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2018年11月 6日 (火)

夢のシネマパラダイス568番シアター:天下分け目の決戦!

レッドクリフPartⅠ

279_2 出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、中村獅童、リン・チーリン

監督:ジョン・ウー

(2008年・中/日/台/韓・145分)盛岡フォーラム

内容:西暦208年。魏の曹操は呉蜀の制圧に向け80万の大軍を率いて南下を開始した。最初の標的となった僅か2万の劉備軍は、関羽・張飛・趙雲らの猛将を擁しながらも敗走を重ねる。そして、天才軍師の諸葛孔明は、江東の孫権との同盟を結ぶ以外に道はないと進言し、自ら呉の地へと赴く。そこで孔明は、呉の司令官・周瑜と出会う。。

評価★★★★/75点

人形劇、漫画、TVゲームと子供の頃から連綿と付き合ってきた三国志が満を持して実写映画として登場!ということだけでも血湧き肉躍る心持ちにさせられるのだけど、と同時に横山光輝が60巻かけて描いた大長編を2部作とはいえ描ききるのは到底無理という中で、三国志最大の見せ場である赤壁の戦いに的を絞ったのは賢いやり方だったとは思う。

その中で、人物紹介もそこそこに観客をいきなり渦中に巻き込む演出は三国志初心者の目にどう映るかは疑問だけど、織田信長や徳川家康、武田信玄にいちいちキャラクター説明が不用なように、三国志の登場人物も同じである自分からするとかなり満足のいく出来。

唯一、劉備だけは覇気のないオッサン風のバカ殿っぽく描かれていて意外だったけど、孔明や関羽を引き立たせるための設定だったのかも。そういう点では孫権もやや頼りなさげで、これも周瑜を引き立たせるためだったのだろう。

まぁ、演出といったって、ぶっちゃけオールスターキャスト時代劇の忠臣蔵を見るようなものだから、大ボケかまさないかぎりは面白くならないはずがないフォーマットだからね。

その中で、全体としては、人海戦術とCGを駆使したド派手な戦闘アクションを基本とした構成の中で、関羽・張飛・趙雲といったおなじみの英雄の大見得を切る見せ場もたっぷりあってファンとしては嬉しいかぎりのシーンの連続だったし、周瑜と孔明のカリスマ博識バトルはゾクゾクもの、絶世の美女・小喬(リン・チーリン)には目を奪われっぱなし、さらに三国志の様々なTVゲームで大変お世話になった最強布陣・八卦の陣を壮大な実写で見れたとくれば、あれよあれよという間の2時間半で、赤壁の戦いに向けてオイラのテンションはMAX状態!

まだ、大本番前の第一幕でしかないので評価しづらいところだけど、まずはこの壮大な歴史スペクタクルの夢の映像化に祝福を送りたい。

約15年ぶりにアジア圏に凱旋してきたジョン・ウーの並々ならぬ意気込みがスクリーンからも伝わってきたし、久々にこれが娯楽映画だ!と思える映画を見れた気がする。

第二幕に期待っス。

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レッドクリフPartⅡ-未来への最終決戦-(2009年・中/日/台/韓/米・144分)盛岡フォーラム

 監督:ジョン・ウー

 出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、中村獅童、リン・チーリン

 内容:80万の曹操軍を5万の軍勢で撃退した孫権・劉備連合軍だったが、依然として強い勢力を誇る曹操は、2千隻の軍船を率いて長江の赤壁へと進軍する。慣れない土地で疫病が蔓延するものの、曹操の非情な決断が功を奏し対岸の連合軍にも疫病が飛び火、劉備軍が撤退するハメに陥ってしまう。ひとり孫権軍に残った孔明と周瑜が策を練る中、周瑜の妹・尚香が曹操軍に潜入する・・・。

評価★★★/65点

PartⅠが145分だったからPartⅡもそのくらいじゃないとダメやろっちゅうことで作ったのかもしれないけど、完全に冗長な作品に堕してしまい、MAX状態だった自分のテンションは尻つぼみに・・・。

