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2015年11月24日 (火)

夢のシネマパラダイス599番シアター:日本任侠映画列伝

緋牡丹博徒

Img_8出演:藤純子、高倉健、若山富三郎、待田京介、大木実、山本麟一、清川虹子、山城新伍、金子信雄

監督:山下耕作

(1968年・東映・98分)WOWOW

内容:九州矢野組の一人娘、竜子は父を闇討ちで殺され、決まっていた縁談も破談。竜子は一家を解散し犯人捜しの旅に出る。5年後、緋牡丹のお竜の異名を取っていた彼女は、岩国の賭場でイカサマを見破って争いになり、博徒の片桐に助けられる。そして竜子は片桐に身の上を打ち明けるが、なぜか片桐は無言で立ち去っていくのだった。一方、竜子の子分のフグ新が道後で熊虎一家とひと悶着起こすが、単身乗り込んだ竜子を大阪堂万一家の女親分おたかが気に入り喧嘩は収まる。その後、おたかの勧めで大阪に出た竜子は、千成一家2代目の加倉井の卑劣な手にかかるが、そこにまたもや片桐が現れるのだった・・・。

評価★★★★/80点

昭和の映画、特に昭和30~40年代の映画を見ると登場人物がことごとく濃ゆくてアクの強いキャラクターであることに驚いてしまうのだけど、今回の映画はその中でも典型的なキャラクター祭りで、それだけでも十分面白い。

特にコメディリリーフ役の熊虎親分(若山富三郎)の出で立ちは爆笑もので、妹とのコンビはまるでジャイアンとジャイ子の実写版(笑)。

他にも敵役、脇役含めて印象的で、その中で寡黙な高倉健だけが浮いちゃってる気もするけど、主人公の藤純子をさしおいて結局最大の見せ場をかっさらっていくのは高倉健なんだよね

でもやっぱりこの映画は、生き生きとした脇役陣あっての映画だと思う。

そしてこの時代のキャラクターの濃さは、ようするにアクティブな生命力の強さなんだなと実感。おそらくそれは戦中をしたたかに生き抜いた人々の持ちうる闊達さなのかもしれない。

しっかし、お竜さんカッコイイなぁ。自分なら嬉々として子分になっちゃうなw

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緋牡丹博徒 花札勝負(1969年・日本・98分)WOWOW

 監督:加藤泰

 出演:藤純子、若山富三郎、待田京介、清川虹子、小池朝雄、嵐寛寿郎、藤山寛美、高倉健

 内容:明治中頃。緋牡丹のお竜は、旅の途中で名古屋の老舗やくざ西之丸一家に立ち寄るが、そこで自分の名を名乗る女博徒・お時を捕える。お時は盲目の娘を治したい一心で西之丸一家と対立する新興やくざの金原一家の命でイカサマをしていたという。お竜はそれを聞いてお時を許す。しかし、さらに西之丸一家の息子次郎と金原一家の娘八重子が恋仲であることを利用した金原一家は次郎を監禁、お竜が救出に向かう。一方、金原一家には一匹狼の渡世人・花岡が一宿一飯の恩義に預かっていた…。シリーズ第3作。

評価★★★★/80点

こんなに面白い映画だとは思いもよらなかった。

今まで東映任侠映画というのは一度も見たことがなく、しかも見てないくせしてそれをバカにして見下していた(笑)。斜陽となっていた昔の映画界は、ヤクザ同士の抗争なんてレベルの低い映画ばっかり作っていたのかよと。。

しかし、いざ見てみたら全くの思い違いだったことを思い知らされたw

ヤクザ稼業を描いてはいるものの、任侠=ヤクザというよりは、弱きを助け強きをくじく人格者としての意味合いの方が強いこと、また義理とか人情といった古い日本的な情緒の中にある高い美意識を描いているという点で武士道精神にもつながる片鱗が垣間見え、その後の「仁義なき戦い」などの実録ヤクザ映画とは趣が違うのだということを初めてうかがい知ることができた。

そして、その美学から外れた悪漢どもを渡世の義理に生きる正義感が成敗するという痛快さも娯楽要素として十分魅力的で、はっきりいって面白かった。

つまり、任侠映画というのはイコール任侠時代劇だったのだということが自分の中でストンと納得できた気がする。

あと、「男はつらいよ」の寅さんおなじみの歯切れの良い口上とは異なる一言一句懇切丁寧な仁義の切り方や和装美人の艶やかな殺陣など、お竜さんの凛とした佇まいもすこぶる印象的で、型にはまった様式美の中にある奥ゆかしさに完璧にハマってしまった。

単なるヤクザ映画とバカにしていた自分の先入観を180度変えてしまう、これを名画といわずしてなんと言おうw

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昭和残侠伝 死んで貰います

142458022022933930180_sindemoraimas出演:高倉健、加藤嘉、荒木道子、永原和子、松原光二、下沢広之、長門裕之、藤純子、池部良

監督:マキノ雅弘

(1970年・日本・92分)NHK-BS

内容:時は大正。ヤクザ稼業をしている花田秀次郎はイカサマ賭場で袋叩きに遭ったところを芸者の幾江に救われる。3年後、秀次郎はイカサマ師を殺害し刑に服するが、服役中に実家の老舗料亭「喜楽」を営んでいた父親が亡くなり、さらに関東大震災で妹まで亡くしてしまう。数年後、刑期を終えた彼は足を洗ってカタギの板前として窮地に立たされていた「喜楽」の再興に立ち上がるのだが・・・。「昭和残侠伝」シリーズの第7作目。

評価★★★★/80点

「緋牡丹博徒 花札勝負」を見た後だったから、富司純子のカッコいいお竜さんから愛嬌のある芸者さんへのイメチェンぶりには面食らったけど、何に驚いたって上戸彩にめっちゃ似てるじゃん

ソフトバンクCMに出てくる白戸家のおばあちゃんは若尾文子じゃなくて富司純子の方がよかったんじゃないw

あと驚いたのが池部良の渋すぎる二枚目っぷり。恥ずかしながらこの役者さんは名前は知ってる程度でしかなかったけど、健さんより板前として命を張り男気映える池部良の方に自然と目が向いてしまった。聞くところによると、当初はヤクザ映画に出演することに難色を示していたらしく、出演の条件は最後に必ず死ぬことだったそうだけど(笑)、その末路がかえってカタルシスを高めている。

カッコいいとはこういうことさ。久々にそんな映画を見れた気がする。

2011年10月27日 (木)

夢のシネマパラダイス41番シアター:往年名作劇場12番館

明日に向かって撃て!

1909 出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス

監督:ジョージ・ロイ・ヒル

(1969年・アメリカ・112分)DVD

評価★★★★/80点

 

内容:アウトロー集団を率いるブッチ・キャシディ(P・ニューマン)とその相棒サンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)は、同じ列車を往復で襲うという、列車強盗史上画期的な計画を成功させるが、鉄道会社の執拗な追っ手から逃げ切れず、ついに国外脱出を決意する。キッドの恋人エッタ・プレイス(K・ロス)を伴ないボリビアへやって来た3人は、なんとか強盗で生計を立てようとするが、とうとう軍隊に取り囲まれてしまう。。。「俺たちに明日はない」や「イージー・ライダー」に続くアメリカン・ニュー・シネマ台頭の中から生まれた傑作西部劇。アカデミー賞では、脚本賞、撮影賞、作曲および主題歌賞を受賞。

“ドデカイくそガキ2人組とかわいいオネエさんの大ざっぱでちょっとカッコいいお話。”

この映画は冒頭のセピア調の画に入っていけるかどうかでこの映画が好きになれるかどうかが決まっちゃうんじゃないかなと思う。

ここで、あっ、この映画好きだなーと一気に思えるか、感じられるかどうか。この冒頭でダメだなとなるとこの映画に入っていくのはまず無理っしょ。

なぜならこの映画は冒頭のセピア調の空気や薫り、雰囲気、ムードといったものが全編を通して漂っているからで、いや漂っているというのははっきりいって言葉としては弱くて、この映画を根底から支えている、映画として不可分なものといった方が正しいか。

「タイタニック」の冒頭もセピア調だったけど、この映画におけるその意味合いと重要性は全く異なる次元にあるといっていい。

例えばコーヒー店に入ったらコーヒー豆の薫りがする、花屋に入ったら花の香りがする、ワインを飲む時に香りを楽しむといったことと同じだと思うんです、この映画って。

ようするに薫りと切っても切り離せない関係にあるのではないかなと。ま、この映画では雰囲気といった方がいいけど、薫りを切り離しちゃったらすっごい陳腐な映画になっちゃうんじゃないかなあと見てて思ったんだけど。

はっきりいってストーリー展開は大雑把だしすごく単純で、特にエピソードとエピソードの間がすっごく雑なのね。なんか1つ1つの使えそうな持ちネタをただ繋げてみましたというかんじに見えちゃう。

しかもキャラクターの説明がほとんどない。ブッチとサンダンスは、ハイ、俺たち強盗ですってだけで背景なんてないし、エッタなんてほんと映画の後半になってからやっとで26歳の独身教師ということが分かる。

それなのに何とも不思議なことに見入っちゃうわけで。

それはなぜかと考えてみると、やはり冒頭のセピア調の画面に行き着いちゃうわけで。

トーキーっぽい画面からセピア調に変わってすぐのカット、銀行を下見しようとしてドアの外から中をのぞくブッチ=ポール・ニューマンの顔がクローズアップされるところでもうすでにビビビッときたからね。あっ、これ好きだわと、自分好みの映画だなと。

ちょっと言葉で言い表すのは難しいけど、とにかくこの1カットがすごく好きなのです。画面の雰囲気とポール・ニューマンのピシッとした表情が見事にマッチ。マジでカッコいいっス。そして珍しいヒゲ面レッドフォードの賭けトランプシーンへとつづいていく。このシーンも「スティング」を彷彿とさせていて好き。

と、やはりこの映画はオープニングに尽きるのかなと思ってしまうわけで。

ほとんどこのプロローグっぽい冒頭で2人のキャラ設定が簡単に終わっちゃってるし。

この2人はこういうかんじのこういう雰囲気の男たちです、ハイ、というわけであとは観てけば分かるからみたいな。

よく考えるとすごい無責任なやり方なんだけど、いったんこの映画の雰囲気、薫りに衝かれちゃうと全く気にならないんだよねぇ。不思議。

ま、冒頭カッコよかったお二人さんも話が進むにつれて化けの皮がはがれてきて、もうホント少年の心を持った悪ガキ2人組てかんじに見えちゃうわけだけど。カッコいいというよりなんかカワイイというか・・・。

