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2019年9月29日 (日)

夢のシネマパラダイス252番シアター:冬山に行く人の気が知れない・・

劔岳 点の記

S1292802861 出演:浅野忠信、香川照之、松田龍平、仲村トオル、宮崎あおい、笹野高史、夏八木勲、役所広司

監督:木村大作

(2008年・東映・139分)WOWOW

内容:明治39年、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍参謀本部は、唯一の空白地である前人未到の劔岳の測量を測量官の柴崎芳太郎(浅野忠信)に命じる。欧州の最新機材を持ち込み初登頂を目指す日本山岳会というライバルが現れる中、柴崎ら測量隊は、案内人・宇治長次郎(香川照之)のもと劔岳山頂へ向かう・・・。

評価★★★☆/70点

登頂するのがこれほど難しい山が日本にもあったなんて東北人の自分は全く知るよしもなく、、剣岳自体知らなかったもんなぁ。日本にもヤバイ山ってあるんだねww

というのはさておき、肝心の映画の方だけど、正直なところ、映画のメイキングドキュメンタリー見てた方が数倍面白いのではなかろうかと思ってしまった、かも。。

いや、素晴らしい映画であることに何ら異論があるわけではなく、「天の視点から人間のやっていることを俯瞰の目で見て描きたい」と語った黒澤明の言葉に仮託してみるならば、今回の映画は剣岳の視点から人間のやっていることを俯瞰の目で見て描いた映画であるといえ、峻険な山岳風景の中にポツポツと黒い点描のように埋没して見える人間たちを捉えた映像はまさに圧巻きわまりないものがある。

また、登山というと己を見つめ己を知る孤高の闘いというイメージがあるけど、この映画では尊重と献身の心を持ち合わせた人とのつながりや仲間たちの絆というものを描き出しており、壮大な力強さの中にも控えめな品の良さがうかがい知れる良作になっているのはたしかだ。

近年稀にみる真摯で実直なつくりの映画といえよう。

しかし、それでもあえていうならば、「剣岳の視点」の中に人間ドラマが埋没している感も拭えず、男ばかりの映画にしては男臭さやその息遣いがあまり伝わって来ないのもちょっと気持ち悪いというか、人間ドラマがスマートすぎて緊迫感に欠けるきらいはあったかなと。

また、一面の雲海に沈む夕陽をバックにしたシーンなど、一体この景色を撮るためにどのくらい撮影スタッフは待ったんだろうとか凄く気になっちゃって(笑)、それこそ監督の怒号が常に聞こえてきそうな映画のメイキングを見た方がパッションや緊迫感を断然感じられるのではないかと思っちゃったww

しかしまぁ、作り手の映画に対する信念と、私利私欲にとらわれない測量官や案内人、登山家たちの信念がオーバーラップし、強い想いとなって伝わってくるという点において、この映画を自分の心に留め置いておきたいとは思う。

それにしても、紅一点の宮崎あおいタンみたいな嫁さん欲しいなぁ~~

夢のまた夢・・・。

(追記)

後日、WOWOWで「劔岳撮影の記、標高3000メートル、激闘の873日」というメイキングドキュメンタリーをやってて興味深く見たけど、「撮影じゃなくて苦行だと思わなきゃやってられない」という監督の言葉通りのあまりにもタフすぎる映画撮影に絶句しながら見てしまった。

登山して天気悪くて下山して翌日また登って、しかも撮影機材を背負って、、これを何週間も山にこもってやるっつーんだから、さらには冬山にまで・・。まさに苦行だわ。

ただ、、山でプカプカ煙草吸うのだけはいかがなものかと思うぞ。ぶっちゃけ山で煙草吸う人って初めて見たもん。

剣岳を見て涙する野郎がそこで平気で煙草吸うって、、恐ろしいくらいに敬意に欠けてるような気がするんだけどw

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エヴェレスト 神々の山嶺

Everestmovie1

出演:岡田准一、阿部寛、尾野真千子、ピエール瀧、甲本雅裕、風間俊介、佐々木蔵之介

監督:平山秀幸

(2016年・日本・122分)WOWOW

内容:1993年、ネパールの首都カトマンドゥ。日本のエヴェレスト遠征隊が2人の犠牲者を出し登頂を断念した。随行していた山岳カメラマンの深町(岡田准一)は、失意の中でふと立ち寄った骨董屋で古いカメラを見つける。それが1924年に初登頂に挑んで消息を絶ったイギリス人登山家ジョージ・マロリーのものかもしれないと感じた深町だったが、突如現れた大男がこれは自分が盗まれたものだと言って持ち去ってしまう。深町は、その男が数年前に消息を絶った天才クライマーの羽生(阿部寛)であることに気づくが・・・。

評価★★★/65点

夢枕獏の原作は未読のせいか、思ったほど悪くはなかったw

特に「山に登るのは俺がここにいるからだ」と豪語し、山に取り憑かれた鬼気迫る執念を見せる羽生を演じた阿部寛の存在感は強烈だったし、生への信念を見せる岡田准一も良かった。

エヴェレストのド迫力映像や登はんシーンも力の入れ具合がしっかり伝わってきたし、ヴィジュアルエフェクトも織り交ぜていたのだろうけど、邦画でここまでのスケール感を描けたのは素直に拍手。

ジョージ・マロリーのカメラをマクガフィンとするドラマの展開に角川映画特有のチープさはかなり残るものの、全体的に見応えのある作品になっていたとは思う。

ただ、登山好きじゃないと分からないような心理描写をスルーしちゃってて、素人にはえっ?と感じるところも多々あったのと、羽生の恋人(尾野真千子)の中途半端な扱いなど掘り下げが足りなかったのはマイナス。。

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アイガー北壁(2008年・ドイツ/オーストリア/スイス・127分)

 監督:フィリップ・シュテルツェル

 出演:ベンノ・フユルマン、ヨハンナ・ヴォカレク、フロリアン・ルーカス、ウルリッヒ・トゥクール、ジーモン・シュヴァルツ

 内容:ベルリンオリンピックを目前に控えた1936年夏。ナチス政府は、登頂不可能といわれたアイガー北壁を登頂したドイツ人に金メダルを与えると発表。アイガーの頂を目指し多くの登山家が集結する中、若きドイツ人登山家トニーとアンディもやって来る。麓の高級ホテルには、ワインを片手にマスコミや野次馬が陣取り、その中には2人の幼なじみで駆け出し記者のルイーゼの姿もあった。そして2人は登攀を開始するが・・・。

評価★★★/65点

栄光か悲劇しか記事にならないというセリフがあったけど、それはそのまま映画に当てはめることもできるだろう。

とはいえ、まさか悲劇で終わるとは思いもよらず、絶望的な展開にしばし呆気に取られてしまった。

見終わっても、なぜに初登頂の栄光ではなくこの悲劇を映画化したのかイマイチ分かりかねたけど、ちょっとノリきれなかったかなぁ・・。

リアルな山岳シーンを凡庸な人間ドラマが引っ張っちゃってるというか、盛り上がりに欠けるんだよね。特にヒロインの駆け出し新聞記者の扱いがおざなりで、変に女っ気を入れない方が良かったのではないかなとさえ思ってしまった。

あとは、うーん、登頂の様子をネット中継することで有名になった栗城史多のドキュメンタリーと見比べちゃってる部分が確実にあって。。彼の挑戦を追ったドキュメンタリーを何本か見てるけど、その臨場感たるや圧倒的で、言葉が出ないほどスゴイ。本映画の中でアタックを下界から眺めている記者が、真実のドラマは現場にしかなく我々はそれを永遠に知り得ないと言ってたのが印象的だったけど、それを見れて体感できてしまうのだから、ただただ息を飲むばかり。なので、それと比べちゃうと・・。

ヒロインの目の前でぶら下がったまま恋人が凍死してしまう凄絶さはたしかにスゴイのだけども、やっぱ弛緩してしまう下界の人間ドラマがはっきりいって邪魔なんだよね・・。

うーん、、ドイツ映画、肌に合わないかもw

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ミッドナイト・イーグル(2007年・松竹・131分)WOWOW

 監督:成島出

 出演:大沢たかお、竹内結子、玉木宏、吉田栄作、袴田吉彦、石黒賢、藤竜也

 内容:かつて戦場カメラマンとして世界を駆け巡っていた西崎は、戦場でのトラウマから一線を退き、今では山岳カメラマンとして星空を撮り続ける日々を送っていた。そんな彼はある日、山中で赤い閃光を目撃する。やがて、米軍の戦略爆撃機ミッドナイトイーグルが北アルプス上空で消息を絶ったとの極秘情報が入り、政府は自衛隊を現場へ向かわせる。一方、西崎も、後輩の新聞記者・落合とともに厳戒の現場へ向かうが・・・。

評価★★☆/50点

猛烈な吹雪が吹き荒れる真冬の北アルプスを舞台にした視界のきかない山岳アクション、東京で事件の真相を追う週刊誌記者の私怨の入り混じったサスペンス、米軍ステルス機が墜落したにもかかわらず、全く蚊帳の外の米軍を差し置いて指令を下しつづけるリアリティのない国家安全保障会議室。

この3つが並行して描かれるのだが、しかしてこの欠点ありまくりの3つが足を引っ張り合って全くもって弛緩しまくった映画になってしまっている。

ラストの快晴の北アルプスの空撮シーンを見せたかったのはミエミエだけど、そこに至るまでの過程がいろんな意味で視界ゼロじゃあ全く体を成さない。

邦画版クリフ・ハンガーの道はまだまだ遠い、、らしい。。

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バーティカル・リミット

Image2171 出演:クリス・オドネル、ビル・パクストン、ロビン・タニー、スコット・グレン

監督:マーティン・キャンベル

(2000年・アメリカ・124分)MOVIX仙台

評価★★★/65点

 

内容:世界最高峰のひとつ“K2”を目指すアタック隊が遭難。女性クライマー、アニーら3人が取り残されてしまう。そしてアニーの兄ピーターら6人のレスキュー隊が氷壁爆破用のニトロを背負って救出に向う。肺気腫の危険が迫り、残された時間は22時間。想像を絶する決死の救出作戦が始まった。

“見てるこっちまで息苦しくなってくる。。”

肺水腫になってるわけじゃないのになぜかこっちまで呼吸が息苦しくなってくる。

自爆と窒息の恐怖感、切迫感は並々ならぬものがあり、クレバスの密閉空間も心理的に良くないw

そういう息苦しさはよく出来てるのだけど、、うーんなんだろう、余計な要素が多すぎるんだよねぇ。神聖なK2もそりゃ吹き荒れるわな。

特に人間関係が変に入り乱れているというのは余計だと思う。一応山岳レスキューアクションという触れ込みなのは分かるけど、ボーンのような憎まれ役は必要なのだろうか。。

ホントに憎むべきは自然の偉大なまでの力であって、それに比べたら人間関係のしがらみなんて小っぽけなもんでしょ。そんな小っぽけな要素がこの映画では大々的に描かれ吹き荒れるわけで、なんかねぇ。。ボーンへの復讐を見事に完遂してしまうウィックのラストや、ボーンがトムを殺す場面だとかホント安っぽく見えてしまうわけ。

こんなん描いてるヒマあったらもっとアニーのキャラを掘り下げてもらいたかった。どうもアニーの気持ちとか掴めなかったし、ボーンに1人が死ぬか3人全員死ぬかと言われて苦しむトムに、結局薬を打たないアニーの行動。明らかにそれまでの彼女の言動からすると矛盾してるわけでしょあれって。なんかアニーってよく分からない女だったんだよね。。

だからこの映画はアニーとピーターに的を絞ってやってもらいたかったなと思う。

それができないというのは、はっきりいえば作り手に自信がなかったということでしょ。いろいろ飾りつけてそれらしく見せるというやり方はあまり好きじゃない。

しかもK2という荘厳さに何を飾り付ける必要があるのか、もう少しよく考えてもらいたい。

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ホワイトアウト(2000年・東宝・129分)日劇東宝

 監督:若松節朗

 出演:織田裕二、松嶋菜々子、佐藤浩市、石黒賢

 内容:辺り一面、雪に覆われた12月。日本最大の貯水量を誇る新潟県奥遠和ダムの作業員・富樫は、遭難者の救出の途中、猛烈な吹雪による“ホワイトアウト”に遭遇し、共に救出に向かっていた同僚を亡くしてしまう。それから2ヵ月後、富樫は、ダムの爆破をネタに政府に50億円の要求を突きつけるテロリストグループによるダムジャック事件に巻き込まれてしまう・・・。

評価★★☆/50点

“これってあれでしょ、吹雪はハリウッド並みだってことをやりたかったんでしょ?”

まぁ頑張ったとは思うんだけど、いかんせん雪と吹雪にアクションを含めた映画そのものがうまくカモフラージュされてるなというかんじが強いんだよね。。なんかまん丸太っている羊の毛を剃ったら、めちゃか細い羊だったみたいな。

アクションなんかあまりどうってことない出来だったし。

だからってインパクト出すために平田満や河原崎建三をあっけなく殺しちゃう使い方っていうのもなんだかなぁ。しまいには松嶋菜々子の足を容赦なく撃っちゃうてのもなんだかなぁ。あげくのはてに、その松嶋菜々子を酷寒の中に置き去りにして行っちゃう織田裕二もなんだかなぁ。

それより何より、ダムの放流で流された織田裕二の服が速攻で乾いちゃうのもなんだかなぁ。

粗を探せばキリがないけど、これだけは言いたい。

寒い中ホントご苦労さん(笑)。

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八甲田山(1977年・東宝・169分)DVD

 監督:森谷司郎

 出演:高倉健、北大路欣也、栗原小巻、三國連太郎、秋吉久美子、緒形拳

 内容:明治35年、日露戦争に備えた耐寒訓練と国威発揚のために、真冬の八甲田山越えに挑むことになった徳島大尉率いる少数精鋭の弘前第31連隊27名は、綿密な計画のもとに十和田湖を迂回して八甲田を踏破する11日間の日程で弘前を出発。一方、3日遅れで青森を発った神田大尉率いる青森第5連隊は、大隊長の指示により210名という大編成になったばかりか、案内人もいない状態だった。かくして自然を力でねじ伏せようとした神田隊は寒波の中で立ち往生してしまう・・・。

評価★★★☆/70点

“ラストでガックリ・・・”

結局、死の行軍を生き残った連中も日露戦争で全員戦死かよっ!

