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2016年6月26日 (日)

夢のシネマパラダイス168番シアター:博士と彼女のセオリー

博士と彼女のセオリー

Poster2出演:エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、チャーリー・コックス、エミリー・ワトソン、サイモン・マクバーニー、デヴィッド・シューリス

監督:ジェームズ・マーシュ

(2014年・イギリス・124分)WOWOW

内容:1963年、ケンブリッジ大学大学院。理論物理学を研究し天才物理学者として将来を嘱望されていたスティーヴン・ホーキングは、詩を学ぶジェーンと出会って恋に落ち、公私ともに充実した日々を送っていた。ところが、スティーヴンは難病のALSを発症し、余命2年と宣告されてしまう。それでも2人は共に病気と闘う覚悟を決め結婚する道を選び、のちに長男のロバートも誕生する。そしてスティーヴンは、研究者としての名声も得ていくのだが・・・。

評価★★★☆/70点

たったひとつで宇宙の全てを説明可能な方程式=統一理論を見つけようとする天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士。

しかし、神をも恐れぬ領域に足を踏み入れる博士でも、余命2年と診断されながら50年以上も神から生を与えられている奇跡と、“愛”という不思議な方程式だけは解けなかったようだ。

天才数学者ながら精神分裂病にさいなまれるジョン・ナッシュの半生を描いた「ビューティフル・マインド」で、“愛”という方程式が全てを解き明かすという最終理論に到達するのとは正反対だったねw

とはいえ、両作ともに妻の献身には頭が下がるばかり。まぁ、本作の場合、敬虔なクリスチャンである妻と無神論者で自分の研究が神をほふることになっても構わないと考えるホーキング博士の陰と陽の関係性が見どころでもあるんだけど、原作者が妻であるため彼女の自立心の強さが強調されているとともに、夫の介護のはざまで揺れ動く葛藤と下した決断にいたる心の移ろいがよく伝わってきた。

エディ・レッドメインも素晴らしかったけど、より難しい役どころという点ではフェリシティ・ジョーンズも女優賞ものだったと思うんだけどなぁ。この2人は今後も要チェックだね。

P.S. ホーキングが果たそうとしている統一理論というのは、映画において量子論と相対性理論をくっつけようとするものだと説明があったけど、従来水と油だという両論からして全く知識外なので頑張ってちょっと調べてみた。

で、、自分で要点をまとめることができないほど何が何だか分かりませんでしたww

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ビューティフル・マインド

Img23出演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、クリストファー・プラマー

監督:ロン・ハワード

(2001年・アメリカ・134分)MOVIX仙台

評価★★★/60点

内容:プリンストン大学の大学院に進学したジョンは、独創的理論を研究し続け、目標だったウィーラー研究所へ進む。しかし、そんなジョンが政府の機密任務をまかされることになり・・・。ノーベル賞を受賞した数学者、ジョン・ナッシュの伝記をもとに、精神分裂症に苦しみぬいた彼と妻アリシアの苦悩の人生を描いたサスペンスフルな実話ドラマ。アカデミー賞では作品、監督、助演女優、脚色賞を受賞。

“う゛っ、ヤバイ・・・。映画見てる最中、モルダーとスカリーがサブリミナルの如く何回も画面に登場してきた。明らかにこれは自分だけにしか見えない幻覚症状と思われ

宇宙人の植民地化計画か!?腕に埋め込まれたチップは宇宙人に誘拐された時のものか!?政府は何かを隠しているのか・・・!?って途中まで「X-ファイル」の話かと思いながら見ていたけどw、終わってみれば“愛”という完全無欠の方程式が全てを解き明かすというお話だったんだね。

文系人間の自分からすると、群れているハトの動きからアルゴリズムを抽出するのに没頭するようなヘンテコ理系人間&インテリを鼻にかけるような人物であるジョン・ナッシュははなっから受け付けにくいキャラクターなんだけど、そんな取っつきにくい旦那に無償の愛を傾ける奥さん(ジェニファー・コネリー)の献身に心動かされてしまった。

だから、ジェニファーのアカデミー女優賞は大納得なんだけど、作品賞まで受賞するほどの力作だったかといえばやや疑問符のつくところ。

1つ1つのシーンやプロットが、映画の中で雑誌や新聞の文字や数字がパッパッと自然に浮かび上がっては消えていくのと同じようにどこか散文的で、全体的なインパクトには欠けてたかなと。

まぁ、人間ドラマ、サスペンス、ラブストーリーに難病ものとオールマイティなジャンルの垣根を取っ払ったつくりであることが逆に間延びしたような中途半端な印象を受けた要因なのかも。

あとは、なんで彼がノーベル賞取ったのかがよく分かんなかったのもいかがなものか・・w

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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

F818e1b3540c8d57071fc64a5d178c6c出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、ロリー・キニア、マーク・ストロング

監督:モルテン・ティルドゥム

(2014年・米/英・115分)WOWOW

内容:第二次大戦下の1939年。英国政府は解読不可能とされていたドイツ軍の暗号機“エニグマ”の解読のために、ケンブリッジ大学の天才数学者アラン・チューリングやチェスのチャンピオンなど精鋭6人が諜報機関MI6のもとに集められた。ところが、チューリングだけは共同作業に加わろうとせず、一人で勝手に変なマシンを作り始めてしまい、孤立を深めていくが・・・。

評価★★★/65点

戦争は情報を制した方が勝つというけど、その最大の功績者が同性愛者としてわいせつ罪に問われ、日の目を見ることなく人知れず自死していたというなんとも哀しいお話で、正直後味は悪い。

