボレーを駆るスタントマン・マイクと名乗るその男は、次第に血に飢えた本性をあらわにしていく・・・。

評価★★★★/80点

“THE END”のテロップを見て思わず快哉を叫んでしまったのは初めてかもしれない。

なんだろ、便秘が治ってスッキリしてよっしゃー!みたいな痛快至極な終わり方がとにかく最高で、このカタルシスだけで見る価値あり。

前知識ゼロで見たものだから、前半はスタントマン・マイクのキャラクターをつかむのが手探り状態で、この顔にキズあり男は一体何者なんだ?と思いながら見ていたのだけど、何のことはないただの変態イカレポンチだったというオチw

でもこのカート・ラッセルは今まで見た中で1番輝いてたと思う✨

あとは、タランティーノ十八番の伏線なしの下世話な下ネタ話を女子会トークとしてダラダラと延々見せられるのも、AVの前段のフリートークを早送りするように普通ならイライラするんだけど、タランティーノの手にかかるとニヤつきながら見れてしまうんだよね(笑)。

雑談が映画になるってスゴイよ。だってこの雑談がなければ30分で終わる映画じゃんww

カーチェイスもマッドマックスみたいでアドレナリン全開だったし、音楽センスも良かったし、ブスギャルたちの美脚も💓💓だったし、わたくしはタランティーノの趣味を全面的に支持します♪♪

2018年9月29日 (土)

夢のシネマパラダイス271番シアター:るろうに剣心

るろうに剣心

T0010720q 出演:佐藤健、武井咲、吉川晃司、蒼井優、青木崇高、綾野剛、須藤元気、奥田瑛二、江口洋介、香川照之

監督・脚本:大友啓史

(2012年・日本・134分)盛岡フォーラム

内容:幕末の混乱期に人々を殺め“人斬り抜刀斎”と恐れられた剣客がいた。そして明治維新から10年後。再び抜刀斎が惨殺を繰り返し世間を騒がせる。そんな中、手配書に見入るひとりの浪人がいた。その名は緋村剣心。自ら立てた“不殺の誓い”に従い、斬れない刀を手に流浪の旅を続けていたのだ。そんなある日、亡き父の道場を引き継ぐ女剣士・神谷薫を抜刀斎を名乗る男から助けた剣心は薫の道場に居候することになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

*原作漫画は未読

ジャンプ漫画の実写化はドラゴンボールや北斗の拳など、ことハリウッドの実写化ではロクなことにならないのは周知の通りw

しかし、今回は幕末という史実のリアリティをベースにした世界観の中で、荒唐無稽な漫画のエッセンスをファンタジックに寄りすぎないレベルで巧みに織りまぜ、躍動感とケレン味あふれる本格時代劇アクションとなっている。

これはもはやジャンプ漫画の実写化という枠を超えたクオリティというにふさわしいテイストで、さすが自分と同じ盛岡出身の大友啓史監督だけのことはあるw

大河ドラマ「龍馬伝」での陰影のある映像の質感や長回しを用いた演出にハマッていた者としては今回も期待以上の画づらを見せてくれてまずは満足。

ただ、不満点がないわけではない。

話がめっぽうツマラナイのだ(笑)。

キャラクターに深みがないのが最大の要因だと思うのだけど、そのくせにせわしなくバトルシーンが続くので、映画のテンションとこちらのテンションが微妙にかみ合わない。

物語の運び方をもうちょっと丹念に煮詰めていって、状況説明の先にあるキャラクターの心情に寄り添ってちゃんと感情移入させてほしかった。

、、って、脚本書いたのも大友啓史だったのかい

まぁ、続編あったらもち見るけど、音楽もちょっとウザかったので今度は控え目でお願いします。。

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るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編

O0390052513068472391出演:佐藤健、武井咲、伊勢谷友介、青木崇高、蒼井優、神木隆之介、江口洋介、藤原竜也、小澤征悦、土屋太鳳、滝藤賢一、田中泯、福山雅治

監督:大友啓史

(京都大火編・2014年・日本・139分/伝説の最期編・同・135分)WOWOW

内容:明治11年。幕末に“人斬り抜刀斎”と恐れられた緋村剣心。今は東京の神谷道場で女師範の薫らとともに穏やかな日々を送っていた。しかしその頃京都では、剣心の後釜として幕府側の影の人斬り役を務めていた志々雄真実が暗躍していた。維新後、口封じのために明治新政府によって暗殺されたはずだったが、実は生きていて、復讐するために京都で恐るべき軍団を作り上げたという。危機を察した政府上層部の大久保利通は、剣心に志々雄の討伐を要請するが、その矢先に大久保は志々雄一派に暗殺されてしまう。そして剣心は京都へ向かうことを決断するが・・・。

評価★★★☆/70点

まずもってアクション演出にかけては最高点。

古今東西あるチャンバラ活劇&剣戟アクションの中で今作の殺陣のアクション演出ほど極みに達したものはないだろう。

アングル、カット割り、スピード感、即興性すべてにおいて言うことなしだし、例えば中国の武侠映画でよく見られるワイヤーアクションの飛翔感や浮遊感が生み出す優美性とは異なる身体性を強調したライブ感が、アクションシーンに圧倒的な迫力を生み出していたと思う。

また、時代劇の定石では、クライマックスにもってくるであろう一大決闘シーンを序盤からつるべ打ちのごとく畳みかけてくるのもエンタメ度全開でお腹いっぱいで、その点では大満足。

ただ、逆にいえば、良質な時代劇が持ちうる静の中に宿る緊張感や叙情性、また感情の奥行きを生み出す余韻や余白には絶対的に乏しく、それを大音量の音楽でとにかく埋め合わせているのがこの映画ともいえる。

前後編4時間半近く見ても一向にキャラクター(特にサブキャラ)に深みが感じられなかったのもある意味スゴイww

まぁしかし音楽のウザいこと×2セリフも聞き取れないくらいだったな・・。

P.S.歴史好きの戯れ言としていえば、ペリーの黒船がなしえなかった江戸砲撃を志々雄の鋼鉄船で見たかったような

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無限の住人

B9dc9809335a42e31a4deddc9af5ee04728x826出演:木村拓哉、杉咲花、福士蒼汰、市原隼人、戸田恵梨香、栗山千明、満島真之介、山本陽子、北村一輝、市川海老蔵、田中泯、山崎努

