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2016年10月30日 (日)

夢のシネマパラダイス493番シアター:アフリカの今

キャプテン・フィリップス

Poster2出演:トム・ハンクス、バーカッド・アブディ、バーカッド・アブディラマン、ファイサル・アメッド、キャサリン・キーナー

監督:ポール・グリーングラス

(2013年・アメリカ・134分)WOWOW

内容:2009年。ケニアへの援助物資を運んでいたアメリカ国籍のコンテナ船マースク・アラバマ号が、ソマリア沖で武装したソマリア人海賊に襲撃される。あっという間に船が占拠されてしまう中、船長のリチャード・フィリップスは、重大な決断を迫られていくが・・・。

評価★★★★/75点

さすがボーンシリーズでアクションエンタメのハードルを一段上げただけのことはあるポール・グリーングラスの真骨頂がここでも存分に発揮されている。

その真骨頂とは、疑似ドキュメンタリーをアプローチとしてエンターテイメントを創造することにある。

具体的には手持ちカメラの絶妙な距離感が生み出す緊迫感と臨場感がフィクションであることを軽々と超越してしまう、その高度なテクニックが半端ないことにつきる。そしてそれが監督が常にモチーフとして描く生死の境という極限のシチュエーションに絶大なリアリティをもたらしているわけだ。

映画を見る上で、一寸間違えば死という究極の非日常に飲み込まれてしまうかもしれない恐ろしさを体感できるというのはそうそうあるものではないけど、この監督の映画の面白さはそこにこそある。

その中で今回はソマリア海賊による船のシージャック事件の実話をもとにしていて、何の比較対象もない大海原の上ということでスピード感とか緊張感が鈍重になりはしないかと一抹の不安感があったのだけど、それはほどなくして杞憂に終わった。

ヤン・デ・ボンの「スピード2」とは大違いだった(笑)。

特に小さな海賊船が大きなコンテナ船をあれよあれよという間に乗っ取るまでの一連のシークエンスは息つく暇もなく見応え十分。

双眼鏡でのぞいた時に小粒のような不審船が猛然とこちらに向かってくるのを見つけた時や、不意にマシンガンを撃ち込まれた時の恐怖感はヒリヒリと伝わってきて、まさに疑似体験を味わわされた

搾取する側とされる側、先進国と途上国という政治的な問題を匂わせはするけど、結局武器を持つ者と持たざる者、最新鋭の武器とボロボロの武器という即物的な力の大小に落ち着くあたりは、よりエンタメ方向にベクトルが向いているので、だとしたらソマリア海賊側の視点を入れるのは、言い知れぬ恐怖が減退してしまうし、しかも申し訳程度に入れるのならいらない方が良かったとも思ったんだけど。。でもまぁ、ここまでハイテンポに畳みかけられるとそれも気にならなかった。

やはりこの監督スゴイわ。

でも、海賊を生業にしなければ生きていけないソマリア人の悲劇っていうのもあるんだよね。進んでも地獄、戻っても地獄ていう・・・。

そこらへんの掘り下げに関してはまた別な作品で見て勉強しないとダメだな。

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風に立つライオン

Poster2出演:大沢たかお、石原さとみ、真木よう子、萩原聖人、鈴木亮平、藤谷文子、石橋蓮司

監督:三池崇史

(2015年・東宝・139分)WOWOW

内容:1987年、ケニアにある長崎大学の研究施設に派遣された島田航一郎。現地で研究の他に一般診療も行い充実した日々を送るが、ある時、赤十字病院から1か月の派遣要請を受ける。そこで彼は内戦で負傷した人々が次々に運び込まれてくる想像を絶する過酷な状況を目の当たりにする。そして自分の無力さを思い知らされた彼は、そのまま赤十字病院への勤務を志願するのだった・・・。

評価★★★/65点

ケニアロケを敢行しただけあってアフリカの雄大な大地の画力と奥行きは白眉で、登場人物の信条や境遇が純化されていくに足る色彩を帯びていたように思う。

その中でアフリカの医療に身を捧げる島田航一郎(大沢たかお)は、幕末にタイムスリップした現代の医師が近代医療に身を投じるJIN-仁-を想起させて見応えがあった。

しかし、せっかくの濃密な題材も扱いが散漫な印象が拭えず…。

それは多分にアフリカパートと長崎パートのコントラストにムラがありテンポの悪さが目についたことが大きいと感じたのだけど、はたして長崎パートは必要だったのだろうかとそもそも論のところで思ってしまった。

そこに時間をかけるよりもケニアで赤十字の戦傷病院で働く看護師の草野和歌子(石原さとみ)の経歴をこそもっと丹念に描いてほしかった気も。。

もっと骨太な作品にできたはずという点ではもったいない感の方が勝ったかなぁ・・。

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ザ・インタープリター

Imge8d3b19307vfv3 出演:二コール・キッドマン、ショーン・ペン、キャサリン・キーナー

監督:シドニー・ポラック

(2005年・アメリカ・129分)2005/06/01・MOVIX仙台

評価★★★/60点

内容:アフリカ南部のマトボ共和国で大量虐殺が行われていると、国際社会はズワーニ大統領を厳しく批判していた。そんな中、国連総会でズワーニ大統領が演説することが決まる。マトボの言語であるクー語を翻訳できる国連職員のシルヴィアは、ズワーニの暗殺計画を知ったため通報するのだが、シークレットサービスから派遣された捜査官のケラーは、彼女自身が暗殺に関与していると疑う・・・。史上初めて行われた国連本部内でのロケも話題に。

“国連というどでかいリアルを持ち込んだわりに、よくあるフィクションの1つにしかなっていないのは消化不良。”

クー語と聞いて「不思議惑星キン・ザ・ザ」を思い浮かべてしまうのは自分だけかww?

というのはともかくこの映画、、惜しい。サスペンスとしてもドラマとしても、、惜しいのだ。逆に言えば物足りなさが目立つともいえるわけで。

国連というリアルな箱庭をせっかく用意したのに、まるで上空からその箱庭をただ俯瞰しただけのような中身の無さ。

あるいは、マトボ及びクー語という用意周到な虚構の中で、小さなリアルを積み重ねることによってアフリカの紛争、アフリカの“今”を切り取るのかと思いきや、現実離れしたキッドマンの人物設定といういわば絵空事だけで押し通しあぶり出していこうとする無茶苦茶さ。

また、ケラー(S・ペン)の私生活における悲しみが、接点の見えないまるで意味のない無駄な描写に見えてしまうほど物語と絡んでこないもどかしさ。

これらが総じてこの映画を物足りないものにしていると思ってしまった。

結局、大統領暗殺計画という大きなサスペンスドラマの落ち着いた先は、シルヴィアとケラーが抱えた個人と家族の問題だったわけで、なるほど道理で先に記したケラーの悲しみを延ばし延ばしで引っ張ったわけだと合点がいくのだが、この映画の落とし方にはまるで合点がいかない。。

ズルイというか逃げだろこれは。。

本当にリアルだったのはオープニングの銃を構えた少年とS・ペンの見事な表情だけだった・・・。

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ホテル・ルワンダ

Hotel 出演:ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ホアキン・フェニックス、ニック・ノルティ

監督:テリー・ジョージ

(2004年・英/伊/南ア・122分)2006/04/15・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:1994年、ルワンダ。多数派のフツ族と少数派のツチ族の内戦は和平交渉がまとまるかに見えたが、フツ族の大統領が暗殺されたことによって事態は急変。フツ族の人々がツチ族の市民を襲撃し始めた。ベルギー系の高級ホテルで働く支配人ポールはフツ族だったが、妻がツチ族だったことから親類身内をホテルに匿うのだが・・・。1200人もの人々をホテルにかくまい、持ち前の機転と交渉力でその命を守り抜いた一人のホテルマンの奇跡の逸話。

“あまりにも不条理な世界の現実、そこに置き去りにされた人々がいるという事実、家族を死に物狂いで守り抜くという男の決意。気だるい(しかもどこかキナ臭さが漂う)平和を謳歌する日本人にとってはすべてが想像を絶する理解不能ワールド・・・。しかし、とにかく映画を観ることによって「知る」ことから始めるしかない。無知から恐怖は生まれ、その恐怖が狂気へと深化していく1番恐ろしいものなのだから。”

過去数百年にわたって欧州列強に侵略されてきたアフリカの近現代史(それ以前の歴史は侵略の過程で忘却の彼方へ押しやられ抹消されていったといってよい)は、白人たち侵略者との戦いであったわけだが、その戦いを克服した後に出てきたのが現在もアフリカ各地で続く内戦だ。

それは、世界地図でアフリカを見ると、判で押したように定規で線を引いたような整然とした国境線であることが分かるが、これは文字通り欧州列強が地図上で勝手に定規で引いて決めたわけで、そこにはアフリカの人々はおろか民族や部族や宗教、文化の違いといったものは何ら考慮されることはなかった。そこにあるのは欧州列強の縄張り争いと、その中での妥協の産物だけだったのだ。

それゆえ、同じ民族が国境線という名の下に分断されたり、あるいは異なる民族同士が同じ国に属するということが至る所で生じていたわけで。

現在続発するアフリカでの内戦や民族間の争いの大元はそこにあると思う。

今回の作品「ホテル・ルワンダ」の舞台であるルワンダの場合は、ルワンダ国民の85%を占めるフツ族と残りのツチ族の間の部族間争いである。

しかしこれだって大元をたどれば、第一次大戦の戦利品としてルワンダを召し上げたベルギーのルワンダ統治に行き着くだろう。

要は、統治しやすいようにルワンダ国家を弱体化させるために用いた方法として、ヨーロッパ人の容姿により近いという理由でツチ族を優遇することでフツ族とツチ族の間における人種差別を故意に増長させるというやり方だ。

後にベルギーはフツ族に乗り換えたりもして、ベルギーが1960年代に去った後に残されたのはフツ族支配者の一党独裁だったわけだが、結局これがツチ族100万人大虐殺という最悪の事態へ結びついてしまったわけで、その間、欧州はまるで過去の事実と所業を忘れてしまったかのように「第3世界」という括りでアフリカをそっくりそのまま置き去りにして捨て去ってきたのだ。

今回の映画はそういう背景や俯瞰的視点が決定的に足りないことは否めないと思う。

あくまでもポールの実体験による個人的な視点、すなわち家族を救うために口八丁手八丁で東奔西走しながら必死の形相で駆けずり回った男の視点と、結果として1200人もの尊い命を救ったという事実を描いたのみといっていいと思う。

もちろんその描かれていることだけでも非常に重く衝撃的で、日本から見ればはるかに遠い地ルワンダで起きたことをこの作品を観て知るということは非常に貴重なことだとは思う。

しかし、一方では、一抹の物足りなさが残ったのも確かなのだ。それは先ほども述べた通り、政治、民族、戦争、世界といったマクロな視点がほとんどないことに行き着いてしまう。

一応ないこともないのだが、それはツチ族の妻をもつフツ族のポールの家族の形として、また映画の舞台となる高級ホテルに断片的に凝縮されている形にすぎない。

マクロな視点とミクロな視点を交差させることで、なぜこういうことになってしまったのか、何が普通の人々を虐殺という酷い行為に走らせたのかといったところまで掘り下げていってもらいたかった気もする。