さらに、エニグマ暗号機の解読に成功した後、それをドイツ軍に気付かれないように負け戦を適度にはさみつつ、勝利と終戦へのロードマップを描いていた、つまり誰を生かして誰を見殺しにするのか神の目になって自国民を選別していたという事実に驚愕

戦争というのはどこまでも非情で惨いものなのだと実感した。

ただ、映画として面白かったかどうかといえば、知的興奮の刺激材料として格好の題材である暗号解読や二重スパイといった情報・心理戦といったエンタメ視点よりも、問題解決のためにあらゆる手から最適解を導き出すのに愛や感情は弊害でしかないという機械の考え方に徹するチューリングの苦悩と、その裏に秘められたいびつともいえる純愛というパーソナルな方向にベクトルが向いていて、しかもチューリングの性格が天才につきものの社会性のない変人なので、ちょっと付いて行きづらかったかなぁと・・。

例えば、「アマデウス」における天才変人モーツァルトと凡人常人サリエリのような関係性を持つ人物視点で描いた方が理解しやすかった気も。今回の映画でいえばヒュー・アレグザンダーなのかな。

しかし、そもそもなんで“天気”“ハイル”と“ヒトラー”という単語をクリストファーに入力するだけで解読につながるのか、その暗号解読の仕組みとか原理がいまいち分からなかったので、、う~むむむ

まぁ、その3語が1400万人を救ったというのはスゴイ話だけどね。。

夢のシネマパラダイス600番シアター:寄生獣

寄生獣/寄生獣完結編

O0800111313017398998_convert_201411出演:染谷将太、深津絵里、阿部サダヲ、橋本愛、東出昌大、池内万作、新井浩文、ピエール瀧、大森南朋、余貴美子、豊原功補、北村一輝、國村隼、浅野忠信

監督・脚本:山崎貴

(2014年・東宝・109分/2014年・東宝・118分)盛岡フォーラム

内容:ある日、地球に謎の寄生生物“パラサイト”が出現し、ひそかに人々に寄生し始めた。擬態能力を持つ彼らは、人間の脳を食べて身体を乗っ取り、他の人間を次々と捕食していく。そんな中、高校生の泉新一もパラサイトに寄生されてしまうが、奇跡的に脳への侵入を阻止する。しかし、右手を乗っ取ったパラサイトは自らを“ミギー”と名乗り、新一とミギーの奇妙な共生生活が始まるが・・・。

評価★★★★/75点

原作マンガは高校生の時にクラスで回し読みするくらい流行っていて大好きなマンガ。

読み物としては全10巻と手頃な長さなので前後編に分けるならば、映像面さえクリアできれば映画化はしやすいだろうなとは予想していたけど、ほぼ原作通りのシナリオ展開、寄生獣の世界観やヴィジュアルイメージを損なわない映像、ドンピシャのキャスティングと、原作のエッセンスを忠実になぞるという点では及第点以上の出来だったと思う。

特に冒頭のプロローグで、寄生された中年男が洗面台で鏡を見ていると左右の目がギョロリと焦点が合わなくなって、その直後に何のケレン味もない顔がヒトデのような形に割れて、妻の首から上をバクンッと捕食するシーンだけでこの映画に合格点あげていいくらいのインパクト

他にも高架下の河川敷でのバトルシーンなど実写ならではのダイナミズムもよく表現されていたし、穴らしい穴はなかった。

ただ、人間欲張りなもので、腹八分目では満足できないというかw、あと二分目のプラスアルファが欲しかったという気も。。

例えば、この作品の重要なファクターである日常と非日常の落差について最大の肝となる新一の母親が寄生生物に乗っ取られてしまう恐怖がちょっとイマイチだったかなぁというのはあって、乗っ取られた母親が玄関から入ってくる姿を普通に映し出しちゃってるんだけど、あそこは「ただいま」とか声だけにして、ミシッミシッと新一の方にだんだん近づいてきて廊下の陰からヌッと姿を現すとかした方が絶対よかった。

あとは、我々(寄生生物)は何のために生まれてきたのかと疑問を感じ続け、最終的に我が身を犠牲にして他者を守るに至る田宮良子(深津絵里)の思索の旅は、“我思う故に我あり”という「ブレードランナー」のレプリカントに通じる根源的テーマだと思うんだけど、要はそこの掘り下げがプラスアルファの部分なのかなと。

例えばマンガの方で、なぜ寄生生物は人間を殺して食料にするのかという問いに、田宮良子は「ハエは教わりもしないのに飛び方を知っている。クモは教わりもしないのに巣の張り方を知っている。思うにハエもクモもただ“命令”に従っているだけにすぎない」と答える。

これはつまり一瞬たりとも自分の行動を省みることのない本能といえるけど、この思考を欠いた考えない知性が、寄生した人間の性格と知能を引き継ぐことで自己意識を獲得するという奇抜な設定だけに、田宮良子なりあるいは新たなキャラクターなり映画ならではの思いきった踏み込みがあってもよかったのかなと。

あるいは、あらゆる種を食べつくす人間はそもそも正しい存在といえるのかという視点も通底音としてあるんだけど、人間側の狭量さや攻撃性の深さを浮き彫りにすることで、恐ろしいのは外からの侵略者なのか、それとも疑心暗鬼に陥りやすい人間なのかという掘り下げ方も一方であってもよかったと思う。

まぁ、このての有名どころのマンガ原作の映画化って最近でも進撃の巨人しかりルパン三世しかり手応えなしだったので(笑)、それを考えれば健闘したってことでグッジョブにしときましょうかねw

2016年6月19日 (日)

