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2020年12月30日 (水)

夢のシネマパラダイス610番シアター:打倒!藤井聡太

3月のライオン前後編

Eyecatch出演:神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果耶、前田吟、高橋一生、板谷由夏、奥貫薫、佐々木蔵之介、加瀬亮、伊勢谷友介、伊藤英明、豊川悦司

監督:大友啓史

(2017年・東宝・前編138分/後編140分)東宝シネマズ日本橋

内容:17歳のプロ棋士・桐山零。彼は幼い頃に交通事故で家族を失い、父の友人だったプロ棋士・幸田の内弟子になり、中学生棋士としてプロデビュー。しかし同じくプロを目指して挫折した幸田の実子である姉弟との軋轢もあり、高校入学を機に幸田家を出て下町のアパートで一人暮らしを始めていた。そんなある日、先輩棋士たちに酔い潰され道ばたでグッタリしているところを川本あかり(倉科カナ)に介抱される。以来、長女あかり、次女ひなた、末っ子モモの3姉妹とその祖父が暮らす川本家との交流が始まる・・・。

評価★★★★/80点

原作漫画ファンとしては、前後編4時間半超のボリュームで実写化してくれた贅沢さを素直に喜びたいところ。

染谷将太のまさかの二階堂をはじめとするハズレのないキャスト陣はもちろん、カレーに唐揚げに卵サラダにという最強のふくふく食卓風景から、見る側にも圧がかかる対局シーンに至るまで違和感がない再現率にはとりあえず脱帽(^^♪

各々が何かしらの枷を背負っているキャラクターもしっかり描けていたし、全体的には好印象だった。

ただ、前編・後編と分けて考えるよりは、4時間半の1本の映画を2つに分けたと見た方がいい作りになっていて、原作エピソードを満遍なく取り込んだ結果、逆に単独で見ると意外に奥行きが感じられない印象はあったかも。。

ここら辺のバランスの取り方は難しいところで、じゃあどのエピソードが不要だったのかといわれると、やっぱどれも必要だなと思うし、それどころか将棋部の野口センパイが出てこないのはなぜだ!?とヤキモキしてしまったくらいだから、まぁこれはこれで良しとしようか(笑)

有村架純の下着姿も見れたしなぁ♪っておいw!

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聖の青春

4d7b2ef5a98eea3ee3bdc69663f95c39d42d36b0 出演:松山ケンイチ、
東出昌大、染谷将太、安田顕、柄本時生、筒井道隆、竹下景子、リリー・フランキー

監督:森義隆

(2016年・日本・124分)WOWOW

内容:広島で生まれ幼い頃に難病を患い入退院を繰り返していた村山聖は、父親から教わった将棋に熱中するようになる。すぐに頭角を現し10代の頃から東の天才・羽生善治、西の怪童・村山聖と称されるまでになり、その後広島から単身大阪へ出て17歳という異例の早さでプロデビューを果たす。やがて、ライバル羽生に追いつくために拠点を東京へ移して将棋に打ち込むが、病魔は少しずつ彼の身体を蝕んでいく・・・。

評価★★★☆/70点

ダウンタウンの松本人志がテレビ番組で、仕事に手ぶらで行って手ぶらで帰ってくる棋士のカッコ良さに憧れると言っていた。

たしかに明晰な頭脳とジッと正座できる忍耐力でもって身ひとつでお金を稼ぐ美学ってなんか分かるなぁと思ったけど、映画を見てプロの世界というのはそんな生半可なスマートさとはかけ離れた壮絶なものなのだということがよく分かった。

全国に数多いるであろう天才少年のさらにひと握りしかプロになれない(基本的に1年に4人しかなれない&26歳以下の年齢制限あり)狭き門のさらにその先に待つ過酷な勝負の世界。

ある者はこう言う。

トップレベルの戦いは、まるで爆弾魔が仕掛けた時限爆弾の装置で複数の配線コードのうちどれかを切れば解除できるという究極の選択を延々やり続けることに似ている、と。しかも、その配線コードは赤か青かの2通りではない。1手打つ指し手の平均は80通りあるといわれている・・😵

そんな神経をすり減らしていく生きるか死ぬかのような戦いを10時間以上も続けていったら、それはもう狂気の世界だろう。

そして、そこに命を削りながら一心不乱に身を置き続けた村山聖という男の生き様もまた常人では計り知れない凄さがあって、なんだか最後は泣きそうになるくらい胸に迫ってくるものがあった。

偏屈で破天荒な外面の悪さとは裏腹な孤独な内面に宿る生真面目さや優しさを、大増量した松山ケンイチが上手く体現していて見入ってしまったし、それ以上に名人羽生善治を演じた東出昌大がスゴイのなんの。将棋を指している時の一瞬一瞬の仕草がホントに羽生が憑依したかのように見える時があって、背中にゾワッと悪寒が走ってしまうくらいだった。

聖×羽生というコントラストが本作のキーワードだったとすれば、松山×東出は今回本当に良い仕事をしてくれたと思う。

81マスの盤上の海にダイブして深く深く潜り込んでいくうちに、「その深淵から戻ってこれなくなるんじゃないかと時々怖くなる時がある」と真顔でつぶやく羽生、その羽生と同じ景色を見るために判断力を鈍らせるわけにはいかないと抗がん剤や鎮痛剤の投与さえ拒否する聖の執念。

その世界を極めた者にしか持ちえない境地といっていいのかどうか分からないけど、2人に近づきがたい畏怖の存在を感じ取って圧倒された。

それに比べて自分のなんとヌルい人生よ・・wちゃんと生き抜こっ!

夢のシネマパラダイス609番シアター:アベンジャーズ選抜トライアル

ドクター・ストレンジ

6ccbf0387d0ae9d9a8523c9c9b0c2281出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キウェテル・イジョフォー、レイチェル・マクアダムス、ベネディクト・ウォン、ティルダ・スウィントン

監督・脚本:スコット・デリクソン

(2016年・アメリカ・115分)WOWOW

内容:ニューヨークの天才外科医スティーヴン・ストレンジ。ある日交通事故に遭い、両手にマヒが残る重傷を負ってしまう。医者としてのキャリアを失い途方に暮れた彼は、下半身不随から復活した男がいるという噂を頼りにネパールに渡る。そしてエンシェント・ワンという女魔術師と出会い、彼女に弟子入りするのだが・・・。

評価★★★☆/70点

主人公のキャラ設定はアイアンマン、映像面はインセプションやマトリックスetc..どこかで見たような既視感ありありで、ティルダ・スウィントンなんてバットマンビギンズの渡辺謙そのまんまなんだけど、前記作品群はどれも面白かったせいかそんなに悪い感触はないっていう(笑)。

例えば、マッチョマンなアベンジャーズに比べると今回は魔術主体なので、それこそ自分の大好きな鋼の錬金術師にも似た腕力に頼らない面白さがあったし、時計の針が逆回転していく中でのバトルもジョジョの奇妙な冒険のスタンド、ザ・ワールドのさらに先をいく今までありそうで無かった新機軸で見応えがあった。特段ケチをつける所はなかったかなと。

しいて言えば、横文字用語が多すぎてついて行きづらいのと、ラスボスがストレンジの最強根比べにいい加減飽きて退散するオチにはちょっと腰砕けになっちゃったけどw

まぁ、映画館で見てなんぼの作品なのはたしか。

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デッドプール

O0297042013780560343出演:ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン、エド・スクライン、T・J・ミラー、ジーラ・カラーノ

監督:ティム・ミラー

(2016年・アメリカ・108分)WOWOW

内容:今から2年前、特殊部隊を退役したウェイドは娼婦のヴァネッサと出会い、あまりにも相性が良いものだから本気で結婚を考え始めたのだが、その矢先に末期ガンと診断されてしまう。やがて彼は酒場で出会った男に一縷の望みを託し、治療と引き換えに極秘の人体実験を受けることを承諾した。その結果、不死身の肉体を手に入れたものの、その代償として全身が焼けただれたような醜い姿になってしまう。そして現在。ヴァネッサの前から姿を消した彼は、赤いコスチュームに身を包んだ男“デッドプール”として、人体実験を行った組織を追っていた・・・。

評価★★★/65点 

まるでタランティーノ映画から闖入してきたような品性2:お下劣8キャラが、ヒーロー映画の常道を茶化しながら好き放題ヤリまくる悪ふざけはたしかに新鮮。

が、言ってしまえば見所はそこだけしかないわけで、マーベルヒーローものという括りを取り外せば、ただのパロディ映画。

にもかかわらず、そこに徹することなく途中でまともな方向に舵を切り失速感ありありになったのはちょっと中途半端だったかな。

ま、唯一無二の愛さえあれば何だって許されるってのは一本スジは通ってるけどねw

でも、正直ピンで見るよりはX-MENの中で見たいかなぁ。って、えっ!ウルヴァリンの敵役で出てたって!?これからどう繋がっていくんだ・・?