なぜなら、日本人として、人間として、何の関係もない話だとは決して言えないのだから・・・。

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ブラッド・ダイヤモンド

20070407024917 出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン

監督:エドワード・ズウィック

(2006年・アメリカ・143分)2007/04/16・盛岡フォーラム

評価★★★★/75点

内容:激しい内戦が続くアフリカ・シエラレオネ。漁師のソロモン(J・フンスー)は、反政府軍RUFの襲撃に遭い、ダイヤモンド採掘場で強制労働を強いられる。そこで巨大なピンクダイヤを発見したソロモンは、政府軍の来襲の混乱にまぎれてそのダイヤを秘密の場所に隠すが、その後刑務所に投獄されてしまう。一方、同じ刑務所に収監されていたダイヤの密売人ダニー(ディカプリオ)は、ソロモンがピンクダイヤを隠していることを知り、釈放後アメリカ人女性ジャーナリストのマディー(J・コネリー)の協力を得てソロモンの家族捜しに協力することを条件に、ダイヤの隠し場所を聞き出そうとするのだが・・・。

“先進国のダイヤを欲しがる一人の消費者が買った指輪のせいで、シエラレオネでは女性一人の手足が切り落とされているかもしれない・・・。”

国際人権保護団体アムネスティのサリル・トリパシ氏の言葉だが、幸せの象徴であるダイヤのリングが、ダイヤとは全く無縁の産出地の人々にとっては地獄のような不幸の象徴なのだという事実にただただ衝撃を受けるばかりだった。

一時は、このような紛争ダイヤモンドが世界市場の10%以上を占めていたというのだから驚くほかないが、消費大国である日本に暮らす我々日本人の手に渡っていたとしても何ら不思議ではないのかもしれない。

資源のほとんどを輸入に頼る日本、自分が普段何気なく買っているものの背景にはこういう話が五万とあるのかもしれない・・・。

ところでビックリしたのだけど、日本の平均寿命が80歳超えて世界一ならば、それとは正反対の平均寿命34歳で世界最短の国がこの映画の舞台であるシエラレオネなのだそうだ。

激化した内戦で幼児の4人に1人は5歳まで生きられず、または兵員補充のために殺戮の現場に少年兵として駆り出されていく現実。

子供が笑いながら銃を乱射し無造作に人間を撃ち殺す衝撃的なシーンは、映画としては最も忌避されるべきものだと思うけど、「シティ・オブ・ゴッド」と同様にこういう嘘のようなホントの現実が実際にあるのだということを伝えるためには必要な描かれなければならないことなのだろう。

その点でいえば、この映画は銃撃アクションとダイヤを巡るアドベンチャーを前面に出した娯楽商業映画という面も持ち合わせていて、舵取りを少しでも誤るとチンケなトンでも映画になってしまう可能性もあったのだが、社会派としてのメッセージをしっかりとなおかつ取っ付きやすい形で織り込んでいて、ハリウッド映画にしてはバランスがとれていて評価できる。そういう意味でも非常に見応えのある作品といえるだろう。

そしてなんといってもレオナルド・ディカプリオの一筋縄ではいかないヒール役の渾身の熱演も見逃せない。「ディパーテッド」よりも断然良い。

アフリカで生まれ育った元傭兵で血塗られたダイヤから利益を得ている密売人だが、その内には哀しいトラウマを抱える複雑なキャラクターをアカデミー賞ノミネートも納得のたしかな実力で演じ切っている。

この作品で童顔スターからついに脱皮したというのもあながち間違いではないと思う。往年の大スター、ハンフリー・ボガートと肩を並べたというのはさすがに言いすぎか、、な(笑)。

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ダーウィンの悪夢

Dar 監督・脚本:フーベルト・ザウパー

(2004年・オーストリア/ベルギー/仏・112分)WOWOW

評価★★★★/80点

内容:アフリカ中央部に位置するビクトリア湖は多様な生物が生息していたことから、かつて“ダーウィンの箱庭”と呼ばれていた。そんな湖に半世紀前、外来種の巨大魚ナイルパーチが放たれた。その白身は食用としてヨーロッパや日本で好まれたため、湖畔の町の地域経済は発展を遂げた。しかし、一方では、肉食巨大魚の大増殖で湖の生態系は激変、さらに貧富の差の拡大、エイズやドラッグの蔓延など新たな問題が町の人々に襲いかかる・・・。グローバル経済に取り込まれたアフリカで引き起こされた悪夢のような現実を描き出すドキュメンタリー。

“必死で食べ物にかじりつく少年と、マックのフィオレフィッシュにかぶりつく自分・・・。”

普段何気なく食べている白身魚フライがアフリカの飢餓の原因になっていたなんて・・・。

日本には数千トン輸入されているというナイルパーチはスズキの代用品として普通に切身で売られているほか、冷凍食品の白身魚フライとして学校給食やファミレスでよく使われているのだという。

最大で体長が2mにもなる大魚の白身をヨーロッパ人や日本人が根こそぎ持っていき、頭と皮だけになった残骸を食すしかない現地の人々。

ウジ虫の湧いた累々たる残骸と、片目を失った女性、そしてわずかばかりの食べ物を必死で取り合う子供たち。そしてナイルパーチの切身を満載して飛び立っていく飛行機が、代わりに満載して運んでくるものは、、、武器。

ショックだった。何にも知らない自分・・・。

グローバリズムという名の弱肉強食の世界で我々先進国の人間はナイルパーチそのものなのかもしれない。

生態系を破壊するナイルパーチのごとく我々がしていることは虐殺と呼ぶにふさわしいことなのかもしれない。

そんなこと露も知らず、マクドナルドのフィレオフィッシュにかぶりつく自分・・・。

                 ・

                 ・

しかし、ふと考えてみると、ディカプリオが主演し、同じくアフリカの問題を扱った「ブラッド・ダイヤモンド」では、紛争ダイヤを買う我々消費者にも多大な責任が委ねられていることを示していて、それはストンと胸に落ちたのだが、はたしてこの「ダーウィンの悪夢」で描かれた由々しき問題にも我々消費者に責任はあるのだろうかと考えると、なんかちょっと的外れな気もしたりして。。

もちろん加担していることはたしかなのだけど、なにかうまく言葉が見つからないけど、グローバルな資本主義システムの中に我々消費者も含めて組み込まれてしまっていることにこそ問題があるのではないかなぁ、と思ったり。

その中に当事者の顔が何千、何万と組み込まれ張り巡らされているわけで、いったい誰が悪いのか何が悪いのか、このシステム自体を変えるのにもいったいどこから手をつければいいのか分からないような世の中になってしまっている。

最終的に口の中に入れる我々消費者ができることが、例えばナイルパーチの白身フライを買わないとか食べないとかマックに行かないといったことで、この問題を解決できるのかといえば、かえってビクトリア湖の地元の産業体系を壊してしまい、ますます貧困が広がってしまうのかもしれないし。

この広大なグローバリズムの国際社会の中で、個々人が日常生活の中でできることは悲しいことに非常に限られている。

でも、自分は知ってしまった。この映画を観て。

グローバル化した世界の末端にいる人々の現実を。あまりにも悲惨な現実を。

自分にできること。この映画を周りに広めるくらいのことは出来る。自分みたいに何にも知らない人々に。無知を改める手助けをするくらいのことは出来る。

映画の中で、夜警に従事している男が「戦争があればみんな儲かって助かるのに。みんな戦争が起きればいいのにと思っている。」と言っていたのも衝撃的だった。

かなりヘコム映画だ。何にもできない自分に鬱になる映画だ。あまりにも世界の現実を知らない自分に腹が立ってくる映画だ。

でも、自分は知ってしまった・・・。

夢のシネマパラダイス265番シアター:世界の片隅で脱原発を叫ぶ

希望の国

T0012498p 出演:夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵、清水優、梶原ひかり、河原崎建三、筒井真理子、でんでん

監督・脚本:園子温

(2012年・日/英/台・133分)WOWOW

内容:東日本大震災から数年後。長島県沖で巨大地震が発生、福島につづいて今度は長島原発が事故を起こしてしまう。そんな中、長島県大原で酪農を営む小野家の庭先に、原発から半径20キロ圏内の警戒区域の境界線が引かれる。向かいの鈴木家は強制退避を命じられる一方、ギリギリで圏外となった小野一家は町に残ることにするが・・・。

評価★★★★☆/85点

昔、黒沢明監督の「夢」(1990)で原発事故で放出された放射能から逃げ惑うエピソードがあって、霧のように迫ってくる赤黄色に着色された放射能が印象的だった。

しかし、あの悪夢が正夢となってしまった今、圧倒的な現実感を伴なって描き出される家族の悲しい悲しい物語は言葉に出来ないほどの重みと鋭さをもって胸に迫ってきた。

被災地の生々しい惨状を写し取ったロケーション、そして福島の魂の叫びを仮託した行き場のない怒りと悲しみに満ちあふれた言葉のひとつひとつが胸に突き刺さってきた。

そして、かつての在りし幸せな日々の夢の中で生きているお母さん(大谷直子)が一心不乱に盆踊りの炭坑節を踊るシーンには涙を堪えることができなかった。

久々にこんな情念の込められた映画を見た思いがする。

しかし、原発事故がなければ作られることはなかったであろうこの映画が、震災の悲劇からわずか1年半で公開されたというのも凄いことだと思う。

宮崎駿監督が「風立ちぬ」のインタビューで、「製作途中に震災が起きて時代に追いつかれ追い抜かれたかんじがした」と言ったことが心に残っているのだけど、今回の映画でまさにそこに必死にしがみついてメッセージを発信しようとする園子温の強い覚悟に感服した。

あと同じインタビューで、「福島の原発が爆発した後、風が轟々と吹いたんです。上の部屋で寝転がっていると、その後ろの木が本当にうわーっと鳴りながら震えていました。爽やかな風ではない、おそろしく轟々と吹き抜ける風です。死をはらみ毒を含む風です。風立ちぬとはこういう風なんだと思った」という言葉も非常に印象的だったけど、今回の映画でゴウゴウと異様な音を立てる風の唸りがその言葉を想起させて、時代を吹き抜けていく風を敏感に感じ取る表現者としてのたしかな眼力を見た気がした。

国も東電もいまだに原発事故を収束させる道筋を示せないどころか、原発再稼動に躍起になっている中、この原発問題を風化させないためにも、一人でも多くの人にこの映画を見てもらいたいと思う。

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天空の蜂

20151013193952出演:江口洋介、仲間由紀恵、綾野剛、光石研、向井理、柄本明、國村隼、竹中直人、石橋蓮司、本木雅弘

監督:堤幸彦

(2015年・松竹・139分)WOWOW

内容:1995年、愛知県の錦重工業小牧工場。その日、完成した最新鋭軍用巨大ヘリ“ビッグB”のお披露目式典に出席するため、開発責任者の湯原は妻子とともに赴いていた。しかし、息子の高彦が格納庫に忍び込み遊んでいる最中、突然ビッグBが何者かの遠隔操作で動き出し、高彦を乗せたまま離陸してしまう。そのまま機体は福井県にある高速増殖炉“新陽”の真上でホバリングを始めた。そして、犯人は政府に対し、日本全土の原発即時停止を要求し、従わなければビッグBを原子炉に墜落させると宣言する・・・。

評価★★★☆/70点

2011年3月11日から5年、日本人の心のどこかに小骨のように突き刺さっている原発問題。

しかしながら見て見ないフリをする“沈黙する群衆”でいることの心地良さにすでに安住してしまってもいる中で、原発テロというセンセーショナルなテーマは、それだけでかなりの求心力を映画にもたらしていたと思うし、ツッコミどころ満載のライトな娯楽作(つまりはアメリカ的なポップコーンムービー)に落とし込んだ作劇も個人的には買いではあった。

しかし、時代設定を原作通り1995年に据え置いてまで東日本大震災をラストのエピローグに持ってくるのだったら、福島に全く触れないのが腑に落ちない。

「本当に狂っているのは誰なのか、いつかお前たちは知ることになる」という犯人の予言、さらには原作者東野圭吾の先見性のインパクトまで薄くなってしまうと思ったのは自分だけだろうか。あるいは原子力ムラの圧力がかかったのかとも邪推したくなってしまうが、このラストだけがお茶を濁したようなかんじで消化不良・・・。

