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2018年5月 3日 (木)

夢のシネマパラダイス302番シアター:お上に盾突くとは身の程知らずも大概にせい特集w

殿、利息でござる!

20160407103806出演:阿部サダヲ、瑛太、寺脇康文、きたろう、千葉雄大、西村雅彦、中本賢、妻夫木聡、竹内結子、羽生結弦、松田龍平、草笛光子、山崎努

監督・脚本:中村義洋

(2016年・松竹・129分)WOWOW

内容:江戸時代中期の仙台藩吉岡宿。藩から課される重税のため、百姓や町人の中には破産し夜逃げする者が後を絶たなかった。町の行く末を案じる造り酒屋の十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の篤平治(瑛太)からあるアイデアを打ち明けられる。それは、藩に大金を貸し付け、その利息で町の使役をまかなうというトンでもない奇策だった。必要な資金は千両(3億円)。話に乗った十三郎は出資者を集め始めるが・・・。

評価★★★/65点

物語の舞台となる吉岡宿、実は母親の実家の近所にありまして、えっ!?特に何もないあんな田舎の地区wが歴史ものの映画の舞台になるの!?とにわかには信じがたい目で見たんだけど、掘り起こせばあるんだねぇ色々な歴史が。

まさか百姓がお殿様に3億貸し付けるなんてことが本当にあったなんて。しかも1人3千万って豪農クラスになるとそこまでの大金持ってたのかと思うとビックリ

でも、この映画で描かれる“無私の日本人”っていかにも東北人らしいというか、岩手出身者としてなんか分かるなぁと思いつつ見てしまった。

地域のコミュニティを守るために見返りを求めない無私の精神-つつしみの心-で行動する。

個人の即物的な欲求ばかりがまかり通り、地域のつながりが低くなってきた今の日本ではあまり考えられないことだけど、東北人の中にはそういう公共に対する責任感とか共助の美徳がまだ根付いている部分があって、それこそ東日本大震災を見ても分かるように、お互い様の精神性がまだまだ残っているのだと思う。

まぁ、裏を返せば日本人独特の恥の文化が東北では色濃くあるということなのかもしれないけども。

しかし、そのためか登場人物が全員善人すぎてあまりにもつっかえる所がなくて逆に物足りなさも・・・。この生真面目さも東北人らしいとこだけど、もうちょいコメディ寄りでもよかったかも。

よしっ、今度吉岡通ったら今もあるという酒屋さんのぞいてみよっと♪

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県庁の星

Kencyo 出演:織田裕二、柴咲コウ、佐々木蔵之介、和田聰宏、紺野まひる、益岡徹

監督:西谷弘

(2006年・東宝・131分)盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:K県庁の35歳のエリート公務員、野村聡。ある時彼は、県政の目玉プログラムである民間企業との人事交流研修のメンバーに選ばれる。ところが、派遣されたのは田舎の三流スーパー「満天堂」。しかも、野村のお目付け役は、24歳のパート女性店員だった。プライドが高く、書類とマニュアル優先の仕事しか知らない野村はことあるごとに彼女と衝突してしまう・・・。

“県庁の何十階という高さから町を見下ろすことに慣れきった男が、3階建てスーパーから見るものとは!?”

民間の三流スーパーに派遣された“県庁の星”と期待されていたエリート公務員が、三流スーパーをどう改革するのか、というところからお話的に「スーパーの女」のようなハウツーものに流れていくのかと思っていたのだけど。。

しかし、あくまでも視点は織田裕二扮する野村聡の意識や心といった人間性に終始寄り添って、その変容の過程を主眼に描いていったのがなんとも秀逸だった。

形のみにこだわる公務員体質の野村が、“個人の顔”を直視し本当のマンパワーというものに気付いていくプロセスは見ていて面白かったし、妙に納得させられることしきりだった。

変革というのは制度や仕組み、システムを変えても、そこで働く人たちの意識が変わらなければただの形だけのものになり何の意味もないのだ、ということを身をもって経験した野村の晴れやかな表情が印象的だ。

やっぱ人間、一度奈落の底に落ちないと変わらないのかなぁ。自分みたいに奈落の底に落ちたまま這い上がれないカワイソス人間もいるけど・・

でも、一方では、なんかこの映画、出来レースぽいかんじもスゴイしたんだよね。

それは、要は野村という男の仕事に対する意識、ヤル気、スキルが半端ないくらい高いということに行き着くのだけども。

企画提案能力、情報処理能力、語学力(外国人従業員にそれぞれの言語でマニュアル本を作っちゃうんだから恐れ入る・・・)、書類作成能力、交渉力、計画力etc..ホンマにすきのないプロ中のプロやん。自分が持ち合わせてないものばかり・・

やっぱキャリア組って元から違うのね。。適当にやって半年ガマンすればいいんだ、と言いながらやってることはスゲェじゃねえか(笑)。生っ粋の目立ちたがり屋さんだし。

環境適応能力がちょっと不足していたのと過剰な自信の塊で覆われていたくらいなもので、マイナス要素と呼べるのは。逆にスーパー従業員の方がやる気あるの?みたいな。遅かれ早かれ改革されるだろこれは、と思っちゃう。とまぁ、そんな穿った見方もしちゃったんだけど。。

県庁の何十階という高さから町を見下ろすことに慣れきった男、その目線で民間へ行ってしまった男が、ほんのちょっと視線と目線を変えるだけで大事なコトに気付かされる。

それだけで意識は劇的に変わるのだということ、あとは彼の持ち合わせているプロなみの能力を適材適所で引き出していけば従業員の意識改革も含めて事はスムーズに運んでいくわけで、、改革順調!メデタシメデタシ。

ただ、大事なコトに気付かせてくれたのは、パート店員である二宮をはじめとするスーパーの皆だった。

官vs民バトルではなく官・民が相互に補い合って持ちつ持たれつガンバっていこーー♪で一件落着!

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金融腐蝕列島【呪縛】

Title1 出演:役所広司、椎名桔平、矢島健一、遠藤憲一、仲代達矢、根津甚八、風吹ジュン、若村麻由美

監督:原田眞人

(1999年・東映・115分)仙台フォーラム

内容:総会屋への多額の利益供与が発覚した朝日中央銀行に東京地検特捜部の捜査のメスが入る。経営陣はパニックに陥り、政財界の大物でもある黒幕、佐々木取締相談役の顔色ばかりをうかがう有り様。そんな上層部の態度に奮起した企画本部副部長で佐々木相談役の娘婿でもある北野をはじめとするミドル層と呼ばれる中堅行員たちは、銀行の悪しき因習を断ち切るべく再建のための改革を断行しようと立ち上がる。。

評価★★★★/80点

映画見てる最中、人物の立ち位置を異様なまでに意識させられたのはこれが初めてだ。なんか壮大な舞台劇を見たような気分。

改革を断行しようとする中堅組、自分たちの体裁を守ろうと組織のしがらみから抜け出せない上層部、皮肉たっぷりに描かれるマスコミ、この三者三様がめまぐるしく交錯してテンポも速く、アクション映画よりもアクション映画ぽかった。

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どら平太(2000年・日本・111分)NHK-BS

 監督:市川崑

 出演:役所広司、浅野ゆう子、宇崎竜童、片岡鶴太郎、石橋蓮司、石倉三郎、菅原文太

 内容:ある小藩の町奉行に着任した望月小平太は、その豪快ぶりから“どら平太”というあだ名までつく型破りな役人。彼はこの藩の壕外と呼ばれる売春や賭博が横行する藩の吹きだまり地区で権力を握る3人の親分の不正を正すべく動き出すが・・・。黒澤明、木下恵介、市川崑、小林正樹によって結成された「四騎の会」の第1回作品として共同執筆されながらもお蔵入りになっていた山本周五郎原作の時代劇を市川崑が映画化。

