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2015年12月26日 (土)

夢のシネマパラダイス44番シアター:はたして戦場は娯楽たりえるのか!?

フューリー

20141203181622a78出演:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル、ジェイソン・アイザックス

監督・脚本:デヴィッド・エアー

(2014年・イギリス・135分)WOWOW

内容:1945年4月。連合国軍は戦況を優位に進めベルリンに向けて進軍していたが、ドイツ軍の捨身の反転攻勢に苦しめられていた。そんな中、北アフリカ→フランス→ドイツと転戦してきたベテラン曹長ウォーダディーが駆る戦車“フューリー号”に、補充兵として戦闘経験ゼロの新兵ノーマンが配属されてきた。乗員5名となったフューリー号は敵陣深くへと進軍していくが・・・。

評価★★★☆/70点

戦車に特化した戦争映画はたぶん初めて見たと思う。

話のつくりとしては、戦車に乗って巡る戦場1日体験ツアーといったロードムービー的要素を軸とし、そこに「硫黄島からの手紙」の二宮和也や「プライベート・ライアン」のジェレミー・デイビスのような戦争を知らない現代若者の視点を取り入れることで、戦争の惨状をより身近に真に迫ったものとして実感させるものになっていて、それは一応の成功をみせていたと思う。

また、ロードムービーの必須テーマである“成長”も、戦闘経験のない新兵が敵を殺しまくることに何のためらいもなくなるいっぱしの兵士に成長する姿として描き出されていて、わずか一日でそのように変貌してしまう恐ろしさはよく伝わってくる。

ただ、潜水艦映画は数多くあれど戦車映画はない理由がなんとなく分かったというか、絶対外には出られない&敵の姿を視認できない潜水艦は、密室の中に極限状況の緊迫感と人間関係が充満するわけだけど、戦車は外に出られるし敵の姿も見れるので、そこらへんがちょっとヌルくて中途半端なかんじはしたかな。

戦車の後ろに歩兵がついて敵陣地を進んでいくという遮蔽物としての役割も担っていたとかは目からウロコだったけど。。

しかし、この映画で特筆すべきはそんなことではない。

それは、ブラピをはじめとする米兵が正義ヅラしていないということだ。

第二次世界大戦はファシズムから自由と民主主義を守るために戦ったのだとし、原爆投下でさえも正義と言ってはばからないアメリカは、かの戦争を描いた映画でも、こちらは正義であちらは悪と白黒明確なキャラ付けをしていることがほとんどだった。

「プライベート・ライアン」なんて兵士を国もとの母親に帰してやるために捜し出すという崇高なミッションまで付与されていたりして(笑)、それはつまり米兵が汚い言葉は吐けども汚い行為はしないというキャラクターにつながっていくのだけど、今回は平気で捕虜を射殺するわ、民間人の家に押し入ってそこの娘に手を出すわ(ブラピが若い2人に任せておこうと母親を制するが、そんな道理が許されるはずはない)、かなり醜悪な一面をも描き出していて、善悪二元論では割り切れない戦争の姿をさらけ出している。

戦場とは文字通り無慈悲な殺し合いの場なのだということを正面切って描いていて、第二次大戦を題材にした従来の戦争映画とは一線を画していたと思う。

戦争とは悲惨なものなのだ。

長渕剛の歌にあるように、戦争には正義もクソもないのだから・・・。

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ハート・ロッカー

O0800112410516331041 出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース

監督:キャスリン・ビグロー

(2008年・アメリカ・131分)WOWOW

評価★★★/60点

内容:2004年夏、イラク・バグダッド郊外。アメリカ陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班。任務明けまで残り38日。が、新たにリーダーとして赴任してきたジェームズ二等兵の慎重とは真逆の無謀ともいえる爆弾処理のやり方にチームを組む周りの隊員は不安を感じていくのだった・・・。アカデミー作品賞、監督賞など6部門で受賞。

“映画は麻薬のようなものである”

この映画を見る前も見た後も思うこと。

「アバター」の方がアカデミー賞獲ってしかるべきだった!!

イマジネーションとテクノロジーの豊穣な結びつきによる誰も見たことのない世界と、リアリズムとテクノロジーの不条理な結びつきによる誰も見たことのない世界。

シネマ中毒の自分はやっぱり前者を支持してしまうのであるけれども、リアリズム=肉体とテクノロジー=爆弾の緊迫した対峙はたしかに見応えはあるし、その最たるものとして身体の中に爆弾を埋め込まれた人間爆弾という不条理でおぞましい現実には目を覆いたくなってしまう。

またリアリズム=手持ちカメラとテクノロジー=映像技術として捉えるならば、情緒を廃した客観性を主体とする中で不条理で虚無的な戦場の真実を浮かび上がらせることには成功している。

しかし、、だ。

あまりにもドライなこの映画のタッチは、その代償としてドラマまでをも廃棄してしまった感が否めず、感情移入すら入り込むことを許してくれない。

まるで黒ヒゲ危機一発ゲームを傍から見ているかのようで、しかもこのゲームに自分は参加していないのだという安心感が自分の心情を空疎にさせる。そして後半、差し込み穴の数が少なくなっていくうちに恐怖がジワジワと襲ってくるのだけども、エピソードの単調な羅列がそれを相殺していく・・・。

戦争ジャンキーとなったジェームズの姿が「ディア・ハンター」(1978)でロシアンルーレット漬けになるクリストファー・ウォーケンとダブって見えたけど、そこらへんもっと掘り下げてほしかったし、正直これだったら最初っからドキュメンタリーで撮ればよかったのにと思ってしまった・・・。

短絡的だとか露悪的と揶揄されようが、自分は安直なドラマ、もっとカッコ良くいえば自分のエモーショナルな部分を揺さぶるようなドラマをこそ見たい。

「アバター」には、それがあった。

P.S. クソイラクともやっとでオサラバだ!とエルドリッジがヘリで去るシーンがあったけど、同じようなシーンを「プラトーン」とかのベトナム映画でも見た気が。同じことをイヤというほど繰り返すんだアメリカって国は。。

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グリーン・ゾーン

Greenzone 出演:マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、エイミー・ライアン、ジェイソン・アイザックス

監督:ポール・グリーングラス

(2010年・米/仏/西/英・114分)WOWOW

内容:大量破壊兵器を保有しているとしてイラクに侵攻したアメリカ軍。バグダッド陥落から1ヶ月。ロイ・ミラー准尉率いる部隊は、大量破壊兵器の発見という極秘任務に就いていたが、その痕跡すら掴めずにいた。次第に、情報源への疑いを強めていくミラーだったが・・・。

評価★★★★/75点

イラクに大量破壊兵器はあったのか!?探しても探しても大量破壊兵器が見つからないのはなぜか!?

