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2017年11月 8日 (水)

夢のシネマパラダイス328番シアター:ブレードランナー

Blade_runner 出演:ハリソン・フォード、ショーン・ヤング、ルトガー・ハウアー、ダリル・ハンナ

監督:リドリー・スコット

(1982年・アメリカ・117分)

内容:遺伝子工学が極端に発達し、精巧な人造人間レプリカントが造られるようになった2019年、レプリカントは宇宙や惑星植民地で危険な労働に従事させられていた。そんな中、地球征服を企んだロイ・バッティをリーダーとするレプリカント4人がロサンゼルスの街に侵入。しかし、レプリカントは詳しいテストをしなければ本物の人間との違いが判別できない。彼らの犯罪を阻止し抹殺する使命を帯びた元刑事のデッカードは、レプリカントの製造元であるタイレル社を訪れ、レプリカントの寿命が短命なことを知る・・・。SF作家フィリップ・K・ディックの原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を映画化したハードボイルドタッチの近未来アクション。酸性雨が絶えず降り注ぐ街、エアカーと自転車の混在、西洋人と東洋人のカオス、日本語のイルミネーションや看板が乱立する高層ビル群といった未来世界のディテールは後の数多の映画に影響を与えたことで有名。またビデオの普及に最も貢献した作品としても知られている。

評価★★★★/80点

“残酷すぎるくらい美しくダークな映像、美しすぎるくらい残酷な人間。リドリー・スコット版フランケンシュタインはかくも美しく残酷だ。”

デッカードが逃げるゾーラを後ろから容赦なく撃ち殺すシーンのなんとキレイなことよ。

流麗なスローモーションと割れるガラス、弾丸をブチ込まれ倒れながらもなんとか起き上がっては逃げようとするゾーラ、しかも一応女でっせ。にもかかわらず問答無用のデッカード。

しかもわざわざスローモーションにする必要がどこにあるってシーンなんだけど、そこがこの映画のポイントなのだろう。

人間の持つ豊かな創造力と表裏一体をなす恐ろしいまでの残虐性が見事に浮き彫りになるワンシーンだった。

個人的には思い切ってレプリカントを主人公にした方が自分好みの映画になったのではないかなとも思うけど。

だって彼らは人間以上に悩み苦しみ闘い、そして生きようとしたのだから。

その方が、我々はなぜ生まれ、そしてどこへ行くんだという彼らレプリカント自身の問いかけが真に見るわれわれ人間にも迫ってくると思うのだ。

ロイ・バッティの決して癒やされない悲しみを抱えた瞳と言葉が強く印象に残る、、“我思う、ゆえに我あり。”

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ブレードランナー2049

171036_02出演:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、マッケンジー・デイヴィス、ロビン・ライト、ジャレッド・レト、ショーン・ヤング

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

(2017年・アメリカ・163分)東宝シネマズ日本橋

内容:2022年にレプリカントによって引き起こされた大停電によりレプリカントは製造禁止となったが、2036年にウォレス社によって新型レプリカントが開発。旧型レプリカントは専任捜査官ブレードランナーによって抹殺される運命にあった。そして、さらなる荒廃が進む2049年。LA市警のブレードランナーでなおかつ新型レプリカントでもあるKは、ある捜査の過程で30年前に死んだ女性レプリカント・レイチェルが出産していたという重大な秘密を知ってしまう。やがて、かつて優秀なブレードランナーとして活躍し、レイチェルと共に姿を消した男デッカードの存在に辿り着くが・・・。

評価★★★☆/70点

に、に、2時間43分!?に尻込みするも、実際見てみると心地よい徒労感に襲われて、これぞ映画体験を満喫♪

このてのSFもので緩急どころか終始スローペースなまま進んでいく物語に、ストレスなしで身をゆだねられるのも不思議なかんじ。

それは人間もどきと揶揄されるレプリカント主人公Kの、自分は一体何者なのか、特別な存在なのかという自分探しの旅がストレートに胸に迫ってきたから。これは必然の長さだと納得した。

