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2023年1月 2日 (月)

夢のシネマパラダイス560番シアター:1917命をかけた伝令

1917 命をかけた伝令

O0707100014801650490出演:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ

監督・脚本:サム・メンデス

(2019年・英/米・119分)東宝シネマズ日本橋

内容:1917年、第一次世界大戦の西部戦線。ドイツ軍の後退を好機と捉えたイギリス軍は追撃作戦を開始するが、それはドイツ軍の罠であることが判明する。そこで若きイギリス兵スコフィールドとブレイクに、作戦中止の命令を最前線の部隊まで届けるよう指令が下る。ブレイクの兄を含む兵士1600人の命がかかる中、2人は塹壕を抜け出し、敵の陣地へ歩を進めていく・・・。

評価★★★★/85点

歴史好きの自分にとって欠かせなかったテレビ番組にNHKスペシャル「映像の世紀」がある。その第2集だったか、大量殺りくの完成という副題で第一次世界大戦を扱った回があった。

愛国心というロマンにあふれた若者たちが、「クリスマスまでには帰れる」と無邪気に戦場に向かったものの、その先に待っていたのはクリスマスどころか何年にも渡る果てなき消耗戦の地獄、、そして爆撃で吹き飛ばされた顔の右半分を型取ったマスクを装着した若者がカメラに向ける眼差し、、こんなはずではなかった、と。。

今回の映画では人類が初めて経験した近代戦の惨状を、ジグザグに延々掘られた塹壕、その中で泥まみれになってうずくまる兵士たち、張り巡らされた鉄条網、砲弾でできた無数の穴ぼこの大地に放置される軍馬の死骸、腐乱していく兵士の屍に群がるハエとネズミ、大量に散らばっている高射砲の薬きょう、崩れ落ちた橋、もはや更地寸前の廃墟と化した街、、そういったリアルなプロダクトデザインや美術セットにより大々的かつ直接的な戦闘をほぼ描かずに表現しているのが特筆もの。

中でも印象的だったのが桜の花で、撤退したドイツ軍が道を塞ぐために桜の木々を伐採していったことによる戦争の酷さ悲しさだったり、主人公が川に流されている時に流れてくる桜の花びらは「西部戦線異状なし」のオマージュとも思ったけど、ものすごく心に残った。

話題となったワンカット風撮影については、没入感はハンパない一方、各ステージのイベント・ミッションをこなして進んでいくかんじが、まるでLOTRのフロド&サムの冒険譚のように見えてきてしまうドラマ性の乏しさや、映画好きにとってはどうやってワンカットのように見える映像を繋いでいるのか技術面ばかりに気が向いてしまうといった一長一短はあったものの、今まで見たことのない“戦場”映画だったのは疑いようがない。

ただ、水面上を滑空しているような切れ目ないカメラワークとか本当にどうやって撮っているんだろうという興味は尽きなくて、全編メイキング見てみたいw

P.S.ロシアの侵略によるウクライナ戦争の最中に再見した。破壊のかぎりをつくされたマリウポリと映画に出てくるエクーストの街がだぶって見えて暫し言葉を失う・・・。

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戦場のアリア

Iimg900x12001551535926ztmm0n1093390 出演:ダイアン・クルーガー、ベンノ・フユルマン、ギョーム・カネ、ゲイリー・ルイス、ダニー・ブーン

監督・脚本:クリスチャン・カリオン

(2005年・仏/英/独/ベルギー/ルーマニア・117分)盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

 

内容:1914年、第一次世界大戦下のフランス北部デルソー。ドイツ軍とフランス・スコットランド連合軍の戦いは熾烈を極め、戦況はますます悪化の一途をたどっていく。そんな両軍とも譲らぬまま迎えた雪のクリスマス、花形テノール歌手だったドイツ軍のニコラウスは素晴らしいテノールを塹壕から響かせる。すると、スコットランド軍はバグパイプの伴奏を奏で始め、一夜限りの休戦が実現、いつしか3カ国の兵士たちによる「聖しこの夜」の合唱がこだまする、、、というウソのようなホントの話。。

“やや一本調子な旋律で、思ってたより盛り上がりに欠けるが、戦争の愚かさがこれほど素直に伝わってくる映画も珍しい。戦場における人間讃歌に心打たれる。”

凍てつく大地に野ざらしになった死体がゴロゴロしている中で、敵味方が共にシャンパンを酌み交わし、語り合い、共に歌い、共にサッカーをし、トランプまでして、そして共に祈る、、そんな世にも奇妙な風景のどこまでが真実なのか知るよしもないが、戦争のバカバカしさ、愚かさが実に端的に伝わってくる光景ではある。

以前、NHKスペシャルで太平洋戦争の激戦である硫黄島玉砕戦を特集していて、生き残った元兵士の凄絶な証言の中で、あの生き地獄という名の戦場を一言で言い表すならばそれは“畜生の世界”だと言っていたのが印象に残っている。

人間性を破壊し消失させてしまう、人ではないものが巣食う世界、それが戦場なのだとしたら、その中でかろうじて人間たらんとすることはそれこそ神のおぼし召しにすがるより他にないのかもしれない。

クリスマス聖夜、賛美歌の合唱とバグ・パイプの音色によって引き起こされた奇跡。

戦場の最前線で人間性を取り戻したかけがえのない喜びが暖かく描かれる一方で、その取り戻した人間性が自国の正義という名の下に徹底的に排除されていく絶望と悲しみも冷徹に描かれ、なんともやるせなくなってくる。

また、戦場で敵味方も国境も人種も越えたクリスマスミサの祈りによって心を通わせることに貢献した神父がいる一方で、聖戦と称して若者を戦場に駆り出していくのも同じ宗教者の司教であることに空しさを感じずにはいられない。

「ドイツ兵を殺せ!皆殺しにしろ!と命令するお偉方よりもドイツ兵の方がよっぽど人間的だった。」というセリフが心に残る。

現代、相も変わらず宗教は権力と戦争の道具として使い回されているが、音楽はいまや数百万曲が世界中のネットを飛び交う時代だ。

奇跡を起こすのは神でも宗教でもない。

音楽なのかもしれない。

そういえば「ビルマの竪琴」でも日本軍と英軍が水島上等兵の奏でる竪琴に合わせて合唱するシーンがあったっけ。

歌ってやっぱりスゴイ

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バルトの楽園(2006年・東映・134分)WOWOW

 監督:出目昌伸

 出演:松平健、ブルーノ・ガンツ、高島礼子、阿部寛、國村隼、大後寿々花、平田満、市原悦子

 内容:第一次世界大戦中の1914年、日本軍はドイツの極東根拠地である中国の青島を攻略し、ドイツ兵4700人を捕虜として日本全国に12ヶ所ある俘虜収容所へ送還する。1917年、収容所を6ヶ所に統合するため、劣悪な久留米収容所で2年を過ごした捕虜たちは徳島の板東収容所に移送された。同収容所の松江豊寿所長は、彼らに対して寛容な待遇で接するのだが・・・。日本で初めてベートーベンの「交響曲第九番:歓喜の歌」が演奏されたという実話をもとに描いたドラマ。

評価★★★/60点

“安倍晋三がこれ見たらもろ手を挙げて喜びそう・・・。”

なんていうのかなぁ、言葉は悪いけど、まるで北朝鮮の将軍様の国策映画を見せられているかのような気持ちの悪さを感じてしまった。

いや、ものすごく真摯で感動的なストーリーなんだけど、そこにこれでもかというくらいに輪をかけて乗っかってくる何のひねくれもない平々凡々な演出に、逆にうすら寒さを感じてしまったというか。。

自分の映画の見方がひねくれちゃってるだけかもしれないけど、この映画ははっきりいってヌルすぎる。

なぜ収容所が牧歌的な理想郷のように描かれなければならないのか、あまりにも出来すぎていやしないだろうか。

まだ日本がイカれる前の貧しくも古き良き時代にあった奇蹟といえば聞こえはいいけど、ちょっと誇張しすぎの感も・・・。

唯一、大後寿々花の演技力と存在感には今回も脱帽したけども。

2021年1月10日 (日)

夢のシネマパラダイス342番シアター:音楽は人生を変える!

TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ

D63882018665430出演:長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、桐谷健太、清野菜名、古舘寛治、皆川猿時、シシド・カフカ、古田新太、宮沢りえ

監督・脚本:宮藤官九郎

(2016年・東宝・125分)WOWOW

内容:軽音楽部に所属する高校生の大助は、修学旅行中にバス事故に遭い、あっけなく死んでしまう・・。気付くと、そこは地獄。そして目の前に地獄のロックバンド“地獄図(ヘルズ)”を率いる赤鬼のキラーKが現われる。彼によると、毎週金曜日に行われる閻魔様の裁きで合格すれば現世に転生できるチャンスがあるという。ただしチャンスは7回。大好きだった同級生のひろ美とキスも出来ずに死んだことが心残りの大助は、彼女に会いたい一心で地獄農業高校に入学し、キラーKによる猛特訓を受けるのだが・・・。

評価★★★/60点

森川葵がむちゃくちゃ可愛い💕そして大人になると宮沢りえになる!

ここに絶大な魅力と説得力があるからこそ地獄と現世を7回も行ったり来たりする荒唐無稽なドタバタ劇について行けるわけで、そうでなければハイテンションまっしぐらの120分は長すぎて耐えられなかった。

パンクロックの音楽からセット感丸出しの地獄絵図や各キャラに至るまでクドいことこの上なく、皆川猿時のじゅんこが出てきた時は思わず吐きそうになった😵

その中でオタマジャクシにまでなりきる神木くんはよくやったと思うよw

畜生道に堕ちて腰をフリフリしても下品さよりも清々しさが勝ってしまうアフレコは、さすが子役の頃から変わらない少年のピュアボイスを残した神木くんのことだけはあると思った。マザーファッカーな長瀬鬼とのコンビも良かったし。

まぁ、こうやって全体的にみると面白かったとはいえるかな。

けど、結局はアイス食べてスムージー飲める現世が1番ってことだよね♪

P.S.10万年生きている聖飢魔Ⅱのデーモン閣下出してほしかったんですけどw

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デトロイト・メタル・シティ

20081009_379758 出演:松山ケンイチ、加藤ローサ、秋山竜次、宮崎美子、松雪泰子、ジーン・シモンズ

監督:李闘士男

(2008年・東宝・104分)CS

評価★★★★/80点

 

内容:オシャレな渋谷系ミュージシャンを目指して大分の田舎から上京してきた根岸崇一。ところがデスレコードという音楽事務所に自作のCDを持ち込んでしまったことがきっかけで、悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」のギターボーカル“ヨハネ・クラウザーⅡ世”としてデビューさせられてしまう。根岸は、想いを寄せる女性・相川さんにバレないようにひた隠すが、デビューシングルが予想外の大ヒットとなってしまい・・・。

“「NO CINEMA,NO DREAM」”

将来思い描いていた自分と、今の自分が置かれている現実とのギャップ、「こんなはずではなかった・・」というのは誰しもが直面する悩みだと思うのだけど、それを自己表現の手段としてはもっとも分かりやすい音楽というジャンルで面白おかしくデフォルメして描いているのがこの映画のミソ。

オシャレと平和と甘ったるいポップソングをこよなく愛する心優しきナヨナヨ男、根岸。

一方、白塗りメイクと悪魔と殺人ソングをこよなく崇拝し、1秒間に10回「レイプ!」と連呼することができるデスメタのカリスマ、ヨハネ・クラウザーⅡ世。

このジキル&ハイド的な2つの顔の落差の中で、正体を好きな女のコや家族に知られてはいけないというスーパーマンなどの変身ヒーローものが抱えるジレンマを織り込んでいて上手いつくりになっているし、さらにはこんなこと本当は全然したくないという意に反して売れていってしまうという二重のジレンマに陥っていく主人公の深刻な姿が最高に面白おかしい笑いに昇華されていて、かなりドツボにハマって爆笑してしまった。。

漫画原作は読んだことないけど、変にツッコミ入れることがない分、オーソドックスなベタギャグの洪水も逆に純粋に楽しめたかなと。

なにより根岸とクラウザーを演じ分けた松山ケンイチの突き抜けっぷりは傑作で、「デスノート」の“L”役はあまり好きではなかったんだけど、これ見て自分の中で一気に赤丸急上昇俳優になっちゃったかも。

松雪泰子も白鳥麗子のなれの果てを思わせる怪演っぷりで印象的だったし、三谷幸喜以外で久々に笑えた映画だったな。

ちなみに、自分の座右の銘は「NO CINEMA、NO DREAM」だっス!