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K-19

K19regular 出演:ハリソン・フォード、リーアム・ニーソン、ピーター・サースガード、クリスチャン・カマルゴ

監督:キャスリン・ビグロー

(2002年・アメリカ・138分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:米ソ冷戦下の1961年。大西洋を航行中のソ連の潜水艦K-19で原子炉の冷却装置が故障。必死の修理の甲斐なく、乗組員は次々と被爆し倒れていく。部下の安全を優先させたい副艦長と国家に忠誠を誓う艦長の対立もエスカレートしていき・・・。ちなみにこの監督、、女性です。。

“ふと頭をよぎった。。”

日本には原子炉が52基ある、、、しかも至る所で原子炉事故の隠蔽が明るみに出ている今日この頃。

原発列島日本、、、末恐ろしいところに住んでるのかもしれないなオイラ(笑)。

ホントこの映画見て恐くなっちゃった。

放射能を浴びて皮膚が真っ赤に焼けただれ、激しい嘔吐と呼吸困難に襲われる姿には思わず戦慄を覚えてしまう。

ドンパチの一切ない潜水艦映画というのは非常に珍しいが、どんな部品を使っているかも分からないような不良潜水艦の極限状況の中で巻き起こる緊迫した人間模様と放射能事故の恐怖に一気に見入ってしまった。

ていうか、この監督さんって女性なのね。。それにもある意味戦慄を覚えるな(笑)。

Posted at 2002.12.21

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東京原発

Gen出演:役所広司、段田安則、平田満、田山涼成、岸辺一徳、吉田日出子

監督:山川元

(2002年・日本・110分)シネマ・ソサエティ

評価★★★/65点

内容:東京都民からカリスマ的な人気を集める天馬都知事は、ある日緊急会議を招集し、その席上で、悪化する財政立て直しの切り札として「ここ東京に原子力発電所を誘致する!」と前代未聞の爆弾宣言をする。会議は文字通りの紛糾状態に。。一方その頃、お台場にはフランスから船で極秘裏に運ばれてきた大量のプルトニウム燃料が陸揚げされていた。政府は、反対派の抗議運動を避けるため、そのプルトニウムを一般道路で福井の原発まで輸送する計画を進めるのだったが・・・。

“ラストだけが映画映画してる、、そんな映画でございました。。”

今現在住んでいるオラが街が北からは六ヶ所村、南からは福島と挟み撃ちにあってる自分にしてみれば憂うべきことなのだろうけど、ま、、この狭い日本列島どこに住もうが同じか。。

ていうか現実問題、今の自分にとっちゃ放射能やらチェレンコフの光がどうこうよりも、仕事場の休憩室でみんなが吸ってるタバコの煙の方が大問題だよ(笑)。

だって休憩室のドア開けると、一瞬部屋の中が白いんだもん。助けてー。。

ま、ためにはなったけどねこの映画。

、、と簡単に考えていた中で現実に起きてしまった福島の事故。コメディになりえない恐ろしい現実にただただ打ちひしがれるばかりだ。

そういう意味で今となっては逆にトンデモ作になってしまった貴重な映画といえるのかもしれない。。

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チャイナ・シンドローム

200501_img_10出演:ジェーン・フォンダ、マイケル・ダグラス、ジャック・レモン

監督・脚本:ジェームズ・ブリッジス

(1979年・アメリカ・122分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:ロサンゼルスのテレビ局の女性ニュースキャスター、キンバリーはカメラマンのリチャードとともに最新の原子力発電所の取材に出かけるが、突然、所内に震動が起こり、制御室が大騒ぎになる。キンバリーは、放射能漏れが発覚し原子炉の運転が停止される一部始終をフィルムに収めたが、様々な妨害が加わり、結局局の上司に押さえられ放送はできずに終わる。不満なリチャードはそのフィルムを物理学者に見せる。一方、安全性を主張する発電所側だったが、ただ一人初老の技術者だけがその事故の危険性を訴えようとするのだった・・・。この技術者ジャック・ゴーデルを演じたジャック・レモンがカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞。

この映画が公開された年に映画を地で行くような重大な放射能漏れ事故がペンシルベニア州のスリーマイル島の原子力発電所で起こり、あまりに現実そのものの映画内容に、映画が大ヒットを記録したことは有名。

ちなみに題名の「チャイナ・シンドローム」とは、メルトダウン(炉心融解)を起こした場合、融解した炉心が地中を溶かし、アメリカの反対側の中国までたどり着いてしまうという“最悪の事故”を示す言葉。

“核の恐怖より恐ろしい人災という名の恐怖”

世界でも稀にみる地震大国に原発を乱立させてきたニッポン。

しかし、1番恐ろしいのは天災ではなく、人災だということがこの映画を見ると如実に分かる。

核が生み出す放射能の恐怖という点では映像的にも例えば「K-19」(2002)なんかの方が圧倒的なリアリティを有しているとは思うが、人災の恐怖をこれほど深刻かつエキサイティングに描いた映画はざらにはない。

しかも、映画が公開された年には奇しくもスリーマイル島原発事故が起きているし、1986年にはあのチェルノブイリ(ウクライナ)で史上最悪の事故が、新しいところでは1999年に茨城の東海村で日本最悪の原子力事故が起き、被爆した作業員2名が死亡している。

そしてつい最近雨後のタケノコのごとく明るみに出てきた原発事故の隠蔽や虚偽報告の数々。

いくら設備がピッカピカでもそれを管理する人間組織が芯から腐っていたら何の意味もない・・・。

この恐るべき人災映画で描かれていたのは決してフィクションなどではないということが深刻なリアリティを与えているのだ。

、、、が、現実はもっとヤバイ状況にあるのかもしれない。最近の様々な企業の不祥事のニュースを見せられるとそう思わざるをえない。

Posted at 2007.06.23

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9デイズ(2002年・アメリカ・117分)WOWOW

 監督:ジョエル・シュマッチャー

 出演:アンソニー・ホプキンス、クリス・ロック、ピーター・ストーメア

 内容:チェコの首都プラハ。人類滅亡を招くP.N.B(ポータブル核爆弾)の解除を実施するため、CIAのゲイロードは相棒とともに武器商人と交渉していたが、相棒が殺されてしまう。そこで、9日後の交渉のために、相棒の双子の弟でダフ屋のジェイクを代わりに立てて決死のおとり作戦を決行するが・・・。

評価★★★/55点

核爆弾が入ったスーツケースが車から落ちる!階段を転がる!あげくの果てに投げるっ!

だ、大丈夫なのか・・!?

2016年10月23日 (日)

夢のシネマパラダイス606番シアター:キングスマン

キングスマン

Poster1出演:コリン・ファース、マイケル・ケイン、タロン・エガートン、マーク・ストロング、ソフィア・ブテラ、サミュエル・L・ジャクソン、マーク・ハミル

監督:マシュー・ヴォーン

(2014年・イギリス・129分)盛岡フォーラム

内容:「キングスマン」は表向きはロンドンの高級スーツ店だが、実はどの国にも属さない民間スパイ組織の本拠地。ある時、失踪した科学者を追っていたエージェントの一人が殺害されたため、欠員補充の新人採用テストが実施されることになる。チーム指折りのエリートスパイであるハリーは、かつての同僚の息子でチンピラ生活をしている若者エグジーをスカウトする。こうしてエグジーは過酷な採用テストに臨むが・・・。

評価★★★★/75点

一言でいえば全編ノリノリな悪ふざけのスパイ映画だけど、これがまぁとにかくスゴイ。

何が凄いのか、、それは下品なのに上品、悪趣味なのに小粋、ポップなのにクラシカル、ハードなのにエレガント、カジュアルなのにオフィシャル、グロテスクなのにビューティフル、、要はメイド・イン・アメリカの野蛮なポピュリズムに彩られたやかましさと、メイド・イン・イギリスのシニカルな美意識に彩られた落ち着きが共存している絶妙なあんばいがスゴイのだ。

それはハンバーガーをがっつく米国人ラッパーと、ナイフとフォークを常用する英国紳士の対比に表れているんだけど、そのアンバランスさが映画の色になっていて面白いんだよね。なんか007をタランティーノが撮ったらこうなるみたいなかんじで。

しかしまぁ、脳漿花火までいくともう笑っちゃうしかなかったけど、続編でガラリと色を変えてくれたらまた面白いなと思う。

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コードネームU.N.C.L.E.

Cef8ff23出演:ヘンリー・カヴィル、アーミー・ハマー、アリシア・ヴィキャンデル、ジャレッド・ハリス、ヒュー・グラント

監督・脚本:ガイ・リッチー

(2015年・イギリス・116分)WOWOW

内容:米ソ冷戦が続く1963年。CIAエージェント、ナポレオン・ソロが東ベルリンへ潜入する。行方不明の天才科学者テラー博士捜索のカギを握る娘ギャビーを西側へ亡命させるためだったが、KGBのイリヤ・クリヤキンの妨害に遭う。が、ナチス残党の犯罪組織が核開発を進めていることが判明。その阻止のために米ソは協力を余儀なくされ、ソロはあろうことかイリヤと手を組まされるハメに・・・。

評価★★★★/75点

21世紀に入ってアメリカ一極支配が早々に崩れ去り多極化が進むのかと思いきや、暴言王が大統領になるわ、イギリスがEUから離脱するわ、中国が領土拡張に躍起になって好き勝手するわ、テロは頻発するわ、多極化どころかカオスのるつぼと化す中で、米ソ東西冷戦の二項対立軸なんて今やカビの生えたような古臭い過去の遺物なわけで、もはや映画の題材としては使い物にならないのは自明の理。

しかし、その点今回の映画は水と油の米ソのスパイ同士がコンビを組むという意表をつく設定になっていて、しかもそれが好センスのバディムービーに昇華されていたと思う。

特に、ルパンみたいな元天才泥棒で稀代のプレイボーイ紳士ナポレオン・ソロと、クールなのに情緒不安定なのが玉にキズのキレきれマザコン男イリヤ・クリヤキンと、レスリングが強いコケティッシュな小悪魔運転手ギャビー・テラーのキャラクターバランスがすこぶる良い。

例えていえば、ピアース・ブロスナンとダニエル・クレイグのジェームズ・ボンド2人の間に峰不二子が割って入るようなかんじで、殺意の入り混じる丁々発止のやり取りがコミカルで軽妙なテンポを生み出していて面白かった。

また、60~70年代風の画作りもオシャレで良かったけど、まさかこれが60年代の海外ドラマがオリジナルだったとは驚き。そういう点ではレッドフォードとマックイーンあたりも彷彿とさせるくらいシナリオではなくキャラクターで魅せる映画だと思うので、ぜひ続編を作ってほしいところ。

あと、ギャビー役のアリシア・ヴィキャンデルにも要注目

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ウォンテッド

Wanted2出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、テレンス・スタンプ、トーマス・クレッチマン

監督:ティムール・ベクマンベトフ

(2008年・アメリカ・110分)WOWOW

内容:仕事もプライベートもさえず、パニック障害の薬も手放せない若者ウェスリー。そんな彼の前にある日、謎の美女フォックスが現われる。なんと彼女いわくウェスリーは、千年以上前から存在してきた秘密の暗殺組織“フラタニティ”の正統な継承者だというのだ。しかし、全くのド素人である彼にはいったい何のことだか飲み込めず・・・。

評価★★★/60点

仕事も恋愛もドン底のしがないサラリーマンが秘密の暗殺組織にスカウトされ殺し屋になっていくという話からして既にありえないんだけど(笑)、しかも何か特殊な身体能力を得たりだとか全身武器の重装備をするでもなく、ただ有能な殺し屋だった父親の血を引いているだけって、そりゃないだろっていう・・

よって、実戦形式のスパルタ修行を積み重ねていくしか強化方法がなく、それで怪我をすればお風呂に入って全快って、それもねえだろ!とツッコミどころは満載ww

例えば「マトリックス」の場合だと、仮想現実が舞台なので脳トレを繰り返せば強くなれるというところに説得力が生まれるけど、今回のようにド素人が殺しのライセンスを獲得するというのは無理あるだろっというのは最後まで引っかかったままだった。

また、弾丸の軌道を自在に操れるというのも個人的には反則技に見えて好かなかったなぁ・・。

まぁ、アクションシーンに新機軸を打ち出すために作られた設定ともいえるけど、そこまでアクションシーンが刺激的だったとも自分の目には映らなかったので・・・。

話の筋立てもあって無きようなレベルなので、アンジーのカッコ良さに鑑みてかろうじてこの点数というかんじかな。。

夢のシネマパラダイス177番シアター:お伽の国からやってキターーッ!!

