夢のシネマパラダイス467番シアター:究極サバイバル!
新幹線大爆破
出演:高倉健、宇津井健、千葉真一、山本圭、織田あきら、渡辺文雄、竜雷太、宇都宮雅代
監督・脚本:佐藤純彌
(1975年・東映・153分)DVD
評価★★★★/75点
内容:東京から博多へ向けて走る新幹線「ひかり109号」に爆弾を仕掛けたという脅迫電話が国鉄に入った。その爆弾はスピードが時速80キロ以下になると爆発するという。犯人は500万ドルを要求し、警察も捜査を開始するが、途中の駅に停車することもできない新幹線は、パニックに陥った乗客たちを乗せて、タイム・リミットへとひた走る。キアヌ・リーブス主演の「スピード」の元ネタになったともいわれる快作。
“まるで速度を落とすのを執拗に恐れているかのごとく一本調子で走り続ける人力シネマ超特急”
2時間半後、終着駅で停車して降りるものの、シネマのほとぼりはなかなか冷めない。
それほどまでに、ああ、映画を見たぞぉーっという満腹感でいっぱいなのだが、しかし実はその実体はなかなか大雑把なやっつけ仕事の鬼とでもいえばいいだろうか。至るところで映画の道筋のレールが寸断されているのだが、そんなことなどお構いなしにとにかく走り続ける。
さすがに図面がある喫茶店が偶然にも火事で焼けてしまうというのは作劇としてはあまりにもいい加減で思わず閉口してしまったし、犯人を確保するどころか2人連続で死に至らしめてしまう警察のバカっぷりなどお世辞にもプロの仕事とはいえない。
ある意味、映画のいい加減な体裁をとるために山本圭は自爆させられたといってもよく、結局、高倉健も撃たれて死んでしまうわけで、警察や国鉄にしてみたら動機が分からないまま終わっちゃったわけだ。
彼ら犯人たちの抱えていた背景は世に出ることはなく、、それもまた可哀想な話だ。
しかし、あの山本圭が自爆って。80年代生まれの自分にとっては山本圭といったら心優しい良き父親といった印象が強いのだけど、まさかこんな闘う男だったなんて。。
まぁ、普通に考えたら、司令室、新幹線、犯人、警察と四足のわらじを履くこと自体どっかで無理が生じるのは目に見えているのだけど、よりによって犯人側にウエートを置くというのは映画と映画内のリミットを考えたら1番難しい大冒険だろう。
しかもこの犯人たちにあまりにも大きなものを背負わせてしまった。日本を動かしている秩序、彼らが言うところの歪んだ体制を。。
それを必要最低限の描写で目ぇ一杯最大限体現できる役者として高倉健をあてたのは理にかなってはいる。
しかし、やはりリミット制限ギリギリの爆弾パニックムービーにおいて、犯人たちの両手に爆弾以上に重い十字架を持たせることがはたしてよかったのかどうか、意味があるのかどうか疑問は残る。
壊すという行為においては、全共闘も新幹線爆破も同じだが、そこに何か正義を求められるのかという意味では新幹線爆破に正義と同情のつけ入る隙も余地も全くない。れっきとした凶悪犯罪である。
やはりその点においてこの映画のウエートの置き方には疑問が残るし、その描写がやや効果のないブレーキになっていたのもたしかだ。
それでもなお★4っつにしたのは、映画の作り手の意気込みと熱意、それを燃焼材としてとにかく2時間半走り続けた血と汗の結晶、人力シネマ超特急にいやが上にも魅せられたからだ。
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ロスト・バケーション
出演:ブレイク・ライブリー、オスカー・ジャネーダ、ブレット・カレン、セドナ・レッグ
監督:ジャウマ・コレット=セラ
(2016年・アメリカ・86分)WOWOW
内容:医学生のナンシーは女友達と一緒にメキシコを旅行。亡き母から教わったいまだ観光客には知られていないビーチを訪れた。現地の男といちゃつく友達を置いて浜辺へ向かった彼女は、さっそくサーフィンに興じる。最初は他のサーファーが2人いたものの、やがて1人に。すると突然、何かにぶつかり脚を負傷し出血してしまい、岸から200m離れた近くの岩場に一時避難するのだが・・・。
評価★★★/65点
スピルバーグの「ジョーズ」から40年。
40年経ってもかの作品を超える作品が出てこないというのも考えてみればスゴイことだよなぁw
けど、あの映画の面白さってもちろんサメの恐怖がいの一番にあるものの、登場人物のキャラクターのぶつかり合いという一面も実は大きなウェートを占めていて。
サメのホームグラウンドにもかかわらず、なかなか一枚岩にならない大人たちを見て子供心にそんなことしてる場合じゃないだろと思ったものだけど、サメ退治に名乗りをあげる3人のキャラクターは今でも思い出せるくらい印象的なんだよね。
その点今回は、砂浜から200mほど離れたポイントでひとりの女性サーファーと一匹のサメが対峙するという非常にシンプルなワンシチュエーションものになっていて、サメの姿をなかなか見せないオリジナルマインドを押さえているのは前提としても、距離・潮の満ち引き・負傷した足のハンデの3点のみで映画として機能させた演出力は及第点だし、90分以内に収めたのも良い。
特に砂浜が見えるといったどうにかすれば助かるかもしれないという絶望の一歩手前の“距離感”は絶妙で、その中での孤独感とそれを和らげる一羽のカモメの配置も上手い。
ザックリ咬まれた足の痛々しさや、トゲトゲ珊瑚を踏んでしまったりクラゲに刺されたり痛覚刺激も120%で、総じてシンプルさゆえのリアリティがあって面白かった。
ただ、肝心のサメがあまりにもストーカーすぎて、ちょい冷めw
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127時間
出演:ジェームズ・フランコ、アンバー・タンブリン、ケイト・マーラ、ケイト・バートン、トリート・ウィリアムズ
監督・脚本:ダニー・ボイル
(2010年・米/英・94分)WOWOW