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少年メリケンサック

Img1c8e08a8zik9zj出演:宮崎あおい、木村祐一、勝地涼、田口トモロヲ、田辺誠一、ユースケ・サンタマリア、佐藤浩市

監督・脚本:宮藤官九郎

(2008年・東映・125分)WOWOW

内容:レコード会社の新人発掘担当の栗田かんな(宮崎あおい)は、ネットの動画サイトでパンクバンド“少年メリケンサック”のライブ映像を見つける。しかし、契約交渉へ向かった彼女の前に現れたのは、50歳を過ぎたオッサンだった。なんと、ネットで見た映像は25年も前のものだったのだ・・・。

評価★★★☆/70点

宮崎あおいの前でゲロる絶頂、宮崎あおいの隣でエロ本を見る快感、宮崎あおいの後ろで屁をこく至福、宮崎あおいにチ○コを見せる狂喜、、そう、この映画は宮崎あおいをいたぶる、もといイジクリ回してその苦悶の反応を楽しむドS映画なのだ!

はっきりいってパンクがどうとか、中年オジさんたちの悲哀がどうとかはどうでもいい。

冒頭からヤケになっている映画のハイテンションぶりは、さぁパンク魂を見せちゃるゼ!という意気込みというよりは単なる照れ隠しの発露にしか見えず、本質的なところから逃げてるというか、映画としては未熟としか受け取れず・・。

なので、世界は宮崎あおいで回ってる!という視点で見ざるを得なかったのが正直なところなのだけど、これがまた今まで見たことのない宮崎あおいのハジケっぷりがドツボにハマってて、もっとあおいタンを責めて苛めちゃって~とオイラのアブナいドS魂に火がついちゃった、、そう思った自分ってもしかして変態w!?ハイ。。

でも、オッサンたちのやりたい放題に対し、あおいタンは受けに回るだけではなく彼らのおっ母さん的役割をきちっと果たしていくあたり、ますますあおいタンが好きになったーッ

揺れないオッパイもイイんだってことがよぉく分かった(笑)。

てか、宮崎あおいって自分にとっての永遠の、そして究極の憧れの女性のイコンなのかもしれない。だってこんな人妻おらんやろフツー・・。

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サルサ!(1999年・仏/スペイン・100分)CS

 監督:ジョイス・シャルマン・ブニュエル

 出演:ヴァンサン・ルクール、エステバン・ソクラテス・コバス・プエンテ

 内容:若き天才ピアニストのレミがショパンを捨てて選んだのは、情熱の音楽サルサだった。ところがパリのラテンバンドが探しているのは本物のキューバ人。そこでレミは自分の肌をチョコレート色に変えて、伝説のキューバ人作曲家ベレートの下、キューバ・バーでサルサのダンスレッスンを始める。が、そこにシャイなパリジェンヌ、ナタリーが現れて・・・。

評価★★★★/75点

濃い!恋!来い!ナタリーーオイラの腰はビンビンだぁっ!フォーーーッ!!!ちょいオカシくなってます・・・

いや、これ見ると確実にどっかがオカシくなっちゃうんだってばww。試してみ。

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ブルース・ブラザース(1980年・アメリカ・133分)NHK-BS

 監督:ジョン・ランディス

 出演:ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、キャブ・キャロウェイ、ジェームズ・ブラウン、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリン

 内容:黒づくめの服に黒のサングラスでキメたアウトロー、ジェイクとエルウッドのコンビは、育った孤児院が税金を払えず、差し押さえの運命にあることを知り、なんとか資金を工面しようと仲間たちとR&Bバンドを結成。苦難の末、大コンサートを開催することになるが、会場は彼らを捕らえようとする警官隊によって包囲されていた・・・。土曜の夜の人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」から飛び出したジョン・ベルーシとダン・エイクロイドによる爆笑コンビ“ブルース・ブラザース”がお茶の間を飛び出し、映画に進出!

評価★★★/65点

“暗闇でグラサンかけるおバカセンスの持ち主も音楽のセンスにかけては右に出る者なし!”

パトカー軍団を惜しげもなく大破させまくり、戦車まで繰り出す破壊的なギャグは面白くも何ともないのだけど、キャブ・キャロウェイからジェームズ・ブラウン、レイ・チャールズにアレサ・フランクリンといったR&B界の大御所が繰り出すミュージカルナンバーには大満足。

黒人大衆音楽ともいうべきブルースをエンタメの俎上に乗せて悪ノリすることに徹した上で、しっかりオマージュという形に昇華させていて、音楽映画としての醍醐味は大きい。

なのだけど、テンコ盛りなコメディ演出のウザさが個人的には終始足を引っ張り、この点数・・。

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ブルース・ブラザース2000(1998年・アメリカ・124分)NHK-BS

 監督・脚本:ジョン・ランディス

 出演:ダン・エイクロイド、ジョン・グッドマン、ジョー・モートン

 内容:前作から18年。刑期を終えたエルウッドは、相棒ジェイクの死を知る。エルウッドはかつてのブルース・ブラザースバンドのメンバーを再び強引に集めてバンド活動を始めるのだった。。

評価★★/40点

底抜けの悪ノリがセールスポイントだった前作から一転、底抜けの寂寥感に包まれた今作に見る影はもはやなかった・・・。

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恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ

Fabulous_baker_boys 出演:ミシェル・ファイファー、ジェフ・ブリッジス、ボー・ブリッジス、エリー・ラーブ

監督・脚本:スティーヴ・クローヴス

(1989年・アメリカ・109分)NHK-BS

内容:ホテルのラウンジで演奏するピアノデュオのフランクとジャックのベイカー兄弟は、フランクの提案で女性ボーカルのオーディションを行う。選ばれたスージーを加えたザ・ファビュラス・ベイカー・ボーイズは観客を魅了するが、一緒に仕事を続けるうちにジャックとスージーが恋仲になってしまい、3人のバランスは崩れ始める・・・。

評価★★★★/80点

昔はこれって3P映画かとばっかり思ってたんだけどww、フタを開けてみたら、めちゃくちゃエエ映画じゃん!

ジャズピアノの旋律とともに味わう渋くて甘くて少々苦味のある大人のムード漂う映画。

まがりなりにも大人と呼べる30代に見たのはかえって良かったかも。

ホテルのラウンジやナイトクラブで長年に渡ってピアノデュオとして細々と演奏し続けているかつての夢追い人。その2人の間に若い夢追い人が割って入ってくることでビミョーに崩れていくバランス。

それを夢、人生、恋愛、兄弟愛といった要素を形式と即興の刺激的なバランスの上にまぶしながら爪弾いて描いているのがなんとも乙で、しかもそのビタースイートな口当たりがすこぶる魅力的なものになっている。

ラストも、題名にある恋のゆくえというよりは、夢追い人たちの自立の方に重心を置いて描いていて、そこがなんか大人な余韻を残す終わり方になっていて良いんだよね。

くわえ煙草が様になっているジェフ・ブリッジスと、はすっ葉だけどそのハスキーボイスと艶やかな肢体が忘れがたいミシェル・ファイファーはもとより、爆笑問題の田中のような味を出していたwボー・ブリッジスもまた印象的で、役者陣もサイコーだった。

通すぎず、かといって通俗すぎない大人の映画。ヨカッタです。

2021年1月 1日 (金)

夢のシネマパラダイス500番シアター:ゴッドファーザー・オブ・Jホラー黒沢清

クリーピー 偽りの隣人

Creepy出演:西島秀俊、竹内結子、川口春奈、藤野涼子、笹野高史、東出昌大、香川照之

監督・脚本:黒沢清

(2016年・松竹・130分)WOWOW

内容:1年前に失態を犯して警察を辞めた高倉は、現在は大学で犯罪心理学を教えている。そして妻の康子と心機一転郊外の一軒家に引っ越し、新生活をスタートさせていた。ある日彼は、警察の後輩だった野上から6年前に起きた未解決の一家失踪事件の捜査協力を頼まれる。そして事件を唯一免れていた長女に会うのだが、彼女には断片的な記憶しかなかった。一方、高倉夫妻は、新居の隣人・西野の言動にストレスと違和感を感じ始めるが・・・。

評価★★★★/80点

曖昧模糊となっていく此岸(この世)と彼岸(あの世)の境界を、死者が飄々と踏み越えてくる恐怖を描くことを得意としてきた黒沢清。

しかし、そんな大げさな非日常よりも、自分の家の垣根ひとつ越えた隣家で何か異常なことが起きているのではないかという不安感の方が、日常と地続きなだけに身近な怖さがあるし、例えば隣人が「私の家、幽霊出るんです」と言うより「あの人お父さんじゃないです。全然知らない人です」と言ってくる方がよっぽど不気味で怖い。

そして、ご近所さんへの違和感が次第に自分たち家族の日常を侵食してくる様は妙な生々しさがあって、その不穏な雰囲気が見てるこちら側にまで漏れ出してきて嫌~なかんじ・・。

なにより香川照之の怪演が凄まじいのなんの。TVドラマでの豪快な悪役っぷりとはまた異なる神経質でヤバそうなかんじが後ろ姿だけ見ても伝わってきて、上手さを感じる以上に背筋がぞわぞわッとしてくる。

妻(竹内結子)の内面がイマイチ伝わってこないといった欠落はあるものの、警察までもが餌食になっていく後半のおどろおどろしさと、頼るものがもう無い世界の終わりの中を車で疾走する時の合成感丸出しのシーンに快哉w

久々の黒沢製サスペンスホラーを思う存分堪能させて頂きました。

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予兆 散歩する侵略者劇場版

4b8a767a8f2d277eaf0e821976c73051出演:夏帆、染谷将太、東出昌大、中村映里子、岸井ゆきの、渡辺真起子、大杉漣

監督・脚本:黒沢清

(2017年・日本・140分)WOWOW

内容:同僚の浅川みゆきから「家に幽霊がいる」と告白された山際悦子は、夫の辰雄が勤務する病院の心療内科にみゆきを連れて行く。診察の結果、彼女は“家族”の概念が欠落していることが分かった。一方、同じ病院で夫から新任の外科医・真壁を紹介されるのだが・・・。

評価★★★/65点

宇宙人が地球侵略の前段階として人間という生き物を理解するために、人間を動かしている根本にある“概念”を奪って集める、というオンリーワンなシチュエーションだけ取ってみれば白眉。で、奪われた人間は廃人同様になってしまうのも面白い。

そこに黒沢清お得意の侵食してくる彼岸のイメージが上手く作用していて絵的にも見所あり。

なのだけど、本格的な侵略前ということか意外に盛り上がらないw

か弱い女性主人公が侵略者の人差し指を受けつけない特異体質の持ち主であるアイデアも意外にキーファクターとはならず、愛する人のためなら人類が滅んでも構わないというパーソナルな思い=愛の強さに話が収れんしていくんだけども、純粋なセカイ系にもなりきれていない中途半端さに最後まで足を引っ張られたかんじ。。

その中で、無表情がしっかり表情になっている逆説を恐ろしいほど体現している東出昌大が、愛の概念を手に入れたらどんな表情になったんだろうというのは見たかったなぁ。

ちなみに1番好きなシーンは、染谷将太がシャベルで東出の頭を後ろからガッツリぶっ叩くのをワンカットで映し出したところw

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散歩する侵略者

172099_02出演:長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、恒松祐里、前田敦子、満島真之介、光石研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史、長谷川博己

監督・脚本:黒沢清

(2017年・松竹・129分)WOWOW

内容:数日間失踪していた夫・真治が病院で保護された。妻の鳴海はまるで別人のような夫の言動に戸惑いを隠せない。しかし、そんなのお構いなく夫は毎日ふらふらと散歩に出かけ、やがては散歩のガイドになってくれと彼女に頼んでくるのだった。一方、町では一家惨殺事件が発生するなど不穏な出来事が頻発し、フリー記者の桜井は独自調査を始めるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

「予兆 散歩する侵略者」の方を先に鑑賞。

かげりのある空間描写が不穏をかき立てる黒沢なじみのホラー系の「予兆~」とは対照的な本作の軽快なコミカルテイストに少々面食らう。

が、予兆~での制御されたアンドロイドのような表情の東出&染谷とは逆に、本能で動く血まみれ女子高生&高校生クイズに出てきそうな生意気男子が殊のほか良くて、それに振り回される長谷川博己も面白い。

また、いつもの飄々とした松田龍平と引きこもりが治った満島真之介のやり取りも面白かったし、愛は地球を救うを体現した長澤まさみがめちゃくちゃイイ💕

絵的に見るべき点はクライマックスの無人爆撃機くらいしかない中で、生き生きとしたキャラクタリゼーションの新鮮さに最後まで引っ張られたかんじ。

あと、予兆~では愛の概念を知らぬまま終わった東出が今回は愛を説く牧師役として出てくるけど、空虚さが全く変わっていないのは笑えたw

シリアスとユーモラスの狭間であやういバランスのとれたウェルメイドな作りは黒沢清の新たな方向性なのか、なw?