今まで3時間ぶっ通しで見続けてきたのはいったい何だったんだ・・・。ものスゴッ虚しくなったんですけど。。

2019年8月 3日 (土)

夢のシネマパラダイス530番シアター:原爆が残したもの・・・

母と暮せば

D0_hzneucaicqbd出演:吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、小林稔侍、橋爪功

監督・脚本:山田洋次

(2015年・松竹・130分)WOWOW

内容:長崎に原爆が投下された昭和20年8月9日、医大生の浩二は一瞬にしてこの世からいなくなった。夫を病気で、長男を南方戦線で亡くしている母親の伸子は、次男坊はどこかで生きていると思いながら助産婦の仕事をしながら一人で暮らしていた。浩二の婚約者だった町子はそんな伸子のことを気にかけ、足繁く訪ねてくれていた。そして3年目の8月9日、伸子の前にひょっこり浩二の幽霊が現われる。そして2人は思い出話に花を咲かせるのだった・・・。

評価★★★☆/70点

終戦から70年経ち、今や戦地に行った兵士たちは年齢的に考えてもほとんどいない世の中になってしまった。13歳の時に終戦を迎えたという山田洋次もすでに85歳。

銃後の世代でさえもはや危うい。自分が思っている以上にあの戦争は風化してしまっているのだと思う。そして高齢になっても精力的に映画を撮り続ける山田洋次にとって最近のきな臭い世の中の風潮もあいまって撮らずにはいられなかったのだろう。

昭和15年の東京を舞台にした「母べえ」(2007)で市井の人々のささやかな幸せを喰いつぶしていく不気味な戦時の空気を描いていたけど、今回は数多の生命を一瞬で消し去った原爆投下から3年後の長崎を舞台に、いまだ消えることなく日常に刻まれた傷跡を描き出した。

広島が舞台の「父と暮せば」と対になった作りになっていて、生き残った者の負い目というテーマは同じなのだけど、生き残った自分は幸せになってはいけないんだと自問自答する娘の痛々しさが心に刺さった「父と暮せば」と比べると、今回は母と息子というマザコンすれすれの親子愛とキリスト教の死生観が根本にあるために若干メッセージ性が甘めの方向に出てしまった感はあるかなとは思う。

けど、原爆を語り継ぐことをライフワークとしてきた吉永小百合の演技は心に響くものがあったし、菩薩のような彼女でさえも「どうしてあの娘だけが幸せになるの?」と呪詛の言葉を吐かざるを得ないところに、戦争・原爆のもたらした虚しさとおぞましさが胸をついた。

あとは何といってもたった2カットで表現した原爆投下直後の惨劇シーンだろう。

医科大の教室内がビカッと真っ白に光った後に万年筆のインク瓶がトロトロと溶けていき、ガラス片の粉塵が猛烈な爆風で吹きすさび真っ暗闇に覆われていく、、、そのあまりの衝撃に何も言葉が出てこなかった。

山田洋次渾身の一作になったといっていいだろう。

ただ、映像から色や温度は伝わってきても匂いまではあまり伝わってこなくて、戦争を知る最後の世代の山田洋次でさえも描き切れないところに風化の恐ろしさを感じてしまったことも付け加えておきたい。

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父と暮せば

Kura 出演:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信

監督・脚本:黒木和雄

(2004年・日本・99分)NHK-BS

評価★★★★/80点

 

内容:広島に原爆が投下されてから3年。図書館に勤める美津江は、愛する人たちを原爆で失い、自分だけが生き残ったことに負い目を感じながらひっそりと暮していた。そんな彼女はある日、図書館で大学助手の木下という青年と出会い、互いに惹かれあっていったが、「うちは幸せになってはいけんのじゃ」と恋心を押さえ込んでしまう。それを見かねた彼女の父・竹造は亡霊となって姿を現し、“恋の応援団長”として娘の心を開かせようとするのだが・・・。

“広島の原爆慰霊碑に記銘されている「安らかに眠って下さい。過ちは二度と繰り返しませんから。」という言葉を忘れずに受け継いでいくためには、とにかく語り継いでいくことしか道はない。”

戦争・被爆体験の記憶を風化させてはならないという声は、戦後70年が経ち、TVゲームばりのシミュレーション感覚で戦争がTV画面から流れてくることにどこか感覚が麻痺しかけている現在、特に声高に叫ばれていることだが、風化を防ぐためにはとにかく戦争体験者の悲惨な記憶を世代を越えて語り継いでいかなければならない。

風化させてはならないのならば語り継いでいかなければならない。~しなければならない、それは義務であり責任であり使命である。戦争を体験した者としての。

と、疑問のはさみ込む余地などないような当然なこととして自分なんかは考えてきたのだが、この映画を見てハッと気付かされたことがある。

それは、語り継ぐ者の苦悩とツラさだ。

思い出したくもない、他人に話したくもない悲惨な体験の記憶を吐露すること。そのエネルギーと勇気はそれを受け取る側からは計り知れないほどのものがあるのだろう。

原爆投下から3年後の広島で生きる美津江の苦悩、未来を断絶させてしまうほどの人間そのものを深くえぐる傷。

「あんときの広島では死ぬるんが自然で、生き残るんが不自然なことじゃったんじゃ。」という言葉にしばし絶句してしまう。

生き残った者としての苦しみを切々と表現した宮沢りえと、その何十倍もの苦しみを背負いながら美津江を大らかに包んでいく「恋の応援団長」原田芳雄の存在感にただただ脱帽するばかりだ。

次の世代に継いで行く、それにはもちろん受け取る次の世代の側にも義務と責任と使命が課されるわけだが、はたして語り継ぐ側とどれだけ価値観を共有できるのか、どれだけ彼らのつらく苦しい記憶を実体と重さのあるものとして受け止められるのかという問題も最近は出てきたように感じられる。

先の戦争では日本軍兵士の多くが実は餓死で亡くなっているというのは事実だが、この飽食の時代に、はたして飢餓を想像できるだろうか。以前TVで、あまりにも空腹で、炭をガリガリかじって食べたんです、という元兵士の話を聞いたが正直自分はわけが分からなかった。だって、炭って・・・。

また、例えば、ひめゆり部隊の沖縄戦に関する語り部の証言が「退屈で飽きてしまった」などということが高校の入試問題に平気で出てしまう、今はそんな時代になってしまったのだ。

風化は日々進んでいる。

とにかくもう時間がない。次の世代に継いでいかなければならない時間が・・・。

戦後70年経って、涙を流しながらやっとで重い口を開く方もいる。戦後70年経っても、いまだに戦争の悪夢にうなされる方々がいる。

自分の祖父はシベリア抑留を経験していたが、中学生の時に交通事故であっけなく逝ってしまった。

祖父には右手の親指がなかったが、戦争で銃弾を受けたせいだと言っていた。

結局、祖父からは戦争体験らしいものを聞くことなく別れてしまったのだが、今となっては少し心残りな気もする。

シベリア抑留、ほとんど分からないし知らない。

これは、問題だ。。

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黒い雨

Bnashzxau 出演:北村和夫、田中好子、市原悦子、小沢昭一、三木のり平、沢たまき

監督・脚本:今村昌平

(1989年・東映・123分)NHK-BS

評価★★★★★/90点

 

内容:1945年8月6日、高丸矢須子は瀬戸内海の小船の上で強烈な閃光を見た。その直後、空は見る見る暗くなり、矢須子は黒い雨を浴びてしまう。5年後、福山市に移り住んだ矢須子は、原爆症の疑いをかけられて縁談がなかなかまとまらず、彼女の面倒を見る叔父は気をもんでいた。やがて、矢須子は発病し、被爆の後遺症に悩まされる・・・。

“「正義の戦争より不正義の平和の方がマシ」という印象的なセリフがあったけど、昭和20年の日本より平成20年の日本の方がマシ、、、と今の後期高齢者の方々は本当に思えるんだろうか、、というのもなんだか怪しい世の中になってきちゃってるような気がしてならない。。”

自分にとってトラウマになっている映画というのは何本かあって、それは例えば「ターミネーター」だとか「オーメン」「バタリアン」など小学校低学年で見た映画が多いのだけど、その中で最強のトラウマ映画といえるのが、小1で見せられたアニメ版「はだしのゲン」。

ヤッター!アニメ見れるぜー!と意気込んで見に行ったが最後、劇場の座席が電気イスに感じられてしまうほどの苦痛を味わってしまったわけで。それはまさに永遠に続くかと思われるほどの醒めない悪夢だった・・・。

ただ小さい頃、親にこの手の反戦映画を網羅させられたのは今となっては良い経験になったと思うし、戦争という悲劇のトラウマを小学生くらいで植え付けるというのは教育上大変によろしいことだと思うので、親には感謝しております(笑)。。

んで「火垂るの墓」をはさんで「黒い雨」を見たのが小5くらいだったと思うんだけど、これがまたエライ思い出があって。

母親に連れられて自分と弟、妹の4人で見に行ったのだけど、劇場窓口でチケットを買って劇場に入っていったら、職員のオバちゃんが風船だとかキャラクターもののお面だとかの特典グッズをくれるわけ。

お、ラッキーと思いながら「黒い雨」が上映される2階に上がっていこうとしたっけ、そのオバちゃんが「東映アニメ祭りはそっちじゃなくて1階ですよ!」と教えてくれる(笑)。ようするにそのオバちゃんは自分らが東映アニメ祭りを見に来たんだろうと早合点してそのグッズをくれたのだ。そりゃそうだよなぁ妹なんてまだ幼稚園かそこらだったんだから、まっさか今村昌平のゲテモノ作品を見に来たなんて露ほども思わないだろうよ。

しかし母親が「いいえ、黒い雨を見に来たのでこっちでいいんです!」とキッパリ。ポカーンとしてるオバちゃんの顔が今でも忘れられない・・。

とともに田中好子のオッパイを見てしまったという記憶もしっかり残ってるんだけど(笑)。

いやぁ、、、自分が親になったら絶対に東映アニメ祭りの方を見せるよ、ウン。

ただ、ガキの時点でこの映画、半分分かって半分分からないような映画だったんだけど、胃の中を何かドス黒く熱いものがうごめき、這いずり回っているような息苦しさと圧迫感を終始感じたのはたしかだ。

電車の中で叔父さん(北村和夫)が被爆するシーンの衝撃、そして死屍累々の廃墟と化し、焼けただれた皮膚がズルリと剥け落ちてくるゾンビと化した人間たちが呻き声を上げながら方々をさまよう広島の街を、叔父さん、叔母さん(市原悦子)、矢須子(田中好子)の3人が必死で逃げ回る情景はあまりにも強烈で、川を流れてくる死体とか、道ばたに転がっている黒コゲになった死体だとか、おそらくこういう衝撃は自分の中の記憶としてずっと残っていくんだろうと思う。

つい先日、二次被爆の悲劇を描いた「夕凪の街、桜の国」の原作マンガを読んだときに、髪の毛が抜け落ちるシーンを見て、この「黒い雨」を見たときの圧迫感と同じものを感じて何とも言い表すことのできない重苦しさにとらわれてしまった。

遠い国で起きている戦争が、夕飯時のTVから流れてくるヴァーチャルなものとしか感じられない今の時代にあって、いかに戦争の悲惨さを子供たちに実感できるものとして伝えていくかというのは、戦後から3世代経った自分たちに課された大きな宿題なのかもしれない。

そういう意味では映画の果たす役割って大きいんだよなぁ。

人間、こういうことはすぐ忘れていっちゃう生き物だから・・・。

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夕凪の街 桜の国

Ph1_yugagi20comic 出演:田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、伊崎充則、藤村志保、堺正章

監督:佐々部清

(2007年・日本・118分)2007/08/07・盛岡フォーラム

評価★★★/65点

 

内容:原爆投下から13年後の広島。母(藤村志保)と2人で暮らす平野皆実(麻生久美子)は、会社の同僚・打越(吉沢悠)から告られるが、原爆で死んでいった多くの人々を前にして自分だけ幸せになっていいのだろうかとためらってしまう。やがて、そんな彼女を原爆症の恐怖が襲う・・・。所かわって現在の東京。定年退職した父・旭(堺正章)と暮らしている娘の七波(田中麗奈)。ある日、父の行動を不審に思った七波は、親友の東子(中越典子)と父の後をつけるが、乗り込んだバスがたどり着いたのは広島だった・・・。

“いい映画だったな止まり。根本的に何かが足りない。。”

佐々部清という監督は、一貫して理想的な人間関係のもとにある心優しき人間ドラマを描きつづけていて、その作風はどこまでも爽やかかつ良心的、なおかつ昭和の良き時代の家族観と温かさ、懐かしさを共有しているという点では山田洋次の系譜に連なる作り手さんだと思う。

しかし、今回はその持てる特徴がアダになってしまった感が強いのではないかと思う。

こうの史代の原作を素直なほど忠実に映像化しているのは認めるが、翻っていえば100P足らずの物語をトレースすることは誰にでもできることだ。

問題は、原作でこうの史代が描く温かく優しい街並みや笑顔の絶えない人々、その表面と上っ面だけをバカ正直にトレースしてしまったことであり、その裏にある決して癒されない悲しみ、決して終わることのない憎しみと怒り、決して消えることのない記憶、つまりは広島が「ヒロシマ」になってしまった原爆という毒がすっぽり抜け落ちているのだ。

たった1発の爆弾、たった一瞬の閃光が60年間3世代にわたり刻みつける負の遺産、その重みと痛みがこの映画からは伝わってきにくい・・・。

原作を読み終わったときの読後感は、かなり精神的にズシリとくるものがあり、なんて哀しいマンガなんだと思ったものだが、この映画を見終わると、いい映画だったな止まりで終わっちゃうんだよね。

そういう意味ではかなりガッカリしたかも。。。

マンガと映画、どっちを薦めるかといったら、100%マンガの方をすすめるな。

記憶が歴史というものを形づくるとするならば、この記憶を決して風化させてはならない、決して忘れてはならない。

今も続く物語・・・。

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ひろしま(1953年・日本・104分)WOWOW

 監督:関川秀雄

 出演:岡田英次、原保美、加藤嘉、山田五十鈴、月丘夢路

 内容:昭和28年夏の広島。高校教師北川が受け持つクラスで、授業中に女子生徒が鼻血を出して倒れた。それは原爆の放射能による白血病が原因で、このクラスでは生徒の3分の1が被爆者だった。8年前のあの日、彼らが見たもの体験したこととは・・・。8万人を超す広島市民がエキストラとして参加し、原爆投下直後の広島を再現。ベルリン国際映画祭で長編劇映画賞を受賞。しかし、大手配給元がGHQに忖度して反米的な描写シーンのカットを製作側に要求するも折り合わず、一般公開が中止になったことで、長らく日の目をみることがなかった幻の作品。

評価★★★★☆/85点

原爆を扱った映画というと真っ先に思い浮かぶのが今村昌平監督の「黒い雨」とアニメ映画「はだしのゲン」で、小学生時分に見たこともあってトラウマともいうべき強烈な映画体験として記憶に刻まれている。

あれから約30年、最近ではヒロシマ・ナガサキの映画をとんと見なくなってしまったのだけど、まさか60年以上前に製作され、一般公開されることなくお蔵入りになっていた原爆の映画があったとは驚きだったし、なにより今回初めて見て、その凄絶すぎる映像に衝撃を受けた。

特に原爆投下直後の広島の惨状を映し出した30分以上のシーンは今まで見た原爆映画の中で最も生々しく直視に堪えないものだった。

3ヘクタールのオープンセットを作り80棟に及ぶ家屋や電車を燃やし、黒焦げに焼き尽くされガレキに埋まる街の様子を映像化したそうで、使われたガレキは原爆で生じた実物だったそうだ。