1作目は個々のキャラクターの見せ場を存分に引き出すことで娯楽大作として見所満載の作品に仕上がっていたけど、今回の第二幕の見せ場はスクリーンを焼き尽くさんばかりの爆薬たっぷりの炎と赤壁の海上戦のスペクタクルのみ。

たしかにそれで十分元は取れるのだけど、そこに介在する人間の魅力が決定的に乏しいのがなんともイタイ。

早々に劉備軍が撤退してしまうため、関羽・張飛・趙雲といった勇猛果敢な闘将の出番がほとんどなくなってしまったことがかなり影響していて、知将の周瑜と孔明の泰然自若の面構えだけが強調されすぎてしまい、さらに孫権も1作目同様パッとしなかったし、どうも人間味が足りず・・・。

さらに、蜀の将軍たちに代わって前線に出て行く周瑜の妹・尚香と敵のおデブ隊長とのロマンスも蛇足に過ぎて面白くないし、周瑜の妻・小喬の命を賭した決断と行動もイマイチ燃えず。

唯一、善悪二面性を強烈に持ち合わせた曹操だけが人間臭かったのはなんとも皮肉だ。

史実はどうあれ、人物がある程度ステレオタイプに描かれるのは致し方ないとしても、もうちょっと造型深く描いてほしかったかなと。

どうせだったら、関羽や張飛の出番が少ないぶん、他のキャラにもっとスポットを当てた方が良かったのかも。

例えば、赤壁の戦いにおいて重要な役割を担った呉の老将・黄蓋なんて絶対に面白いと思うんだけどなぁ。演じてる役者さんが北大路欣也に似てたしww

わざと周瑜と対立し、その不満を理由に曹操に投降した黄蓋。しかしそれは曹操を油断させるための偽りの投降で、戦いの火蓋が切って落とされると、自軍の軍船に火を放って曹操軍に突入。その最中、流れ矢に当たったものの九死に一生を得て火攻めの最大の功労者となった。わざと自身を苦しませて敵を欺いたこの黄蓋の行為は「苦肉の策」という名言の語源となったことでも有名だ。

ところがだ、映画ではこの苦肉の計は周瑜にあっさり却下されちゃって(笑)、かわりに小喬が曹操陣営に赴く話にすり替わってしまった。。

分かりやすすぎるくらい分かりやすいお話ゆえ、いろいろ脚色しやすかったのだろうけど、手を加えすぎて逆に「危急存亡の秋」(これも三国志からの語源)になってしまったら元も子もない。

とにもかくにも、第二幕はな~んか物足りなかったなぁ・・。

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関ヶ原

Mv61335_992725679791aa4c82204dff1486cfa8出演:岡田准一、有村架純、平岳大、東出昌大、北村有起哉、音尾琢真、滝藤賢一、西岡徳馬、松山ケンイチ、役所広司

監督・脚本:原田眞人

(2017年・東宝・149分)WOWOW

内容:1598年、豊臣秀吉が息を引き取った。幼い頃より秀吉に仕えてきた石田三成は、虎視眈々と次の天下の座を狙う徳川家康と対立していく。三成を筆頭にした文治派に不満を抱いていた福島正則・加藤清正をはじめとする武断派に甘言を説いて豊臣家臣団の分断を図るなど権謀術数を仕掛けてくる家康。それに対し三成は、天下を二つに割って家康と対峙し討つための準備を進めていく。そして1600年9月15日、三成率いる西軍優勢と思われる中で天下分け目の関ヶ原の戦いが幕を開けるが・・・。

評価★★★/65点

司馬遼太郎の原作は未読。

てっきり関ヶ原の戦場での状況を克明に描いていく作品なのかと思いきや、関ヶ原に至るまでの両陣営の経緯の方にかなりの時間を割いていて、見ている途中で関ヶ原に布陣したところでラストだったりして、とヤキモキしてしまった。