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回路

Kairo02 出演:加藤晴彦、麻生久美子、小雪、武田真治、風吹ジュン、役所広司

監督・脚本:黒沢清

(2000年・東宝・118分)2001/02/18・仙台東宝

評価★★★☆/70点

 

内容:ごく平凡なOL生活を送る工藤ミチ(麻生久美子)の同僚がある日、自殺し、勤め先の社長も失踪してしまう。一方、大学生の川島亮介(加藤晴彦)の周りではインターネットを介して奇妙な現象が起き始める。胸騒ぎを感じた亮介は、同じ大学でインターネットに詳しい研究者の唐沢春江(小雪)に相談を持ちかけるが、次々に友達や家族が消えていく・・・。カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。

“怖いから見たくないと顔を手で隠しても指と指の間から見たくなってしまう、いや、絶対見なければならないと思わせるような世界がそこには広がっていた。”

地球上あるいはこの世界の中で唯一人間のみが“死”というものを発見した。

いつかは必ず“死”が訪れてしまうことを知ってしまった人間。

それこそが宗教や哲学の原点であり、死とは何か、翻ってこの世を生きることとはどのような意味をもつのかという探求、それは決して避けえない“死”を受けとめるために生まれてきたといっても過言ではない。

この作品では生者と死者、此岸と彼岸の境界がネットとパソコンのディスプレイを通して消失していき、2つの世界がジワリジワリと重なっていくさまが描かれている。

そして、あたかも皆既日食のごとく光と闇が重なっていく最大公約数のところに鮮明に見えてくるのは、孤独というキーワードだった。

死とは永遠の孤独であり、死者は永遠に「助けて、助けて」と呟きつづける存在。

しかし実はその“孤独”が現代社会を構築していくシステムの中で大きな存在となりつつある、いや、もうすでになっている現在。

人とのつながり、社会とのつながり、国家とのつながりが希薄になってきたその極端な形を、光と闇という二項対立の壁を取り払った不条理なホラーとして表出させた黒沢清監督の手腕はたしかに大きい。

なぜあちらの世界が侵食してくるのかということを武田真治に語らせた不条理の理はともかく、人と人とのつながりを最後の最後まで求める主人公の一貫した姿から、生きるということに人と人とが理解しあうこと、心と心をつなげることという意味を見出すことが一応できる。

しかし、それは一応という前書きがどうしても付いてしまうくらいの弱々しいものであり、監督の視線の冷たさと突き放し方には、映画を見る側とのつながりさえ拒絶してしまうくらいの投げやりとでもいうような一方的な厳しさがある。春江の描き方なんか特に。

そのため映画と自分との間の回路が半ば開いているようで開いていない状態のまま推移してしまった。

自分としては、人と人とが理解し合うことの難しさと対になる、それゆえに生まれる心と心の交流の温かさを描いてこそ、より説得力をもって伝わってくるものだと考えているのだが、ホラーにそこまで求めるのも酷か・・。

だが、そういう要求を思わず求めてしまうほどのある種哲学的な世界、見たくないと顔を手で覆っても絶対指と指の間から見たくなってしまう、いや、見なければならないと思わせるような世界がそこには広がっていた。

まるで救いを求めるかのごとく無機質な携帯を片手に持った人々であふれかえる街、しかしそこにあふれかえる情報の波の中で他者とコミュニケーションをとることにもはや肉体(身体)は完全に不用となっている。

そんな中、間接的な形の中で次第にコミュニケーションを苦手とし、あるいは苦しみさえ抱き閉じこもって、そういう力を無くしていく人々と社会・・・。

これって、たしかにホラーなのかもしれない。。

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Sakebi 出演:役所広司、小西真奈美、伊原剛志、葉月里緒菜、オダギリジョー、奥貫薫、加瀬亮

監督・脚本:黒沢清

(2006年・日本・104分)2007/03/01・盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

 

内容:有明の埋立地で、身元不明の赤い服の女が殺害された。死因は溺死。この事件の捜査に当たった刑事の吉岡は、被害者の周辺に残る自分の痕跡と不確かな記憶に「自分が犯人ではないのか?」という妙な感情に襲われる。苦悩を深める吉岡は、殺害現場に舞い戻るが、そこで不気味な女の叫び声を耳にする・・・。

“これぞ<映画>!”

「私は死んだ。だからみんなも死んでください」という、映画を締めくくる言葉とは到底相容れないような衝撃的なセリフで終わる作品だが、新聞紙が吹きすさぶゴーストタウンを独りさまよう役所広司の姿を捉えたワンカットで世界の崩壊を表現してしまう、これを“映画”と言わずして何と言おう。

そういう意味でもまさに素晴らしい映画体験を満喫できたと思う。

冒頭、男が水たまりに女の顔を押し付けて殺害するシーンがワンカットで描かれていることからして、今まで見たことがないようなヘンな違和感を感じたものだが、ワンカットで撮った(?)男の飛び降り、瞬きしない赤い服の幽霊(葉月里緒菜)の形相、奥貫薫が凶器でゴツンと男の頭をブッ叩くシーンなど微妙な違和感が見る側に侵食してくる。

この違和感は今までの映画の文法から外れたもの、それはつまるところ“本当のこと”が違和感として感じられてしまうのだろう。

かと思えば、その幽霊がわざわざドアを開けて出て行ったり、空をドッヒューンと飛んでいったり、吉岡(役所広司)が真顔で幽霊が出る相手を間違えることってあるんでしょうか?と言ったり、そういう滑稽なシーンも平気で繰り出してくる。

そっくり丸ごとホンモノと、とてつもないバカバカしさの奇妙な融合がこれほどまでに新鮮な世界観として映ってしまうというのも珍しい。

これぞ“映画”!

20世紀に我々日本人が捨て去ってきたもの、見て見ぬふりをしてきたもの、ひた隠してきたものが21世紀に入ってボロボロと露わになってきている中で、この映画で描かれる赤い服の幽霊が内包するテーマというのは非常に示唆的であるように思う。

そういう時代性も含めて、見応えがあったし、さらに黒沢清にありがちな支離滅裂さがなかったのも見やすくて良かった。

“目の前にいる人が、全然私を見てくれない”呪縛、ゾゾーッ・・。

いったいどれだけの人を、モノを見過ごしやり過ごしてきたのだろう自分は・・・。

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ドッペルゲンガー(2002年・日本・107分)WOWOW

 監督:黒沢清

 出演:役所広司、永作博美、ユースケ・サンタマリア、柄本明

 内容:早崎道夫は、医療機器メーカーで人工人体の開発にあたっているエリート研究者。10年前に開発した血圧計が大ヒットして以来、スランプ状態に陥った彼はストレスを募らせていた。そんなある日、早崎の前に突然、彼に瓜二つの外見を持つ分身ドッペルゲンガーが出現。早崎は必死でその存在を否定しようとするが・・・。

評価★★/40点

コメディだと気付くのが、遅すぎた・・w

2020年12月30日 (水)

夢のシネマパラダイス160番シアター:ヘイトフル・エイト

ヘイトフル・エイト

H8_2出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

(2015年・アメリカ・168分)WOWOW

内容:南北戦争後のワイオミング。賞金稼ぎのジョン(カート・ラッセル)は駅馬車を貸し切って、1万ドルの賞金首の女・デイジーを乗せて雪山を走っていた。そこへ、馬が倒れて立ち往生していた元騎兵隊の賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)に頼まれて、お尋ね者3人の死体と共に乗せてやることに。さらにもう1人自称保安官の男にも呼び止められて拾ってあげた一行は、猛吹雪を避けて道中にある紳士服店に立ち寄るが、そこには店番をしていたメキシコ人と3人の先客がいた・・・。

評価★★★/65点

一言でいえば、巨匠めいたタランティーノに面食らったといえばいいか。

まるでポール・トーマス・アンダーソンが撮ったと言われても納得してしまいそうなくらい絵の構図で見せまくり、格調というにはグロシーンのオンパレードなのであれだけど、牽引力のある無駄話がかすんでしまうくらいショットで見せる。

タランティーノ特有の安っぽさが無いんだよね。

それを成長といえばいいのか、いやこれってタランティーノにかぎっては退化じゃないのか(笑)!?

で、結局これって西部劇の名を借りた密室劇だったわけだけど、尺はこの長さでいいからタランティーノ十八番の時制を交錯させる手法をもっとバンバン使って、最初から密室に8人がドンッと居座った状態で通してほしかった気も・・。そうすればサスペンスとしての緊迫感はもっと出たと思うんだけどな。

こう書いてきて明らかに自分の嗜好ベクトルは、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」だったのだと気付くw

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スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

Sukiyaki 出演:伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、堺雅人、小栗旬、石橋貴明、木村佳乃、クエンティン・タランティーノ、香川照之、桃井かおり

監督:脚本:三池崇史

(2007年・日本・121分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:壇ノ浦の戦いから数百年後、山あいの寒村“湯田・ユタ”。ある時、その村に大量の金塊が眠っているという噂が立ち、平清盛(佐藤浩市)率いる平家ギャングと源義経(伊勢谷友介)率いる源氏ギャングは一触即発の状態になっていた。そんな抗争渦巻く村に、一人の凄腕ガンマン(伊藤英明)が流れ着く。両軍ともこの謎のガンマンを用心棒に引き入れるべく動き出すのだが・・・。

“犯されて、射抜かれて、舐めくり回される佳乃さま!!”

ド変態映画ですこれ。

オープニングからタランティーノが出てくる映画なんてろくなものになるわけないんだから(笑)、そこで、あっ、この映画ってそういう映画なんだとスイッチを切り換えて見れば、そこそこ楽しめる映画ではあるけど。

タランティーノの映画も、すき焼きかヤミ鍋かというくらいのB級ゴッタ煮映画なのだから、オープニングでタランティーノを出してきてこの映画の指標を示してくれたのはせめてもの救いだった。

ていうか、それがなかったら、とてもじゃないが見られないけどねw

しかし、名の知れた豪華俳優陣が嬉々としておフザケキャラを演じているのはそれだけでも見ていて楽しいものがあったのも確か。

ガトリング砲をブッ放すヘンリィ6世・佐藤浩市、LOTRのゴラムばりの一人芝居を見せる不死身の香川照之、トランスタコ踊りの木村佳乃、タマを失くしたタカさんの保毛男田保毛男・・。

その保毛男田保毛男が襲ってくるときの伊勢谷友介の素演技がこの映画1番の見せ場だったな(笑)。ってコントやん。。

血まみれの弁天を通称ダブルBと呼ばせるところなんかは、まんまタランティーノのパクリだけど、そのおバカさを払拭するかのようなルリ子・桃井姐さんのカッコ良さも特筆ものだったし。

んで1番まともだったのが大友克洋のAKIRAから命名されたアキラこと小栗旬だったけど、アニオタ・タランティーノとルリ子から生まれたのが小栗旬って、、全然ハーフになってないんですけどww。

ほいで結局1番わけの分からなかったのが伊藤英明。他のキャラに消されて何の色も出なかったな、かわいそうに。

まぁ、こういう何でもござれのB級&R指定の娯楽映画は年に1回くらいだったら見てもいいかもね。一緒に見に行った連れには大不評だったけど・・・。

でも、これを山田洋次に撮らせてたら、三池ワールドとは天地の差がある大層まともな和製「シェーン」になるんだろうなぁ(笑)。

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駅馬車(1939年・アメリカ・99分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、トーマス・ミッチェル、クレア・トレヴァー

 内容:19世紀末、アリゾナからニューメキシコまで9人の乗客を乗せた駅馬車が平原を進む。途中、若妻の出産やアパッチの襲撃などのハプニングに遭いながらも旅を続ける西部劇史上不滅の名編、らしい。。飲んだくれ医師役のトーマス・ミッチェルがアカデミー助演男優賞受賞。

評価★★★/60点

正直かったるい。。

登場人物が多いわりにはキャラが活きてないかなと。光ってたのは飲んだくれのトーマス・ミッチェルくらいなもの。

ただ、一点、モニュメントバレーのロケーションだけは最高で、自分も馬に乗って颯爽と駆けてみたいとは思った。

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黄色いリボン(1949年・アメリカ・103分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、ジョアン・ドルー、ジョン・エイガー

 内容:西部民謡をアレンジした同名の主題歌も有名な、ジョン・フォード一家総出演による叙情派西部劇。「アパッチ砦」「リオ・グランデの砦」とともにフォード監督の騎兵隊3部作を成し、これはその第2作目。またフォードにとっては初のカラー西部劇で、アカデミー撮影賞も受賞。

評価★★★/60点

正直途中までジョン・ウェインがどの役演ってるのか分からなかった。。

まっさか退役間近の老将ジイさんじゃないよな、と最初から決めかかってた自分もバカだけど。だってまだジイさん演る年齢じゃないっしょ。この時って、まだ40歳くらいだったはず。

笠智衆も真っ青だなw

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リオ・グランデの砦(1950年・アメリカ・105分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、クロード・ジャーマン・ジュニア

 内容:勇ましいアメリカ騎兵隊魂を高らかに謳い上げたジョン・フォードの騎兵隊3部作の第3作。

評価★★★/55点

西部劇としては何の取り柄もない映画だが、ただ1点、ローマ式の馬の乗り方は一見の価値あり。

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ヴェラクルス(1954年・アメリカ・94分)NHK-BS