内容:休日はグランドキャニオンを駆け回るほどのロッククライミング好きの青年アーロンは、自分の冒険する姿を自撮りして悦に入るような自信家。しかしある日、庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンで、ふとしたアクシデントから、大きな落石に右腕を挟まれ、谷底で身動きがとれなくなってしまう・・・。
評価★★★☆/70点
何の予備知識もなしに見たので、主人公はこのまま衰弱死しちゃうのだろうか、それとも腕を切り落としちゃうの!?とゾワゾワしながら見てしまったのだけど、絶対的な孤独と迫り来る死の恐怖に閉所恐怖症の自分は心が折れかかってしまった。いや、半分折れた
まさに主人公の陥った極限状況を疑似体験しているようなかんじで、途中でなんでこんなの見てなきゃならないんだとキレかかってしまった・・
なんかホラー映画はどこかアトラクション感覚で見てる部分があるけど、これは全然違うんだよね。もっとリアルで異質で皮膚感覚に突き刺さってくるような。。
ダニー・ボイルの演出もダサかっこ良くてw、鼻につく一歩手前で許せた。
まぁ、アンビリバボーで20分くらいでやるような企画をハラハラドキドキの映画に仕上げちゃう手腕はやっぱりスゴイと思うけどね。ダサってのが先にどうしても付いちゃうのはご愛嬌としようww
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スピード
出演:キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、デニス・ホッパー
監督:ヤン・デ・ボン
(1994年・アメリカ・115分)盛岡ピカデリー
内容:爆弾魔がロスの市バスに時速が80キロ以下になると爆発するという爆弾を仕掛け、身代金を要求する。疾走するバスを追い、飛び乗ったロス市警特別隊員ジャックは、重傷を負った運転手の代わりにハンドルを握る女性アニーとともに必死の努力を続けるが・・・。
評価★★★★★/100点
ヤクだ、クスリだ、スピードだ
アドレナリンじゃんじゃん放出、覚醒する脳。
起承転結すべて★5っつ!シンプルこそ命。
スピード、、忘れた頃に摂取したくなるシロモノです。。
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運命を分けたザイル
出演:サイモン・ウェーツ、ブレンダン・マッキー、オーリー・ライアル
監督:ケビン・マクドナルド
(2003年・イギリス・107分)2005/02/17・盛岡フォーラム
評価★★★★/75点
内容:1985年、イギリスの若き登山家ジョーとサイモンは、難関とされるシウラ・グランデ峰の登頂に成功する。しかし、下山の際にジョーは滑落。命のかかった極限の状況下、サイモンは2人をつなぐザイルを切る決断を下すのだった・・・。世界中でベストセラーになったノンフィクション文学の映画化。
“想像を絶するとはまさにこのこと。彼らの体験を映像と語りで追体験させようとするが、自分の頭の中の想像力では決して越えられない絶壁が立ちふさがり、ただ唖然として凝視するほかに方法がない・・。”
スキー・スノボを毎シーズンやってる自分にとっては、猛吹雪の中、強風で乗ってたリフトが非常停止してしまった状況を思い浮かべるだけで精一杯。
しかも1シーズンに数回あるかどうかだし、長くてせいぜい30分てとこだからなぁ。
でも、このたった30分が地獄なんだよね。それが7日間、しかも骨折&クレバス転落のおまけ付きときたもんだ。
天上から垂らされた蜘蛛の糸をつたって這い上がるのならまだしも、地獄へと下っていく選択をするというのは今の自分の思考回路では到底考えられない。。
想像を絶するとはまさにこのことだ。
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フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996年・アメリカ・111分)WOWOW
監督:ロバート・ロドリゲス
出演:ジョージ・クルーニー、クエンティン・タランティーノ、ハーヴェイ・カイテル、ジュリエット・ルイス
内容:銀行を襲撃したセスとリチャードの兄弟は、メキシコに逃亡。2人は元牧師一家を人質にとり、仲間の待つ酒場へ向かうが、そこはなぜか吸血鬼の巣窟で、夜明けまで凄絶なサバイバルバトルを繰り広げることになる・・・。タランティーノ&ロドリゲスがコンビを組んだアクション・ホラー。
評価★★★/65点
“前半映画楽しむも 後半マンガになりにけり。。”
しかも前半は良い意味で異常かつ異様だったのが、後半のゾンビ漫画は悪い意味で正常かつフツーになっちゃってるという逆転現象に、しばし閉口。
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オープン・ウォーター(2003年・アメリカ・79分)DVD
監督・脚本:クリス・ケンティス
出演:ブランチャード・ライアン、ダニエル・トラビス、ソウル・スタイン、エステル・ラウ
内容:バカンスを利用してカリブ海にやって来たアメリカ人夫婦が、ふとしたことからダイビング中に海に取り残されてしまう。やがて2人の目の前には、数え切れないほどのサメが集まってきて・・・。
評価★★★/60点
“1対1の本音夫婦げんかバトルをする場所としては最適だということだけは分かった。”
映画としてはお腹一杯どころか腹八分にも満たない出来。
スーザンの素っ裸以外は自分の予想の範疇といったかんじで、うちのソファにゆったり身をまかせて見ることができてしまう。
小学生の頃によく読んでた海の図鑑や本に出てくるサメの話にビクビクしていたときの恐怖感の方が確実に残る。
もしかしてこの映画のメイキングドキュメンタリーの方が真に恐くて面白いのでは・・・。
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