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2021年1月23日 (土)

夢のシネマパラダイス122番シアター:統計では1番安全だけど、気持ち的に1番不安な飛行機という乗り物

ハドソン川の奇跡

E3838fe38389e382bde383b3e5b79de381aee5a5出演:トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー、アンナ・ガン、オータム・リーサー

監督:クリント・イーストウッド

(2016年・アメリカ・96分)WOWOW

内容:2009年1月ニューヨーク。155人を乗せた旅客機が、離陸直後にバードストライクに遭いエンジン故障に見舞われてしまう。しかし、チェズレイ・“サリー”・サレンバーガー機長の見事な判断と操縦によりハドソン川へ不時着水し、全員生還する。この偉業は“ハドソン川の奇跡”と讃えられ、サリーは副操縦士のジェフとともに英雄として称賛される。ところがその後、事故調査委員会が、サリーの決断に疑義を呈して追及を始める・・・。

評価★★★★/75点

当初はなぜイーストウッドが、まだ記憶に新しいこんな美談を題材にしたのか腑に落ちなかったんだけど、映画を見たら納得。

役者として単純な勧善懲悪ものではないアンチヒーローを演じ続け、監督としてヒーローの虚像に葛藤し苦しむ者を描き続けてきたイーストウッドのフィルモグラフィーを思い起こせば、今回の映画もその範疇にすんなり入ることが分かる。

40年以上パイロットを続けてきたプロフェッショナルとして仕事の流儀を貫き、当然のこととしてするべき事をした機長が、自分の意図しないところでヒーローに祭り上げられていく一方、経験値より法とマニュアルを重視する官僚組織と対峙させられるというのは、なるほどまさにイーストウッド印の映画だ。

ヒーローから一転してペテン師呼ばわりするマスコミの手のひら返しにさらされ精神をすり減らしていく中でも毅然さを失わず立ち向かっていく機長の姿は、アメリカの良心を体現してきたトム・ハンクスの白髪姿と合わせて非常に印象的だった。

まぁ、事故調査委員会も真相究明という点で正しいことをしているわけで、どちらもやるべきことをやったってことではあるんだよね。

さらに、そこにNYの人々の温かさも加わって、着地点としては文句のつけようがないし、なによりこれを90分弱に収めてしまうイーストウッドの熟練技にも感服!

星条旗の裏に潜む醜悪さの入り込む余地のないアメリカの良心がストレートに伝わってくる清々しい小品。

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フライト

Poster出演:デンゼル・ワシントン、ドン・チードル、ケリー・ライリー、ジョン・グッドマン、ブルース・グリーンウッド、メリッサ・レオ

監督:ロバート・ゼメキス

(2012年・アメリカ・138分)WOWOW

 

内容:乗員102名を乗せたフロリダ州オーランド発アトランタ行きの国内線旅客機が突如制御を失って急降下し、墜落の危機に陥る。しかし、ベテラン機長ウィトカーの操縦術により野原に不時着し、犠牲者は6人出たものの多くの命を救うことに成功。マスコミはじめ誰もがウィトカーを称賛し、一夜にしてヒーローとなるが、彼の血中から高濃度のアルコールが検出されたことで事態は一変。事が明るみに出れば重過失で終身刑の可能性もある中、ウィトカーは弁護士のラングとともに事実の隠蔽に動き出す・・・。

評価★★★/60点

アル中であることを頑なに拒否りつづけた男がそれをようやく認めるってだけのお話ww

ほぼデンゼルの独演会ともいえる映画だけど、アル中克服ものの前段階なので話自体が地味目だし、家族の支えとかも皆無なので話が広がっていかないのね・・。

また、ヤク中気味の女性との関わり合いも焦点がぼやけてしまってイマイチだったし、現実から逃げ回るだけの主人公をさんざん描いておきながらラストで改心してめでたしというのも腑に落ちないし、全体的に中途半端な印象をもった。

自分がこの映画に期待していたことって何だろうと思った時、真っ先にアル中男のグダグダ話は別に見たくないってことに行きついてしまった時点で自分の趣向とはちょっと合わない映画だったということなんだろうけど。

まぁ、あと自分が下戸なので酒飲みの話が性に合わないってのも大きいけど・・

ただ、デンゼルはよくやっていると思う。どんなに卑しい俗人を演じても高潔な善心を常に身にまとっている彼の稀有なパーソナリティは、単純すぎる映画を一筋縄ではいかないものにまで押し上げている。良くも悪くもデンゼルに頼りきりな映画だったといえるだろう。

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ハッピーフライト

20081117_458070 出演:田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、吹石一恵、田畑智子、寺島しのぶ、笹野高史、小日向文世、柄本明、岸辺一徳

監督・脚本:矢口史靖

(2008年・東宝・103分)CS

内容:全日空ホノルル行き1980便。機長昇格を目指す鈴木副操縦士(田辺誠一)は、厳格な原田機長(時任三郎)のもと、この機での最終テストに臨もうとしていた。一方、同じ便にはこれが国際線デビューとなる新人CAの斉藤(綾瀬はるか)の姿も。そして、グランドスタッフ、整備士、管制官らに見送られ、台風が接近しつつある羽田空港を無事に飛び立ったのだが・・・。

評価★★★★/80点

飛行機をパニックに陥らせるのは、ハイジャック犯!?テロリスト!?殺人犯!?心臓発作を起こしたパイロット!?死のウイルス!?時限爆弾!?大量の毒ヘビ!?ゾンビ!?

いやいや今回は違います。

大量の正露丸ですっ!!!なんじゃそりゃ

いや、あの臭いといったらもう、という話は置いといて、大量の正露丸が機内を転がる今回の映画、めっちゃヨカッタです!だから、なんじゃそりゃ

一機のジャンボジェット機が羽田から無事に飛び立つまで、そして2時間後、機内トラブルのため引き返して台風吹き荒れる羽田に無事着陸するという、話だけ聞けばなんてことはないいたってシンプルな筋立てなのだけど、これがまぁよく出来てて面白いんだわ。

コックピット、機内、空港カウンター、管制塔、オペレーションセンター、格納庫、様々な部署と場所で飛行機の安全なフライトに携わっている数多くのスタッフたち。

彼ら一人一人にスポットライトを当てたシナリオは、各々の視点が干渉・交錯し合い一つの必然に収束していく群像劇の持つダイナミズムには程遠く、各々の視点は交錯することなく最初から一つの必然に向かっていくという、人間関係の横のつながりには乏しいといわざるを得ないものになっている。

そういう面では、かなり閉鎖的なのだけど、しかしそれがマイナスに働くのではなく、プロフェッショナリズムが生み出すカタルシスをユーモアも交えて小気味よく強調していくことで十二分に元が取れるつくりになっている。

窓際族のさえないオッサンが一転して本領発揮して見せ場を作ったり、夢の職業パイロットが素っ頓狂な声を挙げたり、空の花形キャビンアテンダントが速攻立ち食いしながら青竹踏みしてたりと、それぞれ表と裏の顔を見せてくれるのも面白く、その中で専門職としての自負心や厳しさ、また仕事への向き合い方をしっかり描いているのは秀逸。

さらにそこにANAの大看板とボーイング747がで~んと横たわるわけだから、リアリティとスペクタクルも注入満タン!で、文句なしのハッピー・ヒコーキ・ムービーになっていたと思う。

また、ヘェ~そうだったんだぁというトリビア&ハウツウものとしても楽しめたし、CG臭さを感じさせないのも好感が持てた。

特に、強烈な横風を受けながら羽田に着陸するところで斜めってる機体を上から捉えたシーンなんかはかなりゾクゾクきたな。

飛行機が飛び立つのにこれほどワクワクし、飛行機が着陸するのにこれほどドキドキした映画もない。

細部にいたるまで作り込まれたディテールの裏には、かなりのリサーチがあったであろうことが実感できるし、その付箋つきのレポート用紙の積み重ねがヒコーキにはド素人の自分にもめちゃくちゃ楽しめてしまう要因になっていたのだと思う。

飛行機には1回しか乗ったことないけど、次に乗る機会があったらこの映画を思い出しながら乗ろっと。

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エグゼクティブ・デシジョン

Hs14211_l出演:カート・ラッセル、スティーブン・セガール、ジョン・レグイザモ

監督:スチュアート・ベア-ド

(1996年・アメリカ・132分)仙台セントラル劇場

評価★★★★★/90点

 

内容:最新毒ガス弾を持つテロ軍団にハイジャックされたジャンボジェット機に、特殊部隊と情報部顧問の博士が潜入することになるのだが・・・。

“すべてにおいて高度で、アクション映画としては珍しく偏差値高し”

非常に良くできている映画だ。行き当たりばったりで銃をぶっ放す映画とは一線を画している。

また、頭ひとつ抜きん出た無敵のヒーローがいないことは、航空機ものとしてもアクションものとしても非常に珍しく新鮮。

いわばチーム戦術で攻略していくという設定(しかも密閉空間)が、今までとは次元の異なるアクション映画だといえるのでは。

だが、この設定、実はリスクが高い。キャスティングをひとつ間違えるとバランスが崩れてしまい、ありきたりの映画になってしまう。

しかし、その点でこの映画は成功している。

カート・ラッセル、ジョン・レグイザモ、オリバー・プラット、そして今ではアカデミー女優になってしまったハル・ベリーといった巧いキャスティングに、しっかりとキャラも立っている。

俺が俺がといった前面に押し出される利己的な独走演技もなく、とても良いバランスを保っている。

そしてこの設定を逆手にとったS・セガールの起用法はまさに拍手もの。巧いです。

また、今までとは次元の異なるアクションものとして特筆ものといえるのが、敵のボスキャラ。

死を厭わず任務を遂行する、まさに自爆テロほど対処のしようがないものはない。

9.11アメリカ同時多発テロで事実が映画をも超えてしまったわけだが、リアリティのあるアクション映画としても一見の価値はある。

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靴をなくした天使(1992年・アメリカ・118分)NHK-BS

 監督:スティーブン・フリアーズ

 出演:ダスティン・ホフマン、ジーナ・デイビス、アンディ・ガルシア、ジョーン・キューザック

 内容:ある日、飛行機事故に遭い、座席に挟まれて身動きがとれなくなったテレビリポーターのゲイル。しかし、その燃える機内から彼女と他の乗客たちを助け出したある男がいた。だが、その男は、泥だらけの顔のまま名前も告げずに立ち去ってしまう。そしてそのヒーロー話にメディアが群がってきて、虚像としてのヒーローを作り出していくのだが・・・。

評価★★★★/80点

アメリカ人なんだから御託を並べてないで、1番言いたいこと・結論をズバッと言い切っていればこんな話にはならなかっただろうにと、NOと言えない日本人の自分でさえ思ってしまった。けどイイお話でしたわ。

ベトナム戦争のことを「ナム」と略すラプラントに1票!

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乱気流/タービュランス(1997年・アメリカ・101分)WOWOW

 監督:ロバート・バトラー

 出演:ローレン・ホリー、レイ・リオッタ、ベン・クロス

 内容:護送中の凶悪殺人犯にハイジャックされたジャンボ旅客機で、死を逃れたスチュワーデスが機体奪回を目指し、犯人と闘いを繰り広げる。。

評価★★★/60点

見てると胸くそ悪くなってくるレイ・リオッタの異常演技に、飛行機の中という閉鎖性や乱気流ネタといったスペクタクルが殺されてしまっている。

とにかく狂気に憑かれたようなレイ・リオッタは必見。

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コン・エアー(1997年・アメリカ・114分)仙台日之出劇場

 監督:サイモン・ウェスト

 出演:ニコラス・ケイジ、ジョン・マルコヴィッチ、スティーブ・ブシェーミ

 内容:8年前、身重の妻を守るために殺人を犯してしまい、服役していたポーは模範囚とじて仮釈放される。妻が待つ故郷へ戻るために護送機へと乗り込むが、護送機は離陸直後、世にも稀にみる凶悪犯罪者集団によってハイジャックされてしまう・・・。

評価★★★/65点

“カツ丼の上に、エビ天乗せて、ハンバーグ乗せて、スパゲッティ乗せて、さらにその上にカレーをぶっかけたような映画。”

「七人の侍」(1954)のことを、監督した黒澤明自身が形容した言葉だが、この映画にこそ当てはまるのではなかろうか。このコテコテ食感はそうざらには味わえないw

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フライトプラン

Flightplanposter0出演:ジョディ・フォスター、ピーター・サースガード、ショーン・ビーン、マーリーン・ローストン

監督:ロベルト・シュヴェンケ

(2005年・アメリカ・98分)盛岡ピカデリー

内容:愛する夫を事故で亡くし、深い悲しみに暮れる航空機設計士のカイル。彼女は夫の遺体を引き取り、6歳の娘ジュリアとともにベルリンからNYへ最新型ジャンボジェット機で帰国の途上にあった。ところが、飛行中の機内でジュリアが忽然と姿を消してしまう。しかし、乗客はおろか乗務員の誰一人としてジュリアを見た者はいなかった。さらに搭乗記録すらも存在せず・・・。

評価★★☆/50点

見終わってなお、あのヒステリックな暴走ハエ女をハエ叩きでバチコンッとはたきたい気分にかられる(笑)。。

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スネーク・フライト(2006年・アメリカ・107分)WOWOW

 監督:デヴィッド・R・エリス

 出演:サミュエル・L・ジャクソン、ネイサン・フィリップス、ジュリアナ・マーグリーズ、ボビー・カナヴェイル

 内容:ハワイを旅行中の青年ショーンは、大物ギャングのキムが検事を殺害する現場を目撃。FBIエージェントのフリンが、裁判の証人としてショーンをロスに護送することになった。しかし、キムはショーンの口を封じるため、乗り込んだ飛行機に数千匹の毒ヘビを積荷として忍び込ませていた・・・。

評価★★★★/75点

“オッパイにしゃぶりつき、アソコにかぶりつき、服の中に潜り込み、舌にまとわりつき、うなじを舐めくり回し、熱くほてる身体に喰らいつく!ブチ抜く!飛ぶ!逝く!さぁ皆さんも昇天してみませんか!”

えっ?何の話かって?

ヘビに咬まれた人の話です。ハイ。

いやはや、時限式の爆弾ではなく時限式のヘビという時点で自分のおバカB級魂に火がついたね。完敗っす。

お次は大量のゴキブリでお願いいたしますw!

2021年1月 3日 (日)

夢のシネマパラダイス383番シアター:ザッツ超能力!

