夢のシネマパラダイス43番シアター:未知との遭遇
メッセージ
出演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナ―、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ、マーク・オブライエン
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
(2016年・アメリカ・116分)TOHOシネマズ日本橋
内容:ある日、地球の12カ所に楕円形の宇宙船が出現する。友好か侵略なのかその目的も分からない中、言語学者ルイーズに宇宙船とのコンタクトを試みるアメリカ政府から協力要請がくる。そして同じく要請を受けた物理学者のイアンとともに異星人との対話に挑むが・・・。
山の稜線から這うように落ちてくる分厚い滝雲の眼下に広がる草原に鎮座する楕円形の黒い巨大物体。その奇妙な風景を覆うように流れる神秘的な音楽が荘厳さを際立たせて印象的。
この引きの絵づらだけでグイッと引き込まれてしまったけど、話自体もお隣の国とすらロクに意思疎通できないのに、異星人とコミュニケーションなんてできるのか!?という根本問題に的を絞っているのが新機軸で面白い。
アボット&コステロとのコンタクトの過程を丁寧に追う筆致も好印象だったし、言語が異なれば思考もそれによって異なっていくという面白い考え方をさらに推し進めたまさかのドンデン返しも今まで見たことのないようなオチで深い余韻を残してくれた。
でもこれって2回目見たらオープニングですでに主人公自らの独白で豪快にネタバレ宣言してるんだよね。常識に縛られてる地球人は気付かないよなぁ。。
何もしない異星人と疑心暗鬼になり殺伐としていく人類という構図も新鮮だったけど、カギを握るのはやっぱ中国なのねw
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第9地区
出演:シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッド
監督:ニール・ブロンカンプ
(2009年・アメリカ・111分)WOWOW
内容:南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に正体不明の巨大宇宙船が現われ、そのまま居座ってしまう。が、その中に乗っていたのは栄養失調の弱ったエイリアンだった。それから28年後、難民として受入れられた彼らだったが、居住区“第9地区”はいまやスラムと化し、地域住民の不満は爆発寸前。そこで政府は、エイリアンたちを新たな難民キャンプへ強制移住させることを決定。現場責任者にエイリアン対策課のヴィカスが任命される・・・。
評価★★★★/75点
焦らして焦らして姿を見せないことで恐怖をあおってきた存在、あるいは獰猛で食欲旺盛だったはずの存在、そして人間を圧倒的に支配凌駕するはずの存在として描かれてきたエイリアン。
より知的で高尚なエイリアンも描かれてきたことはあれど、このエビ型wのエイリアンはこの常識から逸脱することはほぼなかったはずだ。
しかして今回の映画は、栄養失調で気力もなく、人間に保護・隔離されて20年間難民キャンプに居続けるエイリアンという非常識な設定をぶっ込んできた。
これは端的にいえば虚構“非日常”を現実“日常”に反転させる発想の転換といえ、この設定だけで映画の面白さの8割方できているといってもいいと思うのだけど、現実を現実として認識させる描写力がしっかりベースとして確立しているからこそこの転換も生きたのだと思う。
手持ちカメラや防犯カメラを用いたドキュメンタリータッチの手法は最も大きな要素だと思うけど、例えばヨハネスブルグ上空に20年間鎮座しつづける巨大宇宙船が遠景の中に完全になじんでいる絵ヅラなんかはホレボレするほどで、映像面ではその役割を十分果たしているといっていい。
そしてその中でエビより醜悪な人間の姿が暴き出されていくわけだけど、舞台が南アフリカというストロングポイントをほぼ放置状態にしてB級テイストのオゲレツ話が繰り広げられるサジ加減も個人的には説教臭くなくてよかった。
大風呂敷広げようと思えばいくらでも広げられただろうに、つーか自分が作り手だったらエビを解放するべく現れた救世主ヴィカス参上!とばかりに、それこそアバターばりの人間vsエビの構図で描いちゃいそうだけどww
