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2018年3月14日 (水)

夢のシネマパラダイス565番シアター:崖の上のポニョ

崖の上のポニョ

Img62011412zik8zj 声の出演:山口智子、長嶋一茂、天海祐希、所ジョージ、土井洋輝、吉行和子、奈良岡朋子

監督・脚本:宮崎駿

(2008年・東宝・101分)DVD

内容:海辺の小さな漁師町で崖の上の一軒家に暮らす宗介はある日、ジャムの瓶に頭を突っ込んだ金魚を見つける。宗介はポニョと名付けて連れ帰るが、実はポニョは海界の女王の娘だった。そしてポニョは、もともとは人間だった父フジモトによって海の中へ連れ戻されてしまうが・・・。

評価★★★/65点

小1でナウシカ、小3でラピュタ、小5でトトロ、小6で魔女宅という最も良い時期に宮崎アニメの最も輝いている作品をリアルタイムで見られたオイラはホンットに幸せ者ですっ!

という自分にとって宮崎アニメとは突きつめていえばこの4作品にカリオストロの城(1979)を加えた5作品といっても過言ではない。

勝手な解釈では前記作品が宮崎駿のスタンダード確立期、紅の豚(1992)が転換期、もののけ姫(1997)以降が宮崎駿の暴走期と決めつけてるんだけどw

その中で、えてしてスタンダードを確立した芸術家というのは映画作家でも音楽のアーティストでも往々にしてニーズに応えることを放棄して自己の内面世界へ没入していく傾向にあり、黒澤明など巨匠であればあるほどそれは明確になる。

その変容は構成力と調和の世界からイメージと幻想の世界へということになろうか。

その点でいえば宮崎駿もまさにそうで、もののけ姫以降、その変容の振り子の針の振れ幅は大きくなるばかりで、物語ることの放棄と物語りの破綻は目を覆うばかりだ。

宮崎アニメというのは大別すれば、未来少年コナンやナウシカなどのディストピア・ファンタジーと、トトロや魔女宅などの日常の中に潜むファンタジーとに分けられると思うんだけど、その中で、前者の破綻作がハウル(2004)であり、後者の破綻作が千と千尋(2001)ということになろうか。

しかし、宮崎駿の恐るべきは、この変容によって大多数の人はふるいにかけられコアなファンしか残らないのが普通なんだけど、なぜか宮崎駿の場合は客が減るどころか逆に客が右肩上がりで増えつづけるというありえない現象を巻き起こしているのだ。

これは宮崎駿の成し遂げたスタンダードの確立が、日本国民はすべからく宮崎アニメを見るべし、という宮崎アニメの義務教育化ともいうべき恐るべき成果によるところが大きいのと、構成と調和を度外視したイメージの洪水があまりにも凄すぎて見る側が中毒患者のように頭のどっかが麻痺してしまうからだろう(笑)。

おそらく、こういう監督、世界中を見渡してもそうはいない。

そして、今回である。

もうね、、イッちゃってます!逝っちゃってるんですww!

5歳向けの絵本のような作品世界ということで、そんなもんに大の大人が御託を並べてとやかく論評すること自体バカバカしいのは百も承知だけど、いや、しかし、少なくとも自分自身6歳でナウシカをスクリーンで見た者から言わさせていただきますれば、これはどうなんだろうと。。

昔っからそうなのかは知らないけど、創作過程において宮崎駿はシナリオからではなくイメージボード=絵から入り、そのイメージを広げて構想を広げていくというけど、これは常人にはかなり困難な作業なはずで、一歩間違えれば物語が容易く破綻してしまう危険性をはらんでいる。

千と千尋でイメージの洪水と物語を無理やり結合させた豪腕も寄る年波には勝てなかったのか、あるいは要らないものを削ぎ落としていった結果こうなったのかは知るよしもないが、今回の物語のいい加減さには思わず戦慄を覚えた。というか、気持ち悪いといった方が正確かもしれない。

では、この映画の何がそんなに気持ち悪いのか。

それは、日常を舞台にしているようにみえて、その実まったく日常に見えない不気味さ、日常という化けの皮をかぶった異様な非現実で覆われていることが大きい。

この映画にはたしかな日常の感触がないのだ。

それがトトロや魔女宅にあってポニョにないものであり、それがこの映画に対する気持ち悪さにつながっているのだと思う。

これはオープニングからしてすでに、恐るべき魔法力を持ったポニョがフジモトの結界を破って人間と接触したため、非現実が津波のように現実を侵食しているせいなのかもしれないし、その点でみれば、月の満ち欠けが女性のカラダに影響を与えているとするならば、月が地球に接近した影響で精神に変調をきたしたリサが子供そっちのけで暴走するのにも理由がつく、のかもしれないけど・・。

