夢のシネマパラダイス354番シアター:オトコとオンナのキワドい生態
さよなら歌舞伎町
出演:染谷将太、前田敦子、イ・ウンウ、ロイ、我妻三輪子、忍成修吾、大森南朋、松重豊、南果歩
監督:廣木隆一
(2014年・日本・135分)WOWOW
内容:歌舞伎町のラブホテルのある一日を描いた群像劇。店長の徹は、ミュージシャン志望の恋人・沙耶に一流ホテルマンと嘘をついていた。ある日、AVの撮影隊の中に妹・美優の姿を見つけて唖然。さらに、沙耶が音楽プロデューサーと枕営業でやって来て・・。彼氏に内緒でデリヘル嬢をしている韓国人ヘナは、不法残留で帰国が迫る中、最後の出勤日にホテルにやって来る・・。時効間近の指名手配犯と暮らしている清掃係の里美は、不倫相手の同僚とホテルにやって来た女刑事に気付かれてしまい・・。
評価★★★/65点
R15指定のラブホ舞台の映画に前田敦子が出ているくらいの前知識しかない中、前田敦子が脱ぐわけないよなと思いつつ半分色物目当てで見始めたのだけど、彼女以外脱いでたってオチ・・(笑)
枕営業で脱がないってのは5組の群像劇の中でもそこだけ上っ面なかんじで、じゃあ最初から出るなよって話なんだけど、あるいはラブホに勤める従業員役に配した方が同じ客寄せパンダといってもまだ意義があったように思う。
その点、韓国人のデリヘル嬢イ・ウンウの体当たり演技は特筆もので、ただの深夜ドラマレベルからしっかりと映画に昇華してくれた最大要因だったと思う。
まぁ、脱ぐ脱がないがどうこうってわけじゃないけど、モラルな日常から逸脱した猥雑な何でもあり空間を定点観測するという中で、大事なのは男より女をどう描くかってことにかかってくると思うんだよね。
要は、触覚と嗅覚が男より何倍も強い女の方が動物本能の原始的なところが脈々と生きてるわけで、女性性の神秘的なところと生活力の強さが共存している女の方がやっぱ魅力的なはずなんだよね。そこをイ・ウンウはしっかり表現できていたってこと。
その点でチョイ役(といっても主演として宣伝してたようだが)といってもやはり前田敦子を当事者役に配したのは場違いだったと思う。
あとは正直いって長い(笑)。2時間以内に収めてくれればまだ中途半端な印象が減ったような気がする・・。
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アイズ ワイド シャット
出演:トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、シドニー・ポラック、トッド・フィールド、マリー・リチャードソン
監督・脚本:スタンリー・キューブリック
(1999年・アメリカ・159分)WOWOW
内容:ニューヨークに住む内科医ビルとその妻アリスは、何不自由ない暮らしを送っていた。が、ある日、妻の口から語られた過去の不倫願望を聞いたビルは次第に心のバランスを崩していき、性の妄想に憑りつかれていく。そしてある夜、ビルは旧友の紹介で仮面乱交パーティに赴くのだが・・・。キューブリック監督の遺作。
評価★★★/60点
“結局最後まで一度もヌケなかったトム・クルーズに憐れみの一票”
実夫婦だったトム・クルーズ&ニコール・キッドマンのプライベートな夜の秘め事を覗けるという好奇の目が先についてしまったのが正直なところだったけど、その点では2人の絡みは数えるほどもなく大いに肩すかし(笑)。
さらに中身の方も、性の妄想にとらわれた夫の彷徨の果ての破滅というプロットは、ブライアン・デパルマあるいはロマン・ポランスキーに撮らせた方が良かったのでは、、とも勘繰ってしまった。まぁ、誘ってくるのは必ず女性の方という様々な刺客に見舞われながら心の身ぐるみをはがされていくリアクターとしてのトム・クルーズを見るのも一興ではあっただけに、その願望はより一層強まったともいえる。
しかし、じゃあこれ誰が撮ったかと言われたら疑いもなくキューブリックだといえるほど入念かつ流麗な演出に支配されていて、見ている間は2時間40分の長尺も冗長だとは微塵も感じなかった。
特にクラシック音楽の使い方は毎度ながら完璧で、ピアノの不協和音が主人公の内面描写を増幅させていて映像に深みを持たせていたと思う。
ただ、見終わった途端に、長っげぇーってグッタリしたけどね。
ラストの妻の言葉も「市民ケーン」の“バラのつぼみ”に通じるかんじではあったけど、いちいち映画にすんなやとも思ってしまったw
でもこれってフツーに撮ってたら1時間は短くできるよね
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愛の渦(2014年・日本・123分)WOWOW
監督・脚本:三浦大輔
出演:池松壮亮、門脇麦、新井浩文、滝藤賢一、三津谷葉子、中村映里子、柄本時生、窪塚洋介、田中哲司
内容:都心のとあるマンションの一室。そこは、見知らぬ男女が集まってセックスを楽しむ乱交パーティ会場だった。集まってきたのは内気そうなニートや真面目そうなサラリーマン、地味な女子学生やOLなど男女8人。全員バスタオル1枚の姿で、いかにも気まずい空気が漂うが、店長のルール説明が終わると、次第に性欲と本性が露わになっていき・・・。