そして、ライアン・ゴズリングの眠たげな瞳wが内省的な主人公とうまくマッチングしていて印象深く、殊のほか良かったことにも引っ張られたかな。

ただ、デッカードと“運命の子”よりも、あくまでKと初音ミクの進化形ジョイの人間もどき2人のおとぎ話に収れんさせてほしかった気も。

ていうか、キャラクター設計としてジョイは明らかにヒロインのはず。なのにあまりにも切なすぎる最期が哀しすぎる😢

ジョイをもっと見ていたかったな~💕

2017年11月 2日 (木)

夢のシネマパラダイス594番シアター:スター・トレックシリーズ

スター・トレック

Img_6出演:ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、デフォレスト・ケリー、パーシス・カンバッタ、スティーヴン・コリンズ、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス

監督:ロバート・ワイズ

(1979年・アメリカ・132分)

内容:23世紀。未知のエイリアンが、迎撃に向かった戦艦を破壊しながら地球領域に侵入してきた。そこで新型エンタープライズに出撃命令が出され、カーク艦長以下クルー達が搭乗し出発するものの、エンジン不良で絶体絶命の危機に陥ってしまう。しかし、そこで救世主として現れたのがカークの旧知の部下で科学士官のスポックだった・・・。

評価★★★☆/70点

今まで話にだけはよく耳にしてきてなんとなく知ったつもりできたスター・トレックシリーズに本格初挑戦

で、、実は何にも分かっておりませんでした自分(笑)。

まぁ、かなり丁寧にゆったりとしたテンポでページを繰っていくようなかんじなので、キャラクター紹介も含めて取っつきやすかったのはたしかだけど、裏を返せば冗長で退屈w

映像技術も拙いし、スペースオペラ的な宇宙冒険活劇の味はかなり薄いなという印象。

ただその分、妙に哲学的な要素が盛り込まれているのが特色で、高度な機械生命体の存在する惑星で自我を与えられ、創造主の探求に目覚めた宇宙探査機が、不完全で非論理的な炭素体ユニット・人間と対峙するというテーマ性は、自分は何者でどこから来たのかという根源的な問いを発する2001年宇宙の旅を想起させる。

その点で今作はキューブリックとルーカスの両面性を取り入れているといえ、宇宙SFものの文脈の中で見る面白さは大いにあるとは思う。

しかし、製作に100億もの大金をつぎ込んだわりにこれっぽっち!?という物足りなさは否めず、逆にこの3分の1程度で完成したスター・ウォーズの方に壮大なインパクトを受けるというのは、考えてみれば皮肉な話だね。

60年代のTVシリーズをそのまま転用した古臭さがあったスター・トレックと、見せ方の創意工夫で80年代に先んじていたスター・ウォーズという違いなのかな。とはいってもSWの方が2年早く公開されてるんだけどね

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スター・トレック2/カーンの逆襲(1982年・アメリカ・113分)

 監督:ニコラス・メイヤー

 出演:ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、デフォレスト・ケリー、リカルド・モンタルバン、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス

 内容:惑星を改造して無機物から生命を生み出すジェネシス計画を進める人類は、事前調査のため宇宙戦艦リライアントを惑星アルファ6へ派遣する。しかしそこには、カーク艦長への復讐に燃えるカーンが待ち構えていた。リライアントを乗っ取りジェネシスも奪取したカーンに、訓練生を乗せてテスト航海中のエンタープライズが立ち向かう・・・。

評価★★★/60点

ほぼラストのスポックの献身だけが見所の映画といってもいい印象だけど、カーンとカークの因縁が結局分からずじまいでイマイチ乗り切れず・・。

また、カーンに詰めの甘さがあるズッコケたところが見られるのも引っかかるところで、とてもじゃないが“優生人類”に見えないのが玉にキズw

いかにSWのダース・ベイダーが凄すぎる悪役だったのか、これ見て再認識した(笑)。

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スター・トレック3/ミスター・スポックを探せ!(1984年・アメリカ・105分)

 監督:レナード・ニモイ

 出演:ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、デフォレスト・ケリー、クリストファー・ロイド、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス