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アントマン

1_large出演:ポール・ラッド、マイケル・ダグラス、エヴァンジェリン・リリー、コリー・ストール、アンソニー・マッキー

監督:ペイトン・リード

(2015年・アメリカ・117分)WOWOW

内容:バツイチ無職のスコット・ラングは、最愛の娘の養育費も払えず、まさに人生の崖っぷちに。そんな中、彼のもとに天才科学者ハンク・ピム博士からある仕事が舞い込んでくる。博士が開発した特殊なスーツを着て、身長1.5㎝のアントマンになるというものだった・・・。

評価★★★/65点

子供時分「ミクロキッズ」(1989)を見た時に小さくなった悪ガキの大冒険にワクワクドキドキしたものだけど、と同時にその冒険の範囲が家の庭という狭さに物足りなさを覚えたのも確かだった。

しかし、その物足りなさを満たしてくれたのがアニメ映画のトイストーリーとジブリ映画のアリエッティだったわけで、今回初めて実写映画で蟻サイズの人間があらゆる場所を縦横無尽に駆け回るミクロ世界をスケール感たっぷりに見せてくれて、映像面では文句の付けようがない出来。

正直ストーリー面は二の次なあっさり感は否めず、見どころは映像しかないかんじだったけど、シリーズ化のイントロダクションとしては十分及第点をあげられる作品だったと思う。

個人的にはもっとコミカルでも良かったかなと感じたけど、アベンジャーズに組み込まれることを考えるとあんまり毛色に違いを出しすぎるのもあれだったのかな。

アベンジャーズを意識せずに作られた単発での次回作を期待したいけど、エンドロール後のエピローグからするとどうやら夢物語みたい・・。

夢のシネマパラダイス160番シアター:ヘイトフル・エイト

ヘイトフル・エイト

H8_2出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ

(2015年・アメリカ・168分)WOWOW

内容:南北戦争後のワイオミング。賞金稼ぎのジョン(カート・ラッセル)は駅馬車を貸し切って、1万ドルの賞金首の女・デイジーを乗せて雪山を走っていた。そこへ、馬が倒れて立ち往生していた元騎兵隊の賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)に頼まれて、お尋ね者3人の死体と共に乗せてやることに。さらにもう1人自称保安官の男にも呼び止められて拾ってあげた一行は、猛吹雪を避けて道中にある紳士服店に立ち寄るが、そこには店番をしていたメキシコ人と3人の先客がいた・・・。

評価★★★/65点

一言でいえば、巨匠めいたタランティーノに面食らったといえばいいか。

まるでポール・トーマス・アンダーソンが撮ったと言われても納得してしまいそうなくらい絵の構図で見せまくり、格調というにはグロシーンのオンパレードなのであれだけど、牽引力のある無駄話がかすんでしまうくらいショットで見せる。

タランティーノ特有の安っぽさが無いんだよね。

それを成長といえばいいのか、いやこれってタランティーノにかぎっては退化じゃないのか(笑)!?

で、結局これって西部劇の名を借りた密室劇だったわけだけど、尺はこの長さでいいからタランティーノ十八番の時制を交錯させる手法をもっとバンバン使って、最初から密室に8人がドンッと居座った状態で通してほしかった気も・・。そうすればサスペンスとしての緊迫感はもっと出たと思うんだけどな。

こう書いてきて明らかに自分の嗜好ベクトルは、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」だったのだと気付くw

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スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

Sukiyaki 出演:伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、堺雅人、小栗旬、石橋貴明、木村佳乃、クエンティン・タランティーノ、香川照之、桃井かおり

監督:脚本:三池崇史

(2007年・日本・121分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:壇ノ浦の戦いから数百年後、山あいの寒村“湯田・ユタ”。ある時、その村に大量の金塊が眠っているという噂が立ち、平清盛(佐藤浩市)率いる平家ギャングと源義経(伊勢谷友介)率いる源氏ギャングは一触即発の状態になっていた。そんな抗争渦巻く村に、一人の凄腕ガンマン(伊藤英明)が流れ着く。両軍ともこの謎のガンマンを用心棒に引き入れるべく動き出すのだが・・・。

“犯されて、射抜かれて、舐めくり回される佳乃さま!!”

ド変態映画ですこれ。

オープニングからタランティーノが出てくる映画なんてろくなものになるわけないんだから(笑)、そこで、あっ、この映画ってそういう映画なんだとスイッチを切り換えて見れば、そこそこ楽しめる映画ではあるけど。

タランティーノの映画も、すき焼きかヤミ鍋かというくらいのB級ゴッタ煮映画なのだから、オープニングでタランティーノを出してきてこの映画の指標を示してくれたのはせめてもの救いだった。

ていうか、それがなかったら、とてもじゃないが見られないけどねw

しかし、名の知れた豪華俳優陣が嬉々としておフザケキャラを演じているのはそれだけでも見ていて楽しいものがあったのも確か。

ガトリング砲をブッ放すヘンリィ6世・佐藤浩市、LOTRのゴラムばりの一人芝居を見せる不死身の香川照之、トランスタコ踊りの木村佳乃、タマを失くしたタカさんの保毛男田保毛男・・。

その保毛男田保毛男が襲ってくるときの伊勢谷友介の素演技がこの映画1番の見せ場だったな(笑)。ってコントやん。。

血まみれの弁天を通称ダブルBと呼ばせるところなんかは、まんまタランティーノのパクリだけど、そのおバカさを払拭するかのようなルリ子・桃井姐さんのカッコ良さも特筆ものだったし。

んで1番まともだったのが大友克洋のAKIRAから命名されたアキラこと小栗旬だったけど、アニオタ・タランティーノとルリ子から生まれたのが小栗旬って、、全然ハーフになってないんですけどww。

ほいで結局1番わけの分からなかったのが伊藤英明。他のキャラに消されて何の色も出なかったな、かわいそうに。

まぁ、こういう何でもござれのB級&R指定の娯楽映画は年に1回くらいだったら見てもいいかもね。一緒に見に行った連れには大不評だったけど・・・。

でも、これを山田洋次に撮らせてたら、三池ワールドとは天地の差がある大層まともな和製「シェーン」になるんだろうなぁ(笑)。

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駅馬車(1939年・アメリカ・99分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、トーマス・ミッチェル、クレア・トレヴァー

 内容:19世紀末、アリゾナからニューメキシコまで9人の乗客を乗せた駅馬車が平原を進む。途中、若妻の出産やアパッチの襲撃などのハプニングに遭いながらも旅を続ける西部劇史上不滅の名編、らしい。。飲んだくれ医師役のトーマス・ミッチェルがアカデミー助演男優賞受賞。

評価★★★/60点

正直かったるい。。

登場人物が多いわりにはキャラが活きてないかなと。光ってたのは飲んだくれのトーマス・ミッチェルくらいなもの。

ただ、一点、モニュメントバレーのロケーションだけは最高で、自分も馬に乗って颯爽と駆けてみたいとは思った。

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黄色いリボン(1949年・アメリカ・103分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、ジョアン・ドルー、ジョン・エイガー

 内容:西部民謡をアレンジした同名の主題歌も有名な、ジョン・フォード一家総出演による叙情派西部劇。「アパッチ砦」「リオ・グランデの砦」とともにフォード監督の騎兵隊3部作を成し、これはその第2作目。またフォードにとっては初のカラー西部劇で、アカデミー撮影賞も受賞。

評価★★★/60点

正直途中までジョン・ウェインがどの役演ってるのか分からなかった。。

まっさか退役間近の老将ジイさんじゃないよな、と最初から決めかかってた自分もバカだけど。だってまだジイさん演る年齢じゃないっしょ。この時って、まだ40歳くらいだったはず。

笠智衆も真っ青だなw

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リオ・グランデの砦(1950年・アメリカ・105分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、クロード・ジャーマン・ジュニア

 内容:勇ましいアメリカ騎兵隊魂を高らかに謳い上げたジョン・フォードの騎兵隊3部作の第3作。

評価★★★/55点

西部劇としては何の取り柄もない映画だが、ただ1点、ローマ式の馬の乗り方は一見の価値あり。

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ヴェラクルス(1954年・アメリカ・94分)NHK-BS

 監督:ロバート・アルドリッチ

 出演:ゲイリー・クーパー、バート・ランカスター、デニーズ・ダーセル

 内容:1866年のメキシコ。南軍少佐のトレーンは、無法者のエリンから馬を買ったが、その馬が軍隊から盗まれたものだったため、エリンもろとも軍隊の迫撃をくらってしまう。必死こいて逃げる2人は、たまたま知り合ったデ・ラボルデエル侯爵から、伯爵令嬢マリーをメキシコのベラクルスまで送り届けるよう頼まれるが・・・。

評価★★★/65点

血塗られたようなどぎつい赤で彩られたオープニングクレジットから想像していたのとはかけ離れた中途半端さ。

名優2人のキャラとその対比が良くできていただけに残念。。

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騎兵隊(1959年・アメリカ・119分)NHK-BS

 監督:ジョン・フォード

 出演:ジョン・ウェイン、ウィリアム・ホールデン、コンスタンス・タワーズ

 内容:南北戦争たけなわの1863年4月、北軍の劣勢を挽回するために、グラント将軍はヴィックスバーグ攻撃強行を決意し、補給路を断つために敵陣の中にあるニュートン駅破壊を企てる。元鉄道技師のマーロウ大佐(J.ウェイン)は、騎兵隊を率いてニュートン駅に向かって出発する。彼の隊には軍医のケンドール少佐(W.ホールデン)が配属されたが、医者嫌いのマーロウとは最初っからソリが合わない。。やがて一行は南部のとある農園に宿泊することになるが、そこの女主人に作戦会議を盗み聞きされてしまい・・・。

評価★★☆/45点

甘すぎる。。

マーロウとケンドールをもっとこう極端に対峙させてほしかったんだけどなぁ。

ジョン・ウェインが女性から強烈ビンタを喰らうところが1番の見所。。

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墓石と決闘(1967年・アメリカ・102分)NHK-BS

