夢のシネマパラダイス48番シアター:スラムドッグ$ミリオネア
スラムドッグ$ミリオネア
出演:デヴ・パテル、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント、アニル・カブール
監督:ダニー・ボイル
(2008年・英/米・120分)WOWOW
評価★★★★☆/85点
内容:インドのムンバイ出身の青年ジャマールは、人気TV番組「クイズ・ミリオネア」に出演、次々に難問をクリアし1千万ルピーを獲得!ところが、最終問題を残した1日目の収録後、ジャマールはイカサマを疑われ警察に逮捕されてしまう。スラム育ちでまともに教育を受けたことがないジャマールがクイズを勝ち抜けられるわけがないとする警察に対し、彼はその過酷な過去を語り始める・・・。
“この映画を見てヨカッタ!ファイナル・アンサー!”
「クイズ・ミリオネア」で次々に問題を正答させていくジャマール、インチキだと疑われ警察に尋問されるジャマール、過酷な少年時代を生き抜いてきたジャマールの生い立ち。
この3つの視点をモンタージュやフラッシュバックを巧みに用いながら交差させていく今回の映画、そのリズム感と疾走感たるや特筆すべきものがあるのだけど、なにより過酷な中にも横溢する生命力と希望の光に満ちているのがイイ。
例えば、ジャマールがスターのサイン欲しさに肥溜めに飛び込むシーンがあったけど、ダニー・ボイルの名を一躍高めた「トレインスポッティング」(1996)で便器の中に落ちた座薬を取ろうと頭から飛び込むヤク中の主人公の倦怠感と閉塞感とは好対照をなしている。
そして、そのあふれんばかりのバイタリティが現代インドを象徴するエネルギーと結びつき、ジャマールのラティカへの一途な想いに集約されていくプロットは、魅力的なサウンドスケープの増幅効果もあいまって見る者の目をとらえて離さない。
ラティカが好みだったのもプラスに働いたしww
混沌と興奮のるつぼの日常のすぐそばにある貧困と闇、その負のベクトルをひっくり返さんばかりの躍動感と高揚感にあふれたこの映画は、今のインドでなければ作りようがないものなのかもしれない。
D:幸せな映画だった!
ファイナルアンサー!!
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LION/ライオン~25年目のただいま~
出演:デヴ・パテル、サニー・パワール、ルーニー・マーラ、デヴィッド・ウェナム、ニコール・キッドマン
監督:ガース・デイヴィス
(2016年・オーストラリア・119分)WOWOW
内容:優しい養父母のもと、オーストラリアで幸せに暮らす青年サルーには悲しい過去があった。インドの田舎町に生まれた彼は、5歳の時に迷子になったことから家族と生き別れ、現在の養父母に引き取られていた。そして、成人したサルーはインドの本当の家族への想いを募らせるようになり、わずかな記憶を頼りにグーグルアースで故郷の家を探し出すことにする・・・。
評価★★★/65点
運命のいたずらで迷子になり、あげくの果てにストリートチルドレンとして孤児院に送られてしまう5歳の少年サルーのアンビリバボーな境遇を描く前半と、オーストラリア人夫婦の養子となり何不自由ない暮らしを送る大学生サルーの自分探しの旅に至るまでの複雑な心の内を描く後半に分かれる本作。
実話ベースの映画化ゆえの難しさか、母を訪ねて三千里みたいな自分の足と労力でっていう部分が後半パタリとなくなって、映画的かつ抒情的だった前半と比べると後半は置きに行った感が強くてダレた点がいまいち。
まぁ、エンドクレジットで本人映像を流されるとグゥの音も出なくなってしまったし、さらなる事実に呆然としてしまったけど・・😢
あとは、やっぱり前半の子役が印象的で白眉。青年になったサルーを演じたデヴ・パテルも考えてみれば「スラムドッグミリオネア」から随分とたくましく成長しちゃったなぁw
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クイズ・ショウ(1994年・アメリカ・132分)NHK-BS
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ジョン・タトゥーロ、ロブ・モロー、レイフ・ファインズ、ポール・スコフィールド、ハンク・アザリア
内容:1956年にスタートしたクイズ番組「21」は、無敵を誇るチャンピオンのハービーが連勝を続けながら、社会現象になるほどの人気を得ていた。しかし、次第に視聴率が伸び悩み始め、スポンサーはもっと見栄えのするチャンピオンに変更しろと要求する。プロデューサーのダンは、オーディションを受けに来たイケメンのチャーリーに白羽の矢を立て、八百長を仕組むのだが・・・。
評価★★★/60点
実話としての実直さがそのままレッドフォードの監督としての資質ともろにかぶっていて、遊び心のないえらくクソ真面目な映画になっちゃったかんじ。
ジョン・タトゥーロをはじめキャスティングは絶妙だっただけに、もうちょっとシニカルさやブラックな毒気をまぶしてもよかった気がするんだけど。。
まぁ、今の感覚でいうとたかがクイズ番組でここまでなる!?ていうかんじだけどね
でも、当時のテレビ番組は生放送が主体だったんだろうし、その中で一躍スターの座に上りつめるというのは文字通りアメリカンドリームだったのだろうから、それがヤラセで作られた虚像だったということになれば一大スキャンダルになるのは当然のことだったのかもね。
その上でこの映画が興味深かったのは、事のてん末においてテレビ局やスポンサーは全くの無傷で、スターに祭り上げられた出演者個人だけが矢面に立たされ粛清されたことだ。
それは取りも直さず視聴者こそがスターを求め、またスターを引きずり下ろすことを欲し、それに加担したわけで、メディアに流されやすい大衆心理の残酷さを物語っていたと思う。
そういう意味では今も昔もテレビってのは本質的に何ら進化していないんだねぇ・・w
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