 監督:ロバート・アルドリッチ

 出演:ゲイリー・クーパー、バート・ランカスター、デニーズ・ダーセル

 内容:1866年のメキシコ。南軍少佐のトレーンは、無法者のエリンから馬を買ったが、その馬が軍隊から盗まれたものだったため、エリンもろとも軍隊の迫撃をくらってしまう。必死こいて逃げる2人は、たまたま知り合ったデ・ラボルデエル侯爵から、伯爵令嬢マリーをメキシコのベラクルスまで送り届けるよう頼まれるが・・・。

評価★★★/65点

血塗られたようなどぎつい赤で彩られたオープニングクレジットから想像していたのとはかけ離れた中途半端さ。

名優2人のキャラとその対比が良くできていただけに残念。。

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騎兵隊(1959年・アメリカ・119分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、ウィリアム・ホールデン、コンスタンス・タワーズ

 内容:南北戦争たけなわの1863年4月、北軍の劣勢を挽回するために、グラント将軍はヴィックスバーグ攻撃強行を決意し、補給路を断つために敵陣の中にあるニュートン駅破壊を企てる。元鉄道技師のマーロウ大佐(J.ウェイン)は、騎兵隊を率いてニュートン駅に向かって出発する。彼の隊には軍医のケンドール少佐(W.ホールデン)が配属されたが、医者嫌いのマーロウとは最初っからソリが合わない。。やがて一行は南部のとある農園に宿泊することになるが、そこの女主人に作戦会議を盗み聞きされてしまい・・・。

評価★★☆/45点

甘すぎる。。

マーロウとケンドールをもっとこう極端に対峙させてほしかったんだけどなぁ。

ジョン・ウェインが女性から強烈ビンタを喰らうところが1番の見所。。

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墓石と決闘(1967年・アメリカ・102分)NHK-BS

 監督:ジョン・スタージェス

 出演:ジェームズ・ガーナー、ジェイソン・ロバーズ、ロバート・ライアン、ジョン・ヴォイト

 内容:1881年、弟をクラントン一味に殺されたワイアット・アープは、ドク・ホリデイの協力でビリー・クラントンを倒し、OK牧場の決闘は終わった。しかし、決闘の張本人であるアイク・クラントンはいつの間にか姿を消していた。その後アープは、連邦保安官に任命されて捜索隊を組織する権限を得ると、なりふり構わずクラントンを追いかけ始める。西部開拓史上最も有名なOK牧場の決闘に関係した男たちのその後の運命を描いた西部劇。

評価★★★☆/70点

西部劇でちゃんとした法廷シーンを見るとは思いもしなかった。

さらに勧善懲悪からだんだんズレていくという視点をはじめとして非常に新鮮な印象を持った。やはり実話だけのことはある。

でもまさかこんな後日談があったなんて、、やっぱり新鮮。

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ポストマン(1997年・アメリカ・177分)WOWOW

 監督:(製作のほかに挿入歌までやっちゃってます・・)ケビン・コスナー

 出演:ケビン・コスナー、オリビア・ウィリアムズ、ウィル・パットン

 内容:核戦争後の社会を舞台に、失意の人々に手紙を届け、希望を与えることで独裁者に立ち向かった郵便配達夫の勇気ある生きざまを描く近未来ウエスタン。

評価★★★/55点

薄っぺらい内容でよく3時間もたせたなぁと逆に感心してしまう。。

面白くて良い映画を作るゾ!というコスナーの心意気だけは伝わってくる・・w

2020年12月29日 (火)

夢のシネマパラダイス467番シアター:究極サバイバル!

新幹線大爆破

Ibqkquwku 出演:高倉健、宇津井健、千葉真一、山本圭、織田あきら、渡辺文雄、竜雷太、宇都宮雅代

監督・脚本:佐藤純彌

(1975年・東映・153分)DVD

評価★★★★/75点

 

内容:東京から博多へ向けて走る新幹線「ひかり109号」に爆弾を仕掛けたという脅迫電話が国鉄に入った。その爆弾はスピードが時速80キロ以下になると爆発するという。犯人は500万ドルを要求し、警察も捜査を開始するが、途中の駅に停車することもできない新幹線は、パニックに陥った乗客たちを乗せて、タイム・リミットへとひた走る。キアヌ・リーブス主演の「スピード」の元ネタになったともいわれる快作。

“まるで速度を落とすのを執拗に恐れているかのごとく一本調子で走り続ける人力シネマ超特急”

2時間半後、終着駅で停車して降りるものの、シネマのほとぼりはなかなか冷めない。

それほどまでに、ああ、映画を見たぞぉーっという満腹感でいっぱいなのだが、しかし実はその実体はなかなか大雑把なやっつけ仕事の鬼とでもいえばいいだろうか。至るところで映画の道筋のレールが寸断されているのだが、そんなことなどお構いなしにとにかく走り続ける。

さすがに図面がある喫茶店が偶然にも火事で焼けてしまうというのは作劇としてはあまりにもいい加減で思わず閉口してしまったし、犯人を確保するどころか2人連続で死に至らしめてしまう警察のバカっぷりなどお世辞にもプロの仕事とはいえない。

ある意味、映画のいい加減な体裁をとるために山本圭は自爆させられたといってもよく、結局、高倉健も撃たれて死んでしまうわけで、警察や国鉄にしてみたら動機が分からないまま終わっちゃったわけだ。

彼ら犯人たちの抱えていた背景は世に出ることはなく、、それもまた可哀想な話だ。

しかし、あの山本圭が自爆って。80年代生まれの自分にとっては山本圭といったら心優しい良き父親といった印象が強いのだけど、まさかこんな闘う男だったなんて。。

まぁ、普通に考えたら、司令室、新幹線、犯人、警察と四足のわらじを履くこと自体どっかで無理が生じるのは目に見えているのだけど、よりによって犯人側にウエートを置くというのは映画と映画内のリミットを考えたら1番難しい大冒険だろう。

しかもこの犯人たちにあまりにも大きなものを背負わせてしまった。日本を動かしている秩序、彼らが言うところの歪んだ体制を。。

それを必要最低限の描写で目ぇ一杯最大限体現できる役者として高倉健をあてたのは理にかなってはいる。

しかし、やはりリミット制限ギリギリの爆弾パニックムービーにおいて、犯人たちの両手に爆弾以上に重い十字架を持たせることがはたしてよかったのかどうか、意味があるのかどうか疑問は残る。

壊すという行為においては、全共闘も新幹線爆破も同じだが、そこに何か正義を求められるのかという意味では新幹線爆破に正義と同情のつけ入る隙も余地も全くない。れっきとした凶悪犯罪である。

やはりその点においてこの映画のウエートの置き方には疑問が残るし、その描写がやや効果のないブレーキになっていたのもたしかだ。

それでもなお★4っつにしたのは、映画の作り手の意気込みと熱意、それを燃焼材としてとにかく2時間半走り続けた血と汗の結晶、人力シネマ超特急にいやが上にも魅せられたからだ。

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ロスト・バケーション

Shallows2016a

出演:ブレイク・ライブリー、オスカー・ジャネーダ、ブレット・カレン、セドナ・レッグ

監督:ジャウマ・コレット=セラ

(2016年・アメリカ・86分)WOWOW

内容:医学生のナンシーは女友達と一緒にメキシコを旅行。亡き母から教わったいまだ観光客には知られていないビーチを訪れた。現地の男といちゃつく友達を置いて浜辺へ向かった彼女は、さっそくサーフィンに興じる。最初は他のサーファーが2人いたものの、やがて1人に。すると突然、何かにぶつかり脚を負傷し出血してしまい、岸から200m離れた近くの岩場に一時避難するのだが・・・。

評価★★★/65点

スピルバーグの「ジョーズ」から40年。

40年経ってもかの作品を超える作品が出てこないというのも考えてみればスゴイことだよなぁw

けど、あの映画の面白さってもちろんサメの恐怖がいの一番にあるものの、登場人物のキャラクターのぶつかり合いという一面も実は大きなウェートを占めていて。

サメのホームグラウンドにもかかわらず、なかなか一枚岩にならない大人たちを見て子供心にそんなことしてる場合じゃないだろと思ったものだけど、サメ退治に名乗りをあげる3人のキャラクターは今でも思い出せるくらい印象的なんだよね。

その点今回は、砂浜から200mほど離れたポイントでひとりの女性サーファーと一匹のサメが対峙するという非常にシンプルなワンシチュエーションものになっていて、サメの姿をなかなか見せないオリジナルマインドを押さえているのは前提としても、距離・潮の満ち引き・負傷した足のハンデの3点のみで映画として機能させた演出力は及第点だし、90分以内に収めたのも良い。

特に砂浜が見えるといったどうにかすれば助かるかもしれないという絶望の一歩手前の“距離感”は絶妙で、その中での孤独感とそれを和らげる一羽のカモメの配置も上手い。

ザックリ咬まれた足の痛々しさや、トゲトゲ珊瑚を踏んでしまったりクラゲに刺されたり痛覚刺激も120%で、総じてシンプルさゆえのリアリティがあって面白かった。

ただ、肝心のサメがあまりにもストーカーすぎて、ちょい冷めw

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127時間

O0586082312315252485 出演:ジェームズ・フランコ、アンバー・タンブリン、ケイト・マーラ、ケイト・バートン、トリート・ウィリアムズ

監督・脚本:ダニー・ボイル

(2010年・米/英・94分)WOWOW

内容:休日はグランドキャニオンを駆け回るほどのロッククライミング好きの青年アーロンは、自分の冒険する姿を自撮りして悦に入るような自信家。しかしある日、庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンで、ふとしたアクシデントから、大きな落石に右腕を挟まれ、谷底で身動きがとれなくなってしまう・・・。

評価★★★☆/70点

何の予備知識もなしに見たので、主人公はこのまま衰弱死しちゃうのだろうか、それとも腕を切り落としちゃうの!?とゾワゾワしながら見てしまったのだけど、絶対的な孤独と迫り来る死の恐怖に閉所恐怖症の自分は心が折れかかってしまった。いや、半分折れた

まさに主人公の陥った極限状況を疑似体験しているようなかんじで、途中でなんでこんなの見てなきゃならないんだとキレかかってしまった・・

なんかホラー映画はどこかアトラクション感覚で見てる部分があるけど、これは全然違うんだよね。もっとリアルで異質で皮膚感覚に突き刺さってくるような。。

ダニー・ボイルの演出もダサかっこ良くてw、鼻につく一歩手前で許せた。

まぁ、アンビリバボーで20分くらいでやるような企画をハラハラドキドキの映画に仕上げちゃう手腕はやっぱりスゴイと思うけどね。ダサってのが先にどうしても付いちゃうのはご愛嬌としようww

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スピード

Speed 出演:キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、デニス・ホッパー

監督:ヤン・デ・ボン

(1994年・アメリカ・115分)盛岡ピカデリー

内容:爆弾魔がロスの市バスに時速が80キロ以下になると爆発するという爆弾を仕掛け、身代金を要求する。疾走するバスを追い、飛び乗ったロス市警特別隊員ジャックは、重傷を負った運転手の代わりにハンドルを握る女性アニーとともに必死の努力を続けるが・・・。

評価★★★★★/100点

ヤクだ、クスリだ、スピードだ

アドレナリンじゃんじゃん放出、覚醒する脳。

起承転結すべて★5っつ!シンプルこそ命。

スピード、、忘れた頃に摂取したくなるシロモノです。。

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運命を分けたザイル

Un 出演:サイモン・ウェーツ、ブレンダン・マッキー、オーリー・ライアル

監督:ケビン・マクドナルド

(2003年・イギリス・107分)2005/02/17・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

 

内容:1985年、イギリスの若き登山家ジョーとサイモンは、難関とされるシウラ・グランデ峰の登頂に成功する。しかし、下山の際にジョーは滑落。命のかかった極限の状況下、サイモンは2人をつなぐザイルを切る決断を下すのだった・・・。世界中でベストセラーになったノンフィクション文学の映画化。

“想像を絶するとはまさにこのこと。彼らの体験を映像と語りで追体験させようとするが、自分の頭の中の想像力では決して越えられない絶壁が立ちふさがり、ただ唖然として凝視するほかに方法がない・・。”

スキー・スノボを毎シーズンやってる自分にとっては、猛吹雪の中、強風で乗ってたリフトが非常停止してしまった状況を思い浮かべるだけで精一杯。

しかも1シーズンに数回あるかどうかだし、長くてせいぜい30分てとこだからなぁ。

でも、このたった30分が地獄なんだよね。それが7日間、しかも骨折&クレバス転落のおまけ付きときたもんだ。

天上から垂らされた蜘蛛の糸をつたって這い上がるのならまだしも、地獄へと下っていく選択をするというのは今の自分の思考回路では到底考えられない。。

想像を絶するとはまさにこのことだ。

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フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996年・アメリカ・111分)WOWOW

 監督:ロバート・ロドリゲス

 出演:ジョージ・クルーニー、クエンティン・タランティーノ、ハーヴェイ・カイテル、ジュリエット・ルイス

 内容:銀行を襲撃したセスとリチャードの兄弟は、メキシコに逃亡。2人は元牧師一家を人質にとり、仲間の待つ酒場へ向かうが、そこはなぜか吸血鬼の巣窟で、夜明けまで凄絶なサバイバルバトルを繰り広げることになる・・・。タランティーノ&ロドリゲスがコンビを組んだアクション・ホラー。

評価★★★/65点

“前半映画楽しむも 後半マンガになりにけり。。”

しかも前半は良い意味で異常かつ異様だったのが、後半のゾンビ漫画は悪い意味で正常かつフツーになっちゃってるという逆転現象に、しばし閉口。

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オープン・ウォーター(2003年・アメリカ・79分)DVD

 監督・脚本:クリス・ケンティス

 出演:ブランチャード・ライアン、ダニエル・トラビス、ソウル・スタイン、エステル・ラウ

 内容:バカンスを利用してカリブ海にやって来たアメリカ人夫婦が、ふとしたことからダイビング中に海に取り残されてしまう。やがて2人の目の前には、数え切れないほどのサメが集まってきて・・・。

評価★★★/60点

“1対1の本音夫婦げんかバトルをする場所としては最適だということだけは分かった。”

映画としてはお腹一杯どころか腹八分にも満たない出来。

スーザンの素っ裸以外は自分の予想の範疇といったかんじで、うちのソファにゆったり身をまかせて見ることができてしまう。

小学生の頃によく読んでた海の図鑑や本に出てくるサメの話にビクビクしていたときの恐怖感の方が確実に残る。

もしかしてこの映画のメイキングドキュメンタリーの方が真に恐くて面白いのでは・・・。

2019年10月12日 (土)

夢のシネマパラダイス285番シアター:突撃!隣のマイケル・ムーア!

