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2021年1月17日 (日)

夢のシネマパラダイス538番シアター:開運!?なんでも鑑定団

ダ・ヴィンチ・コード

Moviedavinci出演:トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、アルフレッド・モリーナ、ジャン・レノ、ポール・ベタニー

監督:ロン・ハワード

(2006年・アメリカ・150分)盛岡フォーラム

評価★★☆/50点

 

内容:ある日、ルーヴル美術館で館長のジャック・ソニエールが殺害される。しかも遺体は、レオナルド・ダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図を模した形で横たわり、周りには不可解な暗号が記されていた。殺害当夜、館長と会うことになっていたハーバード大学教授で宗教象徴学の権威であるロバート・ラングドンは、フランス司法警察から協力を依頼されるが、ファーシュ警部はラングドンを犯人と疑うのだった。そこへ、館長の孫娘で暗号解読官であるソフィー・ヌヴーが駆けつけるが・・・。

“ダン・ブラウンの原作小説の選りに選りすぐった見せ場のみを取り出して映像で再現した贅沢なエンタメ作になるはずが・・・”

オイシイとこ取りに徹したあげく、味も素っ気もない単なる平面的な模造品になり下がってしまったトンでも作になってしまった。

まぁ、様々な秘密や暗号の数々が散りばめられ、大胆な発想力による驚愕の謎解きを加え、既成の枠をはるかに超えた上下巻の原作を2時間半にまとめること自体至難の技に近いのだが・・・。

しかし、上下巻で600ページを越える原作は骨格としては意外にオーソドックスなものであり、どのプロットを取り入れて膨らませて描き、どのプロットを省いて描かないかという取捨選択に関しては予想以上に容易なはずで、それさえ間違わなければ一級のエンタメ作になるはずだったのだが、、ウゲーーッ全部入れたんかい!!

そう、この映画の最大の失敗は、取捨選択を全くといっていいほど放棄していることにあるといってよい。

とにかく全部入れちゃったエヘヘ、みたいな。。

おかげでまるでキャベツの千切りのごとくサクサクサクサク突っ走っていきよる・・。見せ場もヘッタクレもあったもんじゃない。しかも見せ方も下手。

例えば、ティービング卿の飛行機でイギリスへ降り立ったラングドンたちを飛行場で警察が待ち構えている場面。ここではパトカーが格納庫に入ってくるのと同時に迎えの車の車内にラングドンとソフィーが逃げ込んで、飛行機のタラップから普通に降りてきたティービング卿が警察をあざむいて難を逃れる、という流れになるのだけど、単純にラングドンの視点で見せりゃいいものを、どうやって飛行機に乗ってたはずのラングドンとソフィーが姿をくらましたかというのをいっちいちフラッシュバックまで使って画で見せてくるのね。。マジックの種明かしにもならない大したことないシーンなのに。

こういうところで変な発想力使わなくていいから、もっと別な重要なところで使ってくれよ。

この原作はフィボナッチ数列やアナグラム、鏡文字、ダ・ヴィンチの描いた絵画、死のダイイングメッセージといった暗号の数々を読み解いていく知識欲と、キリスト教会の暗部の歴史の秘密とミステリーを暴いていく探求欲と、ソニエール殺害事件の犯人にされて警察から追われるハメになったラングドンの逃走劇にハラハラドキドキする生存欲とで高濃度で満ち満ちており、脳内神経刺激されまくりで読み出したらもうどうにも止まらなくなるくらい。

これを映画化する場合、ラングドンのスリリングな逃走劇というところに関しては十八番といってもいい題材だと思うが、問題は知識欲・探求欲をどう映像で見せていくかだと思う。大胆な発想力はここで使わないと。。

しかし、さっき述べたプロットの取捨選択も含めて、この部分が今回の映画は致命的に弱いと思う。

原作では、宗教象徴学の権威であるラングドンとフランス司法警察の暗号解読官ソフィーというスペシャリストが道先案内人および解説者として読者の想像力を決して削ぐことなく最終地点まで導いてくれる。

しかし、これが映画となると、このスペシャリスト2人が観客を置き去りにしてあれよあれよという間に暗号を解いていき勝手に突っ走っていってしまう。

そこには何の面白みもないし、想像力やら知識欲やらが入り込む余地もなく文字通り味も素っ気もないと言わざるをえない。

もちろん、文字媒体と映像媒体という手法の違いはあるわけで、がしかし、この映画はそれを全く同じ土俵で捉えて再現しようとしていることに、もはや救いを見出すことさえ危ぶまれてしまうくらいだ。ガッカリ・・・。

例えば、ラングドンとソフィーというスペシャリストコンビに全くのド素人キャラを新たに加えて3人トリオにしてもよかったのではなかろうか、とも思っちゃったけど。

いずれにしても、もうちょっと視点と焦点を絞ってポイントを押さえてやった方が良かったのではないかと思う。

文字媒体そのまんまをただトレース・模写するだけじゃ1個の映画としては不完全にしかならないってことだね。大ベストセラーの完全映画化という謳い文句がかえってわびしく聞こえてしまう哀しい一作・・・。

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天使と悪魔

Photo 出演:トム・ハンクス、アイェレット・ゾラー、ユアン・マクレガー、ステラン・スカルスガルド、アーミン・ミューラー=スタール

監督:ロン・ハワード

(2009年・アメリカ・138分)WOWOW

評価★★★/60点

内容:ローマ教皇の逝去を受けて行われる予定のコンクラーベ(教皇選挙)の直前に、有力候補の枢機卿4人が誘拐された。そして秘密結社イルミナティから、コンクラーベの日に彼らを殺害し、さらにヴァチカンを爆破するという予告が届く。そこでヴァチカンはハーバード大学教授ロバート・ラングドンに協力を要請する・・・。

“舞台が奈良・京都だったら・・・”

と思ったのは自分だけ!?

ローマの旧所名跡を厳格なタイムテーブルに則って足早に巡る弾丸ミステリーツアーの様相を呈する今回の作品だけど、出てくる教会とかほとんど分からないしw、ベルニーニの彫刻、ってその前にベルニーニって誰やねんという低脳レベルの自分からすると単にローマ市内をオリエンテーリングしてるようにしか見えず、知的好奇心や冒険心をくすぐるまでには楽しめなかったかんじで・・・。

例えば、サン・ピエトロ大聖堂にあるレリーフに描かれた天使の吐く息の方向を見てラングドン(トム・ハンクス)が次の殺害現場を見通しちゃうところとか、えっ何!?今のは何!?と思う間もなくハイ次行ってみよー!となるので、なんか自分だけ置いてけぼりをくった気分になっちゃうんだよねw

だから、これが奈良とか京都だったら、例えば清水寺だとか金閣寺・法隆寺、はたまた東大寺の仁王像とか、そういうのだったら理解できそうだし面白そうなんだけどなぁって思ったんだけど・・。

ま、ハリウッド製エンタメとしてはフツーに楽しめるけど、2日経つと忘れちゃうレベルだよねっていう(笑)。。

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インフェルノ

A0051234_21303269出演:トム・ハンクス、フェリシティ・ジョーンズ、イルファン・カーン、オマール・シー、ベン・フォスター

監督:ロン・ハワード

(2016年・アメリカ・121分)WOWOW

内容:目覚めるとそこはフィレンツェにある病院のベッドの上だった。数日間の記憶をなくしているラングドンはさらに女性警官に命を狙われるが、辛くも女医シエナの機転で病院を脱出する。何も思い出せないラングドンだったが、ポケットの中にあったペンライトが1枚の絵を投影する。それはダンテ「神曲」の地獄絵図だった・・・。

評価★★★/65点

“ミッションインポッシブル番外編”

まるで薬物中毒者にしか見えないラングドン(トム・ハンクス)が記憶の断片をたぐり寄せながらヒロインと一緒に追手から逃れる逃亡劇の前半に対し、後半はヒロインと追手の立場が入れ替わり一転してヒロインを追う追跡劇になる。

この転調には呆気に取られたけど、結果的には後味の悪さが残ってしまう原因になったかなと。。

肝心の謎解きミステリーの方もメインのプロットが細菌兵器のありかに集約されているので後付け感が強く、見てるこっちの知識が足りないといえばそれまでだけど面白味はない。

ていうか根本的にこれってミッションインポッシブルとかボーン・アイデンティティなどのアクション映画でやる話じゃないw?それだったら一気に評価上げたんだけど・・

あ、たぶん原作は面白いんだと思うww

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万能鑑定士Q-モナ・リザの瞳-

Poster2出演:綾瀬はるか、松坂桃李、初音映莉子、ピエール・ドゥラドンシャン、児嶋一哉、角替和枝、村上弘明

監督:佐藤信介

(2014年・東宝・119分)WOWOW

内容:卓越した鑑定眼を持つ凜田莉子は、多種多様な鑑定を請け負う万能鑑定士。ある日、ルーヴル美術館が所蔵する名画モナ・リザが40年ぶりに来日することになり、ルーヴルのアジア圏代理人の朝比奈から学芸員候補として推薦される。そこで莉子は、彼女の密着取材をしている雑誌記者・小笠原悠斗と共にパリへ向かう。そしてルーヴルで行われた採用テストに合格した莉子は、もう一人の合格者である流泉寺美沙と一緒に研修をこなしていくが、次第に体調に異変を来たし、鑑定眼まで狂い始めてしまう・・・。

評価★★/40点

一般視聴者が自宅に眠るお宝を専門家に鑑定してもらうテレ東のなんでも鑑定団はたまに見るけど、あの面白さってお宝の真贋や値段評価以上に、そう判断するにいたった論理的な根拠や歴史的裏付け、またそのお宝にまつわる蘊蓄にあると思う。学生時代に考古学をかじっていた歴史好きにとっては、そこが知的好奇心をくすぐるところでもあるわけで。

しかし、それを映画に当てはめてみると、お宝(モナ・リザ)の真贋ばかり引っ張りすぎて、肝心の役者が全くのおざなりに・・。

主人公の凛田莉子(綾瀬はるか)の最大の武器であるロジカルシンキングも見せ場は最初だけで、途中から直感力にシフトしちゃっているし、例えば一夜漬けでフランス語を習得するなんていう論理性の欠如を見せられると何でもありになっちゃうからツマラナイんだよね。。

他にも、ルーブルでの本格ロケというセールスポイントが雲散霧消してしまう軽井沢合宿のショボさとかw

結局最後まで風呂敷が広がりきらなかったなというかんじ。

そういう点では「ダ・ヴィンチ・コード」のような壮大な大風呂敷と謎解きミステリーを期待していただけに、とんだ肩透かしをくらってしまった・・。

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鑑定士と顔のない依頼人(2013年・イタリア・131分)WOWOW

 監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ

 出演:ジェフリー・ラッシュ、シルヴィア・フークス、ジム・スタージェス、ドナルド・サザーランド

 内容:一流の美術鑑定士ヴァージル・オールドマン。オークションで辣腕をふるう彼は、美女の肖像画に囲まれて過ごすのが趣味で、気に入った肖像画は相棒のビリーを使って手段を選ばず自分のコレクションに加えていた。そんな彼のもとに、クレアと名乗る女性から亡くなった両親が遺した家具や美術品の鑑定依頼が入る。ところが約束の時間になってもクレアは現れず、電話だけで指示してきて、その後も一向に姿を現さない。最初は怒っていたヴァージルだったが、屋敷に残された謎の機械部品、そしてクレアが屋敷の壁の中で暮らしていることに興味を抱き始め・・・。

評価★★★/60点

話の結末がどういう着地点を迎えるのか分からなかったけど、周りが全員グルだったというオチにはアッと驚くタネも仕掛けもないため、落ち着くところに落ち着いたという印象しかなく、サスペンスとしては凡庸という感想。

途中までひそかにクレア=機械人形オートマタなのではないか!?と突飛なファンタジー展開を予想していたこともあってw、なんかどんどん爽快感ゼロの後味苦しなベクトルに向かっていくのは思ってたのとは違ったかも。。でも、それを補ってあまりあるジェフリー・ラッシュの粘着的な一人舞台に最後まで飽きずに見れたのもたしか。

しかし、思えば「ニューシネマパラダイス」では青年の、「マレーナ」では少年の、そして今回は老人の、叶うことのない女性への切ない憧れが描かれてきたわけだ。

ニューシネマパラダイスから足かけ25年、“こじらせ男”三部作ここに完成す(笑)。

ていうか、トルナトーレもモリコーネもまだ生きてたんだww

2021年1月10日 (日)

夢のシネマパラダイス390番シアター:ピクサーアニメ第2倉庫

WALL・E ウォーリー

2682405328_6d3e9a8dce 声の出演(日本語吹き替え):横堀悦夫、園崎未恵、草刈正雄、小川真司、小山茉美

監督・脚本:アンドリュー・スタントン

(2008年・アメリカ・103分)WOWOW

評価★★★★/75点

 

内容:人類に見捨てられ、ゴミに埋めつくされた29世紀の地球。そこで700年もの間、黙々とゴミ処理に励んでいるロボットのウォーリー。天涯孤独の彼は、ミュージカル映画「ハロー・ドーリー」の中の登場人物みたいに自分もいつか誰かと手をつなぎたいという夢を抱いていた。そんなある日、突如着陸してきた探査船から一体のロボット・イヴが降り立った。ウォーリーはたちまちイヴに心惹かれていくが・・・。

“目は口ほどに物を言う”

人間ではないものを擬人化することにかけては右に出るものがないピクサーがたどり着いた擬人化の最終進化形。それは鼻もなければ口もない、セリフもなければ足までないツンツルテンのデジタルロボットと、汚染物質とサビがビッシリくっついたアナログロボットだった!

喜び、泣き、笑い、怒りといった感情を“目”と“手”だけで表現する。それは例えば手をつなぎたいのに言い出せないで相手の手をもどかしそうに見つめる、その仕草だけで十分に映画たりえるのはチャップリンの「街の灯」(1931)なんかにも通じるところなんだけど、映画・アニメーションの原初的な動きが普遍的な愛―愛おしさや優しさ、つまりは人の温もり―をダイレクトに伝達してくれる、そのオーソドックスな素晴らしさを再確認させてくれただけでもこの映画を見た甲斐はあったというもの。

しかも、それを無機質なロボットで表現したのだからスゴイの一言だわ。

絵柄とか世界観が自分の大好きなTVゲーム「ラチェット&クランク」シリーズに似ていて馴染みやすかったし、あとはやはり人間以上にピュアで感情豊かなウォーリーにイチコロでやられたかんじ。

足のないイヴや歩くことをやめた人間とは対照的にキャタピラをカタカタ震わせながら地に足を着けて駆け回る姿、そしてイヴを一途に想いつづけるけなげな姿に思わずホロリとさせられてしまった。

まぁ、無人と化した地球で黙々と働きつづけるウォーリーの日常を追ったシュールな前半部分にもうちょっと捻りをきかせたエピソードを持ってきて、“700年間ひとりぼっち”というウォーリーの境遇にもっとスポットライトを当ててほしかった気もするけど。イヴの登場が早すぎたような・・。

でも、こういう映画を作れてしまうピクサーはやっぱりスゴイと思う。

宮崎アニメ以外で、見終わった後もう一度見たいと思わせる作品を作ってくれるピクサー、ずっとついて行きまっせ!

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カールじいさんの空飛ぶ家

O0264039110307093801 声の出演:飯塚昭三、大木民夫、立川大樹、松本保典、松元環季

監督:ピート・ドクター

(2009年・アメリカ・103分)WOWOW

内容:古い一軒家に住むカールじいさんは、最愛の妻エリーに先立たれてからひとり孤独に暮らしていた。しかし、家が地上げにあい、立ち退かなければならなくなる。そして迎えた立ち退きの日の朝、カールはエリーと約束した伝説の場所パラダイス・フォールへ旅立つことを決意する。。

評価★★★★/75点

個人的映画会社格付けにおいて文句なしのAAAを付けられる唯一の会社、ピクサー!

今回もまた期待を裏切ることのない出来で、その信頼は揺るぎのないものに!