一方、エッタはサンダンスに「泣き言を言ったらその場で捨てるぞ。」とか言われたりしてるけど、どうみても1番の大人はエッタ。2人に弄ばれてるかというと全く逆で、エッタの方が手玉に取ってるかんじだし、ボリビアに一緒に行きはしたものの結局は、「家に帰るわ」と捨て台詞を残してとっととアメリカに帰っちゃうし。もうガキの相手はしてらんないってかんじでしょたぶん。

泳げない、撃てない、話せない、しかもバカな言い争いばかりしてるんだもんw

ほんとガキそのもの(笑)。

基本的にガキってのは、今1番興味があること以外は興味が失せちゃうから、エッタが「家に帰る。」と言っても「お好きにどうぞ。」と簡単に言えちゃうわけだ。

でも、はたから見てると憎めない奴らなんだけどね。

そしてこの映画自体も憎めないんですよ、ええw

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卒業

Sotugyou出演:ダスティン・ホフマン、キャサリン・ロス、アン・バンクロフト

監督:マイク・ニコルズ

(1967年・アメリカ・107分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

 

内容:学問にスポーツに、賞と名のつくものは全て取って東部の大学を卒業したベンは、そういう評価自体に疑問を覚え、説明のできない焦燥感を抱いていた。嫌がる彼を無視して両親が開いたパーティで、ベンは年上のロビンソン夫人と知り合う。ベンは、成り行きで彼女と情事を重ねるが、大学の休みで帰ってきた彼女の娘エレーヌと出会ったことで、真実の愛に目覚めていく。。。同年製作の「俺たちに明日はない」とともにアメリカン・ニューシネマの到来を告げる作品となったことでも有名。

“ユーモアかつ皮肉たっぷりに描かれるベンのハメはずし青春冒険譚。しかし、ラストのラストで一気に冷める作り手の視線が、コメディから現実へと引き戻す。”

そもそもこの映画をコメディとして見てしまう自分の感覚もどうなんでしょう、、ってところなのだろうけども。

ただベンとロビンソンの関係ややり取りはもちろんのこと、今見ても妙に斬新なモンタージュが多用されている点などコメディ要素は十分あると思う。

さらに自分の場合、映画見る前から有名なラストのことは知ってたから、、その辺のことも関係しているのかも。。

さて、ということで冒頭で述べた、映画のラストで冷める作り手の視線について。。

これもまた自分が抱いた一方的な印象ということであればそれまでなのだけど、ラストでバスに乗り込んだ後のベンとエレーヌの表情をカメラは意外に長く観察しているわけ。しかも何か一歩退いたかんじになっているばかりか、はしゃいで乗り込んできた2人も熱いキスとか抱擁でもするのかと思いきや次第に笑顔も消えて、アツさのほとぼりが冷めていく様子が見て取れる。

この直前シーンでバスの最後尾に座った2人をバスの乗客が皆振り向いて凝視しているわけだけど、このときのカメラの視線は乗客たちの視線と重なっているともいえる。さらにいえば、ベンとエレーヌを取り巻く社会の視線ともいえる気がするわけで。

そんなに人生甘くないぞ!お二人さんというような何か社会の冷徹な視線が、あの時2人に注がれていたかんじがした。

しかし、それでも2人を乗せたバスは走っていくというところでこの映画は幕を閉じる。

とにかく新たな2人の人生はスタートを切った。

本当にハッピーエンドといえるかどうかは、あの後に待っている様々なデコボコ道を2人が一緒にどう乗り越えていくかにかかっているのではないだろうか。

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情婦(1957年・アメリカ・117分)DVD

 監督・脚本:ビリー・ワイルダー

 出演:タイロン・パワー、マレーネ・ディートリッヒ、チャールズ・ロートン

評価★★★★/80点

 内容:ロンドン郊外に住む金持ちの老未亡人が殺害された。容疑者として逮捕されたレナードは、法曹界の長老ロバーツ卿に弁護を依頼。ロバーツ卿はレナードが無実であると確信して裁判に臨むが、検察側の証人として現れたレナードの妻クリスティーネが、夫が未亡人殺しを告白したと法廷で証言する、、、。アガサ・クリスティの短編「検察側の証人」の映画化。

“とにかくこのジジイはムカツク。。”

メガネのレンズとか筆箱に太陽光を反射させて他人の顔に向けてくる奴って1番ムカツクんだけどさ、、アンタだよ!ロバーツ卿

なんだかこのジイさんって嫌いなタイプなんだよなぁ(笑)。

最初の50分、このいけ好かないジイさんの家が舞台となるわけだけど、ジイさんの性格の好き嫌いは別としても、導入部としてはちょっとキビしいものがある。冗長だし、ジイさんの人物描写がクドイ。

そこは良くも悪くもワイルダーらしいのかもしれないけども、ひとつ所が舞台ゆえ求心力に欠けるのだ。

時速10kmで50分走り続けるといったかんじか。

しかし、それとは打って変わって後半の1時間はテンポ良く法廷劇が進み、残り10分は雪崩なみの展開をみせる。

だからこそ前半部分の冗長さが引っかかってしまうのだ。

前半と後半との差が激しいというべきか、つながりに欠け前半が活きてこないと感じたわけで、要は前半に関しては余分な贅肉が多いかなと。

う~ん、、ヒッチコックだったらなぁと思うと・・・。

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アルカトラズからの脱出(1979年・アメリカ・112分)NHK-BS

 監督:ドン・シーゲル

 出演:クリント・イーストウッド、パトリック・マッグーハン、ブルース・M・フィッシャー

 評価★★★★/80点

 内容:1963年に閉鎖されるまで、脱出不可能といわれていたアルカトラズ刑務所からの脱出を試みた男たちの実話をサスペンスタッチで描く。サンフランシスコ湾内のアルカトラズ島へ、囚人フランク・モリスが送り込まれた。今まで各刑務所で脱獄を繰り返してきた彼は、アルカトラズでもある兄弟と協力して周到な脱獄計画を進めていく・・・。

“しまりのない裸をさらけ出すオヤジ臭団に女っ気ゼロ、セリフ極少、音楽控え目、山場特に無しのあっという間の120分!”

とにかく地味~な映画。派手さは皆無。

ところが、なぜかこの映画は自分を惹きつけてしまう。なぜなのか。。

それは一言でいえば、職人技ということに尽きるのではないかな、と。家のリフォーム番組に出てくる職人、匠を見ているようなかんじ。

脱走の名人モリスは脱走の職人であり、言い換えればそれは仕事なのだ。脱走という職人のお仕事を120分間観客は見せられるのだ。

そして脱走という先にある目的は、自由を勝ち取るということ。

この映画で描かれるのは、脱走という職人技と自由を勝ち取るという執念ただそれだけだといえる。そこに下手なドラマチックさはないし、必要もない。

この映画は実話らしいが、映画を作る際に、実話から何を取捨選択して描いていくかということに関してドン・シーゲル監督は、何を描き何を描かないかをきっちりと区別して作ることに徹しているといえる。

この監督もまさに職人技を披露してみせたのだ。

2010年1月24日 (日)

夢のシネマパラダイス193番シアター:往年名作劇場11番館

動く標的(1966年・アメリカ・121分)NHK-BS

 監督:ジャック・スマイト

 出演:ポール・ニューマン、ローレン・バコール、ジュリー・ハリス、ジャネット・リー

 内容:ロス・マクドナルドの同名小説を原作に、ポール・ニューマンがタフな探偵に扮して大富豪の失踪事件を追うハードボイルド。

評価★★/45点

女には絶対手を出さないキザな男、しかし調査で忍び込んでも絶対見つかってしまうアホな男。

探偵ものとしてもハードボイルドとしてもイマイチ見れない中途半端な作品だけど、そんなこたぁどうだっていい。

オイラの標的はミランダだっ

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アルジャーノンに花束を(1968年・アメリカ・104分)NHK-BS

 監督:ラルフ・ネルソン

 出演:クリフ・ロバートソン、クレア・ブルーム、リリア・スカラ、レオン・ジャーニー

 内容:知的障害を患う青年チャーリーは、脳手術によって一般人を上回る知能を手に入れる。そして実験用のネズミ、アルジャーノンと仲良しになる。だがある日チャーリーは、彼と同様の手術を施されたアルジャーノンの死を目撃してしまう。恐怖に駆られたチャーリーは、手術前の状態に戻ることを希望するが・・・。

評価★★★/60点

題名だけが一人歩きしているような、そんなレベルの映画だった。

他の映画と比較するのは本末転倒かもしれないけど、個人的にはデ・ニーロの「レナードの朝」の方が印象に残る。

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セルピコ(1973年・アメリカ・130分)NHK-BS

 監督:シドニー・ルメット

 出演:アル・パチーノ、トニー・ロバーツ、ジャック・キホー、ビフ・マクガイア

 内容:希望と理想に燃えて警察官となったセルピコは、同僚たちの収賄やサボタージュなど日常化されたNY市警の腐敗を目の当たりにする。麻薬課に配属された彼は、ヒッピー風のスタイルで麻薬の売人や中毒者を追い始めるが、どこへ行ってもワイロが飛び交い、それを拒絶するセルピコへの視線は冷たい。彼は市長に報告するが取り合ってもらえず、最後の手段として警察の現実をマスコミに訴えるが・・・。

評価★★★☆/70点

強烈な個性を放つ熱血熱演型俳優がスターとして大手を振って歩けた最後の時代、70年代。

その最終兵器ともいえる男アル・パチーノの瞬間瞬間から目が離せない!

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アメリカン・グラフィティ(1973年・アメリカ・112分)NHK-BS

 監督:ジョージ・ルーカス

 出演:リチャード・ドレイファス、ロン・ハワード、チャールズ・マーティン・スミス

 内容:ドラッグもベトナム戦争もまだなかった1962年の夏、東部の大学へ入るため翌朝には街を去らなくてはならないカートとスティーブは、最後の夜を楽しもうと親友らとともにお気に入りの車を飛ばし、ガールハントへと繰り出した。けんか、カーレース、恋人との別れ。それぞれの思いを胸に、やがて旅立ちの朝がやって来る・・・。当時29歳のルーカスが自らの思い出を重ね合わせて綴った青春映画。

評価★★/45点

片側2車線の道路を車で走っていて、信号で先頭に止まった時、隣の車に乗っている人をチラ見する癖がついたのは、この映画によるところが大きい、、って、なんじゃそりゃw

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ロンゲスト・ヤード

1 出演:バート・レイノルズ、エディ・アルバート、エド・ローター

監督:ロバート・アルドリッチ

(1974年・アメリカ・121分)NHK-BS

評価★★★★/75点

 

内容:金持ち女のヒモをしている元プロフットボールの花形クォーターバック、ポールは、ひょんなことから州立刑務所へ入れられてしまった。刑務所の所長は配下の看守たちのフットボールチームを全米チャンピオンに仕立てようと考え、ポールにコーチを命じる。一度は断ったポールだが、結局、看守チームの練習台となる囚人チームの育成にあたることになり・・・。

“その男、凶暴につき。”

元花形選手ポール。情け容赦なく女をブッ倒す。とにかく横暴・・・。

刑務所長。情け容赦なく囚人を撃ち殺そうとする。とにかく横暴・・・。

凶暴男の意地をかけた対決が幕を開ける!