この大量破壊兵器をマクガフィンとして繰り広げられるアクションムービーの体をなしている今回の作品。

ジェイソン・ボーンシリーズを舞台をイラクに移植したような娯楽作でありながら、イラクの悲惨な状況下を社会派感覚織り交ぜて描き出した手腕はかなりのもので、そのスピーディな展開は2時間では足りないほど濃密。

事実を隠蔽してまで開戦に突っ走る国防総省(パウンドストーン)、ネオコン=国防総省と対立するCIA(マーティン・ブラウン)、政府のプロパガンダ機関になり下がるメディア(ローリー・デイン)、さらにそこに真相を握るイラク側のキーマン(アル・ラーウィ)、イラクの一市民(フレディ)を配置し、その中をスター気取りの自由人(ロイ・ミラー)が縦横無尽に駆け回ることでイラク戦争の背景を暴き出していく。

非常に単純化された構図ともいえるけど、あくまでアクションエンタメに舵を取ったスタンスの中でのバランス感覚は秀逸だ。

加えて、ポール・グリーングラスのスタイリッシュな映像もリアリティがあって抜群に良い。

即物的で人に興味のない、すなわちエモーショナルな部分に乏しい「ハート・ロッカー」よりも国家にノーを突きつけるあからさまなヒロイックを描くこっちの方が自分は好きだ。

おそらくそこには欺瞞であるとかプロパガンダであるといった揶揄がつきまとうのであろうけれども、人間対人間のむき出しのバトル(感情面であれ身体面であれ)こそ映画の真髄だと思うし、それをこそ見たい者にとっては、イラク戦争という関心事を舞台に強引にエンタメにまとめきったポール・グリーングラスの手腕を自分は買いたい。

しっかし、戦争ていうのはいかに茶番劇かってことだよね。こんなので数万人が無駄死にするなんて報われないよ・・・。

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プライベート・ライアン

P009 出演:トム・ハンクス、トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、マット・デイモン

監督:スティーブン・スピルバーグ

(1998年・アメリカ・169分)仙台第1東宝

評価★★★★★/90点

内容:1944年、米英連合軍によるノルマンディー上陸作戦は多数の死傷者を出しながらもなんとか成功を収める。そんな中、戦渦を切り抜けたミラー大尉は、軍首脳から「ライアン2等兵を捜し出し、故郷の母親のもとへ帰国させよ」との命令を受ける。ミラーは部下を指揮して、落下傘の誤降下で行方が知れなくなったライアンを捜しに、敵地の前線へと向かうのだった。

“映画を観終わって、映画館を一歩出たときの眼前に広がる高層ビル群を前にして一瞬立ちすくんだ。あの息が詰まるようなクソ世界から、隔絶された現実世界へいきなり舞い戻ったための一種の時差ボケのような感覚だったのかもしれない。あの時の一瞬の眩暈と何ともいえない気持ちは一生忘れることはないだろう。”

それほどまでに映画の世界に入り込んでいた。

というよりは強引に入り込まされていたといえる。

冒頭30分については既に言い尽くされているが、あの揚陸艇のハッチが開けられた瞬間に自分も首根っこ引っつかまれて海中に引きずり込まれるように、突如として映画の中に入り込まざるを得なかったのだ。

なんともあざとい手法にまんまと引っかかってしまったものだ。

スピルバーグの手法のパターンについては熟知していたものを、予想を超える強烈なアッパーカットを喰らってしまった。

しかし、あの強烈な衝撃波こそ映画のリアリティそして戦争というリアリティなのかもしれない。

同年に公開され、今作と好対照をなす「シン・レッド・ライン」と合わせて、まさに20世紀、戦争の世紀を締めくくるのに相応しい映画だったと思う。

そして21世紀、戦争映画の世界標準となったことは疑う余地がない。(他ジャンルの映画にまで良くも悪くも影響を与えてしまったが・・・。)

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ローン・サバイバー

20140402220335出演:マーク・ウォルバーグ、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、ベン・フォスター、エリック・バナ、アレクサンダー・ルドウィグ

監督・脚本:ピーター・バーグ

(2013年・アメリカ・121分)WOWOW

内容:2005年、アフガニスタン。米海軍特殊部隊ネイビーシールズの4名が、タリバン指導者の暗殺任務“レッド・ウィング作戦”遂行のためアフガン山岳地帯に降下する。衛星電話さえ繋がりにくい孤立状況の中、タリバンの秘密基地を発見したまでは良かったものの、4人は運悪く現地の非戦闘員と遭遇。その処遇をめぐる苦渋の判断が4人を絶体絶命の状況に陥らせてしまう・・・。

評価★★★/65点

映画の構成力、映像の筆致はともにレベルが高い。特に冒頭4分弱で「フルメタル・ジャケット」の前半1時間分、殺人兵器養成合宿と同等のインパクトを与えるに足る実際の訓練風景がもたらす画力と巧さには唸ってしまう。これにより、その後の一見するとあり得なさすぎな転落に次ぐ転落劇に説得力が与えられている。

しかし、25年前だったらスタローンのランボー1人で敵を根絶やしにできたのだろうけどw、永久に終わらない泥沼の戦いを続けている現在では、そういう絵空事を娯楽アクションに転化する余裕はなくなっているらしい。

それどころか敵に追い立てられ、蜂の巣のなぶり殺し状態を延々見せられるに至っては感情移入することすらままならない。つまりは敵を狩る側にいたアメリカが、狩られる側に身を置くことになってしまった立場の逆転をまざまざと見せつけられるわけだ。

