夢のシネマパラダイス540番シアター:バケモノの子
バケモノの子
声の出演:役所広司、宮崎あおい、染谷将太、広瀬すず、長塚圭史、麻生久美子、黒木華、津川雅彦、リリー・フランキー、大泉洋
監督・脚本:細田守
(2015年・東宝・118分)DVD
内容:この世界には人間界とは交わることのないもうひとつの世界、バケモノ界がある。ところがある日、渋谷に独りでいた少年がバケモノ界“渋天街”の住人である熊徹と出会う。そして少年は強くなるため渋天街で熊徹の弟子になることを決意し、熊徹から九太という名前をもらい、修行に励む日々を送る。やがて成長して渋谷へ戻った九太は、女子高生の楓と出会う・・・。
評価★★★/60点
渋谷センター街と異界=渋天街がつながっているというのは、キングスクロス駅のプラットフォームから魔法学校へ行けるハリポタと同じく現実感があって面白い。
その点では千と千尋のトンネルと同じ発想なのだけど、これが簡単に行き来できてしまうとなると途端に白けてしまう・・・。
しかし、一般に普通のファンタジーは少年少女が異世界で成長して現実世界に戻ってくるという“行きて帰りし物語”が定石だけど、今回は異世界に行って8年経ってすでに成長してしまった後が物語のメインになっているので、異世界における成長譚を描いても意味がないんだよね。それゆえ異世界と現実世界の境界が曖昧模糊になるのも当然なことではある。
じゃあ、そこで何を描くか。
となると、今度は多感な少年時代を8年も離れていた現実世界でのアイデンティティの確立、いわば“バケモノの子”と“ヒトの子”との葛藤に主軸が置かれてしかるべきだろう。
ところが九太は現実世界に戻るやそんな悩みなど微塵もみせず図書館で本を読む始末。こりゃダメだw
その点、先のテーマは一郎彦にこそ当てはまるわけで、普通なら一郎彦が主人公でもいいくらいなんだよね。
そこらへんのズレがやはり見ている間ずっとモヤモヤとしていて、自分の中で合理的に納得して飲み込めなかったかんじ。。
期待値が高かったぶん中途半端な中身にやや評価は低め
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ブレイブ・ストーリー
声の出演:松たか子、大泉洋、常盤貴子、ウエンツ瑛士、今井美樹
監督:千明孝一
(2006年・日本・111分)盛岡フォーラム
評価★★/40点
内容:ある日、小学5年生のワタルが学校から帰ってくると、父親が家を出て行ってしまい、さらに母親は倒れて入院してしまう。突然家族がバラバラになってしまった現実を受け入れられないワタルは、転校生ミツルの言葉を思い出した。それは、「幽霊ビルの屋上から天に伸びる階段の先の扉の向こうへ行けば、運命を変えられる」というもの。ワタルは家族を取り戻したい一心でその扉の中に飛び込んでいく・・・。直木賞作家・宮部みゆきの冒険ファンタジー小説のアニメ映画化。
“このRPGゲームが中古で売られていたとしても、、、100%買わない。。”
それくらいツマラなかったです、この映画・・・。
ま、宮部みゆき原作小説の映画化作品って、「理由」以外見るに堪えないのばかりだけど。1番好きな作家だけに困っちゃうんだよなぁ(笑)。
なんで映画になるとツマラナイのか。。
それは、宮部みゆきの小説がなぜ面白いのかと言い換えることができると思うんだけど、独特かつ唯一無二の洗練され研ぎ澄まされた確かな日常感覚と、事件や犯罪から超常現象に至るまで異常なまでに豊かな非日常性が、見事な完全調和をみせているところにあると思う。
しかし、これが映画になると、日常感覚にほとんど光が当たらないという体たらくになってしまうのだ。
非日常的エピソードの積み重ねを追うというのは映画生来のサガではあるのだが、こと宮部みゆき原作に関しては確かな日常感覚に光が当たらないというのはもはや致命的である。
そう考えると、今回の「ブレイブ・ストーリー」は、宮崎駿の「千と千尋の神隠し」と比べてもよく分かるが、異世界(幻界)へ行く前の主人公ワタルの日常的エピソードがじっくりと描かれていて、しかも家族という日常が崩壊しつつある危うさにワタルが直面していく過程がややクドイくらいに描かれているのが大きな特徴といえる。
ここまではまだいい。
しかしだ、、、肝心の非日常世界へ行ってからの薄っぺらさと安っぽさと怠けっぷりはナンダ!?一体何なのだ!?なぜなんだ(笑)?こいつらにヴィジョンはあるのか!?
