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2012年4月16日 (月)

夢のシネマパラダイス44番シアター:はたして戦場は娯楽たりえるのか!?

ハート・ロッカー

O0800112410516331041 出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース

監督:キャスリン・ビグロー

(2008年・アメリカ・131分)WOWOW

評価★★★/60点

内容:2004年夏、イラク・バグダッド郊外。アメリカ陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班。任務明けまで残り38日。が、新たにリーダーとして赴任してきたジェームズ二等兵の慎重とは真逆の無謀ともいえる爆弾処理のやり方にチームを組む周りの隊員は不安を感じていくのだった・・・。アカデミー作品賞、監督賞など6部門で受賞。

“映画は麻薬のようなものである”

この映画を見る前も見た後も思うこと。

「アバター」の方がアカデミー賞獲ってしかるべきだった!!

イマジネーションとテクノロジーの豊穣な結びつきによる誰も見たことのない世界と、リアリズムとテクノロジーの不条理な結びつきによる誰も見たことのない世界。

シネマ中毒のオイラはやっぱり前者を支持してしまうのであるけれども、リアリズム=肉体とテクノロジー=爆弾の緊迫した対峙はたしかに見応えはあるし、その最たるものとして身体の中に爆弾を埋め込まれた人間爆弾という不条理でおぞましい現実には目を覆いたくなってしまう。

またリアリズム=手持ちカメラとテクノロジー=映像技術として捉えるならば、情緒を廃した客観性を主体とする中で不条理で虚無的な戦場の真実を浮かび上がらせることには成功している。

しかし、、だ。

あまりにもドライなこの映画のタッチは、その代償としてドラマまでをも廃棄してしまった感が否めず、感情移入すら入り込むことを許してくれない。

まるで黒ヒゲ危機一発ゲームを傍から見ているかのようで、しかもこのゲームに自分は参加していないのだという安心感が自分の心情を空疎にさせる。そして後半、差し込み穴の数が少なくなっていくうちに恐怖がジワジワと襲ってくるのだけども、エピソードの単調な羅列がそれを相殺していく・・・。

戦争ジャンキーとなったジェームズの姿が「ディア・ハンター」(1978)でロシアンルーレット漬けになるクリストファー・ウォーケンとダブって見えたけど、そこらへんもっと掘り下げてほしかったし、正直これだったら最初っからドキュメンタリーで撮ればよかったのにと思ってしまった・・・。

短絡的だとか露悪的と揶揄されようが、自分は安直なドラマ、もっとカッコ良くいえば自分のエモーショナルな部分を揺さぶるようなドラマをこそ見たい。

「アバター」には、それがあった。

P.S. クソイラクともやっとでオサラバだ!とエルドリッジがヘリで去るシーンがあったけど、同じようなシーンを「プラトーン」とかのベトナム映画でも見た気が。同じことをイヤというほど繰り返すんだアメリカって国は。。

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グリーン・ゾーン

Greenzone 出演:マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、エイミー・ライアン、ジェイソン・アイザックス

監督:ポール・グリーングラス

(2010年・米/仏/西/英・114分)WOWOW

内容:大量破壊兵器を保有しているとしてイラクに侵攻したアメリカ軍。バグダッド陥落から1ヶ月。ロイ・ミラー准尉率いる部隊は、大量破壊兵器の発見という極秘任務に就いていたが、その痕跡すら掴めずにいた。次第に、情報源への疑いを強めていくミラーだったが・・・。

評価★★★★/75点

イラクに大量破壊兵器はあったのか!?探しても探しても大量破壊兵器が見つからないのはなぜか!?

この大量破壊兵器をマクガフィンとして繰り広げられるアクションムービーの体をなしている今回の作品。

ジェイソン・ボーンシリーズを舞台をイラクに移植したような娯楽作でありながら、イラクの悲惨な状況下を社会派感覚織り交ぜて描き出した手腕はかなりのもので、そのスピーディな展開は2時間では足りないほど濃密。

事実を隠蔽してまで開戦に突っ走る国防総省(パウンドストーン)、ネオコン=国防総省と対立するCIA(マーティン・ブラウン)、政府のプロパガンダ機関になり下がるメディア(ローリー・デイン)、さらにそこに真相を握るイラク側のキーマン(アル・ラーウィ)、イラクの一市民(フレディ)を配置し、その中をスター気取りの自由人(ロイ・ミラー)が縦横無尽に駆け回ることでイラク戦争の背景を暴き出していく。

非常に単純化された構図ともいえるけど、あくまでアクションエンタメに舵を取ったスタンスの中でのバランス感覚は秀逸だ。

加えて、ポール・グリーングラスのスタイリッシュな映像もリアリティがあって抜群に良い。

即物的で人に興味のない、すなわちエモーショナルな部分に乏しい「ハート・ロッカー」よりも国家にノーを突きつけるあからさまなヒロイックを描くこっちの方が自分は好きだ。

おそらくそこには欺瞞であるとかプロパガンダであるといった揶揄がつきまとうのであろうけれども、人間対人間のむき出しのバトル(感情面であれ身体面であれ)こそ映画の真髄だと思うし、それをこそ見たい者にとっては、イラク戦争という関心事を舞台に強引にエンタメにまとめきったポール・グリーングラスの手腕をオイラは買いたい。

しっかし、戦争ていうのはいかに茶番劇かってことだよねcoldsweats02。こんなので数万人が無駄死にするなんて報われないよ・・・。

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プライベート・ライアン

P009 出演:トム・ハンクス、トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、マット・デイモン

監督:スティーブン・スピルバーグ

(1998年・アメリカ・169分)仙台第1東宝

評価★★★★★/90点

内容:1944年、米英連合軍によるノルマンディー上陸作戦は多数の死傷者を出しながらもなんとか成功を収める。そんな中、戦渦を切り抜けたミラー大尉は、軍首脳から「ライアン2等兵を捜し出し、故郷の母親のもとへ帰国させよ」との命令を受ける。ミラーは部下を指揮して、落下傘の誤降下で行方が知れなくなったライアンを捜しに、敵地の前線へと向かうのだった。

“映画を観終わって、映画館を一歩出たときの眼前に広がる高層ビル群を前にして一瞬立ちすくんだ。あの息が詰まるようなクソ世界から、隔絶された現実世界へいきなり舞い戻ったための一種の時差ボケのような感覚だったのかもしれない。あの時の一瞬の眩暈と何ともいえない気持ちは一生忘れることはないだろう。”

それほどまでに映画の世界に入り込んでいた。

というよりは強引に入り込まされていたといえる。

冒頭30分については既に言い尽くされているが、あの揚陸艇のハッチが開けられた瞬間に自分も首根っこ引っつかまれて海中に引きずり込まれるように、突如として映画の中に入り込まざるを得なかったのだ。

なんともあざとい手法にまんまと引っかかってしまったものだ。

スピルバーグの手法のパターンについては熟知していたものを、予想を超える強烈なアッパーカットを喰らってしまった。

しかし、あの強烈な衝撃波こそ映画のリアリティそして戦争というリアリティなのかもしれない。

同年に公開され、今作と好対照をなす「シン・レッド・ライン」と合わせて、まさに20世紀、戦争の世紀を締めくくるのに相応しい映画だったとオイラは思う。

そして21世紀、戦争映画の世界標準となったことは疑う余地がない。(他ジャンルの映画にまで良くも悪くも影響を与えてしまったが・・・。)

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ブラックホーク・ダウン

Black 出演:ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア、エリック・バナ

監督:リドリー・スコット

(2001年・アメリカ・145分)MOVIX仙台

評価★★☆/45点

内容:1993年、内戦が続くソマリアの秩序を維持するために、米軍は武装勢力アイディード派の幹部捕獲作戦を敢行。作戦は1時間で完了するはずだったが、戦闘ヘリ“ブラックホーク”が民兵によって撃墜され、戦いは泥沼に陥ってしまう・・・。

“「どんな気分だ?」「何も感じない。」まったくだ。NHKのニュースよりヒドイよこれじゃ。”

ラストの方で兵士がのたまう通り、自分も何も感じなかったから、まあしゃあないわな。

人物の掘り下げを敢えてすることもなく、ゆえに名前と顔も一致しないから観る側に感情の付け入る隙を与えず、淡々と戦闘を描き、淡々と死を描く。死は単なる客観的事実でしかない。

そのわりにBGMがうぜーのうぜーの。BGMのコンセプトだけでも小一時間問い詰めたい気分。

観客に委ねるといっておきながら十分わけの分からんウザイ主観が入っとるやんけ。

おかげでますます映画との距離を感じてしまったのだった。

まじめな話、自分でもなんでだろう?と思うくらい冷めて観てる自分がいて、ちょっと自分自身に引いてしまったり・・・。どっか麻痺しちゃってるのかなあって。

でも、スゴイ気になるシーンがあって。

シーンというかヤツなんだけど、統合作戦本部のサム・シェパードの作戦指示を上空を旋回するヘリから伝えるあの奴らの無機質な顔、顔、顔。何なんだこののっぺりとした顔は・・・。たしか1人はハレル中佐とかいってたな。

ただ任務を遂行するだけってかんじで、上空から成り行きをただ見てるだけという。

あの地上との距離感ていうのがスゴイ引っかかったわけで。

そしてふと思ったこと。

あっ、これってTVのブラウン管を通してニュースを見ている時の自分の表情だったりして、、、と。

いや、さらにいえば、作り手側の顔こそあんな表情だったんじゃなかろうか。

だからこの距離感というのは、まさに映画の作り手側の意図するところであり、作り手側と映画自体との距離感でもあるのではないかとあのシーンで確信した。

ようするに虚構という世界を作り出している肝心の作り手側が最初からほっぽり出してるだけじゃんと。

そこに意味を見出せと言われても無理があるのではなかろうか。

最初から逃げるんだったら作るんじゃねーよと思わざるを得ないし、最もたちの悪い中途半端な映画としか言いようがない。

こういうのは事実を客観的にしか伝えることのできないNHKのニュースとか新聞で見たりするので十分だ。

何年か前ピュリツァー賞写真展が開催されて足を運んだことがあるのだが、ちょうどこの映画で描かれていた出来事を撮った写真が1993年だったかのピュリツァー賞を受賞していた。死んでいる米兵の遺体が裸にされて群衆に引きずり回されている写真だった。

たった数枚の写真だけで、2時間半という無駄な時間を割いてしまうこの映画を凌駕してしまう真実がそこにはあった。

それで十分なのだ。

様々なメディアや媒体ツールを通して考えなければならない問題ではあるが、なにも映画がノンフィクションと同じ土俵に立ってそのマネ、模倣をしたって何の意味もないと思う。

どう頑張ったって虚構にしかすぎないのだから。

だから、映画には作り手の主観が入って当然だと思うし、何も逃げることはない。英雄に描きたかったら描けばいいじゃんってだけのこと。あるいは批判的に描きたかったら描けばいいじゃんってだけのこと。

そしてノンフィクションとはまた違ったより多角的な視点から物事を考えたり捉えたりすることができるのではないかな、と。

それでいいと思うんだよね映画って。映画というのはそういう一歩踏み込んだ自由な表現の媒体であるべきだと思うから。そこに怖くて踏み込めないというのは映画としてどうなんだろうと、オイラは思ってしまう。

しかし、この映画にはそれを強く感じてしまった。。

この映画にはもっとわがままに描いてもらいたかったけど、わずか10年かそこら前の話を描くにはまだ時期尚早だったということか・・・。

まだ総括されていない話題だから仕方ないのか、、、いや、それじゃ済まされないぞこの映画は。。

(*)ソマリア内戦について

一応2000年には国連の監視の下に暫定政権が樹立されはしたが、いまだに中央政権は確立されておらず、文字通りの無政府状態と言ってよい状態が続いている。2006年あたりからは隣国エチオピア軍をも巻き込んだ紛争が活発化し、つい先日にはアメリカ軍がアルカイダ掃討と銘打って空爆を行った。

個人的にはいわゆるソマリア内戦に関していえば、第三者が介入しなくてはならない、そうじゃないと解決しない問題だったと思う。たとえそれがアメリカであろうとも。

ソマリアにも十分すぎるほどの非はあることを忘れてはならない。特に問題の解決手段を武器と殺戮にしか求めないやり方には。

もちろんその武器を与えてやったのは冷戦時代のアメリカ、そして旧ソ連だったわけだけど・・・。しかも解決手段を同じ武器でもって介入するというアメリカのやり方もいかがなものか。難しい問題です。

19世紀のアフリカ全土にわたる植民地化時代、列強諸国のいいように民族が分断され、国境線が引かれ(話によると地図上に定規で線を引いて国境線が決められたという)、そのいいかげんなツケが今アフリカで多発する紛争という悲劇に結びついているのは言うまでもない。

そのツケから顔をそらして無関心を装う西欧諸国にも問題ありありなのだ。

しかるにこの映画はそんなこと1つも・・・。映画までもが顔をそらしてどないすんねん。一歩間違えるとただのアクション映画だぞ。

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遠すぎた橋(1977年・イギリス・175分)NHK-BS