しかし、なによりこの地獄絵図が真に迫り心に突き刺さるのは、阿鼻叫喚の修羅場を彷徨する群衆を演じているのが一般市民のエキストラで、その中には実際の被爆者も多くいたということで、原爆の恐ろしさや被爆の苦しみ、その一人一人の思いや声が画面から圧倒されんばかりに伝わってくることにある。

しかもこれが原爆投下からたった8年後に地元で作られたというのが凄いところで、それこそ戦争と天災の違いはあれど東日本大震災での惨状をここまで克明に描けるかと考えると、今回の映画のもの凄さはある意味常軌を逸しているとまで言えると思う。

しかし、それが政治的圧力で未公開になってしまったというのは本当に悲劇としか言いようがないけど、記憶をつなぎ語り継ぐという意味で全ての日本人そして世界中の人々に目をそらすことなく見てもらいたい映画だ。そういう普遍性を持ったかけがえのない作品だと思う。

P.S. 宮島のおみやげ屋さんでピカドン土産として原爆で亡くなった人々の頭蓋骨(一応セリフではレプリカに決まってるだろうと言っていたが・・)が売られていたり、その後のシーンで戦災孤児が掘り出した本物の頭蓋骨を米兵に売ろうとするシーンがあったけど、これって実話だそう・・。

他にも墨汁のような黒い雨や、被爆直後の灼熱地獄から逃れるために飛び込んだ川で女学生たちが「君が代」を歌うところなど本当に脳裏に焼き付くようなシーンの連続する映画だった。

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鏡の女たち(2002年・日本・129分)NHK-BS

 監督・脚本:吉田喜重

 出演:岡田茉莉子、田中好子、一色紗英、山本未來、室田日出男

 内容:東京郊外に住む川瀬愛(岡田茉莉子)。以前は亡き夫と娘・美和の3人で暮らしていたが、美和は娘の夏来を産むと、母子手帳だけを持って失踪した。それから24年後、その母子手帳を持った女性が見つかるが、その女性は尾上正子と名乗る記憶喪失者(田中好子)だった。実の娘か確信を持てない愛は、アメリカに住む夏来(一色紗英)を呼び寄せる。やがて、正子の記憶の断片は、3人を愛が美和を産んだ地、広島へと向かわせる・・・。

評価★★☆/50点

割れた鏡、抑揚のない語り口、泳がない視線、微動だにしないカメラ・・・。

様々なメタファーが込められているとは思いつつ、まるで能でも見せられているかのような様式美に彩られたつくりは、はっきりいって不気味以外の何ものでもない。

能面の下に覆い隠された、一瞬の閃光で焼きつくされたヒロシマの亡霊。

かがみ合わせのように表裏一体となったあの世とこの世、その死の世界に向かって開かれた窓である鏡が割れているというのは、両者の間に決定的な欠落があるということだろうか。

すなわち、生者は死者について語ることはできない、ヒロシマの真実を語ることはできないのだと。それをアイデンティティを喪失した女性たちを通して描き出そうとしたのかもしれない。

しかし、逆説的にいうならば、この映画には決定的にヒロシマというものが欠落しているともいえ、個人的には理解に苦しむ難しい映画だったというのが正直なところ・・・。

でも、語りつくせないからこそ、我々は絶えず原爆について語り継ぎ語りつくそうと努力しなければならないのかもしれない。

忘却の彼方に決して置き忘れてはならないために・・・。

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TOMORROW 明日(1988年・日本・105分)NHK-BS

 監督・脚本:黒木和雄

 出演:桃井かおり、南果歩、仙道敦子、黒田アーサー、佐野史郎、原田芳雄

 内容:昭和20年8月8日の長崎。結婚式が執り行われていたある家では、肺病で兵役を免除された花婿と看護婦の花嫁を、両家の家族が祝福していた。花嫁の姉は臨月のお腹を抱え、花婿の友人は戦場で捕虜を見殺しにしたことを悔やみ、花嫁の妹は召集令状を手にうろたえる恋人を慰める。やがて姉が産気づき、難産の末、明け方に小さな命が誕生した。そして8月9日・・・。

評価★★★☆/70点

「どうやって子供はできるの?」という少年の問いかけに対し、「こうやってできるんだよ」というのを丹念に綴った夏の一日、、、1945年8月8日。

少年は性に目覚め、乙女は恋に恋焦がれ、花嫁は花婿と結婚式をあげ、女は男と結ばれ、子供を出産し、女は母になり男は父になる。

「アメリ」(2001)で、アメリが「今この瞬間に愛を交わし合い絶頂を迎えているカップルはどのくらいいるんだろう・・」と想像するシーンがあるけど、そうやって日々生命は紡がれ、次の世代につながっていく。

そうやって家族というものはできていくのだ。

「どうやって子供はできるの?」「こうやってできるんだよ」

その日常が、一瞬で霧のごとく消されてしまうラストの衝撃はあまりにも重い。

連綿とつながれてきた彼らの生の営みがブツリと断絶されてしまうことが最初から予定調和として分かっている映画、、、それをはたして映画と呼んでいいのだろうか。

いや、そんな映画があっていいはずがない。こんな恐ろしい映画があっていいはずがない。

彼らに明日が来ないことをはじめから知っている映画なんて・・・。

と同時に核兵器の恐ろしさをこれほど如実に描き出した映画もないこともまたたしかなのだ。

閃光が走る直前に映し出される路地裏で遊ぶ子供たちの楽しそうな姿が目に焼きついて離れない。

2016年10月23日 (日)

夢のシネマパラダイス177番シアター:お伽の国からやってキターーッ!!

トゥモローランド

Poster2出演:ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン、ヒュー・ローリー、ラフィ・キャシディ、トーマス・ロビンソン

監督:ブラッド・バード

(2015年・アメリカ・130分)WOWOW

内容:1964年。自分の発明したランドセル型飛行機械をNY万博の発明コンテストに出そうと会場を訪れた少年フランクは、そこでアテナという不思議な少女と出会い、小さなピンバッジを渡される。すると彼女の後をついて入ったパビリオン“イッツ・ア・スモール・ワールド”の中で突如ピンバッジが発動。未知なる未来都市トゥモローランドへと導かれていった・・・。そして現代のフロリダ。17歳の女子高生ケイシー・ニュートンは、ある日、自分の荷物の中に見知らぬピンバッジを見つける・・・。

評価★★★/60点

ディズニーランドのイッツ・ア・スモール・ワールドとパラレルワールドがつながっている夢発想は悪くなかったけど、全体的に話がややこしくて、ん?ん?と立ち止まることしきりで腹八分目にもう少しで届かなかったかんじ・・。

設定として自分の中でトゥモローランド=ネバーランドに置き換えて見ちゃってたんだけど、そうすると1964年の少年時代に空を飛べるジェットパックを携えてトゥモローランドを訪れたものの後に追放され現実世界に送り返されたフランクは「フック」におけるピーターパンで、アンドロイドの少女アテナはティンカーベルだろう。

つまり「フック」に当てはめていえば、アテナに誘なわれたフランクがトゥモローランドに帰還し、宿敵フック船長=ニックス総督と対決するというストーリーラインが思い浮かぶ。

のだけども、今回の映画は、ここに第3の人物ケイシーが現れるのがミソで、荒廃したトゥモローランドを在りし日の姿に取り戻すためにフランクが闘うのかと思いきや、1番ヤバいのは実は現実世界の方で58日後に滅んでしまう、その救世主となるのがケイシーで、破滅の遠因はトゥモローランドにあるという捻りの利いた展開になっている。

しかし、この捻りに不親切なほど説明が乏しいので、捻りがただのもつれにしかなってなくて映画に求心力を感じないんだよね。

自分が見たかったものと映画のベクトルが最後までズレたままだったかんじ・・。

まぁ、ピンバッジどこかに落ちてないかなぁとは思ったけどw

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エバー・アフター

51zdttwnkkl__sl160_ 出演:ドリュー・バリモア、アンジェリカ・ヒューストン、ダグレイ・スコット、ジャンヌ・モロー

監督・脚本:アンディ・テナント

(1998年・アメリカ・121分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:おとぎ話「シンデレラ」をモチーフにしたラブストーリー。16世紀のフランスを舞台に、継母と姉にいじめられる少女ダニエルが、自らの力で運命を切り開き王子と結ばれるまでを描く。

“劇的ビフォー・アフター!?”

シンデレラの真実の物語と銘打っている中で、中世16世紀フランスという時代にうまく当てはめて作られており、レオナルド・ダヴィンチが絡んでくるところなどファンタジーものとは一線を画した物語になっていてなかなか面白い作品になっていたと思う。

政略結婚でフランスへ連れてこられたスペイン王女が婚礼式でボロ泣きするシーンなんてホントにあったんじゃなかろうかと思うし、情けなさすぎるヘンリー王子みたいな王もごまんといただろう。

、、、てそれじゃダメなんだぞヘンリー(笑)!なぜダニエル(ドリュー)がホレてしまうのか、あんなヘナチョコに・・・。

まぁ、それだけダニエルが強かったということだと思うけど、1発KOしてしまうような腕っぷしの強い土まみれ泥まみれのオテンバ姫も逆にドリューが映えていてヨロシイ。

「マスク・オブ・ゾロ」のキャサリン・ゼタ・ジョーンズあたりだと強面で強すぎるからあれだけど、ドリューだとちょうど良いあんばいだし、パッツンパッツンしててイイんだよね(笑)。

継母アンジェリカ・ヒューストンも「101」のグレン・クローズみたいなディズニーお決まりパターンの悪女かと思ったら、やや人間味が付け加えられていて、なんかタイムボカンシリーズに出てきそうな憎めなさがあって良かった。

けど、ダニエルの親父って、あの継母が毒を盛って殺したのかと思ってたけど、ちゃうんか??

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チキ・チキ・バン・バン(1968年・イギリス・143分)NHK-BS

 監督・脚本:ケン・ヒューズ

 出演:ディック・ヴァン・ダイク、サリー・アン・ホーズ

 内容:夢想家で発明家のポッツが、「チキ・チキ・バン・バン」と名付けたポンコツ車で子供たちと冒険の旅に出る!007シリーズの原作者イアン・フレミングの童話をもとにした冒険ミュージカル。

評価★★★/65点

何度聞いてもチリ・チリ・バン・バンとしか聞こえてこないんだけど、チリ・チリの方が正しいということを後で知ってひと安心。

肝心の映画はというと、山あり海あり空あり谷あり草原あり城ありと見所も満載で、合成シーンも嫌気にならないで巧い見せ方で演出していて好感がもてる。

特に俯瞰シーンは白眉で、ミュージカルシーンや星空の下で海上を飛行しているシーンなどは強く印象に残る。

しかし、如何せんこの内容では2時間半はちと長い。。

ミュージカル映画でありながら冒険映画ともいえるけど、逆にいえば中途半端そのもので、時おり出てくる魅力的な映像で2時間半もっているといったかんじだった。

話の筋が映像に追いついていればもっと見入っていたはずで、その点が惜しいかな。。

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フック(1991年・アメリカ・141分)NHK-BS

 監督:スティーブン・スピルバーグ

 出演:ロビン・ウィリアムス、ダスティン・ホフマン、ジュリア・ロバーツ、グィネス・パルトロウ

 内容:自分がピーターパンだったことを忘れてしまった、さえない中年男ピーターが、子供たちを救うためフック船長の待つネバーランドへ旅立つ!

評価★★★☆/70点

最初に見たのは劇場だったけど、心躍る冒険譚を期待して劇場に入ったはずが、まるで親子関係修復セミナーに強制参加させられたような違和感を抱いたのを子供ながらに覚えていたんだけど。

でも、先日久方ぶりにテレビで見たら、年食ったせいか純粋に楽しめちゃった(笑)。グロさがもうちょっと加味されてればもっと良かったけど。

ピーターみたいに子供の心を忘れてしまったからこそ、こうやって見れる作品なのかもしれないな・・。

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ショコラ(2000年・アメリカ・121分)DVD

 監督:ラッセ・ハルストレム

 出演:ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、アルフレッド・モリーナ、レナ・オリン

 内容:冬のある日、伝統が深く根付くフランスの村に、謎めいた女性が娘を連れて越してきた。彼女がオープンさせた、見たこともないような美味しそうなチョコレートであふれたお店が、保守的な村の人々に変化をもたらしていく。。

評価★★★☆/70点

チョコレートのCMも2時間ぶっ続けで見るとさすがにダレるな。

お味の方も、今までに味わったことのないような絶品なのかと思いきや、そんな取り立てていうような味でもないし・・・。

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グリンチ(2000年・アメリカ・105分)WOWOW

 監督:ロン・ハワード

 出演:ジム・キャリー、テイラー・モムセン、クリスティン・バランスキー、モリー・シャノン

 内容:全身が緑色の毛で覆われた嫌われ者のグリンチは、美しいフーヴィルの町を見下ろすクランペット山に住んでいた。フーヴィルの町では、楽しいクリスマスの準備で大わらわ。しかし、グリンチはクリスマスが大っ嫌い!そこで彼はフーヴィルのクリスマスをメッタクタにしようと作戦を練る。。アメリカ人なら誰でも知っているという児童文学の映画化。

評価★★★/55点

ウォレスとグルミットのようにクレイアニメで見たかった気がする。

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リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い(2003年・アメリカ・110分)MOVIX仙台

 監督:スティーブン・ノリントン

 出演:ショーン・コネリー、スチュワート・タウンゼント、ペータ・ウィルソン、シェーン・ウエスト

 内容:1899年、謎の集団が近代兵器で欧州各地を襲撃し戦争の危機に。冒険家アラン・クォーターメインは、ネモ船長、透明人間、吸血鬼、不死身の男ドリアン・グレイ、ジキル博士、トム・ソーヤーらと超人同盟を結成、謎の集団に立ち向かう・・・。人気小説の主人公たちが一同に会するコミックを映画化。

評価★★/40点

B級からA級に昇格するためにA級養成ギプスを無理やり付けさせられたノリントン。

しかし結果はA級に戦犯が付いてしまうという本末転倒なものに終わってしまった。

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レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(2004年・アメリカ・109分)WOWOW

 監督:ブラッド・シルバーリング

 出演:ジム・キャリー、メリル・ストリープ、エミリー・ブラウニング、リーアム・エイケン

 内容:発明好きの長女・ヴァイオレット、読書家の弟・クラウス、末っ子のサニー。両親を亡くしたボードレール家の3人の子供たちは、遠縁のオラフ伯爵に引き取られる。しかし、実は遺産目当てだったオラフ伯爵は、子供たちに執拗な嫌がらせを繰り返していく・・・。世界的ベストセラーの児童書の映画化。