野球部や剣道部の部室の臭いとも違う“男”フェロモンが蔓延!しかもそれをベタベタで押しまくる“男”アルドリッチ。

しかし、忘れることなかれ。アルドリッチはベタじゃないと面白くない!

その点でみれば非常に優れたアルドリッチ映画ですた。

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ビッグウェンズデー

1005500_m 出演:ジャン=マイケル・ヴィンセント、ウィリアム・カット、ゲイリー・ビジー、リー・パーセル

監督・脚本:ジョン・ミリアス

(1978年・アメリカ・120分)NHK-BS

内容:1962年、カリフォルニアの海岸町でサーフィンと恋に明け暮れる3人の青年が夢見るのは、何年かに一度の伝説的な大波“ビッグ・ウェンズデー”に乗ることだった。しかし、ベトナム戦争が激しさを増し、彼らの1人ジャックや他の仲間も出征することになる。10年の月日が流れ、“ビッグ・ウェンズデー”が訪れた海岸には、サーフボードを抱えたもう若くはない3人の姿があった。

評価★★★★/80点

“サザンの曲でいえば、この映画は「勝手にシンドバッド」でも「チャコの海岸物語」でもなければ「波乗りジョニー」でもない。これは「夏をあきらめて」だ。”

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マンハッタン(1979年・アメリカ・96分)NHK-BS

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ウディ・アレン、ダイアン・キートン、マリエル・ヘミングウェイ

 内容:テレビライターのアイザックはテレビの仕事に嫌気がさし、小説家に転向しようと考えていたが、小説の方は一向にはかどっていなかった。妻のジルは、こともあろうに女性と浮気をして別居中。さらにアイザックの今の恋人は17歳の女子高生トレイシー。おいおいド変態オヤジ。。親友の浮気相手であるジャーナリスト、メアリーのことが気になりだしたアイザックは、やがて彼女と一夜を共にし、トレイシーに別れ話を切り出すが・・・。

評価★★★/60点

素晴らしい街を素晴らしく撮るのは結構だが、醜男のセックス話と変態趣味を歯切れよく描かれてもいささか辟易してしまう。

恋人だったミア・ファローの養女に手をつけたかどで児童虐待で訴えられたウディ・アレンそのものの姿がこの映画にすでにあったとは。。最強の私映画だな・・・。

2009年10月26日 (月)

夢のシネマパラダイス82番シアター:往年名作劇場10番館

風とともに去りぬ

4510view017 出演:クラーク・ゲーブル、ヴィヴィアン・リー、オリヴィア・デ・ハヴィランド

監督:ヴィクター・フレミング

(1939年・アメリカ・231分)NHK-BS

評価★★★/60点

 

内容:南北戦争から戦後に至るアメリカ南部を舞台に、情熱の女性スカーレット・オハラの半生を描く大河ドラマ。D・W・セルズニック製作、製作費600万ドル、総天然色、上映時間は前後編合わせて4時間弱という超大作で、アカデミー作品賞をはじめ8部門を獲得した。

“・・・こんな点数でいいのだろうか”

すごいスケール、これから先も決してリメイクされることはないであろう唯一無二の作品、こりゃ日本も戦争で負けるわな。

全部分かります。分かりますが★3つが限界なのです。

ぶっちゃけ言っちゃえば長い、ちんたらちんたらと。

私あの人が好きよ。あの人のこと愛してるわ。えっ、やっぱりダメなのね。でも愛してるの。あっ、あなたのことも好きになっちゃいそう。でもあの人のことが忘れられない。あっ、いつの間にかあなたのこと好きになってしまったわ。あなたのこと愛してるわ。でもあの人もまだ好きだわ。あの人のことが忘れられないわ。でもあなたのことは愛してるわよ。あっ、でもあの人のことが本当に好きで愛してるんだってことが分かったわ。そ、そんな、あの人は別な人を本当に愛してるのね。それじゃやっぱりあなたのことを愛することにするわ。そ、そんな、あなたもダメなんて。それじゃタラの地で作戦を練り直すわ・・・・

ということを4時間近くかけてやるわけだ。

こりゃリメイクされるわけもないな。

まぁとにかく、主役2人に感情移入できるどころか、嫌いなタイプなので如何ともしがたいし、その状態で4時間見続けるというのは正直ツライものがある。

ま、死ぬ前にあと1回は見てもいいかな。

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荒野の七人

Magnificentseven 出演:ユル・ブリナー、スティーヴ・マックィーン、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソン、ブラッド・デクスター、ロバート・ヴォーン、ホルスト・ブッフホルツ

監督:ジョン・スタージェス

(1960年・アメリカ・128分)NHK-BS

 

内容:黒澤明の「七人の侍」に惚れこんだブリナーが翻訳権を買い取り、舞台をメキシコに置き換えて映画化した西部劇。メキシコの寒村イストラカンは、毎年やって来る野盗の襲撃に悩まされ続けていた。村の長老は野盗に対抗するために、助っ人として7人のガンマンを雇う・・・。

評価★★★★/75点

黒澤明の大傑作「七人の侍」のリメイクだけに、どうしても比較してしまわざるを得ないのだけど、これはこれでかなり楽しめる一品に仕上がっていると思う。

ユル・ブリナーをはじめとして、この映画をきっかけにスター街道をまい進していくことになるマックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンなどの7人のガンマンの顔ぶれは、三船敏郎を脇に回し、志村喬などの性格俳優をズラリと並べた本家本元にもひけを取らない豪華さで、しかも、それぞれが流れ者の一匹狼的なキャラクターであるがゆえ、キャラが存分に立っているし、演じる役者も華を全てかっさらわんとするばかりの勢いで前に出てくるので、調和はなくともかえって分かりやすくて見やすい。

また、黒澤版との最大の違いといえるのが、盗賊団の首領を顔の見える饒舌なボスキャラにしたことだと思うのだけど、この点でもよりオーソドックスで分かりやすい映画になっているし、このカルベラという男のキャラを魅力的に引き立たせることで、盗賊団と7人のガンマンは流れ者の無法者という点では同じ穴のムジナであり、善人か悪人か不明瞭で立場が容易に入れ替わってしまうということを描いていたのは面白いと思った。

また、侍と農民という決定的な身分制度のない西部劇の国において、舞台をメキシコに設定したことで、ガンマンにとっては弱者でしかない農民、農民にとってはよそ者でしかない流れ者という性格付けを自然に描けていたし、音楽もかなり「七人の侍」を意識してたし、リメイクとしては非常にこなれたかんじのする娯楽作に仕上がっていると思う。

時代劇と西部劇、フォーマットは変わっても「七人の侍」は傑作だった!結論。。

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裸の島(1960年・日本・96分)NHK-BS

 監督・脚本:新藤兼人

 出演:乙羽信子、殿山泰司、田中伸二、塚本正紀

 内容:自然と闘いながら生きる夫婦の姿を描いた叙情詩。瀬戸内海の小さな島に住む中年夫婦は2人の子供と一緒に、春は麦をとり、夏はサツマイモを植えて暮らしている。島では水が出ないため、労働の大半は隣の島から舟で水を運ぶことだった・・・。わずか13人のスタッフと4人の出演者だけで完成させた小品。モスクワ国際映画祭グランプリ。

評価★★★☆/70点

1時間過ぎるとさすがに見るのもツライなぁという飽きが・・・。

でも、ラストの咆哮を見てそれは吹き飛んだ。

ツライのはオイラなんかじゃない。いや、ツライと自分が言うこと自体おこがましい。

納得したよ!受け取りましたよ、新藤監督!

でも、また見るかと言われたら、、ちょっと困るけど・・w

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ある愛の詩(1970年・アメリカ・100分)NHK-BS

 監督:アーサー・ヒラー

 出演:ライアン・オニール、アリ・マッグロー

 内容:富豪の御曹司で弁護士を夢見るオリヴァーと、イタリア移民の貧しい家庭に育った女子大生のジェニーは、大学の図書館で出会って恋に落ち、やがてオリヴァーの両親の反対を押し切って、2人だけの結婚式を挙げる。2人は貧しいながらも幸福な日々を送っていたが、ある日突然、不治の病がジェニーを襲う・・・。

評価★★★/65点

“この映画のテーマ曲が歯医者でかかっている時ほどイヤなことはない・・・。”

自分だけかもしれないけど、なんで歯医者ってこういう切ないBGMばっかりかけるんだろう・・?待合室で麻酔に怯える小心者にとってはホント嫌なんだよね。。

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家族の肖像(1974年・伊/仏・121分)NHK-BS

 監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ

 出演:バート・ランカスター、シルヴァーノ・マンガーノ、ヘルムート・バーガー

 内容:ローマの豪邸に住む老教授は外界との接触を断ち、“家族の肖像”と題する絵画コレクションと少数の使用人に囲まれて静かに暮らしていた。しかし、知人の実業家夫人が娘や愛人の美青年を連れ込んで強引に2階を占拠したことから、老教授の生活は一変。そしていつしか教授は美術や古典音楽に精通している美青年と親しくなっていく。。。

評価★★/40点

名匠ルキノ・ヴィスコンティの映画にこの点数付けるのけっこう勇気いるんだけど・・・。

う~ん、ようするにセフレの集まり?みたいな。。

こういう映画は全く自分の趣味ではないけれど、なんとなく良さも分からんでもないような。。その程度。

だって、勝手に壁ぶっ壊しておいて、それに対してランカスター爺さん、、、「今の若者との接点がつかめない。」とぬかしよる。は~~?ってかんじ。。果ては3Pですかアレは・・・。

この映画との接点がつかめないままジ・エンド。。

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アニー・ホール(1977年・アメリカ・93分)DVD

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ウディ・アレン、ダイアン・キートン、トニー・ロバーツ、シェリー・デュバル

 内容:NYのナイトクラブで活躍する漫談師のアルヴィは、テニスクラブで歌手志望のアニーと知り合い、間もなく一緒に暮らし始める。同棲生活は最初は快適だったが、次第にお互いの短所ばかりが目につくようになっていった。そんな頃、アニーがカリフォルニアで仕事をするチャンスをつかみ、2人の仲に決定的な危機が訪れる。。アカデミー作品賞を受賞したウディ・アレンの代表作。

評価★★★★/80点

ウディ・アレンのニューヨーカーズクラブの会員になることは、間違いなく映画を見ていく上での一流のステータスシンボルになる!そのことが確約できる一品。

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フォレスト・ガンプ 一期一会(1994年・アメリカ・141分)