評価★★☆/50点
エロ動画でマジックミラー号シリーズという企画ものがあって、個人的にいつもお世話になっている(笑)。何を言ってるんだオレは・・・
トラックの荷台がマジックミラーになっていて、外からは見えないけど中からは外が丸見えで、その一室で初対面の素人男女がエッチするっていう。あたかも外から丸見えであるかのような羞恥心と初対面のぎこちなさが次第に興奮と快感に凌駕され我を忘れていく様がたまらないんだよねってだから何を言ってるんだオレは・・・ww
でまぁ、この映画もそういう目線で見始めるしかなかったわけでw、しかし、もちろん作り手の力点は身体の交わりよりもデリカシーゼロの乱交空間においてさらけ出される赤裸々な人間関係にあったと思うんだけど、なんだろなぁ、、最後までゴム付けてるような安心感に覆われていて、定型の域を出ないカミングアウト大会で終わってしまったというか・・。もっと見てるこちら側まで不穏にさせ興奮させるような破綻めいた突き抜け感のある心理劇をこそ見たかった。
映画のラストで門脇麦が「あそこにいた時の私は本当の自分じゃないんだと思います」と言うのに対し、池松は「僕はあそこにいたのは本当の自分だったと思います」と言うそのギャップにフォーカスをもっと当てるだけでもかなり違ったと思うんだけど・・・。
まぁ、終わってみれば門脇麦の絶叫と、保母さんはスケベが多いっていうトリビアしか頭に残らない映画だったね
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トーク・トゥ・ハー
出演:ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、レオノール・ワトリング、ロサリオ・フローレス
監督:ペドロ・アルモドバル
(2002年・スペイン・113分)DVD
評価★★★/60点
内容:交通事故で昏睡状態となり、4年間眠り続ける清楚なバレリーナ、アリシアと、そんな彼女を慈しみをこめて毎日語りかけながら介護する看護士のベニグノ。一方、女性闘牛士のリディアも競技中の事故で昏睡状態に陥る。彼女の恋人でライターのマルコは悲嘆にくれるが、ベニグノとそれぞれの愛する者への切ない想いを共有するうちに友情が芽生え始める。しかし・・・。
“問答無用でブタ箱へ行ってらっしゃい!”
例えばベニグノがアリシアを犯しているシーンを描いたらどうなっちゃうわけ?
神様のご加護で子供を授かりましたといううわべとは全く次元が違うだろこれは。けなげに世話してけなげに孕ませ、、、ってそんなん通用しねえよ。
問答無用のギルティ!ブタ箱経由施設行きです。
なんだろう、障害者施設やら養護学校で頻発しているいかがわしい事件を新聞やニュースで見たときの不快感やらキナ臭さやらと同じものを感じてしまった。。
人間というよりモノとしてしか見てないんじゃないのああいうことする奴ってのは。ベニグノにもそういう気や要素は見られたしね。
ま、★3っつで思いとどまらせただけでも良しとしなさい。
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橋の上の娘(1999年・フランス・90分)NHK-BS
監督:パトリス・ルコント
出演:ヴァネッサ・パラディ、ダニエル・オートゥイユ、ニコラ・ドナト
内容:男から男へと渡り歩き、すぐ捨てられてしまう人生に絶望したアデルは、セーヌ川に身を投じようと橋の上に立っていた。そんな彼女を、ナイフ投げの曲芸師ガボールが、“的”としてスカウトする。やがて2人はツキを呼び込み、行く先々で喝采を浴びるが・・・。名もない橋の上で運命的に出会った男女の、奇妙でストイックな愛の行方が独特のモノクロームの世界の中で綴られていく。
評価★★★★/80点
“おとぎ話とホラ話の間に架かっている橋の上から見事現実に飛び降りたオチ方は評価できる。”
「男はドレスと同じ、、、どうしても試着したくなるの」だってよオイオイオイオイ!!パトリス・ルコントこのヤロー。。
このアデルの台詞とシーンがいっちばんリアルでエロかった。
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若者のすべて(1960年・イタリア・118分)NHK-BS
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:アラン・ドロン、アニー・ジラルド、レナート・サルヴァトーリ
内容:イタリア南部の町からやって来たパロンディ一家は、大都市ミラノに希望を託して移住してきた。次男のシモーネはボクサーとなって頭角を現したが、次第に娼婦のナディアにのめり込んで落ちぶれていく。やがてナディアは三男のロッコと愛し合うようになるが、嫉妬に狂ったシモーネはロッコの目の前でナディアを犯してしまう・・・。
評価★★★☆/70点
“もしオレだったら、刺す!”