 監督:ジョン・スタージェス

 出演:ジェームズ・ガーナー、ジェイソン・ロバーズ、ロバート・ライアン、ジョン・ヴォイト

 内容:1881年、弟をクラントン一味に殺されたワイアット・アープは、ドク・ホリデイの協力でビリー・クラントンを倒し、OK牧場の決闘は終わった。しかし、決闘の張本人であるアイク・クラントンはいつの間にか姿を消していた。その後アープは、連邦保安官に任命されて捜索隊を組織する権限を得ると、なりふり構わずクラントンを追いかけ始める。西部開拓史上最も有名なOK牧場の決闘に関係した男たちのその後の運命を描いた西部劇。

評価★★★☆/70点

西部劇でちゃんとした法廷シーンを見るとは思いもしなかった。

さらに勧善懲悪からだんだんズレていくという視点をはじめとして非常に新鮮な印象を持った。やはり実話だけのことはある。

でもまさかこんな後日談があったなんて、、やっぱり新鮮。

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ポストマン(1997年・アメリカ・177分)WOWOW

 監督:(製作のほかに挿入歌までやっちゃってます・・)ケビン・コスナー

 出演:ケビン・コスナー、オリビア・ウィリアムズ、ウィル・パットン

 内容:核戦争後の社会を舞台に、失意の人々に手紙を届け、希望を与えることで独裁者に立ち向かった郵便配達夫の勇気ある生きざまを描く近未来ウエスタン。

評価★★★/55点

薄っぺらい内容でよく3時間もたせたなぁと逆に感心してしまう。。

面白くて良い映画を作るゾ!というコスナーの心意気だけは伝わってくる・・w

夢のシネマパラダイス396番シアター:日本が生んだ怪物ゴジラ

シン・ゴジラ

Img_main出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、高良健吾、松尾諭、市川実日子、余貴美子、國村隼、平泉成、柄本明、大杉漣、片桐はいり、小出恵介、斎藤工、高橋一生、塚本晋也、古田新太、前田敦子、三浦貴大、野村萬斎

監督:庵野秀明・樋口真嗣

(2016年・東宝・120分)盛岡フォーラム

内容:ある日、東京湾で水蒸気爆発が起こり、アクアトンネルが崩落する重大事故が発生。対応に当たる政府内では、官房副長官・矢口(長谷川博己)が未知の海底生物の可能性を指摘するが、総理(大杉漣)以下閣僚たちは一笑に付す。しかし直後、巨大不明生物が姿を現わして蒲田に上陸、街を這いずり回るように蹂躙しながら東京都心に向けて侵攻していく。この事態を受けて政府は自衛隊出動に動くが、対応は後手後手に回るのだった。さらにその後、不明生物は屹立し二足歩行体に進化する。そんな中、米国特使としてカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が極秘来日し、巨大生物の正体“ゴジラ”に関する資料を日本側に提供する・・・。

評価★★★★★/100点

“庵野版日本のいちばん長い日”

当初この映画を映画館で見る気は毛頭なかった。

日本が生んだ唯一無二の大怪獣であり破壊神であるゴジラ。

日本人の一人としてそれをリスペクトしながらも、1954年のオリジナル1作目以外の日本のゴジラ映画は10歳向けのお子ちゃまランチレベルで、ツッコミ入れて笑う以外見るに値しないものだと思っていたので、当然今作もその程度だと決めてかかっていた。

なんてったって監督は20年かかってもエヴァをまともに締めれない庵野秀明と、「日本沈没」「隠し砦の三悪人」「進撃の巨人」とオリジナルをことごとく残念作に改変してしまう樋口真嗣である(笑)。どう考えたって不安>期待とならざるをえず・・・。

一方、桁違いのスペクタクルならば本家ハリウッドのお手の物と思いきや、めっちゃ速く走っちゃう怪物にゴジラを見出せなかったり、夜の暗闇ばかりで暗視ゴーグル付けないと分からなかったり、、結局今までのゴジラ映画で満足できたのは30作中(邦28作・洋2作)オリジナル1作目しかないわけで・・。

じゃあ、このオリジナル作にあって他の作品にないものは何なのかといえば、戦後10年足らずの忌まわしい戦争の記憶が生み出す濃密な既視感、つまりゴジラの災厄=空襲を想起させるリアリティがあるということだ。

そういう視点でみると、今作はまさしく3.11の東日本大震災と原発事故を想起させるシミュレーション映画になっていて見応えは十分。

しかしこの映画の真髄は、非常時だからこそ露わになる和をもって貴しとなす日本独自の伝言ゲーム的意思決定のプロセスに特化することで、日本人とは何かという領域にまで達しているところにある。しかも、それでも何だかんだ言ってチームジャパンはやるときゃやるんだ!という理想をオチにしたことで爽快感を持たせたのが心憎い。

つまりこれはゴジラ映画の名を借りた日本人論なのだと思う。

まぁ、理想をオチにしたっていう時点ですでに虚構なんだけど、ゴジラという圧倒的フィクションを3.11の際に政府官邸・政治家・東電・官僚がすったもんだしていた内情に照らし合わせて描いた目の付け所が上手かったし、庵野秀明の中にある巨神兵→エヴァ→ゴジラという系譜の中でゴジラでやりたい放題やりながら3つ目の原爆投下の可能性という絶望感まで描き切ったんだからスゴイの一言だよこれは。

あとは、時代的に政治がどんどんポピュリズム化する中、ひっきりなしに朝昼晩の情報番組に取り上げられる劇場型政治になっているからこそ受け入れられた映画だとは思うけどね。とともに、日本の政治は何も決められない(特に2009年政権交代後に民主党がやらかしたこと)ことに対する不信感が浸透しているからこそ作れた映画だと思う。少なくとも3.11以前だったら様々な専門用語含め何のこっちゃ!?となったでしょ。

あと上手いなぁと思ったのが、アメリカ側の政府高官の顔をほとんど映さないこと。たぶん顔出しした途端に安っぽくなっちゃうよねw

他にもゴジラ第二形態の気持ち悪さ(TOKIOが番組で捕獲したことで話題になった幻の深海古代生物ラブカをモチーフにしているらしい)や、ラストに映し出されるゴジラの尻尾が人間のモニュメントのように見えるのはどういう意味なのかなどネタは尽きない。

個人的には、あれは原爆ドームや原爆慰霊碑にある「安らかに眠って下さい、過ちは繰り返しませんから」という碑文モニュメントと同じ意味を持つものだと思った。つまり、放射性廃棄物に由来するゴジラを作り出したのは人間であり、人災といえる福島の原発事故を明らかに意識した作りから察するに、また同じことを繰り返すのか人間よ!という警告を阿鼻叫喚の地獄絵図のようにも見えるモニュメントを通して象徴的に描いてみせたということではなかろうか。

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ゴジラ

E382b4e382b8e383a9poster 出演:志村喬、河内桃子、宝田明、平田昭彦、菅井きん

監督:本多猪四郎

(1954年・東宝・97分)NHK-BS

内容:東宝特撮スタッフの総力を結集した日本初の特撮怪獣映画で、以後の国内外の特撮映画に多大な影響を与えた記念碑的作品。水爆実験の影響で太古の眠りから覚めた体長50メートルの大怪獣ゴジラは、口から放射能をまき散らしながら東京を恐怖に陥れる。。空前の大ヒットを受け、翌年には続編「ゴジラの逆襲」が急遽製作された。その後シリーズ化され、1975年の第15作「メカゴジラの逆襲」でいったん終了(昭和ゴジラシリーズ)。84年に復活し、95年の「ゴジラVSデストロイア」まで7作(平成ゴジラシリーズ)。99年に再復活し04年「ゴジラFINAL WARS」まで6作製作された(ミレニアムシリーズ)。また、第1作は「怪獣王ゴジラ」の題でアメリカにも紹介され、日本映画で初めてNYの一流劇場でロードショー公開されるなど海外でも人気で、98年にはハリウッド版が製作された。

評価★★★★☆/85点

“今までありったけのゴジラシリーズを見てきたそのラストにこの本家本元を見てしまった、その衝撃!オキシジェンデストロイヤーで魚が一瞬で液化される以上の衝撃よ。”

まさに、ゴジラ映画における最初で最後のオンリーワン。

とにかくゴジラもそうだけど、人間がちゃんと描かれていることに衝撃!