評価★★★/60点

“伏魔殿とやらはどこへやら。なぁんだ、実はみんないい奴じゃん・・・。”

この映画、現代の日本の政治と照らし合わせてみると意外に面白いかも。

ある小藩。ま、永田町のどこぞやの党ですか。改革を謳うどこぞやの首相が殿。

しかし改革をやるぞ!やります!やる!と言うだけで何ら行動しないお殿さま。一応、望月小平太を改革担当大臣に据える。んで改革実行は小平太に任せっきりでお殿様は最後まで姿を見せず。

そう、この映画、、お殿様が出てこない。。

一方、改革に乗り出した小平太のまわりには、いくつかの派閥に分かれてはいるが一応足並みが揃っている抵抗勢力の存在が。

上意!上意であるぞ!と叫びながら小平太は心血注いで改革に身を焦がす。

しかし殿は一向に姿を現さず。小平太は一人矢面に立って孤軍奮闘するのであった。ときにはバッサバッサと斬り捨てる痛みをともなう手段もとる小平太であったが、そこはさすがの小平太。刀の峰で討ったように命にかかわらない程度の最小限の痛みに抑えるのであった。

改革の本丸、壕外、それは悪の巣窟。汚辱と悪徳のゴミ溜め。財界、大企業、省庁、公団、社保庁、とまぁ次から次へと・・・。

しかし、一方では壕外から入ってくる献金、闇金が重要な財源となっているのもまた事実。

はたして小平太は癒着の毒の根を絶つことができるのでありましょうか。チャンチャン。

なんかこの映画の最後は内閣総辞職てなかんじで終わったけどね.とはいうものの冒頭に書いたように、なんかみんないい人になって終わるんだよね。

伏魔殿というよりは単なる馴れ合いだったか・・・。

夢のシネマパラダイス179番シアター:マン・オブ・スティール

バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

5874出演:ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、ジェシー・アイゼンバーグ、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ジェレミー・アイアンズ、ホリー・ハンター、ガル・ガドット、ケヴィン・コスナー

監督:ザック・スナイダー

(2016年・アメリカ・152分)WOWOW

内容:前作(マン・オブ・スティール)でゾッド将軍と死闘を繰り広げたスーパーマン=クラーク・ケント。しかし、その戦いによって大都市メトロポリスは破壊され多くの死傷者を出し、バットマン=ブルース・ウェインも巻き込まれた友人を亡くしてしまう。そして人々の間でスーパーマン脅威論が芽生え始めるのだった。そんな中、世界を股にかける多国籍企業体の総帥レックス・ルーサーは、スーパーマンを抹殺すべく動き出す・・・。

評価★★★/60点

「ダークナイト」が複雑に入り組んだストーリーラインの中に時代の価値観やメタファーを濃密に織り込ませ、なんだかよく分からなかったけど圧倒されたからもう1回見たいと思わせられたのに対し、今作はなんだかよく分からなかったけど心魅かれるものがなくてスカスカだったからもう見なくていいやと思ってしまった。

まずもってミソの付け始めが冒頭10分のプロローグの不親切な作り方。

メトロポリス上空に鎮座し地球を乗っ取ろうとするゾッド将軍の宇宙船とバトルを繰り広げるスーパーマン。この「マン・オブ・スティール」のクライマックスをそのまま今作の冒頭に持ってくるとは露知らず、記憶の糸をたぐり寄せるのに難儀し、開始早々から半歩遅れで見るハメに陥ってしまった・・・。

いや、しかし待てよ。何の前知識もなしに見たとはいえ、数年前の映画の大団円シーンのことなんて覚えてるかフツー(笑)。こういうのは前作を見ていない人でも分かるように作らないとダメだろと思うのは自分だけだろうか!?

さらに難癖をつけるとすれば、そもそも論のところで2人を対決させるというコンセプト自体に無理があったのではないかと感じてしまった。

2人が戦う理由とか、プロモーターに徹するレックス・ルーサーの行動原理とか、あげくの果てに2人の母親の名前がたまたま同じだったから和解したとか全てが意味不明で、ただ単に主役の座を奪われたくない花形役者同士のいがみ合いにしか見えなかった。

狂気と紙一重なおかつ悪と表裏一体な正義の危うさという00年代以降アメコミ映画のトレンドとなったサブテーマもいい加減飽きてきたし・・

まぁ、そういう意味ではスーパーマンが映画で活躍した80年代は絶対正義が絶対悪を打ち倒すという価値観に何の疑問も抱かなかった時代だったわけで、悪が悪でいることに理由は必要なかった。

一方、バットマンが映画で活躍した90年代は絶対的な正義に揺らぎが生じ始め、何が善で何が悪なのか区別がつきづらくなっていく道徳的観念の崩壊の序章ともいえ(91年「羊たちの沈黙」や95年「セブン」などに代表される時代背景)、その中で復讐心を身にまとったコウモリ男が目には目を歯には歯を、悪には恐怖をの精神で裁きを行っていく。

つまり、根明なスーパーマンと根暗なバットマンはちゃんと棲み分けできるはずなんだけど、「マン・オブ・スティール」でスーパーマンも根暗なベクトルに舵を切ったものだから、キャラクターに対照性がなくなっちゃったんだよね。

それゆえ苦しまぎれにスーパーマンはエイリアンという別次元の問題を持ち出してきて、かえって墓穴を掘っちゃったかんじ。。

DCコミックスのヒーローチーム“ジャスティスリーグ”のスタートとしては少しつまづいちゃったかなぁ・・。ワンダーウーマンに一応期待。。

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マン・オブ・スティール

Poster出演:ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン、ラッセル・クロウ

監督:ザック・スナイダー

(2013年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:クリプトン星の滅亡を悟った父親に最後の希望を託され、地球へと送り出された赤ん坊。ケント夫妻に拾われ、クラークと名付けられ育てられた彼は、次第に他人とは異なる超人的な能力に思い悩むようになる。そして青年になった彼は自分探しの旅を続けていた。そんな中、クリプトン星の再建を企むゾッド将軍がクラークの存在に気づき、地球へと襲来する・・・。

評価★★★★/80点

のっけから「アバター」に寄せたクリプトン星のヴィジュアルイメージには苦笑したけど、超能力が迫害の対象になるのはX-MEN、自分の正体を簡単にバラしてしまうのはアイアンマン、自分のアイデンティティに悩みながらそれを受け入れていくのはダークナイト、というように昨今のヒーローもののエッセンスのいいとこ取りみたいなかんじになっていて、タケちゃんマンと双璧を成すwかつての根明ヒーローの面影はもはやそこにはなかった。

唯一笑えたのは手錠をかけられて取調室に連行されるところくらいだったし。。

個人的にはクラーク・ケント=カル・エルのバックボーンがよく描けていて感情移入できる今回の根暗ヒーローの方が好みではあるけど・・。

あとは何といってもキャスティング。

今までのキャリアの中で家族を守るために命をかけて戦い続けてきた印象が強いラッセル・クロウと、トウモロコシ畑が最も似合う男ケヴィン・コスナーを生みの親と育ての親に、また見事に歳を重ねているダイアン・レインが包容力のある母親というぜいたくな配役が、映画をエモーショナルな部分でかなり底上げしていることは間違いない。

ゾッド将軍一味との怒涛の都市破壊バトルは、例え9.11を完全払拭したことを示すにしても少々やりすぎ感は否めなかったものの、リブートものとしては上々の出来だったと思う。

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ハンコック

B0041576_23375359 出演:ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン、エディ・マーサン、ジェイ・ヘッド