 監督:リチャード・アッテンボロー

 出演:ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、ジェームズ・カーン

 内容:第二次世界大戦のノルマンディ上陸作戦から3ヵ月後の1944年9月、連合軍が企てた史上空前の空陸共同作戦、マーケットガーデン作戦が失敗に終わるまでを豪華スター共演で見せる戦争スペクタクル。

評価★★★/60点

いよいよダラけてきた頃に、最後の切り札レッドフォード登板というなんとも贅沢な使い方。

しかし、その効果もなくダラけたまま終了。。

ドイツ軍側からも描写するという斬新な試みをしているが、大風呂敷広げすぎて、戦争と人間の愚かさ、残酷さを描くには程遠いシロモノとなってしまった。

でも、壮大なスペクタクルとして見た場合、落下傘部隊の降下シーンなど見るべき価値はある、、かな。

2011年10月 2日 (日)

夢のシネマパラダイス238番シアター:家族、絆の物語

おとうと

Original 出演:吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮、小林稔侍、加藤治子

監督:山田洋次

(2009年・松竹・126分)WOWOW

内容:東京で薬局を営む吟子(吉永小百合)は、夫を早くに亡くし、女手ひとつで一人娘の小春(蒼井優)を育て上げた。その小春も医者との結婚が決まる。ところが、式当日、放蕩を重ね音信不通だった吟子の弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)が現れ、披露宴をメチャクチャにしてしまう・・・。

評価★★★☆/70点

田舎の農家出のオカンが子供の頃というから昭和30年代ごろだろうか、毎年田植えや稲刈りの時期になると親戚の叔父ちゃんがひょっこり現れて、農作業を手伝いながら1ヶ月くらい泊まると、またひょっこり姿を消してしまうんだそうな。

あの叔父ちゃんは普段どういう暮らしをしてその後どういう人生を歩んだんだろうと言ってたけど、そういう風来坊を受け入れる昭和の家族像というのはたしかにあったんだろうと思う。

まぁ、農家の繁忙期で人手がいるってことだったり、大家族で1人増えたくらいどうってことないとかあるとは思うんだけども。

そういえば近くの銀山から逃げ出した朝鮮人を1年くらいかくまったことがあるってのも聞いたことがあったけど、それはともかく、しかし平成の無縁社会においてはそういう昭和の価値観はもはやなく、風来坊は迷惑な存在でしかない。“寅さん”は完全にファンタジーになってしまったのだ・・。

そんな家族形態、家族像が変わった中で、風来坊をつまはじきにする家族に例え同情することはあっても糾弾することはできないだろう。今はそんな世の中なのだ。

世知辛い世の中といえばそうなのだろうけど、昭和53年生まれのオイラでも昭和の価値観というのは実際問題ファンタジーになってしまっているわけで、核家族社会どころか非正規夫婦家族社会にシフトしていかなきゃ家族すら持てないヨcryingていうかんじなわけだから・・。

他者への寛容という大らかな価値観が心の片隅に追いやられてしまった現実の暮らしの中で“無縁社会”“孤独死”といったものがクローズアップされてきたシビアな現代社会。

その点でこの映画を見ると、これは完全に寅さんの山田洋次なりの終わらせ方、ケジメのつけ方と見てとれる。平成の世においてどこかでノタレ死にする以外なかったであろう寅さんの幕引きに他ならないのだ。

例えば吟子の薬局がある街は地域コミュニティがまだ存在しているし、吟子と小春の自立した対等な関係など、それこそNHKの朝ドラ的なつくりになっていて、そこにはまだかろうじて“寅さん”を受け入れる素地があるように見える。

そこはさすが市井の人を描くことにかけては天下一品の山田洋次だけのことはあり、演出にはソツがなく安心して見ていられる。

しかしこの映画のキモは、“寅さん”の最期を受け入れた民間ホスピスにあるといっていいのではなかろうか。

前述したシビアな現代社会において、家族でもなければ血もつながっていない人々が最期を看取ってくれる場が存在するというのは、それだけで1本まともな映画が撮れてしまうだけのテーマを内包していて、ていうかそっちの方が見たいって思ったんだけどw

でも、なんか久方ぶりに映画でホームドラマといえるものを見た気がする。それはそれで良しとしよう。

あとはなんといっても鶴瓶に触れないわけにはいくまい。

鶴瓶とゲストがぶっつけ本番&台本なしのスリリングな即興ドラマを演じるバラエティ番組スジナシを好きで見てるんだけど、200回を超える長寿番組を支えているだけのたしかな技量というのはスゴイものがあり、何を演っても収まるところに収まってしまう実存感は稀有なものがあると思う。

末期ガンの死に際とは思えない体型とつやの良さは気になったけどw、それもそれで良しとしよう。

山田洋次のこの後、よりも鶴瓶の役者としてのこの後が楽しみで仕方がない。そんな作品ですた。。

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母べえ

Kaabee000  出演:吉永小百合、浅野忠信、檀れい、志田未来、戸田恵子、大滝秀治、笑福亭鶴瓶、坂東三津五郎

監督・脚本:山田洋次

(2007年・松竹・132分)盛岡フォーラム

内容:昭和15年の東京。野上佳代(吉永小百合)は、文学者の夫・滋(坂東三津五郎)と2人の娘・初子(志田未来)と照美(佐藤未来)とともに、つましいながらも幸せな毎日を送っていた。しかし、ある日、反戦を唱える滋が治安維持法に引っかかり逮捕されてしまう。そんな中、滋のかつての教え子・山崎(浅野忠信)や滋の妹・久子(檀れい)、拝金主義にどっぷり浸かっている型破りな叔父・仙吉(笑福亭鶴瓶)らが一家のもとに駆けつけ、佳代たちを支えていくのだった。。

評価★★★★/75点

家族を描かせたら右に出る者のいない山田洋次。12貫足らずの痛々しい身体、ひび割れた瀬戸物のような身体で歯をくいしばって働く母親を描かせたら右に出る者のいない山田洋次の真骨頂が存分に発揮された佳品。

戦争反対の信念を貫き、思想犯として治安維持法違反でしょっぴかれた父べえ・滋の不在の中、野上家をひしと支え続ける母べえ・佳代の姿と家族の絆が描かれていくこの映画。

ドラマティックさを排除したようなありふれた日常を丹念に紡いでいくことで、かえって非日常的な世の中の空気―不合理なことに無神経にならなければ生きていけない銃後の世の中―というものがよく伝わってくる演出の妙はさすがで、例えば野上家によくしてくれる近所の炭屋のおじさんも、息子を兵隊にとられる不安を抱きつつ鬼畜米英を当然のように唱え、最終的にはドイツと日本が戦争して日本が世界を制覇するんだということをマジメに語ったりする。

また、母べえにしても、夫の反戦思想は間違っていないと元警察署長の父親には言うものの、代用教員として就いている小学校の教室では皇軍の勝利を祈ってくださいとしか言いようがない。

街頭では、婦人会の女性が道行く人々にぜいたくは敵だ!と呼びかけ、それに対しぜいたくは素敵じゃ!と言う仙吉叔父さんを非国民呼ばわりするのは戦前の皇民化教育の薫陶を最も受けた子供たち、、、。町内会の隣組も、しかし皆が右向け右!と一致迎合せざるを得ないような監視的な役割を担っている。

こういうホントのことを言えない世の中の空気というものを、決して声高に強調するわけではなく、日常の中にひっそりと、しかし確実に浸み込んでいるものとして描き出しているのはスゴイの一言だ。

また、和やかな風景から焼け野原に移ろっていく家の玄関から見た路地の風景も印象的で、まさに完璧ともいえる演出。

今、銃後をこんなにしっかりと描ける監督さんっていないだろうな。

戦争というのはすみやかにおっ始まるのではなく、国が一斉にそっちの方向を向いていく中で行われるものだと思うのだけど、そういう意味ではその下地として国民の総意が不気味に形成され誘導されていく流れというのはホントに怖いなと感じたし、母べえが言うところの「弱虫でぶきっちょで泳げもしない意気地のない」優しくて善良な市民に死ぬ覚悟をさせる国家の責任というのはホントに重く大きいのだということを実感できた気がする。

素晴らしい映画です。

、、、が、ここであえて難点を言わさせてもらえば、浅野忠信が実年齢で30歳近く離れている吉永小百合に恋慕を寄せるというのは、ちょっとムリがあるというか(笑)。。

それを描くんだったら、母べえ役はもうちょっと若手にしてもよかったんでないかいと思っちゃったな。

例えば、竹下景子、大竹しのぶ、黒木瞳だとか、もう1世代下げて沢口靖子とか宮沢りえ、松嶋菜々子あたりの方が自然のような、、、ねぇ。

まぁそれ考えたら映画の根幹に関わる大問題だと思うのだけども、60代になっても30代の妻を演じられる吉永小百合の“日本の母”ぶりもまたこれはこれで良かったのかもしれない。

そしてなにより御年77歳ながら精力的に映画を撮りつづける山田洋次には、“日本のジョン・フォード”としてまだまだ頑張っていって欲しいなという思いを強くしたのでありました。

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家族(1970年・松竹・107分)WOWOW

 監督・脚本:山田洋次

 出演:井川比佐志、倍賞千恵子、笠智衆、前田吟

 内容:桜の咲く長崎の島を旅立った労働者一家が、北海道の東端・根釧原野の開拓地にたどり着くまでを、ドラマ性を排除したシナリオとドキュメンタリーのようなカメラワークで綴った異色のロードムービー。2人の幼児を抱えた労働者夫婦は、祖父を連れて5人で長崎の小さな島を後にした。大阪に着いた一家は雑踏にとまどい、大阪万博会場の入口につめかけた群衆を見て茫然とする。さらに北へ向かった彼らは、途中で急死した子供の遺骨を抱えて北海道へ渡るのだった・・・。

評価★★★★/80点

“日本のジョン・フォード=山田洋次”

浦沢直樹の「20世紀少年」にハマっていたオイラにとっては、この漫画のカギを握っているといってもいい1970年―主人公ケンヂが秘密基地を作った少年時代と大阪万博―の日本列島の風土と街並みを、北から南まで満遍なく見られたのはかなりタメになって有意義だった。

特に話でしか聞いたことがない大阪万博を正面入口だけとはいえ見られたのはよかった。

あの雑踏の中で、オッチョやヨシツネが日射病にかかってぶっ倒れながら並んでたんだなぁと思うと感慨深くなっちゃったけど、一方では、あの雑踏の中でエスカレーターにたじろいで上手く乗れない笠智衆のような爺ちゃんもいたんだろうw

しかし、笠智衆はイイねぇ。ビールを美味そうに飲むところや、歌を口ずさむところだとか、一挙手一投足に思わず泣きそうになっちゃったわな。

また、九州弁でまくし立てる倍賞千恵子は堂に入ってたし、その倍賞千恵子と前田吟が義姉弟の関係というのはなんか違和感あったけど、「男はつらいよ」シリーズの面々がかなり正反対ぽい役柄で出てきたのは面白かった。

でも、わずか1週間足らずで赤ん坊と祖父を失うなんて、、、かなり唖然とする展開だったけど、高度経済成長と産業転換の真っ只中にあって、そこから置き去りにされた人々が大多数いたであろうことは想像にかたくなく、彼らを丁寧に見つめた山田洋次の視点は、経済成長の豊かさの代償として家族のあり方というものをポロポロと落とし喪失してきた今の時代だからこそ見直すべき視点なのかもしれない。

長崎から北海道へ命を削りながら縦断した家族の絶望と希望を、後世に残しておくべき映像とともに刻みつけたロードムービーの傑作といえよう。

「幸福の黄色いハンカチ」(1977)といい、「男はつらいよ」といい、旅と労働者と街を描かせたら山田洋次の右に出る者はおらへんな。

貴重な本当の日本の姿をこれからも描いていってほしいです。

余談、、、

北海道にたどり着いて酪農を営むことになったこの一家の物語が、今度は「遥かなる山の呼び声」(1980)に続いていくのだと考えるとまた感慨もひとしおだなぁ。

ということは、井川比佐志は亡くなっちゃって、そこに高倉健がやって来るっちゅうわけか。

人生いろいろやな(笑)。

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まぼろしの邪馬台国(2008年・東映・118分)CS

 監督:堤幸彦

 出演:吉永小百合、竹中直人、窪塚洋介、風間トオル、平田満

 内容:昭和31年、NHKアナだった和子(吉永小百合)は、島原鉄道の社長で郷土史家の宮崎康平(竹中直人)と出会う。そして、全盲でありながら超ワンマンな宮崎が新たに始めた観光バス事業のバスガイド指南役として雇われることに。しかし、宮崎は邪馬台国を探し出すことに熱中し始め、社長罷免もなんのその、妻となった和子とともに九州行脚の旅に出るのだった。。

評価★★☆/50点

“大女優・吉永小百合だけはまぼろしではなかったというオチ”

