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2016年3月28日 (月)

夢のシネマパラダイス573番シアター:ワイルドスピード

ワイルド・スピード

009  出演:ポール・ウォーカー、ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター

監督:ロブ・コーエン

(2001年・アメリカ・107分)DVD

内容:ドミニクはストリートレースに全てを賭け、あらゆる挑戦者を打ちのめし君臨するカリスマ・レース狂。しかし、そこへ新たなレーサー、ブライアンが登場。彼はロサンゼルスで頻発している連続トラック・ジャック事件を追う若手潜入捜査官だった。。

評価★★★/65点

潜入捜査の葛藤や緊張感など完全スルーのアクセル踏み続けの車バカ映画なのだけど、みんな真っ正直に車バカなので気楽に楽しめてしまう。

しかも、ワル番長ドミニク(ヴィン・ディーゼル)が実は妹と仲間思いのめっちゃイイ奴なのもポイント高しで、人の良さが目ににじみ出ちゃってるのが笑えるw

カーアクションもワイルドかつスピード感たっぷりに撮られていて及第点。

日本車が多いのも良かったね

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ワイルド・スピード×2(2003年・アメリカ・108分)WOWOW

 監督:ジョン・シングルトン

 出演:ポール・ウォーカー、タイリース・ギブソン、コール・ハウザー、エヴァ・メンデス

 内容:潜入捜査中に犯人を逃がしたことで警察官を辞め、ストリートレースに身を投じていたブライアン。そこに、再び囮捜査の依頼が舞い込む。彼は信頼する天才ドライバー、ピアースとともに巨悪に挑んでいく。なぜか日本車ばっかりの爆走レースは必見!

評価★★★/60点

ヴィン・ディーゼルがいなくなったことにより続編としての魅力が減退しているのはたしか。

敵役もヌルいし、安っぽいバディムービーになり下がってしまった感が・・。

しかし、ニトロ注入していくらブッ飛ばそうが、ドでかいネズミが腹に注入される恐怖に比べたら屁みたいなもんだなww

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ワイルド・スピード×3 TOKYO DRIFT(2006年・アメリカ・104分)DVD

 監督:ジャスティン・リン

 出演:ルーカス・ブラック、バウ・ワウ、千葉真一、サン・カン、北川景子

 内容:カリフォルニアの高校生ショーンは、大の車好きが高じてチューンナップした車を爆走させてたびたび警察の厄介になっていた問題児。が、ある日ついに大事故を起こしてしまい、少年院送りが確実となってしまう。それを逃れるため、ショーンは軍人の父親を頼って日本へやって来る。そこで彼は、日本が生んだ超絶技、ドリフトレースを初めて目の当たりにするのだった。。。

評価★★★/60点

“妻夫木の「GO!」をもう一回撮り直した方がいい。。”

軽っるぃーーんだもん、あの演技(笑)。

というのはさておき、ショーンが日本に着いた途端、駅の宣伝看板にM.C.ハマーが貼られているという時代錯誤など、いろいろツッコミどころ満載の日本描写だったけど、あたかも実際に渋谷で撮影したかのようなカーチェイスシーン(ロスで撮影し、渋谷の街をハメ込み合成しただけらしい)や首都高を疾走するシーンなど、カーアクションに関しては見所も多く、深く考えないで見れば普通に楽しめる映画になってはいる。

だって映画開始10分後の大クラッシュで、あれはどう見ても即死やろっていう(笑)。ノリで見ないとダメだなこれは。

あ、あと日本では180キロ以上のスピード出してる車は警察は追わないというのはホンマかいな。。

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ワイルド・スピード MAX(2009年・アメリカ・107分)

 監督:ジャスティン・リン

 出演:ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター、ジョン・オーティス、ラズ・アロンソ、サン・カン、ロン・ユアン

 内容:指名手配中の凄腕ドライバー・ドミニクが、ある人物への復讐を誓いLAに舞い戻ってきた。一方、FBI捜査官となったブライアンは、麻薬組織摘発のため潜入捜査をしていた。メキシコからのヤクの運び屋を選ぶストリート・レースに出場することになったブライアンはそこでドミニクと再会するが・・・。

評価★★★☆/70点

この後にメガヒット街道を邁進していくド級エンタメに大化けする端緒となったドミニクファミリー映画としてその雛形を提示した記念すべき1作。

7作中唯一見逃していたため最後に見ることになったんだけど、キャラクターや作劇に粗さはあるものの、ドミニクとブライアンの1作目のしこりがいまだに残っているビミョーなコンビ感など今となっては新鮮で感慨深く見れて楽しめた。

まさかレティがあんな早くに退場しちゃうとは思わなかったけど、これが後作の伏線になるとは誰も思わなかっただろうね(笑)。

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ワイルド・スピード MEGA MAX

Poster 出演:ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ジョーダナ・ブリュースター、ドウェイン・ジョンソン、タイリース・ギブソン、リュダクリス、サン・カン

監督:ジャスティン・リン

(2011年・アメリカ・130分)DVD

内容:ドミニクと彼の脱獄に協力した元FBI捜査官のブライアンたちはブラジル・リオに身を隠していた。が、彼らはそんな生活から抜け出し、もう一度自由を手に入れるべく、リオの犯罪王レイエスの財産を強奪するという無謀な賭けに出る。一方、ドミニク一味の逮捕に執念を燃やす捜査陣は、特別捜査官ホブスをブラジルに送り込む・・・。

評価★★★★/80点

W杯にオリンピックとメガ国際大会が連続してあるブラジル・リオにとって何らプラスになることはない映画であることはたしかだけどw、シリーズ中でも出色の出来であることは疑う余地がない。

悪党が家族愛に目覚めたあげく、大悪党をギャフンと言わせたる!というプロットは、名作「スティング」を想起させるといったら言いすぎだけど愉快痛快だし、単なるレーシング映画からメガ盛りの犯罪アクションに変貌を遂げている中で、カーアクションが添え物になるどころか、それに比例してメガ盛りになっているのも嬉しいところで、満腹感はハンパない。

総じて満足できる映画になっていると思う。

なにより、金庫破りで金庫をそのまま引っこ抜いて直接引きずっていくという、ATMをショベルカーでぶっ壊す奴も考えつかないバカ発想を力づくでやっちゃうのには目が点になってしまった。

そもそも10トンもの金庫を車2台で引っ張れるものだろうかとも思っちゃうけど

でも、超ド迫力映像を前にすると、ただただ納得する以外になくなってしまうし、ここまでくるともはや気持ちがイイ。

5作目にして最高傑作、、ってありえねーよ普通(笑)。

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ワイルド・スピード EURO MISSION

10_px280 出演:ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ドウェイン・ジョンソン、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター、タイリース・ギブソン、リュダクリス、サン・カン、ルーク・エヴァンス

監督:ジャスティン・リン

(2013年・アメリカ・130分)盛岡フォーラム

内容:元エリート軍人ショウ率いる国際犯罪組織を追うホブスは、ドミニクに捜査協力を要請する。渋るドミニクにホブスは、死んだはずの恋人レティがショウ一味に荷担していることを示す写真を見せる。一転してドミニクはブライアンたちを招集し、危険なミッションに挑むのだが・・・。

評価★★★★/75点

最初はただの暴走族がスピードに酔いしれるだけのカーアクションムービーだったのが、次第にクライムアクションへシフトしていき、スタイルもバディもの、チームものと来て、ついには家族愛を謳うまでに進化。

いまやド派手な総合エンタメアクションムービーと呼ぶにふさわしいビッグバジェットになった中で、今回は戦車にジャンボジェットと規格外のチェイスを繰り広げて、いったいどこまでスケールアップすれば気が済むんだというかんじ。

