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2015年12月20日 (日)

夢のシネマパラダイス218番シアター:魔女の宅急便

魔女の宅急便

20041212184905声の出演:高山みなみ、佐久間レイ、山口勝平、信沢三恵子

監督・脚本:宮崎駿

(1989年・東映・112分)

評価★★★★★/100点

内容:魔女の娘で13歳のキキは、一人前の魔女になるため、黒猫のジジと一緒にホウキに乗って自立の旅に出発した。たどり着いたコリコの街でキキは、親切な夫婦に部屋を貸してもらい、早速ホウキを使って宅急便の仕事を始める。女子画学生のウルスラやトンボ少年と親しくなったキキは、失敗を繰り返しながらも仕事に精を出すが、ある日、魔法の力が弱くなって空を飛べないことに気付いてしまう・・・。

“年と回を重ねて見るごとに自分の中の評価が上昇していく稀有な映画。この映画の魔法は日ごと強まっているらしい。”

初めてこの映画を見たのは、小学5年生のときに劇場でだが、母親は大感動していたものの、自分的にはそれほど心には残らない映画だと感じていた。

ラピュタのように何ら冒険があるわけでもないし、描いているのは人間が住む世界における日常に過ぎないではないか、と。ちょっと空を飛べるだけの女の子ってだけの話じゃんという印象がやはり強かった。

ま、小学3年のときに見たトトロよりはまだマシかなぁという程度の感覚。だがナウシカ、ラピュタには遠く及ばないなという感覚である。

が、しかし、それから2,3年ごとに1度TVで放映されていくのを見るうちに、なぜか自分の中の感動度と評価の度合いが徐々に高まっていっているのだ。

おそらくキキに対する感情移入の強さは初めて見た時と全く変わっていないと思う。

トンボやおそのさんなどのサブキャラクターも同様だし、キャラの強さも強烈に立っているというわけでもない。

自然にそこに立っているといった方がいいか。

やはりこの映画が描いているのは、人間の住む世界の日常に過ぎないのだ。

だが、この“日常”を描いている映画が実はそんなに多くはないのだということに様々な映画を見ていくうちに今更ながらに気付くわけで。。

最初は単なる日常を描いていることに何ら興味もドラマ性も見出せなかったのが、“日常”を描くことの希少さに逆に気付いたときに、この映画の凄さが実感として湧いてくるのだ。しかもアニメ映画というジャンルで考えるとなおさらだろう。

食べる。着る。拭く。話す。寝る。作る。といったことをこの映画は何気なくだがしっかりと描き出していく。

宮崎アニメというのは、元来そういう傾向があるが、この映画が最たる例だといえよう。

しかし、この映画の本当の凄さは、“日常”をしっかり描いているという単にそのことのみではない。

ファンタジーという非日常空間という場において人間世界の“日常”をしっかり描いているというところが真にこの映画の凄いところだと思うのだ。

考えてみるとこの映画の設定はちょっとスゴイと思う。

ヨーロッパ風の街並み、しかしラジオからはユーミンの歌が流れている。さらに一般に悪魔のような女と形容される言葉であったり、キリスト教世界においては悪魔との交際によって魔力を得た女であり中世ヨーロッパでは魔女狩りも行われるなどのマイナスイメージが強い魔女が主人公、猫がしゃべれる、、とまさに設定は非日常、さらに言えばまっとうなファンタジーという設定なのだ。

この設定の中でさらに強固で強力なファンタジーへと昇華させていくのかと思いきや、視線を人間の住む世界の“日常”へと最初っから落として話を進めていくではないか。

初めて見たときは、このことに何か物足りなさを感じていたと思うのだけど、今になってみると逆にそのことの凄さが際立って見えてくるわけで。

様々な映画を見ていく中で、同じ映画でも自分の映画の見方が変わってきているのだなということがまざまざと実感できる映画だと思う。

これからもこの映画を見つづけていきたいと思う。

〔追記〕

 この映画と表裏一体となっているのが実は「千と千尋の神隠し」なのではないかと思うのだが、なぜか「千と千尋」はそんなに好きになれない。「千と千尋」もファンタジーという場において仕事という“日常”を描いているのだが・・・。

例えば同じ仕事という“日常”でも「魔女宅」では“人間の住む世界の日常”だが、「千と千尋」では“人間が立ち入ることのできない異世界における日常”という違いがある。

どうやらそこら辺に自分的には何か引っかかるものがあるらしい・・。

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魔女の宅急便

001出演:小芝風花、広田亮平、尾野真千子、山本浩司、吉田羊、新井浩文、浅野忠信、筒井道隆、宮沢りえ

監督:清水崇

(2014年・東映・108分)DVD

内容:13歳の魔女見習いキキは、魔女のいない町で1年修行するという一族の掟に従い、黒猫のジジと一緒にほうきに乗って旅立った。そしてたどり着いたのは海辺の港町。しかし知らない土地で彼女を見る世間の目も優しくはなく、仕事を探すあてもなく右往左往するが、丘の上で出会ったパン屋の女将・おソノさんに部屋を間借りさせてもらえることに。さっそく宅急便の仕事を始めるキキだったが・・・。

評価★★☆/50点

ちまたで言われてるほど悪くはないが、それでも確実にツマラナイ

まぁ、すべての帰結はホラー畑の清水崇がファンタジーを撮るというどう考えても畑違いだろってとこに行き着いてしまうけど、その点でいえば今回の作品にはホラー映画をお化け側の視点で描くようなぎこちなさを感じちゃったな。

せっかく清水崇を監督に据える出たとこ勝負でいくなら、トンボを主人公にするくらいのフォーマットの転換がほしかった。

拙いCGのせいで人がホウキに乗って飛ぶという肝心要のシーンよりもトンボ自作の羽根付き自転車の方にリアリティがあったことからしても、空を飛びたいと願う生身の人間を主人公にした方が面白かったのに、と思ってしまうのは自分だけw!?

ていうか、国民のDNAにまで染み込んでいるジブリアニメ版にはない面を強調するならトンボとキキの恋しかないわけだし、絶対トンボ主人公の方がよかったと思う。

これじゃ実写にする意味がないよ・・・。

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