お気に入り

最近のトラックバック

2019年10月10日 (木)

夢のシネマパラダイス6番シアター:青春ガチンコグラフィティ

ちはやふる-上の句-/-下の句-

Bca791ba8d4dee01dd5bfa0122c95178095e2e06

出演:広瀬すず、野村周平、新田真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、清水尋也、松岡茉優、松田美由紀、國村隼

監督・脚本:小泉徳宏

(2016年・東宝・上111分/下102分)WOWOW

内容:小学生の時に転校生の新&幼なじみの太一と競技かるたにのめり込んだ千早。卒業とともに3人はバラバラになったものの、かるたを続けていれば再会できると信じる千早は、高校でかるた部の創設に乗り出す。そこで同じ高校に進学していた太一と再会し、2人で部員集めに奔走。やがて古典オタクの女子・かなちゃん、小学生かるた全国準優勝の肉まんくん、秀才の机くんの勧誘に成功し、晴れてかるた部が誕生する。そして千早は全国大会優勝という新たな決意に燃えるのだった。

評価★★★☆/70点

上の句★4つ、下の句★3つ。

花びらがひらひらと舞い散る桜並木から始まる映画に悪い映画なんてあるわけがない(笑)。

今作も爽やかな青春映画として魅力ある作品になっていて、運動部のようなむさ苦しさのない和物の文化部を舞台にしながら、ベタなスポ根要素の熱さも加味したバランスの良さはかなり新鮮。

さらに、主人公が競技かるたの試合後に白目をむいて爆睡するというようなチープな漫画的要素も、登場人物の巧みなキャラクター造形とそれを演じる若手俳優陣の魅力も相まって上手く処理されているのも良い。

特に広瀬すずの素晴らしさは今更ながらに実感したかんじ。中でも対戦中の眼光の鋭さは印象的で、それがあっての白目落ちがちゃんとボケとして成立しているので面白く見られるんだよね。

けれど、上の句は団体戦、下の句は個人戦と色分けされてはいるものの、どう考えても1作にまとめられただろうとは思った(笑)。

特に上の句のラストで、かるたはもうやらない!と宣言した新が下の句のメインになるのかと思いきや、あくまでも勝負の土俵に上がろうとしない新がやっとで重い腰を上げるのがエンドロールって、、正直ガックリ。。孤高のクイーンしのぶ(松岡茉優)のキャラが良かっただけにちょっと消化不良・・。まぁ、上の句で描くことはやりきった感がやっぱりあるんだよね。。

でも、かるた部5人のキャラはこの映画最大の“ラッキーボーイ”机くんをはじめ各々個性が立ってて面白かったので、年を経ての続編はあっていいかも。

 -----------------------

おっぱいバレー

Main_large 出演:綾瀬はるか、青木崇高、仲村トオル、石田卓也、大後寿々花、福士誠治、光石研、市毛良枝

監督:羽住英一郎

(2008年・日本・102分)WOWOW

内容:1979年の北九州。中学校の新任国語教師・美香子は、男子バレー部の顧問を任される。が、キモ部と評される通り、部員たちはバレーボールすらまともに触ったことがなく、エッチなことしか興味がない脳タリンばかり。そんな彼らのやる気を出そうとした美香子だったが、ひょんなことから「試合に勝ったら、おっぱいを見せる」というとんでもない約束をするハメになってしまう。そしたっけ単純バカ部員たちは別人のようにやる気を見せ始め・・・。

評価★★★★/80点

実に清々しい作品だ。

おっぱいを連呼連発しておきながら実に爽やか。しかも「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」をも凌ぐレベルで。。

それはつまるところ第三者(物語の登場人物しかり監督をはじめとする作り手しかり)の悪意がこの映画にはないことに尽きると思うのだけど、とにかくおっぱいを見たいという動機付けオンリーで映画を引っ張っていくバカさ加減は逆にあっぱれ。キモ部とバカにされる落ちこぼれ童貞男子の脳内レベルから逸脱することがない愛すべきおバカ映画である。

しかし、童貞くんでもインターネットでポチッとクリックすればおっぱいを見られる今の世の中ではおっぱいは希望のかたまりにはなりえない。。

その点で橋の下に落ちているしなびたエロ本と11PMしかなかった昭和54年を舞台設定にしたのは大正解!昭和53年生まれの自分は珠玉の名曲をバックグラウンドに懐かしい香りに包まれながら見ることができて幸せですた。

ちなみに自分のノスタルジー心を最も刺激したのは、雨が降ったせいで女子の体操着が濡れてブラがスケスケになっている場面だったことを記しておこう・・。

オトコって単純。ハイ、そうですww

 -----------------------

ガチ☆ボーイ

Img080306 出演:佐藤隆太、サエコ、向井理、仲里依紗、宮川大輔、泉谷しげる

監督:小泉徳宏

(2007年・東宝・120分)CS

内容:とある大学。安全第一を是とするプロレス研究会に五十嵐良一という学内屈指の優等生が入門してきた。せわしなくメモを取りながら練習に励む五十嵐だったが、肝心の段取りがまるで覚えられない。そんな中、商店街でのデビュー戦で案の定段取りを忘れた五十嵐は掟破りのガチンコファイトをしてしまい、一躍人気レスラーに。しかし、そんな五十嵐には深刻な秘密があった・・・。

評価★★★★/80点

K-1やボクシングは好きで見るけど、出来合いのストーリー性の中で繰り広げられる筋肉ムキムキのエンタメお遊戯ショーにしか見えないプロレスは面白くなくて燃えないから見ない。

そんな自分が初めてプロレスの試合に燃えた。熱く燃えまくった

司法試験に受かったくせにプロレスの段取りは覚えられなくてカンニングしてしまうというガリガリの五十嵐(佐藤隆太)のキャラがそれ自体コメディとして面白かっただけに、まさかその裏に、眠るとその日のことを全て忘れてしまう高次脳機能障害というシリアスな記憶障害ネタが隠れていたとは思いもよらず・・・。

プロレスのみならず朝起きてからの一分一秒を否が応にもガチンコ勝負せざるを得ない五十嵐の奮闘に、日々のんべんたらりんと生きてる自分が喝を入れられたような、そんな感動を味わうことができた作品だった。

また、記憶障害を単なるあざといダシネタに終わらせずに、真摯かつ妥協なく描いているという点でも、「タイヨウのうた」(2006)で難病ネタを扱いながら丁寧な筆致が印象的だった小泉徳宏監督の演出は今回も健在で好印象。

あとは、やっぱなんといっても佐藤隆太だな。深刻な秘密を覆い隠さんばかりの満面の笑顔は見ていてツラクなってくるほどだったけど、佐藤隆太の長所がうまくハマッたかんじで、ガチの熱演を見せてくれていたと思う。

頭ではなく、身体で覚えた記憶で生きる実感を取り戻そうとする五十嵐のガチンコの生きざま。

はたして自分は生きる実感をしっかり持っているのだろうか。それすらビミョーだ・・

 -----------------------

ウォーターボーイズ

Image01 出演:妻夫木聡、玉木宏、平山綾、眞鍋かをり、竹中直人、杉本哲太、谷啓、柄本明

監督:矢口史靖

(2001・東宝・91分)仙台第一東宝

内容:部員が男ひとりという唯野高校水泳部に突如やって来た美人女性教師佐久間先生。すると彼女目当てに男どもがこぞって入部してくるが、佐久間先生は満面の笑みで「シンクロやって文化祭で発表しまーす!」と言い出してしまう。結局それを聞いた男どもはこぞって退部していく。残ったのはたったの5人、、、はてさて。。

評価★★★☆/70点

理屈抜きで面白いです。てか理屈で見たらダメなんですね。

眞鍋かをり先生が「有象無象が寄り集まってるだけじゃない」とおっしゃってたように、こういうのは頭ん中カラッポにして見ないと。どっかのお笑い番組でも見てるかんじで見るのが正解。

要は映画じゃない。記号でしょこれって。さらに言えば、マンガでしょ。この映画でリアリティといったら柄本明くらいなもんだし(笑)。だって竹中直人が出てるっつうだけで予想はつくw

ただ、唯一許せないのは、妻夫木が最後躊躇すること。

お笑い番組で芸人さんが躊躇することなんて普通ないだろー。なのに何で恥ずかしがるんだよ。その後のシンクロ演技で綾ちゃんに堂々と迫ってるくせに。あそこでフツーの心理描写を持ってくるなっつーの。

けどなんだかんだ言ってこういう映画もたまにはイイよね。

2019年8月 3日 (土)

夢のシネマパラダイス530番シアター:原爆が残したもの・・・

母と暮せば

D0_hzneucaicqbd出演:吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、小林稔侍、橋爪功

監督・脚本:山田洋次

(2015年・松竹・130分)WOWOW

内容:長崎に原爆が投下された昭和20年8月9日、医大生の浩二は一瞬にしてこの世からいなくなった。夫を病気で、長男を南方戦線で亡くしている母親の伸子は、次男坊はどこかで生きていると思いながら助産婦の仕事をしながら一人で暮らしていた。浩二の婚約者だった町子はそんな伸子のことを気にかけ、足繁く訪ねてくれていた。そして3年目の8月9日、伸子の前にひょっこり浩二の幽霊が現われる。そして2人は思い出話に花を咲かせるのだった・・・。

評価★★★☆/70点

終戦から70年経ち、今や戦地に行った兵士たちは年齢的に考えてもほとんどいない世の中になってしまった。13歳の時に終戦を迎えたという山田洋次もすでに85歳。

銃後の世代でさえもはや危うい。自分が思っている以上にあの戦争は風化してしまっているのだと思う。そして高齢になっても精力的に映画を撮り続ける山田洋次にとって最近のきな臭い世の中の風潮もあいまって撮らずにはいられなかったのだろう。

昭和15年の東京を舞台にした「母べえ」(2007)で市井の人々のささやかな幸せを喰いつぶしていく不気味な戦時の空気を描いていたけど、今回は数多の生命を一瞬で消し去った原爆投下から3年後の長崎を舞台に、いまだ消えることなく日常に刻まれた傷跡を描き出した。

広島が舞台の「父と暮せば」と対になった作りになっていて、生き残った者の負い目というテーマは同じなのだけど、生き残った自分は幸せになってはいけないんだと自問自答する娘の痛々しさが心に刺さった「父と暮せば」と比べると、今回は母と息子というマザコンすれすれの親子愛とキリスト教の死生観が根本にあるために若干メッセージ性が甘めの方向に出てしまった感はあるかなとは思う。

けど、原爆を語り継ぐことをライフワークとしてきた吉永小百合の演技は心に響くものがあったし、菩薩のような彼女でさえも「どうしてあの娘だけが幸せになるの?」と呪詛の言葉を吐かざるを得ないところに、戦争・原爆のもたらした虚しさとおぞましさが胸をついた。

あとは何といってもたった2カットで表現した原爆投下直後の惨劇シーンだろう。

医科大の教室内がビカッと真っ白に光った後に万年筆のインク瓶がトロトロと溶けていき、ガラス片の粉塵が猛烈な爆風で吹きすさび真っ暗闇に覆われていく、、、そのあまりの衝撃に何も言葉が出てこなかった。

山田洋次渾身の一作になったといっていいだろう。

ただ、映像から色や温度は伝わってきても匂いまではあまり伝わってこなくて、戦争を知る最後の世代の山田洋次でさえも描き切れないところに風化の恐ろしさを感じてしまったことも付け加えておきたい。

 -------------------------

父と暮せば

Kura 出演:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信

監督・脚本:黒木和雄

(2004年・日本・99分)NHK-BS

評価★★★★/80点

 

内容:広島に原爆が投下されてから3年。図書館に勤める美津江は、愛する人たちを原爆で失い、自分だけが生き残ったことに負い目を感じながらひっそりと暮していた。そんな彼女はある日、図書館で大学助手の木下という青年と出会い、互いに惹かれあっていったが、「うちは幸せになってはいけんのじゃ」と恋心を押さえ込んでしまう。それを見かねた彼女の父・竹造は亡霊となって姿を現し、“恋の応援団長”として娘の心を開かせようとするのだが・・・。

“広島の原爆慰霊碑に記銘されている「安らかに眠って下さい。過ちは二度と繰り返しませんから。」という言葉を忘れずに受け継いでいくためには、とにかく語り継いでいくことしか道はない。”

戦争・被爆体験の記憶を風化させてはならないという声は、戦後70年が経ち、TVゲームばりのシミュレーション感覚で戦争がTV画面から流れてくることにどこか感覚が麻痺しかけている現在、特に声高に叫ばれていることだが、風化を防ぐためにはとにかく戦争体験者の悲惨な記憶を世代を越えて語り継いでいかなければならない。

風化させてはならないのならば語り継いでいかなければならない。~しなければならない、それは義務であり責任であり使命である。戦争を体験した者としての。

と、疑問のはさみ込む余地などないような当然なこととして自分なんかは考えてきたのだが、この映画を見てハッと気付かされたことがある。

それは、語り継ぐ者の苦悩とツラさだ。

思い出したくもない、他人に話したくもない悲惨な体験の記憶を吐露すること。そのエネルギーと勇気はそれを受け取る側からは計り知れないほどのものがあるのだろう。

原爆投下から3年後の広島で生きる美津江の苦悩、未来を断絶させてしまうほどの人間そのものを深くえぐる傷。

「あんときの広島では死ぬるんが自然で、生き残るんが不自然なことじゃったんじゃ。」という言葉にしばし絶句してしまう。

生き残った者としての苦しみを切々と表現した宮沢りえと、その何十倍もの苦しみを背負いながら美津江を大らかに包んでいく「恋の応援団長」原田芳雄の存在感にただただ脱帽するばかりだ。

次の世代に継いで行く、それにはもちろん受け取る次の世代の側にも義務と責任と使命が課されるわけだが、はたして語り継ぐ側とどれだけ価値観を共有できるのか、どれだけ彼らのつらく苦しい記憶を実体と重さのあるものとして受け止められるのかという問題も最近は出てきたように感じられる。

先の戦争では日本軍兵士の多くが実は餓死で亡くなっているというのは事実だが、この飽食の時代に、はたして飢餓を想像できるだろうか。以前TVで、あまりにも空腹で、炭をガリガリかじって食べたんです、という元兵士の話を聞いたが正直自分はわけが分からなかった。だって、炭って・・・。

また、例えば、ひめゆり部隊の沖縄戦に関する語り部の証言が「退屈で飽きてしまった」などということが高校の入試問題に平気で出てしまう、今はそんな時代になってしまったのだ。

風化は日々進んでいる。

とにかくもう時間がない。次の世代に継いでいかなければならない時間が・・・。

戦後70年経って、涙を流しながらやっとで重い口を開く方もいる。戦後70年経っても、いまだに戦争の悪夢にうなされる方々がいる。

自分の祖父はシベリア抑留を経験していたが、中学生の時に交通事故であっけなく逝ってしまった。

祖父には右手の親指がなかったが、戦争で銃弾を受けたせいだと言っていた。

結局、祖父からは戦争体験らしいものを聞くことなく別れてしまったのだが、今となっては少し心残りな気もする。

シベリア抑留、ほとんど分からないし知らない。

これは、問題だ。。

 ------------------------

黒い雨

Bnashzxau 出演:北村和夫、田中好子、市原悦子、小沢昭一、三木のり平、沢たまき

監督・脚本:今村昌平

(1989年・東映・123分)NHK-BS

評価★★★★★/90点

 

内容:1945年8月6日、高丸矢須子は瀬戸内海の小船の上で強烈な閃光を見た。その直後、空は見る見る暗くなり、矢須子は黒い雨を浴びてしまう。5年後、福山市に移り住んだ矢須子は、原爆症の疑いをかけられて縁談がなかなかまとまらず、彼女の面倒を見る叔父は気をもんでいた。やがて、矢須子は発病し、被爆の後遺症に悩まされる・・・。

“「正義の戦争より不正義の平和の方がマシ」という印象的なセリフがあったけど、昭和20年の日本より平成20年の日本の方がマシ、、、と今の後期高齢者の方々は本当に思えるんだろうか、、というのもなんだか怪しい世の中になってきちゃってるような気がしてならない。。”

自分にとってトラウマになっている映画というのは何本かあって、それは例えば「ターミネーター」だとか「オーメン」「バタリアン」など小学校低学年で見た映画が多いのだけど、その中で最強のトラウマ映画といえるのが、小1で見せられたアニメ版「はだしのゲン」。