まず、カールとエリーのなれ初めから始まるオープニング、そして2人の幸せな夫婦生活をサイレント風につづった5分にも満たないモンタージュシーンに一気にゾッコンになってしまった。

カールじいさんが冒険ブックにあったエリーの写真を見て在りし日の思い出にふける終盤のシーンもそうだけど、絵だけで見せきる力というのはズバ抜けていて、愛らしさ、温かさ、優しさ、哀しさといった要素が全て織り込まれているその映像からは説得力と感動が喚起される。

さらにそれを強化・増幅させているのが音楽で、ここまで映像とうまく融合した珠玉の音楽というのは久方ぶりで、必要最低限のセリフしかない今回の作品において、音楽の果たした役割は非常に大きいといえよう。

そしたっけば、音楽を担当したマイケル・ジアッチーノって自分の大好きなLOSTシリーズの音楽もやってたと知ってビックリ。他にも「Mr.インクレディブル」「レミーのおいしいレストラン」なんかもやってて、なるほどそれぞれの作品の世界観を十二分に引き立てる術を心得た作曲家なんだなと。今後要注目

テーブルマウンテンに下りたあとに、いかにもディズニーらしい動物キャラが出てきた時は色合いがガラリと変わって不安になったけど、ピクサーらしい独創的な味付けが加えられていてさすがだなと思わせられたし、ひとひねり利かせたユーモアのセンスや絶妙な間の取り方など随所に巧さを感じさせるかなり完成度の高い作品なんだけども、唯一意外にあっけなく家が飛んだのにはあれっ!?てかんじだったかもw

ただ、体にホースをくくりつけて家を運ぶくだりが長かったように、飛ぶこと自体にはそこまで執着していない印象で、飛ぶというよりは浮いているといった方が的確なような気もする。

そこらへんはどうしてもジブリと比較しちゃうんだけど、チャールズ・マンツの飛行船とカールじいさんの家の空中戦はラピュタのゴリアテとタイガーモス号を思い起こさせたな。

そして最後に思うのは、自分もああいう幸せな結婚してみたいなぁ、ってこと

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トイ・ストーリー3(2010年・アメリカ・103分)WOWOW

T0008404p 声の出演:唐沢寿明、所ジョージ、日下由美、辻萬長、松金よね子、大塚周夫、永井一郎、三ツ矢雄二

監督:リー・アンクリッチ

内容:前作から12年後。アンディは17歳になり、大学進学のため寮に引っ越すことに。すでにオモチャで遊ぶこともなくなっていたアンディはウッディだけを寮に持っていくことにし、それ以外のオモチャは屋根裏にしまうことにするのだが、母親の手違いで危うくゴミに出されそうになってしまう。アンディに見捨てられたと憤慨する彼らは保育園行きを決断するのだが・・・。

評価★★★★★/100点

シリーズものの3作目はえてして方向性を間違えた凡作が多い。それはアニメ映画もまたしかり、シュレックシリーズの体たらくを見れば分かる通り、ネタ切れとマンネリによる失速から逃れるのは至難の業としかいいようがない。

そんな壁に絶対にハズレのないピクサーが挑む!というか手を出しちゃったかとゲンナリしちゃったのだけど、、フタを開けてみたらその不安は一気に雲散霧消、3作目にして最高傑作という離れ技を前にしてピクサーやっぱスゲェーッ!と拍手喝采してしまった。

なにより、めくるめくキャラクターのアンサンブルには脱帽するしかない。

10以上のキャラクターに躍動する個性を吹き込むだけでも目を見張るのに、スリンキーのバネ胴体やミセス・ポテトヘッドの右目など小道具としての特性を駆使した見せ場も工夫されていて十二分に楽しめてしまうし、ウッディがトイレの便座によじ登るときにトイレットペーパーを敷いたり細かなところまで気が利いていてつい目を細めてしまう

あとは泣かせどころ満載のストーリー!

かくいう自分は4回泣かされてしまいますた。。

冒頭からしてすでに涙腺をつかまれてしまい・・。自分たちの存在を思い出してもらおうと、オモチャ箱の中でアンディの携帯を鳴らす精一杯の努力がなんともせつなくて

いつしか忘却の彼方へ追いやられてしまうオモチャの背負う宿命に立ち向かっていくウッディたちの生き生きとした姿には胸躍らされるとともに身につまされっぱなしだったのだけど、溶鉱炉で皆で手をつないで最期を悟るところはついにこらえきれず・・

で、ラスト、アンディとの別れでさらなる追い打ちをかけられ・・w

別れが印象的な映画は、カリオストロ、ラピュタ、ローマの休日、ゴースト~ニューヨークの幻~、リトル・ダンサーなど心に焼き付いて離れない映画ばかりなのだけど、今回は最も幸せな気分に浸れる別れの映画になっていたと思う。

しかし、これで終わりかと思いきや、エンドロールでチャックルズの笑顔にとどめを刺されてジ・エンド。

世の中だけでなく様々な映画作品でもディスコミュニケーションが蔓延する中、何があってもみんな一緒!とチームプレイと絆と思いやりを前面に押し出した作風にはなんとも清々しい気持ちにさせられた。

自分の心の中に間違いなく宝物として残る映画だったと思う。

P.S. しかし、セピア調で語られるロッツォの過去のなんとせつないことよ・・。かと思えばケン&バービーのおバカコントに爆笑したり。涙あり、笑いあり、活劇あり、ドラマあり、傑作です!

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カーズ2

Cars2_03 声の出演:山口智充、土田大、大塚芳忠、朴路美、パンツェッタ・ジローラモ、福澤朗、戸田恵子

監督:ジョン・ラセター

(2011年・アメリカ・113分)WOWOW

内容:天才レーサー、ライトニング・マックイーンは、久々に故郷ラジエーター・スプリングスに帰ってきて羽根を伸ばしていたが、ひょんなことからワールド・グランプリに出場することに。そこでマックイーンは、大親友のおんぼろレッカー車、メーターをピット・クルーのメンバーとして帯同させることにする。一方、英国のスパイ、マックミサイルはある事件を追っていて・・・。

評価★★★/60点

今まで一度もハズレがなかった鉄板ピクサー、初めてハズしたかも

今回の映画を一言でいえば、めまぐるしくてせわしなくてドタバタしているといえばいいだろうか。

前作にあったノスタルジックな味わいから一転してアクション満載のカーレース映画へ変貌をとげた今作は、さらにマックイーンからメーターに視点を移してかなりのシフトチェンジを果たしているのだけれど、ただのドタバタカーレースだけをピクサーに求めるものではない自分にとってはやや消化不良。。

キャラクターの成長の深度がピクサーの真骨頂だとするならば、苦悩や葛藤からは最も程遠いムードメーカーのメーターを主軸に据えた時点で作品の風合いはガラリと変わらざるをえないわけで、そこを穴埋めするのにスパイアクションを取り入れたのは理にかなってはいるのだけど、イマイチそこに見る方としては乗り切れなかったかなと。

まぁ、アニメ映画としてのエンタメ水準をゆうに超えているのは言うまでもない出来だけど、どうしてもピクサーの場合はハードル一気に上げて見ちゃうからなぁ・・w

驚異のCG映像もまるでプレステ3でも見ているかのようだったけど、3Dを意識しすぎたあざといカットもあってちょっと気に障ったし(笑)。。

結果、今回の映画はクルマじゃなくてもよかった気が・・

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メリダとおそろしの森

O04500636org_20120418000601声の出演:大島優子、山路和弘、塩田朋子、木村有里、内田直哉

監督:マーク・アンドリュース、ブレンダ・チャップマン

(2012年・アメリカ・94分)WOWOW

内容:中世スコットランドのダンブロッホ王国。王女メリダは弓を手に野山を駆け回るのが大好きなお転婆少女で、立派な王女に育てたい母親のエリノア王妃とは衝突してばかり。そんなある日、メリダの夫選びが元で親子げんかしたメリダは家出ならぬ城出してしまう。そして森で不思議な鬼火に導かれた先で魔女と出会ったメリダは、自分の運命を変えてほしいと願うが・・・。

評価★★★☆/70点

メリダとおそろしの魔女となぜか頭にインプットされていたので、ハンガーゲームのジェニファー・ローレンスばりの弓矢の名手がカーリーヘアをなびかせながら魔女と対決するのかと思いきや、まさかくまモンと大島優子の痛快ドタバタコント劇になっているとは露知らず。

結果、爆笑させてもらったのでこの点数だけど、全体的にはピクサーらしからぬ大雑把な仕上がり。

そもそも、この映画の主人公ってメリダじゃなくて、くまモン王妃じゃんw

おてんばで勝気なメリダの成長よりもガミガミ王妃の改心の方がほろっとしたし、生シャケにむしゃぶりついたり、女性としての恥じらいを見せたりといったくまモンの演出は非常によく練られていて楽しく見られた。

あと何よりCGが凄すぎで、毛並みとか表情とかビジュアル面はさすがピクサーだけに一歩図抜けている。

まぁ、ピクサーの場合どうしても期待のハードル値を上げて見てしまうので、今回のようなお子ちゃまレベルだとガクンと評価が下がっちゃうけどw、それでも他の凡百のアニメ映画よりは断然見れてしまうのだから相変わらずピクサーには恐れ入る。

ディズニーは余計な口出しすんじゃないぞー(笑)。

といいつつ、ディズニーの「塔の上のラプンツェル」の方が出来としては上だったのはどーゆーこと!?

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ファインディング・ドリー

168779_02声の出演:室井滋、木梨憲武、上川隆也、中村アン、田中雅美、八代亜紀

監督・脚本:アンドリュー・スタントン

(2016年・アメリカ・96分)WOWOW

内容:1年前にニモ捜索の旅に同行したドリーは、相変わらず物忘れがひどいものの楽しい毎日を送っていた。しかしそんなある日、ひょんなことから幼い頃に離ればなれになってしまった家族との記憶を取り戻す。居ても立っても居られなくなったドリーは、わずかな手がかりをもとにカリフォルニアの海を目指す。そして、そんなドリーを放っておけず、ニモと父親マーリンも一緒について行くのだが・・・。

評価★★★★/75点

前作から13年経っても変わらない作風だったのは嬉しいけど、良くいえば欲を出さずに手堅く道を踏み外さなかったかんじ。悪くいえば、チャレンジ精神に乏しくボールを置きに行ったかんじ。

前作以上に人工物主体の閉鎖空間における箱庭アドベンチャーに舵を切ったつくりは、アクションが映えるとはいえトイストーリー的で新味はない。

しかし、ニワトリ並みの記憶力しかない健忘症のドリーをはじめサブキャラに至るまで、障害をキャラクター造型に意図的に取り入れているんだけど、それらはハンデではなく豊かな個性として描いているところにオーソドックスなストーリーを感じさせない面白さがあって、プラスマイナスでいえば完全にプラス。

ルイ・アームストロングの「素晴らしき世界」の使い方など音楽のセンスも良かったし、やはりさすがピクサー印の映画だったなという感想に落ち着く。

ただ、なぜ八代亜紀なんだ?てところだけは腑に落ちないw

夢のシネマパラダイス342番シアター:音楽は人生を変える!

TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ

D63882018665430出演:長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、清野菜名、古舘寛治、皆川猿時、シシド・カフカ、古田新太、宮沢りえ

監督・脚本:宮藤官九郎

(2016年・東宝・125分)WOWOW

内容:軽音楽部に所属する高校生の大助は、修学旅行中にバス事故に遭い、あっけなく死んでしまう・・。気付くと、そこは地獄。そして目の前に地獄のロックバンド“地獄図(ヘルズ)”を率いる赤鬼のキラーKが現われる。彼によると、毎週金曜日に行われる閻魔様の裁きで合格すれば現世に転生できるチャンスがあるという。ただしチャンスは7回。大好きだった同級生のひろ美とキスも出来ずに死んだことが心残りの大助は、彼女に会いたい一心で地獄農業高校に入学し、キラーKによる猛特訓を受けるのだが・・・。

評価★★★/60点

森川葵がむちゃくちゃ可愛い💕そして大人になると宮沢りえになる!

ここに絶大な魅力と説得力があるからこそ地獄と現世を7回も行ったり来たりする荒唐無稽なドタバタ劇について行けるわけで、そうでなければハイテンションまっしぐらの120分は長すぎて耐えられなかった。

パンクロックの音楽からセット感丸出しの地獄絵図や各キャラに至るまでクドいことこの上なく、皆川猿時のじゅんこが出てきた時は思わず吐きそうになった😵

その中でオタマジャクシにまでなりきる神木くんはよくやったと思うよw

畜生道に堕ちて腰をフリフリしても下品さよりも清々しさが勝ってしまうアフレコは、さすが子役の頃から変わらない少年のピュアボイスを残した神木くんのことだけはあると思った。マザーファッカーな長瀬鬼とのコンビも良かったし。

まぁ、こうやって全体的にみると面白かったとはいえるかな。

けど、結局はアイス食べてスムージー飲める現世が1番ってことだよね♪

P.S.10万年生きている聖飢魔Ⅱのデーモン閣下出してほしかったんですけどw

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デトロイト・メタル・シティ

20081009_379758 出演:松山ケンイチ、加藤ローサ、秋山竜次、宮崎美子、松雪泰子、ジーン・シモンズ

監督:李闘士男

(2008年・東宝・104分)CS

評価★★★★/80点

 

内容:オシャレな渋谷系ミュージシャンを目指して大分の田舎から上京してきた根岸崇一。ところがデスレコードという音楽事務所に自作のCDを持ち込んでしまったことがきっかけで、悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」のギターボーカル“ヨハネ・クラウザーⅡ世”としてデビューさせられてしまう。根岸は、想いを寄せる女性・相川さんにバレないようにひた隠すが、デビューシングルが予想外の大ヒットとなってしまい・・・。

“「NO CINEMA,NO DREAM」”

将来思い描いていた自分と、今の自分が置かれている現実とのギャップ、「こんなはずではなかった・・」というのは誰しもが直面する悩みだと思うのだけど、それを自己表現の手段としてはもっとも分かりやすい音楽というジャンルで面白おかしくデフォルメして描いているのがこの映画のミソ。

オシャレと平和と甘ったるいポップソングをこよなく愛する心優しきナヨナヨ男、根岸。

一方、白塗りメイクと悪魔と殺人ソングをこよなく崇拝し、1秒間に10回「レイプ!」と連呼することができるデスメタのカリスマ、ヨハネ・クラウザーⅡ世。

このジキル&ハイド的な2つの顔の落差の中で、正体を好きな女のコや家族に知られてはいけないというスーパーマンなどの変身ヒーローものが抱えるジレンマを織り込んでいて上手いつくりになっているし、さらにはこんなこと本当は全然したくないという意に反して売れていってしまうという二重のジレンマに陥っていく主人公の深刻な姿が最高に面白おかしい笑いに昇華されていて、かなりドツボにハマって爆笑してしまった。。

漫画原作は読んだことないけど、変にツッコミ入れることがない分、オーソドックスなベタギャグの洪水も逆に純粋に楽しめたかなと。

なにより根岸とクラウザーを演じ分けた松山ケンイチの突き抜けっぷりは傑作で、「デスノート」の“L”役はあまり好きではなかったんだけど、これ見て自分の中で一気に赤丸急上昇俳優になっちゃったかも。

松雪泰子も白鳥麗子のなれの果てを思わせる怪演っぷりで印象的だったし、三谷幸喜以外で久々に笑えた映画だったな。

ちなみに、自分の座右の銘は「NO CINEMA、NO DREAM」だっス!

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少年メリケンサック

Img1c8e08a8zik9zj出演:宮崎あおい、木村祐一、勝地涼、田口トモロヲ、田辺誠一、ユースケ・サンタマリア、佐藤浩市

監督・脚本:宮藤官九郎

(2008年・東映・125分)WOWOW

内容:レコード会社の新人発掘担当の栗田かんな(宮崎あおい)は、ネットの動画サイトでパンクバンド“少年メリケンサック”のライブ映像を見つける。しかし、契約交渉へ向かった彼女の前に現れたのは、50歳を過ぎたオッサンだった。なんと、ネットで見た映像は25年も前のものだったのだ・・・。

評価★★★☆/70点

宮崎あおいの前でゲロる絶頂、宮崎あおいの隣でエロ本を見る快感、宮崎あおいの後ろで屁をこく至福、宮崎あおいにチ○コを見せる狂喜、、そう、この映画は宮崎あおいをいたぶる、もといイジクリ回してその苦悶の反応を楽しむドS映画なのだ!