 監督:ロバート・ゼメキス

 出演:トム・ハンクス、サリー・フィールド、ロビン・ライト・ペン、ゲイリー・シニーズ

 内容:知能指数は低いがピュアな心を持つフォレスト・ガンプ。ビートルズブーム、ベトナム戦争、ウォーターゲート事件など、アメリカの現代史に関わりながら駆け抜けた主人公の半生を描いた人間ドラマ。アカデミー賞作品・監督・主演男優・脚色賞受賞。トム・ハンクスは2年連続でのオスカー受賞となった。

評価★★★/60点

なんともいえない不思議で憎めない魅力を持つフォレスト・ガンプ。

しかし、穢れも罪も闇さえもない人間の物語を見るのは決定的に自分の映画観とは相容れない・・・。

2009年8月15日 (土)

夢のシネマパラダイス299番シアター:往年名作劇場9番館

大いなる幻影

Gra 出演:ジャン・ギャバン、ピエール・フレネー、エリッヒ・フォン・シュトロハイム

監督・脚本:ジャン・ルノワール

(1937年・フランス・114分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:フランス軍のボアルデュ大尉とマレシャル中尉がドイツ軍の捕虜となり収容所へ移される。収容所の所長ラウフェンシュタイン大尉は同じ貴族階級出身のボアルデュに親近感を抱いていた。しかし、捕虜たちが脱走計画を進める中で、ボアルデュは仲間を逃がすため所長に撃たれて犠牲となってしまう。一方、収容所の脱走に成功した労働者出身のマレシャルとユダヤ財閥の出のローゼンタールは、ドイツ人の農民にかくまわれる。。第1次世界大戦を背景に、敵味方の国境を超えた人間性を謳い上げる戦争ドラマ。1937年のパリ万博に合わせて公開され、フランスはもとよりアメリカでも大ヒットを記録した。ちなみに所長役のエリッヒ・フォン・シュトロハイムはサイレント時代の大監督としても有名。

“「もう撃つな。奴らは国境を越えてしまった!」、、戦争って何なんだろう。。”

深雪積もる山の中を必死こいて逃げていくマレシャルと相方の後ろ姿を映して終わるこの映画。

逃げていく彼らを撃ち殺そうとドイツ兵たちが発砲する場面で、その中の一人が冒頭のセリフを言って発砲するのをやめる。

このシーンで面白かったのは、目に見える形で国境線など何ら引かれておらず、周りは一面雪で覆われている山の中だったということ。

逃げてるマレシャルたちもどこからがスイスなのか分かろうはずもない。ただおそらくこっちの方向に進んでいけばスイスへの国境を越えられるだろうという推測のもとに逃げているにすぎない。

なんだかラストのマレシャルたちの逃げる姿(しかも雪が積もってるせいでなかなか速く走れない)と、撃つのをあきらめたドイツ兵たちの姿を見て感動するというよりもなんとも滑稽な姿として映ってしまった。

そしてその滑稽な姿はそのまま国と国との戦争そのものの滑稽さ、無意味さへと転化できるものとして自分の中に映ったのだ。

非常に子供じみた話なのだけど、子供の頃「サウンド・オブ・ミュージック」を見たとき、マリア一家が国境を越えてスイス側に逃げようとアルプスを越える時になんで国境を越えたスイス側に行けば大丈夫なの?と子供心に疑問を覚えたことがある。

そんなの今となっては説明するまでもないことなのだけど、しかし一方では戦争の無意味さバカらしさをもっともよく表しているのではないかとも思うのだ。

シュトロハイム扮するラウフェンシュタインとボアルデュ大尉との国境を越えた友情と人間関係を通して見えてくる戦争の無意味さ。そしてラストに象徴されるような国境を越えたことにより戦争の当事者同士の関係が一時的に(*)チャラになってしまうということから見えてくる戦争の無意味さバカらしさ。

戦争っていったい何なのという無常観みたいなものに駆られてしまわずにはいられない。

この映画は間違いなく素晴らしい反戦映画だ。

(*)一時的にとは、つまり収容所からうまく逃げおおせたマレシャルたちはしかし結局再び戦場へと赴くことになるはずで、再びドイツ軍と対峙し戦う。もしかしてまた捕虜になることだってあるかもしれない。

逃げ切った彼らにとっては、あれで終りなのではないということだけは確かなのだ。

さらなる彼らの物語が続いていくのでしょう。

そう思わせてくれる映画は実はあまりないと思うが、そのように思わせてくれる映画が好きだし評価したいです。

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黄金(1948年・アメリカ・125分)NHK-BS

 監督・脚本:ジョン・ヒューストン

 出演:ハンフリー・ボガート、ウォルター・ヒューストン、ティム・ホルト

 内容:メキシコ深く、砂金採りに励むドブス、カーティン、ハワードの3人の男。金を掘り当てた3人は山賊に襲われ下山するが、欲深い性格を露呈し始めたドブスは、ハワードの金を奪おうとカーティンに持ちかける・・・。砂金採りの男たちが次第に物欲の権化となっていく様をリアルかつ非情なタッチで描く。アカデミー監督賞、脚本賞を受賞。

評価★★★☆/70点

一攫千金の夢に憑かれた男たちの欲望の果てを荒々しく乾いたタッチで描いた人間ドラマといえばそれまでだけど、とにかくハンフリー・ボガートがエグくて強烈!

「カサブランカ」や「マルタの鷹」での紳士面よりも、「アフリカの女王」や本作での無精ひげを生やした薄汚い強欲男の方がインパクトがあって好きかも。

しかし、ナタでぶち殺されてしまうボガートの顛末は衝撃的だったなぁ・・

今でいえばトム・ハンクスとかジョージ・クルーニーあたりになるんだろうか。それを考えるとボガートの豹変ぶりは特筆ものだと思うのだけど、アカデミー賞ではウォルター・ヒューストンの方に軍配が上がったんだよね。まぁ、ラストの軽快な高笑いが全部持ってっちゃったからねぇ。

いやはや、往年の黒澤明に撮らせてみたい題材でなかなか面白かった。

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オリエント急行殺人事件(1974年・イギリス・128分)NHK-BS

 監督:シドニー・ルメット

 出演:アルバート・フィニー、イングリッド・バーグマン、ローレン・バコール、ジャクリーン・ビセット

 内容:難事件を解決してイスタンブールからロンドンへの帰途、名探偵エルキュール・ポワロは大陸横断鉄道のオリエント急行一等寝台に乗り込み、身分も国籍も違う13人と乗り合わせていた。しかし、ユーゴのザグレブに差し掛かったあたりで、列車が雪のため立ち往生。一夜明けた朝、乗客の一人ラチェットが刺殺体で発見される・・・。アガサ・クリスティの傑作ミステリーを、オールスターキャストで映画化した娯楽大作。

評価★★★/65点

どう見てもポワロの髪の毛は油性マジックで塗っているとしか思えないww

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木靴の樹(1978年・イタリア・187分)NHK-BS

 監督・脚本:エルマンノ・オルミ

 出演:ルイジ・オルナーギ、フランチェスカ・モリッジ、オマール・ブルニョーリ

 内容:19世紀末の北イタリア、ロンバルディア地方のベルガモ盆地の農場。小作人のバティスティは、神父の勧めで息子のミネクを学校に通わせていた。ある日、ミネクが学校の階段で木靴を割ってしまったので、新しい靴を作ってやるためにバティスティは地主所有のポプラの小さな立ち木を1本切った。が、それが原因で、彼らは村から追い出されてしまう・・・。バティスティ一家の話を中心に、彼らとともに働いていた4,5軒の家族たちの日常を淡々と描いた人間ドラマ。カンヌ国際映画祭作品賞。

評価★★★☆/70点

生きるということの全てが詰まっている。

ゆえに、エロいんでッス

そんな印象しか残っていない映画。おいおい・・

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愛と青春の旅立ち(1982年・アメリカ・124分)WOWOW

 監督:テイラー・ハックフォード

 出演:リチャード・ギア、デブラ・ウィンガー、ルイス・ゴセット・ジュニア

 内容:幼い日に母が自殺し、酒に溺れる水兵の父に育てられたザックは、暗い過去と決別するため、海軍士官養成学校の教練に参加する。黒人鬼教官のフォーリー軍曹の訓練は厳しく苛酷を極める。基地と市民の交流パーティで、現状から脱しようともがくポーラという娘と出会ったザックは、家庭的な彼女に魅せられながらも、恋は遊びと割り切っていたのだが・・・。

評価★★★☆/70点

“アカデミー賞からつまはじきにされる男リチャード・ギア。そのジンクスはここから始まった・・”

恋愛パートの軸に据わるデブラ・ウィンガーと、青春パートの軸に据わるルイス・ゴセット・Jrが良かったからなんとか見れる映画であって、リチャード・ギアのピン芸だけではやはり苦しい・・。

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ドライビング・ミス・デイジー(1989年・アメリカ・99分)NHK-BS

 監督:ブルース・べレスフォード

 出演:モーガン・フリーマン、ジェシカ・タンディ、ダン・エイクロイド、パティ・ルポン、エスター・コール

 内容:緑映える南部の町アトランタ。頑固で誇り高い老未亡人デイジーは、長年務めた教職を引退し余生を送っていた。高齢になっても自らハンドルを握っていたデイジーだったが、ある日交通事故を起こしかけ、母の身を案じる息子は、運転手として60歳の黒人ホークを雇うことにする。。。アカデミー賞では作品、主演女優賞(撮影当時80歳のジェシカ・タンディ)など4部門で受賞。

評価★★★★/80点

“朝もやがだんだん薄れてきて澄んだ空気に快晴の青空が見えてくるような、そんな穏やかさと爽快感にゆったりと包み込まれていく映画”

この映画はシナリオという基本設定に役者がどんな肉付けをしていくかにかかっている典型的なタイプの作品だと思うのだけど、そこはさすがのお2人さん。まさにいぶし銀の芸を見させていただきますた

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午後の遺言状(1995年・日本・112分)NHK-BS

 監督・脚本:新藤兼人

 出演:杉村春子、乙羽信子、朝霧鏡子、観世栄夫

 内容:大女優とその別荘の女管理人との人間関係を軸に、老人の生きる意味を問う問題作。新藤監督の愛妻でもあった乙羽信子の遺作としても有名。

評価★★/45点

あそこの水飲んでみたいってことと、浜辺のシーンが北野武の「HANA-BI」と似てたってことと、乙羽信子に田中絹代の面影を見たってことくらいしか・・・

2009年1月22日 (木)

