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2018年7月13日 (金)

夢のシネマパラダイス519番シアター:キング・コング

Kingkong 出演:ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ、ジャック・ブラック、トーマス・クレッチマン、ジェイミー・ベル

監督:ピーター・ジャクソン

(2005年・ニュージーランド/米・188分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:1933年のニューヨーク。野心家の映画監督カール・デナムは、かつてない冒険映画を撮ろうと、新進気鋭の脚本家ジャック・ドリスコルと美人の新米女優アン・ダロウを加えた撮影クルーを率い、危険な航海に出る。やがて、幻の孤島スカル・アイランド(髑髏島)へ辿り着いた一行は、さっそく撮影を開始する。しかし、アンが原住民にさらわれてしまい、救出に向かったクルーたちは、そこで原住民によるコングの生贄の儀式にアンが差し出される光景を目の当たりにするのだった・・・。1933年製作のSF映画の金字塔「キング・コング」を最新テクノロジーを駆使し、ピーター・ジャクソンが悲願の映画化にこぎつけた超大作。

“デジタルという神の手が魔神を森の思索者に変えてしまった。違う、美女じゃない!デジタルが野獣を殺したんだ!”

アフリカ奥地でマウンテン・ゴリラの保護に半生を捧げた女性学者の実話をシガニー・ウィーバー主演で映画化した「愛は霧のかなたに」。

この映画ではシガニー・ウィーバーが実際にゴリラの群れの中に入っていってカメラを回すという撮影方法がとられたという逸話が残っている。それによって、いつ何をしでかすか分からないゴリラ達との交流シーンがスリリングかつリアリティのある映像を生み出し、ただの感動動物映画とは一線を画した作品に仕上がっている。

さて、なぜシガニー・ウィーバー主演の映画をここで取り上げたのか。

それは今回の巨獣キング・コングを見ながら、正直これは“怪獣・モンスター”という部類ではなく、「愛は霧のかなたに」に出てきた“マウンテン・ゴリラがこんなにでっかくなっちゃった”というキャラクターに見えてしかたなかったからだ。

いや、これはもしかして「マイティ・ジョー」(ちなみに「マイティ・ジョー」のオリジナル「猿人ジョー・ヤング」の製作を務めたのがオリジナル「キング・コング」の監督メリアン・C・クーパー)に出てきたジョーの兄貴か!?と思った方がスッキリするかも。

それはつまり、崇拝の対象としてのアンタッチャブルな破壊神という畏怖と神秘性の視点が一気に薄まったかわりに、容易に感情移入できる親しみやすさと漢(おとこ)クサさ、人間クサさが一気に濃くなったということだ。

それにより、ナオミ・ワッツをめぐる男気あふれる野生児コングと弱々しい文系人間エイドリアン・ブロディのタイタニックをも凌ぐ命を賭けたねるとん紅鯨団対決にいつの間にか引きずり込まれてしまう仕組みになっている。

NYでの凍った池の上でのお滑りデートのカメラワークなんて「タイタニック」でアイルランド民謡をバックに歌い踊るジャックとローズそのもの・・。

じゃあこの映画はこれでいいのかと問われたら、、自分はこれでイイと答えるだろう。というか、そう答えざるをえないほど、ピーター・ジャクソンの力技と、陰りなど一切感じられない自信たっぷりの咆哮ぶりに度肝を抜かれ腰を抜かした。

まるで、おもちゃ箱をありったけひっくり返したかのような過剰なボリューム感であふれ返っているこの映画。

しかし、ピーター・ジャクソンはただ闇雲にブッ散らかすのではなく、しっかり整理整頓して筋道を立ててブッ散らかしている。それがこの映画の肝ともいえる。

他人から見たらどう見てもブッ散らかした部屋でも当の本人から言わせるとどこに何があるか分かっている最高の状態だということがあるが、ピーター・ジャクソンはまさにそれ。