特に芹澤博士の科学者としての使命と倫理との狭間で揺れる苦悩を描いていたのには感動すら覚えた。

「長崎の原爆から命からがら逃れてきたのに」とか「また疎開しなきゃならないの?」とか、当時のリアルな時代性も直に伝わってくるし。

ゴリラとクジラとの造語だといわれているゴジラ。命名はちょっとおフザケだけども、しかし出来上がったゴジラはおフザケでも何でもないれっきとした万人が知るところのゴジラだったのだ。これはスゴイことだ。

よくテレビなどで耳にする言葉、“日本が世界に誇るゴジラ”。そう言われる所以がやっとで自分なりに納得できた気がする。

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ゴジラ

P16 出演:田中健、沢口靖子、宅麻伸、夏木陽介、小林桂樹

監督:橋本幸治

(1984年・日本・103分)WOWOW

評価★★★/65点

 

内容:火山活動により30年ぶりに甦ったゴジラ。核エネルギーを養分とするゴジラはソ連原潜を沈め、静岡井浜原発を破壊し放射能を吸収し海中へと消える。その後東京湾に姿を見せたゴジラは新宿副都心へと練り歩いていくのだった。生物学者の林田らはゴジラの帰巣本能を利用して三原山火口に誘導する作戦を立てるが、米ソは原子爆弾使用を日本政府に強く迫る。そんな中、ソ連の核ミサイルが誤発射されてしまい・・・。

“森本毅郎のリアリティと、かまやつ&武田鉄矢のバカっぷりとの落差が激しすぎて、人間たちが仕掛けた単なるお遊びにしか見えなくなってくる。おとなしめゴジラが見ていて可哀想になってくる。”

幼稚園の時に親に泣きながらダダこねて見たい×10!って説得し続けて劇場に連れて行ってもらった初めての記念すべき映画だったはずなのに。

今見ると、ありゃまぁこんなんなの?てかんじで、正直見るんじゃなかった(笑)。あの時の感動と恐怖と興奮を自分の中の三原山に封印しておくんだった・・。

ともかくリアリティ勝負の本気度と内輪向けのお遊び度のブレが相当気になったな。

それにしても小林桂樹首相のラストの涙。あのぉ~東京都民が相当数激甚被害にあってると思うんスけど。。首都高の渋滞の車列が一瞬で火の海になっちゃってたりするし。

ま、1作目のゴジラ以外のゴジラ映画にそんなツッコミ入れても意味ないけどw

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ゴジラVSビオランテ(1989年・東宝・105分)NHK-BS

 監督・脚本:大森一樹

 出演:三田村邦彦、田中好子、高嶋政伸、峰岸徹、高橋幸治、小高恵美、鈴木京香、沢口靖子、永島敏行

 内容:ゴジラが三原山に没して5年。あの時、ゴジラが破壊しつくした新宿副都心でゴジラ細胞(G細胞)が採取されていた。G細胞には核を無力化する力があるという。そこで日本政府は、遺伝子工学の権威・白神博士に抗核バクテリアの開発を託した。博士は中東某国の研究所にいた際に、爆破テロに遭い最愛の一人娘・英理加を失っていた。そんな中、超能力少女・三枝未希が三原山の火口の中でゴジラが息づいていることを確認、ほどなくゴジラが復活する。一方、芦ノ湖には、博士が愛娘の遺伝子が入ったバラをG細胞と融合させて生み出された巨大怪植物が出現していた・・・。

評価★★☆/50点

沢口靖子がビオランテになってしまうおぞましさは、なるほど科学技術をもてあそびゴジラとビオランテを作り出した人間こそが怪物なのだというテーゼを如実に示してくれるが、いかんせんその肝心の人間ドラマがちゃちいアクション含めて幼稚すぎて見るに堪えない・・・。

科学者が亡くなった自分の娘を蘇らせるためにバラと娘の遺伝子とゴジラ細胞を掛け合わせて作り上げた禁断のキメラ生物ビオランテ、しかも娘の心が宿った異形のもつ哀しみというモチーフは手塚治虫から鋼の錬金術師にいたるまでハズレなしのはずだったんだけど、ここで大ハズレ(笑)。

核エネルギーを無力化する効力がある抗核エネルギーバクテリアなどシナリオ要素は非常に魅力的ではあっただけに、やっぱり見せ方がしょぼいとダメになっちゃうんだねぇ、という好例ww

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ゴジラVSデストロイア(1995年・東宝・103分)NHK-BS

 監督:大河原孝夫

 出演:辰巳琢郎、石野陽子、林泰文、小高恵美、大沢さやか

 内容:香港に身体中が赤く発行したゴジラが上陸する。ゴジラの体内で核分裂が暴走し、ゴジラ自身がメルトダウンしてしまう危険性があることが判明する。一方その頃、かつてゴジラを倒した兵器オキシジェンデストロイヤーによって変貌を遂げた古代生物デストロイアが東京湾に現れる・・・。平成ゴジラシリーズの最後を飾るべく登場したシリーズ第22作で、1954年の「ゴジラ」の正統な続編に位置するシリーズ完結編。89年の「ゴジラVSビオランテ」で大森一樹が確立させた平成ゴジラの世界観を収束させる物語となっている。90年代のゴジラシリーズは、VSキングギドラ、VSモスラ、VSメカゴジラ、VSスペースゴジラと作品が重ねられ、この作品で一旦集結するが、ハリウッド版「GODZILLA/ゴジラ」を経た99年末に、4年ぶりに再び復活を果たすことになる。

評価★★/45点

“最凶原発!トンだメイド・イン・ジャパン”

メイド・イン・ジャパン。

バック・トゥ・ザ・フューチャーでデロリアンに使われているマイクロチップが日本製なのを見て、1955年のブラウン博士がデロリアンが壊れるのも当然だと納得するシーンがある。

そう、当時“メイド・イン・ジャパン”は「単なる劣悪品」としか見られていなかった。

しかしそれが“安いが劣悪”を経て“安くて優良品”へと変貌を遂げ、アメリカをはじめとして世界を席巻した。

ゴジラもそうだ。

最初は「単なるB級怪獣」としか見られていなかったゴジラがハリウッド殿堂入りするほどの名優へと変貌を遂げてきたのである。

メイド・イン・ジャパン、ゴジラ。

だがしかし、この映画をはじめとする平成ゴジラは日本人としていかがなものか。「安くて優良」が日本が誇るメイド・イン・ジャパンだったのだとすれば、この映画は「高くて劣悪」がピッタリ。「安いが劣悪」よりもタチが悪いではないか。

平成大不況、失われし10年、、経済復興から発展してきた日本の経済をはじめとする成長率とゴジラ映画の勢力がダブって見えてしまうのは自分だけだろうか。まるで様々な不祥事が雨後のタケノコのごとく湧き出している企業事件に煽られている今の日本経済を指し示しているようなかんじだし。

その意味でいえば、まさにゴジラは戦後日本の象徴とは言えるのだが・・・。

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三大怪獣 地球最大の決戦(1964年・日本・93分)WOWOW

 監督:本多猪四郎

 出演:夏木陽介、小泉博、星由里子、若林映子、ザ・ピーナッツ、志村喬

 内容:金星人と名乗る謎の女性が全国各地に現れ、かつて金星の高度な文明を滅ぼした宇宙怪獣キングギドラの地球攻撃を予言する。そして、それに呼応するかのようにラドンとゴジラが復活し各地を蹂躙し始める。一方、黒部ダムに落下した隕石の中からついにキングギドラが誕生。インファント島の小美人(ザ・ピーナッツ)は、モスラを使ってゴジラとラドンを説得し、モスラ&ラドン&ゴジラ連合による対キングギドラ戦を提案するが・・・。

評価★★/45点

“「モスラが諦めないで説得を続けています。」”

この一言に尽きるねこの映画は(爆)

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GODZILLA/ゴジラ(1998年・アメリカ・138分)仙台第1東宝

 監督・脚本:ローランド・エメリッヒ

 出演:マシュー・ブロデリック、ジャン・レノ、ハンク・アザリア、マリア・ピティロ

 内容:日本を代表する大怪獣ゴジラをハリウッドが最先端SFXを駆使して映画化したブロックバスター映画。従来のゴジラのイメージを一新するデザインが賛否両論を巻き起こした。

評価★★★/65点

正直に告白してくれ、エメリッヒよ。

ゴジラの名を借りてTレックスとヴェラキラプトルを街中で暴れさせたかっただけなのだ、と。

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GODZILLA ゴジラ

Godzilla5ac47出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス、デヴィッド・ストラザーン

監督:ギャレス・エドワーズ

(2014年・アメリカ・123分)盛岡フォーラム

内容:1999年、フィリピンの炭鉱地下で謎の巨大生物の化石が発見された。同じ年、日本の雀路羅(ジャンジラ)市で原子力発電所が原因不明の放射能事故に見舞われる。15年後、かの事故で妻を亡くした原発職員のジョーは事故の真相を暴くことに取りつかれていたが、米軍大尉の息子フォードはそんな父からは距離を置き、妻子とサンフランシスコで暮らしていた。しかしある日、ジョーが立入禁止区域に侵入して逮捕されたとの知らせを受け、フォードは急ぎ日本へ向かう・・・。

評価★★★/60点

こんなもんかぁ、、というのが正直な感想だけど、そこには多分に大いなる期待値を下回ったという意味合いがある。

じゃあ、その大いなる期待値はどこから来たかというと、上空数千メートルから海兵隊がゴジラが降臨した地獄の釜底のような廃都にクモの糸を伝うように降下していく予告編に充満する終末観によるものだった。

いわずもがな、その終末観は人間が破壊神ゴジラに蹂躙されることによって生み出されるものだと自分は期待していた。

つまり人間vsゴジラという構図である。

ところがこの予告編の場面は実際はゴジラvsムートーで、人間は全く蚊帳の外なのだ。

いや、このシーンだけではない。ゴジラvsムートーという題名にした方がいいくらいにそちらの方が主役と化してしまっているのだ。それどころかアメリカ第七艦隊に両側を護衛されながら円陣を組んで太平洋を悠々と突き進むゴジラ、、ってそれは違うだろ!例えば、獰猛なナイルワニが川を渡る時に両側を舟で並走できるかって、んなバカな話がどこにあるw