でも、手足を生やす変態したギョロ目のポニョなんてまるで千と千尋に出てきたカエル男にそっくりでキモイし。そういえばあのカエル男って欲望の亡者だったっけ。

ポニョも欲望の趣くままに波の上を疾駆し、5歳の少年の元をひたすら目指す。たとえ大津波を引き起こし、町を海中に没し、世界の均衡のバランスを崩壊させようとも。

これをカワイイとみるか、恐いとみるかは人それぞれだけど、自分はちょっと違和感が・・・。

しかし、すべてが手描きという絵柄は全く違和感なく見れたし、宮崎駿の持つ絵の力はまだまだ健在だなと。蛇口から出た水が飛びはねるラフな描線など面白かったし、ハム入りラーメンはめちゃ美味しそうだったし、幾通りもの波の描写も素晴らしかった。

やっぱシナリオやなぁ。。物語に調和と均衡を・・。

でも、宮崎駿にそれを求めるのはもうムリなのかもしれないな。後進に期待するしかないか。。

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夜明け告げるルーの歌

172384_01声の出演:谷花音、下田翔大、寿美菜子、斉藤壮馬、篠原信一、柄本明

監督・脚本:湯浅政明

(2017年・日本・113分)WOWOW

内容:さびれた港町の日無町。父と祖父と暮らしている中学生のカイは、親の離婚で東京から越してきたが、なかなか解けこめずに心を開けないでいた。そんな彼にとって唯一の楽しみは、自分で作曲した音楽をネットにアップすること。そんなある日、カイの音楽の才能に気づいたクラスメイトの国夫と遊歩に彼らが活動しているバンドに誘われる。カイは仕方なく練習場所の人魚島へ行くが、そこで3人の音楽に合わせて楽しそうにダンスする人魚の少女ルーと遭遇する・・・。 

評価★★★★/75点

宗介とポニョをプラス10歳設定にしたかんじで、どうしてもかの作品の幻影がオーバーラップしてしまったけど、二番煎じ感よりも独創性の方が100倍勝っていると感じられたのは素直に湯浅監督の力量を認めたいところ。

が、キャラ設定が決定的に弱いのが玉にキズで、デフォルメした絵の描線がフニャフニャなのは感性的で良いとしても、その割にどうも生命力に乏しくてキャラクターの躍動が結局理性的なところに落ち着いちゃうんだよね。そこの突き抜けなさが少しもったいなかったかなぁと。

音楽はポップな世界観とマッチしていて良かっただけに、まだまだ爆発力があってしかるべき作品だったように思う。

2018年3月11日 (日)

夢のシネマパラダイス261番シアター:子供を経験したすべての大人たちへ

聲の形

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声の出演:入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、松岡茉優

監督:山田尚子

(2016年・松竹・129分)WOWOW

内容:ガキ大将だった小6の石田将也は、聴覚障害を持つ転校生・西宮硝子をいじめるようになり他のクラスメイトも追随。そのせいで硝子は転校を余儀なくされることになったが、今度は将也がいじめられる側になってしまう。中学生に上がってもそれは変わらず、完全に心を閉ざしてしまった将也は、高3になって自殺を決意する。しかし、その前にかつていじめていた硝子に謝るために手話サークルを訪ねるが・・・。

評価★★★★/80点

イジメや障害などの重い問題を青年誌ではなく少年誌というハードルを下げた媒体で真正面から描いた原作マンガは、自分の過去体験の苦い部分をほじくり返されるような居心地の悪さもあいまって衝撃を受けた作品だった。

その苦い部分としてふっと思い出したこと。

小学6年生の時に、隣のクラスの班長も務めるような優等生タイプだった女子がギョウ虫検査に引っかかったという根も葉もない噂をチラッと耳にした自分は、ある日の全校集会終わりに廊下ですれ違いざまに「うわー!菌がうつるー!」と大げさにわめいてバカにした。彼女も周りの生徒も「えっ?何のこと?」と当惑した様子だったが、その後彼女はスクールカーストの上位から転落していったように記憶している。

彼女との接点はほぼその時かぎりで、その後自分は転校したのだけど、このマンガを読んだ時に罪悪感のカケラもなく言い放ったあの一言を急に思い出した。

彼女はどうなっちゃったんだろう、、あの一言がどれだけ傷つけたんだろう、、と。

その後、転校先でしっぺ返しを食らったようにイジメに近いことを受けた自分は、将也の境遇がめちゃくちゃ刺さったし、中高と良い人ぶった無干渉の傍観者になった自分は川井さんを見て、なんか自分の嫌な部分を見透かされているような気がしてドキリとしてしまった。

なんだか常に自分の後ろめたい感情を呼び覚まされながら読み進めたマンガだったけど、映画の方は残酷性がややソフトになっているものの、よりピンポイントに上手くまとめ上げられていた。また、各登場人物の内面もしっかり表現され、映像含めて原作の伝えたいエッセンスやクオリティを損なうことなく描ききってくれたと思う。