監督:三池崇史

(2017年・日本・141分)WOWOW

内容:かつて百人斬りの異名を持つ剣豪・万次。妹を目の前で殺され生きる意味を失い、さらに謎の老婆によって永遠の命を与えられ、以来50年以上まさに生きる屍として孤独に過ごしてきた。そんなある日、浅野凛という少女が現れ、統主・天津影久率いる剣客集団に両親を殺された仇討ちの助っ人を頼まれる・・・。

評価★★☆/50点

主人公の万次に謎の蟲を与えて不老不死の身体にする怪しい老婆・八尾比丘尼。

この名前を聞いた時に真っ先に思い浮かべたのが手塚治虫の「火の鳥・異形編」だ。

時は戦国、火の鳥の羽根でどんな病も治すことができる蓬莱寺の八尾比丘尼。暴君である父の病を治されてはならないと息子・左近介は比丘尼を殺害する。しかし、事を終えて寺領を出ようとするもそこから出られなくなってしまった左近介は、絶えず集まってくる病人のために仕方なく比丘尼として病を治していく。そして比丘尼として生きるようになって30年後、自分を殺しに左近介がやって来る、、

といういわゆる因果応報の無限ループものなんだけど、人を殺めた罰として永遠に背負うことになる人間の業の恐ろしさにただただ圧倒されてしまった。

それが頭に入っていたので、今回のキムタクじゃねーやw、万次はどのような業を背負わされるのかと思いきや、何回ゲームオーバーになってもTo be continuedできるテレビゲームばりのチープさだったというオチ・・。魅力的なはずの中ボスキャラたちもあれよあれよの使い捨てで、まるで何かの総集編w!?

そこには生命の重みどころか人生そのものすら感じられない無機質な物語しかなく薄っぺらい。

残る唯一の見所となるべきチャンバラ活劇も、るろ剣や十三人の刺客と比べれば及第点以下。

これだけの重厚キャストを揃えておきながら流しそうめんみたいな映画になっちゃうとは残念無念。。これは連続ドラマでやるべきだな。

杉咲花だけは二重丸✨

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五条霊戦記//GOJOE

Gojo1 出演:隆大介、浅野忠信、永瀬正敏、岸部一徳、國村隼

監督:石井聰互

(2000年・東宝・137分)仙台第一東宝

評価★★★☆/70点

 

内容:平安末期、平家が支配する闇の時代。源義経こと九郎義経は山にこもり日々武術や妖術の鍛錬に明け暮れていた。五条大橋で平家武者を次々と斬って捨てるその姿は鬼と恐れられ、近寄るものはほとんどいない。しかし、神から鬼を退治せよとの啓治を受けた武蔵坊弁慶は、義経を討つべく身の丈ほどもある刀を担いで乗り込んでいった。。

“雰囲気は好き。”

中世、闇の時代というオープニング字幕が示すように、この時代の雰囲気を出すことにこだわっていてそれがよく伝わってくる出来栄えだったと思う。

仙頭武則がプロデューサーだった効果はあったんじゃないかな。萌の朱雀なんかで見せた畏怖の自然を余すところなく見せていて、その点では成功していたと思う。

中世が闇、暗黒の時代だったかは別にしても、あの時代明らかに人々の観念の中に鬼や物の怪は存在していたわけで。タタリもざらにあったでしょう。

アニメ「もののけ姫」でも描かれていた通り、しかし、もののけ姫の色づかいよりもさらに深遠な森、誰も立ち入ることのできない場所というのは絶対あったはずで、そういう雰囲気はこの作品の中でよく出ていたと思う。

が、しかし、この映画、残念でならなかったのがカメラ。

バトルが見せ場なのに、ほとんど近いアングルからしか撮ってない!

こだわりすぎじゃないかってかんじで。

カメラは引くどころか近寄りすぎーー。。目ぇ疲れるーー。。剣と剣がぶち当たるとこしか写ってなーーい、火花バチッ×2

昨今は接近アングルが流行りなのかしらんけど、遠近織り交ぜてやった方が・・・。

サイバーバトルにこだわるのは別にいいのだが、、惜しい。

あと、浅野忠信の義経ってのもなんか妖艶さが足りなくて物足りなかったなぁ。。

Posted at 2000.10.20

2018年7月13日 (金)

夢のシネマパラダイス519番シアター:キング・コング

Kingkong 出演:ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ、ジャック・ブラック、トーマス・クレッチマン、ジェイミー・ベル

監督:ピーター・ジャクソン

(2005年・ニュージーランド/米・188分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:1933年のニューヨーク。野心家の映画監督カール・デナムは、かつてない冒険映画を撮ろうと、新進気鋭の脚本家ジャック・ドリスコルと美人の新米女優アン・ダロウを加えた撮影クルーを率い、危険な航海に出る。やがて、幻の孤島スカル・アイランド(髑髏島)へ辿り着いた一行は、さっそく撮影を開始する。しかし、アンが原住民にさらわれてしまい、救出に向かったクルーたちは、そこで原住民によるコングの生贄の儀式にアンが差し出される光景を目の当たりにするのだった・・・。1933年製作のSF映画の金字塔「キング・コング」を最新テクノロジーを駆使し、ピーター・ジャクソンが悲願の映画化にこぎつけた超大作。

“デジタルという神の手が魔神を森の思索者に変えてしまった。違う、美女じゃない!デジタルが野獣を殺したんだ!”

アフリカ奥地でマウンテン・ゴリラの保護に半生を捧げた女性学者の実話をシガニー・ウィーバー主演で映画化した「愛は霧のかなたに」。

この映画ではシガニー・ウィーバーが実際にゴリラの群れの中に入っていってカメラを回すという撮影方法がとられたという逸話が残っている。それによって、いつ何をしでかすか分からないゴリラ達との交流シーンがスリリングかつリアリティのある映像を生み出し、ただの感動動物映画とは一線を画した作品に仕上がっている。

さて、なぜシガニー・ウィーバー主演の映画をここで取り上げたのか。

それは今回の巨獣キング・コングを見ながら、正直これは“怪獣・モンスター”という部類ではなく、「愛は霧のかなたに」に出てきた“マウンテン・ゴリラがこんなにでっかくなっちゃった”というキャラクターに見えてしかたなかったからだ。

いや、これはもしかして「マイティ・ジョー」(ちなみに「マイティ・ジョー」のオリジナル「猿人ジョー・ヤング」の製作を務めたのがオリジナル「キング・コング」の監督メリアン・C・クーパー)に出てきたジョーの兄貴か!?と思った方がスッキリするかも。

