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2018年5月 3日 (木)

夢のシネマパラダイス179番シアター:マン・オブ・スティール

バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

5874出演:ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ジェシー・アイゼンバーグ、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ジェレミー・アイアンズ、ホリー・ハンター、ガル・ガドット、ケヴィン・コスナー

監督:ザック・スナイダー

(2016年・アメリカ・152分)WOWOW

内容:前作(マン・オブ・スティール)でゾッド将軍と死闘を繰り広げたスーパーマン=クラーク・ケント。しかし、その戦いによって大都市メトロポリスは破壊され多くの死傷者を出し、バットマン=ブルース・ウェインも巻き込まれた友人を亡くしてしまう。そして人々の間でスーパーマン脅威論が芽生え始めるのだった。そんな中、世界を股にかける多国籍企業体の総帥レックス・ルーサーは、スーパーマンを抹殺すべく動き出す・・・。

評価★★★/60点

「ダークナイト」が複雑に入り組んだストーリーラインの中に時代の価値観やメタファーを濃密に織り込ませ、なんだかよく分からなかったけど圧倒されたからもう1回見たいと思わせられたのに対し、今作はなんだかよく分からなかったけど心魅かれるものがなくてスカスカだったからもう見なくていいやと思ってしまった。

まずもってミソの付け始めが冒頭10分のプロローグの不親切な作り方。

メトロポリス上空に鎮座し地球を乗っ取ろうとするゾッド将軍の宇宙船とバトルを繰り広げるスーパーマン。この「マン・オブ・スティール」のクライマックスをそのまま今作の冒頭に持ってくるとは露知らず、記憶の糸をたぐり寄せるのに難儀し、開始早々から半歩遅れで見るハメに陥ってしまった・・・。

いや、しかし待てよ。何の前知識もなしに見たとはいえ、数年前の映画の大団円シーンのことなんて覚えてるかフツー(笑)。こういうのは前作を見ていない人でも分かるように作らないとダメだろと思うのは自分だけだろうか!?

さらに難癖をつけるとすれば、そもそも論のところで2人を対決させるというコンセプト自体に無理があったのではないかと感じてしまった。

2人が戦う理由とか、プロモーターに徹するレックス・ルーサーの行動原理とか、あげくの果てに2人の母親の名前がたまたま同じだったから和解したとか全てが意味不明で、ただ単に主役の座を奪われたくない花形役者同士のいがみ合いにしか見えなかった。

狂気と紙一重なおかつ悪と表裏一体な正義の危うさという00年代以降アメコミ映画のトレンドとなったサブテーマもいい加減飽きてきたし・・

まぁ、そういう意味ではスーパーマンが映画で活躍した80年代は絶対正義が絶対悪を打ち倒すという価値観に何の疑問も抱かなかった時代だったわけで、悪が悪でいることに理由は必要なかった。

一方、バットマンが映画で活躍した90年代は絶対的な正義に揺らぎが生じ始め、何が善で何が悪なのか区別がつきづらくなっていく道徳的観念の崩壊の序章ともいえ(91年「羊たちの沈黙」や95年「セブン」などに代表される時代背景)、その中で復讐心を身にまとったコウモリ男が目には目を歯には歯を、悪には恐怖をの精神で裁きを行っていく。

つまり、根明なスーパーマンと根暗なバットマンはちゃんと棲み分けできるはずなんだけど、「マン・オブ・スティール」でスーパーマンも根暗なベクトルに舵を切ったものだから、キャラクターに対照性がなくなっちゃったんだよね。

それゆえ苦しまぎれにスーパーマンはエイリアンという別次元の問題を持ち出してきて、かえって墓穴を掘っちゃったかんじ。。

DCコミックスのヒーローチーム“ジャスティスリーグ”のスタートとしては少しつまづいちゃったかなぁ・・。ワンダーウーマンに一応期待。。

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マン・オブ・スティール

Poster出演:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ラッセル・クロウ

監督:ザック・スナイダー

(2013年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:クリプトン星の滅亡を悟った父親に最後の希望を託され、地球へと送り出された赤ん坊。ケント夫妻に拾われ、クラークと名付けられ育てられた彼は、次第に他人とは異なる超人的な能力に思い悩むようになる。そして青年になった彼は自分探しの旅を続けていた。そんな中、クリプトン星の再建を企むゾッド将軍がクラークの存在に気づき、地球へと襲来する・・・。

評価★★★★/80点

のっけから「アバター」に寄せたクリプトン星のヴィジュアルイメージには苦笑したけど、超能力が迫害の対象になるのはX-MEN、自分の正体を簡単にバラしてしまうのはアイアンマン、自分のアイデンティティに悩みながらそれを受け入れていくのはダークナイト、というように昨今のヒーローもののエッセンスのいいとこ取りみたいなかんじになっていて、タケちゃんマンと双璧を成すwかつての根明ヒーローの面影はもはやそこにはなかった。

唯一笑えたのは手錠をかけられて取調室に連行されるところくらいだったし。。

個人的にはクラーク・ケント=カル・エルのバックボーンがよく描けていて感情移入できる今回の根暗ヒーローの方が好みではあるけど・・。

あとは何といってもキャスティング。

今までのキャリアの中で家族を守るために命をかけて戦い続けてきた印象が強いラッセル・クロウと、トウモロコシ畑が最も似合う男ケヴィン・コスナーを生みの親と育ての親に、また見事に歳を重ねているダイアン・レインが包容力のある母親というぜいたくな配役が、映画をエモーショナルな部分でかなり底上げしていることは間違いない。

ゾッド将軍一味との怒涛の都市破壊バトルは、例え9.11を完全払拭したことを示すにしても少々やりすぎ感は否めなかったものの、リブートものとしては上々の出来だったと思う。

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ハンコック

B0041576_23375359 出演:ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン、エディ・マーサン、ジェイ・ヘッド

監督:ピーター・バーグ

(2008年・アメリカ・92分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:ロスに暮らす酒びたりの男ハンコックは、実は不死身のスーパーヒーロー。しかし、事件解決のたびに周囲へ大損害を与えたり粗野な言動がもとで市民からは反感を買いまくっていた。そんなある日、PR会社に勤めるレイは踏切内で車が立ち往生していたところをハンコックに助けられる。彼はハンコックに正義のヒーローとしてのイメージアップ戦略を提案するが・・・。

“ダメ超人ハンコック”

市民にうとまれ、バカにされ、ホームレス同然の生活をする飲んだくれハンコック、、これって公園で寂しく暮らしていた牛丼漬けの初期の頃のキン肉マンそのものじゃんww

しかも最大の敵はケツの穴に頭を突っ込まれたバカ囚人2人組というなんともチンケなレベルのもので、これって完全にキン骨マン&イワオじゃんww、、毛色としては完全にシュールなコメディ。

しかし不死身の超人=社会不適合者の社会復帰プロジェクトというネタはディスコミュニケーション時代の今のご時世に合っていて、深刻なウィル・スミスの表情もあいまって感情移入できて意外に楽しめてしまった。

が、これではヒーローものとしてあまりにも華も見せ場もないと思ったのか、ハンコックとメアリー(シャーリーズ・セロン)は実は夫婦でお互い近づくとパワーを失ってしまうという突拍子もない設定を何の前触れもなく繰り出してきて、映画の毛色が一気に様変わりしてしまった。

まるで前後半で2人の監督を使ってるような脈絡の無さなのだけど、シャーリーズ・セロンほどのスター女優が脇役の奥さんに収まるはずないよな、とは感じてたのよね。でも、もうちょっとあからさまな伏線があっても良かったんじゃないかと思うんだけど・・。

シリーズ化するという前提でいうならば、今回の映画はプロローグというかんじなのかな。

ていうかこの地味さを続編でうさ晴らししてもらわないと許さへんで

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スーパーマン リターンズ

20060827_240267 出演:ブランドン・ラウス、ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ、マーロン・ブランド

監督:ブライアン・シンガー

(2006年・アメリカ・154分)盛岡フォーラム

評価★★★☆/70点

内容:スーパーマンが謎の失踪を遂げてから5年。スーパーマン不在となったメトロポリスでは犯罪が急増、加えて宿敵レックス・ルーサーも出所してしまう。そんな中、地球に戻ってきたスーパーマン。しかし、久々に再会したかつての恋人ロイス・レインは、彼との思い出を振り切り、スーパーマン不要論の記事でピュリツァー賞を受賞するまでに至っていた・・・。前シリーズの2作目「スーパーマン2冒険編」の後を引き継ぎ、5年ぶりに地球に戻ってきたスーパーマンの活躍を描く。

“意外にもダサくなかった掛け値なしの王道路線”

スーパーマンと聞くと自分なんかはオンタイムで見れてない世代なので、ダサいユーモアとショボイSFXの映画という印象がけっこうあったりなんかして、やっぱアメコミ系といえばオンタイムで最初に見たバットマンでしょ、となるわけで。。

だから今回の約20年ぶりの復活劇にはさほどの期待をかけていたわけではなかったのだけど、フタを開けてみたら意外にも楽しめてしまった。

まぁ、昨今のアメコミ系ヒーローが判で押したように苦悩と葛藤を最大の敵とし、正義とは何かという疑問をつきつけられる悩めるヒーロー(=地に足のついた人間)ばかりだったので、アメリカンソウルにあふれた保守的ともいえる王道路線のヒーロー像(=天空から見下ろす神)が逆に新鮮に映ったかんじ。

最新の映像技術も決して大仰にではなく、ほどよいサジ加減でドラマと絡んでいてよかったし。

また、分かりやすい勧善懲悪もののバリバリ王道路線だと、下手すると単調になりがちなんだけども、そこを2時間半の長尺にわたってダレることなく見せ切ったブライアン・シンガーはやっぱスゴイと思う。普通だったら100分くらいにまとめられそうなところを。

X-MENファイナルディシジョンを蹴ってまで本作を監督しただけのことはあると思った。ほんとにスーパーマンにゾッコンなんだろうね(笑)。

ロイス・レインのピュリツァー賞をとった記事“なぜ世界はスーパーマンを必要としないのか”というスーパーマン不要論をもっと掘り下げるのかと思いきや、結局ただ単にヤリ逃げされた鋼鉄の男に対するうっぷん晴らしにしかすぎなかったところとか、ロイス&ジュニアとスーパーマンとの関係の中途半端さなど気になるツッコミどころもあったのだけど、それらは次回作の伏線とみればいいのかな。

でも、あと15年後くらいに子供がこれ見たらダッセェとかって言うのかも(笑)。。

いろんな映画にいえることだけど、次の世代に引き継がれていくような映画を作ってもらいたいもんだと切に願います。

2018年5月 2日 (水)

夢のシネマパラダイス128番シアター:ホロコーストの悲劇

シンドラーのリスト

135740_01出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングスレー、レイフ・ファインズ、キャロライン・グッドオール、ジョナサン・サガール

監督:スティーブン・スピルバーグ

(1993年・アメリカ・195分)盛岡フォーラム

評価★★★★★/100点

内容:第二次世界大戦下、1200人のユダヤ人の命をナチス・ドイツの虐殺から救った実在のドイツ人実業家オスカー・シンドラーの生涯を描いたヒューマンドラマ。トーマス・キニーリーが実際にシンドラーに助けられた人々の証言をもとに構成したノンフィクション小説をもとにしている。

“人が撃たれて棒切れのごとく倒れるシーンや、しおれた死体が焼かれるシーンより何よりも絶句してしまったラスト。”

シンドラーに命を救われた人々が、演じた役者たちとともに彼のお墓参りをするラストのエピローグ。

もう言葉にならなかった。

映画といういわば創作の中に実体としての存在が姿を現す。

ホロコーストという事実を伝えていかなければならない、語り継がなければならない、風化させてはいけないというスピルバーグの並々ならぬ強い意志を感じ取ることができる。

広義としての娯楽という枠を超えたこの映画のパワーに敬意を表して★5つにします。本当は序列などこの映画には必要ないし、あまりつけたくもないのだけど、原作、脚色がある以上やはり評価しなければならないかなと考えました。

しっかし、あのゲート所長も実在の人物ってとこが恐ろしいよなあ。架空の創作人物だとばっかり思っていたので。。

でも、1番見ていて言い知れぬ怖さに震えたというか引っかかったのは、ゲート所長の無差別射撃でもなければ赤い服の少女の遺体でもない。それは、貨車に詰め込まれたユダヤ人たちにシンドラーが水をかけてやるシーンで、それを見てヘラヘラ笑っているドイツ軍人たちの姿を見たときだった。

なんとも言い知れぬ嫌悪感と恐怖感に襲われた。

人が簡単に無意味に撃ち殺されるシーンなどは、あまりにも自分の住む現実世界からは程遠い出来事なので、主観の入り込む余裕さえない、いわばあくまでも客観的に距離を置いて見るしかなかったのだが、あのシーンだけは違ったのだ。自分の住む現実の日常にも潜んでいる差別、イジメみたいなものの本質が1番端的に現れていると感じたのだ。なにか自分にも身に覚えがある、、みたいな。

卑劣な行為を繰り返すドイツ軍と自分との間に接点みたいなものを感じてしまい急に恐ろしくなった。もし、あの時代あの場所で自分がドイツ軍人だったら同じことをしてしまうのではないか、と。

シンドラーの言葉が忘れられない。

「ゲート所長も戦争がなければ普通の良い男だ。日常の世界では良い部分しか表に出ない。戦争は人間の最も悪い部分を引き出す・・・。本当のパワーとは人を殺す正当な理由がある時に殺さないことだ。」

そう、それは許すこと。

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サウルの息子

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出演:ルーリグ・ゲーザ、モルナール・レヴェンテ、ユルス・レチン、トッド・シャルモン

監督・脚本:ネメシュ・ラースロー

(2015年・ハンガリー・107分)WOWOW

内容:1944年10月、ナチスのアウシュヴィッツ収容所。ここに収容されているユダヤ人のサウルは、ガス室へ送り込まれた同胞の死体処理を務めるユダヤ人特殊部隊“ゾンダーコマンド”のひとりだった。ある日、彼は自分の息子と思われる少年がガス室で虫の息になっているのを発見する。結局軍医に殺されてしまった少年をユダヤ教によって正式に埋葬してもらうために、サウルはナチスの監視の目を盗みながら奔走する・・・。

評価★★★★/80点

ホロコーストを題材にした映画といえば、「シンドラーのリスト」「戦場のピアニスト」「ライフイズビューティフル」「アンネの日記」などがあり、それぞれ違う角度から切り取った作品になっているけど、今作は今までにもまして異なる切り口の見せ方になっていて、映画の持つ奥深さを今更ながらに痛感させられた。

まずもってゾンダーコマンドという存在や役割自体初めて知って驚くばかりで、ナチスの民族絶滅政策の狂気と、人間はここまでおぞましくなれるのかという恐ろしさにただただ言葉を失った。

また、今までにない切り口の見せ方という点では、カメラが主人公サウルの上半身肩越しのクローズアップのみを常に捉えつづけ、彼の周りで繰り広げられる地獄絵図は常にピンボケしているという普通の映画ではタブーといっていい手法に驚かされた。

例えば、一人称のPOV視点であれば周りの状況にこそクリアにピントが合わされるのが常識のはず。しかし今作はその全く逆の手法で表現していて、彼の見聞きしたいものにはピントが合い、したくないものにはピントが合わないというふうになっている。

ただ、ぼやけた背景でも、異様に混ざり合う音と感情のない機械的なサウルの動きと断片的に映り込むモノとして扱われる人々のシルエットから、そこで一体何が起きているのかをかえって鮮明に想像させる画作りになっていて、まさに今まで見たことのない映画体験だった。

映画の教科書にはまず載っていないであろう映像表現に徹した奇抜さを、監督は「鍵穴から覗いているイメージ」で撮ったと語っていてストンと腑に落ちたのと同時に、この作品を感動ものにも英雄ものにもしたくない、ホロコーストはそんなものではないという強い意志を感じられた気がした。

見るよりも感じる映画。

とりあえず心の中で静かに拍手を送りたい。

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杉原千畝 スギハラチウネ(2015年・東宝・139分)WOWOW