 内容:スポックの命という代償と引き換えにカーンの逆襲をなんとか退けたエンタープライズだったが、“彼”が眠っている新惑星ジェネシスで謎の生命反応が探知され、カークは命令を無視して再びジェネシスへ向かう。しかし彼らの前には、反逆者となったカークを追撃する新型艦エクセルシオールが迫り、さらに行く手にはジェネシスを狙うクリンゴン艦隊も待ち構えていた・・・。

評価★★☆/50点

要約すれば、死んだはずのスポックが実は生きてる!?ってだけの話だけど、シリーズのいちキャラクターだけを引っ張って1本映画を撮れてしまうというのはある意味スゴイ。でも正直、根っからのトレッキーじゃないと楽しめないような・・

自分の見所としては、バック・トゥ・ザ・フューチャーのドク役であるクリストファー・ロイドが悪役で出てくるところだったけど、途中まで全く気付かなかった(笑)。あの特殊メイクは反則だよなぁw

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スター・トレック4/故郷への長い道(1986年・アメリカ・119分)

 監督:レナード・ニモイ

 出演:ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、デフォレスト・ケリー、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス

 内容:行く手のエネルギーを吸収し惑星を壊滅させてしまう謎の生命体が地球に接近。彼らとコンタクトの取れる生物が絶滅したクジラだけだと知ったカーク達は、クジラのいる現在の地球へタイム・トラベルを決行する・・・。

評価★★★/60点

SWに寄せて作ってはもはや太刀打ちできないと踏んだのか、次に狙いを定めたのはバック・トゥ・ザ・フューチャー!

前3作から作風がドタバタコメディにがらりと変わって面食らっちゃったけど、タイムトラベルってだけで心が躍る自分にとっては嬉しい驚きだった。

タイムトラベルで現代に出現するシーンがターミネーターぽかったり、カーク一行が質屋に入った時の店内にたくさんの時計コレクションがあるのはバック・トゥ・ザ・フューチャーのオープニングシーンそっくりだったり、挙句の果てにハチマキ姿のスポックはベスト・キッドかよ!

もうね、80’sフリークとしては楽しくて楽しくてしょうがない♪

でも、御一行が現代の街を練り歩く姿はもはやコントだったな

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スター・トレック5/新たなる未知へ(1989年・アメリカ・106分)

 監督:ウィリアム・シャトナー

 出演:ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、デフォレスト・ケリー、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス

 内容:銀河系中立惑星のニンバス3で反乱が起こりエンタープライズが向かった。しかし、反乱首謀者がスポックの腹違いの兄サイボックであることが判明し動揺が広がる。さらにサイボックに乗っ取られてしまったエンタープライズは、“神”を求めて宇宙の深淵部へ進んでいくが・・・。

評価★★/40点

長く続いているシリーズものだからできることだとはいえ、ミスター・スポックの異母兄弟登場って完全な反則技だと思うんだけど、だって例えばルパン三世で石川五右衛門に生き別れの兄弟がいたなんて、、見てみたいかも(笑)

しかし、オバはんの裸踊りにウホウホ引き寄せられる敵といいツッコミどころ満載のシナリオだったな。真面目にやろうとしてスベリ倒すって1番タチが悪いだろ。。

あ、だよね、これゴールデンラズベリー賞獲ったんだ。納得ww

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スター・トレックⅥ/未知の世界(1991年・アメリカ・110分)

 監督:ニコラス・メイヤー

 出演:ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、デフォレスト・ケリー、ジェームズ・ドゥーアン、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルス

 内容:衛星の爆発によって絶滅の危機を迎えたクリンゴン星が、宿敵である惑星連邦へ講和を申し入れてきた。そこでカーク艦長率いるエンタープライズはクリンゴンの宰相ゴルコンの護衛にあたるが、かつてカークは我が子をゴルコンに殺された過去があった。その矢先、ゴルコンが暗殺され、その嫌疑がカークにかけられる・・・。