ヤッター!アニメ見れるぜー!と意気込んで見に行ったが最後、劇場の座席が電気イスに感じられてしまうほどの苦痛を味わってしまったわけで。それはまさに永遠に続くかと思われるほどの醒めない悪夢だった・・・。

ただ小さい頃、親にこの手の反戦映画を網羅させられたのは今となっては良い経験になったと思うし、戦争という悲劇のトラウマを小学生くらいで植え付けるというのは教育上大変によろしいことだと思うので、親には感謝しております(笑)。。

んで「火垂るの墓」をはさんで「黒い雨」を見たのが小5くらいだったと思うんだけど、これがまたエライ思い出があって。

母親に連れられて自分と弟、妹の4人で見に行ったのだけど、劇場窓口でチケットを買って劇場に入っていったら、職員のオバちゃんが風船だとかキャラクターもののお面だとかの特典グッズをくれるわけ。

お、ラッキーと思いながら「黒い雨」が上映される2階に上がっていこうとしたっけ、そのオバちゃんが「東映アニメ祭りはそっちじゃなくて1階ですよ!」と教えてくれる(笑)。ようするにそのオバちゃんは自分らが東映アニメ祭りを見に来たんだろうと早合点してそのグッズをくれたのだ。そりゃそうだよなぁ妹なんてまだ幼稚園かそこらだったんだから、まっさか今村昌平のゲテモノ作品を見に来たなんて露ほども思わないだろうよ。

しかし母親が「いいえ、黒い雨を見に来たのでこっちでいいんです!」とキッパリ。ポカーンとしてるオバちゃんの顔が今でも忘れられない・・。

とともに田中好子のオッパイを見てしまったという記憶もしっかり残ってるんだけど(笑)。

いやぁ、、、自分が親になったら絶対に東映アニメ祭りの方を見せるよ、ウン。

ただ、ガキの時点でこの映画、半分分かって半分分からないような映画だったんだけど、胃の中を何かドス黒く熱いものがうごめき、這いずり回っているような息苦しさと圧迫感を終始感じたのはたしかだ。

電車の中で叔父さん(北村和夫)が被爆するシーンの衝撃、そして死屍累々の廃墟と化し、焼けただれた皮膚がズルリと剥け落ちてくるゾンビと化した人間たちが呻き声を上げながら方々をさまよう広島の街を、叔父さん、叔母さん(市原悦子)、矢須子(田中好子)の3人が必死で逃げ回る情景はあまりにも強烈で、川を流れてくる死体とか、道ばたに転がっている黒コゲになった死体だとか、おそらくこういう衝撃は自分の中の記憶としてずっと残っていくんだろうと思う。

つい先日、二次被爆の悲劇を描いた「夕凪の街、桜の国」の原作マンガを読んだときに、髪の毛が抜け落ちるシーンを見て、この「黒い雨」を見たときの圧迫感と同じものを感じて何とも言い表すことのできない重苦しさにとらわれてしまった。

遠い国で起きている戦争が、夕飯時のTVから流れてくるヴァーチャルなものとしか感じられない今の時代にあって、いかに戦争の悲惨さを子供たちに実感できるものとして伝えていくかというのは、戦後から3世代経った自分たちに課された大きな宿題なのかもしれない。

そういう意味では映画の果たす役割って大きいんだよなぁ。

人間、こういうことはすぐ忘れていっちゃう生き物だから・・・。

 ------------------------

夕凪の街 桜の国

Ph1_yugagi20comic 出演:田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、伊崎充則、藤村志保、堺正章

監督:佐々部清

(2007年・日本・118分)2007/08/07・盛岡フォーラム

評価★★★/65点

 

内容:原爆投下から13年後の広島。母(藤村志保)と2人で暮らす平野皆実(麻生久美子)は、会社の同僚・打越(吉沢悠)から告られるが、原爆で死んでいった多くの人々を前にして自分だけ幸せになっていいのだろうかとためらってしまう。やがて、そんな彼女を原爆症の恐怖が襲う・・・。所かわって現在の東京。定年退職した父・旭(堺正章)と暮らしている娘の七波(田中麗奈)。ある日、父の行動を不審に思った七波は、親友の東子(中越典子)と父の後をつけるが、乗り込んだバスがたどり着いたのは広島だった・・・。

“いい映画だったな止まり。根本的に何かが足りない。。”

佐々部清という監督は、一貫して理想的な人間関係のもとにある心優しき人間ドラマを描きつづけていて、その作風はどこまでも爽やかかつ良心的、なおかつ昭和の良き時代の家族観と温かさ、懐かしさを共有しているという点では山田洋次の系譜に連なる作り手さんだと思う。

しかし、今回はその持てる特徴がアダになってしまった感が強いのではないかと思う。

こうの史代の原作を素直なほど忠実に映像化しているのは認めるが、翻っていえば100P足らずの物語をトレースすることは誰にでもできることだ。

問題は、原作でこうの史代が描く温かく優しい街並みや笑顔の絶えない人々、その表面と上っ面だけをバカ正直にトレースしてしまったことであり、その裏にある決して癒されない悲しみ、決して終わることのない憎しみと怒り、決して消えることのない記憶、つまりは広島が「ヒロシマ」になってしまった原爆という毒がすっぽり抜け落ちているのだ。

たった1発の爆弾、たった一瞬の閃光が60年間3世代にわたり刻みつける負の遺産、その重みと痛みがこの映画からは伝わってきにくい・・・。

原作を読み終わったときの読後感は、かなり精神的にズシリとくるものがあり、なんて哀しいマンガなんだと思ったものだが、この映画を見終わると、いい映画だったな止まりで終わっちゃうんだよね。

そういう意味ではかなりガッカリしたかも。。。

マンガと映画、どっちを薦めるかといったら、100%マンガの方をすすめるな。

記憶が歴史というものを形づくるとするならば、この記憶を決して風化させてはならない、決して忘れてはならない。

今も続く物語・・・。

 ------------------------

ひろしま(1953年・日本・104分)WOWOW

 監督:関川秀雄

 出演:岡田英次、原保美、加藤嘉、山田五十鈴、月丘夢路

 内容:昭和28年夏の広島。高校教師北川が受け持つクラスで、授業中に女子生徒が鼻血を出して倒れた。それは原爆の放射能による白血病が原因で、このクラスでは生徒の3分の1が被爆者だった。8年前のあの日、彼らが見たもの体験したこととは・・・。8万人を超す広島市民がエキストラとして参加し、原爆投下直後の広島を再現。ベルリン国際映画祭で長編劇映画賞を受賞。しかし、大手配給元がGHQに忖度して反米的な描写シーンのカットを製作側に要求するも折り合わず、一般公開が中止になったことで、長らく日の目をみることがなかった幻の作品。

評価★★★★☆/85点

原爆を扱った映画というと真っ先に思い浮かぶのが今村昌平監督の「黒い雨」とアニメ映画「はだしのゲン」で、小学生時分に見たこともあってトラウマともいうべき強烈な映画体験として記憶に刻まれている。

あれから約30年、最近ではヒロシマ・ナガサキの映画をとんと見なくなってしまったのだけど、まさか60年以上前に製作され、一般公開されることなくお蔵入りになっていた原爆の映画があったとは驚きだったし、なにより今回初めて見て、その凄絶すぎる映像に衝撃を受けた。

特に原爆投下直後の広島の惨状を映し出した30分以上のシーンは今まで見た原爆映画の中で最も生々しく直視に堪えないものだった。

3ヘクタールのオープンセットを作り80棟に及ぶ家屋や電車を燃やし、黒焦げに焼き尽くされガレキに埋まる街の様子を映像化したそうで、使われたガレキは原爆で生じた実物だったそうだ。

しかし、なによりこの地獄絵図が真に迫り心に突き刺さるのは、阿鼻叫喚の修羅場を彷徨する群衆を演じているのが一般市民のエキストラで、その中には実際の被爆者も多くいたということで、原爆の恐ろしさや被爆の苦しみ、その一人一人の思いや声が画面から圧倒されんばかりに伝わってくることにある。

しかもこれが原爆投下からたった8年後に地元で作られたというのが凄いところで、それこそ戦争と天災の違いはあれど東日本大震災での惨状をここまで克明に描けるかと考えると、今回の映画のもの凄さはある意味常軌を逸しているとまで言えると思う。

しかし、それが政治的圧力で未公開になってしまったというのは本当に悲劇としか言いようがないけど、記憶をつなぎ語り継ぐという意味で全ての日本人そして世界中の人々に目をそらすことなく見てもらいたい映画だ。そういう普遍性を持ったかけがえのない作品だと思う。

P.S. 宮島のおみやげ屋さんでピカドン土産として原爆で亡くなった人々の頭蓋骨(一応セリフではレプリカに決まってるだろうと言っていたが・・)が売られていたり、その後のシーンで戦災孤児が掘り出した本物の頭蓋骨を米兵に売ろうとするシーンがあったけど、これって実話だそう・・。

他にも墨汁のような黒い雨や、被爆直後の灼熱地獄から逃れるために飛び込んだ川で女学生たちが「君が代」を歌うところなど本当に脳裏に焼き付くようなシーンの連続する映画だった。

 ------------------------

鏡の女たち(2002年・日本・129分)NHK-BS

 監督・脚本:吉田喜重

 出演:岡田茉莉子、田中好子、一色紗英、山本未來、室田日出男

 内容:東京郊外に住む川瀬愛(岡田茉莉子)。以前は亡き夫と娘・美和の3人で暮らしていたが、美和は娘の夏来を産むと、母子手帳だけを持って失踪した。それから24年後、その母子手帳を持った女性が見つかるが、その女性は尾上正子と名乗る記憶喪失者(田中好子)だった。実の娘か確信を持てない愛は、アメリカに住む夏来(一色紗英)を呼び寄せる。やがて、正子の記憶の断片は、3人を愛が美和を産んだ地、広島へと向かわせる・・・。

評価★★☆/50点

割れた鏡、抑揚のない語り口、泳がない視線、微動だにしないカメラ・・・。

様々なメタファーが込められているとは思いつつ、まるで能でも見せられているかのような様式美に彩られたつくりは、はっきりいって不気味以外の何ものでもない。

能面の下に覆い隠された、一瞬の閃光で焼きつくされたヒロシマの亡霊。

かがみ合わせのように表裏一体となったあの世とこの世、その死の世界に向かって開かれた窓である鏡が割れているというのは、両者の間に決定的な欠落があるということだろうか。

すなわち、生者は死者について語ることはできない、ヒロシマの真実を語ることはできないのだと。それをアイデンティティを喪失した女性たちを通して描き出そうとしたのかもしれない。

しかし、逆説的にいうならば、この映画には決定的にヒロシマというものが欠落しているともいえ、個人的には理解に苦しむ難しい映画だったというのが正直なところ・・・。

でも、語りつくせないからこそ、我々は絶えず原爆について語り継ぎ語りつくそうと努力しなければならないのかもしれない。

忘却の彼方に決して置き忘れてはならないために・・・。

 ------------------------

TOMORROW 明日(1988年・日本・105分)NHK-BS

 監督・脚本:黒木和雄

 出演:桃井かおり、南果歩、仙道敦子、黒田アーサー、佐野史郎、原田芳雄

 内容:昭和20年8月8日の長崎。結婚式が執り行われていたある家では、肺病で兵役を免除された花婿と看護婦の花嫁を、両家の家族が祝福していた。花嫁の姉は臨月のお腹を抱え、花婿の友人は戦場で捕虜を見殺しにしたことを悔やみ、花嫁の妹は召集令状を手にうろたえる恋人を慰める。やがて姉が産気づき、難産の末、明け方に小さな命が誕生した。そして8月9日・・・。

評価★★★☆/70点

「どうやって子供はできるの?」という少年の問いかけに対し、「こうやってできるんだよ」というのを丹念に綴った夏の一日、、、1945年8月8日。

少年は性に目覚め、乙女は恋に恋焦がれ、花嫁は花婿と結婚式をあげ、女は男と結ばれ、子供を出産し、女は母になり男は父になる。

「アメリ」(2001)で、アメリが「今この瞬間に愛を交わし合い絶頂を迎えているカップルはどのくらいいるんだろう・・」と想像するシーンがあるけど、そうやって日々生命は紡がれ、次の世代につながっていく。

そうやって家族というものはできていくのだ。

「どうやって子供はできるの?」「こうやってできるんだよ」

その日常が、一瞬で霧のごとく消されてしまうラストの衝撃はあまりにも重い。

連綿とつながれてきた彼らの生の営みがブツリと断絶されてしまうことが最初から予定調和として分かっている映画、、、それをはたして映画と呼んでいいのだろうか。

いや、そんな映画があっていいはずがない。こんな恐ろしい映画があっていいはずがない。

彼らに明日が来ないことをはじめから知っている映画なんて・・・。

と同時に核兵器の恐ろしさをこれほど如実に描き出した映画もないこともまたたしかなのだ。

閃光が走る直前に映し出される路地裏で遊ぶ子供たちの楽しそうな姿が目に焼きついて離れない。

2018年5月 3日 (木)

夢のシネマパラダイス302番シアター:お上に盾突くとは身の程知らずも大概にせい特集w

殿、利息でござる!

20160407103806出演:阿部サダヲ、瑛太、寺脇康文、きたろう、千葉雄大、西村雅彦、中本賢、妻夫木聡、竹内結子、羽生結弦、松田龍平、草笛光子、山崎努

監督・脚本:中村義洋

(2016年・松竹・129分)WOWOW

内容:江戸時代中期の仙台藩吉岡宿。藩から課される重税のため、百姓や町人の中には破産し夜逃げする者が後を絶たなかった。町の行く末を案じる造り酒屋の十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の篤平治(瑛太)からあるアイデアを打ち明けられる。それは、藩に大金を貸し付け、その利息で町の使役をまかなうというトンでもない奇策だった。必要な資金は千両(3億円)。話に乗った十三郎は出資者を集め始めるが・・・。

評価★★★/65点

物語の舞台となる吉岡宿、実は母親の実家の近所にありまして、えっ!?特に何もないあんな田舎の地区wが歴史ものの映画の舞台になるの!?とにわかには信じがたい目で見たんだけど、掘り起こせばあるんだねぇ色々な歴史が。

まさか百姓がお殿様に3億貸し付けるなんてことが本当にあったなんて。しかも1人3千万って豪農クラスになるとそこまでの大金持ってたのかと思うとビックリ

でも、この映画で描かれる“無私の日本人”っていかにも東北人らしいというか、岩手出身者としてなんか分かるなぁと思いつつ見てしまった。

地域のコミュニティを守るために見返りを求めない無私の精神-つつしみの心-で行動する。

個人の即物的な欲求ばかりがまかり通り、地域のつながりが低くなってきた今の日本ではあまり考えられないことだけど、東北人の中にはそういう公共に対する責任感とか共助の美徳がまだ根付いている部分があって、それこそ東日本大震災を見ても分かるように、お互い様の精神性がまだまだ残っているのだと思う。

まぁ、裏を返せば日本人独特の恥の文化が東北では色濃くあるということなのかもしれないけども。

しかし、そのためか登場人物が全員善人すぎてあまりにもつっかえる所がなくて逆に物足りなさも・・・。この生真面目さも東北人らしいとこだけど、もうちょいコメディ寄りでもよかったかも。

よしっ、今度吉岡通ったら今もあるという酒屋さんのぞいてみよっと♪

 -----------------------

県庁の星

Kencyo 出演:織田裕二、柴咲コウ、佐々木蔵之介、和田聰宏、紺野まひる、益岡徹

監督:西谷弘

(2006年・東宝・131分)盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:K県庁の35歳のエリート公務員、野村聡。ある時彼は、県政の目玉プログラムである民間企業との人事交流研修のメンバーに選ばれる。ところが、派遣されたのは田舎の三流スーパー「満天堂」。しかも、野村のお目付け役は、24歳のパート女性店員だった。プライドが高く、書類とマニュアル優先の仕事しか知らない野村はことあるごとに彼女と衝突してしまう・・・。

“県庁の何十階という高さから町を見下ろすことに慣れきった男が、3階建てスーパーから見るものとは!?”