夢のシネマパラダイス186番シアター:ひとりじゃない。

福福荘の福ちゃん

Poster2_4出演:大島美幸、水川あさみ、荒川良々、芹澤興人、飯田あさと、平岩紙、黒川芽以、古舘寛治

監督・脚本:藤田容介

(2014年・日本・111分)WOWOW

内容:塗装職人の福ちゃんこと福田辰男は32歳独身で、安アパートの福福荘に住んでいる。職人気質でありながら後輩やアパートの住人にも親身になって付き合う人の良さはみんなの人気者だった。そんなある日、同僚のシマッチが彼女のいない福ちゃんにお見合いをセッティングするが、福ちゃんは機嫌を悪くして逃げ回るばかり。一方、写真家を目指して外資系企業を辞めたもののあえなく挫折した杉浦千穂は、とある女占い師の助言から中学の同級生の福ちゃんのもとを訪ねるが・・・。

評価★★★★/80点

キャスティングの奇跡。

今回の映画を語るにはこの一言で十分だろう(笑)。

森三中のコントで大島美幸がおっさん役だったのを見てインスピレーションを得た監督がそのまま映画のシナリオを当て書きしてキャスティングが決まったというウソのようなホントの話だけど、いや、そもそもよくこんな映画企画が通ったなぁっていう・・w

劇中で福ちゃんを撮った写真集の出版を頼まれた業界人が、こんなオッサンの顔なんて誰が見たいと思う?99.9%無理だと思うよと言うごとく、ある意味おフザケ半分といっていい色物企画と思われても仕方ないだけに、ほとんど興味本位だけで見始めたのだけど、フタを開けてみたら近年稀にみるほっこり映画になっていて、まるで見た目が怪しいカレーだと思って食べてみたらめっちゃ美味しいカレーだったみたいな

しかし、なにはともあれ大島美幸である。

一見するとシュールでオフビートな癖のある笑いを王道の人情喜劇に昇華させてしまう大島親方の笑顔に全て集約されるといってもいいけど、端的にいえば福ちゃん=寅さんなんだよね。

入院先の病室での福ちゃんと水川あさみのシーンが寅さんとリリー(浅丘ルリ子)にオーバーラップしてしまうくらい寅さんのDNAを感じたし、そういう意味でもどこか懐かしい昭和の日本映画に触れられた気がして幸せな余韻にひたれることができた。

P.S.ちなみに自分はカレーには炭酸の効いたCCレモンが欠かせませんw

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パーマネント野ばら

Img6423b73azikfzj 出演:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、宇崎竜童、夏木マリ、江口洋介

監督:吉田大八

(2010年・日本・100分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:海辺の町に佇む“野ばら”。そこは、一人娘を抱えるバツイチ女なおこ(菅野美穂)と、その母まさ子(夏木マリ)が切り盛りする美容室で、男運の悪い女たちのたまり場になっていた。なおこの旧友でパブのママであるみっちゃん(小池栄子)は浮気夫を轢き殺そうとまでし、もう一人の友人ともちゃん(池脇千鶴)は、ギャンブルとヤクに溺れた最低男を旦那にしてしまうくらい男運がない。そんな中、なおこも高校教師カシマと交際を続けていたが・・・。

“龍馬伝から150年、、土佐はこんなふうになってしもうたぜよw!”

何気ない日々の中でフッとした寂しさに襲われ、人とのつながりを求めずにはいられないひとり者の自分は、「なんでウチこんなに寂しいんやろ・・」と電話ボックスの中で泣き崩れるなおこ(菅野美穂)の姿に完全にヤラレてしまった。

また、何気ない日々の中でフッと妄想することで自我を保つことも厭わない自分は、浜辺で幻想の恋人に寄り添うなおこの姿に思わず涙してしまった。

さらには、女運うんぬん以前にそのクジを引く場にさえ立てていない自分は、ハズレくじばかり引いて男運のないともちゃん(池脇千鶴)が逆に羨ましく見えてしまった。

このように菅野美穂8年ぶりの主演作は今の自分の心象風景にピタリと重なる映画になってしまったようだ。

しかし、周りのファンキーな人々を見守っていたはずのなおこが、実は見守られていたというラストのどんでん返しには完全にしてやられた。。

その反転により、“残りカス”しかいない寂しい町が優しさに包まれたあたたかい町へと変わり、一気に胸に染み入る作品になった。

西原理恵子のマンガも読んでみよっかな。

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陰日向に咲く

Kagehinata 出演:岡田准一、宮崎あおい、伊藤淳史、平山あや、緒川たまき、西田敏行、塚本高史、三浦友和

監督:平川雄一朗

(2008年・東宝・129分)WOWOW

評価★★☆/50点

内容:大型台風が接近中の東京。借金まみれの末に、ついにオレオレ詐欺に手を染めるギャンブル狂のサラリーマン・シンヤ(岡田准一)。若かりし頃に売れない芸人・雷太(伊藤淳史)に恋した母(宮崎あおい)を捜している寿子(宮崎あおい二役)。25歳の崖っぷちアイドル(平山あや)と、彼女を一途に応援するアキバ系オタクのゆうすけ(塚本高史)。歩道橋で人波の中をモーゼのように悠然と歩くホームレス(西田敏行)に心酔し、ダンボール生活を始めたエリートサラリーマンのリュウタロウ(三浦友和)。この一見無関係な彼らの人生が、次第に交錯していく。。。

“1分間の深イイ話、ならぬ130分間の浅イイ話・・・”

