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2016年8月28日 (日)

夢のシネマパラダイス23番シアター:ジュラシック・パーク

Pa_jyura 出演:サム・ニ-ル、ローラ・ダ-ン、ジェフ・ゴールドブラム、リチャード・アッテンボロー、サミュエル・L・ジャクソン

監督:スティーヴン・スピルバーグ

(1993年・アメリカ・126分)盛岡ピカデリー

評価★★★★/80点

 

内容:コスタリカ沖の孤島に建設されたテーマパーク「ジュラシック・パーク」。そこでは、化石化した琥珀に入っていた蚊から恐竜の血のDNAを抽出することに成功し、そこから作り出されたクローン恐竜が闊歩し放し飼いにされている驚異のテーマパークだった。ところが、コンピューターのトラブルから制御不能になったテーマパークは文字通り肉食恐竜の棲む驚異のジャングルへと変貌を遂げるのだった・・・。

“スピルバーグは結局ハモンドなのだ、と思った。そして彼はキートンをこよなく愛するらしい”

様々な映画へのオマージュが散りばめられている中で、「キートンの船長」へのオマージュといえる場面が少なくとも2ヶ所はあった。

それがどうしたと言われれば別にどうでもないことなのだが、スピルバーグはやはりサイレントの連続活劇をはじめとする古典映画が純粋に好きなのだ、とつくづく思う。

そして敬意を表して拝借するのだ。最新のSFXと結びついて。

しかもそのやり方、見せ方が心憎いほどに巧い。

やはりこの監督、顧客第一主義で撮らせたら右に出る者はいない。「ジョーズ」で既に実証済みではあるが、この作品でも緻密な計算に基づいて作られていることがよく分かる。

オープニングでラプトルの檻に引きずり込まれる男、しかもラプトルを映さない。「ET」も最初はそうだっけか。

とにかく一気に映画の中に引きずり込ませておいて、あとは徐々に徐々に小出しにして引っ張っていくわけだ。

オープニング後の発掘現場でも太った子供に対してグラントがラプトルの獰猛、狡猾性をホラーを語るかのように教える場面が出てきて、後々こういうシーンが出てくるのか?と思わせる。

島に着いてもアッと驚く草食恐竜を見せるが、餌の牛は見せても檻の中のラプトルは依然として見せない。しかし、相当な喰いっぷりからなんか凄そう、、と思ってしまう。

太古の恐竜が現代によみがえるシステムを見せる施設もテーマパーク的感覚で見せてくれ、この時点で完全にジュラシック・パークの世界に入り込んでいる自分。

そうしてようやっと上映1時間後にコップの水が揺れる衝撃振動とともにTレックス登場!

むむむっ、やはりスピルバーグという男、決して数学者マルカムタイプではないね。

ハモンドその人じゃん、と思ってしまうのだ。マルカムの警鐘なんて見てる自分には関係ないのさ、とすぐに頭の隅に追いやられてしまう。

観客の心を手玉に取るように掴んでしまう上手さ、特に構成の上手さはホント心憎い。

でも、忘れてはならないのはSFXの力なくしてこの映画は成り立たなかった、ということだろう。

これに気をよくして次々にCGをふんだんに使った映画が量産されている現在。

「ジュラシック・パーク」を見たジョージ・ルーカスがスターウォーズの新たなシリーズ(エピソード1)では最新SFXを大量投下してやる!と鼻息荒く意気込んだそうだが、あんまり使いすぎてもねぇ・・・。最凶キャラのジャージャービンクスとか(笑)。

マルカムの言葉を借りれば、“CGIの力は、いまだかつてスクリーン上に存在した中で最も恐るべき力だ!なのにアンタ等はそれを父親の拳銃を見つけた子供みたいに振り回している。”といったところか。

最近のハリウッド映画を見るとどうしてもそう思っちゃうな。

P.S. 

 DNA操作でコントロールされ、コンピュータで完全管理されている生態系。

 その存在そのものが実は生命の本来にはそぐわない。

 どんなにみじめな生命であっても生命はそれ自体の力によって生きていく。

 この星では生命はそれ自体が奇蹟なのだ。

 世界の再建を計画した者たちがあの行動をすべて予定していたというのか。

 それ自体が生命への最大の侮蔑と気づかずに・・・・・

                    -「風の谷のナウシカ」第7巻より参照-

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ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク

Image3110 出演:ジェフ・ゴールドブラム、ジュリアン・ムーア、ピート・ポスルスウェイト、リチャード・アッテンボロー、ヴィンス・ヴォーン

監督:スティーブン・スピルバーグ

(1997年・アメリカ・129分)仙台第1東宝

評価★★★/65点

内容:前作の惨事から4年、イアンはジュラシック・パークの創始者ハモンドから、イスナ・ソルナ島に遺伝子工場が置かれており、人知れず恐竜たちが生き延びて繁殖しているという事実を聞かされる。イアンは恋人の古生物学者サラとともに島の調査に向かう・・・。

“初めて東京ドームに行った時の感覚と同じものを感じた。”

小学生の頃、東京ドームでやってる野球をテレビ観戦するたびになんてスケールのでかい球場なんだろうと25インチのテレビ画面を通していつも感じていた。

中学の時初めて訪れるまでテレビ画面から伝わってくるその感覚は全く変わらなかった。

が、しかし、初めて行ったときに感じたのは、、小っちぇーー&狭ーーい。野球場ってこんなに小っちゃかったっけ。テレビで見てイメージしてたのとは全然違うなぁと。

、、と同じことをこの映画でも感じてしまった。町に出たTレックスを見て・・。

それまではスクリーンの中で所狭しと暴れまくり咆えまくっていた恐竜どもが生き生きと映り、それがスケールのでかさにもつながっていたのに。

サンディエゴの町という現実に直面するやいなや、いきなりショボくなってしまった感覚。いや、あれはもうお笑いの域に達しちゃってるよね。

冒頭、島に着いたときに誰かがまだ見ていない恐竜のことを「でっかいトカゲだろう。」と言うシーンがあって、イアンがその言葉をあざ笑うかのように、「君たちは全然分かってない」と言うけど。

でもさ、町を徘徊するTレックスは間違いなく「でっかいトカゲ」だった。

まぁそんなこといっても、かくいう自分こそ都会の町でTレックスが暴れたらさぞかしスゴイんだろうなと想像してしまったクチなのだけど・・・。

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ジュラシック・パーク3(2001年・アメリカ・93分)MOVIX仙台

 監督:ジョー・ジョンストン

 出演:サム・ニール、ウィリアム・H・メーシー、ティア・レオーニ、アレッサンドロ・ニヴォラ、トレヴァー・モーガン

 内容:恐竜発掘資金を調達するために、アラン博士は実業家夫妻に依頼を受け、イスナ・ソルナ島の上空をガイドする。しかし、そこはインジェン社が恐竜たちを蘇らせた“サイトB”と呼ばれる島だった!今回から翼竜が初登場。

評価★★★★/75点

登場人物のアホ度(少年は除く)にはほとほと頭が下がるが、無駄な描写を省いてイイとこ取りに特化した点は買う。

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ジュラシック・ワールド

Cd61mabvaaasaa7出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ヴィンセント・ドノフリオ、タイ・シンプキンス、ニック・ロビンソン

監督:コリン・トレヴォロウ

(2015年・アメリカ・125分)盛岡フォーラム

内容:ジュラシック・パークでの惨劇から20年。新たな経営者と最新システムの下、同じコスタリカ沖の孤島にジュラシック・ワールドとして生まれ変わった恐竜テーマ・パークは、1日2万人が訪れる盛況を見せていた。そんなある日、パーク全体を監督するクレアの甥っ子2人が来園するが・・・。

評価★★★★/80点

「ジュラシック・パーク」で驚異のCG技術が映画史を変える瞬間を目撃し、「ロスト・ワールド」で商魂たくましいハリウッドのズッコケスペクタクルに落胆し、「ジュラシック・パークⅢ」の頃にはスケールダウンした怪獣映画がひっそりと公開しているくらいにしか思わなくなっていた・・・。そしてあれから14年。

3作目の印象しかない中での公開とあって最初は興味薄だったのだけど、まさかの世界的特大ヒットを受けてミーハー映画通の自分は俄然見る気満々になり、3Dメガネ持参で映画館へ駆け込んだ(笑)。

で、作りとしては1作目を下地として、2作目の密林、3作目の翼竜とそれぞれのエッセンスを取り入れた過去3作のリブートといっていいかんじになっているのだけど、生きた恐竜を目の当たりにする驚きと感動、自分もあのテーマパークに行ってみたいと思えるドキドキワクワクに包まれた時点で満足度はかなり高かったし、なにより映画は見るものから体験するものへ変わったことを実感させるには十分の出来栄えだったと思う。

特に体験するという意味では恐竜の生身のリアリティが半端なくて、例えばパドックに収容され口枷を装着されたラプトルの顔をなでるシーンがあるんだけど、そのクローズアップされたラプトルのうごめく皮膚感や鼻息、息づかい、まばたきに至るまでどこをとっても本物の恐竜にしか見えなくて、映画の求心力を一段と高めていたと思う。

その点では、ラプトルみたいな小型恐竜をあと1、2種出してほしかったけど、それは次作に期待かなw!?

でも今から22年前の「ジュラシック・パーク」のフォーマットが今でも通用するというのは、かの作品がいかに偉大かってことだよね。スピルバーグには小難しい映画はいいから子供から大人まで楽しめるような活劇に回帰してほしい。

夢のシネマパラダイス35番シアター:教師びんびん物語!