ゴジラは人間くそ喰らえ!ムートーくそ喰らえ!とならなければならないはずで、第七艦隊を駆逐するのが当然のスジだろう。

そう考えると、この映画の問題の本質は、ムートーが出しゃばりすぎなことよりも、ゴジラの人間ガン無視度がハンパないことに尽きるのではなかろうか・・・。

あと、やっぱり気になったのがヘンな日本描写

ジャンジラ市という名前だけでもヘンだけど、日本にはない海外様式の原発の形状(原発の横にある円筒形の冷却塔から煙がモクモク出ている風景)とか、日本なのにアメ車しか走ってないとかw、もうそこが気になり出すと映画のリアルが感じられなくてテンションが冷めちゃうんだよね。

あと、映像の方も破壊された街並みやゴジラを捉えたロングショットはよく撮れてたけど、全体的に夜の暗い画ばかりでツマラナイ・・。

いやぁ、自分の期待していたゴジラはこんなはずじゃなかったんだけどなぁ。。って、98年版ゴジラでもそう言ってたっけ(笑)

夢のシネマパラダイス77番シアター:ウォレスとグルミットシリーズ

B000cs471i09 ウォレスとグルミット チーズホリデー(1989年・イギリス・23分)DVD

 監督:ニック・パーク

 声の出演(吹き替え版):萩本欽一

 評価★★★★/80点

内容:発明家の英国紳士ウォレスと愛犬グルミット。2人は大事なホリデーを前に旅行先を思案中。一息入れようとするウォレスだったが、大好物のチーズを切らしていたことに気づき、どうせ旅行に行くならチーズの美味しいところへ行こうと思いつく。そしてふと窓の外を見やると、美味しそうに輝くまん丸お月様が。さっそく、2人は宇宙船を作り、いざ月へ向けて旅立つのだった。

“チーズが大嫌いな自分でも、この作品に出てくるクランベリーチーズは食べたい!純粋に美味しそうなんだもの。”

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ウォレスとグルミット/ペンギンにをつけろ(1993年・イギリス・29分)DVD

 監督:ニック・パーク

 声の出演(吹き替え版):萩本欽一

 内容:グルミットの誕生日にウォレスは垂直の壁まで登れてしまうNASA製のその名もテクノズボンをプレゼント。しかし、それを買ったおかげで家計がヤバイ状態に。仕方なくウォレスは空いている部屋を貸しに出し、ほどなくしてかわいいペンギンが下宿することになるが・・・。

評価★★★★★/100点

未来少年コナン風ロボット、フィルム・ノワール風陰影でたたずむグルミット、赤外線、無表情なのに超絶演技ペンギンくん全て赤丸花マル二重丸。

スリル・サスペンス・ハートフルコメディがわずか30分たらずにブレンドされている、それをストレートに見せてしまう、これを傑作と言わずして何と言おう!

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ウォレスとグルミット、危機一(1996年・イギリス・31分)DVD

 監督:ニック・パーク

 声の出演:萩本欽一

 内容:窓拭きサービスの新商売を始めたウォレスとグルミット。が、ウォレスはお客さんである毛糸屋のウェンドレンに恋してしまう。しかし、この毛糸屋にはある秘密があった・・・。

評価★★★★/85点

新聞紙の質感、欽ちゃんの声、30分、グルミットの目、バック・トゥ・ザ・フューチャー風朝起き、はたまたターミネーター風サイボーグなどなど全て赤丸でっす!

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ウォレスとグルミットのおすすめ(2002年・イギリス・35分)DVD

 監督:ロイド・プライス、クリス・サドラー

 声の出演:萩本欽一

 内容:発明家ウォレスが日常生活を快適にするために作った様々な発明品をフィーチャーした全10篇からなる短編シリーズ。

評価★★★☆/70点

以前NHK-BSでこのシリーズを一挙放送したときには、前3作の合間合間にintermission風に3篇ずつくらい挿んで放映してたんだけど、このやり方には非常に好感がもてた。じゃないとちょっと飽きちゃうかもしれない。。悪く言えば1篇3~4分の小ネタ集にしか過ぎないわけだから。でも、アイデアは面白いし、このシリーズ独特のほのぼの感も出ていて良い。

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ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!

Aaifxsmmjw 監督:ニック・パーク、スティーヴ・ボックス

声の出演:萩本欽一、大川透、飯島直子

(2005年・米/英・85分)2006/03/24・MOVIX仙台

内容:町一番の美女で資産家のレディ・トッティントンが主催するお祭り“巨大野菜コンテスト”。しかし町にウサギが大繁殖したため、ウォレスと愛犬グルミットは、開発したウサギ回収マシーンを駆使して野菜を守るのに大忙し。が、そんなウォレスとグルミットの活躍にイヤな顔をするキザ男ヴィクター。そんなある夜、正体不明の巨大生物が出現、巨大野菜は食い荒らされ、町は恐怖に陥る・・・。アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞。

評価★★★★/80点

今までのシリーズは3作とも30分未満の短編だった。しかし、そのどれもがまるでトロリとしたクランベリーチーズとコクのあるレアチーズを何層にも重ね合わせ、釜で焼いた後ひと晩熟成させたレアチーズタルトのような超濃厚なエッセンスが詰まりにつまった作品だった。

しかもこの超濃厚エッセンスには保存料、着色料など一切の合成添加物は使用されていないのです!!味は格別、ブラックコーヒーもついて至福満腹の30分に舌鼓を打つ。

これほど贅の極みを尽くした100%素材の良さを引き出した純正手作り作品を自分は知らない。

それに比べると、尺が約3倍に伸びた今回の作品は、市販のスライスチーズとまではいかないまでも、濃厚さがやや薄まってはいる。

一部にCG安定剤も使っているようだが、そこはほとんど気にならない。しかし、やはり短編と長編の違いとでもいおうか、一本の映画としての形を整えなければならない長編の文法の中で、短編の歯切れのよい呼吸のリズムと勢いに欠けるきらいはある。

とはいっても、それは贅沢な悩みでもあるわけで、あっという間の85分、十分楽しめる作品に仕上がっている。

特に言葉を発することができない犬のグルミットの表情の千変万化には今回も度肝抜かれっぱなし。“目は口ほどに物を言う”をこれほど完璧に表現しているキャラクターを自分は知らない。

ほんとアカデミー賞ものの演技でっせ。

さぁ、次回作もあると期待して、あと5年気長に待ちましょか。もちろんその時は日本語吹き替え版でね♪

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ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~

Pre監督:マーク・バートン、リチャード・スターザック

(2015年・英/仏・86分)WOWOW

内容:イギリスの片田舎にある山の牧場。ある日、退屈な日々に飽きてどうしようもなくなったリーダー格のひつじのショーンと仲間たちは、牧場主を眠らせてトレーラーハウスに閉じ込めてしまった。牧羊犬ビッツァーは牧場主を起こそうとしたが、そのトレーラーが動き出してしまい、後を追うビッツァーと共に山の下の都会へ暴走していってしまう。心配になったショーンたちは2人を捜しに行くのだが・・・。 クレイアニメ「ウォレスとグルミット」のスピンオフTVシリーズの映画化作。

評価★★★★★/100点

映画はまずストーリーありきだと思っている自分にこのストップモーションアニメは鉄槌をくらわす。

映画とはアクションであり、活劇なのだ!と。

いや、考えてみればウォレスとグルミットシリーズですでに教わっていたことだし、もっと遡れば自分はジャッキー映画をさんざん見てきた世代じゃないかw映画にとって言葉なんて取るに足らないものなんだって。

「あー」「うー」「メー」しかセリフがなくても、アクションと演出のアイデア、そして無表情さえ表情豊かに見えてしまう微に入り細をうがつキャラクター造形により雄弁な映像が形作られる。

なによりアナログ感覚満載の手作り粘土が醸し出す質感とミニチュア感・立体感の唯一無二の味わいが絶妙で、これがただの3DCGアニメだったらさほど面白くなかったのではとさえ思えてしまうくらいだ。

笑いのセンス、音楽のセンス、映像のセンス全てがドンピシャ。映画とは何なのかで立ち止まった時に思い出そう。

ショーン!カムバーック(笑)!

夢のシネマパラダイス151番シアター:新聞記者

新聞記者

20190214shimbunkisha_full出演:シム・ウンギョン、松坂桃李、本田翼、岡山天音、西田尚美、高橋和也、北村有起哉、田中哲司

監督:藤井道人

(2019年・日本・113分)WOWOW

内容:日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育った東都新聞の社会部記者・吉岡(シム・ウンギョン)。ある日、社会部に医療系大学新設計画に関する匿名のFAXが届き、吉岡は上司の陣野(北村有起哉)からその極秘文書の裏を取るよう指示される。そして彼女は内閣府の神崎(高橋和也)という人物にたどり着く。一方、外務省から内閣情報調査室へ出向している杉原(松坂桃李)は、政権を維持するために情報操作する仕事に悩みながら日々を送っていた。そんな中、外務省時代の上司だった神崎が自殺してしまう・・・。

評価★★★★★/90点

ウォーターゲート事件を題材にした「大統領の陰謀」とその前日譚でベトナム戦争の愚行に迫る「ペンタゴンペーパーズ」、イラク戦争の大義の欺まんを暴く「記者たち衝撃と畏怖の真実」、原発問題に切り込む「チャイナシンドローム」、巨大宗教権力の闇に挑む「スポットライト世紀のスクープ」、政治権力に対するジャーナリズムの矜持を描いた「グッドナイト&グッドラック」etc..

