夢のシネマパラダイス186番シアター:ひとりじゃない。
福福荘の福ちゃん
出演:大島美幸、水川あさみ、荒川良々、芹澤興人、飯田あさと、平岩紙、黒川芽以、古舘寛治
監督・脚本:藤田容介
(2014年・日本・111分)WOWOW
内容:塗装職人の福ちゃんこと福田辰男は32歳独身で、安アパートの福福荘に住んでいる。職人気質でありながら後輩やアパートの住人にも親身になって付き合う人の良さはみんなの人気者だった。そんなある日、同僚のシマッチが彼女のいない福ちゃんにお見合いをセッティングするが、福ちゃんは機嫌を悪くして逃げ回るばかり。一方、写真家を目指して外資系企業を辞めたもののあえなく挫折した杉浦千穂は、とある女占い師の助言から中学の同級生の福ちゃんのもとを訪ねるが・・・。
評価★★★★/80点
キャスティングの奇跡。
今回の映画を語るにはこの一言で十分だろう(笑)。
森三中のコントで大島美幸がおっさん役だったのを見てインスピレーションを得た監督がそのまま映画のシナリオを当て書きしてキャスティングが決まったというウソのようなホントの話だけど、いや、そもそもよくこんな映画企画が通ったなぁっていう・・w
劇中で福ちゃんを撮った写真集の出版を頼まれた業界人が、こんなオッサンの顔なんて誰が見たいと思う?99.9%無理だと思うよと言うごとく、ある意味おフザケ半分といっていい色物企画と思われても仕方ないだけに、ほとんど興味本位だけで見始めたのだけど、フタを開けてみたら近年稀にみるほっこり映画になっていて、まるで見た目が怪しいカレーだと思って食べてみたらめっちゃ美味しいカレーだったみたいな
しかし、なにはともあれ大島美幸である。
一見するとシュールでオフビートな癖のある笑いを王道の人情喜劇に昇華させてしまう大島親方の笑顔に全て集約されるといってもいいけど、端的にいえば福ちゃん=寅さんなんだよね。
入院先の病室での福ちゃんと水川あさみのシーンが寅さんとリリー(浅丘ルリ子)にオーバーラップしてしまうくらい寅さんのDNAを感じたし、そういう意味でもどこか懐かしい昭和の日本映画に触れられた気がして幸せな余韻にひたれることができた。
P.S.ちなみに自分はカレーには炭酸の効いたCCレモンが欠かせませんw
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パーマネント野ばら
出演:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、宇崎竜童、夏木マリ、江口洋介
監督:吉田大八
(2010年・日本・100分)WOWOW
評価★★★☆/70点
内容:海辺の町に佇む“野ばら”。そこは、一人娘を抱えるバツイチ女なおこ(菅野美穂)と、その母まさ子(夏木マリ)が切り盛りする美容室で、男運の悪い女たちのたまり場になっていた。なおこの旧友でパブのママであるみっちゃん(小池栄子)は浮気夫を轢き殺そうとまでし、もう一人の友人ともちゃん(池脇千鶴)は、ギャンブルとヤクに溺れた最低男を旦那にしてしまうくらい男運がない。そんな中、なおこも高校教師カシマと交際を続けていたが・・・。
“龍馬伝から150年、、土佐はこんなふうになってしもうたぜよw!”
何気ない日々の中でフッとした寂しさに襲われ、人とのつながりを求めずにはいられないひとり者の自分は、「なんでウチこんなに寂しいんやろ・・」と電話ボックスの中で泣き崩れるなおこ(菅野美穂)の姿に完全にヤラレてしまった。
また、何気ない日々の中でフッと妄想することで自我を保つことも厭わない自分は、浜辺で幻想の恋人に寄り添うなおこの姿に思わず涙してしまった。
さらには、女運うんぬん以前にそのクジを引く場にさえ立てていない自分は、ハズレくじばかり引いて男運のないともちゃん(池脇千鶴)が逆に羨ましく見えてしまった。
このように菅野美穂8年ぶりの主演作は今の自分の心象風景にピタリと重なる映画になってしまったようだ。
しかし、周りのファンキーな人々を見守っていたはずのなおこが、実は見守られていたというラストのどんでん返しには完全にしてやられた。。
その反転により、“残りカス”しかいない寂しい町が優しさに包まれたあたたかい町へと変わり、一気に胸に染み入る作品になった。
西原理恵子のマンガも読んでみよっかな。
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陰日向に咲く
出演:岡田准一、宮崎あおい、伊藤淳史、平山あや、緒川たまき、西田敏行、塚本高史、三浦友和
監督:平川雄一朗
(2008年・東宝・129分)WOWOW
評価★★☆/50点
内容:大型台風が接近中の東京。借金まみれの末に、ついにオレオレ詐欺に手を染めるギャンブル狂のサラリーマン・シンヤ(岡田准一)。若かりし頃に売れない芸人・雷太(伊藤淳史)に恋した母(宮崎あおい)を捜している寿子(宮崎あおい二役)。25歳の崖っぷちアイドル(平山あや)と、彼女を一途に応援するアキバ系オタクのゆうすけ(塚本高史)。歩道橋で人波の中をモーゼのように悠然と歩くホームレス(西田敏行)に心酔し、ダンボール生活を始めたエリートサラリーマンのリュウタロウ(三浦友和)。この一見無関係な彼らの人生が、次第に交錯していく。。。
“1分間の深イイ話、ならぬ130分間の浅イイ話・・・”
劇団ひとりの原作は読んだことないから何とも言えないけど、映画だけ見ると、原作読みたいと思う気にはなれなかったな。。
群像劇なのかオムニバスなのかがまずは中途半端で、9本の糸がより合わさって1本の太い糸になる力は毛頭なく、かといって別個に伸びているわけでもなく、細い糸のほつれた枝先がかすかに触れるくらいで、そのつながりはなんとも弱々しい。