 監督:チェリン・グラック

 出演:唐沢寿明、小雪、ボリス・シッツ、ミハウ・ジュラフスキ、塚本高史、濱田岳、小日向文世

 内容:1934年。満州国外交部で働く杉原千畝は、北満鉄道譲渡に関わる日ソ交渉に携わり日本有利に事を進めることに貢献する。その後、外務省のモスクワ大使館への赴任が決まるが、先の活躍に神経を尖らせるソ連から入国を拒否されてしまう。結局1939年、彼はリトアニアの日本領事館に赴任する。そんな中、第二次世界大戦が勃発、ナチスの迫害を逃れた多くのユダヤ人が領事館に押し寄せてくるが・・・。

評価★★★/65点

上司から君の推測はいつも正しいと評価される良識と先見の明を兼ね備えたスーパー外交官・杉原千畝。

その感性は、今を生きる現代日本人と何ら変わりがなく、イケイケどんどんで暴走していく当時の日本人とは真反対のヒューマニスト・善人観には逆にある種の違和感を覚えなくもない。

それは「太平洋戦争を回避しようとした外交官の物語」とわざわざ強調する冒頭のテロップを見た時から感じていたことだったけど、歴史を知っている現代人の美化のバイアスがかかった筆加減はやはり気になるところで、しかもそれが演出の掘り下げをかなり平板なものにしているので、どこか薄っぺらく見えてしまうところもあり・・。

外交官・杉原千畝のインテリジェンスは世界情勢を間近に見る最前線に立つ者だからこそ得られるものなのかもしれないけど、人間・杉原千畝の思いや内面といったものがイマイチ伝わってこず、言い方は悪いけど全体的に退屈な映画だった。

本家本元の「シンドラーのリスト」と比べるのは酷とはいえ、もうちょっと焦点をしぼって描いてもよかった気がする。

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ヒトラーの贋札

Nise_2 出演:カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール、デーヴィト・シュトリーゾフ

監督・脚本:ステファン・ルツォヴィツキー

(2007年・独/オーストリア・96分)WOWOW

内容:第二次世界大戦の最中、ナチスは米英の経済崩壊を狙うため贋ポンド札を製造するベルンハルト作戦を計画。世界的贋作師サリーや印刷技師ブルガーなどザクセンハウゼン強制収用所にはユダヤ系専門家たち数十人が集められた。収容所内で破格の待遇を受け、贋ポンド作りに従事するサリーたちだったが、自分の延命と引替えに同胞を苦しめるナチスに荷担するジレンマに次第に葛藤と苦悩を深めていく・・・。

評価★★★★/75点

贋札というと、真っ先に「ルパン3世カリオストロの城」に出てくるゴート札を思い出しちゃうんだけど、実際に国家ぐるみの贋札製造作戦があったなんて初めて知ったな。

と同時に、戦争ってのは手段を選ばない何でもありのものなんだなということも実感。

その最たるものがホロコーストなわけだけど、命の灯を簡単に握りつぶされてしまうような苛酷な状況の中で、その殺戮者たちの悪事に手を貸さなければならないなんて・・・。しかもその悪事が成功すれば、ますますもって家族や同胞を苦しめることにつながってしまう。が、逆に失敗すれば、即ガス室送り・・・。

自分の命と正義感を天秤にかけられるという究極の選択、その苦悩と葛藤の中で描き出される生への執着と一縷の信念。

こんなことを言ってはあれだけど、一級の娯楽作として申し分ない要素を兼ね備えた作品に仕上がっていたと思う。

まるで収容所というよりは刑務所を舞台にしたスリリングな犯罪劇でも見ているようなかんじで、ホロコーストを扱った今までの作品群とは趣を異にする視点だったけど、薄っぺらい壁一枚隔てた向こう側に横たわる累々たる死がホロコーストの恐怖をいやが上にも実感させて緊張感は途切れることがない。

また、主人公サリーの人物像も、転んでもただでは起きないような狡猾でズル賢いキャラクターで、そういう視点でも面白い作品だったと思う。

ホロコーストについて毎度のごとく考えさせられるとともに、究極の人間ドラマとスリリングなサスペンスの娯楽作としても楽しめてしまうトンでも映画。

それが「ヒトラーの贋札」なのです。。

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夜と霧(1955年・フランス・32分)NHK-BS

 監督:アラン・レネ

 内容:ポーランドのアウシュビッツ強制収容所に関する短編記録映画。第二次大戦中のナチスによる残虐行為の数々を、カラーでとらえた廃墟のアウシュビッツと、モノクロの当時の再現場面とのモンタージュ構成によって描き出す。

評価:点数付けたくありません。。

見る前の30分。「おおし、これ見たらプレステやっぞー!」

見ている30分。胃がキリキリと痛む悪夢。

見た後の30分。・・・・・・・・・。

しかし、1時間後にはゲームという仮想世界に逃げ込んでしまうのだった・・。

ただ、自分にできること。この映画を見た記憶を忘れない。この映画を忘れない。

2018年1月 3日 (水)

夢のシネマパラダイス474番シアター:妄想をアニメで表現する天才!?新海誠

雲のむこう、約束の場所

00000577472l 声の出演:吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香

監督・脚本:新海誠

(2004年・日本・91分)スカパー

評価★★★/65点

内容:大国に分断統治されている、もうひとつの日本。青森に暮らす二人の少年は、津軽海峡の向こうに見える北海道の“塔”に憧れとも畏怖ともしれない思いを抱く。彼らは、その塔へ行くために軍の廃品で小型飛行機を作り始めるが・・・。架空の戦後史を辿る日本を舞台に、ふたりの少年とひとりの少女のある“約束”を主軸に、心の触れ合いを描く。

“世界の片隅で、渇をさけぶ”

まさかこれが新海誠の全てじゃないだろうな、と切に信じたい。

この人の作品はこれが初めてなので、あまり突っ込んだことは言えないけど、おそらく「物語る」人というよりは「イメージと情景をふくらませる」人というかんじがする。物語のサンプルは乏しいが、イメージのサンプルは彼の頭の引き出しに余すところなくインプットされているのではなかろうか。

そういう点においては、大友克洋と同じベクトルにいる人だと思うのだけども、大友は驚異的なデッサン力でイメージに息を吹き込むのに対し、新海誠はデジタル技術で息を吹き込むという違いがあるのは一目瞭然。

そこに何ら問題はないし、映像も意外に柔らかくて印象的なのだが、この両者の最大の違いは、イメージの質ではないかと思う。

大友克洋のもつイメージというのは、古典的な既成のイメージを軽く飛び越えてしまう、あるいは壊してしまうような異質で斬新なイメージであり、これをアニメとして具現化するのは漫画コミックのように大友一人で出来るものでは決してない。まず不可能といっていい。大友を中心とした組織体制を作っていかなければ成し得ないものだ。

対して、新海誠のもつイメージというのは、誰もが持ちえる既成ド真ん中のものであり、誰もが共通に持つ記憶の引き出しをスーと開けてくれるようなイメージなのだ。

ただそのイメージの質は、良くいえば繊細、悪くいえばやや庵野秀明を表面的になぞった程度ということができ、新海誠はそのイメージをデジタルカメラで一瞬一瞬おさめてインプットしていき、作品をつくる際にパソコンにしまわれた写真アルバムの中から一枚一枚イメージを取り出すような形で絵にしていく。

これははっきり言えば一人でできる類のものなのである。しかも現在はデジタルという便利な道具を使える時代。

新海誠は今の時代に出るべくして出てきた才能の人なのだろうか。

しかし、その彼の、イメージを絵に落とす段階での作画技術における才能とその手法を認めた上で、やはりイメージから物語を生成するという才能の方ははっきりいって断然に乏しいと言わざるをえない。

世界観を作り出すところまではいけても、その先を作り出すことができていない。

宮崎駿や大友のような相手をねじ伏せてしまうような豪腕も持っていない。その腕はか細くて投げられた球筋はあまりにも単調で弱々しい。それを孤独なデジタルでなんとか補っているといったかんじで、これはピュアなどという評価で解決処理していいような問題ではない。

だから、冒頭で述べたように、これが新海誠のすべてなのだとしたらあまりにもガッカリというか、これから先、大丈夫なのかなと不安になるし、まだまだ進化・深化していくものだと信じたい。

どこかで必ず1回脱皮しないと、一人のアニメ作家としてリアルな存在を確立するのは難しいと思う。ましてやポスト宮崎駿などというのはあまりにあまりにもな飛躍ではなかろうか。

期待をこめた上でやや厳しい視点で評価させてもらいました。。いや、嫌いじゃないのよ全然。好きな方なんだけども、なんかね・・。

Posted at 2006/02/09

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ほしのこえ(2002年・日本・25分)NHK-BS

 監督・脚本:新海誠

 声の出演:篠原美香、新海誠

 内容:美加子と昇は仲の良い同級生。中3の夏、美加子は国連宇宙軍の選抜に選ばれたことを昇に告げる。翌年、美加子は地球を後にし、昇は高校へ進学。地球と宇宙という超長距離恋愛を続ける2人は、メールで連絡を取り続ける。が、メールの往復にかかる時間は次第に何年も開いていくのだった・・・。新海誠が7ヶ月をかけ、ひとりで制作したフルCGアニメーション。

評価★★★/65点

“ロボットと石炭ストーブが共存できる世界観の作り方は純粋に巧いしスゴイと思う。”

分業体制で制作することが当たり前のアニメ制作を、パソコンの前でたった一人で作っちゃうということがどれほど凄いことなのか、素人の自分には分かりかねるけど、一個の作品としてちゃんと見られるものになっているのは確かだ。

絵的には人物画がやや稚拙だし、止め絵がやけに多いのは気になるけど、それを補って余りあるフルデジタル背景画は、パソコンの壁紙にマッチするほど一枚絵としてのクオリティが高い。

非常に内向的かつ思索的、悪くいえば閉鎖的きわまりない作品にあって、どこまでも無限に広がるかのような壮大かつ美しく果てしない空間(空や雲、宇宙そして地上)が提示されているのは救いだし、バランスをとるのにも大きな働きを成している。

新海誠の武器はこの背景画にあるのかもしれない。

特に、宇宙戦艦に女子中学生が乗っちゃうような西暦2046年という時代を舞台にしているのに、なぜに学校の教室に石炭ストーブなの(笑)!?というミスマッチな設定というか明らかに意図的なノスタルジーの記号なんだけど、そこらへんの世界観の作り方があざとくなくてすんなり自分の中に入ってきちゃうのも新海ワールドの巧さなのかも。

ただ強いていえば、やはり物語が主人公とヒロインの中に埋没しちゃって、30分くらいの短編だから見れるものの長編でこれやられたら相当キツイと思う。

ノボルくん、君も待つだけじゃなく何か行動しろよ、、と思うのは自分だけだろうか。。

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秒速5センチメートル

Comix1 声の出演:水橋研二、近藤好美、花村怜美、尾上綾華

監督・脚本:新海誠

(2007年・日本・60分)2007/06/13・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:小学校の卒業と同時に東京と栃木に離ればなれになった貴樹と明里。2人は文通を続けていたが、貴樹が鹿児島に引っ越すことになってしまう。大雪の降る中、貴樹は電車に乗って明里に会いに行くのだが・・・。貴樹と明里の再会の日を描いた「桜花抄」、高校生の貴樹に想いを寄せる同級生の花苗の視点から描いた「コスモナウト」、そして最終話「秒速5センチメートル」の3編を収録した連作短編アニメーション。ちなみに秒速5センチメートルとは、桜の花びらが落ちる速度。

“自分の長所と短所を十分自覚した上で勝負できる土俵に持ち込んだ新海誠の作戦勝ち”

「雲のむこう、約束の場所」を見たときに、新海誠という作り手は“物語る人”ではなく、“イメージと情景をふくらませる人”だと感じたが、今回、3つの短編からなる構成方法をとったことで、よりそれが明確化されたと思う。

物語を形づくっていく才能に絶対的に乏しいが、イメージをふくらませる、、、いや、もとい、妄想を具現化していくことにかけては天下一品の才を持つ中では、非常に的を射た作り方だったと思う。

これは別に新海誠は作り手として劣っているとかいうことでは全然なくて、ピッチャーにも球種に得手不得手があるように、それを自覚した上で自分のペースに持ち込んでいく組み立てをしていくのは当たり前だし、そういう意味ではこれ以上合理的な手法はない。

例えば、物語を形づくることができないというのは、人物の成長過程を描けないということでもあるが、それも時系列を断片的に区切って一足飛びにすることでカバーできてしまうわけで。

まぁ、とはいってもただ年食ってるだけという見方もできるけど・・・。

さらに、その手法が完全に裏目に出ているところもあり、1番顕著なのは第2話でのタカキの無表情というか、あれはもう完全にノッペラボウと言っていいと思うんだけど、カナエに呼びかけられて振り返る時の顔といったら恐い怖い。

なんかタカキという容れ物だけで、魂どこに置き忘れてきたんだよお前は、みたいな。蟲師に出てくる蟲にとり憑かれた人みたいな、絶対バケモノだよあれ(笑)。

ま、言い換えれば“記号”でしかないってことなんだけど。

1話目はもう完全に「北の国から」だから(笑)、すんなり見れたからよかったけど、2話目のタカキには違和感感じまくりだったな。

3話目は完全に山崎まさよしのPVと化してたけど、断片化されたイメージを繋ぎ合わせてファイナライズして1つの作品にしていくという新海誠の特徴が実に端的に表れていたという点では見所はあったかな、と。

ただ、決定的な欠落やボロも平気で出しているんだけど、今回★4っつ付けているように、それ以上に見る者の過去の記憶のひとかけらひとかけらを一気に増幅させてしまうほどのイメージ力の洪水の連鎖にはあきれるを通り越して感服してしまうんだよね。

どうすればこんな青臭くて気持ち悪いくらいの自意識を持てるんだろう・・・(笑)。いや、これは決してけなしているわけじゃなくて、スゴイって思うんだよねホントに。

また、そうじゃなきゃ映画なんて作れるはずもないとは思うんだけど、そういうのを全部突き抜けて見る側に伝わってくるものを作れるというのはやはりスゴイなと。

個人的にはカナエの姉ちゃんが車のBGMでリンドバーグの“君のいちばんに・・♪”をかけてるところでビンゴきたぁーーッ!ってかんじだったけど(笑)。

新海誠が自分の得意とする本領が発揮できる土俵に持ち込んで勝負できたのが今回は結果的には良かったのだろうと思う。

少なくとも自分は、この5センチメンタルな情景にシビレまくりますた。。

Posted at 2007/06/14

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星を追う子ども

E6989fe38292e8bfbde38186e5ad90e381a 声の出演:金元寿子、入野自由、井上和彦、島本須美、折笠富美子

監督・脚本:新海誠

(2011年・日本・116分)DVD

内容:父の形見のラジオから流れてきた不思議な唄が忘れられない少女アスナ。ある日彼女は、地下世界アガルタから来たという少年シュンと出会うものの、少年は突然姿を消してしまう。シュンとの再会を願うアスナは、新任教師のモリサキからアガルタにまつわる不思議な神話を聞かされるのだった。そして、そんなアスナの前に、シュンと瓜二つの少年シンが現われる・・・。

評価★☆/30点

SONYじゃなくてSOMY、iPadじゃなくてiPed、東芝じゃなくてトーチファ、任天堂じゃなくてニンテンドゥー、、ジブリじゃなくて痔デス。。

パクリ王国の中国で今度はジブリがヤラレたーっ(笑)!