監督:ピーター・バーグ

(2008年・アメリカ・92分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:ロスに暮らす酒びたりの男ハンコックは、実は不死身のスーパーヒーロー。しかし、事件解決のたびに周囲へ大損害を与えたり粗野な言動がもとで市民からは反感を買いまくっていた。そんなある日、PR会社に勤めるレイは踏切内で車が立ち往生していたところをハンコックに助けられる。彼はハンコックに正義のヒーローとしてのイメージアップ戦略を提案するが・・・。

“ダメ超人ハンコック”

市民にうとまれ、バカにされ、ホームレス同然の生活をする飲んだくれハンコック、、これって公園で寂しく暮らしていた牛丼漬けの初期の頃のキン肉マンそのものじゃんww

しかも最大の敵はケツの穴に頭を突っ込まれたバカ囚人2人組というなんともチンケなレベルのもので、これって完全にキン骨マン&イワオじゃんww、、毛色としては完全にシュールなコメディ。

しかし不死身の超人=社会不適合者の社会復帰プロジェクトというネタはディスコミュニケーション時代の今のご時世に合っていて、深刻なウィル・スミスの表情もあいまって感情移入できて意外に楽しめてしまった。

が、これではヒーローものとしてあまりにも華も見せ場もないと思ったのか、ハンコックとメアリー(シャーリーズ・セロン)は実は夫婦でお互い近づくとパワーを失ってしまうという突拍子もない設定を何の前触れもなく繰り出してきて、映画の毛色が一気に様変わりしてしまった。

まるで前後半で2人の監督を使ってるような脈絡の無さなのだけど、シャーリーズ・セロンほどのスター女優が脇役の奥さんに収まるはずないよな、とは感じてたのよね。でも、もうちょっとあからさまな伏線があっても良かったんじゃないかと思うんだけど・・。

シリーズ化するという前提でいうならば、今回の映画はプロローグというかんじなのかな。

ていうかこの地味さを続編でうさ晴らししてもらわないと許さへんで

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スーパーマン リターンズ

20060827_240267 出演:ブランドン・ラウス、ケヴィン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ、マーロン・ブランド

監督:ブライアン・シンガー

(2006年・アメリカ・154分)盛岡フォーラム

評価★★★☆/70点

内容:スーパーマンが謎の失踪を遂げてから5年。スーパーマン不在となったメトロポリスでは犯罪が急増、加えて宿敵レックス・ルーサーも出所してしまう。そんな中、地球に戻ってきたスーパーマン。しかし、久々に再会したかつての恋人ロイス・レインは、彼との思い出を振り切り、スーパーマン不要論の記事でピュリツァー賞を受賞するまでに至っていた・・・。前シリーズの2作目「スーパーマン2冒険編」の後を引き継ぎ、5年ぶりに地球に戻ってきたスーパーマンの活躍を描く。

“意外にもダサくなかった掛け値なしの王道路線”

スーパーマンと聞くと自分なんかはオンタイムで見れてない世代なので、ダサいユーモアとショボイSFXの映画という印象がけっこうあったりなんかして、やっぱアメコミ系といえばオンタイムで最初に見たバットマンでしょ、となるわけで。。

だから今回の約20年ぶりの復活劇にはさほどの期待をかけていたわけではなかったのだけど、フタを開けてみたら意外にも楽しめてしまった。

まぁ、昨今のアメコミ系ヒーローが判で押したように苦悩と葛藤を最大の敵とし、正義とは何かという疑問をつきつけられる悩めるヒーロー(=地に足のついた人間)ばかりだったので、アメリカンソウルにあふれた保守的ともいえる王道路線のヒーロー像(=天空から見下ろす神)が逆に新鮮に映ったかんじ。

最新の映像技術も決して大仰にではなく、ほどよいサジ加減でドラマと絡んでいてよかったし。

また、分かりやすい勧善懲悪もののバリバリ王道路線だと、下手すると単調になりがちなんだけども、そこを2時間半の長尺にわたってダレることなく見せ切ったブライアン・シンガーはやっぱスゴイと思う。普通だったら100分くらいにまとめられそうなところを。

X-MENファイナルディシジョンを蹴ってまで本作を監督しただけのことはあると思った。ほんとにスーパーマンにゾッコンなんだろうね(笑)。

ロイス・レインのピュリツァー賞をとった記事“なぜ世界はスーパーマンを必要としないのか”というスーパーマン不要論をもっと掘り下げるのかと思いきや、結局ただ単にヤリ逃げされた鋼鉄の男に対するうっぷん晴らしにしかすぎなかったところとか、ロイス&ジュニアとスーパーマンとの関係の中途半端さなど気になるツッコミどころもあったのだけど、それらは次回作の伏線とみればいいのかな。

でも、あと15年後くらいに子供がこれ見たらダッセェとかって言うのかも(笑)。。

いろんな映画にいえることだけど、次の世代に引き継がれていくような映画を作ってもらいたいもんだと切に願います。

2018年5月 2日 (水)

夢のシネマパラダイス562番シアター:家族はつらいよ

家族はつらいよ

E27d8733出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン

監督・脚本:山田洋次

(2016年・松竹・108分)WOWOW

内容:東京郊外に暮らす平田一家。ゴルフと酒をこよなく愛する家主の周造は、定年後の隠居生活を謳歌する日々。そんなある夜、妻・富子の誕生日に気付いて、何でもプレゼントするぞーと言って妻が出してきたのはなんと離婚届!サインとハンコが欲しいのだという。思いもよらぬ事態に同居する長男夫婦と近所に暮らす長女夫婦も集まって家族会議が開かれるが・・・。

評価★★★★/80点

現代版東京物語を松竹伝統の人情ものとしてトレースした「東京家族」にえらく心を打たれた自分。まさかその4年後に全く同じキャストでこれまた松竹伝統のホームコメディに仕上げてくるとは思いもよらなかった。

しかし、「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」で培われた昭和印の喜劇調を久々に味わえたのはどこか温かい懐かしさに包まれたし、家族みんなで家の居間で見たんだけど、楽しい時間を共有できてよかった。

さすが安定の山田節といったところだけど、実際は細部まで緻密に作り込まれた隙のない職人芸ということができ、それを全く感じさせないありふれた日常風景として見せるところが山田洋次のなせる技なんだろうね。

また、それをしっかり咀嚼する役者陣も完璧そのもの。

性格を含め「東京家族」と瓜二つのキャラクター設定というのも、混同する違和感よりも既知の安心感の方が勝って映画の世界にすんなり入っていくことができたし。

特に、「東京家族」では大都会東京で行き所のない寄る辺なさに無愛想一辺倒の縮こまった型にはめられていた父親役の橋爪功が、今回は水を得た魚のようにやりたい放題で最高に面白かったし、あとはやはり何と言っても蒼井優♪

毎回言ってるかもしれないけど、理想の結婚相手は蒼井優ちゃんです

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歩いても歩いても

N_609bcdr2214rpl 出演:阿部寛、夏川結衣、YOU、高橋和也、田中祥平、樹木希林、原田芳雄

監督・脚本:是枝裕和

(2007年・日本・114分)CS

内容:夏のある日。子連れのゆかり(夏川結衣)と再婚した良多(阿部寛)は、15年前に亡くなった兄の命日に合わせて東京近郊の実家を訪れる。が、開業医を引退した父(原田芳雄)とはもともと反りが合わなかった上、失業中の身の上でもあり気が重い帰郷だった。ひと足先に、姉(YOU)一家も到着していて、久しぶりに家族全員が集まった。。

