夢のシネマパラダイス267番シアター:20世紀少年
出演:唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、香川照之、平愛梨、石塚英彦、宇梶剛士、宮迫博之、藤木直人、佐々木蔵之介、ユースケ・サンタマリア、木南晴夏、生瀬勝久、小日向文世、佐野史郎、森山未來、小池栄子、ARATA、片瀬那奈、福田麻由子、竹内都子、津田寛治、古田新太、及川光博、六平直政、光石研、竜雷太、竹中直人、研ナオコ、石橋蓮司、吉行和子、中村嘉葎雄、黒木瞳
20世紀少年-第1章-終わりの始まり(2008年・東宝・142分)2008/09/15・盛岡フォーラム
内容:1969年。小学生のケンヂは、同級生のオッチョ、マルオ、ヨシツネ、モンちゃん、ユキジたちと原っぱに秘密基地を作り遊んでいた。彼らはそこで、20世紀の終わりに人類滅亡を企む悪の組織とそれを阻止しようとする正義の味方が闘うという空想をめぐらせ、それを“よげんの書”に書き記して楽しんでいた。1997年。ケンヂはコンビニを経営しながら、失踪した姉キリコの赤ん坊カンナの面倒を見ていた。しかし、お得意先の一家の謎の失踪、そして同級生ドンキーの突然の訃報とケンヂの周りで異変が起こり始める。そしてその頃、巷では謎の教団を率いる正体不明の教祖“ともだち”が出現。やがて、数々の異変が少年時代の“よげんの書”にそっくりなことに気付いたケンヂだったが・・・。
評価★★★☆/70点
漫画原作が大好きなオイラは、“ともだち”の正体知りたさに納得できるまで何度も読み返して、このブログでも「20世紀少年再読」なるマイ企画まで立ち上げたりなんかして。
で、結局いくら頑張っても納得できる答えは出せなかったもののww、これほどまでにのめり込んで楽しめた漫画は今までなかったなと。
そんな浦沢直樹の描く壮大な物語を三部作で実写映画化すると聞いたときは、ドッシェーーッと仰天するとともに、抑えきれない高揚感に駆られたけど、はたしてホントに実写化できるのかという難しさも十二分に実感できる原作なだけに、一抹の不安も抱いてしまったわけで。
しかし、そんな中で発表された、まるで当て書きしたかのように各キャラクターにそっくりなキャスト陣の顔ぶれを見たときにその不安の大方は払拭された。
石塚英彦のマルオや宮迫博之のケロヨンはもちろんのこと、石橋蓮司の万丈目を見たときには、これはキタぞーー^^ッとうれしい笑いがこみ上げてきてしまい~の、そしていざ鑑賞!
さぁ、その結果は、、、
はいっ!及第点!それ以上でも以下でもないっ!
以上っ!
、、って、これ、最大のホメ言葉だからね(笑)。
まずもって、50年にわたる過去、現在、未来の時間軸が複雑に行き来する緻密なプロットを換骨奪胎して再構築するなんて、はなっから無理に決まってるんだから、原作マンガの完全コピーを目指したという製作姿勢は100%納得できるし、それ以外に作りようがなかっただろうと。
原作のコマを使った絵コンテを用いて、アングルや人物配置など細かいところまで原作通りに撮ろうという徹底ぶりはかなり伝わってきたし、しかもそれがしっかり映画的になっているのはスゴイ。
まぁ、浦沢マンガがモンタージュやカットバックなど映画的な文法を意識的に多用し、もともと映画向きだったのもあると思うけど、それをちゃんとすくい取って映像化した堤幸彦もなかなかのもの。
ちょっとスリム&スマートに整頓されすぎてて、ダイナミズムに欠けるというきらいはあるものの、原作ファンにとっては、完コピというスタンスによる今回の実写化は最も幸せなものになっていると思う。
いや、よく作ったよホントに。
どうやら聞くところによると、マンガとは違う終末になるという話もあるらしいけど、、、せめて映画では納得のいく答えを出してもらいたいものだなぁw
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20世紀少年<第2章>最後の希望(2008年・東宝・139分)2009/02/20・盛岡フォーラム
内容:2000年の血の大みそかから15年、“ともだち”は悪魔のテロリスト、ケンヂ一派から世界を救ったとして崇められていた。一方、姿を消したままのケンヂの姪カンナは、ユキジに育てられていた。問題ばかりを起こすカンナはともだちの洗脳施設<ともだちランド>行きを命じられてしまうが・・・。
