夢のシネマパラダイス3番シアター:ゴーンガール
ゴーン・ガール
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キム・ディケンズ、キャリー・クーン
監督:デヴィッド・フィンチャー
(2014年・アメリカ・149分)盛岡フォーラム
内容:ミズーリ州の田舎町。熱烈な恋愛のすえに結婚して5年目になるニックとエイミー。ところが結婚記念日に、エイミーが忽然と姿を消してしまう。居間には争った形跡があり、キッチンからは大量の血液反応が出る。エイミーの母親が執筆した「アメイジング・エイミー」というベストセラー小説のモデルでもあった彼女の失踪事件は全米の注目を集め、連日マスコミが殺到し大騒動に。そして、次第に夫ニックに疑惑の目が向けられていくが・・・。
評価★★★★☆/85点
三十路も半ばになったのに結婚のけの字ほども浮いた話のない自分にとって、結婚とは空想のはるか地平の彼方にあるものだった。しかも、その夢想は多分に幸福に満ちた理想的なものだったのだけど、この映画を見て甘いロマンはものの見事に打ち砕かれた。
恋愛中は恋のアドレナリンで許されていた、相手が求めるような恋人でいるための自分を盛る演技が結婚後薄れてきて素の自分に戻ったときに、理想と現実のギャップに耐えられないとどんなに相性が良くても破綻に向かってしまう。その分岐点は大体結婚4,5年目で、それを乗り越えるにはお互い憎み支配しようとし傷付け合う結婚生活がもたらす負の感情に気付かないふりをして、仮面をかぶって演じ続けなければならない・・・。
結婚とは、まさに義務と演技に偽られた苦行に他ならないのだ、と。。
って、結婚怖えぇーッ!
自分が結婚しない理由は「ゴーン・ガール」を見てしまったからだと言っても通用しそうなくらい強烈な毒気を持った映画だった。
また、世界まる見え特捜部だったかアンビリバボーだったかでネタ元になった事件を取り上げてたのが記憶の片隅にあって、たしか妻は殺害されたんじゃないっけと思いながら見てたから、中盤でのまさかのネタばらしには仰天したし、その後の展開も妻エイミー(ロザムンド・パイク)が「セブン」のケビン・スペイシーのように最後自殺してミッションコンプリートという後味の悪いオチを想像していただけに、さらに捻りをきかせた背筋震えるブラックな結末にさらに仰天。
これだけスペクタクルな起承転結は見たことない(笑)。
しかし、あとはなんといってもエイミーを演じたロザムンド・パイクに触れないわけにはいかないだろう。
完璧な妻を演じている時の知的で清楚でエレガントな美しさと品の良さを合わせ持ったエイミーと、逃亡中の色気ゼロのすっぴん姿でジャンクフードをがっつき、タバコすっぱ~なメタボおばさんエイミーという正反対なキャラを文字通り完璧に体現していることが、この映画の成功を決めたといっていいだろう。
また、同じ美しさでも、旦那に殺されるかもしれないことに怯えるいたいけな良妻と、完全犯罪計画を告白した後の図太い悪妻をも演じ分けてみせるわけだから、そのギャップも余計に怖いんだよね
そして、その180度異なる印象がそっくりそのままオープニングとエンディングの同じカット(頭をなでる旦那を上目遣いで見るエイミーのクローズアップ)につながっているわけで、またまたデヴィッド・フィンチャーにしてやられたというか潔く白旗宣言といったところw
ロザムンド・パイクの今後のキャリアもめちゃ気になるところ。なんか彼女ってハリウッド女優で最も好きなグウィネス・パルトロウと同じ系譜だなぁと感じたんだけど、考えてみればグウィネスもデヴィッド・フィンチャーの「セブン」で一躍脚光を浴びたんだよね。となるとロザムンド・パイクもここからグググッと来るのかな。
自分の完全犯罪計画がトントン拍子で進んでテンションが上がった時のエビ反りジャンプが頭から離れない
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運命の女
出演:リチャード・ギア、ダイアン・レイン、オリヴィエ・マルティネス、チャド・ロウ
監督:エイドリアン・ライン
(2002年・アメリカ・124分)MOVIX仙台
評価★★★★/75点
内容:夫と子供と幸せに暮らしていたコニーは、街で出会った魅力的な男性に誘惑され、情事に溺れてしまう。妻の裏切りを知り、夫は嫉妬と愛の狭間で揺れ動くが、やがて事態は思わぬ方向へと向っていく・・・。
“夫の不倫にドラマはないが、妻の不倫にドラマは生まれる。”