はっきりいってパンクがどうとか、中年オジさんたちの悲哀がどうとかはどうでもいい。

冒頭からヤケになっている映画のハイテンションぶりは、さぁパンク魂を見せちゃるゼ!という意気込みというよりは単なる照れ隠しの発露にしか見えず、本質的なところから逃げてるというか、映画としては未熟としか受け取れず・・。

なので、世界は宮崎あおいで回ってる!という視点で見ざるを得なかったのが正直なところなのだけど、これがまた今まで見たことのない宮崎あおいのハジケっぷりがドツボにハマってて、もっとあおいタンを責めて苛めちゃって~とオイラのアブナいドS魂に火がついちゃった、、そう思った自分ってもしかして変態w!?ハイ。。

でも、オッサンたちのやりたい放題に対し、あおいタンは受けに回るだけではなく彼らのおっ母さん的役割をきちっと果たしていくあたり、ますますあおいタンが好きになったーッ

揺れないオッパイもイイんだってことがよぉく分かった(笑)。

てか、宮崎あおいって自分にとっての永遠の、そして究極の憧れの女性のイコンなのかもしれない。だってこんな人妻おらんやろフツー・・。

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サルサ!(1999年・仏/スペイン・100分)CS

 監督:ジョイス・シャルマン・ブニュエル

 出演:ヴァンサン・ルクール、エステバン・ソクラテス・コバス・プエンテ

 内容:若き天才ピアニストのレミがショパンを捨てて選んだのは、情熱の音楽サルサだった。ところがパリのラテンバンドが探しているのは本物のキューバ人。そこでレミは自分の肌をチョコレート色に変えて、伝説のキューバ人作曲家ベレートの下、キューバ・バーでサルサのダンスレッスンを始める。が、そこにシャイなパリジェンヌ、ナタリーが現れて・・・。

評価★★★★/75点

濃い!恋!来い!ナタリーーオイラの腰はビンビンだぁっ!フォーーーッ!!!ちょいオカシくなってます・・・

いや、これ見ると確実にどっかがオカシくなっちゃうんだってばww。試してみ。

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ブルース・ブラザース(1980年・アメリカ・133分)NHK-BS

 監督:ジョン・ランディス

 出演:ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、キャブ・キャロウェイ、ジェームズ・ブラウン、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン

 内容:黒づくめの服に黒のサングラスでキメたアウトロー、ジェイクとエルウッドのコンビは、育った孤児院が税金を払えず、差し押さえの運命にあることを知り、なんとか資金を工面しようと仲間たちとR&Bバンドを結成。苦難の末、大コンサートを開催することになるが、会場は彼らを捕らえようとする警官隊によって包囲されていた・・・。土曜の夜の人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」から飛び出したジョン・ベルーシとダン・エイクロイドによる爆笑コンビ“ブルース・ブラザース”がお茶の間を飛び出し、映画に進出!

評価★★★/65点

“暗闇でグラサンかけるおバカセンスの持ち主も音楽のセンスにかけては右に出る者なし!”

パトカー軍団を惜しげもなく大破させまくり、戦車まで繰り出す破壊的なギャグは面白くも何ともないのだけど、キャブ・キャロウェイからジェームズ・ブラウン、レイ・チャールズにアレサ・フランクリンといったR&B界の大御所が繰り出すミュージカルナンバーには大満足。

黒人大衆音楽ともいうべきブルースをエンタメの俎上に乗せて悪ノリすることに徹した上で、しっかりオマージュという形に昇華させていて、音楽映画としての醍醐味は大きい。

なのだけど、テンコ盛りなコメディ演出のウザさが個人的には終始足を引っ張り、この点数・・。

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ブルース・ブラザース2000(1998年・アメリカ・124分)NHK-BS

 監督・脚本:ジョン・ランディス

 出演:ダン・エイクロイド、ジョン・グッドマン、ジョー・モートン

 内容:前作から18年。刑期を終えたエルウッドは、相棒ジェイクの死を知る。エルウッドはかつてのブルース・ブラザースバンドのメンバーを再び強引に集めてバンド活動を始めるのだった。。

評価★★/40点

底抜けの悪ノリがセールスポイントだった前作から一転、底抜けの寂寥感に包まれた今作に見る影はもはやなかった・・・。

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恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ

Fabulous_baker_boys 出演:ミシェル・ファイファー、ジェフ・ブリッジス、ボー・ブリッジス、エリー・ラーブ

監督・脚本:スティーヴ・クローヴス

(1989年・アメリカ・109分)NHK-BS

内容:ホテルのラウンジで演奏するピアノデュオのフランクとジャックのベイカー兄弟は、フランクの提案で女性ボーカルのオーディションを行う。選ばれたスージーを加えたザ・ファビュラス・ベイカー・ボーイズは観客を魅了するが、一緒に仕事を続けるうちにジャックとスージーが恋仲になってしまい、3人のバランスは崩れ始める・・・。

評価★★★★/80点

昔はこれって3P映画かとばっかり思ってたんだけどww、フタを開けてみたら、めちゃくちゃエエ映画じゃん!

ジャズピアノの旋律とともに味わう渋くて甘くて少々苦味のある大人のムード漂う映画。

まがりなりにも大人と呼べる30代に見たのはかえって良かったかも。

ホテルのラウンジやナイトクラブで長年に渡ってピアノデュオとして細々と演奏し続けているかつての夢追い人。その2人の間に若い夢追い人が割って入ってくることでビミョーに崩れていくバランス。

それを夢、人生、恋愛、兄弟愛といった要素を形式と即興の刺激的なバランスの上にまぶしながら爪弾いて描いているのがなんとも乙で、しかもそのビタースイートな口当たりがすこぶる魅力的なものになっている。

ラストも、題名にある恋のゆくえというよりは、夢追い人たちの自立の方に重心を置いて描いていて、そこがなんか大人な余韻を残す終わり方になっていて良いんだよね。

くわえ煙草が様になっているジェフ・ブリッジスと、はすっ葉だけどそのハスキーボイスと艶やかな肢体が忘れがたいミシェル・ファイファーはもとより、爆笑問題の田中のような味を出していたwボー・ブリッジスもまた印象的で、役者陣もサイコーだった。

通すぎず、かといって通俗すぎない大人の映画。ヨカッタです。

2019年9月29日 (日)

夢のシネマパラダイス252番シアター:冬山に行く人の気が知れない・・

劔岳 点の記

S1292802861 出演:浅野忠信、香川照之、松田龍平、仲村トオル、宮崎あおい、笹野高史、夏八木勲、役所広司

監督:木村大作

(2008年・東映・139分)WOWOW

内容:明治39年、国防のため日本地図の完成を急ぐ陸軍参謀本部は、唯一の空白地である前人未到の劔岳の測量を測量官の柴崎芳太郎(浅野忠信)に命じる。欧州の最新機材を持ち込み初登頂を目指す日本山岳会というライバルが現れる中、柴崎ら測量隊は、案内人・宇治長次郎(香川照之)のもと劔岳山頂へ向かう・・・。

評価★★★☆/70点

登頂するのがこれほど難しい山が日本にもあったなんて東北人の自分は全く知るよしもなく、、剣岳自体知らなかったもんなぁ。日本にもヤバイ山ってあるんだねww

というのはさておき、肝心の映画の方だけど、正直なところ、映画のメイキングドキュメンタリー見てた方が数倍面白いのではなかろうかと思ってしまった、かも。。

いや、素晴らしい映画であることに何ら異論があるわけではなく、「天の視点から人間のやっていることを俯瞰の目で見て描きたい」と語った黒澤明の言葉に仮託してみるならば、今回の映画は剣岳の視点から人間のやっていることを俯瞰の目で見て描いた映画であるといえ、峻険な山岳風景の中にポツポツと黒い点描のように埋没して見える人間たちを捉えた映像はまさに圧巻きわまりないものがある。

また、登山というと己を見つめ己を知る孤高の闘いというイメージがあるけど、この映画では尊重と献身の心を持ち合わせた人とのつながりや仲間たちの絆というものを描き出しており、壮大な力強さの中にも控えめな品の良さがうかがい知れる良作になっているのはたしかだ。

近年稀にみる真摯で実直なつくりの映画といえよう。

しかし、それでもあえていうならば、「剣岳の視点」の中に人間ドラマが埋没している感も拭えず、男ばかりの映画にしては男臭さやその息遣いがあまり伝わって来ないのもちょっと気持ち悪いというか、人間ドラマがスマートすぎて緊迫感に欠けるきらいはあったかなと。

また、一面の雲海に沈む夕陽をバックにしたシーンなど、一体この景色を撮るためにどのくらい撮影スタッフは待ったんだろうとか凄く気になっちゃって(笑)、それこそ監督の怒号が常に聞こえてきそうな映画のメイキングを見た方がパッションや緊迫感を断然感じられるのではないかと思っちゃったww

しかしまぁ、作り手の映画に対する信念と、私利私欲にとらわれない測量官や案内人、登山家たちの信念がオーバーラップし、強い想いとなって伝わってくるという点において、この映画を自分の心に留め置いておきたいとは思う。

それにしても、紅一点の宮崎あおいタンみたいな嫁さん欲しいなぁ~~

夢のまた夢・・・。

(追記)

後日、WOWOWで「劔岳撮影の記、標高3000メートル、激闘の873日」というメイキングドキュメンタリーをやってて興味深く見たけど、「撮影じゃなくて苦行だと思わなきゃやってられない」という監督の言葉通りのあまりにもタフすぎる映画撮影に絶句しながら見てしまった。

登山して天気悪くて下山して翌日また登って、しかも撮影機材を背負って、、これを何週間も山にこもってやるっつーんだから、さらには冬山にまで・・。まさに苦行だわ。

ただ、、山でプカプカ煙草吸うのだけはいかがなものかと思うぞ。ぶっちゃけ山で煙草吸う人って初めて見たもん。

剣岳を見て涙する野郎がそこで平気で煙草吸うって、、恐ろしいくらいに敬意に欠けてるような気がするんだけどw

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エヴェレスト 神々の山嶺

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出演:岡田准一、阿部寛、尾野真千子、ピエール瀧、甲本雅裕、風間俊介、佐々木蔵之介

監督:平山秀幸

(2016年・日本・122分)WOWOW

内容:1993年、ネパールの首都カトマンドゥ。日本のエヴェレスト遠征隊が2人の犠牲者を出し登頂を断念した。随行していた山岳カメラマンの深町(岡田准一)は、失意の中でふと立ち寄った骨董屋で古いカメラを見つける。それが1924年に初登頂に挑んで消息を絶ったイギリス人登山家ジョージ・マロリーのものかもしれないと感じた深町だったが、突如現れた大男がこれは自分が盗まれたものだと言って持ち去ってしまう。深町は、その男が数年前に消息を絶った天才クライマーの羽生(阿部寛)であることに気づくが・・・。

評価★★★/65点

夢枕獏の原作は未読のせいか、思ったほど悪くはなかったw

特に「山に登るのは俺がここにいるからだ」と豪語し、山に取り憑かれた鬼気迫る執念を見せる羽生を演じた阿部寛の存在感は強烈だったし、生への信念を見せる岡田准一も良かった。

エヴェレストのド迫力映像や登はんシーンも力の入れ具合がしっかり伝わってきたし、ヴィジュアルエフェクトも織り交ぜていたのだろうけど、邦画でここまでのスケール感を描けたのは素直に拍手。

ジョージ・マロリーのカメラをマクガフィンとするドラマの展開に角川映画特有のチープさはかなり残るものの、全体的に見応えのある作品になっていたとは思う。

ただ、登山好きじゃないと分からないような心理描写をスルーしちゃってて、素人にはえっ?と感じるところも多々あったのと、羽生の恋人(尾野真千子)の中途半端な扱いなど掘り下げが足りなかったのはマイナス。。

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アイガー北壁(2008年・ドイツ/オーストリア/スイス・127分)

 監督:フィリップ・シュテルツェル

 出演:ベンノ・フユルマン、ヨハンナ・ヴォカレク、フロリアン・ルーカス、ウルリッヒ・トゥクール、ジーモン・シュヴァルツ

 内容:ベルリンオリンピックを目前に控えた1936年夏。ナチス政府は、登頂不可能といわれたアイガー北壁を登頂したドイツ人に金メダルを与えると発表。アイガーの頂を目指し多くの登山家が集結する中、若きドイツ人登山家トニーとアンディもやって来る。麓の高級ホテルには、ワインを片手にマスコミや野次馬が陣取り、その中には2人の幼なじみで駆け出し記者のルイーゼの姿もあった。そして2人は登攀を開始するが・・・。

評価★★★/65点

栄光か悲劇しか記事にならないというセリフがあったけど、それはそのまま映画に当てはめることもできるだろう。

とはいえ、まさか悲劇で終わるとは思いもよらず、絶望的な展開にしばし呆気に取られてしまった。

見終わっても、なぜに初登頂の栄光ではなくこの悲劇を映画化したのかイマイチ分かりかねたけど、ちょっとノリきれなかったかなぁ・・。

リアルな山岳シーンを凡庸な人間ドラマが引っ張っちゃってるというか、盛り上がりに欠けるんだよね。特にヒロインの駆け出し新聞記者の扱いがおざなりで、変に女っ気を入れない方が良かったのではないかなとさえ思ってしまった。

あとは、うーん、登頂の様子をネット中継することで有名になった栗城史多のドキュメンタリーと見比べちゃってる部分が確実にあって。。彼の挑戦を追ったドキュメンタリーを何本か見てるけど、その臨場感たるや圧倒的で、言葉が出ないほどスゴイ。本映画の中でアタックを下界から眺めている記者が、真実のドラマは現場にしかなく我々はそれを永遠に知り得ないと言ってたのが印象的だったけど、それを見れて体感できてしまうのだから、ただただ息を飲むばかり。なので、それと比べちゃうと・・。

ヒロインの目の前でぶら下がったまま恋人が凍死してしまう凄絶さはたしかにスゴイのだけども、やっぱ弛緩してしまう下界の人間ドラマがはっきりいって邪魔なんだよね・・。

うーん、、ドイツ映画、肌に合わないかもw

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ミッドナイト・イーグル(2007年・松竹・131分)WOWOW

 監督:成島出

 出演:大沢たかお、竹内結子、玉木宏、吉田栄作、袴田吉彦、石黒賢、藤竜也

 内容:かつて戦場カメラマンとして世界を駆け巡っていた西崎は、戦場でのトラウマから一線を退き、今では山岳カメラマンとして星空を撮り続ける日々を送っていた。そんな彼はある日、山中で赤い閃光を目撃する。やがて、米軍の戦略爆撃機ミッドナイトイーグルが北アルプス上空で消息を絶ったとの極秘情報が入り、政府は自衛隊を現場へ向かわせる。一方、西崎も、後輩の新聞記者・落合とともに厳戒の現場へ向かうが・・・。

評価★★☆/50点

猛烈な吹雪が吹き荒れる真冬の北アルプスを舞台にした視界のきかない山岳アクション、東京で事件の真相を追う週刊誌記者の私怨の入り混じったサスペンス、米軍ステルス機が墜落したにもかかわらず、全く蚊帳の外の米軍を差し置いて指令を下しつづけるリアリティのない国家安全保障会議室。

この3つが並行して描かれるのだが、しかしてこの欠点ありまくりの3つが足を引っ張り合って全くもって弛緩しまくった映画になってしまっている。

ラストの快晴の北アルプスの空撮シーンを見せたかったのはミエミエだけど、そこに至るまでの過程がいろんな意味で視界ゼロじゃあ全く体を成さない。

邦画版クリフ・ハンガーの道はまだまだ遠い、、らしい。。

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バーティカル・リミット

Image2171 出演:クリス・オドネル、ビル・パクストン、ロビン・タニー、スコット・グレン

監督:マーティン・キャンベル

(2000年・アメリカ・124分)MOVIX仙台

評価★★★/65点

 

内容:世界最高峰のひとつ“K2”を目指すアタック隊が遭難。女性クライマー、アニーら3人が取り残されてしまう。そしてアニーの兄ピーターら6人のレスキュー隊が氷壁爆破用のニトロを背負って救出に向う。肺気腫の危険が迫り、残された時間は22時間。想像を絶する決死の救出作戦が始まった。

“見てるこっちまで息苦しくなってくる。。”

肺水腫になってるわけじゃないのになぜかこっちまで呼吸が息苦しくなってくる。

自爆と窒息の恐怖感、切迫感は並々ならぬものがあり、クレバスの密閉空間も心理的に良くないw

そういう息苦しさはよく出来てるのだけど、、うーんなんだろう、余計な要素が多すぎるんだよねぇ。神聖なK2もそりゃ吹き荒れるわな。

特に人間関係が変に入り乱れているというのは余計だと思う。一応山岳レスキューアクションという触れ込みなのは分かるけど、ボーンのような憎まれ役は必要なのだろうか。。

ホントに憎むべきは自然の偉大なまでの力であって、それに比べたら人間関係のしがらみなんて小っぽけなもんでしょ。そんな小っぽけな要素がこの映画では大々的に描かれ吹き荒れるわけで、なんかねぇ。。ボーンへの復讐を見事に完遂してしまうウィックのラストや、ボーンがトムを殺す場面だとかホント安っぽく見えてしまうわけ。

こんなん描いてるヒマあったらもっとアニーのキャラを掘り下げてもらいたかった。どうもアニーの気持ちとか掴めなかったし、ボーンに1人が死ぬか3人全員死ぬかと言われて苦しむトムに、結局薬を打たないアニーの行動。明らかにそれまでの彼女の言動からすると矛盾してるわけでしょあれって。なんかアニーってよく分からない女だったんだよね。。

だからこの映画はアニーとピーターに的を絞ってやってもらいたかったなと思う。

それができないというのは、はっきりいえば作り手に自信がなかったということでしょ。いろいろ飾りつけてそれらしく見せるというやり方はあまり好きじゃない。

しかもK2という荘厳さに何を飾り付ける必要があるのか、もう少しよく考えてもらいたい。

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ホワイトアウト(2000年・東宝・129分)日劇東宝

 監督:若松節朗

 出演:織田裕二、松嶋菜々子、佐藤浩市、石黒賢

 内容:辺り一面、雪に覆われた12月。日本最大の貯水量を誇る新潟県奥遠和ダムの作業員・富樫は、遭難者の救出の途中、猛烈な吹雪による“ホワイトアウト”に遭遇し、共に救出に向かっていた同僚を亡くしてしまう。それから2ヵ月後、富樫は、ダムの爆破をネタに政府に50億円の要求を突きつけるテロリストグループによるダムジャック事件に巻き込まれてしまう・・・。

評価★★☆/50点

“これってあれでしょ、吹雪はハリウッド並みだってことをやりたかったんでしょ?”