それはつまり、崇拝の対象としてのアンタッチャブルな破壊神という畏怖と神秘性の視点が一気に薄まったかわりに、容易に感情移入できる親しみやすさと漢(おとこ)クサさ、人間クサさが一気に濃くなったということだ。

それにより、ナオミ・ワッツをめぐる男気あふれる野生児コングと弱々しい文系人間エイドリアン・ブロディのタイタニックをも凌ぐ命を賭けたねるとん紅鯨団対決にいつの間にか引きずり込まれてしまう仕組みになっている。

NYでの凍った池の上でのお滑りデートのカメラワークなんて「タイタニック」でアイルランド民謡をバックに歌い踊るジャックとローズそのもの・・。

じゃあこの映画はこれでいいのかと問われたら、、自分はこれでイイと答えるだろう。というか、そう答えざるをえないほど、ピーター・ジャクソンの力技と、陰りなど一切感じられない自信たっぷりの咆哮ぶりに度肝を抜かれ腰を抜かした。

まるで、おもちゃ箱をありったけひっくり返したかのような過剰なボリューム感であふれ返っているこの映画。

しかし、ピーター・ジャクソンはただ闇雲にブッ散らかすのではなく、しっかり整理整頓して筋道を立ててブッ散らかしている。それがこの映画の肝ともいえる。

他人から見たらどう見てもブッ散らかした部屋でも当の本人から言わせるとどこに何があるか分かっている最高の状態だということがあるが、ピーター・ジャクソンはまさにそれ。

そしてそのブッ散らかした状態を言葉ではなく映像で語る彼の気質というか才能については、トールキンの大長編を映像にまとめ上げたロード・オブ・ザ・リングで十分すぎるほど証明されているが、今回のキング・コングがLOTRと異なる点は、ブッ散らかす質量ともにLOTRの比ではないハンパなさだというところにある。

1コマ1コマにそれらを大量に投下していき、それが3時間ブッ通しで続くのだから、見てるこちらはたまったもんじゃない(笑)。

従順なお子ちゃまは降参せざるをえなかったわけで・・・。

しかし、その降参があきらめの降参というよりは納得のいく降参に近いものがあったと思わせたのが、緻密で質の高いデジタル技術という神の手だった。

ゴリラになりきったアンディ・サーキスの演技をモーション・キャプチャーでコンピューターに取り込んだり、人間の表情をゴリラの表情に翻訳するソフトを開発するなどしてキング・コングの造型を作り上げていったというけど、その細かい動作から目の動き、毛並みに至るまで、キング・コングひとつとってもその情報量はハンパではなく、それによって表わされる感情表現はまさに驚嘆の一語。

特にコングを前にしてのアン・ダロウの決死のダンスシーンは珠玉で、口をあんぐり開けて見入ってしまった。

オリジナル版では、情なんて一切ない問答無用の破壊と殺戮のかぎりを尽くした暴れっぷり、そして服をはぎ取りアン・ダロウを触った手のにおいを嗅ぐ変態ドスケベ顔しかなかったが、今回のコングの感情表現の多彩さの実現がアン・ダロウとの純粋なラブストーリーに転化していくのはある意味当然の帰結だったといえる。

とにかく今回のコングは、「T2」でのT-1000型ターミネーターを見たときや、「ジュラシック・パーク」で最初に出てきた巨大ブラキオサウルスを見て目を真ん丸くした時に匹敵する驚きだった。

それに加えて30年代NYのにおい、スカル・アイランドの秘境っぷり、怒涛のクリーチャー軍団など、よくぞここまで表現しきったもんだとかえってあきれ返ってしまうくらい。。いやはやふとインディ・ジョーンズの新作をこいつに監督させてみたくなったぞ。

それにしても一体ぜんたいCG技術はどこまでいっちゃうんだろう。

恐ろしい魔神をもついにひれ伏せさせてしまったこのデジタルという神の手は・・。

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キングコング:髑髏島の巨神

169542_02出演:トム・ヒドルストン、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・グッドマン、ブリー・ラーソン、ジョン・C・ライリー

監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ

(2017年・アメリカ・118分)WOWOW

内容:70年代前半。南太平洋上に未知の孤島が発見され、研究者やカメラマン、軍人などで構成された調査隊が派遣されることに。が、島に足を踏み入れた一行の前に、巨大な生物キングコングが現われる・・・。

評価★★★★/80点

ハイテク科学で全て解決できてしまう現在ではなく、まだアナログが幅を利かせていた70年代初めに時代設定したのは正解。

また、それによりベトナム戦争と連関させたのは自然なこととはいえ、ロックオペラとワルキューレが大音量で鳴り響く中で炸裂するナパーム弾が見境のない狂気と暴力を解き放つ「地獄の黙示録」のパロディ要素を取り入れたのは上手かったと思う。“神が創造を終えていない”何でもありの髑髏島に分かりやすいガイドラインが組み込まれて、手際よく映画の世界に入っていくことができたからだ。

加えてリズム感とダイナミズムあふれる画面構成がいちいちカッコ良くてテンションを持続させているし、キングコングをはじめとする巨大生物の造型もGOODで、娯楽サービスに徹した怪獣映画として純粋に楽しめる一作だったように思う。

とりあえずこの監督にゴジラ撮らせたらどうなるのか興味あり。

P.S.しかし、真っ赤な西日に映えるサミュエル・L・ジャクソンの方がコングよりインパクト大ってのはある意味スゴイw

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キング・コング(1933年・アメリカ・100分)WOWOW

 監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック

 出演:フェイ・レイ、ロバート・アームストロング、フランク・ライチャー

 内容:美女に魅せられた巨猿の姿を描き、世界中で大ヒットするとともに怪獣映画および特撮映画のエポック・メイキングとなった古典的名作。秘境ドキュメンタリー映画の撮影隊が南海の孤島で巨猿コングを発見する。映画のヒロイン、アンがさらわれたコングの生息地には、前世紀の恐竜が生き残っていた。一行はコングを捕らえてニューヨークで見世物にするが、興奮したコングは町中で暴れだす・・・。

評価★★★★/75点

キング・コングがフェイ・レイを手づかみで弄ぶ様が妙にイヤらしいどころか、その時のコングの顔がレンタルビデオ屋のAVコーナーでウロウロしているオヤジの顔と何ら変わりがないww

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(おまけ)