評価★★★☆/70点
今回の3部作を見るにあたってのスタンスは第1章のレビューで言ったように、どれだけ完コピできるかという視点。
その点でいえば、ハイテンションの高須(小池栄子)はもとより、仁谷神父(六平直政)やホクロの巡査(佐藤二朗)に至るまで激似していて、もうそれだけで合格点付けていい。
小泉響子(木南晴夏)なんて漫画からそのまま出てきたみたいだし、ケンヂ(唐沢寿明)がバイクに乗って疾走するシーンでのバイクに乗ってる股の開き具合とかw、そういう細かいところまでこだわっていて思わずニンマリしちゃうくらい。
テンポ良くサクサクと進んでいくので、漫画を読んだことがある人しか楽しめない可能性は大だと思うけど、そうじゃない人にはとにかく漫画を読んでくれっ!と言ってあげたい。
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20世紀少年<最終章>ぼくらの旗(2009年・東宝・155分)2009/09/24・盛岡フォーラム
内容:“ともだち”が世界大統領に就任してから2年。世界で殺人ウイルスが蔓延する中、ヨシツネやユキジらはともだち打倒のためレジスタンスを繰り広げていた。一方カンナは、氷の女王一派なる過激派を組織し武装蜂起を計画していた。そんな中、行方不明だったケンヂがついに姿を現す・・・。
評価★★★★/80点
漫画の結末―ともだちは全く記憶の片隅にも残っていないカツマタ君だったというオチ―には、あまりにも呆気にとられてしまい頭を整理するだけでアップアップ状態になってしまったんだけど、映画の方は空中分解という地雷を踏まずにどのように“カツマタ君”を導き出すのか、あるいは別な真犯人を用意するのか、、とにかくどういうオトシマエをつけるのか興味津々で見ることに。。
、、で、結論からいうと、、ヤラレたッ!堤さんアータ、やってくれたゼ!このラストには不覚にも泣きそうになってしまったじゃないか・・・
ともだちはフクベエ→暗殺され死亡→本当のともだちはフクベエの顔に整形したカツマタ君だったという漫画の流れの中でオイラが導き出した推論は、ともだちは最初からカツマタ君で、フクベエの方がカツマタ君の顔に整形したいわば影武者だった、と解釈してみたのだけど、矛盾や疑問点が次々に降って湧いて出てきてなかなか自分の中で納得いく答えが見出せず・・・。
その中で今回の映画は、小学5年生の時にフクベエの方が実際に亡くなっていたというド級の反則技wを繰り出してきて、カツマタ君がフクベエの偽名を使って一人二役を演じていたという新解釈を提示してきた。
これには完全に目からウロコだったわ。フクベエが実在しないというのは自分の発想では到底出てこないシロモノだった・・。
まぁ、かなりの荒技だとは思うんだけど、ストンと納得できてしまう締め方だったし、この新解釈でもう1回漫画を読んだら新たな発見があるかも!?
でも、漫画原作で得体の知れない存在でしかなかったカツマタ君が、神木隆之介くんの神々しい演技力も加味されて一気に悲劇性を帯びた存在として降り立ち、そして救済されるラストにはグッときたなぁ。
このラストで評価が上がるか下がるかだったんだけど、この締め方は完ペキ!このエンドロール後のラスト10分にこの3部作そのものが救済されたといってもいいくらいの出来だったと思う。
下手したら上辺だけの荒唐無稽なオールスター娯楽映画になっていたのを、切ない青春ものに落とし込んだのは上手い。
終り良ければ全て良し!ってことでヨカッタヨカッタ。
そういえば、理科室の水槽の電源を入れ忘れたモンちゃんがケロヨン、コンチ、ドンキーを連れて夜中に学校に行って、そこでドンキーが教室で“ともだち”の首吊りを見てしまうわけだけど、漫画では他にもう一人の人物のシルエットが描かれていて、これが謎だったんだけども、映画では5人出てて、あっ5人だっ!と思いつつそのまま流して見ちゃったんだよね。
あの5人目は映画では誰だったのか・・・。
そういう、あっ!?んっ!?ていうシーンがけっこうあったのでもう1回見なきゃアカンな
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