まぁ頑張ったとは思うんだけど、いかんせん雪と吹雪にアクションを含めた映画そのものがうまくカモフラージュされてるなというかんじが強いんだよね。。なんかまん丸太っている羊の毛を剃ったら、めちゃか細い羊だったみたいな。

アクションなんかあまりどうってことない出来だったし。

だからってインパクト出すために平田満や河原崎建三をあっけなく殺しちゃう使い方っていうのもなんだかなぁ。しまいには松嶋菜々子の足を容赦なく撃っちゃうてのもなんだかなぁ。あげくのはてに、その松嶋菜々子を酷寒の中に置き去りにして行っちゃう織田裕二もなんだかなぁ。

それより何より、ダムの放流で流された織田裕二の服が速攻で乾いちゃうのもなんだかなぁ。

粗を探せばキリがないけど、これだけは言いたい。

寒い中ホントご苦労さん(笑)。

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八甲田山(1977年・東宝・169分)DVD

 監督:森谷司郎

 出演:高倉健、北大路欣也、栗原小巻、三國連太郎、秋吉久美子、緒形拳

 内容:明治35年、日露戦争に備えた耐寒訓練と国威発揚のために、真冬の八甲田山越えに挑むことになった徳島大尉率いる少数精鋭の弘前第31連隊27名は、綿密な計画のもとに十和田湖を迂回して八甲田を踏破する11日間の日程で弘前を出発。一方、3日遅れで青森を発った神田大尉率いる青森第5連隊は、大隊長の指示により210名という大編成になったばかりか、案内人もいない状態だった。かくして自然を力でねじ伏せようとした神田隊は寒波の中で立ち往生してしまう・・・。

評価★★★☆/70点

“ラストでガックリ・・・”

結局、死の行軍を生き残った連中も日露戦争で全員戦死かよっ!

今まで3時間ぶっ通しで見続けてきたのはいったい何だったんだ・・・。ものスゴッ虚しくなったんですけど。。

2019年8月 3日 (土)

夢のシネマパラダイス530番シアター:原爆が残したもの・・・

母と暮せば

D0_hzneucaicqbd出演:吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、小林稔侍、橋爪功

監督・脚本:山田洋次

(2015年・松竹・130分)WOWOW

内容:長崎に原爆が投下された昭和20年8月9日、医大生の浩二は一瞬にしてこの世からいなくなった。夫を病気で、長男を南方戦線で亡くしている母親の伸子は、次男坊はどこかで生きていると思いながら助産婦の仕事をしながら一人で暮らしていた。浩二の婚約者だった町子はそんな伸子のことを気にかけ、足繁く訪ねてくれていた。そして3年目の8月9日、伸子の前にひょっこり浩二の幽霊が現われる。そして2人は思い出話に花を咲かせるのだった・・・。

評価★★★☆/70点

終戦から70年経ち、今や戦地に行った兵士たちは年齢的に考えてもほとんどいない世の中になってしまった。13歳の時に終戦を迎えたという山田洋次もすでに85歳。

銃後の世代でさえもはや危うい。自分が思っている以上にあの戦争は風化してしまっているのだと思う。そして高齢になっても精力的に映画を撮り続ける山田洋次にとって最近のきな臭い世の中の風潮もあいまって撮らずにはいられなかったのだろう。

昭和15年の東京を舞台にした「母べえ」(2007)で市井の人々のささやかな幸せを喰いつぶしていく不気味な戦時の空気を描いていたけど、今回は数多の生命を一瞬で消し去った原爆投下から3年後の長崎を舞台に、いまだ消えることなく日常に刻まれた傷跡を描き出した。

広島が舞台の「父と暮せば」と対になった作りになっていて、生き残った者の負い目というテーマは同じなのだけど、生き残った自分は幸せになってはいけないんだと自問自答する娘の痛々しさが心に刺さった「父と暮せば」と比べると、今回は母と息子というマザコンすれすれの親子愛とキリスト教の死生観が根本にあるために若干メッセージ性が甘めの方向に出てしまった感はあるかなとは思う。

けど、原爆を語り継ぐことをライフワークとしてきた吉永小百合の演技は心に響くものがあったし、菩薩のような彼女でさえも「どうしてあの娘だけが幸せになるの?」と呪詛の言葉を吐かざるを得ないところに、戦争・原爆のもたらした虚しさとおぞましさが胸をついた。

あとは何といってもたった2カットで表現した原爆投下直後の惨劇シーンだろう。

医科大の教室内がビカッと真っ白に光った後に万年筆のインク瓶がトロトロと溶けていき、ガラス片の粉塵が猛烈な爆風で吹きすさび真っ暗闇に覆われていく、、、そのあまりの衝撃に何も言葉が出てこなかった。

山田洋次渾身の一作になったといっていいだろう。

ただ、映像から色や温度は伝わってきても匂いまではあまり伝わってこなくて、戦争を知る最後の世代の山田洋次でさえも描き切れないところに風化の恐ろしさを感じてしまったことも付け加えておきたい。

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父と暮せば

Kura 出演:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信

監督・脚本:黒木和雄

(2004年・日本・99分)NHK-BS

評価★★★★/80点

 

内容:広島に原爆が投下されてから3年。図書館に勤める美津江は、愛する人たちを原爆で失い、自分だけが生き残ったことに負い目を感じながらひっそりと暮していた。そんな彼女はある日、図書館で大学助手の木下という青年と出会い、互いに惹かれあっていったが、「うちは幸せになってはいけんのじゃ」と恋心を押さえ込んでしまう。それを見かねた彼女の父・竹造は亡霊となって姿を現し、“恋の応援団長”として娘の心を開かせようとするのだが・・・。

“広島の原爆慰霊碑に記銘されている「安らかに眠って下さい。過ちは二度と繰り返しませんから。」という言葉を忘れずに受け継いでいくためには、とにかく語り継いでいくことしか道はない。”

戦争・被爆体験の記憶を風化させてはならないという声は、戦後70年が経ち、TVゲームばりのシミュレーション感覚で戦争がTV画面から流れてくることにどこか感覚が麻痺しかけている現在、特に声高に叫ばれていることだが、風化を防ぐためにはとにかく戦争体験者の悲惨な記憶を世代を越えて語り継いでいかなければならない。

風化させてはならないのならば語り継いでいかなければならない。~しなければならない、それは義務であり責任であり使命である。戦争を体験した者としての。

と、疑問のはさみ込む余地などないような当然なこととして自分なんかは考えてきたのだが、この映画を見てハッと気付かされたことがある。

それは、語り継ぐ者の苦悩とツラさだ。

思い出したくもない、他人に話したくもない悲惨な体験の記憶を吐露すること。そのエネルギーと勇気はそれを受け取る側からは計り知れないほどのものがあるのだろう。

原爆投下から3年後の広島で生きる美津江の苦悩、未来を断絶させてしまうほどの人間そのものを深くえぐる傷。

「あんときの広島では死ぬるんが自然で、生き残るんが不自然なことじゃったんじゃ。」という言葉にしばし絶句してしまう。

生き残った者としての苦しみを切々と表現した宮沢りえと、その何十倍もの苦しみを背負いながら美津江を大らかに包んでいく「恋の応援団長」原田芳雄の存在感にただただ脱帽するばかりだ。

次の世代に継いで行く、それにはもちろん受け取る次の世代の側にも義務と責任と使命が課されるわけだが、はたして語り継ぐ側とどれだけ価値観を共有できるのか、どれだけ彼らのつらく苦しい記憶を実体と重さのあるものとして受け止められるのかという問題も最近は出てきたように感じられる。

先の戦争では日本軍兵士の多くが実は餓死で亡くなっているというのは事実だが、この飽食の時代に、はたして飢餓を想像できるだろうか。以前TVで、あまりにも空腹で、炭をガリガリかじって食べたんです、という元兵士の話を聞いたが正直自分はわけが分からなかった。だって、炭って・・・。

また、例えば、ひめゆり部隊の沖縄戦に関する語り部の証言が「退屈で飽きてしまった」などということが高校の入試問題に平気で出てしまう、今はそんな時代になってしまったのだ。

風化は日々進んでいる。

とにかくもう時間がない。次の世代に継いでいかなければならない時間が・・・。

戦後70年経って、涙を流しながらやっとで重い口を開く方もいる。戦後70年経っても、いまだに戦争の悪夢にうなされる方々がいる。

自分の祖父はシベリア抑留を経験していたが、中学生の時に交通事故であっけなく逝ってしまった。

祖父には右手の親指がなかったが、戦争で銃弾を受けたせいだと言っていた。

結局、祖父からは戦争体験らしいものを聞くことなく別れてしまったのだが、今となっては少し心残りな気もする。

シベリア抑留、ほとんど分からないし知らない。

これは、問題だ。。

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黒い雨

Bnashzxau 出演:北村和夫、田中好子、市原悦子、小沢昭一、三木のり平、沢たまき

監督・脚本:今村昌平

(1989年・東映・123分)NHK-BS

評価★★★★★/90点

 

内容:1945年8月6日、高丸矢須子は瀬戸内海の小船の上で強烈な閃光を見た。その直後、空は見る見る暗くなり、矢須子は黒い雨を浴びてしまう。5年後、福山市に移り住んだ矢須子は、原爆症の疑いをかけられて縁談がなかなかまとまらず、彼女の面倒を見る叔父は気をもんでいた。やがて、矢須子は発病し、被爆の後遺症に悩まされる・・・。

“「正義の戦争より不正義の平和の方がマシ」という印象的なセリフがあったけど、昭和20年の日本より平成20年の日本の方がマシ、、、と今の後期高齢者の方々は本当に思えるんだろうか、、というのもなんだか怪しい世の中になってきちゃってるような気がしてならない。。”

自分にとってトラウマになっている映画というのは何本かあって、それは例えば「ターミネーター」だとか「オーメン」「バタリアン」など小学校低学年で見た映画が多いのだけど、その中で最強のトラウマ映画といえるのが、小1で見せられたアニメ版「はだしのゲン」。

ヤッター!アニメ見れるぜー!と意気込んで見に行ったが最後、劇場の座席が電気イスに感じられてしまうほどの苦痛を味わってしまったわけで。それはまさに永遠に続くかと思われるほどの醒めない悪夢だった・・・。

ただ小さい頃、親にこの手の反戦映画を網羅させられたのは今となっては良い経験になったと思うし、戦争という悲劇のトラウマを小学生くらいで植え付けるというのは教育上大変によろしいことだと思うので、親には感謝しております(笑)。。

んで「火垂るの墓」をはさんで「黒い雨」を見たのが小5くらいだったと思うんだけど、これがまたエライ思い出があって。

母親に連れられて自分と弟、妹の4人で見に行ったのだけど、劇場窓口でチケットを買って劇場に入っていったら、職員のオバちゃんが風船だとかキャラクターもののお面だとかの特典グッズをくれるわけ。

お、ラッキーと思いながら「黒い雨」が上映される2階に上がっていこうとしたっけ、そのオバちゃんが「東映アニメ祭りはそっちじゃなくて1階ですよ!」と教えてくれる(笑)。ようするにそのオバちゃんは自分らが東映アニメ祭りを見に来たんだろうと早合点してそのグッズをくれたのだ。そりゃそうだよなぁ妹なんてまだ幼稚園かそこらだったんだから、まっさか今村昌平のゲテモノ作品を見に来たなんて露ほども思わないだろうよ。

しかし母親が「いいえ、黒い雨を見に来たのでこっちでいいんです!」とキッパリ。ポカーンとしてるオバちゃんの顔が今でも忘れられない・・。

とともに田中好子のオッパイを見てしまったという記憶もしっかり残ってるんだけど(笑)。

いやぁ、、、自分が親になったら絶対に東映アニメ祭りの方を見せるよ、ウン。

ただ、ガキの時点でこの映画、半分分かって半分分からないような映画だったんだけど、胃の中を何かドス黒く熱いものがうごめき、這いずり回っているような息苦しさと圧迫感を終始感じたのはたしかだ。

電車の中で叔父さん(北村和夫)が被爆するシーンの衝撃、そして死屍累々の廃墟と化し、焼けただれた皮膚がズルリと剥け落ちてくるゾンビと化した人間たちが呻き声を上げながら方々をさまよう広島の街を、叔父さん、叔母さん(市原悦子)、矢須子(田中好子)の3人が必死で逃げ回る情景はあまりにも強烈で、川を流れてくる死体とか、道ばたに転がっている黒コゲになった死体だとか、おそらくこういう衝撃は自分の中の記憶としてずっと残っていくんだろうと思う。

つい先日、二次被爆の悲劇を描いた「夕凪の街、桜の国」の原作マンガを読んだときに、髪の毛が抜け落ちるシーンを見て、この「黒い雨」を見たときの圧迫感と同じものを感じて何とも言い表すことのできない重苦しさにとらわれてしまった。

遠い国で起きている戦争が、夕飯時のTVから流れてくるヴァーチャルなものとしか感じられない今の時代にあって、いかに戦争の悲惨さを子供たちに実感できるものとして伝えていくかというのは、戦後から3世代経った自分たちに課された大きな宿題なのかもしれない。

そういう意味では映画の果たす役割って大きいんだよなぁ。

人間、こういうことはすぐ忘れていっちゃう生き物だから・・・。

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夕凪の街 桜の国

Ph1_yugagi20comic 出演:田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、伊崎充則、藤村志保、堺正章

監督:佐々部清

(2007年・日本・118分)2007/08/07・盛岡フォーラム

評価★★★/65点

 

内容:原爆投下から13年後の広島。母(藤村志保)と2人で暮らす平野皆実(麻生久美子)は、会社の同僚・打越(吉沢悠)から告られるが、原爆で死んでいった多くの人々を前にして自分だけ幸せになっていいのだろうかとためらってしまう。やがて、そんな彼女を原爆症の恐怖が襲う・・・。所かわって現在の東京。定年退職した父・旭(堺正章)と暮らしている娘の七波(田中麗奈)。ある日、父の行動を不審に思った七波は、親友の東子(中越典子)と父の後をつけるが、乗り込んだバスがたどり着いたのは広島だった・・・。