いまを生きる

Mp186 出演:ロビン・ウィリアムス、イーサン・ホーク、ゲイル・ハンセン

監督:ピーター・ウィアー

(1989年・アメリカ・128分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:1959年、創立100周年を迎えたバーモントの全寮制の名門校に、英語教師キーティングが着任した。彼は初授業の日に、ラテン語の「カーぺディエム(いまを生きよ)」というモットーを生徒たちに与え、型破りな授業を行って人生を楽しむ心を教える。

“キーティングは実在する”

自分が小学4年のときだから1987年かな?少年少女友情の船ってやつでグアム・サイパンに行ったことがある。

その時の班長さんを、この映画を見るたびに思い出してしまう。

すべての班長さんが教師を目指している大学の教育学部の学生で、うちの班長さんもそんな一人だった。

ほとんど毎日が船の中での集団生活で、班での行動が主。そういう中で班長さんからはいろいろ教わった。

特に耳にタコができるくらい聞かされたのが、「今この一瞬を大切に生きろ」ということ。

「今から10秒後にはどうなっているか分からないんだ」「今、俺が話している間も1秒1秒時は過ぎていってるんだ!」みたいなことを熱~く語ってたっけ。

今でも時折ふと班長さんの言葉を思い出すことがあって。

その後、ちゃんと教師になれたのかなぁ。。

オフ会で班長さんの家に遊びに行った時、「ビーバップハイスクール」見せてもらったことを鮮烈に覚えているんだけど・・

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ビリギャル

T0019660p出演:有村架純、伊藤淳史、野村周平、あがた森魚、安田顕、吉田羊、田中哲司

監督:土井裕泰

(2015年・東宝・117分)WOWOW

内容:名古屋の私立女子高に通う高2の工藤さやか。いつもギャル友と遊びまくり勉強なんて全くしない日々を送り、ついに成績は偏差値30の学年ビリに。そこで心配した母親はさやかを塾に通わせることにする。ノリで第一志望を慶應大学と宣言したさやかに対し、塾講師の坪田は巧みな指導でやる気を引き出していくが・・・。

評価★★★/60点

この映画の描写力からするとビリギャルが合格したのは慶応大学ではなく偏差値45の桂王大学の間違いじゃないかと思えるくらいのリアリティしか感じられないのが全体的に映画をユルユルなかんじにしているけど、勉強のノウハウや慶応に受かったという結果ありきの美談よりもポジティブな人間力と家族再生の物語として描いたのは作劇の手法として間違ってはいない。

ただ、塾>学校という構図でことさらに学校教育を貶める論法が一貫して見られるのは違和感ありで、挙句のはてに授業中に寝ててもOKってそれはあんまり。学校でしか寝る所がないんです!ていうセリフは初めて聞いたよ(笑)。

まぁ、長い物には巻かれよ方式の均一化を是とする学校教育と、一人一人の個性に応じて教え方を変えられる塾とではたしかに方針は違うんだろうし、自分の可能性を信じなくさせてつぶしてしまうダメ教師もいるんだろう、、いや、実際そういう先生はいたし、生徒をクズ呼ばわりする学校は救いようがない。

にしても一介の映画が学校は寝る所と嬉々として描くのは違うと思う。

環境うんぬんより結局最後は自分の意志とヤル気なわけだから、そこさえしっかり描けていれば学校を絶対悪のように描かなくてもよかったと思う。

まぁ、下痢ピーに悩まされる有村架純を見れたのは乙ではあったけどねww

しかし、英語と日本史は詰め込みで偏差値上げることはできるとしても、小論文は偏差値とは別な尺度の自分で考えまとめる文章力や時事ネタの知識が必要で、よほど鍛錬しないとちょっとやそっとじゃ向上しないはず。そこの嘘っぽさだけはすごく引っかかったな・・。

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ブタがいた教室(2008年・日本・109分)CS

 監督:前田哲

 出演:妻夫木聡、大杉漣、田畑智子、戸田菜穂、原田美枝子

 内容:都心の小学校。6年2組の担任教師・星先生は、ある日教室に子ブタを連れてくる。それは、生きるものを育てそれを最終的に自分たちで食べるまでに至る過程を学ぶことを目的にした授業の一環だった。生徒たちは子豚にPちゃんと名前をつけ可愛がるようになるのだが、1年が経ち卒業を前に、ブタを食肉とするか後輩たちに託すかの選択に迫られる・・・。

評価★★★☆/70点

なんとも酷なお話だなぁと思いつつも、ドキュメンタリ要素を取り入れた劇映画として見る価値は十分にあるなかなかの作品になっていたと思う。

生徒たちの討論シーンでは台本がなかったということらしいけど、その実験性が映画の虚構性を良い意味で逸脱していて真に迫るものになっていたし、自分も一緒になって考えさせられてしまった。

まぁ、結末はいくらなんでも先に決まっていたのだろうけど、作り手・大人たちの作為のレールをかき消すほどの子供たちの本音演技には脱帽。

テレビドキュメンタリーの方も見てみたいなぁと思った。

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デンジャラス・マインド(1995年・アメリカ・99分)DVD

 監督:ジョン・N・スミス

 出演:ミシェル・ファイファー、ジョージ・ズンザ、コートニー・B・ヴァンス

 内容:元海兵隊員ルアンは、長年の夢だった教師になるが、赴任校は問題児ばかりが集まる荒廃校だった!原作のルアン・ジョンソン自らの体験を綴った感動作。

評価★★★★/80点

生徒に教えてくれと懇願されることほど先生にとって本望なことはないよね。って、実話ってのがスゴイ。。

妊娠は伝染するのよ!と言われた時のM・ファイファーの唖然とした表情といったらない。このシーンで女優として一皮むけたな(笑)。

2016年8月21日 (日)

夢のシネマパラダイス309番シアター:真夏の納涼ホラー大会!!

REC/レック

20150919035250出演:マヌエラ・ベラスコ、フェラン・テラッサ、ホルヘ・ヤマン・セラーノ、カルロス・ラサルテ

監督・脚本:ジャウマ・パラゲロ、パコ・プラサ

(2007年・スペイン・77分)WOWOW

内容:スペイン・バルセロナのローカルテレビ局レポーターのアンヘラは、スペイン版「プロフェッショナル仕事の流儀」のようなドキュメンタリー番組の収録のため、カメラマンのマルコスとともに消防署を訪ねていた。しかし、消防士の同行取材中に「老婆が叫んでいる」という通報があり、通報元のアパートへ向かうが・・・。

評価★★★/65点

手持ちカメラのPOV視点は、その場の臨場感や現実感を体感させる手段として有効的ではあるんだけど、同時に物語を紡ぎ出せないという欠点もある。

その点、今作は密室空間にシチュエーションを限定することで前者の利点を活かすことに成功しているとは思う。

しかし、結局これって富士急ハイランドの戦慄迷宮を別室でモニタリングしてるのと変わらないような絶対的安心感が一方ではあって、はっきりいってTVゲームのバイオハザードをプレイしてるよりも怖くなかった(笑)。

それに加えて、カメラマンの視野しか基本ない中で画角の狭さというのが逆に単調な怖さしか生み出せなくて見ていてだんだん飽きてきてしまった。

最後の暗視スコープ映像は別な恐怖感があってよかったけど、正味80分がまさに我慢の限界だったね

ああ゛ー、手ブレのめまいが止まらない~~

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仄暗い水の底から(2001年・東宝・101分)MOVIX仙台

 監督:中田秀夫

 出演:黒木瞳、小日向文世、小木茂光、徳井優

 内容:5歳の娘・郁子の親権をめぐって別れた夫と争っている松原淑美は、新しい職場にほど近いマンションへ引っ越してきた。はじめは快適そうに見えたマンション暮らしだが、大きくなる天井のシミや、上階の子供の足音など、淑美の気にさわることが次第に増えていく・・・。

評価★★★☆/70点

力強く瞬く魂の底から湧き上がってくる黒木瞳の演技に思わず引きずり込まれてしまう佳作。

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the EYE〔アイ〕(2002年・香港/タイ・99分)WOWOW

 監督・脚本:オキサイド・パン、ダニー・パン

 出演:アンジェリカ・リー、ローレンス・チョウ、チャッチー・ルチナーレン

 内容:幼少期に失明し、20歳になって角膜移植手術を受けたマンは、視力が回復するが、死者の姿や奇妙な夢が見えるようになる。その恐怖を運命として受け入れる決意をした矢先、あまりに衝撃的な事実に直面する・・・。

評価★★★/60点

通信簿ごときでメソメソすんなってあのガキに説教してやりたいけど、怖がり屋の自分が言えるわけございません。

しかしまぁ、シックス・センスを見てたはずがいきなりインディペンデンス・デイになって、と思ったらこんな哀しいラブストーリーはいかがですか、とサジを投げかけられた自分はなんだか消化不良。

冒頭にこの映画は海賊版ではないだとか、目をそらすなだとかいう字幕が出てきたけど、作り手はどれくらい本気なのだろう。半分くらいジョーク入ってるんだよね、ちゃうのw?

もし100%マジだったのであればこの映画の作り手と自分との間にあるデッカイ壁は永遠に取り払えないだろう。。

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ボイス

Voice 出演:ハ・ジウォン、キム・ユミ、チェ・ウジェ、チェ・ジヨン

監督・脚本:アン・ビョンギ

(2002年・韓国・102分)WOWOW

評価★★/40点

内容:脅迫に悩まされ、携帯電話の番号を変えた女性記者ジウォン。ある日、誰も番号を知らないはずのその電話が鳴り、親友の娘ヨンジュが電話をとった。すると、ヨンジュは奇怪な叫び声をあげ、その時から人が変わったように異常な行動をとるようになっていく。果たしてその番号に隠された事実とは・・・?

“怨霊よりもお化けよりも祟りよりなにより、女同士の罵り合いといがみ合いと嫉妬の方が100倍恐いということをこの映画は死に物狂いで伝えたいらしい。”

とにかく映画の作り手に理路整然という言葉を死に物狂いで教えてあげたい気分。

にしても主人公は松たか子に似てたし、そしてなんといってもヨンジュ。

森山直太郎ちゃうの?

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感染(2004年・東宝・98分)WOWOW

 監督・脚本:落合正幸

 出演:佐藤浩市、高嶋政伸、星野真里、真木よう子、木村多江

 内容:経営危機に陥ったとある病院では、建物の老朽化も進み、医薬品も足りない劣悪な環境に院内感染すら引き起こしかねない惨状になっており、医者や看護士も大半が辞めていった。そして、残された従業員の心身も限界に達している中で起きた医療ミス。さらに、内臓が溶け始めた急患が運び込まれてきて・・・。

評価★★★/55点

ジョジョの奇妙な冒険の独特な擬音が頭中を駆け巡ってどうにも正常ではいられなくなった・・・。

ウジュルウジュルウジュルウジュル、、、ギランギロン、ベッローン、ミロン、メッにょ~~ん、、、ドゴゴゴゴゴゴゴドギャーーッ!ニニャァー、ヒク、、ヒク、、ヒク、、ビクッ、メシャッグッガボボボドローン、、ガボボン、、、ムルルオオオーーん

ズルリンドギョッボキョッグニャリ、、バッギョーーン、ドヒンドヒュドヒュンドピュ、、、ドッバー、ショアァアーッ、、、ウェルオオオオーーンズルリン、、、ズギュウウウウンッガオンズリュン!