もしドラマが生まれたとしても男の場合は初めから底が見えている。しかし、女の場合は底が見えない。だから面白いのだと思う。
夫の不倫や浮気は、欲望と下半身の突発的な暴走という型通りの文句で片付けられてしまいがちだが、妻の不倫となると話は違ってくる。
欲望の狭間に常に理性との葛藤が揺れ動いているわけで、それでも火照った体をもうどうすることもできなくて、道路のポールをなぎ倒しながら年下男の部屋を求めて車を爆走させるところなんかは妙にリアルで見応えがあるし見入ってしまう。
また、妻に疑惑の目を向け、妻の秘密を知ってしまう真面目で誠実な夫の焦燥と傷つきと怒りという葛藤と苦悩も新鮮で見応えがある。
それを見事に演じきったリチャード・ギア&ダイアン・レインからはイイ大人の香りが漂ってきそうだ。
最初は妻の視点で進み、次に夫の視点、最後に夫婦の視点に収束させる展開も自然でヨロシイ。
不倫というありふれた題材を官能だけで終わらせることなく、満ち足りた家庭にひょんなことからポッカリ開いてしまった落とし穴と、夫婦の葛藤をリアルに切り取ってみせたことが逆に大胆かつ新鮮に見えて個人的には面白かった。
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危険な情事(1987年・アメリカ・120分)NHK-BS
監督:エイドリアン・ライン
出演:マイケル・ダグラス、グレン・クローズ、アン・アーチャー、スチュアート・パンキン
内容:弁護士のダンは妻と娘の留守中に、取引先の出版社で働く女性アレックスと一夜を共にする。ダンの方は一夜の浮気のつもりだったが、彼女はしつこくダンにつきまとい、やがて異常な行動で彼の家庭を崩壊の危機にさらし始めた・・・。アレックスに扮したグレン・クローズの狂気に満ちた演技が話題に。
評価★★★☆/70点
例えばマイケル・ダグラスの役を石田純一と考えてみれば、いかにこの男が救いようのないダメ男かというのが如実に分かろうというもの(笑)。グレン・クローズがストーカー女じゃなかったら、2人の情事は長く続いただろ。
だから例えば、グレン・クローズと奥さんがタッグを組んでマイケル・ダグラスをとっちめるとか。女性視点で撮ればまた別な展開になったんじゃないかな。
だって、これじゃただのエイリアンだもん(笑)。
しかも、とってつけたようなハッピーエンド。まぁ、長続きしないだろうけどね、あの夫婦・・・。
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シャレード(1963年・アメリカ・113分)NHK-BS
監督:スタンリー・ドーネン
出演:オードリー・ヘプバーン、ケイリー・グラント、ウォルター・マッソー、ジョージ・ケネディ、ジェームズ・コバーン
内容:ミュージカルの名手ドーネンが手掛けた、軽妙洒脱なミステリーコメディ。フランスのスキー場に来ていたレジーナは夫との離婚を決意し、そこで偶然知り合ったピーターというアメリカ人に心惹かれながらもパリに戻った。ところが、彼女の留守中に夫が殺されてしまう。夫は戦時中に25万ドルを横領し、そのトラブルがこじれて殺されたらしい。葬儀に現れた見知らぬ3人の男も次々と殺されていった。レジーナは事件に絡んでいるらしいピーターを犯人ではないかと疑い始め・・・。
評価★★★/65点
“こんな007もいいかも。。”
数年前友人のパーティで、リンゴを手を使わずに相手に渡すゲームをやったところ、ぎっくり腰になったことがある自分・・・。
映画ではオレンジだったね。
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ミザリー(1990年・アメリカ・108分)NHK-BS
監督:ロブ・ライナー
出演:ジェームズ・カーン、キャシー・ベイツ
内容:ロマンス小説を書くベストセラー作家のポールは、出版社に向かう途中、事故を起こし気を失ってしまう。それを助けたのは彼のナンバーワン愛読者を自称する中年オバさんのアニーだった。新作でポールは主人公のミザリーを死なせるが、原稿を読んだ熱狂的ファンのアニーは執拗に書き直しを迫っていき・・・。童女のような可愛らしさから一変、冷酷な狂女と化すアニーを演じたK・ベイツがアカデミー主演女優賞を受賞。
評価★★★★/80点
“最凶ヘルパーの最凶介護計画!”
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