夢のシネマパラダイス261番シアター:子供を経験したすべての大人たちへ
聲の形
声の出演:入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、松岡茉優
監督:山田尚子
(2016年・松竹・129分)WOWOW
内容:ガキ大将だった小6の石田将也は、聴覚障害を持つ転校生・西宮硝子をいじめるようになり他のクラスメイトも追随。そのせいで硝子は転校を余儀なくされることになったが、今度は将也がいじめられる側になってしまう。中学生に上がってもそれは変わらず、完全に心を閉ざしてしまった将也は、高3になって自殺を決意する。しかし、その前にかつていじめていた硝子に謝るために手話サークルを訪ねるが・・・。
評価★★★★/80点
イジメや障害などの重い問題を青年誌ではなく少年誌というハードルを下げた媒体で真正面から描いた原作マンガは、自分の過去体験の苦い部分をほじくり返されるような居心地の悪さもあいまって衝撃を受けた作品だった。
その苦い部分としてふっと思い出したこと。
小学6年生の時に、隣のクラスの班長も務めるような優等生タイプだった女子がギョウ虫検査に引っかかったという根も葉もない噂をチラッと耳にした自分は、ある日の全校集会終わりに廊下ですれ違いざまに「うわー!菌がうつるー!」と大げさにわめいてバカにした。彼女も周りの生徒も「えっ?何のこと?」と当惑した様子だったが、その後彼女はスクールカーストの上位から転落していったように記憶している。
彼女との接点はほぼその時かぎりで、その後自分は転校したのだけど、このマンガを読んだ時に罪悪感のカケラもなく言い放ったあの一言を急に思い出した。
彼女はどうなっちゃったんだろう、、あの一言がどれだけ傷つけたんだろう、、と。
その後、転校先でしっぺ返しを食らったようにイジメに近いことを受けた自分は、将也の境遇がめちゃくちゃ刺さったし、中高と良い人ぶった無干渉の傍観者になった自分は川井さんを見て、なんか自分の嫌な部分を見透かされているような気がしてドキリとしてしまった。
なんだか常に自分の後ろめたい感情を呼び覚まされながら読み進めたマンガだったけど、映画の方は残酷性がややソフトになっているものの、よりピンポイントに上手くまとめ上げられていた。また、各登場人物の内面もしっかり表現され、映像含めて原作の伝えたいエッセンスやクオリティを損なうことなく描ききってくれたと思う。
マンガと同様に将也の姉ちゃんの顔出しNGってのは笑えたけどw
どこか実写ドラマ化してくれる勇気のある局ないかなぁ。
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STAND BY ME ドラえもん
声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昂、関智一、妻夫木聡
監督:八木竜一、山崎貴
(2014年・東宝・95分)WOWOW
内容:運動に勉強に何をやってもダメな小学生のび太は、いつもジャイアンやスネ夫にいじめられる日々を送っていた。そんなある日、彼の前に22世紀からタイムマシンに乗って彼の孫の孫セワシが、ネコ型ロボット“ドラえもん”を連れてやって来た。のび太の最低最悪な未来を変えるため、ドラえもんを世話係として置いていくというのだが・・・。
評価★★★/60点
秦基博の主題歌がカラオケの十八番になっている自分にとっては、映画の方もどんな感じなんだろうと気にはなっていて、今回約30年ぶりにドラえもんを見ることに。
で、30年ぶりに見てみて、図らずも劇中で大人になったのび太が、ドラえもんは子供時代の友達で、その思い出を大切に胸に仕舞っておきたいので今は会わなくていいみたいなことを言うんだけど、それがそっくりそのまま自分の映画の感想になっちゃった
大山のぶ代のドラえもんを見ていた80年代のノスタルジーを喚起させるでもなく、“ドラ泣き”させるでもなく、なんか中途半端な印象だったな。
その中で、泣かせエピソードの羅列が感動に集約していかない平板さが1番の欠点だと思うけど、3Dを意識した絵作りがけっこうよく出来ていただけに、22世紀の未来を舞台にするとかそういう意外性がほしかった。
あるいは、別れと旅立ち(巣立ち)を裏テーマとして想起してしまうスタンド・バイ・ミーとわざわざ銘打つなら、ジャイアンとスネ夫が完全におざなりになっている今作のつくりはいただけないし、ドラえもんとの別れのあとにウソ800飲んでやっぱり戻ってきてハッピーエンドというオチもいただけなかった。
そう考えると、やはり22世紀のセワシの視点でドラえもんとのび太たちの関係を見るというのはひとつの手法として有りだったのではないかと思う。
まぁ、ドラえもんは子供のための作品だと思うので、中年のオッサンがとやかく言うことではないんだけどねww
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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
監督・脚本:原恵一
(2001年・東宝・89分)WOWOW
評価★★★★/75点
内容:春日部に誕生した「20世紀博」。そこはひろしやみさえたちが育った70年代のテレビ番組や映画、そして暮らしなどを再現した懐かしい世界に浸れるテーマパークだった。大人たちは子供そっちのけで20世紀博に熱中していく。そんな姿をしんちゃん達“かすかべ防衛隊”の面々は不安な目で見つめるのだった・・・。21世紀をなかったことにして、再び世界を20世紀の時代に返そうと画策するイエスタデイ・ワンス・モアのリーダー、ケンと自分たちの未来を守るべく立ち上がったしんちゃんの壮絶な戦い!
“子供は笑えて親は泣けるという触れ込みに該当しない80’s生まれの独身男が恐れ多くも言わさせていただけるならば・・・”
汚いカネと燃えないゴミで覆われている21世紀も捨てたもんじゃないなと
しんちゃん一家が夕日に照らされたかすかべの家に帰ってきて玄関開けてただいまーっと言うラストシーンを見てそんな思いを抱いた。
ついでにエンディングにカーペンターズのイエスタデイ・ワンス・モア♪が流れたらもっと良かったのに。。
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若い頃は
好きな曲がかかるのを待ちながら
よくラジオを聴いていたっけ
そんな曲がかかると笑いながら
一緒に口ずさんだものだった
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
そんな幸せなひと時は
それほど昔のことじゃないのに
あの歌はどこへ?と、どんなに心配したことか
でもここにあの歌の数々はよみがえってきたね
久しく会わなかった友達のように
どの曲も 大好き
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
でも歌の歌詞が
彼が彼女を失恋させるくだりになると
今でも無性に泣きたくなってしまう
まるであの頃のように
過ぎ去った日々よもう一度
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
こうしてあの頃のことを振り返り
消えていった年月や楽しかったことを思い出すと
あまりにも変わってしまった今日のことが少し悲しく思えてしまう
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
あの頃よく歌っていたのは恋の歌
歌詞も隅々まで覚えていたっけ
そんな懐かしいメロディは今でも私の心に快く響きます
過ぎ去った日々を溶かしていったあの頃のように
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
最高の想い出ばかりが鮮明によみがえってきて
泣きたくなるものさえあるんだ
まるであの頃のように
過ぎ去った日々よ もう一度・・・
by カーペンターズ
今から何十年か経ったとき、今日この時を懐かしいと思えるのかな。
そう思えるように今日一日を大切に生きていこうっと。
懐かしいと思えるのは、その時を生きていた自分の心が豊かだったという何よりの証拠なのだから!
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クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶジャングル(2000年・東宝・90分)WOWOW
監督:原恵一
声の出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原哲治、玄田哲章
内容:クレしん映画版シリーズ第8作。
評価★★★/65点
しんちゃんだと思ってバカにしてはいけない(笑)。ジャパニメーションの高水準を如実に示す好例といえるのでは。冗談じゃなく。
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