そしてそのブッ散らかした状態を言葉ではなく映像で語る彼の気質というか才能については、トールキンの大長編を映像にまとめ上げたロード・オブ・ザ・リングで十分すぎるほど証明されているが、今回のキング・コングがLOTRと異なる点は、ブッ散らかす質量ともにLOTRの比ではないハンパなさだというところにある。

1コマ1コマにそれらを大量に投下していき、それが3時間ブッ通しで続くのだから、見てるこちらはたまったもんじゃない(笑)。

従順なお子ちゃまは降参せざるをえなかったわけで・・・。

しかし、その降参があきらめの降参というよりは納得のいく降参に近いものがあったと思わせたのが、緻密で質の高いデジタル技術という神の手だった。

ゴリラになりきったアンディ・サーキスの演技をモーション・キャプチャーでコンピューターに取り込んだり、人間の表情をゴリラの表情に翻訳するソフトを開発するなどしてキング・コングの造型を作り上げていったというけど、その細かい動作から目の動き、毛並みに至るまで、キング・コングひとつとってもその情報量はハンパではなく、それによって表わされる感情表現はまさに驚嘆の一語。

特にコングを前にしてのアン・ダロウの決死のダンスシーンは珠玉で、口をあんぐり開けて見入ってしまった。

オリジナル版では、情なんて一切ない問答無用の破壊と殺戮のかぎりを尽くした暴れっぷり、そして服をはぎ取りアン・ダロウを触った手のにおいを嗅ぐ変態ドスケベ顔しかなかったが、今回のコングの感情表現の多彩さの実現がアン・ダロウとの純粋なラブストーリーに転化していくのはある意味当然の帰結だったといえる。

とにかく今回のコングは、「T2」でのT-1000型ターミネーターを見たときや、「ジュラシック・パーク」で最初に出てきた巨大ブラキオサウルスを見て目を真ん丸くした時に匹敵する驚きだった。

それに加えて30年代NYのにおい、スカル・アイランドの秘境っぷり、怒涛のクリーチャー軍団など、よくぞここまで表現しきったもんだとかえってあきれ返ってしまうくらい。。いやはやふとインディ・ジョーンズの新作をこいつに監督させてみたくなったぞ。

それにしても一体ぜんたいCG技術はどこまでいっちゃうんだろう。

恐ろしい魔神をもついにひれ伏せさせてしまったこのデジタルという神の手は・・。

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キングコング:髑髏島の巨神

169542_02出演:トム・ヒドルストン、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・グッドマン、ブリー・ラーソン、ジョン・C・ライリー

監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ

(2017年・アメリカ・118分)WOWOW

内容:70年代前半。南太平洋上に未知の孤島が発見され、研究者やカメラマン、軍人などで構成された調査隊が派遣されることに。が、島に足を踏み入れた一行の前に、巨大な生物キングコングが現われる・・・。

評価★★★★/80点

ハイテク科学で全て解決できてしまう現在ではなく、まだアナログが幅を利かせていた70年代初めに時代設定したのは正解。

また、それによりベトナム戦争と連関させたのは自然なこととはいえ、ロックオペラとワルキューレが大音量で鳴り響く中で炸裂するナパーム弾が見境のない狂気と暴力を解き放つ「地獄の黙示録」のパロディ要素を取り入れたのは上手かったと思う。“神が創造を終えていない”何でもありの髑髏島に分かりやすいガイドラインが組み込まれて、手際よく映画の世界に入っていくことができたからだ。

加えてリズム感とダイナミズムあふれる画面構成がいちいちカッコ良くてテンションを持続させているし、キングコングをはじめとする巨大生物の造型もGOODで、娯楽サービスに徹した怪獣映画として純粋に楽しめる一作だったように思う。

とりあえずこの監督にゴジラ撮らせたらどうなるのか興味あり。

P.S.しかし、真っ赤な西日に映えるサミュエル・L・ジャクソンの方がコングよりインパクト大ってのはある意味スゴイw

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キング・コング(1933年・アメリカ・100分)WOWOW