短気でワンマン、がさつで豪放、謙譲という精神を知らない尊大オヤジ、宮崎康平には共感する所がほとんどなく、映画だけ見ると単なる奇人変人としか見れない。

例えば、邪馬台国に対する純粋な憧れというようなエモーショナルな部分をもっと引き出してくれればこっちの理解もちょっとは進んだと思うし、同様に和子がいかようにして宮崎に寄り添おうとするまでの想いに至ったのかをもっと分かりやすく描いてくれればよかったと思うんだけど、ちょっと全体的に中途半端だったなと。

しかし、それをしても吉永小百合ひとりのオーラでまがりなりにも最後まで見られる形になっているのはスゴイの一言で、大女優の深みというものを堪能できる一品であることはたしかだ。

まぁ、卑弥呼に化けるのはやりすぎだったけどね(笑)。。

あと、卑弥呼の“卑”が干潟の“干”というのはちょっと賛同しかねるな。

やっぱフツーに“日”の巫女と考えるのが自然で、もっと突っ込んで言えば卑弥呼=日巫女=天照大神(アマテラスオオミカミ)だと思うんだけど。ちなみに場所は、昔は畿内にあるんじゃないかなと思ってたけど、最近では大分の宇佐ではないかと本とか読んで思ってる次第でッス。

、、それにしても、セリーヌ・ディオンはないんじゃないかなcoldsweats02。。だって邪馬台国だよw

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愛を乞うひと(1998年・東宝・135分)NHK-BS

 監督:平山秀幸

 出演:原田美枝子、野波麻帆、小日向文世、熊谷真実、國村隼、中井貴一

 内容:東京で高校生の娘と暮らす照恵(原田美枝子)はある日、弟と数十年ぶりに再会する。その時、心の奥に封印してきた壮絶な過去の記憶が甦ってくる。この出来事をきっかけに照恵は、幼い頃死に別れた父親の遺骨を探すため娘と一緒に父の故郷台湾へ渡るのだが・・・。

評価★★★★/75点

今まで目にした鬼母といえば「鬼畜」(1977)の岩下志麻を真っ先に思い浮かべてしまうが、今回の豊子(原田美枝子)もかなりのインパクトがある鬼母だった。

しかも今回は虐待の動機付けが説明不足でかなり曖昧で、理解の範疇を超えた凄惨さにはただただ呆然とするばかり。

愛し方も愛され方も知らない女性豊子の過去と人間像に興味をそそられつつも、照恵と深草(野波麻帆)の母娘関係にその暴力が遺伝することなく強い信頼関係で結ばれていたのが唯一の救いだった。

しかし、理容店で豊子と照恵が再会する緊張感漂うシーンで照恵が何かを言いかけた時にマギー司郎がヒョコッと入ってきて、へっ!?と弛緩してしまったのだけど、ここでオッサンが入ってこなかったらどうなっていたんだろう・・。罵り合い?髪の引っ掴みあい?それも見たかった気がするけどw

まぁ、自分に子供ができたら、おもいっきり愛してやるけどねheart04

2011年9月28日 (水)

夢のシネマパラダイス207番シアター:震える魂、男の使命!

沈まぬ太陽

O0668096310289902547 出演:渡辺謙、三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、香川照之、柏原崇、戸田恵梨香、草笛光子

監督:若松節郎

(2009年・東宝・202分)WOWOW

内容:1962年。国民航空の労働組合委員長を務めていた恩地(渡辺謙)に対し、経営側は10年近い海外僻地勤務というあからさまな懲罰人事を強いる。一方、恩地の片腕として共に闘っていた同期の行天(三浦友和)は、重要ポストと引き換えに会社側へ取り込まれてしまう。時は流れ1985年、500人以上もの死者を出すジャンボ機墜落事故が起こり・・・。

評価★★★★/80点

3時間を超える超大作を見るというのはかなりの覚悟が必要で、ハズレだと食べても食べても減らない不味いラーメンのごとく無間地獄を味わってしまうリスクがつきまとう。

しかし、それ以上に素晴らしい映画体験を味わわせてくれる確率もかなり高く、映画の醍醐味がつまったこのパンドラの箱を開けるのは実は好きで好きでたまらなかったりする。

「ベン・ハー」「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」「タイタニック」、、etc..自分にとってパンドラの箱がかけがえのない宝石箱になった例は数多く、そのどれもが自分の記憶に強烈に刻みつけられている。

それはやはり長尺ゆえのスケールの大きさとドラマの奥行きの深さによって登場人物の人生を追体験したような感覚を味わえるからだろう。

その意味でいえば今回の映画も自分の記憶にしっかと刻み込まれた映画になった。

公開初日の舞台あいさつで渡辺謙が号泣していたのが印象的だったけど、なるほど映画のすみずみから作り手の映画にかける熱意、ヤル気、魂のほとばしりがギュンギュン感じられて非常に見応えがあった。

見終わった後に、なんか一冊の小説を読み終えたような心地良い疲労感を覚えて、映画見たゾーッていう気になったw

また、仕事を2回変えている自分にとって、ひとつの会社に骨を埋めるのが当然とばかりに仕事に人生を捧げる恩地の姿はギラギラと輝く太陽のように見えて眩しかった。

それは恩地と対になっている行天も同じで、ああこれが昭和を支えたニッポンのサラリーマン、お父さんたちの生き様だったんだなと、今の自分には持ちえない男の矜持というものを感じ取ることができて、なんだか見ていてすごいカッコ良かったし憧れてしまった。

まぁ、、とはいえ、オイラはもはやこういう仕事人間にはなりようもないけど、もうちょっと人生頑張ってみようという気にはさせられたな。

もうちょっと恩地の思想的バックボーンを掘り下げてくれたら満点入れてもよかったかも。。

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クライマーズ・ハイ

Climbershigh_1_1b 出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努、西田尚美、小澤征悦

監督:原田眞人

(2008年・東映・145分)CS

内容:1985年8月12日。乗員乗客524名を乗せた羽田発大阪行き日航機123便が墜落する。現場となった群馬県の地元有力紙・北関東新聞の編集局は騒然となるが、一匹狼として動いていた遊軍記者・悠木(堤真一)が全権デスクを命じられ、怒涛の1週間が幕を開けた・・・。

評価★★★☆/70点

今の日本映画界にあってクセのある濃密な社会派群像劇を描くことのできる数少ない映画監督だと思う原田眞人の作品は、観る側にとっては吹きこぼれてくるアクの強さを自力ですくい取らなければならない度量の大きさと忍耐力が必要で、途中でそれに挫折しようものなら一気に置いてけぼりをくらってしまう小難しさを持っている。

なのだけど、なにより映画を見たゾ!という気にさせられるし、個性派ぞろいのアンサンブルキャストとスタイリッシュな映像で畳み掛けてくる演出と作風は、今まで見たこともないような舞台劇に引きずり込む力強さも持っていて、けっこう好きで。

それに加えて熱いオトコ臭空間を仕立てることにも長けている和製マイケル・マンの今回の作品は、地方新聞社の編集局が舞台。

事件そのものよりも、新聞社という巨大組織の中でうごめく男たちの嫉妬と野心渦巻く喧噪劇に視点が置かれたところは、まるで銀行を舞台にした「金融腐蝕列島・呪縛」(1999)を焼き直ししたような構成になっていて、遊軍記者・悠木とナベツネを想起させる社長(山崎努)との関係は同作における役所広司と仲代達矢の関係と瓜二つ。

とはいうものの、さすがは原田眞人。

「金融~」よりもさらにまとまりのない混沌とした作劇になっている(笑)。

現場とデスク、現在と過去、父と子、組織と個、世代間対立といった二項対立のエピソードが空回りに空回りしまくっていて、それぞれのつながりが弱くてまとまりに欠けるのが最大の難点なのだけども、リズムのある臨場感で頂上まで一気に踏破し満腹感一杯に映画を見た気にさせる見せ切り方はなんだかんだいってやはりスゴイと思う。

NHKの土曜ドラマ版(主演は佐藤浩市)の方が個人的には好きだけど、ホンモノの“クライマーズ・ハイ”を味わえるという点では映画の方が的を射ているのかもしれない。

しかし、よくぞここまでクセのある役者さんを集めたもんだわ。感心しちゃいます。

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突入せよ!「あさま山荘」事件

Image197 出演:役所広司、宇崎竜童、伊武雅刀、天海祐希、椎名桔平、篠原涼子、武田真治、八嶋智人、藤田まこと

監督:原田眞人

(2002年・東映・133分)DVD

評価★★★★/75点

内容:1972年2月、連合赤軍のメンバー5人がひとりの女性を人質に、雪に閉ざされた軽井沢のあさま山荘に立てこもる事件が発生。10日間におよぶ攻防の末、警察が強行突入。運良く人質を無事救出、犯人全員の逮捕に成功するが、2人の殉職者と民間人1人が死亡、多数の負傷者を出す悲劇となった。この日本犯罪史上に残る大事件を、当時指揮官の一人だった佐々淳行氏の原作を基に映画化。

“青島刑事も和久さんも恩田刑事も出てこないどころか、犯人たちもただの謎の凶悪犯としか描かれていない完全特化フィクション映画。ドキュメンタリーXにもYにもZにもならない、劇映画としての立場をわきまえているトンだ代物。”

佐々氏の原作を読んだことがないばかりか、肝心のあさま山荘事件のことさえよく分かっていない自分。

以前NHKのプロジェクトXで事件について2夜連続だったかで取り上げていたが、それを見て初めて人質がいたことなどを知ったくらいだ。なにせ事件から約10年後に生まれてるんだから・・・。

連合赤軍はどんな輩なのか、どういうことをしていたのか今でもよく分からんし。ただ当時の人々がテレビの前にくぎ付けになったということだけは知っていた。

そして、、、この映画である。

映画の冒頭でこの映画は事件を基にしたフィクションであると前置きされていたとおり完全に原田眞人の作品世界やテーマに舵を取っていっているなというのが、事件のことをよく知らない自分でもさすがによく分かるつくりになっている。

どの程度事実と符合しているのかしていないのか分からないし、佐々氏から一方的に見た事の本質なのかどうかも分からないが、ただ1つ確かなのは、脚本も手がけている原田眞人の作品世界に実際にあったあさま山荘事件そのものが完全に組み込まれてしまっていることである。

それについての是非については個人的には完全に肯定する。あくまでも劇映画として撮っているわけだから、作り手の主観が入るのは当然だし、自分が撮りたいことのみを撮るというのも一向に構わないはずである。

そういう作り手の姿勢(主観が入ること、撮りたいことのみを撮ることetc.ようするに作り手が自由であること)について真っ先にとやかく言うつもりはない。

そのかわり、まずとやかく言うべきなのは、作り手の主観や主義主張そのものであり、またそれらをベースにして出来上がった作品や作品世界についてであろう。

つまり、作り手がやりたいように好きなように作るということに関してはどうぞご勝手にやって下さいなというわけだが、それで出来上がった作品についてはとやかく言わさせてもらいます、というのが自分のスタンスである。

よって前提としてはやりたいように映画は作るべきだと言っておきながら、出来上がった作品を見ると、やりたいようにやったからこんな体たらくな作品になっちゃってるんだとも言えちゃうわけで。なんかスゴイずるくて矛盾しているような映画批評スタンスかもしれないけども・・・。

ただ、やりたいようにやるというのは、決して作り手の無責任などではなく、必ず作り手の意志や主観が入っているはずだから重い責任が課されている(自由であることは実は重い責任を負うことでもある)のは当然なわけで、だから作り手の意志や主観をまずは第1に見ていこう、それを踏まえてから作り手の制作姿勢について思うことがあれば言おうと考えているのですが。。。

要は順序を間違えちゃうと、こちらもただ一方的になっちゃってるということになってしまう。難しいところです。

まぁ自分の中では納得しているので。といいつつ納得してるわりに全然うまく表現できないんだけど・・・。

さてさて、余談はさておき出来上がった今回の作品について言わせてもらうと、まあ自分好みの映画かなという印象はもったかな。

警察組織の呪縛と矛盾という観点から撮ったのであろうこの映画は、前々作の「金融腐蝕列島・呪縛」と同様の観点でもあるし、中央と所轄という視点でみれば、踊る大捜査線の逆バージョンの構図ともいえるわけで、個人的には非常に興味深いコンテンツであった。

しかしそのコンテンツのみに特化して描くための道具立て、題材が実際にあった浅間山荘事件というのはやはり少しばかり腑に落ちないところもある。

武田真治と篠原涼子なんてどこに出てたんだ??とエンドロールを見てビックリしたように、犯人と人質の描写はほとんど皆無といってよいし、長野県警もただの低脳集団としか描かれていない、いささか一方的な描き方なのはやはり気になった。

青島刑事が現場にいたらあの台詞が聞こえてきただろう。

「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」

2011年6月 9日 (木)

夢のシネマパラダイス80番シアター:ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

Img_lineup 出演:堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、柄本明、濱田岳、永島敏行、伊東四朗、香川照之

監督・脚本:中村義洋

(2009年・東宝・139分)CS

評価★★★★/80点

内容:仙台で暮らす30歳の独身男、青柳雅春(堺雅人)。新首相の凱旋パレードの日、青柳は学生時代の同級生・森田(吉岡秀隆)に呼び出され久々に再会するが、「お前、オズワルドにされるぞ。とにかく逃げろ!」とわけの分からないことを言われてしまう。が、その直後、パレード会場で爆発音が鳴り響く。さらに2人の前に現れた警官がいきなり発砲してきて、わけも分からないまま青柳は逃走するのだが・・・。

“大変よくできました!”