X-MEN:アポカリプス

O0314046813888471784出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、オスカー・アイザック、ニコラス・ホルト、ローズ・バーン、ヒュー・ジャックマン

監督:ブライアン・シンガー

(2016年・アメリカ・144分)WOWOW

内容:紀元前3600年、エジプト。最古のミュータントである“アポカリプス”は、4人の騎士を従え神として世界に君臨していた。しかし、新しい肉体へ魂を移す儀式の最中に反乱が起こり、崩壊したピラミッドとともに地中深くに封印された。そして1983年。プロフェッサーX・チャールズは若きミュータントの教育に努め、人間との共存を図っていた。一方、マグニートー・エリックは身を隠して妻子とともにひっそりと暮らしていた。そんな中、アポカリプスが長き眠りから復活する・・・。

評価★★★/65点

自分の1番好きな漫画はワンピースなのだけど、周りでは連載20年の間に卒業していった人もいる。

その理由で多いのが、キャラクターが多すぎてわけが分からなくなったというのがあって、一度離れてたけどまた読もうかなという人でも途中下車しちゃうとやっぱもう無理ってなるんだよね。

で、そういう奴にかぎってストーリーもグダグダしてきてツマンナイよねとか平気で言う。なので、こっちとしては一生懸命キャラの相関関係とか説明してワンピースの面白さを力説するんだけど、その努力が実ったことは一度もない。そのたびに、グダグダどころか20年経っても面白さが上げ潮状態の漫画なんて他にはないですからー!と自分に言い聞かせるのだった。。

がしかし、同じく約20年に渡って続くX-MENシリーズにおいて、自分は彼らと全く同じことをやってしまっていることに気づいた(笑)。キャラクター多すぎてわけ分かんねーよ!って。

ていうかこのシリーズに関しては毎回同じ感想しか抱いていないw

特に今回はプロフェッサーXが半分くらい拘束状態、マグニートーも棒立ち状態で、その他大勢の方が前面に出てくるので、それぞれのキャラクターが過去作にどう繋がっていくのか、また前作で歴史改変されたことでキャラクターにどのような変化があったのかが、正直言ってコアなファンじゃないと分からないのはツライところ。。

漫画でいえば2~3年周期で連載再開ってことと同じだから、ハンター×ハンターみたいなもんでしょ。だとすると、やっぱ記憶の糸をたどるのが難しい、って言い訳してみる。。

いやでも今回はホント、ストーリーをただ追いするだけで、何の旨味もなく終わっちゃったかんじ。真剣に1作目から見直してみるか、ってこれも毎回言ってるなww

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X-MEN:フューチャー&パスト

20140602214353出演:ヒュー・ジャックマン、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ハル・ベリー、ニコラス・ホルト、エレン・ペイジ、イアン・マッケラン、パトリック・スチュワート

監督:ブライアン・シンガー

(2014年・アメリカ・132分)WOWOW

内容:2023年、対ミュータント兵器“センチネル”の暴走によってミュータントばかりか人類も滅亡の危機に瀕していた。そこでプロフェッサーXは宿敵マグニートーと手を組み、兵器が開発された50年前の1973年にウルヴァリンの意識を送り込むことにするが・・・。

評価★★★★/80点

2000年公開の1作目から足掛け15年、ウルヴァリンを主役としたスピンオフを含めて7作目となった今作だけど、いまだに全てのキャラクターをつかみきれていない自分にとっては、このシリーズを見るのはどうしても腰が重くなってしまって・・

しかし今回は、人間とミュータントは共存できるとするプロフェッサーXと、ミュータントは人間を支配するべきだとするマグニートー、またミュータント全滅の危機の発端となったトラスク博士暗殺犯ミスティーク、そしてその暗殺を阻止するため過去に送り込まれるウルヴァリンさえ押さえておけば大丈夫なので、頭の中が整理できて見られて、今までの作品の中では1番面白かった。レベル低っww

でも要はなんでこのシリーズが食わず嫌いかというと、様々なミュータントが敵味方入り乱れてワチャワチャなってキャラクターがつかみづらいからで

その点、今回は先の4人にスポットが絞られているので分かりやすくなっているし、あとはやはりタイムトラベルものの醍醐味であるスリルとサスペンスが上手くブレンドされていて自分好みの作りになっていたのが大きいかな。

巷ではプロフェッサーXがなんで生きているのかとか矛盾点がいくつか挙げられてたみたいだけど、前作で死んだんだっけ!?ということすら記憶に乏しい自分にとってはそんなの関係なく、ほぼ単発ものとして楽しめてしまったかんじだしw

正直、これだけ楽しめちゃうと、1作目からもう1回見てみようかなという気にもさせられたけど、、それでも腰は重いままなのだった(爆)。。

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ウルヴァリン:SAMURAI(2013年・アメリカ・125分)WOWOW

 監督:ジェームズ・マンゴールド

 出演:ヒュー・ジャックマン、真田広之、TAO、福島リラ、ハル・ヤマノウチ、ウィル・ユン・リー、ファムケ・ヤンセン

 内容:第二次大戦中の長崎で日本軍の捕虜となっていたローガンは、原爆に遭うが日本兵のヤシダに救われる。それから数十年後、カナダのロッキー山脈で暮らしていたローガンのもとにヤシダの使者が現われる。余命わずかのヤシダがローガンに一目会いたいというのだ。そして日本を訪れたローガンだったが・・・。

評価★★☆/50点

原作コミックにこのエピソードがあるのかは知らないけど、前作ウルヴァリン・ゼロからのつながりはなく、完全なスピンオフというかんじ。最後とってつけたようにマグニートーと死んだはずのプロフェッサーXが出てきて次作へつながりをもたせたけどw

しかし、単発でこういうの持ってくるんだったらもうちょっとマシなの見せてほしいよ(笑)。これじゃただのヘンテコなニッポン映画じゃん。

B-29が飛来してきただけで切腹する日本兵から始まり、真田広之の初登場シーンのアクロバティックな剣道の稽古や、芝の増上寺の正門に立つマシンガン持った警備とか、もうツッコミどころ満載。。

あと、長崎の原爆を生き残った元日本兵があんなクソジジイになるかっつーの。日本人なめんときやーww

しかし、ニンジャやサムライを出してくるなら、いっそのこと戦国時代を舞台にした方がよっぽど面白かったと思うんだけどな。

でも、あのラブホだけは興味津々

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X-MEN:ファースト・ジェネレーション

Bdql9rgtze_movieposter出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ケヴィン・ベーコン、ローズ・バーン、ジャニュアリー・ジョーンズ、ジェニファー・ローレンス

監督:マシュー・ヴォーン

(2011年・アメリカ・131分)WOWOW

内容:1962年、アメリカ。プロフェッサーXとして後にX-MENを設立することになる遺伝子学の若き専門家チャールズ・エグゼビアは、CIAから捜査協力を依頼される。それは核戦争寸前まで突き進んでいた米ソ冷戦の中、超能力を駆使して暗躍するミュータント集団“ヘルファイヤークラブ”を調査するというものだった。そしてチャールズは、第二次大戦中にナチスの科学者ショウに母親を殺されたエリック・レーンシャーと出会うのだが・・・。

評価★★★★/75点

映画を見終わったあとの1作目のX-MENを見直したいと思った時点で今回の映画は上出来だったというべきだろう。

チャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)とエリック(マイケル・ファスベンダー)の決別が最初から分かっている中で、そこに着地させるまでの構成力はこのジャンルの中でもズバ抜けているといっていいと思う。

理想論の前者と現実論の後者のバックボーンや、そのどちらに共感してついて行くかという各キャラクターの内面描写をしっかり描き、さらに荒唐無稽が前提のSF設定にホロコーストや米ソ冷戦という史実を絡ませることでフィクションに重みと説得力をもたせるシナリオの巧さが、この作品をより生き生きとしたものにしていたと思う。

今をときめくジェニファー・ローレンスの艶めかしいボディラインを拝めるのもイイし、それまでの3作に大した思い入れもなかったので(笑)、思わぬ拾い物だった。

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ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009年・アメリカ・108分)WOWOW

 監督:ギャヴィン・フッド

 出演:ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー、リン・コリンズ、ダニー・ヒューストン、テイラー・キッチュ、ライアン・レイノルズ

 内容:19世紀半ば。ミュータント能力を持つ少年ローガンは、ある悲劇から能力を覚醒させ、同じく能力を持った兄ビクターと2人で生きていくことに。以来、不死身の再生能力と戦闘能力を持つ2人は、俗世から距離を置き、150年以上に渡り幾多の戦場に身を投じてきた。しかし、そんな暮らしに嫌気が差したローガンは、軍を抜けてカナダの山奥で恋人と静かに暮らすことを選ぶ。一方、ビクターは戦争がもたらす狂気に魅せられ殺人鬼と化してしまい、その矛先はローガンにも向けられるのだった・・・。

評価★★★/65点

X-MENシリーズにそれほど傾倒しているわけではない者からすると、その中のいちキャラクターのみに焦点をしぼったスピンオフにはなかなか興味を抱けるものではない

また、ウルヴァリンの隠された謎が解き明かされるといっても、その謎が何だったのかさえ思い出せない者からすると、、ってそれは自分が悪いんだけどw、まぁしかし、アクション部分は見応えがあるし、歌わなくても存在感を知らしめるには十分の熱演を見せるヒュー・ジャックマンの魅力もあってSFアクションとしてフツーに楽しめるのはたしか。

しかし、勉強不足な自分が失礼を承知で言わさせてもらえば、もうちょっとシンプルなストーリー展開でもよかったんじゃないかな。ぶっちゃけ兄ビクターとの確執一点張りの方が逆にローガンにより感情移入できた気がする。

つまりビクター=セイバートゥースをもっとしっかり描くべきだったのではないかということに尽きるけど。だって、このセイバートゥースって1作目X-MENでマグニートー側についてた奴でしょ。この後どうつながっていくんだろっていう・・。

ま、、別にいっか(笑)。。

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X-MEN:ファイナル・ディシジョン

20070422_281624 出演:ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、パトリック・スチュワート、ファムケ・ヤンセン、アンナ・パキン、イアン・マッケラン

監督:ブレット・ラトナー

(2006年・アメリカ・105分)WOWOW

評価★★★/65点

 

内容:プロフェッサーXの右腕だったジーン・グレイの死により、いまだその動揺から立ち直れずにいるX-MEN。そんな中、ミュータントの能力を治療して消去し普通の人間に戻すことのできる新薬“キュア”が天才科学者によって開発される。ミュータントのまま生きるか、それとも人間になるかという究極の選択に大きく揺れるミュータント社会。マグニートー率いる強硬派ブラザーフッドは、キュアの根絶を狙い、キュア開発のカギを握る少年の強奪に動き出す。一方、放浪中のサイクロプスはジーンが生きていることを知り、感動の再会を果たすのだが・・・。

“X-MENオールスター感謝祭蔵出し祭り!?”

ミュータントを人間に変える新薬「キュア」を人間側が開発し、もしかしてそれがミュータントを絶滅に追い込むかもしれないというのに、当のミュータント同士が殺り合うというのはどうしても腑に落ちないものがある。

ミュータントは病気であるという人間の主張のもとで薬は作られたわけだから、病ではなく個性・アイデンティティであるとするミュータント側からすればそう簡単に受け入れられるものとは思えず、両者の間にある狭間の中で苦悩し葛藤する視点をもっと突っ込んで取り入れるべきではなかったか。

そういう点でいえば、ウルヴァリンと二重人格の最恐女ファムケ・ヤンセンのラブロマンス(?)を軸に据えたのは完全なミステークであり、視点がズレてしまっている。

本来ならローグ(アンナ・パキン)をこそ前面に押し出さなければならないはずなのに。。

とはいえ、登場キャラの多さに名前と顔が一致しなかった1作目から6年経ってしっかりした予備知識もついてきたせいか、なんだかんだいって3作品の中では1番面白かったかも。

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X-MEN2(2003年・アメリカ・134分)DVD

 監督:ブライアン・シンガー

 出演:ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、パトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ファムケ・ヤンセン

 内容:政府高官のストライカーがミュータント狩りを開始し、プロフェッサーXを捕らえてしまう。X-MENのメンバーは、宿敵マグニートーと手を組み、プロフェッサーXを救出すべくストライカーに立ち向かう。

評価★★★/60点

“早押し並べ替えクイズ!!同一人物に並べ替えよ。”

Aグループ

 エグゼビア、ファムケ・ヤンセン、マリー、カート・ワグナー

 ボビー・ドレイク、ローガン、エリック・レーンシャー

 スコット、ハル・ベリー、レイベン、キティ・プライド

 タイラー・メイン

Bグループ

 サイクロプス、ストーム、デスストライク、シャドウキャット

 ミスティーク、ジーン・グレイ、プロフェッサーX

 セイバートゥース、ウルヴァリン、ローグ

 ナイトクロウラー、アイスマン、マグニートー

問題出した当の本人が1番分かってねぇっ・・。しかもBグループ1人多いっ!

なんでっ?

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X-MEN(2000年・アメリカ・105分)WOWOW

 監督:ブライアン・シンガー

 出演:ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ファムケ・ヤンセン、ハル・ベリー

 内容:DNAの突然変異によって特殊能力を生まれ持った超人類“ミュータント”。人類を抹殺しようとするマグニートーに、人類とミュータントとの共存を目指すプロフェッサーXとX-MENが立ち向かう!

評価★★★/60点

なんか久しぶりにジョジョの奇妙な冒険に出てくるスタンド能力を思い出した。

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ファンタスティック・フォー〔超能力ユニット〕

200fullfantasticfour 出演:ヨアン・グリフィス、ジェシカ・アルバ、クリス・エヴァンス、マイケル・チクリス

監督:ティム・ストーリー

(2005年・アメリカ・106分)MOVIX仙台

内容:人類の進化と宇宙嵐の関係を研究している若き天才科学者リード。彼はある日、その謎を解明するため、親友のベン、元恋人で女性科学者のスー、彼女の弟ジョニーとともに、実業家でスーの今の恋人でもあるビクターの援助を受けて宇宙実験を実施することに。だがその最中、5人は予想外に早くやって来た宇宙嵐の放射線を浴びてしまった。それは彼らのDNAに変化をもたらし、皆それぞれに違った力が表れていく・・・。

評価★★★/60点

レイザーラモンHGが宣伝隊長になっただけのことはあるいい加減なお話。。

いや、だって超能力を手に入れたのに、みんながみんなあっちこっちの方向を向いていて全然まとまりがないんだもん。話に求心力が・・・。

悪役も悪役っぽくなかったし、いまいち燃えなかったな。

それとも素人が超能力を手に入れたらこんなんなっちゃうのよ、てなことなのか。

見所はジェシカ・アルバの胸元のみ、、ま、いっか(笑)。

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ファンタスティック・フォー:銀河の危機(2007年・アメリカ・92分)WOWOW

 監督:ティム・ストーリー

 出演:ヨアン・グリフィス、ジェシカ・アルバ、クリス・エヴァンス、マイケル・チクリス、ダグ・ジョーンズ

 内容:巷では国民的ヒーローとなったファンタスティック・フォーのリードとスーが結婚するという話題で持ちきり。が、世界各地では謎の閃光の飛来により異常現象が発生していた。そして、2人の結婚式当日、閃光がニューヨークにも出現する。その正体は、銀色のボードを駆る生命体“シルバーサーファー”。さらに、このシルバーサーファーが現れた星は、8日以内に滅びていることが判明し・・・。

評価★★★/60点

ゴムゴム人間ルフィが大活躍する「ワンピース」の実写化は十分できる!ということだけは、リードの伸縮自在アクションを見てよぉく分かった(笑)。

「Mr.インクレディブル」から「ファンタスティック・フォー」ときて、ついに満を持してワンピース!、、ってそれくらいしか見所がないんだよねこれ。。

この軽さと中身の無さには脱帽するしかない。

銀河の危機というより、ハリウッドの危機だろ

2018年5月 3日 (木)

夢のシネマパラダイス179番シアター:スーサイド・スクワッド

スーサイド・スクワッド

001出演:ウィル・スミス、ジャレッド・レト、マーゴット・ロビー、ジョエル・キナマン、ヴィオラ・デイヴィス、ジェイ・コートニー

監督・脚本:デヴィッド・エアー

(2016年・アメリカ・123分)WOWOW

内容:「バットマンvsスーパーマン」の後、スーパーマンがいなくなった世界は悪党が跋扈し危機的状況にあった。そこで政府は悪には悪をの最終手段をとることに。さっそく、百発百中の凄腕スナイパー・デッドショットや、ジョーカーに恋するクレイジー・ガールのハーレイ・クインら刑務所に服役している犯罪者が減刑と引き換えに集められた。逃亡したらすぐに首が爆発するスーサイド・スクワッド(極悪特攻隊)として・・・。

評価★★★/65点

「マン・オブ・スティール」で正義を完遂したスーパーマン。しかしその代償として破壊のかぎりを尽くしてしまったことに対する責任論とともに、国家権力のあずかり知らぬところで好き勝手に行動して結果損害を与えるスーパーマンこそ危険な存在なのではないかという脅威論が持ち上がる。