“いい映画だったな止まり。根本的に何かが足りない。。”

佐々部清という監督は、一貫して理想的な人間関係のもとにある心優しき人間ドラマを描きつづけていて、その作風はどこまでも爽やかかつ良心的、なおかつ昭和の良き時代の家族観と温かさ、懐かしさを共有しているという点では山田洋次の系譜に連なる作り手さんだと思う。

しかし、今回はその持てる特徴がアダになってしまった感が強いのではないかと思う。

こうの史代の原作を素直なほど忠実に映像化しているのは認めるが、翻っていえば100P足らずの物語をトレースすることは誰にでもできることだ。

問題は、原作でこうの史代が描く温かく優しい街並みや笑顔の絶えない人々、その表面と上っ面だけをバカ正直にトレースしてしまったことであり、その裏にある決して癒されない悲しみ、決して終わることのない憎しみと怒り、決して消えることのない記憶、つまりは広島が「ヒロシマ」になってしまった原爆という毒がすっぽり抜け落ちているのだ。

たった1発の爆弾、たった一瞬の閃光が60年間3世代にわたり刻みつける負の遺産、その重みと痛みがこの映画からは伝わってきにくい・・・。

原作を読み終わったときの読後感は、かなり精神的にズシリとくるものがあり、なんて哀しいマンガなんだと思ったものだが、この映画を見終わると、いい映画だったな止まりで終わっちゃうんだよね。

そういう意味ではかなりガッカリしたかも。。。

マンガと映画、どっちを薦めるかといったら、100%マンガの方をすすめるな。

記憶が歴史というものを形づくるとするならば、この記憶を決して風化させてはならない、決して忘れてはならない。

今も続く物語・・・。

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ひろしま(1953年・日本・104分)WOWOW

 監督:関川秀雄

 出演:岡田英次、原保美、加藤嘉、山田五十鈴、月丘夢路

 内容:昭和28年夏の広島。高校教師北川が受け持つクラスで、授業中に女子生徒が鼻血を出して倒れた。それは原爆の放射能による白血病が原因で、このクラスでは生徒の3分の1が被爆者だった。8年前のあの日、彼らが見たもの体験したこととは・・・。8万人を超す広島市民がエキストラとして参加し、原爆投下直後の広島を再現。ベルリン国際映画祭で長編劇映画賞を受賞。しかし、大手配給元がGHQに忖度して反米的な描写シーンのカットを製作側に要求するも折り合わず、一般公開が中止になったことで、長らく日の目をみることがなかった幻の作品。

評価★★★★☆/85点

原爆を扱った映画というと真っ先に思い浮かぶのが今村昌平監督の「黒い雨」とアニメ映画「はだしのゲン」で、小学生時分に見たこともあってトラウマともいうべき強烈な映画体験として記憶に刻まれている。

あれから約30年、最近ではヒロシマ・ナガサキの映画をとんと見なくなってしまったのだけど、まさか60年以上前に製作され、一般公開されることなくお蔵入りになっていた原爆の映画があったとは驚きだったし、なにより今回初めて見て、その凄絶すぎる映像に衝撃を受けた。

特に原爆投下直後の広島の惨状を映し出した30分以上のシーンは今まで見た原爆映画の中で最も生々しく直視に堪えないものだった。

3ヘクタールのオープンセットを作り80棟に及ぶ家屋や電車を燃やし、黒焦げに焼き尽くされガレキに埋まる街の様子を映像化したそうで、使われたガレキは原爆で生じた実物だったそうだ。

しかし、なによりこの地獄絵図が真に迫り心に突き刺さるのは、阿鼻叫喚の修羅場を彷徨する群衆を演じているのが一般市民のエキストラで、その中には実際の被爆者も多くいたということで、原爆の恐ろしさや被爆の苦しみ、その一人一人の思いや声が画面から圧倒されんばかりに伝わってくることにある。

しかもこれが原爆投下からたった8年後に地元で作られたというのが凄いところで、それこそ戦争と天災の違いはあれど東日本大震災での惨状をここまで克明に描けるかと考えると、今回の映画のもの凄さはある意味常軌を逸しているとまで言えると思う。

しかし、それが政治的圧力で未公開になってしまったというのは本当に悲劇としか言いようがないけど、記憶をつなぎ語り継ぐという意味で全ての日本人そして世界中の人々に目をそらすことなく見てもらいたい映画だ。そういう普遍性を持ったかけがえのない作品だと思う。

P.S. 宮島のおみやげ屋さんでピカドン土産として原爆で亡くなった人々の頭蓋骨(一応セリフではレプリカに決まってるだろうと言っていたが・・)が売られていたり、その後のシーンで戦災孤児が掘り出した本物の頭蓋骨を米兵に売ろうとするシーンがあったけど、これって実話だそう・・。

他にも墨汁のような黒い雨や、被爆直後の灼熱地獄から逃れるために飛び込んだ川で女学生たちが「君が代」を歌うところなど本当に脳裏に焼き付くようなシーンの連続する映画だった。

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鏡の女たち(2002年・日本・129分)NHK-BS

 監督・脚本:吉田喜重

 出演:岡田茉莉子、田中好子、一色紗英、山本未來、室田日出男

 内容:東京郊外に住む川瀬愛(岡田茉莉子)。以前は亡き夫と娘・美和の3人で暮らしていたが、美和は娘の夏来を産むと、母子手帳だけを持って失踪した。それから24年後、その母子手帳を持った女性が見つかるが、その女性は尾上正子と名乗る記憶喪失者(田中好子)だった。実の娘か確信を持てない愛は、アメリカに住む夏来(一色紗英)を呼び寄せる。やがて、正子の記憶の断片は、3人を愛が美和を産んだ地、広島へと向かわせる・・・。

評価★★☆/50点

割れた鏡、抑揚のない語り口、泳がない視線、微動だにしないカメラ・・・。

様々なメタファーが込められているとは思いつつ、まるで能でも見せられているかのような様式美に彩られたつくりは、はっきりいって不気味以外の何ものでもない。

能面の下に覆い隠された、一瞬の閃光で焼きつくされたヒロシマの亡霊。

かがみ合わせのように表裏一体となったあの世とこの世、その死の世界に向かって開かれた窓である鏡が割れているというのは、両者の間に決定的な欠落があるということだろうか。

すなわち、生者は死者について語ることはできない、ヒロシマの真実を語ることはできないのだと。それをアイデンティティを喪失した女性たちを通して描き出そうとしたのかもしれない。

しかし、逆説的にいうならば、この映画には決定的にヒロシマというものが欠落しているともいえ、個人的には理解に苦しむ難しい映画だったというのが正直なところ・・・。

でも、語りつくせないからこそ、我々は絶えず原爆について語り継ぎ語りつくそうと努力しなければならないのかもしれない。

忘却の彼方に決して置き忘れてはならないために・・・。

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TOMORROW 明日(1988年・日本・105分)NHK-BS

 監督・脚本:黒木和雄

 出演:桃井かおり、南果歩、仙道敦子、黒田アーサー、佐野史郎、原田芳雄

 内容:昭和20年8月8日の長崎。結婚式が執り行われていたある家では、肺病で兵役を免除された花婿と看護婦の花嫁を、両家の家族が祝福していた。花嫁の姉は臨月のお腹を抱え、花婿の友人は戦場で捕虜を見殺しにしたことを悔やみ、花嫁の妹は召集令状を手にうろたえる恋人を慰める。やがて姉が産気づき、難産の末、明け方に小さな命が誕生した。そして8月9日・・・。

評価★★★☆/70点

「どうやって子供はできるの?」という少年の問いかけに対し、「こうやってできるんだよ」というのを丹念に綴った夏の一日、、、1945年8月8日。

少年は性に目覚め、乙女は恋に恋焦がれ、花嫁は花婿と結婚式をあげ、女は男と結ばれ、子供を出産し、女は母になり男は父になる。

「アメリ」(2001)で、アメリが「今この瞬間に愛を交わし合い絶頂を迎えているカップルはどのくらいいるんだろう・・」と想像するシーンがあるけど、そうやって日々生命は紡がれ、次の世代につながっていく。

そうやって家族というものはできていくのだ。

「どうやって子供はできるの?」「こうやってできるんだよ」

その日常が、一瞬で霧のごとく消されてしまうラストの衝撃はあまりにも重い。

連綿とつながれてきた彼らの生の営みがブツリと断絶されてしまうことが最初から予定調和として分かっている映画、、、それをはたして映画と呼んでいいのだろうか。

いや、そんな映画があっていいはずがない。こんな恐ろしい映画があっていいはずがない。

彼らに明日が来ないことをはじめから知っている映画なんて・・・。

と同時に核兵器の恐ろしさをこれほど如実に描き出した映画もないこともまたたしかなのだ。

閃光が走る直前に映し出される路地裏で遊ぶ子供たちの楽しそうな姿が目に焼きついて離れない。

2017年9月 3日 (日)

夢のシネマパラダイス107番シアター:グランド・イリュージョン

グランド・イリュージョン

137147623826513231593出演:ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ウディ・ハレルソン、メラニー・ロラン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン

監督:ルイ・ルテリエ

(2013年・仏/米・116分)WOWOW

 

内容:ラスベガスのマジックショーで、“フォー・ホースメン”を名乗る4人組のスーパー・イリュージョニスト・チームが、一瞬にして遠く離れたパリの銀行から320万ユーロを奪って客席にばら撒くというド派手なイリュージョンを披露する。その直後、FBIとインターポールは強盗容疑で取り調べるが、証拠不十分のまま釈放となる。そこで捜査チームは、マジックの種明かしで大金を稼いでいる元マジシャンのサディアスに協力を要請するが・・・。

評価★★★/60点

分かりやすい邦題の付け方といい、オープニングのカードマジックといい、つかみは完璧だったのだけど、前のめりになって見れたのは冒頭の銀行襲撃マジックまでだけで、中盤以降は尻すぼみ。それこそ「ユージュアル・サスぺクツ」みたいなアッと驚くどんでん返しや仕掛けを見たかったんだけど、そこまでは及ばなかったなぁ。。

そもそも映画それ自体の醍醐味に映像マジックを駆使したイリュージョン的要素があるのだから、ストーリーの面でもっと伏線を効果的に使ったトリックを見せてもらいたかった。

まぁ普通にクライムサスペンスとして見れば楽しめるのだけど、マジックを扱った映画としての爽快感はほとんど得られなかったかんじ・・・。

マジックのネタばらしをいちいち懇切丁寧に示さない方が興味が持続してよかった気もするけど、それは反則かw

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グランド・イリュージョン 見破られたトリック(2016年・アメリカ・129分)WOWOW 

 監督:ジョン・M・チュウ

 出演:ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ウディ・ハレルソン、ダニエル・ラドクリフ、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン

 内容:前回のミッションから1年後のニューヨーク。大手IT企業オクタ社が発売する携帯電話に個人情報を抜き取る仕組みが施されている不正を暴露するために、“フォー・ホースメン”が再集結することに。ところが、新たなショーを仕掛けたホースメンの作戦はすでに何者かに見破られていて、彼らは逃亡を余儀なくされてしまう。しかも会場から逃走用トラックに繋がるはずの脱出用シューターに飛び込んで出た先は中国のマカオだった・・・。

評価★★☆/50点

豪華キャストでキャラ立ちも良くてトントン拍子に話も進んで、、なのになんで眠くなっちゃうんだろう。。

あっ、困った時の催眠術ネタが多すぎるせいだ。しかも強力ww

うーん、ミッションインポッシブル感と誰も殺さない作劇は魅力的なはずなんだけど、1作目にあったハッタリをかます大風呂敷感がなくてイマイチ乗り切れないんだよね。

マジックもCG映像が強すぎて面白くないし、裏の裏をかいていくオチのつけ方も後付け感が強くて表面的だし。まぁ、結局頭の固いオッサンはアナログなカードマジックが1番心躍ったってことなんだけど、、それじゃダメじゃん。

各要素だけみれば面白くならないはずはないのに、飽きずに見れるってだけではあまりにも勿体ないので評価厳しめ。。

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プレステージ

P0001690 出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、デヴィッド・ボウイ

監督:クリストファー・ノーラン

(2006年・アメリカ・130分)DVD

評価★★★★/75点

 

内容:19世紀末のロンドン。マジシャンとして華麗かつ洗練されたパフォーマンスを見せる“グレート・ダントン”ことロバート・アンジャーと、天才的なトリックメイカー、“ザ・プロフェッサー”ことアルフレッド・ボーデン。良きライバル関係にあった2人は、アンジャーの妻が脱出マジックに失敗して命を落とした事件をきっかけに、激しい確執の渦に取りつかれていく・・・。

“Mr.マリックの超魔術を見ていたら、途中からマギー司郎のマジックに変わってしまったトンでも作w!しかもオチはSFかよっ。”

本来マジックでは「タネも仕掛けもございません」とアピールするのが普通だけど、この映画はマギー司郎が開口一番「ここに手品用のハンカチがあります」とタネをあえて強調して進行するのと同様の展開に急旋回していく。

まぁ、そういう点では、映画の中で何度も強調された1.PLEDGE(プレッジ・確認)、2.TURN(ターン・回転)、3.PRESTIGE(プレステージ・偉業)という3つのステップはしっかり踏襲しているとはいえるんだけど。

ただそのタネが“双子”と“クローン人間製造機”って、、人を小バカにするのもいい加減にせえやっ(笑)!とも言いたくもなるわなぁ。。

ただ、素人でもタネが予想できるような伏線をこれでもかと強調して繰り出してくる中で、いや、でも待てよ、そんな人を喰ったようなオチであるはずがないという疑念も湧いてきたりしてw、実はもっと凄いオチが待ち受けてるのかと、なにげに緊張感ありまくりで見れてしまったし。

まぁ結局はそのまんまのオチだったわけだけど、監督が「メメント」(2000)のクリストファー・ノーランということもあって、人を小バカにしたようなダマシのテクニックに対する耐性があったのと、人間としての倫理を超越するまでにエスカレートしていくアンジャー(ヒュー・。ジャックマン)とボーデン(クリスチャン・ベール)の意地の張り合い合戦、そしてそれを演じた2人の印象的な演技に引き込まれ、予想通りのラストにもかえって爽快感を満喫できてしまった。

まぁ、マジックそのもののタネはフザケてるけど、映画としてはまぁまぁよく出来た作品だったんじゃないかな。

ただ、他人に薦められるかというと、かなり勇気がいるかもww

自分は、胸の内にとどめておくだけにしときます・・・。

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姑獲烏の夏

Ubumenonatsu 出演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、宮迫博之、原田知世、田中麗奈

監督:実相寺昭雄

(2005年・日本・123分)2005/07/09・九段会館

内容:昭和27年夏、東京の鬼子母神。巷では産婦人科、久遠寺医院にまつわる不気味な噂が広まっていた。それは、院長の娘が20ヶ月間も身ごもったままで、彼女の夫も1年半前から失踪したというもの。この事件を取材することになった小説家の関口は、憑き物落としの顔を持つ古書店主・京極堂こと中禅寺秋彦に相談をもちかける。やがて、事件は私立探偵・榎木津やその幼なじみの刑事・木場らをも巻き込んでいき・・・。

評価★☆/30点

上田ァ、お前一体何やってるんだ、エッ?榎木津?