評価★★★★/80点

「男はつらいよ寅次郎相合い傘」(1975)にこんなシーンがある。

めちゃ美味メロンを人数分に切って食べようとしたら、ちょうどそこに寅さんが商売から帰ってくるんだけど、妹のさくらがうっかり寅さんの分を勘定に入れ忘れてしまい、いじけた寅さんがとらやの面々と大ゲンカになるという爆笑シーンだ。

たかが一片のメロンごときでしつこすぎるくらいムキになる寅さんの度量の小ささが笑いを生み出すわけだけど、今回の映画も男連中の他人から見れば笑ってしまうような「小っちぇ~」ことにこだわる様がリアルに描かれていてまことに面白い。

しかし、この面白さの裏には思わず背筋がゾクゾクしてしまうような怨念と、思わず卒倒してしまいそうな毒があるのがミソ。

和気あいあいとした空間に漂う様々な恨みつらみや口に出せない秘密、その中で料理を手順を踏んで作るように消化していく夏の一日、そんなお盆に3世代が集まる家族の風景、そしてそこに刻まれる何十年にも渡る家族の歴史劇が、建前9:最強本音爆弾1のセリフ劇で見事にあぶり出されていく今回の映画。

夫と妻、父と息子、母と娘、嫁と姑、祖父と孫、従兄弟、、、ズケズケと何でも言い合える関係もあれば、遠慮から奥歯に物がはさまったような言い方しかできないぎこちない関係もある・・・。その中でこの映画はそれぞれの関係性における微妙な間や会話の妙が絶妙で恐ろしいくらいにリアルなのだ。

まるで録音した自分の声を聴いた時のような居心地の悪さ、と同時に懐かしい思い出を思い起こさせる居心地の良さをも喚起させてくれる世界がそこには広がっている。

なんとも不思議な感覚を味わわせてくれる映画だ。

例えば自分なんかは、ゆかり(夏川結衣)の連れ子であるあつし(田中祥平)に妙にシンクロしてしまって(笑)。。

それはおそらく小学校時代に転校が多かったこととかも関係してると思うんだけど、彼が初めて敷居をまたいだ家で感じる居心地の悪さと緊張感が痛いくらいに伝わってきて見てて可哀想になってくる一方、彼がしたたかに立ち回る様もリアルに実感できて、コイツ大人やなぁと感心してしまった。

普段はあまりにもありきたりすぎて立ち止まって考えることがない家族の風景。温かくて痛くて優しくて哀しくてウザッたくて、それでも無性に帰りたくなって、、、そんな家族の愛おしい情景。

一年に一日、この映画を日本人全員が見る日ってのを作ってもいいんじゃなかろうか(笑)。

それにしても樹木希林、上手すぎ。そしてYOU、そのまんまww。原田芳雄は鈴木清順と見間違えちゃったけど・・。

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メゾン・ド・ヒミコ

Himiko 出演:オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯、西島秀俊、歌澤寅右衛門

監督:犬童一心

(2005年・日本・131分)WOWOW

評価★★☆/50点

内容:ある日、24歳の沙織(柴咲コウ)のもとを岸本(オダジョー)という男性が訪ねてくる。彼は、沙織と母親を捨ててゲイ・卑弥呼として生きていく道を選んだ父親(田中泯)の恋人だった。岸本は、ゲイのための老人ホーム“メゾン・ド・ヒミコ”を建てて運営していた彼がガンになり余命いくばくもないことを沙織に伝え、ホームを手伝わないかと誘うのだが・・・。

“「たそがれ清兵衛」の田中泯の変身っぷりには脱帽・・・。”

「ハッシュ!」(2001)のときもそうだったけど、このての性的マイノリティを扱った映画には深入りするのを避けちゃう傾向があって、今回もやっぱダメだった・・・。

ゲイ老人たちのファッションにもドン引きだったし、ダンスホールでのハイテンションぶりもムリ

「ブスの処女と、性病持ちのオカマどっちがいい?ギャハハハ」、、、グーでぶん殴りたくなったんですけど、あのジジイ(笑)。

というかんじで、立ち入ることができない異界ワールドだったのだけど、ただ1つ思ったのは、このての人々ほど愛するということへの純粋さを持ち合わせている人種はいないだろうなということ。そこの点はちょっと羨ましさを抱いてしまったかも。

他人はおろか社会からも拒絶されてしまうという絶対的な孤独を身をもって知っているからこそ生み出される想いなんだろうね。そしてそこを突き抜けちゃうと、ああいう開放的な世界の住人になることができる、のかなw

その中で、彼らが作った小さな共同体にまぎれ込んでくるノンケの沙織の孤独と憂鬱の方が際立って見えてくるのはうまいつくりになっているなとは思う。

そういう点では、この映画は沙織の傷ついた人生の再生物語という側面の方が強いわけで、ゲイ映画ではないんだよね。彼らの人物像の内面に映画自体が深入りしてないし。ま、それでも生理的にちょっとダメだったけど・・・。

あとはまぁ、なんといっても柴咲コウの化粧っ気のない地味ぃ~なコンビニ店員姿だな。ちょっと引いたわ(笑)。。

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酒井家のしあわせ(2006年・日本・102分)NHK-BS

 監督・脚本:呉美保

 出演:森田直幸、ユースケ・サンタマリア、友近、鍋本凪々美、谷村美月、笑福亭仁鶴

 内容:三重県のとある田舎町。一見ごく普通の家族にみえる酒井家だったが、14歳の長男・次雄(森田直幸)は最近家庭にうんざりしていた。母・照美(友近)は再婚、次雄は事故死した前夫の連れ子、下の娘・光(鍋本凪々美)は母と義父・正和(ユースケ)との間にできた父親違いの妹という複雑な家庭環境にあったからだ。そんなある日、照美とケンカした正和が突然、好きな男ができたとカミングアウトして家を出て行ってしまう・・・。

評価★★★★/75点

“だ、ダマされた・・・。”

家族の何気ない日常を切り取っていく視点が独特の間の中でユーモアたっぷりに描かれていて、終始楽しく見ることができた。

例えば、家族で外出する時に、オカンが早くしなさいと急かしているくせに、当の本人が1番遅く家を出てくるシーンも、車の中でジィーッと待っている夫と子供たちの姿がたまらなくおかしかったり。どこの家のオカンも同じなんだな(笑)。

しかしこの監督、コミカルな間を作って、「あ、それってあるある」というエピソードをテンポよく見せていく演出の手腕はかなりこなれているなという印象。と思ったら新人さんなのね、この監督。。

あとこの映画で外せないのが、配役の妙。

日テレ「エンタの神様」のひとりコントにそのまんま出てきてもおかしくないような格好の友近が、決して類型的ではない妙にリアルなオカン像を演じていて新鮮だったし、関西弁をしゃべれないユースケ・サンタマリアの不器用なオトン役がものすごくしっくりきていた。

そして極めつけが仁鶴wwユースケが笑い転げちゃうのも無理ないわ。

とにかくほんわか温かいぬくもりが残るかなりしあわせな映画だったと思う。これからが楽しみな若手監督さんだね。

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アルゼンチンババア

Big 出演:役所広司、堀北真希、鈴木京香、森下愛子、手塚理美、岸辺一徳

監督:長尾直樹

(2007年・日本・112分)盛岡フォーラム

評価★★★/60点

内容:高校生のみつこは、両親との3人暮らしだったが、誰よりも活気のあった母親が病気で亡くなってしまう。そしてその直後、墓石彫り職人の父親が行方をくらましてしまうのだった。それから半年後、父親はどうやら町外れの草原に建つ古ぼけた洋館にいるらしいことが判明する。しかし、その屋敷にはアルゼンチンババアと呼ばれている謎の女が住んでいるらしい。みつこは勇気を出して訪ねてみるが・・・。

“あのハチミツ、、二缶ほど譲ってくれませんか(笑)”

アルゼンチンババア特製の媚薬ハチミツが欲しいってことと、堀北真希のムチウチ症姿が見れたってことくらいしか得るものがなかったな(笑)。

でも、フツー原作ものの映画って、映画が面白くなくても原作は読んでみたいなという場合が多いのだけど、今回は正直全く読みたいと思わなかったんだよね。そういう意味では逆に不思議な映画だったともいえるけど・・・。

登場人物の行動や会話がことごとく意味不明で伝わってこなくて、一人蚊帳の外で見続けなければならない、なんとも題名に相応しいわけの分かんない遠い世界の映画だったけど、その中で孤軍奮闘した堀北真希ちゃんを見るぶんには十二分に元が取れるのもまたたしかで。。やっぱ不思議な映画。

でも、、ババアに鈴木京香をあてるってどうなんだろという根本的なところも気になる。室井滋とか夏木マリはたまたYOU、久本雅美あたりだろフツー。あるいは大竹しのぶ、浅野温子あたり?