しかしまぁ、2時間半によくまとめて描ききったなぁと原田眞人監督の豪腕ぶりには感心してしまうけど、どうせだったら前後編に分ければよかったのに(笑)。

滑舌無視の早口言葉や方言丸出しでセリフが聞き取れない問題は置いとくとしても、関ヶ原への経緯を描いた再現ドラマを1.5倍速で見せられているような置いてけぼり感は少なからずあって、見る側にかなりのレベルを要求される映画なのはたしか。

完全に蛇足だった伊賀忍者とのエピソード含めて、面白さより中途半端なイマイチ感の方が勝っちゃったかなぁ・・。

例えば、敗軍の将として打ち首を待つ三成と天下取りの家康との対面シーンも「対面は無言で終わった」というナレーション付きのワンカットだけでスルーしてしまうツマラなさがあって、余韻も何もあったもんじゃないw

聞くところによると、当初は小早川秀秋を主人公にして描くプランもあったということで、映画の尺の制限を考慮すればそっちの方が分かりやすかったんじゃないかなぁ。あるいは、関ヶ原の前日にあった前哨戦・杭瀬川の戦いなどを織り交ぜた数日間の水面下の攻防とかけ引きに的を絞った方が、、というかそれが見たかった。。

2018年11月 3日 (土)

夢のシネマパラダイス32番シアター:コイツだけには出会いたくないグランプリ

IT/イット“それ”が見えたら、終わり。

1000770958_j1出演:ジェイデン・リーバハー、ビル・スカルスガルド、ジェレミー・レイ・テイラー、ソフィア・リリス

監督:アンディ・ムスキエティ

(2017年・アメリカ・135分)WOWOW

内容:1988年、アメリカの田舎町デリー。子供の失踪事件が相次ぐ中、内気で病弱な少年ビルの弟も大雨の日に消息を絶ってしまう。以来、悲しみに暮れながら自分を責めていたビルは、ある時、見えるはずのない“それ”を目撃し恐怖に震える。その後、いじめられっ子の仲間たちも同じ体験をしていたと知り、彼らと協力して事件の真相に迫ろうとするが・・・。

評価★★★/65点

スタンドバイミーのような甘酸っぱいジュブナイルにR15の過激な血まみれスプラッタを掛け合わせたノリについて行けるかがこの映画の肝。

その点で、オープニング早々から幼児の腕が引きちぎられてしまうシーンを提示する意気込みと覚悟は買いたいところだけど、全編通して怖さのピークがここ止まりだったというオチ・・。

ホラー描写のレパートリーが画一的で飽きてくる一方、イジメや家庭問題の現実の方が余程えげつないので、ペニーワイズが箸休めになっちゃってる感もw

ただ、少年のひとりが喘息の吸入器を持っているとこなんかはグーニーズそのもので、スタンドバイミー含めて80年代ひと夏の冒険映画の味を堪能できるのは確かで、子供たちのキャラ立ちも良い。正直もっとスクールデイズなベクトルで見たかったような。。

って、これって90年に製作されたTV映画のリブートなのか。

ま、、そっちは見なくていいかww

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帰ってきたヒトラー

169463_03出演:オリヴァー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ、クリストフ・マリア・ヘルプスト、カッチャ・リーマン

監督・脚本:ダ―ヴィト・ヴネント

(2015年・ドイツ・116分)WOWOW

内容:1945年に自殺したはずのアドルフ・ヒトラーが、なぜか2014年のベルリンにタイムスリップしてきた!テレビ局をリストラされ新ネタを探していたディレクターのザヴァツキは、ヒトラーをモノマネ芸人だと思ってスカウトし、テレビ番組に出演することに。すると、物言いから仕草まで瓜二つの演説芸が大ブレイクし、一躍有名人になってしまう・・・。