ゆくゆくは“ドミニクファミリー、地球を救う”なんてとこまで行っちゃいそうな予感

ってもう完全に正義のヒーローじゃんw

でも、6作も続くとキャラ立ちもルパン3世なみに強固になってきて、アクションや作劇はもうハードルが上がりきったかんじだから、キャラだけでも十分見どころがあるのは強みだね。

しかし、そんな矢先にポール・ウォーカー死去の報せが届き呆然

7作目の公開も決まったようだけど、この喪失を新たなサイクルの始まりとしてプラスに転じさせることができるように願うばかりだ。

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ワイルド・スピード SKY MISSION

21588971_8348出演:ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ドウェイン・ジョンソン、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター、タイリース・ギブソン、リュダクリス、トニー・ジャー、ジャイモン・フンスー、カート・ラッセル、ジェイソン・ステイサム

監督:ジェームズ・ワン

(2015年・アメリカ・138分)盛岡フォーラム

内容:前作でオーウェン・ショウ率いる国際犯罪組織を壊滅させたドミニクファミリー。しかし、そんな彼らの前に弟オーウェン・ショウの仇討ちに燃える兄デッカード・ショウが現れる。手始めに東京にいたハンを血祭りに上げたデッカードの予測不能の攻撃に、為す術もないまま窮地に陥っていくドミニクたちだったが・・・。

評価★★★★★/100点

ポール・ウォーカーが撮影中に不慮の事故で亡くなるという悲劇を乗り越えて完成にこぎ着けただけに情が入って評価も甘くなっちゃうけど、しかしそれを抜きにしても娯楽アクションとして最高の一級品だったと思う。

邦題の付け方が的を射ているように、フォーマットとしては完全にミッション・インポッシブルと化しているけど、本家がトム・クルーズのオレオレ感を前面に出しているのに比べて、こちらの方がチーム力を超える強靭なファミリーの絆を武器にキャストの一体感がより深く伝わってきて、映画の求心力を高めている。

また、7作目ともなると型にはまったカタログ映画になってしまうのがオチなのだけど、この映画のスゴイところは前作をしのぐ進化をいまだに遂げていること。

足かけ14年に渡るシリーズの蓄積がしっかり貯金となってキャラクターやストーリーに還元され進化の原動力になっていて、例えば車のスカイダイブやビルからビルへの大ジャンプはもちろんだけど、逆にドム(ヴィン・ディーゼル)とデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)の挨拶がわりのアクセル全開のガチ正面衝突とか、断崖絶壁へのフン転がしダウンヒルとかw、普通ならこれやったら冷めちゃうだろっていう掟破りも常識に転化させてしまう力があるんだよね。

あと、進化という点ではキャスティングのバージョンアップも大きかった。

現役バリバリのアクションスターであるジェイソン・ステイサムをドミニクファミリーを向こうに回して一人で無双ぶりを発揮する孤高の敵役に置いたことが最も大きいけど、脇にレジェンドのカート・ラッセル、さらにムエタイの超絶体技を“マッハ!!”で魅せるトニー・ジャーも配して、カーアクション&肉弾戦ともにお腹いっぱい

そんな腹十二分目のところにラストは涙まで添えてくれちゃって、、もう言うことなし。

マンネリズムとサプライズが高次元で結合している史上稀にみる快作シリーズの今後が楽しみで仕方がない。

夢のシネマパラダイス3番シアター:ゴーンガール

ゴーン・ガール

1413758667959_wps_17_gone_girl_post出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キム・ディケンズ、キャリー・クーン

監督:デヴィッド・フィンチャー

(2014年・アメリカ・149分)盛岡フォーラム

内容:ミズーリ州の田舎町。熱烈な恋愛のすえに結婚して5年目になるニックとエイミー。ところが結婚記念日に、エイミーが忽然と姿を消してしまう。居間には争った形跡があり、キッチンからは大量の血液反応が出る。エイミーの母親が執筆した「アメイジング・エイミー」というベストセラー小説のモデルでもあった彼女の失踪事件は全米の注目を集め、連日マスコミが殺到し大騒動に。そして、次第に夫ニックに疑惑の目が向けられていくが・・・。

評価★★★★☆/85点

三十路も半ばになったのに結婚のけの字ほども浮いた話のない自分にとって、結婚とは空想のはるか地平の彼方にあるものだった。しかも、その夢想は多分に幸福に満ちた理想的なものだったのだけど、この映画を見て甘いロマンはものの見事に打ち砕かれた。

恋愛中は恋のアドレナリンで許されていた、相手が求めるような恋人でいるための自分を盛る演技が結婚後薄れてきて素の自分に戻ったときに、理想と現実のギャップに耐えられないとどんなに相性が良くても破綻に向かってしまう。その分岐点は大体結婚4,5年目で、それを乗り越えるにはお互い憎み支配しようとし傷付け合う結婚生活がもたらす負の感情に気付かないふりをして、仮面をかぶって演じ続けなければならない・・・。

結婚とは、まさに義務と演技に偽られた苦行に他ならないのだ、と。。

って、結婚怖えぇーッ

自分が結婚しない理由は「ゴーン・ガール」を見てしまったからだと言っても通用しそうなくらい強烈な毒気を持った映画だった。

また、世界まる見え特捜部だったかアンビリバボーだったかでネタ元になった事件を取り上げてたのが記憶の片隅にあって、たしか妻は殺害されたんじゃないっけと思いながら見てたから、中盤でのまさかのネタばらしには仰天したし、その後の展開も妻エイミー(ロザムンド・パイク)が「セブン」のケビン・スペイシーのように最後自殺してミッションコンプリートという後味の悪いオチを想像していただけに、さらに捻りをきかせた背筋震えるブラックな結末にさらに仰天。

これだけスペクタクルな起承転結は見たことない(笑)。

しかし、あとはなんといってもエイミーを演じたロザムンド・パイクに触れないわけにはいかないだろう。

完璧な妻を演じている時の知的で清楚でエレガントな美しさと品の良さを合わせ持ったエイミーと、逃亡中の色気ゼロのすっぴん姿でジャンクフードをがっつき、タバコすっぱ~なメタボおばさんエイミーという正反対なキャラを文字通り完璧に体現していることが、この映画の成功を決めたといっていいだろう。

また、同じ美しさでも、旦那に殺されるかもしれないことに怯えるいたいけな良妻と、完全犯罪計画を告白した後の図太い悪妻をも演じ分けてみせるわけだから、そのギャップも余計に怖いんだよね

そして、その180度異なる印象がそっくりそのままオープニングとエンディングの同じカット(頭をなでる旦那を上目遣いで見るエイミーのクローズアップ)につながっているわけで、またまたデヴィッド・フィンチャーにしてやられたというか潔く白旗宣言といったところw

ロザムンド・パイクの今後のキャリアもめちゃ気になるところ。なんか彼女ってハリウッド女優で最も好きなグウィネス・パルトロウと同じ系譜だなぁと感じたんだけど、考えてみればグウィネスもデヴィッド・フィンチャーの「セブン」で一躍脚光を浴びたんだよね。となるとロザムンド・パイクもここからグググッと来るのかな。

自分の完全犯罪計画がトントン拍子で進んでテンションが上がった時のエビ反りジャンプが頭から離れない

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運命の女

Unmei出演:リチャード・ギア、ダイアン・レイン、オリヴィエ・マルティネス、チャド・ロウ

監督:エイドリアン・ライン

(2002年・アメリカ・124分)MOVIX仙台

評価★★★★/75点

内容:夫と子供と幸せに暮らしていたコニーは、街で出会った魅力的な男性に誘惑され、情事に溺れてしまう。妻の裏切りを知り、夫は嫉妬と愛の狭間で揺れ動くが、やがて事態は思わぬ方向へと向っていく・・・。