劇団ひとりの原作は読んだことないから何とも言えないけど、映画だけ見ると、原作読みたいと思う気にはなれなかったな。。

群像劇なのかオムニバスなのかがまずは中途半端で、9本の糸がより合わさって1本の太い糸になる力は毛頭なく、かといって別個に伸びているわけでもなく、細い糸のほつれた枝先がかすかに触れるくらいで、そのつながりはなんとも弱々しい。

また、登場人物がいくら日の目が当たらないとはいえ、揃いに揃って過去の方を向いているというのはあまり好きじゃないんだよね。そういう後ろ向きつながりは韓国映画の方が十八番なのだから(笑)。

まぁ、この映画の浅さは原作に非があるわけではもちろんなく、映画の作り手の非力に拠るところが大なのだろうけども。

しかし、その中で宮崎あおいたんのけなげな一人二役を見れたのは良かったし、しかも「ただ、君を愛してる」(2006)に引き続きのメガネっ娘姿はゴク唾もの

それだけでも一応見た甲斐はあったかなと。

、、、ってこれで満足してもなぁ・・。期待していただけに惜しいというか残念というか、そんな作品ですた。

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ロスト・イン・トランスレーション(2003年・アメリカ・102分)仙台フォーラム

 監督・脚本:ソフィア・コッポラ

 出演:ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、ジョヴァンニ・リビシ

 内容:CM撮影で来日した中年のハリウッドスターと、夫の仕事に付き添って来日しながら孤独感を拭えない人妻。ふたりは、互いを癒すかのように惹かれ合っていく・・・。アカデミー賞で脚本賞受賞。

評価★★★/60点

舞台がNYだったらと考えると、、相当チンケな映画だぞこれ。

“TOKYO”は知ってるけど、“日本”は知らないお人ですね、この監督さん。

でも、病院のロビーにいた婆ちゃんは良かった。

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バッファロー’66(1998年・アメリカ・111分)仙台フォーラム

 監督・脚本・音楽:ヴィンセント・ギャロ

 出演:ヴィンセント・ギャロ、クリスティーナ・リッチ、アンジェリカ・ヒューストン、ロザンナ・アークエット

 内容:大人になりきれない孤独な男のラブストーリー。刑務所を釈放になった男ビリーは、母親に電話で「女房を連れて帰る」と嘘をついてしまう。女房どころか友達もいない彼は、通りすがりのレイラを誘拐するが・・・。

評価★★★★/80点

赤いくつ~履いてたーー男のコ~~

28歳っ!!の男のコ。大人の女のコに連れられて行っちゃった~

どーしょーもないダメ男だけどこの上なく純粋なヤサ男と、年不相応な豊満ロリっ娘の不器用な恋愛はまるで小学生か中学生の初デートでも見ているようなかんじで、見ていてなんともいじらしくなってくる。でも、そこがイイんだよなぁ。

女性が観たら、おそらく母性本能をくすぐられると思うんだけど、男の自分からするとこの童貞男をバカにしつつも、いつの間にか共感して応援してる自分がいて、なんとも微笑ましく見ていられる作品ですた。

また走り方が可愛いんだよね、このガキ(笑)。そして淋しさを湛えた独特さがあって、そこも印象的だったな。良作です。

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フル・モンティ

Full_monty 出演:ロバート・カーライル、トム・ウィルキンソン、マーク・アディ

監督:ピーター・カッタネオ

(1997年・イギリス・92分)シャンテ・シネ2

内容:イギリス北部の町シェフィールド。かつては鉄鋼業で栄えたこの町も、今は失業者であふれかえっていた。ギャズも失業中で、別れた女房に息子の親権を奪われそうになっていた。そんな時、彼はひょんなことから男性ストリップの巡回ショーに潜り込み、女性客の熱気と歓声にビックリ。これは金儲けのチャンスだと踏んだギャズは、仲間を集めて男性ストリップショーを始めようと目論むが・・・。

評価★★★☆/70点

ネイサンは立派な大人になると思うなぁ。

ブヨブヨに爺さまに、垂れパイにホースetc.が懸命に頑張ってる姿を見てるんだもん。人間、追い込まれたら何でも出来るんだな(笑)。

でも、決して下品ではなく、愛嬌と可笑しみと哀しみのペーソスにあふれていて、悲喜劇にリアルな生活感を滲ませるイギリス映画ならではの作品に仕上がっていたと思う。

でも、「フラッシュダンス」のビデオ買うのを恥ずかしがってるような男がやすやすと服脱げるかあ?という説得力の無さとオバさんの立ちションに★-1。

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スモーク(1995年・アメリカ・113分)NHK-BS

 監督:ウェイン・ワン

 出演:ハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハート、フォレスト・ウィテカー

 内容:ブルックリンでタバコ店を営むレンは、毎日店の前を写真に撮るのを趣味にしていた。一方、店の常連で作家のポールは、ぼんやりしていて車にはねられそうになったところを、ラシードと名乗る少年に助けられる。数日後、少年の叔母がポールの家を訪れ、彼の本名はトーマスといい、行方不明なので心配していると告げる・・・。ブルックリンのタバコ店に集う男たちをめぐる、ユーモアと人情にあふれた群像劇。ベルリン国際映画祭作品賞。

評価★★★★/75点

煙草の煙も臭いも苦味も大っ嫌いだが、映画が燻らす人間臭さと人生の苦みを味わうのは大好き♪

2016年6月 6日 (月)

夢のシネマパラダイス520番シアター:アメリカン・スナイパー

アメリカン・スナイパー

Poster2_2出演:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ルーク・グライムス、ジェイク・マクドーマン、ケヴィン・レイス、コリー・ハードリクト