マイティ・ジョー(1998年・アメリカ・115分)NHK-BS

 監督:ロン・アンダーウッド

 出演:シャーリズ・セロン、ビル・パクストン

 内容:1949年の「猿人ジョー・ヤング」のリメイク作。お互いの母親が殺され、アフリカの密林で姉弟のように育ったジルと巨大ゴリラのジョー。しかし、ジョーを狙う密猟者が現れて・・・。

評価★★/40点

映画として二番煎じどころじゃないなこれ。三番、四番煎じだぞ・・・

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愛は霧のかなたに(1988年・アメリカ・129分)NHK-BS

 監督:マイケル・アプテッド

 出演:シガニー・ウィーバー、ブライアン・ブラウン、ジュリー・ハリス

 内容:絶滅の危機に瀕しているマウンテンゴリラの保護救済に力を注いだ女性動物学者ダイアン・フォッシーの生涯を描いたヒューマンドラマ。

評価★★★/65点

エイリアンシリーズに転用しても何の違和感もないシーンと音楽がどこかしこに挿入されていてどうにも集中できず。。ていうかもっと柔な女キャスティングした方が・・w

2018年5月15日 (火)

夢のシネマパラダイス255番シアター:魔法にかけられて

美女と野獣

168785_04出演:エマ・ワトソン、ダン・スティーヴンス、ルーク・エヴァンス、ケヴィン・クライン、ユアン・マクレガー、イアン・マッケラン、エマ・トンプソン

監督:ビル・コンドン

(2017年・アメリカ・130分)

内容:読書好きで好奇心旺盛な娘ベルは、田舎の小さな村で父親モーリスと暮らしているが、周りから変わり者と見られて悩んでいた。そんなある日、仕事に行ったまま戻ってこないモーリスを探しに森に入ったベルは、たどり着いた城でモーリスを捕えている野獣と出会う。そして父の身代わりに城に留まることにした彼女は、召使いの動く家財道具たちからおもてなしを受けるのだが・・・。

評価★★★☆/70点 

91年アニメ版のリメイクということでアニメ版と連チャンで見たけど、世界観をブラッシュアップした上でトレースしていて、その趣旨に沿っていえば満点。

が、逆にいえば、実写化した上でのプラスアルファがあったかといえば疑問。

特に、アニメ版より40分以上尺が延びているわりに登場人物のキャラクターに深みが比例していってなくて表面的。少なくともベルと野獣が心を通わせる過程にもっと説得力をもたせてほしかった。

例えば、行きたい場所を思い浮かべて触れるとそこに一瞬で行けるどこでもドアならぬ魔法の本で2人がベルの生まれたパリの家に行き、ベルの母親が不在である理由が明かされるくだり。ここってわざわざ描く必要あったのか!?しかもこんなある意味夢のような本を魔女が野獣に贈っていたというのもイマイチよく分からないし(※)。

それよりも野獣が王子の姿をしていた頃に、その傲慢なパーソナリティーの由来が母親の早逝と父王のダメ教育にあったというセリフがちょこっと出てくるけど、そここそもっと掘り下げて描くべきだったように思う。

だって、醜い野獣に変えられたはずなのに、はっきり言って恐くないというかルックスも整ってるし(笑)。アニメ版のように牙をむき出しにしたしゃくれ顔とかできたはずなのに。。

まぁ、それでも字幕版と吹き替え版両方見ちゃったくらいなので、悪い出来ではなかったことだけは確か。ちなみに字幕版の方が断然良い。

※魔女の正体が実は野獣の母親だったのではないかというネット記事を目にして、目からウロコというかなんかストンと腑に落ちたような気がする。

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魔法にかけられて

N0013780_l_2 出演:エイミー・アダムス、パトリック・デンプシー、スーザン・サランドン、ジェームズ・マースデン

監督:ケヴィン・リマ

(2007年・アメリカ・108分)WOWOW

評価★★★★/75点

内容:魔法の王国アンダレーシアに暮らすジゼル姫。彼女はエドワード王子との結婚を控えていたが、義母のナリッサ女王の陰謀により井戸に突き落とされてしまう。が、彼女が目を覚ますと、そこは現実世界のニューヨークだった!彼女はバツイチの離婚弁護士ロバートに助けられるが・・・。

“この残酷な世界では、ハトはゴキブリを食べるんです。。”

現実の世界からおとぎの世界へ行くというのがファンタジー映画の定型だと思うんだけど、おとぎの世界の住人が現実世界へやって来てしまうという今回の作品。

テレビは魔法の箱に、シャワーは魔法の泉に、デートは魔法の体験に、怒りは魔法の感情に様変わりしてしまう現実世界。

ディズニーランドが人々にとっての夢の国であるように、おとぎの国の住人にとっての夢の世界が、ドブネズミとゴキブリが跋扈する喧噪の大都市NYという逆転の発想は奇抜で、その中で繰り広げられるディズニー映画のセルフパロディと、白馬の王子様とのキスを夢見る古典的なヒロイン像から脱皮し多面的な人物になっていくお姫様というストーリーラインは誰が見ても面白いものに仕上がっている。

さらにそこに、「サウンド・オブ・ミュージック」や「メリー・ポピンズ」を連想させる開放的なミュージカルが華を添え、最後はドラゴンとの大格闘で締めて、終わってみれば非常に優れたファンタジーになっているのもヨロシイ。

そういう意味では様々な要素が入り混じっている型破りな映画ではあるんだけど、ディズニーの王道路線が基本としてしっかりあるので安心して見ていられるし、なんといってもおとぎの国のお姫様役のエイミー・アダムスの一挙手一投足が完璧な説得力を持っているのも特筆もの。

エンディングのない現実世界と、永遠の幸せがつづくファンタジー世界の素晴らしい融合、、この映画、買いです

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カラー・オブ・ハート

Pleas19 出演:トビー・マグワイア、リース・ウィザースプーン、ジョアン・アレン、ジェフ・ダニエルズ、ウィリアム・H・メーシー

監督:ゲイリー・ロス

(1998年・アメリカ・123分)WOWOW

評価★★★★/80点

内容:1950年代のホームドラマ“プレザントヴィル”に夢中の内気な男子高校生デイビッド。ある日、双子の姉ジェニファーとテレビのチャンネル争いをしていた彼は、ふとしたことから姉とともにTVの世界に入ってしまう。その白黒の世界は暴力もセックスもないアットホームで完璧にコントロールされた清潔な世界。しかし本能のままに行動する現代ッコの姉によって、白黒の世界は次第に色づき始める・・・。

“素晴らしい人生讃歌の映画だと思って見ていたら・・・”