“夫の不倫にドラマはないが、妻の不倫にドラマは生まれる。”

もしドラマが生まれたとしても男の場合は初めから底が見えている。しかし、女の場合は底が見えない。だから面白いのだと思う。

夫の不倫や浮気は、欲望と下半身の突発的な暴走という型通りの文句で片付けられてしまいがちだが、妻の不倫となると話は違ってくる。

欲望の狭間に常に理性との葛藤が揺れ動いているわけで、それでも火照った体をもうどうすることもできなくて、道路のポールをなぎ倒しながら年下男の部屋を求めて車を爆走させるところなんかは妙にリアルで見応えがあるし見入ってしまう。

また、妻に疑惑の目を向け、妻の秘密を知ってしまう真面目で誠実な夫の焦燥と傷つきと怒りという葛藤と苦悩も新鮮で見応えがある。

それを見事に演じきったリチャード・ギア&ダイアン・レインからはイイ大人の香りが漂ってきそうだ。

最初は妻の視点で進み、次に夫の視点、最後に夫婦の視点に収束させる展開も自然でヨロシイ。

不倫というありふれた題材を官能だけで終わらせることなく、満ち足りた家庭にひょんなことからポッカリ開いてしまった落とし穴と、夫婦の葛藤をリアルに切り取ってみせたことが逆に大胆かつ新鮮に見えて個人的には面白かった。

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危険な情事(1987年・アメリカ・120分)NHK-BS

 監督:エイドリアン・ライン

 出演:マイケル・ダグラス、グレン・クローズ、アン・アーチャー、スチュアート・パンキン

 内容:弁護士のダンは妻と娘の留守中に、取引先の出版社で働く女性アレックスと一夜を共にする。ダンの方は一夜の浮気のつもりだったが、彼女はしつこくダンにつきまとい、やがて異常な行動で彼の家庭を崩壊の危機にさらし始めた・・・。アレックスに扮したグレン・クローズの狂気に満ちた演技が話題に。

評価★★★☆/70点

例えばマイケル・ダグラスの役を石田純一と考えてみれば、いかにこの男が救いようのないダメ男かというのが如実に分かろうというもの(笑)。グレン・クローズがストーカー女じゃなかったら、2人の情事は長く続いただろ。

だから例えば、グレン・クローズと奥さんがタッグを組んでマイケル・ダグラスをとっちめるとか。女性視点で撮ればまた別な展開になったんじゃないかな。

だって、これじゃただのエイリアンだもん(笑)。

しかも、とってつけたようなハッピーエンド。まぁ、長続きしないだろうけどね、あの夫婦・・・。

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シャレード(1963年・アメリカ・113分)NHK-BS

 監督:スタンリー・ドーネン

 出演:オードリー・ヘプバーン、ケイリー・グラント、ウォルター・マッソー、ジョージ・ケネディ、ジェームズ・コバーン

 内容:ミュージカルの名手ドーネンが手掛けた、軽妙洒脱なミステリーコメディ。フランスのスキー場に来ていたレジーナは夫との離婚を決意し、そこで偶然知り合ったピーターというアメリカ人に心惹かれながらもパリに戻った。ところが、彼女の留守中に夫が殺されてしまう。夫は戦時中に25万ドルを横領し、そのトラブルがこじれて殺されたらしい。葬儀に現れた見知らぬ3人の男も次々と殺されていった。レジーナは事件に絡んでいるらしいピーターを犯人ではないかと疑い始め・・・。

評価★★★/65点

“こんな007もいいかも。。”

数年前友人のパーティで、リンゴを手を使わずに相手に渡すゲームをやったところ、ぎっくり腰になったことがある自分・・・。

映画ではオレンジだったね。

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ミザリー(1990年・アメリカ・108分)NHK-BS

 監督:ロブ・ライナー

 出演:ジェームズ・カーン、キャシー・ベイツ

 内容:ロマンス小説を書くベストセラー作家のポールは、出版社に向かう途中、事故を起こし気を失ってしまう。それを助けたのは彼のナンバーワン愛読者を自称する中年オバさんのアニーだった。新作でポールは主人公のミザリーを死なせるが、原稿を読んだ熱狂的ファンのアニーは執拗に書き直しを迫っていき・・・。童女のような可愛らしさから一変、冷酷な狂女と化すアニーを演じたK・ベイツがアカデミー主演女優賞を受賞。

評価★★★★/80点

“最凶ヘルパーの最凶介護計画!”

2016年3月19日 (土)

夢のシネマパラダイス354番シアター:オトコとオンナのキワドい生態

さよなら歌舞伎町

21564044_8031出演:染谷将太、前田敦子、イ・ウンウ、ロイ、我妻三輪子、忍成修吾、大森南朋、松重豊、南果歩

監督:廣木隆一

(2014年・日本・135分)WOWOW

内容:歌舞伎町のラブホテルのある一日を描いた群像劇。店長の徹は、ミュージシャン志望の恋人・沙耶に一流ホテルマンと嘘をついていた。ある日、AVの撮影隊の中に妹・美優の姿を見つけて唖然。さらに、沙耶が音楽プロデューサーと枕営業でやって来て・・。彼氏に内緒でデリヘル嬢をしている韓国人ヘナは、不法残留で帰国が迫る中、最後の出勤日にホテルにやって来る・・。時効間近の指名手配犯と暮らしている清掃係の里美は、不倫相手の同僚とホテルにやって来た女刑事に気付かれてしまい・・。

評価★★★/65点

R15指定のラブホ舞台の映画に前田敦子が出ているくらいの前知識しかない中、前田敦子が脱ぐわけないよなと思いつつ半分色物目当てで見始めたのだけど、彼女以外脱いでたってオチ・・(笑)

枕営業で脱がないってのは5組の群像劇の中でもそこだけ上っ面なかんじで、じゃあ最初から出るなよって話なんだけど、あるいはラブホに勤める従業員役に配した方が同じ客寄せパンダといってもまだ意義があったように思う。

その点、韓国人のデリヘル嬢イ・ウンウの体当たり演技は特筆もので、ただの深夜ドラマレベルからしっかりと映画に昇華してくれた最大要因だったと思う。

まぁ、脱ぐ脱がないがどうこうってわけじゃないけど、モラルな日常から逸脱した猥雑な何でもあり空間を定点観測するという中で、大事なのは男より女をどう描くかってことにかかってくると思うんだよね。

要は、触覚と嗅覚が男より何倍も強い女の方が動物本能の原始的なところが脈々と生きてるわけで、女性性の神秘的なところと生活力の強さが共存している女の方がやっぱ魅力的なはずなんだよね。そこをイ・ウンウはしっかり表現できていたってこと。

その点でチョイ役(といっても主演として宣伝してたようだが)といってもやはり前田敦子を当事者役に配したのは場違いだったと思う。

あとは正直いって長い(笑)。2時間以内に収めてくれればまだ中途半端な印象が減ったような気がする・・。

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アイズ ワイド シャット

51kexb2mbxl出演:トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、シドニー・ポラック、トッド・フィールド、マリー・リチャードソン

監督・脚本:スタンリー・キューブリック

(1999年・アメリカ・159分)WOWOW

内容:ニューヨークに住む内科医ビルとその妻アリスは、何不自由ない暮らしを送っていた。が、ある日、妻の口から語られた過去の不倫願望を聞いたビルは次第に心のバランスを崩していき、性の妄想に憑りつかれていく。そしてある夜、ビルは旧友の紹介で仮面乱交パーティに赴くのだが・・・。キューブリック監督の遺作。

評価★★★/60点

“結局最後まで一度もヌケなかったトム・クルーズに憐れみの一票”