マンガと同様に将也の姉ちゃんの顔出しNGってのは笑えたけどw

どこか実写ドラマ化してくれる勇気のある局ないかなぁ。

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STAND BY ME ドラえもん

Poster2声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昂、関智一、妻夫木聡

監督:八木竜一、山崎貴

(2014年・東宝・95分)WOWOW

内容:運動に勉強に何をやってもダメな小学生のび太は、いつもジャイアンやスネ夫にいじめられる日々を送っていた。そんなある日、彼の前に22世紀からタイムマシンに乗って彼の孫の孫セワシが、ネコ型ロボット“ドラえもん”を連れてやって来た。のび太の最低最悪な未来を変えるため、ドラえもんを世話係として置いていくというのだが・・・。

評価★★★/60点

秦基博の主題歌がカラオケの十八番になっている自分にとっては、映画の方もどんな感じなんだろうと気にはなっていて、今回約30年ぶりにドラえもんを見ることに。

で、30年ぶりに見てみて、図らずも劇中で大人になったのび太が、ドラえもんは子供時代の友達で、その思い出を大切に胸に仕舞っておきたいので今は会わなくていいみたいなことを言うんだけど、それがそっくりそのまま自分の映画の感想になっちゃった

大山のぶ代のドラえもんを見ていた80年代のノスタルジーを喚起させるでもなく、“ドラ泣き”させるでもなく、なんか中途半端な印象だったな。

その中で、泣かせエピソードの羅列が感動に集約していかない平板さが1番の欠点だと思うけど、3Dを意識した絵作りがけっこうよく出来ていただけに、22世紀の未来を舞台にするとかそういう意外性がほしかった。

あるいは、別れと旅立ち(巣立ち)を裏テーマとして想起してしまうスタンド・バイ・ミーとわざわざ銘打つなら、ジャイアンとスネ夫が完全におざなりになっている今作のつくりはいただけないし、ドラえもんとの別れのあとにウソ800飲んでやっぱり戻ってきてハッピーエンドというオチもいただけなかった。

そう考えると、やはり22世紀のセワシの視点でドラえもんとのび太たちの関係を見るというのはひとつの手法として有りだったのではないかと思う。

まぁ、ドラえもんは子供のための作品だと思うので、中年のオッサンがとやかく言うことではないんだけどねww

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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲

Shinchan02声の出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ

監督・脚本:原恵一

(2001年・東宝・89分)WOWOW

評価★★★★/75点

 

内容:春日部に誕生した「20世紀博」。そこはひろしやみさえたちが育った70年代のテレビ番組や映画、そして暮らしなどを再現した懐かしい世界に浸れるテーマパークだった。大人たちは子供そっちのけで20世紀博に熱中していく。そんな姿をしんちゃん達“かすかべ防衛隊”の面々は不安な目で見つめるのだった・・・。21世紀をなかったことにして、再び世界を20世紀の時代に返そうと画策するイエスタデイ・ワンス・モアのリーダー、ケンと自分たちの未来を守るべく立ち上がったしんちゃんの壮絶な戦い!

“子供は笑えて親は泣けるという触れ込みに該当しない80’s生まれの独身男が恐れ多くも言わさせていただけるならば・・・”

汚いカネと燃えないゴミで覆われている21世紀も捨てたもんじゃないなと

しんちゃん一家が夕日に照らされたかすかべの家に帰ってきて玄関開けてただいまーっと言うラストシーンを見てそんな思いを抱いた。

ついでにエンディングにカーペンターズのイエスタデイ・ワンス・モア♪が流れたらもっと良かったのに。。

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若い頃は

好きな曲がかかるのを待ちながら

よくラジオを聴いていたっけ

そんな曲がかかると笑いながら

一緒に口ずさんだものだった

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

そんな幸せなひと時は

それほど昔のことじゃないのに

あの歌はどこへ?と、どんなに心配したことか

でもここにあの歌の数々はよみがえってきたね

久しく会わなかった友達のように

どの曲も 大好き

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

でも歌の歌詞が

彼が彼女を失恋させるくだりになると

今でも無性に泣きたくなってしまう

まるであの頃のように

過ぎ去った日々よもう一度

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

こうしてあの頃のことを振り返り

消えていった年月や楽しかったことを思い出すと

あまりにも変わってしまった今日のことが少し悲しく思えてしまう

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

あの頃よく歌っていたのは恋の歌

歌詞も隅々まで覚えていたっけ

そんな懐かしいメロディは今でも私の心に快く響きます

過ぎ去った日々を溶かしていったあの頃のように

♪   ♪   ♪   ♪   ♪   ♪

最高の想い出ばかりが鮮明によみがえってきて

泣きたくなるものさえあるんだ

まるであの頃のように

過ぎ去った日々よ もう一度・・・  

                 by カーペンターズ

今から何十年か経ったとき、今日この時を懐かしいと思えるのかな。

そう思えるように今日一日を大切に生きていこうっと。

懐かしいと思えるのは、その時を生きていた自分の心が豊かだったという何よりの証拠なのだから!

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クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶジャングル(2000年・東宝・90分)WOWOW

 監督:原恵一

 声の出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原哲治、玄田哲章

 内容:クレしん映画版シリーズ第8作。

評価★★★/65点

しんちゃんだと思ってバカにしてはいけない(笑)。ジャパニメーションの高水準を如実に示す好例といえるのでは。冗談じゃなく。

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