しかし、例え敵地の戦場で作戦が失敗し、いかなる代償を払おうとも、それは武勇伝という美談になり、変わらずアメリカは正義であり続け、これからも自由を守るために戦うのだ!と星条旗をなびかせながら決意を新たにする英雄気取りの正当化視点にはいささか違和感を覚える。

例えば、アメリカにタリバンが潜入し、米司令官を暗殺するべく隠密作戦を実行中、牧場のカウボーイと出くわすも人道的観点から解放。ところがそれがきっかけで米軍に察知され撃退されてしまう。あるいは、北朝鮮工作員が日本人を拉致するために潜入するも見つかって自衛隊にボコボコにされる。

このタリバン&工作員と今回のネイビーシールズは何が違う!?根っこは同じ自業自得な話ではないのか。

それでも他国に土足で踏み込むことを是とするアメリカの正義はやはりどこか違うだろ、と思ってしまう。

25年前、アフガンでランボーはタリバンと手を組みソ連軍と戦った。しかし今ではそのタリバンと戦うはめに陥り、反タリバン勢力と手を組んでいる。25年後、その構図はどうなっているのやら・・・。

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ブラックホーク・ダウン

Black 出演:ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア、エリック・バナ

監督:リドリー・スコット

(2001年・アメリカ・145分)MOVIX仙台

評価★★☆/45点

内容:1993年、内戦が続くソマリアの秩序を維持するために、米軍は武装勢力アイディード派の幹部捕獲作戦を敢行。作戦は1時間で完了するはずだったが、戦闘ヘリ“ブラックホーク”が民兵によって撃墜され、戦いは泥沼に陥ってしまう・・・。

“アメリカ一極支配の終焉

オープニングでこの映画は事実に基づくと前置きする通り、実話ベースの映画ではあるのだけど、人物の掘り下げを敢えてすることもなく、ゆえに名前と顔も一致しないから見る側に感情の付け入る隙を与えず、淡々と戦闘を描き、淡々と死を描く。そして死は単なる客観的事実でしかないという感情度外視の描き方がハンパなく、見終わっても何も感じなかったのが逆に怖いくらいの作品だった。

作品世界との距離を縮める要素を持たないノースタンスの描写は、好意的にみれば観客側に委ねる作りともいえるけど、悪くいえば主義主張のない単なる逃げとも受け取れるわけで、どうも今回は後者の感が強かったような・・。

まじめな話、自分でもなんでだろうと思うくらい冷めて見てる自分がいて、、と、ふとこの映画を見ている自分の顔って、統合作戦本部のサム・シェパードの作戦指示を上空500フィートを旋回するヘリから伝える上官の無機質でのっぺりとした顔と同じであることに気付く。

それはつまり、テレビのニュース映像を通して戦争の断片にしか過ぎない成り行きをただ見ているだけのあまりにも遠すぎる距離感といってよい。要はこの距離感というのは、まさに映画の作り手側の意図するところであり、作り手側と映画自体との距離感でもあるのだろう。

しかし、先述したことに戻るけど、肝心の作り手側が最初からほっぽり出してるだけじゃんともいえるわけで、そこに何か意味を見出すというのはかなり難しいところではあると思う。

ただ、奇しくもアメリカ同時多発テロ事件と同じ年に映画が公開されたというのは時代性を捉えた作品であることもたしかで、世界の警察として秩序保持のために他人の揉め事に率先して首を突っ込んだあげく敢え無く自滅するアメリカの限界を赤裸々に描き出しているという点で見る価値はあるのかも。

それはまるでスズメバチの巣を突っついて返り討ちに遭う大バカ者といったかんじだけどw、映画のラストで「他人の戦争に飛び入り参加するなんて戦争中毒なのか?それとも英雄のつもりなのか?」という問いに対し、「仲間のために戦う。それだけだ」という主人公の答えが全然本質的な答えになっていないところがアメリカの矛盾を露呈させていて面白かった。

ところで、以前ピュリツァー賞写真展が開催されて足を運んだことがあって、ちょうどこの映画で描かれていた出来事を撮った写真が1993年だったかのピュリツァー賞を受賞していた。死んでいる米兵の遺体が裸にされて群衆に引きずり回されている写真だった。たった数枚の写真だけで、2時間半という長尺を割くこの映画を凌駕してしまう真実がそこにはあった。

もちろん様々なメディアや媒体ツールを通して考えなければならない問題ではあるけど、この映画を見ちゃうと、なにも映画がノンフィクションと同じ土俵に立ってそのマネ、模倣をしたって何の意味もないとも思ってしまう。

だって、どう頑張ったって虚構にしかすぎないのだから。

だから映画には作り手の主観が入って当然だと思うし、何も逃げることはない。英雄に描きたかったら描けばいいじゃんってだけのこと。あるいは批判的に描きたかったら描けばいいじゃんってだけのこと。

そしてノンフィクションとはまた違ったより多角的な視点から物事を考えたり捉えたりすることができるのではないかなと。

それでいいと思うんだよね映画って。映画というのはそういう一歩踏み込んだ自由な表現の媒体であるべきだと思うから。そこに踏み込めないというのはまた最初に戻っちゃうけど映画としてどうなんだろうと、自分は思ってしまう。

この映画にはもっとわがままに描いてもらいたかったけど、わずか10年かそこら前の話を描くにはまだ時期尚早だったということか・・・。

(*)ソマリア内戦について

一応2000年には国連の監視の下に暫定政権が樹立されはしたが、いまだに中央政権は確立されておらず、文字通りの無政府状態と言ってよい状態が続いている。2006年あたりからは隣国エチオピア軍をも巻き込んだ紛争が活発化し、つい先日にはアメリカ軍がアルカイダ掃討と銘打って空爆を行った。

個人的にはいわゆるソマリア内戦に関していえば、第三者が介入しなくてはならない、そうじゃないと解決しない問題だったと思う。たとえそれがアメリカであろうとも。

ソマリアにも十分すぎるほどの非はあることを忘れてはならない。特に問題の解決手段を武器と殺戮にしか求めないやり方には。

もちろんその武器を与えてやったのは冷戦時代のアメリカ、そして旧ソ連だったわけだけど・・・。しかも解決手段を同じ武器でもって介入するというアメリカのやり方もいかがなものか。難しい問題です。