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

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監督・脚本・出演:マイケル・ムーア

(2015年・アメリカ・119分)WOWOW

内容:映画監督マイケル・ムーアが単身アメリカを飛び出し、星条旗を掲げながら“世界侵略の旅inヨーロッパ”を敢行。各国の良い制度や習慣を略奪してアメリカに持ち帰ろうというのだ。まずイタリアに侵略した彼は、有給休暇が年間8週間もあることに衝撃を受ける。その後も訪れた国々で驚くべき常識を知ることになり・・。

評価★★★★/80点

自己責任と個人主義の弱肉強食大国アメリカと社会責任と連帯主義の弱者救済システムを持つヨーロッパを比較して、アメリカのジョーシキをシニカルかつユーモアたっぷりに糾弾していく構成力はドキュメンタリーの枠を超えた面白さで、マイケル・ムーアのセンスを再認識。

ポルトガルのドラッグ合法とかノルウェーの開放型刑務所とかさすがにそれはどうなの!?というのもあったけど、アメリカ型資本主義一辺倒の日本としては対岸の火事として笑っていられない部分もあったりして、興味深く見ることができた。

その中で、日本でも取り入れなきゃダメだなと思ったのは、スロベニアの大学授業料無料をはじめとする教育費の無償化。少子高齢化でマンパワーが枯渇していくことは目に見えているわけだから、広がり続ける経済格差社会の中で高等教育を受けられないというのはそれこそ国益を損ねることにつながると思うんだけどなぁ。どうも政治家先生たちの頭の中では教育に対する優先度が低いようで・・。

あと、映画の中で紹介された各国の様々な施策が実はアメリカ発祥のものばかりというのは目が点になったところで、行き過ぎた資本主義ははたして人を幸せにするのだろうかと日本の行く先にも不安を覚えてしまった。。

でも、その不安を希望に変えていくには自らが声を上げて立ち上がらなければ勝ち取れないのだというのはちょっと耳が痛くなっちゃった。

権力は隙あらば常に抑圧と搾取を狙っていて、流されるまま無関心でいると知らない間にとんでもなく生きづらい世の中になっているかもしれないってことを肝に銘じなければ・・・。

ハンマーとノミを見えるとこに置いておこうw

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華氏911

9111bigthumb 出演:マイケル・ムーア、頭のネジが2,3本吹っ飛んでいるジョージ・W・ブッシュ

監督・脚本:マイケル・ムーア

(2004年・アメリカ・122分)恵比寿ガーデン

評価★★★★☆/85点

内容:イラク戦争を決行したブッシュ大統領を標的に、同時多発テロ時の彼の行動やブッシュ家とビンラディンの関係などを、痛烈に批判していく。カンヌ国際映画祭でパルムドールと国際批評家連盟賞を受賞。

“マイケル・ムーア流レジスタンス”

この世界を正常にするために小さき自分ができることをひとつ見ーっつけた。

この映画を知人友人に広めたるわ(ベターー)。オレ流レジスタンス。

この映画がカンヌで賞を獲り、アメリカでも大ヒットだったにもかかわらずブッシュは再選されてしまったわけで、あと数年続いちゃうんだこんなのが・・・。でも、ブッシュよ、アンタの政権が終わった後どころかアンタの死後にもこの映画は残っていきますからー残・念!

映画というのは主観が入っていて当然だし、それが例えドキュメンタリー映画といわれるものであっても。そうじゃなきゃ映画じゃないと思うので、この映画のスタンスは個人的には全然OK。ていうかこれとは真逆のネオコン&ブッシュ命映画も作りゃいいじゃん。主観バンバン入れて。それでもドキュメンタリーとしての事実は事実なんだから。

映画てのはそういうもん。だと思う。

この点については「ブラックホーク・ダウン」のレビューでも述べてるのでここではこれ以上突っ込んではいきませんが。

ところで、この映画で1番印象に残ったのは、イラク人の母親とアメリカ人の母親が同じことを叫んだこと。

米軍に家を爆撃され、子供親類を亡くした女性が泣き叫びながらアッラーに救いと復讐を求める、一方でイラクで戦死した息子の死を受け容れられないアメリカ人女性も泣き叫びながら神に救いを求める。

結局は同じ痛みと悲しみ、そして絶望の祈りを捧げなければならない。

んで政治家連中は高みの見物。

そんなに戦争したいなら、「西部戦線異状なし」で出てきたセリフのように、囲いの中に指導者を集めてその中で素手の殴り合いをさせて決着つければええやん。あるいは「トロイ」みたいに、1対1の決闘で勝敗をつけるとか(笑)。え?軍産複合体が許してくれない?

そうだなぁ、、10年に1回デカイ戦争しないと国がまわらないシステムだからねアメリカって。

さぁて、次の標的はどこよ。。。

Posted at 2004.10.04

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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年・カナダ/アメリカ・120分)恵比寿ガーデン

 監督・脚本:マイケル・ムーア

 出演:マイケル・ムーア、アブないマリリン・マンソン、キレてるチャールトン・へストン、人殺しが好きなジョージ・ブッシュ、マット・ストーン(誰だっけ)

 内容:マイケル・ムーアがアメリカ銃社会をなで斬りにし、カンヌやアカデミー賞などで多数の賞を受賞したドキュメンタリー。1999年4月20日、コロンバイン高校銃乱射事件が発生。なぜアメリカでは銃犯罪が多発するのか?ムーアは全米ライフル協会会長のチャールトン・へストンらに突撃アポなし取材を敢行していく。

評価★★★★☆/85点

“あ゛ーーー、また自分にとって知りたくもない余計なトリビアが増えてしまったぁぁ・・。”

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シッコ(2007年・アメリカ・123分)CS

 監督・脚本:出演:マイケル・ムーア

 内容:先進国の中で唯一、国民皆保険制度を持たない国アメリカ。約4700万人が無保険のため高額の医療費を払えず、病院に行くことを我慢せざるをえない状態にある。一方、残りの国民の健康保険の大半は民間の保険会社に委ねられているが、はたしてこれらの保険会社は本当に満足のいく医療を提供しているのだろうか!?アメリカの医療の衝撃の実体が明らかになる。。

評価★★★★☆/85点

“ボランティア大国の裏の顔”

底辺に生きる者への対し方でどんな社会か知れるという・・・。

なりふり構わない規制緩和と市場開放による新自由主義が国民の生命に関わる医療を握ったとき、その行き着く先にあったのは、、、

誰も助けてくれない社会だった・・・。

なんという悲しい現実。

弱者が捨てられていく目を覆いたくなるような惨状に思わず涙してしまった。

しかし、市場原理主義ももちろんだけど、その底流にあるアメリカ人のものの考え方の偏り方にはあっけにとられたというか、、究極の個人主義と自己責任論、そして社会主義はおろか社会民主主義でさえも受けつけない徹底した嫌悪感というのは計り知れないものがあるのだなと思った。根本的に価値観が違うというかね・・。

世界の隅々まで自由と民主主義を行き渡らせようと大変な努力(笑)をしているアメリカ、しかし“私”が“私たち”のために、“持てる者”が“持たざる者”のために物事を考えることができない社会こそ最も危険な恐ろしい国ではなかろうか。

政府が国民を恐れるのではなく、国民が政府を恐れてしまうという“ビョーキ”にかかってしまったら世も末か、、って日本は大丈夫なのだろうか。。

アメリカの年次改革要望書に沿って動いている日本の行く末にあるものとはどんな社会なのだろうか・・・。悪寒が・・

とにもかくにも、この映画を見て感じたのは、医療や教育、介護といった国民生活を最低限保障するサービスに関しては、営利を旨とする民間機関ではなく、やはり国と政府にしっかりしたものを提供してもらわなければならないということ。

もちろん、そのためにはスウェーデンなどのヨーロッパ諸国なみとはいかないまでも、かなりの税負担と社会保険料を代償として払わなければならないだろうけど、払った分だけ国民生活に徹底して還元される社会であればそれも許容できるのではなかろうか。

そのためにも政府が国民を恐れる国、つまり国民と政治が密着し、真の意味で国民が政治を取り仕切る国にならなければならないのだと思う。それが本当の民主主義なのだ。

翻って、日本は、、、

まずはとにかく、民間を参入させて市場開放すれば国民にとっても選択肢が増えて良いという論は医療には当てはまらないということだけはよ~く分かった。

2019年9月22日 (日)

夢のシネマパラダイス254番シアター:新世紀エヴァンゲリオン

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に

Eva28 声の出演:緒方恵美、三石琴乃、山口由里子、林原めぐみ、宮村優子

総監督・原作・脚本:庵野秀明

監督:摩砂雪、鶴巻和哉

(1998年・東映・160分)DVD

評価★★/45点

内容:21世紀の第3新東京市を舞台に、人類と謎の生命体“使徒”との壮絶な戦いと、使徒を倒すべく造られた汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンを操る少年少女の苦悩を描いた長編アニメーション。1995年からテレビ放映されて話題を呼んだ連続アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の劇場版で、全26話のうち第24話までの総集編に新作カットを加えた「DEATH」編と、第25話と最終話を新たにリメイクした「REBIRTH」編の2部から成る『シト新生』が1997年に製作されたが、製作作業の遅れから「REBIRTH」編は未完成のまま公開された。そこで4ヵ月後にその完全版として、「第25話・Air」「最終話・まごころを、君に」で構成された劇場版のパート2となる『Air/まごころを、君に』が公開。さらに、1998年に『シト新生』の「DEATH」編を修正した「DEATH(TRUE)2」と、「Air/まごころを、君に」を併せた劇場版の本来の形というべき作品が公開されるに至った。

“タイタニックにはフィーバーしたが、エヴァにはフィーバーしなかった。そういうごくごくフツーの日本人です自分は(笑)。”

エヴァのアニメ放送の時は盛岡で高校生をやっており、エヴァブームなど露知らず。やっとのことでエヴァブームが飛び火してきたのが97年、大学2年のことだ。

レンタル屋でビデオを借りまくって見たのだが、最初の頃はイジイジしてヘタレな主人公シンジのキャラが逆に新鮮だったのと、“死海文書”“ロンギヌスの槍”“使徒”といった聖書に関連させた謎めいた用語の氾濫に象徴される壮大に広げた大風呂敷の魅力にひきこまれて見入ってしまっていた。

特に、シンジがエヴァ乗務を放棄し家出をして電車にあてもなく乗り続けるエピソード(第四話「雨、逃げ出した後」)など、全く正義のヒーロー然としていないばかりか、世界を救うエヴァに乗ることで逆に悩み苦しむ姿をさらけ出してしまう悲劇のヒーロー像というのは目から鱗ものだった。またそんな中で、突発的にキレてしまうような過激で残酷な暴力性があらわになる戦闘シーンもまた非常に印象的だった。

が、しかしである・・・。

だんだん回が進むにつれて、一向に成長していかずに幼児的ともいえる内的引きこもりに陥っていくシンジにイラッとしてきて、あげくの果てに風呂敷たたむ前に逃亡してしまうような収め方に愕然。

、、、と、ここで自分の中のエヴァブームは一気に冷めて、エヴァ劇場版には目もくれず長蛇の列に恋人と並んで「タイタニック」を2回も見てしまったのだった。

あれから10年、完全に忘却の彼方へ消えてしまっていたエヴァだったが、突如降って湧いたように「ヱヴァンゲリオン新劇場版」が公開されると聞いて10年ぶりにレンタルして再見してみることにした。