仙台生まれで、高校卒業後かの地にに7年間住んでいたオイラからすると、オール仙台ロケというだけでかなりシンパシーを感じてしまうわけで、当然点数も甘くなりますw

“KHBお天気情報~♪”とか八木山ベニーランドのCM曲とか仙台人にしか分からないご当地ネタが出てきて思わずニンマリ。

ケネディ暗殺をネタにしたと思われる荒唐無稽な展開もがぜんリアリティが増してくるというもので、オープニングが老舗デパート藤崎というところからして、もうこれはキターッshineと思ってしまった。

また、堺雅人の飄々とした演技も当事者意識ゼロのド素人と現実を見据えた逃亡者-ユーモアとシリアス-の狭間で絶妙な味わいを醸し出していて、荒唐無稽さを逆手にとった上手さを見せているし、濱田岳のキルオや、永島敏行の微笑ヒットマンなど脇も個性豊かで二重丸!

このての娯楽作品ならばフツーは陰謀の真相を暴いて黒幕を追いつめるというのが常道だし、青柳と樋口(竹内結子)が再会してハッピーエンドという展開になると思うんだけど、せつなさ満点の現実的な着地点はかえって心に残って良かった。

まぁ、、舞台が仙台てだけで何でもいいんだけど(笑)。

でも、オイラが1番好きなシーンは、運送会社の元同僚・岩崎が青柳を見て開口一番「やってないんだろ」と言うところ。

この映画のテーマである“信頼”を語る上で最も端的なシーンだったと思う。

学生時代を仙台で過ごしたオイラからすると、やや青柳の学生時代の過去シーンが弱いかなとは思ったけど、これだけ時間と空間を共有できた作品もなく、十分満足できる映画だったな。

夢のシネマパラダイス304番シアター:ピクサーアニメ倉庫

トイ・ストーリー

Toystory_small 声の出演(日本語吹き替え):唐沢寿明、所ジョージ、名古屋章、永井一郎、戸田恵子

監督:ジョン・ラセター

(1995年・アメリカ・81分)盛岡ピカデリー

評価★★★★/75点

内容:おもちゃたちの友情と冒険を描いた、世界初の全編フルCGによる長編アニメーション。アンディの6歳の誕生日に、プレゼントとして最新式のアクション人形バズ・ライトイヤーがやって来た。木製のカウボーイ人形ウッディは、バズにアンディのお気に入りの座を奪われてしまい、気が気ではない毎日。ある日、ひょんなきっかけで家の外に飛び出たウッディとバズは、いがみ合ううちに隣家の悪ガキ・シドに捕まってしまった・・・。

“ここにわたくしは罪を告白いたします・・・”

帰ってきたウルトラマンとウルトラマンタロウのフィギュアの首を取って付け替えてしまったことをどうかお許し下さい。

メカ恐竜のゾイドをすべり台から滑らして落としてしまい、アガッアガッと言ったあと動かなくさせてしまったことをどうかお許し下さい。

キン肉マン消しゴム通称キン消しで本当に字が消えるのかやってみたところ、なかなか消えなくて意地になってこすってたら腕から真っ二つに裂けてしまったことをどうかお許し下さい。

妹が大事にしていたリカちゃん人形のスカートをめくってみたり、顔に油性マジックで鼻毛などを落書きしたところ消えなくなってしまい、あの美貌を汚してしまったことをどうかお許し下さい。

ロシアのお土産で歴代大統領の姿を木で模してつくった置き物、エリツィンの上半分を取るとその中に一回り小さいゴルバチョフが入ってて、それをまた取っていくとさらに小さいフルシチョフが入ってるみたいなやつ、あの中ににロウソクを立てて密封したところ(酸素がなくなって火は消えると思ったんです・・・)、エリツィンが激しく燃えてしまったことをどうかお許し下さい。

ミッキーマウスのぬいぐるみを兄弟げんかの時に投げ合ったことをどうかお許し下さい。

田宮のミニ四駆を友達より速く走らせるためにパーツを軽量化しようとして、どこかしこに肉抜きや穴あけをしまくったところぶっ壊れてしまったことをどうかお許し下さい。

その他諸々のおもちゃに対する非人道的な行為をどうかお許し下さい。

ちなみにこれらはオイラが小学生のときのお話ですから・・・

この罪は自分に子供ができたときにしっかり教え諭すことで償いたいと思います。

決してシドみたいな子供にはさせませんので。許して。

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バグズライフ(1998年・アメリカ・94分)仙台日之出プラザ

 監督:ジョン・ラセター

 声の出演(日本語吹き替え):宮本充、土井美加、須藤祐実、磯辺万沙子

 内容:ホッパー率いるバッタ軍団に収める食料を集めるため、重労働を強いられるアント・アイランドのアリたち。発明家の働きアリ・フリックはバッタに対抗するために用心棒を捜しに都会へ旅立ち、七人の侍ならぬ8匹の昆虫たちを連れてくるが、彼らはただのサーカス団員で・・・。

評価★★★/65点

NGシーンを心底楽しめるまでに各キャラクターの味わいが深くなかったのが、なにか物足りなさを残す。

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トイ・ストーリー2(1999年・アメリカ・92分)MOVIX仙台

 監督:ジョン・ラセター

 声の出演(日本語吹き替え):唐沢寿明、所ジョージ、日下由美、名古屋章、三ツ矢雄二

 内容:ある日、ウッディがガレージセールでおもちゃ屋のアルにさらわれてしまう。超レアもののビンテージ品としての価値に目をつけたアルは、彼を博物館へ売りつけようと画策。バズたちはウッディを助けるためアルの行方を追うのだが・・・。

評価★★★/60点

このシリーズは子供に絶対見させておいて損はない!いや、見せるべき作品だ!ていうかピクサーの映画は全部そう。

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ファインディング・ニモ

51tfxw6bjpl__aa240_ 声の出演(日本語吹き替え):木梨憲武、室井滋、宮谷恵多、山路和弘

監督:アンドリュー・スタントン

(2003年・アメリカ・101分)2003/12/20・MOVIX仙台

内容:オーストラリアのグレートバリアリーフ。カクレクマノミのマーリンは妻のコーラルとの間にできた400個の卵が孵化するのを楽しみにしていた。が、ある日サメに襲われ、コーラルの命が奪われたあげく、無事に卵から生まれたのはたった1つだけだった。父親となったマーリンは、この子をニモと名付け、過保護なまでに大事に育てていく。そして6歳になったニモが初めて学校へ行く日がやってきた。が、好奇心旺盛なニモがボートに近づいていったそのとき、人間のダイバーにニモがさらわれてしまう。マーリンは陽気なナンヨウハギのドリーの助けを借りてニモを取り戻す旅に出るが・・・。

評価★★★★★/90点

あ゛っ・・・。シドニーセラピーじゃなくてカキピーじゃなくてワラビー、、、ワラビーだぁっ。シドニーワラビー通り、、、ギャーーッ。マジで思い出せない。ド忘れしちまったぁー。

誰か助けて下さい。夜も眠れません。(((;゜д゜))アワアワ・・・...

でもでもいいんだ!この映画のことは決して忘れることはないのだから。

でも、、、眠れねぇ。。。

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Mr.インクレディブル

B0006jeeh0_09_lzzzzzzz1 声の出演(日本語吹き替え):三浦友和、黒木瞳、綾瀬はるか、海鋒拓也、宮迫博之

監督・脚本:ブラッド・バード

(2004年・アメリカ・115分)2004/12/23・MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:Mr.インクレディブルは、かつては世界の危機を救ったスーパーヒーローだったが、15年前に、被害を受けた一般市民に告訴されて敗訴して以来、スーパーヒーローとしての活動を禁じられていた。今では保険会社のクレーム担当のサラリーマンとして働く日々を送っており、妻と3人の子供も正体を隠しながら生活していた。しかし、巷で元ヒーローたちが次々と行方不明になる事件が続発しはじめ・・・。

“黒木瞳の大開脚スプリングかかと落としを後頭部に喰らいたいッス!”

ピクサーでは人間をモチーフにして描いた最初の作品ということだったわけだけど、個人的には少なからず懐疑的な目を向けていたというか、不安があったのはたしかだ。

それは、それまでのピクサー作品に出てくる人間がまったく形式的かつ機械的なものとしてしか描かれていなかったからだ。いわば漫画、アニメにおける記号としての人間。

しかし、その不安は全くの杞憂に終わった。

もちろんそれまでの作品において人間は完全な従として登場してきたわけだけど、その点を差し置いてもこの映画におけるキャラクター、人間造型にはさすがだなと唸らされた。

特に顔の表情は、今までのハリウッド製アニメにはなかった生き生きとした実感が刻まれており、正直ド肝を抜かれた。

ダッシュの通う学校の先生や、ボブの勤める保険会社の上司など、脇に至るまで非常に個性的で魅力的だし、インクレディブル一家もヴァイオレットなんかは貞子そっくりで思わず笑ったけど、髪の毛を耳にかけるという仕草だけで彼女の成長を表現してしまうあたりは、もうホントほれぼれしちゃいますわな。

ボブの上司にしても、カレンダーの枠線の上に鉛筆を重ねて置かないと気が済まないという、いかにも几帳面で神経質な性格を表わしていて、シナリオにどのくらい時間かけてるのか知らないけど、アニメでこういう細かいところまで設定を生き生きと活かせるというのは珍しいと思うし、スゴイの一言しか出てこない。

そして、なんといってもヘレン=イラスティガールだ。

正直ストーリーそのものは至極単純で魅力に乏しかったのだけど、ヘレンの一挙手一投足に集中することで、この映画の世界に居続けることができたし、ヘレンをはじめとするキャラクター同士の楽しく魅力的なコラボが映画を支えていたと思う。

キャラに関しては全ての歯車がかみ合っていたといっていい。

欲をいえば、やはりストーリーにやや奥深さが足りなかったかなと。

ヴァイオレットとダッシュの学校生活なり日常生活を一つ二つ付け加えただけで、もっと面白い作品になったと思うんだけど。

でも、ヴァイオレットとダッシュが夕飯中にケンカするシーンはこの映画の白眉で、「ズルイよ、シールド使うのは!」には爆笑ですた。この映画最高の名セリフでしたな。

あと、これも付け加えておかないと。

車よ車rvcar

次作が「カーズ」なためなのかどうかはともかく、車の造型がピカイチ。ボブの乗る小さい車なんて、あれはMr.ビーンの車か、はたまたカリオストロでルパンが乗る壁よじ登りカーでしょ。

車が角を曲がる時のコーナーリングも文句なし。「おもひでぽろぽろ」(1991)で柳葉敏郎が運転していた車の微妙なぎこちなさは完全に払拭されたね。

ピクサー。いいっス。

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カーズ

20060716cars640_s 声の出演(日本語吹き替え):土田大、山口智充、戸田恵子、浦山迅、パンツェッタ・ジローラモ

監督・脚本:ジョン・ラセター

(2006年・アメリカ・122分)2006/07/11・盛岡フォーラム

評価★★★★☆/85点

内容:ライトニング・マックイーンは、ピストンカップで史上初の新人チャンピオンを狙う若き天才レーサーだが、自己チューで生意気な性格が玉にキズ。そんな彼が、レース会場への移動中に辺鄙な片田舎ラジエーター・スプリングスに迷い込んでしまい、町をメチャクチャにしてしまう。早くレース会場に戻らなければと焦るマックイーンだったが、町の住人に道路の補修をしていけと言われ・・・。

“カリオストロの城から26年。やっとこさオイラを納得させるカー・アクションが現れた!”