民間の三流スーパーに派遣された“県庁の星”と期待されていたエリート公務員が、三流スーパーをどう改革するのか、というところからお話的に「スーパーの女」のようなハウツーものに流れていくのかと思っていたのだけど。。

しかし、あくまでも視点は織田裕二扮する野村聡の意識や心といった人間性に終始寄り添って、その変容の過程を主眼に描いていったのがなんとも秀逸だった。

形のみにこだわる公務員体質の野村が、“個人の顔”を直視し本当のマンパワーというものに気付いていくプロセスは見ていて面白かったし、妙に納得させられることしきりだった。

変革というのは制度や仕組み、システムを変えても、そこで働く人たちの意識が変わらなければただの形だけのものになり何の意味もないのだ、ということを身をもって経験した野村の晴れやかな表情が印象的だ。

やっぱ人間、一度奈落の底に落ちないと変わらないのかなぁ。自分みたいに奈落の底に落ちたまま這い上がれないカワイソス人間もいるけど・・

でも、一方では、なんかこの映画、出来レースぽいかんじもスゴイしたんだよね。

それは、要は野村という男の仕事に対する意識、ヤル気、スキルが半端ないくらい高いということに行き着くのだけども。

企画提案能力、情報処理能力、語学力(外国人従業員にそれぞれの言語でマニュアル本を作っちゃうんだから恐れ入る・・・)、書類作成能力、交渉力、計画力etc..ホンマにすきのないプロ中のプロやん。自分が持ち合わせてないものばかり・・

やっぱキャリア組って元から違うのね。。適当にやって半年ガマンすればいいんだ、と言いながらやってることはスゲェじゃねえか(笑)。生っ粋の目立ちたがり屋さんだし。

環境適応能力がちょっと不足していたのと過剰な自信の塊で覆われていたくらいなもので、マイナス要素と呼べるのは。逆にスーパー従業員の方がやる気あるの?みたいな。遅かれ早かれ改革されるだろこれは、と思っちゃう。とまぁ、そんな穿った見方もしちゃったんだけど。。

県庁の何十階という高さから町を見下ろすことに慣れきった男、その目線で民間へ行ってしまった男が、ほんのちょっと視線と目線を変えるだけで大事なコトに気付かされる。

それだけで意識は劇的に変わるのだということ、あとは彼の持ち合わせているプロなみの能力を適材適所で引き出していけば従業員の意識改革も含めて事はスムーズに運んでいくわけで、、改革順調!メデタシメデタシ。

ただ、大事なコトに気付かせてくれたのは、パート店員である二宮をはじめとするスーパーの皆だった。

官vs民バトルではなく官・民が相互に補い合って持ちつ持たれつガンバっていこーー♪で一件落着!

 -----------------------

金融腐蝕列島【呪縛】

Title1 出演:役所広司、椎名桔平、矢島健一、遠藤憲一、仲代達矢、根津甚八、風吹ジュン、若村麻由美

監督:原田眞人

(1999年・東映・115分)仙台フォーラム

内容:総会屋への多額の利益供与が発覚した朝日中央銀行に東京地検特捜部の捜査のメスが入る。経営陣はパニックに陥り、政財界の大物でもある黒幕、佐々木取締相談役の顔色ばかりをうかがう有り様。そんな上層部の態度に奮起した企画本部副部長で佐々木相談役の娘婿でもある北野をはじめとするミドル層と呼ばれる中堅行員たちは、銀行の悪しき因習を断ち切るべく再建のための改革を断行しようと立ち上がる。。

評価★★★★/80点

映画見てる最中、人物の立ち位置を異様なまでに意識させられたのはこれが初めてだ。なんか壮大な舞台劇を見たような気分。

改革を断行しようとする中堅組、自分たちの体裁を守ろうと組織のしがらみから抜け出せない上層部、皮肉たっぷりに描かれるマスコミ、この三者三様がめまぐるしく交錯してテンポも速く、アクション映画よりもアクション映画ぽかった。

 -----------------------

どら平太(2000年・日本・111分)NHK-BS

 監督:市川崑

 出演:役所広司、浅野ゆう子、宇崎竜童、片岡鶴太郎、石橋蓮司、石倉三郎、菅原文太

 内容:ある小藩の町奉行に着任した望月小平太は、その豪快ぶりから“どら平太”というあだ名までつく型破りな役人。彼はこの藩の壕外と呼ばれる売春や賭博が横行する藩の吹きだまり地区で権力を握る3人の親分の不正を正すべく動き出すが・・・。黒澤明、木下恵介、市川崑、小林正樹によって結成された「四騎の会」の第1回作品として共同執筆されながらもお蔵入りになっていた山本周五郎原作の時代劇を市川崑が映画化。

評価★★★/60点

“伏魔殿とやらはどこへやら。なぁんだ、実はみんないい奴じゃん・・・。”

この映画、現代の日本の政治と照らし合わせてみると意外に面白いかも。

ある小藩。ま、永田町のどこぞやの党ですか。改革を謳うどこぞやの首相が殿。

しかし改革をやるぞ!やります!やる!と言うだけで何ら行動しないお殿さま。一応、望月小平太を改革担当大臣に据える。んで改革実行は小平太に任せっきりでお殿様は最後まで姿を見せず。

そう、この映画、、お殿様が出てこない。。

一方、改革に乗り出した小平太のまわりには、いくつかの派閥に分かれてはいるが一応足並みが揃っている抵抗勢力の存在が。

上意!上意であるぞ!と叫びながら小平太は心血注いで改革に身を焦がす。

しかし殿は一向に姿を現さず。小平太は一人矢面に立って孤軍奮闘するのであった。ときにはバッサバッサと斬り捨てる痛みをともなう手段もとる小平太であったが、そこはさすがの小平太。刀の峰で討ったように命にかかわらない程度の最小限の痛みに抑えるのであった。

改革の本丸、壕外、それは悪の巣窟。汚辱と悪徳のゴミ溜め。財界、大企業、省庁、公団、社保庁、とまぁ次から次へと・・・。

しかし、一方では壕外から入ってくる献金、闇金が重要な財源となっているのもまた事実。

はたして小平太は癒着の毒の根を絶つことができるのでありましょうか。チャンチャン。

なんかこの映画の最後は内閣総辞職てなかんじで終わったけどね.とはいうものの冒頭に書いたように、なんかみんないい人になって終わるんだよね。

伏魔殿というよりは単なる馴れ合いだったか・・・。

2018年1月 4日 (木)

夢のシネマパラダイス547番シアター:日本版あの頃にタイムスリップ!

だけがいない

Poster2出演:藤原竜也、有村架純、鈴木梨央、中川翼、林遣都、福士誠治、安藤玉恵、及川光博、杉本哲太、石田ゆり子

監督:平川雄一郎

(2016年・日本・120分)盛岡フォーラム

内容:売れない漫画家・藤沼悟は、事件や事故に遭遇すると、その原因が取り除かれるまで発生直前の時点に何度もタイムスリップする“再上映(リバイバル)”と呼ぶ能力を持っていた。しかし、それは自分ではコントロールできないのでほとほと嫌気が差していたが、リバイバルがきっかけでバイト仲間の愛梨と親しくなる。そんなある日、またもやリバイバルが発生。悟が違和感の正体をつかめない中、一緒にいた母親だけが何かに気づきリバイバルは解消された。しかしその直後、母親は何者かに殺害されてしまい、悟が犯人に仕立て上げられてしまう。そして母を助けようとする悟にリバイバルが再発動。今度は20年前の小学生時代にタイムスリップしてしまう・・・。

評価★★★/65点

総じて漫画原作の実写映画化は期待ハズレに終わることが多い。あるいは漫画と映画は全くの別物ということもできるけど、今回の原作は緻密に組み立てられた構成力とキャラクター造形、完璧な伏線回収など、漫画としてはもちろんそれだけで映像媒体としてもすでに完成されたハイクオリティ作品なので、映画化もよほどのヘマをしなければ失敗しないはず、だと思っていたw

そういう点で今回の映画を見ると、雛月加代を親の虐待から助け出すところまでは、ドンピシャのキャスティングしかり風景からプロダクトデザインに至るまでの映像しかり、ビックリするくらい忠実に原作をトレースし、正直マンガを知らないで映画見てたらより面白かったかもと思ってしまうくらいほぼ完璧な仕上がり。

が、しかし、この雛月救出までに1時間半を費やしてしまい、残り30分でまるで夏休み最後の日に徹夜で溜まりにたまった宿題を大慌てで取りかかる小学生のようにあたふたと風呂敷を畳むもあえなく轟沈

第4コーナー過ぎてからのまさかの失速にこちらも撃沈しちゃったんだけど、犯人が八代先生(及川光博)ということにたどり着くのも拙速すぎだし、何より1番分かりづらくて混乱するのが1988年の世界で悟が八代に橋から川に突き落とされた後、2006年の現在に戻ってからなんだよね。

2006年に愛梨(有村架純)と河川敷で会った悟が警察に逮捕された直後にリバイバルが起きたにもかかわらず、八代に突き落とされた悟が戻ったのはそこではなく、映画の冒頭でピザ屋の配達中に小学生を助けようとしてトラックにはねられた後の病室で、しかも病室にいるのは事故を目撃していた愛梨ではなく、妊娠している加代。さらになぜか愛梨とは面識がなくなっている、と矢継ぎ早に進むので見ているこちら側は混乱するばかり。。

さらにデパートの屋上で八代と格闘して悟が首を切られるも八代は逮捕されて一件落着、かと思いきやエピローグでいきなり2016年に飛んで、お墓参りの墓石に悟の名前が、、えっ?死んだの!?と呆然とする中でジ・エンド。

例えば、愛梨と面識がないことは原作通り悟がずっと植物状態になっていたということで済む話のはずなのに、、どうなっているんだこの脚本ww

半ば見切り発車としか言いようがないラスト30分の力技にある意味ド肝を抜かれたけどw、それまでの丁寧さとかけ離れた粗雑な出来とのあまりの落差に監督2人いるのか!?といぶかってしまうくらい目が点になってしまった・・・。

リバイバルというのが普通のタイムトラベルものと異なり、意識だけが当時の自分自身に飛ぶ(あるいは当時の自分の姿になる)ところが新機軸な設定だけに、うーん、、この出来というか納め方には残念至極としか言いようがない。

タイムトラベルものはお手の物のハリウッドで実写化求ム。

 ---------------------

青天の霹靂

P1399016757866出演:大泉洋、柴咲コウ、劇団ひとり、笹野高史、風間杜夫

監督・脚本:劇団ひとり

(2014年・東宝・96分)WOWOW

内容:39歳の売れない独り身マジシャンの晴夫は、幼い頃に母に捨てられ、父親ともいまや10年以上絶縁状態だった。そんなある日、警察からホームレス状態の父の死を知らされる。遺骨を抱え、やりきれない気持ちで父の住み家だった荒川の河川敷に佇む晴夫だったが、そんな彼を一閃の雷が直撃。そして気付くと、40年前の浅草にタイムスリップしていた。やがて演芸ホールでスプーン曲げを披露して人気マジシャンとなった晴夫は、同じくマジシャンをやっていた若き日の父とその助手を務める母と出会う。そして、父とコンビを組むことになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

手品とタイムスリップという映画のモチーフに鑑みていえば、プロットの運び方、伏線の張り方、心象風景の描き方、カットバックの使い方、スローモーションや省略などの時間軸の操作、巧みなカメラワークetc..要は映画とは嘘をついていいものだという心得をしっかりわきまえた手練れの演出に満ちている。

しかしその反面、冒頭の主人公のマジックを吹き替えなしのワンカット長回しで捉えるシーンなど、映画につかみとリアリティをもたせるツボもちゃんと押さえているのも強みだ。

多少その手法に酔いすぎてクドく見えるようなシーンもあるけど、およそこれが初監督作とは思えないほどエモーショナルにあふれた非常に見やすい作品に仕上がっていたと思う。

ただ、しいて希望を挙げれば、お腹いっぱいになる前に終わっちゃったてことかなw

でもこういうのってもっと盛っちゃいたいはずだし、見る方もそれを期待している所もあるんだけども、逆に編集でバッサバッサとカットして90分弱にまとめてしまう肝っ玉の強さは、やはり大いなるセンスといわなければならないだろう。

次回作が楽しみな監督のひとりになったな。

 ---------------------

この胸いっぱいの愛を

C_b0010500579_tl_2 出演:伊藤英明、ミムラ、勝地涼、宮藤官九郎、吉行和子、愛川欽也、倍賞千恵子

監督:塩田明彦

(2005年・東宝・130分)MOVIX仙台(試写会)

評価★★☆/45点

内容:百貨店に勤める比呂志は、出張で小学生時代を過ごした北九州・門司を訪れた。しかし、何か様子が違う。新聞見ると、、えっ?1986年?20年前じゃん!タ、タイムスリップ。。ていうか、少年時代の自分にも会っちゃった・・・。そんなこんなで比呂志は実家だった旅館に住みついてしまう。そんなある日、彼は憧れだった近所の和美姉ちゃんと再会する。彼女は難病のすえこの世を去ってしまう運命にあるのだが、今ならば救えるかもしれないと比呂志は考える・・・。

“タイムパラドックスの定石を捨ててまで描き出したのがこれなの・・・?思わず失笑。”

タイムスリップする1986年という時代設定がまずはビミョー・・・。

だって昭和61年やろ。

バブル景気がちょうど幕を開けた頃だと思うのだけど、なんかイメージとしてパッとしないというか、そんな昔でもなければつい最近でもないという時代背景の中途半端さが気になった。

しかもそれに輪をかけたように伊藤英明のメインストーリーがこれまたビミョーなんだよなぁ・・・。タイムパラドックスなど眼中にないくらいお構いなしで突き進むのは大目に見るとしても、肝心要のメインストーリーに力がなかったら、ただの独りよがりなだけの映画じゃないか。。

サブストーリーである若いヤクザ(勝地涼)、老婦人(倍賞千恵子)、クドカンのエピソードの方がフツーに感情移入できただけにメインの物足りなさが一層際立ってしまった。

これは多分に失われた命を取り戻そうという事の重みに対して、シナリオに力がないのか、伊藤英明に力がないのか、あまりにも人間ドラマの描写が軽すぎるというアンバランスさに起因するように思う。

そもそも「黄泉がえり」(2002)では現世で生きる人々のもとに亡くなった大切な人が舞い降りてくるという、あちらから会いたい人がやって来るという構図なのだけど、今作ではこちらから会いに行くという構図になっている。その点ですでに作為的要素が含まれているといってもいいのだけど、この映画のメインとなるのは結局この世を去った憧れの人を救おう、生き永らえさせようとする話なわけで、そこら辺はどうも自分は胡散臭さを感じてしまった。

だって要は積極的に未来を変えて死者を甦らせようとするわけで、そこに十分な説得力、つまり死んだ者は絶対に生き返らないという命題を覆す魔力を持たせるにはやはりタイムパラドックスの定石を使っていくしかないと思うのだけど。。

しかし、この映画はそれをあえて無視した上で完全に人間ドラマに徹した感がある、、、のだが、ものの見事に肩透かしをくらったような力の無さには目を覆うばかり。

作為に満ちた独りよがりな映画とはまさにこのことを言うのではなかろうか。

ただ、塩田監督もなにやら罪滅ぼしでもしたかったのか、それとも塩田監督なりのケジメの付け方なのか、ラストに出てきた生き永らえた和美(ミムラ)の姿にはなんとも厳しすぎる年輪が刻まれていて、それまでの演出とはかけ離れていたので驚いたというか、また別な意味で肩透かしをくらっちゃった・・(笑)。なんだかわけの分からん映画だったな。。

自分が思うに、生んだ直後に亡くなってしまった母親、今まで幻だった母親に会うことになる若いヤクザ(勝地涼)の話をメインにすればそれなりに見れたのではないかと思う。命のやり取りはこの映画には重すぎる・・・。

あるいは、どうせだったらどっかの老人ホームのバスが崖下に転落しちゃうとかさ(笑)、んでその拍子に1946年にタイムスリップしちゃうとか。だってジッちゃんバッちゃんの方が人生で本当にひとつだけやり直したいことの重みって説得力がありそうだし。