評価★★★/55点

小公女のごとく徹底的に不幸なトーンに落としていくわけでもなく、ホーム・アローンのごとく痛快さを前面に押し出すわけでもなしに、世にも不幸せなというわりには、ちょっと中途半端な印象。

徹底的なオーバーアクションと七変化でボードレール3姉弟をいじめ抜くジム・キャリーにもはっきりいって凄みが感じられない。

冷徹な狂気よりも軽いノリのコメディぷりの方が勝ったかんじで、そこらへんのバランスがもうちょっと取れていればシニカルでブラックな世界観がもっと際立ってよかったと思うんだけどなぁ・・。

夢のシネマパラダイス316番シアター:なぜ兄弟は映画にならなくて姉妹は映画になるのか

海街diary

News_20150528出演:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平、樹木希林、リリー・フランキー、風吹ジュン、堤真一、大竹しのぶ

監督・脚本:是枝裕和

(2015年・東宝・128分)WOWOW

内容:父は不倫のため15年前に、母もその2年後に再婚し家を出ている中、しっかり者の長女・幸、やんちゃな次女・佳乃、マイペースな三女・千佳の香田三姉妹は、鎌倉の実家で暮らしている。そんなある日、父の訃報が届き、3人は葬儀の行われる山形へ。そこで中学生になっている腹違いの妹すずと出会う。父の再々婚相手の家のため、血のつながった身寄りがいなくなり肩身の狭い思いをしているすずの姿に、幸は鎌倉で一緒に暮らさないかと提案する。こうしてすずが香田一家に加わり、四姉妹の暮らしが始まる。

評価★★★★/80点

好きな漫画は何かと訊かれたら真っ先に「海街diary」を挙げるほど原作漫画が好きな自分は、この漫画に関しては一風変わった読み方をしている。

それは家から職場まで車で片道50分かかるのだけど、通勤途中の信号待ちの時にサッと手に取る読み方だ(笑)。かなり邪な読み方かもしれないけど、一巻読むのに大体2~3週間はかかってしまう。

じゃあ、なんでこういう読み方をするかというと、端的に言えば一気読みしたくないというのがあって、要は4姉妹の日常を流れるゆったりとした時の流れを共有したいからだ。

その点で今回の映画は、原作の持つ世界観を的確に、そしてイメージ通りに映像化してくれたと思う。

鎌倉の街の情景や4姉妹が暮らす日本家屋など実写ならではの奥行きが彼女たちのキャラクターや物語に説得力をもたらしていたし、なにより4姉妹がイイ♪

サチ姉の綾瀬はるかと千佳ちゃんの夏帆は見る前は若干イメージと違うかなと思ってたけど、フタを開けてみたらしっくり役にハマっていて確かな女優力を垣間見れたかんじ。

あと完璧だったのが佳乃の長澤まさみ。自由奔放かつ大ざっぱでルーズでありながら冠婚葬祭や職場などオフィシャルな場ではきっちりしているという女の使い分けが上手い佳乃のイメージ通りだったと思う。法事が終わった後に大の字になってビール飲みてぇー!ってわめく所はドンピシャだったw

また、四女のすずに関しても言うことなし。なにより広瀬すずのサッカーのプレイ姿がめちゃくちゃ様になっていてビックリした。原作のすずはサッカー推薦で高校に行けるくらいの実力の持ち主なので、あのサッカーシーンだけでこの映画への信頼度はMAXになったといってもいいくらい。

2時間だけで終わらせるにはあまりにももったいない4姉妹のアンサンブルと世界観を堪能できたけど、どうせだったら連続ドラマで見たいね。

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イン・ハー・シューズ

20061231085807 出演:キャメロン・ディアス、トニ・コレット、シャーリー・マクレーン、マーク・フォイアスタイン

監督:カーティス・ハンソン

(2005年・アメリカ・131分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:まわりが羨むスタイルと美貌を持ちながらも難読症というハンディキャップがコンプレックスとなり、定職にも就かない奔放なマギー。一方、姉のローズは、弁護士として成功しているものの、自分の容姿に自信が持てず、恋愛にも慎重。そんなある日、ローズの家に居候していたマギーは、ローズの恋人に手を出してしまったことから家を追い出されてしまう。行く当てのないマギーは、仕方なくまだ会ったことのない祖母エラのもとを訪ねるのだが・・・。

“これが私の生きる道!”

むやみやたらとご立派な靴を買い集めては開かずのクローゼットに新品のまま所狭しと並べている姉ローズ(トニ・コレット)と、姉のお気に入りの靴だろうがお構いなしにむやみやたらと靴を履き替えては折れたヒールをチューインガムでくっつけてしまうようなトンでもな妹マギー(キャメロン・ディアス)。

仕事はバリバリだけど堅物で恋に不器用な姉と、プーだけどルックス抜群で姉のお気に入りのボーイフレンドだろうが所かまわずガンガンヤリまくるイケイケ女の妹。

靴のサイズが同じこと以外は全く好対照な姉妹の2人のキャラクターが非常によく描かれているのがこの映画のミソで、時には嫉妬し、時にはケンカし、時には信頼し、時には自慢し合い、時には抱き合い、時には涙し、、、そんな姉妹のキッてもキレない関係が丹念に描き出されていくとともに、2人の“これが私の生きる道”を見つけていく道のりが心地良く綴られていく。

そして家族の再生と、人間的に成長し歩き出していく2人の姿に心が暖められ、思わず笑顔で2人の背中を見送ってあげたくなる良作に仕上がっている。

特にキャメロン・ディアスは最近の作品の中では1番良かった。

ゴージャスなモデルボディーのみが売りだったような「マスク」から10年。大金持ちのお姫様でルックス以外能がないような、それでいて映画史に残る大音痴を披露して場をさらった「ベスト・フレンズ・ウェディング」から早8年。

しかし、そんなゴージャスかつフレッシュで元気溌剌な若さが売りだったキャメロンも他の勝負できる“これが私の生きる道”を見出さなければならない世代にさしかかった。

ローズがマギーに言い放つ「中年のアバズレは惨めなだけよ!」というキャメロン自身にはね返ってくるような生々しくて強烈なセリフが耳に残ったが、「マスク」から「チャーリーズ・エンジェル」までフルスロットルで走り続けてきた彼女が10年ひと区切りで次なるステージへとかけ上がっていくスタート・ラインに立ったということなのかな。

欠点なり弱点をキュートでプラスな側面に自然に変えられる持って生まれた稀有な才能を持っているキャメロン・ディアスは例えば一見お下劣な映画でも笑って許せてしまうような独特で能天気な雰囲気と味わいを添えることができる。

「メリーに首ったけ」では○液ヘアジェルを髪になすりつけ、今回の映画でもレストランでデカイ声で「ヴァギナ」を連発だからね。志村けんのバカ殿と共演させたいよホンマ(笑)。

硬軟バランスよく使い分けることのできる女優になっていってもらいたいけどね。

あ、トニ・コレットもホント良かった。あ゛っ、それ以上にシャーリー・マクレーンもね。

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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

20071004_451107 出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、山本浩司、永作博美、永瀬正敏

監督・脚本:吉田大八

(2007年・日本・112分)CS

内容:石川県の片田舎。両親の訃報を受け、東京から戻ってきた和合家の長女、澄伽。4年前に女優を目指して上京したものの泣かず飛ばずの澄伽は、義兄の宍道に援助の強要を迫るわ、妹の清深をいじめ抜くわのやりたい放題。宍道の妻で度を越したお人好しの待子はその複雑な家族関係に右往左往するばかりだったが・・・。

評価★★★☆/70点

“和合”という日本人の本質を言い表しているような名字を持つ和合家の人々の救いのない醜態を面白おかしく見つめた物語は、最後まで飽きずに見れたのはたしか。

ただ、ラストに「やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。」と妹・清深(佐津川愛美)が姉・澄伽(佐藤江梨子)に鉄槌を食らわせるわけだけど、この1番印象的なセリフに十分な説得力を持たせるまでの描写がなされていたかというと、ちょっとビミョーで・・。

だって1番面白いネタになるのは待子(永作博美)>清深>宍道(永瀬正敏)>澄伽やんけ。

澄伽の人物造型を漫画的にもっと大胆にデフォルメしてアクの強さを前面に出してもよかったのかなとは思ったな。

そういう点では、永作博美にかなり助けられた作品だったと思う。

そばつゆがコンタクトレンズと角膜の間に入って失明しかけるというプロットなど細かいところまで随所に笑えるシーンはほとんどが待子がらみだったし、それを演じた永作博美の笑顔ふりまきながらの怪演ぶりは、清深が描くホラー漫画以上に怖いものがあった。

ニコニコしながら変な人形作ったり、宍道と合体しようと青アザ作りながら格闘したり、扇風機を念力で回そうとしたり、ホラーとユーモアの絶妙な同居を体現した演技力は女優としてホンモノなんだと確信。もっと前に気付けよw

駄作と異色作の狭間で奮闘した永作博美に乾杯です!!

でも、話は変わるけど、100万金を貸すのにスタンプカード80回ぶんって、、、1回1万2500円やろ。安すぎだろww。せいぜい1回3万で計算しいや。そこが気になって気になってしょうがなかった・・

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何がジェーンに起こったか?

Nanigajaneniokottaka_aus 出演:ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード、ビクター・ブルーノ、アンナ・リー

監督:ロバート・アルドリッチ

(1962年・アメリカ・132分)DVD

評価★★★★/80点

内容:名声を失ったのは姉のせいだと思いこんだ往年の子役スターが復讐を企てるスリラー。6歳の時から舞台に立っていたジェーンが子役としての人気を失いかけていた頃、姉のブランチは映画スターとして人気者になっていた。しかしそんなある日、ブランチは自動車事故で下半身不随となり映画界から退く。数十年後、姉と2人で暮らすジェーンは、酒に溺れ異常な行動をとるようになっていた・・・。

“嫉妬と憎しみから解放されるカタルシスが一転して悲しみに変わったとき、、、しばし絶句し呆然とする以外にない。”

見終わって思い返してみるとちょっとした違和感は冒頭で感じてたんだよなぁ・・・。

妹が表舞台で盛大なスポットライトを浴びてる中、姉のブランチは舞台袖でくやしそうな顔をしている。

母親から、「あなたもいつかスターになれる。もしスターになったらお父さんや妹の面倒をみるのよ。忘れないでね。」と言われたブランチの返しが、「ええ、忘れないわ。絶っっ対に。。。」と言ったときの表情と言葉つきに並々ならぬものを感じたのだけど。でも、まさかなぁ、そんなことって、、ありなのかよ。。

ヒッチコックの古典「レベッカ」と見比べてみても面白いかもね。

見えない強烈な存在感と、見える見える見えすぎてケバイ強烈な存在感と。レベッカに対抗しうるのはあの姿形のベティ・デイヴィスということなのか・・・。

いやはや凄すぎます。。

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とらばいゆ(2001年・日本・118分)NHK-BS

 監督・脚本:大谷健太郎

 出演:瀬戸朝香、塚本晋也、市川実日子、村上淳、鈴木一真、大杉漣

 内容:姉妹そろって女流棋士という姉・麻美(瀬戸朝香)と妹・里奈(市川実日子)。麻美は大企業に勤めるサラリーマンの一哉(塚本晋也)と結婚したが、途端にスランプに陥ってしまい、結婚早々ケンカばかり。一方、恋多き里奈は、弘樹(村上淳)という売れないミュージシャンの彼氏がいたが、里奈の浮気がバレて険悪な状態に。そして恋愛と勝負師という仕事の両立に悩む姉妹の関係もこじれてしまい・・・。

評価★★★★/75点

“将棋の指し方にはその人の性格が出るというけど、そういう意味でいえば自分は簡単に分かる。詰めが甘い!押しが弱い!人生においても、、恋愛においても、、ガクッ。”

と、半うつ状態になったところでこの映画の感想を。

まず、いじっぱりで強情で素直じゃない麻美のような女性ははっきりいって好みじゃない。

だって、良かれと思って買ってきた妻の大好物であるニコニコ亭の酢豚弁当を、「こんなのいらない!」と投げ捨てるねんでアータ。オイラだったら速攻ブチ切れるわ。

なのにこの肩身のせまそうな夫といったらキレるわけでもなく、「やめて下さい。。」の一点張り。温厚で優しくニコニコニコニコ。。自分にはできない(笑)。妹・里奈の恋人と合わせて、なんつう男は弱いんだと男どもに喝を入れたい気分にもなったのだが。

しかし、決して自分の弱みを見せない麻美が夫の前で涙を見せたとき、夫婦関係の真実が露わになるさまに思わず愕然。

夫・一哉の包容力と優しさが妻を支えていたという真実。

恋愛は“刺激”と“熱情”、結婚は“忍耐”と“寛容”とはよく聞くが、恋愛経験すら乏しい自分にとって夫婦関係の深淵を理解するには、その思考回路はスイッチの切り替え方を知るすべもないほどに単純すぎるのかもしれないな・・。

でも、それをテンポ良いコメディタッチに落とし込んだ日常の会話劇として垣間見ることができたのは、ただ見るぶんには面白おかしかったけど。

しかし実際、あんな都合のいい男なんていったいぜんたい居るのかね??

里奈の恋人・弘樹のような大らかさにさえかなり妥協しないと迫れない自分には、おとぎ話のような世界かも。。

ただひとつ、取るに足らないことからケンカになっていく様子は妙にリアルで、そこだけは120%自分と重ね合わせることができて、思わず笑わずにはおられなかった。

女がオトコ化し、男がオンナ化している今の時代、社会の矢面に立たされている女性とうまく付き合っていくには、男には癒しの能力が求められ必要とされているのかもしれない。

オイラには・・・・

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ハンナとその姉妹(1986年・アメリカ・106分)NHK-BS

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ウディ・アレン、マイケル・ケイン、ミア・ファロー、ダイアン・ウィースト

 内容:女優として成功して夫エリオットとの家庭生活も円満なハンナ、ハンナの妹で売れない女優のホリー、年の離れた画家と同棲している末妹のリー。NYで暮らす三姉妹の人間模様を描いた人間ドラマ。

評価★★★★/75点

“ダイアン・ウィースト、、細いっ!”