さて、10年ぶりに見た感想は、学生気分のぬるま湯にドップリ浸かっていた10年前と、社会に出て幾度となく挫折を経験するうちに下流層の最果ての地でジタバタしている今とでは、、、大した違いはなかった(笑)。。。

“気だるい平和”“途方もない日常”といった、モノがあふれかえり豊かすぎる社会が陥る目的意識を失った閉塞感が自らの実感としてなんとなく分かるようになってきた今日この頃だけど、そういう社会的バックボーンの時代的要請とエヴァがシンクロしているとまでは理解できず・・・。

ようするに今見てもよう分からんってこと。

“世界の命運”をたった14歳の肩に託し背負わせるにはあまりにもその肩はか弱すぎるという視点は面白いのだが、守らなければならない肝心の“世界”が描かれていない、またそこから派生する社会や大人の内面に対する想像力が決定的に欠如していると言わざるを得ないってことは今回見てより強く再確認したというかんじ。

その点で好対照をなすといえるのが、全然さえない高校生ピーター・パーカーが主人公のハリウッド映画「スパイダーマン」シリーズだと思うんだけど、これほど人間臭い主人公キャラもいないというくらい等身大のヒーロー像を提示してくれた。

一方、エヴァはサブキャラに至るまで全員何らかのトラウマやコンプレックスを抱え、三人称の世界とつながろうとせずに自己の存在理由をただただ自問自答しつづけ、決定的に自分自身が嫌いという病的なまでのナルシスティックなヒーロー像を描いてしまった。

しかも、ピーター・パーカーが苦悩と葛藤を経てヒーローとしての孤独を受け入れそこから自立・解放へと向かっていくのに対し、シンジの方は逆に苦悩から絶望へと足を踏み入れてしまい、あげくの果てにTVアニメ版では自閉症の極致で終わるという空しさだけが残る結末となってしまった。

一方、劇場版ではラストで、「やっぱり自分の殻に閉じこもって逃げていてはダメで他者としっかりと向き合うしかない」と、アスカの首を絞めながらとってつけたように言う。

それ自体、薄気味の悪いものだったが、そこに至るTVアニメ前半のあっけらかんとしたスタイルから監督の青くさいマスターベーションへと変容していくプロセスもまさに「気持ち悪い!」としか言いようのないものだった。

終わってみれば、生理的にダメの一言。。。

なんだろ、美味そうなお菓子だなと思って口に入れたら、ミルクリキュールの洋酒が入っていてお口に合わないといったかんじだろうか。

とかなんとかいって「ヱヴァンゲリオン新劇場版」も怖いもの見たさで見ちゃうんだろうけど・・・。

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

Gam0810060714000p1 声の出演:緒方恵美、三石琴乃、山口由里子、林原めぐみ、立木文彦

総監督・脚本:庵野秀明

監督:摩砂雪、鶴巻和哉

(2007年・日本・98分)CS

 

内容:2015年、第3新東京市。内向的な14歳の少年・碇シンジは、3年ぶりに父・碇ゲンドウと再会する。彼はそこで、極秘裏に開発された汎用人型決戦兵器“人造人間ヱヴァンゲリオン”初号機を見せられ、謎の敵“使徒”との戦いを強要される。最初は反発するシンジだったが、代わりに乗務することになった少女・綾波レイの重傷を目の当たりにして、自ら出撃を決意する・・・。

評価★★★/65点

エヴァにそんな思い入れもない自分からすると、これで何回目の劇場版やねん!よう飽きないなぁ、というかキモイよこのオッサンww、、と思っちゃって、またREBUILDだとかわけの分からん看板をつけやがって、、、、

、、と見る前からバカにしてた本作だったけど、いざフタを開けてみたら、キモイ臭は消えてて、あれっ?意外にイケちゃうくち?と感じてしまうほど見やすいというか、とっつきやすい作品になっていて個人的には好印象。

まぁ、TV版の一話~六話までを誰が見ても分かるようにスタンダードに手堅くまとめたといえばそれまでだけど、TV版の映像を丹念に精査修正し、強化したというだけあって、かなりクオリティの高い映像になっていて、いやでも見入ってしまうほどの見応え感はあったように思う。

人物については、TV版でキモチ悪いくらいの内面描写をさんざん見せつけられてきたので、はっきりいってどうでもいいんだけど(笑)、古臭さや懐かしさよりも全体的に新鮮なかんじで見れたのは、これもまた意外だったかも。

ここらへんは、やはりエヴァや使徒のデザインなど細かな部分がリファインされ、メカ重視というロボットアニメ本来の立ち位置に戻って足を着いているのが大きいのだと思うけど、これが中編“破”、後編“急”“?”でどうブレブレに揺れて壊されていくのか気がかりではあるわな。

怖いもの見たさで行くっきゃない!?ゲロ吐くかもしれないけど・・・(笑)。。

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

Img_0声の出演:緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、坂本真綾、三石琴乃、山寺宏一

総監督・脚本:庵野秀明

監督:摩砂雪、鶴巻和哉

(2009年・日本・108分)DVD

 

内容:第3使徒が北極に出現。海外のパイロット、マリ・イラストリアスのエヴァ5号機が迎え撃つ。一方、日本では第7使徒が出現するも、ヨーロッパから帰還したアスカのエヴァ2号機が鮮やかに殲滅。そしてアスカはシンジの中学校に転入し、ミサトのマンションの新たな同居人になる。その後何かとギクシャクするシンジ、レイ、アスカだったが、第8使徒との戦いや学園生活を通して打ち解けていき、チームワーク育成のために骨を折っていたミサトも安堵するのだが・・・。

評価★★★★/75点

前作「序」が旧テレビアニメシリーズをほぼ踏襲した総集編みたいな作りになっていたので、今作もそのように見始めたらオープニングから新キャラが出てきて目が点。その後も旧シリーズとは真逆のベクトルのほとんど別物といっていい内容になっていて嬉しい驚きだった。

その真逆のベクトルとは、鬱々な旧シリーズとは正反対のポカポカ陽気な良い意味でポジティブな手触りのする作品になっていたことで、嫌悪感のない垢抜けた作風がかなり新鮮に目に映った。

つまり“拒絶”と“孤独”が新機軸だった旧シリーズと比べると、今作は“肯定”と“絆”というベクトルになっていて、まぁごくごく普通のアニメになったがゆえの見やすさということもできるけど、ナヨナヨしていない能動的で健康的なシンジも、シンジの差し出した味噌汁を飲むほど社交的になった綾波レイも、色気づくアスカも、旧シリーズの病的な気持ち悪さが印象にある自分としては、あ~なんだか君たち仲良く元気になって良かったねぇと嬉しくなってしまったし。

それゆえ、旧シリーズで使徒に侵食され暴走するエヴァ3号機をパイロットの鈴原トウジもろともシンジの初号機が打ち砕くプロットで、3号機パイロットがアスカに変更されているのも感情移入度が強い分かなり衝撃的で、そこらへんも上手く作ってるなぁと感心した。

あとは、使徒やメカの造形、エヴァの機動性など絵のクオリティがとにかく高くて、2号機の登場シーンなんて垂涎ものだったし、総じて全面的にアグリー(肯定)できる作品になっていたと思う。

ま、旧シリーズあってこその今作という点はかなり大きいと思うけども。良い意味で裏切られたな。やれば出来るんじゃん庵野さんww

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年・日本・95分)DVD

 総監督・脚本:庵野秀明

 監督:摩砂雪、前田真宏、鶴巻和哉

 声の出演:緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、坂本真綾、三石琴乃、石田彰

 内容:第10使徒に取り込まれた綾波レイを初号機で救出してから14年後。ミサトらが結成した反ネルフ組織“ヴィレ”の艦艇で目覚めたシンジだったが、ニア・サードインパクトを引き起こした張本人として危険人物扱いされ、エヴァに乗ることも禁止される。そんな中、ネルフのエヴァMark09がシンジを連れ戻そうと急襲。シンジはそのエヴァに導かれるようにネルフ本部へ向かう。そして父ゲンドウの紹介で出会った謎の少年・渚カヲルと親しくなるが・・・。

評価★★☆/50点

「序」でヌクヌクし「破」でポカポカし「Q」でグツグツしと思いきや、カッチコチってなんでやねん!

どこまでいっても分かり合えない、やっぱりエヴァはエヴァだった(笑)。

生きてるアスカ?葛城艦長?あれから14年?反ネルフ組織ヴィレ?シンジの母親の名前が碇ユイじゃなくて綾波ユイ?カシウスの槍?ニアサードインパクト?アダムス?L結界密度?

一切説明無し!

なんだろ、ニンゲン観察モニタリングで全く想定していない別ものバージョンを見せて、お口ポカンな観客をあざ笑う企画みたいな、、って誰が得するんだコレ。。見る側をほったらかして突っ走る。こんな映画見たことないという意味では金字塔だわ。

庵野にこそ暴走しないように首輪爆弾着けるべきじゃないのかw

P.S.「巨神兵東京に現る」は良かった。CG無しであそこまで細密かつド迫力の映像を見せられてかなりテンション上がった。それゆえに本編のQには文字通りお口ポカン状態になってしまったが・・。

2018年7月 6日 (金)

夢のシネマパラダイス48番シアター:スラムドッグ$ミリオネア

スラムドッグ$ミリオネア

20090419093644出演:デヴ・パテル、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント、アニル・カブール

監督:ダニー・ボイル

(2008年・英/米・120分)WOWOW

評価★★★★☆/85点

内容:インドのムンバイ出身の青年ジャマールは、人気TV番組「クイズ・ミリオネア」に出演、次々に難問をクリアし1千万ルピーを獲得!ところが、最終問題を残した1日目の収録後、ジャマールはイカサマを疑われ警察に逮捕されてしまう。スラム育ちでまともに教育を受けたことがないジャマールがクイズを勝ち抜けられるわけがないとする警察に対し、彼はその過酷な過去を語り始める・・・。

“この映画を見てヨカッタ!ファイナル・アンサー!”

「クイズ・ミリオネア」で次々に問題を正答させていくジャマール、インチキだと疑われ警察に尋問されるジャマール、過酷な少年時代を生き抜いてきたジャマールの生い立ち。

この3つの視点をモンタージュやフラッシュバックを巧みに用いながら交差させていく今回の映画、そのリズム感と疾走感たるや特筆すべきものがあるのだけど、なにより過酷な中にも横溢する生命力と希望の光に満ちているのがイイ。

例えば、ジャマールがスターのサイン欲しさに肥溜めに飛び込むシーンがあったけど、ダニー・ボイルの名を一躍高めた「トレインスポッティング」(1996)で便器の中に落ちた座薬を取ろうと頭から飛び込むヤク中の主人公の倦怠感と閉塞感とは好対照をなしている。

そして、そのあふれんばかりのバイタリティが現代インドを象徴するエネルギーと結びつき、ジャマールのラティカへの一途な想いに集約されていくプロットは、魅力的なサウンドスケープの増幅効果もあいまって見る者の目をとらえて離さない。

ラティカが好みだったのもプラスに働いたしww

混沌と興奮のるつぼの日常のすぐそばにある貧困と闇、その負のベクトルをひっくり返さんばかりの躍動感と高揚感にあふれたこの映画は、今のインドでなければ作りようがないものなのかもしれない。

D:幸せな映画だった!

ファイナルアンサー!!