とにかく「黄泉がえり」の二匹目のドジョウとはなりえなかったな今回は。

 ---------------------

バブルへGO!!タイムマシンはドラム式(2006年・東宝・116分)WOWOW

 監督:馬場康夫

 出演:阿部寛、広末涼子、吹石一恵、伊藤裕子、劇団ひとり、薬師丸ひろ子

 内容:2007年の日本。国は800兆円の借金を抱え、日本経済は破綻寸前。そんな日本の危機を救うべく、財務省官僚の下小路(阿部寛)はある計画をぶち上げていた。それは、1990年にタイムスリップしてバブル崩壊をくい止めようというものだった。ところが、先にタイムスリップしていた開発者の田中真理子(薬師丸ひろ子)がそのまま行方不明になってしまう。そこで下小路は、真理子の娘で借金取りに追われているフリーターの真弓に目をつけ、真弓は母親を救うためにタイムマシンに乗り込むのだったが・・・。

評価★★★/60点

バブル全盛期に山ん中に秘密基地を作ったりして駆けずり遊んでいた小学生時代の自分にははっきりいってあまりピンとこなくて実感がわかない題材だし、しかしかといってバブル崩壊後の失われし10年の真っ只中で就職超氷河期にブチ当たってしまった自分からするとああいう軽いノリで描かれるとなんだかしゃくにさわるし・・・(笑)。なんだかなぁ。。

タイムマシーンを起動するのに洗剤を入れるというのは笑えたけどね。

 ---------------------

地下鉄<メトロ>に乗って(2006年・日本・121分)WOWOW

 監督:篠原哲雄

 出演:堤真一、岡本綾、常盤貴子、大沢たかお、笹野高史、吉行和子

 内容:43歳の営業マンである真次(堤真一)はある日、父が倒れたという連絡を受ける。が、真次は大財閥の総帥であった傲慢な父に反発し、高校卒業後に家を出たっきり一度も会っていなかった。そんな真次が地下鉄を出ると、、、昭和39年の東京にタイムスリップしていた!しかも真次の恋人であるみち子(岡本綾)もタイムスリップしてしまう。そして真次は、若き日の父(大沢たかお)に出くわすのだった・・・。

評価★★★/60点

とうとう解りあえなかった父親が戦前、戦中、戦後という激動の昭和をどのように生きてきたのか、その知られざる真実にスポットを当てることによって父親と息子がつながっていくという、いたってシンプルなお涙頂戴もののはずだったのに。

そこにいきなり80年代角川映画もビツクリの近親相姦ネタに、あげくの果てに妹が自殺(正確には存在自体を消してしまう)しちゃうって、、、こんなん2時間で消化しきれねぇよ。韓流ドラマみたいに全50話くらいでやってくれ(笑)。

しかも、階段から突き落とされたお時(常盤貴子)の人生はどうなっちゃうんだよ。全然消化不良じゃん。

ていうか肝心のテーマが一気にボヤけちゃったし・・・。

自分の祖父も小沼佐吉(大沢たかお)と同じように、戦時中に満州行って結局ソ連軍に連行されて、シベリア抑留を体験してなんとか生きて日本に帰ってくることができた人だったから、かなりリンクするところはあったと思うんだけど、ラストの仰天ネタに一気にガクッときてしまった・・・。

2018年1月 3日 (水)

夢のシネマパラダイス207番シアター:震える魂、男の使命!

海賊とよばれた男

E6b5b7e8b38ae381a8e38288e381b0e3828出演:岡田准一、吉岡秀隆、染谷将太、鈴木亮平、野間口徹、ピエール瀧、綾瀬はるか、堤真一、黒木華、光石研、國村隼、近藤正臣、小林薫

監督・脚本:山崎貴

(2016年・東宝・145分)盛岡フォーラム

内容:1912年、石炭主流の中いずれ石油の時代が来ると確信していた国岡鐡造は、北九州門司で石油販売業“国岡商店”を起業する。やがて海賊まがいの破天荒な商法で頭角を現し、戦時中は満州から東南アジアにまで販路を拡大していった。また終戦の混乱期にも一人としてクビにしないという鐡造の方針のもと、GHQや石統(石油販売権を国が管轄するための機関)と渡り合って業界に返り咲いていくが、さらなる行く手には巨大資本の海外石油メジャーが立ちはだかっていた・・・。

評価★★★★/75点

原作既読。

偉人の人生をトレースした伝記ものは間延び感がしてもともとあまり好みではなく、実は今回の原作も読み進めるのに悪戦苦闘してしまった。

しかし、田舎で立ち上げた小さな会社を一代にして世界を股にかける大企業にまで築き上げた成り上がりゴッドファーザーのブレない大和魂は深く心に刻み込まれたし、エネルギー資源のほぼ100%を輸入に頼っている日本の隅々まで石油を行き渡らせるのにいかに多くの人々の尽力が注がれていて、いかに自分たちはその恩恵を享受しているのか、普段何気なく生活している中でまるで他人事のように思っていたことー石油がなければ国は回らないーに今更ながらに気付かされた。

そして日本人としての矜持を持って働く店主と店員たちに憧れを抱いた。

さて、本題の映画について。

明治・大正・昭和、および戦前・戦中・戦後を網羅する歴史巨編をどうやって2時間半に収めるのか不安だったけど、そこはさすが「永遠の0」の映画シナリオを完璧にまとめ上げた山崎貴。今回も小気味いいテンポとバランス感覚を兼ね備え、なおかつ重量感のある本に仕上げてくれたと思う。

相変わらず原作の取捨選択が上手いというか肝をしっかり押さえていたんだけど、映画のパンフに「鐡造にも流れる男の精神」のキーワードとして“やられたらやり返す”半沢直樹、“夢をあきらめない”下町ロケット、“仲間を見捨てない”沈まぬ太陽、“不敵な戦術で翻弄する”真田丸と挙げられていて、なるほど上手いこと考えたなぁとストンと納得。はっきり言って小説読む前にこのパンフ見たかった(笑)。

このシナリオの出来の良さに加えて、ミニチュア撮影やCGを織り交ぜたVFXを主体とした映像がリアリティを高めていて安心して映画の世界に入っていくことができた。さすがに鐡造の90代の老いた顔までCG加工を施していたとは驚きだったけど、違和感は全く感じなかった。

あと実写化の強みという点では、原作でイメージがつかみづらかった部分、例えば旧海軍の燃料タンク底にたまっている油の過酷な汲み上げ作業の場面とか、満州鉄道でメジャーと争った車軸油とか具体的に映像で見せられると理解度が深まって良かった。

あとは20代から90代まで一人一役で通した岡田准一の存在感がやはり大きかったなと。大河ドラマで黒田官兵衛を老年まで演じきっただけあって安定感は抜群だったと思う。

総じて1スジ2ヌケ3ドウサが的を射た見応えのある作品になっていたんじゃないかな。

しかし、最初から分かりきっていたことではあるけど、やっぱ2時間半じゃ足りないよねぇ

TBS日9でぜひドラマ化を!

 ----------------------

沈まぬ太陽

O0668096310289902547 出演:渡辺謙、三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、香川照之、柏原崇、戸田恵梨香、草笛光子

監督:若松節郎

(2009年・東宝・202分)WOWOW

内容:1962年。国民航空の労働組合委員長を務めていた恩地(渡辺謙)に対し、経営側は10年近い海外僻地勤務というあからさまな懲罰人事を強いる。一方、恩地の片腕として共に闘っていた同期の行天(三浦友和)は、重要ポストと引き換えに会社側へ取り込まれてしまう。時は流れ1985年、500人以上もの死者を出すジャンボ機墜落事故が起こり・・・。

評価★★★★/80点

3時間を超える超大作を見るというのはかなりの覚悟が必要で、ハズレだと食べても食べても減らない不味いラーメンのごとく無間地獄を味わってしまうリスクがつきまとう。

しかし、それ以上に素晴らしい映画体験を味わわせてくれる確率もかなり高く、映画の醍醐味がつまったこのパンドラの箱を開けるのは実は好きで好きでたまらなかったりする。

「ベン・ハー」「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」「タイタニック」etc..自分にとってパンドラの箱がかけがえのない宝石箱になった例は数多く、そのどれもが自分の記憶に強烈に刻みつけられている。

それはやはり長尺ゆえのスケールの大きさとドラマの奥行きの深さによって登場人物の人生を追体験したような感覚を味わえるからだろう。

その意味でいえば今回の映画も自分の記憶にしっかと刻み込まれた映画になった。

公開初日の舞台あいさつで渡辺謙が号泣していたのが印象的だったけど、なるほど映画のすみずみから作り手の映画にかける熱意、ヤル気、魂のほとばしりがギュンギュン感じられて非常に見応えがあった。

見終わった後に、なんか一冊の小説を読み終えたような心地良い疲労感を覚えて、映画見たぞーッていう気になったw

また、仕事を数回変えている自分にとって、ひとつの会社に骨を埋めるのが当然とばかりに仕事に人生を捧げる恩地の姿はギラギラと輝く太陽のように見えて眩しかった。

それは恩地と対になっている行天も同じで、ああこれが昭和を支えたニッポンのサラリーマン、お父さんたちの生き様だったんだなと、今の自分には持ちえない男の矜持というものを感じ取ることができて、なんだか見ていてすごいカッコ良かったし憧れてしまった。

まぁ、とはいえ自分はもはやこういう仕事人間にはなりようもないけどw、もうちょっと人生頑張ってみようという気にはさせられたな。

もうちょっと恩地の思想的バックボーンを掘り下げてくれたら満点入れてもよかったかも。。

 ----------------------

クライマーズ・ハイ

Climbershigh_1_1b 出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努、西田尚美、小澤征悦

監督:原田眞人

(2008年・東映・145分)CS

内容:1985年8月12日。乗員乗客524名を乗せた羽田発大阪行き日航機123便が墜落する。現場となった群馬県の地元有力紙・北関東新聞の編集局は騒然となるが、一匹狼として動いていた遊軍記者・悠木(堤真一)が全権デスクを命じられ、怒涛の1週間が幕を開けた・・・。

評価★★★☆/70点

今の日本映画界にあってクセのある濃密な社会派群像劇を描くことのできる数少ない映画監督だと思う原田眞人の作品は、見る側にとっては吹きこぼれてくるアクの強さを自力ですくい取らなければならない度量の大きさと忍耐力が必要で、途中でそれに挫折しようものなら一気に置いてけぼりをくらってしまう小難しさを持っている。

なのだけど、なにより映画を見たゾ!という気にさせられるし、個性派ぞろいのアンサンブルキャストとスタイリッシュな映像で畳み掛けてくる演出と作風は、今まで見たこともないような舞台劇に引きずり込む力強さも持っていてけっこう好きで。

それに加えて熱いオトコ臭空間を仕立てることにも長けている和製マイケル・マンの今回の作品は、地方新聞社の編集局が舞台。

事件そのものよりも、新聞社という巨大組織の中でうごめく男たちの嫉妬と野心渦巻く喧噪劇に視点が置かれたところは、まるで銀行を舞台にした「金融腐蝕列島・呪縛」(1999)を焼き直ししたような構成になっていて、遊軍記者・悠木とナベツネを想起させる社長(山崎努)との関係は同作における役所広司と仲代達矢の関係と瓜二つ。

とはいうものの、さすがは原田眞人。

「金融~」よりもさらにまとまりのない混沌とした作劇になっている(笑)。

現場とデスク、現在と過去、父と子、組織と個、世代間対立といった二項対立のエピソードが空回りに空回りしまくっていて、それぞれのつながりが弱くてまとまりに欠けるのが最大の難点なのだけども、リズムのある臨場感で頂上まで一気に踏破し満腹感一杯に映画を見た気にさせる見せ切り方はなんだかんだいってやはりスゴイと思う。

NHKの土曜ドラマ版(主演は佐藤浩市)の方が個人的には好きだけど、ホンモノの“クライマーズ・ハイ”を味わえるという点では映画の方が的を射ているのかもしれない。

しかし、よくぞここまでクセのある役者さんを集めたもんだわ。感心しちゃいます。

 ----------------------

突入せよ!「あさま山荘」事件

Image197 出演:役所広司、宇崎竜童、伊武雅刀、天海祐希、椎名桔平、篠原涼子、武田真治、八嶋智人、藤田まこと

監督:原田眞人

(2002年・東映・133分)DVD

評価★★★★/75点

内容:1972年2月、連合赤軍のメンバー5人がひとりの女性を人質に、雪に閉ざされた軽井沢のあさま山荘に立てこもる事件が発生。10日間におよぶ攻防の末、警察が強行突入。運良く人質を無事救出、犯人全員の逮捕に成功するが、2人の殉職者と民間人1人が死亡、多数の負傷者を出す悲劇となった。この日本犯罪史上に残る大事件を、当時指揮官の一人だった佐々淳行氏の原作を基に映画化。

“青島刑事も和久さんも恩田刑事も出てこないどころか、犯人たちもただの謎の凶悪犯としか描かれていない完全特化フィクション映画。ドキュメンタリーXにもYにもZにもならない、劇映画としての立場をわきまえているトンだ代物。”

佐々氏の原作を読んだことがないばかりか、肝心のあさま山荘事件のことさえよく分かっていない自分。

以前NHKのプロジェクトXで事件について2夜連続だったかで取り上げていたが、それを見て初めて人質がいたことなどを知ったくらいだ。なにせ事件から約10年後に生まれてるんだから・・・。

連合赤軍はどんな輩なのか、どういうことをしていたのか今でもよく分からんし。ただ当時の人々がテレビの前にくぎ付けになったということだけは知っていた。

そして、、この映画である。

映画の冒頭でこの映画は事件を基にしたフィクションであると前置きされていたとおり完全に原田眞人の作品世界やテーマに舵を取っていっているなというのが、事件のことをあまり知らない自分でもさすがによく分かるつくりになっている。

どの程度事実と符合しているのかしていないのか分からないし、佐々氏から一方的に見た事の本質なのかどうかも分からないが、ただ1つ確かなのは、脚本も手がけている原田眞人の作品世界に実際にあったあさま山荘事件そのものが完全に組み込まれてしまっていることである。

それについての是非については個人的には完全に肯定する。あくまでも劇映画として撮っているわけだから、作り手の主観が入るのは当然だし、自分が撮りたいことのみを撮るというのも一向に構わないはずである。

そういう作り手の姿勢(主観が入ること、撮りたいことのみを撮ることetc.ようするに作り手が自由であること)について真っ先にとやかく言うつもりはない。

そのかわり、まずとやかく言うべきなのは、作り手の主観や主義主張そのものであり、またそれらをベースにして出来上がった作品や作品世界についてであろう。

つまり、作り手がやりたいように好きなように作るということに関してはどうぞご勝手にやって下さいなというわけだが、それで出来上がった作品についてはとやかく言わさせてもらいます、というのが自分のスタンスである。

よって前提としてはやりたいように映画は作るべきだと言っておきながら、出来上がった作品を見ると、やりたいようにやったからこんな体たらくな作品になっちゃってるんだとも言えちゃうわけで。なんかスゴイずるくて矛盾しているような映画批評スタンスかもしれないけども・・・。

ただ、やりたいようにやるというのは、決して作り手の無責任などではなく、必ず作り手の意志や主観が入っているはずだから重い責任が課されている(自由であることは実は重い責任を負うことでもある)のは当然なわけで、だから作り手の意志や主観をまずは第1に見ていこう、それを踏まえてから作り手の制作姿勢について思うことがあれば言おうと考えていて。。

要は順序を間違えちゃうと、こちらもただ一方的になっちゃってるということになってしまう。難しいところだね。

まぁ自分の中では納得しているので。といいつつ納得してるわりに全然うまく表現できないんだけど

さてさて、余談はさておき出来上がった今回の作品について言わせてもらうと、まあ自分好みの映画かなという印象はもったかな。

警察組織の呪縛と矛盾という観点から撮ったのであろうこの映画は、前々作の「金融腐蝕列島・呪縛」と同様の観点でもあるし、中央と所轄という視点でみれば、踊る大捜査線の逆バージョンの構図ともいえるわけで、個人的には非常に興味深いコンテンツだった。

しかしそのコンテンツのみに特化して描くための道具立て、題材が実際にあった浅間山荘事件というのはやはり少しばかり腑に落ちないところもある。

武田真治と篠原涼子なんてどこに出てたんだ??とエンドロールを見てビックリしたように、犯人と人質の描写はほとんど皆無といってよいし、長野県警もただの低脳集団としか描かれていない、いささか一方的な描き方なのはやはり気になった。