しかし、このヴィカスという男、正真正銘の小物なんだわ・・(笑)。
その点ではややこじんまりとしている感はあるのだけども、設定をはじめとしたディテールの作り込みはそれを補ってあまりあり、見る価値は十分ある。
個人的にはヴィカスが乗り込むモビルスーツが頭にこびりついて離れないくらいカッコ良くて、あれはマジにキタね
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未知との遭遇
監督・脚本:スティーブン・スピルバーグ
(1977年・アメリカ・137分)NHK-BS
評価★★★★/80点
内容:インディアナポリス一帯に原因不明の停電事故が発生し、電気技師のロイはすぐに調査に向かった。その途中、小高い丘の上を通過していくUFOを目撃した彼は、その日から何かに憑かれたように山の形の模型を作り始めるのだった。
“これぞという悪役も黒幕も不在で映画をもたせる力量の凄さ。政府や国家権力の介在さえも強調しないという薄味仕立て。そこにあるのは、未知なるものへの不安と期待、見る者の想像力、そして人類としての我々人間一人一人である。”
だってX-ファイルだったら抹殺されまくり間違いなしでっせ。
トリュフォーから「君は子供が喜ぶ映画を作りつづけていくべきだ。」という教えを受けたスピルバーグ。今もってその姿勢は変わっていない。
そういうスピルバーグがやはり大好きなのです。
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地球が静止する日(2008年・アメリカ・106分)WOWOW
監督:スコット・デリクソン
出演:キアヌ・リーヴス、ジェニファー・コネリー、ジェイデン・スミス、キャシー・ベイツ
内容:ある日、謎の巨大な球体が地球に飛来。宇宙生物学者のヘレン(ジェニファー・コネリー)をはじめあらゆる分野の専門家が集められ、対策チームが組織される。そして、政府の厳戒態勢が敷かれる中、NYセントラルパークに降り立った球体からクラトゥと名乗る男(キアヌ・リーヴス)と、銀色の巨大ロボットが出てきて・・・。1951年に製作されたSF映画の古典「地球の静止する日」のリメイク。
評価★★☆/50点
1928年のカラコルム山脈の雪山から始まるプロローグからジェニファー・コネリーが政府の情報機関に強制的に連れ出され、異様な未確認飛行“球体”がセントラルパークに着地するまでの序盤はサクサクと進んでいき、一見すると非常にとっつきやすいのだけども、作劇としては非常に甘くて浅いといわざるを得ない。
例えば、この映画に通底している母性愛(クラトゥが胎盤に包まれていたり、それこそ母なる星・地球といったテーマetc.)というところからしても、ヘレンと義理の息子ジェイコブのぎくしゃくとした関係性は最初からもっと強調して描いてもよかったはず。
なんてったってこの2人が本物の親子関係になっていくのを見てクラトゥは人類絶滅という最後の審判を覆すわけだから。
とするならば、やはりこの映画の描写力・演出力というのは決定的に弱いんだよね。
マックで人類絶滅を決めるくだりで、70年前に地球にやって来た中国人のジイさんが、人間は破壊的な種族だが、と同時に人間には別の面もあり、自分は人間として生きてきて良かったとのたまうのだけど、怪訝そうな顔で聞いていたクラトゥがそれを実感していく過程を全てヘレンとジェイコブに集積させるのもまたスゴイ話でww、、だったらそれならそれでもっとちゃんと描写してもらわないと。。
ジェニファー・コネリーは配役としてはドンピシャだっただけに・・・。
また、巨大ロボット、ゴートの造型なんかを見ても全体的にロバート・ワイズ監督のオリジナル作や50年代SF映画の素地や空気感を尊重して描き出そうとしている節は感じられるのだけど、CG技術を駆使した現代的な素地とイマイチ融合しきれていないというか、上っ面だけをなぞったような中途半端さだけが目についてしまったかんじ。
そしてその中途半端さがサスペンス演出をも軽くしてしまっていて、無表情のキアヌ以上に見てるこっちが無表情にならざるを得ず、面白くもなんとも・・。
現代においてこういう映画を作るなら、それこそティム・バートンの「マーズ・アタック!」(1996)のようにメッセージ性などクソくらえのB級おバカ映画として作るとか、あるいはシャマランの「ハプニング」(2008)みたいにそれなりの見せ方や演出力をつけてから作ってもらいたいもんだわさ。