評価★★★/60点

劇場版1作目から常にカークたちの目の上のたんこぶになってきたクリンゴン人との対立と和解を描いている今作。

民族対立という現代にも通じるテーマだけにシリーズ中でも取っつきやすい中身ではある。

が、カーク船長もスポックもご老体でガタが来ており、全体的にキレがなく活気がないのが玉にキズ。このメンバーの潮時というのは納得かな。

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ジェネレーションズ/STAR TREK(1994年・アメリカ・118分)

 監督:デヴィッド・カーソン

 出演:パトリック・スチュワート、ウィリアム・シャトナー、ジョナサン・フレイクス、ブレント・スピナー、レヴァー・バートン、マルコム・マクダウェル

 内容:時は23世紀。新型エンタープライズのテスト航海中に、謎のエネルギーリボンによりカーク提督もろとも船体が消滅してしまった・・。それから78年後。ピカード大佐率いるエンタープライズは航行中に救難信号をキャッチし、ソランという科学者を救出した。なんと彼は78年前の事故の生存者だったのだが・・・。

評価★★★/60点

新旧艦長の共演、敵役がアクの強いマルコム・マクダウェル、人間の感情をインストールされたアンドロイドのコメディリリーフっぷりと、それぞれの要素は抜群に魅力的なのに、なんでこんなにテンポが悪いんだw

まぁ、老体にムチ打つカーク船長がひと回り下のソラン博士(マルコム・マクダウェル)とタイマン張るグダグダバトルを始め、シナリオの時点で無理があるシーンのオンパレードだったことは否めないんだけど・・。映像面でも、これってジュラシック・パークの後でしょ。にしてはちゃちいよねっていう

ま、バトンタッチとしては良かったんじゃないすか。なげやりw

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スター・トレック/ファースト・コンタクト(1996年・アメリカ・110分)

 監督:ジョナサン・フレイクス

 出演:パトリック・スチュワート、ジョナサン・フレイクス、ブレント・スピナー、レヴァー・バートン、マイケル・ドーン、ジェームズ・クロムウェル

 内容:人類最強の敵ボーグが地球に侵攻。激戦の末、救援に駆けつけたエンタープライズによってなんとか撃退するが、ボーグは過去の地球を制圧しようとタイムワープを行う。後を追ったエンタープライズは地球に到着するのだが・・・。

評価★★★/60点

復讐の炎に燃えるピカード艦長の暴走と狼狽は、「白鯨」のエイハブ船長になぞらえる部分もあったようにちょっとしたサプライズで新鮮味があったのはたしか。しかし、その下地にあるボーグとの因縁などTVシリーズを見ていなければ分からないようなところもあって、やっぱスタトレは一見さんお断りなんだなぁというのを実感した作品かも・・。

ただ、映像技術はやっとで今見ても遜色のないレベルになっていて見やすかった。

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スター・トレック/叛乱(1998年・アメリカ・103分)

 監督:ジョナサン・フレイクス

 出演:パトリック・スチュワート、ジョナサン・フレイクス、ブレント・スピナー、レヴァー・バートン、マイケル・ドーン、F・マーレイ・エイブラハム

 内容:ソーナ人と共にバクー族の惑星を調査中だったエンタープライズ号クルーのアンドロイド・データ少佐が突然異変を起こし、ソーナ側に発砲したとの報せが届く。原因を探るピカード艦長は、データの故障は何者かによる故意のものであることを突きとめる。さらに、バクー人が不老不死の種族であることを知ったピカードは、その裏にある陰謀に気付くが・・・。

評価★★★/60点

不老不死をもたらすエネルギー(特殊放射線)を奪いに行くソーナ人と地球連邦はさしずめ先進諸国で、そのために強制移住させられそうになる現地民バクー族は発展途上国という見方をすれば、顔も知らぬ人々の苦しみなど露知らず資源を吸い上げていくだけ吸い上げてあとはほったらかしという現代世界とリンクしてきて見応えはある。

しかも、バクー族は技術的に遅れているというのではなく、テクノロジーをあえて捨ててそれに頼らない生き方を選んだというのも面白かった。

しかし、叛乱という題名が大げさに聞こえてしまうくらい実際はチンケとしたもので大いに肩すかし・・。

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ネメシス/S.T.X(2002年・アメリカ・117分)