ハウルにもののけ姫にキツネザル、飛行石、コナン、ゲド戦記、親不在、、よくぞここまであからさまに繰り出してきたもんだと開いた口がふさがらなくなっちゃったけど、これは重症だよホントw

「秒速5センチメートル」で妄想を具現化するのは上手いが物語を形づくる才能はないと指摘したけど、それがそっくりそのまま表れちゃったかんじ・・。

何もかもが唐突すぎて、ここまで物語れないとはちょっと想定外だったな。

人物の内面と行動が乖離しっぱなしで、要は出てくる人物全員が自分の妄想から抜け出せないアフォどもばかりで見てて気持ち悪くなってくるばかりだし、伏線を書けないのねこの人って。小学生じゃないんだからさwこの脚本持ってこい!オレが直してやるからww

描きたい絵、描きたいキャラを数珠つなぎに繋げただけ、、ってただの妄想だろこれ・・。

で、ファンタジー世界でアスナに成長の跡が見られるかっていうと、ただ銃の撃ち方を覚えただけじゃないかっていう

女子中学生に銃の引き鉄を引かせるってのは最っ低な映画だよホント。

フォローのしようがないよ・・。マジでこの脚本持ってこいって話(笑)。

まずさ、アスナだけど、学級委員長の優等生が異世界アガルタをいとも簡単に受け入れ足を踏み入れていくためには相当な覚悟と動機が必要なわけで、そのためには“良い子を演じる孤独な少女像”を明確に印象づけなければならない。つまり現実では居場所がないということを納得させなければならない。最後の最後で「アタシ、、寂しかったんだ・・」とポツリと言われてももはや遅いのだ。

ここをしっかり描けていれば、アガルタに自分の居場所などもとよりないと吐き捨てるシンの心情とリンクしてくるわけで、話の幅は格段に広がる。

あるいはもう一度シュンと会えるかもしれないという思いを抱えてアガルタへ旅立つという見方もできなくはないけど、アスナにとっての喪失はシュンではなく父親の死の方がはるかにデカイはず。シュンなどはっきりいってどうでもいいのだw

その証拠に、地上の星を見たいがためにわざわざやって来て、その代償として命を亡くすシュンの死が、身投げのような絵と身元不明の少年の遺体が発見されたという電話だけで描かれるという味気なさでスルーされているではないか。

例えばそのときにアスナの目の前で世界に溶けて消えていくくらいの描写はあってよかったし、父親の形見である鉱石ラジオにクラヴィスのかけらが使われていたわけだから、それを見たシュンにクラヴィスとアガルタを結びつける説明をさせれば父親とアガルタに何らかの関係があったのかもしれない、つまりアガルタに行けばなにか父親について分かることがあるかもしれないとアスナに思わせる方が自然だろう。ただなんとなくモリサキに引っ付いていくのとはわけが違うのだ。

他にもいろいろツッコミどころはあるけど、推敲は大事なんだよ。だろ?新海。

分かったら次の脚本まずオレんとこに持ってこい(笑)!

Posted at 2012/01/10

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君の名は。

T0020640p1声の出演:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、成田凌、谷花音

監督・脚本:新海誠

(2016年・東宝・107分)盛岡フォーラム

内容:1000年ぶりにティアマト彗星が地球に接近する1か月前。岐阜県飛騨地方の糸守町に暮らす女子高生の三葉は、最近同級生から身に覚えのないオカシな言動を指摘されるが、そういう日は決まって東京の男子高校生になる夢を見ていた。一方、東京の男子高校生・瀧も、山奥の田舎町で女子高生になっている夢に悩まされていた。やがて2人は自分たちが実際入れ替わっていることに気付くのだが・・・。

評価★★★★★/100点

新海誠に長編は向かないし描けない。これは今までの5作品の拙レビュー(「言の葉の庭」は14番シアターでレビュー)で出した結論だった。

妄想力は図抜けてあるのに肝心の物語を生み出す力が図抜けて低い。

個人のモノローグだけで完結してしまうちっぽけな物語(いわゆるセカイ系)と、その閉鎖性を凌駕してしまうほどの圧倒的にリアルな背景画が描き出す厳然とある巨大な現実世界との不均衡を、シンガーソングライターのPVショーでフェティッシュな世界観に生まれ変わらせる。

これはどう考えても長編では心もとないレベルなのである。

しかし今回、その殻をものの見事に突き破った。

いや、そもそもジブリの妄想だけで映画を1本作れてしまう才の持ち主である。物語性の基本である起承転結とキャラクター造型に社交性を持たせれば大化けするのは必然だったともいえるわけで(笑)。

特に、今まで内にこもる根暗なこじらせ優等生を主要キャラに据えることが多かっただけに、今回の瀧と三葉のハジけたキャラ造型が果たした役割は非常に大きかったと思う。

ちょっと短気で三葉から目立つことはしないでと注意されるくらい行動派キャラな瀧のオッパイ揉み×2シーンだけ取ってみても今までの新海からは考えられない健全な進化だしw、閉鎖的な田舎町の暮らしに嫌気がさしている三葉が「こんな町イヤやー!早よ東京行きたーい!」と声に出して叫ぶのも今まではありえないことだった。

そしてこの感情の発露が共感にしろ反感にしろ他者とのつながりを生み出していく、その関係性の究極形が入れ替わりだと思うんだけど、まさに“結び”=“絆”というテーマを描き出すのに十分な説得力を有していたと思う。

まぁ、普通のことを普通の文法で語れるようになっただけともいえるけど、コメディタッチや物語のアップテンポな疾走感など、今まで新海が持ち合わせていなかった要素を組み込んだことで、恋しさと切なさだけが十八番だった新海節に心強さが加わって、こりゃ完全に篠原涼子の歌になっちゃった(笑)。

それは半分冗談としても確実な進化を遂げた作品になっていたと断言していいと思う。RADの曲も良かった♪

P.S. 映画公開半年後、事情があって岩手から東京に引っ越した。で、実際住んでみて、この映画で描かれている東京は、東京は東京でもド真ん中の東京のアイコン的風景なのだということがよく分かったwwあんな家賃の高い四谷なんて住めねーよ

そんな自分は隅田川沿いで質素に暮らしております。。

2017年12月31日 (日)

夢のシネマパラダイス161番シアター:才能vs狂気

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

A0212807_10131724出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ

監督・脚本:アレハンドロ・G・イニャリトゥ

(2014年・アメリカ・120分)盛岡フォーラム

内容:かつて大ヒットしたヒーロー映画「バードマン」で主演したリーガンは、そのイメージを払拭できず、その後は鳴かず飛ばずの俳優人生を送っていた。そこで再起を期して、アカデミックな演劇でブロードウェイに打って出ようとするが、男優のひとりが事故に遭ってしまう。舞台に危機が迫る中、出演女優レスリーが代役として使えそうな俳優マイクを連れてくるが、そいつはトンだセクハラ男だった。さらにアシスタントに付けた娘サムも麻薬に溺れる始末で、いよいよリーガンは追い詰められていく・・・。

評価★★★★/80点

落ちぶれた大スターが過去の名声の幻影に憑りつかれて悲劇的な末路をたどるというのは「サンセット大通り」だし、そこにバックステージものを絡めるのは「スタア誕生」ということで、題材としては特に真新しいものではない。

また、役者の実キャリアに重ね合わせる皮肉ともいえる配役も前者におけるグロリア・スワンソンを想起させるんだけど、今作はバードマン=バットマンというこれ見よがしなセルフパロディにまで昇華したダブらせ方が強烈で、さらにレッテル貼りの批評家はたまたハリウッド流見せかけの血とアクション好きの観客である我々をもブラックにあざけり嗤う痛烈な脚本の引きつけ方はハンパない。

特に現実世界と劇中世界が行きつ戻りつし混濁していくプロットは大胆そのもの。しかも時間軸の超越を疑似ワンカット長回しで描いていくので、見ている方は混乱するばかりなんだけど、役者としての怨念や狂気のオーラさえ持ち合わせない主人公リーガンのただただ空回りしジタバタするだけで報われない虚しい内面に実にうまくフォーカスした表現方法だったと思う。

まぁ、リーガンが脚本・演出・主演を務めるだけあってレイモンド・カーヴァーの劇中劇にほとんど魅力が感じられないのが映画的には玉にキズな気がしたけど、これも計算の内だったらマジで恐い(笑)。

しかし、ファラ・フォーセットはマイケル・ジャクソンと同じ日に死んだためニュースにもならず運が悪かったとかシニカルを通り越してもはや猛毒だろww

ネットの日常化で消費サイクルが目まぐるしく変わっていく中で有名人がどんどん“あの人は今”にふるい落とされていく時代、パンツ一丁で街中を歩かなければダメなんて可哀想すぎるよね

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セッション

86dfce36cc2497990be7dc7b35aec976出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワ、オースティン・ストウェル

監督・脚本:デイミアン・チャゼル

(2014年・アメリカ・107分)盛岡フォーラム

内容:名門のシェイファー音楽院に入学したニーマン。ある日、鬼のような練習で知られるフレッチャーの目に止まり、彼のバンドにスカウトされる。そこで成功すれば将来は約束されたも同然。偉大なドラマーになるという夢を持つニーマンは、血のにじむ練習に励む日々を送るが、フレッチャーの理不尽すぎる仕打ちにより精神的に追い詰められていく・・・。

評価★★★★☆/85点

自分が社会人1年目で入社した会社にフレッチャー(J・K・シモンズ)みたいな上司がいて、数年で耐えられずに辞めた。

仕事外の休憩時間などでは何の変哲もないミーハーな50代のオッサンにしか見えないのだがw、いざ仕事が始まるとスパルタな鬼畜に変ぼうを遂げる。まぁ職人気質といえばそれまでなんだけど、毎朝浴びせられる罵詈雑言の嵐にアンドリューのようにブチ切れることなく逃げ出して挫折の道を選んでしまった。

あれから10年以上経ったけど、今回この映画を見てその当時を思い出して息苦しくなってしまった

特に、アンドリューが交通事故に遭って血まみれのままステージに立った時に、一瞬動揺するそぶりを見せながらも気遣うことなく指揮を始めるところとかそういうかんじがめちゃめちゃ似てて、もうダメ・・

ただ先述したように、自分はその上司の前では何ら自己主張も口答えすることもなく、ただただ閉口して言われるがままになっていた。まさにヘビににらまれたカエル状態ww

しかし考えてみれば、自分にはアンドリューのような将来への野心もなければ理想も特にない学生気分の抜けないなんとなく生きている人間だったことは否定のしようがなく・・

それを思えば、どんなにフレッチャーから理不尽なしごきを受けても途中で投げ出さずにへこたれることなく、逆に破滅して早死にしたとしても世に名前を残したいという大いなる夢と、フレッチャーにつかみかかるまでの気概をみせるアンドリューの姿勢はスゴイとしかいいようがないし、そこまで打ち込めるものがあるというのも羨ましくさえ感じた。

天才は血のにじむような努力と多くのことを犠牲にする節制により生まれるというのはまさしく真なのだなと思い知らされたかんじ。

でも、恩師の導きがこんな憎悪むき出しの生き地獄なんて、そんな導き自分はいらない(笑)。

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ブラック・スワン

Black_swan_pos01 出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー

監督:ダーレン・アロノフスキー

(2010年・アメリカ・108分)WOWOW

内容:NYのバレエ・カンパニーに所属するニナは、看板プリマだったべスの引退を受けて、新たに企画された「白鳥の湖」の新プリマに抜擢される。しかし、白鳥の湖では純真な白鳥役と同時に、官能的な魔性の黒鳥役も演じなければならず、優等生タイプのニナは、黒鳥をなかなか表現できないことに苦しむ。さらに、大胆不敵な踊りで監督のトーマスに理想的な黒鳥と言わしめたライバルダンサーのリリーの台頭により、二ナの歯車は狂い始めていく・・・。

評価★★★★/80点

真に圧倒される映画というのはそうそう巡り会えるものではない。だから映画を見つづけるのだともいえるけど、驚異的な映像美、斬新なシナリオ、胸に迫り来る音楽、監督の演出力など様々な要素がある中、役者の演技力に圧倒されるというのはさらに稀だ。

「復讐するは我にあり」の緒形拳、「明日の記憶」の渡辺謙、「ダークナイト」のヒース・レジャー、「フェイス・オフ」のニコラス・ケイジ&ジョン・トラボルタ、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のダニエル・デイ・ルイス、「ディア・ハンター」のクリストファー・ウォーケン、「パピヨン」のスティーブ・マックイーン、「レオン」のゲイリー・オールドマン、いろんな映画でのラッセル・クロウ、、、

また女優でいえば「疑惑」の桃井かおりや「ミザリー」のキャシー・ベイツ、いろんな映画での大竹しのぶなどが思い浮かぶけど、絞りにしぼり出してもこれしか出てこない(笑)。

が、今回ここに「ブラック・スワン」のナタリー・ポートマンが新たに加わった。

純潔を守るお行儀の良い少女と性に目覚めた自由奔放な女、その純真無垢な白と小悪魔的な黒のシンメトリーの境界をアザだらけの繊細な足先で右往左往し混乱していく様をものの見事に演じきった。

見る人によって様々な解釈ができようが、自分の中で抑えこんできた自我の覚醒と過保護な母親からの自立、すなわち少女から大人への脱皮と巣立ちの物語と自分は見たけど、白鳥から黒鳥へ変貌し悠々と羽ばたくクライマックスはまさに鳥肌もの。

狂気のダークサイドに完璧に堕ちてみせたナタリー・ポートマンに往年のベティ・デイビスはたまたグロリア・スワンソンのような誰にも真似のできないペルソナを見たといっても言いすぎではなかろう。

また、子役は脱皮できずに消えていくことがほとんどの生き馬の目を抜くハリウッドで、子役から生き残ってきたナタリーの女優人生と物語がシンクロしているのもポイントで、ナタリーの演技が真に迫ってくるゆえんになっている。

そういう意味ではこの役はナタリー以外にはありえなかったともいえるけど、例えばウィノナ・ライダーの使い方を見ても、かなり嗜虐的かつ絶妙なキャスティングになっている。そこにいるだけでなんだか恐いバーバラ・ハーシー、挑発的な色気を醸し出すミラ・クニスしかりだ。

そのようにみれば、これは監督と女優のエネルギーがぶつかり合って奇跡的なカタルシスを生み出した稀有な映画である。

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へルタースケルター

5484a78f1b39c293fcf7a87f4056055d 出演:沢尻エリカ、大森南朋、寺島しのぶ、綾野剛、水原希子、新井浩文、鈴木杏、寺島進、哀川翔、窪塚洋介、原田美枝子、桃井かおり

監督:蜷川実花

(2012年・日本・127分)WOWOW

内容:人気絶頂のトップ・モデル、りりこ。が、実は彼女には絶対に知られてはならない秘密があった。彼女の美しさは、事務所の社長とともに全身整形で作り上げたものだったのだ。しかし、手術の後遺症は確実にりりこの身体を蝕むとともに、芸能界のプレッシャーや若い後輩モデルの突き上げにより、次第にりりこは精神的にも追い詰められていく・・・。

評価★★/40点

もう長らくリアルタイムで新作を追うヒマがなくなり、WOWOWで話題作を見るのが精一杯な自分は自ずと見る映画をしぼってしまわざるをえない。

それゆえハズレ率はかぎりなくゼロにしたいわけだけど、どうしても年に2,3本は大ハズレにぶち当たってしまう。

そう、これである(笑)。

序盤から脱いじゃってる映画にロクなものはないというのは鉄則だけどw、いの一番に脱いじゃってるんだから、そりゃあハズレからハズレるわけないよなっていう・・・。

それはさておき、美を売る仕事のトップの座に登りつめたカリスマモデルが全身整形の後遺症と移り気の激しい世間の目から“見られなくなっていく”恐怖におびえ悩まされ精神を病んでいくというのは、スターの転落劇としては鉄板ものだろう。

しかし、繊細な内面のもろさや危うさがどこまでも虚無的にしか描かれないので、飾り立てられた外面に中身はカラッポな映画としか見れないのがイタい。

それが意図した演出なのかどうかは別として、写真家としてモデルとフォトセッションする機会も多いであろう蜷川実花がこんな程度でしか撮れない&語れないのだとしたら、映画監督としてのセンスはダサいとしか言いようがない。

唯一、りりこの後継の座に据わることになる後輩モデルに水原希子をもってきたことだけは見事だったけど・・。

沢尻エリカについては、りりこが彼女自身のキャラクターとシンクロするところもあり、実にタイムリーな企画だったとは思うけど、その熱演むなしく単なるさらし者にしか見えないのはなんとも皮肉だ。

この映画が復帰作として歩くスキャンダルという称号を払拭するどころか、ますます彼女を使いづらくしてしまった感がしてしまうのは自分だけだろうか。。女優としての資質はピカイチだし、役者根性は見上げたものだけど。

一本調子な演出しかできなかった監督のやらかしてしまった責任は、思っている以上に大きいと思う・・・。

2017年1月 3日 (火)