実夫婦だったトム・クルーズ&ニコール・キッドマンのプライベートな夜の秘め事を覗けるという好奇の目が先についてしまったのが正直なところだったけど、その点では2人の絡みは数えるほどもなく大いに肩すかし(笑)。

さらに中身の方も、性の妄想にとらわれた夫の彷徨の果ての破滅というプロットは、ブライアン・デパルマあるいはロマン・ポランスキーに撮らせた方が良かったのでは、、とも勘繰ってしまった。まぁ、誘ってくるのは必ず女性の方という様々な刺客に見舞われながら心の身ぐるみをはがされていくリアクターとしてのトム・クルーズを見るのも一興ではあっただけに、その願望はより一層強まったともいえる。

しかし、じゃあこれ誰が撮ったかと言われたら疑いもなくキューブリックだといえるほど入念かつ流麗な演出に支配されていて、見ている間は2時間40分の長尺も冗長だとは微塵も感じなかった。

特にクラシック音楽の使い方は毎度ながら完璧で、ピアノの不協和音が主人公の内面描写を増幅させていて映像に深みを持たせていたと思う。

ただ、見終わった途端に、長っげぇーってグッタリしたけどね。

ラストの妻の言葉も「市民ケーン」の“バラのつぼみ”に通じるかんじではあったけど、いちいち映画にすんなやとも思ってしまったw

でもこれってフツーに撮ってたら1時間は短くできるよね

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愛の渦(2014年・日本・123分)WOWOW

 監督・脚本:三浦大輔

 出演:池松壮亮、門脇麦、新井浩文、滝藤賢一、三津谷葉子、中村映里子、柄本時生、窪塚洋介、田中哲司

 内容:都心のとあるマンションの一室。そこは、見知らぬ男女が集まってセックスを楽しむ乱交パーティ会場だった。集まってきたのは内気そうなニートや真面目そうなサラリーマン、地味な女子学生やOLなど男女8人。全員バスタオル1枚の姿で、いかにも気まずい空気が漂うが、店長のルール説明が終わると、次第に性欲と本性が露わになっていき・・・。

評価★★☆/50点

エロ動画でマジックミラー号シリーズという企画ものがあって、個人的にいつもお世話になっている(笑)。何を言ってるんだオレは・・・

トラックの荷台がマジックミラーになっていて、外からは見えないけど中からは外が丸見えで、その一室で初対面の素人男女がエッチするっていう。あたかも外から丸見えであるかのような羞恥心と初対面のぎこちなさが次第に興奮と快感に凌駕され我を忘れていく様がたまらないんだよねってだから何を言ってるんだオレは・・・ww

でまぁ、この映画もそういう目線で見始めるしかなかったわけでw、しかし、もちろん作り手の力点は身体の交わりよりもデリカシーゼロの乱交空間においてさらけ出される赤裸々な人間関係にあったと思うんだけど、なんだろなぁ、、最後までゴム付けてるような安心感に覆われていて、定型の域を出ないカミングアウト大会で終わってしまったというか・・。もっと見てるこちら側まで不穏にさせ興奮させるような破綻めいた突き抜け感のある心理劇をこそ見たかった。

映画のラストで門脇麦が「あそこにいた時の私は本当の自分じゃないんだと思います」と言うのに対し、池松は「僕はあそこにいたのは本当の自分だったと思います」と言うそのギャップにフォーカスをもっと当てるだけでもかなり違ったと思うんだけど・・・。

まぁ、終わってみれば門脇麦の絶叫と、保母さんはスケベが多いっていうトリビアしか頭に残らない映画だったね

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トーク・トゥ・ハー

Tth 出演:ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、レオノール・ワトリング、ロサリオ・フローレス

監督:ペドロ・アルモドバル

(2002年・スペイン・113分)DVD

評価★★★/60点

 

内容:交通事故で昏睡状態となり、4年間眠り続ける清楚なバレリーナ、アリシアと、そんな彼女を慈しみをこめて毎日語りかけながら介護する看護士のベニグノ。一方、女性闘牛士のリディアも競技中の事故で昏睡状態に陥る。彼女の恋人でライターのマルコは悲嘆にくれるが、ベニグノとそれぞれの愛する者への切ない想いを共有するうちに友情が芽生え始める。しかし・・・。

“問答無用でブタ箱へ行ってらっしゃい!”

例えばベニグノがアリシアを犯しているシーンを描いたらどうなっちゃうわけ?

神様のご加護で子供を授かりましたといううわべとは全く次元が違うだろこれは。けなげに世話してけなげに孕ませ、、、ってそんなん通用しねえよ。

問答無用のギルティ!ブタ箱経由施設行きです。

なんだろう、障害者施設やら養護学校で頻発しているいかがわしい事件を新聞やニュースで見たときの不快感やらキナ臭さやらと同じものを感じてしまった。。

人間というよりモノとしてしか見てないんじゃないのああいうことする奴ってのは。ベニグノにもそういう気や要素は見られたしね。

ま、★3っつで思いとどまらせただけでも良しとしなさい。

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橋の上の娘(1999年・フランス・90分)NHK-BS

 監督:パトリス・ルコント

 出演:ヴァネッサ・パラディ、ダニエル・オートゥイユ、ニコラ・ドナト

 内容:男から男へと渡り歩き、すぐ捨てられてしまう人生に絶望したアデルは、セーヌ川に身を投じようと橋の上に立っていた。そんな彼女を、ナイフ投げの曲芸師ガボールが、“的”としてスカウトする。やがて2人はツキを呼び込み、行く先々で喝采を浴びるが・・・。名もない橋の上で運命的に出会った男女の、奇妙でストイックな愛の行方が独特のモノクロームの世界の中で綴られていく。

評価★★★★/80点

“おとぎ話とホラ話の間に架かっている橋の上から見事現実に飛び降りたオチ方は評価できる。”

「男はドレスと同じ、、、どうしても試着したくなるの」だってよオイオイオイオイ!!パトリス・ルコントこのヤロー。。

このアデルの台詞とシーンがいっちばんリアルでエロかった

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若者のすべて(1960年・イタリア・118分)NHK-BS

 監督:ルキノ・ヴィスコンティ

 出演:アラン・ドロン、アニー・ジラルド、レナート・サルヴァトーリ

 内容:イタリア南部の町からやって来たパロンディ一家は、大都市ミラノに希望を託して移住してきた。次男のシモーネはボクサーとなって頭角を現したが、次第に娼婦のナディアにのめり込んで落ちぶれていく。やがてナディアは三男のロッコと愛し合うようになるが、嫉妬に狂ったシモーネはロッコの目の前でナディアを犯してしまう・・・。

評価★★★☆/70点

“もしオレだったら、刺す!”

ナディアを目の前で犯したシモーネを我が愛しのレアル・マドリーの名に賭けて、刺す。んでナディアを正真正銘ものにする。なんじゃそりゃ・・・。

ヴィスコンティについては、そう多くの彼の映画を見てるわけではないのだけど、上流階級の退廃と崩壊を描いたときに彼の真骨頂が真っ向から発揮されると思う。

具体的には「山猫」以降ということになるのだろう。この「若者のすべて」は「山猫」直前の作品なんだよね。たしか。

たださっき上流階級を描いたときにヴィスコンティの真骨頂-それはプライドと血統そして監督の鋭利な視線-が発揮されると書いたけど、別に「山猫」以前の作品が一段落ちるということではないのであしからず。また別な凄みを生み出しているといえるのではないかな。

この「若者のすべて」においては、職にもありつけないような、上流階級とは程遠い下層階級の家族の物語なのだけど、にもかかわらずどうしても確実にヴィスコンティの視線、すなわち名門貴族一家の息子ヴィスコンティの誇り高い視線が注がれてしまうのです。特に人物像。