 監督:スチュアート・ベアード

 出演:パトリック・スチュワート、ブレント・スピナー、ジョナサン・フレイクス、マリナ・サーティス、マイケル・ドーン、レヴァー・バートン

 内容:長く対立していた惑星ロミュランでクーデターが発生し、新しく執政官になったシンゾンから和平交渉の申し出が届く。エンタープライズは急ぎロミュランに向かうが・・・。

評価★★★/60点

題名にスター・トレックという言葉がない通り(原題にはあるけど)、初心者でも普通に入り込める宇宙SFものになっている。例えばピカード艦長のクローンであるシンゾンの苦悩は「ブレードランナー」のレプリカントを想起させるもので、1作目から順を追って見てきた自分にとっても最も取っつきやすい作品ではあった。

が、カタルシスがこれっぽっちも味わえないのはどうしたことだろう

ストーリー自体に別段穴はなさそうだけど、地球が滅ぼされてしまう!?というのに緊迫感が醸成されていかなかったり、ピカードに対峙する敵役としてはシンゾンが若造すぎて釣り合わなかったりと、もう少し詰められる部分はあったんじゃないかな。

データの死も序盤からその匂いがプンプンしてたしw。もうちょっと伏線の張り方というものがあるだろうに・・。

って、結局グチっぽくなってしまうのはいつものスター・トレックだな

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スター・トレック

20090701231934出演:クリス・パイン、ザカリー・クイント、エリック・バナ、ウィノナ・ライダー、ゾーイ・サルダナ、レナード・ニモイ

監督:J・J・エイブラムス

(2009年・アメリカ・126分)

内容:自らが犠牲となり800名ものクルーを救った父親の姿を見ることなく育ったジェームズ・T・カークは、無軌道な青春時代を送っていた。そんなある日、カークは父の最期を知るUSSエンタープライズ号の船長パイクと出会い、艦隊員になることに。そこには、サブリーダーとして搭乗しているバルカン人と地球人の混血、スポックも搭乗していた・・・。

評価★★★☆/70点

オリジナル1作目から順繰りに見てきた中で、さすがにエンタープライズ号クルーの熟達し、なおかつ節操をわきまえたキャラクター造型は頭ん中に入ってはいたので、若き日の元気ハツラツとした彼らの姿は新鮮味があって、それだけでも見ていて面白かった。

特に青二才の生意気な若造カークと、自分が優秀なのは当たり前と他人を見下す典型的性格ワル優等生スポックのキャラ造型、また両者の反りの合わなさは、オリジナル作とは真逆のものになっていて引き込まれてしまった。

また、ストーリーの方もタイムトラベル、侵略戦争、復讐譚と旧作シリーズのテーマ要素を取りまとめた集大成的なものになっていて、非常にとっつきやすい作品になっている。

さらに嬉しいことに、レナード・ニモイのオリジナルスポックが出てきて旧作との橋渡しをしてくれるし、他にも細かなディテールで旧作を巧く取り入れていて面白さに厚みが出ているし、10作もグダグダと見た甲斐はあったなと(笑)。

しいて言えば、カーク(クリス・パイン)のキャラクターの掘り下げという点ではまだちょっと甘い部分があったかな。例えばスター・ウォーズのルーク・スカイウォーカーのような挫折感だとか雑草魂みたいなものはあまり感じられず、まるで開成高校のエリートが東大にすんなり入っちゃうお話、みたいな底の浅さは少々感じてしまったかなと。

その点スポックの方はキャラが作りこまれてるかんじはしたけども。

膨大な作品と歴史を積み重ねてきたシリーズなので、オールドファンほど楽しめるものになっているけど、初心者でも新たなサーガの幕開けとして十分楽しめる映画になっていたと思う。

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スター・トレック イントゥ・ダークネス

Poster出演:クリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・チョー、サイモン・ペッグ、クリス・ヘムズワース、レナード・ニモイ