た、助けて、、、ドバァーーーッ!

、、見事に感染いたしました。。

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予言(2004年・東宝・95分)WOWOW

 監督:鶴田法男

 出演:三上博史、酒井法子、堀北真希、小野真弓、山本圭

 内容:妻と娘とともに車で帰省中の里見英樹。急ぎの仕事のため、途中で車を止めて電話ボックスに立ち寄った里見は、そこで古びた新聞記事の切れ端を見つける。そこには娘の死亡記事が載っていた。と、大型トラックが車に突っ込んできて・・・。

評価★★★/55点

無間地獄ってこういう所なんだろうなというイメージだけは強く頭に焼き付けられた。

「感染」と「予言」をオムニバス形式で一本にして、45分+45分の90分でやってくれたら★1つプラスしたのに。

、、ていうかTVドラマでええやんっていう話・・・。

夢のシネマパラダイス484番シアター:ノーカントリー

ノーカントリー

51awagswsfl 出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ウディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルド

監督・脚本:ジョエル&イーサン・コーエン

(2007年・アメリカ・122分)DVD

内容:メキシコとの国境沿いにあるテキサスの荒野でハンティング中に、死体が転がっている麻薬取り引き現場に出くわしたルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)。彼はそこで200万ドルの大金を見つけて家に持ち帰る。しかし、そのため冷血非情な殺人者シガー(ハビエル・バルデム)に追われる身となってしまう・・・。

評価★★★★/80点

デヴィッド・フィンチャーの「セブン」(1995)で、「こんな世の中に生まれてきた子供は可哀想だから生みたくない」という残酷なセリフが出てくるけど、コーエン兄弟の今回の映画を見てこのセリフをふと思い出してしまった。

「セブン」を見たときは、なんつー現実離れした悲観論だと思ったものだけど、今回の映画を見てなんか妙に納得できちゃったというか、、それくらい救いも何もない映画だったなと。。

と同時にこれほど緊迫感を持って画面にじっと釘付けになった映画もついぞ久方ぶりに味わったような気がする。

面白いか面白くないかという枠ではとらえきれない、まるで研ぎ澄まされた生存本能が決して映画から目をそらすなと警告しているかのような、自分の五感を全開にして見入ってしまった。

それはなにより酸素ボンベを片手にルール無用の非情を通り越した殺戮を繰り返していく怪物アントン・シガーの不気味なおかっぱ頭と感情の見出せないギョロ目から片時も目を離せなかったことが大きく、悪役造型としては「ターミネーター」(1984)以来の衝撃を受けたといってもいい。

例えば史上最強の悪役とうたわれる「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターや、それこそ「セブン」のジョン・ドゥの雄弁さを見るまでもなく、どんな残忍な悪役でも対話=ダイアローグがある程度通用するものだけど、このアントン・シガーの何が恐いって、対話そのものすら通じないことが恐いのだ。

雑貨店の店主との会話にならない会話とか、相手の投げかけてきた対話のボールをそのままエアガンでブッ放して返したりと、まさに感情のないターミネーターでも見ているかのような、こいつに睨まれて追っかけられたら100%命はないと観念せざるをえない最凶レベルのシリアルキラー、アントン・シガー・・・

しかしてこの感情のないターミネーター、重傷を負って足からボトボトと赤黒い血を滴らせ、あげくの果てには交通事故に遭い、白い腕の骨がむき出しになったりと生の身体性を痛いほどに見せつけもし、これは現実の世界なのだと虚構という安住の地へ逃げることを許してくれない。

それでいて傷を負っても表情ひとつ変えずに黙々と処置していくその姿はやっぱりターミネーターとダブってしまうww。

いずれにしても恐すぎるのだ。。

そんな怪物の前では、しゃべくりまくりのウディ・ハレルソンも、追跡にかけては右に出る者がいないトミー・リー・ジョーンズも全く出る幕はない。

「逃亡者」(1993)、「依頼人」(1994)、「追跡者」(1998)などで現代アメリカの保安官の模範像を体現してきたといってもいいトミー・リーだからこそ、老兵となった彼の諦観の姿からはよりいっそうの救いのなさを痛感してしまう。

例えば、勝ち目のない戦いにひとり敢然と立ち向かった「真昼の決闘」(1952)の保安官ゲイリー・クーパーとはあまりにも対照的なのだけど、あの映画にあった正午きっかりにならず者たちが保安官に復讐しにやって来るという単純なルールの通用しない複雑怪奇なめまぐるしい時代の移り変わりの中で、老保安官はただ立ちすくむしかないのかもしれない。

その中で彼は「昔はこんな理解できない事件はなかった、、、昔はまだ良かった」と嘆くが、しかし、アメリカ西部の伝統的なロケーション、ひいてはアメリカそのものを貫いてきたのは銃と暴力以外の何ものでもないわけで。

そして、それを不条理なレベルにまで具現化したのがおかっぱの怪物だったとするならば、その怪物を生み出したのは映画の原作の題名である「血と暴力の国」=アメリカに他ならず、自分たちが築き上げ培ってきたフロンティア・スピリットの矛盾と闇にウエスタンハットをかぶった西部の男が追いつめられていくというのは痛烈な皮肉だろう。

また、ウエスタンハットの男モスが真夜中に何を思ったのか、瀕死のメキシコ人に水をやるために殺戮現場に舞い戻ったがゆえに墓穴を掘ってしまったり、ルール無用の殺人鬼が信号無視の車に追突されたりと、シニカルな視点が随所に見られるのもこの映画を印象深いものにしている。

モスがベトナム帰還兵だったり、トミー・リーのラストの夢の独白など、アメリカ人の皮膚感覚でしか分からないようなメタファーが含まれていると思うのだけども、そこまで深読みするにはもう2回くらい見ないとダメかも・・w。

しかし、そういう難しいことはさておき、追う者と追われる者の死にもの狂いの逃走(闘争)劇だけでも十二分にインパクトのある作品であることはたしかだ。

自分の生存本能を刺激する映画を見る、これほど至極の映画体験はない。

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バーン・アフター・リーディング(2008年・アメリカ・93分)WOWOW

 監督:イーサン&ジョエル・コーエン

 出演:ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコヴィッチ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン

 内容:アル中が原因でCIAをクビになったオズボーン(ジョン・マルコヴィッチ)は、暴露本を執筆中。一方、連邦保安官ハリー(ジョージ・クルーニー)と不倫中の妻ケイティ(ティルダ・スウィントン)は、離婚を有利に進めるべくオズボーンのPCからデータをコピーする。ところが、そのCD-ROMがひょんなことからスポーツジムのインストラクター、チャド(ブラピ)の手に。彼は整形費用が欲しくてたまらない同僚のリンダ(フランシス・マクドーマンド)と組んでオズボーンを脅迫しようとするが・・・。

評価★★★★/75点

地球の衛星画像からCIA本部にズームアップしていく仰々しいオープニングだけ見ると、トニー・スコットあたりが撮るようなスパイもののハイテクアクションみたいなのを想起させるけど、フタを開けてみたら、ハイテクどころか保険会社への問い合わせ電話もろくに繋がらないようなローテク極まりない映画だった・・・。

しかも、CIAの機密情報が入った(?)CD-ROMをいわゆるマクガフィンとして事は進んでいくわけだけど、それを取り巻く連中が、全身整形が悲願の40女にセックスマシーンの色ボケに、ipod好きの筋肉バカにアル中のイカレ親父という米ロが見向きもしないようなド素人というのもこの映画をよりいっそう“残念な”ものにしているww。

いやぁ、、こういう映画大っ好きなのよね(笑)。

アカデミー賞獲った後に原点に立ち返ったようなおバカ映画をサラリと作ってしまうコーエン兄弟はやっぱりさすが。

しっかし、役者陣だけ見るとなんとも贅沢な映画だけど、後味が何にも残らないっちゅうのもある意味スゴイ話だわな(笑)。。

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凶悪

Poster出演:山田孝之、ピエール瀧、池脇千鶴、小林且弥、白川和子、吉村実子、リリー・フランキー

監督:白石和彌

(2013年・日活・128分)WOWOW

内容:ある日、死刑囚の元ヤクザ・須藤から雑誌社の編集部に手紙が届いた。それは、まだ世間に知られていない3件の殺人事件についての告白だった。須藤曰く、「先生」と呼ばれる首謀者の不動産ブローカーの男が自分を裏切りのうのうと生きていることが許せず、雑誌で告発記事を書いてほしいという。須藤の記憶はあいまいで真偽も定かでない中、記者の藤井は裏付け調査に没頭していくが・・・。

評価★★★/65点

数年前、自分の中学校の同級生が金づちで妻を殴り殺してしまう事件が起こった。

中学を卒業してから約20年、TVニュースで容疑者の名前を見た時に仰天すると同時に、あぁ~やっぱりなぁと納得してしまった自分もいて。。

それは、自分の転校の事情もあり、小学校2,3年と中学校2,3年の4年間同級生だったのだけど、「山猿」と呼ばれるくらい当時から手のつけられない問題児で、理性よりも野性の方が勝ってしまうような、暴力的な行動に自制がきかなくなる恐さがあったからだ。

この何をしでかすか分からない野蛮な体臭を常に発散していたかんじが、何食わぬ顔で暴虐のかぎりをつくす須藤(ピエール瀧)と重なって見えて気持ち悪くなってしまった。

しかし、善良そうな普段着でありながらさらにその上をいく嗜虐性をみせるリリー・フランキーの凶悪ぶりもさることながら、家庭を省みない藤井(山田孝之)を尻目に義母の介護に疲弊して暴力までふるっていたという妻(池脇千鶴)の告白の方が日常と地続きな、いずれ訪れるであろう親の老介護において、なにか自分もある一線を超えてしまわないともいえないような怖さがあったように思う。

ただ、藤井の家庭を破綻に追い込むに至る老人介護の現実と、時計を質屋に預けるくらいの心持ちで老人を焼却炉で焼き殺すような凶悪犯罪とが映画としてうまく連関していたかというとちょっとビミョーで、正直いって前者は付け焼き刃的なかんじが否めなかったと思う。

まぁ、それだけ後者の悪が突き抜けちゃってるわけだけど、人間生活の表(善)と裏(悪)という点ではリリー・フランキーのとこを掘り下げるだけで十分だったと思うし、ちょっと作劇が狙いすぎというか生真面目というか、もっと図太くてもよかった気がした。

でも、これ見ちゃったら不動産ブローカーは一生信じられないなw

うわー、うちアパート持ってるんだよなぁ

2016年8月20日 (土)

夢のシネマパラダイス603番シアター:インサイド・ヘッド

インサイド・ヘッド

1456586364558b679f86df40016声の出演(日本語版):竹内結子、大竹しのぶ、浦山迅、小松由佳、落合弘治、伊集院茉衣、佐藤二朗

監督:ピート・ドクター

(2015年・アメリカ・94分)WOWOW

内容:11歳の少女ライリーの脳内司令室にはヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、カナシミの5つの感情がいて、いつもライリーが幸せでいられるように心や記憶をコントロールしていた。しかしある日、リーダーのヨロコビと奥手のカナシミが司令室から吸い出されてしまい、残った感情たちは大混乱に陥る。そのせいで引っ越ししたばかりで寂しい思いをしているライリーはどんどん心が不安定になっていき・・・。

評価★★★★/80点

玩具に車にネズミに魚にお化けにetc..とあらゆる物を擬人化して物語を構築することにかけては右に出る者がないピクサーが次に擬人化したのは、なんと感情!