また、登場人物がいくら日の目が当たらないとはいえ、揃いに揃って過去の方を向いているというのはあまり好きじゃないんだよね。そういう後ろ向きつながりは韓国映画の方が十八番なのだから(笑)。
まぁ、この映画の浅さは原作に非があるわけではもちろんなく、映画の作り手の非力に拠るところが大なのだろうけども。
しかし、その中で宮崎あおいたんのけなげな一人二役を見れたのは良かったし、しかも「ただ、君を愛してる」(2006)に引き続きのメガネっ娘姿はゴク唾もの
それだけでも一応見た甲斐はあったかなと。
、、、ってこれで満足してもなぁ・・。期待していただけに惜しいというか残念というか、そんな作品ですた。
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ロスト・イン・トランスレーション(2003年・アメリカ・102分)仙台フォーラム
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
出演:ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、ジョヴァンニ・リビシ
内容:CM撮影で来日した中年のハリウッドスターと、夫の仕事に付き添って来日しながら孤独感を拭えない人妻。ふたりは、互いを癒すかのように惹かれ合っていく・・・。アカデミー賞で脚本賞受賞。
評価★★★/60点
舞台がNYだったらと考えると、、相当チンケな映画だぞこれ。
“TOKYO”は知ってるけど、“日本”は知らないお人ですね、この監督さん。
でも、病院のロビーにいた婆ちゃんは良かった。
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バッファロー’66(1998年・アメリカ・111分)仙台フォーラム
監督・脚本・音楽:ヴィンセント・ギャロ
出演:ヴィンセント・ギャロ、クリスティーナ・リッチ、アンジェリカ・ヒューストン、ロザンナ・アークエット
内容:大人になりきれない孤独な男のラブストーリー。刑務所を釈放になった男ビリーは、母親に電話で「女房を連れて帰る」と嘘をついてしまう。女房どころか友達もいない彼は、通りすがりのレイラを誘拐するが・・・。
評価★★★★/80点
“赤いくつ~履いてたーー男のコ~~
”
28歳っ!!の男のコ。大人の女のコに連れられて行っちゃった~
どーしょーもないダメ男だけどこの上なく純粋なヤサ男と、年不相応な豊満ロリっ娘の不器用な恋愛はまるで小学生か中学生の初デートでも見ているようなかんじで、見ていてなんともいじらしくなってくる。でも、そこがイイんだよなぁ。
女性が観たら、おそらく母性本能をくすぐられると思うんだけど、男の自分からするとこの童貞男をバカにしつつも、いつの間にか共感して応援してる自分がいて、なんとも微笑ましく見ていられる作品ですた。
また走り方が可愛いんだよね、このガキ(笑)。そして淋しさを湛えた独特さがあって、そこも印象的だったな。良作です。
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フル・モンティ
出演:ロバート・カーライル、トム・ウィルキンソン、マーク・アディ
監督:ピーター・カッタネオ
(1997年・イギリス・92分)シャンテ・シネ2
内容:イギリス北部の町シェフィールド。かつては鉄鋼業で栄えたこの町も、今は失業者であふれかえっていた。ギャズも失業中で、別れた女房に息子の親権を奪われそうになっていた。そんな時、彼はひょんなことから男性ストリップの巡回ショーに潜り込み、女性客の熱気と歓声にビックリ。これは金儲けのチャンスだと踏んだギャズは、仲間を集めて男性ストリップショーを始めようと目論むが・・・。
評価★★★☆/70点
ネイサンは立派な大人になると思うなぁ。
ブヨブヨに爺さまに、垂れパイにホースetc.が懸命に頑張ってる姿を見てるんだもん。人間、追い込まれたら何でも出来るんだな(笑)。
でも、決して下品ではなく、愛嬌と可笑しみと哀しみのペーソスにあふれていて、悲喜劇にリアルな生活感を滲ませるイギリス映画ならではの作品に仕上がっていたと思う。
でも、「フラッシュダンス」のビデオ買うのを恥ずかしがってるような男がやすやすと服脱げるかあ?という説得力の無さとオバさんの立ちションに★-1。
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スモーク(1995年・アメリカ・113分)NHK-BS
監督:ウェイン・ワン
出演:ハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハート、フォレスト・ウィテカー
内容:ブルックリンでタバコ店を営むレンは、毎日店の前を写真に撮るのを趣味にしていた。一方、店の常連で作家のポールは、ぼんやりしていて車にはねられそうになったところを、ラシードと名乗る少年に助けられる。数日後、少年の叔母がポールの家を訪れ、彼の本名はトーマスといい、行方不明なので心配していると告げる・・・。ブルックリンのタバコ店に集う男たちをめぐる、ユーモアと人情にあふれた群像劇。ベルリン国際映画祭作品賞。
評価★★★★/75点
煙草の煙も臭いも苦味も大っ嫌いだが、映画が燻らす人間臭さと人生の苦みを味わうのは大好き♪
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