“ペンは剣よりも強し”な実録社会派ドラマを量産してきたアメリカ映画の懐の深さに羨ましさを感じてきた中、まさか令和の時代に攻めに攻めたポリティカルサスペンスを日本映画で見ることができるとは思いもよらなかった。

しかも、憲政史上最長政権が健在だった中でガッツリ批判的な内容を一目でそれと分かるように描いてしまうのだから、その映画人としての勇気は大いに買いたいところ。

ただ、その気概が強すぎて娯楽作品としての遊びがないのと、総理に直結しながら霞が関の中でも実態がよく分からないとされる内閣情報調査室と田中哲司の仏頂面を権力体制の象徴として描き、政治家を一切出さないのも映画の奥行きを狭めたきらいはある。

まぁ、映画原案の東京新聞・望月衣塑子記者や元文部官僚が劇中のTV座談会に実際に登場するくらいだから、政権批判のベクトルに前のめりになる作りになるのは当初の狙いだったのだろうけど。

あと、キャラ設定にやや難ありだったとはいえ、主演女優のシム・ウンギョンの頑張りは大いに認めたいところ。

聞くところによると日本人女優がことごとくオファーを蹴ったということで白羽の矢が立ったらしいけど、望月記者に密着した森達也監督のドキュメンタリー映画の中で、彼女に対して朝鮮人呼ばわりする脅迫クレーマーが出てきたので、それに対する強烈な意趣返しだとしたら面白かったのに。

ちなみに、望月記者当人は感情の湿りが強い映画のシム・ウンギョンとは真逆の佐藤仁美みたいな男勝りキャラだったw

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スポットライト 世紀のスクープ

Spotlight560x840出演:マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス、リーヴ・シュレイバー、ビリー・クラダップ、スタンリー・トゥッチ

監督:トム・マッカーシー

(2015年・アメリカ・128分)WOWOW

内容:2001年、ボストン。地元のボストン・グローブ新聞社に編集局長として赴任したマーティ・バロンは、ゲーガン事件-神父による80人にものぼる子供への性的虐待事件-の見直しを命じる。しかし読者の多くをカトリック信者が占める中ではタブーとされる醜聞であり、幹部は難色を示す。そんな中でウォルター・ロビンソンら4人の記者たち“スポットライト”チームに事件の調査取材が任された・・・。

評価★★★/65点

いくら世界で最も宗教に疎い日本人のひとりとはいえ、ひとつの街で250人もの神父が児童の性的虐待に関わっていた事実、そしてこれは世界的にみれば氷山の一角にすぎないという事実には驚きを通り越してドン引きするしかない。

なんだけど、あまりにも実話としての重みがセンセーショナルすぎて各方面への配慮と慎重さが求められたのか、映画のプロット構築が真面目すぎて、角の立たない無難な作りに終始してる感が強かったかなぁ。

スポットライトのチームスタッフにあっても主人公を置かず、被害者は不特定多数、加害者は教会組織という中で個人の顔がなかなか見えてこなくて、そこが物足りない部分だったのかなという気はする。

まぁ、意図した作りだったんだろうし、その土地と教会が密接に結びついているアメリカ社会においてタブーに切り込んだだけでも評価すべきことなのかもしれないけど、これでアカデミー賞てのは正直意外。。

ただ、声なき声にスポットライトを当てるジャーナリズムの使命を疎かにしてしまった自省という面を重くとらえている向きもあって、ジャーナリズム=正義として必ずしも描こうとしていないところが、この映画の誠実さを如実に示しているところではあるんだよね。

しかしまぁ、事実は小説より奇なりとはいうけど、ここまでおぞましい事実を突きつけられるとなんだかねぇ・・。

教会は万能で何でもできるというセリフがあったけど、キリスト教に全くの門外漢な自分としては、教会が地域で果たす役割やその聖域性を肌で知っていれば、この映画に対する見方もかなり違ってくるんだろうなぁとは思った。だって警察や弁護士はじめ地域も薄々感づいていたわけでしょ。けど子供を守るべき大人が声を上げられない動けないってどんだけ硬直した社会なんだよ・・・。

日本でも教師のわいせつ事件とかビックリするくらい多いらしいけど、学校も閉鎖空間だし、もう第3者のカウンセラーとか学校に常設してオープンにするとか、あるいはそういう輩にはGPS付けるしか防ぎようがないと思うな。

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消されたヘッドライン

1 出演:ラッセル・クロウ、ベン・アフレック、レイチェル・マクアダムス、ヘレン・ミレン、ジェイソン・ベイトマン、ロビン・ライト・ペン

監督:ケヴィン・マクドナルド

(2009年・米・127分)WOWOW

 

内容:ワシントンDC。ある夜、ヤク中の黒人少年が何者かに射殺され、地元紙ワシントン・グローブの記者カル・マカフリーが取材を開始する。その翌朝、コリンズ下院議員の秘書ソニアが地下鉄で不審な死を遂げる。マスコミがコリンズとソニアの不倫疑惑を一斉に報じる中、コリンズは旧知の間柄であるカルにソニアの死は自殺ではないと主張する。カルは女性新米記者デラとともに取材を進めていくが・・・。

評価★★★☆/70点

真実を追い求めようとする者の姿ほどアツい人間力が発揮されるものはない。

銃という飛び道具を持つ刑事よりも、ペンと足と信用で勝負する新聞記者の方がより人間力が試されるという点で、個人的には新聞記者を描いた映画はかなり好みの部類。

骨太な社会派「紳士協定」(1947)やラブロマンス「ローマの休日」(1953)、戦場の真実を追った「キリング・フィールド」(1984)など古今を問わず様々なジャンルに及んでいるけど、やはり「クライマーズ・ハイ」(2008)のような新聞社を舞台にした作品や、権力を監視することが本来の職務であるジャーナリスト魂を感じさせる「大統領の陰謀」(1976)のような作品が好きかな。

その点でいえば、今回の映画はドンピシャのネタだと思うんだけども、軍産複合体の実態にジワリジワリと迫っていくプロセスはスリリングで面白かったものの、結局最後に個人の問題に帰結してしまったどんでん返しにはいささか辟易してしまった。

巨悪の闇を隠そうと事件を矮小化しようとする権力側とそれに対抗するジャーナリズムという「大統領の陰謀」的構図を踏襲しつつ、その裏側に売れることありきで針小棒大にネタを書き立てようとするメディアの危うさを盛り込んだのは買いなのだけど、さらにそこにひとひねり付け加えたことで、実は事実そのものが矮小なものだったのだというオチは、まるでピンと張り詰めた風船が一気にしぼんでしまったような呆気なさを感じて思わずガクッときてしまう。

誰よりも速く情報を知りたい、何よりもスキャンダラスなニュースを知りたいというWEB&メディア社会に生きる我々に対する皮肉とメディアへの警鐘が裏テーマとしてあったということなのだろうけど、ちょっと消化不良だったかな。

まぁ、とはいえ、ラッセル・クロウの一癖ある人物像や、脇に配された女性陣の印象深い存在感など役者陣はおおむね良かったし、二転三転する展開も面白く、見て損はない作品だとは思った。

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大統領の陰謀

Image848 出演:ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン、ジェイソン・ロバーズ

監督:アラン・J・パクラ

(1976年・アメリカ・132分)NHK-BS

評価★★★★/80点

 

内容:1972年6月17日、ワシントンのウォーターゲートビルにある民主党全国委員会本部に5人の男たちが侵入し逮捕された。男たちは盗聴器を仕掛けるために入り込んだが、共和党の狂信者による単独犯行として片付けられる。「ワシントン・ポスト」の若い記者バーンスタインとウッドワードは、事件の背後に何者かの陰謀を感じ取り、追跡調査に乗り出した。ウォーターゲート事件の真相究明に奔走した「ワシントン・ポスト」紙記者の実話の映画化。

“ディープ・スロートが始めからしゃべっとれば済む話ちゃうの?とついつい思ってしまう。。”

事件から30数年経った2005年に、ディープ・スロートの正体が元FBI副長官だったことが判明して一躍話題になっちゃったけど。

でも、この映画見ると、ラストでしゃべるくらいなら最初からしゃべっとけば逆に自分の身も安全だろうにと思っちゃった。。実際はどうだったのか分からんが。

そいえばX-ファイルにもディープ・スロートって出てきたっけ。この映画からきているのだろうか。

でもまぁ、この映画で気になったのはディープ・スロートくらいなもんで、他は全体を通していえばほぼ完璧ともいえる映画だったと思う。

幾層にも重なった断片的な情報の積み重ねを玉ネギの表皮を1枚1枚剥がしていくようにしっかりと描き出していく。

例えば、2万5千ドルの小切手にケネス・ダールバーグという名前を見つけるくだりでも、事務所になんとか入り込むために受付の女性との口八丁手八丁のやりとりをするところを手抜きをせずにちゃんと描く。

それによって、断片的な情報がより実体をもったものとして生きてくる。

そして、その積み重ねによって、最初は得体の知れない何かとしか分からなかったものの正体が徐々に明らかになっていく。

真実に辿り着くまでの過程の描き方が非常に緻密で素晴らしく、見ごたえのある作品になっていると思う。

ただ難点、アメリカ人にとっては難点じゃないだろうけど、特に初めてこの映画を見る日本人には見てるうちに何がナンだか分からなくなってくるのではないかなと。アメリカの選挙方式も含めて。。

恥ずかしながら自分も途中からわけが分からなくなったくちで・・。2回見てやっと理解。。

というのも関係者の人物名が多すぎて、人物関係がつかめなくなっちゃうんだよね。

ケネス・ダールバーグあたりまでは追えるけど、その後ずらりと次から次へとスタンズやらスローンやらポーター、、え?何者?カーンバック??カムバックじゃなくて?チェーピン???ホールドマンって誰?って黒幕かよ!