 監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードサック

 出演:フェイ・レイ、ロバート・アームストロング、フランク・ライチャー

 内容:美女に魅せられた巨猿の姿を描き、世界中で大ヒットするとともに怪獣映画および特撮映画のエポック・メイキングとなった古典的名作。秘境ドキュメンタリー映画の撮影隊が南海の孤島で巨猿コングを発見する。映画のヒロイン、アンがさらわれたコングの生息地には、前世紀の恐竜が生き残っていた。一行はコングを捕らえてニューヨークで見世物にするが、興奮したコングは町中で暴れだす・・・。

評価★★★★/75点

キング・コングがフェイ・レイを手づかみで弄ぶ様が妙にイヤらしいどころか、その時のコングの顔がレンタルビデオ屋のAVコーナーでウロウロしているオヤジの顔と何ら変わりがないww

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(おまけ)

マイティ・ジョー(1998年・アメリカ・115分)NHK-BS

 監督:ロン・アンダーウッド

 出演:シャーリズ・セロン、ビル・パクストン

 内容:1949年の「猿人ジョー・ヤング」のリメイク作。お互いの母親が殺され、アフリカの密林で姉弟のように育ったジルと巨大ゴリラのジョー。しかし、ジョーを狙う密猟者が現れて・・・。

評価★★/40点

映画として二番煎じどころじゃないなこれ。三番、四番煎じだぞ・・・

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愛は霧のかなたに(1988年・アメリカ・129分)NHK-BS

 監督:マイケル・アプテッド

 出演:シガニー・ウィーバー、ブライアン・ブラウン、ジュリー・ハリス

 内容:絶滅の危機に瀕しているマウンテンゴリラの保護救済に力を注いだ女性動物学者ダイアン・フォッシーの生涯を描いたヒューマンドラマ。

評価★★★/65点

エイリアンシリーズに転用しても何の違和感もないシーンと音楽がどこかしこに挿入されていてどうにも集中できず。。ていうかもっと柔な女キャスティングした方が・・w

2018年7月 6日 (金)

夢のシネマパラダイス48番シアター:スラムドッグ$ミリオネア

スラムドッグ$ミリオネア

20090419093644出演:デヴ・パテル、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント、アニル・カブール

監督:ダニー・ボイル

(2008年・英/米・120分)WOWOW

評価★★★★☆/85点

内容:インドのムンバイ出身の青年ジャマールは、人気TV番組「クイズ・ミリオネア」に出演、次々に難問をクリアし1千万ルピーを獲得!ところが、最終問題を残した1日目の収録後、ジャマールはイカサマを疑われ警察に逮捕されてしまう。スラム育ちでまともに教育を受けたことがないジャマールがクイズを勝ち抜けられるわけがないとする警察に対し、彼はその過酷な過去を語り始める・・・。

“この映画を見てヨカッタ!ファイナル・アンサー!”

「クイズ・ミリオネア」で次々に問題を正答させていくジャマール、インチキだと疑われ警察に尋問されるジャマール、過酷な少年時代を生き抜いてきたジャマールの生い立ち。

この3つの視点をモンタージュやフラッシュバックを巧みに用いながら交差させていく今回の映画、そのリズム感と疾走感たるや特筆すべきものがあるのだけど、なにより過酷な中にも横溢する生命力と希望の光に満ちているのがイイ。

例えば、ジャマールがスターのサイン欲しさに肥溜めに飛び込むシーンがあったけど、ダニー・ボイルの名を一躍高めた「トレインスポッティング」(1996)で便器の中に落ちた座薬を取ろうと頭から飛び込むヤク中の主人公の倦怠感と閉塞感とは好対照をなしている。

そして、そのあふれんばかりのバイタリティが現代インドを象徴するエネルギーと結びつき、ジャマールのラティカへの一途な想いに集約されていくプロットは、魅力的なサウンドスケープの増幅効果もあいまって見る者の目をとらえて離さない。

ラティカが好みだったのもプラスに働いたしww

混沌と興奮のるつぼの日常のすぐそばにある貧困と闇、その負のベクトルをひっくり返さんばかりの躍動感と高揚感にあふれたこの映画は、今のインドでなければ作りようがないものなのかもしれない。

D:幸せな映画だった!

