夢のシネマパラダイス20番シアター:ディズニーアニメ第2倉庫
ズートピア
声の出演(吹き替え版):上戸彩、三宅健太、高橋茂雄、玄田哲章、竹内順子、Dream Ami
監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
(2016年・アメリカ・108分)WOWOW
内容:肉食動物も草食動物も関係なく共生している動物たちの楽園ズートピアで史上初のウサギの警察官となったジュディ。しかし、周りからは半人前扱いされ、任されるのは駐車違反の取り締まりばかり。そんな中、巷では連続行方不明事件が多発し、ジュディにも捜査へ参加するチャンスが巡ってくる。そして偶然知り合った詐欺師のキツネ・ニックとともに捜査をするのだが・・・。
評価★★★★/75点
アニメが本来持つ伝える力の純度の高さというものをこれほど感じられる作品はないのではなかろうか。
様々な個性を持ったアニマルキャラが共存する自由の地ズートピアをユーモアたっぷりに描きながらも現実の人間社会とリンクさせ、肉食動物と草食動物、大型動物と小型動物、オスとメス、マジョリティとマイノリティなど様々な要素にメタファーを織り込み、見ているこちら側にまで先入観や偏見をさりげなく植え付ける仕掛けになっているところがこの映画のミソ。
また、アイスショップでキツネにはアイスは売らないと言われてすったもんだするシーンなんかも、キツネは少々差別を受けても仕方ないよなとスルーしちゃったし、事件のキーワードとなる“夜の遠吠え”=オオカミの仕業と推理するくだりもオオカミが犯人ならとどこかで納得してしまうし、正義感が強く警察学校を首席で卒業した優秀なジュディなら間違うはずがないと思ってしまう。
ここら辺の先入観を逆手に取ったミスリードの仕方が実に上手くて、お手柄を立てたジュディが「狂暴化したのは肉食動物だけだから、生来持つDNAのせいなのかも」「けどニック、もちろんあなたは別よ」と発言してしまうところで、理性がもたらす“悪意なき差別”に我々もハッと気付かされることになる。
その気付きを学んで、ジュディとニックは悪意ある差別をまき散らそうとする真の黒幕を一刀両断するわけで、一筋縄ではいかない差別・偏見のはびこる人間社会を分かりやすい縮図として表し、お互いの違いを認め合うことの大切さという子供から大人まで理解できるメッセージ性を有した作品に仕上げてしまうのだから恐れ入る。
そして、ここまで高いクオリティを保った作品を提示できるのは、たぶん今ディズニーしかないということも実感してしまうジブリファンなのだったw
P.S. 日本アニメは宮崎駿、押井守、大友克洋、新海誠など作家性が前面に出るのが常なので、今作みたいにディズニー印のもとに共同監督+脚本家7人なんていうアベンジャーズばりのチーム体制で作り上げていく手法は日本ではあまり出来ないのかもね。。
----------------------
ベイマックス
声の出演(吹き替え版):川島得愛、本城雄太郎、菅野美穂、小泉孝太郎
監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
(2014年・アメリカ・102分)WOWOW
内容:近未来の最先端都市サンフランソウキョウ。幼い頃に両親を亡くした14歳の少年ヒロは、兄のタダシとともに叔母キャスのもとで暮らしていた。飛び級で高校を卒業してしまった天才のヒロは、タダシが通う大学に入ることを夢見ていた。そして入試を兼ねた研究発表も無事終わるが、その会場で爆発事故が起こってタダシが命を落とし、ヒロはメンタルをすっかりやられてしまう。そんな彼の前に現われたのは、タダシが残した形見のケアロボット“ベイマックス”だった・・・。
評価★★★/60点
主人公の少年がトトロとゴーストバスターズのマシュマロマンを掛け合わせたようなツルツルロボのベイマックスに包み込まれるように抱き寄せられる予告編のワンシーンくらいしか予備知識がない中で見たんだけど、予告編のイメージとしてはピクサーのウォーリーと未来少年ヒロの友情癒やし系物語かと思っていた。
しかし、見始めていくと次第にMr.インクレディブル的ヒーローアクションものの様相を呈してきて、最後はマーベルのロゴがでん!と出た後にスタン・リーまで出てきて。
そっか、、原題のビッグヒーロー6ってそういうことだったのか・・・。
うまいこと予告編に刷り込まれたかんじだけど、マーベルヒーローという前情報だけでも知ってればもっと面白く見れたはず、と思ったのは自分だけw?