そんな中、「バットマンvsスーパーマン」でスーパーマンのような超人=メタヒューマンが他にも存在することが判明、悪魔のようなメタヒューマンに攻撃でもされたら大変だということで、収監されている極悪人どもを秘密裏に集めて特殊部隊を結成する。

「ダークナイト」(2008)から正義と悪は表裏一体というテーマがトレンドとなった中で、10年後に悪には悪をもって制すという発想に行き着いたのは自然な流れだとは思う。

ただ、逃げたり逆らったりしないようにどころか隊長が死んでも爆発する爆弾を首に埋め込まれた悪党たちのミッション・インポッシブル感はあるんだけど、こちら側が飛べない生身の人間主体なのに、向かい合う敵が6千年以上生きている古代の魔女なので、やはり戦闘値・能力の歴然とした差が映像面にも表れていてさほどの面白さは感じられなかった。

で、この差を埋めるには悪党キャラとしてのブッ飛び感しかなかったと思うんだけど、意外にみんなジョークも通じないような真面目キャラばかりで、その点をクリアしていたのはハーレイ・クインだけだったかな。

まぁ、チームの一体感や協調性はほぼ無しだったので、逆に今後の展開は気になるかも。

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ハンコック

B0041576_23375359 出演:ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン、エディ・マーサン、ジェイ・ヘッド

監督:ピーター・バーグ

(2008年・アメリカ・92分)WOWOW

評価★★★☆/70点

 

内容:ロスに暮らす酒びたりの男ハンコックは、実は不死身のスーパーヒーロー。しかし、事件解決のたびに周囲へ大損害を与えたり粗野な言動がもとで市民からは反感を買いまくっていた。そんなある日、PR会社に勤めるレイは踏切内で車が立ち往生していたところをハンコックに助けられる。彼はハンコックに正義のヒーローとしてのイメージアップ戦略を提案するが・・・。

“ダメ超人ハンコック”

市民にうとまれ、バカにされ、ホームレス同然の生活をする飲んだくれハンコック、、これって公園で寂しく暮らしていた牛丼漬けの初期の頃のキン肉マンそのものじゃんww

しかも最大の敵はケツの穴に頭を突っ込まれたバカ囚人2人組というなんともチンケなレベルのもので、これって完全にキン骨マン&イワオじゃんww、、毛色としては完全にシュールなコメディ。

しかし不死身の超人=社会不適合者の社会復帰プロジェクトというネタはディスコミュニケーション時代の今のご時世に合っていて、深刻なウィル・スミスの表情もあいまって感情移入できて意外に楽しめてしまった。

が、これではヒーローものとしてあまりにも華も見せ場もないと思ったのか、ハンコックとメアリー(シャーリーズ・セロン)は実は夫婦でお互い近づくとパワーを失ってしまうという突拍子もない設定を何の前触れもなく繰り出してきて、映画の毛色が一気に様変わりしてしまった。

まるで前後半で2人の監督を使ってるような脈絡の無さなのだけど、シャーリーズ・セロンほどのスター女優が脇役の奥さんに収まるはずないよな、とは感じてたのよね。でも、もうちょっとあからさまな伏線があっても良かったんじゃないかと思うんだけど・・。

シリーズ化するという前提でいうならば、今回の映画はプロローグというかんじなのかな。

ていうかこの地味さを続編でうさ晴らししてもらわないと許さへんよ

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スーパーマン リターンズ

20060827_240267 出演:ブランドン・ラウス、ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ、マーロン・ブランド

監督:ブライアン・シンガー

(2006年・アメリカ・154分)盛岡フォーラム

評価★★★☆/70点

内容:スーパーマンが謎の失踪を遂げてから5年。スーパーマン不在となったメトロポリスでは犯罪が急増、加えて宿敵レックス・ルーサーも出所してしまう。そんな中、地球に戻ってきたスーパーマン。しかし、久々に再会したかつての恋人ロイス・レインは、彼との思い出を振り切り、スーパーマン不要論の記事でピュリツァー賞を受賞するまでに至っていた・・・。前シリーズの2作目「スーパーマン2冒険編」の後を引き継ぎ、5年ぶりに地球に戻ってきたスーパーマンの活躍を描く。

“意外にもダサくなかった掛け値なしの王道路線”

スーパーマンと聞くと自分なんかはオンタイムで見れてない世代なので、ダサいユーモアとショボイSFXの映画という印象がけっこうあったりなんかして、やっぱアメコミ系といえばオンタイムで最初に見たバットマンでしょ、となるわけで。。

だから今回の約20年ぶりの復活劇にはさほどの期待をかけていたわけではなかったのだけど、フタを開けてみたら意外にも楽しめてしまった。

まぁ、昨今のアメコミ系ヒーローが判で押したように苦悩と葛藤を最大の敵とし、正義とは何かという疑問をつきつけられる悩めるヒーロー(=地に足のついた人間)ばかりだったので、アメリカンソウルにあふれた保守的ともいえる王道路線のヒーロー像(=天空から見下ろす神)が逆に新鮮に映ったかんじ。

最新の映像技術も決して大仰にではなく、ほどよいサジ加減でドラマと絡んでいてよかったし。

また、分かりやすい勧善懲悪もののバリバリ王道路線だと、下手すると単調になりがちなんだけども、そこを2時間半の長尺にわたってダレることなく見せ切ったブライアン・シンガーはやっぱスゴイと思う。普通だったら100分くらいにまとめられそうなところを。

X-MENファイナルディシジョンを蹴ってまで本作を監督しただけのことはあると思った。ほんとにスーパーマンにゾッコンなんだろうね(笑)。

ロイス・レインのピュリツァー賞をとった記事“なぜ世界はスーパーマンを必要としないのか”というスーパーマン不要論をもっと掘り下げるのかと思いきや、結局ただ単にヤリ逃げされた鋼鉄の男に対するうっぷん晴らしにしかすぎなかったところとか、ロイス&ジュニアとスーパーマンとの関係の中途半端さなど気になるツッコミどころもあったのだけど、それらは次回作の伏線とみればいいのかな。

でも、あと15年後くらいに子供がこれ見たらダッセェとかって言うのかも(笑)。。

いろんな映画にいえることだけど、次の世代に引き継がれていくような映画を作ってもらいたいもんだと切に願います。

2018年5月 2日 (水)

夢のシネマパラダイス128番シアター:ホロコーストの悲劇

シンドラーのリスト

135740_01出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングスレー、レイフ・ファインズ、キャロライン・グッドオール、ジョナサン・サガール

監督:スティーブン・スピルバーグ

(1993年・アメリカ・195分)盛岡フォーラム

評価★★★★★/100点

内容:第二次世界大戦下、1200人のユダヤ人の命をナチス・ドイツの虐殺から救った実在のドイツ人実業家オスカー・シンドラーの生涯を描いたヒューマンドラマ。トーマス・キニーリーが実際にシンドラーに助けられた人々の証言をもとに構成したノンフィクション小説をもとにしている。

“人が撃たれて棒切れのごとく倒れるシーンや、しおれた死体が焼かれるシーンより何よりも絶句してしまったラスト。”

シンドラーに命を救われた人々が、演じた役者たちとともに彼のお墓参りをするラストのエピローグ。

もう言葉にならなかった。

映画といういわば創作の中に実体としての存在が姿を現す。

ホロコーストという事実を伝えていかなければならない、語り継がなければならない、風化させてはいけないというスピルバーグの並々ならぬ強い意志を感じ取ることができる。

広義としての娯楽という枠を超えたこの映画のパワーに敬意を表して★5つにします。本当は序列などこの映画には必要ないし、あまりつけたくもないのだけど、原作、脚色がある以上やはり評価しなければならないかなと考えました。

しっかし、あのゲート所長も実在の人物ってとこが恐ろしいよなあ。架空の創作人物だとばっかり思っていたので。。

でも、1番見ていて言い知れぬ怖さに震えたというか引っかかったのは、ゲート所長の無差別射撃でもなければ赤い服の少女の遺体でもない。それは、貨車に詰め込まれたユダヤ人たちにシンドラーが水をかけてやるシーンで、それを見てヘラヘラ笑っているドイツ軍人たちの姿を見たときだった。

なんとも言い知れぬ嫌悪感と恐怖感に襲われた。

人が簡単に無意味に撃ち殺されるシーンなどは、あまりにも自分の住む現実世界からは程遠い出来事なので、主観の入り込む余裕さえない、いわばあくまでも客観的に距離を置いて見るしかなかったのだが、あのシーンだけは違ったのだ。自分の住む現実の日常にも潜んでいる差別、イジメみたいなものの本質が1番端的に現れていると感じたのだ。なにか自分にも身に覚えがある、、みたいな。

卑劣な行為を繰り返すドイツ軍と自分との間に接点みたいなものを感じてしまい急に恐ろしくなった。もし、あの時代あの場所で自分がドイツ軍人だったら同じことをしてしまうのではないか、と。

シンドラーの言葉が忘れられない。

「ゲート所長も戦争がなければ普通の良い男だ。日常の世界では良い部分しか表に出ない。戦争は人間の最も悪い部分を引き出す・・・。本当のパワーとは人を殺す正当な理由がある時に殺さないことだ。」

そう、それは許すこと。

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サウルの息子

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出演:ルーリグ・ゲーザ、モルナール・レヴェンテ、ユルス・レチン、トッド・シャルモン

監督・脚本:ネメシュ・ラースロー

(2015年・ハンガリー・107分)WOWOW

内容:1944年10月、ナチスのアウシュヴィッツ収容所。ここに収容されているユダヤ人のサウルは、ガス室へ送り込まれた同胞の死体処理を務めるユダヤ人特殊部隊“ゾンダーコマンド”のひとりだった。ある日、彼は自分の息子と思われる少年がガス室で虫の息になっているのを発見する。結局軍医に殺されてしまった少年をユダヤ教によって正式に埋葬してもらうために、サウルはナチスの監視の目を盗みながら奔走する・・・。

評価★★★★/80点

ホロコーストを題材にした映画といえば、「シンドラーのリスト」「戦場のピアニスト」「ライフイズビューティフル」「アンネの日記」などがあり、それぞれ違う角度から切り取った作品になっているけど、今作は今までにもまして異なる切り口の見せ方になっていて、映画の持つ奥深さを今更ながらに痛感させられた。

まずもってゾンダーコマンドという存在や役割自体初めて知って驚くばかりで、ナチスの民族絶滅政策の狂気と、人間はここまでおぞましくなれるのかという恐ろしさにただただ言葉を失った。

また、今までにない切り口の見せ方という点では、カメラが主人公サウルの上半身肩越しのクローズアップのみを常に捉えつづけ、彼の周りで繰り広げられる地獄絵図は常にピンボケしているという普通の映画ではタブーといっていい手法に驚かされた。

例えば、一人称のPOV視点であれば周りの状況にこそクリアにピントが合わされるのが常識のはず。しかし今作はその全く逆の手法で表現していて、彼の見聞きしたいものにはピントが合い、したくないものにはピントが合わないというふうになっている。

ただ、ぼやけた背景でも、異様に混ざり合う音と感情のない機械的なサウルの動きと断片的に映り込むモノとして扱われる人々のシルエットから、そこで一体何が起きているのかをかえって鮮明に想像させる画作りになっていて、まさに今まで見たことのない映画体験だった。

映画の教科書にはまず載っていないであろう映像表現に徹した奇抜さを、監督は「鍵穴から覗いているイメージ」で撮ったと語っていてストンと腑に落ちたのと同時に、この作品を感動ものにも英雄ものにもしたくない、ホロコーストはそんなものではないという強い意志を感じられた気がした。

見るよりも感じる映画。

とりあえず心の中で静かに拍手を送りたい。

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杉原千畝 スギハラチウネ(2015年・東宝・139分)WOWOW

 監督:チェリン・グラック

 出演:唐沢寿明、小雪、ボリス・シッツ、ミハウ・ジュラフスキ、塚本高史、濱田岳、小日向文世

 内容:1934年。満州国外交部で働く杉原千畝は、北満鉄道譲渡に関わる日ソ交渉に携わり日本有利に事を進めることに貢献する。その後、外務省のモスクワ大使館への赴任が決まるが、先の活躍に神経を尖らせるソ連から入国を拒否されてしまう。結局1939年、彼はリトアニアの日本領事館に赴任する。そんな中、第二次世界大戦が勃発、ナチスの迫害を逃れた多くのユダヤ人が領事館に押し寄せてくるが・・・。

評価★★★/65点

上司から君の推測はいつも正しいと評価される良識と先見の明を兼ね備えたスーパー外交官・杉原千畝。

その感性は、今を生きる現代日本人と何ら変わりがなく、イケイケどんどんで暴走していく当時の日本人とは真反対のヒューマニスト・善人観には逆にある種の違和感を覚えなくもない。

それは「太平洋戦争を回避しようとした外交官の物語」とわざわざ強調する冒頭のテロップを見た時から感じていたことだったけど、歴史を知っている現代人の美化のバイアスがかかった筆加減はやはり気になるところで、しかもそれが演出の掘り下げをかなり平板なものにしているので、どこか薄っぺらく見えてしまうところもあり・・。

外交官・杉原千畝のインテリジェンスは世界情勢を間近に見る最前線に立つ者だからこそ得られるものなのかもしれないけど、人間・杉原千畝の思いや内面といったものがイマイチ伝わってこず、言い方は悪いけど全体的に退屈な映画だった。

本家本元の「シンドラーのリスト」と比べるのは酷とはいえ、もうちょっと焦点をしぼって描いてもよかった気がする。

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ヒトラーの贋札

Nise_2 出演:カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール、デーヴィト・シュトリーゾフ

監督・脚本:ステファン・ルツォヴィツキー

(2007年・独/オーストリア・96分)WOWOW

内容:第二次世界大戦の最中、ナチスは米英の経済崩壊を狙うため贋ポンド札を製造するベルンハルト作戦を計画。世界的贋作師サリーや印刷技師ブルガーなどザクセンハウゼン強制収用所にはユダヤ系専門家たち数十人が集められた。収容所内で破格の待遇を受け、贋ポンド作りに従事するサリーたちだったが、自分の延命と引替えに同胞を苦しめるナチスに荷担するジレンマに次第に葛藤と苦悩を深めていく・・・。

評価★★★★/75点

贋札というと、真っ先に「ルパン3世カリオストロの城」に出てくるゴート札を思い出しちゃうんだけど、実際に国家ぐるみの贋札製造作戦があったなんて初めて知ったな。

と同時に、戦争ってのは手段を選ばない何でもありのものなんだなということも実感。

その最たるものがホロコーストなわけだけど、命の灯を簡単に握りつぶされてしまうような苛酷な状況の中で、その殺戮者たちの悪事に手を貸さなければならないなんて・・・。しかもその悪事が成功すれば、ますますもって家族や同胞を苦しめることにつながってしまう。が、逆に失敗すれば、即ガス室送り・・・。

自分の命と正義感を天秤にかけられるという究極の選択、その苦悩と葛藤の中で描き出される生への執着と一縷の信念。

こんなことを言ってはあれだけど、一級の娯楽作として申し分ない要素を兼ね備えた作品に仕上がっていたと思う。

まるで収容所というよりは刑務所を舞台にしたスリリングな犯罪劇でも見ているようなかんじで、ホロコーストを扱った今までの作品群とは趣を異にする視点だったけど、薄っぺらい壁一枚隔てた向こう側に横たわる累々たる死がホロコーストの恐怖をいやが上にも実感させて緊張感は途切れることがない。

また、主人公サリーの人物像も、転んでもただでは起きないような狡猾でズル賢いキャラクターで、そういう視点でも面白い作品だったと思う。

ホロコーストについて毎度のごとく考えさせられるとともに、究極の人間ドラマとスリリングなサスペンスの娯楽作としても楽しめてしまうトンでも映画。

それが「ヒトラーの贋札」なのです。。

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夜と霧(1955年・フランス・32分)NHK-BS

 監督:アラン・レネ

 内容:ポーランドのアウシュビッツ強制収容所に関する短編記録映画。第二次大戦中のナチスによる残虐行為の数々を、カラーでとらえた廃墟のアウシュビッツと、モノクロの当時の再現場面とのモンタージュ構成によって描き出す。