トゥモローランド

Poster2出演:ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン、ヒュー・ローリー、ラフィ・キャシディ、トーマス・ロビンソン

監督:ブラッド・バード

(2015年・アメリカ・130分)WOWOW

内容:1964年。自分の発明したランドセル型飛行機械をNY万博の発明コンテストに出そうと会場を訪れた少年フランクは、そこでアテナという不思議な少女と出会い、小さなピンバッジを渡される。すると彼女の後をついて入ったパビリオン“イッツ・ア・スモール・ワールド”の中で突如ピンバッジが発動。未知なる未来都市トゥモローランドへと導かれていった・・・。そして現代のフロリダ。17歳の女子高生ケイシー・ニュートンは、ある日、自分の荷物の中に見知らぬピンバッジを見つける・・・。

評価★★★/60点

ディズニーランドのイッツ・ア・スモール・ワールドとパラレルワールドがつながっている夢発想は悪くなかったけど、全体的に話がややこしくて、ん?ん?と立ち止まることしきりで腹八分目にもう少しで届かなかったかんじ・・。

設定として自分の中でトゥモローランド=ネバーランドに置き換えて見ちゃってたんだけど、そうすると1964年の少年時代に空を飛べるジェットパックを携えてトゥモローランドを訪れたものの後に追放され現実世界に送り返されたフランクは「フック」におけるピーターパンで、アンドロイドの少女アテナはティンカーベルだろう。

つまり「フック」に当てはめていえば、アテナに誘なわれたフランクがトゥモローランドに帰還し、宿敵フック船長=ニックス総督と対決するというストーリーラインが思い浮かぶ。

のだけども、今回の映画は、ここに第3の人物ケイシーが現れるのがミソで、荒廃したトゥモローランドを在りし日の姿に取り戻すためにフランクが闘うのかと思いきや、1番ヤバいのは実は現実世界の方で58日後に滅んでしまう、その救世主となるのがケイシーで、破滅の遠因はトゥモローランドにあるという捻りの利いた展開になっている。

しかし、この捻りに不親切なほど説明が乏しいので、捻りがただのもつれにしかなってなくて映画に求心力を感じないんだよね。

自分が見たかったものと映画のベクトルが最後までズレたままだったかんじ・・。

まぁ、ピンバッジどこかに落ちてないかなぁとは思ったけどw

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エバー・アフター

51zdttwnkkl__sl160_ 出演:ドリュー・バリモア、アンジェリカ・ヒューストン、ダグレイ・スコット、ジャンヌ・モロー

監督・脚本:アンディ・テナント

(1998年・アメリカ・121分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:おとぎ話「シンデレラ」をモチーフにしたラブストーリー。16世紀のフランスを舞台に、継母と姉にいじめられる少女ダニエルが、自らの力で運命を切り開き王子と結ばれるまでを描く。

“劇的ビフォー・アフター!?”

シンデレラの真実の物語と銘打っている中で、中世16世紀フランスという時代にうまく当てはめて作られており、レオナルド・ダヴィンチが絡んでくるところなどファンタジーものとは一線を画した物語になっていてなかなか面白い作品になっていたと思う。

政略結婚でフランスへ連れてこられたスペイン王女が婚礼式でボロ泣きするシーンなんてホントにあったんじゃなかろうかと思うし、情けなさすぎるヘンリー王子みたいな王もごまんといただろう。

、、、てそれじゃダメなんだぞヘンリー(笑)!なぜダニエル(ドリュー)がホレてしまうのか、あんなヘナチョコに・・・。

まぁ、それだけダニエルが強かったということだと思うけど、1発KOしてしまうような腕っぷしの強い土まみれ泥まみれのオテンバ姫も逆にドリューが映えていてヨロシイ。

「マスク・オブ・ゾロ」のキャサリン・ゼタ・ジョーンズあたりだと強面で強すぎるからあれだけど、ドリューだとちょうど良いあんばいだし、パッツンパッツンしててイイんだよね(笑)。

継母アンジェリカ・ヒューストンも「101」のグレン・クローズみたいなディズニーお決まりパターンの悪女かと思ったら、やや人間味が付け加えられていて、なんかタイムボカンシリーズに出てきそうな憎めなさがあって良かった。

けど、ダニエルの親父って、あの継母が毒を盛って殺したのかと思ってたけど、ちゃうんか??

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チキ・チキ・バン・バン(1968年・イギリス・143分)NHK-BS

 監督・脚本:ケン・ヒューズ

 出演:ディック・ヴァン・ダイク、サリー・アン・ホーズ

 内容:夢想家で発明家のポッツが、「チキ・チキ・バン・バン」と名付けたポンコツ車で子供たちと冒険の旅に出る!007シリーズの原作者イアン・フレミングの童話をもとにした冒険ミュージカル。

評価★★★/65点

何度聞いてもチリ・チリ・バン・バンとしか聞こえてこないんだけど、チリ・チリの方が正しいということを後で知ってひと安心。

肝心の映画はというと、山あり海あり空あり谷あり草原あり城ありと見所も満載で、合成シーンも嫌気にならないで巧い見せ方で演出していて好感がもてる。

特に俯瞰シーンは白眉で、ミュージカルシーンや星空の下で海上を飛行しているシーンなどは強く印象に残る。

しかし、如何せんこの内容では2時間半はちと長い。。

ミュージカル映画でありながら冒険映画ともいえるけど、逆にいえば中途半端そのもので、時おり出てくる魅力的な映像で2時間半もっているといったかんじだった。

話の筋が映像に追いついていればもっと見入っていたはずで、その点が惜しいかな。。

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フック(1991年・アメリカ・141分)NHK-BS

 監督:スティーブン・スピルバーグ

 出演:ロビン・ウィリアムス、ダスティン・ホフマン、ジュリア・ロバーツ、グィネス・パルトロウ

 内容:自分がピーターパンだったことを忘れてしまった、さえない中年男ピーターが、子供たちを救うためフック船長の待つネバーランドへ旅立つ!

評価★★★☆/70点

最初に見たのは劇場だったけど、心躍る冒険譚を期待して劇場に入ったはずが、まるで親子関係修復セミナーに強制参加させられたような違和感を抱いたのを子供ながらに覚えていたんだけど。

でも、先日久方ぶりにテレビで見たら、年食ったせいか純粋に楽しめちゃった(笑)。グロさがもうちょっと加味されてればもっと良かったけど。

ピーターみたいに子供の心を忘れてしまったからこそ、こうやって見れる作品なのかもしれないな・・。

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ショコラ(2000年・アメリカ・121分)DVD

 監督:ラッセ・ハルストレム

 出演:ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、アルフレッド・モリーナ、レナ・オリン

 内容:冬のある日、伝統が深く根付くフランスの村に、謎めいた女性が娘を連れて越してきた。彼女がオープンさせた、見たこともないような美味しそうなチョコレートであふれたお店が、保守的な村の人々に変化をもたらしていく。。

評価★★★☆/70点

チョコレートのCMも2時間ぶっ続けで見るとさすがにダレるな。

お味の方も、今までに味わったことのないような絶品なのかと思いきや、そんな取り立てていうような味でもないし・・・。

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グリンチ(2000年・アメリカ・105分)WOWOW

 監督:ロン・ハワード

 出演:ジム・キャリー、テイラー・モムセン、クリスティン・バランスキー、モリー・シャノン

 内容:全身が緑色の毛で覆われた嫌われ者のグリンチは、美しいフーヴィルの町を見下ろすクランペット山に住んでいた。フーヴィルの町では、楽しいクリスマスの準備で大わらわ。しかし、グリンチはクリスマスが大っ嫌い!そこで彼はフーヴィルのクリスマスをメッタクタにしようと作戦を練る。。アメリカ人なら誰でも知っているという児童文学の映画化。

評価★★★/55点

ウォレスとグルミットのようにクレイアニメで見たかった気がする。

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リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い(2003年・アメリカ・110分)MOVIX仙台

 監督:スティーブン・ノリントン

 出演:ショーン・コネリー、スチュワート・タウンゼント、ペータ・ウィルソン、シェーン・ウエスト

 内容:1899年、謎の集団が近代兵器で欧州各地を襲撃し戦争の危機に。冒険家アラン・クォーターメインは、ネモ船長、透明人間、吸血鬼、不死身の男ドリアン・グレイ、ジキル博士、トム・ソーヤーらと超人同盟を結成、謎の集団に立ち向かう・・・。人気小説の主人公たちが一同に会するコミックを映画化。

評価★★/40点

B級からA級に昇格するためにA級養成ギプスを無理やり付けさせられたノリントン。

しかし結果はA級に戦犯が付いてしまうという本末転倒なものに終わってしまった。

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レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(2004年・アメリカ・109分)WOWOW

 監督:ブラッド・シルバーリング

 出演:ジム・キャリー、メリル・ストリープ、エミリー・ブラウニング、リーアム・エイケン

 内容:発明好きの長女・ヴァイオレット、読書家の弟・クラウス、末っ子のサニー。両親を亡くしたボードレール家の3人の子供たちは、遠縁のオラフ伯爵に引き取られる。しかし、実は遺産目当てだったオラフ伯爵は、子供たちに執拗な嫌がらせを繰り返していく・・・。世界的ベストセラーの児童書の映画化。

評価★★★/55点

小公女のごとく徹底的に不幸なトーンに落としていくわけでもなく、ホーム・アローンのごとく痛快さを前面に押し出すわけでもなしに、世にも不幸せなというわりには、ちょっと中途半端な印象。

徹底的なオーバーアクションと七変化でボードレール3姉弟をいじめ抜くジム・キャリーにもはっきりいって凄みが感じられない。

冷徹な狂気よりも軽いノリのコメディぷりの方が勝ったかんじで、そこらへんのバランスがもうちょっと取れていればシニカルでブラックな世界観がもっと際立ってよかったと思うんだけどなぁ・・。

夢のシネマパラダイス605番シアター:KAMIKAZE TAXI

KAMIKAZE TAXI

5068c320出演:役所広司、高橋和也、片岡礼子、内藤武敏、矢島健一、ミッキー・カーチス

監督・脚本:原田眞人

(1995年・日本・169分)WOWOW

内容:恋人を殺された一件で、政治家・土門と組長の亜仁丸を恨むチンピラやくざの達男が、土門から大金を盗み出した。しかし、その裏切りが組織にバレて仲間を惨殺された彼は、日系ペルー人運転手・寒竹のタクシーで逃亡するが・・・。

評価★★★☆/70点

血生臭いヤクザの闘争劇、特攻隊の裏歴史、日系移民の苦難、うさんくさい新興宗教、片言の日本語、殺し屋に見えないミッキー・カーチス、そよ風のように哀愁を運んでくる飄々としたインカの音楽・・・。