そしてここに不完全要素がもやもやと映画全体に生み出されてくるわけで。

誇り高く完全主義のヴィスコンティと不完全要素の現出とのアンバランス。

それが何とも言いようのない凄みを出していたと思う。なんだか凄いんだよホント。うまく言葉が思い浮かばないんだけど。

話のプロットが凄いということでは全くなくて、、、でも映画として凄いのよ(笑)。うーん・・・。

10年後に自分がもっと成熟してたときにまた見るべきかな。

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インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994年・アメリカ・123分)盛岡フォーラム1

 監督:ニール・ジョーダン

 出演:トム・クルーズ、ブラッド・ピット、アントニオ・バンデラス、クリスチャン・スレーター

 内容:バンパイアとして生きる美青年の数奇な運命を描いたロマンティック・ホラー。

評価★★★☆/70点

“この映画を見たことによって、あるいはトム・クルーズがN・キッドマンの首すじに咬みつく練習をしていたという話を聞いて、自分も恋人or奥さまの首すじを咬んだ、あるいは咬まれた、あるいはヴァンパイアプレーに耽ったことがある方は正直に手を挙げてくださいまし。”

ルイがあなたを探していますよ♪

フッ、もちろんオイラは、、、って何を言わせんねん!言わずもがなに決まっとるやないけ(笑)。

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オール・オブ・ミー/突然半身が女に(1984年・アメリカ・88分)NHK-BS

 監督:カール・ライナー

 出演:スティーブ・マーティン、リリー・トムリン、ヴィクトリア・テナント

 内容:楽団のギタリストとの二足のわらじで、出世街道とは無縁の弁護士ロジャーは、死にかけた大富豪の女主人エドウィナの遺言の件を担当することになる。早速屋敷を訪れると、彼女は今まさに死の床にあった。と、エドウィナはインドの妙な霊術に傾倒していて、その導師ブラガが「転生輪廻」の呪文を唱えるが、ひょんなことから彼女の魂がロジャーの右半身に乗り移ってしまい・・・。

評価★★★★/80点

“その日、ネットでググらなければ一生見ることはなかったであろう笑撃作!!”

同じ弁護士つながりで真っ先に挙がるであろうジム・キャリーの「ライアーライアー」と双璧をなすぶっ飛びコメディかも。

2016年3月 5日 (土)

夢のシネマパラダイス587番シアター:紙の月

紙の月

Poster2出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、小林聡美、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司

監督:吉田大八

(2014年・松竹・126分)WOWOW

内容:バブル崩壊直後の1994年。銀行の契約社員として働く梅澤梨花は、地味だが顧客の信頼も得ていて上司の評価も高い。しかし家庭では、エリート商社マンの夫の冷めた態度に空しさを抱き始めていた。そんなある日、彼女は資産家の顧客の孫で大学生の平林光太と出会い恋に落ちる。そして、光太に多額の借金があることを知った彼女は銀行のお金に手をつけて渡してしまう。それをきっかけにあの手この手で着服を繰り返していくのだが・・・。

評価★★★/65点

原作未読。NHKドラマ視聴済。

テレビドラマの方が映画1本分尺が長く、にもかかわらず大金横領(ドラマでは計1億円)に走る主人公・梅澤梨花の行動原理と心情が最後までなかなか理解できずじまいだったので、映画はそれをどう凝縮して描くのか興味津々だったのだけど、文字通り映画1本分、だと何もなくなっちゃうのでw、ドラマ2話分底が浅かったかんじ。

体裁としては、妻を人形みたいにただ家にいればいい存在としか見ていない夫の悪意なき無関心が生み出すモラハラにより、自分の存在証明を喪失した妻が若い男に走って愛のない孤独感を埋めるというのが入口になっていて、そこは定番としてありがちなんだけど、問題はその先。

恋におぼれて男に貢ぐために大金を横領し続ける単純な話かと思いきや、それは表の顔にすぎないことがあらわになってくる。要は、お金があればあるだけ違う自分になれて誰かに必要とされ愛される何者かになれる、つまりお金によってもたらされる万能感におぼれて自分ではない自分を演じ続けるために大金を横領し続けていたというのが本当の顔だったのだ。

高級セレブを装った目で世の中を見ると、みんな笑顔で親切で、そこには悪意も無自覚も乱暴も軽べつもなく、ふわふわとした善意に包まれ、世の中が柔らかく見えるのだと。

しかし、これは普通ならば金持ちの優越感で片付けられるところなのだけど、梅澤梨花にとっての“違う自分になる”本質はそこにはなくて、問題はさらにその先にあるところがやっかいこの上なく・・(笑)。なぜなら彼女はいいとこのお嬢さま育ちで、旦那もカルティエの時計をさらっと買ってこれるような高級取りで何ひとつ不自由のない暮らしをしてきたはずだからだ。

では彼女の違う自分になる本質は何なのか。そこでヒントになるのが彼女がミッション系スクールに通っていた少女時代のエピソードにさかのぼる。

外国の恵まれない子供への募金活動がクラスで先細りになっていった時に、彼女が父親の財布から5万円を抜き取って募金箱に入れて、それがバレて募金活動が中止に追い込まれてしまうが、しかし彼女は悪びれるどころか恵まれない子供のためになるのであれば別にいいではないかと開き直る。

この意味するところは、要するに最終的に本当にお金を必要とする人にお金が渡ればお金の出どころや途中の流れや手段はどうであろうと関係ないということであり、その底流にあるのは、お金はただの紙切れにすぎないのだからモラルや信用に縛られるのはバカバカしいという考え方だ。

これは高級化粧品を買う時に持ち合わせのお金が足りなくて、あとでATMで下ろせばいいやということで預かった顧客のお金で立て替えてしまったり、交際相手の大学生が学費の借金があることが分かった時に学費補助を出し渋る祖父は親族だから別にいいじゃんということで簡単に横領してその大学生に渡してしまうことにつながっている。

そしてその上で最も彼女をつき動かしている“違う自分になる”本質というのは、貧しい弱者にお金を恵んであげることができるほどの高みにいる自分が1番幸せという欲求なのだ。

この純粋な善意と虚栄心、また拝金主義をバカにしながらも誰よりもお金に依存しているという大きな矛盾をわけもなく両立させているところが彼女をつかみどころのない理解しがたい存在にしているのだと思う。

ただ、それでもテレビドラマは彼女の心の闇に説得力をもたせるだけの小さな要素の積み重ねを描くことで正義感と罪悪感の葛藤といった等身大のキャラクターに寄せていこうとしているのだけど、一方映画の方は、そういう心情をスルーして昼の顔と夜の顔をこともなげに使い分け横領をさらりとやってのける身軽さが前面に出ていて、より能動的な悪女感が強調されている。

そのファム・ファタールが颯爽と堕ちていく転落劇は2時間枠の中では一応の形を成しているものの、彼女が大学生と不倫関係になる過程の内面など端折りすぎで腑に落ちない点も多く、全体的に突き抜けた面白さはなかったかなぁ、と。。

テレビドラマの質量にかなわない中で、バレバレの手口で横領に手を染める動機に説得力をもたせるには、やはり少女時代の生い立ちにもっと焦点を当てるとかした方がよかったような気がするし、悪女感より透明感の方が勝っている宮沢りえのキャスティングもどうだったんだろうという気も・・・。

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夢売るふたり

20120606_yumeuru5_v出演:松たか子、阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、安藤玉恵、木村多江、倉科カナ、伊勢谷友介、香川照之、笑福亭鶴瓶

監督・脚本:西川美和

(2012年・日本・137分)WOWOW

内容:東京の片隅で小料理屋を営む貫也と妻の里子。ところが開店5周年の日に店が全焼してしまう。前向きな里子はパートに出ながら家計を支えるが、すっかりヤル気を失くした貫也は店の常連客と浮気してしまう始末。里子はそんな夫の浮気に怒りながらも、再び店を持つ夢をかなえるための資金集めに、夫を使って結婚詐欺をすることを思いつく・・・。