19世紀のアフリカ全土にわたる植民地化時代、列強諸国のいいように民族が分断され、国境線が引かれ(話によると地図上に定規で線を引いて国境線が決められたという)、そのいいかげんなツケが今アフリカで多発する紛争という悲劇に結びついているのは言うまでもない。

そのツケから顔をそらして無関心を装う西欧諸国にも問題ありありなのだ。

しかるにこの映画はそんなこと1つも・・・。映画までもが顔をそらしてどないすんねん。一歩間違えるとただのエイリアン映画でっせ。

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遠すぎた橋(1977年・イギリス・175分)NHK-BS

 監督:リチャード・アッテンボロー

 出演:ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、ジェームズ・カーン

 内容:第二次世界大戦のノルマンディ上陸作戦から3ヵ月後の1944年9月、連合軍が企てた史上空前の空陸共同作戦、マーケットガーデン作戦が失敗に終わるまでを豪華スター共演で見せる戦争スペクタクル。

評価★★★/60点

いよいよダラけてきた頃に、最後の切り札レッドフォード登板というなんとも贅沢な使い方。

しかし、その効果もなくダラけたまま終了。。

ドイツ軍側からも描写するという斬新な試みをしているが、大風呂敷広げすぎて、戦争と人間の愚かさ、残酷さを描くには程遠いシロモノとなってしまった。

でも、壮大なスペクタクルとして見た場合、落下傘部隊の降下シーンなど見るべき価値はある、、かな。

2015年12月21日 (月)

太平洋戦争の記憶シリーズ第9号:天皇機関説問題

歴史の授業で30秒くらい習って聞いたことがある程度の天皇機関説問題。しかし実はこれが日本を戦争に突っ走らせる一つの要素になったのだということはほとんど知らなかった。

では、そもそも天皇機関説問題とは何なのかというと、天皇の権力はどこまで及び、主権者は誰にあるのかという問題で、天皇の権力が国家および憲法の上に位置するというのが天皇主権説で、反対に天皇の権力は国家の下に位置するというのが天皇機関説だ。

つまり天皇主権説は、天皇は国家そのもので統治権は天皇にあり、意のままに国を動かすことができるという考え。

対する天皇機関説は、国家は議会・政府・憲法・国民など様々な機関からなる組織であり、天皇はその中で最高機関だが、あくまで一機関にすぎない。なので統治権は君主一身の利益のためではなく、全国家の利益のために実現するものなのでその権利は国家にあるとする考え。

いわば前者が絶対君主制で後者が立憲君主制といえるのだけど、しかし自分が学校で習った教科書には、大日本帝国憲法では天皇に主権があると定められ、と堂々と書いてあった記憶があり、今まで天皇主権説があの時代の常識だとおぼろげに思っていた。要するに天皇が政治に容易に参加あるいは介入できると思っていた。

が、どうやらそうではなかったらしい。

天皇機関説の方が学説の主流として定着していて、現実の政治も天皇を輔弼する(天皇が委任する)内閣が行政を、議会が立法を担う議院内閣制だったわけで、天皇が超法規的に憲法や法律を無視して行動したり介入することはほとんど出来なかったという。やれることといえば政府から上奏されてきたものに裁可のハンコを押すことだけ。要するに天皇は政治に容易に参加できるわけではなかった。

じゃあ、現実は天皇機関説/立憲君主制で動いていたのに、なぜ天皇主権説/絶対君主制との論争問題が生じたのかといえば、明治憲法第1条に「大日本帝国は万世一系の天皇これを統治す」と天皇を絶対視しているのに、第4条では「天皇は国の元首にして統治権を総覧し、この憲法の条規によりこれを行う(天皇は国の元首だが、この憲法に従う)」と天皇の権力を制限していて、ここに矛盾が生じていることが大きい。

そして1番大きなポイントは、軍部が台頭してくる中で、「天皇は陸海軍を統帥す」とする憲法第11条を天皇主権説で解釈すれば、軍事に関する軍部の行動は政府にも議会にも干渉されずに独立して行うことができる(統帥権の独立)ので、軍部にとって天皇機関説は邪魔だったというわけだ。

さらに、昭和に入って政党政治が財閥や政治利権など特権階級にゴマをすって民衆から離れたところに向かっていき、1932年の五・一五事件でついに自滅。

そんな中で天皇絶対主義の思想が台頭。天皇親政による国家改造論が出てきて、1935年、議会で天皇機関説がやり玉に挙げられ、天皇機関説は反逆思想として排撃され葬り去られてしまう。そして1936年の二・二六事件で天皇絶対主義の国体論が大勢を占め、天皇機関説/立憲君主制による政治体制は骨抜きになってしまい、野放し状態になった軍部が実権を握り、誰にも止められない暴走が始まってしまうわけだ(政治体制が骨抜きになったといっても、内部行政は変わらず天皇機関説的な政治手続きで行われていた。要するに天皇という機関を軍部が押さえ込むことにより、軍部以外が天皇を利用できないようにした。まさに「君臨すれども統治せず」である)。

そして戦争が激化するにつれ、天皇絶対主義の思想は天皇のために命を捧げるという天皇忠誠の極致、一億玉砕の精神論へと昇華していき、その成れの果てが特攻である・・・。

歴史は繰り返すというけど、こうならないためには立憲主義による政党政治がしっかり機能していなければならないのだと思う。

さて、次は新聞記事で興味深かったところを。

まずは終戦詔書を受けての8月15日の朝日新聞の“再生の道は苛烈”という記事から。

“かつて敗戦の歴史を持たない国民にとって、それがなお現実感をもって迫ってこないのは無理もない。しかし日本国民にとって真の危険はこの時、この所に存する。情勢の見通しはどんなに厳しくても厳しすぎるということはない。敵が我々に骨の髄まで敗戦感を味わわせると提言してきた事実、また彼らが憎悪と復讐に燃えている事実を別としても、本州・四国・九州・北海道と若干の島嶼をもってしかも不具化された工業をもって、いかにして国民を養い、賠償を支払うべきかの一点を考えただけでも、我々の生は難く死は易しという言葉の意味を身に染みて感ずるのも決して遠い将来ではあるまい。