これら一見何の脈絡もない要素をタクシーの運転手とお客のロードムービーとして繋ぎとめた変わり種は、やけに寄り道が多くて7割方グダグダなんだけど、それも含めて文字通り今まで味わったことのない摩訶不思議な味わい。

それは、ミッキー・カーチスはもちろんだけど、孤独をたたえた旅人スナフキンのようなキャラクターに扮した役所広司のベストワークによるところが大きかったと思う。なんか若干嘘くさく見えるところがまたいい味出してるんだよねw

原田眞人監督も大人数の群像劇を得手としながら一糸乱れぬ統制のとれた画を撮る印象が強いのだけど、まだこの頃は動きのある粗さがあって、そこも新鮮だった。

しかし、1番衝撃的だったのは出撃前の特攻隊員に覚せい剤が与えられていたということ。知りたくなかった~

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テルマ&ルイーズ

Rtaizykzt出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、ハーヴェイ・カイテル、ブラッド・ピット

監督:リドリー・スコット

(1991年・アメリカ・128分)NHK-BS

内容:平凡な主婦のテルマとウェイトレスのルイーズは、退屈な日常から抜け出そうと週末旅行に出かけた。食事に寄ったバーで、はしゃぎ過ぎたテルマがレイプされそうになり、ルイーズは男を撃ち殺してしまう。警察を信用しない2人はその場から逃げ出してしまうが・・・。旅行に出た2人の女性が、思いがけない事件をきっかけに指名手配犯として追いつめられていく経緯を描いたアクション・ロードムービー。

評価★★★/65点

自分の周りの女友達に訊くとほとんどがこの映画が好きだという・・・。

ついでに母親までこの映画が好きだという・・・。ましてや彼女はこの映画が大好きだという・・・。

自分の女性観を間違いなく変えた一本

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ミッドナイト・ラン(1988年・アメリカ・126分)NHK-BS

 監督:マーティン・ブレスト

 出演:ロバート・デ・ニーロ、チャールズ・グローディン、ヤフェット・コットー

 内容:ロスの“バウンティ・ハンター”ジャックは保釈金融会社から依頼され、ギャングの金1500万ドルを横領し慈善事業に寄付した経理士ジョナサンを、NYから連行する仕事を請け負った。NYでジョナサンと合流したジャックは、彼の命を狙うギャング一味と、やはり彼を捜すFBIの双方から追われるハメになり、追っ手を逃れ広大なアメリカ大陸を横断することに・・・。

評価★★★/60点

危険な香りのしないデ・ニーロは、見ていてツマラナイ。。

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バンディッツ(1997年・ドイツ・109分)NHK-BS

 監督・脚本:カーチャ・フォン・ガルニエ

 出演:カーチャ・リーマン、ヤスミン・タバタバイ、ニコレッテ・クレビッツ

 内容:刑務所でバンドを結成した4人の女囚が脱獄に成功した。彼女たちはTVに出演し、CDデビューも果たし一躍大人気。警察の追跡をかわしながら彼女らはバンド活動を続けていくが・・・。女囚たちがドイツ中を痛快に逃避行するロードムービー。

評価★★★/60点

“おセンチでヒステリックで場当たり的な女たちの存在感が際立つつくりに、まるでネコでも見てるような気分。。”

映画自体にストーリーを追おうという気が毛頭ないのがやや問題ありかなと。そういう意味でもネコっぽい。

あるいはホント長ったらしいビデオクリップてかんじ・・。

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普通じゃない(1997年・アメリカ・104分)WOWOW

 監督:ダニー・ボイル

 出演:ユアン・マクレガー、キャメロン・ディアス、ホリー・ハンター

 内容:小説家志望の貧乏青年ロバートは、掃除夫のバイトをクビにされて逆ギレ。社長令嬢を誘拐するのだが、実はそれは天使たちの陰謀によるものだった!?自ら誘拐の手ほどきをする気の強いわがまま令嬢と頼りない誘拐犯のドタバタ逃亡劇。

評価★★☆/50点

普通じゃない=ミラクルではなく、普通じゃない=異常というふうに描いている暴走もの。

こういうのは、吉本新喜劇で十分じゃなかろうか・・w

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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年・ドイツ・90分)DVD

 監督・脚本:トーマス・ヤーン

 出演:ティル・シュヴァイガー、ヤン・ヨーゼフ・リーファース、ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ

 内容:脳腫瘍に冒されたマーチンと、末期骨髄腫のルディは病室が一緒になり意気投合。海を見たことがないルディのため、病室を抜け出し車を盗み逃走した。しかし、その車には大金が積んであり、マフィアと警察の両方に追われてしまうハメに・・・。

評価★★★/65点

“ガ^^^^^^^^^ン、NO------ッ 主よーーー。”

夢のシネマパラダイス316番シアター:なぜ兄弟は映画にならなくて姉妹は映画になるのか

海街diary

News_20150528出演:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平、樹木希林、リリー・フランキー、風吹ジュン、堤真一、大竹しのぶ

監督・脚本:是枝裕和

(2015年・東宝・128分)WOWOW

内容:父は不倫のため15年前に、母もその2年後に再婚し家を出ている中、しっかり者の長女・幸、やんちゃな次女・佳乃、マイペースな三女・千佳の香田三姉妹は、鎌倉の実家で暮らしている。そんなある日、父の訃報が届き、3人は葬儀の行われる山形へ。そこで中学生になっている腹違いの妹すずと出会う。父の再々婚相手の家のため、血のつながった身寄りがいなくなり肩身の狭い思いをしているすずの姿に、幸は鎌倉で一緒に暮らさないかと提案する。こうしてすずが香田一家に加わり、四姉妹の暮らしが始まる。

評価★★★★/80点

好きな漫画は何かと訊かれたら真っ先に「海街diary」を挙げるほど原作漫画が好きな自分は、この漫画に関しては一風変わった読み方をしている。

それは家から職場まで車で片道50分かかるのだけど、通勤途中の信号待ちの時にサッと手に取る読み方だ(笑)。かなり邪な読み方かもしれないけど、一巻読むのに大体2~3週間はかかってしまう。

じゃあ、なんでこういう読み方をするかというと、端的に言えば一気読みしたくないというのがあって、要は4姉妹の日常を流れるゆったりとした時の流れを共有したいからだ。

その点で今回の映画は、原作の持つ世界観を的確に、そしてイメージ通りに映像化してくれたと思う。

鎌倉の街の情景や4姉妹が暮らす日本家屋など実写ならではの奥行きが彼女たちのキャラクターや物語に説得力をもたらしていたし、なにより4姉妹がイイ♪

サチ姉の綾瀬はるかと千佳ちゃんの夏帆は見る前は若干イメージと違うかなと思ってたけど、フタを開けてみたらしっくり役にハマっていて確かな女優力を垣間見れたかんじ。

あと完璧だったのが佳乃の長澤まさみ。自由奔放かつ大ざっぱでルーズでありながら冠婚葬祭や職場などオフィシャルな場ではきっちりしているという女の使い分けが上手い佳乃のイメージ通りだったと思う。法事が終わった後に大の字になってビール飲みてぇー!ってわめく所はドンピシャだったw

また、四女のすずに関しても言うことなし。なにより広瀬すずのサッカーのプレイ姿がめちゃくちゃ様になっていてビックリした。原作のすずはサッカー推薦で高校に行けるくらいの実力の持ち主なので、あのサッカーシーンだけでこの映画への信頼度はMAXになったといってもいいくらい。

2時間だけで終わらせるにはあまりにももったいない4姉妹のアンサンブルと世界観を堪能できたけど、どうせだったら連続ドラマで見たいね。

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イン・ハー・シューズ

20061231085807 出演:キャメロン・ディアス、トニ・コレット、シャーリー・マクレーン、マーク・フォイアスタイン

監督:カーティス・ハンソン

(2005年・アメリカ・131分)MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:まわりが羨むスタイルと美貌を持ちながらも難読症というハンディキャップがコンプレックスとなり、定職にも就かない奔放なマギー。一方、姉のローズは、弁護士として成功しているものの、自分の容姿に自信が持てず、恋愛にも慎重。そんなある日、ローズの家に居候していたマギーは、ローズの恋人に手を出してしまったことから家を追い出されてしまう。行く当てのないマギーは、仕方なくまだ会ったことのない祖母エラのもとを訪ねるのだが・・・。

“これが私の生きる道!”

むやみやたらとご立派な靴を買い集めては開かずのクローゼットに新品のまま所狭しと並べている姉ローズ(トニ・コレット)と、姉のお気に入りの靴だろうがお構いなしにむやみやたらと靴を履き替えては折れたヒールをチューインガムでくっつけてしまうようなトンでもな妹マギー(キャメロン・ディアス)。

仕事はバリバリだけど堅物で恋に不器用な姉と、プーだけどルックス抜群で姉のお気に入りのボーイフレンドだろうが所かまわずガンガンヤリまくるイケイケ女の妹。

靴のサイズが同じこと以外は全く好対照な姉妹の2人のキャラクターが非常によく描かれているのがこの映画のミソで、時には嫉妬し、時にはケンカし、時には信頼し、時には自慢し合い、時には抱き合い、時には涙し、、、そんな姉妹のキッてもキレない関係が丹念に描き出されていくとともに、2人の“これが私の生きる道”を見つけていく道のりが心地良く綴られていく。

そして家族の再生と、人間的に成長し歩き出していく2人の姿に心が暖められ、思わず笑顔で2人の背中を見送ってあげたくなる良作に仕上がっている。

特にキャメロン・ディアスは最近の作品の中では1番良かった。

ゴージャスなモデルボディーのみが売りだったような「マスク」から10年。大金持ちのお姫様でルックス以外能がないような、それでいて映画史に残る大音痴を披露して場をさらった「ベスト・フレンズ・ウェディング」から早8年。

しかし、そんなゴージャスかつフレッシュで元気溌剌な若さが売りだったキャメロンも他の勝負できる“これが私の生きる道”を見出さなければならない世代にさしかかった。

ローズがマギーに言い放つ「中年のアバズレは惨めなだけよ!」というキャメロン自身にはね返ってくるような生々しくて強烈なセリフが耳に残ったが、「マスク」から「チャーリーズ・エンジェル」までフルスロットルで走り続けてきた彼女が10年ひと区切りで次なるステージへとかけ上がっていくスタート・ラインに立ったということなのかな。

欠点なり弱点をキュートでプラスな側面に自然に変えられる持って生まれた稀有な才能を持っているキャメロン・ディアスは例えば一見お下劣な映画でも笑って許せてしまうような独特で能天気な雰囲気と味わいを添えることができる。

「メリーに首ったけ」では○液ヘアジェルを髪になすりつけ、今回の映画でもレストランでデカイ声で「ヴァギナ」を連発だからね。志村けんのバカ殿と共演させたいよホンマ(笑)。

硬軟バランスよく使い分けることのできる女優になっていってもらいたいけどね。

あ、トニ・コレットもホント良かった。あ゛っ、それ以上にシャーリー・マクレーンもね。

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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

20071004_451107 出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、山本浩司、永作博美、永瀬正敏

監督・脚本:吉田大八

(2007年・日本・112分)CS

内容:石川県の片田舎。両親の訃報を受け、東京から戻ってきた和合家の長女、澄伽。4年前に女優を目指して上京したものの泣かず飛ばずの澄伽は、義兄の宍道に援助の強要を迫るわ、妹の清深をいじめ抜くわのやりたい放題。宍道の妻で度を越したお人好しの待子はその複雑な家族関係に右往左往するばかりだったが・・・。

評価★★★☆/70点

“和合”という日本人の本質を言い表しているような名字を持つ和合家の人々の救いのない醜態を面白おかしく見つめた物語は、最後まで飽きずに見れたのはたしか。

ただ、ラストに「やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。」と妹・清深(佐津川愛美)が姉・澄伽(佐藤江梨子)に鉄槌を食らわせるわけだけど、この1番印象的なセリフに十分な説得力を持たせるまでの描写がなされていたかというと、ちょっとビミョーで・・。

だって1番面白いネタになるのは待子(永作博美)>清深>宍道(永瀬正敏)>澄伽やんけ。

澄伽の人物造型を漫画的にもっと大胆にデフォルメしてアクの強さを前面に出してもよかったのかなとは思ったな。

そういう点では、永作博美にかなり助けられた作品だったと思う。

そばつゆがコンタクトレンズと角膜の間に入って失明しかけるというプロットなど細かいところまで随所に笑えるシーンはほとんどが待子がらみだったし、それを演じた永作博美の笑顔ふりまきながらの怪演ぶりは、清深が描くホラー漫画以上に怖いものがあった。

ニコニコしながら変な人形作ったり、宍道と合体しようと青アザ作りながら格闘したり、扇風機を念力で回そうとしたり、ホラーとユーモアの絶妙な同居を体現した演技力は女優としてホンモノなんだと確信。もっと前に気付けよw

駄作と異色作の狭間で奮闘した永作博美に乾杯です!!