評価★★★/65点

この監督の撮る濡れ場はなんでこんなに生々しいんだろうというのが真っ先に思い浮かぶ感想だけど、それは置いといて、、いややっぱり置いとかなくてw、気だるい自慰行為とか生理用ショーツを履くシーンも含めてホント女性にしか描けない生々しさというのがあるんだけど、個人的には阿部サダヲが旦那だし、もっとライトなコメディ路線でいくのかと思っていた。

またそっちの方を期待していたので、ここまでシリアス路線だとはちょっと意外だったし、な~んかビミョー

というか、里子(松たか子)の複雑怪奇でおどろおどろしい女のサガや内面というのが、男の自分からするとなかなか掴めなくてイマイチ乗り切れなかったというかんじかな。

1番理解に苦しんだのが結婚詐欺に手を染めていくきっかけになった里子の内面描写だ。

貫也(阿部サダヲ)の一夜の過ちに対し何かタガが外れたような表情をするのだけども、これが貫也への復讐の決意なのか、それとも小料理屋を再建しさえすれば幸せな日々を取り戻すことができると考え、その資金を得るためなら何だってしてやるという開き直りなのか、いやそのどちらも真なのだろうけど、その時点ですでに旦那に見切りをつけてもいいはずなのになぜそこまで執着するのか、といったことがない交ぜになっていて、男の自分には何かこうストンと胸に落ちてこないのだ。

それが複雑怪奇な女のサガと呼ぶべきものなのだろうが、お金を手に入れてもまだ足りないとボヤく里子の心情とは一体どういうことなのか。いったい何をもって心を満たそうとしているのか、、分からなくて怖い(笑)。

いや、実はだんだん見ていくうちに、里子の本当のオンターゲットは貫也ではなく、結婚詐欺にハメる独身女性たちそのものだったのだということは分かってくるのだけども。。

要は、自分は幸せな結婚生活を送っていたはずなのに、という傷ついたステータスを修復するためのオンターゲットが結婚できない独身女性に対する優越感であり、そこから金を巻き上げることに快感を覚えていったということなのだろう。

さらにその際、旦那を駒にして自分の思い通りにコントロールする、端的には他の女と寝て金獲ってこいと命令することで旦那に復讐を果たし、しかもちゃんと自分の元に旦那が帰ってくることで傷ついた自尊心をも満たしてしまおうという魂胆だったのだろう。

当の旦那にとっては、浮気はバレないから浮気なのであって、妻から強制され報酬までもぎ取ってこなければならないというのはただの強制労働でしかないわけだ。

しかし、そんな彼女の思惑も最初は結婚というステータスが欲しくて欲しくてたまらないOL(田中麗奈)たちからまんまと金を巻き上げることで味をしめていくのだけど、次第に貫也が里子の手綱を放れて羽を伸ばし始めたことで、夫を支える良妻賢母という理想にどっぷり浸かっていた自分の生き方の空虚さに気づかされていく。

それを物語るシーンで最も強烈だったのが、ウエイトリフティングをしている女性アスリートを引っかける際に里子が貫也に「気の毒だから止めよっか」と言うシーン。

純真な彼女をダマすのは可哀想という意味なのかと思いきや、あんな図体のデカい女とSEXするのは不憫だろうという意味で、そんな最低発言を平気でかましてしまう里子にはさすがにドン引き

自分の足でしっかりと立ち自分の人生を歩いている独身女性たちと、自分の夢や生きる目的ひっくるめて全て旦那に任せて生きることを選んだ女の対比は、貫也に里子の方がよっぽど気の毒だと言わせしめるに至る。

そして、シングルマザーの女性が持ちうる団らんという最強の武器を前に、自分を保っていた優越感が崩れ去り、旦那への殺意へと変容していくのは当然の流れであった。

独身女性の孤独につけ込んでいたはずが逆に自分が孤独の中に落ちていく悲哀・・。

港でフォークリフトを操る里子の漆黒の闇を湛えた瞳は、他人の力ではなく自分の力で生きていくという凛とした決意に見えた。

とはいえ、後味はビミョーに悪いw

やはり里子の秘めた愛憎があまりにも屈折しすぎていて、自分の価値観とは決定的に相容れない一線をゆうに踏み越えていってしまう彼女を理解できない自分がいる。

まぁ、でも最低なのはやっぱ旦那なんだけどねww

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後妻業の女

81pplozcyll_ac_sl1414_出演:大竹しのぶ、豊川悦司、尾野真千子、長谷川京子、水川あさみ、津川雅彦、泉谷しげる、柄本明、笑福亭鶴瓶、永瀬正敏

監督・脚本:鶴橋康夫

(2016年・東宝・128分)WOWOW

内容:後妻業とは、高齢資産家男性をたぶらかして後妻に収まり、最期を看取って遺産を根こそぎ奪うこと。そんな悪行に手を染める女・小夜子は、結婚相談所の所長・柏木と組んで次々と獲物をモノにしてきた。そして9番目の夫・耕造が結婚2年後に脳梗塞で死亡する。葬儀の席で小夜子は、全財産を小夜子に譲るとした公正証書の遺言を耕造の2人の娘に突きつけた。納得いかない娘は、元刑事の探偵とともに小夜子の過去を調べ始めるが、当の小夜子は次なるターゲットに狙いを定めていた・・・。

評価★★★☆/70点

大枠ではピカレスク映画といっていいけど、レベル的には品のないエロ週刊誌に連載されるような娯楽小説テイストでかなり軽め。といっても5人も殺しちゃってるのだがw

社会に対する憎悪だとか男への復讐だとか小夜子目線のバックグラウンドがスルーされているので、お金しか目がない罪悪感ゼロの醜悪女にしか見えないはずなんだけど、それが大竹しのぶの手にかかると後妻業をまさに天職として変幻自在に顔を使い分ける生き生きとした大阪のオバハンになるのだから恐れ入る。

お笑いモンスターの明石家さんまも敵わないわけだ(笑)。

そいえば2人の交際がバレないように、さんまが大竹しのぶをスーツケースに入れて運んだことがあるってテレビで面白おかしく言ってたけど、ホントに納まっちゃうんだねw

もっと尾野真千子とのガチバトルを見たかったし、ブラックコメディ寄りにするならもっと笑わせてほしかったという不満はあるけど、ストーリーよりキャスティングで見る映画とすれば十分及第点。

夢のシネマパラダイス175番シアター:生涯モラトリアム宣言

もらとりあむタマ子

Poster2出演:前田敦子、康すおん、伊東清矢、鈴木慶一、中村久美、富田靖子

監督:山下敦弘

(2013年・日本・78分)WOWOW

内容:東京の大学を卒業したものの就職もせず、スポーツ用品店を営む父親が一人で暮らす甲府の実家へ戻ってきたタマ子。店を手伝うわけでもなく、家事も父親任せで、漫画を読んだりしてただゴロゴロと過ごす日々を送っていた。そんな中、父親にアクセサリー教室の講師との再婚話が持ち上がり・・・。

評価★★★★/80点

天下のAKBでセンターを務めたスーパーアイドルが劇中ではアイドル志望のぐうたらニートを演じるというのは大きなチャレンジだったと思う。

ところが、履歴書用の写真を見て父親がププッと吹き出してしまうシーンで、実際そのアイドルっぽいブリッ子な写真を見るとたしかに笑わずにはいられなくて

この写真一枚でアイドルから女優に脱皮したといっていい(笑)。それくらい、前田敦子の性格ブスなタマ子はハマっていた。

また、20代の頃に延べ2年プータローを経験し、30代となった今は職を得てはいるものの相変わらずパラサイトシングルと化している自分にとってはタマ子のモラトリアムな生活はかなり身に覚えのあることで・・はっきりいって面白かったww