青島刑事が現場にいたらあの台詞が聞こえてきただろう。

「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」

 ----------------------

不毛地帯(1976年・東宝・181分)NHK-BS

 監督:山本薩夫

 出演:仲代達矢、丹波哲郎、山形勲、神山繫、北大路欣也、大滝秀治、加藤嘉、八千草薫、藤村志保、秋吉久美子

 内容:大本営参謀を務めた陸軍中佐・壱岐は、11年に及ぶシベリアでの抑留生活を経験、ようやく日本に帰国できた彼は大手総合商社の近畿商事に入社する。近畿商事は、総額1兆円といわれる次期主力戦闘機の買い付けに関わり、ラッキード社製の戦闘機を売り込んでいたが、ライバル会社の東京商事はグラント社を推していた。社長に目をかけられていた壱岐は、二度と軍隊には関わるまいと決していたが、やがて政界をも巻き込んだ醜く激しい利権争いの渦中に身を投じていく・・・。

評価★★★/65点

関東軍軍属として満州で終戦を迎えた自分の祖父は、直後ソ連軍に捕まってシベリアに抑留されたものの、5年後無事に帰国を果たし銀行員の職を得た。

この境遇が映画の主人公・壱岐正と重なり興味深く見ることができたけど、大日本帝国の太平洋戦争と平和国家日本の経済戦争を同じ土俵に見立てた視点はなかなかに面白かった。

しかし考えてみれば惨い戦争の匂いが色濃く残っていたであろう昭和30年代、元帝国軍人たちは企業戦士に姿を変えて高度経済成長の礎を築いたのだから、先人の不屈の気骨には頭が下がる思いがする。

あと祖父のことで思い出したのだけど、地区の自治会長をしていた時、市役所に手続きに訪れた際に、担当職員がみすぼらしい身なりをした祖父に対し横柄な態度をとったのだそうだが、一緒に来ていた副会長が「このお方は関東軍参謀石原莞爾直属の部下として先の戦争を闘い抜いた方なるぞ!」と怒鳴るとその職員はひれ伏したように態度を一変させたという。昭和40年代頃の話だそうだ。

それは畏怖の念だったのか、それとも関東軍の悪名高さから来る恐怖だったのか知る由はないが、戦後20年以上経っても関東軍の名が轟いていたということに驚いてしまう。

一方、昭和50年代生まれの自分にとって祖父は、ロシア語通訳として国際交流に励む活発なおじいちゃんのイメージが強かったけど、毅然とした矜持と信念が醸し出す近付きがたい一面も子供ごころにあったことを思い出した。それは元軍人の血だったのかもしれないが、戦後50年を前に不慮の事故で他界してしまったのが悔やまれる。

壱岐正=仲代達矢の姿を見て祖父のことが頭を去来することしきりだった180分は、しかしちょっと長かったかも・・・

2017年12月30日 (土)

夢のシネマパラダイス563番シアター:アントマン

アントマン

167635_01出演:ポール・ラッド、マイケル・ダグラス、エヴァンジェリン・リリー、コリー・ストール、アンソニー・マッキー

監督:ペイトン・リード

(2015年・アメリカ・117分)WOWOW

内容:バツイチ無職のスコット・ラングは、最愛の娘の養育費も払えず、まさに人生の崖っぷちに。そんな中、彼のもとに天才科学者ハンク・ピム博士からある仕事が舞い込んでくる。博士が開発した特殊なスーツを着て、身長1.5cmの“アントマン”になるというものだった・・・。

評価★★★/65点

子供時分「ミクロキッズ」(1989)を見た時に小さくなった悪ガキ共の大冒険にワクワクドキドキしたものだけど、と同時にその冒険の範囲が家の庭という狭さに物足りなさを覚えたのも確かだった。

しかし、その物足りなさを満たしてくれたのがアニメ映画のトイ・ストーリーとジブリ映画のアリエッティだったわけで、今回初めて実写映画で蟻サイズの人間があらゆる場所を縦横無尽に駆け回るミクロ世界をスケール感たっぷりに見せてくれて、映像面では文句の付けようがない出来。

正直ストーリー面は二の次なあっさり感は否めず、見所は映像しかなかったかんじだけど、シリーズ化のイントロダクションとしては十分及第点をあげられる作品だったと思う。

個人的にはもっとコミカルでも良かったかなと感じたけど、マーヴェルのアベンジャーズに組み込まれることを考えるとあんまり毛色に違いを出しすぎるのもあれだったのかな。

アベンジャーズを意識せずに作られた単発での次回作に期待したいけど、エンドロール後のエピローグからするとどうやら夢物語みたい・・。

しかし、マイケル・ダグラス久しぶりに見たなw

 ---------------------

借りぐらしのアリエッティ

N0021318_l 声の出演:志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、三浦友和、樹木希林

監督:米林宏昌

(2010年・東宝・94分)盛岡フォーラム

内容:14歳の小人族の少女アリエッティはとある古い屋敷の床下で両親と3人で静かな暮らしを営んでいる。彼らには人間には見られてはいけないという掟があった。そんなある日、病気療養のため12歳の少年・翔がこの屋敷を訪れる。。

評価★★★★/75点

個人的にジブリアニメを純粋に楽しめたのは小6の時に見た「魔女の宅急便」までで、それ以降の作品はグダグダだと思っている。それどころか宮崎駿のお仕事は漫画版ナウシカの連載が終了した1994年でその役目は終えたと思っているくらいでw

破綻と混沌のインフレ三部作(もののけ、千と千尋、ハウル)を経てあっちの世界へ逝っちゃったポニョときて、、宮崎駿はもはや枯れ果てた。

一方ゲド戦記の惨敗をみるまでもなく後進はまるで育たず、このままではジブリは消滅への道をまっしぐら

とまぁ、はっきりいって宮崎御大は10年前に製作総指揮とかに退いてジブリの後進を育て上げることに心血を注ぐべきだったと思うのだけど、今回ようやっとジブリの次代を担うべき才能にバトンを渡したわけだ。

NHKで今回の映画製作に密着したドキュメンタリーをやってて、米林宏昌監督にいろいろ口を出したくてウズウズしている御大の姿からはストレス溜まってるのがありありと見てとれたんだけど(笑)。

と、そんなこんなで出来上がったアリエッティ。

天敵カマドウマがぴょんぴょん飛び跳ねてる冒頭からヒョエ~~ッとのけぞってしまったんだけど、全体としては久々に純粋な気持ちになって見られたジブリ映画になっていたと思う。

ジブリアニメの真髄である濃密で柔らかな絵のタッチと、ケルト音楽を思わせるセシル・コルベルの透明感あふれる音楽が、床下の小人の世界観と雰囲気をものの見事に醸成していてそれだけで十分楽しめてしまう。

いや、実際この雰囲気と世界観だけで8割方できている作品といっていいと思うんだけど、一粒の角砂糖、一滴の水、一枚の葉っぱ、一枚のティッシュetc.のリアルでカワイイ質量感、また洗濯バサミの髪留めや待ち針の剣、両面テープを手足に引っ付けてのクライミングなどの細かいディテールの描写力・発想力はハンパなく、小道具好きな自分の快感神経をビビビッと震わせてくれる。

個人的には台所が断崖絶壁のグランドキャニオンのように見えるシーンが好き。

ただ、さっき雰囲気と世界観だけで8割方できてる作品と言ったように、子供に読んで聞かせる絵本のような体裁をとっていて、それはそれでいいんだけど、シナリオにやや締まりがないのがひっかかる。

特に、少年・翔のすでに彼岸へ渡ってしまったかのような落ち着きぶりと、家政婦ハルの恐ろしいまでの小人への執着心は見ていて薄気味悪くなってくる。彼らの心理や行動原理がイマイチ伝わってこないのだ。

「君たちは滅び行く種族なんだ」とにべもなく言ってしまう翔の透き通るような目が怖くて怖くて・・

この言葉を相手に面と向かって言えちゃう残酷さ、、宮崎御大の悪い作家性が突拍子もなく出ちゃったかんじだね(笑)。

人間世界の日常の価値観を時には反転させ時には優しく見つめ直した細かなディテール描写が特筆ものだっただけに、人物描写の粗さが気になってしまいどうもスッキリしないというか・・・。

そいえば、子供が病持ちというのはジブリアニメではほとんど初めてといってもいいのではなかろうか。五体満足な少年少女の躍動がジブリアニメを引っ張ってきたとするならば、心臓を患い、ちょっと走っただけでへばってしまう少年はどうしても奇異に映ってしまう。

そうなんだよ、翔が悪い意味でこの映画を引っ張っちゃってるんだよ!ということを今ここで実感。。

でも、アリエッティ一家の微笑ましい日常とこの物語をずっと見ていたいという気持ちになったのが心の8割を占めたというのが本音であり、新監督の船出としては十分及第点を付けられるのではないかな。〆。

Posted at 2010/07/30

2016年10月16日 (日)

夢のシネマパラダイス263番シアター:アベンジャーズ

アベンジャーズ

7d060753 出演:ロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、マーク・ラファロ、クリス・へムズワース、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、トム・ヒドルストン、グィネス・パルトロー、サミュエル・L・ジャクソン

監督・脚本:ジョス・ウェドン

(2012年・アメリカ・144分)WOWOW

内容:国際平和維持組織シールドで研究中だった四次元エネルギー体キューブが、神々の国アスガルドを追放され地球の支配を目論むロキに奪われてしまう。シールドの長官ニック・フューリーはスーパー・パワーを持つヒーローを集めることを決断。トニー・スターク(アイアンマン)、スティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)、ブルース・バナー(ハルク)、そしてロキの兄ソーが集められ、最強軍団アベンジャーズが誕生する。

評価★★★/60点

一言でいえばスパイダーマンもウルヴァリンもバットマンも出ていないから興味を引かない。ってバットマンはマーベルじゃないか

ともかくだ。日本でいうところのゴレンジャーみたいなヒーロー戦隊ものと捉えればいいのかもしれないけど、どうにもキャラクターに魅力を感じなくて・・・。1番印象的だったのがめちゃくちゃ強いハルクってのもなんだかなぁってかんじだしww

やはりソー、ホークアイ、ブラックウィドウの3枠のところにスパイダーマン、ウルヴァリン、あとはゴーストライダーあたりを出してもらえれば一気に見る気になるんだけど。

あと、お祭り映画だけに中身が薄いことは折り込み済みだったとはいえ、内輪もめがグダグダ続く展開もイマイチだった。作りとしては内輪もめよりもメンバー集めの方に時間を割くべきなのに。ここがおざなりになったため大味になっちゃったな。

まぁ、グダグダ言っても仕方ないけど、結局のところ「ダークナイト」のようなヒーロー像の脱構築とは対照的な底抜け大作にはもはや新鮮味を感じないという点に行き着いちゃうのかな・・・。

 -----------------------

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン

059出演:ロバート・ダウニー・Jr、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、ドン・チードル、エリザベス・オルセン、サミュエル・L・ジャクソン

監督・脚本:ジョス・ウェドン

(2015年・アメリカ・142分)WOWOW

 

内容:東欧でヒドラ残党を急襲したアベンジャーズはロキの杖の奪還に成功する。そして、アイアンマンことトニー・スタークは、ロキの杖から人工知能を抽出し、自我を持つ人工頭脳“ウルトロン”による平和維持システムを開発する。ところが、ウルトロンが導き出した究極の平和維持とは人類の排除だった。覚醒したウルトロンに対しアベンジャーズが立ちはだかるが・・・。

評価★★★/60点

あくまで個人的にだけど、各ヒーローの単独作だと面白いのにオールスターになると途端につまらなくなるのはどうしてだろう・・

と考えると、例えばキン肉マンでいえば、キン肉マンとバッファローマンはこういう会話をするだろうとかウォーズマンとラーメンマンはこうだろうとか過去の関係性の蓄積がキャラクターのコラボの理解を深めて奥行きを与えるのだけど、アベンジャーズに関してはそのキャパシティが自分の中でまだスカスカで・・・。

その中でレギュラー6人+新顔2人のキャラクターが大渋滞を引き起こしているので見ていて疲れるんだよね要はどうしても散漫な印象がぬぐえない。

正直いって今回の場合は、絶対正義を振りかざして暴走するアイアンマンvs冷静に正義を見据えるキャプテン・アメリカでよかったと思うし、そっちの方が話も整理されて断然面白かったと思う。ってそれじゃダメじゃんww

 -----------------------

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー

Kyapuame 出演:クリス・エヴァンス、トミー・リー・ジョーンズ、ヒューゴ・ウィーヴィング、へイリー・アトウェル、ドミニク・クーパー、スタンリー・トゥッチ、サミュエル・L・ジャクソン

監督:ジョー・ジョンストン

(2011年・アメリカ・124分)WOWOW

 

内容:1941年、第二次大戦中のアメリカ。祖国を誰よりも愛する青年スティーブ・ロジャースは、ひ弱なため入隊検査を落とされ続け自己嫌悪に陥る日々を送っていた。そんなある日、謎の軍医アースキン博士と出会った彼は、“スーパーソルジャー計画”というプロジェクトに誘われ、プロジェクト実験の被験者第1号となる。そして実験は成功し、スティーブは超人的な肉体と運動能力を獲得する・・・。

評価★★★/60点

主人公と同じく生来のもやしっ子である自分からすると、キン肉超人になって大活躍するというのは夢のような話で感情移入しやすかったのはたしかだけど、肉体改造後のキャップにことさら魅力を感じないのはなぜだろう・・。

と考えてみると、真のヒーローになるための通過儀礼といえる苦悩や葛藤に乏しいことが挙げられる。

宝くじで大当たりして何億も手に入れた貧乏人が一転して人生を狂わせていくって話はよく耳にするけど、スーパーパワーを手に入れたもやしっ子がはしゃぎすぎてハメを外してしまったりだとか、力自慢したり、ややもすれば傲慢な野心をひけらかしてしまったりすることはあってもいいはずだ。

あるいは、戦意高揚のマスコットキャラとしてミュージカル役者に仕立て上げられ手に入れた力を発揮できないもどかしさは描けても、その先にある戦場で戦える喜びや、逆に戦うことで己の力を知ってしまったゆえの恐怖や葛藤を無視しては何の意味もないし面白くない。

しかし、ダークサイドのかけらもない、どこまでも一途で純粋な正義の心を持つという主人公の設定があってはどうにもならなかったか・・・。

「弱者は力の価値も憐れみも知っている」というのを言葉だけでなくシーンで示してもらいたかったね。

 -----------------------

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014年・アメリカ・136分)WOWOW

 監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ

 出演:クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキー、トビー・ジョーンズ、ロバート・レッドフォード、サミュエル・L・ジャクソン

 内容:アベンジャーズの戦いから2年。今やシールドの一員として活動するキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースだったが、さらなる防衛システムの構築を目指すべく進行している巨大空中母艦ヘリキャリアによる人類監視計画には疑問を感じていた。そんな中、シールド長官ニック・フューリーが何者かに襲撃され命を落とす。さらに、スティーブもシールドから命を狙われる事態に陥る・・・。

評価★★★★☆/85点

アメリカが世界の警察を気取って各地を蹂躙していた東西冷戦末期の80年代、スーパーマンは大空を飛び回り、シュワちゃんとスタローンは自ら敵地に乗り込み悪をやっつけていた。

しかし、2001年の9.11同時多発テロ後、悪の枢軸と名指ししたイラクに殴り込みをかけたアメリカの理念はもろくも崩れ去り、世界は一気に多極化。こちらは正義であちらは悪という二項対立の善悪二元論ではくくれないどころか、正義をうたった力による行いが逆に悪を拡散させてしまった現実があらわになった。

それでもなお“正義”はエスカレートしていき、一方“悪”は絶対化していく。つまり“必要悪”vs“絶対悪”というヒーロー不在の図式、もっといえば正義と悪は表裏一体という図式だ。

そしてそれを白日のもとにさらけ出したのが「ダークナイト」だったんだけど、今回はそのテーマをもっと深化させ、自由と正義を維持するための“必要悪”SHIELD(シールド)の暴走の行き着く先を描いている。さらにその際、ダークナイトではバットマンとジョーカーがコインの裏表の関係にあるのに対し、今回は正義の組織シールドと悪の組織ヒドラが表裏一体で、そこにある危険極まりない欺瞞を倫理と道徳を合わせ持った真の正義キャプテン・アメリカがシールドごと解体して打ち砕き、一から出直そうという流れだ。