監督:J・J・エイブラムス

(2013年・アメリカ・132分)

内容:2259年。惑星ニビルを探査中だったカークたちは、副艦長スポックの命を救うために規律違反を犯してしまい、エンタープライズ号の艦長を解任されてしまう。そんな中、ロンドンでテロ事件が発生、首謀者ジョン・ハリソンはクリンゴン人が支配する惑星クロノスに逃亡する。この緊急事態にカークは再び艦長に復帰し、エンタープライズはクロノスへ向かうのだが・・・。

評価★★★★/80点

スター・トレックという看板を抜きにしても宇宙SFものとして、映像・キャラクター・ストーリーどこをとっても醍醐味がつまった面白い作品だったと思う。

前作と今作の最新シリーズを見るにあたって旧シリーズを順番に見ていく羽目になったのだけど、正直どれもしっくりこず・・。

それは主要メンバーが老いぼれ、もとい平均年齢が高めで(笑)全体的にスローテンポであったり、爆竹を鳴らしただけのような爆発シーンであったり、エンタープライズ艦内のセットが安っぽすぎて、なおかついつも同じアングルであったり、アクションがあまりにもおざなりであったり・・。

ようするに一言でいえばちゃちいんだけど、前作の最新シリーズからはそこが完全にクリアになっており、さらに今回は前作にも増してスピード感とアクションが満載になっていて見ごたえがあった。

やはり旧シリーズ(カーク船長、スポックはもとより後任のピカード艦長含めて)より20~30歳若返らせたカークとスポックの躍動感とキレのある動きが映画全体を軽快にしていることが最も大きいだろう。

さらに、熱血漢で本能と直感で行動するカークと、常に冷静沈着で倫理と規則に従って行動するスポックをより対照的に際立たせることでキャラクターやストーリーにメリハリができて映画に入りやすくなっているのも好印象。

その点では、論理的に動いていたスポックがだんだん感情的になっていき、最後にはそれを爆発させる変化がこの映画のドラマパートの肝でもあり、今回はスポックの映画といってもいいかもしれない。

対する悪役カーンもカンバーバッチが印象的に演じていたけど、もうちょっと彼のバックグラウンドと動機付けを突っ込んで描いてもよかった気がする。

しかし、スタトレを見てきて初めてまた見たいと思わせた今回の作品はすこぶる大成功だったといっていいと思う。

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スター・トレック BEYOND

Guoihjvjpoks出演:クリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、カール・アーバン、アントン・イェルチン、イドリス・エルバ

監督:ジャスティン・リン

(2016年・アメリカ・123分)WOWOW

内容:カーク船長率いるエンタープライズ号は、未知の星に不時着した宇宙船クルーからの救援要請を受けて探索を始める。しかしそれは罠で、謎の異星人・クラールの襲撃を受けてエンタープライズ号は墜落、クルーたちも散り散りになってしまう・・・。

評価★★★/65点

王道の宇宙SFの体裁を取りながら完全にめまぐるしい活劇ものに転向したと言っていいリブート版シリーズも3作目。

監督がクライシスの乱れ打ちを身上とするエイブラムスからファミリーの絆を前面に押し出してワイルドスピードをメガヒットシリーズに押し上げたジャスティン・リンに代わったことで、各クルーたちに見せ場が割り当てられるなどキャラ立ちの安定感にベクトルが向けられている印象。

3作目のつくりとしては間違っていないと思う。

ただ、ストーリー展開までもが落ち着き払いすぎてしまっているのと、敵役に前作カンバーバッチほどの圧がなくて全体的に締まりがないかんじになっちゃったかなと。

まぁ、それが本来のスタートレックなのかもしれないけどもw

でも相変わらずプロダクションデザインはホレボレするほど魅力的で、特に未来都市ヨークタウンのヴィジュアルが出色。大好きな細密画家・池田学の描く造形美に似ていて印象的だったし、全てを喰い荒らすように襲いかかるイナゴの大群みたいな敵の小型船もアイデアとして秀逸。

世界を救う最終兵器がロック音楽というのもオシャレ♪

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