でも、話は変わるけど、100万金を貸すのにスタンプカード80回ぶんって、、、1回1万2500円やろ。安すぎだろww。せいぜい1回3万で計算しいや。そこが気になって気になってしょうがなかった・・

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何がジェーンに起こったか?

Nanigajaneniokottaka_aus 出演:ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード、ビクター・ブルーノ、アンナ・リー

監督:ロバート・アルドリッチ

(1962年・アメリカ・132分)DVD

評価★★★★/80点

内容:名声を失ったのは姉のせいだと思いこんだ往年の子役スターが復讐を企てるスリラー。6歳の時から舞台に立っていたジェーンが子役としての人気を失いかけていた頃、姉のブランチは映画スターとして人気者になっていた。しかしそんなある日、ブランチは自動車事故で下半身不随となり映画界から退く。数十年後、姉と2人で暮らすジェーンは、酒に溺れ異常な行動をとるようになっていた・・・。

“嫉妬と憎しみから解放されるカタルシスが一転して悲しみに変わったとき、、、しばし絶句し呆然とする以外にない。”

見終わって思い返してみるとちょっとした違和感は冒頭で感じてたんだよなぁ・・・。

妹が表舞台で盛大なスポットライトを浴びてる中、姉のブランチは舞台袖でくやしそうな顔をしている。

母親から、「あなたもいつかスターになれる。もしスターになったらお父さんや妹の面倒をみるのよ。忘れないでね。」と言われたブランチの返しが、「ええ、忘れないわ。絶っっ対に。。。」と言ったときの表情と言葉つきに並々ならぬものを感じたのだけど。でも、まさかなぁ、そんなことって、、ありなのかよ。。

ヒッチコックの古典「レベッカ」と見比べてみても面白いかもね。

見えない強烈な存在感と、見える見える見えすぎてケバイ強烈な存在感と。レベッカに対抗しうるのはあの姿形のベティ・デイヴィスということなのか・・・。

いやはや凄すぎます。。

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とらばいゆ(2001年・日本・118分)NHK-BS

 監督・脚本:大谷健太郎

 出演:瀬戸朝香、塚本晋也、市川実日子、村上淳、鈴木一真、大杉漣

 内容:姉妹そろって女流棋士という姉・麻美(瀬戸朝香)と妹・里奈(市川実日子)。麻美は大企業に勤めるサラリーマンの一哉(塚本晋也)と結婚したが、途端にスランプに陥ってしまい、結婚早々ケンカばかり。一方、恋多き里奈は、弘樹(村上淳)という売れないミュージシャンの彼氏がいたが、里奈の浮気がバレて険悪な状態に。そして恋愛と勝負師という仕事の両立に悩む姉妹の関係もこじれてしまい・・・。

評価★★★★/75点

“将棋の指し方にはその人の性格が出るというけど、そういう意味でいえば自分は簡単に分かる。詰めが甘い!押しが弱い!人生においても、、恋愛においても、、ガクッ。”

と、半うつ状態になったところでこの映画の感想を。

まず、いじっぱりで強情で素直じゃない麻美のような女性ははっきりいって好みじゃない。

だって、良かれと思って買ってきた妻の大好物であるニコニコ亭の酢豚弁当を、「こんなのいらない!」と投げ捨てるねんでアータ。オイラだったら速攻ブチ切れるわ。

なのにこの肩身のせまそうな夫といったらキレるわけでもなく、「やめて下さい。。」の一点張り。温厚で優しくニコニコニコニコ。。自分にはできない(笑)。妹・里奈の恋人と合わせて、なんつう男は弱いんだと男どもに喝を入れたい気分にもなったのだが。

しかし、決して自分の弱みを見せない麻美が夫の前で涙を見せたとき、夫婦関係の真実が露わになるさまに思わず愕然。

夫・一哉の包容力と優しさが妻を支えていたという真実。

恋愛は“刺激”と“熱情”、結婚は“忍耐”と“寛容”とはよく聞くが、恋愛経験すら乏しい自分にとって夫婦関係の深淵を理解するには、その思考回路はスイッチの切り替え方を知るすべもないほどに単純すぎるのかもしれないな・・。

でも、それをテンポ良いコメディタッチに落とし込んだ日常の会話劇として垣間見ることができたのは、ただ見るぶんには面白おかしかったけど。

しかし実際、あんな都合のいい男なんていったいぜんたい居るのかね??

里奈の恋人・弘樹のような大らかさにさえかなり妥協しないと迫れない自分には、おとぎ話のような世界かも。。

ただひとつ、取るに足らないことからケンカになっていく様子は妙にリアルで、そこだけは120%自分と重ね合わせることができて、思わず笑わずにはおられなかった。

女がオトコ化し、男がオンナ化している今の時代、社会の矢面に立たされている女性とうまく付き合っていくには、男には癒しの能力が求められ必要とされているのかもしれない。

オイラには・・・・

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ハンナとその姉妹(1986年・アメリカ・106分)NHK-BS

 監督・脚本:ウディ・アレン

 出演:ウディ・アレン、マイケル・ケイン、ミア・ファロー、ダイアン・ウィースト

 内容:女優として成功して夫エリオットとの家庭生活も円満なハンナ、ハンナの妹で売れない女優のホリー、年の離れた画家と同棲している末妹のリー。NYで暮らす三姉妹の人間模様を描いた人間ドラマ。

評価★★★★/75点

“ダイアン・ウィースト、、細いっ!”

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若草物語(1994年・アメリカ・118分)NHK-BS

 監督:ジリアン・アームストロング

 出演:ウィノナ・ライダー、スーザン・サランドン、サマンサ・マシス、クリスチャン・ベール

 内容:『若草物語』4度目の映画化。

評価★★/40点

このての映画がいまいち好きになれないのは、コスチュームものが好みではない他に、見てるだけでウザったい女性陣の髪形にも一因があることがこれ観て判明した(笑)。

ついでに言えば、大林宣彦の映画が性に合わない自分には、この映画、、なんか同じ匂いがした。。

2016年10月16日 (日)

夢のシネマパラダイス263番シアター:アベンジャーズ

アベンジャーズ

7d060753 出演:ロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、マーク・ラファロ、クリス・へムズワース、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、トム・ヒドルストン、グィネス・パルトロー、サミュエル・L・ジャクソン

監督・脚本:ジョス・ウェドン

(2012年・アメリカ・144分)WOWOW

内容:国際平和維持組織シールドで研究中だった四次元エネルギー体キューブが、神々の国アスガルドを追放され地球の支配を目論むロキに奪われてしまう。シールドの長官ニック・フューリーはスーパー・パワーを持つヒーローを集めることを決断。トニー・スターク(アイアンマン)、スティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)、ブルース・バナー(ハルク)、そしてロキの兄ソーが集められ、最強軍団アベンジャーズが誕生する。

評価★★★/60点

一言でいえばスパイダーマンもウルヴァリンもバットマンも出ていないから興味を引かない。ってバットマンはマーベルじゃないか

ともかくだ。日本でいうところのゴレンジャーみたいなヒーロー戦隊ものと捉えればいいのかもしれないけど、どうにもキャラクターに魅力を感じなくて・・・。1番印象的だったのがめちゃくちゃ強いハルクってのもなんだかなぁってかんじだしww

やはりソー、ホークアイ、ブラックウィドウの3枠のところにスパイダーマン、ウルヴァリン、あとはゴーストライダーあたりを出してもらえれば一気に見る気になるんだけど。

あと、お祭り映画だけに中身が薄いことは折り込み済みだったとはいえ、内輪もめがグダグダ続く展開もイマイチだった。作りとしては内輪もめよりもメンバー集めの方に時間を割くべきなのに。ここがおざなりになったため大味になっちゃったな。

まぁ、グダグダ言っても仕方ないけど、結局のところ「ダークナイト」のようなヒーロー像の脱構築とは対照的な底抜け大作にはもはや新鮮味を感じないという点に行き着いちゃうのかな・・・。

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アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン

059出演:ロバート・ダウニー・Jr、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、ドン・チードル、エリザベス・オルセン、サミュエル・L・ジャクソン

監督・脚本:ジョス・ウェドン

(2015年・アメリカ・142分)WOWOW

 

内容:東欧でヒドラ残党を急襲したアベンジャーズはロキの杖の奪還に成功する。そして、アイアンマンことトニー・スタークは、ロキの杖から人工知能を抽出し、自我を持つ人工頭脳“ウルトロン”による平和維持システムを開発する。ところが、ウルトロンが導き出した究極の平和維持とは人類の排除だった。覚醒したウルトロンに対しアベンジャーズが立ちはだかるが・・・。

評価★★★/60点

あくまで個人的にだけど、各ヒーローの単独作だと面白いのにオールスターになると途端につまらなくなるのはどうしてだろう・・

と考えると、例えばキン肉マンでいえば、キン肉マンとバッファローマンはこういう会話をするだろうとかウォーズマンとラーメンマンはこうだろうとか過去の関係性の蓄積がキャラクターのコラボの理解を深めて奥行きを与えるのだけど、アベンジャーズに関してはそのキャパシティが自分の中でまだスカスカで・・・。

その中でレギュラー6人+新顔2人のキャラクターが大渋滞を引き起こしているので見ていて疲れるんだよね要はどうしても散漫な印象がぬぐえない。

正直いって今回の場合は、絶対正義を振りかざして暴走するアイアンマンvs冷静に正義を見据えるキャプテン・アメリカでよかったと思うし、そっちの方が話も整理されて断然面白かったと思う。ってそれじゃダメじゃんww

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キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー

Kyapuame 出演:クリス・エヴァンス、トミー・リー・ジョーンズ、ヒューゴ・ウィーヴィング、へイリー・アトウェル、ドミニク・クーパー、スタンリー・トゥッチ、サミュエル・L・ジャクソン

監督:ジョー・ジョンストン

(2011年・アメリカ・124分)WOWOW

 

内容:1941年、第二次大戦中のアメリカ。祖国を誰よりも愛する青年スティーブ・ロジャースは、ひ弱なため入隊検査を落とされ続け自己嫌悪に陥る日々を送っていた。そんなある日、謎の軍医アースキン博士と出会った彼は、“スーパーソルジャー計画”というプロジェクトに誘われ、プロジェクト実験の被験者第1号となる。そして実験は成功し、スティーブは超人的な肉体と運動能力を獲得する・・・。