ちょっと鈴木京香は役違いのような気が。まぁ、「ゼブラーマン」でコスプレ好きになって一皮剥けた女優さんだからババアもやってみたかったのかな

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リトル・ミス・サンシャイン

Lms 出演:グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキン、ポール・ダノ、アビゲイル・ブレスリン

監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス

(2006年・アメリカ・100分)仙台フォーラム

評価★★★★★/95点

内容:アリゾナ州ニューメキシコに住むフーヴァー家は、家族それぞれに問題を抱え崩壊寸前。父は独自の成功論をまとめた自著の売り込みに必死、長男は一言も発さず、祖父はヤク中、伯父はゲイの恋人にフラれて自殺未遂と、まとめ役の母は一苦労。そんなある日、7歳の娘オリーヴがカリフォルニアで開かれる美少女コンテストの本選に進むことになる。そこで一家は、オンボロのミニバスに家族全員で乗り込み、カリフォルニア目指して出発するのだが・・・。

“オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)って誰かに似てるよねぇ・・・”

ってあれよあれ、フィギュアスケートの安藤美姫だよ。あの出っ腹はさておき、精神年齢もほぼ変わらんだろうし・・(笑)。

というのはさておき、この映画、オイラ的2007ベストムービーにまず間違いなく選ばれるであろう愛すべき一品になってしまいました。

とにもかくにも笑いと涙が同時に押し寄せてくる映画体験というのはそうざらにあることではないので、そういう意味でも心に残る一本となりますた。

しっかし、途中から笑いのドツボにハマッちゃって笑って泣いてんだか感動して泣いてんだか最後は分からなくなっちゃったな・・・。

色覚異常で空を飛べないと分かり、野っ原で完全ふてくされ状態になった15歳の兄ドウェーンを無言で肩に寄り添いながら慰める大人な7歳オリーヴ。

笑いの導火線に火が付いたのはこの次のシーン。ドウェーンが「分かった。」と気を取り直して車に戻るときに土手を登るわけだけど、オリーヴちゃんあの体型もあって登れないんだ(笑)。そこをドウェーンが抱っこして持ち上げて登る何気ないシーンがなんとも可笑しみのあるオチで、シリアスな感傷モードに入る一歩手前で何気なく笑いに転回させる絶妙さに完全に引き込まれてしまった。

クラクションが鳴り止まなくなったミニバスを警官に停車させられ、トランクに積んであるシーツにくるまれたジイちゃんの遺体が見つかってしまうのかという絶体絶命の状況で、エロ本がドサッと落ちてきて、それを見つけた警官がニヤリとするオチも最高で、何も知らない妻シェリル(トニ・コレット)の不安そうな表情とエロ本を3冊(うち1冊はゲイもの)も買い込んでいたフランク(スティーヴ・カレル)へのお前はなんて奴だ!というリチャード(グレッグ・キニア)の視線とフランクのえっ何?オレ何かした?という表情がこれまた何気なく描かれていて、逃げ場のないバスのミニ空間の中に凝縮される人間模様が面白おかしく自然に描かれてるんだよね。

この自然なオーソドックスすぎる演出も良くて、例えばギアのブッ壊れたミニバスを家族みんなで押して発進させて飛び乗るこの映画を象徴するシーンや、ラストの珍妙なダンスを家族みんなで踊るシーンだとか、とにかく映画的な動きというのが終始物語をしっかりと牽引していく。

しっかり映画しちゃってるんだよねこれ。こういう映画見ると嬉しくなっちゃう。

才能が少々欠けようが負け組と揶揄されようが前に進むしかないんだというメッセージも心にしみわたりました。

イイ映画です。

ちなみにオリーヴのタヌキ腹は、詰め物を入れてるのだそうで、実際のアビゲイルちゃんはフツーの体型らしいですw

夢のシネマパラダイス358番シアター:潜入捜査は命がけ

土竜の唄 潜入捜査官REIJI

T02200310_0722101612825903589出演:生田斗真、仲里依紗、山田孝之、上地雄輔、的場浩司、遠藤憲一、岩城滉一、大杉漣、岡村隆史、堤真一

監督:三池崇史

(2014年・東宝・130分)DVD

内容:警察学校を史上最低の成績で卒業したダメ巡査の菊川玲二は、正義感だけは人一倍ある。が、ついに署長からクビを宣告されてしまう、、というのは表向きで、秘かに潜入捜査官(通称モグラ)としての密命が下されたのだ。その任務は、関東最大勢力“数寄矢会”に潜入し、4代目会長を挙げるという危険な任務だった・・・。

評価★★★★/75点

もはや飽きるを通り越して嫌悪感さえ催すこともしばしばになってきたクドカンワールド

が、今回は予想に反して大当たり

それはクドカンのシナリオの手癖をうまく咀嚼し、テンポ良く三池節に染め上げた演出力のなせる技にあるといっていいけど、「脳男」で不気味すぎるほどの静謐なオーラを醸し出していた生田斗真の180度異なるハジケっぷりも大いに貢献したといっていい。

予告編で印象的だった全裸で車のボンネットにくくり付けられて爆走するシーンがのっけから出てくるハイテンションに一気に映画の中に入っていけたけど、それを超える勢いで乗っかってきた生田斗真の体当たり演技には感服した。

そしてセルフ人間洗車、ホルモン蝶結び、タバスコ目薬、ゲテモノ不老不死ジュース、盃丸かじり、早漏防止術などヒネリも何もないカビの生えたような小ネタのマシンガン連発に大いに乗せられてしまったw

これだったら続編もあっていいかも。。

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X-ミッション

Poster2出演:エドガー・ラミレス、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー、デルロイ・リンドー

監督:エリクソン・コア

(2015年・独/中/米・114分)WOWOW

内容:Xスポーツのアスリートだったジョニー・ユタは、競技中の事故で親友を亡くしてしまう。そんな彼に目を付けたのはFBI捜査官ホールだった。巷ではXスポーツを駆使した犯罪集団による強盗事件が立て続けに発生。Xスポーツのカリスマであるボーディ率いるチームの関与が捜査線上に浮かび上がる中、FBIはユタを特別捜査官に任命し、ボーディのチームに潜入させることにするが・・・。

評価★★★/65点

映画を見終わった後にキアヌ・リーブスの出世作「ハートブルー」(1991)のリメイクと知って大仰天!それ早く教えてくれよ~と思ってしまったんだけど。。

というのもFBI捜査官が潜入捜査先のワルと固い友情で結ばれていくプロットがワイスピみたいで、そちらのベクトルで見ていたものだから、途中でそれが裏切られてただの凡庸なドンパチ映画になっちゃってガックリきてたんだよね。