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若草物語(1994年・アメリカ・118分)NHK-BS

 監督:ジリアン・アームストロング

 出演:ウィノナ・ライダー、スーザン・サランドン、サマンサ・マシス、クリスチャン・ベール

 内容:『若草物語』4度目の映画化。

評価★★/40点

このての映画がいまいち好きになれないのは、コスチュームものが好みではない他に、見てるだけでウザったい女性陣の髪形にも一因があることがこれ観て判明した(笑)。

ついでに言えば、大林宣彦の映画が性に合わない自分には、この映画、、なんか同じ匂いがした。。

2016年8月14日 (日)

夢のシネマパラダイス262番シアター:チャッピー

チャッピー

Poster3出演:シャールト・コプリー、デヴ・パテル、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィ―ヴァ―

監督・脚本:ニール・ブロムカンプ

(2015年・米/メキシコ/南ア・120分)WOWOW

内容:凶悪犯罪が多発する南アフリカのヨハネスブルグ。ロボット警官隊が導入され成果をあげる中、その開発者ディオンは世界初となるAI搭載ロボットの開発に成功する。しかし、会社はロボット警官隊へのバージョンアップを却下。諦めきれないディオンは、一体だけ製作していたAIロボット22号をひそかに持ち出すが、あろうことか大金強奪を目論むギャングに誘拐されてしまう。ギャングたちは、“チャッピー”と名付けたそのロボットに強盗を手伝わせようとするが・・・。

評価★★★★/75点

まず、役者のパフォーマンスキャプチャーをもとにしているとはいえ、チャッピーの一挙手一投足に愛嬌味があって面白い。

顔も眉毛と口付近にあたるレバーの上げ下げと耳みたいな触覚しか動く部分がないのだけど、豊かな感情表現を感じ取ることができて印象深く、単純な擬人化以上のリアリティがある。そしてそのリアリティが、人工知能が超えられない壁である“意識”と“死の恐怖”という今回の映画のコンセプトに説得力をもたせている。

特に後者については、自分がいつか死ぬと認識している動物は人間だけであり、それが多様な「生きる」目的意識につながるのだと思うけど、チャッピーの人格形成における死の概念を得る描写も秀逸。

バッテリーが5日しかもたないという消費期限=寿命以外のところで、チンピラたちに集団リンチを受ける凄惨なシーンが肉体的な生存本能のスイッチを入れるところは説得力があり、それを経ての利他心を覚えるまでの成長過程には自然と感情移入してしまった。

5年後にAIは人を殺す可能性があるとスティーヴン・ホーキング博士が警鐘を鳴らしているくらい日進月歩の進化をつづけるAI技術開発時代の中で、サイエンスフィクションがフィクションでなくなる可能性を感じさせる現代と地続き風の作劇術は上手かったし、かと思えばUSBメモリに“意識”=心を収めて他のボディに転送してしまうという突飛な発想力もはっきり言って好きだ。

ヒュー・ジャックマンをそういうふうに使っちゃうかという意外性も含めて、ニール・ブロムカンプはやはりただ者ではない。

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アンドリューNDR114

Ndr114出演:ロビン・ウィリアムズ、エンベス・デイビッツ、サム・ニール、オリバー・プラット

監督:クリス・コロンバス

(1999年・アメリカ・131分)仙台セントラル劇場

評価★★☆/45点

内容:マーティン家は家事をこなすロボット“NDR114”を購入、アンドリューと名付ける。暖かいマーティン家の人々に囲まれ、次第に感受性や独創性を表し始めたアンドリューは、人間になりたいと願うようになり・・・。

“それから12年後、、16年後、、10年旅をつづけて、、歳月は流れて、、っておい!大河ドラマの総集編かよっ。”

だって200年分だろこれって。大河でも200年なんてやらねーよ。

なんだかロビン・ウィリアムズにロボットパーツを着せて演技させたら面白いんちゃうという安易な発想から企画がスタートしたとしかいいようがない。

要は、アンドリューが起動した2005年には人間の外見と同じようにする技術がなかったってだけのことだろ。でもロビンにはどうしてもロボットパーツの着ぐるみ着せたいから2005年という設定は変えたくないと。

でも本当に描きたいところは、人間として生きていきたいと願うロボットのアンドリューの闘いと葛藤、そして恋愛じゃないのか?

そこには生と死、自然と人工という要素も絡んでくる非常に複雑でデリケートな問題が大きく横たわっているではないか。

そして映画の中で誰かさんもこの問題に判断を下すには時間が必要です、とのたまっているではないか。

なのにわずか20分かそこらでパッパッと片付けちゃう始末。。そしてアンドリューもパッパッと人間としての機能が備わっていっちゃうし・・・。どこがデリケートなんだか。

あまりにも大雑把すぎて開いた口が塞がらなかった・・・。

まず200年分のエピソードをパッパッと小出しにしていく無味乾燥なやり方はバッサリ切り捨てて、2005年か2225年かどちらかに絞ってやった方がいい。

2225年が舞台なら前述した問題を十分吸い上げていく形にすればいいし、2005年が舞台だったらロボットだと思っていたアンドリューは実はロボットではなく、中に人間が入っていて、再婚した妻に未練タラタラでロボットになりすまして家にやって来た、、、っておい!「ミセス・ダウト」じゃんww

2016年1月10日 (日)

夢のシネマパラダイス404番シアター:神話の世界へようこそ

タイタンの戦い

T0007501p 出演:サム・ワーシントン、ジェマ・アータートン、マッツ・ミケルソン、レイフ・ファインズ、リーアム・ニーソン

監督:ルイ・レテリエ

(2010年・アメリカ・106分)WOWOW

内容:古代ギリシャ、神と人が共存していた神話の時代。人間の王の反旗に激怒した大神ゼウスは人間を滅ぼすため冥界の王ハデスを解放する。ハデスの暴虐により家族を殺されたペルセウスが立ち上がり、命知らずの戦士たちとともに打倒ハデスの旅に出る。

評価★★★/60点

ギリシア神話に何の傾倒ももたない自分からすると、アクションRPGのノリで見られてそこそこ楽しめたかなと。尺もちょうどいいレベルだったし。

クラーケン、ペガサス、メデューサなど魅力的なクリーチャーが怒涛の出演を果たし、はっきりいって見せ場だけで撮られたような映画w

ドラマもヘッタクレもあったもんじゃない。アクションRPGですよこれは。

この監督、相当なおバカさんだとお見受けしました。一応ホメ言葉だからね(笑)。

こういう映画はもう割り切って見るっきゃないッス。

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タイタンの逆襲(2012年・アメリカ・99分)WOWOW

 監督:ジョナサン・リーベスマン

 出演:サム・ワーシントン、リーアム・ニーソン、レイフ・ファインズ、ダニー・ヒューストン、ロザムンド・パイク、ビル・ナイ

 内容:前作から10年後。勇者ペルセウスは、愛する一人息子と漁師として暮らしていた。一方天上界では、冥界の王ハデスの陰謀により巨神タイタン族の王クロノスが甦ろうとしていた。それを阻止せんと父親であるゼウスから協力を求められるペルセウスだったが・・・。

評価★★★/60点

ストーリーもヘッタクレもない、ただ闘って闘って闘いまくるだけの映画だけど、アクションシーンはじめ絵づらはけっこう好み。

炎を吐き出す魔獣キメラや阿修羅マンのような出で立ちで兵士をバッサバサと斬り捨てるマカイ、そしてペルセウスが乗る黒馬のペガサスなどCGクリーチャーも魅力的で、重量感もあって良かった。

また、バカでか溶岩巨神兵クロノスもロードオブザリングに出てくる火のたてがみと炎のムチを持つ怪物バルログを想起させたけど、溶岩を絨毯爆撃のようにバラバラと振りまいて圧倒的だった。

でも、これってほんとLOTRのデジャヴを見ているかんじだったな・・w

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300 スリーハンドレッド

P0001555  出演:ジェラルド・バトラー、レナ・へディ、デヴィッド・ウェンハム、ドミニク・ウェスト

監督:ザック・スナイダー

(2007年・アメリカ・117分)DVD

評価★★★☆/70点

内容:紀元前480年、大帝国ペルシアはスパルタを次なる標的に定め、ペルシア大王クセルクセスに服従の証を立てるよう迫ってきた。これに対し、戦闘国家スパルタの王レオニダスはそれを一蹴、100万の軍勢で迫ってくるペルシアと戦うことを決意する。そして、レオニダスのもとには300人の精鋭が集結した!ヘロドトスの「歴史」でも記されているテルモピュライの戦いを舞台に描いたフランク・ミラーのグラフィックノベルを映画化。

“嗚呼!!少年ジャンプ黄金時代!”

この映画を見ていて真っ先に思い浮かべたのが“北斗の拳”“花の慶次”だ。

ようするに原哲夫の漫画なのだが、荒ぶる「漢(おとこ)」気質とやたらに醜悪な敵キャラはそのまんまだし、「仲間たちとの絆は絶対にちぎれない」=友情、「苛酷な鍛錬と場数を積んで経験値を上げていく」=努力、「バリ3根性で戦えば例え己の命が尽き果てようとも決して負けることはない」=勝利という少年ジャンプ精神まで受け継いでいる始末。

ジャンプ黄金世代の匂いをこれほどまでにトレースしてくれた映画が今までにあっただろうか!?、、って製作者にそんな意図など100%なかっただろうけど

ホモッ気漂うクセルクセス王をイランのアフマディネジャド大統領になぞらえて、アメリカンフリーダムの精神のもと、健常者アメリカが蛮族イランに鉄槌を下すというプロパガンダとも容易にとれてしまうほど映画レベルとしては相当にエグくて低いのだが、単純に80年代少年ジャンプの世界観を堪能できたことを評価したいのでこの点数っス。。

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300<スリーハンドレッド>帝国の進撃(2014年・アメリカ・103分)WOWOW

 監督:ノーム・ムーロ

 出演:サリヴァン・ステイプルトン、エヴァ・グリーン、レナ・ヘディ、ハンス・マシソン、ロドリゴ・サントロ

 内容:テルモピュライの戦いで惨敗したペルシア帝国はそれでも侵略の手を止めなかった。美貌の女将軍アルテミシア率いるペルシアの大艦隊がエーゲ海を席巻し、ギリシャに迫っていた。それに対し、かの戦いで美しく散ったスパルタ軍の魂を受け継いだテミストクレス将軍率いるギリシャ連合軍が立ち向かい、圧倒的な戦力差がありながらも勇猛果敢に跳ね返していく。そんな中、ギリシャ人でありながら、ギリシャへの復讐に燃えるアルテミシアは、テミストクレスを取り込もうと画策する・・・。

評価★★/40点

前作は300人vs100万人というえげつないシチュエーションにテンションがアゲアゲになるんだけど、今回はそういう特異な要素もなく、ひたすら筋肉祭りに付き合わされる100分間は正直ツライ(笑)。

いや、見所となる要素もなくはないはずだった。

前作で壮絶な玉砕を遂げたレオニダスの遺志を継ぐギリシャ将軍テミストクレス、ギリシャ人でありながらペルシアの女将軍としてギリシャへの復讐の鬼と化すアルテミシア、その彼女の義弟で目前で父王をテミストクレスに射抜かれ親の仇に燃えるクセルクセスというトライアングルはシェイクスピアの四大悲劇に通じるキャラクタリゼーションを持っているのだけど、作り手の興味はマッチョと飛び散る血のりとスローモーションにしかないらしく・・

紅一点エヴァ・グリーンの蟻地獄のような妖艶さが筋肉バカ以上に突出していただけにもったいないなぁというのが正直な感想。

まぁでも、そんなこと言っても聞く耳もたないよねコイツらと思わせるほど“ギリシャ無双”ゲームに特化した作りは潔いというしかないのかな。。

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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々(2010年・アメリカ・121分)WOWOW

 監督:クリス・コロンバス

 出演:ローガン・ラーマン、ピアース・ブロスナン、ユマ・サーマン、ショーン・ビーン、キャサリン・キーナー

 内容:母親と暮らす高校生のパーシー・ジャクソンは、ある日、“ゼウスの稲妻”を返せ!と叫ぶ化け物に襲われ、母までさらわれてしまう。そして彼はギリシャ神話の神々と人間との間に生まれた“デミゴッド”であること、そして父親は海王ポセイドンだという衝撃の事実を知らされる。さらに全能の神ゼウスの最強の武器である“稲妻”を盗んだ犯人にされたパーシーは、“稲妻”を探し出し母を救い出すため仲間と共に旅立つのだが・・・。

評価★★★/60点

“お笑い芸人モンスターエンジンのネタ、暇をもてあました神々の遊びを豪華ハリウッドリメイク!?”

同じくギリシア神話をモチーフにした「タイタンの戦い」を先に見ていたのだけど、3Dアクション大作とは打って変わって、児童文学を下敷きに現代風にアレンジした学園青春ファンタジーに生まれ変わった本作も見てるぶんにはそこそこ楽しめる作品に仕上がっていたとは思う。

エンパイアステートビルが神々の住処、ラスベガスが怠惰の象徴、ハリウッドが地獄の入口などアメリカの名スポットをうまく設定に盛り込んでくるあたりもなかなか面白い。

そこはファミリー映画の大王クリス・コロンバスの十八番なのだろうけど、まぁ全体としてみればあくまでティーン向けというかんじ。

そのわりに脇がものすごく豪華なんだけど(笑)。

続編ありきなのかな。ハリポタもクリス・コロンバスだったし、二匹目のドジョウを狙ったのか。。にしてはライトすぎて薄っぺらいような・・。

どうせなら聖おにいさんみたいなシュールなコメディにしちゃえばいいのにw

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トロイ(2004年・アメリカ・163分)MOVIX仙台

 監督:ウォルフガング・ペーターゼン

 出演:ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム、ダイアン・クルーガー

 内容:古代ギリシャ。和平のためスパルタを訪れたトロイの王子パリス(オーランド・ブルーム)がスパルタの王妃へレン(ダイアン・クルーガー)に一目惚れ。あろうことかこのイケメン王子、ヘレンを口説き落として帰国してしまう。これにスパルタ王はブチギレ!ヘレン奪還を名目に全ギリシャ軍を挙兵し、ここにトロイvsギリシャの一大戦争が幕を開ける。

評価★★☆/50点

今から3200年前の話だけど、今から3200秒後の歴史にさえまずもって名を残さない映画だなw。

人物が全くもって多面的に描かれていないのがホントに致命的・・。なんたって何か問題が起きれば「すべては神々の思し召し」で片付けられちゃうんだから。

だからまぁパリスみたいな空っぽ一直線キャラになっちゃうのも当然といえば当然なんだけど。。

戦闘シーンが意外にも出色だっただけに、埋もれ忘れ去られていくにはちょっと惜しい気もするけど、致し方なしのポイ捨て映画。

2015年12月26日 (土)

夢のシネマパラダイス538番シアター:開運!?なんでも鑑定団

ダ・ヴィンチ・コード

Moviedavinci出演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、アルフレッド・モリーナ、ジャン・レノ、ポール・ベタニー

監督:ロン・ハワード

(2006年・アメリカ・150分)盛岡フォーラム

評価★★☆/50点

内容:ある日、ルーヴル美術館で館長のジャック・ソニエールが殺害される。しかも遺体は、レオナルド・ダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図を模した形で横たわり、周りには不可解な暗号が記されていた。殺害当夜、館長と会うことになっていたハーバード大学教授で宗教象徴学の権威であるロバート・ラングドンは、フランス司法警察から協力を依頼されるが、ファーシュ警部はラングドンを犯人と疑うのだった。そこへ、館長の孫娘で暗号解読官であるソフィー・ヌヴーが駆けつけるが・・・。

“ダン・ブラウンの原作小説の選りに選りすぐった見せ場のみを取り出して映像で再現した贅沢なエンタメ作、、になるはずが・・・”

オイシイとこ取りに徹したあげく、味も素っ気もない単なる平面的な模造品になり下がってしまったトンでも作になってしまった。

まぁ、様々な秘密や暗号の数々が散りばめられ、大胆な発想力による驚愕の謎解きを加え、既成の枠をはるかに超えた上下巻の原作を2時間半にまとめること自体至難の技に近いのだが・・・。

しかし、上下巻で600ページを越える原作は骨格としては意外にオーソドックスなものであり、どのプロットを取り入れて膨らませて描き、どのプロットを省いて描かないかという取捨選択に関しては予想以上に容易なはずで、それさえ間違わなければ一級のエンタメ作になるはずだったのだが、、、ウゲーーッ全部入れたんかい!!?