監督:クリント・イーストウッド

(2014年・アメリカ・132分)盛岡フォーラム

内容:2001年の911同時多発テロをテレビで目の当たりにしたクリス・カイルは、愛国心に燃え、ネイビー・シールズに入隊する。やがてイラク戦争にスナイパーとして出征したクリスは、驚異的な狙撃の腕前から“レジェンド”の異名をとるまでになる。そして無事に愛する妻と生まれたばかりの長男のもとへ帰還を果たすのだったが、その後クリスは4度に渡って苛酷なイラクの戦地へ赴く。しかし、そのたびに彼の心は均衡を失っていき・・・。

評価★★★☆/70点

映画を見ている間、なぜイーストウッドはこの映画を撮ろうと思ったのか、その意図するところを見極めようと思いながら見ていた。

それはイーストウッドが特にここ十数年、たなびく星条旗にゆらめく光と影を一貫して切り取ってきたからだ。

そういう点で今回の映画は、太平洋戦争の趨勢を決めた硫黄島の戦いで摺鉢山の頂上に星条旗を掲げた兵士たちが戦争の英雄に祭り上げられ人生を狂わせていく「父親たちの星条旗」を想起させる。

しかし、かの作品が、国家が個人を時に無視し、時に酷使し、そして利用し使い捨てるという戦争が持つ根本原理を冷徹に捉えていたのに比べると、今回は終わりのない復讐劇という戦争のもう一方の根本原理を強調しているとはいえ、より個人の意志にクローズアップされていて、戦争を遂行する国家の欺まんが見えてこないのがやや中途半端な印象。

ただ、70年前の「硫黄島からの手紙」の時代とは異なり、戦場でドンパチやってる最中の夫と祖国にいる妻が携帯電話一本でつながってしまう地理的・時間的制約のない現代においては、戦争の毒は国家の大義というフィルターを介在せずダイレクトに個人に帰結し侵食してくるといえるのかもしれない。

その中でこの映画が衝撃的なのは、獰猛な狼からか弱き羊を守る番犬になれと教えられてきたクリスがイラクで見たものが、か弱き羊であるはずの女子供が狼の皮をかぶらされる現実だ。さらに、番犬を自負しているはずのクリスが彼らにとっては獰猛な狼でしかないという事実をまざまざと見せつけられるのだけど、当の本人はその当たり前の事実に思い至っていないばかりか、イラク人は野蛮人だ!というところで思考停止してしまっているところが暴力の連鎖のらせんから抜け出せないアメリカの哀しみを表しているようでなんともむなしくなってしまった。

大量破壊兵器あるある詐欺でイラクに攻め入ったアメリカ自身がイラク戦争を総括するには(テロとの戦いという言葉にすげ替えるのではなく)まだまだ時間がかかりそうだけど(ていうか永遠にできないかも!?)、その評価が定まった時にどのようなスタンスの映画が作られるのか興味があるところだ。

そういう点では今回の映画化はまだ時期尚早だったのかな、という印象かなぁ・・。

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ジャーヘッド

Dvd_070104_01出演:ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ルーカス・ブラック、クリス・クーパー、ジェイミー・フォックス

監督:サム・メンデス

(2005年・アメリカ・123分)DVD

評価★★★☆/70点

内容:祖父の代から3世代続けて米軍海兵隊員となった18歳のスウォフォードは、過酷な訓練を経て、わずか8名の斥候狙撃兵に選ばれる。そして、クウェートにイラクが侵攻したことにより、スウォフォードはサウジアラビアに派遣される。ところが、灼熱の砂漠には敵兵どころか人っ子一人いない状況で、ひたすら指令を待つ日々が続く・・・。実際に湾岸戦争に従軍したアメリカ人青年が記したベストセラー・ノンフィクションの映画化。ちなみにジャーヘッドとは、米軍海兵隊員の丸刈り頭を揶揄した呼び名。

“先生の言うことをきかない超ワル生徒ばかりの男子校180日間強制林間学校!”

行く先は、、、果てしない砂漠です・・・。

テント設営は塹壕掘りに、飯ごう炊きは“焼き印”押しに、ハイキングは砂漠の行軍に、海水浴は油の黒い雨に、バーベキューは人間の丸焼きに、キャンプファイヤーは燃え上がる油田に、オリエンテーリングは肥溜め掃除に、肝だめしはアラブ人と地雷との遭遇に、枕投げは手榴弾投げに、花火はマシンガンの乱射に・・・。

“待つ”ということを知らない今の若者たち、その持てあますエナジーとアドレナリンと射精を封印し抑え込むのに最適のプログラムをご用意させていただきました!

その名も「砂漠の嵐」プロジェクト!

これで恋人や奥さんも安心して他の男とヤリまくれます、、っておいおい

いや、そういうシュールな青春映画なんだなこれは(笑)。

自分の怒りや悲しみといった感情と思いの持って行き場のない孤独感や焦燥感、苦悩と葛藤。そういうのが、おバカばかりやってる彼ら=ジャーヘッドの姿を通して痛々しく描き出されていく。

しかもそれをダラダラとした日常ではなく、ダラダラとした戦場を舞台として描いたのがなんとも秀逸で、なにかとドラマティックさとショッキングさを求めがちな戦争映画にあって、今まで見たこともないような作品に仕上がっていたと思う。

ジェイク・ギレンホールもいつの間にやら脱皮して良い役者さんになりつつあるし。なかなかの映画だったな。

しかし、「ディア・ハンター」(1978)をああいうふうに使っちゃうとはねぇ・・

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スリー・キングス(1999年・アメリカ・115分)WOWOW

 監督・脚本:デイビッド・O・ラッセル

 出演:ジョージ・クルーニー、マーク・ウォルバーグ、アイス・キューブ、スパイク・ジョーンズ

 内容:特殊部隊少佐のアーチー・ゲイツら3人は、イラク軍がクウェートから奪った金塊の隠し場所を記した地図を手に入れる。彼らは、金塊を詰めても決して破れないルイ・ヴィトンのバッグを手に、イラク領内に侵入するのだが・・・。戦争映画の常識を覆すノリノリの良さがとにかくスゴイ1本!?