ただ、三十路ともなると、年頃の娘と暮らす男やもめの心持ちもよく分かり、そんな2人の絶妙な距離感というのがよく描けていたと思う。

その距離感というのは、減らず口は一丁前でも少なくとも今は動きたくないと父親に甘えっぱなしの娘と、それに苛立ちながらも本音では可愛い子には旅をさせたくない父親の共犯関係ともいえる。

しかし、実は最も敏感にその相互依存に気付いているタマ子。季節を追うごとにモラトリアムの居心地の良さを侵食してくる包囲網が狭まっていき、ラストで「夏終わったら家を出てけ」という父親の一言に「合格」と答えるやり取りはこれまた絶妙だった。

やっぱ親にも突き放す勇気がないとダメなのかもしれないけど、なかなか言える言葉じゃないよねぇ。

そういえば自分の大好きなTVドラマ「北の国から帰郷編」で、東京から帰省してきた純が父・五郎にこのまま富良野に残って父さんと一緒に居ていいかと訊くとそれを断る名シーンを思い出したw

ま、、自分のこと考えると笑えなくなっちゃうけどね

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百円の恋

Poster2出演:安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平、根岸季衣

監督:武正晴

(2014年・日本・113分)WOWOW

内容:実家にひきこもり、仕事もせずダラダラと過ごす32歳の一子。ある日、離婚して子連れで実家に戻ってきた妹とケンカしたことがきっかけで、アパートで一人暮らしをするハメに。仕方なく100円コンビニで深夜のバイトを始めるが、人付き合いが苦手で接客なんてやる気なし。そんな中、近所のボクシングジムで練習に励む中年ボクサーの狩野と知り合い、デートに誘われるという珍事に見舞われるのだが・・・。

評価★★★☆/70点

実家でスナック菓子をボリボリ頬張りながらぐうたらしている三十路の独身ニート女、、おそらく世の中で1番イタイ人種であると同時に映画の主人公に1番なりづらいキャラクターではないだろうか。

さらにそこにボクシングときたらもう南海キャンディーズのしずちゃんくらいしか思い浮かばないんだけどw、安心してください、ここにいますよ!安藤サクラが!

最近の女優で役のためなら太ることもいとわないデニーロアプローチをするほどの演技派は「そこのみにて光り輝く」の池脇千鶴くらいしか思い浮かばないけど、今回の安藤サクラの女優魂にはほとほと感服した。

「モンスター」のシャーリーズ・セロンと「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリー・スワンクを一人で演じきってしまったような凄さといっても過言ではないだろう。

最初見た時は安藤サクラと気付かないくらいでっぷりとしたオバハン体型に仰天したけど、そこからシャープなボクサー体型に変貌をとげるのだから恐れ入る。しかも撮影期間がたったの2週間って、ライザップでも無理だろ(笑)。

また、ボクシングシーンも凄いのなんの。聞くところによると朝の6時から深夜2時半までぶっ通しで撮影してたらしく、極限の向こう側にイッた妥協のなさに圧倒された。

負け犬が一念発起して立ち上がるというありきたりなストーリーを安藤サクラの身ひとつで説得力をもたせてしまう、、この映画を見て役者の力量がストーリーを転がしていくという意味をあらためて再認識した気がする。

安藤サクラ。

ガチの女優である。

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横道世之介

8bf053b7出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛、井浦新、國村隼、きたろう、余貴美子

監督・脚本:沖田修一

(2012年・日本・160分)WOWOW

内容:1987年。長崎から大学進学で上京してきた横道世之介(高良健吾)。あか抜けないお人好しの世之介は、嫌みのない図々しさが人を吸い寄せ入学式早々から友達ができる。一方、年上の女性・片瀬千春(伊藤歩)に片思いをするも、お嬢様の与謝野祥子(吉高由里子)から猛烈アタックをかけられたりと大学生活を満喫していたが・・・。

評価★★★★/75点

不思議な映画だ。

160分間大きな山場も感動もないにもかかわらず、最後まで心地よく見られ、しかも160分という大長編を見た疲労感もなく後味も爽やかなのだ。

これは一体何なのか、見終わったあともよく分からないけど、なにかこう全体的にNHKの朝ドラの味わいに似た安心感はあったかな。それはドラマに無鉄砲なドタバタや非日常的な逸脱を排し、あくまで日常に寄り添った作劇の安心感といえばいいだろうか。

例えば、サンバサークルが牧場で合宿する一見シュールな場面であっても、ジャージ姿というアイテムが日常あるあるに落とし込み豊かなユーモアにしてしまう。

そういう巧さがこの映画にはあると思う。

そしてなにより人の懐に土足で踏み込んでくるKY男でありながら、他人の頼み事ははなっから受け入れる根っからのお人好しという世之介の天然キャラが良い。

鬱陶しさが優しさや真面目さと両立されているため、かえって共感を呼ぶ不思議な魅力に引き込まれてしまったし、さらなる天然ぶりを発揮する吉高お嬢さまとの相性もバツグンで、とにかく見ていて楽しい。

まさか楽しいなんていう感想をこの映画に抱くとは思いもよらなかったけど、世之介の屈託のない笑顔が過去のものだと分かる中盤以降はせつなさも加わって、より心に残る映画になっていたと思う。

この映画を見て、なにか特別な出来事とかではなく、長い時を経てふと甦ってくる懐かしい日々の思い出の中に登場することが、自分の生きた証なんだなぁと感じて、なんかちょっと楽になったw

いや、別に人の心に残る生き方をしようなんてこれっぽちも思ってないけど、あるひと時を一緒に過ごしていくであろう仲間たちとの何気ない日常こそ大切なんだなぁって。だからこの映画を見ていて楽しかったんだと思う。

忘れた頃にまた横道世之介に会いにこよっかな

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百万円と苦虫女

100man出演:蒼井優、森山未來、ピエール瀧、竹財輝之助、齋藤隆成、笹野高史、佐々木すみ江

監督・脚本:タナダユキ

(2008年・日活・121分)NHK-BS

内容:短大を卒業したものの、アルバイト生活を送る21歳の鈴子(蒼井優)。ひょんなことから警察沙汰を起こしてしまった彼女は、受験中の弟に前科者扱いされ、勢いあまって百万円貯まったら家を出て行く!と宣言する。そして百万円が貯まると、宣言通り実家を後にして、誰も知らない土地へと旅立つ鈴子だったが・・・。

評価★★★★/75点

三十路で独身で実家暮らしで低収入の典型的パラサイトチルドレンの自分は、自分のことを誰も知らない土地で暮らしてみたいと思うことが少なからずある。自分の所在をなくしてしまいたいという願望だ。

それは18で地元から都会に出て10年もたずに舞い戻ってきてしまった自分の場合、いつまでたっても結婚も自立もできずに親に迷惑をかけ続けていることからくる所在のなさだ。家族、親せき、地元の目が精神衛生上の圧迫になっていることは否めない・・

一方、映画の主人公、鈴子は21歳。前途洋々の若さであるが、就職浪人中のフリーター生活を変えようと家を出ること自体オイラから言わせればすでに自立している(笑)。

しかもこの女、決定的にモテるのである。どこ行ってもモテまくるのであるww

他者とのつながりに思いやりを求めるよりも傷つくことの方を恐れている鈴子の冷め具合いは自分も含めた現代の若者世代に共通する感性だとはいえ、ここまでモテる女のコが人間関係を忌避して土地をさすらうというのは若干の無理がある。

また、そこで出てくるのが“前科”というキーワードになるのだけど、同居人の男の持ち物を全て捨てたというのは後ろめたい犯罪というよりは武勇伝という方がまっとうで、所在なさの根拠とするには弱い気がする。

要は全体的にリアリティがないのだ。

まぁ、友達とその彼氏と3人でルームシェアするというそもそものところからしてあり得ない話だけど。。

しかし、このリアリティのなさを蒼井優のぶっちぎりの存在感が吹き飛ばしていて、映画を最高に魅力あるものにしているのだから、やっぱり映画はやめられない。映画も自分にとってある意味現実逃避だけど・・・w

でも、ホントにこの映画見て蒼井優にゾッコン

床に大の字になって寝転がるところとか、キュートな外面とは裏腹にグチや毒を吐くところとか最高にイイ♪

良妻賢母ぶりが板につきすぎている宮崎あおいが聖母マリア化している一方、いまだに手の届きそうなところにいるフツーの女のコでいつづける蒼井優の良さに今さらながらに気付かされただけでもこの映画を見てヨカッタ×2(^^♪

今一番好きな女優は誰かと訊かれたら迷うことなく蒼井優と答えます!

