夢のシネマパラダイス603番シアター:インサイド・ヘッド
インサイド・ヘッド
声の出演(日本語版):竹内結子、大竹しのぶ、浦山迅、小松由佳、落合弘治、伊集院茉衣、佐藤二朗
監督:ピート・ドクター
(2015年・アメリカ・94分)WOWOW
内容:11歳の少女ライリーの脳内司令室にはヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミの5つの感情がいて、いつもライリーが幸せでいられるように心や記憶をコントロールしていた。しかしある日、リーダーのヨロコビと奥手のカナシミが司令室から吸い出されてしまい、残った感情たちは大混乱に陥る。そのせいで引っ越ししたばかりで寂しい思いをしているライリーはどんどん心が不安定になっていき・・・。
評価★★★★/80点
玩具に車にネズミに魚にお化けにetc..とあらゆる物を擬人化して物語を構築することにかけては右に出る者がないピクサーが次に擬人化したのは、なんと感情!
喜び、悲しみ、怒りといった感情に加え、記憶の片隅、潜在意識、忘却の彼方、夢のスタジオなど抽象的で複雑怪奇な脳内メカニズムを具体性をもって面白おかしく表現できていてホントに上手いなぁと思いながら見ることができた。
その上で11歳の少女が大人への階段を一歩のぼっていく過程をリンクさせながら描いていくわけだけど、そこで大きなテーマとなるのが悲しみの存在理由だ。
ライリーが常にハッピーであるためにはポジティブシンキングな自分が常に司令塔であればいいと考えるヨロコビは、ビビリやムカムカや怒りは自己防衛機能として必要と考えているものの、ネガティブなことしか生み出さないカナシミは不要なものとして邪魔者扱いするんだけど、見てる自分もカナシミは良い思い出のボールに勝手に触るなーってムカムカしてしまっていた(笑)。
でも、触れることでボールの色を変えられるのは唯一カナシミだけなのはなぜ?ってところから、次第にカナシミの真の価値が明らかになっていき、なによりも目が離せない存在になっていった。
そして、悲しみを受け入れてそこに寄り添うことで人に支えられまたは他者をいたわる、そして人の優しさや温もりを知ることで喜びに転化していく、つまり悲しみがなければ喜びもないという逆説的な重要性がものすごく胸にストンと落ちてきた。
そこで示唆的なのがライリーのお母さんの脳内司令塔はカナシミだということ(個々人によってリーダーは違うようだが)。
悲しみが他者を思いやる触媒となる、そんな優しく分別のある大人像になっていて、ムカムカがリーダーの自分はとっても勉強になりました
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脳内ポイズンベリー
出演:真木よう子、西島秀俊、古川雄輝、吉田羊、桜田ひより、神木隆之介、浅野和之
監督:佐藤祐市
(2015年・東宝・121分)WOWOW
内容:ライターをしている30歳の櫻井いちこは、飲み会で居合わせた7コ下のアート系イケメン男子・早乙女と街でばったり再会する。しかし、彼はいちこのことを覚えていない様子。その時、彼女の脳内では話しかけるかどうかで様々な感情(理性・ポジティブ・ネガティブ・衝動・記憶)が白熱の議論を展開していた。その結果、いちこは声をかけるのだが・・・。
評価★★★/60点
人の頭の中を会議室に見立てて思考回路を擬人化し、その人の意思決定をその会議で決めるという奇抜な発想は買いだけど、それが映画としての面白さにつながっていたかというとやや疑問。
映画を見終わったあとに真木よう子の揺れる胸、、もといアメリ風の真木よう子しか頭に残らないくらい印象が強くて、正直いって脳内会議って必要?と思っちゃったんだけど・・
一応脳内キャラは、理性的だけど風見鶏な議長(西島秀俊)、嫌な予感しかないネガティブおばさん(吉田羊)、ノー天気なポジティブ思考(神木隆之介)、乙女心だって忘れたくない女のコ、記憶の貯蔵装置である“海馬”さん(浅野和之)の5人に分けられてはいる。
でも、そこまで明確なキャラ付けがされているわけではないのが取っ付きにくさに繋がっていて、そのせいか肝心の会話劇にメリハリがなく、ただワ~ギャー紛糾しているだけで面白味がない。
同じドタバタでも三谷幸喜風の喜劇調を期待していただけに、やはり不満点の方が大きいし、女心の難しさを面白おかしく味わいたかった身としては消化不良。
そういう点では主人公の櫻井いちこをブリッ子とか嫌味な女とかもっとクセのある性格キャラにした方がよかったような気も。
他にも例えば脳内会議で記録係っているか?というのがあってw、その代わりにボンテージ姿の魔性な奔放キャラは強烈すぎるものの、あれに似たキャラに脳内会議が完全に支配されているので現実のいちこは嫌われ女になっているとかした方が入り込みやすかったかな。
まぁ、自分の脳内は真木よう子の妄想であふれ返って会議どころじゃなくなってるんだけどねww
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