喜び、悲しみ、怒りといった感情に加え、記憶の片隅、潜在意識、忘却の彼方、夢のスタジオなど抽象的で複雑怪奇な脳内メカニズムを具体性をもって面白おかしく表現できていてホントに上手いなぁと思いながら見ることができた。

その上で11歳の少女が大人への階段を一歩のぼっていく過程をリンクさせながら描いていくわけだけど、そこで大きなテーマとなるのが悲しみの存在理由だ。

ライリーが常にハッピーであるためにはポジティブシンキングな自分が常に司令塔であればいいと考えるヨロコビは、ビビリやムカムカや怒りは自己防衛機能として必要と考えているものの、ネガティブなことしか生み出さないカナシミは不要なものとして邪魔者扱いするんだけど、見てる自分もカナシミは良い思い出のボールに勝手に触るなーってムカムカしてしまっていた(笑)。

でも、触れることでボールの色を変えられるのは唯一カナシミだけなのはなぜ?ってところから、次第にカナシミの真の価値が明らかになっていき、なによりも目が離せない存在になっていった。

そして、悲しみを受け入れてそこに寄り添うことで人に支えられまたは他者をいたわる、そして人の優しさや温もりを知ることで喜びに転化していく、つまり悲しみがなければ喜びもないという逆説的な重要性がものすごく胸にストンと落ちてきた。

そこで示唆的なのがライリーのお母さんの脳内司令塔はカナシミだということ(個々人によってリーダーは違うようだが)。

悲しみが他者を思いやる触媒となる、そんな優しく分別のある大人像になっていて、ムカムカがリーダーの自分はとっても勉強になりました

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脳内ポイズンベリー

Poisonberry_sashikae2出演:真木よう子、西島秀俊、古川雄輝、吉田羊、桜田ひより、神木隆之介、浅野和之

監督:佐藤祐市

(2015年・東宝・121分)WOWOW

内容:ライターをしている30歳の櫻井いちこは、飲み会で居合わせた7コ下のアート系イケメン男子・早乙女と街でばったり再会する。しかし、彼はいちこのことを覚えていない様子。その時、彼女の脳内では話しかけるかどうかで様々な感情(理性・ポジティブ・ネガティブ・衝動・記憶)が白熱の議論を展開していた。その結果、いちこは声をかけるのだが・・・。

評価★★★/60点

人の頭の中を会議室に見立てて思考回路を擬人化し、その人の意思決定をその会議で決めるという奇抜な発想は買いだけど、それが映画としての面白さにつながっていたかというとやや疑問。

映画を見終わったあとに真木よう子の揺れる胸、、もといアメリ風の真木よう子しか頭に残らないくらい印象が強くて、正直いって脳内会議って必要?と思っちゃったんだけど・・

一応脳内キャラは、理性的だけど風見鶏な議長(西島秀俊)、嫌な予感しかないネガティブおばさん(吉田羊)、ノー天気なポジティブ思考(神木隆之介)、乙女心だって忘れたくない女のコ、記憶の貯蔵装置である“海馬”さん(浅野和之)の5人に分けられてはいる。

でも、そこまで明確なキャラ付けがされているわけではないのが取っ付きにくさに繋がっていて、そのせいか肝心の会話劇にメリハリがなく、ただワ~ギャー紛糾しているだけで面白味がない。

同じドタバタでも三谷幸喜風の喜劇調を期待していただけに、やはり不満点の方が大きいし、女心の難しさを面白おかしく味わいたかった身としては消化不良。

そういう点では主人公の櫻井いちこをブリッ子とか嫌味な女とかもっとクセのある性格キャラにした方がよかったような気も。

他にも例えば脳内会議で記録係っているか?というのがあってw、その代わりにボンテージ姿の魔性な奔放キャラは強烈すぎるものの、あれに似たキャラに脳内会議が完全に支配されているので現実のいちこは嫌われ女になっているとかした方が入り込みやすかったかな。

まぁ、自分の脳内は真木よう子の妄想であふれ返って会議どころじゃなくなってるんだけどねww

2016年8月16日 (火)

夢のシネマパラダイス57番シアター:ハンガーゲーム

ハンガーゲーム

Img_1043377_46717251_0 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・へムズワース、ウディ・ハレルソン、レニー・クラヴィッツ、スタンリー・トゥッチ、ドナルド・サザーランド

監督:ゲイリー・ロス

(2012年・アメリカ・143分)WOWOW

内容:近未来。独裁国家パネムは、エリート層の最先端都市キャピトルとそれに隷属する12の貧困地区で構成されていた。かつてそれらの地区が反乱を企てたことから、政府は反乱の抑止を目的に毎年各地区から12~18歳の男女一人ずつを選び、最後の一人になるまで殺し合いをさせる“ハンガー・ゲーム”を開催していた。そんな中、第12地区に住む16歳の少女カットニスは、くじ引きでプレイヤーに選ばれてしまった妹に代わって出場を志願。男子で選ばれた同級生ピータ・メラークとともにハンガー・ゲームに参加することになる・・・。

評価★★★/55点

中学生に殺し合いをさせる「バトルロワイアル」のような企画はハリウッドでは通用しないんじゃないかと思ってたけど、通用しちゃったよw

しかも歴史的大ヒットだって

で、どんだけ残虐でヤバい映画なんだろ、、と思ってたら、何のこたぁない。PG-12というあってなきがごとくの緩いレイティングを確保するために描写のハードルをかなり下げているのだ。そうでなければティーンを取り込んで4億ドル超という史上空前のヒットは飛ばせない。

そういう点では完全なティーン向けというかんじで安心して見ていられるんだけど、主人公は100%生き残るという安心感があまりにも絶対的すぎて、緊迫感やがむしゃらな生への渇望や葛藤が全く伝わってこないのは痛い。

なによりゲーム開始直後に出場者の半分が死ぬって、、そんなのありww!?

あと特に主催者側の大人たちがことあるごとに介入してきて主人公のいいように事が進むご都合主義ありきの展開は興ざめもいいところ。

例えばゲームのエリアから外れそうになると引き戻すために介入してくるって、、隔絶された島にすればいいだけの話だろ。74回も開催されてるのにそんなことも分からないのかっていう・・(笑)。

あげくの果てにはゲーム中にルール改正してルールが二転三転するって何だそりゃ。。ホントに74回やってきたのかww!?

また、スポンサーや観衆を味方につけないと生き残れないという設定も、この意図されたご都合主義をシナリオに組み込むためにできた設定にしかなっておらず、物語の中に全く活かされていない。

前半1時間を主人公のセルフプロモーションに当てたのは悪くないとは思ったけど、肝心のゲーム自体がメチャクチャじゃ何の意味もない。このての映画でカタルシスを感じないというのはもはや致命的だ。

ただ、それでも甘めの点数なのは、主人公カットニスを演じたジェニファー・ローレンスの魅力がハンパなくてベタ惚れしちゃったためで

主人公の設定16歳を22歳で演じるため大人びた印象が出るのは当然といえば当然だけども、思わず引き込まれてしまうだけの年の差以上の魅力と品格がある。はっきりいってこの映画にはそぐわないくらいだ。

それに比べてカットニスと恋の三角関係を演じることになる(?)相手役の俳優たちはアイドル然としているので、なんかジェニファーと合ってないんだよね。そういう器じゃないっていうか・・(笑)。

なんだか粗ばっかりが目立ってしまったかんじだけど、続編では女優として大きすぎる存在になりつつあるジェニファーに見合う映画になっていることを願うばかりだ。

あるいは降板してもいいんだよ(爆)。。

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ハンガーゲーム2(2013年・アメリカ・147分)WOWOW

 監督:フランシス・ローレンス

 出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、レニー・クラヴィッツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ドナルド・サザーランド

 内容:第74回ハンガーゲームで優勝し、故郷に凱旋を果たしたカットニスを待っていたのは民衆の熱狂的な支持だった。彼らはカットニスの戦いに、圧政からの独立の機運を重ね合わせていたのだ。しかし、その声を封じ込めようとする独裁政府は、カットニスを抹殺するために秘策を用意する。それは、第75回ハンガーゲームを歴代優勝者24名による記念大会にするというものだった。こうしてカットニスは、再び戦いの場へと引きずり出されてしまうが・・・。

評価★★☆/50点

2時間半ダラダラと付き合わされたあげく突きつけられた真実、、、この映画って結局ただの前フリじゃねーか!