メアリー・スーのお母さんがお風呂でお試し初体験をする場面で、当時付き合っていた彼女の姪御ちゃんに、なんであのママお風呂でアーン、アーンって言ってるの?と訊かれて何と答えればいいのか窮してしまったじゃんかよ(笑)

でも、お風呂に入ったときに、いい湯だな~アハハーン♪いい湯だーな~アハハーン♪って歌うじゃん。そのアハハーンの部分を言ってるんだよ、と苦しまぎれに答えたら納得してくれた。

お義姉さんにも後で誉められた。

これでまた勝ち点を稼いだオレ。フッ

<追記> 後に彼女とは破局しました・・。フッ

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ハート・オブ・ウーマン(2000年・アメリカ・127分)DVD

 監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ

 出演:メル・ギブソン、ヘレン・ハント、マリサ・トメイ、アラン・アルダ

 内容:ある日、バスルームで転倒し感電したことをきっかけに、突然女心が聞こえるようになった男と、広告代理店に勤める彼の上司でもある孤独なキャリアウーマンとの恋愛劇。

評価★★★★/75点

女心がつかめないから男としちゃ燃えるわけじゃん。そして時には恐っろしい面も垣間見せたりする・・・。

、、感電してまでわたくしは知らなくていいです、ハイ。

ま、他人事だと思って映画見ながらゲラゲラ笑ってたけどねw

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千年女優(2001年・日本・87分)DVD

 監督:今敏

 声の出演:折笠富美子、小山茉美、荘司美代子、飯塚昭三

 内容:映像製作会社社長・立花源也は、かつて一世を風靡した大女優・藤原千代子の半生を振り返るドキュメンタリー制作を依頼された。千代子の大ファンだった立花は若いカメラマンを引き連れ、30年前に人気絶頂の中、忽然と姿を消した千代子の屋敷へ向かった。そして70を越えた千代子は自らの人生を語り始める。それは、女優になる前、女学生の頃に恋した名も知らぬ男性を、生涯をかけて追い求める壮大なラブストーリーだった。。

評価★★★/60点

女優という人間がもつ業をアニメが描いてしまうとは・・・。

“未来永劫恋の炎に身を焦がす”女の恐ろしいほどに一途な想いを、彼女が女優として出演した映画の劇中劇という形で描き出しているのがなんともユニークで、昭和初期の女学生、宇宙飛行士、戦国時代のお姫様、くノ一、、と銀幕の世界から時空を超えた一大ラブロマンスへと昇華させているのがこの作品のスゴイところ。

ただ、この初恋に囚われつづける女に共感できるかといえば、個人的にはかなり疑問符で、逆に怖いくらいで・・。純愛も度を過ぎると怖さ倍増ってか。ある意味ホラーです。。

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ニューヨークの恋人(2002年・アメリカ・118分)MOVIX仙台

 監督・脚本:ジェームス・マンゴールド

 出演:メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、ブレッキン・メイヤー

 内容:キャリアウーマンのケイトは、1876年のNYからやって来たレオポルド公爵と出会う。2人は時と文化のギャップを超えて惹かれあっていくが、レオポルドが現代にいられる時間は残りわずかで・・・。

評価★★★/60点

タイムスリップものとしても恋愛ものとしても見せ場となるネタがあちこちに散らばっているのに、それらには一切目もくれずラブコメの王道を突っ走る。

ある意味卑怯です(笑)。

寸止めでもいいから、せめてネタを拾おうとする姿勢くらいは見せてもいいのに・・。

その姿勢すら見せないことを潔いというのか無知というのかは人それぞれだろうけど、場が煮詰まってくるとメグの笑顔で切り抜けようとするのはもうそろそろどうなんだろうと・・・。

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星に願いを。(2002年・東宝・106分)WOWOW

 監督:富樫森

 出演:竹内結子、吉沢悠、高橋和也、中村麻美、牧瀬里穂、國村隼

 内容:北海道の函館。笙吾は3年前の交通事故で失明し声も失って以来、心を閉ざしていたが、担当看護師の青島カナに献身的に支えられ生きる勇気を取り戻していく。そして2人は恋仲になっていくが、その矢先、笙吾が車にはねられ亡くなってしまう。しかし、流星のはからいで別人の身体として自分の正体を決して明かさないことを条件に再び数日間の命を与えられた笙吾は、戸惑いながらもカナのところに会いに行くのだが・・・。

評価★★/40点

微妙にズレまくっている映画。

笙吾のキャラがまずは嫌い。國村隼よく殴った!!てかんじ。

あと失明してたはずの笙吾が初めてカナを見たときの映画的感動を全く描いていない。おっぱいビビビッのクソガキよりも描かなければならないことをしっかり描きや。

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フォーエヴァー・ヤング/時を超えた告白(1992年・アメリカ・102分)CS

 監督:スティーブ・マイナー

 出演:メル・ギブソン、ジェイミー・リー・カーティス、イライジャ・ウッド

 内容:恋人が事故で植物人間になったことに絶望した空軍パイロットが冷凍睡眠装置の実験台になる。50年後目覚めた彼は恋人が生きていることを知り、会いに行こうとするのだが・・・。

評価★★★☆/70点

極度の閉所恐怖症のオイラには、冷凍睡眠なんざ到底耐えられるものではない・・!

2018年4月25日 (水)

夢のシネマパラダイス281番シアター:攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL

Mainvisual 声の出演:田中敦子、大塚明夫、家弓家正、山寺宏一

監督:押井守

(1995年・松竹・80分)

評価★★/40点

 

内容:2029年の企業集合体国家に、謎の天才ハッカー“人形使い”が出現。精鋭サイボーグによる特殊部隊・攻殻機動隊がその捜査にあたった。隊長の草薙素子は、電脳に侵入し人格まで操作してしまう人形使いの能力を知って、自らの存在意義に疑念を抱き始める・・・。近未来の超高度ネットワーク社会を舞台に、公安警察の特殊部隊の活躍を描いたサイバーパンクアニメ。アメリカでビデオチャートの1位を記録したことでも有名。

“自分の知識欲を刺激し、煽る映画は好きだが、知識欲を麻痺させる映画を見るのははっきりいって嫌い”

この作品を始めて見たのは公開数年後、大学に入ってからだったと思う。

原作マンガを読んでいなかったとはいえ「ろっか」というところだけですでに何?みたいな・・。

ロッカなのか六家なのか六課なのか、と思ったら「きゅうか」という言葉が。。

旧家?九課?