夢のシネマパラダイス540番シアター:バケモノの子

バケモノの子

Bakemono1_large声の出演:役所広司、宮崎あおい、染谷将太、広瀬すず、長塚圭史、麻生久美子、黒木華、津川雅彦、リリー・フランキー、大泉洋

監督・脚本:細田守

(2015年・東宝・118分)DVD

内容:この世界には人間界とは交わることのないもうひとつの世界、バケモノ界がある。ところがある日、渋谷に独りでいた少年がバケモノ界“渋天街”の住人である熊徹と出会う。そして少年は強くなるため渋天街で熊徹の弟子になることを決意し、熊徹から九太という名前をもらい、修行に励む日々を送る。やがて成長して渋谷へ戻った九太は、女子高生の楓と出会う・・・。

評価★★★/60点

渋谷センター街と異界=渋天街がつながっているというのは、キングスクロス駅のプラットフォームから魔法学校へ行けるハリポタと同じく現実感があって面白い。

その点では千と千尋のトンネルと同じ発想なのだけど、これが簡単に行き来できてしまうとなると途端に白けてしまう・・・。

しかし、一般に普通のファンタジーは少年少女が異世界で成長して現実世界に戻ってくるという“行きて帰りし物語”が定石だけど、今回は異世界に行って8年経ってすでに成長してしまった後が物語のメインになっているので、異世界における成長譚を描いても意味がないんだよね。それゆえ異世界と現実世界の境界が曖昧模糊になるのも当然なことではある。

じゃあ、そこで何を描くか。

となると、今度は多感な少年時代を8年も離れていた現実世界でのアイデンティティの確立、いわば“バケモノの子”と“ヒトの子”との葛藤に主軸が置かれてしかるべきだろう。

ところが九太は現実世界に戻るやそんな悩みなど微塵もみせず図書館で本を読む始末。こりゃダメだw

その点、先のテーマは一郎彦にこそ当てはまるわけで、普通なら一郎彦が主人公でもいいくらいなんだよね。

そこらへんのズレがやはり見ている間ずっとモヤモヤとしていて、自分の中で合理的に納得して飲み込めなかったかんじ。。

期待値が高かったぶん中途半端な中身にやや評価は低め

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ブレイブ・ストーリー

E38396e383ace382a4e38396e382b9e3838 声の出演:松たか子、大泉洋、常盤貴子、ウエンツ瑛士、今井美樹

監督:千明孝一

(2006年・日本・111分)盛岡フォーラム

評価★★/40点

内容:ある日、小学5年生のワタルが学校から帰ってくると、父親が家を出て行ってしまい、さらに母親は倒れて入院してしまう。突然家族がバラバラになってしまった現実を受け入れられないワタルは、転校生ミツルの言葉を思い出した。それは、「幽霊ビルの屋上から天に伸びる階段の先の扉の向こうへ行けば、運命を変えられる」というもの。ワタルは家族を取り戻したい一心でその扉の中に飛び込んでいく・・・。直木賞作家・宮部みゆきの冒険ファンタジー小説のアニメ映画化。

“このRPGゲームが中古で売られていたとしても、、、100%買わない。。”

それくらいツマラなかったです、この映画・・・。

ま、宮部みゆき原作小説の映画化作品って、「理由」以外見るに堪えないのばかりだけど。1番好きな作家だけに困っちゃうんだよなぁ(笑)。

なんで映画になるとツマラナイのか。。

それは、宮部みゆきの小説がなぜ面白いのかと言い換えることができると思うんだけど、独特かつ唯一無二の洗練され研ぎ澄まされた確かな日常感覚と、事件や犯罪から超常現象に至るまで異常なまでに豊かな非日常性が、見事な完全調和をみせているところにあると思う。

しかし、これが映画になると、日常感覚にほとんど光が当たらないという体たらくになってしまうのだ。

非日常的エピソードの積み重ねを追うというのは映画生来のサガではあるのだが、こと宮部みゆき原作に関しては確かな日常感覚に光が当たらないというのはもはや致命的である。

そう考えると、今回の「ブレイブ・ストーリー」は、宮崎駿の「千と千尋の神隠し」と比べてもよく分かるが、異世界(幻界)へ行く前の主人公ワタルの日常的エピソードがじっくりと描かれていて、しかも家族という日常が崩壊しつつある危うさにワタルが直面していく過程がややクドイくらいに描かれているのが大きな特徴といえる。

ここまではまだいい。

しかしだ、、、肝心の非日常世界へ行ってからの薄っぺらさと安っぽさと怠けっぷりはナンダ!?一体何なのだ!?なぜなんだ(笑)?こいつらにヴィジョンはあるのか!?

こっちが良ければ、今度はあっちがダメかぁ、、、って、おいおい頼むよ~。

成長過程が全然ないというか、Aqua Timezの歌の力で見習い勇者のレベルがブッ飛んじゃった、、みたいな。。なんじゃそりゃ。

また、幻界という異世界の描写も日常感覚(リアリティ)と非日常性(ファンタジー)のバランスが全く取れていない。

やっぱこういうの見ると、ジブリアニメの凄さってのが如実に実感できるなぁ。トホホ。

「千と千尋」でいえば、冒頭から何の説明もなしに千尋は異世界へ迷いこんでしまうわけだけど、宮崎駿はその異世界をおもいっきり非日常的な世界でありながら、なおかつおもいっきり日常的に現実世界と表裏一体で渾然一体に描いてしまうという離れ技をやってのけた。

それは、一貫性のないストーリーを無理やり引っ張ってしまうという力技にもなったのだが、終始一貫して主人公千尋に視線を寄り添わせて描くことで、少女が生きる力を取り戻す物語世界としてしっかりと成立させてしまった。

こりゃもうかなわんわな・・・。

本作にそこまでを求めるのは酷といえども、ひとつの物語世界としてもう少ししっかりしたものを提示してもらいたかった。映像としての世界だけで見せようとするのは駄作への近道以外の何ものでもないし、そういう安易な手法に埋没するのは避けてもらいたい。切に願います。。

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friends もののけ島のナキ(2011年・東宝・87分)WOWOW

 監督・脚本:山崎貴

 声の出演:香取慎吾、山寺宏一、阿部サダヲ、YOU、加藤清史郎

 内容:もののけが住むと恐れられ、近づくことさえ禁じられた不気味な島にある日、人間の赤ん坊・コタケが迷い込んでしまう。ところが、コタケを目にしてもののけたちの方が大パニックに。そこで、赤鬼ナキと青鬼グンジョーがコタケの面倒を見ることになるが・・・。

評価★★★/65点

余韻や感慨などどこ吹く風のアッサリ食感があまりにももったいないくらいの琴線に触れるイイ話なので、あと15分くらい延長してエピソードをもう少し入れた方がよかったような・・。まぁ、キッズ向けだと90分がベストなのかもしれないけど。

でも、CGアニメ技術はピクサーにも劣らないところまで来ているのはこれ見るとたしかなのだから、あとはキャラクターしかりシナリオしかり笑いと感動は細部に宿るってことをもう少しよく考えて創作をしてもらいたいものだ。

それはつまるところ映画好きが楽しい映画を作るというごく単純なことなのだけど、そこの部分はピクサーにはまだまだ敵わないってかんじかなぁ~。。

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ホッタラケの島 遥と魔法の鏡(2009年・東宝・98分)WOWOW

 監督:佐藤信介

 声の出演:綾瀬はるか、沢城みゆき、戸田菜穂、大森南朋、谷村美月

 内容:幼い頃に母親を亡くし、父と2人暮らしの女子高生・遥。ある日、母親の形見である手鏡をなくしたことに気付き、稲荷神社にお参りに行った彼女は、奇妙なキツネを見つける。そして後を追った先にあった泉から異世界へと迷い込んでしまう。そこは、人間がほったらかしにした物=ホッタラケで出来た島だった・・・。

評価★★★/65点

人間がほったらかしにしたもので出来上がったというパラレルワールド的世界観を有するファンタジー世界のアイデアの着想、民話的なヴィジュアルイメージ、主人公・遥のキャラ設定、ツボを外さないシナリオなど意外に及第点あげてもいいくらいの出来で、ファンタジー好きの自分は割りと楽しめてしまった。

が、ゆえにフルCGの稚拙さと違和感がより気になってしまったのもたしかで、普通に二次元アニメでいいじゃんと思ってしまう・・。

まぁ、ピクサーのレベルの高さがこういうの見ると如実に分かるよねっていう。。

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カクレンボ(2005年・日本・24分)NHK-BS

 監督:森田修平

 声の出演:竹内順子、植木誠、鈴木真仁、内藤玲

 内容:夜、カクレンボをすると鬼に連れて行かれる・・・。行方不明になった妹を探す少年ヒコラたちと、鬼の正体を暴こうとするノシガたち、そして謎の少女もまじえた7人の子供たちが摩天楼の最下部の薄暗く入り組んだ街中へと足を踏み入れ、おトコヨさまのお遊戯カクレンボを始める・・・。

評価★★/40点

題名をローマ字表記で出してくる時点でこりゃちょっと違うなと感じたけど、まさにその通りの出来だった・・・。

とにかく才能をひけらかすように絵で語ろうとするのはやめれ!そんな離れ技できるのは宮崎駿くらいなもんなんだから。

ストーリーがとにかく薄すぎて話にならないよこれじゃ。。

2016年10月30日 (日)

夢のシネマパラダイス493番シアター:アフリカの今

キャプテン・フィリップス

Poster2出演:トム・ハンクス、バーカッド・アブディ、バーカッド・アブディラマン、ファイサル・アメッド、キャサリン・キーナー

監督:ポール・グリーングラス

(2013年・アメリカ・134分)WOWOW

内容:2009年。ケニアへの援助物資を運んでいたアメリカ国籍のコンテナ船マースク・アラバマ号が、ソマリア沖で武装したソマリア人海賊に襲撃される。あっという間に船が占拠されてしまう中、船長のリチャード・フィリップスは、重大な決断を迫られていくが・・・。

評価★★★★/75点

さすがボーンシリーズでアクションエンタメのハードルを一段上げただけのことはあるポール・グリーングラスの真骨頂がここでも存分に発揮されている。

その真骨頂とは、疑似ドキュメンタリーをアプローチとしてエンターテイメントを創造することにある。

具体的には手持ちカメラの絶妙な距離感が生み出す緊迫感と臨場感がフィクションであることを軽々と超越してしまう、その高度なテクニックが半端ないことにつきる。そしてそれが監督が常にモチーフとして描く生死の境という極限のシチュエーションに絶大なリアリティをもたらしているわけだ。

映画を見る上で、一寸間違えば死という究極の非日常に飲み込まれてしまうかもしれない恐ろしさを体感できるというのはそうそうあるものではないけど、この監督の映画の面白さはそこにこそある。

その中で今回はソマリア海賊による船のシージャック事件の実話をもとにしていて、何の比較対象もない大海原の上ということでスピード感とか緊張感が鈍重になりはしないかと一抹の不安感があったのだけど、それはほどなくして杞憂に終わった。

ヤン・デ・ボンの「スピード2」とは大違いだった(笑)。

特に小さな海賊船が大きなコンテナ船をあれよあれよという間に乗っ取るまでの一連のシークエンスは息つく暇もなく見応え十分。

双眼鏡でのぞいた時に小粒のような不審船が猛然とこちらに向かってくるのを見つけた時や、不意にマシンガンを撃ち込まれた時の恐怖感はヒリヒリと伝わってきて、まさに疑似体験を味わわされた

搾取する側とされる側、先進国と途上国という政治的な問題を匂わせはするけど、結局武器を持つ者と持たざる者、最新鋭の武器とボロボロの武器という即物的な力の大小に落ち着くあたりは、よりエンタメ方向にベクトルが向いているので、だとしたらソマリア海賊側の視点を入れるのは、言い知れぬ恐怖が減退してしまうし、しかも申し訳程度に入れるのならいらない方が良かったとも思ったんだけど。。でもまぁ、ここまでハイテンポに畳みかけられるとそれも気にならなかった。

やはりこの監督スゴイわ。

でも、海賊を生業にしなければ生きていけないソマリア人の悲劇っていうのもあるんだよね。進んでも地獄、戻っても地獄ていう・・・。

そこらへんの掘り下げに関してはまた別な作品で見て勉強しないとダメだな。

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風に立つライオン

Poster2出演:大沢たかお、石原さとみ、真木よう子、萩原聖人、鈴木亮平、藤谷文子、石橋蓮司

監督:三池崇史

(2015年・東宝・139分)WOWOW

内容:1987年、ケニアにある長崎大学の研究施設に派遣された島田航一郎。現地で研究の他に一般診療も行い充実した日々を送るが、ある時、赤十字病院から1か月の派遣要請を受ける。そこで彼は内戦で負傷した人々が次々に運び込まれてくる想像を絶する過酷な状況を目の当たりにする。そして自分の無力さを思い知らされた彼は、そのまま赤十字病院への勤務を志願するのだった・・・。

評価★★★/65点

ケニアロケを敢行しただけあってアフリカの雄大な大地の画力と奥行きは白眉で、登場人物の信条や境遇が純化されていくに足る色彩を帯びていたように思う。

その中でアフリカの医療に身を捧げる島田航一郎(大沢たかお)は、幕末にタイムスリップした現代の医師が近代医療に身を投じるJIN-仁-を想起させて見応えがあった。

しかし、せっかくの濃密な題材も扱いが散漫な印象が拭えず…。

それは多分にアフリカパートと長崎パートのコントラストにムラがありテンポの悪さが目についたことが大きいと感じたのだけど、はたして長崎パートは必要だったのだろうかとそもそも論のところで思ってしまった。

そこに時間をかけるよりもケニアで赤十字の戦傷病院で働く看護師の草野和歌子(石原さとみ)の経歴をこそもっと丹念に描いてほしかった気も。。

もっと骨太な作品にできたはずという点ではもったいない感の方が勝ったかなぁ・・。

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ザ・インタープリター

Imge8d3b19307vfv3 出演:二コール・キッドマン、ショーン・ペン、キャサリン・キーナー

監督:シドニー・ポラック

(2005年・アメリカ・129分)2005/06/01・MOVIX仙台

評価★★★/60点

内容:アフリカ南部のマトボ共和国で大量虐殺が行われていると、国際社会はズワーニ大統領を厳しく批判していた。そんな中、国連総会でズワーニ大統領が演説することが決まる。マトボの言語であるクー語を翻訳できる国連職員のシルヴィアは、ズワーニの暗殺計画を知ったため通報するのだが、シークレットサービスから派遣された捜査官のケラーは、彼女自身が暗殺に関与していると疑う・・・。史上初めて行われた国連本部内でのロケも話題に。

“国連というどでかいリアルを持ち込んだわりに、よくあるフィクションの1つにしかなっていないのは消化不良。”

クー語と聞いて「不思議惑星キン・ザ・ザ」を思い浮かべてしまうのは自分だけかww?