夢のシネマパラダイス9番シアター:往年名作劇場8番館

美女ありき(1941年・イギリス・128分)NHK-BS

 監督:アレクサンダー・コルダ

 出演:ローレンス・オリヴィエ、ヴィヴィアン・リー

 内容:18世紀末、ナポリ駐在のイギリス大使ハミルトン卿夫人エマは、イギリスから派遣されてきた提督ネルソンに情熱を捧げる。ネルソンが戦闘で片目片腕を失ってもこの不義の恋は続き、やがてイギリスに隠遁した2人に幸福の日々が訪れる。だが戦争の暗雲は再びネルソンに出征を迫り、トラファルガー海戦に勝利しつつ彼は戦死してしまうのだった・・・。トラファルガー海戦においてナポレオン艦隊を撃破しイギリスの危急を救ったネルソン提督と、その愛人エマの恋を描くメロドラマ大作。

評価★★★☆/70点

ヴィヴィアン・リーとオリヴィエ2人が画面におさまった時の荘厳さは筆舌に尽くしがたいものがある。

ああいう重みと美しさは今では出せないでしょ。ちょっと今の役者さんでは思い浮かばないな。。

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無法松の一生(1943年・大映・89分)NHK-BS

 監督:稲垣浩

 出演:阪東妻三郎、園井恵子、川村禾門、月形龍之介、長門裕之

 内容:北九州・小倉の名物男、乱暴者だが侠気のある人力車夫である富島松五郎の生涯を描いた人情劇。病床の伊丹万作が脚本を手がけ、彼に代わって稲垣浩が監督、阪妻が名演を見せて大ヒット、三者の代表作となった。また、本作は戦時中に軍部の検閲により最大の被害を被った作品としても知られている。後に稲垣浩は1958年に三船敏郎主演で再映画化し、ヴェネチア国際映画祭で作品賞を受賞した。

評価★★★/65点

軍部の検閲によって映画がいくらズタズタにされようとも、阪妻だけは外圧を寄せつけないオーラを燦然と放っている。これこそフォースの力だ

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カビリアの夜(1957年・イタリア・111分)NHK-BS

 監督:フェデリコ・フェリーニ

 出演:ジュリエッタ・マシーナ、フランソワ・ペリエ、アメディオ・ナザーリ

 内容:フェリーニが名コンビのジュリエッタ・マシーナを起用して、人を疑うことを知らない純真無垢な心を持つ娼婦の姿を描いた物語。

評価★★★★/80点

オイラが保証する。カビリアならどんなことが起きても大丈夫さ!

と思いたい。いや、思おう。そう思わなければ。

なんかカビリアには女としての強さというよりも、母としての強さみたいな、母性のようなものを強く感じたな。マリア様では決してないけれど、厳しい現実世界における母としてのイコンはまさしくカビリアのような人じゃないかなと。

日本でいえば森光子みたいなかんじかな。。

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地下鉄のザジ(1960年・フランス・93分)NHK-BS

 監督・脚本:ルイ・マル

 出演:カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・ノワレ、ヴィットリオ・カプリオーリ

 内容:田舎からパリに遊びに来た10歳の少女ザジが一番楽しみにしていたのは、地下鉄に乗ることだった。ところが地下鉄はストライキの真っ最中で、ザジは伯父のガブリエルと一緒にパリの街めぐりをする。翌朝、ひとりで勝手に街に出たザジは、刑事と名乗る中年男と出会い・・・。ドタバタ喜劇の要素を取り入れ、子供の目がとらえたパリの街を斬新な映像で描き出すルイ・マルの監督第3作。

評価★★☆/45点

ザジのお遊びに90分付き合ってられるほど暇じゃないんだけどさ、仕方ないから付き合ってやったよとことん(笑)。正直、途中からウンザリしてきちゃったけどね。。

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日曜はダメよ(1960年・ギリシャ・92分)NHK-BS

 監督・脚本:ジュールス・ダッシン

 出演:メリナ・メルクーリ、ジュールス・ダッシン、ジョルジュ・ファウンダス

 内容:アメリカから古代ギリシャ研究のためにピレウスの港町にやって来たホーマーは、陽気な売春婦イリヤに出会い、すっかり彼女に惚れこんでしまう。イリヤが毎週日曜日に商売を休んでギリシャ古典悲劇を見に行くのを知ったホーマーは、彼女に本式の教養を詰め込もうとするが・・・。

評価★★☆/45点

“風俗に行けば真実の探求ができる!”

もの凄い格言だw。。

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男性・女性(1966年・フランス・110分)NHK-BS

 監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール

 出演:ジャン=ピエール・レオ、シャンタル・ゴヤ、ブリジット・バルドー

 内容:雑誌社で働く青年ポールは、歌手志望の少女マドレーヌと知り合い付き合うようになる。2人は結婚も考えるが、生活に追われて仲たがいも絶えなかった。そんなある日、街に出かけた2人は、胸を見せてお金を稼ぐ少女の姿や、青年がナイフを突き立ててお金をゆする光景を目の当たりにする・・・。

評価★★★/60点

ただ一つ言えること。

間違いなく“121本”の映画たちの中でオンリーワンだ!残りの120本は知らないけど・・

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夜霧の恋人たち(1968年・フランス・101分)NHK-BS

 監督・脚本:フランソワ・トリュフォー

 出演:ジャン=ピエール・レオ、クロード・ジャド、デルフィーヌ・セイリグ

 内容:「大人は判ってくれない」「二十歳の恋」のアントワーヌ・ドワネル少年を主人公に作ったトリュフォーの自伝的シリーズの第3作。兵役を終えたアントワーヌは夜警の仕事に就くが、ミスをしてクビになってしまう。知人の紹介で新たに私立探偵の職に就いた彼は、被害妄想に悩まされる靴店の主人タバールの調査にとりかかった。しかし、アントワーヌはタバールの奥さんに恋をしてしまう・・・。

評価★★★/60点

アントワーヌの迫り方が、、キモイ。。

2009年1月17日 (土)

夢のシネマパラダイス325番シアター:往年名作劇場7番館

或る夜の出来事

24 出演:クラーク・ゲーブル、クローデット・コルベール

監督:フランク・キャプラ

(1934年・アメリカ・105分)DVD

内容:富豪の娘エリーは結婚を反対され、単身夜行バスに乗り込んだ。そこで失業寸前の記者ピーターと隣り合わせ、2人はトラブルばかりの旅を続けるうちに気持ちを通わせていく・・・。長距離バスに乗り合わせた新聞記者と家出娘が恋に落ちるまでを描いたソフィスティケーテッド・コメディの傑作。アカデミー賞の主要5部門を初めて独占した映画としても有名。

評価★★★★★/100点

“賞味期限∞!!”

ピーターとエリーの間にはラストまで「ジェリコの壁」が立ちはだかっているが、この映画と観客の間には始めから終りまで何の壁もない。

幾世代にも渡ってこの映画を見る側との間にはいかなる障壁も存在しないだろう。これから先も。

永久不滅の偉大な映画とはこのことよ!

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誰が為に鐘は鳴る(1943年・アメリカ・130分)NHK-BS

 監督:サム・ウッド

 出演:ゲイリー・クーパー、イングリッド・バーグマン、エイキム・タミロフ、カティーナ・パクシヌー

 内容:スペイン動乱を背景に、紛争へ身を投じたアメリカ人教授とスペイン娘の冒険と恋愛を描く文芸メロドラマ。スペイン人民戦線軍に参加し峡谷の鉄橋爆破の指令を受けたジョーダンは、ジプシーのゲリラ部隊のもとで働くマリアと出会う。2人は激しい情熱に突き動かされるが、ジョーダンには恋に酔っている暇はなかった。やがて爆破決行の折、足を撃たれたジョーダンはマリアたちを後方に送らせ、1人敵軍に銃口を向けるのだった・・・。

評価★★★/60点

大学でスペイン語を教えている教授がなぜにスペインでベラベラ英語を話すねん(笑)。

あと、イングリッド・バーグマンを美しく見せようというのは分かるけどさ、顔がアップになった時のありがちなライティングはこの映画ではどうなんだろう、、と。同年公開の「カサブランカ」でならまだしも。

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三つ数えろ(1946年・アメリカ・110分)NHK-BS

 監督:ハワード・ホークス

 出演:ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール

 内容:私立探偵フィリップ・マーロウは老将軍から末娘カーメンへの恐喝の調査依頼を受ける。だが恐喝犯は殺され、第2第3の事件を生んでいった。マーロウはカーメンの姉ヴィヴィアンの夫が行方不明になっている事件が関係していると考え、意外な事実にたどり着く・・・。ハードボイルド作家レイモンド・チャンドラーの原作を映画化した探偵映画。主演のボガートは、「マルタの鷹」(1941)と本作によりハードボイルド演技の典型を確立したといわれている。

評価★★/40点

ひとーつ、小説棒読みしてるだけ・・

ふたーつ、それゆえ世界が広がらない・・

みーっつ、意味なしキャラが多すぎる・・

よーっつ、映画と呼べるのか・・

、、結局だんだん眠くなる

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旅愁(1950年・アメリカ・105分)NHK-BS

 監督:ウィリアム・ディターレ

 出演:ジョセフ・コットン、ジョーン・フォンテイン、ジェシカ・タンディ、フランソワーズ・ロゼー

 内容:ローマからフランスへ向かう旅客機上で、米国人技師デヴィッドとピアニストのマリナは親しくなり、途中寄ったナポリで名所見物に熱中してしまい飛行機に乗り遅れてしまう。ところが、その飛行機が墜落事故を起こし、2人は死亡したものとされる。彼らは新たな人生を共に生きようと決意するが、デヴィッドの妻が子供を連れ、事情を確かめにやって来て・・・。

評価★☆/35点

ハリソン・フォードの「ランダム・ハーツ」(1999)の原版を見たかんじ。はっきりいって真っ二つに割っちゃいたい気分。。

まやかしの愛が嫌なら、終盤2人であの世に道行きすればよかったのに。それこそ永遠の愛が成就されるやろ。

あるいは、「ファイナル・デスティネーション」(2000)みたいに死の運命から逃れられない恐怖を描くホラーにすればよかったのに(笑)。

あまりにもデヴィッドの妻がかわいそうすぎる。ていうか、あのラストの後、デヴィッドは妻と息子とのところに戻るのか?虫が良すぎるっつうの。

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(1954年・イタリア・115分)NHK-BS

 監督・脚本:フェデリコ・フェリーニ

 出演:アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・ベイスハート

 内容:粗野な大道芸人ザンパノは、純粋無垢で少し頭の弱い娘ジェルソミーナを伴ない、旅から旅への暮らしを送っていた。ある時、ジェルソミーナはサーカスで出会ったイル・マットと呼ばれる青年から慰めを受けるが、イル・マットを嫌うザンパノは彼を殺し、泣いてばかりのジェルソミーナも捨ててしまった。数年後、老いたザンパノは彼女がよく口ずさんでいた曲を耳にする・・・。ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞、アカデミー外国語映画賞ほか多数受賞したフェリーニの名を世界に知らしめた記念碑的作品。

評価★★★★/80点

“チャップリンよりもチャップリンらしい、その名はジュリエッタ・マシーナ。”

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死刑台のエレベーター(1957年・フランス・92分)CS

 監督・脚本:ルイ・マル

 出演:モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー、リノ・ヴァンチュラ、ジョルジュ・プージュリ

 内容:土地開発会社の技師ジュリアンは、社長夫人のフロランスとひそかに愛し合い、邪魔者の社長を亡き者にしようと完全犯罪のチャンスをうかがっていた。ジュリアンは計画を実行に移し、自殺に見せかけて社長を射殺するが、一度ビルの外に出てから社長室の窓にロープを忘れてきたことに気付き、再びエレベーターに乗り込む。ところが、ビルの管理人が電源を切って帰ってしまったため、ジュリアンを乗せたエレベーターは、階の途中で止まってしまった・・・。当時25歳のルイ・マル監督デビュー作。

評価★★★☆/70点

“エレベーターとエスカレーターの区別が完璧につくようになったのは、この映画のおかげだ!!”