しかし、聖断すでに下った以上、国民の行くべき道はただ一つ。事ここに至ったについては、軍官民それぞれ言い分もあろう。だが今はいたずらに批判し、相互を傷つけるべき時期ではない。国内相克は分割統治という米英得意の戦法をわが国民に対して適用可能ならしめる事態をも発生せしめるかもしれないからである。現在は全国民が陛下の赤子たる本分に生き、かばい合う時ではないか。冷静と秩序の維持、これなくしては来るべき最も苛烈なる段階を切り抜けることは不可能であろう。

戦いにおいて敗れたりとはいえ、いやしくも我に自由なる魂ある以上、いかなる敵も我々を奴隷とすることはできないのだ。国体を護持し得るか否かは、敵の保障にかかるのではなく、実に日本国民の魂の持ち方いかんにかかる。特攻魂に端的に現れた七生報国の烈々たる気迫は、我々がこれを祖先より受け継いだものであるが、これは永劫に子孫に伝えねばならない。日本国民が果たしていつの日にか再生しうるかは、一に日本国民の魂がこの試練によっていかに鍛えられるかによって決まるのである。”

また、社説では、、

“おそらく今後幾年か、はたまた幾十年か並々ならぬ苦難の時代が続くことをあらかじめ覚悟してかからなければならない。しかし挙国一致、国体の護持を計り、神州の不滅を信じて冷静に事に当たるならば苦難の彼方に洋々たる前途が開け行くのである。

加えるに、被抑圧民族の解放、搾取なく隷従なき民族国家の再建を目指した大東亜宣言の真髄も、また我が国軍独自の特攻隊精神の発揮も、ともに大東亜戦争の経過中における栄誉ある収穫というべきであり、これらの精神こそは大戦の結末の如何に関わらず、永遠に特筆せらるべき我が国民性の美果としなければならない。かくてこれらの精神が新たなる国際情勢と新たなる国内情勢の下に、新装をもって生成していく時、未来はすでに我らのものといってよい。

一億の臣子、意義深き大詔を拝して覚えるところの感慨は筆舌につくしがたいものがあり、あるはただ自省自責の念慮のみである。君国の直面する事態について同胞相哭し、そして大君と天地神明とに対する申し訳なさで一杯である。一億同胞の新たなる努力も、ともにこの反省と悔悟とを越えて生まれ出るものでなければならない。”

まず印象として、反省してるようでしていないというか、要は天皇に対してこんなことになってすみませんでしたということであって、アジアなど外向けに対する反省じゃないし、なによりこの戦争は結果負けただけであって、理念や精神は正しかったと、栄誉あることだったとまで断言しているのは、戦争が終わったその日ということはあれど、全くもってあの軍国主義史観から脱していないことが見て取れる。

そして、8月15日から半月後の9月2日。米軍艦ミズーリで降伏文書に調印し、これをもって完全に終戦したわけだけど、その翌日の毎日新聞の社説を見てみる。

“さきに時局収拾に関する大詔が渙発されてから半月、停戦協定はきわめて平穏理に成立した。同協定は、帝国が連合国に対し完全に敗北した事実を政府の名において確認し、帝国に課せられた降伏条件を忠実に履行すべきことを確約した降伏文書である。我ら国民の感情としてはこれを正視するに忍びないものであるが、我らの祖国を再建するためには、冷静に大胆に敗戦と降伏の現実を直視し、これに対処するために最善の努力を払わねばならない。

日本および日本国民の行く手には物心両面においてまことに忍び難いような苦難が待ち構えているものと覚悟せねばならない。だが我らは文字通り石にかじりついてもこの苦難を克服せねばならない。日本及び日本国民の名誉にかけて連合国に対する降伏条件を完全に履行するばかりではなく、敗戦日本を世界最高の理想国家として再建するために、国民の全力を余すところなく傾注しなければならない。国体を護持し、正義と平和とを基盤として新日本の平和建設に邁進せねばならない。

我らはいかにその政治体制を改善し、いかに精神文化の向上を図り、いかに科学水準を上昇せしめるか。日本及び日本国民の進むべき道は一点の疑いを入れる余地がない。降伏条文の調印完了という事実は、かえって日本及び日本国民の平和建設への努力に拍車をかけるであろう。ただ、この平和建設への努力は、政府並びに一般指導層の明察と勇断とを必要とし、国民の努力はあくまで組織的かつ能率的なものに仕組まれねばならない。

国民の準備はできている。平和建設に対する政府当局の最善の努力を重ねて希求してやまない。”

半月で随分と印象が変わっていることに驚いてしまう。

「平和国家建設」、「日本及び日本国民」などそれまであまり使われてこなかった語句が頻繁に使われているし、政治体制を変えなければならない、つまり軍国主義から脱しなければならないと暗に言っていることは興味深い。ただ、国体護持、つまり皇室の安全と存続の保証だけは絶対守るべしという論は変わっておらず、天皇という存在がいかに絶対的だったのかが見て取れる。

さて、最後は新聞アラカルトコーナー♪

今回は、昭和10年2月26日の紙面に載っていた、乳美容液レートフードを絶賛発売中の平尾賛平商店さんの懸賞広告です。

“父のひげそり後に、母の隠し化粧に、姉のお化粧下地に、妹の通学整容料などなど用途の広い一瓶一家の重宝として有名な美容液の名は何でしょう?”というクイズの答えをハガキに書いて送ると、その中から抽選で豪華な賞品が当たるというもの。

1等賞が50名様で、ビクター名曲レコード(ベートーベンの「運命」または松永和風長唄)、子供服(年齢に合わせて調進)、腕時計、お召銘仙(平織の絹織物)、パーレットカメラ、お化粧セットから希望の品を。

2等賞が100名様で、ハイキング用具、パラソル、ランドセル、万年筆、初夏用ショール、置時計から希望の品を。

3等が1000名様で、安全カミソリ。4等が13850名様で、チョコレート。

何とも大盤振る舞いだね(笑)。しかも答案はお一人で何通でもお出しください。多いほど当選確率も多くなりますだってww昔からこんなことやってたんだね

2015年12月20日 (日)

夢のシネマパラダイス218番シアター:魔女の宅急便

魔女の宅急便

20041212184905声の出演:高山みなみ、佐久間レイ、山口勝平、信沢三恵子

監督・脚本:宮崎駿

(1989年・東映・112分)