というのはともかくこの映画、、惜しい。サスペンスとしてもドラマとしても、、惜しいのだ。逆に言えば物足りなさが目立つともいえるわけで。

国連というリアルな箱庭をせっかく用意したのに、まるで上空からその箱庭をただ俯瞰しただけのような中身の無さ。

あるいは、マトボ及びクー語という用意周到な虚構の中で、小さなリアルを積み重ねることによってアフリカの紛争、アフリカの“今”を切り取るのかと思いきや、現実離れしたキッドマンの人物設定といういわば絵空事だけで押し通しあぶり出していこうとする無茶苦茶さ。

また、ケラー(S・ペン)の私生活における悲しみが、接点の見えないまるで意味のない無駄な描写に見えてしまうほど物語と絡んでこないもどかしさ。

これらが総じてこの映画を物足りないものにしていると思ってしまった。

結局、大統領暗殺計画という大きなサスペンスドラマの落ち着いた先は、シルヴィアとケラーが抱えた個人と家族の問題だったわけで、なるほど道理で先に記したケラーの悲しみを延ばし延ばしで引っ張ったわけだと合点がいくのだが、この映画の落とし方にはまるで合点がいかない。。

ズルイというか逃げだろこれは。。

本当にリアルだったのはオープニングの銃を構えた少年とS・ペンの見事な表情だけだった・・・。

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ホテル・ルワンダ

Hotel 出演:ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ホアキン・フェニックス、ニック・ノルティ

監督:テリー・ジョージ

(2004年・英/伊/南ア・122分)2006/04/15・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:1994年、ルワンダ。多数派のフツ族と少数派のツチ族の内戦は和平交渉がまとまるかに見えたが、フツ族の大統領が暗殺されたことによって事態は急変。フツ族の人々がツチ族の市民を襲撃し始めた。ベルギー系の高級ホテルで働く支配人ポールはフツ族だったが、妻がツチ族だったことから親類身内をホテルに匿うのだが・・・。1200人もの人々をホテルにかくまい、持ち前の機転と交渉力でその命を守り抜いた一人のホテルマンの奇跡の逸話。

“あまりにも不条理な世界の現実、そこに置き去りにされた人々がいるという事実、家族を死に物狂いで守り抜くという男の決意。気だるい(しかもどこかキナ臭さが漂う)平和を謳歌する日本人にとってはすべてが想像を絶する理解不能ワールド・・・。しかし、とにかく映画を観ることによって「知る」ことから始めるしかない。無知から恐怖は生まれ、その恐怖が狂気へと深化していく1番恐ろしいものなのだから。”

過去数百年にわたって欧州列強に侵略されてきたアフリカの近現代史(それ以前の歴史は侵略の過程で忘却の彼方へ押しやられ抹消されていったといってよい)は、白人たち侵略者との戦いであったわけだが、その戦いを克服した後に出てきたのが現在もアフリカ各地で続く内戦だ。

それは、世界地図でアフリカを見ると、判で押したように定規で線を引いたような整然とした国境線であることが分かるが、これは文字通り欧州列強が地図上で勝手に定規で引いて決めたわけで、そこにはアフリカの人々はおろか民族や部族や宗教、文化の違いといったものは何ら考慮されることはなかった。そこにあるのは欧州列強の縄張り争いと、その中での妥協の産物だけだったのだ。

それゆえ、同じ民族が国境線という名の下に分断されたり、あるいは異なる民族同士が同じ国に属するということが至る所で生じていたわけで。

現在続発するアフリカでの内戦や民族間の争いの大元はそこにあると思う。

今回の作品「ホテル・ルワンダ」の舞台であるルワンダの場合は、ルワンダ国民の85%を占めるフツ族と残りのツチ族の間の部族間争いである。

しかしこれだって大元をたどれば、第一次大戦の戦利品としてルワンダを召し上げたベルギーのルワンダ統治に行き着くだろう。

要は、統治しやすいようにルワンダ国家を弱体化させるために用いた方法として、ヨーロッパ人の容姿により近いという理由でツチ族を優遇することでフツ族とツチ族の間における人種差別を故意に増長させるというやり方だ。

後にベルギーはフツ族に乗り換えたりもして、ベルギーが1960年代に去った後に残されたのはフツ族支配者の一党独裁だったわけだが、結局これがツチ族100万人大虐殺という最悪の事態へ結びついてしまったわけで、その間、欧州はまるで過去の事実と所業を忘れてしまったかのように「第3世界」という括りでアフリカをそっくりそのまま置き去りにして捨て去ってきたのだ。

今回の映画はそういう背景や俯瞰的視点が決定的に足りないことは否めないと思う。

あくまでもポールの実体験による個人的な視点、すなわち家族を救うために口八丁手八丁で東奔西走しながら必死の形相で駆けずり回った男の視点と、結果として1200人もの尊い命を救ったという事実を描いたのみといっていいと思う。

もちろんその描かれていることだけでも非常に重く衝撃的で、日本から見ればはるかに遠い地ルワンダで起きたことをこの作品を観て知るということは非常に貴重なことだとは思う。

しかし、一方では、一抹の物足りなさが残ったのも確かなのだ。それは先ほども述べた通り、政治、民族、戦争、世界といったマクロな視点がほとんどないことに行き着いてしまう。

一応ないこともないのだが、それはツチ族の妻をもつフツ族のポールの家族の形として、また映画の舞台となる高級ホテルに断片的に凝縮されている形にすぎない。

マクロな視点とミクロな視点を交差させることで、なぜこういうことになってしまったのか、何が普通の人々を虐殺という酷い行為に走らせたのかといったところまで掘り下げていってもらいたかった気もする。

なぜなら、日本人として、人間として、何の関係もない話だとは決して言えないのだから・・・。

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ブラッド・ダイヤモンド

20070407024917 出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン

監督:エドワード・ズウィック

(2006年・アメリカ・143分)2007/04/16・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:激しい内戦が続くアフリカ・シエラレオネ。漁師のソロモン(J・フンスー)は、反政府軍RUFの襲撃に遭い、ダイヤモンド採掘場で強制労働を強いられる。そこで巨大なピンクダイヤを発見したソロモンは、政府軍の来襲の混乱にまぎれてそのダイヤを秘密の場所に隠すが、その後刑務所に投獄されてしまう。一方、同じ刑務所に収監されていたダイヤの密売人ダニー(ディカプリオ)は、ソロモンがピンクダイヤを隠していることを知り、釈放後アメリカ人女性ジャーナリストのマディー(J・コネリー)の協力を得てソロモンの家族捜しに協力することを条件に、ダイヤの隠し場所を聞き出そうとするのだが・・・。

“先進国のダイヤを欲しがる一人の消費者が買った指輪のせいで、シエラレオネでは女性一人の手足が切り落とされているかもしれない・・・。”

国際人権保護団体アムネスティのサリル・トリパシ氏の言葉だが、幸せの象徴であるダイヤのリングが、ダイヤとは全く無縁の産出地の人々にとっては地獄のような不幸の象徴なのだという事実にただただ衝撃を受けるばかりだった。

一時は、このような紛争ダイヤモンドが世界市場の10%以上を占めていたというのだから驚くほかないが、消費大国である日本に暮らす我々日本人の手に渡っていたとしても何ら不思議ではないのかもしれない。

資源のほとんどを輸入に頼る日本、自分が普段何気なく買っているものの背景にはこういう話が五万とあるのかもしれない・・・。

ところでビックリしたのだけど、日本の平均寿命が80歳超えて世界一ならば、それとは正反対の平均寿命34歳で世界最短の国がこの映画の舞台であるシエラレオネなのだそうだ。

激化した内戦で幼児の4人に1人は5歳まで生きられず、または兵員補充のために殺戮の現場に少年兵として駆り出されていく現実。

子供が笑いながら銃を乱射し無造作に人間を撃ち殺す衝撃的なシーンは、映画としては最も忌避されるべきものだと思うけど、「シティ・オブ・ゴッド」と同様にこういう嘘のようなホントの現実が実際にあるのだということを伝えるためには必要な描かれなければならないことなのだろう。

その点でいえば、この映画は銃撃アクションとダイヤを巡るアドベンチャーを前面に出した娯楽商業映画という面も持ち合わせていて、舵取りを少しでも誤るとチンケなトンでも映画になってしまう可能性もあったのだが、社会派としてのメッセージをしっかりとなおかつ取っ付きやすい形で織り込んでいて、ハリウッド映画にしてはバランスがとれていて評価できる。そういう意味でも非常に見応えのある作品といえるだろう。

そしてなんといってもレオナルド・ディカプリオの一筋縄ではいかないヒール役の渾身の熱演も見逃せない。「ディパーテッド」よりも断然良い。

アフリカで生まれ育った元傭兵で血塗られたダイヤから利益を得ている密売人だが、その内には哀しいトラウマを抱える複雑なキャラクターをアカデミー賞ノミネートも納得のたしかな実力で演じ切っている。

この作品で童顔スターからついに脱皮したというのもあながち間違いではないと思う。往年の大スター、ハンフリー・ボガートと肩を並べたというのはさすがに言いすぎか、、な(笑)。

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ダーウィンの悪夢

Dar 監督・脚本:フーベルト・ザウパー

(2004年・オーストリア/ベルギー/仏・112分)WOWOW

評価★★★★/80点

内容:アフリカ中央部に位置するビクトリア湖は多様な生物が生息していたことから、かつて“ダーウィンの箱庭”と呼ばれていた。そんな湖に半世紀前、外来種の巨大魚ナイルパーチが放たれた。その白身は食用としてヨーロッパや日本で好まれたため、湖畔の町の地域経済は発展を遂げた。しかし、一方では、肉食巨大魚の大増殖で湖の生態系は激変、さらに貧富の差の拡大、エイズやドラッグの蔓延など新たな問題が町の人々に襲いかかる・・・。グローバル経済に取り込まれたアフリカで引き起こされた悪夢のような現実を描き出すドキュメンタリー。

“必死で食べ物にかじりつく少年と、マックのフィオレフィッシュにかぶりつく自分・・・。”

普段何気なく食べている白身魚フライがアフリカの飢餓の原因になっていたなんて・・・。

日本には数千トン輸入されているというナイルパーチはスズキの代用品として普通に切身で売られているほか、冷凍食品の白身魚フライとして学校給食やファミレスでよく使われているのだという。

最大で体長が2mにもなる大魚の白身をヨーロッパ人や日本人が根こそぎ持っていき、頭と皮だけになった残骸を食すしかない現地の人々。

ウジ虫の湧いた累々たる残骸と、片目を失った女性、そしてわずかばかりの食べ物を必死で取り合う子供たち。そしてナイルパーチの切身を満載して飛び立っていく飛行機が、代わりに満載して運んでくるものは、、、武器。

ショックだった。何にも知らない自分・・・。

グローバリズムという名の弱肉強食の世界で我々先進国の人間はナイルパーチそのものなのかもしれない。

生態系を破壊するナイルパーチのごとく我々がしていることは虐殺と呼ぶにふさわしいことなのかもしれない。

そんなこと露も知らず、マクドナルドのフィレオフィッシュにかぶりつく自分・・・。

                 ・

                 ・

しかし、ふと考えてみると、ディカプリオが主演し、同じくアフリカの問題を扱った「ブラッド・ダイヤモンド」では、紛争ダイヤを買う我々消費者にも多大な責任が委ねられていることを示していて、それはストンと胸に落ちたのだが、はたしてこの「ダーウィンの悪夢」で描かれた由々しき問題にも我々消費者に責任はあるのだろうかと考えると、なんかちょっと的外れな気もしたりして。。

もちろん加担していることはたしかなのだけど、なにかうまく言葉が見つからないけど、グローバルな資本主義システムの中に我々消費者も含めて組み込まれてしまっていることにこそ問題があるのではないかなぁ、と思ったり。

その中に当事者の顔が何千、何万と組み込まれ張り巡らされているわけで、いったい誰が悪いのか何が悪いのか、このシステム自体を変えるのにもいったいどこから手をつければいいのか分からないような世の中になってしまっている。

最終的に口の中に入れる我々消費者ができることが、例えばナイルパーチの白身フライを買わないとか食べないとかマックに行かないといったことで、この問題を解決できるのかといえば、かえってビクトリア湖の地元の産業体系を壊してしまい、ますます貧困が広がってしまうのかもしれないし。

この広大なグローバリズムの国際社会の中で、個々人が日常生活の中でできることは悲しいことに非常に限られている。

でも、自分は知ってしまった。この映画を観て。

グローバル化した世界の末端にいる人々の現実を。あまりにも悲惨な現実を。

自分にできること。この映画を周りに広めるくらいのことは出来る。自分みたいに何にも知らない人々に。無知を改める手助けをするくらいのことは出来る。

映画の中で、夜警に従事している男が「戦争があればみんな儲かって助かるのに。みんな戦争が起きればいいのにと思っている。」と言っていたのも衝撃的だった。

かなりヘコム映画だ。何にもできない自分に鬱になる映画だ。あまりにも世界の現実を知らない自分に腹が立ってくる映画だ。

でも、自分は知ってしまった・・・。

2016年10月23日 (日)

夢のシネマパラダイス316番シアター:なぜ兄弟は映画にならなくて姉妹は映画になるのか

海街diary

News_20150528出演:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平、樹木希林、リリー・フランキー、風吹ジュン、堤真一、大竹しのぶ

監督・脚本:是枝裕和

(2015年・東宝・128分)WOWOW

内容:父は不倫のため15年前に、母もその2年後に再婚し家を出ている中、しっかり者の長女・幸、やんちゃな次女・佳乃、マイペースな三女・千佳の香田三姉妹は、鎌倉の実家で暮らしている。そんなある日、父の訃報が届き、3人は葬儀の行われる山形へ。そこで中学生になっている腹違いの妹すずと出会う。父の再々婚相手の家のため、血のつながった身寄りがいなくなり肩身の狭い思いをしているすずの姿に、幸は鎌倉で一緒に暮らさないかと提案する。こうしてすずが香田一家に加わり、四姉妹の暮らしが始まる。

評価★★★★/80点

好きな漫画は何かと訊かれたら真っ先に「海街diary」を挙げるほど原作漫画が好きな自分は、この漫画に関しては一風変わった読み方をしている。

それは家から職場まで車で片道50分かかるのだけど、通勤途中の信号待ちの時にサッと手に取る読み方だ(笑)。かなり邪な読み方かもしれないけど、一巻読むのに大体2~3週間はかかってしまう。

じゃあ、なんでこういう読み方をするかというと、端的に言えば一気読みしたくないというのがあって、要は4姉妹の日常を流れるゆったりとした時の流れを共有したいからだ。

その点で今回の映画は、原作の持つ世界観を的確に、そしてイメージ通りに映像化してくれたと思う。

鎌倉の街の情景や4姉妹が暮らす日本家屋など実写ならではの奥行きが彼女たちのキャラクターや物語に説得力をもたらしていたし、なにより4姉妹がイイ♪

サチ姉の綾瀬はるかと千佳ちゃんの夏帆は見る前は若干イメージと違うかなと思ってたけど、フタを開けてみたらしっくり役にハマっていて確かな女優力を垣間見れたかんじ。

あと完璧だったのが佳乃の長澤まさみ。自由奔放かつ大ざっぱでルーズでありながら冠婚葬祭や職場などオフィシャルな場ではきっちりしているという女の使い分けが上手い佳乃のイメージ通りだったと思う。法事が終わった後に大の字になってビール飲みてぇー!ってわめく所はドンピシャだったw

また、四女のすずに関しても言うことなし。なにより広瀬すずのサッカーのプレイ姿がめちゃくちゃ様になっていてビックリした。原作のすずはサッカー推薦で高校に行けるくらいの実力の持ち主なので、あのサッカーシーンだけでこの映画への信頼度はMAXになったといってもいいくらい。

2時間だけで終わらせるにはあまりにももったいない4姉妹のアンサンブルと世界観を堪能できたけど、どうせだったら連続ドラマで見たいね。

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イン・ハー・シューズ

20061231085807 出演:キャメロン・ディアス、トニ・コレット、シャーリー・マクレーン、マーク・フォイアスタイン

監督:カーティス・ハンソン

(2005年・アメリカ・131分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:まわりが羨むスタイルと美貌を持ちながらも難読症というハンディキャップがコンプレックスとなり、定職にも就かない奔放なマギー。一方、姉のローズは、弁護士として成功しているものの、自分の容姿に自信が持てず、恋愛にも慎重。そんなある日、ローズの家に居候していたマギーは、ローズの恋人に手を出してしまったことから家を追い出されてしまう。行く当てのないマギーは、仕方なくまだ会ったことのない祖母エラのもとを訪ねるのだが・・・。

“これが私の生きる道!”