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大人は判ってくれない(1959年・フランス・97分)DVD

 監督:フランソワ・トリュフォー

 出演:ジャン=ピエール・レオ、クレール・モーリエ、アルベール・レミ

 内容:ヌーヴェル・ヴァーグの旗手トリュフォーの記念すべき長編デビュー作で、主役の少年を演じたジャン=ピエール・レオとの共同作業となっていく“アントワーヌ・ドワネル”シリーズの第1作。12歳の少年アントワーヌは、毎日が嫌なことの連続だった。その日も学校で立たされ宿題を課せられていたが、親子3人暮らしの狭いアパートへ戻れば日課の掃除が待っており、口やかましい母親と妻の顔色をうかがう父親とあわただしく食事をするだけで、宿題をやるヒマさえない。そんなアントワーヌは結局悪友のルネと悪事を重ねていき、ある時、タイプライターを盗んだことで警察に捕まり、両親にも見放され少年感化院に入れられてしまう・・・。

評価★★★/65点

判ってやれないそんな大人になりつつある自分は、少年時代に持っていたいろいろな世界をポロポロと落としてきてしまった。

その世界とは何だったのかさえ今では忘れてしまったそんな大人に・・・。

2008年12月17日 (水)

夢のシネマパラダイス291番シアター:ヒッチコック特集!

レベッカ

Rebecca 出演:ローレンス・オリヴィエ、ジョーン・フォンテイン、ジョージ・サンダース、ジュディス・アンダーソン

監督:アルフレッド・ヒッチコック

(1940年・アメリカ・130分)NHK-BS

評価★★★★☆/85点

内容:先妻の呪縛に悩まされる夫妻の恐怖とその愛の心理を映し出したスリラー。イギリスから渡米したヒッチコック監督が手がけ、アカデミー作品賞を受賞、ニューロティック(異常心理)映画の流行のきっかけをつくった。イギリスの荘園主マキシム・ド・ウィンターの後妻となったキャロラインは、邸に残る先妻レベッカの面影に悩まされ、夫の愛情まで信じられなくなり、先妻の使用人ダンヴァース夫人の魔術のごとき言葉で自殺までしかけてしまう。そんな時、レベッカの死体が海から揚がり、マキシムが殺人罪に問われることになった。マキシムは罪を認めるが、ガンに侵されたレベッカが自殺を決意し夫に殺させたことが判明する・・・。

“シンデレラの恐るべき後日譚!”

王子様と晴れてご結婚、と思ったらそこからが本題だったというお話。

精神的に追いつめられていき、不安定な状態になっていくヒロインがはたしてどのような結末を迎えるのかが1番の見所だと思うが、なんといっても前ウィンター夫人レベッカの見えざる存在が秀逸。

もしかして死んでなどいないのではないかとさえ思えてくるくらいその存在が輪郭として浮かび上がってくる。

その圧倒的存在感。

結局レベッカは出てこないわけだけど、だからこそ映画の緊張感がいやが上にも持続しているといえる。

見えない存在におびえ追いつめられていくヒロインを演じたジョーン・フォンテイン。撮影中はヒッチコック監督から意図的な嫌がらせ(彼女の精神バランスを崩させるため)を受けていたという逸話もあるが、さすが美女いじめが趣味のヒッチコック。画面にその効果はしっかり出ています。

翌年だったかの同じくヒッチコックの「断崖」でアカデミー主演女優賞を獲れたのもこの時の経験が活きたのかな。。

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ロープ

Rope_1 出演:ファーリー・グレンジャー、ジョン・ドール、ジェームズ・スチュワート

監督:アルフレッド・ヒッチコック

(1948年・アメリカ・80分)NHK教育

評価★★★★/85点

内容:超人思想に駆られたフィリップとブランドンは、自分たちの優秀さを示すため同級生を絞殺し完全犯罪を成し遂げようとした。2人は現場の一室でパーティを開き、殺人に使ったロープを処分してしまう。だが、客のキャデル教授は彼らの挑戦に気付いていた!実話を基にした戯曲を映画化したもので、全体をワンカットで撮ったように見せ、現実の時間と映画内時間とが重なる実験的手法を施していることでも有名な作品。

“「シックス・センス」のごとく冒頭で映画を観るにあたっての注意事項くらい流してもよかったんじゃないの。”

映画をご覧になる際の皆様へのお願い、、、

この映画は1台のカメラだけで撮影され、カット割りなしの1カットのみの構成となっております。

その点を十分ご留意されてご覧になられることをおすすめいたします。

なお、この映画にはある“秘密(トリック)”が存在します。

通常(当時)映画を撮影する際に使うフィルム巻は1巻10分しかありません。

この映画の上映時間80分には到底足りません。

では、どうやって1カットで撮影したのでしょうか。

映画をご覧になっている際は、皆様にはどう見ても1カットで撮っているようにしか見えないでしょう。

なお、“秘密”は1個だけではありません。何個もあります。

それらの秘密が1つでもお分かりになった方は、お友達やご家族の方にお話になって大いに結構です。

なぜなら秘密を知れば知るほどこの映画の楽しみ方が増えるからです。

それでは本編が始まります。皆さまどうぞお楽しみ下さい。

てね。

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裏窓(1954年・アメリカ・113分)NHK-BS

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:ジェームズ・スチュワート、グレース・ケリー、ウェンデル・コーリー

 内容:足を骨折して自宅療養中のカメラマン、ジェフは、退屈しのぎに向かいのアパートの様子を望遠鏡で観察するのが日課になっていた。そんなある日、セールスマンの男が病床の妻と口論しているのを目撃する。そして翌日からその妻の姿が見えなくなり・・・。

評価★★★☆/70点

ヒッチ作品の中ではなにげに1番多く見ていて、ジェフ(ジェームズ・スチュワート)の覗きの視線だけで映画を成立させてしまう手法の巧さは映画の見本のような作品。

、、なのだけど、何回見てもこのジェフという男が好きになれない。それが最大のネック。。いやマジでさww

向かいのアパートの住人をジロジロ観察するより、隣にいるグレース・ケリーをじっくり堪能するのが男っちゅうもんだろっ、、、だろ(笑)!?

しかも結婚から逃げてんのよこの男は、、、バカw信じられんぜ、ったく。命の危険にまでさらしやがって・・。

で、結局行き着くところはゴージャス衣装のグレース・ケリーが浮いちゃってるんじゃないかってこと・・

いやぁ、ホント何だろ、、この映画をけなしたい自分がいるんだけど、ヒッチの上手さにグゥの音も出ないってかんじ。。

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サイコ

A5b5a5a4a5b3a3f0 出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ジョン・ギャヴィン、べラ・マイルズ

監督:アルフレッド・ヒッチコック

(1960年・アメリカ・109分)DVD

内容:会社の金を横領して恋人の所に逃走する途中、マリオンは嵐に遭う。そこで道から少し離れた所にあった宿、ベイツ・モーテルに泊まる。そこの経営者は親切で内気そうな青年だった。名前はノーマン・ベイツといい、母と2人で暮らしているという。彼の身の上を聞くうちに、金を返してやり直そうと心揺れるマリオン。しかし、その夜、シャワーを浴びている時に殺人者が現れる・・・。

この映画史に残る有名な刺殺シーンでは、ヒッチコックは、約60秒のシーンを70以上の短いショットに区切り、目まぐるしく変わる映像によって暴力的ショックを表現した。ちなみにこのシーンではナイフが刺さる直接描写は一切ない。

また、観客の途中入場を一切禁止したり、当時大スターだったジャネット・リー(マリオン役)が早々に殺されてしまうなど、当時としては前代未聞の映画だったようだ。

評価★★★★/75点

“サクッ、サクッ。生理的にこの映画の音がたまらなくイヤ。”

ナイフで人間を突くとあんな音がするのかよと、観るたびにウワッて思わず耳をふさいでしまう。

美しい音色のバイオリン、あの「耳をすませば」で軽快な響きを奏でるバイオリン、それがこの映画ではずっと悲鳴をあげているんだから。

イヤだねぇ。。でも巧いよなぁやっぱ。

最近の映画は暴力シーンはもちろん殺人シーンまでも直接画面に出しちゃってるから。

しかしこの「サイコ」しかり「ジョーズ」しかり間接的に表現するという怖さ。想像させる怖さというのが1番怖いかもね。

そこで1番重要な働きをするのが音だと思う。

そういう意味では、この映画の音の使い方は言うまでもないですよね。

だって、ほんっとイヤだもん(笑)。

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三十九夜(1935年・イギリス・88分)NHK-BS

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:ロバート・ドーナット、ルーシー・マンハイム、マデリン・キャロル

 内容:カナダからロンドンへ帰って間もないリチャードは、寄席で記憶術師“ミスター・メモリー”のショーを見た後、謎の女に救いを求められ、彼女をとりあえず自分のアパートへ連れて行く。ところが、ひと寝入りしたリチャードが目を覚ますと、彼女の背にはナイフが突き立てられており、やがて絶命。容疑者として追われる身になったリチャードは潔白を証明するため、わずかな手がかりを求めてスコットランドに向かう。

評価★★★★/80点

ヒッチコック映画とは何か?