山岳モトクロスから始まり、スカイダイブ、ウイングスーツでのベースジャンプ、サーフィン、スノボ、ロッククライミングなど繰り広げられる絶景パフォーマンスをスクリーンの大画面で見れば迫力が違ったんだろうなとちょっと後悔しつつ、それを抜きにしても見てるこちらのテンションがなかなか上がっていかなかったというのは、やはり取って付けたようなストーリー展開に魅力がないからと思われ・・。

こちらが見たかったのは人が死なない痛快作だったのに、シーシェパードにマシンガン持たせたらドン引きだろww

せっかくのCG無しという謳い文句もどこか宝の持ち腐れのような中途半端作だった。。

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インファナル・アフェア

Inf1出演:トニー・レオン、アンディ・ラウ、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、エディソン・チャン

監督:アンドリュー・ラウ

(2002年・香港・102分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:ハリウッド史上最高額でリメイク権が落札された香港黒社会を舞台にしたサスペンスドラマ。1991年、ストリート育ちの青年ラウは香港マフィアに入ってすぐ、その優秀さに目を付けたボスによって警察学校に送り込まれる。一方、警察学校で優秀な成績を収めていた青年ヤンは、警視に能力を見込まれマフィアへの潜入を命じられる。やがて2人の青年は、偽りの身分の中で着実に実績を積みそれぞれの組織で重要なポストを与えられていく。そして10年後、麻薬取り引き絡みのもつれから警察、マフィア双方がスパイの存在に気付いてしまうのだった・・・。

“つかみはイマイチ、終り良ければすべて良しだ!”

ほとんど何の予備知識もなしで見に行ったのだけど、オープニングの不親切極まりないとってつけたような速攻プロローグでいきなりつまづいてしまった。顔の区別がつかねぇし。話の事態を理解するまでけっこうかかってしまった・・。

そんなわけで出だしは低調だったのだけど、しかし話が進めば進むほど加速度的に映画の中にのめり込んでいく自分をはっきりと認識することができた。圧倒的追い込みでクライマックスへとなだれ込んでいき、もう目が離せないとはこのことよw

しかし画面を支配しているのはあくまでも“静”。

だって1番あからさまな“動”っていったら指の動きぐらいじゃん(笑)。

この映画全体を支配しているのは、視線、空気、音、思考、疑念といった静であり、それら“静”の中でふつふつと“動”がみなぎっているのだ。

例えていえば、冷えた水風呂に焼け石を放り込んだといえばいいだろうか。そんなふつふつと上昇してくるような状態。

逆に焼け石に水風呂の水をぶっかけてもまさに焼け石に水だから何の効果も意味もないわけで。ただヌルくなるだけ。

そういうところはこの映画しっかりと分かっていらっしゃる。拍手。

えっ?ハリウッドがリメイク?“動”全快のハリウッドが・・・?

「焼け石に水」にならなきゃいいけど

Posted at 2003.10.21

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インファナル・アフェアⅡ無間序曲

Inf2 出演:エディソン・チャン、ショーン・ユー、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、カリーナ・ラウ

監督:アンドリュー・ラウ

(2003年・香港・119分)盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:1991年、香港マフィアのボスであるクワンが暗殺された。手を下したラウは警察学校に送り込まれ、一方、クワンの私生児であることが発覚したため警察学校を退学になってしまったヤンは、ウォン警部に拾われ、組織への潜入を命じられる。前作の10年前に遡り、中国返還に揺れる香港を舞台に、ヤンとラウがそれぞれスパイになる過程が描かれる。

“北野武も真っ青の無限ブルーに否応なしに暗黒映画の深淵までズルズルと引きずり込まれてしまう。”

黒か白か。はたまた灰色か。

いや、これは青と赤のせめぎ合いだ。

冷静なスピリットと激情のパッションとが絶え間なく対峙し絡み合い、無限の螺旋を形づくる。

この螺旋に魅せられて1度飛び込んだが最後、果てのない業の螺旋に捕らえられ、それこそ無間にまで呑み込まれてしまう。

どうやら自分ももはやそこから逃げる術をとことん見失ってしまったらしい。

見終わった後、矢も盾もたまらずエピソード2である前作を速攻借りに行きましたがな。

こんなことめったにないんだけど、銃で乱射されたような衝撃に駆られてしまった。1回見てはいるんだけど、これ見て見ないわけにはいかないっしょ

そう、それこそ螺旋だよ。

Posted at 2004.09.23

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インファナル・アフェアⅢ 終極無間

Imf3 出演:トニー・レオン、レオン・ライ、ケリー・チャン、アンソニー・ウォン

監督:アンドリュー・ラウ

(2003年・香港・118分)盛岡フォーラム

内容:ヤンの殉職から10ヶ月。警官として生きることを選んだ元マフィアのラウは、警察内部に残る潜入マフィアを次々と始末していく。しかし、彼の前に保安部のエリート警官・ヨンが立ちはだかる。本土の大物密輸商人・シェンと接触しているヨンが潜入マフィアであると確信したラウは、彼の身辺を調べ始めるが・・・。

評価★★★/65点

1、2作目に関しては映画とのガチンコ勝負で見る側の方が打ちのめされるほどの衝撃と完敗を喫したが、今回は土俵下から後出しジャンケンの連発を繰り出されたかんじで、勝負をさせてもらえないツマラなさで覆われている。

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ディパーテッド

A5c7a5a3a5d1a1bca5c7a5c3a5c9 出演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォルバーグ、マーティン・シーン、アレック・ボールドウィン

監督・マーティン・スコセッシ

(2006年・アメリカ・152分)盛岡フォーラム

内容:マサチューセッツ州ボストン。犯罪組織とのつながりを持つ自らの生い立ちと決別すべく警官を志したビリー・コスティガン。一方、マフィアのボス、コステロによって育てられ、スパイとなるべく警察に送り込まれたコリン・サリバン。互いの存在を知らぬまま警察学校を優秀な成績で卒業した2人。やがて、コリンはマフィア撲滅のための特別捜査官に抜擢され、一方ビリーは、マフィアを内部から突き崩すべくコステロのもとへ潜入するという極秘任務を命じられるのだった。こうしてそれぞれに緊張の二重生活を送る2人だったが、ついに警察、マフィア双方ともに内通者の存在をかぎつけ、いよいよ2人は窮地に追い込まれていく・・・。アカデミー賞では作品・監督など4部門で受賞。スコセッシにとっては6回目のノミネートで念願かなっての初受賞となった。

評価★★★☆/70点

自分の好きな映画がリメイクされると、どうしてもオリジナルと比較してアラ探しをしてしまうのだけど、今回もその例にもれず。。

オリジナルの香港映画に関しては特に1作目、2作目が大好きでハマってしまったくちで。

静謐でダークな世界観の中で繰り広げられるギリギリのサスペンスと、シブくて陰のある男オーラをみなぎらせる俳優陣の存在感とぶつかり合いが人間の永遠に逃れられない業をえぐり出していく“無間道”ドラマは、香港ノワールの完成度としても一級品だったと思う。

さて、そこでスコセッシによるリメイク「ディパーテッド」となるわけだが、一言でいえば、きちっとしたフォーマットの中で合理的にサクサクと物語が処理されていく印象を受けたというのが見終わったときの第1印象だ。

スコセッシがこのリメイク企画の映画化にあまり乗り気ではなかったという話を聞いていたせいもあるのだろうけど、すっきりと型におさまりすぎていて、なにか逆にスコセッシらしくないというか。。

ただ、なぜスコセッシが乗り気ではなかったのかということについては、本作を見るかぎりほぼ明確に答えが出せるように思う。

それはスコセッシが数十年来構想をあたためていた企画をついに実現させた「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2001年)にある。