むやみやたらとご立派な靴を買い集めては開かずのクローゼットに新品のまま所狭しと並べている姉ローズ(トニ・コレット)と、姉のお気に入りの靴だろうがお構いなしにむやみやたらと靴を履き替えては折れたヒールをチューインガムでくっつけてしまうようなトンでもな妹マギー(キャメロン・ディアス)。

仕事はバリバリだけど堅物で恋に不器用な姉と、プーだけどルックス抜群で姉のお気に入りのボーイフレンドだろうが所かまわずガンガンヤリまくるイケイケ女の妹。

靴のサイズが同じこと以外は全く好対照な姉妹の2人のキャラクターが非常によく描かれているのがこの映画のミソで、時には嫉妬し、時にはケンカし、時には信頼し、時には自慢し合い、時には抱き合い、時には涙し、、、そんな姉妹のキッてもキレない関係が丹念に描き出されていくとともに、2人の“これが私の生きる道”を見つけていく道のりが心地良く綴られていく。

そして家族の再生と、人間的に成長し歩き出していく2人の姿に心が暖められ、思わず笑顔で2人の背中を見送ってあげたくなる良作に仕上がっている。

特にキャメロン・ディアスは最近の作品の中では1番良かった。

ゴージャスなモデルボディーのみが売りだったような「マスク」から10年。大金持ちのお姫様でルックス以外能がないような、それでいて映画史に残る大音痴を披露して場をさらった「ベスト・フレンズ・ウェディング」から早8年。

しかし、そんなゴージャスかつフレッシュで元気溌剌な若さが売りだったキャメロンも他の勝負できる“これが私の生きる道”を見出さなければならない世代にさしかかった。

ローズがマギーに言い放つ「中年のアバズレは惨めなだけよ!」というキャメロン自身にはね返ってくるような生々しくて強烈なセリフが耳に残ったが、「マスク」から「チャーリーズ・エンジェル」までフルスロットルで走り続けてきた彼女が10年ひと区切りで次なるステージへとかけ上がっていくスタート・ラインに立ったということなのかな。

欠点なり弱点をキュートでプラスな側面に自然に変えられる持って生まれた稀有な才能を持っているキャメロン・ディアスは例えば一見お下劣な映画でも笑って許せてしまうような独特で能天気な雰囲気と味わいを添えることができる。

「メリーに首ったけ」では○液ヘアジェルを髪になすりつけ、今回の映画でもレストランでデカイ声で「ヴァギナ」を連発だからね。志村けんのバカ殿と共演させたいよホンマ(笑)。

硬軟バランスよく使い分けることのできる女優になっていってもらいたいけどね。

あ、トニ・コレットもホント良かった。あ゛っ、それ以上にシャーリー・マクレーンもね。

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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

20071004_451107 出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、山本浩司、永作博美、永瀬正敏

監督・脚本:吉田大八

(2007年・日本・112分)CS

内容:石川県の片田舎。両親の訃報を受け、東京から戻ってきた和合家の長女、澄伽。4年前に女優を目指して上京したものの泣かず飛ばずの澄伽は、義兄の宍道に援助の強要を迫るわ、妹の清深をいじめ抜くわのやりたい放題。宍道の妻で度を越したお人好しの待子はその複雑な家族関係に右往左往するばかりだったが・・・。

評価★★★☆/70点

“和合”という日本人の本質を言い表しているような名字を持つ和合家の人々の救いのない醜態を面白おかしく見つめた物語は、最後まで飽きずに見れたのはたしか。

ただ、ラストに「やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。」と妹・清深(佐津川愛美)が姉・澄伽(佐藤江梨子)に鉄槌を食らわせるわけだけど、この1番印象的なセリフに十分な説得力を持たせるまでの描写がなされていたかというと、ちょっとビミョーで・・。

だって1番面白いネタになるのは待子(永作博美)>清深>宍道(永瀬正敏)>澄伽やんけ。

澄伽の人物造型を漫画的にもっと大胆にデフォルメしてアクの強さを前面に出してもよかったのかなとは思ったな。

そういう点では、永作博美にかなり助けられた作品だったと思う。

そばつゆがコンタクトレンズと角膜の間に入って失明しかけるというプロットなど細かいところまで随所に笑えるシーンはほとんどが待子がらみだったし、それを演じた永作博美の笑顔ふりまきながらの怪演ぶりは、清深が描くホラー漫画以上に怖いものがあった。

ニコニコしながら変な人形作ったり、宍道と合体しようと青アザ作りながら格闘したり、扇風機を念力で回そうとしたり、ホラーとユーモアの絶妙な同居を体現した演技力は女優としてホンモノなんだと確信。もっと前に気付けよw

駄作と異色作の狭間で奮闘した永作博美に乾杯です!!

でも、話は変わるけど、100万金を貸すのにスタンプカード80回ぶんって、、、1回1万2500円やろ。安すぎだろww。せいぜい1回3万で計算しいや。そこが気になって気になってしょうがなかった・・

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何がジェーンに起こったか?

Nanigajaneniokottaka_aus 出演:ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード、ビクター・ブルーノ、アンナ・リー

監督:ロバート・アルドリッチ

(1962年・アメリカ・132分)DVD

評価★★★★/80点

内容:名声を失ったのは姉のせいだと思いこんだ往年の子役スターが復讐を企てるスリラー。6歳の時から舞台に立っていたジェーンが子役としての人気を失いかけていた頃、姉のブランチは映画スターとして人気者になっていた。しかしそんなある日、ブランチは自動車事故で下半身不随となり映画界から退く。数十年後、姉と2人で暮らすジェーンは、酒に溺れ異常な行動をとるようになっていた・・・。

“嫉妬と憎しみから解放されるカタルシスが一転して悲しみに変わったとき、、、しばし絶句し呆然とする以外にない。”

見終わって思い返してみるとちょっとした違和感は冒頭で感じてたんだよなぁ・・・。

妹が表舞台で盛大なスポットライトを浴びてる中、姉のブランチは舞台袖でくやしそうな顔をしている。

母親から、「あなたもいつかスターになれる。もしスターになったらお父さんや妹の面倒をみるのよ。忘れないでね。」と言われたブランチの返しが、「ええ、忘れないわ。絶っっ対に。。。」と言ったときの表情と言葉つきに並々ならぬものを感じたのだけど。でも、まさかなぁ、そんなことって、、ありなのかよ。。

ヒッチコックの古典「レベッカ」と見比べてみても面白いかもね。

見えない強烈な存在感と、見える見える見えすぎてケバイ強烈な存在感と。レベッカに対抗しうるのはあの姿形のベティ・デイヴィスということなのか・・・。

いやはや凄すぎます。。

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とらばいゆ(2001年・日本・118分)NHK-BS

 監督・脚本:大谷健太郎

 出演:瀬戸朝香、塚本晋也、市川実日子、村上淳、鈴木一真、大杉漣

 内容:姉妹そろって女流棋士という姉・麻美(瀬戸朝香)と妹・里奈(市川実日子)。麻美は大企業に勤めるサラリーマンの一哉(塚本晋也)と結婚したが、途端にスランプに陥ってしまい、結婚早々ケンカばかり。一方、恋多き里奈は、弘樹(村上淳)という売れないミュージシャンの彼氏がいたが、里奈の浮気がバレて険悪な状態に。そして恋愛と勝負師という仕事の両立に悩む姉妹の関係もこじれてしまい・・・。

評価★★★★/75点

“将棋の指し方にはその人の性格が出るというけど、そういう意味でいえば自分は簡単に分かる。詰めが甘い!押しが弱い!人生においても、、恋愛においても、、ガクッ。”

と、半うつ状態になったところでこの映画の感想を。

まず、いじっぱりで強情で素直じゃない麻美のような女性ははっきりいって好みじゃない。

だって、良かれと思って買ってきた妻の大好物であるニコニコ亭の酢豚弁当を、「こんなのいらない!」と投げ捨てるねんでアータ。オイラだったら速攻ブチ切れるわ。

なのにこの肩身のせまそうな夫といったらキレるわけでもなく、「やめて下さい。。」の一点張り。温厚で優しくニコニコニコニコ。。自分にはできない(笑)。妹・里奈の恋人と合わせて、なんつう男は弱いんだと男どもに喝を入れたい気分にもなったのだが。

しかし、決して自分の弱みを見せない麻美が夫の前で涙を見せたとき、夫婦関係の真実が露わになるさまに思わず愕然。

夫・一哉の包容力と優しさが妻を支えていたという真実。

恋愛は“刺激”と“熱情”、結婚は“忍耐”と“寛容”とはよく聞くが、恋愛経験すら乏しい自分にとって夫婦関係の深淵を理解するには、その思考回路はスイッチの切り替え方を知るすべもないほどに単純すぎるのかもしれないな・・。

でも、それをテンポ良いコメディタッチに落とし込んだ日常の会話劇として垣間見ることができたのは、ただ見るぶんには面白おかしかったけど。

しかし実際、あんな都合のいい男なんていったいぜんたい居るのかね??

里奈の恋人・弘樹のような大らかさにさえかなり妥協しないと迫れない自分には、おとぎ話のような世界かも。。

ただひとつ、取るに足らないことからケンカになっていく様子は妙にリアルで、そこだけは120%自分と重ね合わせることができて、思わず笑わずにはおられなかった。

女がオトコ化し、男がオンナ化している今の時代、社会の矢面に立たされている女性とうまく付き合っていくには、男には癒しの能力が求められ必要とされているのかもしれない。

オイラには・・・・

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ハンナとその姉妹(1986年・アメリカ・106分)NHK-BS

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ウディ・アレン、マイケル・ケイン、ミア・ファロー、ダイアン・ウィースト

 内容:女優として成功して夫エリオットとの家庭生活も円満なハンナ、ハンナの妹で売れない女優のホリー、年の離れた画家と同棲している末妹のリー。NYで暮らす三姉妹の人間模様を描いた人間ドラマ。

評価★★★★/75点

“ダイアン・ウィースト、、細いっ!”

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若草物語(1994年・アメリカ・118分)NHK-BS

 監督:ジリアン・アームストロング

 出演:ウィノナ・ライダー、スーザン・サランドン、サマンサ・マシス、クリスチャン・ベール

 内容:『若草物語』4度目の映画化。

評価★★/40点

このての映画がいまいち好きになれないのは、コスチュームものが好みではない他に、見てるだけでウザったい女性陣の髪形にも一因があることがこれ観て判明した(笑)。

ついでに言えば、大林宣彦の映画が性に合わない自分には、この映画、、なんか同じ匂いがした。。

2016年10月16日 (日)

夢のシネマパラダイス364番シアター:犯人は、まだそこにいる。

64-ロクヨン-前編/後編

A0163972_8525372出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、窪田正孝、鶴田真由、芳根京子、瑛太、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、緒形直人、永瀬正敏、三浦友和

監督・脚本:瀬々敬久

(前編2016年・東宝・121分/後編2016年・東宝・119分)WOWOW

内容:昭和64年1月3日に発生した少女誘拐殺人事件。三上刑事(佐藤浩市)らが捜査にあたる中、1月7日に昭和が幕を閉じる。そしてロクヨンと隠語で呼ばれるその事件も未解決のまま時が経った平成14年。刑事部から警務部広報官に異動になった三上は、ある交通事故の報道方針をめぐる記者クラブとの対応で県警との板挟みにあい、神経をすり減らしていく。そんな中、ロクヨンの時効を1年後に控え、警察庁長官が被害者家族の雨宮(永瀬正敏)と面会する話が持ち上がる。三上は14年ぶりに雨宮のもとを訪ねるが・・・。

評価★★★★/80点

原作未読。NHKドラマ視聴済。

「八日目の蝉」といい「紙の月」といいNHKドラマが映画をしのぐハイクオリティだったため、今回もどうなんだろうと思ったら、やっぱりTVドラマの方が見応えがあった。

もちろん尺の違いはあるんだけど、地方の閉塞感の中で蠢く様々な感情や葛藤が澱のように沈み溜まっていく陰うつな質感や、ノイズの気色悪い響きが重苦しさを喚起する劇伴などTVドラマの方が印象的だったし、主人公三上も受け身な中間管理職オジさんの悲哀をよく表していたという点でドラマ版のピエール瀧の方がハマっていたと思う。佐藤浩市はやっぱカッコ良すぎなんだよねw

でもまぁ、映画の方も豪華すぎるオールスターキャストの演技合戦は十分見応えがあったし、前後編に分けてボリューム感を出した気概は買いたい。

ただ、唯一どっちらけだったのが、ヘリウムガスが切れてなんとか地声を隠そうと頑張る吉岡秀隆の声つぶし演技。もうコントでしょあれ・・

あと、ひとつ消化不良だったのが、後編で雨宮(永瀬正敏)が目崎(緒形直人)の次女を車に乗せて家まで送る時に雨宮が号泣するシーンが唐突に出てくるんだけど、常識的に考えて小さい女の子がそんな簡単に知らない男の車に乗るかなぁ(雨宮翔子ちゃんは目崎の車に乗っちゃったわけだけど・・)という疑問があって、もしかして当初雨宮は誘拐しようとしたのか!?とも勘繰りたくなったけど、何の状況描写もなかったので、そこは見終わった後も引っかかった。

あと、TVドラマでは目崎の逮捕を匂わせるところで終わるものの、映画の方は目崎逮捕のために三上がとんでもない行動に打って出て目的を果たすものの警察を追われることを匂わせるところで終わるという違いがあって、随分と突っ走ったものだなぁと驚いたけど、これはこれで悪くない着地点だなとは思った。

結局最後に言いたいこと。今後はNHKドラマより映画の方を先に見ることにします(笑)。

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予告犯

142642565665371468179出演:生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、窪田正孝、小松菜奈、小日向文世、滝藤賢一、荒川良々

監督:中村義洋

(2015年・東宝・119分)WOWOW

内容:ある日、新聞紙製の頭巾をかぶった男が、集団食中毒を起こした食品加工会社に制裁を加えるとする予告動画がネットに投稿され、翌日実際に会社の工場が放火された。その後も、“シンブンシ”と名付けられた男は、世の中の不正義に対してネットで私刑を予告し次々に実行していく。一方、警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香は、男の正体を探ろうと捜査を続けるが・・・。

評価★★★/65点

日本文化礼賛番組が幅を利かせる一方、「腎臓を売ってまで来たかった国がこんなザマでごめん」というセリフを真と受け取らざるを得ない現実、そして自分の境遇を社会のせいにするなんて卑怯だという詰問に対し「あなたには分からない」と言い放つ格差社会の諦念が胸に迫る。

この頑張っても報われない時代が生み出した勝ち組と負け組の断絶はよく描けていたと思うし、予告犯と警察との攻防戦も見ごたえがある。

ただ一方、どこかでこの映画に一抹の違和感を拭えなかったのもたしかで、それはネットの動画配信で法で裁けない悪をさらし者にして成敗するシンブンシの行為に、痛快さよりもイスラム国の残虐動画を連想させる怖さを感じ取ったからだ。

しかもこれを正当化するのに情緒話に落として風呂敷を畳もうとするのも少し気持ち悪くて興ざめしたし、犯人目線で描いているだけに死をもって解決するというのがなおさら後味が悪くてすっきりしなかったなと。

まぁ、共感できそうでできないというか、共感したくない自分がいるというか・・。そういう意味では戸田恵梨香の女刑事の方に6:4で肩入れしたいんだけどねw

現代版「天国と地獄」にはなりえなかったな・・・。

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犯人に告ぐ

Xnqrhdllga 出演:豊川悦司、石橋凌、小澤征悦、笹野高史、片岡礼子、井川遥

監督:瀧本智行

(2007年・日本・117分)WOWOW

評価★★★/65点

内容:6年前、自ら指揮を執っていた誘拐事件でミスを犯し、人質の少年を殺された責任を取らされ左遷された神奈川県警警視・巻島は、川崎市内で起きた連続児童殺人事件の捜査責任者として本部に呼び戻された。そして生放送のニュース番組に出演した巻島は、BADMANと名乗る犯人に直接語り始め、犯人を挑発。ここに劇場型捜査の幕が切って落とされた・・・。

“今夜は震えて眠れ!”