「映画史上もっとも完璧なカーチェイス」とスピルバーグが絶賛してやまない宮崎駿の「ルパン3世カリオストロの城」(1979)の冒頭におけるフィアット500、シトロエン2CV、ハンバースーパースナイプの激走カーチェイスは、お金を払って見てもお釣りが返ってくるほどの素晴らしさと面白さで満ち満ちている。

フィアットが片輪走行で対向車の大型バスをかわしたり、崖を疾走したり林の中を突っ切ったり、シトロエンがボロボロになっていく有り様など、アニメにしかできない創造力とリアリティの新境地にド肝を抜かれた。

それから様々なアニメで車の動きを見るたびに、動きの滑らかさや機動性、そしてアニメの心を忘れない面白さという点で、カリオストロを超える描写はなかなか世に出てこなかった。

しかし、カリオストロから26年。

やっとで万人が納得できる車・車・車映画が出来上がった。

3DCGをフル活用しているという点で、26年前とは手法がもろに異なっているけど、しかし、デジタルとアナログという違いはあれ、出来上がった作品世界の匂いみたいなものは共通していたと思う。

今回の映画が心魅かれるのは、デジタル技術に特化していながら、作品からアナログ感が程よく漂ってくる点だと思う。

もちろん、CG技術のハイクオリティによる車の自然な動きと滑らかさは特筆もので、ボディの質感、揺れ具合、傾斜、タイヤの躍動感、陰影、ボディに反射する景色や照明、、、素材という素材を完璧に作りこんだリアリティにはもはや脱帽するほかない。

「ターミネーター2」のT-1000型ターミネーターを見たとき以来の衝撃と言ったら大げさだろうか。

そして、さらにそのリアリティあふれる車を完全に擬人化し、変幻自在の表情をつけることでアニメキャラとしての心と魂が吹き込まれた。

目の表情はもとより、口元が小粋でイイんだよね。メーターの出っ歯とか、チック・ヒックスの口ヒゲとか。ホント、生き物だよあれはw。

十人十色のキャラクターが完璧ともいえる造型=演技で表情豊かに走り回るさまは見ていてホントに心が躍ったし楽しかった。

アニメで表現するということの意味や意義みたいなものをしっかり分かってると思うな。この映画の作り手さんは。

3DCGというと、とかく実写なみの写実性に走りがちだけど、策士策におぼれるみたいにアニメでこれを使うことの目的意図からどんどんかけ離れていく傾向にあっただけに、アニメ本来の面白さを忘れていないピクサーにはホンマもんの拍手を送りたいです。

マックイーンとサリーのデートドライブなんかはグランツーリスモを彷彿させたりしてホンモノ感もしっかりアピールしていたし、カリオストロに出てくるフィアット500が今回の映画でタイヤ専門店の店主ルイジとして出てくるのだけど(オマージュだと思う)、宮崎フィアットと互角かそれ以上に渡り合える小粋なイタリアンフィアットにうまくアレンジされていることを見ても、文句の付けどころがない完璧さだろう。

また、時代に置き去りにされていくルート66の田舎町を舞台にし、登場する車も1950~70年代型にすることで、アナログ感を程よく醸し出すことに成功していたと思う。

デジタル技術でアナログを表現する。

上手い、巧い、美味いhappy02

車がヨガのエクササイズに励むなんて最高じゃないッスか。

DVD買ってまた観よっ。

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レミーのおいしいレストラン

Ratatouille 声の出演(日本語吹き替え):岸尾だいすけ、佐藤隆太、浦山迅、甲斐田裕子、有川博

監督・脚本:ブラッド・バード

(2007年・アメリカ・120分)2007/08/10・盛岡フォーラム

評価★★★★★/95点

内容:ドブネズミでありながら天才的な料理の才能を持つレミーは、尊敬する名シェフであるグストーの著書を読みながら一流レストランのシェフになるという夢を持っていた。しかし、そのグストーは料理批評家イーゴに店の星を減らされ、失意のうちに急死してしまう。そんなある日、レミーは嵐で家族とはぐれてしまい、パリのグストーのレストランにたどり着く。そこの厨房で、雑用係のリングイニがスープを台無しにするのを見たレミーは、こっそりとスープを作り直すのだが・・・。

“偉大な映画は勇気から生まれる!”

ミッキーマウスというディズニーが誇る世界最強の“ネズミ”キャラクターを差し置いて、グレーの毛並みの1本1本まで実に生々しくフサフサしている醜悪なドブネズミを造型して主人公にしてしまった勇気(ちなみにピクサーは06年にディズニーの完全子会社になっている)。

そして調理場の最大の敵である西の横綱がゴキブリならば東の横綱は紛うことなくネズミ、そのネズミに料理をさせてしまおうという身の毛もよだつようなお話を作ってしまった冒険。

耳で聞くぶんには、とてもじゃないが目にはしたくない作品なのだが、恐る恐るフタを開けてみたら、アントン・イーゴの言葉のごとくオイラの先入観は見事なまでに大きくくつがえされた。

これは決して大げさな表現ではない。まさに衝撃だった。

小麦粉と卵、砂糖とバニラビーンズ、そしてほのかなビターレモンの香りが漂ってくるスクリーンの中のえもいわれぬ世界に完全に酔いしれてしまった。

やはり5つ星レストラン、ピクサーは期待以上の仕事をしてくれる。

さすがに天井裏にビッシリと張り付いたネズミが部屋にワッサと落ちてきたシーンや、キッチンを占拠しているシーンは思わず背筋にゾワゾワッと悪寒が走ったけど(笑)。

でも、料理するのに手を汚したくないから地面に手を付けて歩きたくないといったレミーのキャラクターだとか、それとは対極の雑食たるネズミがグルメを解すわけがないという兄・エミールの位置付け、また、魔女の陰険な執事を思わせるイーゴの造型などよく練り込まれていて面白かったし、日常生活の中でなかなか思い切って前へ歩み出すことができない自分がドブネズミに説教くらってるような複雑な気分になるのもなにやらシュールなかんじで、ネズミに出来るのにオレに出来ないわけがない!と変な勇気までおみやにもらっちゃって、もう何も言うことはございません。

ゴチになりましたぁーーっrestaurant

また、美味しそうなんだ料理がlovely

ただ、強いていえば、グストーのレストランのわけありの従業員たちのことをもっと描いてほしかったかなぁ。なんかもったいなかったような。

だって親指だけで人を殺せるってのはホントすごいことだぞ(笑)。

とにかく、またお腹をすかして、ピクサーレストランに足を運ぼうと思います。今度はどういう料理を出してくれるのかなぁ。。

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WALL・E ウォーリー

2682405328_6d3e9a8dce 声の出演(日本語吹き替え):横堀悦夫、園崎未恵、草刈正雄、小川真司、小山茉美

監督・脚本:アンドリュー・スタントン

(2008年・アメリカ・103分)WOWOW

評価★★★★/75点

内容:人類に見捨てられ、ゴミに埋めつくされた29世紀の地球。そこで700年もの間、黙々とゴミ処理に励んでいるロボットのウォーリー。天涯孤独の彼は、ミュージカル映画「ハロー・ドーリー」の中の登場人物みたいに自分もいつか誰かと手をつなぎたいという夢を抱いていた。そんなある日、突如着陸してきた探査船から一体のロボット・イヴが降り立った。ウォーリーはたちまちイヴに心惹かれていくが・・・。

“目は口ほどに物を言う”

人間ではないものを擬人化することにかけては右に出るものがないピクサーがたどり着いた擬人化の最終進化形。それは鼻もなければ口もない、セリフもなければ足までないツンツルテンのデジタルロボットと、汚染物質とサビがビッシリくっついたアナログロボットだった!

喜びhappy02、泣きweep、笑いhappy01、怒りangryといった感情を“目”と“手”だけで表現する。それは例えば手をつなぎたいのに言い出せないで相手の手をもどかしそうに見つめる、その仕草だけで十分に映画たりえるのはチャップリンの「街の灯」(1931)なんかにも通じるところなんだけど、映画・アニメーションの原初的な動きが普遍的な愛―愛おしさや優しさ、つまりは人の温もり―をダイレクトに伝達してくれる、そのオーソドックスな素晴らしさを再確認させてくれただけでもこの映画を見た甲斐はあったというもの。

しかも、それを無機質なロボットで表現したのだからスゴイの一言だわ。

絵柄とか世界観がオイラの大好きなTVゲーム「ラチェット&クランク」シリーズに似ていて馴染みやすかったし、あとはやはり人間以上にピュアで感情豊かなウォーリーにイチコロでやられたかんじ。。

足のないイヴや歩くことをやめた人間とは対照的にキャタピラをカタカタ震わせながら地に足を着けて駆け回る姿、そしてイヴを一途に想いつづけるけなげな姿に思わずホロリとさせられてしまった。

まぁ、無人と化した地球で黙々と働きつづけるウォーリーの日常を追ったシュールな前半部分にもうちょっと捻りをきかせたエピソードを持ってきて、“700年間ひとりぼっち”というウォーリーの境遇にもっとスポットライトを当ててほしかった気もするけど。イヴの登場が早すぎたような・・。

でも、こういう映画を作れてしまうピクサーはやっぱりスゴイと思う。

宮崎アニメ以外で、見終わった後もう一度見たいと思わせる作品を作ってくれるピクサー、オイラはついて行きまっせ!

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カールじいさんの空飛ぶ家

O0264039110307093801 声の出演:飯塚昭三、大木民夫、立川大樹、松本保典、松元環季

監督:ピート・ドクター

(2009年・アメリカ・103分)WOWOW

内容:古い一軒家に住むカールじいさんは、最愛の妻エリーに先立たれてからひとり孤独に暮らしていた。しかし、家が地上げにあい、立ち退かなければならなくなる。そして迎えた立ち退きの日の朝、カールはエリーと約束した伝説の場所パラダイス・フォールへ旅立つことを決意する。。

評価★★★★/75点

オイラ的映画会社格付けにおいて文句なしのAAAを付けられる唯一の会社、ピクサー!

今回もまた期待を裏切ることのない出来で、その信頼は揺るぎのないものにww

まず、カールとエリーのなれ初めから始まるオープニング、そして2人の幸せな夫婦生活をサイレント風につづった5分にも満たないモンタージュシーンに一気にゾッコンになってしまった。

カールじいさんが冒険ブックにあったエリーの写真を見て在りし日の思い出にふける終盤のシーンもそうだけど、絵だけで見せきる力というのはズバ抜けていて、愛らしさ、温かさ、優しさ、哀しさといった要素が全て織り込まれているその映像からは説得力と感動が喚起される。

さらにそれを強化・増幅させているのが音楽で、ここまで映像とうまく融合した珠玉の音楽というのは久方ぶりで、必要最低限のセリフしかない今回の作品において、音楽の果たした役割は非常に大きいといえよう。

そしたっけば、音楽を担当したマイケル・ジアッチーノってオイラの大好きなLOSTシリーズの音楽もやってたと知ってビックリ。他にも「Mr.インクレディブル」「レミーのおいしいレストラン」なんかもやってて、なるほどそれぞれの作品の世界観を十二分に引き立てる術を心得た作曲家なんだなと。今後要注目eye

テーブルマウンテンに下りたあとに、いかにもディズニーらしい動物キャラが出てきた時は色合いがガラリと変わって不安になったけど、ピクサーらしい独創的な味付けが加えられていて、さすがピクサーだなと思わせられたし、ひとひねり利かせたユーモアのセンスや絶妙な間の取り方など随所に巧さを感じさせるかなり完成度の高い作品なんだけども、唯一意外にあっけなく家が飛んだのにはあれっ!?てかんじだったかもw

ただ、体にホースをくくりつけて家を運ぶくだりが長かったように、飛ぶこと自体にはそこまで執着していない印象で、飛ぶというよりは浮いているといった方が的確なような気もする。

そこらへんはどうしてもジブリと比較しちゃうんだけど、チャールズ・マンツの飛行船とカールじいさんの家の空中戦はラピュタのゴリアテとタイガーモス号を思い起こさせたな。

そして最後に思うのは、オイラもああいう幸せな結婚してみたいなぁ、ってことheart04

2011年2月27日 (日)

夢のシネマパラダイス277番シアター:ハジケない忍者たち・・

カムイ外伝

B0160459_22321429 出演:松山ケンイチ、小雪、伊藤英明、大後寿々花、イーキン・チェン、佐藤浩市、小林薫

監督:崔洋一

(2009年・松竹・120分)WOWOW

内容:時は17世紀。非人階級の子として生まれたカムイは、生き抜くため、強くなるために忍びの道へと進む。がやがて自由を求めて抜け忍となったカムイは、追っ手との終りない戦いと逃亡の人生を宿命づけられる。そんなある日、猟師の半兵衛を助けた縁で、彼の家に身を寄せることにするが・・。

評価★★☆/50点

「グリーン・デスティニー」(2000)のワイヤーアクションに衝撃を受けてから早10年。

まさか日本のワイヤーアクションがいまだにそこにたどり着いていないことに別な意味で衝撃を受けることになるとはcoldsweats02

しかもCGも三流レベルの安っぽさ。

サメ退治のシーンなんかを見ると、これは60年代原作のコミック感覚を出すために意図的にチープにしたのかとも勘繰ってしまうけど、それにしたって客を呼べるレベルじゃないだろこれは・・(笑)。

これに影響されてか、崔監督自身のルーツに由来するマイノリティのアイデンティティという、これまで一貫して描かれてきたテーマ性を持ったシナリオも悲惨な出来で、唯一、松山ケンイチや大後寿々花をはじめとする役者陣の奮闘だけが見所なのだけど、このチープなアクションに完全にスポイルされてしまったかんじ・・・。

カムイ外伝は活劇が主で人間ドラマが従といっていいと思うんだけど(カムイ伝の方はこれが逆)、活劇部分がこの体たらくだとねぇ・・。

何もかもが中途半端だったな。。

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あずみ

Sbsoghvefd 出演:上戸彩、原田芳雄、小栗旬、成宮寛貴、小橋賢児、オダギリジョー

監督:北村龍平

(2003年・東宝・142分)MOVIX仙台

内容:関ヶ原の戦いに勝って覇権を握った徳川家康。しかし未だその天下は盤石とはいえず、反乱分子の芽は決して見過ごすことのできない存在になっていた。そこで太平の世を願う家康の側近、南光坊天海は反乱を企てる危険のある者を抹殺するための暗殺者集団の育成を画策。それを受けた小幡月斎は少女あずみをはじめ戦乱で孤児となった幼子を集め、過酷な修行を課して最強の戦士へと鍛え上げていく。それから10年、無事修練を終えたあずみら10人の戦士たちに思いもよらない最終課題が課される・・・。

評価★★★/55点

言葉遣いのハチャメチャさは「バトルロワイアル」から、他は全部韓国映画から持ってきてるよね。ちゃうww?