評価★★★☆/70点

ヒトラーのモノマネといえば「チャップリンの独裁者」(1940)を真っ先に思い浮かべる。

ナチスドイツがヨーロッパを蹂躙し始めたまさにその時に公開され、ヒトラーに対しチャップリンが映画を武器に挑戦状を叩きつけた大傑作である。

しかし、あれから75年。バックトゥザフューチャーしちゃいました!ヒトラー本人が😵

戦後ずっと国民総出でヒトラーを断罪し過去の歴史の清算をし続けてきたドイツだからこそヒトラーをカリカチュアして描けちゃうんだろうけど、それが許容されていることに軽くショック。

だって日本で帰ってきた東条英機をやったら、靖国神社で右翼と天皇陛下バンザイした後に官邸前でつまみ出されて、皇居前でオイオイ泣き崩れる東条さんを見て、、ってなんか面白そう(笑)。

いやマジメな話、東条英機をジーパン姿でモノマネする芸人が世に出れるかっていうと、あの戦争を総括しないまま今まできた日本ではやっぱり難しいと思うんだよね。まぁそれ以前に鬼畜米英を唱える東条がジーパン着るわけないかw

けど、そう考えると、今回の映画はベストセラー小説の映画化とはいえ企画としてすでにスゴイと思う。

そして、第三帝国再建に向けいたって真面目なヒトラーを尻目に周りが勝手に盛り上がっていく、ヒトラーを選んだのは他でもない国民自身なのだという事実が、成熟した民主主義の看板を掲げる現代社会に鋭くツッコミを入れる流れに持ってくるところがまたスゴイ。

考えてみれば、日本だってあの戦争は軍国主義がもたらしたものではあるけど、戦争をあおった新聞メディアとそれに熱狂した国民が一体となって推し進めていった一面もあるわけで。

建前の裏側に潜む本音の内実、そのマグマ溜まりを爆発させるスイッチをオンにしてしまうカリスマ政治家が現れたら民衆はいとも簡単にそれに乗っかってしまう・・・。アメリカはトランプ大統領の出現によってそうなっちゃったけど。。

低投票率、お友達内閣、政治のワイドショー化、政治家の失言&暴言、既存政治への不満、、と成熟どころか行きづまった民主主義といった方がいいのではないかと思える閉塞感漂う現状の中、日本も笑ってはいられない。

さあ、出番ですよ橋下さんw

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悪の教典

Poster5_2 出演:伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、浅香航大、山田孝之、平岳大、水野恵理奈、吹越満

監督・脚本:三池崇史

(2012年・東宝・129分)

内容:私立晨光学院町田高校2年4組担任のハスミンこと蓮実聖司。彼は明朗快活かつ爽やかなルックスで生徒受けはもちろん、同僚やPTAからも信頼を得ていた。しかし変態数学教師・釣井だけは蓮実に違和感を抱いていた。そんな中、驚異的直感力を有する怜花とその友人・早水により蓮実の正体が露わになっていく・・・。

評価★★★/60点

自分は大島優子の感性を全面的に支持する(笑)!

映画の上映会でこの映画は嫌い!とぶち上げた彼女の感想ほど真っ当なものはないだろう。当然だ。

学校の銃乱射事件をエンタメとして嬉々として描く映画なんてフツーありえないし見たくもない。

そこに面白さを見出すとすれば、学校という密閉空間の中でジュラシックパークの肉食恐竜かエイリアンかはたまたジェイソンが襲ってくるみたいなモンスターホラー映画として見るしかない。

ところが生徒からの信頼もあつい教師の鑑として主人公の肩書きまで手に入れているこのハスミンという男は、ハーバード大出身というだけにズバ抜けた心理分析力や緻密な計算能力を有していて、とてもじゃないが闇雲に人を殺すようなバカ頭には見えない。特に「序章」の方を先に見たので知的な狡猾さを兼ね備えた完璧主義者というのはハスミンのキャラクターの最も大きなポイントになっていたと思う。

なので、邪魔者を消していくにしても、「序章」のように自らは手をかけず精神的にジワジワと追いつめていったり、殺すにしても頭脳明晰を駆使した完全犯罪でクールな残忍性を描き出した方がキャラ的にしっくりくるしサイコパスとしての凄みや恐怖感が増したと思うんだけど、それだけに行き当たりばったりでもうめんどくせーからみんな殺っちゃえという後半のスプラッターな展開は途端につまらなく感じてしまった。