そう、、この映画の最大の失敗は、取捨選択を全くといっていいほど放棄していることにあるといってよい。

とにかく全部入れちゃった、エヘヘ、、みたいな。。

おかげでまるでキャベツの千切りのごとくサクサクサクサク突っ走っていきよる・・。見せ場もヘッタクレもあったもんじゃない。しかも見せ方も下手・・・。

例えば、ティービング卿の飛行機でイギリスへ降り立ったラングドンたちを飛行場で警察が待ち構えている場面。ここではパトカーが格納庫に入ってくるのと同時に迎えの車の車内にラングドンとソフィーが逃げ込んで、飛行機のタラップから普通に降りてきたティービング卿が警察をあざむいて難を逃れる、という流れになるのだけど、単純にラングドンの視点で見せりゃいいものを、どうやって飛行機に乗ってたはずのラングドンとソフィーが姿をくらましたかというのをいっちいちフラッシュバックまで使って画で見せてくるのね。。マジックの種明かしにもならない大したことないシーンなのに。

こういうところで変な発想力使わないでほしいよ、ったく。もっと別な重要なところで使ってくれよ。

この原作はフィボナッチ数列やアナグラム、鏡文字、ダ・ヴィンチの描いた絵画、死のダイイングメッセージといった暗号の数々を読み解いていく知識欲と、キリスト教会の暗部の歴史の秘密とミステリーを暴いていく探求欲と、ソニエール殺害事件の犯人にされて警察から追われるハメになったラングドンの逃走劇にハラハラドキドキする生存欲とで高濃度で満ち満ちており、脳内神経刺激されまくりで読み出したらもうどうにも止まらなくなるくらいだ。

これを映画化する場合、ラングドンのスリリングな逃走劇というところに関しては十八番といってもいい題材だと思うが、問題は知識欲・探求欲をどう映像で見せていくかだと思う。大胆な発想力はここで使わないと。。

しかし、さっき述べたプロットの取捨選択も含めて、この部分が今回の映画は致命的に弱いと思うのだ。

原作では、宗教象徴学の権威であるラングドンとフランス司法警察の暗号解読官ソフィーというスペシャリストが道先案内人および解説者として読者の想像力を決して削ぐことなく最終地点まで導いてくれる。

しかし、これが映画となると、このスペシャリスト2人が観客を置き去りにしてあれよあれよという間に暗号を解いていき勝手に突っ走っていってしまう。

そこには何の面白みもないし、想像力やら知識欲やらが入り込む余地もなく文字通り味も素っ気もないと言わざるをえない。

もちろん、文字媒体と映像媒体という手法の違いはあるわけで、がしかし、この映画はそれを全く同じ土俵で捉えて再現しようとしていることに、もはや救いを見出すことさえ危ぶまれてしまうくらいだ。ガッカリ・・・。

例えば、ラングドンとソフィーというスペシャリストコンビに全くのド素人キャラを新たに加えて3人トリオにしてもよかったのではなかろうか、とも思っちゃったけど。

いずれにしても、もうちょっと視点と焦点を絞ってポイントを押さえてやった方が良かったのではないかと思う。

文字媒体そのまんまをただトレース・模写するだけじゃ1個の映画としては不完全にしかならないってことだね・・・。大ベストセラーの完全映画化という謳い文句がかえってわびしく聞こえてしまう哀しい一作・・・。

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天使と悪魔

Photo 出演:トム・ハンクス、アイェレット・ゾラー、ユアン・マクレガー、ステラン・スカルスガルド、アーミン・ミューラー=スタール

監督:ロン・ハワード

(2009年・アメリカ・138分)WOWOW

評価★★★/60点

内容:ローマ教皇の逝去を受けて行われる予定のコンクラーベ(教皇選挙)の直前に、有力候補の枢機卿4人が誘拐された。そして秘密結社イルミナティから、コンクラーベの日に彼らを殺害し、さらにヴァチカンを爆破するという予告が届く。そこでヴァチカンはハーバード大学教授ロバート・ラングドンに協力を要請する。。

“舞台が奈良・京都だったら・・・”

と思ったのは自分だけ!?

ローマの旧所名跡を厳格なタイムテーブルに則って足早に巡る弾丸ミステリーツアーの様相を呈する今回の作品だけど、出てくる教会とかほとんど分からないしw、ベルニーニの彫刻、、って、その前にベルニーニって誰やねんという低脳レベルの自分からすると単にローマ市内をオリエンテーリングしてるようにしか見えず、、、知的好奇心や冒険心をくすぐるまでには楽しめなかったかんじで・・・。

例えば、サン・ピエトロ大聖堂にあるレリーフに描かれた天使の吐く息の方向を見てラングドン(トム・ハンクス)が次の殺害現場を見通しちゃうところとか、えっ何!?今のは何!?と思う間もなくハイ次行ってみよー!となるので、なんか自分だけ置いてけぼりをくった気分になっちゃうんだよねw

だから、これが奈良とか京都だったら、例えば清水寺だとか金閣寺・法隆寺、はたまた東大寺の仁王像とか、そういうのだったら理解できそうだし面白そうなんだけどなぁって思ったんだけど・・。

ま、ハリウッド製エンタメとしてはフツーに楽しめるけど、2日経つと忘れちゃうレベルだよね、、っていう(笑)。。

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万能鑑定士Q-モナ・リザの瞳-

Poster2出演:綾瀬はるか、松坂桃李、初音映莉子、ピエール・ドゥラドンシャン、児嶋一哉、角替和枝、村上弘明

監督:佐藤信介

(2014年・東宝・119分)WOWOW

内容:卓越した鑑定眼を持つ凜田莉子は、多種多様な鑑定を請け負う万能鑑定士。ある日、ルーヴル美術館が所蔵する名画モナ・リザが40年ぶりに来日することになり、ルーヴルのアジア圏代理人の朝比奈から学芸員候補として推薦される。そこで莉子は、彼女の密着取材をしている雑誌記者・小笠原悠斗と共にパリへ向かう。そしてルーヴルで行われた採用テストに合格した莉子は、もう一人の合格者である流泉寺美沙と一緒に研修をこなしていくが、次第に体調に異変を来たし、鑑定眼まで狂い始めてしまう・・・。

評価★★/40点

一般視聴者が自宅に眠るお宝を専門家に鑑定してもらうテレ東のなんでも鑑定団はたまに見るけど、あの面白さってお宝の真贋や値段評価以上に、そう判断するにいたった論理的な根拠や歴史的裏付け、またそのお宝にまつわる蘊蓄にあると思う。学生時代に考古学をかじっていた歴史好きにとっては、そこが知的好奇心をくすぐるところでもあるわけで。

しかし、それを映画に当てはめてみると、お宝(モナ・リザ)の真贋ばかり引っ張りすぎて、肝心の役者が全くのおざなりに・・。

主人公の凛田莉子(綾瀬はるか)の最大の武器であるロジカルシンキングも見せ場は最初だけで、途中から直感力にシフトしちゃっているし、例えば一夜漬けでフランス語を習得するなんていう論理性の欠如を見せられると何でもありになっちゃうからツマラナイんだよね。。

他にも、ルーブルでの本格ロケというセールスポイントが雲散霧消してしまう軽井沢合宿のショボさとかw

結局最後まで風呂敷が広がりきらなかったなというかんじ。

そういう点では「ダ・ヴィンチ・コード」のような壮大な大風呂敷と謎解きミステリーを期待していただけに、とんだ肩透かしをくらってしまった・・。

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鑑定士と顔のない依頼人(2013年・イタリア・131分)WOWOW

 監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ

 出演:ジェフリー・ラッシュ、シルヴィア・フークス、ジム・スタージェス、ドナルド・サザーランド

 内容:一流の美術鑑定士ヴァージル・オールドマン。オークションで辣腕をふるう彼は、美女の肖像画に囲まれて過ごすのが趣味で、気に入った肖像画は相棒のビリーを使って手段を選ばず自分のコレクションに加えていた。そんな彼のもとに、クレアと名乗る女性から亡くなった両親が遺した家具や美術品の鑑定依頼が入る。ところが約束の時間になってもクレアは現れず、電話だけで指示してきて、その後も一向に姿を現さない。最初は怒っていたヴァージルだったが、屋敷に残された謎の機械部品、そしてクレアが屋敷の壁の中で暮らしていることに興味を抱き始め・・・。

評価★★★/60点

話の結末がどういう着地点を迎えるのか分からなかったけど、周りが全員グルだったというオチにはアッと驚くタネも仕掛けもないため、落ち着くところに落ち着いたという印象しかなく、サスペンスとしては凡庸という感想。

途中までひそかにクレア=機械人形オートマタなのではないか!?と突飛なファンタジー展開を予想していたこともあってw、なんかどんどん爽快感ゼロの後味苦しなベクトルに向かっていくのは思ってたのとは違ったかも。。でも、それを補ってあまりあるジェフリー・ラッシュの粘着的な一人舞台に最後まで飽きずに見れたのもたしか。

しかし、思えば「ニューシネマパラダイス」では青年の、「マレーナ」では少年の、そして今回は老人の、叶うことのない女性への切ない憧れが描かれてきたわけだ。

ニューシネマパラダイスから足かけ25年、“こじらせ男”三部作ここに完成す(笑)。

ていうか、トルナトーレもモリコーネもまだ生きてたんだww

2015年12月 1日 (火)

夢のシネマパラダイス498番シアター:女の中にいる他人・・・

小さいおうち

Poster2出演:松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子、橋爪功、吉行和子、室井滋、中嶋朋子、小林稔侍、夏川結衣、笹野高史

監督・脚本:山田洋次

(2013年・松竹・136分)WOWOW

内容:生涯独身を通した布宮タキが亡くなった。晩年の話し相手だった甥っ子の健史は、タキが遺した自叙伝を託される。そのノートには、若かりしタキが女中として働いていた頃の出来事が綴られていた。昭和10年、山形から上京してきた18歳のタキは、東京郊外の赤い三角屋根が目を引く小さくもモダンな家で女中として働き始める。その家の主人の平井は玩具会社の重役で、若い奥様・時子と幼い一人息子・恭一の3人家族だった。タキはとりわけ美しくオシャレな時子に尽くすことに喜びを感じていくが、平井の部下の板倉の出現が平穏な暮らしにさざ波を起こしていく・・・。

評価★★★☆/70点

女中の視点とはいえ、山田洋次がブルジョワ家庭を描くというのはちょっとした事件ではある。

ところが、そこに何か特別な化学反応があるわけでもなく、文字通り小さいお話に縮こまっちゃってるのは、従来の山田節からすればやや歯切れの悪い印象を受ける。

ただ、戦争は金持ちだろうと貧乏だろうと関係なしに地獄を見せるという点で、丘の上に立つハイカラなおうちが焼夷弾に焼き尽くされる断末魔は心にトゲが突き刺さったような痛みを覚えた。

また、ぜいたくは敵だ!と叫ばれたあの時代を美化することは悪であると教えられてきた自虐史観の塊である現代っ子と、そういう時代でもぜいたくは素敵だったとしたたかに生きてきた実体験者の感覚の齟齬はとても面白かった。

その中でもラサール石井演じる社長さんたち男性陣の戦争に対する高揚感と楽観論、そして真珠湾攻撃の日に「風と共に去りぬ」を読んでいるような時子たち女性陣ののんびり感は興味深く、市民感情が戦争やむなしに流れていく様はよく描かれていたと思う。

しかし、戦争が長引くにつれて、いい加減な人間が生きづらい世の中になってきて、こんなはずじゃなかったのにと嘆くも時すでに遅し。景気が良くなるどころか物資不足で会社は立ち行かなくなったり、好きな人に赤紙が来たり、あるいは空襲で殺されるに至るまで戦争の本当の恐ろしさを肌身に分かっていなかった、、、そんな政治意識の低さと甘さが戦争を呼び込んでしまった一面もあるのだということがよく分かった。

戦争に巻き込まれるのではなく、戦争を呼び込んでしまうのだということを。

今の日本がそうならないことを願うばかりだけど、少なくとも戦争に対する嫌悪感だけは持ち続けていなければならないのだと思う。

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女の中にいる他人(1966年・東宝・102分)NHK-BS

 監督:成瀬巳喜男

 出演:小林圭樹、新珠三千代、草笛光子、三橋達也、若林映子、長岡輝子

 内容:エドワード・アタイアの推理小説を翻案した、成瀬監督には珍しい心理ミステリー。平凡な中産階級の夫が情事の末に殺人を犯し、良心の呵責に悩んで妻にすべてを話して自首しようとするが、妻は子供の将来を重んじてそれを許さずに・・・。

評価★★★/60点

“今村昌平の重喜劇でもって見たかった気も・・。”

ううむ、、なんだろう、今村昌平を洗濯機に入れてアブラ分をきれいさっぱり落としちゃったような、そんな物足りなさを少し感じてしまった。

人間のダークサイドに踏み込んでいこうにも登場人物が揃いにそろって絵に描いた優等生タイプの良い人なので、例えば新珠三千代の豹変ぶりもなにか底が浅く見えてしまった。

まぁ、ミステリーという題材を丁寧にすくい上げ咀嚼したマジメな演出には好感がもてるのだが、裏を返せば単なるクソ真面目にしか見えてしまいかねない・・・。そして、案の定そういう面ばかりが気になってしまったといったところか。

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木曜組曲

0301mokuyo 出演:鈴木京香、原田美枝子、富田靖子、西田尚美、竹中直人、加藤登紀子、浅丘ルリ子

監督:篠原哲雄

(2001年・日本・113分)DVD

評価★★★★/80点

内容:大女流作家・重松時子は、4年前ミステリアスな薬物死を遂げた。それから毎年、時子をしのび、彼女の邸宅に集う5人の女たち。今年も例年にならい、木曜日をはさんで3日間集まることになったが、彼女たちのもとに花束が届いた。そこに添えられていたカードには、「皆さまの罪を忘れないために、今日この場所に死者のための花を捧げます」というメッセージが・・・。

“五角形の食卓が5人の女たちのよどみない交錯によって黄金比で象られた五芒星へと変貌を遂げるさまに思わず舌鼓を打つ。”

その五芒星の中心にいたのはまぎれもない永遠の巨匠となった時子であった。

女の食い意地と食欲は何ものにも勝るといった風でもあったが、これ見て食欲が湧かなかったのはある意味不思議。

あっ、そっか、、毒ね

ちなみに自分は金曜日がお好き♪

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8人の女たち(2002年・フランス・111分)DVD

 監督・脚本:フランソワ・オゾン

 出演:カトリーヌ・ドヌーブ、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール、ファニー・アルダン

 内容:1950年代のフランス。クリスマスイブの夜、大邸宅の主が殺された。外から何者かが侵入した形跡はなく、集まっていた8人の女たちは疑心暗鬼を募らせ、やがて互いを詮索するようになる・・・。フランスを代表する大女優8人が歌って踊る夢の競演!