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LION/ライオン~25年目のただいま~

Lionderlangewegnachhause出演:デヴ・パテル、サニー・パワール、ルーニー・マーラ、デヴィッド・ウェナム、ニコール・キッドマン

監督:ガース・デイヴィス

(2016年・オーストラリア・119分)WOWOW

内容:優しい養父母のもと、オーストラリアで幸せに暮らす青年サルーには悲しい過去があった。インドの田舎町に生まれた彼は、5歳の時に迷子になったことから家族と生き別れ、現在の養父母に引き取られていた。そして、成人したサルーはインドの本当の家族への想いを募らせるようになり、わずかな記憶を頼りにグーグルアースで故郷の家を探し出すことにする・・・。

評価★★★/65点

運命のいたずらで迷子になり、あげくの果てにストリートチルドレンとして孤児院に送られてしまう5歳の少年サルーのアンビリバボーな境遇を描く前半と、オーストラリア人夫婦の養子となり何不自由ない暮らしを送る大学生サルーの自分探しの旅に至るまでの複雑な心の内を描く後半に分かれる本作。

実話ベースの映画化ゆえの難しさか、母を訪ねて三千里みたいな自分の足と労力でっていう部分が後半パタリとなくなって、映画的かつ抒情的だった前半と比べると後半は置きに行った感が強くてダレた点がいまいち。

まぁ、エンドクレジットで本人映像を流されるとグゥの音も出なくなってしまったし、さらなる事実に呆然としてしまったけど・・😢

あとは、やっぱり前半の子役が印象的で白眉。青年になったサルーを演じたデヴ・パテルも考えてみれば「スラムドッグミリオネア」から随分とたくましく成長しちゃったなぁw

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クイズ・ショウ(1994年・アメリカ・132分)NHK-BS

 監督:ロバート・レッドフォード

 出演:ジョン・タトゥーロ、ロブ・モロー、レイフ・ファインズ、ポール・スコフィールド、ハンク・アザリア

 内容:1956年にスタートしたクイズ番組「21」は、無敵を誇るチャンピオンのハービーが連勝を続けながら、社会現象になるほどの人気を得ていた。しかし、次第に視聴率が伸び悩み始め、スポンサーはもっと見栄えのするチャンピオンに変更しろと要求する。プロデューサーのダンは、オーディションを受けに来たイケメンのチャーリーに白羽の矢を立て、八百長を仕組むのだが・・・。

評価★★★/60点

実話としての実直さがそのままレッドフォードの監督としての資質ともろにかぶっていて、遊び心のないえらくクソ真面目な映画になっちゃったかんじ。

ジョン・タトゥーロをはじめキャスティングは絶妙だっただけに、もうちょっとシニカルさやブラックな毒気をまぶしてもよかった気がするんだけど。。

まぁ、今の感覚でいうとたかがクイズ番組でここまでなる!?ていうかんじだけどね

でも、当時のテレビ番組は生放送が主体だったんだろうし、その中で一躍スターの座に上りつめるというのは文字通りアメリカンドリームだったのだろうから、それがヤラセで作られた虚像だったということになれば一大スキャンダルになるのは当然のことだったのかもね。

その上でこの映画が興味深かったのは、事のてん末においてテレビ局やスポンサーは全くの無傷で、スターに祭り上げられた出演者個人だけが矢面に立たされ粛清されたことだ。

それは取りも直さず視聴者こそがスターを求め、またスターを引きずり下ろすことを欲し、それに加担したわけで、メディアに流されやすい大衆心理の残酷さを物語っていたと思う。

そういう意味では今も昔もテレビってのは本質的に何ら進化していないんだねぇ・・w

2018年5月 3日 (木)

夢のシネマパラダイス179番シアター:スーサイド・スクワッド

スーサイド・スクワッド

001出演:ウィル・スミス、ジャレッド・レト、マーゴット・ロビー、ジョエル・キナマン、ヴィオラ・デイヴィス、ジェイ・コートニー

監督・脚本:デヴィッド・エアー

(2016年・アメリカ・123分)WOWOW

内容:「バットマンvsスーパーマン」の後、スーパーマンがいなくなった世界は悪党が跋扈し危機的状況にあった。そこで政府は悪には悪をの最終手段をとることに。さっそく、百発百中の凄腕スナイパー・デッドショットや、ジョーカーに恋するクレイジー・ガールのハーレイ・クインら刑務所に服役している犯罪者が減刑と引き換えに集められた。逃亡したらすぐに首が爆発するスーサイド・スクワッド(極悪特攻隊)として・・・。

評価★★★/65点

「マン・オブ・スティール」で正義を完遂したスーパーマン。しかしその代償として破壊のかぎりを尽くしてしまったことに対する責任論とともに、国家権力のあずかり知らぬところで好き勝手に行動して結果損害を与えるスーパーマンこそ危険な存在なのではないかという脅威論が持ち上がる。

そんな中、「バットマンvsスーパーマン」でスーパーマンのような超人=メタヒューマンが他にも存在することが判明、悪魔のようなメタヒューマンに攻撃でもされたら大変だということで、収監されている極悪人どもを秘密裏に集めて特殊部隊を結成する。

「ダークナイト」(2008)から正義と悪は表裏一体というテーマがトレンドとなった中で、10年後に悪には悪をもって制すという発想に行き着いたのは自然な流れだとは思う。

ただ、逃げたり逆らったりしないようにどころか隊長が死んでも爆発する爆弾を首に埋め込まれた悪党たちのミッション・インポッシブル感はあるんだけど、こちら側が飛べない生身の人間主体なのに、向かい合う敵が6千年以上生きている古代の魔女なので、やはり戦闘値・能力の歴然とした差が映像面にも表れていてさほどの面白さは感じられなかった。

で、この差を埋めるには悪党キャラとしてのブッ飛び感しかなかったと思うんだけど、意外にみんなジョークも通じないような真面目キャラばかりで、その点をクリアしていたのはハーレイ・クインだけだったかな。

まぁ、チームの一体感や協調性はほぼ無しだったので、逆に今後の展開は気になるかも。

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ハンコック

B0041576_23375359 出演:ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン、エディ・マーサン、ジェイ・ヘッド

監督:ピーター・バーグ

(2008年・アメリカ・92分)WOWOW

評価★★★☆/70点

 

内容:ロスに暮らす酒びたりの男ハンコックは、実は不死身のスーパーヒーロー。しかし、事件解決のたびに周囲へ大損害を与えたり粗野な言動がもとで市民からは反感を買いまくっていた。そんなある日、PR会社に勤めるレイは踏切内で車が立ち往生していたところをハンコックに助けられる。彼はハンコックに正義のヒーローとしてのイメージアップ戦略を提案するが・・・。

“ダメ超人ハンコック”

市民にうとまれ、バカにされ、ホームレス同然の生活をする飲んだくれハンコック、、これって公園で寂しく暮らしていた牛丼漬けの初期の頃のキン肉マンそのものじゃんww

しかも最大の敵はケツの穴に頭を突っ込まれたバカ囚人2人組というなんともチンケなレベルのもので、これって完全にキン骨マン&イワオじゃんww、、毛色としては完全にシュールなコメディ。

しかし不死身の超人=社会不適合者の社会復帰プロジェクトというネタはディスコミュニケーション時代の今のご時世に合っていて、深刻なウィル・スミスの表情もあいまって感情移入できて意外に楽しめてしまった。

が、これではヒーローものとしてあまりにも華も見せ場もないと思ったのか、ハンコックとメアリー(シャーリーズ・セロン)は実は夫婦でお互い近づくとパワーを失ってしまうという突拍子もない設定を何の前触れもなく繰り出してきて、映画の毛色が一気に様変わりしてしまった。

まるで前後半で2人の監督を使ってるような脈絡の無さなのだけど、シャーリーズ・セロンほどのスター女優が脇役の奥さんに収まるはずないよな、とは感じてたのよね。でも、もうちょっとあからさまな伏線があっても良かったんじゃないかと思うんだけど・・。

シリーズ化するという前提でいうならば、今回の映画はプロローグというかんじなのかな。

ていうかこの地味さを続編でうさ晴らししてもらわないと許さへんよ

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スーパーマン リターンズ

20060827_240267 出演:ブランドン・ラウス、ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ、マーロン・ブランド

監督:ブライアン・シンガー

(2006年・アメリカ・154分)盛岡フォーラム

評価★★★☆/70点

内容:スーパーマンが謎の失踪を遂げてから5年。スーパーマン不在となったメトロポリスでは犯罪が急増、加えて宿敵レックス・ルーサーも出所してしまう。そんな中、地球に戻ってきたスーパーマン。しかし、久々に再会したかつての恋人ロイス・レインは、彼との思い出を振り切り、スーパーマン不要論の記事でピュリツァー賞を受賞するまでに至っていた・・・。前シリーズの2作目「スーパーマン2冒険編」の後を引き継ぎ、5年ぶりに地球に戻ってきたスーパーマンの活躍を描く。

“意外にもダサくなかった掛け値なしの王道路線”

スーパーマンと聞くと自分なんかはオンタイムで見れてない世代なので、ダサいユーモアとショボイSFXの映画という印象がけっこうあったりなんかして、やっぱアメコミ系といえばオンタイムで最初に見たバットマンでしょ、となるわけで。。

だから今回の約20年ぶりの復活劇にはさほどの期待をかけていたわけではなかったのだけど、フタを開けてみたら意外にも楽しめてしまった。

まぁ、昨今のアメコミ系ヒーローが判で押したように苦悩と葛藤を最大の敵とし、正義とは何かという疑問をつきつけられる悩めるヒーロー(=地に足のついた人間)ばかりだったので、アメリカンソウルにあふれた保守的ともいえる王道路線のヒーロー像(=天空から見下ろす神)が逆に新鮮に映ったかんじ。

最新の映像技術も決して大仰にではなく、ほどよいサジ加減でドラマと絡んでいてよかったし。

また、分かりやすい勧善懲悪もののバリバリ王道路線だと、下手すると単調になりがちなんだけども、そこを2時間半の長尺にわたってダレることなく見せ切ったブライアン・シンガーはやっぱスゴイと思う。普通だったら100分くらいにまとめられそうなところを。

X-MENファイナルディシジョンを蹴ってまで本作を監督しただけのことはあると思った。ほんとにスーパーマンにゾッコンなんだろうね(笑)。

ロイス・レインのピュリツァー賞をとった記事“なぜ世界はスーパーマンを必要としないのか”というスーパーマン不要論をもっと掘り下げるのかと思いきや、結局ただ単にヤリ逃げされた鋼鉄の男に対するうっぷん晴らしにしかすぎなかったところとか、ロイス&ジュニアとスーパーマンとの関係の中途半端さなど気になるツッコミどころもあったのだけど、それらは次回作の伏線とみればいいのかな。

でも、あと15年後くらいに子供がこれ見たらダッセェとかって言うのかも(笑)。。

いろんな映画にいえることだけど、次の世代に引き継がれていくような映画を作ってもらいたいもんだと切に願います。

2018年5月 2日 (水)

夢のシネマパラダイス562番シアター:家族はつらいよ

家族はつらいよ

E27d8733出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン

監督・脚本:山田洋次

(2016年・松竹・108分)WOWOW

内容:東京郊外に暮らす平田一家。ゴルフと酒をこよなく愛する家主の周造は、定年後の隠居生活を謳歌する日々。そんなある夜、妻・富子の誕生日に気付いて、何でもプレゼントするぞーと言って妻が出してきたのはなんと離婚届!サインとハンコが欲しいのだという。思いもよらぬ事態に同居する長男夫婦と近所に暮らす長女夫婦も集まって家族会議が開かれるが・・・。

評価★★★★/80点

現代版東京物語を松竹伝統の人情ものとしてトレースした「東京家族」にえらく心を打たれた自分。まさかその4年後に全く同じキャストでこれまた松竹伝統のホームコメディに仕上げてくるとは思いもよらなかった。

しかし、「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」で培われた昭和印の喜劇調を久々に味わえたのはどこか温かい懐かしさに包まれたし、家族みんなで家の居間で見たんだけど、楽しい時間を共有できてよかった。

さすが安定の山田節といったところだけど、実際は細部まで緻密に作り込まれた隙のない職人芸ということができ、それを全く感じさせないありふれた日常風景として見せるところが山田洋次のなせる技なんだろうね。

また、それをしっかり咀嚼する役者陣も完璧そのもの。

性格を含め「東京家族」と瓜二つのキャラクター設定というのも、混同する違和感よりも既知の安心感の方が勝って映画の世界にすんなり入っていくことができたし。

特に、「東京家族」では大都会東京で行き所のない寄る辺なさに無愛想一辺倒の縮こまった型にはめられていた父親役の橋爪功が、今回は水を得た魚のようにやりたい放題で最高に面白かったし、あとはやはり何と言っても蒼井優♪

毎回言ってるかもしれないけど、理想の結婚相手は蒼井優ちゃんです

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歩いても歩いても

N_609bcdr2214rpl 出演:阿部寛、夏川結衣、YOU、高橋和也、田中祥平、樹木希林、原田芳雄

監督・脚本:是枝裕和

(2007年・日本・114分)CS

内容:夏のある日。子連れのゆかり(夏川結衣)と再婚した良多(阿部寛)は、15年前に亡くなった兄の命日に合わせて東京近郊の実家を訪れる。が、開業医を引退した父(原田芳雄)とはもともと反りが合わなかった上、失業中の身の上でもあり気が重い帰郷だった。ひと足先に、姉(YOU)一家も到着していて、久しぶりに家族全員が集まった。。

評価★★★★/80点

「男はつらいよ寅次郎相合い傘」(1975)にこんなシーンがある。

めちゃ美味メロンを人数分に切って食べようとしたら、ちょうどそこに寅さんが商売から帰ってくるんだけど、妹のさくらがうっかり寅さんの分を勘定に入れ忘れてしまい、いじけた寅さんがとらやの面々と大ゲンカになるという爆笑シーンだ。

たかが一片のメロンごときでしつこすぎるくらいムキになる寅さんの度量の小ささが笑いを生み出すわけだけど、今回の映画も男連中の他人から見れば笑ってしまうような「小っちぇ~」ことにこだわる様がリアルに描かれていてまことに面白い。

しかし、この面白さの裏には思わず背筋がゾクゾクしてしまうような怨念と、思わず卒倒してしまいそうな毒があるのがミソ。

和気あいあいとした空間に漂う様々な恨みつらみや口に出せない秘密、その中で料理を手順を踏んで作るように消化していく夏の一日、そんなお盆に3世代が集まる家族の風景、そしてそこに刻まれる何十年にも渡る家族の歴史劇が、建前9:最強本音爆弾1のセリフ劇で見事にあぶり出されていく今回の映画。