評価★★★★★/100点

内容:魔女の娘で13歳のキキは、一人前の魔女になるため、黒猫のジジと一緒にホウキに乗って自立の旅に出発した。たどり着いたコリコの街でキキは、親切な夫婦に部屋を貸してもらい、早速ホウキを使って宅急便の仕事を始める。女子画学生のウルスラやトンボ少年と親しくなったキキは、失敗を繰り返しながらも仕事に精を出すが、ある日、魔法の力が弱くなって空を飛べないことに気付いてしまう・・・。

“年と回を重ねて見るごとに自分の中の評価が上昇していく稀有な映画。この映画の魔法は日ごと強まっているらしい。”

初めてこの映画を見たのは、小学5年生のときに劇場でだが、母親は大感動していたものの、自分的にはそれほど心には残らない映画だと感じていた。

ラピュタのように何ら冒険があるわけでもないし、描いているのは人間が住む世界における日常に過ぎないではないか、と。ちょっと空を飛べるだけの女の子ってだけの話じゃんという印象がやはり強かった。

ま、小学3年のときに見たトトロよりはまだマシかなぁという程度の感覚。だがナウシカ、ラピュタには遠く及ばないなという感覚である。

が、しかし、それから2,3年ごとに1度TVで放映されていくのを見るうちに、なぜか自分の中の感動度と評価の度合いが徐々に高まっていっているのだ。

おそらくキキに対する感情移入の強さは初めて見た時と全く変わっていないと思う。

トンボやおそのさんなどのサブキャラクターも同様だし、キャラの強さも強烈に立っているというわけでもない。

自然にそこに立っているといった方がいいか。

やはりこの映画が描いているのは、人間の住む世界の日常に過ぎないのだ。

だが、この“日常”を描いている映画が実はそんなに多くはないのだということに様々な映画を見ていくうちに今更ながらに気付くわけで。。

最初は単なる日常を描いていることに何ら興味もドラマ性も見出せなかったのが、“日常”を描くことの希少さに逆に気付いたときに、この映画の凄さが実感として湧いてくるのだ。しかもアニメ映画というジャンルで考えるとなおさらだろう。

食べる。着る。拭く。話す。寝る。作る。といったことをこの映画は何気なくだがしっかりと描き出していく。

宮崎アニメというのは、元来そういう傾向があるが、この映画が最たる例だといえよう。

しかし、この映画の本当の凄さは、“日常”をしっかり描いているという単にそのことのみではない。

ファンタジーという非日常空間という場において人間世界の“日常”をしっかり描いているというところが真にこの映画の凄いところだと思うのだ。

考えてみるとこの映画の設定はちょっとスゴイと思う。

ヨーロッパ風の街並み、しかしラジオからはユーミンの歌が流れている。さらに一般に悪魔のような女と形容される言葉であったり、キリスト教世界においては悪魔との交際によって魔力を得た女であり中世ヨーロッパでは魔女狩りも行われるなどのマイナスイメージが強い魔女が主人公、猫がしゃべれる、、とまさに設定は非日常、さらに言えばまっとうなファンタジーという設定なのだ。

この設定の中でさらに強固で強力なファンタジーへと昇華させていくのかと思いきや、視線を人間の住む世界の“日常”へと最初っから落として話を進めていくではないか。

初めて見たときは、このことに何か物足りなさを感じていたと思うのだけど、今になってみると逆にそのことの凄さが際立って見えてくるわけで。

様々な映画を見ていく中で、同じ映画でも自分の映画の見方が変わってきているのだなということがまざまざと実感できる映画だと思う。

これからもこの映画を見つづけていきたいと思う。

〔追記〕

 この映画と表裏一体となっているのが実は「千と千尋の神隠し」なのではないかと思うのだが、なぜか「千と千尋」はそんなに好きになれない。「千と千尋」もファンタジーという場において仕事という“日常”を描いているのだが・・・。

例えば同じ仕事という“日常”でも「魔女宅」では“人間の住む世界の日常”だが、「千と千尋」では“人間が立ち入ることのできない異世界における日常”という違いがある。

どうやらそこら辺に自分的には何か引っかかるものがあるらしい・・。

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魔女の宅急便

001出演:小芝風花、広田亮平、尾野真千子、山本浩司、吉田羊、新井浩文、浅野忠信、筒井道隆、宮沢りえ

監督:清水崇

(2014年・東映・108分)DVD

内容:13歳の魔女見習いキキは、魔女のいない町で1年修行するという一族の掟に従い、黒猫のジジと一緒にほうきに乗って旅立った。そしてたどり着いたのは海辺の港町。しかし知らない土地で彼女を見る世間の目も優しくはなく、仕事を探すあてもなく右往左往するが、丘の上で出会ったパン屋の女将・おソノさんに部屋を間借りさせてもらえることに。さっそく宅急便の仕事を始めるキキだったが・・・。

評価★★☆/50点

ちまたで言われてるほど悪くはないが、それでも確実にツマラナイ

まぁ、すべての帰結はホラー畑の清水崇がファンタジーを撮るというどう考えても畑違いだろってとこに行き着いてしまうけど、その点でいえば今回の作品にはホラー映画をお化け側の視点で描くようなぎこちなさを感じちゃったな。

せっかく清水崇を監督に据える出たとこ勝負でいくなら、トンボを主人公にするくらいのフォーマットの転換がほしかった。

拙いCGのせいで人がホウキに乗って飛ぶという肝心要のシーンよりもトンボ自作の羽根付き自転車の方にリアリティがあったことからしても、空を飛びたいと願う生身の人間を主人公にした方が面白かったのに、と思ってしまうのは自分だけw!?

ていうか、国民のDNAにまで染み込んでいるジブリアニメ版にはない面を強調するならトンボとキキの恋しかないわけだし、絶対トンボ主人公の方がよかったと思う。

これじゃ実写にする意味がないよ・・・。

夢のシネマパラダイス153番シアター:Let’s!Enjoy!スローライフ!