こっちが良ければ、今度はあっちがダメかぁ、、、って、おいおい頼むよ~。
成長過程が全然ないというか、Aqua Timezの歌の力で見習い勇者のレベルがブッ飛んじゃった、、みたいな。。なんじゃそりゃ。
また、幻界という異世界の描写も日常感覚(リアリティ)と非日常性(ファンタジー)のバランスが全く取れていない。
やっぱこういうの見ると、ジブリアニメの凄さってのが如実に実感できるなぁ。トホホ。
「千と千尋」でいえば、冒頭から何の説明もなしに千尋は異世界へ迷いこんでしまうわけだけど、宮崎駿はその異世界をおもいっきり非日常的な世界でありながら、なおかつおもいっきり日常的に現実世界と表裏一体で渾然一体に描いてしまうという離れ技をやってのけた。
それは、一貫性のないストーリーを無理やり引っ張ってしまうという力技にもなったのだが、終始一貫して主人公千尋に視線を寄り添わせて描くことで、少女が生きる力を取り戻す物語世界としてしっかりと成立させてしまった。
こりゃもうかなわんわな・・・。
本作にそこまでを求めるのは酷といえども、ひとつの物語世界としてもう少ししっかりしたものを提示してもらいたかった。映像としての世界だけで見せようとするのは駄作への近道以外の何ものでもないし、そういう安易な手法に埋没するのは避けてもらいたい。切に願います。。
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friends もののけ島のナキ(2011年・東宝・87分)WOWOW
監督・脚本:山崎貴
声の出演:香取慎吾、山寺宏一、阿部サダヲ、YOU、加藤清史郎
内容:もののけが住むと恐れられ、近づくことさえ禁じられた不気味な島にある日、人間の赤ん坊・コタケが迷い込んでしまう。ところが、コタケを目にしてもののけたちの方が大パニックに。そこで、赤鬼ナキと青鬼グンジョーがコタケの面倒を見ることになるが・・・。
評価★★★/65点
余韻や感慨などどこ吹く風のアッサリ食感があまりにももったいないくらいの琴線に触れるイイ話なので、あと15分くらい延長してエピソードをもう少し入れた方がよかったような・・。まぁ、キッズ向けだと90分がベストなのかもしれないけど。
でも、CGアニメ技術はピクサーにも劣らないところまで来ているのはこれ見るとたしかなのだから、あとはキャラクターしかりシナリオしかり笑いと感動は細部に宿るってことをもう少しよく考えて創作をしてもらいたいものだ。
それはつまるところ映画好きが楽しい映画を作るというごく単純なことなのだけど、そこの部分はピクサーにはまだまだ敵わないってかんじかなぁ~。。
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ホッタラケの島 遥と魔法の鏡(2009年・東宝・98分)WOWOW
監督:佐藤信介
声の出演:綾瀬はるか、沢城みゆき、戸田菜穂、大森南朋、谷村美月
内容:幼い頃に母親を亡くし、父と2人暮らしの女子高生・遥。ある日、母親の形見である手鏡をなくしたことに気付き、稲荷神社にお参りに行った彼女は、奇妙なキツネを見つける。そして後を追った先にあった泉から異世界へと迷い込んでしまう。そこは、人間がほったらかしにした物=ホッタラケで出来た島だった・・・。
評価★★★/65点
人間がほったらかしにしたもので出来上がったというパラレルワールド的世界観を有するファンタジー世界のアイデアの着想、民話的なヴィジュアルイメージ、主人公・遥のキャラ設定、ツボを外さないシナリオなど意外に及第点あげてもいいくらいの出来で、ファンタジー好きの自分は割りと楽しめてしまった。
が、ゆえにフルCGの稚拙さと違和感がより気になってしまったのもたしかで、普通に二次元アニメでいいじゃんと思ってしまう・・。
まぁ、ピクサーのレベルの高さがこういうの見ると如実に分かるよねっていう。。
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カクレンボ(2005年・日本・24分)NHK-BS
監督:森田修平
声の出演:竹内順子、植木誠、鈴木真仁、内藤玲
内容:夜、カクレンボをすると鬼に連れて行かれる・・・。行方不明になった妹を探す少年ヒコラたちと、鬼の正体を暴こうとするノシガたち、そして謎の少女もまじえた7人の子供たちが摩天楼の最下部の薄暗く入り組んだ街中へと足を踏み入れ、おトコヨさまのお遊戯カクレンボを始める・・・。
評価★★/40点
題名をローマ字表記で出してくる時点でこりゃちょっと違うなと感じたけど、まさにその通りの出来だった・・・。
とにかく才能をひけらかすように絵で語ろうとするのはやめれ!そんな離れ技できるのは宮崎駿くらいなもんなんだから。
ストーリーがとにかく薄すぎて話にならないよこれじゃ。。
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