かっちょええーー!!スィ、スィびれますた。。

このセリフ聞いただけでも、これ見た甲斐はあったかんじだけど、映画としてはバカ正直なまでにご丁寧なつくりで、映画的な躍動に乏しい面はあったかな、と。

また、プロローグの6年前の誘拐事件の捜査でナンパ男を犯人と間違えてしまうところで、あんなオバハンをナンパする奴なんているのか?という点・・。

過去に会見で逆ギレした巻島(トヨエツ)が、左遷された足柄署から、テレビ慣れしているという理由で呼び戻されるというのもフツーありえるのか?という点・・。

また、同級生のニュースキャスター杉村(片岡礼子)の胸元を見てとち狂った植草(小澤征悦)の暴走ぶりや、ラスト近くでトヨエツが刺されちゃうのも「踊る大捜査線」をもじったようで間が抜けるし、全体的にもうちょっと精査してもらいたいような出来ではあった。

ただその中で、トヨエツの刑事っぷりは見応えがあったし、あとは笹野高史が要所要所でイイ味出してるんだよねぇ。

そんなこんなでなんとか最後まで見れてしまったけど。まぁ、テレビで見る分にはちょうどいいかなというかんじかな。

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大誘拐 Rainbow Kids(1991年・東宝・120分)NHK-BS

 監督・脚本:岡本喜八

 出演:北林谷栄、緒形拳、風間トオル、西川弘志、樹木希林、嶋田久作

 内容:紀州一の大富豪・柳川とし子刀自がド素人3人組に誘拐された。ところが、刀自は犯人たちから自分の身代金が5千万円と聞くや、自分のプライドが許さないとブチギレ、身代金を100億と勝手に決めてしまう。てんやわんやの犯人たちに毅然とした態度で指図をしていく刀自。一方、和歌山県警本部長の井狩は、捜査に全力を注ぐが・・・。

評価★★★☆/70点

風間&内田&西川の大根役者っぷりが際立つ冒頭15分を見て思わず心が折れそうになったけど(笑)。。

しかし、彼ら誘拐犯のトーシロ同然のお粗末ぶりも、彼らを取り巻く緒形拳や樹木希林、天本英世、竜雷太といったプロの名役者たちで固めた脇役陣との対比が物語上うまくリンクしていて、そういう点では適材の配役だったのかも。

そしてそして忘れてはならない北林谷栄の素晴らしさ。

微笑ましく見ていられる可愛いお婆ちゃんの裏の顔にプロを手玉にとるしたたかさと、ダテに資産家やってるんじゃないのヨ!というプライド、そして子供たちをお国に持っていかれた戦禍を乗り越えてきた経験値を36キロの小さな身体に沸々とわき立たせるその姿はなんとも凛々しく、痛快なオチもあいまって印象的だった。

しかし、、場になじまない音楽だけはダサくて気になったなw。

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模倣犯(2002年・東宝・123分)日劇2

 監督:森田芳光

 出演:中居正広、藤井隆、津田寛治、木村佳乃、山崎努、伊東美咲

 内容:東京の下町で豆腐屋を営む有馬義男。20歳になる孫娘・古川鞠子が失踪してから10ヶ月、事件は何の進展も見せていなかった。が、そんなある日、下町の公園のゴミ箱から女性の右腕とショルダーバッグが発見される。そして、それを報じるワイドショーの生放送中に犯人からの電話が入り、一連の女性誘拐殺人の犯行声明を告げるのだった・・・。

評価★★/40点

山崎努以外オーバーアクションにしか見えない役者陣にはなんら落ち度はない。脚本もつとめた監督にこそ難があるのは一目瞭然。

特に犯人が説明セリフで逐次報告してくれる映画ほどツマラナイものはないわけで、小説と映画は別物とはいうけど、登場人物の心の機微を子細に描いていく宮部原作をここまでシュールに換骨奪胎してしまう森田演出が自分には全く合わなかった・・・。

だって犯人が遺体を埋めるために闇夜に山中で土を掘っているところをわざわざ下から見上げるアングルで撮って、その上空の星空にこれ見よがしに流れ星がいくつも流れていくなんて、もうドン引きするしかないでしょ(笑)。

食べ物が全然美味しそうに見えない食事風景も含め、何かしらの演出意図があったのだろうけど、それを知ったとしてもダメだなこれは。。

映画化するのが10年早かった気がする・・w

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レディ・ジョーカー(2004年・東映・121分)DVD

 監督:平山秀幸

 出演:渡哲也、徳重聡、吉川晃司、國村隼、大杉漣

 内容:新製品発売を1週間後に控えたビール業界最大手の日之出ビール社長・城山恭介が“レディ・ジョーカー”と名乗る5人の犯行グループによって誘拐された。その5人とは、小さな町薬局の老店主、元自衛官のトラック運転手、信用金庫の職員、町工場の若い旋盤工、ノンキャリア刑事。彼らは競馬場で知り合い、それぞれ異なった理由で犯行に至った。しかし、誘拐の2日後、捜査陣が事件解決へ動き出す中、犯人側が突然城山を解放する・・・。

評価★★/40点

NHKの土曜ドラマでじっくり見たいなぁ、、ってかんじ。。

2016年9月29日 (木)

夢のシネマパラダイス68番シアター:“グローリー・トゥー・ザ・フィルムメーカー”北野武vol.1

HANA-BI

Hanabi 出演:ビートたけし、岸本加世子、大杉漣、寺島進、渡辺哲

監督・脚本:北野武

(1997年・日本・118分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:逮捕劇の失態から後輩を死なせ、同僚の堀部を下半身不随に追いやった刑事の西は、その責務を果たそうとしていた。銀行を襲って得た金を堀部らに渡した彼は、死期の近い妻と最後の旅に出るが、警察とヤクザの双方から追われることに。一方、無気力だった堀部は、絵を描くようになって生きる力を取り戻していくが・・・。ヴェネチア国際映画祭作品賞受賞。

“上手いんだけども、美味いとは言えない・・・。”

映画公開当時、ヴェネチアでグランプリを獲ったことでイの一番に劇場に走ったのだけど、えっなんでこれが賞獲るん?と面食らってしまったことを覚えている。

つい先日久方ぶりに見たのだけど、時間軸をズラした編集だとかモンタージュの使い方、省略の妙、またサイレントのパントマイムでも見ているような言葉を交わさない夫婦の道行きの情景など映画のつくりとしては本当に上手いし、ラストの「ありがとう、、、ごめんね、、、」という、映画の中で妻が発した唯一の言葉と打ち寄せる波の音にジィ~んときてしまうのも確かで、賞を獲る獲らんは別にして映画としてはかなり良く出来てるということだけは再認識できた。

しかしだ。

そういう映画的な上手さはあるんだけど、それが自分の中で美味さとして伝わってこないのが玉にキズで、やはり自分にとっては何かもうひとつ味が決定的に足りないのだ。

なんというか「花-美」じゃなくて「HANA-BI」になっているように、日本じゃなくて外国にある日本料理屋ってかんじで、あっちの人には受けるような味になっているというか・・・。

ギリギリの間が作り出す乾いた暴力と死への焦燥、、、「死」というものに対するあまりにも冷めた視線がどうも肌に合わないというのもあるし。なんかね

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Dolls ドールズ

R031031 出演:菅野美穂、西島秀俊、三橋達也、松原智恵子、深田恭子、武重勉

監督・脚本:北野武

(2002年・松竹・113分)シネマヴェーラ渋谷

評価★★★★/80点

内容:近松門左衛門の「冥途の飛脚」の出番を終えた忠兵衛と梅川の人形が何かを囁きながら静かに遠くを眺めている・・・。結婚の約束を交わしていながら、社長令嬢との縁談が決まった男と、その男に捨てられたショックで自殺未遂の末、記憶喪失に陥ってしまう女。年老いたヤクザの親分と、彼をひたすら待ち続けるひとりの女。事故で再起不能になった国民的アイドルと、彼女を慕い続ける盲目の青年・・・。残酷な運命に導かれた3つの愛の物語を、文楽の人形を語り部に、美しくそして切なく描いたラブストーリー。

“浄瑠璃。正直いうと何それ?人形。NHKでやってた三国志の?文楽。三遊亭?Dolls。すごく良くない?、、こんなんでいいのか?”

マメミムメモマメミムメモマメミムマジカルビームマメミムメモマメ、、耳から離れない。こんなんでいいのか?

冗談はさておき、って冗談じゃないんだけどねホント、、奇しくも北野映画で1番好きな映画になってしまったりして。。たしか監督はベネチアで、これは好き嫌い分かれる映画だと言ってたけど、どうやら自分の肌には合っていたらしい。

ではどこが?と言われると、、う~ん、、全体的にとか抽象的な言葉になっちゃうんだけど。なにせホントに浄瑠璃とか文楽の世界はほとんど知らないから、監督がこの映画でやりたかったことというのが大雑把にしかつかめないわけで。。

まぁ、道行きくらいは知ってるし、浄瑠璃に出てくる人形と登場人物を重ね合わせて描いているということくらいは菅野美穂の歩き方ひとつとって見ても一目瞭然で分かる。しかし、その真に監督の意図するところまでたどり着けなかったというのが正直なところで。はたしてこの映画の終着地点にあるものを例えば究極の愛という言葉で単純に呼んでいいものかどうか、それすら自分の中では解しきれていない。

では、この映画の何が自分をそこまで引き込ませてしまうのか。

そもそも究極の愛とは何かと考えてみると、女にとっては男が浮気をしないこと、男にとっては女が年を取らないことに行き着いてしまうと思うのだが、そうやって見るとこの映画はその法則をしっかり踏襲している気はする。

西島&菅野コンビでは、赤い紐で結ばれているわけだから男は浮気できないし、ラストで死んじゃうから年の取りようがない。三橋&松原コンビでは、撃たれて死ぬ&どこかイカレちゃって時が止まったままということで成立。深キョン&追っかけ男コンビでは、アイドルは年を取らないことと男が自分の目を潰してしまったこと&車に轢かれたかなんかして男死亡ということで成立、ということには一応なる。

とにかく究極の愛=死という図式は往々にして成り立つし、死というキーワードは避けて通れないものである。

しかし、ここでやっかいな問題にブチ当たる。

北野武は“死”を描くのが好き!という問題に。

北野映画において“死”というのは同じく避けて通れないものである。しかもその“死”の描き方は非常に暴力的かつ非常に乾いた描き方である。空虚な拳銃の音で“死”を表現してきたといっても過言ではないだろう。

その北野映画が道行きや情死に代表されるような男女の死をはたして描けるのか。北野映画に出てくるヤクザものとは違うんだぞってことを分かってんのかなぁという不安は、この映画を見ている間もあった。

だって相も変わらずヤクザ出てくるし・・。えっ、なんでヤクザなの?みたいな。

、、が、ゴメンなさい。全くの杞憂でした。

まず、明確な道行きの場面を描いているということと、北野映画には死がつきものという自分の中に刷り込まれた常識によって死者の世界、黄泉の世界への入り口をいやが上にも垣間見てしまう感覚が肌にヒリヒリと伝わってくる。自然の美しさに息を飲むというよりも、肌にヒリヒリ伝わってくるようなこの感覚に息が詰まりそうというのが正直なところ。

そういう点でいえば、佐和子(菅野美穂)の見た悪夢で、祭りの帰りに男たちに引きずられ、おそらく暴行を受けているであろうシーン、しかも遠景ショット、が描かれていたのは自分自身の息が詰まりそうな気持ちを代弁してくれたという意味でもまさに的を射た描写であった。

また、筆致が「あの夏、いちばん静かな海」により近く、その筆致がブレない範囲で“死”を描いてくれた。三橋親分の死は赤い一片の紅葉によって、追っかけファンの死は警察によって洗い流されていく赤い血と、幻のごとく浮かび上がってくる彼の姿によって表現される。

おもわず唸ってしまうような描写であった。

そして西島&菅野コンビだが、うわっと思ってしまうほどの唐突さにビックリはしたけど、なるほどなという収め方。オープニングが浄瑠璃を上演している舞台ならばラストのカットも舞台、しかも壮大な舞台装置、で幕を下ろしたというのは上手いと思った。

ようするに、映画を彩っていた息もつまるような死の感覚と柔らかな死の描写に引き込まれ、またそれに感心あるいは感嘆までしてしまったわけである。

でも待てよ。ヤバクないかこれって・・・。

死への憧憬を抱いてしまうなんて。あまりにも美しすぎるがゆえの、あまりにも北野映画の常識にとらわれてしまっている自分自身ゆえの。本当はとてつもなく残酷なはずなのに。

やはりどうも自分は監督が設けた終着地点とはかけ離れたところに不時着してしまったらしいし、自分がなんとかたどり着いた地点の相当先を北野武という監督は進んでいるらしい。

こりゃまだまだ北野映画とお付き合いしていかないとダメらしいや・・・。

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監督・ばんざい(2007年・日本・104分)WOWOW

 監督・脚本:北野武

 出演:ビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏、吉行和子、宝田明、内田有紀

 内容:ギャング映画を得意とする映画監督キタノ・タケシは、ある時、ギャング映画を封印することを宣言し、これまで撮らなかったタイプの映画に挑戦することにする。そして、小津映画風、昭和30年代もの、ホラー映画、恋愛映画、時代劇、SFなどに挑むが、ことごとく途中失敗に終わってしまう。そこでキタノ監督は最後の切り札として、詐欺師の母親が、政財界の大物の息子らしき男に娘を嫁がせようとするコメディを撮ることにするが・・・。

評価★★☆/50点

江守徹や吉行和子をはじめとして豪華役者陣が芸人ビートたけしのグダグダなネタ見せのためだけに放り投げられている惨状を見せつけられて、いったい何がおもろいねん!という一言に尽きるんだけど・・・。

「座頭市」という定型的なフォーマットを与えられた中で興行と評価両面で成功を収めてしまったことによる反動であることには違いないんだろうけど、この映画はそういう定型的なフォーマットをおバカにぶち壊してしまうことで、自分を枠の中に押し込めようとする人々の野望から映画作家“北野武”を取り戻そうとするためのリハビリ映画といえばいいだろうか。

でも、そんなん見せられるこっちの身にもなってみろってんだバカヤロー(笑)。

いや、まぁ前作よりは元気そうでなによりなんだけどさ。。

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アキレスと亀

0809_01 出演:ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、大森南朋

監督・脚本:北野武

(2008年・日本・119分)CS

内容:裕福な家庭に生まれた真知寿は絵を描くのが好きで、画家になる夢を持っていた。しかし、ある時父の会社が倒産し、両親が自殺したことで環境が一変。辛く孤独な少年時代を送ることになる。青年となった真知寿は、働きながら美術を学び、さらに彼の才能を信じて疑わないただ一人の理解者・幸子と出会い、結婚する。しかし、その後も画家としての芽が出ない日々が延々と続いていき・・・。

評価★★★/65点

北野作品では久々のストーリーものだと思うんだけど、真知寿の少年時代、青年時代に関してはなかなか抑えたタッチを見せていたのに、中年時代にたけしが出てきた途端にそれまでのつながりが途切れてしまったような違和感がありありでイマイチ。

だって、柳憂怜がどうやって金髪のたけしになるのかということだけでもつながりなんてあったもんじゃないだろう。

はっきりいってたけしと大杉漣を入れ替えた方が断然良かったと思う。

ただ、それでも「死」が異様なまでに横溢しているこの映画の求心力はハンパなく、その点で北野武はやはりれっきとした映画作家なのだと思い知らされるのもたしかだ。

ところで、ラストの“ついにアキレスは亀に追いついた”という答えの意味するところを考えてみたのだけど。

まず、前方からスタートした亀に後方からスタートしたアキレスは永遠に追いつけない、なぜなら亀のいる地点にアキレスが来たとき亀は少し先まで進んでいて、さらにその位置まで来ても亀はさらにその少し先まで進んでいるからだ、というパラドックス自体をコーラ缶を蹴り飛ばすように一蹴していると考えてみる。

すると、そもそもアキレスの目標設定が常に亀のいる地点に置かれていること自体がおかしいとするならば、真知寿のそれは先人のオンリーワンに対する模倣に模倣を重ねるスタイルからの脱却、つまりは自分の自分にしかできない道というのをようやく見つけたということではなかろうか。

それは、妻とともに生きる道であり、通俗的な画商の言葉から決別し、売れようが売れまいが自分のやりたいようにやる道。つまり、たとえ画家になる夢を追うのを諦めたとしても妻とともに自称ゲージツ家を続ける道だ。

死をモチーフにしてまでも結局創造と独創の果実を勝ち得ることができなかった自分の才能の限界を認識した上で、一度は見放しながら再び迎えに来てくれた妻とともに新たなスタート地点に立ったのだ。

真知寿の作品(といっても道に転がっていたさび付いたコーラの缶)を初めて「それください」と言ってくれた(初めての買い手になった)のは妻であり、少年時代、真知寿を親戚の家に預けたまま必ず迎えに来るという約束を反故にして自殺してしまった母とは対照的に、「一緒に帰ろう」と迎えに来てくれたのも妻であり、、、たった一人の真の良き理解者の存在を再認識した真知寿はその時点ではじめてゲージツという名の呪縛から解き放たれたのだ。