つまり、アメリカの行き過ぎた理念をただして、本来の建国精神に則ったあるべきアメリカの姿に立ち返るべきだと説いているわけで、ここまでくるともはやヒーロー映画の枠を超えちゃってるよねっていう

集団安全保障や抑止力などが物議を醸す現代における指標を示唆するポリティカルなテーマ性に加え、キャプテン・アメリカの苦悩がアメリカの今ともリンクしていて、見応えがありすぎるくらいの構成力には舌を巻いた。

さらに、円形の盾しか持たないというオーソドックスかつクラシカルな出で立ちからは考えられないほど様々なバリエーションで攻守両面を網羅してしまうキャップをはじめとするアクションのクオリティの高さ、また最強の刺客ウィンター・ソルジャーやファルコンなど魅力的なキャラクター造形にも度肝を抜かれ、もう言うことなし。

なんかこの一作だけで自分の中でアベンジャーズのメンバーたちの株と興味が一気に上昇したかんじw

 -----------------------

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

71xfyysosxl_sy445_出演:クリス・エヴァンス、ロバート・ダウニーJr、スカーレット・ヨハンソン、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキー、ドン・チードル、ジェレミー・レナ―、ポール・ベタニー、トム・ホランド、マリサ・トメイ

監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ

(2016年・アメリカ・148分)

内容:何度も世界の危機を救ってきた“アベンジャーズ”。しかし、テロリストとの戦いで多くの民間人の犠牲者が出てしまったことから、その強大な力を危険視する声が高まり、彼らを国連の監視下に置くことが議論される。やむを得ないと受け入れる姿勢のアイアンマンに対し、キャプテン・アメリカはこれに反対する。そんな中、ウィーンで新たなテロ事件が発生し、キャプテンの旧友バッキーが容疑者として指名手配されてしまう・・・。

評価★★★/65点

ヒーロー(善)vsヴィラン(悪)というかつての単純明快な二項対立のヒーロー映画では、ヒーローが敵との戦いで例え街を破壊しようとも何も咎められることはなかった。つまり、法では裁けない(逮捕できる存在ではない)悪を、同じく法を無視し、目には目を歯には歯をの自警主義に基づき退治する(処刑する)超法規的存在というヒーロー像に疑いの余地をはさむ者はいなかった。

しかし、「ダークナイト」(2008)でそれが一変する。

ヒーローは正義を行使するために振るった暴力により結果的には市民を傷つけることもいとわず、なおかつ何にも従わず好き放題行動する危険な存在=犯罪者であるという見方だ。

混沌しかないといってもいい現代の世界において、ヒーローの存在自体が社会問題と化してしまったわけだ。

これはヒーロー=アメリカのイラク戦争での大義なき暴走が大きな背景としてあるのだろうが、ダークナイト以降このヒーローの社会問題テーマは避けて通れない一大トレンドとなった。

その中で今作は、アベンジャーズを国連の管理下に置くという規制法に対してアベンジャーズ内で賛否が分かれ内部分裂を引き起こすという流れになっている。しかもマイティ・ソーとハルクの代わりにキャプテンアメリカ陣営にはアントマン、アイアンマン陣営にはスパイダーマンが参戦し6×6のドリームマッチが繰り広げられる、、。

のだが、一言でいえば自分はキャプテンアメリカを見たかったのであって、アベンジャーズを見たかったのではないってこと(笑)。

結局、ドリームマッチといっても手加減ありのぬるいコスプレ大運動会といったレベルなので、見てても目まぐるしいばかりでイマイチ燃えないんだよね。アクションの見せ方はキレッキレで臨場感もたっぷりだったんだけど、身ひとつの肉弾戦が見物のキャプテンアメリカの激アツ作で見たかった。

挙句の果てにアントマンの巨人化には正直失笑💧

 -----------------------

アイアンマン

Img_320523_9531244_0 出演:ロバート・ダウニー・Jr、ジェフ・ブリッジス、テレンス・ハワード、グウィネス・パルトロウ、ショーン・トーブ、サミュエル・L・ジャクソン

監督:ジョン・ファヴロー

(2008年・アメリカ・125分)盛岡フォーラム

 

内容:巨大軍事企業スターク・インダストリーズのCEO、トニー・スターク。発明家としての顔も持つ彼は、新型兵器のデモンストレーションのためにアフガニスタンへ赴くが、テロ集団の襲撃に遭い、瀕死の重傷を負いながらもなんとか生還を果たす。が、拘束中、敵アジトに自社兵器がズラリと並んでいたのを目の当たりにしたトニーは、それがテロに利用されていたことを知り、武器製造からの撤退を決める。そして自分の身体にフィットするパワードスーツを開発し、テロ撲滅の戦いを誓うのだった・・・。

評価★★★★/80点

若手俳優、悩み悩み悩み抜くヒーロー、降って湧いた超能力、正体は明かせない、、アメコミヒーローの典型像だけど、今回はヒゲ面のすっとぼけたオッサン、影など全くない成金の単なる改心、手作りメカ、アイアムアイアンマン!!とことごとく真逆の設定を持ち出してきた。

しかも悪役は完全なステロタイプで、一歩間違えると単調な勧善懲悪のB級映画になるところだったが、ダウニーJrの茶目っ気とシニカルを掛け合わせたようなノー天気ぶりとド迫力の映像技術がカチリとハマり、爽快感あふれる愛すべき娯楽作に仕上がった。

秘書役のグウィネス・パルトロウも軽妙な演技を見せてくれるし、思いっきり可愛く撮られていて抜群に良い。キャスティングの勝利だろう。

それにしてもアナログ感覚を残したメカニック工程には自分の中で久しく眠っていたガンプラ魂をくすぐられて心地良かったなw

個人的にはアイアンマンが着地するときのポーズがめちゃくちゃタマラん

 -----------------------

アイアンマン2(2010年・アメリカ・124分)WOWOW

 監督:ジョン・ファヴロー

 出演:ロバート・ダウニー・Jr、グウィネス・パルトロウ、ドン・チードル、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェル、ミッキー・ローク、サミュエル・L・ジャクソン

 内容:公聴会で自らアイアンマンであることを公表したトニー・スタークは、一躍ときの人となるが、パワードスーツのエネルギー源であるリアクターは確実に彼の身体を蝕んでいた。一方、そんなトニーを憎悪の眼差しで見つめる一人の男がいた・・・。

評価★★★/65点

アメコミヒーローのひな形の真逆をいくことで新境地を開いた前作のテイストそのままに、トニー・スタークの傲岸不遜ぶりはますます際立ち、金持ちの道楽ヒーローは太陽のように光り輝く。

この自己満足の権化と対になる陰の部分を敵役ウィップラッシュ(ミッキー・ローク)が担っているのだけど、F1会場で繰り広げられるオッサン同士の壮絶バトルは見もの。

けど、もうちょっと他にもウィップラッシュに見せ場と物語を与えてほしかったかなと。まぁその不足分をヨハンソンのアクロバティックアクションとサム・ロックウェルの小物ぶりが補ってくれるけど、ドラマと新鮮味には乏しく。。

あくまでテンションアゲアゲの娯楽作として見るべし、、ってもとからそういう作品なんだけどね

しかし、ヨハンソンは何をやらせてもズギュ~~ンだねぇw

 -----------------------

アイアンマン3(2013年・アメリカ・133分)WOWOW

 監督:シェーン・ブラック

 出演:ロバート・ダウニー・Jr、グウィネス・パルトロウ、ドン・チードル、ガイ・ピアース、レベッカ・ホール、ベン・キングスレー、ウィリアム・サドラー

 内容:アベンジャーズの戦いから1年。人類滅亡の危機を回避したトニー・スタークだったが、最近めっきりやる気をなくし鬱病寸前になっていた。そんな中、巷では凶悪テロリスト・マンダリンによる爆破テロが続発。さらにトニーの自宅がマンダリンによって襲撃され、開発中だった新型スーツもろともトニーは海底へと落下していく・・・。

評価★★★/65点

悩みなどかけらもないようなお気楽ヒーローだったトニー親父がPTSDになって不眠症という設定は面白いけど、なかなかそれがトニー・スタークのキャラクターに肉付けされていないような印象を受ける。

寝ていないので無駄にハイテンションになっている様が、まるでクスリ漬けになってラリっているのと大差ないのでw、逆にドン底にズーンと落ちてる姿があればメリハリがあったのになぁと思った。

あと、敵役キリアンの動機付けがいまいちよく分からなくて、これ見るとただ単にトニーに約束をすっぽかされたことに対する復讐心だけというかんじで、だとするとめっちゃ小物じゃんていうw。しかも小物という点では凶悪テロリスト・マンダリンのベン・キングスレーに完全に食われちゃってるので印象が薄くなっちゃってるし。

と、この両極がイマイチなので見所がないかといえば、頭空っぽにして見れば、プラスマイナスだと若干プラスにはなるかな

特に遠隔操作ができて自由に着脱可能なギミック満載のバトルスーツと、人間ゴジラと化す悪役超人の特殊能力を駆使したアクションはそれだけでもお腹いっぱい。さらに人海戦術や物量作戦で絵面はめまぐるしく変わり飽きることはない。

あとはなんといってもペッパー嬢の活躍ぶりだろう。

90年代から00年代にかけてポスターからテレカに至るまで集めまくっていた大のグウィネス好きの自分にとっては、アクションまでこなしちゃうの!?という嬉しい驚きがあったし、Mr.インクレディブルのイラスティガールをほうふつとさせてすごく良かった。

こりゃオッサンなんかほっといてペッパー・ポッツの次作に期待だなw

2016年6月19日 (日)

夢のシネマパラダイス186番シアター:ひとりじゃない。

福福荘の福ちゃん

Poster2_4出演:大島美幸、水川あさみ、荒川良々、芹澤興人、飯田あさと、平岩紙、黒川芽以、古舘寛治

監督・脚本:藤田容介

(2014年・日本・111分)WOWOW

内容:塗装職人の福ちゃんこと福田辰男は32歳独身で、安アパートの福福荘に住んでいる。職人気質でありながら後輩やアパートの住人にも親身になって付き合う人の良さはみんなの人気者だった。そんなある日、同僚のシマッチが彼女のいない福ちゃんにお見合いをセッティングするが、福ちゃんは機嫌を悪くして逃げ回るばかり。一方、写真家を目指して外資系企業を辞めたもののあえなく挫折した杉浦千穂は、とある女占い師の助言から中学の同級生の福ちゃんのもとを訪ねるが・・・。

評価★★★★/80点

キャスティングの奇跡。

今回の映画を語るにはこの一言で十分だろう(笑)。

森三中のコントで大島美幸がおっさん役だったのを見てインスピレーションを得た監督がそのまま映画のシナリオを当て書きしてキャスティングが決まったというウソのようなホントの話だけど、いや、そもそもよくこんな映画企画が通ったなぁっていう・・w

劇中で福ちゃんを撮った写真集の出版を頼まれた業界人が、こんなオッサンの顔なんて誰が見たいと思う?99.9%無理だと思うよと言うごとく、ある意味おフザケ半分といっていい色物企画と思われても仕方ないだけに、ほとんど興味本位だけで見始めたのだけど、フタを開けてみたら近年稀にみるほっこり映画になっていて、まるで見た目が怪しいカレーだと思って食べてみたらめっちゃ美味しいカレーだったみたいな

しかし、なにはともあれ大島美幸である。

一見するとシュールでオフビートな癖のある笑いを王道の人情喜劇に昇華させてしまう大島親方の笑顔に全て集約されるといってもいいけど、端的にいえば福ちゃん=寅さんなんだよね。

入院先の病室での福ちゃんと水川あさみのシーンが寅さんとリリー(浅丘ルリ子)にオーバーラップしてしまうくらい寅さんのDNAを感じたし、そういう意味でもどこか懐かしい昭和の日本映画に触れられた気がして幸せな余韻にひたれることができた。

P.S.ちなみに自分はカレーには炭酸の効いたCCレモンが欠かせませんw

 -----------------------

パーマネント野ばら

Img6423b73azikfzj 出演:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、宇崎竜童、夏木マリ、江口洋介

監督:吉田大八

(2010年・日本・100分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:海辺の町に佇む“野ばら”。そこは、一人娘を抱えるバツイチ女なおこ(菅野美穂)と、その母まさ子(夏木マリ)が切り盛りする美容室で、男運の悪い女たちのたまり場になっていた。なおこの旧友でパブのママであるみっちゃん(小池栄子)は浮気夫を轢き殺そうとまでし、もう一人の友人ともちゃん(池脇千鶴)は、ギャンブルとヤクに溺れた最低男を旦那にしてしまうくらい男運がない。そんな中、なおこも高校教師カシマと交際を続けていたが・・・。

“龍馬伝から150年、、土佐はこんなふうになってしもうたぜよw!”

何気ない日々の中でフッとした寂しさに襲われ、人とのつながりを求めずにはいられないひとり者の自分は、「なんでウチこんなに寂しいんやろ・・」と電話ボックスの中で泣き崩れるなおこ(菅野美穂)の姿に完全にヤラレてしまった。

また、何気ない日々の中でフッと妄想することで自我を保つことも厭わない自分は、浜辺で幻想の恋人に寄り添うなおこの姿に思わず涙してしまった。

さらには、女運うんぬん以前にそのクジを引く場にさえ立てていない自分は、ハズレくじばかり引いて男運のないともちゃん(池脇千鶴)が逆に羨ましく見えてしまった。

このように菅野美穂8年ぶりの主演作は今の自分の心象風景にピタリと重なる映画になってしまったようだ。

しかし、周りのファンキーな人々を見守っていたはずのなおこが、実は見守られていたというラストのどんでん返しには完全にしてやられた。。

その反転により、“残りカス”しかいない寂しい町が優しさに包まれたあたたかい町へと変わり、一気に胸に染み入る作品になった。

西原理恵子のマンガも読んでみよっかな。

 -----------------------

陰日向に咲く

Kagehinata 出演:岡田准一、宮崎あおい、伊藤淳史、平山あや、緒川たまき、西田敏行、塚本高史、三浦友和

監督:平川雄一朗

(2008年・東宝・129分)WOWOW

評価★★☆/50点

内容:大型台風が接近中の東京。借金まみれの末に、ついにオレオレ詐欺に手を染めるギャンブル狂のサラリーマン・シンヤ(岡田准一)。若かりし頃に売れない芸人・雷太(伊藤淳史)に恋した母(宮崎あおい)を捜している寿子(宮崎あおい二役)。25歳の崖っぷちアイドル(平山あや)と、彼女を一途に応援するアキバ系オタクのゆうすけ(塚本高史)。歩道橋で人波の中をモーゼのように悠然と歩くホームレス(西田敏行)に心酔し、ダンボール生活を始めたエリートサラリーマンのリュウタロウ(三浦友和)。この一見無関係な彼らの人生が、次第に交錯していく。。。

“1分間の深イイ話、ならぬ130分間の浅イイ話・・・”

劇団ひとりの原作は読んだことないから何とも言えないけど、映画だけ見ると、原作読みたいと思う気にはなれなかったな。。

群像劇なのかオムニバスなのかがまずは中途半端で、9本の糸がより合わさって1本の太い糸になる力は毛頭なく、かといって別個に伸びているわけでもなく、細い糸のほつれた枝先がかすかに触れるくらいで、そのつながりはなんとも弱々しい。

また、登場人物がいくら日の目が当たらないとはいえ、揃いに揃って過去の方を向いているというのはあまり好きじゃないんだよね。そういう後ろ向きつながりは韓国映画の方が十八番なのだから(笑)。

まぁ、この映画の浅さは原作に非があるわけではもちろんなく、映画の作り手の非力に拠るところが大なのだろうけども。

しかし、その中で宮崎あおいたんのけなげな一人二役を見れたのは良かったし、しかも「ただ、君を愛してる」(2006)に引き続きのメガネっ娘姿はゴク唾もの

それだけでも一応見た甲斐はあったかなと。

、、、ってこれで満足してもなぁ・・。期待していただけに惜しいというか残念というか、そんな作品ですた。

 ----------------------

ロスト・イン・トランスレーション(2003年・アメリカ・102分)仙台フォーラム

 監督・脚本:ソフィア・コッポラ

 出演:ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、ジョヴァンニ・リビシ

 内容:CM撮影で来日した中年のハリウッドスターと、夫の仕事に付き添って来日しながら孤独感を拭えない人妻。ふたりは、互いを癒すかのように惹かれ合っていく・・・。アカデミー賞で脚本賞受賞。