評価★★★/60点

主人公と同じく生来のもやしっ子である自分からすると、キン肉超人になって大活躍するというのは夢のような話で感情移入しやすかったのはたしかだけど、肉体改造後のキャップにことさら魅力を感じないのはなぜだろう・・。

と考えてみると、真のヒーローになるための通過儀礼といえる苦悩や葛藤に乏しいことが挙げられる。

宝くじで大当たりして何億も手に入れた貧乏人が一転して人生を狂わせていくって話はよく耳にするけど、スーパーパワーを手に入れたもやしっ子がはしゃぎすぎてハメを外してしまったりだとか、力自慢したり、ややもすれば傲慢な野心をひけらかしてしまったりすることはあってもいいはずだ。

あるいは、戦意高揚のマスコットキャラとしてミュージカル役者に仕立て上げられ手に入れた力を発揮できないもどかしさは描けても、その先にある戦場で戦える喜びや、逆に戦うことで己の力を知ってしまったゆえの恐怖や葛藤を無視しては何の意味もないし面白くない。

しかし、ダークサイドのかけらもない、どこまでも一途で純粋な正義の心を持つという主人公の設定があってはどうにもならなかったか・・・。

「弱者は力の価値も憐れみも知っている」というのを言葉だけでなくシーンで示してもらいたかったね。

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キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014年・アメリカ・136分)WOWOW

 監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ

 出演:クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキー、トビー・ジョーンズ、ロバート・レッドフォード、サミュエル・L・ジャクソン

 内容:アベンジャーズの戦いから2年。今やシールドの一員として活動するキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースだったが、さらなる防衛システムの構築を目指すべく進行している巨大空中母艦ヘリキャリアによる人類監視計画には疑問を感じていた。そんな中、シールド長官ニック・フューリーが何者かに襲撃され命を落とす。さらに、スティーブもシールドから命を狙われる事態に陥る・・・。

評価★★★★☆/85点

アメリカが世界の警察を気取って各地を蹂躙していた東西冷戦末期の80年代、スーパーマンは大空を飛び回り、シュワちゃんとスタローンは自ら敵地に乗り込み悪をやっつけていた。

しかし、2001年の9.11同時多発テロ後、悪の枢軸と名指ししたイラクに殴り込みをかけたアメリカの理念はもろくも崩れ去り、世界は一気に多極化。こちらは正義であちらは悪という二項対立の善悪二元論ではくくれないどころか、正義をうたった力による行いが逆に悪を拡散させてしまった現実があらわになった。

それでもなお“正義”はエスカレートしていき、一方“悪”は絶対化していく。つまり“必要悪”vs“絶対悪”というヒーロー不在の図式、もっといえば正義と悪は表裏一体という図式だ。

そしてそれを白日のもとにさらけ出したのが「ダークナイト」だったんだけど、今回はそのテーマをもっと深化させ、自由と正義を維持するための“必要悪”SHIELD(シールド)の暴走の行き着く先を描いている。さらにその際、ダークナイトではバットマンとジョーカーがコインの裏表の関係にあるのに対し、今回は正義の組織シールドと悪の組織ヒドラが表裏一体で、そこにある危険極まりない欺瞞を倫理と道徳を合わせ持った真の正義キャプテン・アメリカがシールドごと解体して打ち砕き、一から出直そうという流れだ。

つまり、アメリカの行き過ぎた理念をただして、本来の建国精神に則ったあるべきアメリカの姿に立ち返るべきだと説いているわけで、ここまでくるともはやヒーロー映画の枠を超えちゃってるよねっていう

集団安全保障や抑止力などが物議を醸す現代における指標を示唆するポリティカルなテーマ性に加え、キャプテン・アメリカの苦悩がアメリカの今ともリンクしていて、見応えがありすぎるくらいの構成力には舌を巻いた。

さらに、円形の盾しか持たないというオーソドックスかつクラシカルな出で立ちからは考えられないほど様々なバリエーションで攻守両面を網羅してしまうキャップをはじめとするアクションのクオリティの高さ、また最強の刺客ウィンター・ソルジャーやファルコンなど魅力的なキャラクター造形にも度肝を抜かれ、もう言うことなし。

なんかこの一作だけで自分の中でアベンジャーズのメンバーたちの株と興味が一気に上昇したかんじw

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シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

71xfyysosxl_sy445_出演:クリス・エヴァンス、ロバート・ダウニーJr、スカーレット・ヨハンソン、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキー、ドン・チードル、ジェレミー・レナ―、ポール・ベタニー、トム・ホランド、マリサ・トメイ

監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ

(2016年・アメリカ・148分)

内容:何度も世界の危機を救ってきた“アベンジャーズ”。しかし、テロリストとの戦いで多くの民間人の犠牲者が出てしまったことから、その強大な力を危険視する声が高まり、彼らを国連の監視下に置くことが議論される。やむを得ないと受け入れる姿勢のアイアンマンに対し、キャプテン・アメリカはこれに反対する。そんな中、ウィーンで新たなテロ事件が発生し、キャプテンの旧友バッキーが容疑者として指名手配されてしまう・・・。

評価★★★/65点

ヒーロー(善)vsヴィラン(悪)というかつての単純明快な二項対立のヒーロー映画では、ヒーローが敵との戦いで例え街を破壊しようとも何も咎められることはなかった。つまり、法では裁けない(逮捕できる存在ではない)悪を、同じく法を無視し、目には目を歯には歯をの自警主義に基づき退治する(処刑する)超法規的存在というヒーロー像に疑いの余地をはさむ者はいなかった。

しかし、「ダークナイト」(2008)でそれが一変する。

ヒーローは正義を行使するために振るった暴力により結果的には市民を傷つけることもいとわず、なおかつ何にも従わず好き放題行動する危険な存在=犯罪者であるという見方だ。

混沌しかないといってもいい現代の世界において、ヒーローの存在自体が社会問題と化してしまったわけだ。

これはヒーロー=アメリカのイラク戦争での大義なき暴走が大きな背景としてあるのだろうが、ダークナイト以降このヒーローの社会問題テーマは避けて通れない一大トレンドとなった。

その中で今作は、アベンジャーズを国連の管理下に置くという規制法に対してアベンジャーズ内で賛否が分かれ内部分裂を引き起こすという流れになっている。しかもマイティ・ソーとハルクの代わりにキャプテンアメリカ陣営にはアントマン、アイアンマン陣営にはスパイダーマンが参戦し6×6のドリームマッチが繰り広げられる、、。

のだが、一言でいえば自分はキャプテンアメリカを見たかったのであって、アベンジャーズを見たかったのではないってこと(笑)。

結局、ドリームマッチといっても手加減ありのぬるいコスプレ大運動会といったレベルなので、見てても目まぐるしいばかりでイマイチ燃えないんだよね。アクションの見せ方はキレッキレで臨場感もたっぷりだったんだけど、身ひとつの肉弾戦が見物のキャプテンアメリカの激アツ作で見たかった。

挙句の果てにアントマンの巨人化には正直失笑💧

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アイアンマン

Img_320523_9531244_0 出演:ロバート・ダウニー・Jr、ジェフ・ブリッジス、テレンス・ハワード、グウィネス・パルトロウ、ショーン・トーブ、サミュエル・L・ジャクソン

監督:ジョン・ファヴロー

(2008年・アメリカ・125分)盛岡フォーラム

 

内容:巨大軍事企業スターク・インダストリーズのCEO、トニー・スターク。発明家としての顔も持つ彼は、新型兵器のデモンストレーションのためにアフガニスタンへ赴くが、テロ集団の襲撃に遭い、瀕死の重傷を負いながらもなんとか生還を果たす。が、拘束中、敵アジトに自社兵器がズラリと並んでいたのを目の当たりにしたトニーは、それがテロに利用されていたことを知り、武器製造からの撤退を決める。そして自分の身体にフィットするパワードスーツを開発し、テロ撲滅の戦いを誓うのだった・・・。

評価★★★★/80点

若手俳優、悩み悩み悩み抜くヒーロー、降って湧いた超能力、正体は明かせない、、アメコミヒーローの典型像だけど、今回はヒゲ面のすっとぼけたオッサン、影など全くない成金の単なる改心、手作りメカ、アイアムアイアンマン!!とことごとく真逆の設定を持ち出してきた。

しかも悪役は完全なステロタイプで、一歩間違えると単調な勧善懲悪のB級映画になるところだったが、ダウニーJrの茶目っ気とシニカルを掛け合わせたようなノー天気ぶりとド迫力の映像技術がカチリとハマり、爽快感あふれる愛すべき娯楽作に仕上がった。

秘書役のグウィネス・パルトロウも軽妙な演技を見せてくれるし、思いっきり可愛く撮られていて抜群に良い。キャスティングの勝利だろう。

それにしてもアナログ感覚を残したメカニック工程には自分の中で久しく眠っていたガンプラ魂をくすぐられて心地良かったなw

個人的にはアイアンマンが着地するときのポーズがめちゃくちゃタマラん

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アイアンマン2(2010年・アメリカ・124分)WOWOW

 監督:ジョン・ファヴロー

 出演:ロバート・ダウニー・Jr、グウィネス・パルトロウ、ドン・チードル、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェル、ミッキー・ローク、サミュエル・L・ジャクソン

 内容:公聴会で自らアイアンマンであることを公表したトニー・スタークは、一躍ときの人となるが、パワードスーツのエネルギー源であるリアクターは確実に彼の身体を蝕んでいた。一方、そんなトニーを憎悪の眼差しで見つめる一人の男がいた・・・。

評価★★★/65点

アメコミヒーローのひな形の真逆をいくことで新境地を開いた前作のテイストそのままに、トニー・スタークの傲岸不遜ぶりはますます際立ち、金持ちの道楽ヒーローは太陽のように光り輝く。

この自己満足の権化と対になる陰の部分を敵役ウィップラッシュ(ミッキー・ローク)が担っているのだけど、F1会場で繰り広げられるオッサン同士の壮絶バトルは見もの。

けど、もうちょっと他にもウィップラッシュに見せ場と物語を与えてほしかったかなと。まぁその不足分をヨハンソンのアクロバティックアクションとサム・ロックウェルの小物ぶりが補ってくれるけど、ドラマと新鮮味には乏しく。。

あくまでテンションアゲアゲの娯楽作として見るべし、、ってもとからそういう作品なんだけどね

しかし、ヨハンソンは何をやらせてもズギュ~~ンだねぇw

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アイアンマン3(2013年・アメリカ・133分)WOWOW

 監督:シェーン・ブラック

 出演:ロバート・ダウニー・Jr、グウィネス・パルトロウ、ドン・チードル、ガイ・ピアース、レベッカ・ホール、ベン・キングスレー、ウィリアム・サドラー

 内容:アベンジャーズの戦いから1年。人類滅亡の危機を回避したトニー・スタークだったが、最近めっきりやる気をなくし鬱病寸前になっていた。そんな中、巷では凶悪テロリスト・マンダリンによる爆破テロが続発。さらにトニーの自宅がマンダリンによって襲撃され、開発中だった新型スーツもろともトニーは海底へと落下していく・・・。

評価★★★/65点

悩みなどかけらもないようなお気楽ヒーローだったトニー親父がPTSDになって不眠症という設定は面白いけど、なかなかそれがトニー・スタークのキャラクターに肉付けされていないような印象を受ける。

寝ていないので無駄にハイテンションになっている様が、まるでクスリ漬けになってラリっているのと大差ないのでw、逆にドン底にズーンと落ちてる姿があればメリハリがあったのになぁと思った。

あと、敵役キリアンの動機付けがいまいちよく分からなくて、これ見るとただ単にトニーに約束をすっぽかされたことに対する復讐心だけというかんじで、だとするとめっちゃ小物じゃんていうw。しかも小物という点では凶悪テロリスト・マンダリンのベン・キングスレーに完全に食われちゃってるので印象が薄くなっちゃってるし。