夫と妻、父と息子、母と娘、嫁と姑、祖父と孫、従兄弟、、、ズケズケと何でも言い合える関係もあれば、遠慮から奥歯に物がはさまったような言い方しかできないぎこちない関係もある・・・。その中でこの映画はそれぞれの関係性における微妙な間や会話の妙が絶妙で恐ろしいくらいにリアルなのだ。

まるで録音した自分の声を聴いた時のような居心地の悪さ、と同時に懐かしい思い出を思い起こさせる居心地の良さをも喚起させてくれる世界がそこには広がっている。

なんとも不思議な感覚を味わわせてくれる映画だ。

例えば自分なんかは、ゆかり(夏川結衣)の連れ子であるあつし(田中祥平)に妙にシンクロしてしまって(笑)。。

それはおそらく小学校時代に転校が多かったこととかも関係してると思うんだけど、彼が初めて敷居をまたいだ家で感じる居心地の悪さと緊張感が痛いくらいに伝わってきて見てて可哀想になってくる一方、彼がしたたかに立ち回る様もリアルに実感できて、コイツ大人やなぁと感心してしまった。

普段はあまりにもありきたりすぎて立ち止まって考えることがない家族の風景。温かくて痛くて優しくて哀しくてウザッたくて、それでも無性に帰りたくなって、、、そんな家族の愛おしい情景。

一年に一日、この映画を日本人全員が見る日ってのを作ってもいいんじゃなかろうか(笑)。

それにしても樹木希林、上手すぎ。そしてYOU、そのまんまww。原田芳雄は鈴木清順と見間違えちゃったけど・・。

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メゾン・ド・ヒミコ

Himiko 出演:オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯、西島秀俊、歌澤寅右衛門

監督:犬童一心

(2005年・日本・131分)WOWOW

評価★★☆/50点

 

内容:ある日、24歳の沙織(柴咲コウ)のもとを岸本(オダジョー)という男性が訪ねてくる。彼は、沙織と母親を捨ててゲイ・卑弥呼として生きていく道を選んだ父親(田中泯)の恋人だった。岸本は、ゲイのための老人ホーム“メゾン・ド・ヒミコ”を建てて運営していた彼がガンになり余命いくばくもないことを沙織に伝え、ホームを手伝わないかと誘うのだが・・・。

“「たそがれ清兵衛」の田中泯の変身っぷりには脱帽・・・。”

「ハッシュ!」(2001)のときもそうだったけど、このての性的マイノリティを扱った映画には深入りするのを避けちゃう傾向があって、今回もやっぱダメだった・・・。

ゲイ老人たちのファッションにもドン引きだったし、ダンスホールでのハイテンションぶりもムリ

「ブスの処女と、性病持ちのオカマどっちがいい?ギャハハハ」、、、グーでぶん殴りたくなったんですけど、あのジジイ(笑)。

というかんじで、立ち入ることができない異界ワールドだったのだけど、ただ1つ思ったのは、このての人々ほど愛するということへの純粋さを持ち合わせている人種はいないだろうなということ。そこの点はちょっと羨ましさを抱いてしまったかも。

他人はおろか社会からも拒絶されてしまうという絶対的な孤独を身をもって知っているからこそ生み出される想いなんだろうね。そしてそこを突き抜けちゃうと、ああいう開放的な世界の住人になることができる、のかなw

その中で、彼らが作った小さな共同体にまぎれ込んでくるノンケの沙織の孤独と憂鬱の方が際立って見えてくるのはうまいつくりになっているなとは思う。

そういう点では、この映画は沙織の傷ついた人生の再生物語という側面の方が強いわけで、ゲイ映画ではないんだよね。彼らの人物像の内面に映画自体が深入りしてないし。ま、それでも生理的にちょっとダメだったけど・・・。

あとはまぁ、なんといっても柴咲コウの化粧っ気のない地味ぃ~なコンビニ店員姿だな。ちょっと引いたわ(笑)。。

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酒井家のしあわせ(2006年・日本・102分)NHK-BS

 監督・脚本:呉美保

 出演:森田直幸、ユースケ・サンタマリア、友近、鍋本凪々美、谷村美月、笑福亭仁鶴

 内容:三重県のとある田舎町。一見ごく普通の家族にみえる酒井家だったが、14歳の長男・次雄(森田直幸)は最近家庭にうんざりしていた。母・照美(友近)は再婚、次雄は事故死した前夫の連れ子、下の娘・光(鍋本凪々美)は母と義父・正和(ユースケ)との間にできた父親違いの妹という複雑な家庭環境にあったからだ。そんなある日、照美とケンカした正和が突然、好きな男ができたとカミングアウトして家を出て行ってしまう・・・。

評価★★★★/75点

“だ、ダマされた・・・。”

家族の何気ない日常を切り取っていく視点が独特の間の中でユーモアたっぷりに描かれていて、終始楽しく見ることができた。

例えば、家族で外出する時に、オカンが早くしなさいと急かしているくせに、当の本人が1番遅く家を出てくるシーンも、車の中でジィーッと待っている夫と子供たちの姿がたまらなくおかしかったり。どこの家のオカンも同じなんだな(笑)。

しかしこの監督、コミカルな間を作って、「あ、それってあるある」というエピソードをテンポよく見せていく演出の手腕はかなりこなれているなという印象。と思ったら新人さんなのね、この監督。。

あとこの映画で外せないのが、配役の妙。

テレビでのひとりコントにそのまんま出てきてもおかしくないような格好の友近が、決して類型的ではない妙にリアルなオカン像を演じていて新鮮だったし、関西弁をしゃべれないユースケ・サンタマリアの不器用なオトン役がものすごくしっくりきていた。

そして極めつけが仁鶴wwユースケが笑い転げちゃうのも無理ないわ。

とにかくほんわか温かいぬくもりが残るかなりしあわせな映画だったと思う。これからが楽しみな若手監督さんだね。

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アルゼンチンババア

Big 出演:役所広司、堀北真希、鈴木京香、森下愛子、手塚理美、岸辺一徳

監督:長尾直樹

(2007年・日本・112分)盛岡フォーラム

評価★★★/60点

 

内容:高校生のみつこは、両親との3人暮らしだったが、誰よりも活気のあった母親が病気で亡くなってしまう。そしてその直後、墓石彫り職人の父親が行方をくらましてしまうのだった。それから半年後、父親はどうやら町外れの草原に建つ古ぼけた洋館にいるらしいことが判明する。しかし、その屋敷にはアルゼンチンババアと呼ばれている謎の女が住んでいるらしい。みつこは勇気を出して訪ねてみるが・・・。

“あのハチミツ、、二缶ほど譲ってくれませんか(笑)”

アルゼンチンババア特製の媚薬ハチミツが欲しいってことと、堀北真希のムチウチ症姿が見れたってことくらいしか得るものがなかったな(笑)。

でも、フツー原作ものの映画って、映画が面白くなくても原作は読んでみたいなという場合が多いのだけど、今回は正直全く読みたいと思わなかったんだよね。そういう意味では逆に不思議な映画だったともいえるけど・・・。

登場人物の行動や会話がことごとく意味不明で伝わってこなくて、一人蚊帳の外で見続けなければならない、なんとも題名に相応しいわけの分かんない遠い世界の映画だったけど、その中で孤軍奮闘した堀北真希ちゃんを見るぶんには十二分に元が取れるのもまたたしかで。。やっぱ不思議な映画。

でも、、ババアに鈴木京香をあてるってどうなんだろという根本的なところも気になる。室井滋とか夏木マリはたまたYOU、久本雅美あたりだろフツー。あるいは大竹しのぶ、浅野温子あたり?

ちょっと鈴木京香は役違いのような気が。まぁ、「ゼブラーマン」でコスプレ好きになって一皮剥けた女優さんだからババアもやってみたかったのかな

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サバイバルファミリー

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出演:小日向文世、深津絵里、泉澤祐希、葵わかな、時任三郎、藤原紀香、志尊淳、柄本明、渡辺えり、大地康雄

監督・脚本:矢口史靖

(2017年・東宝・117分)WOWOW

内容:東京に住む鈴木家は、仕事一筋の父親、魚をおろせない母親、大学で女のコしか頭にない息子、スマホが漬けのJK娘の4人家族。そんなある日、電気・ガス・水道・車・スマホなど全てのライフラインが止まってしまう異常事態が発生する。復旧する見込みのないまま1週間が経ち、一家は鹿児島の実家に向かうことにするが・・・。

評価★★★☆/70点 

東日本大震災当時、盛岡に住んでいた自分は停電2日、断水1日を経験(ガスは使えた)。小雪舞う中スーパーの長蛇の列に震えながら並んだことを今でも覚えている。

まぁ、三陸の被災者に比べればグチることさえ憚られるレベルの実体験だったけど、その視点が入っちゃうとどうしてもリアリティの欠如は気になってしまうところ。

だって水&食料がどんどん枯渇していく中で2ヶ月かけて東京→岡山を自転車で移動するというのはインパール作戦なみに無理がある。ていうか2年半もライフライン寸断されたら食料自給率の低い日本は壊滅だろ😵

そういう意味では、ウォーキングデッドのような文字通り殺伐とした人間同士のサバイバル劇になる素材なんだけど、コメディタッチの矢口ワールドのフィルターにかかるとサバイバルサスペンス<ハートウォーミングコメディになってしまうのをどう見るか。

個人的には家族の絆の再生を描くロードムービーという視点は矢口監督らしくて面白かったし、ほとんど劇伴なしでも見せきる映像面はさすが。

長野あたりで観念して田舎の自給自足生活をメインに据えるという手もあったと思うけど、それだと前作ウッジョブと似たかんじになっちゃうかw

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リトル・ミス・サンシャイン

Lms 出演:グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキン、ポール・ダノ、アビゲイル・ブレスリン

監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス

(2006年・アメリカ・100分)仙台フォーラム

評価★★★★★/95点

 

内容:アリゾナ州ニューメキシコに住むフーヴァー家は、家族それぞれに問題を抱え崩壊寸前。父は独自の成功論をまとめた自著の売り込みに必死、長男は一言も発さず、祖父はヤク中、伯父はゲイの恋人にフラれて自殺未遂と、まとめ役の母は一苦労。そんなある日、7歳の娘オリーヴがカリフォルニアで開かれる美少女コンテストの本選に進むことになる。そこで一家は、オンボロのミニバスに家族全員で乗り込み、カリフォルニア目指して出発するのだが・・・。

“オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)って誰かに似てるよねぇ・・・”

ってあれよあれ、フィギュアスケートの安藤美姫だよ。あの出っ腹はさておき、精神年齢もほぼ変わらんだろうし・・(笑)。

というのはさておき、この映画、オイラ的2007ベストムービーにまず間違いなく選ばれるであろう愛すべき一品になってしまいました。

とにもかくにも笑いと涙が同時に押し寄せてくる映画体験というのはそうざらにあることではないので、そういう意味でも心に残る一本となりますた。

しっかし、途中から笑いのドツボにハマッちゃって笑って泣いてんだか感動して泣いてんだか最後は分からなくなっちゃったな・・・。

色覚異常で空を飛べないと分かり、野っ原で完全ふてくされ状態になった15歳の兄ドウェーンを無言で肩に寄り添いながら慰める大人な7歳オリーヴ。

笑いの導火線に火が付いたのはこの次のシーン。ドウェーンが「分かった。」と気を取り直して車に戻るときに土手を登るわけだけど、オリーヴちゃんあの体型もあって登れないんだ(笑)。そこをドウェーンが抱っこして持ち上げて登る何気ないシーンがなんとも可笑しみのあるオチで、シリアスな感傷モードに入る一歩手前で何気なく笑いに転回させる絶妙さに完全に引き込まれてしまった。

クラクションが鳴り止まなくなったミニバスを警官に停車させられ、トランクに積んであるシーツにくるまれたジイちゃんの遺体が見つかってしまうのかという絶体絶命の状況で、エロ本がドサッと落ちてきて、それを見つけた警官がニヤリとするオチも最高で、何も知らない妻シェリル(トニ・コレット)の不安そうな表情とエロ本を3冊(うち1冊はゲイもの)も買い込んでいたフランク(スティーヴ・カレル)へのお前はなんて奴だ!というリチャード(グレッグ・キニア)の視線とフランクのえっ何?オレ何かした?という表情がこれまた何気なく描かれていて、逃げ場のないバスのミニ空間の中に凝縮される人間模様が面白おかしく自然に描かれてるんだよね。

この自然なオーソドックスすぎる演出も良くて、例えばギアのブッ壊れたミニバスを家族みんなで押して発進させて飛び乗るこの映画を象徴するシーンや、ラストの珍妙なダンスを家族みんなで踊るシーンだとか、とにかく映画的な動きというのが終始物語をしっかりと牽引していく。

しっかり映画しちゃってるんだよねこれ。こういう映画見ると嬉しくなっちゃう。

才能が少々欠けようが負け組と揶揄されようが前に進むしかないんだというメッセージも心にしみわたりました。

イイ映画です。

ちなみにオリーヴのタヌキ腹は、詰め物を入れてるのだそうで、実際のアビゲイルちゃんはフツーの体型らしいですw

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