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あずみ2 Death or Love(2004年・東宝・112分)WOWOW

 監督:金子修介

 出演:上戸彩、石垣祐磨、栗山千明、小栗旬、北村一輝、遠藤憲一、平幹二朗

 内容:少女あずみは徳川の刺客となり、これまでの過酷な修行と激しい攻防の末に唯一生き残った仲間・ながらと共に最後の標的・真田昌幸を追っていた。そんなある日、あずみはかつて暗殺者として独り立ちするため自らの手で斬り殺した初恋の相手・なちと瓜二つの夜盗・銀角と出会い心を揺るがせる。一方、真田昌幸はあずみたちを葬るべく甲賀忍軍を集結させていた・・・。

評価★★☆/50点

題名のクサさに減点down。安住アナが出てくる余計なお遊び感覚に大幅に減点down

途中から極道の妻たちになっているのでさらに減点・・down。。

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梟の城(1999年・東宝・138分)DVD

 監督:篠田正浩

 出演:中井貴一、鶴田真由、葉月里緒菜、上川隆也、永澤俊矢、岩下志麻

 内容:天正9年、織田信長が伊賀を攻め、伊賀忍者の多くは殺された。それから10年後、時は豊臣秀吉天下の時代。伊賀の乱で辛くも生き残った葛籠重蔵は、かつての師匠から太閤秀吉暗殺の密命を受ける。しかし、同じ伊賀忍者ながら士官を望み前田玄以に仕えているライバルの五平が重蔵に襲いかかる・・・。司馬遼太郎が直木賞を受賞した同名小説の映画化。

評価★/20点

屋根を歩くときの足取りさえおぼつかないというのはどうかと思うぞ・・・。

あとさ、意味不明な雄叫びBGMどうにかしてくんない?便秘で苦しんで力んでる時の声にしか聞こえないんですけど。。

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忍びの者(1962年・日本・105分)NHK-BS

 監督:山本薩夫

 出演:市川雷蔵、藤村志保、伊藤雄之助、城健三朗、西村晃、岸田今日子

 内容:織田信長が天下を手中に収めようとしていた戦国時代末期。伊賀忍者衆の長・百地三太夫は、信長の暗殺を決断、忍術に長けている石川五右衛門を刺客に仕立てようとするが・・・。大泥棒として有名な石川五右衛門を忍者と設定し、忍者を権力争いの犠牲者として描いた時代劇で、この後シリーズ全8作が作られた。

評価★★★/60点

忍びの者というのは、暗殺の標的の寝床に忍び込むという意味と、女の寝床に潜り込むという意味のダブルミーニングだったとは・・・(笑)。

しかも、その相手が岸田今日子って・・。

さらに、怪演をみせた伊藤雄之助のしゃべり方が志村けんの変なオジさんにしか見えなくて、しかもそのオッサンが天井裏からエロ目で覗いてんのよ。もう笑っちゃうしかないっしょ。

この映画にこのオッサンありという印象、、だけやなww

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SHINOBI(2005年・松竹・101分)CS

 監督:下山天

 出演:仲間由紀恵、オダギリジョー、黒谷友香、椎名桔平、沢尻エリカ

 内容:徳川家康が秀忠に将軍職を譲り、次の3代将軍を孫の竹千代か国千代にするかで頭を悩ませていた1614年。忍者の二大勢力を誇っていた伊賀と甲賀は掟により互いに戦うことを禁じられていた。そんな中、伊賀の朧と甲賀の弦之助は運命的な恋に落ちた。ところがそこへ家康から非情な指令が下る。それは伊賀と甲賀それぞれの精鋭5人を戦わせ、その結果により3代将軍を竹千代にするか国千代にするか決めるというものだった・・・。

評価★★/40点

贅沢すぎるほどの最新VFX映像、贅沢すぎるほどの魅力的なキャラたち、贅沢すぎるほどの主題歌、、、しかし語ることを放棄したようなあまりにも粗末なストーリーがすべてを貧乳にする、、、いやいや、、貧相にする。。

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GOEMON(2008年・松竹・128分)WOWOW

 監督:紀里谷和明、大沢たかお、広末涼子、ゴリ、要潤、チェ・ホンマン、中村橋之助、寺島進、伊武雅刀、奥田瑛二

 内容:本能寺の変後、豊臣秀吉が一気に天下統一を果たした世。しかし、格差は広がり、庶民の困窮ぶりはひどくなるばかり。そんな時、彗星のごとく現れた石川五右衛門は、富裕層から盗ったものを貧しい者たちに分け与え、義賊として喝采を受けていた。ある夜、紀伊国屋の屋敷に忍び込んだ五右衛門は、南蛮製の箱を盗み出すが・・・。

評価★★★/60点

21世紀に入って1番つまらなかった映画は、、と訊かれたら真っ先に「CASSHERN」(2004)を挙げるオイラにとって、今回の映画は1%たりとて期待していなかったわけで・・w

で、、まぁ覚悟して見たんだけど、、まぁまぁ面白かった、、みたいなup。。

のっけからディズニーのシンデレラ城かと見紛うばかりの花火に彩られた大阪城のCGパノラマを見せられて、全然成長してねーなコイツ、、と思っちゃったけど、変な青い箱をマクガフィンとした筋立てはしっかりしていて、テンポもいいので何気にストンと見れてしまった。。

さらにいえば、今回のこの人の脳内イメージは決して嫌いじゃなかったりする・・w

なんというかアニメ・ゲーム的な妄想の世界を原液そのままタレ流したようなかんじで、ここまで突き抜けると逆にアッパレというか、はっきりいってカッコ良いのね。

、、、でも、その妄想レベルはあくまで中ボーレベルであることを付け加えておかなければなるまいww。オイラみたいな三十路過ぎてもゲームやって漫画読みまくっているような低脳にしか響いてこない手立てだろう。

なんてったってエンドクレジットのspecial thanksに武論尊だぜ(笑)。

あ、そっかぁ、花の慶次か、、、いろんな意味で合点がいきましたわ。。

2011年2月14日 (月)

夢のシネマパラダイス563番シアター:借りぐらしのアリエッティ

借りぐらしのアリエッティ

N0021318_l 声の出演:志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、三浦友和、樹木希林

監督:米林宏昌

(2010年・東宝・94分)盛岡フォーラム

内容:14歳の小人族の少女アリエッティはとある古い屋敷の床下で両親と3人で静かな暮らしを営んでいる。彼らには人間には見られてはいけないという掟があった。そんなある日、病気療養のため12歳の少年・翔がこの屋敷を訪れる。。

評価★★★★/75点

個人的にジブリアニメを純粋に楽しめたのは小6の時に見た「魔女の宅急便」までで、それ以降の作品はグダグダだと思っている。それどころか宮崎駿のお仕事は漫画版ナウシカの連載が終了した1994年でその役目は終えたと思っているくらいで・・w

破綻と混沌のインフレ三部作(もののけ、千と千尋、ハウル)を経てあっちの世界へ逝っちゃったポニョときて、、、宮崎駿はもはや枯れ果てた・・。

一方ゲド戦記の惨敗をみるまでもなく後進はまるで育たず、、このままではジブリは消滅への道をまっしぐら・・・。

とまぁ、はっきりいって宮崎御大は10年前に製作総指揮とかに退いてジブリの後進を育て上げることに心血を注ぐべきだったと思うのだけど、今回ようやっとジブリの次代を担うべき才能にバトンを渡したわけだ。

NHKで今回の映画製作に密着したドキュメンタリーをやってて、米林宏昌監督にいろいろ口を出したくてウズウズしている御大の姿からはストレス溜まってるのがありありと見てとれたんだけど(笑)。

と、そんなこんなで出来上がったアリエッティ、、、オイラの天敵であるカマドウマがぴょんぴょん飛び跳ねてる冒頭からヒョエ~~ッshockとのけぞってしまったんだけど、全体としては久々に純粋な気持ちになって見られたジブリ映画になっていたと思う。

ジブリアニメの真髄である濃密で柔らかな絵のタッチと、ケルト音楽を思わせるセシル・コルベルの透明感あふれる音楽が、床下の小人の世界観と雰囲気をものの見事に醸成していてそれだけで十分楽しめてしまう。

いや、実際この雰囲気と世界観だけで8割方できている作品といっていいと思うんだけど、一粒の角砂糖、一滴の水、一枚の葉っぱ、一枚のティッシュetc..のリアルでカワイイ質量感、また洗濯バサミの髪留めや待ち針の剣、両面テープを手足に引っ付けてのクライミングなどの細かいディテールの描写力・発想力はハンパなく、小道具好きのオイラの快感神経をビビビッshineと震わせてくれる。

個人的には台所が断崖絶壁のグランドキャニオンのように見えるシーンが好き。

ただ、さっき雰囲気と世界観だけで8割方できてる作品と言ったように、子供に読んで聞かせる絵本のような体裁をとっていて、それはそれでいいんだけど、シナリオにやや締まりがないのがひっかかる。

特に、少年・翔のすでに彼岸へ渡ってしまったかのような落ち着きぶりと、家政婦ハルの恐ろしいまでの小人への執着心は見ていて薄気味悪くなってくる。彼らの心理や行動原理がイマイチ伝わってこないのだ。。

「君たちは滅び行く種族なんだ」とにべもなく言ってしまう翔の透き通るような目が怖くて怖くて・・coldsweats01。。

この言葉を相手に面と向かって言えちゃう残酷さ、、、宮崎御大の悪い作家性が突拍子もなく出ちゃったかんじだねw

人間世界の日常の価値観を時には反転させ時には優しく見つめ直した細かなディテール描写が特筆ものだっただけに、人物描写の粗さが気になってしまいどうもスッキリしないというか・・・。

そいえば、子供が病持ちというのはジブリアニメではほとんど初めてといってもいいのではなかろうか。五体満足な少年少女の躍動がジブリアニメを引っ張ってきたとするならば、心臓を患い、ちょっと走っただけでへばってしまう少年はどうしても奇異に映ってしまう。

そうなんだよ、翔が悪い意味でこの映画を引っ張っちゃってるんだよ!ということを今ここで実感。。

でも、アリエッティ一家の微笑ましい日常とこの物語をずっと見ていたいという気持ちになったのが心の8割を占めたというのが本音であり、新監督の船出としては十分及第点を付けられるのではないかな。〆。

2010年10月25日 (月)

夢のシネマパラダイス151番シアター:消されたヘッドライン

消されたヘッドライン

1 出演:ラッセル・クロウ、ベン・アフレック、レイチェル・マクアダムス、ヘレン・ミレン、ジェイソン・ベイトマン、ロビン・ライト・ペン

監督:ケヴィン・マクドナルド

(2009年・米・127分)WOWOW

内容:ワシントンDC。ある夜、ヤク中の黒人少年が何者かに射殺され、地元紙ワシントン・グローブの記者カル・マカフリーが取材を開始する。その翌朝、コリンズ下院議員の秘書ソニアが地下鉄で不審な死を遂げる。マスコミがコリンズとソニアの不倫疑惑を一斉に報じる中、コリンズは旧知の間柄であるカルにソニアの死は自殺ではないと主張する。カルは女性新米記者デラとともに取材を進めていくが・・・。

評価★★★☆/70点

真実を追い求めようとする者の姿ほどアツい人間力が発揮されるものはない。

銃という飛び道具を持つ刑事よりも、ペンと足と信用で勝負する新聞記者の方がより人間力が試されるという点で、オイラ的には新聞記者を描いた映画はかなり好みの部類。

骨太な社会派「紳士協定」(1947)やラブロマンス「ローマの休日」(1953)、戦場の真実を追った「キリング・フィールド」(1984)など古今を問わず様々なジャンルに及んでいるけど、やはり「クライマーズ・ハイ」(2008)のような新聞社を舞台にした作品や、権力を監視することが本来の職務であるジャーナリスト魂を感じさせる「大統領の陰謀」(1976)のような作品が好きかな。

その点でいえば、今回の映画はドンピシャのネタだと思うんだけども、軍産複合体の実態にジワリジワリと迫っていくプロセスはスリリングで面白かったものの、結局最後に個人の問題に帰結してしまったどんでん返しにはいささか辟易してしまった。