あ゛ー、蒼井優みたいな人いないかなぁw

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パレード

52897d159a6db740790ccace4e77482e出演:藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介、キムラ緑子、正名僕蔵、石橋蓮司

監督・脚本:行定勲

(2010年・日本・118分)NHK-BS

内容:都内のマンションの一室。そこでは映画会社の宣伝マン・直輝(藤原竜也)、酒好きのイラストレーター・未来(香里奈)、先輩の彼女に恋をした大学生・良介(小出恵介)、若手人気俳優と極秘交際中の琴美(貫地谷しほり)の男女4人がルームシェアしていた。彼らの共同生活の基本理念は、居たければ居ていいし、居たくなくなったら出ていけばいいというチャットのようなもの。しかし、ある日そこに男娼のサトル(林遣都)が加わったことで彼らの穏やかな日常は微妙に歪み始めていく・・・。

評価★★★☆/70点

冒頭、マンションの一室の外からヘリコプター音がしているのを見て真っ先に思い浮かべた映画があった。

森田芳光監督の「家族ゲーム」だ。

あの映画では、同じく外でけたたましくヘリの音がしているにもかかわらず、そんなのお構いなく惰眠をむさぼる家族の姿が印象的だった。それは社会や他者に対する無関心のカリカチュアといえるけど、その“家族”すら“個人”にとって代わられた現在にあっては、マンションの一室は家族団らんの場ではなく、チャットや掲示板のような匿名空間と化してしまった。

孤独はイヤだけど干渉されたくない、干渉されるのはイヤだけど誰かとは繋がっていたい、イヤなら去ればいいし居たければ笑っていればいいという、なあなあで居心地が良いかわりに真実味のない上辺だけの付き合いの場。

しかし一方では、ヘリの音がすれば目を覚まして外をのぞき見るし、隣の住人が怪しいことをしていると思えば詮索してみたりと、自分たちのテリトリーの外には人一倍好奇心旺盛だったりする。

まさにその他大勢が跋扈する“世間”と仮装して仮面をかぶった彼らとは本質的には変わらないのだ。

しかもその自分たちのテリトリーであっても匿名と実名の狭間にあるという危ういバランスの中にある。しかし、彼らにとってはそれが予定調和の日常に安住するための強固な土台となっているのだ。

そこらへんのビミョーかつ絶妙な若者の距離感をこの映画は非常にうまく描き出していたと思う。

そして、仮装行列“パレード”に仮面を付けずに闖入してきた男娼のサトルによって彼らの匿名性が徐々に引きはがされていき、ついには直輝が仮面を取っ払おうとしてそのバランスが崩壊するのかと思いきや、「それでも今まで通り仮装行列を続けていくよね?分かってんだろKY男!」というラストの同居人たちの刺すような冷めた視線は強烈だった。

赤信号みんなで渡れば怖くない的な、ゆるそうに見えて実はスゴイ窮屈な運命共同体だったのか。

自分含めて現代人がストレス溜まりまくりなのも道理なわけだ・・

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ばしゃ馬さんとビッグマウス(2013年・東映・119分)WOWOW

 監督・脚本:吉田恵輔

 出演:麻生久美子、安田章大、岡田義徳、山田真歩、秋野暢子、松金よね子、井上順

 内容:学生時代から脚本家を目指すも一向に芽の出る気配のない34歳の馬淵みち代(麻生久美子)は、友人を誘ってシナリオスクールへ通うことに。するとそこで、超自信過剰な28歳の自称天才脚本家・天童義美(安田章大)と出会う。ものの見事に対照的な2人だったが、天童はばしゃ馬のように頑張り続ける馬淵に一目惚れ。対する馬淵は、口先だけの天童を毛嫌いしていたが・・・。

評価★★★☆/70点

この映画のシナリオがコンクールの1次予選を通過するとはとても思えないんだけどw、何気ない日常をイタイ笑いに切り取っていく描写力はグランプリ級!

ちょっとした会話の間や表情、雰囲気など微妙なニュアンスを的確につかみ取るさりげない演出を一貫して持続できる才はなかなかのもので、なにより役者のオーラを消し去る容赦のなさは唯一無二。

それにより、自分は特別な何かなのだと頑なに信じ込む何ものでもない者のどんぐりの背比べと傷の舐め合いに生々しいリアリティが生み出されている。

そして、ばしゃ馬さん(麻生久美子)とビッグマウス(安田章大)のこじらせぶりのいたたまれなさがどこか身に覚えのある自分に跳ね返ってきて、見ていて笑えるんだけど切なくてツラくなってくるんだよね・・・。

でも、この映画の教えてくれる教訓は、自分をさらけ出さないと夢をあきらめることを肯定して真に前に進んでいくことはできないってことなのだろうけど、誰に吐き出すでもなく人知れずフェードアウトしていった自分はあの2人に比べたらよっぽどカッコ悪いよなぁ、、と身につまされていくのは自分だったというオチ・・

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中学生円山(2013年・東映・119分)WOWOW

 監督・脚本:宮藤官九郎

 出演:草彅剛、平岡拓真、鍋本凪々美、刈谷友衣子、YOU、ヤン・イクチュン、坂井真紀、仲村トオル

 内容:妄想癖のある中2の円山克也は両親と妹と団地住まい。今日も頭の中はエロい妄想でいっぱいの克也は前々から“エッチなあること”を成就するために日夜柔軟体操に励んでいる。そんなある日、仕事はせずベビーカーを押しながら団地をうろつく謎めいたシングルファーザーの下井が上階に引っ越してくる。そしてほどなくして、団地で殺人事件が発生。克也は下井が犯人ではないかとの妄想に取り憑かれていくのだが・・・。

評価★★★/60点

神が人間に与えたもうたオマケみたいな力=妄想を人並み以上に持ち合わせている自負はあるものの、あのような目的の屈伸運動にいそしんだこともなければ試してみたいと思ったことすらない自分としては(笑)、この中2のガキに共感しうるところはあまりなかった。

まぁようするにプロットの1つ1つがツマラなかったといえばそれまでだけど、悪ノリと悪ふざけと映画的でたらめさだけで出来ているかんじでイマイチ乗り切れなかった。

唯一、「息もできない」のヤン・イクチュンが出てくる韓流くずれネタはウケたw、、ってそれもちょっと悲しいな。。

うーん、、クドカンの映画畑でのクリエイティブな仕事はもう底が見えたかなぁ・・。小ネタの天才であることは疑う余地はないけど、映画という枠内で大きな物語を描くことにかけては凡庸なのだということで、やっぱこの人は舞台とテレビの人なんだと思う。

あまちゃんでクドカンワールドに初めて触れた年配の人はこれ見て卒倒するだろうなww

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