評価:点数付けたくありません。。

見る前の30分。「おおし、これ見たらプレステやっぞー!」

見ている30分。胃がキリキリと痛む悪夢。

見た後の30分。・・・・・・・・・。

しかし、1時間後にはゲームという仮想世界に逃げ込んでしまうのだった・・。

ただ、自分にできること。この映画を見た記憶を忘れない。この映画を忘れない。

2018年1月 3日 (水)

夢のシネマパラダイス474番シアター:妄想をアニメで表現する天才!?新海誠

雲のむこう、約束の場所

00000577472l 声の出演:吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香

監督・脚本:新海誠

(2004年・日本・91分)スカパー

評価★★★/65点

内容:大国に分断統治されている、もうひとつの日本。青森に暮らす二人の少年は、津軽海峡の向こうに見える北海道の“塔”に憧れとも畏怖ともしれない思いを抱く。彼らは、その塔へ行くために軍の廃品で小型飛行機を作り始めるが・・・。架空の戦後史を辿る日本を舞台に、ふたりの少年とひとりの少女のある“約束”を主軸に、心の触れ合いを描く。

“世界の片隅で、渇をさけぶ”

まさかこれが新海誠の全てじゃないだろうな、と切に信じたい。

この人の作品はこれが初めてなので、あまり突っ込んだことは言えないけど、おそらく「物語る」人というよりは「イメージと情景をふくらませる」人というかんじがする。物語のサンプルは乏しいが、イメージのサンプルは彼の頭の引き出しに余すところなくインプットされているのではなかろうか。

そういう点においては、大友克洋と同じベクトルにいる人だと思うのだけども、大友は驚異的なデッサン力でイメージに息を吹き込むのに対し、新海誠はデジタル技術で息を吹き込むという違いがあるのは一目瞭然。

そこに何ら問題はないし、映像も意外に柔らかくて印象的なのだが、この両者の最大の違いは、イメージの質ではないかと思う。

大友克洋のもつイメージというのは、古典的な既成のイメージを軽く飛び越えてしまう、あるいは壊してしまうような異質で斬新なイメージであり、これをアニメとして具現化するのは漫画コミックのように大友一人で出来るものでは決してない。まず不可能といっていい。大友を中心とした組織体制を作っていかなければ成し得ないものだ。

対して、新海誠のもつイメージというのは、誰もが持ちえる既成ド真ん中のものであり、誰もが共通に持つ記憶の引き出しをスーと開けてくれるようなイメージなのだ。

ただそのイメージの質は、良くいえば繊細、悪くいえばやや庵野秀明を表面的になぞった程度ということができ、新海誠はそのイメージをデジタルカメラで一瞬一瞬おさめてインプットしていき、作品をつくる際にパソコンにしまわれた写真アルバムの中から一枚一枚イメージを取り出すような形で絵にしていく。

これははっきり言えば一人でできる類のものなのである。しかも現在はデジタルという便利な道具を使える時代。

新海誠は今の時代に出るべくして出てきた才能の人なのだろうか。

しかし、その彼の、イメージを絵に落とす段階での作画技術における才能とその手法を認めた上で、やはりイメージから物語を生成するという才能の方ははっきりいって断然に乏しいと言わざるをえない。

世界観を作り出すところまではいけても、その先を作り出すことができていない。

宮崎駿や大友のような相手をねじ伏せてしまうような豪腕も持っていない。その腕はか細くて投げられた球筋はあまりにも単調で弱々しい。それを孤独なデジタルでなんとか補っているといったかんじで、これはピュアなどという評価で解決処理していいような問題ではない。

だから、冒頭で述べたように、これが新海誠のすべてなのだとしたらあまりにもガッカリというか、これから先、大丈夫なのかなと不安になるし、まだまだ進化・深化していくものだと信じたい。

どこかで必ず1回脱皮しないと、一人のアニメ作家としてリアルな存在を確立するのは難しいと思う。ましてやポスト宮崎駿などというのはあまりにあまりにもな飛躍ではなかろうか。

期待をこめた上でやや厳しい視点で評価させてもらいました。。いや、嫌いじゃないのよ全然。好きな方なんだけども、なんかね・・。

Posted at 2006/02/09

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ほしのこえ(2002年・日本・25分)NHK-BS

 監督・脚本:新海誠

 声の出演:篠原美香、新海誠

 内容:美加子と昇は仲の良い同級生。中3の夏、美加子は国連宇宙軍の選抜に選ばれたことを昇に告げる。翌年、美加子は地球を後にし、昇は高校へ進学。地球と宇宙という超長距離恋愛を続ける2人は、メールで連絡を取り続ける。が、メールの往復にかかる時間は次第に何年も開いていくのだった・・・。新海誠が7ヶ月をかけ、ひとりで制作したフルCGアニメーション。

評価★★★/65点

“ロボットと石炭ストーブが共存できる世界観の作り方は純粋に巧いしスゴイと思う。”

分業体制で制作することが当たり前のアニメ制作を、パソコンの前でたった一人で作っちゃうということがどれほど凄いことなのか、素人の自分には分かりかねるけど、一個の作品としてちゃんと見られるものになっているのは確かだ。

絵的には人物画がやや稚拙だし、止め絵がやけに多いのは気になるけど、それを補って余りあるフルデジタル背景画は、パソコンの壁紙にマッチするほど一枚絵としてのクオリティが高い。

非常に内向的かつ思索的、悪くいえば閉鎖的きわまりない作品にあって、どこまでも無限に広がるかのような壮大かつ美しく果てしない空間(空や雲、宇宙そして地上)が提示されているのは救いだし、バランスをとるのにも大きな働きを成している。

新海誠の武器はこの背景画にあるのかもしれない。

特に、宇宙戦艦に女子中学生が乗っちゃうような西暦2046年という時代を舞台にしているのに、なぜに学校の教室に石炭ストーブなの(笑)!?というミスマッチな設定というか明らかに意図的なノスタルジーの記号なんだけど、そこらへんの世界観の作り方があざとくなくてすんなり自分の中に入ってきちゃうのも新海ワールドの巧さなのかも。

ただ強いていえば、やはり物語が主人公とヒロインの中に埋没しちゃって、30分くらいの短編だから見れるものの長編でこれやられたら相当キツイと思う。

ノボルくん、君も待つだけじゃなく何か行動しろよ、、と思うのは自分だけだろうか。。

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秒速5センチメートル

Comix1 声の出演:水橋研二、近藤好美、花村怜美、尾上綾華

監督・脚本:新海誠

(2007年・日本・60分)2007/06/13・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:小学校の卒業と同時に東京と栃木に離ればなれになった貴樹と明里。2人は文通を続けていたが、貴樹が鹿児島に引っ越すことになってしまう。大雪の降る中、貴樹は電車に乗って明里に会いに行くのだが・・・。貴樹と明里の再会の日を描いた「桜花抄」、高校生の貴樹に想いを寄せる同級生の花苗の視点から描いた「コスモナウト」、そして最終話「秒速5センチメートル」の3編を収録した連作短編アニメーション。ちなみに秒速5センチメートルとは、桜の花びらが落ちる速度。

“自分の長所と短所を十分自覚した上で勝負できる土俵に持ち込んだ新海誠の作戦勝ち”

「雲のむこう、約束の場所」を見たときに、新海誠という作り手は“物語る人”ではなく、“イメージと情景をふくらませる人”だと感じたが、今回、3つの短編からなる構成方法をとったことで、よりそれが明確化されたと思う。

物語を形づくっていく才能に絶対的に乏しいが、イメージをふくらませる、、、いや、もとい、妄想を具現化していくことにかけては天下一品の才を持つ中では、非常に的を射た作り方だったと思う。

これは別に新海誠は作り手として劣っているとかいうことでは全然なくて、ピッチャーにも球種に得手不得手があるように、それを自覚した上で自分のペースに持ち込んでいく組み立てをしていくのは当たり前だし、そういう意味ではこれ以上合理的な手法はない。

例えば、物語を形づくることができないというのは、人物の成長過程を描けないということでもあるが、それも時系列を断片的に区切って一足飛びにすることでカバーできてしまうわけで。

まぁ、とはいってもただ年食ってるだけという見方もできるけど・・・。

さらに、その手法が完全に裏目に出ているところもあり、1番顕著なのは第2話でのタカキの無表情というか、あれはもう完全にノッペラボウと言っていいと思うんだけど、カナエに呼びかけられて振り返る時の顔といったら恐い怖い。

なんかタカキという容れ物だけで、魂どこに置き忘れてきたんだよお前は、みたいな。蟲師に出てくる蟲にとり憑かれた人みたいな、絶対バケモノだよあれ(笑)。

ま、言い換えれば“記号”でしかないってことなんだけど。

1話目はもう完全に「北の国から」だから(笑)、すんなり見れたからよかったけど、2話目のタカキには違和感感じまくりだったな。

3話目は完全に山崎まさよしのPVと化してたけど、断片化されたイメージを繋ぎ合わせてファイナライズして1つの作品にしていくという新海誠の特徴が実に端的に表れていたという点では見所はあったかな、と。

ただ、決定的な欠落やボロも平気で出しているんだけど、今回★4っつ付けているように、それ以上に見る者の過去の記憶のひとかけらひとかけらを一気に増幅させてしまうほどのイメージ力の洪水の連鎖にはあきれるを通り越して感服してしまうんだよね。

どうすればこんな青臭くて気持ち悪いくらいの自意識を持てるんだろう・・・(笑)。いや、これは決してけなしているわけじゃなくて、スゴイって思うんだよねホントに。

また、そうじゃなきゃ映画なんて作れるはずもないとは思うんだけど、そういうのを全部突き抜けて見る側に伝わってくるものを作れるというのはやはりスゴイなと。

個人的にはカナエの姉ちゃんが車のBGMでリンドバーグの“君のいちばんに・・♪”をかけてるところでビンゴきたぁーーッ!ってかんじだったけど(笑)。

新海誠が自分の得意とする本領が発揮できる土俵に持ち込んで勝負できたのが今回は結果的には良かったのだろうと思う。

少なくとも自分は、この5センチメンタルな情景にシビレまくりますた。。

Posted at 2007/06/14

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星を追う子ども

E6989fe38292e8bfbde38186e5ad90e381a 声の出演:金元寿子、入野自由、井上和彦、島本須美、折笠富美子

監督・脚本:新海誠

(2011年・日本・116分)DVD

内容:父の形見のラジオから流れてきた不思議な唄が忘れられない少女アスナ。ある日彼女は、地下世界アガルタから来たという少年シュンと出会うものの、少年は突然姿を消してしまう。シュンとの再会を願うアスナは、新任教師のモリサキからアガルタにまつわる不思議な神話を聞かされるのだった。そして、そんなアスナの前に、シュンと瓜二つの少年シンが現われる・・・。

評価★☆/30点

SONYじゃなくてSOMY、iPadじゃなくてiPed、東芝じゃなくてトーチファ、任天堂じゃなくてニンテンドゥー、、ジブリじゃなくて痔デス。。

パクリ王国の中国で今度はジブリがヤラレたーっ(笑)!

ハウルにもののけ姫にキツネザル、飛行石、コナン、ゲド戦記、親不在、、よくぞここまであからさまに繰り出してきたもんだと開いた口がふさがらなくなっちゃったけど、これは重症だよホントw

「秒速5センチメートル」で妄想を具現化するのは上手いが物語を形づくる才能はないと指摘したけど、それがそっくりそのまま表れちゃったかんじ・・。

何もかもが唐突すぎて、ここまで物語れないとはちょっと想定外だったな。

人物の内面と行動が乖離しっぱなしで、要は出てくる人物全員が自分の妄想から抜け出せないアフォどもばかりで見てて気持ち悪くなってくるばかりだし、伏線を書けないのねこの人って。小学生じゃないんだからさwこの脚本持ってこい!オレが直してやるからww

描きたい絵、描きたいキャラを数珠つなぎに繋げただけ、、ってただの妄想だろこれ・・。

で、ファンタジー世界でアスナに成長の跡が見られるかっていうと、ただ銃の撃ち方を覚えただけじゃないかっていう

女子中学生に銃の引き鉄を引かせるってのは最っ低な映画だよホント。

フォローのしようがないよ・・。マジでこの脚本持ってこいって話(笑)。

まずさ、アスナだけど、学級委員長の優等生が異世界アガルタをいとも簡単に受け入れ足を踏み入れていくためには相当な覚悟と動機が必要なわけで、そのためには“良い子を演じる孤独な少女像”を明確に印象づけなければならない。つまり現実では居場所がないということを納得させなければならない。最後の最後で「アタシ、、寂しかったんだ・・」とポツリと言われてももはや遅いのだ。

ここをしっかり描けていれば、アガルタに自分の居場所などもとよりないと吐き捨てるシンの心情とリンクしてくるわけで、話の幅は格段に広がる。

あるいはもう一度シュンと会えるかもしれないという思いを抱えてアガルタへ旅立つという見方もできなくはないけど、アスナにとっての喪失はシュンではなく父親の死の方がはるかにデカイはず。シュンなどはっきりいってどうでもいいのだw

その証拠に、地上の星を見たいがためにわざわざやって来て、その代償として命を亡くすシュンの死が、身投げのような絵と身元不明の少年の遺体が発見されたという電話だけで描かれるという味気なさでスルーされているではないか。

例えばそのときにアスナの目の前で世界に溶けて消えていくくらいの描写はあってよかったし、父親の形見である鉱石ラジオにクラヴィスのかけらが使われていたわけだから、それを見たシュンにクラヴィスとアガルタを結びつける説明をさせれば父親とアガルタに何らかの関係があったのかもしれない、つまりアガルタに行けばなにか父親について分かることがあるかもしれないとアスナに思わせる方が自然だろう。ただなんとなくモリサキに引っ付いていくのとはわけが違うのだ。

他にもいろいろツッコミどころはあるけど、推敲は大事なんだよ。だろ?新海。

分かったら次の脚本まずオレんとこに持ってこい(笑)!