もうお手上げ~~。

結局2回目はメモしながら見たけど、これがけっこう凄い人物相関図になるのね。。

ハワード・ハントからチャールズ・コルソンとマレン社に枝分かれした後、ホールドマンに至るまでの流れがけっこうどころじゃなく凄い。

この映画に出てくるウォーターゲート事件に関連した人物名、ワシントンポスト勤務者以外でなんと25人くらいになります。これにウッドワード、バーンスタイン、ディープ・スロートなどを含めるとざっと30人にはなるんだよね。

脳の処理能力超えてるだろww

まあ逆にいえば2時間ちょいによく収めたなあってことなんだけど。

でもディープ・スロートが最初にしゃべっとけば、とやっぱり思っちゃうよねこれ・・。

2020年12月29日 (火)

夢のシネマパラダイス467番シアター:究極サバイバル!

新幹線大爆破

Ibqkquwku 出演:高倉健、宇津井健、千葉真一、山本圭、織田あきら、渡辺文雄、竜雷太、宇都宮雅代

監督・脚本:佐藤純彌

(1975年・東映・153分)DVD

評価★★★★/75点

 

内容:東京から博多へ向けて走る新幹線「ひかり109号」に爆弾を仕掛けたという脅迫電話が国鉄に入った。その爆弾はスピードが時速80キロ以下になると爆発するという。犯人は500万ドルを要求し、警察も捜査を開始するが、途中の駅に停車することもできない新幹線は、パニックに陥った乗客たちを乗せて、タイム・リミットへとひた走る。キアヌ・リーブス主演の「スピード」の元ネタになったともいわれる快作。

“まるで速度を落とすのを執拗に恐れているかのごとく一本調子で走り続ける人力シネマ超特急”

2時間半後、終着駅で停車して降りるものの、シネマのほとぼりはなかなか冷めない。

それほどまでに、ああ、映画を見たぞぉーっという満腹感でいっぱいなのだが、しかし実はその実体はなかなか大雑把なやっつけ仕事の鬼とでもいえばいいだろうか。至るところで映画の道筋のレールが寸断されているのだが、そんなことなどお構いなしにとにかく走り続ける。

さすがに図面がある喫茶店が偶然にも火事で焼けてしまうというのは作劇としてはあまりにもいい加減で思わず閉口してしまったし、犯人を確保するどころか2人連続で死に至らしめてしまう警察のバカっぷりなどお世辞にもプロの仕事とはいえない。

ある意味、映画のいい加減な体裁をとるために山本圭は自爆させられたといってもよく、結局、高倉健も撃たれて死んでしまうわけで、警察や国鉄にしてみたら動機が分からないまま終わっちゃったわけだ。

彼ら犯人たちの抱えていた背景は世に出ることはなく、、それもまた可哀想な話だ。

しかし、あの山本圭が自爆って。80年代生まれの自分にとっては山本圭といったら心優しい良き父親といった印象が強いのだけど、まさかこんな闘う男だったなんて。。

まぁ、普通に考えたら、司令室、新幹線、犯人、警察と四足のわらじを履くこと自体どっかで無理が生じるのは目に見えているのだけど、よりによって犯人側にウエートを置くというのは映画と映画内のリミットを考えたら1番難しい大冒険だろう。

しかもこの犯人たちにあまりにも大きなものを背負わせてしまった。日本を動かしている秩序、彼らが言うところの歪んだ体制を。。

それを必要最低限の描写で目ぇ一杯最大限体現できる役者として高倉健をあてたのは理にかなってはいる。

しかし、やはりリミット制限ギリギリの爆弾パニックムービーにおいて、犯人たちの両手に爆弾以上に重い十字架を持たせることがはたしてよかったのかどうか、意味があるのかどうか疑問は残る。

壊すという行為においては、全共闘も新幹線爆破も同じだが、そこに何か正義を求められるのかという意味では新幹線爆破に正義と同情のつけ入る隙も余地も全くない。れっきとした凶悪犯罪である。

やはりその点においてこの映画のウエートの置き方には疑問が残るし、その描写がやや効果のないブレーキになっていたのもたしかだ。

それでもなお★4っつにしたのは、映画の作り手の意気込みと熱意、それを燃焼材としてとにかく2時間半走り続けた血と汗の結晶、人力シネマ超特急にいやが上にも魅せられたからだ。

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ロスト・バケーション

Shallows2016a

出演:ブレイク・ライブリー、オスカー・ジャネーダ、ブレット・カレン、セドナ・レッグ

監督:ジャウマ・コレット=セラ

(2016年・アメリカ・86分)WOWOW

内容:医学生のナンシーは女友達と一緒にメキシコを旅行。亡き母から教わったいまだ観光客には知られていないビーチを訪れた。現地の男といちゃつく友達を置いて浜辺へ向かった彼女は、さっそくサーフィンに興じる。最初は他のサーファーが2人いたものの、やがて1人に。すると突然、何かにぶつかり脚を負傷し出血してしまい、岸から200m離れた近くの岩場に一時避難するのだが・・・。

評価★★★/65点

スピルバーグの「ジョーズ」から40年。

40年経ってもかの作品を超える作品が出てこないというのも考えてみればスゴイことだよなぁw

けど、あの映画の面白さってもちろんサメの恐怖がいの一番にあるものの、登場人物のキャラクターのぶつかり合いという一面も実は大きなウェートを占めていて。

サメのホームグラウンドにもかかわらず、なかなか一枚岩にならない大人たちを見て子供心にそんなことしてる場合じゃないだろと思ったものだけど、サメ退治に名乗りをあげる3人のキャラクターは今でも思い出せるくらい印象的なんだよね。

その点今回は、砂浜から200mほど離れたポイントでひとりの女性サーファーと一匹のサメが対峙するという非常にシンプルなワンシチュエーションものになっていて、サメの姿をなかなか見せないオリジナルマインドを押さえているのは前提としても、距離・潮の満ち引き・負傷した足のハンデの3点のみで映画として機能させた演出力は及第点だし、90分以内に収めたのも良い。

特に砂浜が見えるといったどうにかすれば助かるかもしれないという絶望の一歩手前の“距離感”は絶妙で、その中での孤独感とそれを和らげる一羽のカモメの配置も上手い。

ザックリ咬まれた足の痛々しさや、トゲトゲ珊瑚を踏んでしまったりクラゲに刺されたり痛覚刺激も120%で、総じてシンプルさゆえのリアリティがあって面白かった。

ただ、肝心のサメがあまりにもストーカーすぎて、ちょい冷めw

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127時間

O0586082312315252485 出演:ジェームズ・フランコ、アンバー・タンブリン、ケイト・マーラ、ケイト・バートン、トリート・ウィリアムズ

監督・脚本:ダニー・ボイル

(2010年・米/英・94分)WOWOW

内容:休日はグランドキャニオンを駆け回るほどのロッククライミング好きの青年アーロンは、自分の冒険する姿を自撮りして悦に入るような自信家。しかしある日、庭のように慣れ親しんだブルー・ジョン・キャニオンで、ふとしたアクシデントから、大きな落石に右腕を挟まれ、谷底で身動きがとれなくなってしまう・・・。

評価★★★☆/70点

何の予備知識もなしに見たので、主人公はこのまま衰弱死しちゃうのだろうか、それとも腕を切り落としちゃうの!?とゾワゾワしながら見てしまったのだけど、絶対的な孤独と迫り来る死の恐怖に閉所恐怖症の自分は心が折れかかってしまった。いや、半分折れた

まさに主人公の陥った極限状況を疑似体験しているようなかんじで、途中でなんでこんなの見てなきゃならないんだとキレかかってしまった・・

なんかホラー映画はどこかアトラクション感覚で見てる部分があるけど、これは全然違うんだよね。もっとリアルで異質で皮膚感覚に突き刺さってくるような。。

ダニー・ボイルの演出もダサかっこ良くてw、鼻につく一歩手前で許せた。

まぁ、アンビリバボーで20分くらいでやるような企画をハラハラドキドキの映画に仕上げちゃう手腕はやっぱりスゴイと思うけどね。ダサってのが先にどうしても付いちゃうのはご愛嬌としようww

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スピード

Speed 出演:キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、デニス・ホッパー

監督:ヤン・デ・ボン

(1994年・アメリカ・115分)盛岡ピカデリー

内容:爆弾魔がロスの市バスに時速が80キロ以下になると爆発するという爆弾を仕掛け、身代金を要求する。疾走するバスを追い、飛び乗ったロス市警特別隊員ジャックは、重傷を負った運転手の代わりにハンドルを握る女性アニーとともに必死の努力を続けるが・・・。

評価★★★★★/100点

ヤクだ、クスリだ、スピードだ

アドレナリンじゃんじゃん放出、覚醒する脳。

起承転結すべて★5っつ!シンプルこそ命。

スピード、、忘れた頃に摂取したくなるシロモノです。。

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運命を分けたザイル

Un 出演:サイモン・ウェーツ、ブレンダン・マッキー、オーリー・ライアル

監督:ケビン・マクドナルド

(2003年・イギリス・107分)2005/02/17・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

 

内容:1985年、イギリスの若き登山家ジョーとサイモンは、難関とされるシウラ・グランデ峰の登頂に成功する。しかし、下山の際にジョーは滑落。命のかかった極限の状況下、サイモンは2人をつなぐザイルを切る決断を下すのだった・・・。世界中でベストセラーになったノンフィクション文学の映画化。