もう、何なんだよこれ・・。

しかも本選が始まるまで80分も要するなんて、こんなどうでもいいティーン向け映画でそこまでもったいつけなくてもいいだろ(笑)。

肝心のゲームも前作と同じくご都合主義満載で腰砕けだし。ポスターにあった“覚悟はいいか”というキャッチコピーってようするに面白くもない映画に2時間半付き合う覚悟はあるかってことだったんですかw

ジェニファー、、何度も言うけど降りていいんだからね

P.S. 「ハンガー・ゲームFINAL」鑑賞済。生き残りをかけたサバイバルゲームという当初のフォーマットから政権打倒の革命戦士ジャンヌ・ダルクの悲劇という全く別物へと変容を遂げたはいいものの、前後編に分けてまでやる必要あるか!?という薄っぺらい内容で正直気に食わなかったw

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メイズ・ランナー

175345出演:ディラン・オブライエン、ウィル・ポールター、カヤ・スコデラーリオ、アムル・アミーン、キー・ホン・リー

監督:ウェス・ボール

(2014年・アメリカ・113分)WOWOW

内容:深い地の底から上がってくるエレベーターの中で目覚めたものの、自分の名前以外の記憶が一切ない青年トーマス。扉が開くとそこは巨大な壁に囲まれた草原。そこでは同じようにして送られてきた同世代の若者たちがコミュニティを作って暮らしていた。さらに壁の奥は巨大迷路になっていて、夜になると閉じられ朝には新たな迷路に変わる中、足の速い“ランナー”と呼ばれる精鋭たちが攻略に挑んでいた。トーマスもそれに加わり、脱出の糸口をつかもうとするが・・・。

評価★★★/60点

なぜ?どうして?を極力省いた作劇は「CUBE」ぽくて面白そうだなと思ったのもつかの間、なんと迷路の謎は9割方解けていたという不条理の入り込む余地のない茶番劇に肩すかし。。

ならば、せめて迷路を舞台にと思いきや、これまた迷路の外で行こか戻ろかの押し問答に終始する始末で、ティーン向けと割り切って見てもかなり消化不良。

とはいえ、高い壁に囲まれた迷路のセットヴィジュアルやプロダクトデザインは「進撃の巨人」なんかより数段上をいっているのがやはり腐ってもハリウッドなんだなと(笑)。

いや、まぁ進撃の巨人の方が数段駄作だったんだけどね・・

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ダイバージェント

Poster2出演:シェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ、アシュレイ・ジャッド、ジェイ・コートニー、ケイト・ウィンスレット

監督:ニール・バーガー

(2014年・アメリカ・139分)WOWOW

内容:最終戦争から150年経った未来。人類は過去の教訓から、国家や宗教という概念を捨て、新たな社会体制を築き上げていた。それは、人類を性格別に勇気ある“勇敢”、正直者の“高潔”、優しき“平和”、利他的な“無欲”、知識豊富な“博学”という5つの共同体に分けるというものだった。人々は16歳になると性格診断テストを受け、結果が示した共同体への所属を義務づけられる。そんな中、無欲出身のベアトリスは16歳になり診断を受けるが、結果は5つのどれにも該当しない異端者(ダイバージェント)と判定される。ダイバージェントは、人類を滅ぼす危険分子として抹殺される運命にあったが、ベアトリスは名前を変え“勇敢”に加入することに成功するのだが・・・。

評価★★/45点

ティーンエイジ向けと割り切って見てもこれはヒドすぎる。

まずもって国家や人種、宗教の垣根を取っ払い、人類を博学=科学者・教育、平和=農民・食料生産、高潔=裁判官・司法、勇敢=軍人警察・治安維持、無欲=公務員・行政の5つのグループに分け、そのコミュニティで一生を送らせれば平和が維持できるという社会システムの仕組みがよく分からなくて映画に入り込めない。

これだけ見れば別にディストピアでも何でもなく江戸時代の士農工商と変わりないわけで、カースト制や管理社会というよりは職能集団別の同業者組合という方がしっくりくる。

なので、これをディストピアとして見る時にキーとなるのは、5つの派閥に入らない無派閥しかない。ところが、このホームレス扱いの無派閥についてほとんどスル―されているところが大問題なのだ。

例えば、この無派閥が人口の大半を占めているのであれば、5大派閥をエリート支配層とするピラミッド型の階級社会と捉えることもできる。あるいは、無派閥が各派閥の脱落者からなるということは、逆にいえば多様性が生まれるわけで、それを束ねて率いる首領がどの適性にも当てはまらない“異端者”となるはずだ。それが、社会を滅ぼす危険分子として迫害や抹殺の対象となるゆえんではないのか。

なのに、この異端者娘ときたら、とりあえず“勇敢”に入っちゃお♪っていきなりスポ根青春グラフィティが始まってしまう。で、さらに無派閥そっちのけで“博学”が“無欲”に迫害をしかける、、ってなんじゃそりゃ(笑)。

あと、職能集団とは別な視点で、ハリー・ポッターの組分けのような性格・資質による違いでみても、“高潔”は毒舌、“博学”は上から目線、“無欲”はノーと言えない日本人wなんだけど、結局自分で行きたい派閥を自由に選べるからその設定意味ないよねっていう・・

これほどいい加減な劣化映画見たことないww

主人公も若かりし頃のケイト・ウィンスレットの劣化版てかんじだったし

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GANTZ

GANTZ:PERFECT ANSWER

Bdcam_20110129_163645990 出演:二宮和也、松山ケンイチ、吉高由里子、本郷奏多、夏菜、綾野剛、伊藤歩、田口トモロヲ、山田孝之

監督:佐藤信介

(2010年・東宝・130分&2011年・東宝・141分)WOWOW

内容:大学生の玄野計は、地下鉄のホームで線路に落ちた客を助けようとして、幼なじみの加藤勝とともに電車にはねられてしまう。しかし、死んだはずの2人は見慣れぬマンションの一室で目覚める。そこには、他にも死んだはずの人々が集められており、部屋の中央には謎の黒い球体“GANTZ”が鎮座していた。やがて彼らは、GANTZから“星人”と呼ばれる異形の敵を倒すというミッションを与えられ、いきなり戦いの場へと転送されてしまうのだった・・・。

評価★★★/55点

原作は全くの未読。

そして映画見終わっても読む気なし(笑)。

だってネギ星人って、、何だよアレw

まぁ、テンポは悪くないし、アクションのクオリティも特に2作目の方は見事な出来で、日本映画もここまでできるんだと少しビックリした。

けど、ゲーム世界の延長戦からどこまでも抜け出ない安っぽさとストーリーの生ぬるさにパーフェクトなファイナルアンサーなど途中からどうでもよくなってきて、アクションと夏菜の肢体を追うばかりになってしまった・・・おいおい

ま、そういう類の映画だからいいんだろうけどww

あとは、異様なオーラを醸し出す綾野剛くらいかなぁ見どころなのは。。最近は完全にテレビ慣れしてきちゃったけど、クローズZEROとかこの映画での妖しいインパクトは強烈だった。

時代劇なんかでも見てみたいかんじと思ってたら本家本元の大河に出ちゃって、でも会津の殿様ってふうじゃないんだよなぁ。十三人の刺客みたいなサムライ役で見たい。

とにかく近年稀に見る逸材の今後が楽しみです。

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バトルロワイアル(2000年・東映・114分)WOWOW

 監督:深作欣二

 出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、塚本高史、柴咲コウ、ビートたけし

 内容:大不況に見舞われ失業者があふれかえる日本では、少年犯罪が多発し、学校崩壊は増大。それに対し大人たちの怒りが爆発!強い大人の復権を目的とした“新世紀教育改革法”通称BR法が公布された。それは全国の中学3年生の中から無作為に選ばれた1クラスを、最後の1人になるまで殺し合わせるというあまりにも過酷で理不尽なものだった・・・。内容のあまりの衝撃性に賛否両論を巻き起こした同名小説の映画化。

評価★/30点

思想もテーマもあったもんじゃない。

殺しは単なる見世物としかなっておらず、いわばオーメンやファイナル・デスティネーションのような血しぶき博覧会と同等のものしか持ち合わせていない映画。

問題はそれを中学生にやらせるところなのだけど、どう考えても山本太郎が中学生に見えるはずもなく(笑)、そこは特に気にはならなかった。

しかしそれ以前に、映画自体が全くもってツマラナイことの方が大問題ww

やはり登場人物ひとりひとりのバックボーンが全く見えてこないのは致命的で、その中で何にも取り憑かれていない中学生の殺し合いを延々見せられる倦怠感といったらない。。

正真正銘の駄作だと思う。

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バトルロワイアル2 鎮魂歌(2003年・東映・133分)DVD

 監督:深作欣二、深作健太

 出演:藤原竜也、前田亜季、前田愛、忍成修吾、酒井彩名、竹内力、ビートたけし

 内容:あれから3年、BRを生き延びた七原秋也は反BR法のテロ集団を組織し、全ての大人たちに宣戦布告!再び壮絶な戦いが展開される。。本作のクランクイン直後に深作欣二監督が亡くなったため、息子・健太氏が引き継ぎなんとか完成にまでこぎつけた。

評価★☆/35点

ポテチつまんでニタニタしながらこの映画観てる自分もどうかと思うけどさぁ・・・

脳ミソが飛び散ろうが血しぶきが上がろうが、女のコの絶叫が響こうが竹内力が見事なトライを決めようが、そんなことよりもポテチが奥歯に挟まって歯ぐきに刺さったことの方が切実な問題としてマジに痛かった。映画もイタかったけどww

深作組もいったい真面目なんだか不真面目なんだかよく分からなかったな。でも、もし大真面目だったとしたら救いようがないくらい痛いよこれは。。

2016年8月14日 (日)

夢のシネマパラダイス262番シアター:チャッピー

チャッピー

Poster3出演:シャールト・コプリー、デヴ・パテル、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィ―ヴァ―

監督・脚本:ニール・ブロムカンプ

(2015年・米/メキシコ/南ア・120分)WOWOW

内容:凶悪犯罪が多発する南アフリカのヨハネスブルグ。ロボット警官隊が導入され成果をあげる中、その開発者ディオンは世界初となるAI搭載ロボットの開発に成功する。しかし、会社はロボット警官隊へのバージョンアップを却下。諦めきれないディオンは、一体だけ製作していたAIロボット22号をひそかに持ち出すが、あろうことか大金強奪を目論むギャングに誘拐されてしまう。ギャングたちは、“チャッピー”と名付けたそのロボットに強盗を手伝わせようとするが・・・。

評価★★★★/75点

まず、役者のパフォーマンスキャプチャーをもとにしているとはいえ、チャッピーの一挙手一投足に愛嬌味があって面白い。

顔も眉毛と口付近にあたるレバーの上げ下げと耳みたいな触覚しか動く部分がないのだけど、豊かな感情表現を感じ取ることができて印象深く、単純な擬人化以上のリアリティがある。そしてそのリアリティが、人工知能が超えられない壁である“意識”と“死の恐怖”という今回の映画のコンセプトに説得力をもたせている。