評価★★★/60点

舞台がNYだったらと考えると、、相当チンケな映画だぞこれ。

“TOKYO”は知ってるけど、“日本”は知らないお人ですね、この監督さん。

でも、病院のロビーにいた婆ちゃんは良かった。

 ----------------------

バッファロー’66(1998年・アメリカ・111分)仙台フォーラム

 監督・脚本・音楽:ヴィンセント・ギャロ

 出演:ヴィンセント・ギャロ、クリスティーナ・リッチ、アンジェリカ・ヒューストン、ロザンナ・アークエット

 内容:大人になりきれない孤独な男のラブストーリー。刑務所を釈放になった男ビリーは、母親に電話で「女房を連れて帰る」と嘘をついてしまう。女房どころか友達もいない彼は、通りすがりのレイラを誘拐するが・・・。

評価★★★★/80点

赤いくつ~履いてたーー男のコ~~

28歳っ!!の男のコ。大人の女のコに連れられて行っちゃった~

どーしょーもないダメ男だけどこの上なく純粋なヤサ男と、年不相応な豊満ロリっ娘の不器用な恋愛はまるで小学生か中学生の初デートでも見ているようなかんじで、見ていてなんともいじらしくなってくる。でも、そこがイイんだよなぁ。

女性が観たら、おそらく母性本能をくすぐられると思うんだけど、男の自分からするとこの童貞男をバカにしつつも、いつの間にか共感して応援してる自分がいて、なんとも微笑ましく見ていられる作品ですた。

また走り方が可愛いんだよね、このガキ(笑)。そして淋しさを湛えた独特さがあって、そこも印象的だったな。良作です。

 ----------------------

フル・モンティ

Full_monty 出演:ロバート・カーライル、トム・ウィルキンソン、マーク・アディ

監督:ピーター・カッタネオ

(1997年・イギリス・92分)シャンテ・シネ2

内容:イギリス北部の町シェフィールド。かつては鉄鋼業で栄えたこの町も、今は失業者であふれかえっていた。ギャズも失業中で、別れた女房に息子の親権を奪われそうになっていた。そんな時、彼はひょんなことから男性ストリップの巡回ショーに潜り込み、女性客の熱気と歓声にビックリ。これは金儲けのチャンスだと踏んだギャズは、仲間を集めて男性ストリップショーを始めようと目論むが・・・。

評価★★★☆/70点

ネイサンは立派な大人になると思うなぁ。

ブヨブヨに爺さまに、垂れパイにホースetc.が懸命に頑張ってる姿を見てるんだもん。人間、追い込まれたら何でも出来るんだな(笑)。

でも、決して下品ではなく、愛嬌と可笑しみと哀しみのペーソスにあふれていて、悲喜劇にリアルな生活感を滲ませるイギリス映画ならではの作品に仕上がっていたと思う。

でも、「フラッシュダンス」のビデオ買うのを恥ずかしがってるような男がやすやすと服脱げるかあ?という説得力の無さとオバさんの立ちションに★-1。

 ----------------------

スモーク(1995年・アメリカ・113分)NHK-BS

 監督:ウェイン・ワン

 出演:ハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハート、フォレスト・ウィテカー

 内容:ブルックリンでタバコ店を営むレンは、毎日店の前を写真に撮るのを趣味にしていた。一方、店の常連で作家のポールは、ぼんやりしていて車にはねられそうになったところを、ラシードと名乗る少年に助けられる。数日後、少年の叔母がポールの家を訪れ、彼の本名はトーマスといい、行方不明なので心配していると告げる・・・。ブルックリンのタバコ店に集う男たちをめぐる、ユーモアと人情にあふれた群像劇。ベルリン国際映画祭作品賞。

評価★★★★/75点

煙草の煙も臭いも苦味も大っ嫌いだが、映画が燻らす人間臭さと人生の苦みを味わうのは大好き♪

2015年12月26日 (土)

夢のシネマパラダイス44番シアター:はたして戦場は娯楽たりえるのか!?

フューリー

20141203181622a78出演:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル、ジェイソン・アイザックス

監督・脚本:デヴィッド・エアー

(2014年・イギリス・135分)WOWOW

内容:1945年4月。連合国軍は戦況を優位に進めベルリンに向けて進軍していたが、ドイツ軍の捨身の反転攻勢に苦しめられていた。そんな中、北アフリカ→フランス→ドイツと転戦してきたベテラン曹長ウォーダディーが駆る戦車“フューリー号”に、補充兵として戦闘経験ゼロの新兵ノーマンが配属されてきた。乗員5名となったフューリー号は敵陣深くへと進軍していくが・・・。

評価★★★☆/70点

戦車に特化した戦争映画はたぶん初めて見たと思う。

話のつくりとしては、戦車に乗って巡る戦場1日体験ツアーといったロードムービー的要素を軸とし、そこに「硫黄島からの手紙」の二宮和也や「プライベート・ライアン」のジェレミー・デイビスのような戦争を知らない現代若者の視点を取り入れることで、戦争の惨状をより身近に真に迫ったものとして実感させるものになっていて、それは一応の成功をみせていたと思う。

また、ロードムービーの必須テーマである“成長”も、戦闘経験のない新兵が敵を殺しまくることに何のためらいもなくなるいっぱしの兵士に成長する姿として描き出されていて、わずか一日でそのように変貌してしまう恐ろしさはよく伝わってくる。

ただ、潜水艦映画は数多くあれど戦車映画はない理由がなんとなく分かったというか、絶対外には出られない&敵の姿を視認できない潜水艦は、密室の中に極限状況の緊迫感と人間関係が充満するわけだけど、戦車は外に出られるし敵の姿も見れるので、そこらへんがちょっとヌルくて中途半端なかんじはしたかな。

戦車の後ろに歩兵がついて敵陣地を進んでいくという遮蔽物としての役割も担っていたとかは目からウロコだったけど。。

しかし、この映画で特筆すべきはそんなことではない。

それは、ブラピをはじめとする米兵が正義ヅラしていないということだ。

第二次世界大戦はファシズムから自由と民主主義を守るために戦ったのだとし、原爆投下でさえも正義と言ってはばからないアメリカは、かの戦争を描いた映画でも、こちらは正義であちらは悪と白黒明確なキャラ付けをしていることがほとんどだった。

「プライベート・ライアン」なんて兵士を国もとの母親に帰してやるために捜し出すという崇高なミッションまで付与されていたりして(笑)、それはつまり米兵が汚い言葉は吐けども汚い行為はしないというキャラクターにつながっていくのだけど、今回は平気で捕虜を射殺するわ、民間人の家に押し入ってそこの娘に手を出すわ(ブラピが若い2人に任せておこうと母親を制するが、そんな道理が許されるはずはない)、かなり醜悪な一面をも描き出していて、善悪二元論では割り切れない戦争の姿をさらけ出している。

戦場とは文字通り無慈悲な殺し合いの場なのだということを正面切って描いていて、第二次大戦を題材にした従来の戦争映画とは一線を画していたと思う。

戦争とは悲惨なものなのだ。

長渕剛の歌にあるように、戦争には正義もクソもないのだから・・・。

 -----------------------

ハート・ロッカー

O0800112410516331041 出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース

監督:キャスリン・ビグロー

(2008年・アメリカ・131分)WOWOW

評価★★★/60点

内容:2004年夏、イラク・バグダッド郊外。アメリカ陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班。任務明けまで残り38日。が、新たにリーダーとして赴任してきたジェームズ二等兵の慎重とは真逆の無謀ともいえる爆弾処理のやり方にチームを組む周りの隊員は不安を感じていくのだった・・・。アカデミー作品賞、監督賞など6部門で受賞。

“映画は麻薬のようなものである”

この映画を見る前も見た後も思うこと。

「アバター」の方がアカデミー賞獲ってしかるべきだった!!

イマジネーションとテクノロジーの豊穣な結びつきによる誰も見たことのない世界と、リアリズムとテクノロジーの不条理な結びつきによる誰も見たことのない世界。

シネマ中毒の自分はやっぱり前者を支持してしまうのであるけれども、リアリズム=肉体とテクノロジー=爆弾の緊迫した対峙はたしかに見応えはあるし、その最たるものとして身体の中に爆弾を埋め込まれた人間爆弾という不条理でおぞましい現実には目を覆いたくなってしまう。

またリアリズム=手持ちカメラとテクノロジー=映像技術として捉えるならば、情緒を廃した客観性を主体とする中で不条理で虚無的な戦場の真実を浮かび上がらせることには成功している。

しかし、、だ。

あまりにもドライなこの映画のタッチは、その代償としてドラマまでをも廃棄してしまった感が否めず、感情移入すら入り込むことを許してくれない。

まるで黒ヒゲ危機一発ゲームを傍から見ているかのようで、しかもこのゲームに自分は参加していないのだという安心感が自分の心情を空疎にさせる。そして後半、差し込み穴の数が少なくなっていくうちに恐怖がジワジワと襲ってくるのだけども、エピソードの単調な羅列がそれを相殺していく・・・。

戦争ジャンキーとなったジェームズの姿が「ディア・ハンター」(1978)でロシアンルーレット漬けになるクリストファー・ウォーケンとダブって見えたけど、そこらへんもっと掘り下げてほしかったし、正直これだったら最初っからドキュメンタリーで撮ればよかったのにと思ってしまった・・・。

短絡的だとか露悪的と揶揄されようが、自分は安直なドラマ、もっとカッコ良くいえば自分のエモーショナルな部分を揺さぶるようなドラマをこそ見たい。

「アバター」には、それがあった。

P.S. クソイラクともやっとでオサラバだ!とエルドリッジがヘリで去るシーンがあったけど、同じようなシーンを「プラトーン」とかのベトナム映画でも見た気が。同じことをイヤというほど繰り返すんだアメリカって国は。。

 -----------------------

グリーン・ゾーン

Greenzone 出演:マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、エイミー・ライアン、ジェイソン・アイザックス

監督:ポール・グリーングラス

(2010年・米/仏/西/英・114分)WOWOW

内容:大量破壊兵器を保有しているとしてイラクに侵攻したアメリカ軍。バグダッド陥落から1ヶ月。ロイ・ミラー准尉率いる部隊は、大量破壊兵器の発見という極秘任務に就いていたが、その痕跡すら掴めずにいた。次第に、情報源への疑いを強めていくミラーだったが・・・。

評価★★★★/75点

イラクに大量破壊兵器はあったのか!?探しても探しても大量破壊兵器が見つからないのはなぜか!?

この大量破壊兵器をマクガフィンとして繰り広げられるアクションムービーの体をなしている今回の作品。

ジェイソン・ボーンシリーズを舞台をイラクに移植したような娯楽作でありながら、イラクの悲惨な状況下を社会派感覚織り交ぜて描き出した手腕はかなりのもので、そのスピーディな展開は2時間では足りないほど濃密。

事実を隠蔽してまで開戦に突っ走る国防総省(パウンドストーン)、ネオコン=国防総省と対立するCIA(マーティン・ブラウン)、政府のプロパガンダ機関になり下がるメディア(ローリー・デイン)、さらにそこに真相を握るイラク側のキーマン(アル・ラーウィ)、イラクの一市民(フレディ)を配置し、その中をスター気取りの自由人(ロイ・ミラー)が縦横無尽に駆け回ることでイラク戦争の背景を暴き出していく。

非常に単純化された構図ともいえるけど、あくまでアクションエンタメに舵を取ったスタンスの中でのバランス感覚は秀逸だ。

加えて、ポール・グリーングラスのスタイリッシュな映像もリアリティがあって抜群に良い。

即物的で人に興味のない、すなわちエモーショナルな部分に乏しい「ハート・ロッカー」よりも国家にノーを突きつけるあからさまなヒロイックを描くこっちの方が自分は好きだ。

おそらくそこには欺瞞であるとかプロパガンダであるといった揶揄がつきまとうのであろうけれども、人間対人間のむき出しのバトル(感情面であれ身体面であれ)こそ映画の真髄だと思うし、それをこそ見たい者にとっては、イラク戦争という関心事を舞台に強引にエンタメにまとめきったポール・グリーングラスの手腕を自分は買いたい。

しっかし、戦争ていうのはいかに茶番劇かってことだよね。こんなので数万人が無駄死にするなんて報われないよ・・・。

 -----------------------

プライベート・ライアン

P009 出演:トム・ハンクス、トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、マット・デイモン

監督:スティーブン・スピルバーグ

(1998年・アメリカ・169分)仙台第1東宝

評価★★★★★/90点

内容:1944年、米英連合軍によるノルマンディー上陸作戦は多数の死傷者を出しながらもなんとか成功を収める。そんな中、戦渦を切り抜けたミラー大尉は、軍首脳から「ライアン2等兵を捜し出し、故郷の母親のもとへ帰国させよ」との命令を受ける。ミラーは部下を指揮して、落下傘の誤降下で行方が知れなくなったライアンを捜しに、敵地の前線へと向かうのだった。

“映画を観終わって、映画館を一歩出たときの眼前に広がる高層ビル群を前にして一瞬立ちすくんだ。あの息が詰まるようなクソ世界から、隔絶された現実世界へいきなり舞い戻ったための一種の時差ボケのような感覚だったのかもしれない。あの時の一瞬の眩暈と何ともいえない気持ちは一生忘れることはないだろう。”

それほどまでに映画の世界に入り込んでいた。

というよりは強引に入り込まされていたといえる。

冒頭30分については既に言い尽くされているが、あの揚陸艇のハッチが開けられた瞬間に自分も首根っこ引っつかまれて海中に引きずり込まれるように、突如として映画の中に入り込まざるを得なかったのだ。

なんともあざとい手法にまんまと引っかかってしまったものだ。

スピルバーグの手法のパターンについては熟知していたものを、予想を超える強烈なアッパーカットを喰らってしまった。

しかし、あの強烈な衝撃波こそ映画のリアリティそして戦争というリアリティなのかもしれない。

同年に公開され、今作と好対照をなす「シン・レッド・ライン」と合わせて、まさに20世紀、戦争の世紀を締めくくるのに相応しい映画だったと思う。

そして21世紀、戦争映画の世界標準となったことは疑う余地がない。(他ジャンルの映画にまで良くも悪くも影響を与えてしまったが・・・。)

 -----------------------

ローン・サバイバー

20140402220335出演:マーク・ウォルバーグ、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、ベン・フォスター、エリック・バナ、アレクサンダー・ルドウィグ

監督・脚本:ピーター・バーグ

(2013年・アメリカ・121分)WOWOW

内容:2005年、アフガニスタン。米海軍特殊部隊ネイビーシールズの4名が、タリバン指導者の暗殺任務“レッド・ウィング作戦”遂行のためアフガン山岳地帯に降下する。衛星電話さえ繋がりにくい孤立状況の中、タリバンの秘密基地を発見したまでは良かったものの、4人は運悪く現地の非戦闘員と遭遇。その処遇をめぐる苦渋の判断が4人を絶体絶命の状況に陥らせてしまう・・・。

評価★★★/65点

映画の構成力、映像の筆致はともにレベルが高い。特に冒頭4分弱で「フルメタル・ジャケット」の前半1時間分、殺人兵器養成合宿と同等のインパクトを与えるに足る実際の訓練風景がもたらす画力と巧さには唸ってしまう。これにより、その後の一見するとあり得なさすぎな転落に次ぐ転落劇に説得力が与えられている。

しかし、25年前だったらスタローンのランボー1人で敵を根絶やしにできたのだろうけどw、永久に終わらない泥沼の戦いを続けている現在では、そういう絵空事を娯楽アクションに転化する余裕はなくなっているらしい。

それどころか敵に追い立てられ、蜂の巣のなぶり殺し状態を延々見せられるに至っては感情移入することすらままならない。つまりは敵を狩る側にいたアメリカが、狩られる側に身を置くことになってしまった立場の逆転をまざまざと見せつけられるわけだ。