評価★★★/65点

8人の女たちの陳腐で見えすいた会話劇に全く魅力も救いようも感じられず、まるで騒々しい井戸端会議でも見せられているような気分になってくるのだが、それでもサラッと見れてしまうのがなんとも不思議な味わい・・。

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モンスター

20061026_136955 出演:シャーリズ・セロン、クリスティーナ・リッチ、ブルース・ダーン、スコット・ウィルソン

監督・脚本:パティ・ジェンキンス

(2003年・米/独・109分)2004/10/02・仙台フォーラム

評価★★★/60点

内容:娼婦の生活に疲れ果て、自殺を考えていたアイリーンは、ひとりの少女と出会う。彼女との新しい生活に希望を見出そうとするのだったが・・・。モンスターと恐れられたアメリカ初の女性連続殺人犯の哀しい人生を、シャーリズ・セロンが13キロ体重を増やして演じ抜き、アカデミー賞主演女優賞を受賞。

“酷い話ではあるが、可哀想だと同情できるような話ではない。”

性的虐待や父親の自殺、そして家族から捨てられた凄絶な子供時代。また娼婦として街に立って生きる自殺を考えてしまうような身の上はたしかに悲劇ではあるし、この映画の目線がアイリーンを「モンスター」としてではなく「人間」として捉えていこうとする点は評価できる。

、、のだが、しかし圧倒的社会の現実の前で、映画が彼女を掬い上げていこうとするのとは裏腹に、当のアイリーン自身の方が「勝手にほざけよ!」と我々を突き放し続けていくわけで、どうも救いようがないというか。同情の余地がないので、感情移入なんてなおさらできるはずがない。

しかし、救い上げるための社会がすでに救いようのない「モンスター」になっているということも反面この映画からは伝わってくるわけで、「モンスター」はアイリーンのことではなく、この今の社会のことを指しているのかもしれない。

美しい夢を見続けたダイヤの原石。

何ものにも押しつぶされない硬質なダイヤのごとく、アイリーンは「人生で大事なのは人と自分を信じること」という堅い意思のもとで、セルビーへの愛を貫き通し、生き抜いたといえるのかもしれない。

これが西部劇とかだったら、童貞は始末しない心優しき変態征伐隊として断然ヒーローになるのだけどもww

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ディスクロージャー(1994年・アメリカ・129分)WOWOW

 監督:バリー・レビンソン

 出演:マイケル・ダグラス、デミ・ムーア、ドナルド・サザーランド

 内容:ハイテク企業に勤務するトムは、昔の恋人メレディスに総括部長の座を奪われる。さらに彼女の誘惑を拒否したことでセクハラと訴えられ、窮地に追い込まれてしまい・・・。

評価★★☆/45点

これって49対51で理性がなんとか上回ったってだけの話やろ。勃起したお前も悪いんだよダグラスさん(笑)。

しかしこんな映画でも強引に家族愛という着地点にもっていくのはある意味さすが。。

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冷たい月を抱く女(1993年・アメリカ・107分)NHK-BS

 監督:ハロルド・ベッカー

 出演:ニコール・キッドマン、アレック・ボールドウィン、ビル・プルマン、アン・バンクロフト

 内容:大学の学長補佐を務めるアンディの学校では生徒の連続殺人が起こっていた。そこに現れたのは旧友の外科医ジェット。彼がアンディの妻トレイシーの手術で医療ミスを犯したことから裏に仕組まれていた陰謀に気付くのだが・・・。

評価★★★/60点

ヒッチコックに代表される古典的スリラーを現代風にアレンジした見事な創作料理といきたいところだが、フタを開けてみたら、なにやら欲張りすぎてわけの分からない一歩手前でなんとか形をとどめているにすぎないものが出てきてしまった。

ただ、ニコール・キッドマンは、ブロンド美女をこよなく愛するヒッチコック好みの女優さんだと思うのだけど、あの独特な彼女の眼力がヒッチコックスリラーと現代風スリラーの橋渡し役として見事に機能していることだけは買いたい。

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悪魔のような女(1955年・フランス・107分)NHK-BS

 監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー

 出演:シモーヌ・シニョレ、ヴェラ・クルーゾー、ポール・ムーリス、シャルル・ヴァネル

 内容:妻クリスティナの財力でパリ郊外の小学校の校長に納まっているミシェルは、妻に教鞭をとらせ、もう1人の女教師ニコールと公然と通じていた。しかし、乱暴で利己的な彼に対してついにガマン出来なくなった2人の女は、共謀してミシェル殺害の計画を立てる。そして、怖気づくクリスティナと気の強いニコールは、浴槽でミシェルを窒息死させるのだが・・・。

評価★★★★/80点

世にも奇妙な物語のテーマ音楽が地の底から響き渡ってくるような映画。タモリが出てきたら完璧でっせコレw

2015年9月28日 (月)

夢のシネマパラダイス512番シアター:エキセントリックな恋がしたい♪

世界にひとつのプレイブック

Poster_2出演:ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィ―ヴァ―、クリス・タッカー、ジュリア・スタイルズ

監督・脚本:デヴィッド・O・ラッセル

(2012年・アメリカ・122分)WOWOW

内容:妻の浮気現場を目撃して相手の男を病院送りにしたあげく、自分も精神病院入りを余儀なくされたパット。数か月後ようやく退院したものの、接近禁止令の出ている妻といまだにやり直せると思い込んでいるパットは、相変わらず突然キレては暴走しかけることもしばしば。そんなある日、友人の家に招かれたディナーの席でティファニーと出会う。彼女もまた、警官だった夫を事故で亡くして以来、心に問題を抱えていた・・・。

評価★★★☆/70点

高飛車でヒステリックで自己チューで男勝りな最恐肉食系女子ティファニーのキツい性格が元プロゴルファーの古閑美保と同じに見えた途端、あーこりゃ扱いにくくてダメなタイプだと思っちゃったんだけど

だって「アンタはヘタレの根性なしよー!」ってわめき散らす女はどう考えても無理っしょw

ところが驚いたことにこの古閑美保をジェニファー・ローレンスが演じると、とてつもなく魅力的に見えてしまうのだから恐れ入る。

ジョギングコースに横入りしてくるストーカーもどきといい、ダンスでの胸騒ぎの腰つき♪といい、ムチムチしたジェニファーのエロい、、もといジェニファーの吸い込まれそうな魅力にメロメロになってしまった

このジェニファーにだったら押し切られてもいい!って、パットも結局あのフェロモンに押し切られちゃったわけだし

でも、旦那を亡くしたショックから11人の男と寝てしまった武勇伝を持ちながら、おそらく初めて夜の誘いを断られたであろうショックと妻への一途すぎる想いにあふれたパットの純粋な魂に触れたことから逆にホの字になってしまったティファニーと、思ったことはすぐ口に出してしまう情緒不安定なパットが、ストレートに感情をぶつけ合い不器用ながらも向き合う様は、なんか見ていて清々しいというか羨ましくさえあった。

自己表現が下手くそな自分にとっては、なんかちょっと生きる勇気をもらえたような映画だったかな。

デ・ニーロも久々に良かったしね(笑)。

夜中に親の寝室でわめく息子と実は1番イカレているダメ親父のどうでもいい諍いは笑えて面白かった。

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娚の一生(2014年・日本・119分)WOWOW

 監督:廣木隆一

 出演:榮倉奈々、豊川悦司、安藤サクラ、前野朋哉、根岸季衣、濱田マリ、徳井優、向井理

 内容:都会で公私ともに疲れ果て、故郷の田舎で染色業を営む祖母の家に戻ってきた堂薗つぐみ。しかしほどなく祖母が病死、つぐみは残された家を一人で守っていこうと決意するが、突然見知らぬ男が家のはなれに住み始めた。50代の大学教授で海江田と名乗る彼は、祖母のかつての教え子で、勝手に住み始めたのも祖母の許可を得てのことだという。こうして奇妙な同居生活が始まるが・・・。

評価★★☆/50点

わざわざ女偏に男と付ける“娚”という字を見て、アブノーマルでいかがわしいイメージを抱いていたのだけど、いざ見てみたらいたってノーマルだったというオチ。

いや、ちょっと待てよ。家の離れとはいえ、20代の女のコが一人暮らししている同じ敷地内に見知らぬオッサンが勝手に住み始めたら周りの人々は、大丈夫なのか!?と心配するのがフツーの感覚じゃないのか?

にもかかわらず知人親戚はては彼女の母親に至るまでもが普通のことのように受け入れているではないか。

絶っっ対おかしいってコレw!というそもそもの設定自体に入っていけなかったなぁ。。

で、20以上も離れている年の差も禁断要素にはならないらしく、皆がさっさと結婚しぃーやと応援しまくって、それに流されちゃった女のコもいつの間にかオッサンにホの字に(笑)。なんだこの展開・・・。

日本の少子化問題と婚活問題は映画にも影響を及ぼしていたw!?

田舎のスローライフな雰囲気はキライじゃなかったけど、ありえない感&理解できない感の方が上回ってイマイチだった。って、これ少女漫画が原作なのか。。なんか納得w

唯一、自転車の使い方だけは良かった

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東京タワー(2004年・東宝・126分)仙台フォーラム

 監督:源孝志

 出演:黒木瞳、岡田准一、松本潤、寺島しのぶ、宮迫博之、岸谷五朗

 内容:売れっ子CMプランナーを夫(岸谷五朗)に持ち、自身も青山でセレクトショップを経営している詩史(黒木瞳)は、3年前、店を訪れた友人・陽子(余貴美子)が一緒に連れて来た息子の高校生・透(岡田)と一瞬で恋に落ちた。それから関係は続き、現在も東京タワーを見渡せる大学生になった透のマンションで熱く愛し合っている。一方、透の高校時代からの友人・耕二(松本潤)も、35歳の人妻・喜美子(寺島しのぶ)と関係を持っていた。。直木賞作家・江國香織の同名小説の映画化。

評価★★/40点

“ダサい臭を小洒落メイクで塗り消そうとするも、味わいまで消してしまったという恐るべき一品。”

まるでレストランの入口にあるロウでできた料理見本みたいなかんじ。

見た目はいいのに味が全っ然しないの、この映画。

いまどき昭和の代名詞とも言うべき東京タワーをおもいっきり出してきたのは、オバさま連中と活きのいいフレッシュボーイをつなぐための象徴とするためかどうかは分からんが、とにかく情念に駆られたかのようなこだわりで東京タワーを美しく撮りまくる。

たぶんこの監督、TVゲームのグランツーリスモ好きだと思うな(笑)。そんな映像。

でもって、街はキレイに撮れてても、肝心の女と男が描けていないという・・・。情念使うところが違うっての。甘っま~いセリフをただタレ流せばいいってもんじゃないっしょ。

ゲーム脳になってないと見られへんなこれは(笑)。

しかし、詩史さんよ。「東京の雪は嫌い。溶ける時つたなくて侘しいから。」だとコラ!おいおいおいおい、そしたらオレんちに来い!春まで雪が溶けなくてあきれて声も出ないから。。ガクッ・・。

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電車男

6a00d8341bfb8d53ef00e54f75493388338 出演:山田孝之、中谷美紀、国仲涼子、瑛太、佐々木蔵之介、西田尚美

監督:村上正典

(2005年・東宝・101分)DVD

内容:彼女いない歴22年のシステムエンジニアのその青年は、アキバでグッズを漁るのが趣味の筋金入りのオタク。そんなある日、彼は電車の中で中年のオヤジにからまれていた若い女性を助けた。そして、美人の彼女にすっかり心奪われた彼に、後日彼女からお礼にとエルメスのティーカップが贈られてきたからさあ大変!混乱した彼は、とりあえずインターネットの掲示板に“電車男”のハンドルネームで助けを求めるのだが・・・。

評価★★★/60点

1クールのTVドラマだと3ヶ月という長丁場が、電脳汁空間で生み出されたゴーストを現実世界に導いて共感させてくれるだけの時間的蓄積をもたらすが、2時間サクサク進んでいくおとぎ話を見せられると、アキバオタクの絶えなる妄想の単なる視覚化としか見えなくなってくる。。

特に中谷美紀=エルメスの“きれいなお姉さんは好きですか”最強バージョンっぷりには憧れを突き抜けてお笑い天然キャラに見えて笑うしかなかったかんじ。

そこまでして過剰ともいえる普遍性を与えなければならなかったのか少し疑問に思うところもあったけど、、true storyだからそんなの関係ないのか・・。ってあり得ねぇ~~!!

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最後の恋のはじめ方(2005年・アメリカ・118分)WOWOW

 監督:アンディ・テナント

 出演:ウィル・スミス、エバ・メンデス、ケビン・ジェームズ、アンバー・ヴァレッタ、ジュリー・アン・エメリー

 内容:デート・コンサルタントとして世の男性に恋の手ほどきをするヒッチ。しかし、サラと出会ったことから恋愛理論が狂いはじめ・・・。恋愛の達人が自分の恋愛に悪戦苦闘するさまを軽妙なタッチで綴ったロマコメ。

評価★★★★/80点

“恋ってのはどこか「狂う」ものなんだけど、この映画はその不器用な暴走っぷりとドジでお人好しな愛嬌っぷりでラブコメのバランスをうまく取った映画初出演ケビン・ジェームズのコメディセンスっぷりに尽きる。”

ウィル・スミスは映画のトリートメント的な働きをしていたかんじ。過去の恋で心に傷を負い、2度と女性を愛さないと誓っているわりにその影の部分が全く見えてこないのが玉にキズだけど、そういう映画としての負をほとんど感じさせない軽妙な演技でうまく進行してまとめてくれたと思う。

しかし、やはり何といってもアルバート役のケビン・ジェームズだね。

まぁ、とにもかくにも最初の恋だろうが最後の恋だろうが、アタックナンバーワンというルールだけは永久不変ってことなんだな。。

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25年目のキス

78 出演:ドリュー・バリモア、デビッド・アークェット、ミシェル・ヴァルタン

監督:ラジャ・ゴズネル

(1999年・アメリカ・107分)仙台セントラル劇場

評価★★★☆/70点

内容:灰色の高校生活を送った新米新聞記者、ジョジーが高校生の実態をリポートするため高校に潜入。自分の高校生活を取り戻そうと悪戦苦闘し、優しい教師に惹かれていくが・・・。

“製作総指揮兼任という肩書きを肩書きで終わらせなかったドリューの心意気に思わず引きずりこまれてしまう。”

25歳のジョジー(ドリュー・バリモア)が高校に潜入して女子高生になりきるのだけど、周りの17歳の女子高生たちと比べて確実に老けて見える&しかもハンパなく痛く見えてしまうところが、製作総指揮もつとめたドリューの心意気が感じられて面白い。

ボサボサ髪でめったに洗髪しないバイ菌ジョジーを嬉々として演じるドリューの女優魂にも感服。

10代でアル中とヤク中をダブルで経験し、それを乗り越えてきたドリューの過去を笑い飛ばせるほどの太っ腹精神?あるいはセルフパロディなのかしら?