Posted at 2012/01/10

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君の名は。

T0020640p1声の出演:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、成田凌、谷花音

監督・脚本:新海誠

(2016年・東宝・107分)盛岡フォーラム

内容:1000年ぶりにティアマト彗星が地球に接近する1か月前。岐阜県飛騨地方の糸守町に暮らす女子高生の三葉は、最近同級生から身に覚えのないオカシな言動を指摘されるが、そういう日は決まって東京の男子高校生になる夢を見ていた。一方、東京の男子高校生・瀧も、山奥の田舎町で女子高生になっている夢に悩まされていた。やがて2人は自分たちが実際入れ替わっていることに気付くのだが・・・。

評価★★★★★/100点

新海誠に長編は向かないし描けない。これは今までの5作品の拙レビュー(「言の葉の庭」は14番シアターでレビュー)で出した結論だった。

妄想力は図抜けてあるのに肝心の物語を生み出す力が図抜けて低い。

個人のモノローグだけで完結してしまうちっぽけな物語(いわゆるセカイ系)と、その閉鎖性を凌駕してしまうほどの圧倒的にリアルな背景画が描き出す厳然とある巨大な現実世界との不均衡を、シンガーソングライターのPVショーでフェティッシュな世界観に生まれ変わらせる。

これはどう考えても長編では心もとないレベルなのである。

しかし今回、その殻をものの見事に突き破った。

いや、そもそもジブリの妄想だけで映画を1本作れてしまう才の持ち主である。物語性の基本である起承転結とキャラクター造型に社交性を持たせれば大化けするのは必然だったともいえるわけで(笑)。

特に、今まで内にこもる根暗なこじらせ優等生を主要キャラに据えることが多かっただけに、今回の瀧と三葉のハジけたキャラ造型が果たした役割は非常に大きかったと思う。

ちょっと短気で三葉から目立つことはしないでと注意されるくらい行動派キャラな瀧のオッパイ揉み×2シーンだけ取ってみても今までの新海からは考えられない健全な進化だしw、閉鎖的な田舎町の暮らしに嫌気がさしている三葉が「こんな町イヤやー!早よ東京行きたーい!」と声に出して叫ぶのも今まではありえないことだった。

そしてこの感情の発露が共感にしろ反感にしろ他者とのつながりを生み出していく、その関係性の究極形が入れ替わりだと思うんだけど、まさに“結び”=“絆”というテーマを描き出すのに十分な説得力を有していたと思う。

まぁ、普通のことを普通の文法で語れるようになっただけともいえるけど、コメディタッチや物語のアップテンポな疾走感など、今まで新海が持ち合わせていなかった要素を組み込んだことで、恋しさと切なさだけが十八番だった新海節に心強さが加わって、こりゃ完全に篠原涼子の歌になっちゃった(笑)。

それは半分冗談としても確実な進化を遂げた作品になっていたと断言していいと思う。RADの曲も良かった♪

P.S. 映画公開半年後、事情があって岩手から東京に引っ越した。で、実際住んでみて、この映画で描かれている東京は、東京は東京でもド真ん中の東京のアイコン的風景なのだということがよく分かったwwあんな家賃の高い四谷なんて住めねーよ

そんな自分は隅田川沿いで質素に暮らしております。。

2017年12月31日 (日)

夢のシネマパラダイス161番シアター:才能vs狂気

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

A0212807_10131724出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ

監督・脚本:アレハンドロ・G・イニャリトゥ

(2014年・アメリカ・120分)盛岡フォーラム

内容:かつて大ヒットしたヒーロー映画「バードマン」で主演したリーガンは、そのイメージを払拭できず、その後は鳴かず飛ばずの俳優人生を送っていた。そこで再起を期して、アカデミックな演劇でブロードウェイに打って出ようとするが、男優のひとりが事故に遭ってしまう。舞台に危機が迫る中、出演女優レスリーが代役として使えそうな俳優マイクを連れてくるが、そいつはトンだセクハラ男だった。さらにアシスタントに付けた娘サムも麻薬に溺れる始末で、いよいよリーガンは追い詰められていく・・・。

評価★★★★/80点

落ちぶれた大スターが過去の名声の幻影に憑りつかれて悲劇的な末路をたどるというのは「サンセット大通り」だし、そこにバックステージものを絡めるのは「スタア誕生」ということで、題材としては特に真新しいものではない。

また、役者の実キャリアに重ね合わせる皮肉ともいえる配役も前者におけるグロリア・スワンソンを想起させるんだけど、今作はバードマン=バットマンというこれ見よがしなセルフパロディにまで昇華したダブらせ方が強烈で、さらにレッテル貼りの批評家はたまたハリウッド流見せかけの血とアクション好きの観客である我々をもブラックにあざけり嗤う痛烈な脚本の引きつけ方はハンパない。

特に現実世界と劇中世界が行きつ戻りつし混濁していくプロットは大胆そのもの。しかも時間軸の超越を疑似ワンカット長回しで描いていくので、見ている方は混乱するばかりなんだけど、役者としての怨念や狂気のオーラさえ持ち合わせない主人公リーガンのただただ空回りしジタバタするだけで報われない虚しい内面に実にうまくフォーカスした表現方法だったと思う。

まぁ、リーガンが脚本・演出・主演を務めるだけあってレイモンド・カーヴァーの劇中劇にほとんど魅力が感じられないのが映画的には玉にキズな気がしたけど、これも計算の内だったらマジで恐い(笑)。

しかし、ファラ・フォーセットはマイケル・ジャクソンと同じ日に死んだためニュースにもならず運が悪かったとかシニカルを通り越してもはや猛毒だろww

ネットの日常化で消費サイクルが目まぐるしく変わっていく中で有名人がどんどん“あの人は今”にふるい落とされていく時代、パンツ一丁で街中を歩かなければダメなんて可哀想すぎるよね

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セッション

86dfce36cc2497990be7dc7b35aec976出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワ、オースティン・ストウェル

監督・脚本:デイミアン・チャゼル

(2014年・アメリカ・107分)盛岡フォーラム

内容:名門のシェイファー音楽院に入学したニーマン。ある日、鬼のような練習で知られるフレッチャーの目に止まり、彼のバンドにスカウトされる。そこで成功すれば将来は約束されたも同然。偉大なドラマーになるという夢を持つニーマンは、血のにじむ練習に励む日々を送るが、フレッチャーの理不尽すぎる仕打ちにより精神的に追い詰められていく・・・。

評価★★★★☆/85点

自分が社会人1年目で入社した会社にフレッチャー(J・K・シモンズ)みたいな上司がいて、数年で耐えられずに辞めた。

仕事外の休憩時間などでは何の変哲もないミーハーな50代のオッサンにしか見えないのだがw、いざ仕事が始まるとスパルタな鬼畜に変ぼうを遂げる。まぁ職人気質といえばそれまでなんだけど、毎朝浴びせられる罵詈雑言の嵐にアンドリューのようにブチ切れることなく逃げ出して挫折の道を選んでしまった。

あれから10年以上経ったけど、今回この映画を見てその当時を思い出して息苦しくなってしまった

特に、アンドリューが交通事故に遭って血まみれのままステージに立った時に、一瞬動揺するそぶりを見せながらも気遣うことなく指揮を始めるところとかそういうかんじがめちゃめちゃ似てて、もうダメ・・

ただ先述したように、自分はその上司の前では何ら自己主張も口答えすることもなく、ただただ閉口して言われるがままになっていた。まさにヘビににらまれたカエル状態ww

しかし考えてみれば、自分にはアンドリューのような将来への野心もなければ理想も特にない学生気分の抜けないなんとなく生きている人間だったことは否定のしようがなく・・

それを思えば、どんなにフレッチャーから理不尽なしごきを受けても途中で投げ出さずにへこたれることなく、逆に破滅して早死にしたとしても世に名前を残したいという大いなる夢と、フレッチャーにつかみかかるまでの気概をみせるアンドリューの姿勢はスゴイとしかいいようがないし、そこまで打ち込めるものがあるというのも羨ましくさえ感じた。

天才は血のにじむような努力と多くのことを犠牲にする節制により生まれるというのはまさしく真なのだなと思い知らされたかんじ。

でも、恩師の導きがこんな憎悪むき出しの生き地獄なんて、そんな導き自分はいらない(笑)。

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ブラック・スワン

Black_swan_pos01 出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー

監督:ダーレン・アロノフスキー

(2010年・アメリカ・108分)WOWOW

内容:NYのバレエ・カンパニーに所属するニナは、看板プリマだったべスの引退を受けて、新たに企画された「白鳥の湖」の新プリマに抜擢される。しかし、白鳥の湖では純真な白鳥役と同時に、官能的な魔性の黒鳥役も演じなければならず、優等生タイプのニナは、黒鳥をなかなか表現できないことに苦しむ。さらに、大胆不敵な踊りで監督のトーマスに理想的な黒鳥と言わしめたライバルダンサーのリリーの台頭により、二ナの歯車は狂い始めていく・・・。

評価★★★★/80点

真に圧倒される映画というのはそうそう巡り会えるものではない。だから映画を見つづけるのだともいえるけど、驚異的な映像美、斬新なシナリオ、胸に迫り来る音楽、監督の演出力など様々な要素がある中、役者の演技力に圧倒されるというのはさらに稀だ。

「復讐するは我にあり」の緒形拳、「明日の記憶」の渡辺謙、「ダークナイト」のヒース・レジャー、「フェイス・オフ」のニコラス・ケイジ&ジョン・トラボルタ、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のダニエル・デイ・ルイス、「ディア・ハンター」のクリストファー・ウォーケン、「パピヨン」のスティーブ・マックイーン、「レオン」のゲイリー・オールドマン、いろんな映画でのラッセル・クロウ、、、

また女優でいえば「疑惑」の桃井かおりや「ミザリー」のキャシー・ベイツ、いろんな映画での大竹しのぶなどが思い浮かぶけど、絞りにしぼり出してもこれしか出てこない(笑)。

が、今回ここに「ブラック・スワン」のナタリー・ポートマンが新たに加わった。

純潔を守るお行儀の良い少女と性に目覚めた自由奔放な女、その純真無垢な白と小悪魔的な黒のシンメトリーの境界をアザだらけの繊細な足先で右往左往し混乱していく様をものの見事に演じきった。

見る人によって様々な解釈ができようが、自分の中で抑えこんできた自我の覚醒と過保護な母親からの自立、すなわち少女から大人への脱皮と巣立ちの物語と自分は見たけど、白鳥から黒鳥へ変貌し悠々と羽ばたくクライマックスはまさに鳥肌もの。

狂気のダークサイドに完璧に堕ちてみせたナタリー・ポートマンに往年のベティ・デイビスはたまたグロリア・スワンソンのような誰にも真似のできないペルソナを見たといっても言いすぎではなかろう。

また、子役は脱皮できずに消えていくことがほとんどの生き馬の目を抜くハリウッドで、子役から生き残ってきたナタリーの女優人生と物語がシンクロしているのもポイントで、ナタリーの演技が真に迫ってくるゆえんになっている。

そういう意味ではこの役はナタリー以外にはありえなかったともいえるけど、例えばウィノナ・ライダーの使い方を見ても、かなり嗜虐的かつ絶妙なキャスティングになっている。そこにいるだけでなんだか恐いバーバラ・ハーシー、挑発的な色気を醸し出すミラ・クニスしかりだ。

そのようにみれば、これは監督と女優のエネルギーがぶつかり合って奇跡的なカタルシスを生み出した稀有な映画である。

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へルタースケルター

5484a78f1b39c293fcf7a87f4056055d 出演:沢尻エリカ、大森南朋、寺島しのぶ、綾野剛、水原希子、新井浩文、鈴木杏、寺島進、哀川翔、窪塚洋介、原田美枝子、桃井かおり

監督:蜷川実花

(2012年・日本・127分)WOWOW

内容:人気絶頂のトップ・モデル、りりこ。が、実は彼女には絶対に知られてはならない秘密があった。彼女の美しさは、事務所の社長とともに全身整形で作り上げたものだったのだ。しかし、手術の後遺症は確実にりりこの身体を蝕むとともに、芸能界のプレッシャーや若い後輩モデルの突き上げにより、次第にりりこは精神的にも追い詰められていく・・・。

評価★★/40点

もう長らくリアルタイムで新作を追うヒマがなくなり、WOWOWで話題作を見るのが精一杯な自分は自ずと見る映画をしぼってしまわざるをえない。

それゆえハズレ率はかぎりなくゼロにしたいわけだけど、どうしても年に2,3本は大ハズレにぶち当たってしまう。

そう、これである(笑)。

序盤から脱いじゃってる映画にロクなものはないというのは鉄則だけどw、いの一番に脱いじゃってるんだから、そりゃあハズレからハズレるわけないよなっていう・・・。

それはさておき、美を売る仕事のトップの座に登りつめたカリスマモデルが全身整形の後遺症と移り気の激しい世間の目から“見られなくなっていく”恐怖におびえ悩まされ精神を病んでいくというのは、スターの転落劇としては鉄板ものだろう。

しかし、繊細な内面のもろさや危うさがどこまでも虚無的にしか描かれないので、飾り立てられた外面に中身はカラッポな映画としか見れないのがイタい。

それが意図した演出なのかどうかは別として、写真家としてモデルとフォトセッションする機会も多いであろう蜷川実花がこんな程度でしか撮れない&語れないのだとしたら、映画監督としてのセンスはダサいとしか言いようがない。

唯一、りりこの後継の座に据わることになる後輩モデルに水原希子をもってきたことだけは見事だったけど・・。

沢尻エリカについては、りりこが彼女自身のキャラクターとシンクロするところもあり、実にタイムリーな企画だったとは思うけど、その熱演むなしく単なるさらし者にしか見えないのはなんとも皮肉だ。

この映画が復帰作として歩くスキャンダルという称号を払拭するどころか、ますます彼女を使いづらくしてしまった感がしてしまうのは自分だけだろうか。。女優としての資質はピカイチだし、役者根性は見上げたものだけど。

一本調子な演出しかできなかった監督のやらかしてしまった責任は、思っている以上に大きいと思う・・・。

2017年9月 3日 (日)

夢のシネマパラダイス107番シアター:グランド・イリュージョン

グランド・イリュージョン

137147623826513231593出演:ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ウディ・ハレルソン、メラニー・ロラン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン

監督:ルイ・ルテリエ

(2013年・仏/米・116分)WOWOW

 

内容:ラスベガスのマジックショーで、“フォー・ホースメン”を名乗る4人組のスーパー・イリュージョニスト・チームが、一瞬にして遠く離れたパリの銀行から320万ユーロを奪って客席にばら撒くというド派手なイリュージョンを披露する。その直後、FBIとインターポールは強盗容疑で取り調べるが、証拠不十分のまま釈放となる。そこで捜査チームは、マジックの種明かしで大金を稼いでいる元マジシャンのサディアスに協力を要請するが・・・。

評価★★★/60点

分かりやすい邦題の付け方といい、オープニングのカードマジックといい、つかみは完璧だったのだけど、前のめりになって見れたのは冒頭の銀行襲撃マジックまでだけで、中盤以降は尻すぼみ。それこそ「ユージュアル・サスぺクツ」みたいなアッと驚くどんでん返しや仕掛けを見たかったんだけど、そこまでは及ばなかったなぁ。。

そもそも映画それ自体の醍醐味に映像マジックを駆使したイリュージョン的要素があるのだから、ストーリーの面でもっと伏線を効果的に使ったトリックを見せてもらいたかった。

まぁ普通にクライムサスペンスとして見れば楽しめるのだけど、マジックを扱った映画としての爽快感はほとんど得られなかったかんじ・・・。

マジックのネタばらしをいちいち懇切丁寧に示さない方が興味が持続してよかった気もするけど、それは反則かw

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グランド・イリュージョン 見破られたトリック(2016年・アメリカ・129分)WOWOW 

 監督:ジョン・M・チュウ

 出演:ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ウディ・ハレルソン、ダニエル・ラドクリフ、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン

 内容:前回のミッションから1年後のニューヨーク。大手IT企業オクタ社が発売する携帯電話に個人情報を抜き取る仕組みが施されている不正を暴露するために、“フォー・ホースメン”が再集結することに。ところが、新たなショーを仕掛けたホースメンの作戦はすでに何者かに見破られていて、彼らは逃亡を余儀なくされてしまう。しかも会場から逃走用トラックに繋がるはずの脱出用シューターに飛び込んで出た先は中国のマカオだった・・・。

評価★★☆/50点

豪華キャストでキャラ立ちも良くてトントン拍子に話も進んで、、なのになんで眠くなっちゃうんだろう。。

あっ、困った時の催眠術ネタが多すぎるせいだ。しかも強力ww

うーん、ミッションインポッシブル感と誰も殺さない作劇は魅力的なはずなんだけど、1作目にあったハッタリをかます大風呂敷感がなくてイマイチ乗り切れないんだよね。

マジックもCG映像が強すぎて面白くないし、裏の裏をかいていくオチのつけ方も後付け感が強くて表面的だし。まぁ、結局頭の固いオッサンはアナログなカードマジックが1番心躍ったってことなんだけど、、それじゃダメじゃん。

各要素だけみれば面白くならないはずはないのに、飽きずに見れるってだけではあまりにも勿体ないので評価厳しめ。。

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プレステージ

P0001690 出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、デヴィッド・ボウイ

監督:クリストファー・ノーラン

(2006年・アメリカ・130分)DVD

評価★★★★/75点

 