しかし、例え敵地の戦場で作戦が失敗し、いかなる代償を払おうとも、それは武勇伝という美談になり、変わらずアメリカは正義であり続け、これからも自由を守るために戦うのだ!と星条旗をなびかせながら決意を新たにする英雄気取りの正当化視点にはいささか違和感を覚える。

例えば、アメリカにタリバンが潜入し、米司令官を暗殺するべく隠密作戦を実行中、牧場のカウボーイと出くわすも人道的観点から解放。ところがそれがきっかけで米軍に察知され撃退されてしまう。あるいは、北朝鮮工作員が日本人を拉致するために潜入するも見つかって自衛隊にボコボコにされる。

このタリバン&工作員と今回のネイビーシールズは何が違う!?根っこは同じ自業自得な話ではないのか。

それでも他国に土足で踏み込むことを是とするアメリカの正義はやはりどこか違うだろ、と思ってしまう。

25年前、アフガンでランボーはタリバンと手を組みソ連軍と戦った。しかし今ではそのタリバンと戦うはめに陥り、反タリバン勢力と手を組んでいる。25年後、その構図はどうなっているのやら・・・。

 -----------------------

ブラックホーク・ダウン

Black 出演:ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア、エリック・バナ

監督:リドリー・スコット

(2001年・アメリカ・145分)MOVIX仙台

評価★★☆/45点

内容:1993年、内戦が続くソマリアの秩序を維持するために、米軍は武装勢力アイディード派の幹部捕獲作戦を敢行。作戦は1時間で完了するはずだったが、戦闘ヘリ“ブラックホーク”が民兵によって撃墜され、戦いは泥沼に陥ってしまう・・・。

“アメリカ一極支配の終焉

オープニングでこの映画は事実に基づくと前置きする通り、実話ベースの映画ではあるのだけど、人物の掘り下げを敢えてすることもなく、ゆえに名前と顔も一致しないから見る側に感情の付け入る隙を与えず、淡々と戦闘を描き、淡々と死を描く。そして死は単なる客観的事実でしかないという感情度外視の描き方がハンパなく、見終わっても何も感じなかったのが逆に怖いくらいの作品だった。

作品世界との距離を縮める要素を持たないノースタンスの描写は、好意的にみれば観客側に委ねる作りともいえるけど、悪くいえば主義主張のない単なる逃げとも受け取れるわけで、どうも今回は後者の感が強かったような・・。

まじめな話、自分でもなんでだろうと思うくらい冷めて見てる自分がいて、、と、ふとこの映画を見ている自分の顔って、統合作戦本部のサム・シェパードの作戦指示を上空500フィートを旋回するヘリから伝える上官の無機質でのっぺりとした顔と同じであることに気付く。

それはつまり、テレビのニュース映像を通して戦争の断片にしか過ぎない成り行きをただ見ているだけのあまりにも遠すぎる距離感といってよい。要はこの距離感というのは、まさに映画の作り手側の意図するところであり、作り手側と映画自体との距離感でもあるのだろう。

しかし、先述したことに戻るけど、肝心の作り手側が最初からほっぽり出してるだけじゃんともいえるわけで、そこに何か意味を見出すというのはかなり難しいところではあると思う。

ただ、奇しくもアメリカ同時多発テロ事件と同じ年に映画が公開されたというのは時代性を捉えた作品であることもたしかで、世界の警察として秩序保持のために他人の揉め事に率先して首を突っ込んだあげく敢え無く自滅するアメリカの限界を赤裸々に描き出しているという点で見る価値はあるのかも。

それはまるでスズメバチの巣を突っついて返り討ちに遭う大バカ者といったかんじだけどw、映画のラストで「他人の戦争に飛び入り参加するなんて戦争中毒なのか?それとも英雄のつもりなのか?」という問いに対し、「仲間のために戦う。それだけだ」という主人公の答えが全然本質的な答えになっていないところがアメリカの矛盾を露呈させていて面白かった。

ところで、以前ピュリツァー賞写真展が開催されて足を運んだことがあって、ちょうどこの映画で描かれていた出来事を撮った写真が1993年だったかのピュリツァー賞を受賞していた。死んでいる米兵の遺体が裸にされて群衆に引きずり回されている写真だった。たった数枚の写真だけで、2時間半という長尺を割くこの映画を凌駕してしまう真実がそこにはあった。

もちろん様々なメディアや媒体ツールを通して考えなければならない問題ではあるけど、この映画を見ちゃうと、なにも映画がノンフィクションと同じ土俵に立ってそのマネ、模倣をしたって何の意味もないとも思ってしまう。

だって、どう頑張ったって虚構にしかすぎないのだから。

だから映画には作り手の主観が入って当然だと思うし、何も逃げることはない。英雄に描きたかったら描けばいいじゃんってだけのこと。あるいは批判的に描きたかったら描けばいいじゃんってだけのこと。

そしてノンフィクションとはまた違ったより多角的な視点から物事を考えたり捉えたりすることができるのではないかなと。

それでいいと思うんだよね映画って。映画というのはそういう一歩踏み込んだ自由な表現の媒体であるべきだと思うから。そこに踏み込めないというのはまた最初に戻っちゃうけど映画としてどうなんだろうと、自分は思ってしまう。

この映画にはもっとわがままに描いてもらいたかったけど、わずか10年かそこら前の話を描くにはまだ時期尚早だったということか・・・。

(*)ソマリア内戦について

一応2000年には国連の監視の下に暫定政権が樹立されはしたが、いまだに中央政権は確立されておらず、文字通りの無政府状態と言ってよい状態が続いている。2006年あたりからは隣国エチオピア軍をも巻き込んだ紛争が活発化し、つい先日にはアメリカ軍がアルカイダ掃討と銘打って空爆を行った。

個人的にはいわゆるソマリア内戦に関していえば、第三者が介入しなくてはならない、そうじゃないと解決しない問題だったと思う。たとえそれがアメリカであろうとも。

ソマリアにも十分すぎるほどの非はあることを忘れてはならない。特に問題の解決手段を武器と殺戮にしか求めないやり方には。

もちろんその武器を与えてやったのは冷戦時代のアメリカ、そして旧ソ連だったわけだけど・・・。しかも解決手段を同じ武器でもって介入するというアメリカのやり方もいかがなものか。難しい問題です。

19世紀のアフリカ全土にわたる植民地化時代、列強諸国のいいように民族が分断され、国境線が引かれ(話によると地図上に定規で線を引いて国境線が決められたという)、そのいいかげんなツケが今アフリカで多発する紛争という悲劇に結びついているのは言うまでもない。

そのツケから顔をそらして無関心を装う西欧諸国にも問題ありありなのだ。

しかるにこの映画はそんなこと1つも・・・。映画までもが顔をそらしてどないすんねん。一歩間違えるとただのエイリアン映画でっせ。

 -----------------------

遠すぎた橋(1977年・イギリス・175分)NHK-BS

 監督:リチャード・アッテンボロー

 出演:ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、ジェームズ・カーン

 内容:第二次世界大戦のノルマンディ上陸作戦から3ヵ月後の1944年9月、連合軍が企てた史上空前の空陸共同作戦、マーケットガーデン作戦が失敗に終わるまでを豪華スター共演で見せる戦争スペクタクル。

評価★★★/60点

いよいよダラけてきた頃に、最後の切り札レッドフォード登板というなんとも贅沢な使い方。

しかし、その効果もなくダラけたまま終了。。

ドイツ軍側からも描写するという斬新な試みをしているが、大風呂敷広げすぎて、戦争と人間の愚かさ、残酷さを描くには程遠いシロモノとなってしまった。

でも、壮大なスペクタクルとして見た場合、落下傘部隊の降下シーンなど見るべき価値はある、、かな。

2015年12月11日 (金)

夢のシネマパラダイス162番シアター:地獄でなぜ悪い

地獄でなぜ悪い

Mig出演:國村隼、堤真一、長谷川博己、星野源、二階堂ふみ、友近

監督・脚本:園子温

(2013年・日本・129分)WOWOW

内容:一世一代の傑作映画を撮ることを夢見る30手前のフリーター・平田のもとについに映画製作の話が舞い込んだ。依頼者は獄中にいる妻のために、かつて子役として活躍した娘のミツコを主演に映画を作ろうとしていたヤクザの組長・武藤。当初、監督はミツコに無理やり頼まれたド素人の橋本だったが、映画を完成させないと殺されることに肝を冷やした橋本が奇跡的に出会ったのが平田だったのだ。こうしてスタッフ&キャストは手下の組員、しかもテーマは現実に敵対する池上組への殴り込みという前代未聞の映画撮影が幕を開ける・・・。

評価★★★☆/70点

映画バカにささげるオマージュを散りばめた映画愛をうたった映画って古今東西あるけど、そのてのものって甘酸っぱいノスタルジー色に彩られたものが多い。ニューシネマパラダイスはもとより三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」しかりJ.Jの「スーパーエイト」しかり「桐島、部活やめるってよ」しかりだ。

しかし、これはどうだ!

露悪的で破壊的で不健全でアンバランスでとにかく滅茶苦茶w、狂気の沙汰に針が振り切れた全力歯ぎしりレッツゴー!な超激辛ムービーを見せられてしまうとは。

甘酸っぱさとは真逆の唯一無二の悪趣味全開バカ映画!

それ以上でも以下でもない(笑)。

しかし、途中で息切れすることなく130分ハイテンションで突っ切る力技はスゴイの一言。これが撮れたら死んでもいいというほどの一生に一度の名作がヤクザのガチの殺し合いというハリボテ感をなんなく突き破っていく阿鼻叫喚のカタルシスが、映画にかける情熱をブラックなユーモアに昇華させている。過剰すぎる表現方法の好き嫌いは別にしてそこだけは認めざるをえない。

役者陣もこんな血みどろ大宴会によく付き合ったと思うよww

でも、なんというか、こんな雑極まりない映画を認めたくない自分もいたりして・・

映画愛を露骨にセリフで何遍も語らせるのもなんか違うし、結局映画はハリボテでしかないんだよと予定調和な落としどころをさらに突き破る「はい、カット~!」の掛け声で締めるラストも、ここまできて監督の照れ隠しかよっと引いちゃったしw

まぁでも、今回は園子温の映画バカっぷりの軍門に潔く降るよ。あー負けだ負けだ。こっちももうヤケッパチだww

 ---------------------

51286kamata_640 出演:松坂慶子、平田満、風間杜夫、清川虹子、蟹江敬三、原田大二郎、萩原流行

監督:深作欣二

(1982年・松竹・109分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:『新撰組』を撮影中の花形スター銀四郎は、お嬢様との見合い話が進み、妊娠してしまった恋人の女優・小夏が邪魔になり、取り巻きの大部屋俳優の一人ヤスに彼女を押し付ける。彼女の大ファンだったヤスは、小夏と結婚し、生まれてくる子供も我が子として育てることを承知するが・・・。

“戸籍は屁よりも劣るのかぁーッ!”

テンション5割増の超ハイテンションで繰り広げられる失笑もんの青くさいドタバタ劇に最初は付いていけなかったんだけど・・。

しかし、大見得を切りながら二枚目の大根役者・銀ちゃんを演じきった風間杜夫。その銀ちゃんにドツかれまくりながらも、「これがこれなもんで~」という名ゼリフとともに大部屋俳優としてのプライドと意地を見せていくヤスに扮した平田満。そして銀ちゃんの子をはらませた落ち目の女優とヤスとの結婚生活に本当の幸せを見出していく良き妻との間で揺れ動く女心を泣きじゃくりオッパイまでさらけ出しながら熱演した松坂慶子。

彼らの体当たり演技に裏打ちされたアツい空気とテンションに力づくで映画の中に引きずり込まれてしまった・・・。

永遠に続くかと思われるハイテンションを、これは劇中劇でっせというラストのオチで綴じたのも巧かったし、全てが納得できたかんじ。

しっかし、10メートルの高さの大階段は見てるこっちが足すくむわな(笑)。

人間が1番恐いと実感する高さは10メートルなんだそうな。くわばらくわばら・・・。

でも、タイトルに蒲田って付いてるから、松竹を思い浮かべちゃうけど、映画の舞台はどう見ても東映京都撮影所なんだよね(笑)。あてつけか何かなのかしらw?

 ---------------------

キネマの天地(1986年・松竹・135分)NHK-BS

 監督:山田洋次

 出演:中井貴一、有森也実、渥美清、松坂慶子、倍賞千恵子、すまけい、笠智衆、岸部一徳、田中健、松本幸四郎、柄本明、ハナ肇

 内容:昭和初期。浅草の活動写真小屋で売り子をしていた小春は、松竹の映画監督に見出されて蒲田撮影所の大部屋女優となる。彼女はすぐに演技の難しさに直面するが、周りの人々の励ましもあって少しずつ女優として成長していく。やがて、大作の主演に決まっていた大スター川島澄江が愛人と失踪し、小春に代役が回ってくるが・・・。

評価★★★/60点

山田洋次に井上ひさしに山田太一という個性の強すぎる巨匠がトリオで脚本に参加しているけど、えてしてそういうコラボってお互いの良さを消し合って逆効果になっちゃうんだよね。で、これもご多聞にもれず、あまり統一感のない作品に仕上がってしまった・・・。

ただ、松竹大船50周年企画のお祭り映画という意味では日本映画草創期の映画ネタと楽屋オチが楽しめるのもたしかで、個人的に1番面白かったのはアカ狩りで思想犯の部屋に踏み込んできた特高警察がマルクスの本を見つけるんだけど、その本がハリウッドのナンセンスギャグマイスターのマルクス兄弟の本だったというシーンw

他にも宮崎駿の「風立ちぬ」でドイツ人スパイのカストルプがピアノの弾き語りをしていた曲“ただ一度だけ♪”を木の実ナナがビアホールで歌ってたり、、って30年を経ての邂逅ってスゴッ。

あとは何といっても渥美清の名人芸にこの映画が救われていることは口を強くして言っておかなければならない。寅さんの父親役というのも珍しくて見どころだったけど、味わいがあって良いんだよね。特に渥美清と笹野高史のかけ合いは絶品だった。

まぁ、全体的にいえば駄作だけどw、見て損はしないso-so映画といえるだろう。

 ---------------------

イン・ザ・ヒーロー(2014年・東映・124分)WOWOW

 監督:武正晴

 出演:唐沢寿明、福士蒼汰、黒谷友香、寺島進、小出恵介、及川光博、加藤雅也、松方弘樹、和久井映見

 内容:戦隊ヒーローショーや特撮ドラマなどで着ぐるみをかぶるスーツアクターを25年やっている本城渉。いつか“顔出し”で映画出演するという夢を追い続けているが、妻子には逃げられ、訪れたチャンスも売り出し中の新人・一ノ瀬リョウに奪われてしまう。ところが、そんな本城のもとに、ハリウッドから忍者アクション大作への出演オファーが舞い込んできた。が、その内容は命がけのあまりにも無謀なスタントだった・・・。

評価★★★☆/70点

映画を見た後日に、日本のアクションスターのパイオニアである千葉真一がたまたまバラエティ番組に出ていて面白いエピソードを話していた。

自分が主演したアクション映画のアクションシーンで、相手役のアクションも自分が吹き替えでやらなければならないほどアクションスタントをこなせる人材がいなくて、これではいかんということで人材育成のために1970年にジャパンアクションクラブ(真田広之、伊原剛志、堤真一などを輩出)を立ち上げたというのだ。

ハリウッド映画で好きなアクション映画は?とか香港映画で好きなアクション映画は?という問いには真っ先に答えられるのに、日本映画で好きなアクション映画は?となると答えに窮してしまう理由が分かった気がしたけど、作り手の裾野の狭さがいまひとつクオリティが上がってこなかった要因なんだなぁと。。

まぁ、七人の侍やるろうに剣心、十三人の刺客といったチャンバラ活劇は世界水準を凌駕しているけど、それくらいだよね。

でも、普段何気なく楽しんで見ているアクション映画の裏には映画バカたちの夢と裏方スタッフの頑張りがたくさん詰まっているんだなぁと思えたし、アクションはリアクションがあって初めて成立するチームプレーという言葉が心に染みた。

大団円のアクションシーンも気合の入った仕上がりで説得力があったし、今回の映画は全体的にみても印象深い作品になっていたと思う。

しかし、戦隊ヒーローの中に入っているのがブラジャー付けたオッサンって、、この映画は子供には見せられないな(笑)。

より以前の記事一覧

2020年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