お前、憑き物スジに、、バカ!上田っ、戻って来い。

え?貧乳だからもうイヤだって?そういうお前は巨根だろうが・・。

うぅ、、オイラの脳が勝手に作り出したバーチャルな世界で山田奈緒子が暴れ回っている。。

1人2役で墓穴を掘っている原田知世を見て、「トリック」の仲間由紀恵が恋しくてたまらなくなってしまったのですた・・・。

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魍魎の匣(2007年・日本・133分)WOWOW

 監督・脚本:原田眞人

 出演:堤真一、阿部寛、椎名桔平、宮迫博之、田中麗奈、黒木瞳

 内容:1952年東京。少女バラバラ連続殺人事件が世間を騒がせる中、探偵・榎木津は、元映画女優の柚木陽子から失踪した娘の捜索を依頼される。一方、作家の関口と若手記者・中禅寺敦子は、不幸をハコに封じ込めるという宗教教団を追っていた。さらに、刑事・木場は巨大なハコ型の医学研究所の謎に迫っていて・・・。やがて難解な3つの事件は、敦子の兄である京極堂のもとへと持ち込まれることになる。

評価★★☆/45点

原作を読んだことがない自分にとってはチンプンカンプンで、あげくの果てには大友克洋の「スチームボーイ」になっちゃうSFチックな展開にもはやついて行くことができず・・・。

江戸川乱歩のような、なまめかしくも生々しいエログロのアブナイ世界がお目見えするかと思いきや、ただグロイだけだったし。

一筋縄ではいかないキャラクターの人物造型や、戦後間もない東京の舞台装置など、細部にいたるこだわりはみっしり詰まっている映画ではあるのだけども。。個人的にはどうもダメだった。

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TRICK トリック劇場版(2002年・東宝・119分)品川プリンス

 監督:堤幸彦

 出演:仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、野際陽子、伊武雅刀、竹中直人、ベンガル、石橋蓮司

 内容:自称売れっ子天才奇術師・奈緒子は、300年に一度、大きな災いが襲うといわれている糸節村の村人から、不安を取り除くため神を演じてほしいとの依頼を受ける。彼女が村を訪れてみると、そこには3人の自称神さまがいた。そして不可思議な現象も次々と起こり、奈緒子と物理学者・上田は翻弄されていく・・・。

評価★★★/60点

どおきマ うによツ かづくチ んかとし がちえて えひいい てろがな ものがい。くわっぱ!

映画に出てきた暗号文で感想を書いてみますた。。ヒマなヤツ・・

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TRICK トリック劇場版2

Mo4096_f1 出演:仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、野際陽子、片平なぎさ、堀北真希、平岡祐太

監督:堤幸彦

(2006年・東宝・111分)盛岡東宝

内容:関東沖合に浮かぶ小さな島、筐神島。山の頂上には巨大な岩がチョコンと乗っている。それはこの島を支配する霊能力者・筐神佐和子がたった一人で一晩のうちに持ち上げたものだという。そんなある日、上田のもとに青沼という青年がやって来て、10年前に佐和子に連れ去られた幼なじみの美沙子を連れ戻してほしいと依頼する。上田はいつものように奈緒子を巻き込み、2人はゴムボートで島へと乗り込むのだったが・・・。

評価★★★/60点

終始ニヤニヤしながら見てしまったが、見終わって出た連れの最初の言葉は、「こんなんTVでやれ!」だった・・。たしかに。

そもそもTVドラマよりもかえってスケールダウンしていかねないものをわざわざ金払って見に行くというのは、TVシリーズから熱心に見続けてきたコアな視聴者か、堀北真希ファンクラブの会員くらいなもので、そういうコアなファンに送られた小ネタ満載のファン感謝祭。それが今回の作品だと思うんだよね。

「幸福の黄色いハンカチ」(1977)からONE PIECEに至るまで小ネタとノリツッコミだけでストーリーを展開させているんだから恐れ入る。

ミステリー?んなもんどうでもええのよ(笑)。飾りつけ程度で。おいおい。。

でもまさかジャック・マイヨールまで出してくるとは思わなかったけど。

片平なぎさの白手袋ネタはベタとしても、完全にこれは自己満足を満たすためだけの映画です。恐れ入りますた。

2017年5月29日 (月)

夢のシネマパラダイス43番シアター:未知との遭遇

メッセージ

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出演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナ―、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ、マーク・オブライエン

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

(2016年・アメリカ・116分)TOHOシネマズ日本橋

内容:ある日、地球の12カ所に楕円形の宇宙船が出現する。友好か侵略なのかその目的も分からない中、言語学者ルイーズに宇宙船とのコンタクトを試みるアメリカ政府から協力要請がくる。そして同じく要請を受けた物理学者のイアンとともに異星人との対話に挑むが・・・。 

山の稜線から這うように落ちてくる分厚い滝雲の眼下に広がる草原に鎮座する楕円形の黒い巨大物体。その奇妙な風景を覆うように流れる神秘的な音楽が荘厳さを際立たせて印象的。

この引きの絵づらだけでグイッと引き込まれてしまったけど、話自体もお隣の国とすらロクに意思疎通できないのに、異星人とコミュニケーションなんてできるのか!?という根本問題に的を絞っているのが新機軸で面白い。

アボット&コステロとのコンタクトの過程を丁寧に追う筆致も好印象だったし、言語が異なれば思考もそれによって異なっていくという面白い考え方をさらに推し進めたまさかのドンデン返しも今まで見たことのないようなオチで深い余韻を残してくれた。

でもこれって2回目見たらオープニングですでに主人公自らの独白で豪快にネタバレ宣言してるんだよね。常識に縛られてる地球人は気付かないよなぁ。。

何もしない異星人と疑心暗鬼になり殺伐としていく人類という構図も新鮮だったけど、カギを握るのはやっぱ中国なのねw

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第9地区

T02200310_0355050010445128158 出演:シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッド

監督:ニール・ブロンカンプ

(2009年・アメリカ・111分)WOWOW

内容:南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に正体不明の巨大宇宙船が現われ、そのまま居座ってしまう。が、その中に乗っていたのは栄養失調の弱ったエイリアンだった。それから28年後、難民として受入れられた彼らだったが、居住区“第9地区”はいまやスラムと化し、地域住民の不満は爆発寸前。そこで政府は、エイリアンたちを新たな難民キャンプへ強制移住させることを決定。現場責任者にエイリアン対策課のヴィカスが任命される・・・。

評価★★★★/75点

焦らして焦らして姿を見せないことで恐怖をあおってきた存在、あるいは獰猛で食欲旺盛だったはずの存在、そして人間を圧倒的に支配凌駕するはずの存在として描かれてきたエイリアン。

より知的で高尚なエイリアンも描かれてきたことはあれど、このエビ型wのエイリアンはこの常識から逸脱することはほぼなかったはずだ。

しかして今回の映画は、栄養失調で気力もなく、人間に保護・隔離されて20年間難民キャンプに居続けるエイリアンという非常識な設定をぶっ込んできた。

これは端的にいえば虚構“非日常”を現実“日常”に反転させる発想の転換といえ、この設定だけで映画の面白さの8割方できているといってもいいと思うのだけど、現実を現実として認識させる描写力がしっかりベースとして確立しているからこそこの転換も生きたのだと思う。

手持ちカメラや防犯カメラを用いたドキュメンタリータッチの手法は最も大きな要素だと思うけど、例えばヨハネスブルグ上空に20年間鎮座しつづける巨大宇宙船が遠景の中に完全になじんでいる絵ヅラなんかはホレボレするほどで、映像面ではその役割を十分果たしているといっていい。

そしてその中でエビより醜悪な人間の姿が暴き出されていくわけだけど、舞台が南アフリカというストロングポイントをほぼ放置状態にしてB級テイストのオゲレツ話が繰り広げられるサジ加減も個人的には説教臭くなくてよかった。

大風呂敷広げようと思えばいくらでも広げられただろうに、つーか自分が作り手だったらエビを解放するべく現れた救世主ヴィカス参上!とばかりに、それこそアバターばりの人間vsエビの構図で描いちゃいそうだけどww

しかし、このヴィカスという男、正真正銘の小物なんだわ・・(笑)。

その点ではややこじんまりとしている感はあるのだけども、設定をはじめとしたディテールの作り込みはそれを補ってあまりあり、見る価値は十分ある。

個人的にはヴィカスが乗り込むモビルスーツが頭にこびりついて離れないくらいカッコ良くて、あれはマジにキタね

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未知との遭遇

Mp139 出演:リチャード・ドレイファス、フランソワ・トリュフォー

監督・脚本:スティーブン・スピルバーグ

(1977年・アメリカ・137分)NHK-BS

評価★★★★/80点

 

内容:インディアナポリス一帯に原因不明の停電事故が発生し、電気技師のロイはすぐに調査に向かった。その途中、小高い丘の上を通過していくUFOを目撃した彼は、その日から何かに憑かれたように山の形の模型を作り始めるのだった。

“これぞという悪役も黒幕も不在で映画をもたせる力量の凄さ。政府や国家権力の介在さえも強調しないという薄味仕立て。そこにあるのは、未知なるものへの不安と期待、見る者の想像力、そして人類としての我々人間一人一人である。”

だってX-ファイルだったら抹殺されまくり間違いなしでっせ。

トリュフォーから「君は子供が喜ぶ映画を作りつづけていくべきだ。」という教えを受けたスピルバーグ。今もってその姿勢は変わっていない。

そういうスピルバーグがやはり大好きなのです。

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地球が静止する日(2008年・アメリカ・106分)WOWOW

 監督:スコット・デリクソン

 出演:キアヌ・リーヴス、ジェニファー・コネリー、ジェイデン・スミス、キャシー・ベイツ

 内容:ある日、謎の巨大な球体が地球に飛来。宇宙生物学者のヘレン(ジェニファー・コネリー)をはじめあらゆる分野の専門家が集められ、対策チームが組織される。そして、政府の厳戒態勢が敷かれる中、NYセントラルパークに降り立った球体からクラトゥと名乗る男(キアヌ・リーヴス)と、銀色の巨大ロボットが出てきて・・・。1951年に製作されたSF映画の古典「地球の静止する日」のリメイク。

評価★★☆/50点

1928年のカラコルム山脈の雪山から始まるプロローグからジェニファー・コネリーが政府の情報機関に強制的に連れ出され、異様な未確認飛行“球体”がセントラルパークに着地するまでの序盤はサクサクと進んでいき、一見すると非常にとっつきやすいのだけども、作劇としては非常に甘くて浅いといわざるを得ない。

例えば、この映画に通底している母性愛(クラトゥが胎盤に包まれていたり、それこそ母なる星・地球といったテーマetc.)というところからしても、ヘレンと義理の息子ジェイコブのぎくしゃくとした関係性は最初からもっと強調して描いてもよかったはず。

なんてったってこの2人が本物の親子関係になっていくのを見てクラトゥは人類絶滅という最後の審判を覆すわけだから。

とするならば、やはりこの映画の描写力・演出力というのは決定的に弱いんだよね。

マックで人類絶滅を決めるくだりで、70年前に地球にやって来た中国人のジイさんが、人間は破壊的な種族だが、と同時に人間には別の面もあり、自分は人間として生きてきて良かったとのたまうのだけど、怪訝そうな顔で聞いていたクラトゥがそれを実感していく過程を全てヘレンとジェイコブに集積させるのもまたスゴイ話でww、、だったらそれならそれでもっとちゃんと描写してもらわないと。。

ジェニファー・コネリーは配役としてはドンピシャだっただけに・・・。

また、巨大ロボット、ゴートの造型なんかを見ても全体的にロバート・ワイズ監督のオリジナル作や50年代SF映画の素地や空気感を尊重して描き出そうとしている節は感じられるのだけど、CG技術を駆使した現代的な素地とイマイチ融合しきれていないというか、上っ面だけをなぞったような中途半端さだけが目についてしまったかんじ。

そしてその中途半端さがサスペンス演出をも軽くしてしまっていて、無表情のキアヌ以上に見てるこっちが無表情にならざるを得ず、面白くもなんとも・・。

現代においてこういう映画を作るなら、それこそティム・バートンの「マーズ・アタック!」(1996)のようにメッセージ性などクソくらえのB級おバカ映画として作るとか、あるいはシャマランの「ハプニング」(2008)みたいにそれなりの見せ方や演出力をつけてから作ってもらいたいもんだわさ。

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アビス

D110582652 出演:エド・ハリス、メアリー・エリザベス・マストラントニオ、マイケル・ビーン

監督・脚本:ジェームズ・キャメロン

(1989年・アメリカ・171分/完全版)NHK-BS

評価★★★★/80点

 

内容:アメリカの原子力潜水艦が計器故障で制御不能となり、海溝に沈んだ。現場近くには海底油田採掘用の海底住居があり、主任のバッドら9人のクルーは救出に向かう。海軍のダイバーチームを率いるコフィ大尉と、海底住居の設計者リンジーも到着し、調査が開始されたが、潜水艦の乗組員は全員死亡していた・・・。最先端のテクノロジーと多くの才能が結集され、崇高で幻想的なシーンを見事に完成させた深海版「未知との遭遇」。

“宇宙であれ深海であれ殺人マシーンが送られてくる世界であれ、人間を究極の世界にセットすればそこで試されるのは「人間力」にほかならない。常にそういう舞台を題材にとり「人間力」を追求しつづけてきたキャメロンがやはり好きなのだと再確認した。”

この映画で1番撮りたかったのは海底で蠢くケーブルであり、1番描きたかったのは深海よりも深く強い人間力ではないかと思うのだが、観客の求めるニーズと監督の撮りたい描きたいこだわりにちょっとズレがあるなと思ったのはたしかだ。

下手すると観客置いてきぼりで監督の自己満足の世界にただ没入していくだけの作品になるすれすれのところをいってる感触があったのだが、逆に個人的にはそれがツボにハマッたかんじ。

スケールでかそうでいて、実はスケールの小ちゃい息もつまりそうな密閉空間、、未確認物体との接触を描くようでいて、実は愛の絆の強さをじっくり描いたキャメロンの愛すべき小品といったかんじで好きなんだよねぇ。

当時の最新技術を駆使した映像は、CG映画の礎を築いた「プレデター」の直系の作品といってもいいと思うけど、すでにこの「アビス」で最新技術をしっかり人間ドラマとバランス良くかみ合わせているというのはやはりキャメロンのバランス感覚と非凡な才のなせる技だと思ったり。

CGや特撮を駆使する金かけた大作を作ることにかけては右に出る者がいないキャメロン、しかし人間力を追求しつづけるという点においても右に出る者はいないのではなかろうか。そこが自分を魅きつけてやまないのかもしれない。

、、って「私を溺れさせて仮死状態にして後で蘇生させて」なんて、そんな究極の選択考えたくもないけどもw

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ミッション・トゥ・マーズ(2000年・アメリカ・114分)WOWOW

 監督:ブライアン・デ・パルマ

 出演:ゲイリー・シニーズ、ティム・ロビンス、ドン・チードル、コニー・ニールセン

 内容:2020年、人類は火星の有人着陸に成功する。しかし、探査隊からの送信は途絶え、第2ミッション・チームが救援に向かう。たどり着いた救援隊が、火星で見たものとは・・・。

評価★★★/60点

サスペンスの巨匠が挑んだSF大作!ということで見てみたら、、完全な畑違いでしたっていうお話(笑)。。

なんだろ、バタフライの金メダリストが背泳ぎに挑戦して、スタートと同時にバサロ泳法で潜行したものの、いつまでたっても浮上してこず、あれっいつまで潜ってるんだ?と思いきや、ただ単に底に沈んでたみたいなww

いや、例えば火星が地球の生命の起源というのは、自分もそういうの想像したりするの好きなんだけど、それをキューブリックとスピルバーグを足して4で割ったくらいの凡庸さで描かれちゃたまらんわっていう。。

デパルマの名を伏せてこの映画見せても誰も監督がデパルマだとは答えられないくらいSFというフレームワークの中にデパルマ節が埋没しちゃってて、単なる想像力の欠如した中途半端な作品にしか見えないのがイタイ。

しかもテーマが愛と友情というド直球なものであったがゆえ余計に際立っちゃったかんじ・・。

デパルマさん、自分のお星(フィールド)にお帰りなさいww

2017年3月15日 (水)

夢のシネマパラダイス131番シアター:さあ!妖怪退治にお出かけよっ!