評価★★☆/50点

こんなお気楽に戦争を描ける国はもはやアメリカしかない!

そしてこんなお気楽に戦争批判できる国もアメリカしかない!!

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戦火の勇気(1996年・アメリカ・117分)WOWOW

 監督:エドワード・ズウィック

 出演:デンゼル・ワシントン、メグ・ライアン、マット・デイモン

 内容:米軍大佐サーリングは、湾岸戦争で戦死した女性パイロットの死の真相を追う。ある者は彼女を臆病者と呼び、ある者は英雄として尊敬しており、彼は混乱するのだが・・・。

評価★★☆/50点

“胸にぎょうさん勲章付けていったい人間どのくらい殺したん・・。”

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クライシス・オブ・アメリカ(2004年・アメリカ・130分)DVD

 監督:ジョナサン・デミ

 出演:デンゼル・ワシントン、メリル・ストリープ、リーブ・シュレイバー、ジェフリー・ライト

 内容:湾岸戦争時、現在は政界で活躍するショー軍曹に命を救われたマルコと部下たちは、今だ戦争の悪夢に悩まされていた。原因を調査したマルコは、自分たちがマインドコントロールされていたことに気付く・・・。

評価★★★/60点

ヤバイ、ふ、冬彦さんが頭にこびりついて離れなくなった・・・。メリル・ストリープはさながら野際陽子か。。

でも、こういうのってX-ファイルで何回も見た気がするんだけど。

様々な方面に外敵を求めてきたハリウッドが次にめっけたのは、多国籍企業か。。

2016年6月 5日 (日)

夢のシネマパラダイス141番シアター:ミッション・インポッシブルシリーズ

ミッション:インポッシブル

Missionimpossible 出演:トム・クルーズ、ジョン・ヴォイト、エマニュエル・ベアール、ジャン・レノ

監督:ブライアン・デ・パルマ

(1996年・アメリカ・110分)仙台第1東宝

評価★★★★/75点

内容:極秘スパイ組織IMFのメンバーであるイーサン・ハントたちは、東欧に潜入しているCIA情報員のリストを盗んだアメリカ大使館員と情報の買い手を捕らえる指令を受けた。しかし、作戦はなぜか敵に筒抜けで、メンバーの数人が銃弾に倒れてしまう。辛くも逃れたハントはIMFに内通者がいることを聞かされ、今回の作戦がそれを暴くために仕組まれたものであることを知るのだが、、、。

“「クレアの味を知っているからねぇ・・・」このエロ親父

ジョン・ヴォイトのイヤらしい目が脳裏から離れない。。セクハラ親父でっせどう見ても。

しかもエマニュアル・べアールに手を出すなんて。うう・・考えただけでも・・・。ていうか妄想すんなオレ・・

マックスばあさんの方がお似合いだろうがよ。。

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M:I-2(2000年・アメリカ・124分)DVD

 監督:ジョン・ウー

 出演:トム・クルーズ、ダグレー・スコット、サンディ・ニュートン、ビング・レイムス

 内容:休暇を楽しむイーサン・ハントにまたもや指令が下る。それは、ロシアの医学博士が開発した、感染後約30時間で人間の赤血球を破壊する殺人ウイルスの行方を探し出せというものだった・・・。

評価★★★☆/70点

“あまりにもジョン・ウーの独特な映像美が強すぎて、映画のもつスリルにハラハラドキドキできない。ルーサーに比べたら観てるこちら側のスリル感なんてちっぽけなもんだ。”

ライトバンの中にこもってモニター見ながらイーサン・ハントのバックアップをする男、ルーサー。

イーサンが何を好き勝手しようがモニターを見てただ待つしかない男、ルーサー。

「敵がそこまで来ているーーッ!」「おい、あと19秒しかないぞーーッ!」「10、9、8、7、6、、、急げーーッ!」・・・ただ叫び伝えることしかできない男、ルーサー。

爆弾まで仕掛けられてしまう男、ルーサー。

浮いた話が全くない男、ルーサー。

そのくせ実はけっこうイイ奴、それがルーサー。

心拍数上がりまくりで、強心臓じゃないと耐えられない精神的重労働に文句一つこぼさず務める男、ルーサー。

Part3にも出てほしい男、ルーサー。

はたしてPart3まで心臓もつのかな・・・。

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M:i:Ⅲ

061117_mi3_dvd 出演:トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ヴィング・レイムス、マギー・Q、ローレンス・フィッシュバーン

監督:J・J・エイブラムス

(2006年・アメリカ・126分)2006/08/03・MOVIX仙台

評価★★★★/80点

内容:看護士ジュリアとの結婚を控えるイーサン・ハントは、一線を退いて教官としてスパイの育成に務めていた。そんなある日、イーサンのもとに新たなミッションが届く。教え子である女性エージェントのリンジーがベルリン潜入中に、闇ブローカーのオーウェン・デイヴィアンの組織に拘束されてしまったのだ。さっそくイーサンは、同僚とともに救出へ向かうのだが・・・。

“ヤル気満々ハイテンションフルスロットルで疾走するトム・クルーズにジャッキーの幻影を見た!”