でも、そうはいっても今回の作品はウォーリーの擬人化されたキャラの豊かな感情表現にも、Mr.インクレディブルの魅力的なキャラクター造形のアンサンブルにも遠く及ばないけどね
やっぱりピクサーに比べるとディズニーはひとかけの隠し味の工夫と、もうひとかけの毒気が足りないんだよなぁ。。
せめてビッグヒーロー6のチームメンバーになるヒロのオタク同級生たちをもっと前面に出してほしかったな。
----------------------
アナと雪の女王
声の出演(吹き替え版):神田沙也加、松たか子、原慎一郎、ピエール瀧、津田英佑、多田野曜平
監督:クリス・バック、ジェニファー・リー
(2013年・アメリカ・102分)WOWOW
内容:アレンデール王国の幼いプリンセス姉妹エルサとアナ。姉エルサには触れたものを凍らせてしまう魔法の能力があったが、ある時、不注意で妹アナに怪我を負わせてしまう。それ以来、責任を感じたエルサは部屋に引きこもってしまう。それから時は流れ、国王夫妻が事故で亡くなり、エルサは王位を継ぐことに。しかし、戴冠式の最中に力を制御できなくなり、真夏の王国を厳冬に変えてしまったエルサは、王宮から逃亡し、今度は雪山に築いた氷の城に引きこもってしまう。アナは、なんとか姉と王国の危機を救おうと雪山へ向かうのだが・・・。
評価★★★★/75点
2014年記録づくめの特大ヒットとなった今作をリアルタイムで見ていない自分は世の中のフィーバーをいくぶん冷めた視線というか半信半疑で見ていたところがあった。
それはディズニーアニメは大人の鑑賞に耐えうるものではないという先入観がいまだに拭いきれていなかったからだ。いまだにというのは「塔の上のラプンツェル」(2010)が目を見張るような良作だったのに対し、その流れがアナ雪にも受け継がれているのかまだ十分信用できなかったということで
しかし、満を持して見てみたら、その流れはちゃんと踏襲されていて水準以上の作品になっていたと思う。
その流れとは具体的には3DCGの作画技術が生み出す魅力的なキャラクタリゼーションにあるといっていいと思うけど、特に顔の造形力と表情筋の豊かさは特筆もので、実写の質感に寄せていくリアル志向なベクトルではなく、あくまでアニメーションであることを意識したデフォルメとクレイアニメに近い柔らかく暖かみのある質感が親近感のわくキャラクターにつながっていて、そのポイントがアナ雪ではより強調されて描かれていたと思う。
それにより複雑な感情表現も登場人物に違和感なく反映されていて、それが自然と個性に昇華されているのが最大の強みだと思う。
これはジョン・ラセターをはじめとするピクサーの血が入り込んでいることが大きいと思うけど、反面ストーリーラインの方がオーソドックスで平板にすぎて、歴史的なメガヒットに足る魅力があったかといえばやや疑問。
姉妹に愛憎劇が絡むと「何がジェーンに起ったか」(1962)のようなおぞましいほどのスリラーに変貌を遂げちゃうけど、ディズニーの王道プリンセス物語に沿った予定調和なソフトタッチがやや物足りなかったかな。
さっき複雑な感情表現と書いたけど、その点ではまだまだ足りなかったし、例えばエルサの苦悩はもっと掘り下げてもよかった。エルサの感情が爆発するレット・イット・ゴーもう歌っちゃうの!?と正直意表をつかれちゃったし。エルサにしろアナにしろ、あるいは両親の死など、それぞれの要素がこちらの感情を強く喚起するまでの奥行きと広がりに乏しかったのはかなり惜しかった。
しかし、それを補ってあまりあるミュージカルの魅力は満載で、さすがミュージカルの本場アメリカだと思わせてくれる素晴らしさだった♪
考えてみればディズニーアニメで1番の傑作「美女と野獣」も音楽と作劇が見事に融合していたけど、それを彷彿とさせるかんじだったし。
で、結局メガヒットの最大の功労者は、音楽の力、そして神田沙也加と松たか子の吹き替えに尽きるってことなのかなと(笑)。
----------------------
プレーンズ
声の出演(吹き替え版):瑛太、石田太郎、井上芳雄、山口智充、小林沙苗、天田益男
監督:クレイ・ホール
(2013年・アメリカ・92分)WOWOW
内容:田舎の農場で働く農薬散布機のダスティは、世界一周レースに出てチャンピオンになることを夢見ていた。レース用飛行機ではない彼の夢を誰もまともに取り合ってくれない中、親友の燃料トラック・チャグとフォークリフト・ドッティだけは応援していた。その甲斐もあり、ダスティは奇跡的に本選出場を決めるが、高所恐怖症という最大の弱点をどうにも克服できずにいた・・・。
評価★★★/60点
ピクサー製作「カーズ」のスピンオフ企画だけど、ピクサーではなくディズニーが製作している変わり種。
話の構成や画作りも「カーズ」をほぼ踏襲しているんだけど、なぜいまいち面白くないんだろう・・
なんかピクサーとディズニーのレベルの差が如実に表れちゃったかんじだけど、その差はシナリオの精度といってよく、絵は同じでもシナリオに魅力がないと全体として歴然としたレベルの差になってしまうという、これほど分かりやすい対照実験もないよな
特に挫折と成長というキーワードを欠いた主人公のキャラクターが映画を一本調子なものにして奥行きを狭めてしまっているんだよね。
その点ピクサーはそこに時間と手間ひまをかけて上手く作っているわけで。
まぁ、正直今回のはテレビ映画向きのレベルだよね。と思ったらもともとそういう企画だったのかい。納得。。
P.S. 2作目も似たようなもんでした・・・w
« 夢のシネマパラダイス164番シアター:パニック・ルーム | トップページ | 夢のシネマパラダイス574番シアター:ショービズ界の光と闇 »
« 夢のシネマパラダイス164番シアター:パニック・ルーム | トップページ | 夢のシネマパラダイス574番シアター:ショービズ界の光と闇 »
コメント