内容:19世紀末のロンドン。マジシャンとして華麗かつ洗練されたパフォーマンスを見せる“グレート・ダントン”ことロバート・アンジャーと、天才的なトリックメイカー、“ザ・プロフェッサー”ことアルフレッド・ボーデン。良きライバル関係にあった2人は、アンジャーの妻が脱出マジックに失敗して命を落とした事件をきっかけに、激しい確執の渦に取りつかれていく・・・。

“Mr.マリックの超魔術を見ていたら、途中からマギー司郎のマジックに変わってしまったトンでも作w!しかもオチはSFかよっ。”

本来マジックでは「タネも仕掛けもございません」とアピールするのが普通だけど、この映画はマギー司郎が開口一番「ここに手品用のハンカチがあります」とタネをあえて強調して進行するのと同様の展開に急旋回していく。

まぁ、そういう点では、映画の中で何度も強調された1.PLEDGE(プレッジ・確認)、2.TURN(ターン・回転)、3.PRESTIGE(プレステージ・偉業)という3つのステップはしっかり踏襲しているとはいえるんだけど。

ただそのタネが“双子”と“クローン人間製造機”って、、人を小バカにするのもいい加減にせえやっ(笑)!とも言いたくもなるわなぁ。。

ただ、素人でもタネが予想できるような伏線をこれでもかと強調して繰り出してくる中で、いや、でも待てよ、そんな人を喰ったようなオチであるはずがないという疑念も湧いてきたりしてw、実はもっと凄いオチが待ち受けてるのかと、なにげに緊張感ありまくりで見れてしまったし。

まぁ結局はそのまんまのオチだったわけだけど、監督が「メメント」(2000)のクリストファー・ノーランということもあって、人を小バカにしたようなダマシのテクニックに対する耐性があったのと、人間としての倫理を超越するまでにエスカレートしていくアンジャー(ヒュー・。ジャックマン)とボーデン(クリスチャン・ベール)の意地の張り合い合戦、そしてそれを演じた2人の印象的な演技に引き込まれ、予想通りのラストにもかえって爽快感を満喫できてしまった。

まぁ、マジックそのもののタネはフザケてるけど、映画としてはまぁまぁよく出来た作品だったんじゃないかな。

ただ、他人に薦められるかというと、かなり勇気がいるかもww

自分は、胸の内にとどめておくだけにしときます・・・。

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姑獲烏の夏

Ubumenonatsu 出演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、宮迫博之、原田知世、田中麗奈

監督:実相寺昭雄

(2005年・日本・123分)2005/07/09・九段会館

内容:昭和27年夏、東京の鬼子母神。巷では産婦人科、久遠寺医院にまつわる不気味な噂が広まっていた。それは、院長の娘が20ヶ月間も身ごもったままで、彼女の夫も1年半前から失踪したというもの。この事件を取材することになった小説家の関口は、憑き物落としの顔を持つ古書店主・京極堂こと中禅寺秋彦に相談をもちかける。やがて、事件は私立探偵・榎木津やその幼なじみの刑事・木場らをも巻き込んでいき・・・。

評価★☆/30点

上田ァ、お前一体何やってるんだ、エッ?榎木津?

お前、憑き物スジに、、バカ!上田っ、戻って来い。

え?貧乳だからもうイヤだって?そういうお前は巨根だろうが・・。

うぅ、、オイラの脳が勝手に作り出したバーチャルな世界で山田奈緒子が暴れ回っている。。

1人2役で墓穴を掘っている原田知世を見て、「トリック」の仲間由紀恵が恋しくてたまらなくなってしまったのですた・・・。

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魍魎の匣(2007年・日本・133分)WOWOW

 監督・脚本:原田眞人

 出演:堤真一、阿部寛、椎名桔平、宮迫博之、田中麗奈、黒木瞳

 内容:1952年東京。少女バラバラ連続殺人事件が世間を騒がせる中、探偵・榎木津は、元映画女優の柚木陽子から失踪した娘の捜索を依頼される。一方、作家の関口と若手記者・中禅寺敦子は、不幸をハコに封じ込めるという宗教教団を追っていた。さらに、刑事・木場は巨大なハコ型の医学研究所の謎に迫っていて・・・。やがて難解な3つの事件は、敦子の兄である京極堂のもとへと持ち込まれることになる。

評価★★☆/45点

原作を読んだことがない自分にとってはチンプンカンプンで、あげくの果てには大友克洋の「スチームボーイ」になっちゃうSFチックな展開にもはやついて行くことができず・・・。

江戸川乱歩のような、なまめかしくも生々しいエログロのアブナイ世界がお目見えするかと思いきや、ただグロイだけだったし。

一筋縄ではいかないキャラクターの人物造型や、戦後間もない東京の舞台装置など、細部にいたるこだわりはみっしり詰まっている映画ではあるのだけども。。個人的にはどうもダメだった。

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TRICK トリック劇場版(2002年・東宝・119分)品川プリンス

 監督:堤幸彦

 出演:仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、野際陽子、伊武雅刀、竹中直人、ベンガル、石橋蓮司

 内容:自称売れっ子天才奇術師・奈緒子は、300年に一度、大きな災いが襲うといわれている糸節村の村人から、不安を取り除くため神を演じてほしいとの依頼を受ける。彼女が村を訪れてみると、そこには3人の自称神さまがいた。そして不可思議な現象も次々と起こり、奈緒子と物理学者・上田は翻弄されていく・・・。

評価★★★/60点

どおきマ うによツ かづくチ んかとし がちえて えひいい てろがな ものがい。くわっぱ!

映画に出てきた暗号文で感想を書いてみますた。。ヒマなヤツ・・

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TRICK トリック劇場版2

Mo4096_f1 出演:仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、野際陽子、片平なぎさ、堀北真希、平岡祐太

監督:堤幸彦

(2006年・東宝・111分)盛岡東宝

内容:関東沖合に浮かぶ小さな島、筐神島。山の頂上には巨大な岩がチョコンと乗っている。それはこの島を支配する霊能力者・筐神佐和子がたった一人で一晩のうちに持ち上げたものだという。そんなある日、上田のもとに青沼という青年がやって来て、10年前に佐和子に連れ去られた幼なじみの美沙子を連れ戻してほしいと依頼する。上田はいつものように奈緒子を巻き込み、2人はゴムボートで島へと乗り込むのだったが・・・。

評価★★★/60点

終始ニヤニヤしながら見てしまったが、見終わって出た連れの最初の言葉は、「こんなんTVでやれ!」だった・・。たしかに。

そもそもTVドラマよりもかえってスケールダウンしていかねないものをわざわざ金払って見に行くというのは、TVシリーズから熱心に見続けてきたコアな視聴者か、堀北真希ファンクラブの会員くらいなもので、そういうコアなファンに送られた小ネタ満載のファン感謝祭。それが今回の作品だと思うんだよね。

「幸福の黄色いハンカチ」(1977)からONE PIECEに至るまで小ネタとノリツッコミだけでストーリーを展開させているんだから恐れ入る。

ミステリー?んなもんどうでもええのよ(笑)。飾りつけ程度で。おいおい。。

でもまさかジャック・マイヨールまで出してくるとは思わなかったけど。

片平なぎさの白手袋ネタはベタとしても、完全にこれは自己満足を満たすためだけの映画です。恐れ入りますた。

2017年3月15日 (水)

夢のシネマパラダイス572番シアター:ヒメアノ~ル

ヒメアノ~ル

A1l3y90e4l_ac_sy879_出演:森田剛、濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシ、駒木根隆介、大竹まこと

監督・脚本:吉田恵輔

(2016年・日活・99分)WOWOW

内容:ビル清掃会社でパート社員として働く冴えない青年・岡田は、退屈で孤独な日々を送っていた。ある日、超ポジティブな先輩・安藤から、カフェ店員ユカとの恋の橋渡し役を頼まれた彼は、訪れたカフェで高校の同級生・森田と再会する。しかし、かつて過酷なイジメを受けていた森田に、岡田は後ろめたさを感じていた。そんな中ユカから、森田にストーキングされていることを相談されるが・・・。

評価★★★★☆/85点

今まで五万と映画を見てきた中でも作品の世界観にこれだけ振れ幅のある映画を見たのは初めてのような気がする。

「メリーに首ったけ」のようなおバカフォーマットのラブコメを見始めたと思ったら、途中から身の毛もよだつサイコスリラーへ変貌を遂げるのだから。

ムロツヨシはベン・スティラーで、森田剛は「ノーカントリー」の無感情の殺人マシンであるアントン・シガー(ハビエル・バルデム)と考えると、同じ映画で2人が共存できているってのはスゴイの一言。

濱田岳はいつもの濱田岳であり、佐津川愛美は計算マコちゃんというステロタイプな童貞&小悪魔カップルなんだけど、かの2人とは対極にある無個性なキャラ造形が、キレると絶対ヤバそうなチェーンソー男と、コンビニ行ってくる感覚で人を殺しまくるサイコパスのキャラクターを増幅させているのは上手いなと思った。

漫画原作は読んだことないけど、これって稲中卓球部描いた人だと知ってビックリ!変人オンリーのギャグマンガからヒミズを経てヒメアノ~ルっていう作風の変遷は、漫画家としてレアケースな部類に入るのは間違いない。

でも、考えてみれば稲中の時から笑いと残酷&狂気は紙一重であるという要素がすでにあった気がする。稲中ではコメディ部分が前面に出ているけど、人間のシリアスな暗黒面と笑いの間を行き来できる人なんだろうね。そう考えると、今回の作品も理解の範疇に入ってくるのかなと。

だから結論としては、日本の漫画はスゴイってことなんだけど、エログロから逃げずに映像化した吉田恵輔監督もさすが。

マコちゃんの部屋に侵入した森田と童貞くんが格闘するシーンなんて緊迫感極まりないはずなのに、バイブのコードで森田の首を絞めるところで思わず脱力してしまうところとか、コメディとシリアスが同居しているという点で上手く描けているなぁと思った。

しかし、ムロツヨシにチェーンソー振り回してほしかったなぁww「シャイニング」のジャック・ニコルソンになっちゃうか。。

P.S.実はこの映画1番の発見は、佐津川愛美だったことを記しておきたい。

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ヒミズ

D0151584_22233351 出演:染谷将太、二階堂ふみ、渡辺哲、諏訪太朗、吹越満、神楽坂恵、光石研、でんでん、村上淳、窪塚洋介、吉高由里子

監督・脚本:園子温

(2011年・日本・129分)WOWOW

内容:15歳の少年、住田祐一の家は貸しボート小屋。父は蒸発中だったが、ある日、母親も男を作って出て行ってしまう。天涯孤独になった住田だったが、ボート小屋の周りで野宿している震災難民の人たちや、住田に夢中の同級生・茶沢景子の励ましもあって平穏な日々が保たれていたが・・・。

評価★★★/65点

奇しくもこれを見る数日前に「八日目の蝉」を見た。

そしてあまりにも切なく、あまりにも純粋な母性の美しさに胸を打たれたのだが、その余韻は今回の映画を見てあっけなく吹っ飛んだ。

最後の寄る辺である母性でさえもこの映画には不在なのだから・・。

主人公の住田(染谷将太)の母親はオッサンと駆け落ちし蒸発してしまうし、ヒロイン茶沢(二階堂ふみ)の母親は娘を絞首台にかけようとする。

さらに母なる大地は無残に打ち砕かれ、種蒔く人である男たちはそこに呆然と立ちつくすしかない。

3.11の東日本大震災の生々しい爪跡を映画に取り入れるのは一歩間違えればそのセンスを疑われかねないと思うのだけど、母性の欠如というテーマに則っていえばその必然性はあったといっていい。

しかして、父性はおろか母性も欠如している中にあって、かろうじて父性を見出せたのは、でんでん演じるヤクザの親分であり、母性を見出せるのはさしずめ茶沢さんしかいないのだけれど、茶沢さんにしても懸命にそれを演じようとしているにすぎず、どう見ても空回りしている。

しかしその空回りが、過剰な自意識にがんじがらめになって生きることが苦痛になっている住田が他者に向き合うための動力源になっているのだ。

例えば、五七五で言葉をつなげ言葉につまったらビンタするゲームも、住田に酷いことをされたら石を1個ずつポケットに詰めていき溜まったらそれを投げつけるというのも、強制的に関係性を作り上げて他者を意識させる呪縛としているのだ。

その後、住田は池で拳銃自殺したとみせかけ、茶沢さんに石を投げ捨てさせ呪縛を解き放ち自ら他者に向き合う。

そしてラストの「がんばれ!!」と叫びながらの並走となる。

並走であることが良い。

道を導く父も見守る母もいない中では並んで走るしか他に道はないのではあるけれども、希望を見出せる締めくくりにひとまずホッと安堵した。

しかし、、とはいってもこの点数が限界(笑)。

やっぱり少女を平気で張り倒す常軌を逸した暴力は受け入れがたかったし、全体的に過剰すぎる演出は自分の求める波長とは正直ズレていたからだ。

全てが過剰なわりにはその半分も響いてこない映画だった・・w

少なくとも親に愛されてきたと自負できる自分とはあまりにもかけ離れた彼らの抱える文脈の理解に苦しんだというのもあるけど、ワンパターンな空回り感は最後まで拭えなかったかなぁと。。

しかし、何度も言うけどラストは良い

ラストを見て、あーやっぱこの映画見てよかったと思えた。

でも、、もう一度「八日目の蝉」見よっかな(笑)。。

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愛のむきだし(2008年・日本・237分)WOWOW

 監督・脚本:園子温

 出演:西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ、尾上寛之、清水優、渡辺真起子、渡部篤郎

 内容:敬虔なクリスチャンの一家に生まれた青年ユウ。母を早くに亡くした彼は、理想の女性“マリア”に出会う日を夢見ていた。しかし、神父の父から毎日懺悔を強要されるユウは、懺悔ネタを集めるために罪作りに励むようになる。そして、最も下劣な罪“盗撮”に没頭し出した。そんなある日、彼はついに理想のマリア、ヨーコと出会い一瞬で恋に落ちるのだったが・・・。

評価★★☆/50点

非常にきつい4時間だった。

ゆらゆら帝国が歌うように、まさに見終わった時の自分は“空洞でした”。

まるで山上たつひこを想起させるような過激なナンセンスコメディタッチをさらに突き抜けてしまうハイテンションにほとほとついて行けなかったんだけど、ドスケベと変態の境界線をまたいで勃っている自分にとってはw、そもそもパンチラってところからして興味がわかないわけで(笑)。

じゃあ何だったら良かったのかって?

うん、胸チラだったら!ってアホか

いや、なんだろ、70-80年代のサブカルに78年生まれの自分が引っかからないはずはないんだけど、ことごとくリンクしてこなかったなぁ・・・。ただ、満島ひかりと安藤サクラの怪演に引っ張られるようにダラダラと見続けたかんじ。

タイトル出るまで1時間ていう映画を見たことくらいしか経験値として得たものないんだけど、4時間を2時間に圧縮してくれたらまだ見れたかも。

って何?すでに6時間を4時間に圧縮してるって!?

え゛っ!?さらに何?実話がネタ元になってるって!?