と、この両極がイマイチなので見所がないかといえば、頭空っぽにして見れば、プラスマイナスだと若干プラスにはなるかな

特に遠隔操作ができて自由に着脱可能なギミック満載のバトルスーツと、人間ゴジラと化す悪役超人の特殊能力を駆使したアクションはそれだけでもお腹いっぱい。さらに人海戦術や物量作戦で絵面はめまぐるしく変わり飽きることはない。

あとはなんといってもペッパー嬢の活躍ぶりだろう。

90年代から00年代にかけてポスターからテレカに至るまで集めまくっていた大のグウィネス好きの自分にとっては、アクションまでこなしちゃうの!?という嬉しい驚きがあったし、Mr.インクレディブルのイラスティガールをほうふつとさせてすごく良かった。

こりゃオッサンなんかほっといてペッパー・ポッツの次作に期待だなw

夢のシネマパラダイス364番シアター:犯人は、まだそこにいる。

64-ロクヨン-前編/後編

A0163972_8525372出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、窪田正孝、鶴田真由、芳根京子、瑛太、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、緒形直人、永瀬正敏、三浦友和

監督・脚本:瀬々敬久

(前編2016年・東宝・121分/後編2016年・東宝・119分)WOWOW

内容:昭和64年1月3日に発生した少女誘拐殺人事件。三上刑事(佐藤浩市)らが捜査にあたる中、1月7日に昭和が幕を閉じる。そしてロクヨンと隠語で呼ばれるその事件も未解決のまま時が経った平成14年。刑事部から警務部広報官に異動になった三上は、ある交通事故の報道方針をめぐる記者クラブとの対応で県警との板挟みにあい、神経をすり減らしていく。そんな中、ロクヨンの時効を1年後に控え、警察庁長官が被害者家族の雨宮(永瀬正敏)と面会する話が持ち上がる。三上は14年ぶりに雨宮のもとを訪ねるが・・・。

評価★★★★/80点

原作未読。NHKドラマ視聴済。

「八日目の蝉」といい「紙の月」といいNHKドラマが映画をしのぐハイクオリティだったため、今回もどうなんだろうと思ったら、やっぱりTVドラマの方が見応えがあった。

もちろん尺の違いはあるんだけど、地方の閉塞感の中で蠢く様々な感情や葛藤が澱のように沈み溜まっていく陰うつな質感や、ノイズの気色悪い響きが重苦しさを喚起する劇伴などTVドラマの方が印象的だったし、主人公三上も受け身な中間管理職オジさんの悲哀をよく表していたという点でドラマ版のピエール瀧の方がハマっていたと思う。佐藤浩市はやっぱカッコ良すぎなんだよねw

でもまぁ、映画の方も豪華すぎるオールスターキャストの演技合戦は十分見応えがあったし、前後編に分けてボリューム感を出した気概は買いたい。

ただ、唯一どっちらけだったのが、ヘリウムガスが切れてなんとか地声を隠そうと頑張る吉岡秀隆の声つぶし演技。もうコントでしょあれ・・

あと、ひとつ消化不良だったのが、後編で雨宮(永瀬正敏)が目崎(緒形直人)の次女を車に乗せて家まで送る時に雨宮が号泣するシーンが唐突に出てくるんだけど、常識的に考えて小さい女の子がそんな簡単に知らない男の車に乗るかなぁ(雨宮翔子ちゃんは目崎の車に乗っちゃったわけだけど・・)という疑問があって、もしかして当初雨宮は誘拐しようとしたのか!?とも勘繰りたくなったけど、何の状況描写もなかったので、そこは見終わった後も引っかかった。

あと、TVドラマでは目崎の逮捕を匂わせるところで終わるものの、映画の方は目崎逮捕のために三上がとんでもない行動に打って出て目的を果たすものの警察を追われることを匂わせるところで終わるという違いがあって、随分と突っ走ったものだなぁと驚いたけど、これはこれで悪くない着地点だなとは思った。

結局最後に言いたいこと。今後はNHKドラマより映画の方を先に見ることにします(笑)。

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予告犯

142642565665371468179出演:生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、窪田正孝、小松菜奈、小日向文世、滝藤賢一、荒川良々

監督:中村義洋

(2015年・東宝・119分)WOWOW

内容:ある日、新聞紙製の頭巾をかぶった男が、集団食中毒を起こした食品加工会社に制裁を加えるとする予告動画がネットに投稿され、翌日実際に会社の工場が放火された。その後も、“シンブンシ”と名付けられた男は、世の中の不正義に対してネットで私刑を予告し次々に実行していく。一方、警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香は、男の正体を探ろうと捜査を続けるが・・・。

評価★★★/65点

日本文化礼賛番組が幅を利かせる一方、「腎臓を売ってまで来たかった国がこんなザマでごめん」というセリフを真と受け取らざるを得ない現実、そして自分の境遇を社会のせいにするなんて卑怯だという詰問に対し「あなたには分からない」と言い放つ格差社会の諦念が胸に迫る。

この頑張っても報われない時代が生み出した勝ち組と負け組の断絶はよく描けていたと思うし、予告犯と警察との攻防戦も見ごたえがある。

ただ一方、どこかでこの映画に一抹の違和感を拭えなかったのもたしかで、それはネットの動画配信で法で裁けない悪をさらし者にして成敗するシンブンシの行為に、痛快さよりもイスラム国の残虐動画を連想させる怖さを感じ取ったからだ。

しかもこれを正当化するのに情緒話に落として風呂敷を畳もうとするのも少し気持ち悪くて興ざめしたし、犯人目線で描いているだけに死をもって解決するというのがなおさら後味が悪くてすっきりしなかったなと。

まぁ、共感できそうでできないというか、共感したくない自分がいるというか・・。そういう意味では戸田恵梨香の女刑事の方に6:4で肩入れしたいんだけどねw

現代版「天国と地獄」にはなりえなかったな・・・。

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犯人に告ぐ

Xnqrhdllga 出演:豊川悦司、石橋凌、小澤征悦、笹野高史、片岡礼子、井川遥

監督:瀧本智行

(2007年・日本・117分)WOWOW

評価★★★/65点

内容:6年前、自ら指揮を執っていた誘拐事件でミスを犯し、人質の少年を殺された責任を取らされ左遷された神奈川県警警視・巻島は、川崎市内で起きた連続児童殺人事件の捜査責任者として本部に呼び戻された。そして生放送のニュース番組に出演した巻島は、BADMANと名乗る犯人に直接語り始め、犯人を挑発。ここに劇場型捜査の幕が切って落とされた・・・。

“今夜は震えて眠れ!”

かっちょええーー!!スィ、スィびれますた。。

このセリフ聞いただけでも、これ見た甲斐はあったかんじだけど、映画としてはバカ正直なまでにご丁寧なつくりで、映画的な躍動に乏しい面はあったかな、と。

また、プロローグの6年前の誘拐事件の捜査でナンパ男を犯人と間違えてしまうところで、あんなオバハンをナンパする奴なんているのか?という点・・。

過去に会見で逆ギレした巻島(トヨエツ)が、左遷された足柄署から、テレビ慣れしているという理由で呼び戻されるというのもフツーありえるのか?という点・・。

また、同級生のニュースキャスター杉村(片岡礼子)の胸元を見てとち狂った植草(小澤征悦)の暴走ぶりや、ラスト近くでトヨエツが刺されちゃうのも「踊る大捜査線」をもじったようで間が抜けるし、全体的にもうちょっと精査してもらいたいような出来ではあった。

ただその中で、トヨエツの刑事っぷりは見応えがあったし、あとは笹野高史が要所要所でイイ味出してるんだよねぇ。

そんなこんなでなんとか最後まで見れてしまったけど。まぁ、テレビで見る分にはちょうどいいかなというかんじかな。

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大誘拐 Rainbow Kids(1991年・東宝・120分)NHK-BS

 監督・脚本:岡本喜八

 出演:北林谷栄、緒形拳、風間トオル、西川弘志、樹木希林、嶋田久作

 内容:紀州一の大富豪・柳川とし子刀自がド素人3人組に誘拐された。ところが、刀自は犯人たちから自分の身代金が5千万円と聞くや、自分のプライドが許さないとブチギレ、身代金を100億と勝手に決めてしまう。てんやわんやの犯人たちに毅然とした態度で指図をしていく刀自。一方、和歌山県警本部長の井狩は、捜査に全力を注ぐが・・・。

評価★★★☆/70点

風間&内田&西川の大根役者っぷりが際立つ冒頭15分を見て思わず心が折れそうになったけど(笑)。。

しかし、彼ら誘拐犯のトーシロ同然のお粗末ぶりも、彼らを取り巻く緒形拳や樹木希林、天本英世、竜雷太といったプロの名役者たちで固めた脇役陣との対比が物語上うまくリンクしていて、そういう点では適材の配役だったのかも。

そしてそして忘れてはならない北林谷栄の素晴らしさ。

微笑ましく見ていられる可愛いお婆ちゃんの裏の顔にプロを手玉にとるしたたかさと、ダテに資産家やってるんじゃないのヨ!というプライド、そして子供たちをお国に持っていかれた戦禍を乗り越えてきた経験値を36キロの小さな身体に沸々とわき立たせるその姿はなんとも凛々しく、痛快なオチもあいまって印象的だった。

しかし、、場になじまない音楽だけはダサくて気になったなw。

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模倣犯(2002年・東宝・123分)日劇2

 監督:森田芳光

 出演:中居正広、藤井隆、津田寛治、木村佳乃、山崎努、伊東美咲

 内容:東京の下町で豆腐屋を営む有馬義男。20歳になる孫娘・古川鞠子が失踪してから10ヶ月、事件は何の進展も見せていなかった。が、そんなある日、下町の公園のゴミ箱から女性の右腕とショルダーバッグが発見される。そして、それを報じるワイドショーの生放送中に犯人からの電話が入り、一連の女性誘拐殺人の犯行声明を告げるのだった・・・。

評価★★/40点

山崎努以外オーバーアクションにしか見えない役者陣にはなんら落ち度はない。脚本もつとめた監督にこそ難があるのは一目瞭然。

特に犯人が説明セリフで逐次報告してくれる映画ほどツマラナイものはないわけで、小説と映画は別物とはいうけど、登場人物の心の機微を子細に描いていく宮部原作をここまでシュールに換骨奪胎してしまう森田演出が自分には全く合わなかった・・・。

だって犯人が遺体を埋めるために闇夜に山中で土を掘っているところをわざわざ下から見上げるアングルで撮って、その上空の星空にこれ見よがしに流れ星がいくつも流れていくなんて、もうドン引きするしかないでしょ(笑)。

食べ物が全然美味しそうに見えない食事風景も含め、何かしらの演出意図があったのだろうけど、それを知ったとしてもダメだなこれは。。

映画化するのが10年早かった気がする・・w

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レディ・ジョーカー(2004年・東映・121分)DVD

 監督:平山秀幸

 出演:渡哲也、徳重聡、吉川晃司、國村隼、大杉漣

 内容:新製品発売を1週間後に控えたビール業界最大手の日之出ビール社長・城山恭介が“レディ・ジョーカー”と名乗る5人の犯行グループによって誘拐された。その5人とは、小さな町薬局の老店主、元自衛官のトラック運転手、信用金庫の職員、町工場の若い旋盤工、ノンキャリア刑事。彼らは競馬場で知り合い、それぞれ異なった理由で犯行に至った。しかし、誘拐の2日後、捜査陣が事件解決へ動き出す中、犯人側が突然城山を解放する・・・。

評価★★/40点

NHKの土曜ドラマでじっくり見たいなぁ、、ってかんじ。。

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