特に後者については、自分がいつか死ぬと認識している動物は人間だけであり、それが多様な「生きる」目的意識につながるのだと思うけど、チャッピーの人格形成における死の概念を得る描写も秀逸。

バッテリーが5日しかもたないという消費期限=寿命以外のところで、チンピラたちに集団リンチを受ける凄惨なシーンが肉体的な生存本能のスイッチを入れるところは説得力があり、それを経ての利他心を覚えるまでの成長過程には自然と感情移入してしまった。

5年後にAIは人を殺す可能性があるとスティーヴン・ホーキング博士が警鐘を鳴らしているくらい日進月歩の進化をつづけるAI技術開発時代の中で、サイエンスフィクションがフィクションでなくなる可能性を感じさせる現代と地続き風の作劇術は上手かったし、かと思えばUSBメモリに“意識”=心を収めて他のボディに転送してしまうという突飛な発想力もはっきり言って好きだ。

ヒュー・ジャックマンをそういうふうに使っちゃうかという意外性も含めて、ニール・ブロムカンプはやはりただ者ではない。

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アンドリューNDR114

Ndr114出演:ロビン・ウィリアムズ、エンベス・デイビッツ、サム・ニール、オリバー・プラット

監督:クリス・コロンバス

(1999年・アメリカ・131分)仙台セントラル劇場

評価★★☆/45点

内容:マーティン家は家事をこなすロボット“NDR114”を購入、アンドリューと名付ける。暖かいマーティン家の人々に囲まれ、次第に感受性や独創性を表し始めたアンドリューは、人間になりたいと願うようになり・・・。

“それから12年後、、16年後、、10年旅をつづけて、、歳月は流れて、、っておい!大河ドラマの総集編かよっ。”

だって200年分だろこれって。大河でも200年なんてやらねーよ。

なんだかロビン・ウィリアムズにロボットパーツを着せて演技させたら面白いんちゃうという安易な発想から企画がスタートしたとしかいいようがない。

要は、アンドリューが起動した2005年には人間の外見と同じようにする技術がなかったってだけのことだろ。でもロビンにはどうしてもロボットパーツの着ぐるみ着せたいから2005年という設定は変えたくないと。

でも本当に描きたいところは、人間として生きていきたいと願うロボットのアンドリューの闘いと葛藤、そして恋愛じゃないのか?

そこには生と死、自然と人工という要素も絡んでくる非常に複雑でデリケートな問題が大きく横たわっているではないか。

そして映画の中で誰かさんもこの問題に判断を下すには時間が必要です、とのたまっているではないか。

なのにわずか20分かそこらでパッパッと片付けちゃう始末。。そしてアンドリューもパッパッと人間としての機能が備わっていっちゃうし・・・。どこがデリケートなんだか。

あまりにも大雑把すぎて開いた口が塞がらなかった・・・。

まず200年分のエピソードをパッパッと小出しにしていく無味乾燥なやり方はバッサリ切り捨てて、2005年か2225年かどちらかに絞ってやった方がいい。

2225年が舞台なら前述した問題を十分吸い上げていく形にすればいいし、2005年が舞台だったらロボットだと思っていたアンドリューは実はロボットではなく、中に人間が入っていて、再婚した妻に未練タラタラでロボットになりすまして家にやって来た、、、っておい!「ミセス・ダウト」じゃんww

2016年8月12日 (金)

夢のシネマパラダイス38番シアター:かぐや姫の物語

かぐや姫の物語

Poster2声の出演:朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子、田畑智子、立川志の輔、上川隆也、伊集院光、宇崎竜童、中村七之助、橋爪功、仲代達矢

監督・脚本:高畑勲

(2013年・東宝・137分)盛岡フォーラム

内容:今は昔、竹林にやって来た翁は、そこで一本の光る竹を見つける。すると竹の根元から小さな小さな女の子が現われた。翁は大切に連れ帰り、媼とともに育てることを決心する。そして捨丸ら村の童たちから「竹の子」と呼ばれるようになった女の子はみるみるうちに大きく育っていく。やがて、翁は娘を高貴な姫君にするために都へ移り住み、美しく成長した娘はかぐや姫と名付けられる・・・。

評価★★★★/85点

アニメは子供心を楽しませるエンターテイメントであるべきだと思っている自分にとって、説教くさいイデオロギーや堅苦しい芸術志向が立ち入ってくると少なからず拒否反応を引き起こしてしまうのだけど、エンタメ寄りが宮崎駿ならアート寄りが高畑勲だったわけで、当然のごとく前者の方が好みだった。

しかし、自分の中で相いれないはずだったエンタメと芸術性をギリギリのところで見事に拮抗させた今回の作品は、文字通り今まで見たことのないような感動的な映画体験を味わわせてくれた。

竹取物語のオリジナルをおぼろげにしか覚えていなかったので、単純に物語が新鮮に映ったこともあるけど、月の都が極楽浄土の来世で、かぐや姫が降ろされた地上の世界が穢れ多き現世という構図は面白かったし、その中で、巡りめぐる春夏秋冬に彩られた自然の恵みと、喜び、悲しみ、人の情けに揺れ動く心のざわめきに満ちあふれたこの世こそが美しく、そこで生きることこそ何ものにも代えがたい幸せなのだとするメッセージはストンと胸に落ちてきた。

それゆえ、かぐや姫の生き生きとした情緒が月の羽衣をまとった瞬間に地上での記憶がチャラになり能面になってしまうシーンには涙を禁じえなかった。まるで「フランダースの犬」に通底するくらい胸を締めつけられるラストシーンだったように思う。

しかし、今までは高畑勲の思想的説教くささに邪魔されることが多かったのに、今回これほど純粋に映画の物語世界に入り込むことができるとは思わなかった。

これは、絵の力はもちろんだけど、それ以上に声優がめちゃくちゃ良くて、特にかぐや姫=朝倉あきと思えるほどかぐや姫の声が良かったことが大きかったのかなと。先に声を録ってからそれに合わせて絵を描くプレスコという手法が大吉と出たかんじだろうか。翁役の地井武男も印象深かったし。

生きることの素晴らしさを喜びや楽しさのベクトルではなく哀しみやせつなさといった悲劇性でもってより強く表現した作劇も素晴らしく、製作に8年かけただけのことはある傑作だったように思う。

“生きている手応えさえあれば幸せになれる”かぁ、、生きている手応え、あるかなぁ自分

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平成狸合戦ぽんぽこ

51bqc0cfwrl声の出演:野々村真、石田ゆり子、泉谷しげる、林家こぶ平

監督・脚本:高畑勲

(1994年・東宝・119分)

評価★★★/65点

内容:東京・多摩丘陵、のんびりとひそかに暮らしていたタヌキたちは、人間たちによる宅地造成が進んできたことから存亡の危機に瀕していた。開発阻止をもくろんだタヌキたちは、先祖伝来の化け学を復興させて人間に対抗しようとする。

“見ず嫌い  ジブリの中で  抜きん出て

           忘れたころに  見る金曜日”

他にみる  ものがないから  いざ見れば

           あれよあれよと  時は過ぎ

笑える小ネタ  満プクで

           人間研究  いとおかし

銃を乱射の  本官さん

           バカボン調で  登場し

あなおもしろや  と思いきや

           アニメで訓戒  高畑節

も一度見るかと  訊かれれば

          次は見ないと  即答す

めぐってくるぞや  再放送

           2年周期の  金曜日

そのとき見るか  見ないかは

            裏番組で  決すれば

いきつくところは  見ず嫌い

            ジブリの中で  抜きん出て

忘れた頃に  見る金曜日

夢のシネマパラダイス602番シアター:進撃の巨人

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN/エンドオブザワールド

L_wk_141213shingeki01出演:三浦春馬、長谷川博己、水原希子、本郷奏多、三浦貴大、桜庭ななみ、石原さとみ、ピエール瀧、國村隼

監督:樋口真嗣

(2015年・東宝・98分/2015年・東宝・87分)盛岡フォーラム

内容:かつて人類は、突如出現した謎の巨人たちに襲われ、大半が喰い殺された。かろうじて生き残った者たちは、巨大な壁を三重に築き、その内側でどうにか生き延びた。それから100年後、壁の中は平和な日常が当たり前のように続いていたが、青年エレンは壁の外に広がる未知の世界に憧れを抱くようになっていた。そんなある日、壁よりも高い超大型巨人が出現し、最外壁が崩壊、その穴から多数の巨人が侵入し、街は地獄絵図と化した。それから2年、惨劇を生き延びたエレンは、武装調査団の一員として外壁修復作戦に臨むが・・・。

評価★★/40点

伸びきったラーメンを食べても食べても減らない絶望感に似たツマラなさ、、正直それ以上の言葉が思い浮かばない。

なんだろなぁ、前後編とも各90分枠ってところからして、ヤル気あんのかコイツらって思ったけど、民放地上波の映画放送枠に収まるようにやっつけ仕事で作ったようなかんじ。

大作なんだから、せめて2時間×2で描けよていう・・。

そもそも、100年間巨人が現れなかった世界だよ。なのにものの10分で超大型巨人が現れるってどうなのよ(笑)。「ジュラシック・パーク」「ジョーズ」のスピルバーグみたいにちっとは焦らせよって思ったのは自分だけ!?