この「ギャング・オブ・ニューヨーク」では、1800年代中頃のNYを舞台にプロテスタントvsカトリック=イングリッシュvsアイリッシュという人種・宗教対立の構図の中で、自分の父親を殺した仇を討つためにアイリッシュのディカプリオが、その仇であるダニエル・デイ・ルイスのもとに近寄り、組織の右腕にまで登りつめ父子愛に似た関係まで結ぶ。しかし一方で、復讐心をメラメラと煮えたぎらせるディカプリオと、真相を知ってもなお息子として見ようとする葛藤と苦悩の中でディカプリオを試すダニエル・デイ・ルイスの人間ドラマが描かれるわけで、「インファナル・アフェア」の擬似フォーマットがすでにこの「ギャング・オブ・ニューヨーク」にはあるのだ。

また、ディカプリオとダニエル・デイ・ルイスの2人の間に決定的な揺らぎをもたらしていくキャメロン・ディアスの三角関係もまんま「ディパーテッド」におけるディカプリオ、マット・デイモン、女性カウンセラーの三角関係として流用されているし(「インファナル・アフェア」ではカウンセラーのケリー・チャンに潜入捜査官トニー・レオンが想いを寄せているという形で、潜入マフィアのアンディ・ラウにはマリーという婚約者がいる)。

仏教観がにじみ出るのが「インファナル・アフェア」ならば、プロテスタントvsカトリックという宗教対立はもとより、スコセッシの宗教観がにじみ出ているのも「ギャング・オブ・ニューヨーク」なわけで、つまるところ「ギャング・オブ・ニューヨーク」で「インファナル・アフェア」のスコセッシ版リメイクは事足りているわけで・・・。

今回の「ディパーテッド」は、ディカプリオはまたまたアイリッシュの出自をもったキャラで、現代の「ギャング・オブ・ニューヨーク」もとい「ギャング・オブ・ボストン」といったところだが、そこに宗教観は全くなく、「インファナル・アフェア」とは異なるラストの合理的解釈の切り口などを見てもスコセッシらしくなく、あくまで雇われ監督としてのやっつけ仕事という感は否めない。

が、その中でスコセッシ節を堅実に出してきたがゆえ、なおさら残酷かつ痛々しいシーンばかりが目立ってしまったかんじ・・・。

役者陣に関しては奮闘は認めるとしても、ディカプリオ&マット・デイモンは童顔すぎて、う~ん・・・

いっそのことフォーマットを西部劇にした方がよかったのでは、というのはあまりにも冒険、かな。

でも、これで念願のアカデミー賞獲っちゃうというのも皮肉だよなぁ。。

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フェイク(1997年・アメリカ・126分)仙台第1東宝

 監督:マイク・ニューウェル

 出演:ジョニー・デップ、アル・パチーノ、マイケル・マドセン、アン・ヘッチ

 評価★★★★/75点

 内容:FBI捜査官ピストーネは、おとり捜査のためにマフィア組織に潜入することを命ぜられる。ドニー・ブラスコという名で接触を図った彼に最初に近づいたのは組織の末端の気さくな男レフティだった。レフティは聡明で行動力あふれるドニーとの出会いに、あきらめていた出世への夢を再び抱くようになるが・・・。

“あれだけ命張って、得たものが雀の涙ほどって一体・・・。”

ようするにメダルとたった500ドルで友情を裏切ってしまったという何とも哀しいお話。

話の展開としては、実話ゆえの難しさか、フィクションならばもっと盛り上げたりスリリングにできる展開にできるネタなのだけども、なんか淡々と進んでいくかんじで少し惜しい気もする。

例えば、兄貴分に付いたレフティは、俺たちは組織の小さな歯車の1コに過ぎないと半ばあきらめてるけど、このレフティがもしも上昇志向のある若手組員だったならばもっと違う展開にすることだってできたはずだ。

まぁレフティの人物造形がリストラされていく中年オヤジの悲哀たっぷりなので致し方ないか。。ホント、あの哀愁を帯びた表情が頭にこびりついて離れないもん。

だから、スリルよりも人物同士の友情に重きを置いた点は当然の帰結ともいえるし、やっぱりこの点は買いたい。

ただ、どうしてもマフィアものでアル・パチーノとくると「ゴッドファーザー」のマイケルを思い浮かべてしまうんだよね。マイケルをほとんど感じさせないキャラとアル・パチーノの巧い演技でその点は消されてるけど、ニューヨークとマイアミといったら「ゴッドファーザーPart2」そのまんまじゃんみたいな(笑)。ソニーソニーソニーっていったらゴッドファーザーの長男ジェームズ・カーン扮するソニーじゃんみたいな・・・。ちょっとかぶりすぎw

夢のシネマパラダイス128番シアター:ホロコーストの悲劇

シンドラーのリスト

135740_01出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングスレー、レイフ・ファインズ、キャロライン・グッドオール、ジョナサン・サガール

監督:スティーブン・スピルバーグ

(1993年・アメリカ・195分)盛岡フォーラム

評価★★★★★/100点

内容:第二次世界大戦下、1200人のユダヤ人の命をナチス・ドイツの虐殺から救った実在のドイツ人実業家オスカー・シンドラーの生涯を描いたヒューマンドラマ。トーマス・キニーリーが実際にシンドラーに助けられた人々の証言をもとに構成したノンフィクション小説をもとにしている。

“人が撃たれて棒切れのごとく倒れるシーンや、しおれた死体が焼かれるシーンより何よりも絶句してしまったラスト。”

シンドラーに命を救われた人々が、演じた役者たちとともに彼のお墓参りをするラストのエピローグ。

もう言葉にならなかった。

映画といういわば創作の中に実体としての存在が姿を現す。

ホロコーストという事実を伝えていかなければならない、語り継がなければならない、風化させてはいけないというスピルバーグの並々ならぬ強い意志を感じ取ることができる。

広義としての娯楽という枠を超えたこの映画のパワーに敬意を表して★5つにします。本当は序列などこの映画には必要ないし、あまりつけたくもないのだけど、原作、脚色がある以上やはり評価しなければならないかなと考えました。

しっかし、あのゲート所長も実在の人物ってとこが恐ろしいよなあ。架空の創作人物だとばっかり思っていたので。。

でも、1番見ていて言い知れぬ怖さに震えたというか引っかかったのは、ゲート所長の無差別射撃でもなければ赤い服の少女の遺体でもない。それは、貨車に詰め込まれたユダヤ人たちにシンドラーが水をかけてやるシーンで、それを見てヘラヘラ笑っているドイツ軍人たちの姿を見たときだった。

なんとも言い知れぬ嫌悪感と恐怖感に襲われた。

人が簡単に無意味に撃ち殺されるシーンなどは、あまりにも自分の住む現実世界からは程遠い出来事なので、主観の入り込む余裕さえない、いわばあくまでも客観的に距離を置いて見るしかなかったのだが、あのシーンだけは違ったのだ。自分の住む現実の日常にも潜んでいる差別、イジメみたいなものの本質が1番端的に現れていると感じたのだ。なにか自分にも身に覚えがある、、みたいな。

卑劣な行為を繰り返すドイツ軍と自分との間に接点みたいなものを感じてしまい急に恐ろしくなった。もし、あの時代あの場所で自分がドイツ軍人だったら同じことをしてしまうのではないか、と。

シンドラーの言葉が忘れられない。

「ゲート所長も戦争がなければ普通の良い男だ。日常の世界では良い部分しか表に出ない。戦争は人間の最も悪い部分を引き出す・・・。本当のパワーとは人を殺す正当な理由がある時に殺さないことだ。」

