夢のシネマパラダイス262番シアター:チャッピー
チャッピー
出演:シャールト・コプリー、デヴ・パテル、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィ―ヴァ―
監督・脚本:ニール・ブロムカンプ
(2015年・米/メキシコ/南ア・120分)WOWOW
内容:凶悪犯罪が多発する南アフリカのヨハネスブルグ。ロボット警官隊が導入され成果をあげる中、その開発者ディオンは世界初となるAI搭載ロボットの開発に成功する。しかし、会社はロボット警官隊へのバージョンアップを却下。諦めきれないディオンは、一体だけ製作していたAIロボット22号をひそかに持ち出すが、あろうことか大金強奪を目論むギャングに誘拐されてしまう。ギャングたちは、“チャッピー”と名付けたそのロボットに強盗を手伝わせようとするが・・・。
評価★★★★/75点
まず、役者のパフォーマンスキャプチャーをもとにしているとはいえ、チャッピーの一挙手一投足に愛嬌味があって面白い。
顔も眉毛と口付近にあたるレバーの上げ下げと耳みたいな触覚しか動く部分がないのだけど、豊かな感情表現を感じ取ることができて印象深く、単純な擬人化以上のリアリティがある。そしてそのリアリティが、人工知能が超えられない壁である“意識”と“死の恐怖”という今回の映画のコンセプトに説得力をもたせている。
特に後者については、自分がいつか死ぬと認識している動物は人間だけであり、それが多様な「生きる」目的意識につながるのだと思うけど、チャッピーの人格形成における死の概念を得る描写も秀逸。
バッテリーが5日しかもたないという消費期限=寿命以外のところで、チンピラたちに集団リンチを受ける凄惨なシーンが肉体的な生存本能のスイッチを入れるところは説得力があり、それを経ての利他心を覚えるまでの成長過程には自然と感情移入してしまった。
5年後にAIは人を殺す可能性があるとスティーヴン・ホーキング博士が警鐘を鳴らしているくらい日進月歩の進化をつづけるAI技術開発時代の中で、サイエンスフィクションがフィクションでなくなる可能性を感じさせる現代と地続き風の作劇術は上手かったし、かと思えばUSBメモリに“意識”=心を収めて他のボディに転送してしまうという突飛な発想力もはっきり言って好きだ。
ヒュー・ジャックマンをそういうふうに使っちゃうかという意外性も含めて、ニール・ブロムカンプはやはりただ者ではない。
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アンドリューNDR114
出演:ロビン・ウィリアムズ、エンベス・デイビッツ、サム・ニール、オリバー・プラット
監督:クリス・コロンバス
(1999年・アメリカ・131分)仙台セントラル劇場
評価★★☆/45点
内容:マーティン家は家事をこなすロボット“NDR114”を購入、アンドリューと名付ける。暖かいマーティン家の人々に囲まれ、次第に感受性や独創性を表し始めたアンドリューは、人間になりたいと願うようになり・・・。
“それから12年後、、16年後、、10年旅をつづけて、、歳月は流れて、、っておい!大河ドラマの総集編かよっ。”
だって200年分だろこれって。大河でも200年なんてやらねーよ。
なんだかロビン・ウィリアムズにロボットパーツを着せて演技させたら面白いんちゃうという安易な発想から企画がスタートしたとしかいいようがない。
要は、アンドリューが起動した2005年には人間の外見と同じようにする技術がなかったってだけのことだろ。でもロビンにはどうしてもロボットパーツの着ぐるみ着せたいから2005年という設定は変えたくないと。
でも本当に描きたいところは、人間として生きていきたいと願うロボットのアンドリューの闘いと葛藤、そして恋愛じゃないのか?
そこには生と死、自然と人工という要素も絡んでくる非常に複雑でデリケートな問題が大きく横たわっているではないか。
そして映画の中で誰かさんもこの問題に判断を下すには時間が必要です、とのたまっているではないか。
なのにわずか20分かそこらでパッパッと片付けちゃう始末。。そしてアンドリューもパッパッと人間としての機能が備わっていっちゃうし・・・。どこがデリケートなんだか。
あまりにも大雑把すぎて開いた口が塞がらなかった・・・。
まず200年分のエピソードをパッパッと小出しにしていく無味乾燥なやり方はバッサリ切り捨てて、2005年か2225年かどちらかに絞ってやった方がいい。
2225年が舞台なら前述した問題を十分吸い上げていく形にすればいいし、2005年が舞台だったらロボットだと思っていたアンドリューは実はロボットではなく、中に人間が入っていて、再婚した妻に未練タラタラでロボットになりすまして家にやって来た、、、っておい!「ミセス・ダウト」じゃんww
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