ゴーストバスターズ

Img_1074出演:メリッサ・マッカーシー、クリステン・ウィグ、ケイト・マッキノン、レスリー・ジョーンズ、クリス・ヘムズワース

監督:ポール・フェイグ

(2016年・アメリカ・116分)WOWOW

内容:名門コロンビア大学の物理学者エリンは、学生時代に書いた心霊現象に関する本が問題視され大学を追われるハメに。かつての親友で共同著者の科学者アビーがWEB販売をしてネットに出回ったことが原因だったことから、エリンは久しぶりにアビーのもとを訪れるが、アビーはエンジニアのジリアンを助手に今でも心霊研究を続けていた。そんな中、3人はついに本物の幽霊と遭遇、それがきっかけで地下鉄職員のパティを合わせた4人で幽霊退治専門の“ゴーストバスターズ”を結成するが・・・。

評価★★★/65点

オリジナル作から30年。アメリカのお化けは陽気なギャグになるということを定着させたユルユルな悪ふざけが幅を利かせる80年代テイストを、子供だましのVFX(当時は最先端だったがw)に至るまでご丁寧に再現してみせたのは、もろ世代の自分にとってはノスタルジーが喚起されて微笑ましく見られる。

けど、結局1時間経たずに飽きが来るんだよね。主要キャラを女性に衣替えしたのは買いだけど、30年ぶりにリブートするならもう少しオリジナリティを出してほしかったかなと。

唯一、クリス・ヘムズワースのボケっぷりだけはツボにはまったw

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どろろ

Dororo 出演:妻夫木聡、柴咲コウ、瑛太、杉本哲太、土屋アンナ、中村嘉葎雄、原田芳雄、原田美枝子、中井貴一

監督:塩田明彦

(2007年・東宝・138分)2007/02/05・盛岡フォーラム

評価★★★/60点

 

内容:戦国の世。天下統一の野望を抱く武将・醍醐景光(中井貴一)は、生まれてきた我が子の体48箇所を48体の魔物に差し出し、代わりに強大な力を手に入れる。そのまま捨てられた赤子は医師・寿海(原田芳雄)に拾われ、医秘術によって仮の体を与えられて育てられる。それから20年後、成長した百鬼丸(妻夫木聡)は、魔物を倒すごとに失われた部位を一つずつ取り戻せることを知り、魔物退治の旅に出る。やがて、女ながら男装して乱世を生き抜くコソ泥のどろろ(柴咲コウ)は百鬼丸のたずさえる妖刀を手に入れたくて彼の後について行くことに・・・。手塚治虫の同名漫画の映画化。

“この手の映画には言い古されているフレーズかもしれないが、あえて言う。安っぽい!”

140分という長尺を後半ヨレヨレグダグダになりながらもなんとかまとめきったという点では、最後まで飽きずに見られる作品ではあるのだが、後半あれよあれよという間に尻すぼみになっていくチープさはいかんともしがたく、CG・VFXのちゃちさも含めて心に残る映画にはならなかったというかんじ。

うーん、、なんだろ、失われた身体を取り戻すという“自分探しの旅”というテーマにおいては、監督塩田明彦の得意とするジャンルなのだろうけど、それが後半、ギリシャ悲劇はたまたシェイクスピアにつながるような“親殺し”へと変容していく中で一気にトーンダウンしてしまっているんだよね。

しかも、そういう重いドラマの中で、思わず笑っちゃいそうな着ぐるみ妖怪とか、ラストの中井貴一の変身を出してくるというのが、またなんとも脱力しちゃうというか・・・。

まぁ、手塚マンガに出てくる妖怪とか魑魅魍魎ってたしかにユニークで見るからにマンガチックな造型なんだけど、実写化するにあたって明度を落とした巧い絵作り(ろうそくの揺らめく灯とか)でせっかく作り出した魅力的な世界観の中では、どう考えても合わないと思う。20億もかけてるんだったら、もうちょっと頭の方も使ってもらいたかったな。

後半の展開から、ふと黒澤明の「蜘蛛巣城」(1957)を連想してしまったけど、「蜘蛛巣城」てシェイクスピアの『マクベス』を下敷きにしているんだよね。

傑作「蜘蛛巣城」と比べるのもかわいそうだけど、でもCGに依存なんてしなくてもスゲェ映画は作れるんだってこと。

ま、アクションを前面に出した冒険活劇エンタと考えれば、それなりの映画になっているとはいえるのだが。

あ、あとこれは言っておかなければ。柴咲コウ最高っス

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妖怪大戦争

20060214_94083 出演:神木隆之介、宮迫博之、南果歩、成海璃子、菅原文太、忌野清志郎、竹中直人、岡村隆史、栗山千明、豊川悦司

監督:三池崇史

(2005年・松竹・124分)WOWOW

評価★★☆/45点

 

内容:妖怪をこよなく愛する人気作家陣、水木しげる・荒俣宏・京極夏彦・宮部みゆきの4氏がチーム「怪」を結成し、’68年の「妖怪大戦争」をもとに原案を作成、鬼才・三池崇史が映画化した冒険ファンタジー。一人の泣き虫少年が、ひょんなことから日本各地の120万の妖怪たちと力を合わせ、人類滅亡をもくろむ謎の魔人に立ち向かう。

“ぶっちゃけキャラクターの品評会それだけでよかった。異種格闘技戦とか、そんな簡単なのでよかったというか期待していたのだが、なぜに帝都物語?焼酎にブラックコーヒー入れても意味ないやろ”

この映画がまだ公開されてない頃に、あるテレビ番組で東京国際映画祭のフィルムマーケットの様子を追った映像を見たことがあるのだが、その時に取り上げられていたのがこの映画だった。

セールス担当者が海外の映画会社のバイヤーに売り込みをかけてたのだけど、海外のバイヤーからは「妖怪って何?日本人にとってポピュラーなものなの?それって怖いの?」などの質問が飛んでいて、で結局キャラクターをいかに浸透させるかよく工夫しないと分かりづらいし難しいけど、一応は好感触といったかんじだった。

が、いやいや待ってくれ。栗山千明の妖怪アギはキル・ビルからそっくりそのまま出てきたゴーゴー夕張ではないか。水木しげるのあの顔もどう説明するんだ。

いや、それはまだいいとしよう。

1番問題なのは、魔人加藤だよ。まるで象徴天皇のごとく祭り上げられただけの存在、、売り込みようがないだろ、これw海外ではちょっと通用しないんじゃないかなぁ・・。

なんだろ、変に難しくしないでぶっちゃけキャラクターの品評会でもいいんだよね。こういうタイプの映画はさ。せっかく独創的で面白いキャスト当ててるんだから。見ててなんだかもったいない気分になったわな。

1+1が0.7くらいになっちゃってる気まずさともったいなさに終始ついて行けなかったし、ややあきれ返っちゃったというか、逆に疲れちゃった。。

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ゲゲゲの鬼太郎(2007年・松竹・103分)DVD

 監督:本木克英

 出演:ウエンツ瑛士、井上真央、田中麗奈、大泉洋、間寛平、小雪、室井滋、西田敏行

 内容:鬼太郎のもとに、人間界の小学生・健太が助けを求めてきた。彼が住む団地で裏山の稲荷神社の解体工事が始まってからというもの、妖怪たちが出現するというのだ。一方、同じ頃、ねずみ男が狐一族の至宝“妖怪石”を質屋に売ってしまい、それが回りまわって健太と姉の実花の手に渡ってしまう・・・。水木しげるの国民的妖怪マンガの実写映画化。

評価★★★/60点

田中麗奈のミニスカコスチュームの太股の奥に見え隠れするモジャ毛ばかりが気になって気になって仕方なかった・・・。

えっ?パンツだったんですか(笑)。そ、そんな・・。ってお前は一体何を見とるんじゃ!

いや、でもマジメな話、鬼太郎はウエンツじゃなくて、えなりかずきやろ。ってそこかよ!

いや、もっとマジメな話、漫画やアニメから一気にあか抜けてしまった映画のつくりにやや違和感・・。あと、砂かけババアと子泣きジジイの必殺技がなくて不満。

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花田少年史 幽霊と秘密のトンネル(2006年・松竹・123分)WOWOW

 監督:水田伸生

 出演:須賀健太、篠原涼子、西村雅彦、北村一輝、安藤希、杉本哲太

 内容:小さな港町に暮らす9歳の悪ガキ、花田一路。ある日、彼は自転車で行った町で噂の幽霊トンネルでトラックと衝突する大事故に遭う。奇跡的に九死に一生を得た一路だったが、それ以来彼には幽霊たちの姿が見えて話せるという不思議な能力が備わってしまい・・・。

評価★★☆/50点

家族向けの心温まる人情話と思って見たら手痛いシッペ返しをくらうシロモノ。

なんてったって大団円の決めゼリフが「地獄に落ちさらえーー!」だからね。引くちゅうねん(笑)。幽霊とはいえ少なくともカワイイ娘が父親に言う言葉じゃないだろ。

もうはっきりいって中盤の運動会のところで映画を締めてもらった方が個人的には良かったよ。それくらい後半はヒドイ、というかジャンルが明らかに前後半で衣替えしちゃってる。

花田家の夕食中に幽霊の女子高生・聖子が怨霊・沢井に向かってフォークや茶碗を投げて挙句のはてにテレビを爆発させるというポルターガイスト現象はまだ笑って許せるとしても、宙に浮いた聖子vs沢井のカメハメ波対決はいくらなんでもやりすぎ。

って原作マンガ読んだことないから分からないけど、原作もこうなの??

2016年10月23日 (日)

夢のシネマパラダイス177番シアター:お伽の国からやってキターーッ!!

トゥモローランド

Poster2出演:ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン、ヒュー・ローリー、ラフィ・キャシディ、トーマス・ロビンソン

監督:ブラッド・バード

(2015年・アメリカ・130分)WOWOW

内容:1964年。自分の発明したランドセル型飛行機械をNY万博の発明コンテストに出そうと会場を訪れた少年フランクは、そこでアテナという不思議な少女と出会い、小さなピンバッジを渡される。すると彼女の後をついて入ったパビリオン“イッツ・ア・スモール・ワールド”の中で突如ピンバッジが発動。未知なる未来都市トゥモローランドへと導かれていった・・・。そして現代のフロリダ。17歳の女子高生ケイシー・ニュートンは、ある日、自分の荷物の中に見知らぬピンバッジを見つける・・・。

評価★★★/60点

ディズニーランドのイッツ・ア・スモール・ワールドとパラレルワールドがつながっている夢発想は悪くなかったけど、全体的に話がややこしくて、ん?ん?と立ち止まることしきりで腹八分目にもう少しで届かなかったかんじ・・。

設定として自分の中でトゥモローランド=ネバーランドに置き換えて見ちゃってたんだけど、そうすると1964年の少年時代に空を飛べるジェットパックを携えてトゥモローランドを訪れたものの後に追放され現実世界に送り返されたフランクは「フック」におけるピーターパンで、アンドロイドの少女アテナはティンカーベルだろう。

つまり「フック」に当てはめていえば、アテナに誘なわれたフランクがトゥモローランドに帰還し、宿敵フック船長=ニックス総督と対決するというストーリーラインが思い浮かぶ。

のだけども、今回の映画は、ここに第3の人物ケイシーが現れるのがミソで、荒廃したトゥモローランドを在りし日の姿に取り戻すためにフランクが闘うのかと思いきや、1番ヤバいのは実は現実世界の方で58日後に滅んでしまう、その救世主となるのがケイシーで、破滅の遠因はトゥモローランドにあるという捻りの利いた展開になっている。

しかし、この捻りに不親切なほど説明が乏しいので、捻りがただのもつれにしかなってなくて映画に求心力を感じないんだよね。

自分が見たかったものと映画のベクトルが最後までズレたままだったかんじ・・。

まぁ、ピンバッジどこかに落ちてないかなぁとは思ったけどw

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エバー・アフター

51zdttwnkkl__sl160_ 出演:ドリュー・バリモア、アンジェリカ・ヒューストン、ダグレイ・スコット、ジャンヌ・モロー

監督・脚本:アンディ・テナント

(1998年・アメリカ・121分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:おとぎ話「シンデレラ」をモチーフにしたラブストーリー。16世紀のフランスを舞台に、継母と姉にいじめられる少女ダニエルが、自らの力で運命を切り開き王子と結ばれるまでを描く。

“劇的ビフォー・アフター!?”

シンデレラの真実の物語と銘打っている中で、中世16世紀フランスという時代にうまく当てはめて作られており、レオナルド・ダヴィンチが絡んでくるところなどファンタジーものとは一線を画した物語になっていてなかなか面白い作品になっていたと思う。

政略結婚でフランスへ連れてこられたスペイン王女が婚礼式でボロ泣きするシーンなんてホントにあったんじゃなかろうかと思うし、情けなさすぎるヘンリー王子みたいな王もごまんといただろう。

、、、てそれじゃダメなんだぞヘンリー(笑)!なぜダニエル(ドリュー)がホレてしまうのか、あんなヘナチョコに・・・。

まぁ、それだけダニエルが強かったということだと思うけど、1発KOしてしまうような腕っぷしの強い土まみれ泥まみれのオテンバ姫も逆にドリューが映えていてヨロシイ。

「マスク・オブ・ゾロ」のキャサリン・ゼタ・ジョーンズあたりだと強面で強すぎるからあれだけど、ドリューだとちょうど良いあんばいだし、パッツンパッツンしててイイんだよね(笑)。

継母アンジェリカ・ヒューストンも「101」のグレン・クローズみたいなディズニーお決まりパターンの悪女かと思ったら、やや人間味が付け加えられていて、なんかタイムボカンシリーズに出てきそうな憎めなさがあって良かった。

けど、ダニエルの親父って、あの継母が毒を盛って殺したのかと思ってたけど、ちゃうんか??

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チキ・チキ・バン・バン(1968年・イギリス・143分)NHK-BS

 監督・脚本:ケン・ヒューズ

 出演:ディック・ヴァン・ダイク、サリー・アン・ホーズ

 内容:夢想家で発明家のポッツが、「チキ・チキ・バン・バン」と名付けたポンコツ車で子供たちと冒険の旅に出る!007シリーズの原作者イアン・フレミングの童話をもとにした冒険ミュージカル。

評価★★★/65点

何度聞いてもチリ・チリ・バン・バンとしか聞こえてこないんだけど、チリ・チリの方が正しいということを後で知ってひと安心。

肝心の映画はというと、山あり海あり空あり谷あり草原あり城ありと見所も満載で、合成シーンも嫌気にならないで巧い見せ方で演出していて好感がもてる。

特に俯瞰シーンは白眉で、ミュージカルシーンや星空の下で海上を飛行しているシーンなどは強く印象に残る。

しかし、如何せんこの内容では2時間半はちと長い。。

ミュージカル映画でありながら冒険映画ともいえるけど、逆にいえば中途半端そのもので、時おり出てくる魅力的な映像で2時間半もっているといったかんじだった。

話の筋が映像に追いついていればもっと見入っていたはずで、その点が惜しいかな。。

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フック(1991年・アメリカ・141分)NHK-BS

 監督:スティーブン・スピルバーグ

 出演:ロビン・ウィリアムス、ダスティン・ホフマン、ジュリア・ロバーツ、グィネス・パルトロウ

 内容:自分がピーターパンだったことを忘れてしまった、さえない中年男ピーターが、子供たちを救うためフック船長の待つネバーランドへ旅立つ!