で、シナリオが最悪すぎるのは明白で、それについてはとやかく言う気力もないのでどうでもいいとしてw、それ以外に根本的な問題として、作り手の志向するベクトルが見る側のベクトルとズレちゃってるというのはあったと思う。

それはつまり、ハリウッドのようにCGで全てをまかなえる資金と時間に乏しい中で、日本映画伝統のミニチュアや着ぐるみを使ったアナログ特撮技術による映像表現で撮るしか他に道はなかったのはたしかにそうだろうし、CGには出せない進撃の巨人独特の気持ち悪さはよく伝わってくる。

しかし、特撮畑出身の樋口監督ということもあって、その気概が強くなりすぎて、結局ウルトラマンやゴジラの系譜と同じ単なる特撮映画の枠に成り下がっちゃってるんだよね。でも、マンガ読んでる時に怪獣とバトルするような先に挙げた系譜なんてこれっぽっちも頭に浮かばないわけで、進撃の巨人はベクトルとしてはそっちじゃないよねっていう。

じゃあどっちなのってことになると、特撮の雰囲気はもちろん必要不可欠だけど、主テーマは少年兵を主人公にした「フルメタル・ジャケット」であり「プライベート・ライアン」ではないのか。

作り手はそこを全く分かっていない。巨人と巨人のタイマンプロレスが主じゃないんだってことを小一時間問いつめたい(笑)。

そういう意味では、前編のオープニングで壁の外にあるといわれている海を見てみたいって本当の自由の獲得という伏線があるんだから、壁外調査をメインにして後編ラストで海にたどり着くってのが自然な流れだと思ったんだけど。まさか壁登ったら海見えたって、、100年気付かなかったのかよっ

もう、マジで笑うに笑えない。映画自体とんだ不発弾だったというオチ・・・。

P.S. マンガ原作は作者が意図してのものなのかどうなのか笑いを誘うツッコミだったり小ネタがけっこう散りばめられていて、にもかかわらずことごとく苦笑するほどツマラなくて(爆)、それがまた独特な進撃ワールドを醸し出しているんだけど、映画でそれを真似なくてもいいんだからね。。サシャ・ブラウスの食い意地なんて不要だからww

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BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント

20170117002649出演:マーク・ライランス、ルビー・バーンヒル、ペネロープ・ウィルトン、ジェマイン・クレメント

監督:スティーヴン・スピルバーグ

(2016年・アメリカ・118分)盛岡フォーラム

内容:ロンドンの孤児院で暮らす10歳の少女ソフィー。真夜中に起きているのが好きな彼女はある夜中、恐ろしげな巨人に掴まれて、“巨人の国”へと連れ去られてしまう。しかしその巨人は意外にも心優しく、ソフィーは少しずつ心を通わせていく。ところがその国には、人間を食べてしまう獰猛な巨人もいた・・・。

評価★★☆/50点

ディズニーのロゴが出た後にスピルバーグのアンブリンのロゴが出てきて、あれっ?スピルバーグがディズニー映画撮るのって今まであったっけと思いつつも、これって最強コラボじゃん!と見始めたら正直ドボン⤵

まずもって、巨人キャラが進撃にしろハリポタにしろLOTRにしろジャックと天空の巨人にしろ知能指数が低いということに飽き飽きしてきたってのがあって(笑)。夢を見させるのを生業とするBFGは別にしても、9人の人間豆食い巨人がバカキャラすぎて面白くないんだよね。

じゃあ、この映画何が面白かったかというと、BFGがバッキンガム宮殿で女王陛下と謁見するシーンだったけど、これも考えてみたらオカシな話で、ファンタジー映画で虚構世界がツマラないというのはかなり問題だと思う。

また、現実世界の方もクラシカルな童話調の印象を受けたので、ピーターパンと同じく19世紀後半から20世紀初めのお話かと思いきや、軍隊ヘリが出てきたりレーガン大統領の名前が出てきて、どうやら1980年代の設定らしく、なんだかそこもしっくり来なかった。

まぁ、子供向けとしてはディズニーが吉と出て、大人向けとしてはディズニーが足かせになったかんじかな。。

夢のシネマパラダイス121番シアター:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

ギャラクシー街道

Dru2ht1vqaacpi出演:香取慎吾、綾瀬はるか、小栗旬、優香、遠藤憲一、山本耕史、大竹しのぶ、西田敏行

監督・脚本:三谷幸喜

(2015年・東宝・109分)WOWOW

内容:西暦2265年。木星と土星の間にあるスペースコロニー「うず潮」と地球との幹線ルート246666(通称ギャラクシー街道)。賑わっていたのも今は昔。その片隅にあるサンドサンドバーガー・コスモ店の店主ノアは、経営不振で地球へのホームシック状態。妻のノエはそんな夫を案じる中、ノアの元カノ・レイが夫婦で店を訪れるが・・・。

評価★★☆/50点

三谷幸喜に全幅の信頼を置いている自分は、この映画の巷での悪評をどうにも信じられずにいたけど、実際見てみたら本当に拍子抜けを食らってしまったw

例えていうなら三谷印の美味しいビヤガーデンに行ったらノンアルコールビールを出されたような失望感を味わわされたといえばいいだろうか。

三谷節の十八番といえば、スタジオやホテルや法廷や城内というように限定空間という箱庭シチュエーションでのドタバタ劇で、そこで繰り広げられる笑いの真髄は、いたって大真面目な登場人物たちの意思疎通や認識のビミョーな齟齬・誤解が生みだすボタンのかけ違いにある。

例えば「ザ・マジックアワー」で佐藤浩市がマフィアの大ボスの前でナイフを猟奇的に舐め回すシーンに抱腹絶倒するのは、当の本人だけが映画撮影を行っていると思い込む一方、マフィアも彼を本物の殺し屋と錯覚する両者の勘違いを第3者視点でツッコミながら見られる面白さがあるからだ。

そういう点で見ると今回の映画は、狭い店内という限定空間を踏襲しているものの、肝心のボタンのかけ違いが単なる宇宙人の特質の違いにしかなっていなくて、ヒステリーを起こした大竹しのぶの電磁波放電スパークやボンテージ姿の遠藤憲一の出産シーンなど名うての役者が宇宙人に扮する面白さしか笑いどころがないんだよね。

キャラクターの見た目の面白さだけで2時間付き合えるほどの忍耐力は自分にはなかったかな・・

まぁ、小栗旬がスーパーヒーローのキャプテンソックスに変身した後のもッさい着ぐるみ状態には脱力を超えたシュールさがあって思わず爆笑しちゃったけど、そういうヴィジュアル頼みだけではないキャラクターを絡み合わせた群像劇をこそ見たかった。

三谷幸喜はそれが出来過ぎるくらい出来る人なはずなので、やはり今回は失敗作

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

Starlord出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ジャイモン・フンスー、ジョン・C・ライリー、グレン・クローズ、ベニチオ・デル・トロ

監督:ジェームズ・ガン

(2014年・アメリカ・121分)WOWOW

内容:子供の頃に地球から宇宙船で誘拐されたピーター・クイル。26年経った今では名打てのトレジャーハンターになっており、母親の形見であるウォークマンを片手にノリノリで宇宙を飛び回る日々。そんな中、ピーターは謎の球体“オーブ”を手に入れる。しかしその途端に、美しい暗殺者ガモーラや賞金稼ぎのアライグマ・ロケットとその相棒である樹木型ヒューマノイド・グルートに命を狙われるハメに。しかし、4人揃って逮捕され刑務所送りになってしまう。刑務所では凶暴な囚人ドラックスと出会い、ひょんなことからワケあり5人組は手を組み“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”を結成するが・・・。

評価★★★/60点

10ccの名曲で幕を開けた時は、SFと70年代ポップスの組み合わせという独創的なセンスにワクワクしてしまったんだけど、その後はな~んかハジケないまま終わっちゃったかんじ。

何の予備知識もなかったので、キャラクターの顔と名前や関係性、舞台となる地名までもがあやふやになってしまって1時間見たところで巻き戻して最初っから見るハメになったのは自分が悪いとは思う(笑)。

しかし、8歳のときに宇宙人にアブダクトされた主人公が26年後、ウォークマン片手に陽気な足どりで別な惑星を闊歩する根明キャラにどうすればなるのか、自分の想像の範囲外で違和感があったし、亡き母の形見である「最強ミックスvol.1」の音楽たちが地球への望郷のアイテムになっていないのも共感しかねるところで、いまいちノリきれない。

明るくスカッとするポップコーンムービーとしてしか見れないもどかしさといえばいいだろうか、ドラマとしての真新しさも一切なかっただけに、感情移入に足るキャラクターの掘り下げがもっと欲しかった。

まぁ、トレジャーハンターのピーター、紅一点もとい緑一点のガモーラ、全身タトゥー男のドラックス、凶暴アライグマのロケット、植物版チューバッカのグルートと、“宇宙戦隊ゴレンジャー”ばりの顔見世としては頭に残ったので、続編はそこそこ楽しめそう、、ってそれでいいのかw!?

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ギャラクシー・クエスト

Galaxy出演:ティム・アレン、シガニー・ウィーバー、アラン・リックマン、トニー・シャローブ、サム・ロックウェル

監督:ディーン・パリソット

(1999年・アメリカ・102分)DVD

評価★★★★★/90点

内容:宇宙探査局の乗組員の活躍を描いた地球の人気テレビドラマ「ギャラクシー・クエスト」。これを歴史ドキュメンタリーだと勘違いしているサーミアン星人は、宿敵の攻撃から守ってほしいと、出演者たちに助けを求めてやって来た!?へっ?間抜けな俳優達と本気度100%のサーミアン星人の触れ合い漫才は必見!!

“ドリームワークスに対する自分の信用格付けは、この映画を見たことによってワンランク上がった。”

AAAとまではもちろんいかないが、こういう映画を作ってくれるところだったら投資してもいい気分だ、とさえ思ってしまった。トカゲヘッドにかけてそういう感情さえ抱いてしまったのだ。見ることを躊躇していた自分が恥ずかしい・・。

しかし、この映画、当時住んでた仙台では上映されていたのだろうか。。それすら分からない、、記憶にない。。

もうブラックホールに飛び込んで出てきたくない気分

そもそもこの映画のことを初めて知ったのは某映画雑誌で、執筆者が選ぶ年間ベスト10にランクインしていた時だった。

しかしこともあろうか、ますます自分は見るのを躊躇してしまったのだ。だって読者が選んだランクでは30位以内にも入ってないんだもん。

ハハァン、要するに単館系、インディーズものなのね、と憶測をつける。

たしかに出てる役者はB級っぽいし、レンタル屋行ってパッケージを見てみると、ピンクと緑って・・。

ああ、なんか頭のお堅い執筆者、批評家連中あるいはオタク系の好きそうな映画なんだろうなぁと目星をつけ、結局借りるのをやめる。そしてめぼしいメジャー作品をほとんど見終わった頃にやっとでレンタルする順番が回ってきたという次第なのだった。

そしたらドリームワークス製作でまずビツクリ、そして映画の出来にブッ飛び!

何なんじゃこりゃあ!お、お、お、面白すぎる!