もうよほどレベルが低かったんだね、我ながらw

まぁそんなところで立ち止まってしまうぐらいだから、内容にもほとんどついていけず、デジタル技術の海の中で創造されたアニメ、そのデジタル情報の渦の中でただただ溺れているだけだったのです。

でもまぁやっぱり原作マンガを読んでから見るべきものだったのかなという感じはする。

なんてったって士郎正宗だからなぁ。

押井守には悪いけど、この映画もまた士郎正宗の“攻殻機動隊”の1つのパーツとしてみるべきものなのかな、とは感じた。

1個の独立した作品としてはなんだか見れないなあと。

自分がおバカなのを加味してもちょっとこの映画は情報量が少なすぎる。

だからまぁ何回か見ないと分からないのかもとは思うのだけど、これって士郎正宗のマンガの読み方とは全く逆じゃないだろうか。

後に攻殻を読んだりしても思うけど、士郎正宗の印象はとにかく情報量が多い。欄外に注釈がわんさか書かれてるし、絵の情報量もあふれていて1ページ読むのにけっこう時間がいるんだよね。読めば読むほど理解が深まるというかんじで。

情報量が多いから何回も読む、しかし映画の方は情報量が少ないから何回も見るというそういう違いがあると感じたかな。

あと士郎正宗マンガの楽しみ方って「アップルシード」なんかだとデータブックとかイラスト集などの副読本も出てて、それらを見ることによってさらにそのマンガの世界を楽しめてしまうといういわば副教材になってるわけで。だからそういう副教材を含めて1つの作品世界として楽しむ、それが士郎正宗マンガの独特の面白さだと思うのだけれど。

なんかこの映画を見ると、これも士郎正宗攻殻の副教材の1つなんじゃないかなと、逆にいえば副教材にしか見えないということをすごく感じてしまったのだった。

それがいいのか悪いのかといえば★2つ付けてるくらいだから言わずもがなだけど。

ただどうなんだろう。押井守の側からすると、この作品は単なる実験的な作品だったのかもしれない。押井守自身はまだ過渡的な段階にいるのかなぁなんてことを当時はふと思っていた。

ま、「イノセンス」見てその思いは見事に裏切られたけどね(笑)。

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ゴースト・イン・ザ・シェル

170258_02出演:スカーレット・ヨハンソン、ビートたけし、マイケル・カルメン・ピット、ピルー・アスベック、ジュリエット・ビノシュ

監督:ルパート・サンダーズ

(2017年・アメリカ・107分)WOWOW

内容:人間の義体化(サイボーグ)が現実となった近未来。脳の一部を除いて全身が義体化された女性捜査官・少佐は、公安9課の精鋭としてテロ犯罪を取り締まっていた。そんな中、少佐の義体化も担ったハンカ・ロボティックス社の技術者が殺害される事件が発生する。そして少佐は事件の真相を追ううちに、自分自身の失われた記憶と過去について疑念を抱かざるをえない状況に追いつめられていく・・・。

評価★★★/60点

押井攻殻における草薙素子の義体化工程を映し出したオープニングシーンを忠実に実写化しているのを見て、これは期待できるかも♪と思って見たが、キャラ造形からバセットハウンド登場はたまた音楽の使い方に至るまで押井攻殻へのリスペクトの本気度がこちらの想像以上でビックリ。

特に世界観を再現した映像面はスゴイの一言で、邦画では到底かなわないレベルにハリウッドの力量を見せつけられたかんじ。

ただ、面白かったかどうかはまた別問題で・・w

いかんせん押井攻殻に面白さを感じなかった自分にとっては、これだけ忠実にトレースしてくれたことで逆にツマラなさもそのまま受け継がれちゃったというか(笑)。アメリカナイズされたシナリオの分かりやすさ(自己のアイデンティティに対する疑念と葛藤というハリウッドSF十八番のテーマなど)がチープ感を倍増させていて正直眠気に襲われてしまった。。

アクション描写も全然だし、押井攻殻から20年以上経ってこれだと映画としての新機軸はほぼ皆無といわなければならない。

まぁ、変に換骨奪胎したらそれはそれでブーイングだろうし、こういう実写映画化はやっぱり難しいねぇw

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イノセンス

051106_innocence声の出演:大塚明夫、田中敦子、山寺宏一、竹中直人

監督:押井守

(2004年・東宝・99分)2004/03/16・MOVIX仙台

評価★★☆/45点

 

内容:2032年の日本。世の中は、人とサイボーグ、そしてロボット(人形)の共存が進んでいた。と同時にテロも各地で続発。そんな犯罪を取り締まる政府直属の機関・公安九課の刑事バトー。彼は、身体全体がサイボーグで、純粋な部分はわずかな脳だけ。そして彼を人間たらしめているのは、かつて想いを寄せていた草薙素子の記憶と、愛犬バセットハウンドへの無償の愛情だけだった。そんなある日、暴走した少女型のロクス・ソルス社製の愛玩用ロボットが所有者を惨殺する事件が発生。さっそく相棒トグサとともに捜査に乗り出すバトーだったが、その過程で彼の脳を攻撃する謎のハッカーの妨害に見舞われていく・・・。

“この映画からは魂(ゴースト)を感じない。それゆえこの作品を見る意味という根源的なところで何も見出すことができない。”

「マトリックス・リローデッド」でも感じたことだけど、娯楽としての映画に、より強いエンタメ性を付加しなおかつ補強していくものが、作り手と観客の相互理解の強化のためのストーリーと映像のバランス取りと補完性ではなく、徹底した圧倒的映像体験の強化なのだとすれば、それは自分の感性とは本質的に合わない。

というかもともと自分の好みではなくて、あまりやってもらいたくない手法だということは前もって言っておく。

見てる時は面白いが、それは決まって一過性で、結局心の中に何も残していかないのだから。

そして、攻殻もそうだし、本作イノセンスもまたしかり。と個人的には感じてしまったのだった。

まずもってこのシリーズからは“情”を感じることができない。

人間と機械の境界が曖昧になっている世界観とそこから来る自分という存在定義への言い知れぬ不安を描こうとしているのは、特に前作よりも顕著で、そのため“情”が定まらないというのも無理やり理屈づけて考えれば分からないでもない。。

そうでなくとも本作では、ゴーストを持たないロボットの暴走事件を扱っているわけで、その愛玩ロボット「ハダリー」に“情”がないのは言うまでもない。

そして、そこから我々が認識し得るものは、ただ恐怖それのみである。

だが、この映画のある意味信じがたい点は、「ハダリー」が我々の内に呼び覚ます恐怖というただ一面でのみ完全に立ち止まっているところで、この愛玩ロボット「ハダリー」を作ったヤツも出てこなければ、所有するヤツも出てこないという欠陥を平然とやってのけている。

魂(ゴースト)がないのではなく、魂(ゴースト)を描いていないのだ、と自分勝手に解釈させてもらった。

では、“情”の対極にある“理”はどうかといえば、これがまた悲惨そのもの。

孔子やら何やらいろいろご立派な比喩やら理屈やらの数々を次々にひけらかしてくるが、それらが自分の中に残すものは空虚と倦怠だけ。

この映画はあれなのか?人間と機械の境界線というよりか、理屈と屁理屈の境界線を彷徨う映画を目指しているのか?