そう、それは許すこと。

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サウルの息子

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出演:ルーリグ・ゲーザ、モルナール・レヴェンテ、ユルス・レチン、トッド・シャルモン

監督・脚本:ネメシュ・ラースロー

(2015年・ハンガリー・107分)WOWOW

内容:1944年10月、ナチスのアウシュヴィッツ収容所。ここに収容されているユダヤ人のサウルは、ガス室へ送り込まれた同胞の死体処理を務めるユダヤ人特殊部隊“ゾンダーコマンド”のひとりだった。ある日、彼は自分の息子と思われる少年がガス室で虫の息になっているのを発見する。結局軍医に殺されてしまった少年をユダヤ教によって正式に埋葬してもらうために、サウルはナチスの監視の目を盗みながら奔走する・・・。

評価★★★★/80点

ホロコーストを題材にした映画といえば、「シンドラーのリスト」「戦場のピアニスト」「ライフイズビューティフル」「アンネの日記」などがあり、それぞれ違う角度から切り取った作品になっているけど、今作は今までにもまして異なる切り口の見せ方になっていて、映画の持つ奥深さを今更ながらに痛感させられた。

まずもってゾンダーコマンドという存在や役割自体初めて知って驚くばかりで、ナチスの民族絶滅政策の狂気と、人間はここまでおぞましくなれるのかという恐ろしさにただただ言葉を失った。

また、今までにない切り口の見せ方という点では、カメラが主人公サウルの上半身肩越しのクローズアップのみを常に捉えつづけ、彼の周りで繰り広げられる地獄絵図は常にピンボケしているという普通の映画ではタブーといっていい手法に驚かされた。

例えば、一人称のPOV視点であれば周りの状況にこそクリアにピントが合わされるのが常識のはず。しかし今作はその全く逆の手法で表現していて、彼の見聞きしたいものにはピントが合い、したくないものにはピントが合わないというふうになっている。

ただ、ぼやけた背景でも、異様に混ざり合う音と感情のない機械的なサウルの動きと断片的に映り込むモノとして扱われる人々のシルエットから、そこで一体何が起きているのかをかえって鮮明に想像させる画作りになっていて、まさに今まで見たことのない映画体験だった。

映画の教科書にはまず載っていないであろう映像表現に徹した奇抜さを、監督は「鍵穴から覗いているイメージ」で撮ったと語っていてストンと腑に落ちたのと同時に、この作品を感動ものにも英雄ものにもしたくない、ホロコーストはそんなものではないという強い意志を感じられた気がした。

見るよりも感じる映画。

とりあえず心の中で静かに拍手を送りたい。

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杉原千畝 スギハラチウネ(2015年・東宝・139分)WOWOW

 監督:チェリン・グラック

 出演:唐沢寿明、小雪、ボリス・シッツ、ミハウ・ジュラフスキ、塚本高史、濱田岳、小日向文世

 内容:1934年。満州国外交部で働く杉原千畝は、北満鉄道譲渡に関わる日ソ交渉に携わり日本有利に事を進めることに貢献する。その後、外務省のモスクワ大使館への赴任が決まるが、先の活躍に神経を尖らせるソ連から入国を拒否されてしまう。結局1939年、彼はリトアニアの日本領事館に赴任する。そんな中、第二次世界大戦が勃発、ナチスの迫害を逃れた多くのユダヤ人が領事館に押し寄せてくるが・・・。

評価★★★/65点

上司から君の推測はいつも正しいと評価される良識と先見の明を兼ね備えたスーパー外交官・杉原千畝。

その感性は、今を生きる現代日本人と何ら変わりがなく、イケイケどんどんで暴走していく当時の日本人とは真反対のヒューマニスト・善人観には逆にある種の違和感を覚えなくもない。

それは「太平洋戦争を回避しようとした外交官の物語」とわざわざ強調する冒頭のテロップを見た時から感じていたことだったけど、歴史を知っている現代人の美化のバイアスがかかった筆加減はやはり気になるところで、しかもそれが演出の掘り下げをかなり平板なものにしているので、どこか薄っぺらく見えてしまうところもあり・・。

外交官・杉原千畝のインテリジェンスは世界情勢を間近に見る最前線に立つ者だからこそ得られるものなのかもしれないけど、人間・杉原千畝の思いや内面といったものがイマイチ伝わってこず、言い方は悪いけど全体的に退屈な映画だった。

本家本元の「シンドラーのリスト」と比べるのは酷とはいえ、もうちょっと焦点をしぼって描いてもよかった気がする。

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ヒトラーの贋札

Nise_2 出演:カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール、デーヴィト・シュトリーゾフ

監督・脚本:ステファン・ルツォヴィツキー

(2007年・独/オーストリア・96分)WOWOW

内容:第二次世界大戦の最中、ナチスは米英の経済崩壊を狙うため贋ポンド札を製造するベルンハルト作戦を計画。世界的贋作師サリーや印刷技師ブルガーなどザクセンハウゼン強制収用所にはユダヤ系専門家たち数十人が集められた。収容所内で破格の待遇を受け、贋ポンド作りに従事するサリーたちだったが、自分の延命と引替えに同胞を苦しめるナチスに荷担するジレンマに次第に葛藤と苦悩を深めていく・・・。

評価★★★★/75点

贋札というと、真っ先に「ルパン3世カリオストロの城」に出てくるゴート札を思い出しちゃうんだけど、実際に国家ぐるみの贋札製造作戦があったなんて初めて知ったな。

と同時に、戦争ってのは手段を選ばない何でもありのものなんだなということも実感。

その最たるものがホロコーストなわけだけど、命の灯を簡単に握りつぶされてしまうような苛酷な状況の中で、その殺戮者たちの悪事に手を貸さなければならないなんて・・・。しかもその悪事が成功すれば、ますますもって家族や同胞を苦しめることにつながってしまう。が、逆に失敗すれば、即ガス室送り・・・。

自分の命と正義感を天秤にかけられるという究極の選択、その苦悩と葛藤の中で描き出される生への執着と一縷の信念。

こんなことを言ってはあれだけど、一級の娯楽作として申し分ない要素を兼ね備えた作品に仕上がっていたと思う。

まるで収容所というよりは刑務所を舞台にしたスリリングな犯罪劇でも見ているようなかんじで、ホロコーストを扱った今までの作品群とは趣を異にする視点だったけど、薄っぺらい壁一枚隔てた向こう側に横たわる累々たる死がホロコーストの恐怖をいやが上にも実感させて緊張感は途切れることがない。

また、主人公サリーの人物像も、転んでもただでは起きないような狡猾でズル賢いキャラクターで、そういう視点でも面白い作品だったと思う。

ホロコーストについて毎度のごとく考えさせられるとともに、究極の人間ドラマとスリリングなサスペンスの娯楽作としても楽しめてしまうトンでも映画。

それが「ヒトラーの贋札」なのです。。

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夜と霧(1955年・フランス・32分)NHK-BS

 監督:アラン・レネ

 内容:ポーランドのアウシュビッツ強制収容所に関する短編記録映画。第二次大戦中のナチスによる残虐行為の数々を、カラーでとらえた廃墟のアウシュビッツと、モノクロの当時の再現場面とのモンタージュ構成によって描き出す。

評価:点数付けたくありません。。

見る前の30分。「おおし、これ見たらプレステやっぞー!」

見ている30分。胃がキリキリと痛む悪夢。

見た後の30分。・・・・・・・・・。

しかし、1時間後にはゲームという仮想世界に逃げ込んでしまうのだった・・。

ただ、自分にできること。この映画を見た記憶を忘れない。この映画を忘れない。

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