WOOD JOB!~神去なあなあ日常~

Poster2出演:染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明、優香、西田尚美、近藤芳正、光石研、柄本明

監督・脚本:矢口史靖

(2014年・東宝・116分)WOWOW

内容:大学受験に失敗し、彼女にもフラれた平野勇気。たまたま手に取った林業研修生募集のパンフレットの表紙に載っている美女に一目惚れした勇気は、彼女に会いたいがために応募し、1年間の研修プログラムに参加することに。こうして向かった先は、ケータイの電波も届かない山奥にある神去(かむさり)村。しかし、そこに待っていたのは常識外れの野蛮な山の男・飯田ヨキとあまりにも過酷な林業の現場だった・・・。

評価★★★★/80点

題材の組み合わせの意外性というユニークな切り口をオーソドックスなコメディに落とし込む矢口ワールドにとって、都会育ちのやる気のない若者とド田舎で林業という設定はまさに十八番企画というかんじで安心して楽しむことができる。

その中でも、林業という普段お目にかかることのない山男の仕事の流儀、そのプロフェッショナリズムのディテールの豊かさと、携帯は通じないけど全てが筒抜けという村落共同体の非常識、そのローカルなディテールの豊かさをライトな感覚で描き出しているのがこの映画のミソだろう。

排他的なムラ社会の伝統や因習、生活圏のすぐそばに神話的世界が拡がる自然信仰の神秘性、原初的な子孫繁栄の思想に裏打ちされた奔放な性の営み、とこれだけ見ると今村昌平の映画でイヤというほど見せつけられてきた題材なわけだけど、かの映画がそれらを閉鎖的で禁忌な秘め事という視点から描き、ドロリとした粘着質の汚らわしさに満ち満ちていたのに対し、肉食系が絶えて久しい現在は大らかでオープンマインドな視点でサラリと描く矢口監督の作風は今の時代に合っているのかもしれない。

あとは何といっても長澤まさみ

まさに神レベルで、男勝りでさばさばしたバイク女子に完全にホの字ですww

他にも染谷将太のヘタレっぷり、伊藤英明の山猿、優香のジャージ姿と役者陣も魅力的ですごい良かった。

まぁ、あそこに住みたいかっていわれると丁重にお断りしますけどね

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春を背負って(2014年・東宝・116分)WOWOW

 監督:木村大作

 出演:松山ケンイチ、蒼井優、檀ふみ、新井浩文、吉田栄作、仲村トオル、安藤サクラ、池松壮亮、石橋蓮司、小林薫、豊川悦司

 内容:東京で働く長嶺亨のもとに、立山連峰で山小屋を営む父・勇夫の訃報が届く。厳しかった父から距離を置いていた亨だったが、帰郷すると母・董や山仲間たちが出迎えてくれた。そしてその中にいた高澤愛という女性と出会う。彼女は山で遭難しかかっていたところを勇夫に助けられて以来、山小屋で働いているという。それを知った亨は自分が山小屋を引き継ぐことを決心。こうして愛とともに山小屋の経営に乗り出した享だったが、過酷な山での生活に悪戦苦闘の日々が続く・・・。

評価★★☆/50点

映画を見てる時のテンションが登山に例えれば4合目から上がっていかなかった・・・。

なにより主人公が春を背負ってどころか何も背負っていないように見えるのがこの映画の最大のウィークポイント。

東京でバリバリ働いていたビジネスマンが都会の喧騒から隔絶された大自然の中で忘れかけていた人のぬくもりや絆を取り戻し人として成長していくというプロットは、オーソドックスな鉄板ものだと思うんだけど、驚くことにそれが拍子抜けしてしまうくらいに描けていない・・・。

そもそも冒頭のプロローグで、少年時代に父親と登山していた主人公が誤って滑落しそうになった時に父親にビンタされる強烈なシーンがあるんだけど、それって父親への反発や葛藤というモチーフの伏線にならなければならないはず。それにより、社会人になっても仕事にかこつけて故郷の実家に帰ることを長らく敬遠していたという経緯にも説明がつく。

ところがこの主人公、そんなことはなかったかのように無条件で山暮らしを受け入れてしまうのだ。いやいやいやちょっと待て、そりゃないだろ

いくら父親を亡くしたからって仕事と東京を捨ててまで山に行くってのには抵抗してもらわないと(笑)、感情移入できないよねっていう。いや、それ以前に自分に置き換えてみればコンビニもTVもないような山小屋で暮らすなんて考えられないわけで。。例え蒼井優の朝シャンならぬ山シャンを間近で見れたとしても、、いや、やっぱそれは見たいww

まぁともかく、実直な映画であることには違いないし、徒労の上に人生が成り立っており、自分の足で歩いた距離だけが人生の糧になるというテーマは素晴らしいんだけど、肝心の“徒労”が描けないでは本末転倒ではなかろうか。

昭和30年頃だったら通用しそうな映画だったね

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プロヴァンスの贈りもの

Agoodyear 出演:ラッセル・クロウ、マリオン・コティヤール、フレディ・ハイモア、アルバート・フィニー

監督:ラッセル・クロウ

(2006年・アメリカ・118分)WOWOW

内容:ロンドン金融界の豪腕トレーダーとして多忙な日々を送っているマックス。そんな彼のもとにある日、南仏プロヴァンスでワイン造りを営む叔父の死の報せが届く。遺産相続者となっていたマックスは、ブドウ園やシャトーを全て売却するつもりで現地に向かうことに。しかし、プロヴァンスでしばし時を過ごすうちに懐かしい少年時代の思い出が甦ってきて・・・。

評価★★★/65点

エンディングロールでリドリー・スコットの名が出てきて、エエーーッ!?と思わずのけぞってしまったんだけど、まさかリドリー・スコットがラブコメ撮っちゃうとは・・・。

そう驚いちゃうくらいこの監督の器用さというのは認めてしかるべきで、胸の谷間を上品に見せてくれる映画ははっきりいって好きです(笑)。おいおい

また、漢(おとこ)ラッセル・クロウも芸域の幅を感じさせていて良かったし、プロヴァンスの豊潤な薫り漂う映像も素晴らしい。

、、のだけど、全体としてみると可もなく不可もなくというかんじで、人一倍無神経でイヤな男と、人一倍鼻っ柱の強い女というせっかくの魅力的なキャラクターが映像の方に流されちゃうばかりで、イマイチ活かされてないかなと。

脇のキャラが良かっただけにちょっと残念。

でもまぁ、午後のひと時にはちょうどイイ映画かもね。

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グリーン・フィンガーズ(2000年・イギリス・91分)NHK-BS

 監督・脚本:ジョエル・ハーシュマン

 出演:クライブ・オーウェン、ヘレン・ミレン、デビッド・ケリー、ウォーレン・クラーク

 内容:人生を諦めていたコリンが移送されてきたのは、高い堀も鉄条網も監視カメラもない、自由な規律の更正刑務所。庭造りを命じられたコリンはしぶしぶガーデニングを始めるが、なんと彼には天才庭師の素質があった!実話をもとにしたヒューマンドラマ。

評価★★★★/75点

2,3年遅れでオイラのもとで花を咲かせるイギリス映画たち。桜前線ならぬエゲレス映画前線随時北上中!!