また、なぜこういう人間になってしまったのかという過去語りは、それをすればするほどスリラーとしての純度は下がっていくと思うのだけど、例えば少年時代の親殺しエピソードもハスミンは生まれながらのサイコパスなんですよということを強調したいがための言い訳がましい演出にしか見えず、個人的にはそれさえも不用な描写だったように思う。

そういうのはTo be continuedでやってくれって話だ。

、、別段見たくもないけど(笑)。

まぁ、なんというか残虐性とは別な観点からみても、大人の観賞に堪えうる作品ではなかったかな。中高生がギャーギャー騒いで楽しむ類の映画だね。。

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脳男

20130206000123 出演:生田斗真、松雪泰子、江口洋介、二階堂ふみ、染谷将太、甲本雅裕、光石研、小澤征悦、石橋蓮司、夏八木勲

監督:瀧本智行

(2013年・東宝・125分)WOWOW

内容:都内近郊で猟奇的な連続爆破事件が発生。わずかな手がかりをもとに爆弾魔のアジトをつきとめた茶屋刑事は、犯人を捕り逃すも、現場に佇んでいた鈴木一郎と名乗る男を重要参考人として逮捕する。取り調べでも何も話さないため、精神科医・鷲谷真梨子による精神鑑定が行われるが・・・。

評価★★★★/75点

舌を引き裂いたり目ん玉引っこ抜いたりグロシーン連発の映画なのだけど、生田斗真の静寂を呼ぶ異様な美しさと、松雪泰子の冷静と情熱、理性と感情の狭間で押しつぶされていくきわどさ、そして二階堂ふみの狂気じみた存在感に魅せられて見入ってしまった。

特に生田は二重丸。無感情&無表情という難役を見事にこなしてしまった。なんか手塚治虫の漫画に出てきそうな美青年ってかんじw

あとはなんといっても画作りの素晴らしさだろう。

爆発の火薬量のハンパなさやアクションのキレ味だけに頼らない緩急つけたカット割りはハリウッドばりで緊張感も持続している。

この監督ってこんなハイクオリティな画を撮る人だっけ!?と驚いてしまったのだけど。なんか今までの作風は地味な印象だったので、こういうアバンギャルドっぽい映画撮るとはかなり意外だった。

続編もあっていいかも。

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苦役列車

120802l 出演:森山未來、高良健吾、前田敦子、マキタスポーツ、田口トモロヲ

監督:山下敦弘

(2012年・東映・114分)WOWOW

内容:1986年。日雇い労働と風俗通いに明け暮れる19歳の北町貫多。父親が性犯罪を犯したため一家離散の憂き目をみた彼は中卒でその日暮らしの生活を送るようになっていた。そんなある日、職場で専門学校生の日下部と知り合い意気投合、初めて友達と呼べる付き合いをするようになる。さらに古本屋でバイトする女子大生・桜井康子に恋したりと思いがけず人並みの青春を謳歌し始める貫多だったが・・・。

評価★★★☆/70点

今まで見てきた映画の中でごまんとヤな奴・変な奴は見てきたけど、大体が映画用にカリカチュアされた人物設定であることが多かった。

しかし、この北町貫多のひたすらリアルな鬱陶しさはどうだろう。

コンプレックスの塊で社会性ゼロ、ムダにプライド意識を持っている自己チュー人間である貫多とは絶対に友達になりたくないけど、こういう屈折した性格で口を開けばグチと下ネタばかりが出てくる扱いにくいタイプって程度の差はあれ周りに必ずいるよなぁと異常な既視感を抱いて見てしまった。。

貫多はその中でも最凶レベルの人間だろうけどw、ゲロとか痰吐きとか汚ったねぇご飯の食べ方とか家賃払わず風俗通いとか、自堕落な生態が生々しくて、この何をしでかすか分からないロクデナシから片時も目を離すことができずに見入ってしまった。