ファイナルアンサー!!

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LION/ライオン~25年目のただいま~

Lionderlangewegnachhause出演:デヴ・パテル、サニー・パワール、ルーニー・マーラ、デヴィッド・ウェナム、ニコール・キッドマン

監督:ガース・デイヴィス

(2016年・オーストラリア・119分)WOWOW

内容:優しい養父母のもと、オーストラリアで幸せに暮らす青年サルーには悲しい過去があった。インドの田舎町に生まれた彼は、5歳の時に迷子になったことから家族と生き別れ、現在の養父母に引き取られていた。そして、成人したサルーはインドの本当の家族への想いを募らせるようになり、わずかな記憶を頼りにグーグルアースで故郷の家を探し出すことにする・・・。

評価★★★/65点

運命のいたずらで迷子になり、あげくの果てにストリートチルドレンとして孤児院に送られてしまう5歳の少年サルーのアンビリバボーな境遇を描く前半と、オーストラリア人夫婦の養子となり何不自由ない暮らしを送る大学生サルーの自分探しの旅に至るまでの複雑な心の内を描く後半に分かれる本作。

実話ベースの映画化ゆえの難しさか、母を訪ねて三千里みたいな自分の足と労力でっていう部分が後半パタリとなくなって、映画的かつ抒情的だった前半と比べると後半は置きに行った感が強くてダレた点がいまいち。

まぁ、エンドクレジットで本人映像を流されるとグゥの音も出なくなってしまったし、さらなる事実に呆然としてしまったけど・・😢

あとは、やっぱり前半の子役が印象的で白眉。青年になったサルーを演じたデヴ・パテルも考えてみれば「スラムドッグミリオネア」から随分とたくましく成長しちゃったなぁw

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クイズ・ショウ(1994年・アメリカ・132分)NHK-BS

 監督:ロバート・レッドフォード

 出演:ジョン・タトゥーロ、ロブ・モロー、レイフ・ファインズ、ポール・スコフィールド、ハンク・アザリア

 内容:1956年にスタートしたクイズ番組「21」は、無敵を誇るチャンピオンのハービーが連勝を続けながら、社会現象になるほどの人気を得ていた。しかし、次第に視聴率が伸び悩み始め、スポンサーはもっと見栄えのするチャンピオンに変更しろと要求する。プロデューサーのダンは、オーディションを受けに来たイケメンのチャーリーに白羽の矢を立て、八百長を仕組むのだが・・・。

評価★★★/60点

実話としての実直さがそのままレッドフォードの監督としての資質ともろにかぶっていて、遊び心のないえらくクソ真面目な映画になっちゃったかんじ。

ジョン・タトゥーロをはじめキャスティングは絶妙だっただけに、もうちょっとシニカルさやブラックな毒気をまぶしてもよかった気がするんだけど。。

まぁ、今の感覚でいうとたかがクイズ番組でここまでなる!?ていうかんじだけどね

でも、当時のテレビ番組は生放送が主体だったんだろうし、その中で一躍スターの座に上りつめるというのは文字通りアメリカンドリームだったのだろうから、それがヤラセで作られた虚像だったということになれば一大スキャンダルになるのは当然のことだったのかもね。

その上でこの映画が興味深かったのは、事のてん末においてテレビ局やスポンサーは全くの無傷で、スターに祭り上げられた出演者個人だけが矢面に立たされ粛清されたことだ。

それは取りも直さず視聴者こそがスターを求め、またスターを引きずり下ろすことを欲し、それに加担したわけで、メディアに流されやすい大衆心理の残酷さを物語っていたと思う。

そういう意味では今も昔もテレビってのは本質的に何ら進化していないんだねぇ・・w

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