上海の裏町をラン・ローラ・ランも真っ青の全力疾走、ビルからビルへスパイダーマンも真っ青の大ジャンプからカリオストロのルパンも真っ青のビルの壁面直滑降。

ここだけ聞けばジャッキー・チェンの映画としか言いようがないのだけど、開けてびっくり見てびっくり、ヤル気満々のトム・クルーズが必死の形相で世界を股に息もつかせぬ熱血体当たり演技を120分にわたって繰り広げる本気度120%のサスペンスアクションになっていたのだ。

断じてこれはスパイ映画とは呼べないシロモノだが(笑)、しかしミッション・インポッシブルシリーズでは1番出来の良い作品だといえよう。

1作目の裏切りサスペンスネタをより洗練させ、2作目の「24」ばりのタイムリミットネタとハードアクションをよりスピーディかつ派手にしたことで、前2作がそれぞれシンプルかつバージョンアップした上でうまく融合された形となった。

また、“ラビットフット”と呼ばれる世界を破滅に導く武器名としか分からないシロモノが、いわゆるマクガフィンとして映画のサスペンスと緊張を持続させる道具として効果的に用いられている。

結局最後までラビットフットとは何だったのか詳しく明かされることはなかったが、そのことが全く気にならないほど映画としての完成度は高い。これほどマクガフィンがうまく活かされている映画というのは近年では稀ではないだろうか。

J・J・エイブラムスの確かな手腕を見出せる作品だった。

しかし、、、イーサンの奥さんのド素人とは思えない銃さばき・・・まさか奥さんもどっかの秘密組織に(笑)!?

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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

Img_579923_22207219_0 出演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、ポーラ・パットン、ミカエル・ニクヴィスト、ジョシュ・ホロウェイ、レア・セドゥ、トム・ウィルキンソン、ヴィング・レイムス、ミシェル・モナハン

監督:ブラッド・バード

(2011年・アメリカ・132分)盛岡フォーラム

内容:ロシアで核テロを目論むコードネーム“コバルト”という人物の情報を入手する任務についていたイーサン・ハントだったが、その最中クレムリンで爆破事件が発生。その容疑がイーサンのチームにかけられてしまう。米国大統領は政府の関与を否定するべく“ゴースト・プロトコル”を発令、イーサンらはIMFから登録を抹消されてしまう。後ろ盾を失ったままイーサンたちは孤立無援のミッションの遂行を余儀なくされる・・・。

評価★★★★/80点

デビューから30年、常にハリウッドのトップランナーとして君臨してきたトム・クルーズ。

考えてみれば30年間ヒット作を絶え間なく出し続けるということがどれほどスゴイことか、例えば音楽シーンなんかを見てもそうめったに出来ることではない。

ではどうやってヒット作を生み出しつづけてきたのか。それは時代のトレンドを捉え貪欲に自分の可能性にチャレンジし進化してきた証なのだろう。それが大スターであり続けるゆえんなのだ。

それをふまえていえば、ミッション・インポッシブルのテーマは“挑戦”、“既成概念を打ち破る発想”、“不可能を可能にする”というものであり、それはそのままトム・クルーズという役者そのものを言い表しているともいえると思うのだけど、ミッションシリーズ4作目となる今回はその衰えを知らぬ飽くなきエンタメ魂を身をもって体感できた気がする。

なにより地上828メートルの壁面に余裕でへばりついているだけでも高所恐怖症の自分からするともの凄いことなんだけどw、映画そのものの方も東西冷戦の古典的対立構図の象徴であるクレムリン爆破というプロットで度肝を抜いたかと思えば、大仕掛けの“だるまさんが転んだ”で笑いをとり、趣向をこらしたスリリングなアクションがこれでもかと続くあれよあれよという間の130分は新鮮な驚きと面白さに満ちあふれている。

最大のポイントは、今まではイーサン・ハントの個人能力を活かした一人舞台という色合いが濃かったのが、今回はチームワークを活かしたアンサンブルに切り替わっていて筋立てに幅が出ていることにあるといえる。

しかも、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、ポーラ・パットンというチームメンバーがみんなユニークで、コミカルなドタバタ劇風に味付けされているのも大きな強みだ。

ジェレミー・レナーが過去の事件で心に傷を抱えハントに負い目を持っていたり、ポーラ・パットンは恋人のエージェントを女殺し屋に殺されて復讐心を抱えていたり、サイモン・ペッグは、、相変わらずボケまくりだけどw、キャラクターの背景がしっかり作りこまれていて、それをベースに映画が構築されている。その点でキャラ立てのクオリティに関して常に120点満点を与えられるピクサーアニメ出身のブラッド・バードは初実写映画でもさすがの手腕を発揮している。

1作ごとにメンバーを入れ替えているイーサンのチームだけど、ぜひとも次回作もこのメンバーでやってもらいたいものだ。

しかし、女暗殺者のレア・セドゥ。ブルジュ・ハリファから突き落とすにはもったいない美人さんだったなぁ・・

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ミッションインポッシブル/ローグ・ネイション

Poster2出演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴィング・レイムス、アレック・ボールドウィン

監督・脚本:クリストファー・マッカリー

(2015年・アメリカ・131分)盛岡フォーラム

内容:イーサン・ハント率いるIMFは、世界各地で事件を引き起こす謎の組織“シンジケート”を追っていたが、情報が洩れて逆にイーサンが囚われの身になってしまう。さらに、CIA長官によってIMFが解散を命じられ、CIAに吸収される事態に。そんな中、イーサンは謎の女スパイ・イルサに助けられ窮地を脱出、バラバラになったメンバーに秘かに接触し、シンジケートを暴くべく動き出すが・・・。