オイラは何も言わないっス。これ観た方が早いから。

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間諜最後の日(1936年・イギリス・87分)NHK-BS

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:ジョン・ギールグッド、マデリン・キャロル

 内容:諜報活動に従事した経験を持つ文豪モームの短編集に基づき、イギリス諜報部員の活動を追うサスペンス映画。1916年、小説家の陸軍大尉アシェンデンは、偽名を与えられ、スイス在住のドイツスパイの正体を探る命令を受けた。彼はエルサや自称・将軍らの仲間とともに任務に取り掛かる。アシェンデンを愛し始めたエルサは、彼に非情なスパイを辞めるよう訴えるが、そんな矢先彼らはドイツスパイの正体を突き止める。

評価★★★☆/70点

「三十九夜」の番外編とか姉妹編というかんじ。

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バルカン超特急

Fixqcqgsf 出演:マーガレット・ロックウッド、マイケル・レッドグレイブ、ポール・ルーカス

監督:アルフレッド・ヒッチコック

(1938年・イギリス・98分)DVD

内容:バルカンの避暑地バンドリカからロンドンへ帰る列車に乗ったアイリスは、豪雪のために列車が立ち往生してしまい、仕方なくホテルに一泊することになった。そこでアイリスは何者かによって頭に怪我をさせられるが、犯人は見つからない。翌朝、ダイヤは復旧し、アイリスは貴婦人のフロイと同じコンパートメントに乗り合わせた。しかし、ひと眠りしたアイリスが目を覚ますとフロイの姿が消えていた。しかも、車掌や乗客たちはそんな人物はいないと取り合ってくれず・・・。

評価★★★★☆/85点

誰も知らない、、、って怖い

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断崖(1941年・アメリカ・99分)DVD

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:ケイリー・グラント、ジョーン・フォンテイン

 内容:詐欺常習者の夫に疑惑を抱いた精神分析好きの妻が、彼に財産目当てで殺されるという被害妄想に陥る心理スリラー。ヒッチコック監督の「レベッカ」(1940)で大スターとなったジョーン・フォンテインがアカデミー主演女優賞を受賞。

評価★★★☆/70点

最後の最後になるまでダメ夫を信じ続けるリナの良妻ぶりには頭が下がるが、ちょっと崖から突き落として目を覚まさせたい気分(笑)。。

この映画と似たプロットの「ガス燈」(1944)と比べちゃうと、さすがの本作も相当に見劣りしちゃうかも・・。

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逃走迷路(1942年・アメリカ・109分)NHK-BS

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:ロバート・カミングス、プリシラ・レーン、ノーマン・ロイド、オットー・クルーガー

 内容:戦時下のカリフォルニア。ある日、飛行機工場で爆発事故が起き、工員の一人バリーが犯人と疑われて追われることになってしまった。無実を証明するには、事故の時に工場から飛び出していった怪しい男を探し出すほかにない。男の影を追ううち、バリーはナチスの破壊組織に行き当たる・・・。第二次世界大戦中に「敵のスパイに警戒しろ」という警告の意味で作られた一種の国策映画だが、ヒッチコックお得意のサスペンス演出により娯楽映画として仕上げられているスパイもの。

評価★★★/65点

ヒッチコックサーカス団の演目が目まぐるしく繰り広げられ、まるで迷路のごとく先が読めないという点では面白味がある。しかし、その演出には間というものがなく少々粗い。

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疑惑の影(1943年・アメリカ・108分)NHK-BS

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:テレサ・ライト、ジョゼフ・コットン

 内容:カリフォルニアの小都市に住む少女チャーリーの家へ叔父が訪ねてくる。チャーリーは叔父を歓迎するが、続いて2人の捜査官がやって来て、叔父が連続殺人の容疑者だと言う。チャーリーは叔父を疑い始め、叔父もまた正体を知った彼女を殺そうと計画する・・・。

評価★★★/60点

ヒッチコックにしてはあまりにも手堅くまとまってしまった感があり、音楽だけが妙にウザったく聞こえてしまう。。

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ダイヤルMを廻せ!(1954年・アメリカ・105分)NHK-BS

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:レイ・ミランド、グレイス・ケリー、ロバート・カミングス、ジョン・ウィリアムズ

 内容:ロンドンのアパートに部屋を借りているトニーとマーゴの夫婦は、表面上はおしどり夫婦に見えたが、マーゴは不倫の恋に落ちており、それに対しトニーはひそかに友人に妻の殺害を依頼していた。ところが、マーゴを襲った男が彼女のとっさの抵抗を受けて逆に殺されてしまう。事件後、トニーはマーゴを罪に陥れ、彼女は死刑を宣告されてしまう・・・。

評価★★★★/80点

古畑任三郎のBGMを要所要所でかけたい気分。

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泥棒成金(1955年・アメリカ・106分)Video

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:ケイリー・グラント、グレイス・ケリー、シャルル・ヴァネル

 内容:高名な宝石泥棒ロビーは、今はリビエラで悠々自適の毎日を送っているが、最近、自分の名前を騙った怪盗が出没していることを知る。事件に巻き込まれ、警察に追われることとなったロビーは、友人たちの協力を得て逃げ延び、自ら怪盗の正体を暴こうと高価な宝石を所有しているアメリカ娘に近づくが・・・。ヒッチコックが軽妙洒脱な演出で描くコミカル・ラブ・サスペンス。

評価★★★★/75点

“本物のキャット・ウーマンはグレース・ケリーをおいて他にない!!”

宝石を身につけていようといまいと彼女から視線をそらすことができない。

「例え宝石が偽者であったとしても私は本物よ。」と言う彼女のセリフに僕は瞬殺されました。。

でも、爆烈猛スピードで車を運転している時の彼女の爽やかな顔にはちょっと引いたな・・・。

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ハリーの災難(1955年・アメリカ・99分)NHK-BS

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:ジョン・フォーサイス、シャーリー・マクレーン、エドマンド・グウェン

 内容:ヒッチコックが「殺人は喜劇である。」という主張を実証してみせた、死体をめぐるスリラー喜劇。バーモントの森の中にハリーという男の死体が転がっていた。元船長の老人と、ある中年女性、そしてハリーの妻にはそれぞれに身に覚えがある。彼らと、ハリーの妻に想いを寄せる青年画家を加えた4人は、それぞれの立場からハリーの死体を埋めたり掘っくり返したりしていくのだった。。。

評価★★★/60点

真面目な話、相当臭ってると思うんだよね、、あの死体。。

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間違えられた男(1957年・アメリカ・105分)NHK-BS

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:ヘンリー・フォンダ、ヴェラ・マイルズ、アンソニー・クエイル

 内容:妻の歯の治療代を工面するため保険会社を訪れた貧乏楽士のマニーが、過去に起きた強盗の犯人に間違われ、警察へ連行される。無実の証明は困難を極め、妻は絶望のあまり精神が錯乱し、公判もマニーに不利に展開していく・・・。ニューヨークで実際に起こった事件に基づくノンフィクションを原作とし、強盗犯に間違われ追いつめられていく男の姿を描き、セミ・ドキュメンタリー的な内容となっているヒッチコック作品としては異色のサスペンス。

評価★★/40点

「ヒッチコック映画は事実より奇なり!」は真だが、事実はヒッチコック映画より奇なり、とはならなかったな。これ観るかぎり。

ほとんど予想の範疇で話は進むし、ラストのオチもさして驚くにあたらず。運が悪かったとしかいいようがない、、、で終わっちゃったらダメなんだよなぁヒッチコック映画は。

ヘンリー・フォンダもあまりの適役ド真ん中でかえってダレるし。

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北北西に進路をとれ(1959年・アメリカ・137分)DVD

 監督:アルフレッド・ヒッチコック

 出演:ケイリー・グラント、エヴァ・マリー・セイント

 内容:キャプランという男と間違えられた広告代理業者のロジャーは、タウンゼントと称する男からある仕事に協力しろと脅迫され、国際スパイ事件に巻き込まれてしまう。そして殺人容疑までかけられてしまい・・・。

評価★★★★/80点

シンプルなプロットをテンポよくスリリングに、しかも無駄のない描き方で魅せる業師。

この血を受け継いだのはデ・パルマではない。スピルバーグだと確信した。

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Birds 出演:ロッド・テイラー、ティッピ・ヘドレン、スザンヌ・プレシェット、ジェシカ・タンディ

監督:アルフレッド・ヒッチコック

(1963年・アメリカ・120分)DVD

評価★★★/70点

内容:弁護士ブレナーを追ってサンフランシスコ郊外の漁村にやって来たメラニーは、ボートで彼の家に向かう途中、一羽のカモメに額をつつかれる。翌日、ブレナーの家の庭では妹の誕生パーティが開かれていたが、そこへカモメの大群が押し寄せ、子供たちに襲い掛かった。さらに次の日、カラスの大群が小学校に現れ、子供をかばった女教師が突き殺されてしまう・・・。

“基本的に鳥が人を襲うシーンは恐くはない。本当に恐いのは、人を襲う明確な理由がない鳥たちが群れをなして佇んでいるシーンただそれだけだ。”

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めまい

Mp297 出演:ジェームズ・スチュワート、キム・ノヴァク

監督:アルフレッド・ヒッチコック

(1958年・アメリカ・128分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:元刑事で高所恐怖症のスコッティが、友人から妻マデリーンの行動を調べるよう頼まれる。尾行の過程でスコッティとマデリーンの間には愛が芽生えるが、謎めいた彼女はめまいに襲われたスコッティの目前で塔から投身自殺を遂げてしまう。数日後、スコッティはマデリーンとそっくりの女性ジュディと出会う・・・。主人公の高所恐怖症とヒロインの一人二役をトリックに利用した犯罪が、絶妙な語り口で描かれる。多彩なテクニックと視覚効果を駆使した、ヒッチコックの代表作。

“ガキの頃に妄想していた「人妻」という響きには妖しく美しくそして気だるい女という幻影が憑きまとっていた。そしてオイラはマデリーンを見たとき、不覚にもア~~とめまいを覚えてしまったのです・・・。”

ちょっと変態ッ気入ってるよね、この映画って、、、え?オレ?はい。。

いや、ヒッチコックだよヒッチコック。彼は間違いなくその気がありますから。

でもありがとうヒッチコック、オイラの妄想をフィルムに焼き付けて現実化してくれて。

我ながら最低だな・・

2008年10月13日 (月)

夢のシネマパラダイス527番シアター:チャップリンを見ずして死ねるかっ!その2.

キッド(1921年・アメリカ・52分)NHK-BS

 監督・脚本:チャールズ・チャップリン

 出演:チャールズ・チャップリン、ジャッキー・クーガン、エドナ・パーヴィアンス

 内容:街の浮浪者チャーリーは、ある日、車の中に置き去りにされた捨て子を拾い、育てることになる。5年後、成長した子供はキッドと呼ばれ、チャーリーを助けながらインチキ商売に精を出していた。やがて、そんな2人の前にキッドを捨てた実の母親が現れる。。

評価★★★★/80点

最強名子役級タイトルマッチ。

赤コーナー、MGM所属~、そばかす顔の笑顔と泣き顔にかけては右に出る者なし~。“チャンプ”リッキー・シュローダー!!

青コーナー、チャップリンフィルム所属~、逃げ足ステップにかけては誰にも負けない可愛いイタズラ天使~。“キッド”ジャッキー・クーガン!!