、、どうやら自分、およびでなかったようだ

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カナリア

Kjmzvfbhug 出演:石田法嗣、谷村美月、西島秀俊、りょう、つぐみ、甲田益也子、井上雪子

監督・脚本:塩田明彦

(2004年・日本・132分)DVD

評価★★★★/80点

 

内容:都内で無差別テロ事件を起こしたカルト教団「ニルヴァーナ」から保護された12歳の少年・光一は、関西の児童相談所に預けられたものの、いまだ洗脳が解けないでいる。が、祖父に引き取られた幼い妹を取り戻すべく、ある日施設を脱走した光一は、援交相手から逃げていた少女・由希と一緒に祖父のいる東京へ向かう・・・。オウム真理教をめぐる事件をモチーフに、少年の悲痛な運命と癒えない心の傷を描いた問題作。

“飛び方を忘れてしまった親鳥から生まれた小鳥は、しかししっかりと飛び立つことができるのだ。”

出たとこ勝負で旅を続ける少年と少女よりも、大人たちの茫洋を漂うような漂流ぶりの方が印象に残る。

たぶん、いや確実にこの作品は、今を生きる大人たちに向けられた作品なのだ。

例えば、社会と教団信者を単純に「被害者」と「加害者」というボーダーで明確に対峙させず、逆に曖昧にしているのはこの映画の特筆すべき点だと思うが、「被害者」という真っ白なベールで覆われた中に「加害者」の顔を潜ませた社会の姿をもあぶり出していく手法は、ある意味アブない題材を扱った映画であるにもかかわらず非常に客観的で、こういう手法をとった勇気と態度は買いたいし、ただの陳腐なロードムービーという枠に収まらない重みを与えていると思う。

特に盲目のおばあちゃんのエピソードにはつい考えさせられてしまうものがある。

子供に全財産を教団に寄進された、ある意味被害者のはずだった彼女を、しかし社会はつまはじきにして行き場所を失わせてしまう。

同じことが光一少年の祖父にもいえるのだが、実は「被害者」の顔の裏に「加害者」の姿=無責任な親の姿を潜ませたとんでもないジイさんだったことが光一との対面で明らかになる。

この映画の中で問われているのは、教団信者というよりは彼らも含めた社会の大人たち、親たちなのではなかろうか。

少女・由希を虐待している父親、子供を泣かせているレズビアンの女、光一の母親・道子、道子の父親である光一の祖父、あげくの果てに由希の援交の相手は手錠を持った警察官・・・。

ミスチルの歌の中にこういうフレーズがある。

子供らを被害者に、加害者にもせずにこの街で暮らすため、まず何をすべきだろう/

でももしも被害者に、加害者になったとき出来ることといえば涙を流し、まぶたを腫らし祈るほかにないのか・・・/

いや、かろうじて出来ることは、相変わらず性懲りもなく愛すこと以外にないのだ/

ただただ抱き合って、手を取って抱き合って・・・。

無責任で身勝手な親たち、大人たちが子供らに手を差し伸べることができるのかどうか、ここにこの映画の物語の行く末は握られている。

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ニンゲン合格(1999年・松竹・109分)NHK-BS

 監督・脚本:黒沢清

 出演:西島秀俊、役所広司、菅田俊、りりぃ、麻生久美子、哀川翔、大杉漣

 内容:14歳で事故に遭った吉井豊は、昏睡状態から10年の時を経てある日目を覚ました。しかし、彼を迎え入れたのは父親の友人・藤森だけで、肝心の家族の姿はどこにもない。両親は離婚し、一家はバラバラになっていたのだ。失われた時間の空白感をなんとか埋めようと豊はかつての家業であったポニー牧場を造り始めるが・・・。

評価★★★/60点

非常に居心地の悪い映画だ。

生き返ってハッピーエンドではなく、生き返ったら笑えない現実が広がっていたという哀しいお話。

そして、いつ帰ってくるか分からない寅さんを優しく迎えてくれる「男はつらいよ」のような家族のあり様はもはや欺瞞でしかないという冷徹な視点は、見ていてなんだか虚しくなってくるばかり・・・。

それに加えて人物に感情移入させないほど物語の説明の省略具合もあからさまで、あえてはぐらかし×2している意地の悪さはどうもイマイチだった。

映画を見て“わけが分かりたい”性分の自分には正直よく分からない映画だった、かな

2017年1月 3日 (火)

夢のシネマパラダイス540番シアター:バケモノの子

バケモノの子

Bakemono1_large声の出演:役所広司、宮崎あおい、染谷将太、広瀬すず、長塚圭史、麻生久美子、黒木華、津川雅彦、リリー・フランキー、大泉洋

監督・脚本:細田守

(2015年・東宝・118分)DVD

内容:この世界には人間界とは交わることのないもうひとつの世界、バケモノ界がある。ところがある日、渋谷に独りでいた少年がバケモノ界“渋天街”の住人である熊徹と出会う。そして少年は強くなるため渋天街で熊徹の弟子になることを決意し、熊徹から九太という名前をもらい、修行に励む日々を送る。やがて成長して渋谷へ戻った九太は、女子高生の楓と出会う・・・。

評価★★★/60点

渋谷センター街と異界=渋天街がつながっているというのは、キングスクロス駅のプラットフォームから魔法学校へ行けるハリポタと同じく現実感があって面白い。

その点では千と千尋のトンネルと同じ発想なのだけど、これが簡単に行き来できてしまうとなると途端に白けてしまう・・・。

しかし、一般に普通のファンタジーは少年少女が異世界で成長して現実世界に戻ってくるという“行きて帰りし物語”が定石だけど、今回は異世界に行って8年経ってすでに成長してしまった後が物語のメインになっているので、異世界における成長譚を描いても意味がないんだよね。それゆえ異世界と現実世界の境界が曖昧模糊になるのも当然なことではある。

じゃあ、そこで何を描くか。

となると、今度は多感な少年時代を8年も離れていた現実世界でのアイデンティティの確立、いわば“バケモノの子”と“ヒトの子”との葛藤に主軸が置かれてしかるべきだろう。

ところが九太は現実世界に戻るやそんな悩みなど微塵もみせず図書館で本を読む始末。こりゃダメだw

その点、先のテーマは一郎彦にこそ当てはまるわけで、普通なら一郎彦が主人公でもいいくらいなんだよね。

そこらへんのズレがやはり見ている間ずっとモヤモヤとしていて、自分の中で合理的に納得して飲み込めなかったかんじ。。

期待値が高かったぶん中途半端な中身にやや評価は低め

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ブレイブ・ストーリー

E38396e383ace382a4e38396e382b9e3838 声の出演:松たか子、大泉洋、常盤貴子、ウエンツ瑛士、今井美樹

監督:千明孝一

(2006年・日本・111分)盛岡フォーラム

評価★★/40点

内容:ある日、小学5年生のワタルが学校から帰ってくると、父親が家を出て行ってしまい、さらに母親は倒れて入院してしまう。突然家族がバラバラになってしまった現実を受け入れられないワタルは、転校生ミツルの言葉を思い出した。それは、「幽霊ビルの屋上から天に伸びる階段の先の扉の向こうへ行けば、運命を変えられる」というもの。ワタルは家族を取り戻したい一心でその扉の中に飛び込んでいく・・・。直木賞作家・宮部みゆきの冒険ファンタジー小説のアニメ映画化。

“このRPGゲームが中古で売られていたとしても、、、100%買わない。。”

それくらいツマラなかったです、この映画・・・。

ま、宮部みゆき原作小説の映画化作品って、「理由」以外見るに堪えないのばかりだけど。1番好きな作家だけに困っちゃうんだよなぁ(笑)。

なんで映画になるとツマラナイのか。。

それは、宮部みゆきの小説がなぜ面白いのかと言い換えることができると思うんだけど、独特かつ唯一無二の洗練され研ぎ澄まされた確かな日常感覚と、事件や犯罪から超常現象に至るまで異常なまでに豊かな非日常性が、見事な完全調和をみせているところにあると思う。

しかし、これが映画になると、日常感覚にほとんど光が当たらないという体たらくになってしまうのだ。

非日常的エピソードの積み重ねを追うというのは映画生来のサガではあるのだが、こと宮部みゆき原作に関しては確かな日常感覚に光が当たらないというのはもはや致命的である。

そう考えると、今回の「ブレイブ・ストーリー」は、宮崎駿の「千と千尋の神隠し」と比べてもよく分かるが、異世界(幻界)へ行く前の主人公ワタルの日常的エピソードがじっくりと描かれていて、しかも家族という日常が崩壊しつつある危うさにワタルが直面していく過程がややクドイくらいに描かれているのが大きな特徴といえる。

ここまではまだいい。

しかしだ、、、肝心の非日常世界へ行ってからの薄っぺらさと安っぽさと怠けっぷりはナンダ!?一体何なのだ!?なぜなんだ(笑)?こいつらにヴィジョンはあるのか!?

こっちが良ければ、今度はあっちがダメかぁ、、、って、おいおい頼むよ~。

成長過程が全然ないというか、Aqua Timezの歌の力で見習い勇者のレベルがブッ飛んじゃった、、みたいな。。なんじゃそりゃ。

また、幻界という異世界の描写も日常感覚(リアリティ)と非日常性(ファンタジー)のバランスが全く取れていない。

やっぱこういうの見ると、ジブリアニメの凄さってのが如実に実感できるなぁ。トホホ。

「千と千尋」でいえば、冒頭から何の説明もなしに千尋は異世界へ迷いこんでしまうわけだけど、宮崎駿はその異世界をおもいっきり非日常的な世界でありながら、なおかつおもいっきり日常的に現実世界と表裏一体で渾然一体に描いてしまうという離れ技をやってのけた。

それは、一貫性のないストーリーを無理やり引っ張ってしまうという力技にもなったのだが、終始一貫して主人公千尋に視線を寄り添わせて描くことで、少女が生きる力を取り戻す物語世界としてしっかりと成立させてしまった。

こりゃもうかなわんわな・・・。

本作にそこまでを求めるのは酷といえども、ひとつの物語世界としてもう少ししっかりしたものを提示してもらいたかった。映像としての世界だけで見せようとするのは駄作への近道以外の何ものでもないし、そういう安易な手法に埋没するのは避けてもらいたい。切に願います。。

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friends もののけ島のナキ(2011年・東宝・87分)WOWOW

 監督・脚本:山崎貴

 声の出演:香取慎吾、山寺宏一、阿部サダヲ、YOU、加藤清史郎

 内容:もののけが住むと恐れられ、近づくことさえ禁じられた不気味な島にある日、人間の赤ん坊・コタケが迷い込んでしまう。ところが、コタケを目にしてもののけたちの方が大パニックに。そこで、赤鬼ナキと青鬼グンジョーがコタケの面倒を見ることになるが・・・。

評価★★★/65点

余韻や感慨などどこ吹く風のアッサリ食感があまりにももったいないくらいの琴線に触れるイイ話なので、あと15分くらい延長してエピソードをもう少し入れた方がよかったような・・。まぁ、キッズ向けだと90分がベストなのかもしれないけど。

でも、CGアニメ技術はピクサーにも劣らないところまで来ているのはこれ見るとたしかなのだから、あとはキャラクターしかりシナリオしかり笑いと感動は細部に宿るってことをもう少しよく考えて創作をしてもらいたいものだ。

それはつまるところ映画好きが楽しい映画を作るというごく単純なことなのだけど、そこの部分はピクサーにはまだまだ敵わないってかんじかなぁ~。。

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ホッタラケの島 遥と魔法の鏡(2009年・東宝・98分)WOWOW

 監督:佐藤信介

 声の出演:綾瀬はるか、沢城みゆき、戸田菜穂、大森南朋、谷村美月

 内容:幼い頃に母親を亡くし、父と2人暮らしの女子高生・遥。ある日、母親の形見である手鏡をなくしたことに気付き、稲荷神社にお参りに行った彼女は、奇妙なキツネを見つける。そして後を追った先にあった泉から異世界へと迷い込んでしまう。そこは、人間がほったらかしにした物=ホッタラケで出来た島だった・・・。

評価★★★/65点

人間がほったらかしにしたもので出来上がったというパラレルワールド的世界観を有するファンタジー世界のアイデアの着想、民話的なヴィジュアルイメージ、主人公・遥のキャラ設定、ツボを外さないシナリオなど意外に及第点あげてもいいくらいの出来で、ファンタジー好きの自分は割りと楽しめてしまった。

が、ゆえにフルCGの稚拙さと違和感がより気になってしまったのもたしかで、普通に二次元アニメでいいじゃんと思ってしまう・・。

まぁ、ピクサーのレベルの高さがこういうの見ると如実に分かるよねっていう。。

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カクレンボ(2005年・日本・24分)NHK-BS

 監督:森田修平

 声の出演:竹内順子、植木誠、鈴木真仁、内藤玲

 内容:夜、カクレンボをすると鬼に連れて行かれる・・・。行方不明になった妹を探す少年ヒコラたちと、鬼の正体を暴こうとするノシガたち、そして謎の少女もまじえた7人の子供たちが摩天楼の最下部の薄暗く入り組んだ街中へと足を踏み入れ、おトコヨさまのお遊戯カクレンボを始める・・・。

評価★★/40点

題名をローマ字表記で出してくる時点でこりゃちょっと違うなと感じたけど、まさにその通りの出来だった・・・。

とにかく才能をひけらかすように絵で語ろうとするのはやめれ!そんな離れ技できるのは宮崎駿くらいなもんなんだから。

ストーリーがとにかく薄すぎて話にならないよこれじゃ。。

2016年10月30日 (日)

夢のシネマパラダイス493番シアター:アフリカの今

キャプテン・フィリップス

Poster2出演:トム・ハンクス、バーカッド・アブディ、バーカッド・アブディラマン、ファイサル・アメッド、キャサリン・キーナー

監督:ポール・グリーングラス

(2013年・アメリカ・134分)WOWOW

内容:2009年。ケニアへの援助物資を運んでいたアメリカ国籍のコンテナ船マースク・アラバマ号が、ソマリア沖で武装したソマリア人海賊に襲撃される。あっという間に船が占拠されてしまう中、船長のリチャード・フィリップスは、重大な決断を迫られていくが・・・。

評価★★★★/75点

さすがボーンシリーズでアクションエンタメのハードルを一段上げただけのことはあるポール・グリーングラスの真骨頂がここでも存分に発揮されている。

その真骨頂とは、疑似ドキュメンタリーをアプローチとしてエンターテイメントを創造することにある。

具体的には手持ちカメラの絶妙な距離感が生み出す緊迫感と臨場感がフィクションであることを軽々と超越してしまう、その高度なテクニックが半端ないことにつきる。そしてそれが監督が常にモチーフとして描く生死の境という極限のシチュエーションに絶大なリアリティをもたらしているわけだ。

映画を見る上で、一寸間違えば死という究極の非日常に飲み込まれてしまうかもしれない恐ろしさを体感できるというのはそうそうあるものではないけど、この監督の映画の面白さはそこにこそある。

その中で今回はソマリア海賊による船のシージャック事件の実話をもとにしていて、何の比較対象もない大海原の上ということでスピード感とか緊張感が鈍重になりはしないかと一抹の不安感があったのだけど、それはほどなくして杞憂に終わった。

ヤン・デ・ボンの「スピード2」とは大違いだった(笑)。

特に小さな海賊船が大きなコンテナ船をあれよあれよという間に乗っ取るまでの一連のシークエンスは息つく暇もなく見応え十分。

双眼鏡でのぞいた時に小粒のような不審船が猛然とこちらに向かってくるのを見つけた時や、不意にマシンガンを撃ち込まれた時の恐怖感はヒリヒリと伝わってきて、まさに疑似体験を味わわされた

搾取する側とされる側、先進国と途上国という政治的な問題を匂わせはするけど、結局武器を持つ者と持たざる者、最新鋭の武器とボロボロの武器という即物的な力の大小に落ち着くあたりは、よりエンタメ方向にベクトルが向いているので、だとしたらソマリア海賊側の視点を入れるのは、言い知れぬ恐怖が減退してしまうし、しかも申し訳程度に入れるのならいらない方が良かったとも思ったんだけど。。でもまぁ、ここまでハイテンポに畳みかけられるとそれも気にならなかった。