ナディアを目の前で犯したシモーネを我が愛しのレアル・マドリーの名に賭けて、刺す。んでナディアを正真正銘ものにする。なんじゃそりゃ・・・。
ヴィスコンティについては、そう多くの彼の映画を見てるわけではないのだけど、上流階級の退廃と崩壊を描いたときに彼の真骨頂が真っ向から発揮されると思う。
具体的には「山猫」以降ということになるのだろう。この「若者のすべて」は「山猫」直前の作品なんだよね。たしか。
たださっき上流階級を描いたときにヴィスコンティの真骨頂-それはプライドと血統そして監督の鋭利な視線-が発揮されると書いたけど、別に「山猫」以前の作品が一段落ちるということではないのであしからず。また別な凄みを生み出しているといえるのではないかな。
この「若者のすべて」においては、職にもありつけないような、上流階級とは程遠い下層階級の家族の物語なのだけど、にもかかわらずどうしても確実にヴィスコンティの視線、すなわち名門貴族一家の息子ヴィスコンティの誇り高い視線が注がれてしまうのです。特に人物像。
そしてここに不完全要素がもやもやと映画全体に生み出されてくるわけで。
誇り高く完全主義のヴィスコンティと不完全要素の現出とのアンバランス。
それが何とも言いようのない凄みを出していたと思う。なんだか凄いんだよホント。うまく言葉が思い浮かばないんだけど。
話のプロットが凄いということでは全くなくて、、、でも映画として凄いのよ(笑)。うーん・・・。
10年後に自分がもっと成熟してたときにまた見るべきかな。
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インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994年・アメリカ・123分)盛岡フォーラム1
監督:ニール・ジョーダン
出演:トム・クルーズ、ブラッド・ピット、アントニオ・バンデラス、クリスチャン・スレーター
内容:バンパイアとして生きる美青年の数奇な運命を描いたロマンティック・ホラー。
評価★★★☆/70点
“この映画を見たことによって、あるいはトム・クルーズがN・キッドマンの首すじに咬みつく練習をしていたという話を聞いて、自分も恋人or奥さまの首すじを咬んだ、あるいは咬まれた、あるいはヴァンパイアプレーに耽ったことがある方は正直に手を挙げてくださいまし。”
ルイがあなたを探していますよ♪
フッ、もちろんオイラは、、、って何を言わせんねん!言わずもがなに決まっとるやないけ(笑)。
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オール・オブ・ミー/突然半身が女に(1984年・アメリカ・88分)NHK-BS
監督:カール・ライナー
出演:スティーブ・マーティン、リリー・トムリン、ヴィクトリア・テナント
内容:楽団のギタリストとの二足のわらじで、出世街道とは無縁の弁護士ロジャーは、死にかけた大富豪の女主人エドウィナの遺言の件を担当することになる。早速屋敷を訪れると、彼女は今まさに死の床にあった。と、エドウィナはインドの妙な霊術に傾倒していて、その導師ブラガが「転生輪廻」の呪文を唱えるが、ひょんなことから彼女の魂がロジャーの右半身に乗り移ってしまい・・・。
評価★★★★/80点
“その日、ネットでググらなければ一生見ることはなかったであろう笑撃作!!”
同じ弁護士つながりで真っ先に挙がるであろうジム・キャリーの「ライアーライアー」と双璧をなすぶっ飛びコメディかも。
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