、、、甲乙つけがたし。。

夢のシーンでチャップリンが飛翔するところのワイヤーアクションは必見です!凄い。

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チャップリンの独裁者

20040814 出演:チャールズ・チャップリン、ジャック・オーキー、ポーレット・ゴダード

監督・脚本:チャールズ・チャップリン

(1940年・アメリカ・126分)DVD

評価★★★★★/100点

内容:トメニア国にヒンケルの独裁政権がおこり、ユダヤ人を迫害すると同時にオスタリッチ国への侵攻を開始した。ところが、ユダヤ人でヒンケルに瓜二つの理容師が、迫害の手を逃れたところでヒンケルに間違われてしまい、狩りに出ていた本物は理容師に間違われて逮捕されてしまう・・・。ナチス・ドイツがポーランドへ侵攻した1939年に製作開始され、ヒトラーの独裁政権とユダヤ人迫害を弾劾しヒューマニズムを説いた作品。ちなみに当時、日独伊三国同盟を結んでいた日本では公開禁止で、1960年にやっとで公開された。また、チャップリンとヒトラーは、生年月日がたった4日違いだそうだ。

“本来はくっつくはずがないパントマイムと「ことば」を完璧に融合させてしまったチャップリン芸の最高峰ここに極まれり。”

「ことば」を使わず、「からだ」ひとつで自由にひとつの世界を形作り、身体の動きの面白さを突き詰めていくパントマイムが、「言葉」を使用し、「言葉」で説明していくということは、その自由を狭めて制限していくことを考えると本来は両立しないはずである。

しかしこのチャップリン初のオールトーキー作品の中でチャップリンは、表現したいこと伝えたいことを端的に伝えられる「ことば」とサイレント向きの演技動作を見事な創造力でひとつの表現として確立し、徹底的に映像化することに成功していると思う。

だからこそ映画的なテクニックを一切排除したラストの大演説シーンが極めつけに際立っているのだ。

頑なにトーキーを拒んでいたチャップリンが本来の型を崩してまで語らなければならないと考えた意味は限りなく重い。

そして、この映画がチャップリンのトレードマークである山高帽にチョビ髭、ダブダブズボンにステッキ姿の最後の作品となった。

チャップリンにとって映画というものが最強の武器になった瞬間である。

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ライムライト

Limelight 出演:チャールズ・チャップリン、クレア・ブルーム、バスター・キートン

監督・脚本:チャールズ・チャップリン

(1952年・アメリカ・137分)NHK-BS

評価★★★/65点

内容:第一次世界大戦前のロンドン、かつて一流とうたわれた芸人カルヴェロが、自殺を図ったバレリーナのテリーを助けた。老境に入り下り坂のカルヴェロは、彼女を舞台に復帰させ、自信を取り戻したテリーを見たあとに姿を消した。数ヵ月後、彼と再会したテリーは、彼のために大劇場の舞台を用意するが・・・。赤狩り弾圧を前にアメリカで製作した最後の作品で、チャップリン自身の心境がかなり投影されている物語となっている。バスター・キートンとの最初で最後の共演も見所のひとつ。

“年輪を刻んだチャップリンの内面から滲み出てくるような寂しさと物悲しさがバスター・キートンともども見ていてツライ。”

しかも笑えないのがもっとツライ・・・。

光と影の陰影の使い方、その残酷なコントラストが非常に印象的。カメラワーク等も含めて映画的なテクニックとしては文句の付けようがないのはたしかなのだが。。

まるでチャップリンがチャップリンを永遠に葬り去ってしまったかのような幕の引き方は、軽快なフットワークで飛び跳ねているチャップリンが大好きなオイラにはやはり重くツライのだ・・。

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チャップリンの移民(1917年・アメリカ・22分)NHK-BS

 監督・脚本:チャールズ・チャップリン

 出演:チャールズ・チャップリン、エドナ・パーヴィアンス

 内容:苦労してアメリカに渡ってくる移民の船旅と、ニューヨークに上陸してからのさらに苦しい暮らしぶりを笑いの中に描いた快作。この年、アメリカは移民の大量流入を抑えるために移民制限法を成立させており、そうした社会背景に対する批判精神もにじませた、チャップリンの後の作風につながる転機的作品。

評価★★★★★/100点

たった22分。たった22分なのにお腹いっぱいで大満足。

1分1秒1コマにチャップリンの髄液が満遍なく染み渡り、チャップリンの世界観が完璧な形で凝縮されている。

これを傑作と言わずして何という。

レストランで豆料理の豆を一粒一粒ナイフとフォークで食べる姿が何ともいえない可笑しさと雰囲気を醸し出していて最高です。放浪紳士チャップリンの十八番である食事シーンはいつ見ても楽しい。味はマズイんだろうけどね・・・(笑)。

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犬の生活(1918年・アメリカ・30分)NHK-BS

 監督・脚本:チャールズ・チャップリン

 出演:チャールズ・チャップリン、エドナ・パーヴィアンス、チャック・ライスナー

 内容:浮浪者チャーリーは、野良犬同士のケンカでボコボコにされている一匹の犬に自分を重ね合わせ、その犬を助け出し、奇妙な共同生活を始める。そんなある日、ダンス・バーで出会った歌手エドナの悲惨な状況に同情を覚えたチャーリーは・・・。

評価★★★★/80点

昔っからハリウッドの動物たちは千両役者だったんだなぁ。。

チャップリンのダブダブのえんび服の裾を咬んだままグルグル振り回されようとも決して食らいついて離れない犬とかね。完璧主義者のチャップリンのことだから、撮るの大変だったんだろうなぁ・・・。

そういう苦労が垣間見えるのがまたイイし、それがあるからこそますますもって抱腹絶倒ぶりに磨きがかかって輝きが増すというものなのだね。

2008年10月12日 (日)

夢のシネマパラダイス415番シアター:チャップリンを見ずして死ねるかっ!その1.

モダン・タイムス

1936_modern_times10 出演:チャールズ・チャップリン、ポーレット・ゴダード、チェスター・コンクリン

監督・脚本:チャールズ・チャップリン

(1936年・アメリカ・87分)DVD

評価★★★★★/100点

内容:機械文明にがんじがらめになった人間の姿を風刺した喜劇。トーキー嫌いのチャップリンが劇中で「ティティナ」を歌い、初めて声を聞かせた作品として知られる。大工場の工員チャーリーは、毎日毎日ベルトコンベヤーで流れてくる機械部品のネジを締め続けるうちに、とうとう手の動きが止まらなくなり、気がふれたと思われ病院に送られる。退院したチャーリーは工場をクビになり、町を歩いていたところを工員のデモ隊の首謀者と間違われて投獄されてしまう・・・。

“ここぞの逃げ足は人一倍のチャーリーと、裸足で縦横無尽に駆け回る少女のスーパーコンビならば、泥道だろうがイバラの道だろうがお構いなしに突き進んでいくだろう。”

ピストルから至近距離で発射される弾丸をよけまくる70年前のマトリックスだぜ、チャップリン!

シャブ入りの塩を大量に摂取してヘロヘロになりながらも目がガンガンにイッちゃってるチャップリン!

無銭飲食をしようとも山高帽を手に取ってお礼をすることは忘れない、れっきとした紳士チャップリン!

そんな貧乏だけど心の中は果てしなく豊かな放浪紳士チャップリンがやはり何といっても大好きなのです!

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黄金狂時代

20070201032858 出演:チャールズ・チャップリン、ジョージア・へール、マック・スウェイン

監督・脚本:チャールズ・チャップリン

(1925年・アメリカ・72分)DVD

評価★★★★/80点

内容:喜劇王チャップリンの初の長編映画。ゴールドラッシュに沸くアラスカを舞台に、一攫千金を夢見て訪れた放浪者チャーリーの恋と冒険を描く。吹雪で山小屋に閉じ込められたチャーリーが、ドタ靴を煮て食べるシーンは映画史に残る名場面で、全編にわたってウィットに富んだ抱腹絶倒のシークエンスが展開されていく。

“人間のありとあらゆる欲望がすべて入っている文字通りの「狂」映画。そしてオイラは今日もチャップリンに酔狂。”

靴を食べるシーンのチャップリンの目が1番狂ってたかも。

たしかチャップリンの母親ってチャップリンが小さい頃、あまりの困窮生活に本当に精神が狂ってしまい精神病院に入院してたことがあったそうだ。もしかして靴食べたのって本当にあった話なのかも。。。

そういう悲惨な体験を笑いに昇華させてしまう凄さよ。

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街の灯

Mati1 出演:チャールズ・チャップリン、ヴァージニア・チェリル、フローレンス・リー

監督・脚本・音楽:チャールズ・チャップリン

(1931年・アメリカ・86分)DVD

内容:街の放浪者がふとしたことから盲目の花売り娘と知り合った。娘は彼を大金持ちだと勘違いし、彼女に心惹かれた放浪者は働いて金を稼ぎ、彼女から花を買ったり、彼女の家を紳士らしく訪問したりする。彼女の目を治す手術には大金が必要で、賞金目当てにボクシング試合に飛び入り参加するが、あっけなく叩きのめされてしまう。そんなある日、彼は酔っ払って自殺しようとしていた億万長者の男と仲良くなり・・・。

評価★★★★★/100点

打ち上げ花火をドッカンドッカン打ち上げつづけてお腹いっぱいになったラストで、線香花火でしっかりと余韻を残してくれるところはさすが花火師チャップリン。心の中にまで灯をともしてくれるんですなぁ。

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チャップリンの殺人狂時代

Satsujin 出演:チャールズ・チャップリン、マーサ・レイ、マリリン・ナッシュ、イザベル・エルソム

監督・脚本・音楽:チャールズ・チャップリン

(1947年・アメリカ・124分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

内容:不況のため職場をクビになったヴェルドウ氏は、妻子を養うため、金持ちの中年女性を口説いては金を巻き上げ殺すという“商売”を始める。やがて逮捕された彼は法廷で、少数の殺人が裁かれる一方、大量の殺人は賛美される矛盾を訴える・・・。チャップリンがオーソン・ウェルズの原案により、「チャップリンの独裁者」以来7年ぶりで製作、戦争による大量殺人を痛烈に批判し抗議したブラックユーモア満載の風刺劇。チャップリンは山高帽にチョビひげ、ドタ靴、ステッキといった往年のスタイルを捨てて主演した。

“チャップリンの言ってることが100%詭弁に聞こえる時代がいつかやって来るのだろうか・・・”

「1人殺せば犯罪だが、戦争で何百万人も殺せば英雄だ。」「大量殺人なら世界中がやっている。」

いくら理不尽で冷たくて醜い世の中だろうが1つの殺人も大量殺人も許されるものではないし、数の多さで罪の重さが決まるわけでもないことは誰しもが分かっていることなのだろうけど、、、現実では世界の国々で武器の輸出入がフツーに行われ、国をあげて兵器をせっせと作り、一国の大統領がある日ボタンを押せば何百万どころではない人間を殺すことができるようなシステムが確立してしまっている。

いつの世も、偉大な殺人狂が歴史を動かす・・・。合掌。

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