やはりこの監督スゴイわ。

でも、海賊を生業にしなければ生きていけないソマリア人の悲劇っていうのもあるんだよね。進んでも地獄、戻っても地獄ていう・・・。

そこらへんの掘り下げに関してはまた別な作品で見て勉強しないとダメだな。

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風に立つライオン

Poster2出演:大沢たかお、石原さとみ、真木よう子、萩原聖人、鈴木亮平、藤谷文子、石橋蓮司

監督:三池崇史

(2015年・東宝・139分)WOWOW

内容:1987年、ケニアにある長崎大学の研究施設に派遣された島田航一郎。現地で研究の他に一般診療も行い充実した日々を送るが、ある時、赤十字病院から1か月の派遣要請を受ける。そこで彼は内戦で負傷した人々が次々に運び込まれてくる想像を絶する過酷な状況を目の当たりにする。そして自分の無力さを思い知らされた彼は、そのまま赤十字病院への勤務を志願するのだった・・・。

評価★★★/65点

ケニアロケを敢行しただけあってアフリカの雄大な大地の画力と奥行きは白眉で、登場人物の信条や境遇が純化されていくに足る色彩を帯びていたように思う。

その中でアフリカの医療に身を捧げる島田航一郎(大沢たかお)は、幕末にタイムスリップした現代の医師が近代医療に身を投じるJIN-仁-を想起させて見応えがあった。

しかし、せっかくの濃密な題材も扱いが散漫な印象が拭えず…。

それは多分にアフリカパートと長崎パートのコントラストにムラがありテンポの悪さが目についたことが大きいと感じたのだけど、はたして長崎パートは必要だったのだろうかとそもそも論のところで思ってしまった。

そこに時間をかけるよりもケニアで赤十字の戦傷病院で働く看護師の草野和歌子(石原さとみ)の経歴をこそもっと丹念に描いてほしかった気も。。

もっと骨太な作品にできたはずという点ではもったいない感の方が勝ったかなぁ・・。

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ザ・インタープリター

Imge8d3b19307vfv3 出演:二コール・キッドマン、ショーン・ペン、キャサリン・キーナー

監督:シドニー・ポラック

(2005年・アメリカ・129分)2005/06/01・MOVIX仙台

評価★★★/60点

内容:アフリカ南部のマトボ共和国で大量虐殺が行われていると、国際社会はズワーニ大統領を厳しく批判していた。そんな中、国連総会でズワーニ大統領が演説することが決まる。マトボの言語であるクー語を翻訳できる国連職員のシルヴィアは、ズワーニの暗殺計画を知ったため通報するのだが、シークレットサービスから派遣された捜査官のケラーは、彼女自身が暗殺に関与していると疑う・・・。史上初めて行われた国連本部内でのロケも話題に。

“国連というどでかいリアルを持ち込んだわりに、よくあるフィクションの1つにしかなっていないのは消化不良。”

クー語と聞いて「不思議惑星キン・ザ・ザ」を思い浮かべてしまうのは自分だけかww?

というのはともかくこの映画、、惜しい。サスペンスとしてもドラマとしても、、惜しいのだ。逆に言えば物足りなさが目立つともいえるわけで。

国連というリアルな箱庭をせっかく用意したのに、まるで上空からその箱庭をただ俯瞰しただけのような中身の無さ。

あるいは、マトボ及びクー語という用意周到な虚構の中で、小さなリアルを積み重ねることによってアフリカの紛争、アフリカの“今”を切り取るのかと思いきや、現実離れしたキッドマンの人物設定といういわば絵空事だけで押し通しあぶり出していこうとする無茶苦茶さ。

また、ケラー(S・ペン)の私生活における悲しみが、接点の見えないまるで意味のない無駄な描写に見えてしまうほど物語と絡んでこないもどかしさ。

これらが総じてこの映画を物足りないものにしていると思ってしまった。

結局、大統領暗殺計画という大きなサスペンスドラマの落ち着いた先は、シルヴィアとケラーが抱えた個人と家族の問題だったわけで、なるほど道理で先に記したケラーの悲しみを延ばし延ばしで引っ張ったわけだと合点がいくのだが、この映画の落とし方にはまるで合点がいかない。。

ズルイというか逃げだろこれは。。

本当にリアルだったのはオープニングの銃を構えた少年とS・ペンの見事な表情だけだった・・・。

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ホテル・ルワンダ

Hotel 出演:ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ホアキン・フェニックス、ニック・ノルティ

監督:テリー・ジョージ

(2004年・英/伊/南ア・122分)2006/04/15・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:1994年、ルワンダ。多数派のフツ族と少数派のツチ族の内戦は和平交渉がまとまるかに見えたが、フツ族の大統領が暗殺されたことによって事態は急変。フツ族の人々がツチ族の市民を襲撃し始めた。ベルギー系の高級ホテルで働く支配人ポールはフツ族だったが、妻がツチ族だったことから親類身内をホテルに匿うのだが・・・。1200人もの人々をホテルにかくまい、持ち前の機転と交渉力でその命を守り抜いた一人のホテルマンの奇跡の逸話。

“あまりにも不条理な世界の現実、そこに置き去りにされた人々がいるという事実、家族を死に物狂いで守り抜くという男の決意。気だるい(しかもどこかキナ臭さが漂う)平和を謳歌する日本人にとってはすべてが想像を絶する理解不能ワールド・・・。しかし、とにかく映画を観ることによって「知る」ことから始めるしかない。無知から恐怖は生まれ、その恐怖が狂気へと深化していく1番恐ろしいものなのだから。”

過去数百年にわたって欧州列強に侵略されてきたアフリカの近現代史(それ以前の歴史は侵略の過程で忘却の彼方へ押しやられ抹消されていったといってよい)は、白人たち侵略者との戦いであったわけだが、その戦いを克服した後に出てきたのが現在もアフリカ各地で続く内戦だ。

それは、世界地図でアフリカを見ると、判で押したように定規で線を引いたような整然とした国境線であることが分かるが、これは文字通り欧州列強が地図上で勝手に定規で引いて決めたわけで、そこにはアフリカの人々はおろか民族や部族や宗教、文化の違いといったものは何ら考慮されることはなかった。そこにあるのは欧州列強の縄張り争いと、その中での妥協の産物だけだったのだ。

それゆえ、同じ民族が国境線という名の下に分断されたり、あるいは異なる民族同士が同じ国に属するということが至る所で生じていたわけで。

現在続発するアフリカでの内戦や民族間の争いの大元はそこにあると思う。

今回の作品「ホテル・ルワンダ」の舞台であるルワンダの場合は、ルワンダ国民の85%を占めるフツ族と残りのツチ族の間の部族間争いである。

しかしこれだって大元をたどれば、第一次大戦の戦利品としてルワンダを召し上げたベルギーのルワンダ統治に行き着くだろう。

要は、統治しやすいようにルワンダ国家を弱体化させるために用いた方法として、ヨーロッパ人の容姿により近いという理由でツチ族を優遇することでフツ族とツチ族の間における人種差別を故意に増長させるというやり方だ。

後にベルギーはフツ族に乗り換えたりもして、ベルギーが1960年代に去った後に残されたのはフツ族支配者の一党独裁だったわけだが、結局これがツチ族100万人大虐殺という最悪の事態へ結びついてしまったわけで、その間、欧州はまるで過去の事実と所業を忘れてしまったかのように「第3世界」という括りでアフリカをそっくりそのまま置き去りにして捨て去ってきたのだ。

今回の映画はそういう背景や俯瞰的視点が決定的に足りないことは否めないと思う。

あくまでもポールの実体験による個人的な視点、すなわち家族を救うために口八丁手八丁で東奔西走しながら必死の形相で駆けずり回った男の視点と、結果として1200人もの尊い命を救ったという事実を描いたのみといっていいと思う。

もちろんその描かれていることだけでも非常に重く衝撃的で、日本から見ればはるかに遠い地ルワンダで起きたことをこの作品を観て知るということは非常に貴重なことだとは思う。

しかし、一方では、一抹の物足りなさが残ったのも確かなのだ。それは先ほども述べた通り、政治、民族、戦争、世界といったマクロな視点がほとんどないことに行き着いてしまう。

一応ないこともないのだが、それはツチ族の妻をもつフツ族のポールの家族の形として、また映画の舞台となる高級ホテルに断片的に凝縮されている形にすぎない。

マクロな視点とミクロな視点を交差させることで、なぜこういうことになってしまったのか、何が普通の人々を虐殺という酷い行為に走らせたのかといったところまで掘り下げていってもらいたかった気もする。

なぜなら、日本人として、人間として、何の関係もない話だとは決して言えないのだから・・・。

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ブラッド・ダイヤモンド

20070407024917 出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン

監督:エドワード・ズウィック

(2006年・アメリカ・143分)2007/04/16・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:激しい内戦が続くアフリカ・シエラレオネ。漁師のソロモン(J・フンスー)は、反政府軍RUFの襲撃に遭い、ダイヤモンド採掘場で強制労働を強いられる。そこで巨大なピンクダイヤを発見したソロモンは、政府軍の来襲の混乱にまぎれてそのダイヤを秘密の場所に隠すが、その後刑務所に投獄されてしまう。一方、同じ刑務所に収監されていたダイヤの密売人ダニー(ディカプリオ)は、ソロモンがピンクダイヤを隠していることを知り、釈放後アメリカ人女性ジャーナリストのマディー(J・コネリー)の協力を得てソロモンの家族捜しに協力することを条件に、ダイヤの隠し場所を聞き出そうとするのだが・・・。

“先進国のダイヤを欲しがる一人の消費者が買った指輪のせいで、シエラレオネでは女性一人の手足が切り落とされているかもしれない・・・。”

国際人権保護団体アムネスティのサリル・トリパシ氏の言葉だが、幸せの象徴であるダイヤのリングが、ダイヤとは全く無縁の産出地の人々にとっては地獄のような不幸の象徴なのだという事実にただただ衝撃を受けるばかりだった。

一時は、このような紛争ダイヤモンドが世界市場の10%以上を占めていたというのだから驚くほかないが、消費大国である日本に暮らす我々日本人の手に渡っていたとしても何ら不思議ではないのかもしれない。

資源のほとんどを輸入に頼る日本、自分が普段何気なく買っているものの背景にはこういう話が五万とあるのかもしれない・・・。

ところでビックリしたのだけど、日本の平均寿命が80歳超えて世界一ならば、それとは正反対の平均寿命34歳で世界最短の国がこの映画の舞台であるシエラレオネなのだそうだ。

激化した内戦で幼児の4人に1人は5歳まで生きられず、または兵員補充のために殺戮の現場に少年兵として駆り出されていく現実。

子供が笑いながら銃を乱射し無造作に人間を撃ち殺す衝撃的なシーンは、映画としては最も忌避されるべきものだと思うけど、「シティ・オブ・ゴッド」と同様にこういう嘘のようなホントの現実が実際にあるのだということを伝えるためには必要な描かれなければならないことなのだろう。

その点でいえば、この映画は銃撃アクションとダイヤを巡るアドベンチャーを前面に出した娯楽商業映画という面も持ち合わせていて、舵取りを少しでも誤るとチンケなトンでも映画になってしまう可能性もあったのだが、社会派としてのメッセージをしっかりとなおかつ取っ付きやすい形で織り込んでいて、ハリウッド映画にしてはバランスがとれていて評価できる。そういう意味でも非常に見応えのある作品といえるだろう。

そしてなんといってもレオナルド・ディカプリオの一筋縄ではいかないヒール役の渾身の熱演も見逃せない。「ディパーテッド」よりも断然良い。

アフリカで生まれ育った元傭兵で血塗られたダイヤから利益を得ている密売人だが、その内には哀しいトラウマを抱える複雑なキャラクターをアカデミー賞ノミネートも納得のたしかな実力で演じ切っている。

この作品で童顔スターからついに脱皮したというのもあながち間違いではないと思う。往年の大スター、ハンフリー・ボガートと肩を並べたというのはさすがに言いすぎか、、な(笑)。

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ダーウィンの悪夢

Dar 監督・脚本:フーベルト・ザウパー

(2004年・オーストリア/ベルギー/仏・112分)WOWOW

評価★★★★/80点

内容:アフリカ中央部に位置するビクトリア湖は多様な生物が生息していたことから、かつて“ダーウィンの箱庭”と呼ばれていた。そんな湖に半世紀前、外来種の巨大魚ナイルパーチが放たれた。その白身は食用としてヨーロッパや日本で好まれたため、湖畔の町の地域経済は発展を遂げた。しかし、一方では、肉食巨大魚の大増殖で湖の生態系は激変、さらに貧富の差の拡大、エイズやドラッグの蔓延など新たな問題が町の人々に襲いかかる・・・。グローバル経済に取り込まれたアフリカで引き起こされた悪夢のような現実を描き出すドキュメンタリー。

“必死で食べ物にかじりつく少年と、マックのフィオレフィッシュにかぶりつく自分・・・。”

普段何気なく食べている白身魚フライがアフリカの飢餓の原因になっていたなんて・・・。

日本には数千トン輸入されているというナイルパーチはスズキの代用品として普通に切身で売られているほか、冷凍食品の白身魚フライとして学校給食やファミレスでよく使われているのだという。

最大で体長が2mにもなる大魚の白身をヨーロッパ人や日本人が根こそぎ持っていき、頭と皮だけになった残骸を食すしかない現地の人々。

ウジ虫の湧いた累々たる残骸と、片目を失った女性、そしてわずかばかりの食べ物を必死で取り合う子供たち。そしてナイルパーチの切身を満載して飛び立っていく飛行機が、代わりに満載して運んでくるものは、、、武器。

ショックだった。何にも知らない自分・・・。

グローバリズムという名の弱肉強食の世界で我々先進国の人間はナイルパーチそのものなのかもしれない。

生態系を破壊するナイルパーチのごとく我々がしていることは虐殺と呼ぶにふさわしいことなのかもしれない。

そんなこと露も知らず、マクドナルドのフィレオフィッシュにかぶりつく自分・・・。

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しかし、ふと考えてみると、ディカプリオが主演し、同じくアフリカの問題を扱った「ブラッド・ダイヤモンド」では、紛争ダイヤを買う我々消費者にも多大な責任が委ねられていることを示していて、それはストンと胸に落ちたのだが、はたしてこの「ダーウィンの悪夢」で描かれた由々しき問題にも我々消費者に責任はあるのだろうかと考えると、なんかちょっと的外れな気もしたりして。。

もちろん加担していることはたしかなのだけど、なにかうまく言葉が見つからないけど、グローバルな資本主義システムの中に我々消費者も含めて組み込まれてしまっていることにこそ問題があるのではないかなぁ、と思ったり。

その中に当事者の顔が何千、何万と組み込まれ張り巡らされているわけで、いったい誰が悪いのか何が悪いのか、このシステム自体を変えるのにもいったいどこから手をつければいいのか分からないような世の中になってしまっている。

最終的に口の中に入れる我々消費者ができることが、例えばナイルパーチの白身フライを買わないとか食べないとかマックに行かないといったことで、この問題を解決できるのかといえば、かえってビクトリア湖の地元の産業体系を壊してしまい、ますます貧困が広がってしまうのかもしれないし。

この広大なグローバリズムの国際社会の中で、個々人が日常生活の中でできることは悲しいことに非常に限られている。

でも、自分は知ってしまった。この映画を観て。

グローバル化した世界の末端にいる人々の現実を。あまりにも悲惨な現実を。

自分にできること。この映画を周りに広めるくらいのことは出来る。自分みたいに何にも知らない人々に。無知を改める手助けをするくらいのことは出来る。

映画の中で、夜警に従事している男が「戦争があればみんな儲かって助かるのに。みんな戦争が起きればいいのにと思っている。」と言っていたのも衝撃的だった。

かなりヘコム映画だ。何にもできない自分に鬱になる映画だ。あまりにも世界の現実を知らない自分に腹が立ってくる映画だ。

でも、自分は知ってしまった・・・。

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