評価★★★☆/70点

最初に見たのは劇場だったけど、心躍る冒険譚を期待して劇場に入ったはずが、まるで親子関係修復セミナーに強制参加させられたような違和感を抱いたのを子供ながらに覚えていたんだけど。

でも、先日久方ぶりにテレビで見たら、年食ったせいか純粋に楽しめちゃった(笑)。グロさがもうちょっと加味されてればもっと良かったけど。

ピーターみたいに子供の心を忘れてしまったからこそ、こうやって見れる作品なのかもしれないな・・。

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ショコラ(2000年・アメリカ・121分)DVD

 監督:ラッセ・ハルストレム

 出演:ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、アルフレッド・モリーナ、レナ・オリン

 内容:冬のある日、伝統が深く根付くフランスの村に、謎めいた女性が娘を連れて越してきた。彼女がオープンさせた、見たこともないような美味しそうなチョコレートであふれたお店が、保守的な村の人々に変化をもたらしていく。。

評価★★★☆/70点

チョコレートのCMも2時間ぶっ続けで見るとさすがにダレるな。

お味の方も、今までに味わったことのないような絶品なのかと思いきや、そんな取り立てていうような味でもないし・・・。

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グリンチ(2000年・アメリカ・105分)WOWOW

 監督:ロン・ハワード

 出演:ジム・キャリー、テイラー・モムセン、クリスティン・バランスキー、モリー・シャノン

 内容:全身が緑色の毛で覆われた嫌われ者のグリンチは、美しいフーヴィルの町を見下ろすクランペット山に住んでいた。フーヴィルの町では、楽しいクリスマスの準備で大わらわ。しかし、グリンチはクリスマスが大っ嫌い!そこで彼はフーヴィルのクリスマスをメッタクタにしようと作戦を練る。。アメリカ人なら誰でも知っているという児童文学の映画化。

評価★★★/55点

ウォレスとグルミットのようにクレイアニメで見たかった気がする。

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リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い(2003年・アメリカ・110分)MOVIX仙台

 監督:スティーブン・ノリントン

 出演:ショーン・コネリー、スチュワート・タウンゼント、ペータ・ウィルソン、シェーン・ウエスト

 内容:1899年、謎の集団が近代兵器で欧州各地を襲撃し戦争の危機に。冒険家アラン・クォーターメインは、ネモ船長、透明人間、吸血鬼、不死身の男ドリアン・グレイ、ジキル博士、トム・ソーヤーらと超人同盟を結成、謎の集団に立ち向かう・・・。人気小説の主人公たちが一同に会するコミックを映画化。

評価★★/40点

B級からA級に昇格するためにA級養成ギプスを無理やり付けさせられたノリントン。

しかし結果はA級に戦犯が付いてしまうという本末転倒なものに終わってしまった。

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レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(2004年・アメリカ・109分)WOWOW

 監督:ブラッド・シルバーリング

 出演:ジム・キャリー、メリル・ストリープ、エミリー・ブラウニング、リーアム・エイケン

 内容:発明好きの長女・ヴァイオレット、読書家の弟・クラウス、末っ子のサニー。両親を亡くしたボードレール家の3人の子供たちは、遠縁のオラフ伯爵に引き取られる。しかし、実は遺産目当てだったオラフ伯爵は、子供たちに執拗な嫌がらせを繰り返していく・・・。世界的ベストセラーの児童書の映画化。

評価★★★/55点

小公女のごとく徹底的に不幸なトーンに落としていくわけでもなく、ホーム・アローンのごとく痛快さを前面に押し出すわけでもなしに、世にも不幸せなというわりには、ちょっと中途半端な印象。

徹底的なオーバーアクションと七変化でボードレール3姉弟をいじめ抜くジム・キャリーにもはっきりいって凄みが感じられない。

冷徹な狂気よりも軽いノリのコメディぷりの方が勝ったかんじで、そこらへんのバランスがもうちょっと取れていればシニカルでブラックな世界観がもっと際立ってよかったと思うんだけどなぁ・・。

夢のシネマパラダイス316番シアター:なぜ兄弟は映画にならなくて姉妹は映画になるのか

海街diary

News_20150528出演:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平、樹木希林、リリー・フランキー、風吹ジュン、堤真一、大竹しのぶ

監督・脚本:是枝裕和

(2015年・東宝・128分)WOWOW

内容:父は不倫のため15年前に、母もその2年後に再婚し家を出ている中、しっかり者の長女・幸、やんちゃな次女・佳乃、マイペースな三女・千佳の香田三姉妹は、鎌倉の実家で暮らしている。そんなある日、父の訃報が届き、3人は葬儀の行われる山形へ。そこで中学生になっている腹違いの妹すずと出会う。父の再々婚相手の家のため、血のつながった身寄りがいなくなり肩身の狭い思いをしているすずの姿に、幸は鎌倉で一緒に暮らさないかと提案する。こうしてすずが香田一家に加わり、四姉妹の暮らしが始まる。

評価★★★★/80点

好きな漫画は何かと訊かれたら真っ先に「海街diary」を挙げるほど原作漫画が好きな自分は、この漫画に関しては一風変わった読み方をしている。

それは家から職場まで車で片道50分かかるのだけど、通勤途中の信号待ちの時にサッと手に取る読み方だ(笑)。かなり邪な読み方かもしれないけど、一巻読むのに大体2~3週間はかかってしまう。

じゃあ、なんでこういう読み方をするかというと、端的に言えば一気読みしたくないというのがあって、要は4姉妹の日常を流れるゆったりとした時の流れを共有したいからだ。

その点で今回の映画は、原作の持つ世界観を的確に、そしてイメージ通りに映像化してくれたと思う。

鎌倉の街の情景や4姉妹が暮らす日本家屋など実写ならではの奥行きが彼女たちのキャラクターや物語に説得力をもたらしていたし、なにより4姉妹がイイ♪

サチ姉の綾瀬はるかと千佳ちゃんの夏帆は見る前は若干イメージと違うかなと思ってたけど、フタを開けてみたらしっくり役にハマっていて確かな女優力を垣間見れたかんじ。

あと完璧だったのが佳乃の長澤まさみ。自由奔放かつ大ざっぱでルーズでありながら冠婚葬祭や職場などオフィシャルな場ではきっちりしているという女の使い分けが上手い佳乃のイメージ通りだったと思う。法事が終わった後に大の字になってビール飲みてぇー!ってわめく所はドンピシャだったw

また、四女のすずに関しても言うことなし。なにより広瀬すずのサッカーのプレイ姿がめちゃくちゃ様になっていてビックリした。原作のすずはサッカー推薦で高校に行けるくらいの実力の持ち主なので、あのサッカーシーンだけでこの映画への信頼度はMAXになったといってもいいくらい。

2時間だけで終わらせるにはあまりにももったいない4姉妹のアンサンブルと世界観を堪能できたけど、どうせだったら連続ドラマで見たいね。

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イン・ハー・シューズ

20061231085807 出演:キャメロン・ディアス、トニ・コレット、シャーリー・マクレーン、マーク・フォイアスタイン

監督:カーティス・ハンソン

(2005年・アメリカ・131分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:まわりが羨むスタイルと美貌を持ちながらも難読症というハンディキャップがコンプレックスとなり、定職にも就かない奔放なマギー。一方、姉のローズは、弁護士として成功しているものの、自分の容姿に自信が持てず、恋愛にも慎重。そんなある日、ローズの家に居候していたマギーは、ローズの恋人に手を出してしまったことから家を追い出されてしまう。行く当てのないマギーは、仕方なくまだ会ったことのない祖母エラのもとを訪ねるのだが・・・。

“これが私の生きる道!”

むやみやたらとご立派な靴を買い集めては開かずのクローゼットに新品のまま所狭しと並べている姉ローズ(トニ・コレット)と、姉のお気に入りの靴だろうがお構いなしにむやみやたらと靴を履き替えては折れたヒールをチューインガムでくっつけてしまうようなトンでもな妹マギー(キャメロン・ディアス)。

仕事はバリバリだけど堅物で恋に不器用な姉と、プーだけどルックス抜群で姉のお気に入りのボーイフレンドだろうが所かまわずガンガンヤリまくるイケイケ女の妹。

靴のサイズが同じこと以外は全く好対照な姉妹の2人のキャラクターが非常によく描かれているのがこの映画のミソで、時には嫉妬し、時にはケンカし、時には信頼し、時には自慢し合い、時には抱き合い、時には涙し、、、そんな姉妹のキッてもキレない関係が丹念に描き出されていくとともに、2人の“これが私の生きる道”を見つけていく道のりが心地良く綴られていく。

そして家族の再生と、人間的に成長し歩き出していく2人の姿に心が暖められ、思わず笑顔で2人の背中を見送ってあげたくなる良作に仕上がっている。

特にキャメロン・ディアスは最近の作品の中では1番良かった。

ゴージャスなモデルボディーのみが売りだったような「マスク」から10年。大金持ちのお姫様でルックス以外能がないような、それでいて映画史に残る大音痴を披露して場をさらった「ベスト・フレンズ・ウェディング」から早8年。

しかし、そんなゴージャスかつフレッシュで元気溌剌な若さが売りだったキャメロンも他の勝負できる“これが私の生きる道”を見出さなければならない世代にさしかかった。

ローズがマギーに言い放つ「中年のアバズレは惨めなだけよ!」というキャメロン自身にはね返ってくるような生々しくて強烈なセリフが耳に残ったが、「マスク」から「チャーリーズ・エンジェル」までフルスロットルで走り続けてきた彼女が10年ひと区切りで次なるステージへとかけ上がっていくスタート・ラインに立ったということなのかな。

欠点なり弱点をキュートでプラスな側面に自然に変えられる持って生まれた稀有な才能を持っているキャメロン・ディアスは例えば一見お下劣な映画でも笑って許せてしまうような独特で能天気な雰囲気と味わいを添えることができる。

「メリーに首ったけ」では○液ヘアジェルを髪になすりつけ、今回の映画でもレストランでデカイ声で「ヴァギナ」を連発だからね。志村けんのバカ殿と共演させたいよホンマ(笑)。

硬軟バランスよく使い分けることのできる女優になっていってもらいたいけどね。

あ、トニ・コレットもホント良かった。あ゛っ、それ以上にシャーリー・マクレーンもね。

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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

20071004_451107 出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、山本浩司、永作博美、永瀬正敏

監督・脚本:吉田大八

(2007年・日本・112分)CS

内容:石川県の片田舎。両親の訃報を受け、東京から戻ってきた和合家の長女、澄伽。4年前に女優を目指して上京したものの泣かず飛ばずの澄伽は、義兄の宍道に援助の強要を迫るわ、妹の清深をいじめ抜くわのやりたい放題。宍道の妻で度を越したお人好しの待子はその複雑な家族関係に右往左往するばかりだったが・・・。

評価★★★☆/70点

“和合”という日本人の本質を言い表しているような名字を持つ和合家の人々の救いのない醜態を面白おかしく見つめた物語は、最後まで飽きずに見れたのはたしか。

ただ、ラストに「やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。」と妹・清深(佐津川愛美)が姉・澄伽(佐藤江梨子)に鉄槌を食らわせるわけだけど、この1番印象的なセリフに十分な説得力を持たせるまでの描写がなされていたかというと、ちょっとビミョーで・・。

だって1番面白いネタになるのは待子(永作博美)>清深>宍道(永瀬正敏)>澄伽やんけ。

澄伽の人物造型を漫画的にもっと大胆にデフォルメしてアクの強さを前面に出してもよかったのかなとは思ったな。

そういう点では、永作博美にかなり助けられた作品だったと思う。

そばつゆがコンタクトレンズと角膜の間に入って失明しかけるというプロットなど細かいところまで随所に笑えるシーンはほとんどが待子がらみだったし、それを演じた永作博美の笑顔ふりまきながらの怪演ぶりは、清深が描くホラー漫画以上に怖いものがあった。

ニコニコしながら変な人形作ったり、宍道と合体しようと青アザ作りながら格闘したり、扇風機を念力で回そうとしたり、ホラーとユーモアの絶妙な同居を体現した演技力は女優としてホンモノなんだと確信。もっと前に気付けよw

駄作と異色作の狭間で奮闘した永作博美に乾杯です!!

でも、話は変わるけど、100万金を貸すのにスタンプカード80回ぶんって、、、1回1万2500円やろ。安すぎだろww。せいぜい1回3万で計算しいや。そこが気になって気になってしょうがなかった・・

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何がジェーンに起こったか?

Nanigajaneniokottaka_aus 出演:ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード、ビクター・ブルーノ、アンナ・リー

監督:ロバート・アルドリッチ

(1962年・アメリカ・132分)DVD

評価★★★★/80点

内容:名声を失ったのは姉のせいだと思いこんだ往年の子役スターが復讐を企てるスリラー。6歳の時から舞台に立っていたジェーンが子役としての人気を失いかけていた頃、姉のブランチは映画スターとして人気者になっていた。しかしそんなある日、ブランチは自動車事故で下半身不随となり映画界から退く。数十年後、姉と2人で暮らすジェーンは、酒に溺れ異常な行動をとるようになっていた・・・。

“嫉妬と憎しみから解放されるカタルシスが一転して悲しみに変わったとき、、、しばし絶句し呆然とする以外にない。”

見終わって思い返してみるとちょっとした違和感は冒頭で感じてたんだよなぁ・・・。

妹が表舞台で盛大なスポットライトを浴びてる中、姉のブランチは舞台袖でくやしそうな顔をしている。

母親から、「あなたもいつかスターになれる。もしスターになったらお父さんや妹の面倒をみるのよ。忘れないでね。」と言われたブランチの返しが、「ええ、忘れないわ。絶っっ対に。。。」と言ったときの表情と言葉つきに並々ならぬものを感じたのだけど。でも、まさかなぁ、そんなことって、、ありなのかよ。。

ヒッチコックの古典「レベッカ」と見比べてみても面白いかもね。

見えない強烈な存在感と、見える見える見えすぎてケバイ強烈な存在感と。レベッカに対抗しうるのはあの姿形のベティ・デイヴィスということなのか・・・。

いやはや凄すぎます。。

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とらばいゆ(2001年・日本・118分)NHK-BS

 監督・脚本:大谷健太郎

 出演:瀬戸朝香、塚本晋也、市川実日子、村上淳、鈴木一真、大杉漣

 内容:姉妹そろって女流棋士という姉・麻美(瀬戸朝香)と妹・里奈(市川実日子)。麻美は大企業に勤めるサラリーマンの一哉(塚本晋也)と結婚したが、途端にスランプに陥ってしまい、結婚早々ケンカばかり。一方、恋多き里奈は、弘樹(村上淳)という売れないミュージシャンの彼氏がいたが、里奈の浮気がバレて険悪な状態に。そして恋愛と勝負師という仕事の両立に悩む姉妹の関係もこじれてしまい・・・。

評価★★★★/75点

“将棋の指し方にはその人の性格が出るというけど、そういう意味でいえば自分は簡単に分かる。詰めが甘い!押しが弱い!人生においても、、恋愛においても、、ガクッ。”

と、半うつ状態になったところでこの映画の感想を。

まず、いじっぱりで強情で素直じゃない麻美のような女性ははっきりいって好みじゃない。

だって、良かれと思って買ってきた妻の大好物であるニコニコ亭の酢豚弁当を、「こんなのいらない!」と投げ捨てるねんでアータ。オイラだったら速攻ブチ切れるわ。

なのにこの肩身のせまそうな夫といったらキレるわけでもなく、「やめて下さい。。」の一点張り。温厚で優しくニコニコニコニコ。。自分にはできない(笑)。妹・里奈の恋人と合わせて、なんつう男は弱いんだと男どもに喝を入れたい気分にもなったのだが。

しかし、決して自分の弱みを見せない麻美が夫の前で涙を見せたとき、夫婦関係の真実が露わになるさまに思わず愕然。

夫・一哉の包容力と優しさが妻を支えていたという真実。

恋愛は“刺激”と“熱情”、結婚は“忍耐”と“寛容”とはよく聞くが、恋愛経験すら乏しい自分にとって夫婦関係の深淵を理解するには、その思考回路はスイッチの切り替え方を知るすべもないほどに単純すぎるのかもしれないな・・。

でも、それをテンポ良いコメディタッチに落とし込んだ日常の会話劇として垣間見ることができたのは、ただ見るぶんには面白おかしかったけど。

しかし実際、あんな都合のいい男なんていったいぜんたい居るのかね??

里奈の恋人・弘樹のような大らかさにさえかなり妥協しないと迫れない自分には、おとぎ話のような世界かも。。

ただひとつ、取るに足らないことからケンカになっていく様子は妙にリアルで、そこだけは120%自分と重ね合わせることができて、思わず笑わずにはおられなかった。

女がオトコ化し、男がオンナ化している今の時代、社会の矢面に立たされている女性とうまく付き合っていくには、男には癒しの能力が求められ必要とされているのかもしれない。

オイラには・・・・

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ハンナとその姉妹(1986年・アメリカ・106分)NHK-BS

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ウディ・アレン、マイケル・ケイン、ミア・ファロー、ダイアン・ウィースト

 内容:女優として成功して夫エリオットとの家庭生活も円満なハンナ、ハンナの妹で売れない女優のホリー、年の離れた画家と同棲している末妹のリー。NYで暮らす三姉妹の人間模様を描いた人間ドラマ。

評価★★★★/75点

“ダイアン・ウィースト、、細いっ!”

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若草物語(1994年・アメリカ・118分)NHK-BS

 監督:ジリアン・アームストロング

 出演:ウィノナ・ライダー、スーザン・サランドン、サマンサ・マシス、クリスチャン・ベール

 内容:『若草物語』4度目の映画化。

評価★★/40点

このての映画がいまいち好きになれないのは、コスチュームものが好みではない他に、見てるだけでウザったい女性陣の髪形にも一因があることがこれ観て判明した(笑)。

ついでに言えば、大林宣彦の映画が性に合わない自分には、この映画、、なんか同じ匂いがした。。

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