しかもこの決められたような通り一遍の“理”が、不器用なバトーやトグサの微かな“情”の灯を消してしまいもはや風前の灯だし、1つの型に嵌めてしまい自分の中で何も震えず。

自分は映像よりもまずストーリーとキャラクター重視、“情”と“理”の融合と“魂”を見たいタチなので、この点は看過できない。

しかし、ただひとつ、映像だけはスゴイことは認めよう。

映画のオープニングでヴィリエ・ド・リラダンの「未来のイヴ」の一説が引用されているが、この「未来のイヴ」に出てくる人造人間ハダリーの、まだ髪の毛や人工肉、皮膚が付着される前の内部系統。また、その製作者であるエディソンのハダリー内部の身体組織の詳細な驚くべき解説などから想起される造型描写を見事に再現してくれた。

とはいっても、1880年代にこの「未来のイヴ」を書き上げてしまったリラダンの魔術師ぶりには到底かなわない。

ちなみに前作で、ネットの海に消えた草薙素子の本作における守護天使ぶりも、「未来のイヴ」でものの見事に表現されている。

さすがにネットという概念は出てこないけど、それに似たものとして、神経流体や流体電導網といった言葉でソワナ(本作にも名前だけ出てくる)の魂と意志が距離を無視して飛んでいくといった驚きの描写がなされている。

押井はリラダンになれるのか。。

概念や世界観は今までの作品で飽きるほど見てきた。

今度はこちらが身震いするほどの“魂”をもしっかり描いてみせてもらいたい。

一応は期待しとるのよ・・w

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アップルシード

26074089声の出演:小林愛、小杉十郎太、松岡由貴、藤本譲

監督:荒牧伸志

(2004年・東宝・103分)DVD

評価★★☆/45点

内容:西暦2131年、世界中を巻き込んだ非核大戦は人類に大きな爪あとを残して集結した。そんな荒廃した世界の中で、人々に唯一の希望を与えたのは、最後の理想郷“オリュンポス”。だが、その人口の50%は、ヒト社会の安定を目的に造られたクローン人間“バイオロイド”が占めていた。そのオリュンポスに大戦を生き抜いた若き女性兵士デュナン・ナッツが連行されてくる。そして彼女の前には大戦で死んだはずの恋人ブリアレオスが現れる。しかし、彼は戦争で重傷を負った体の大半を機械化されており、かつての面影をなくしていた・・・。「攻殻機動隊」の原作者としても知られる士郎正宗の「アップルシード」を3Dライブアニメという世界初の手法で映像化した近未来SFアクション。

“最初は新鮮な映像に引き込まれるが、所詮はゲームショウの特設ブースで初体験映像として流してた方がまだマシなレベル”

手塚治虫の「火の鳥 未来編」に出てくる電子頭脳ハレルヤを想起してしまったけど、その点においても本作は描写が致命的に浅い。

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べクシル2077 日本鎖国(2007年・松竹・109分)WOWOW

 監督:曽利文彦

 声の出演:黒木メイサ、谷原章介、松雪泰子、朴路美、大塚明夫

 内容:バイオ&ロボット技術で市場を独占していた日本は、国際協定に反発し国際連合を脱退、ハイテク技術を駆使した完全なる鎖国を開始する。それから10年後の2077年、日本を牛耳る企業・大和重鋼の暗躍を危惧した米国特殊部隊SWORDは潜入作戦を決行する。そして女性兵士べクシルが潜入に成功し、レジスタンスを率いるマリアと行動を共にするが・・・。

評価★★☆/50点

1ヌキ2スジ3ドウサ(映像・シナリオ・演技)という映画の評定マニュアルに照らしてみると、、映像スゴイ。シナリオ薄っぺら。演技大根・・。

プレステでメタルギアソリッドやってる方が断然面白いっちゅうレベルです。。

なんつーか、作り手の技術屋として志向するベクトルと、見る側が求めるベクトルというのがかなりかけ離れちゃってるなと。「ファイナル・ファンタジー」もそうだったけど。

3DCGなどの専門的なことがホメられて、それがいい映画とか完成度の高い映画なんだというベクトルじゃなくて、自分にとって、また誰かにとって好きな映画、愛すべき映画というのを作ってもらいたいんだわなぁ。。

クールじゃなく子供っぽくていいから、そんな映画を見たいんだよ。

ま、だから、ピクサー映画は大好きなんだけどさ。そんな自分がこの“大人な”映画を語る資格なんてないのかもしれないけど、大丈夫かなと思っちゃうよジャパニメーションの将来・・。

しかし、「砂の惑星」のサンドワームをここで見ることになるとはね(笑)。

2018年4月18日 (水)

夢のシネマパラダイス429番シアター:異国の地ヨーロッパ紀行

グッバイ、レーニン!

Bye 出演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース、チュルパン・ハマートヴァ、マリア・シモン

監督:ヴォルフガング・ベッカー

(2003年・ドイツ・121分)仙台フォーラム

評価★★★★/80点

 

内容:1989年の東ベルリン。母が心臓発作で昏睡状態に陥っていた間に、ベルリンの壁が崩壊。息子アレックスは、愛国主義者の母に2度とショックを与えないよう、崩壊以前の東ドイツを強引に演出するのだが・・・。

“親思う心にまさる親心 今日のおとずれ何と聞くらむ”

資本主義だろうが社会主義だろうがグッバイだろうがウェルカムだろうがこの際そんなこたぁどうでもいい。

それよりも、とにかくご立派なお息子さんを育て上げたクリスティアーネお母さんの親心と息子アレックスへの暖かな眼差しに心打たれる。

これを母親と息子の話ではなく、親父と息子の話にしていればそれはそれでもの凄い作品になっていたと思うのだけども、やはり笑いと涙のペーソスにあふれているという点では今作の撮り方で正解だと思う。