巨悪の闇を隠そうと事件を矮小化しようとする権力側とそれに対抗するジャーナリズムという「大統領の陰謀」的構図を踏襲しつつ、その裏側に売れることありきで針小棒大にネタを書き立てようとするメディアの危うさを盛り込んだのは買いなのだけど、さらにそこにひとひねり付け加えたことで、実は事実そのものが矮小なものだったのだというオチは、まるでピンと張り詰めた風船が一気にしぼんでしまったような呆気なさを感じて思わずガクッときてしまう。

誰よりも速く情報を知りたい、何よりもスキャンダラスなニュースを知りたいというWEB&メディア社会に生きる我々に対する皮肉とメディアへの警鐘が裏テーマとしてあったということなのだろうけど、ちょっと消化不良だったかなと。

まぁ、とはいえ、ラッセル・クロウの一癖ある人物像や、脇に配された女性陣の印象深い存在感など役者陣はおおむね良かったし、二転三転する展開も面白く、見て損はない作品だとは思った。

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大統領の陰謀

Image848 出演:ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン、ジェイソン・ロバーズ

監督:アラン・J・パクラ

(1976年・アメリカ・132分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:1972年6月17日、ワシントンのウォーターゲートビルにある民主党全国委員会本部に5人の男たちが侵入し逮捕された。男たちは盗聴器を仕掛けるために入り込んだが、共和党の狂信者による単独犯行として片付けられる。「ワシントン・ポスト」の若い記者バーンスタインとウッドワードは、事件の背後に何者かの陰謀を感じ取り、追跡調査に乗り出した。ウォーターゲート事件の真相究明に奔走した「ワシントン・ポスト」紙記者の実話の映画化。

“ディープ・スロートが始めからしゃべっとれば済む話ちゃうの?とついつい思ってしまう。。”

事件から30数年経った2005年に、ディープ・スロートの正体が元FBI副長官だったことが判明して一躍話題になっちゃったけど。

でも、この映画観ると、ラストでしゃべるくらいなら最初からしゃべっとけば逆に自分の身も安全だろうにと思っちゃった。。。実際はどうだったのか分からんが。

そいえばX-ファイルにもディープ・スロートって出てきたっけ。この映画からきているのだろうか。

でもまぁ、この映画で気になったのはディープ・スロートくらいなもんで、他は全体を通していえばほぼ完璧ともいえる映画だったと思う。

幾層にも重なった断片的な情報の積み重ねを玉ネギの表皮を1枚1枚剥がしていくようにしっかりと描き出していく。

例えば、2万5千ドルの小切手にケネス・ダールバーグという名前を見つけるくだりでも、事務所になんとか入り込むために受付の女性との口八丁手八丁のやりとりをするところを手抜きをせずにちゃんと描く。

それによって、断片的な情報がより実体をもったものとして生きてくる。

そして、その積み重ねによって、最初は得体の知れない何かとしか分からなかったものの正体が徐々に明らかになっていく。

真実に辿り着くまでの過程の描き方が非常に緻密で素晴らしく、見ごたえのある作品になっていると思う。

ただ難点、アメリカ人にとっては難点じゃないだろうけど、、特に初めてこの映画を観る日本人には観てるうちに何がナンだか分からなくなってくるのではないかな、と。アメリカの選挙方式も含めて。。

恥ずかしながら自分も途中からわけが分からなくなったくちで・・。2回観てやっとで分かったもん、これ。

というのも関係者の人物名が多すぎて、人物関係がつかめなくなっちゃうんだよね。

ケネス・ダールバーグあたりまでは追えるけど、その後ずらりと次から次へとスタンズやらスローンやらポーター、、え?何者?カーンバック??カムバックじゃなくて?チェーピン???ホールドマンって誰?、、って黒幕かよ!

もうお手上げ・・・。

結局2回目はメモしながら観たけど、これがけっこう凄い人物相関図になるのね。。

ハワード・ハントからチャールズ・コルソンとマレン社に枝分かれした後、ホールドマンに至るまでの流れがけっこうどころじゃなく凄い。

この映画に出てくるウォーターゲート事件に関連した人物名、ワシントンポスト勤務者以外でなんと25人くらいになります。これにウッドワード、バーンスタイン、ディープ・スロートなどを含めるとざっと30人にはなるんだよね。

、、、脳の処理能力超えてるやろ・・?

まあ逆にいえば2時間ちょいによく収めたなあってことだけどさ。

でもディープ・スロートが最初にしゃべっとけば・・・・とやっぱり思っちゃうよこれ・・・。

2010年10月12日 (火)

夢のシネマパラダイス484番シアター:グラン・トリノ

グラン・トリノ

Img267_poster2 出演:クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー、コリー・ハードリクト、ブライアン・へイリー

監督:クリント・イーストウッド

(2008年・米・117分)WOWOW

内容:長年勤め上げたフォードの工場を引退し、妻にも先立たれたウォルト・コワルスキー(イーストウッド)は子供たちにも煙たがれる頑固ジジイで、昔なじみさえいない住宅街で一人暮らしていた。バリバリの人種差別主義者でもある彼は、隣に住むアジア系一家も大嫌いで、そこの息子タオが不良グループにそそのかされてコワルスキーの愛車グラン・トリノを盗みに入った時も銃を向けて追い返す。しかし、そこの娘スーを不良から救った彼は、隣家と交流を持つようになり・・・。

評価★★★★/80点

“これはイーストウッドの遺書なのか・・・。”

イーストウッドの稀有なところは、晩年になればなるほど作品の質が上昇していくことで、黒澤、ゴダール、フェリーニなど巨匠といわれる監督のほとんどが晩節を汚してしまうほどのレベル低下を見せるのに対し、正反対のベクトル=映画の果てなき地平に向かって変わることなく邁進しつづける監督というのは、イーストウッドを除いて他にはいないのではないか。

例えば今回の作品。

いたってシンプルで取り立てていうべきこともないような筋立てなのだけども、オーソドックスであればあるほど監督としての力量が問われるという点でいえば、これほどイーストウッドの才が如実に示された作品もないだろう。

各エピソードのつながりは決して滑らかとはいえない朴訥とした語り口なのだけど、主人公ウォルト・コワルスキーの偏屈キャラと合ってるし、なによりも一つ一つのシーンの切り取り方、描き方の選択肢にブレがなく、まさに完璧ともいえる仕上がりになっている。

かといって、決して格式ばっているわけでもないのがイーストウッド演出の極みで、良い意味で角が取れて優しく柔らかい感触になっていて、わざわざ襟を正したり肩ヒジ張ったりすることなく見られるのがイイ。

そしてその上で“プライド”“贖罪”“後悔”といった人生を重ねていく上でこびり付いてくる痛みを静かに描き出し、それを重しとして精神世界へ深く沈降し入り込んでいくことができる。それがイーストウッド映画といってもいいだろう。

さらに今回の作品は、「荒野の用心棒」(1964)、「ダーティハリー」(1971)、「ペイルライダー」(1985)などでイーストウッドが演じてきた暴力の応酬を是としてきたキャラクターを踏まえた上での「許されざる者」(1992)から「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)へとつづく人生の決着のつけ方というテーマ。また、「アウトロー」(1976)や「センチメンタル・アドベンチャー」(1982)、「パーフェクト・ワールド」(1993)で描き出してきた疑似家族形成の物語というテーマなど、今までのイーストウッドの連綿とつづいてきたキャリアを様々な形で想起させる展開にもなっている。

また、たなびく星条旗が印象的に映し出されるように、西部劇から戦争劇(「父親たちの星条旗」2006)へとつづくアメリカの歴史という俯瞰的視点をも内包していて、まさにイーストウッドの集大成ともいえる作品になっている。

それらが重層的に折り重なった上でのラストの幕引きは思わずあっけに取られてしまうのだけども、なんとも一言では言い表せないような余韻にくるまれてしまう・・。

これはイーストウッドの遺書なのか・・・。

何も難しくはない奇跡。

シンプルなつくりの中で映画の豊穣を間近に感じられ味わえる。

オイラの映画史に完璧に刻まれる一品だ。

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チェンジリング

Changeling_poster2_b212x300 出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァン、コルム・フィオール、エイミー・ライアン

監督:クリント・イーストウッド

(2008年・アメリカ・142分)WOWOW

内容:1928年ロサンゼルス。電話会社で働くシングルマザーのクリスティン・コリンズは、9歳の息子ウォルターを女手ひとつで育ててきた。が、そんなある日、ウォルターが失踪する事件が起きてしまう。5ヵ月後、ウォルターがイリノイ州で見つかったという朗報が入るが、再会したウォルターは全くの別人だった。しかし、再捜査を申し入れるクリスティンに対し、LA警察は取り入ってくれず・・・。

評価★★★★/80点

どこの国にも往々にして暗黒の歴史ってあるものだけど、これはヒドイ。

ったく北朝鮮はこれだから、、、ってアメリカかよっw!!

子供が姿を消したのに初動捜査もろくにしてくれず、腹を痛めて生んだ我が子のことを一番よく知っている母親の言うことに耳も傾けず、あげくの果てに邪魔だから精神病院に強制送りにしてしまうなんて、、、ホントに実話なのかよ!?と思わず目を疑いたくなるような、腐敗した警察権力のおぞましい剥き出しの姿はあまりにも恐ろしいものがある。

7cmも背が低くなってるんでっせ。今だったら三文記事にもなりはしないレベルだろ(笑)。

なんか見てるこっちが途中からどうでもよくなってくるというか観念して投げ出したくなっちゃったんだけど、、ただ一人、我が子を探し出してこの手で抱きしめたい、という曇りのないただ一点の思いにおいて闘いつづけるクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)の執念の姿に引きずられるように見入ってしまった。

彼女のキャラクターがアンジーと重なって見られたのは大きなポイントだったと思うし、いつものアンジーより抑え目の静かにみなぎってくるような芯の強い闘志と石のように固い忍耐力をバランスよく表現していて、彼女のキャリアの中でも最高の演技だったと思う。

そして、なんといってもイーストウッド演出の極みを堪能できるのもこの映画の強みだろう。

社会派の告発調にも、猟奇殺人のサスペンスミステリーにも、女性の強さを前面に出したフェミニズム調にも、いかようにもかじ取りができるテーマの中で、決して扇情的なペースに陥らずに母親の切実な内面に主軸を据えて丹念に描いていくイーストウッド調は至極緩やかだ。

それはロスの風景から幕を開けるオープニングに出てくるフォード車やチンチン電車のゆったりとした歩みの調べであり、イーストウッド自身の手による美しく優しい音楽とともに映画を丁寧にくるんでいる。

死刑執行までをもことさらに見届けようとする描写は容赦がないともいえるけど、見終わって思うのはこの映画にはムダな描写などひとつもないのだということ。

スマートかつ骨太で、心の髄まで余韻が染み渡ってくるような印象深い映画=傑作といってさしつかえないだろう。

21世紀に入ってからのイーストウッド映画はハズレなし、どころか全てが傑作といってもいいくらいに充実しまくっていて、しかも年を追うごとにそのレベルは上昇し、円熟の境地のさらに上のレベル、例えば黒澤明と同列に序せられるところまでイッちゃってます。

真の巨匠、、今イーストウッドに死なれたら困るわ(笑)。。

2010年3月28日 (日)

夢のシネマパラダイス530番シアター:原爆が残したもの・・・

父と暮せば

Kura 出演:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信

監督・脚本:黒木和雄

(2004年・日本・99分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:広島に原爆が投下されてから3年。図書館に勤める美津江は、愛する人たちを原爆で失い、自分だけが生き残ったことに負い目を感じながらひっそりと暮していた。そんな彼女はある日、図書館で大学助手の木下という青年と出会い、互いに惹かれあっていったが、「うちは幸せになってはいけんのじゃ」と恋心を押さえ込んでしまう。それを見かねた彼女の父・竹造は亡霊となって姿を現し、“恋の応援団長”として娘の心を開かせようとするのだが・・・。

“広島の原爆慰霊碑に記銘されている「安らかに眠って下さい。過ちは二度と繰り返しませんから。」という言葉を忘れずに受け継いでいくためには、とにかく語り継いでいくことしか道はない。”

戦争・被爆体験の記憶を風化させてはならないという声は、戦後60年が経ち、TVゲームばりのシミュレーション感覚で戦争がTV画面から流れてくることにどこか感覚が麻痺しかけている現在、特に声高に叫ばれていることだが、風化を防ぐためにはとにかく戦争体験者の悲惨な記憶を世代を越えて語り継いでいかなければならない。

風化させてはならないのならば語り継いでいかなければならない。~しなければならない、それは義務であり責任であり使命である。戦争を体験した者としての。

と、疑問のはさみ込む余地などないような当然なこととして自分なんかは考えてきたのだが、この映画を観てハッと気付かされたことがある。

それは、語り継ぐ者の苦悩とツラさだ。

思い出したくもない、他人に話したくもない悲惨な体験の記憶を吐露すること。そのエネルギーと勇気はそれを受け取る側からは計り知れないほどのものがあるのだろう。

原爆投下から3年後の広島で生きる美津江の苦悩、未来を断絶させてしまうほどの人間そのものを深くえぐる傷。

「あんときの広島では死ぬるんが自然で、生き残るんが不自然なことじゃったんじゃ。」という言葉にしばし絶句してしまう。

生き残った者としての苦しみを切々と表現した宮沢りえと、その何十倍もの苦しみを背負いながら美津江を大らかに包んでいく「恋の応援団長」原田芳雄の存在感にただただ脱帽するばかりだ。