作品の少数精鋭主義戦略を売りにしていたドリームワークスだけのことはある。

そして単純バカな自分は確信をもった。

ドリームワークスは信用できると(笑)。

以上、約20年前の戯れ言でありましたww

2016年8月11日 (木)

夢のシネマパラダイス372番シアター:となりのトトロ

となりのトトロ

Posterart_theateranimeab526011声の出演:日高のり子、坂本千夏、糸井重里、島本須美、北林谷栄、高木均、丸山裕子

監督・脚本:宮崎駿

(1988年・東宝・88分)

評価★★★★/80点

内容:舞台は昭和30年ごろの日本。母親の長期療養のため、父親とともに病院に近い田舎の家へ越してきた4歳のメイは、ある日、庭で2匹の不思議な生き物を見かける。後をつけて行くと、森の中で昼寝している巨大なトトロを目撃した。姉のサツキも雨降りのバス停でトトロと出くわす。姿は奇妙だが心は優しい変な生き物トトロと姉妹の交流が始まる。

“自分だけだろうか。子供の時分にこの映画を見た印象がどこか陰鬱で物悲しいのは、”

小学3年生の時に劇場で見たのが最初で、たしか「火垂るの墓」と同時上映だったんだよね。

この同時上映というのが実はクセモノだったわけで、同時上映で見たが上での弊害、火垂るの墓のイメージや心象風景といったものがトトロと結びついてしまい、後に見るたびに1つの独立した映画としてまっとうに見れないという時期があった、ということは「火垂るの墓」のレビューで述べた通り。

しかし、実はその点を除いたとしてもトトロを見る上でその当時の自分には重大な弱点があったのだった。

それは、死とオバケ。

死んだらどうなるんだろうという得体の知れない恐怖に駆られていた時期がちょうどこの頃で、そのためか親が仕事から帰ってくるまでの夕方から夜にかけての時間が本当に心細かったことを今でも鮮明に憶えていたりする。

このまま親は帰って来ないんじゃないかとか、外はもう真っ暗なのに。すぐ外を走る国道の車やトラックの音だけが妙に大きく聞こえてきたりしていっそう心細くなってきて・・。

そして玄関のドアが開く音がすると、スーッと胸の不安が取り除かれ幸せな安堵感でいっぱいになったものだ。今日も一緒に普通に夕飯を食べられるって。

だから、サツキとメイが稲荷さまの社の前でお父さんの乗ったバスを待つ場面は、なんというか今見ても寂寥感に駆られてしまうんだよね。

今のバスに乗ってくるはずなのに、乗ってない。

このときのなんとも言葉で言い表せないような悲しさと寂しさと不安といったら、だからこの映画で1番印象に残っているシーンは、このお父さんをバス停で待つシーンなのだ。

まぁ今見返してみるとこのシーンでの静寂な間の取り方なんかホント上手いんだけどね。

あとはお母さんの病気。

電報が届いてもしかして容態が悪くなって夏休みに帰ってこれないかもしれない、あるいは死んでしまうのかということが、ものの見事に当時の自分の抱えていた言い知れぬ不安と恐怖とダブってしまうわけで。

オバケに関しては、もうホントあの頃は信じてたし、怖くて怖くて仕方なかった怖がり屋のガキんちょ(笑)。

だから、サツキが夜、薪を拾いに行くシーンで突風が吹いてきて周りの木々がざわめいたり、バケツがガラガラと転げたり、ガラス戸がガタガタ震えるところなんかはやっぱ怖いんだよねぇ(笑)。

そっか、そういう時はでっかい声を上げればいいんだな、とこの映画から教わったのだった。

ネコバスがニターッと笑ったときの顔や目つきもイヤだったからなぁ・・・。

まぁ今となればどうってことない笑えちゃう話だし、あれから年月が経って見てみるとこの映画からいろいろ再発見することもあったりして。

夢だけど夢じゃなかったという、ファンタジーとリアリティの高質なバランス。

考古学の論文書いてるお父さん、、っておいおい、この映画のせいで自分も大学で考古学専攻しちゃったじゃないかよ(笑)。いや、映画のせいじゃないよw

しかし、そうこう言ってもやはり子供の時分に初めて見たときの記憶と印象というものはこれから先も消えないでずっと残っていくんだろうな。

自分にとって、となりのトトロとは、親を喪失してしまうことへの不安と恐れを喚起させた宮崎アニメ唯一の作品となったのだ。

ところで、考えてみると、宮崎アニメの主役キャラっていつも親がいない。

片親だったり、親元から離れたり。

でもトトロの前に見たラピュタ、またトトロの後に見た魔女宅をリアルタイムで劇場で見たときはそういう不安や恐れは微塵も感じなかったわけで。。

やっぱり見た時期や年齢と映画のもつリアリティさが関係してるのかな。

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モンスターズ・インク

Monstersinc01 声の出演:ジョン・グッドマン、ビリー・クリスタル、ジェームズ・コバーン、スティーヴ・ブシェーミ

監督:ピート・ドクター

(2001年・アメリカ・92分)MOVIX仙台

内容:子供部屋のクローゼットの向こう側に広がるモンスターたちの世界。彼らは夜な夜なドアを開けては子供たちを怖がらせているのだが、実は彼らは“モンスターズ株式会社”のれっきとした社員なのだった。しかもこの会社は、モンスターシティの貴重なエネルギー源である子供たちの悲鳴を集めるのがその仕事。そんなある日、モンスターたちが実は最も怖れる人間の女の子がモンスターシティに紛れ込むという大事件が発生した。

評価★★★★☆/85点

“よーし、雪男とかビッグフットにばったり出くわしたら、こっちから脅かしてやる!”

返り討ちにあうことは必至!?

ま、皆さん難しく考えないで大いに泣いて笑ってあちら側に貢献しちゃいましょう。

ウチの者みたいに、子供部屋の隣には親の寝室があるんでしょ?などという合理的解釈はこの映画には必要ありません(笑)。

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モンスターズ・ユニバーシティ(2013年・アメリカ・103分)WOWOW

 監督:ダン・スカンロン

 声の出演:ビリー・クリスタル、ジョン・グッドマン、スティーヴ・ブシェーミ、ヘレン・ミレン、アルフレッド・モリーナ

 内容:最恐のモンスターを目指しているマイクは、身体が小さく見た目が可愛いという悩みがあった。それでもポジティブなマイクは、超難関大学モンスターズ・ユニバーシティの“怖がらせ学部”へ進学する。そこでマイクは、エリート学生が多く通う中でも一二を争う名門一家に生まれたサリーと出会う・・・。「モンスターズ・インク」の前日譚を描く物語。

評価★★★/60点

シニカルでひねりの利いたエスプリの香り漂うピクサーで正直学園ものを見せられるとは思いもしなかったけど、しかも12年越しの続編でこれは、というイマイチ感は拭えず・・。

マイクのサリーに対する劣等感と対抗意識の他にもう一本軸がほしかった気もするね。その点では、前作でイヤミな悪役となったカメレオントカゲのランドールの方が当初はマイクと仲が良かったというのはもっと引っ張ってもよかったような。。

怖がらせ大会のシークエンスもちょっと盛り上がらなかったしなぁ・・・。

しかし、モンスターズインク社の稼ぎ頭であるマイク&サリーが大学を1年で中退してたとはねぇ(笑)。

自分にしかできない強みや個性を見つけてそれを生かせば新たな価値観を見出すことができ、なおかつまた別なアングルから夢に近づくことができるという至極真っ当なメッセージは良い。考えてみれば大学ってそういうとこだからね。

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ミニオンズ

166561_03声の出演:天海祐希、設楽統、日村勇紀、宮野真守、藤田彩華、LiSA

監督:ピエール・コフィン、カイル・バルダ

(2015年・アメリカ・91分)WOWOW

内容:バナナが好きな謎の生物ミニオンは、人類以前の太古の昔から存在していた。彼らの生きがいは、最凶悪なボスに仕えること。が、ナポレオン以降仕えるボスがいなくなり、氷の洞窟に長く閉じこもっていた。そんな中、ケビンは新たなボスを探すことを決意。仲間のスチュアートとボブを引き連れ旅に出る。そして着いた所は1968年のNY・・。

評価★★★/65点

怪盗グルーのスピンオフというよりメインストリームに乗るべくして乗ったと言った方がいいミニオン主演作だが、これがまぁまぁツマラない・・。

個人的にミニオンを最初に見た時に思い浮かべたのがウォレスとグルミットの犬キャラであるグルミットだった。

でも、言葉を話さず目と眉だけで感情を雄弁に物語るグルミットに比べると、ミニオンの場合は一見すると意味不明なミニオン語を話すことが逆に感情表現に制約の枷をはめてしまっていてスゴイもったいないなぁと。

分からない外国語でも声のトーンなどで喜怒哀楽くらいは推測できるように、結局言葉が感情表現の一部になっていて、しかもミニオン語ってけっこう単語が多くて、いっぱしの外国語になっちゃってるんだよね。

例えばロシアのカルトSF「不思議惑星キンザザ」みたいに“クー”“キュー”しか話せないとか、語彙を極端に少なくすればよかったのに。。

そう考えるとピクサーの「ウォーリー」はやっぱ凄かったんだなぁと再確認w

P.S.マシュマロマンは自分でも分かったけど、ラストは鉄腕アトムからと考えていいのかな!?

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ももへの手紙(2012年・日本・120分)NHK-BS

 監督・脚本:沖浦啓之

 声の出演:美山加恋、優香、坂口芳貞、谷育子、チョー、山寺宏一、西田敏行

 内容:小学6年生の女の子ももは、父親の死をきっかけに母親と瀬戸内の島に移り住む。彼女は、亡くなる日の朝に父とケンカしたこと、そして父が自分に残した書きかけの手紙のことが頭から離れず、ひとり悩みを抱えていた。そんなある日、彼女は不思議な妖怪たちと出会う・・・。

評価★★★/65点

作画の質、背景の緻密さ、キャラクターの動線などアニメーションとしてのレベルは格段に高いし、親の喪失からの回復という真っ当なドラマはリアルな現実感を醸し出す。

舞台が瀬戸内だけに大林宣彦に監督させて実写でやってもいいくらいだ。

しかし、これはアニメ。

リアルな現実感にファンタジーがブレンドされるわけだけど、このブレンドの仕方が個人的にはイマイチで中途半端な印象を抱いた。

要はもののけ3人組のキャラが弱すぎると思う。西田敏行や山寺宏一の声に助けられているとはいっても、正直あまり妖怪である意味がないというか、ファンタジーとしてのデフォルメが足りてないと思う。

これはおそらく現実と非現実の住み分けというよりは現実の地続きのものとしてファンタジーを位置づけている意図があるのだろうけど、自分としてはちょっとそこに違和感を感じちゃったのかも。

とはいっても、昨今のアニメ映画の中では全然悪くない出来なのはたしかで、普通におススメできる映画だとは思う。

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