“想像を絶するとはまさにこのこと。彼らの体験を映像と語りで追体験させようとするが、自分の頭の中の想像力では決して越えられない絶壁が立ちふさがり、ただ唖然として凝視するほかに方法がない・・。”

スキー・スノボを毎シーズンやってる自分にとっては、猛吹雪の中、強風で乗ってたリフトが非常停止してしまった状況を思い浮かべるだけで精一杯。

しかも1シーズンに数回あるかどうかだし、長くてせいぜい30分てとこだからなぁ。

でも、このたった30分が地獄なんだよね。それが7日間、しかも骨折&クレバス転落のおまけ付きときたもんだ。

天上から垂らされた蜘蛛の糸をつたって這い上がるのならまだしも、地獄へと下っていく選択をするというのは今の自分の思考回路では到底考えられない。。

想像を絶するとはまさにこのことだ。

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フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996年・アメリカ・111分)WOWOW

 監督:ロバート・ロドリゲス

 出演:ジョージ・クルーニー、クエンティン・タランティーノ、ハーヴェイ・カイテル、ジュリエット・ルイス

 内容:銀行を襲撃したセスとリチャードの兄弟は、メキシコに逃亡。2人は元牧師一家を人質にとり、仲間の待つ酒場へ向かうが、そこはなぜか吸血鬼の巣窟で、夜明けまで凄絶なサバイバルバトルを繰り広げることになる・・・。タランティーノ&ロドリゲスがコンビを組んだアクション・ホラー。

評価★★★/65点

“前半映画楽しむも 後半マンガになりにけり。。”

しかも前半は良い意味で異常かつ異様だったのが、後半のゾンビ漫画は悪い意味で正常かつフツーになっちゃってるという逆転現象に、しばし閉口。

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オープン・ウォーター(2003年・アメリカ・79分)DVD

 監督・脚本:クリス・ケンティス

 出演:ブランチャード・ライアン、ダニエル・トラビス、ソウル・スタイン、エステル・ラウ

 内容:バカンスを利用してカリブ海にやって来たアメリカ人夫婦が、ふとしたことからダイビング中に海に取り残されてしまう。やがて2人の目の前には、数え切れないほどのサメが集まってきて・・・。

評価★★★/60点

“1対1の本音夫婦げんかバトルをする場所としては最適だということだけは分かった。”

映画としてはお腹一杯どころか腹八分にも満たない出来。

スーザンの素っ裸以外は自分の予想の範疇といったかんじで、うちのソファにゆったり身をまかせて見ることができてしまう。

小学生の頃によく読んでた海の図鑑や本に出てくるサメの話にビクビクしていたときの恐怖感の方が確実に残る。

もしかしてこの映画のメイキングドキュメンタリーの方が真に恐くて面白いのでは・・・。

夢のシネマパラダイス608番シアター:レヴェナント 蘇えりし者

レヴェナント:蘇えりし者

Sp_mailvisual出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター、フォレスト・グッドラック

監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ

(2015年・アメリカ・156分)盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:1823年アメリカ北西部。毛皮採集のためにミズーリ川沿いを進む一団。ガイド役を務めるベテランハンターのグラス(レオナルド・ディカプリオ)は、息子のホークとともにその一行に加わっていた。しかしある時、先住民の襲撃を受けて多数の犠牲者を出す事態に。さらに、逃走中グラスは熊に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。もはや息も絶え絶えの中、最期を看取るために残った仲間のフィッツジェラルド(トム・ハーディ)が裏切り、ホークを殺されたうえにグラスは生き埋めにされてしまうのだが・・・。

“復讐するは神にあり”

今までいろいろな映画を見るたびに散々言ってきたことだけど、どんなに醜態をさらけ出そうが石にかじりついてでも生への執着にしがみつく人間を描いた映画が最も好きだ。

それに照らせば今作はまさにドンピシャ!

クマに襲われ瀕死の重傷を負おうが、仲間に生き埋めにされ酷寒の地に置き去りにされようが崖から転落しようが川の濁流に流されようが、傷口に火薬を塗り込み火を当てて焼き固め、生魚や生肉を食らい、かっさばいた馬の腹の中に潜り込んで布団代わりにしてまで生き抜こうとするグラスの執念と怨念にただただ釘付け。

また、グラスのサバイバルの原動力となる復讐相手のフィッツジェラルドも他人を蹴落としてまで金を手に入れ生き抜こうとする点で自分の尺度でみれば非常に魅力的で、トム・ハーディあってのディカプリオだったのだということは指摘しておきたい。

あとは何と言っても映像美。

監督は誰かときかれたら迷わずにテレンス・マリックと答えてしまいそうなほど大自然の荘厳な映像叙事詩として仕上がっていて、五感をフルに動員して見せられる2時間40分は湿り気のないカラリとした西部劇のくくりを軽々と飛び越えてしまっている。

しっとりと浸みてきて尚且つ重厚さに圧倒される絵の前ではごくごくシンプルなストーリーでも十二分だ。

さらに、例えば至近距離から撃たれた馬が卒倒し即死するシーンをはじめ、問答無用で訪れる無秩序な死の描写は普通の映画と比べてもショッキングで、形容としてこの言葉が合っているかどうか分からないけど、まるでホロコーストの映画を見ている時と同じようなおぞましい緊迫感にあふれている。

そしてラストの肉を切らせて骨を断つグラスとフィッツジェラルドの肉弾戦がこれまた目を覆いたくなるほどの死闘で、映画を見終わったあとはドッと疲れと無常感が押し寄せてきた・・・。

とはいえ、この余韻は数日引きずりそうだけどね。。

P.S.クマに襲われた時の対処教材としても絶対見ておくべき映画だと思うw

2020年12月 3日 (木)

太平洋戦争の記憶シリーズ第10号:南部仏印進駐とマレー進攻作戦

太平洋戦争は日本軍による昭和16年12月8日の真珠湾攻撃が端緒となったことは自明の理として知っていたけど、真珠湾攻撃と同じ日に並行して英領マレーに進攻し、イギリス軍の牙城シンガポールを落とす作戦が決行されていたことは今回初めて知った。

しかも、時間的には真珠湾攻撃より前に戦端が開かれていたということで、えっ?なんでこんな重大なこと今まで知らされてなかったんだろうと。もちろん真珠湾攻撃のインパクトが大きすぎるというのはあるんだろうけど、もっとクローズアップされてもいいんじゃないかと思う。

真珠湾攻撃が海軍主体であったのに対し、マレー侵攻は陸軍主体だったということだが、しかし補給路も戦線も伸びきってしまうようなリスクを抱えた何千キロも離れた南方の地になんで進攻しなければならなかったのか?

それは、昭和12年に開戦した日中戦争が長期化する中で、中国を支援するアメリカが昭和14年7月に日米通商航海条約を破棄し、日本への経済制裁を開始。それにより石油など多くの資源をアメリカからの輸入に頼っていた日本は大きな打撃を受け、日中戦争の遂行も困難となっていった。そんな中で出てきたのが、現在のインドネシアにあたるオランダ領東インド(蘭印)の油田をはじめとする東南アジアの資源確保を目指す「南進論」だった。

また、日中戦争で蔣介石率いる国民党政府に対し、仏領インドネシアや英領ビルマから物資兵器が送り込まれていて、この「援蔣ルート」の遮断も狙ってのことだった。

その足がかりとして目をつけたのが中華民国と国境を接する北部仏印(今のベトナム北部)だった。日本は昭和15年6月にドイツに降伏していたフランスのヴィシー政権と北部仏印への進駐を含む協定を結び、多少の小競り合いはあったものの9月には進駐を完了する。

しかし、これが米英の対日感情をさらに悪化させる事態となり、そこに輪をかけたように同月に日独伊三国同盟が締結されたことによりアメリカはさらに経済制裁を強化。

真綿で首を絞められていく日本は、昭和16年7月の御前会議で南部仏印進駐を決定。圧倒的軍事力をもとに7月末にはベトナム南部、ラオス、カンボジアを含む仏印全土を掌握した。

これに対し、アメリカは8月に石油全面禁輸という最終段階の経済制裁を発動。窮地に追い込まれた日本は対米戦争を決断するに至る。その中で、自前での資源確保が必至となった日本は、油田地帯がある蘭印攻略作戦を発動するが、その障害となるのがイギリスのアジア経営の拠点シンガポールがある英領マレー(今のマレーシア)だった。そこで米英開戦の緒戦に速攻でマレー作戦を実行に移したというわけだ。

こう見てくると、建前としてはアジアを植民地から解放するぞーと大東亜共栄圏を掲げたけど、本音は石油がないと日本滅びるぞーってことだったんだな。しかもこんな侵攻を米英が許すはずもないのに、なぜか日本の軍部には米英はキレないだろっていう楽観論が支配してたっていうんだから、ったくw

しかし、当時の新聞を見ると、“全マレー半島を制圧”、“全シ島の死命を制す”、“壮烈ブキテマ奪取戦”、“堂々世紀の大船団!今ぞ灼熱の南海を征く”、“ジョホール・バハル突入!待望の入城”などなど、目で見て読んでいくうちにスゲエな日本イケイケ日本!となる気持ちも分からんでもなくなってくる(笑)

いかに新聞メディアが戦争を煽り加担していたかが如実に分かって怖くなった。。

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