次の世代に継いで行く、それにはもちろん受け取る次の世代の側にも義務と責任と使命が課されるわけだが、はたして語り継ぐ側とどれだけ価値観を共有できるのか、どれだけ彼らのつらく苦しい記憶を実体と重さのあるものとして受け止められるのかという問題も最近は出てきたように感じられる。

先の戦争では日本軍兵士の多くが実は餓死で亡くなっているというのは事実だが、この飽食の時代に、はたして飢餓を想像できるだろうか。以前TVで、あまりにも空腹で、炭をガリガリかじって食べたんです、という元兵士の話を聞いたが正直オイラはわけが分からなかった。だって、炭って・・・。

また、例えば、ひめゆり部隊の沖縄戦に関する語り部の証言が「退屈で飽きてしまった」などということが高校の入試問題に平気で出てしまう、今はそんな時代になってしまったのだ。

風化は日々進んでいる。

とにかくもう時間がない。次の世代に継いでいかなければならない時間が・・・。

戦後60年経って、涙を流しながらやっとで重い口を開く方もいる。戦後60年経っても、いまだに戦争の悪夢にうなされる方々がいる。

オイラの祖父はシベリア抑留を経験していたが、15年ほど前、オイラが中学生の時に交通事故であっけなく逝ってしまった。

祖父には右手の親指がなかったが、戦争で銃弾を受けたせいだと言っていた。

結局、祖父からは戦争体験らしいものを聞くことなく別れてしまったのだが、今となっては少し心残りな気もする。

シベリア抑留、オイラはほとんど分からないし知らない。

これは、問題だ。。

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黒い雨

Bnashzxau 出演:北村和夫、田中好子、市原悦子、小沢昭一、三木のり平、沢たまき

監督・脚本:今村昌平

(1989年・東映・123分)NHK-BS

評価★★★★★/90点

内容:1945年8月6日、高丸矢須子は瀬戸内海の小船の上で強烈な閃光を見た。その直後、空は見る見る暗くなり、矢須子は黒い雨を浴びてしまう。5年後、福山市に移り住んだ矢須子は、原爆症の疑いをかけられて縁談がなかなかまとまらず、彼女の面倒を見る叔父は気をもんでいた。やがて、矢須子は発病し、被爆の後遺症に悩まされる・・・。

“「正義の戦争より不正義の平和の方がマシ」という印象的なセリフがあったけど、昭和20年の日本より平成20年の日本の方がマシ、、、と今の75歳以上の後期高齢者の方々は本当に思えるんだろうか、、というのもなんだか怪しい世の中になってきちゃってるような気がしてならない。。”

自分にとってトラウマになっている映画というのは何本かあって、それは例えば「ターミネーター」だとか「オーメン」「バタリアン」など小学校低学年で見た映画が多いのだけど、その中で最強のトラウマ映画といえるのが、小1で見せられたアニメ版「はだしのゲン」。

ヤッター!アニメ見れるぜー!と意気込んで見に行ったが最後、劇場の座席が電気イスに感じられてしまうほどの苦痛を味わってしまったわけで。それはまさに永遠に続くかと思われるほどの醒めない悪夢だった・・・。

ただ小さい頃、親にこの手の反戦映画を網羅させられたのは今となっては良い経験になったと思うし、戦争という悲劇のトラウマを小学生くらいで植え付けるというのは教育上大変によろしいことだと思うので、親には感謝しております(笑)。。

んで「火垂るの墓」をはさんで「黒い雨」を観たのが小5くらいだったと思うんだけど、これがまたエライ思い出があって。

オカンに連れられてオイラと弟、妹の4人で観に行ったのだけど、劇場窓口でチケットを買って劇場に入っていったら、職員のオバちゃんが風船だとかキャラクターもののお面だとかの特典グッズをオレら兄弟にくれるわけ。

お、ラッキーと思いながら「黒い雨」が上映される2階に上がっていこうとしたっけ、そのオバちゃんが「東映アニメ祭りはそっちじゃなくて1階ですよ!」と教えてくれるわけよ(笑)。ようするにそのオバちゃんはオレらが東映アニメ祭りを見に来たんだろうと早合点してそのグッズをくれたのだろうけど、そりゃそうだよなぁ妹なんてまだ幼稚園かそこらだったんだから、まっさか今村昌平のゲテモノ作品を見に来たなんて露ほども思わないだろうよ。

しかしウチのオカンが「いいえ、黒い雨を観に来たのでこっちでいいんです!」とキッパリ。ポカーンとしてるオバちゃんの顔が今でも忘れられない・・。

とともに田中好子のオッパイを見てしまったという記憶もしっかり残ってるんだけど(笑)。

いやぁ、、、オイラが親になったら絶対に東映アニメ祭りの方を見せるよ、ウン。

ただ、ガキの時点でこの映画、半分分かって半分分からないような映画だったんだけど、胃の中を何かドス黒く熱いものがうごめき、這いずり回っているような息苦しさと圧迫感を終始感じたのはたしかだ。

電車の中で叔父さん(北村和夫)が被爆するシーンの衝撃、そして死屍累々の廃墟と化し、焼けただれた皮膚がズルリと剥け落ちてくるゾンビと化した人間たちが呻き声を上げながら方々をさまよう広島の街を、叔父さん、叔母さん(市原悦子)、矢須子(田中好子)の3人が必死で逃げ回る情景はあまりにも強烈で、川を流れてくる死体とか、道ばたに転がっている黒コゲになった死体だとか、おそらくこういう衝撃は自分の中の記憶としてずっと残っていくんだろうと思う。

つい先日、二次被爆の悲劇を描いた「夕凪の街、桜の国」の原作マンガを読んだときに、髪の毛が抜け落ちるシーンを見て、この「黒い雨」を観たときの圧迫感と同じものを感じて何とも言い表すことのできない重苦しさにとらわれてしまった。

遠い国で起きている戦争が、夕飯時のTVから流れてくるヴァーチャルなものとしか感じられない今の時代にあって、いかに戦争の悲惨さを子供たちに実感できるものとして伝えていくかというのは、戦後から3世代経った自分たちに課された大きな宿題なのかもしれない。

そういう意味では映画の果たす役割って大きいんだよなぁ。

人間、こういうことはすぐ忘れていっちゃう生き物だからな・・・。

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夕凪の街 桜の国

Ph1_yugagi20comic 出演:田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、伊崎充則、藤村志保、堺正章

監督:佐々部清

(2007年・日本・118分)2007/08/07・盛岡フォーラム

評価★★★/65点

内容:原爆投下から13年後の広島。母(藤村志保)と2人で暮らす平野皆実(麻生久美子)は、会社の同僚・打越(吉沢悠)から告られるが、原爆で死んでいった多くの人々を前にして自分だけ幸せになっていいのだろうかとためらってしまう。やがて、そんな彼女を原爆症の恐怖が襲う・・・。所かわって現在の東京。定年退職した父・旭(堺正章)と暮らしている娘の七波(田中麗奈)。ある日、父の行動を不審に思った七波は、親友の東子(中越典子)と父の後をつけるが、乗り込んだバスがたどり着いたのは広島だった・・・。

“いい映画だったな止まり。根本的に何かが足りない。。”

佐々部清という監督は、一貫して理想的な人間関係のもとにある心優しき人間ドラマを描きつづけていて、その作風はどこまでも爽やかかつ良心的、なおかつ昭和の良き時代の家族観と温かさ、懐かしさを共有しているという点では山田洋次の系譜に連なる作り手さんだと思う。

しかし、今回はその持てる特徴がアダになってしまった感が強いのではないかと思う。

こうの史代の原作を素直なほど忠実に映像化しているのは認めるが、翻っていえば100P足らずの物語をトレースすることは誰にでもできることだ。

問題は、原作でこうの史代が描く温かく優しい街並みや笑顔の絶えない人々、その表面と上っ面だけをバカ正直にトレースしてしまったことであり、その裏にある決して癒されない悲しみ、決して終わることのない憎しみと怒り、決して消えることのない記憶、つまりは広島が「ヒロシマ」になってしまった原爆という毒がすっぽり抜け落ちているのだ。

たった1発の爆弾、たった一瞬の閃光が60年間3世代にわたり刻みつける負の遺産、その重みと痛みがこの映画からは伝わってきにくい・・・。

原作を読み終わったときの読後感は、かなり精神的にズシリとくるものがあり、なんて哀しいマンガなんだと思ったものだが、この映画を観終わると、いい映画だったな止まりで終わっちゃうんだよね。

そういう意味ではかなりガッカリしたかも。。。

マンガと映画、どっちを薦めるかといったら、100%マンガの方をすすめるな。

記憶が歴史というものを形づくるとするならば、この記憶を決して風化させてはならない、決して忘れてはならない。

今も続く物語・・・。

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鏡の女たち(2002年・日本・129分)NHK-BS

 監督・脚本:吉田喜重

 出演:岡田茉莉子、田中好子、一色紗英、山本未來、室田日出男

 内容:東京郊外に住む川瀬愛(岡田茉莉子)。以前は亡き夫と娘・美和の3人で暮らしていたが、美和は娘の夏来を産むと、母子手帳だけを持って失踪した。それから24年後、その母子手帳を持った女性が見つかるが、その女性は尾上正子と名乗る記憶喪失者(田中好子)だった。実の娘か確信を持てない愛は、アメリカに住む夏来(一色紗英)を呼び寄せる。やがて、正子の記憶の断片は、3人を愛が美和を産んだ地、広島へと向かわせる・・・。

評価★★☆/50点

割れた鏡、抑揚のない語り口、泳がない視線、微動だにしないカメラ・・・。

様々なメタファーが込められているとは思いつつ、まるで能でも見せられているかのような様式美に彩られたつくりは、はっきりいって不気味以外の何ものでもない。

能面の下に覆い隠された、一瞬の閃光で焼きつくされたヒロシマの亡霊。

かがみ合わせのように表裏一体となったあの世とこの世、その死の世界に向かって開かれた窓である鏡が割れているというのは、両者の間に決定的な欠落があるということだろうか。

すなわち、生者は死者について語ることはできない、ヒロシマの真実を語ることはできないのだと。それをアイデンティティを喪失した女性たちを通して描き出そうとしたのかもしれない。

しかし、逆説的にいうならば、この映画には決定的にヒロシマというものが欠落しているともいえ、個人的には理解に苦しむ難しい映画だったというのが正直なところ・・・。

でも、語りつくせないからこそ、我々は絶えず原爆について語り継ぎ語りつくそうと努力しなければならないのかもしれない。

忘却の彼方に決して置き忘れてはならないために・・・。

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TOMORROW 明日(1988年・日本・105分)NHK-BS

 監督・脚本:黒木和雄

 出演:桃井かおり、南果歩、仙道敦子、黒田アーサー、佐野史郎、原田芳雄

 内容:昭和20年8月8日の長崎。結婚式が執り行われていたある家では、肺病で兵役を免除された花婿と看護婦の花嫁を、両家の家族が祝福していた。花嫁の姉は臨月のお腹を抱え、花婿の友人は戦場で捕虜を見殺しにしたことを悔やみ、花嫁の妹は召集令状を手にうろたえる恋人を慰める。やがて姉が産気づき、難産の末、明け方に小さな命が誕生した。そして8月9日・・・。

評価★★★☆/70点

「どうやって子供はできるの?」という少年の問いかけに対し、「こうやってできるんだよ」というのを丹念に綴った夏の一日、、、1945年8月8日。

少年は性に目覚め、乙女は恋に恋焦がれ、花嫁は花婿と結婚式をあげ、女は男と結ばれ、子供を出産し、女は母になり男は父になる。

「アメリ」(2001)で、アメリが「今この瞬間に愛を交わし合い絶頂を迎えているカップルはどのくらいいるんだろう・・」と想像するシーンがあるけど、そうやって日々生命は紡がれ、次の世代につながっていく。

そうやって家族というものはできていくのだ。

「どうやって子供はできるの?」「こうやってできるんだよ」

その日常が、一瞬で霧のごとく消されてしまうラストの衝撃はあまりにも重い。

連綿とつながれてきた彼らの生の営みがブツリと断絶されてしまうことが最初から予定調和として分かっている映画、、、それをはたして映画と呼んでいいのだろうか。

いや、そんな映画があっていいはずがない。こんな恐ろしい映画があっていいはずがない。

彼らに明日が来ないことをはじめから知っている映画なんて・・・。

と同時に核兵器の恐ろしさをこれほど如実に描き出した映画もないこともまたたしかなのだ。

閃光が走る直前に映し出される路地裏で遊ぶ子供たちの楽しそうな姿が目に焼きついて離れない。

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