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アビス
出演:エド・ハリス、メアリー・エリザベス・マストラントニオ、マイケル・ビーン
監督・脚本:ジェームズ・キャメロン
(1989年・アメリカ・171分/完全版)NHK-BS
評価★★★★/80点
内容:アメリカの原子力潜水艦が計器故障で制御不能となり、海溝に沈んだ。現場近くには海底油田採掘用の海底住居があり、主任のバッドら9人のクルーは救出に向かう。海軍のダイバーチームを率いるコフィ大尉と、海底住居の設計者リンジーも到着し、調査が開始されたが、潜水艦の乗組員は全員死亡していた・・・。最先端のテクノロジーと多くの才能が結集され、崇高で幻想的なシーンを見事に完成させた深海版「未知との遭遇」。
“宇宙であれ深海であれ殺人マシーンが送られてくる世界であれ、人間を究極の世界にセットすればそこで試されるのは「人間力」にほかならない。常にそういう舞台を題材にとり「人間力」を追求しつづけてきたキャメロンがやはり好きなのだと再確認した。”
この映画で1番撮りたかったのは海底で蠢くケーブルであり、1番描きたかったのは深海よりも深く強い人間力ではないかと思うのだが、観客の求めるニーズと監督の撮りたい描きたいこだわりにちょっとズレがあるなと思ったのはたしかだ。
下手すると観客置いてきぼりで監督の自己満足の世界にただ没入していくだけの作品になるすれすれのところをいってる感触があったのだが、逆に個人的にはそれがツボにハマッたかんじ。
スケールでかそうでいて、実はスケールの小ちゃい息もつまりそうな密閉空間、、未確認物体との接触を描くようでいて、実は愛の絆の強さをじっくり描いたキャメロンの愛すべき小品といったかんじで好きなんだよねぇ。
当時の最新技術を駆使した映像は、CG映画の礎を築いた「プレデター」の直系の作品といってもいいと思うけど、すでにこの「アビス」で最新技術をしっかり人間ドラマとバランス良くかみ合わせているというのはやはりキャメロンのバランス感覚と非凡な才のなせる技だと思ったり。
CGや特撮を駆使する金かけた大作を作ることにかけては右に出る者がいないキャメロン、しかし人間力を追求しつづけるという点においても右に出る者はいないのではなかろうか。そこが自分を魅きつけてやまないのかもしれない。
、、って「私を溺れさせて仮死状態にして後で蘇生させて」なんて、そんな究極の選択考えたくもないけどもw
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ミッション・トゥ・マーズ(2000年・アメリカ・114分)WOWOW
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:ゲイリー・シニーズ、ティム・ロビンス、ドン・チードル、コニー・ニールセン
内容:2020年、人類は火星の有人着陸に成功する。しかし、探査隊からの送信は途絶え、第2ミッション・チームが救援に向かう。たどり着いた救援隊が、火星で見たものとは・・・。
評価★★★/60点
サスペンスの巨匠が挑んだSF大作!ということで見てみたら、、完全な畑違いでしたっていうお話(笑)。。
なんだろ、バタフライの金メダリストが背泳ぎに挑戦して、スタートと同時にバサロ泳法で潜行したものの、いつまでたっても浮上してこず、あれっいつまで潜ってるんだ?と思いきや、ただ単に底に沈んでたみたいなww
いや、例えば火星が地球の生命の起源というのは、自分もそういうの想像したりするの好きなんだけど、それをキューブリックとスピルバーグを足して4で割ったくらいの凡庸さで描かれちゃたまらんわっていう。。
デパルマの名を伏せてこの映画見せても誰も監督がデパルマだとは答えられないくらいSFというフレームワークの中にデパルマ節が埋没しちゃってて、単なる想像力の欠如した中途半端な作品にしか見えないのがイタイ。
しかもテーマが愛と友情というド直球なものであったがゆえ余計に際立っちゃったかんじ・・。
デパルマさん、自分のお星(フィールド)にお帰りなさいww
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