親父さんも含めた家族にあった壁が取り払われていくのって、いいね。

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地下水道(1956年・ポーランド・96分)NHK-BS

 監督:アンジェイ・ワイダ

 出演:テレサ・イジェフスカ、タデウシュ・ヤンチャル、ヴィンチェスワフ・グリンスキー

 内容:第二次世界大戦末期のワルシャワ。パルチザン部隊による地下運動は悲惨な最終段階に達していた。ザドラ率いるパルチザン中隊は、ドイツ軍に追われて地下水道を通り、市の中央部に出て再び活動を続けることにするが・・・。地下水道で苦悶するレジスタンスの姿を、ドキュメンタリータッチでとらえた作品。

評価★★★/65点

人物のキャラクターが自分の中に浮上してくる前に地下の暗闇と絶望に突き落とされてしまい、監督よりも冷徹で突き放した視線で見つめてしまっている自分がいた。

なんといっても冒頭の、「悲劇の主人公がそろった。彼らの人生の最期をお目にかけよう」というまるで他人事のようなモノローグがエグイ。

でも、笑うに笑えないのがどうにも窮屈で息苦しくて仕方なかったな。閉所恐怖症だもん・・。

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パパは、出張中!(1985年・ユーゴスラビア・136分)NHK-BS

 監督:エミール・クストリッツァ

 出演:モレノ・デバルトリ、ミキ・マノイロヴィッチ、ミリャーナ・カラノヴィッチ

 内容:1950年代、スターリン主義の排除に躍起となっていたユーゴスラビア。サラエボに住む少年マリックの父・メイシャは、愛人との情事の際にスターリン批判の漫画に、これはやり過ぎだ!と憎まれ口を叩いた。ところが、彼女がそれを人民委員会に漏らしたため、父は遠い鉱山へ奉仕労働に送られてしまう。母はマリックたちに「パパは出張中だ」とごまかすのだが・・・。カンヌ国際映画祭で作品賞受賞。

評価★★★/65点

パパはヤリ過ぎ!に変えた方がよくねえ?

スターリン批判の風刺漫画に「やりすぎだ」と言って逮捕される親父はいろんな女とヤリすぎです。座布団1枚!

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トレインスポッティング

Pta46 出演:ユアン・マクレガー、ユエン・ブレンナー、ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライル、ケリー・マクドナルド

監督:ダニー・ボイル

(1996年・イギリス・93分)仙台セントラル劇場

内容:ヘロイン中毒に陥った若者たちの生態を、斬新な映像感覚で描いた青春群像劇。麻薬常習者のレントンは、何度目かの麻薬断ちを決意し、健全な性欲を満たすべくディスコへ向かった。そこでダイアンという美女に心惹かれたレントンは、彼女の家に行ってセックス漬けに。そして何事もなかったかのように翌朝には再び麻薬を打ってしまうのだった。あげくの果てにそれまで麻薬はやらなかった仲間のトミーも麻薬をガンガン打ってくれ!とせがみに来て・・・。

評価★★★/60点

“3K”

ヘロイン中毒の若者のノンストップの場当たり的クズ人生を、刹那性や暴力性を排除して小気味よく描いた爽快さは認めるところで、学生時代にめちゃくちゃ流行った映画。当時周りでは“クレイジー・クール・カッコいい”のファッション感覚でもてはやされていたような気がする。

けど、自分にとってこの映画は、やはり今も昔も“臭い・汚い・キモい”の3Kなのだったww

P.S.追記

今作から20年後を描いた続編を鑑賞。ていうかこの続編いるかw!?しかもキャストスタッフがそのまま集まってという点にもビックリしたんだけど・・。

で、96年に18歳だった自分もあれから20年経って立派なオッサンになったけど、精神年齢は中2から停止したまま。いつ自分は大人になったんだろうと未だ大人になりきれない未熟さに歯がゆさや恥ずかしさを覚えることが出てきたりして。。でもコイツらに比べれば自分は全然マシだなと自信を持てただけでもこの映画を見る価値はあった(笑)

と同時に若さはもう通用しないんだということも痛切に感じられる作品になっていたと思う。

前作はヘロインクソまみれのただただ無軌道な暴走映画だったけど、イギリス映画特有の湿り気がなくて、開けっ広げで陽気な疾走感がある意味で爽快さを生んでいた点が稀有だった。

しかし、さすがに歳食うと悲惨さがリアリティをもって迫ってくるんだよね💧

昔はあーだこーだと過去に拘泥するオッサンたちと、そんなセンチメンタル意味ないじゃんとしたたかに前を見るベロニカの対比も良いアクセントになっていたと思う。

また、20年経ってもロック音楽を基調とした小気味よいテンポとダニー・ボイルのチープなスタイリッシュさ(いや、進化はしてるw)が変わらないままなのはなんだか微笑ましかった。

また20年後か(笑)!?

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ロッタちゃんと赤いじてんしゃ(1992年・スウェーデン・76分)NHK-BS

 監督:ヨハンナ・ハルド

 出演:グレテ・ハヴネショルド、ベアトリス・イェールオース

 内容:「長くつ下のピッピ」で知られるスウェーデンの童話作家アストリッド・リンドグレーンが生んだもうひとりのヒロイン“ロッタちゃん”シリーズの第2作。頑固で意志の強い5歳児ロッタちゃんが今回も大暴れ!

評価★★★☆/70点

東の横綱メイ、西の横綱ローラ・ワイルダー、そして北の横綱ロッタちゃん。

これを世界3大ふくれっ面エンジェルという!

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ソフィーの世界(1999年・ノルウェー・111分)NHK-BS

 監督:エリック・グスタヴソン

 出演:シルエ・ストルスティン、トーマス・ヴァン・ブロムセン、アンドリン・サザー

 内容:ある日、14歳の少女ソフィーのもとに一通の手紙が届く。文面には「あなたは誰?」とだけ。そして再び届いた二通目の手紙には「世界はどこから来た?」とだけ。この手紙に不思議な気持ちを掻き立てられたソフィーは、手紙の主アルベルトとともに古代ギリシャから帝政ロシアまで、時空を超える旅を重ねていく・・・。深淵で哲学的なテーマをファンタジックにつづった同名ベストセラー原作の映画化。

評価★★/40点

“バカでも分かる西洋史”

をなぜに映画でやる必要がある?というのが率直な疑問。

映画見てかえって原作読む気なくしたんだけど・・w

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