評価★★★★/80点

離陸する軍用機の機体にしがみつくオープニングショットからラストのソロモン・レーン捕縛作戦に至るまでジェットコースター感覚の行き着く暇もない怒涛のアクションシークエンスで成り立っている映画なんだけど、アクションがそれ別個に逸脱して存在するのではなく、ストーリーラインにしっかり乗っかった上で不自然さや違和感のない流れになっているところがこの映画のスゴイところ。

要はアクションのために物語があるのではなく、物語のためにアクションがあるといえるのだけど、アクション映画でそれを形成できるというのはそうそうあるものではない。

ではこの映画の稀有なバランス感覚は何に由来するのか、と考えると1番大きいのはIMFチームメンバーの強固なキャラクターと絶妙な立ち位置のバランスにあったのではないかと思う。

これまでのシリーズの作品はイーサンの個人プレイだけで場を醸成してきた感が強く、まぁ前作あたりからチームプレイも大切にしてきてはいたのだけど、今作でそれが確立されたかんじ。

オラオラ感の抜けたイーサン、ボケ担当ベンジー、堅物ブラント、古株ルーサー、謎の美女イルサとまるでルパン三世一味を思わせるバランスの良さで、うまく緊張と緩和が生み出され観客を飽きさせることがない。特にベンジー(サイモン・ペッグ)はMVP級だった。

あとはここに銭形警部が加われば完璧なんだけど、アレック・ボールドウィンはイマイチちょっとなぁw

ともかくこのベストな布陣プラスアルファで次作も臨んでほしいところ。チームメンバーにファミリー感を取り入れたことで進化を遂げたワイルドスピードシリーズに追随する流れになっていけばいいけどね。

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(おまけ)

ナイト&デイ

Knight001590x873 出演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ピーター・サースガード、ヴィオラ・デイヴィス、ポール・ダノ

監督:ジェームズ・マンゴールド

(2010年・アメリカ・109分)WOWOW

内容:妹の結婚式のためボストンへ向かおうとしていたジューンは、空港でロイと名乗る男と出会う。機内でも近くの席になり、ナイスガイな彼の笑顔に浮かれるジューンだったが、これが彼女の人生を変える出会いになるとはこのときは知るよしもなかった。ふと化粧室に行って戻ってくるまでは・・・。

評価★★★/60点

ジェイソン・ボーンシリーズをはじめとする00年代のストイックなスタイリッシュアクションのすっかりお得意様になってしまったオイラからすると、今回の80年代臭がプンプンするお気楽アクションの大げさなノリはなかなかなじめず、アドレナリンのかわりに眠気が襲ってきてしまった・・。

とはいえ、寄る年波をものともしない中年オジサンとオバサン、いやお姉さんwの魅力は幾分も減退しておらず、2人のスター性はスクリーンにMAXに焼きついている。

ちょっとお姉さんのしわが増えたかな、、とは思ったけど(笑)、お茶目な天然ボケ姿はやはりキャメロンの真骨頂であり、どこまでも颯爽なトムはトムでありつづける。

そんな2人に陰のあるシリアスさは似合わない。明朗な能天気アクションであればこそ、この2人の魅力が生きるのだとストンと納得!

、、、で、一体誰と戦ってたんだっけ!?

と思うくらい2人しか印象に残ってないてのもある意味スゴイよねww

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(番外編)

ワルキューレ

A5efa5eba5ada5e5a1bca5eca1a1c9bd 出演:トム・クルーズ、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、テレンス・スタンプ

監督:ブライアン・シンガー

(2008年・アメリカ・120分)WOWOW

内容:第二次大戦下、アフリカ戦線で左目を失い奇跡の生還をはたしたシュタウフェンベルク大佐。ヒトラー独裁政権へ反感を抱いていた彼は、ドイツ軍内部の反ヒトラー勢力の一員になる。そして、彼はヒトラー暗殺後、ベルリンの予備軍によって政権及び国内を掌握するクーデター計画“ワルキューレ作戦”を立案、暗殺の実行も任されることになるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

先日テレビで42回もヒトラー暗殺は企てられていたというのをやっててビックリ仰天しちゃったんだけど、ていうか42回も失敗し続ける確率って、どんだけ悪魔に魅入られた男だったんだヒトラーは・・・。

結局、ヨーロッパ全土を火の海にしたあげく自ら命を絶ったわけだけど、今回の映画は歴史に「ifもしも・・」があるならば、と思わず考えてしまう作品になっている。

軍や警察、政治の中枢にまでネットワークが及ぶ反ヒトラー組織があったというのは目からウロコだったし、歴史的事実として暗殺計画が失敗に終わることが分かっている中で緊張感の途切れることのない演出に引っ張られて最後まで見入ってしまった。

ただ、微妙なボタンのかけ違いから計画が破綻していくプロセスを見るのは、まるで完全犯罪が崩れていく犯罪ドラマを見ているかのようなのだけど、そこにはシニカルな視点もなければ破滅の美学もない。

かといって血生臭さもなければ悲壮感が漂うわけでもなく、いたってシンプルな娯楽サスペンスにしか見えない軽さは、この手の映画ではいかがなものかとも思うけど、まぁ面白ければいいのか・・ww

まぁ、たしかにスーパーヒーロー、トム・クルーズに悲壮感なんて似合わないしな。

彼が銃殺されてしまうラストにはド肝を抜かれたけど、悲壮というよりはやっぱ美しくてカッコ良くて様になるんだよね。

そういう点では、トム・クルーズが大石内蔵助をやってる忠臣蔵を見ているような感覚とでも言えばいいのかな。。秩序だった存在感のある安定したエンタメ作だったとは思う。

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