なにより森山未來が凄すぎる。

顔がホントに卑屈で意地汚くなっていて、最低のクズっぷりを気持ち悪いくらい完璧に演じてみせた。ブリーフ姿がお笑い芸人よりも似合ってるなんて、森山未來の今後が逆に心配ww

あとは、貫多とは好対照な高良健吾の爽やかさも印象的だったし、無防備な前田敦子が思った以上に良くて、この映画にプラスに働いていたと思う。

次の映画では脱いでね、、ってオレこそ最低ーッ

いやはや、いろんな意味で感動的な映画ですた。。

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闇金ウシジマくん(2012年・日本・129分)WOWOW

 監督:山口雅俊

 出演:山田孝之、大島優子、林遣都、崎本大海、やべきょうすけ、片瀬那奈、市原隼人、黒沢あすか、新井浩文

 内容:ウシジマは10日で5割(トゴ)、1日3割(ヒサン)という法外な金利をつける闇金業者。情け容赦ない取り立てを行うウシジマが今回目を付けたのは、パチンコ狂いの母親の借金の肩代わりをするハメになったフリーターのミコと、イベントサークルの代表を務める成り上がり男ジュンだった・・・。

評価★★/45点

アイドル大島優子よりも女優大島優子の方が断然好きだった自分は、大島優子がどういう脱ぎっぷりを見せてくれるのか、、ってんなわけあるかw!もといアイドルという表看板を背負って女優としてどこまでアブナイ橋を渡れるのか興味津々で見たのだけど、ノースリーブ&ショートパンツ姿に目がクラッとしつつ、もうちょいキワどいとこ見せてくんないかなぁ、、っておいっ!もとい必要最低限のところでよく頑張っていたと思いますww

なにせ母親役の黒沢あすかの豪胆ぶりの方が凄すぎて、大島優子のギリギリ勝負が完全にかすんじゃってるんだけど、ある意味それに助けられてるかんじも。。

ただ、風呂に沈められるとこまでいくくらい堕ちちゃう姿を見たかったなぁというのが正直なところ。エロ目線とかじゃなく女優としてね(笑)。

さて、エロ目線はそれくらいにしといて、、もとい、貧弱なチャラ男が転落していく話の本筋の方だけど、イベントサークル成功させてビッグになりたいから金借りるって、あまりにも話が小っちゃすぎて面白くない。

チャライし、チャチイし、ツマラナイし、だから大島優子にやっぱアレしてもらわないと、、ってハイ、もうやめます

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黒い家(1999年・松竹・118分)NHK-BS

 監督:森田芳光

 出演:内野聖陽、大竹しのぶ、西村雅彦、小林薫、田中美里、町田康、鷲尾真知子、石橋蓮司

 内容:生命保険会社に勤める若槻慎二は、クレーマー対処で菰田重徳という男の家を訪ねるが、そこで菰田の息子の首吊り死体を発見する。警察は自殺と判断し、それに基づいて保険金も支払われることになったが、保険金請求に幾度となく来ていた菰田とその妻の異様な態度に不審なものを感じた若槻は自殺に疑念を抱く・・・。

評価★★★★/75点

「乳しゃぶれー!ヘタクソー!」でフルボッコな展開などはもはやトラウマものだったけどw、まるで胃の中をドス黒いボウリングの玉がゴロンゴロンと転がっているような、ズシンと重くて息がつまってくる映画だった。

お化けよりなにより人間が1番恐いんだということが、もしかして自分のすぐお隣にあるかもしれない身近な恐怖として肌感覚に伝わってきて、生理的に受け付けたくないんだけど目が離せないみたいな、これってまさに覚めない悪夢

耳障りな効果音、不自然なカメラの動き、チープな音楽、どぎつい原色の多用といったセンスのなさが映画の居心地の悪さに直結していて、監督の演出プランにも説得力があった。

ただ、エンディングの主題歌がm-floというセンスの無さだけは映画自体を古臭くさせるには十分なセンスの無さで余計だった

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