しかし高校生活に慣れ、昔の自分から脱皮していくにつれてキュートで美人なお姉さまに見えてくるのだから大したもんだよ。

でも、もうちょっと痩せた方がよくないか(笑)?

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50回目のファースト・キス

50kiss 出演:アダム・サンドラー、ドリュー・バリモア、ロブ・シュナイダー、ショーン・アスティン、ダン・エイクロイド

監督:ピーター・シーガル

(2004年・アメリカ・99分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:自動車事故に遭い、短期記憶喪失障害という1日分の記憶しか持てなくなった女性ルーシー。そんな彼女に、水族館で獣医をしている元プレイボーイのヘンリーは毎日恋に落ち、イチからアタックを始め、ハワイの明るい風景の中で毎日ファースト・キスを交わす。そんな2人を周りの人々は温かく見守りつづけるのだった・・・。精神障害という重いテーマを、少しの切なさをにじませながら、軽やかでハートフルに描いたロマンチック・コメディ。

“「メリーに首ったけ」と双璧を成すお下劣コメディなのに、こんなに純粋なラブロマンスは見たことがない。これぞ純度100%のラブコメ映画!”

アダム・サンドラーって「ウェディング・シンガー」以外はあまり印象に上ってこないというか、安っぽいコメディ俳優というかんじが強かったのだけど、これ見て完全に見識を改めたかも。

そしてドリュー・バリモア。バットを持たせたら豹変することだけは肝に銘じたけど、ハワイの陽気で開放的な風に包まれたドリューがこれまたイイ。。

もともとの舞台設定はシアトルだったらしいけど、ハワイにして大正解だったね。

それにしても1番ビツクリしたのが、「LOTR」の真の勇者、ショーン・アスティンがステロイド中毒のキン肉マンになってたこと。LOTRではドラクエのトルネコばりの体型だったのに・・。

2015年9月26日 (土)

夢のシネマパラダイス231番シアター:ジャンゴ繋がれざる者

ジャンゴ 繋がれざる者

T0014006q出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン、ドン・ジョンソン

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

(2012年・アメリカ・165分)WOWOW

内容:1858年、アメリカ南部。賞金稼ぎのドイツ人歯科医キング・シュルツは、お尋ね者の賞金首の顔を知る黒人奴隷ジャンゴを買い取る。そしてその腕を見込んだシュルツは、ジャンゴの生き別れた妻ブルームヒルダを探すことを約束する。やがて、彼女が大農園を経営するカルビン・キャンディに売り飛ばされたことを突き止めるのだが・・・。たジャンゴとシュルツ。2人はキャンディに近づくため、ある周到な作戦を準備するのだが・・・。

評価★★★★★/90点

なんとタランティーノとはキル・ビル以来10年ぶりの邂逅である。

あれっそんなに見てなかったっけというかんじだけど、しかし今回久方ぶりに見て驚愕した。

タランティーノのまるで円熟を極めた噺家さんのような淀みのない語り口に大いにのめり込んでしまった。

見終わっても体内時計的には1時間45分しか経っていない印象で、本来ならそれくらいの尺が適当な作品なのだと思う。じゃあ、残りの1時間は何かといえば本筋にくっついてくるどうでもいいような枝葉末節であり、しかもこれがいちいち面白いのである。

単純明快な復讐劇を2時間45分もの大作に仕上げてしまうのも並々ならぬことだけど、今までならその脱線ぶりにはタランティーノ特有のくどさがあった。

しかし、今回はそういうしつこさも全くなく、ツルン!と心地よく完食できてしまう。濃密なトマトソースに生のバジルの葉とありったけの鷹の爪を加えたようなどぎつい見た目からは想像できないくらいの美味なるスパゲッティウエスタンに舌鼓を打った。

味を成す細かなディテールの計算しつくされたこだわりーアメリカの大自然を写し取ったロケーション、口八丁手八丁の会話劇、血湧き肉躍るガン・アクション、ハマりまくりの役者陣、キメの構図を熟知したカメラーは言わずもがな、なんといっても最強だったのが音楽♪

ヒップホップにブルースにクラシックにあらゆるジャンルの音楽が適材適所で流れるハイセンスな選曲にはただただ脱帽するばかり。サントラ買いに行こっと(^^♪

しかし、タランティーノを甘く見てたなぁ~、こんな強烈で完璧な映画を撮ってくれるなんて。10年も離れてしまって後悔(笑)。

あとは役者陣にも触れておきたい。

これまた恥ずかしながらクリストフ・ヴァルツをこの映画で初めて見たのだけど、ケレンとユーモアと胡散臭さが混然一体となった存在感は完全に主役を食っていて、いんぎんな物言いで口から出まかせを操り、とぼけた顔で物事の本質を語るシュルツに引き込まれてしまった。

このドイツ人が豪快に撃たれてブッ飛んだ時点で映画は幕を引いたようなものといってよく、その後の大銃撃戦は添え物みたいなもので、それくらい彼の魅力は際立っていたと思う。

もち気狂いディカプリオも腹黒サミュエル・L・ジャクソンもお茶目な(ラストだけw)ケリー・ワシントンも良かったよ。

あれっ、主役は、、えーと、、あっ!ジェイミー・フォックスね1番影が薄いw

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トゥルー・グリット

3121 出演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バリー・ペッパー、へイリー・スタインフェルド

監督・脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン

(2010年・アメリカ・110分)WOWOW

内容:父親が雇い人のトム・チェイニーに殺されたとの報せを受けた14歳の少女マティ・ロス。彼女は自ら遺体を引き取りにオクラホマ・フォートスミスへ向かうが、犯人のチェイニーは法の及ばないインディアン領に逃げ込んだ後だった。そこでマティは、隻眼で酔いどれの連邦保安官コグバーンに犯人追跡を依頼。別の容疑でチェイニーを追っていた若きテキサス・レンジャーも加わり、チェイニー追跡の旅が始まる・・・。1969年のジョン・ウェイン主演作「勇気ある追跡」のリメイク。

評価★★★★/80点

コーエン兄弟の描く西部劇は一筋縄でいくシロモノではないだろうなと身構えてはいたけど、父を殺された娘が敵討ちをするという筋立ては意外に単純。

しかしだ。早撃ち対決、馬車を追っかける悪党一味、酒場と女、襲いかかってくるインディアン、お尋ね者と賞金稼ぎの因縁合戦など西部劇の定番シーンというべき見せ場をことごとくスルーしていくのがコーエン流。

荒野と馬と保安官とライフルという必要最低限のフォーマットがあればコーエン兄弟には十分なのだった。

ありていにいえば、西部劇の体をなしたロードムービーというかんじで、しかもその主体は延々とつづく会話劇なのだけど、これがすこぶる味があって引き込まれてしまうし、しかもその会話劇の7割方がただのムダ話というのがコーエン節炸裂というかんじで面白い。

これはつまるところ、それだけキャラ立ちがしっかりしているということでもあると思うのだけど、なにせ主人公は14歳の女のコ。

荒れ馬を乗りこなし死体安置所で平気で寝れてしまう強心臓の持ち主であることはもとより、黒柳徹子も真っ青のマシンガン口撃で西部の荒くれどもをねじ伏せるさまは痛快そのもの。

しかして、このかわいくない女のコに対する荒くれ男の武器がお尻ペンペンというのが大いに笑わせてくれる。

また、隻眼の保安官(ジェフ・ブリッジス)にしろテキサスレンジャー(マット・デイモン)にしろ表看板を張るようなキャラではない胡散臭さがまた可笑しげで、いい年こいたオッサンどもが14歳の少女の執念にズルズルと引っ張られていくのも滑稽だし、彼らが追っかけるチェイニーも悪役らしからぬ人物造型で、そういうところでもことごとくハズしてくるのだから恐れ入る。

しかし会話劇を表とするならば、一方で人の生き死にの生々しさを躊躇なく描いていく演出が裏の顔としてあり、それは皮膚感覚にまで届く凄みがある。

カタルシスも何もない結末とあわせて、なにか「ノーカントリー」(2007)に通じるところもあり、暴力の果ての虚しさがジワジワと尾を引いていく。

思えば「ノーカントリー」は80年代を舞台にした西部劇というべきテイストの作品だった。

オリジナル作はジョン・ウェインの「勇気ある追跡」(1969)だけど、「ノーカントリー」からつづくテーマ性という点では、西部劇の終焉を描いたイーストウッドの「許されざる者」(1992)のコーエン流焼き直しとみた方がいいのかもしれない。

なにはともあれ、噛めば噛むほど味の出る高品質な映画だった。

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シェーン

Shane 出演:アラン・ラッド、ジーン・アーサー、ヴァン・へフリン、ブランドン・デ・ワイルデ

監督:ジョージ・スティーブンス

(1953年・アメリカ・118分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:1890年初夏。ワイオミングの開拓地の草原にふらりと1人の旅人シェーンがやって来る。開拓者のリーダー、スターレット家に立ち寄ったシェーンは、一家の少年ジョーイと仲良くなる。ジョーイの父ジョーは、土地をめぐって対立している牧畜業者ライカーの圧迫に悩まされていたので、冬までここで働いてくれないかとシェーンに依頼。シェーンはこれを聞き入れるが・・・。

“主題曲が流れる中、雄大な背景が映し出されるオープニングクレジットから一気に映画の世界に入っていける。「スター・ウォーズ」の冒頭に通じるものを感じた。とにかく最初のオープニングでこの作品はめちゃめちゃイケてるということを確信できる。”

オープニングがシェーンがやって来る大俯瞰シーンなら、ラストも同じく俯瞰によるシェーンが去っていく遠景ショットなんだよね。これは上手いと思う。

とにかくオープニングの最初のショットにもの凄く魅かれちゃう。だって次のショットが男の子ジョーイがシェーンを見つけて、家に走っていって、もう次のショットでシェーン到着っしょ。考えてみると、これってスゴイ早業でっせ。

普通ならスターレット家の暮らしぶりから入っていきそうなものを、ものの数分で人物配置をパッと提示して済ませちゃうんだから。なのに観てる方は何の違和感もなく映画に入っていける。

その理由として、オープニングの悠々たるショットの持つ意味合いというか効力は相当大きいものがあると思うわけで。オープニングシーンでこの映画の成功は決まったといっていいのではないかなと。

ところで、シェーンは死んだのかということについては、学生時代に授業で教授が言ってたところによると、うろ覚えだけど、この映画は傑作であるだけでなく神話的な映画なのだと言ってたっけ。

ようするにシェーンは神話における神々の側の存在で、それが下界に降りてきて人間の手助けをする。そして苦難に遭いながらもまた神々の世界へ戻っていくという図式。

そんな見方フツーしねえだろと思いつつw、今思い返してみるとナルホドなと思ったり。

要するに死んでないってことなのかな。。

まぁ人それぞれの見方があるのも一興があって良いと思います。

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マーヴェリック(1994年・アメリカ・127分)劇場

 監督:リチャード・ドナー

 出演:メル・ギブソン、ジョディ・フォスター、ジェームズ・ガーナー

 内容:1870年代、詐欺師のマーヴェリックと、美人詐欺師のアナベル、そして保安官のゼインは様々な妨害を経て、史上最大のポーカーゲーム大会へ出場するが・・・。1960年代の人気TVドラマを映画化したコメディ西部劇。

評価★★★/60点

ほとんど全てのキャラが浮かれすぎているというのはいかがなものか。それゆえ肝心のポーカー場面にも緊迫感など微塵もなく、魅力に欠ける。

「スティング」にはなれなかったな。

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ぺイルライダー(1985年・アメリカ・105分)NHK-BS

 監督:クリント・イーストウッド

 出演:クリント・イーストウッド、キャリー・スノッドグレス、マイケル・モリアーティ

 内容:ゴールドラッシュに沸くカリフォルニア。大鉱山主のラフッドは、手作業で砂金を掘っている開拓民たちを、金の豊かな谷から追い出そうと無法な圧迫を加えていた。そんな頃、開拓民の娘ミーガンの祈りに応えるかのように、牧師の格好をした流れ者が谷に現れる。開拓民たちは不思議な力を持ったこの男をプリーチャーと呼んで信頼を寄せる。そして、男はラフッドに戦いを挑む。。

評価★★★★/75点

“近すぎるっちゅうねん!”

ラストのプリーチャーとストックバーンの対決のシーンでプリーチャー近づきすぎ!

相手と2,3歩しか離れてないやん。

普通は砂塵巻き上がる中、画面の両端に2人が向かい合って緊迫感出すとかするのに、ズカズカ寄ってくんだもん。まあ、プリーチャーは銃をすでに手に持っていたからストックバーンが身動き取れなかったというのもあるけど。

しかしそこで銃をいったん腰に戻して決闘に臨もうってのがまたシブいというか超クールというか。とにかくあれだけの至近距離での早撃ち決闘は初めて見た。「椿三十郎」の洋画版ってか。。

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勇気ある追跡(1969年・アメリカ・129分)NHK-BS

 監督:ヘンリー・ハサウェイ

 出演:ジョン・ウェイン、キム・ダービー、グレン・キャンベル、ロバート・デュバル、デニス・ホッパー

 内容:父親を殺された少女マティは、凄腕の名保安官コグバーンを雇って犯人の追跡を始める。。。J.ウェインは本作で念願のアカデミー主演男優賞を受賞。

評価★★/40点

ジョン・ウェイン映画の既定の枠を超えるような映画としての勇気が皆無。

しかしその勇気が無かったからこそジョン・ウェインにアカデミー賞をもたらしたともいえる、、そんな映画です。

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クイック&デッド(1995年・アメリカ・105分)劇場

 監督:サム・ライミ

 出演:シャロン・ストーン、ジーン・ハックマン、ラッセル・クロウ、レオナルド・ディカプリオ

 内容:年に一度、12万3千ドルの賞金を賭けた早撃ちトーナメントを控えた西部の町に現れた女ガンマンのエレン。彼女の本当の目的は、トーナメントの開催者へロッドに殺された父親の仇を討つことだった。

評価★★★/65点

味も素っ気もないなんとも単純明快なストーリーになんとも贅沢なトッピング。

なんかアメリカの寿司バーに出てくるスシみたい。

そんでこれがまた何と言葉で形容すればいいのか分からん味なのよね・・

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