親以外に真の良き理解者を得るなんて、そんな可能性みじんもない自分からしたら、なんて羨ましいんだって思うよ(笑)。

真知寿はゲージツには負けても人生には勝ったといえるのかもね。

しかし、このお話を監督本人に重ね合わせるとするならば、「Takeshi’s」「監督ばんざい」と今回の3作の迷走を経て、自分のやりたいようにやると脱皮した監督が次作どんな吹っ切れた作品を送り出すのか。。

振り子のふり切れた死の想念を焼きつけられるのかと思うと恐くて仕方がない・・・。

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龍三と七人の子分たち

7187fde2a6098d813bdc8c3cc31c94a7出演:藤竜也、近藤正臣、中尾彬、品川徹、小野寺昭、安田顕、矢島健一、下條アトム、勝村政信、萬田久子、ビートたけし

監督・脚本:北野武

(2014年・日本・111分)WOWOW

内容:かつて“鬼の龍三”と恐れられた70歳の元ヤクザも、引退した今では息子家族のもとで肩身の狭い毎日を送っていた。そんなある日、オレオレ詐欺に引っかかった龍三は、その裏に暴走族あがりのチンピラが幅を利かせる“京浜連合”の存在を知る。若いもんに勝手な真似はさせられねぇ!と立ち上がった龍三は、昔の任侠仲間を呼び集めて“一龍会”を結成し、京浜連合成敗に立ち上がるが・・・。

評価★★★/65点

緊張と緩和の振り子がカタルシスを生み出す北野映画独特の作劇から緊張だけを取っ払ったようなかんじで、良くいえばマイルド、悪くいえば締まりがなくてやや味気ない。

これはつまり、映画風の北野武とテレビ風のビートたけしの振り子から後者の方にベクトルを置いて見せたということだろう。

しかし、カミソリのような狂気性が鳴りを潜めすっかり丸くなり、モンスター老人を批評するような真っ当なご意見番になってしまったビートたけしははっきり言って古臭くなっているのはたしかで、あくまで映画を見ていたい自分にとっては北野武の絵がない寂しさがツライところ。。

まぁ、演出の手際の良さは毎度のことながら冴え渡っているだけに、題材の真新しさがないぶんコントのお約束の寄せ集めにしか見えないのは何かもったいない気がした。

藤竜也をはじめとするご老体どもはいい味出してたし、音楽も良かったんだけどねぇ。。

2016年8月16日 (火)

夢のシネマパラダイス57番シアター:ハンガーゲーム

ハンガーゲーム

Img_1043377_46717251_0 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・へムズワース、ウディ・ハレルソン、レニー・クラヴィッツ、スタンリー・トゥッチ、ドナルド・サザーランド

監督:ゲイリー・ロス

(2012年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:近未来。独裁国家パネムは、エリート層の最先端都市キャピトルとそれに隷属する12の貧困地区で構成されていた。かつてそれらの地区が反乱を企てたことから、政府は反乱の抑止を目的に毎年各地区から12~18歳の男女一人ずつを選び、最後の一人になるまで殺し合いをさせる“ハンガー・ゲーム”を開催していた。そんな中、第12地区に住む16歳の少女カットニスは、くじ引きでプレイヤーに選ばれてしまった妹に代わって出場を志願。男子で選ばれた同級生ピータ・メラークとともにハンガー・ゲームに参加することになる・・・。

評価★★★/55点

中学生に殺し合いをさせる「バトルロワイアル」のような企画はハリウッドでは通用しないんじゃないかと思ってたけど、通用しちゃったよw

しかも歴史的大ヒットだって

で、どんだけ残虐でヤバい映画なんだろ、、と思ってたら、何のこたぁない。PG-12というあってなきがごとくの緩いレイティングを確保するために描写のハードルをかなり下げているのだ。そうでなければティーンを取り込んで4億ドル超という史上空前のヒットは飛ばせない。

そういう点では完全なティーン向けというかんじで安心して見ていられるんだけど、主人公は100%生き残るという安心感があまりにも絶対的すぎて、緊迫感やがむしゃらな生への渇望や葛藤が全く伝わってこないのは痛い。

なによりゲーム開始直後に出場者の半分が死ぬって、、そんなのありww!?

あと特に主催者側の大人たちがことあるごとに介入してきて主人公のいいように事が進むご都合主義ありきの展開は興ざめもいいところ。

例えばゲームのエリアから外れそうになると引き戻すために介入してくるって、、隔絶された島にすればいいだけの話だろ。74回も開催されてるのにそんなことも分からないのかっていう・・(笑)。

あげくの果てにはゲーム中にルール改正してルールが二転三転するって何だそりゃ。。ホントに74回やってきたのかww!?

また、スポンサーや観衆を味方につけないと生き残れないという設定も、この意図されたご都合主義をシナリオに組み込むためにできた設定にしかなっておらず、物語の中に全く活かされていない。

前半1時間を主人公のセルフプロモーションに当てたのは悪くないとは思ったけど、肝心のゲーム自体がメチャクチャじゃ何の意味もない。このての映画でカタルシスを感じないというのはもはや致命的だ。

ただ、それでも甘めの点数なのは、主人公カットニスを演じたジェニファー・ローレンスの魅力がハンパなくてベタ惚れしちゃったためで

主人公の設定16歳を22歳で演じるため大人びた印象が出るのは当然といえば当然だけども、思わず引き込まれてしまうだけの年の差以上の魅力と品格がある。はっきりいってこの映画にはそぐわないくらいだ。

それに比べてカットニスと恋の三角関係を演じることになる(?)相手役の俳優たちはアイドル然としているので、なんかジェニファーと合ってないんだよね。そういう器じゃないっていうか・・(笑)。

なんだか粗ばっかりが目立ってしまったかんじだけど、続編では女優として大きすぎる存在になりつつあるジェニファーに見合う映画になっていることを願うばかりだ。

あるいは降板してもいいんだよ(爆)。。

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ハンガーゲーム2(2013年・アメリカ・147分)WOWOW

 監督:フランシス・ローレンス

 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、レニー・クラヴィッツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ドナルド・サザーランド

 内容:第74回ハンガーゲームで優勝し、故郷に凱旋を果たしたカットニスを待っていたのは民衆の熱狂的な支持だった。彼らはカットニスの戦いに、圧政からの独立の機運を重ね合わせていたのだ。しかし、その声を封じ込めようとする独裁政府は、カットニスを抹殺するために秘策を用意する。それは、第75回ハンガーゲームを歴代優勝者24名による記念大会にするというものだった。こうしてカットニスは、再び戦いの場へと引きずり出されてしまうが・・・。

評価★★☆/50点

2時間半ダラダラと付き合わされたあげく突きつけられた真実、、、この映画って結局ただの前フリじゃねーか!

もう、何なんだよこれ・・。

しかも本選が始まるまで80分も要するなんて、こんなどうでもいいティーン向け映画でそこまでもったいつけなくてもいいだろ(笑)。

肝心のゲームも前作と同じくご都合主義満載で腰砕けだし。ポスターにあった“覚悟はいいか”というキャッチコピーってようするに面白くもない映画に2時間半付き合う覚悟はあるかってことだったんですかw

ジェニファー、、何度も言うけど降りていいんだからね

P.S. 「ハンガー・ゲームFINAL」鑑賞済。生き残りをかけたサバイバルゲームという当初のフォーマットから政権打倒の革命戦士ジャンヌ・ダルクの悲劇という全く別物へと変容を遂げたはいいものの、前後編に分けてまでやる必要あるか!?という薄っぺらい内容で正直気に食わなかったw

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メイズ・ランナー

175345出演:ディラン・オブライエン、ウィル・ポールター、カヤ・スコデラーリオ、アムル・アミーン、キー・ホン・リー

監督:ウェス・ボール

(2014年・アメリカ・113分)WOWOW

内容:深い地の底から上がってくるエレベーターの中で目覚めたものの、自分の名前以外の記憶が一切ない青年トーマス。扉が開くとそこは巨大な壁に囲まれた草原。そこでは同じようにして送られてきた同世代の若者たちがコミュニティを作って暮らしていた。さらに壁の奥は巨大迷路になっていて、夜になると閉じられ朝には新たな迷路に変わる中、足の速い“ランナー”と呼ばれる精鋭たちが攻略に挑んでいた。トーマスもそれに加わり、脱出の糸口をつかもうとするが・・・。

評価★★★/60点

なぜ?どうして?を極力省いた作劇は「CUBE」ぽくて面白そうだなと思ったのもつかの間、なんと迷路の謎は9割方解けていたという不条理の入り込む余地のない茶番劇に肩すかし。。

ならば、せめて迷路を舞台にと思いきや、これまた迷路の外で行こか戻ろかの押し問答に終始する始末で、ティーン向けと割り切って見てもかなり消化不良。

とはいえ、高い壁に囲まれた迷路のセットヴィジュアルやプロダクトデザインは「進撃の巨人」なんかより数段上をいっているのがやはり腐ってもハリウッドなんだなと(笑)。

いや、まぁ進撃の巨人の方が数段駄作だったんだけどね・・

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ダイバージェント

Poster2出演:シェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、アシュレイ・ジャッド、ジェイ・コートニー、ケイト・ウィンスレット

監督:ニール・バーガー

(2014年・アメリカ・139分)WOWOW

内容:最終戦争から150年経った未来。人類は過去の教訓から、国家や宗教という概念を捨て、新たな社会体制を築き上げていた。それは、人類を性格別に勇気ある“勇敢”、正直者の“高潔”、優しき“平和”、利他的な“無欲”、知識豊富な“博学”という5つの共同体に分けるというものだった。人々は16歳になると性格診断テストを受け、結果が示した共同体への所属を義務づけられる。そんな中、無欲出身のベアトリスは16歳になり診断を受けるが、結果は5つのどれにも該当しない異端者(ダイバージェント)と判定される。ダイバージェントは、人類を滅ぼす危険分子として抹殺される運命にあったが、ベアトリスは名前を変え“勇敢”に加入することに成功するのだが・・・。

評価★★/45点

ティーンエイジ向けと割り切って見てもこれはヒドすぎる。

まずもって国家や人種、宗教の垣根を取っ払い、人類を博学=科学者・教育、平和=農民・食料生産、高潔=裁判官・司法、勇敢=軍人警察・治安維持、無欲=公務員・行政の5つのグループに分け、そのコミュニティで一生を送らせれば平和が維持できるという社会システムの仕組みがよく分からなくて映画に入り込めない。

これだけ見れば別にディストピアでも何でもなく江戸時代の士農工商と変わりないわけで、カースト制や管理社会というよりは職能集団別の同業者組合という方がしっくりくる。

なので、これをディストピアとして見る時にキーとなるのは、5つの派閥に入らない無派閥しかない。ところが、このホームレス扱いの無派閥についてほとんどスル―されているところが大問題なのだ。

例えば、この無派閥が人口の大半を占めているのであれば、5大派閥をエリート支配層とするピラミッド型の階級社会と捉えることもできる。あるいは、無派閥が各派閥の脱落者からなるということは、逆にいえば多様性が生まれるわけで、それを束ねて率いる首領がどの適性にも当てはまらない“異端者”となるはずだ。それが、社会を滅ぼす危険分子として迫害や抹殺の対象となるゆえんではないのか。

なのに、この異端者娘ときたら、とりあえず“勇敢”に入っちゃお♪っていきなりスポ根青春グラフィティが始まってしまう。で、さらに無派閥そっちのけで“博学”が“無欲”に迫害をしかける、、ってなんじゃそりゃ(笑)。

あと、職能集団とは別な視点で、ハリー・ポッターの組分けのような性格・資質による違いでみても、“高潔”は毒舌、“博学”は上から目線、“無欲”はノーと言えない日本人wなんだけど、結局自分で行きたい派閥を自由に選べるからその設定意味ないよねっていう・・

これほどいい加減な劣化映画見たことないww

主人公も若かりし頃のケイト・ウィンスレットの劣化版てかんじだったし

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GANTZ

GANTZ:PERFECT ANSWER

Bdcam_20110129_163645990 出演:二宮和也、松山ケンイチ、吉高由里子、本郷奏多、夏菜、綾野剛、伊藤歩、田口トモロヲ、山田孝之

監督:佐藤信介

(2010年・東宝・130分&2011年・東宝・141分)WOWOW

内容:大学生の玄野計は、地下鉄のホームで線路に落ちた客を助けようとして、幼なじみの加藤勝とともに電車にはねられてしまう。しかし、死んだはずの2人は見慣れぬマンションの一室で目覚める。そこには、他にも死んだはずの人々が集められており、部屋の中央には謎の黒い球体“GANTZ”が鎮座していた。やがて彼らは、GANTZから“星人”と呼ばれる異形の敵を倒すというミッションを与えられ、いきなり戦いの場へと転送されてしまうのだった・・・。

評価★★★/55点

原作は全くの未読。

そして映画見終わっても読む気なし(笑)。

だってネギ星人って、、何だよアレw

まぁ、テンポは悪くないし、アクションのクオリティも特に2作目の方は見事な出来で、日本映画もここまでできるんだと少しビックリした。

けど、ゲーム世界の延長戦からどこまでも抜け出ない安っぽさとストーリーの生ぬるさにパーフェクトなファイナルアンサーなど途中からどうでもよくなってきて、アクションと夏菜の肢体を追うばかりになってしまった・・・おいおい

ま、そういう類の映画だからいいんだろうけどww

あとは、異様なオーラを醸し出す綾野剛くらいかなぁ見どころなのは。。最近は完全にテレビ慣れしてきちゃったけど、クローズZEROとかこの映画での妖しいインパクトは強烈だった。

時代劇なんかでも見てみたいかんじと思ってたら本家本元の大河に出ちゃって、でも会津の殿様ってふうじゃないんだよなぁ。十三人の刺客みたいなサムライ役で見たい。

とにかく近年稀に見る逸材の今後が楽しみです。

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バトルロワイアル(2000年・東映・114分)WOWOW

 監督:深作欣二

 出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、塚本高史、柴咲コウ、ビートたけし

 内容:大不況に見舞われ失業者があふれかえる日本では、少年犯罪が多発し、学校崩壊は増大。それに対し大人たちの怒りが爆発!強い大人の復権を目的とした“新世紀教育改革法”通称BR法が公布された。それは全国の中学3年生の中から無作為に選ばれた1クラスを、最後の1人になるまで殺し合わせるというあまりにも過酷で理不尽なものだった・・・。内容のあまりの衝撃性に賛否両論を巻き起こした同名小説の映画化。

評価★/30点

思想もテーマもあったもんじゃない。

殺しは単なる見世物としかなっておらず、いわばオーメンやファイナル・デスティネーションのような血しぶき博覧会と同等のものしか持ち合わせていない映画。

問題はそれを中学生にやらせるところなのだけど、どう考えても山本太郎が中学生に見えるはずもなく(笑)、そこは特に気にはならなかった。

しかしそれ以前に、映画自体が全くもってツマラナイことの方が大問題ww

やはり登場人物ひとりひとりのバックボーンが全く見えてこないのは致命的で、その中で何にも取り憑かれていない中学生の殺し合いを延々見せられる倦怠感といったらない。。

正真正銘の駄作だと思う。

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バトルロワイアル2 鎮魂歌(2003年・東映・133分)DVD

 監督:深作欣二、深作健太

 出演:藤原竜也、前田亜季、前田愛、忍成修吾、酒井彩名、竹内力、ビートたけし

 内容:あれから3年、BRを生き延びた七原秋也は反BR法のテロ集団を組織し、全ての大人たちに宣戦布告!再び壮絶な戦いが展開される。。本作のクランクイン直後に深作欣二監督が亡くなったため、息子・健太氏が引き継ぎなんとか完成にまでこぎつけた。

評価★☆/35点

ポテチつまんでニタニタしながらこの映画観てる自分もどうかと思うけどさぁ・・・

脳ミソが飛び散ろうが血しぶきが上がろうが、女のコの絶叫が響こうが竹内力が見事なトライを決めようが、そんなことよりもポテチが奥歯に挟まって歯ぐきに刺さったことの方が切実な問題としてマジに痛かった。映画もイタかったけどww

深作組もいったい真面目なんだか不真面目なんだかよく分からなかったな。でも、もし大真面目だったとしたら救いようがないくらい痛いよこれは。。

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