殺しの場面を描いた方がよかったのでは、と頭の片隅で思うも、この監督のタッチでも十分納得。だって純粋に良いものは良いんだもの。

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クリクリのいた夏(1999年・フランス・115分)NHK-BS

 監督:ジャン・ベッケル

 出演:ジャック・ガンブラン、ジャック・ヴィルレ、マルレーヌ・バフィエ

 内容:1930年代初頭のフランス。とある沼地に少女クリクリの一家が住んでいた。この地に住む人々はちょっと変わった人ばかりだったが、自給自足の優雅な生活を送っていてみんな大満足。しかしそんな平穏な日々もつかの間、クリクリの父リトンの失敗のせいで、大変な事件が一家を襲う・・・。

評価★★★/65点

NHK教育が好みそうな作品。

大草原の小さな家とか、アボンリーへの道とかね。

ただ、都会の毒っ気なしではもはや生きていくことができなくなっている自分は、あの沼地に住みたいか、といわれると、、、丁重にお断りさせていただきます、ハイ。

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モンタナの風に抱かれて(1998年・アメリカ・167分)WOWOW

 監督:ロバート・レッドフォード

 出演:スカーレット・ヨハンソン、ロバート・レッドフォード、クリスティン・スコット=トーマス

 内容:13歳のグレースは、乗馬中に巻き込まれた事故で右足を失い、彼女の愛馬も事故のショックで人間になつかない暴れ馬になっていた。グレースの母アニーは、娘の心を癒すためには愛馬の全快が必要だと考え、モンタナで馬専門のクリニックを開業しているトムのところへ娘と愛馬を連れて行く。。

評価★★★★/75点

アメリカ版「北の国から’98再生」

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パッション・フィッシュ(1992年・アメリカ・135分)NHK-BS

 監督:ジョン・セイルズ

 出演:メアリー・マクドネル、アルフレ・ウッダード、デヴィッド・ストラザーン、アンジェラ・バセット

 内容:昼メロドラマの人気白人女優メイは、交通事故で半身不随になってしまい、リハビリするために故郷ルイジアナに戻ったものの酒びたりの毎日を送って自暴自棄に陥っている。面倒を見る看護士もことごとくサジを投げる始末。そんな中、過去に麻薬中毒だったことのある黒人看護士シャンテルがやって来る。。

評価★★★/65点

南部の草の匂いがほのかにたちこめてくる。音楽が無いのもよい。

しかし、だからこそもっと強いパッションが欲しかった気がする。それがないとただ冗長なだけになってしまう。

夢のシネマパラダイス240番シアター:リトル・フォレスト

リトル・フォレスト夏・秋/冬・春

Poster2出演:橋本愛、三浦貴大、松岡茉優、温水洋一、桐島かれん

監督:森淳一

(夏秋編・2014年・日本・112分/冬春編・2015年・日本・121分)WOWOW

内容:都会になじめず故郷である東北の小さな集落に戻ってきたいち子。近くにスーパーもコンビニもない中、自給自足の田舎暮らしを始めた彼女は、四季の移ろいを感じながら自分の本当の居場所を探していく。

評価★★★★/80点

岩手がロケ地ということで地元県民としては評価も甘くなってしまうとはいえ、それを抜きにしてもめちゃくちゃイイ映画だった。

基本、農作業→料理→食事の繰り返しを日記形式のモノローグで綴っていくエッセイみたいなかんじで、劇映画的かつドラマ的な要素は皆無。それは要するにいち子はもとより両親の不在など重要なファクターについての“Why”をほとんどスルーしているということであり、全編4時間通して見てもそれらの答えは明確には示されない。いち子の自給自足生活が淡々と描かれるだけだ。

なのに、それでも見終わったあと幸福感で満腹になるのは、しっかり地に足のついた人の営みと息遣いが自分の根源的なところにジワジワ響いてくるからだろう。

特にラストのいち子の締めのセリフが良い。

「生きることは、ただ同じ場所をぐるぐる回りながら円を描いているのではなく、“らせん”なのだ。何かあるたびに少しずつ上に伸びたり下に伸びたり横に広がったりして“らせん”は大きくなっていく。そう考えたら、もう少し頑張ってみようって思えた♪」

ようするに“らせん”=成長ということもできると思うけど、里山の暮らしの春夏秋冬1年に渡る定点観測がその言葉の強い裏付けになっていて説得力があるんだよね。

他人に殺させた生き物と、他人が精魂込めて育てた作物を何食わぬ顔で食べている自分にも気付かされたし、ホント感謝しながら食べないと。。良い食育映画でもありました。

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銀の匙 Silver Spoon

138857192490901118227_2出演:中島健人、広瀬アリス、市川知宏、黒木華、上島竜兵、吹石一恵、吹越満、哀川翔、竹内力、石橋蓮司、中村獅童

監督・脚本:吉田恵輔

(2013年・東宝・111分)WOWOW

内容:進学校に通っていたものの受験に失敗した八軒勇吾は、逃げるように大蝦夷農業高校(通称エゾノー)に入学する。もちろんこれまで農業に縁のなかった八軒は、生きた家畜を相手にする酪農実習に悪戦苦闘。また周りの生徒も実家が農家というのがほとんどで、それぞれに具体的な夢や目標を持っており、ここでも劣等感に苛まれてしまう。しかし、御影アキや駒場一郎などのクラスメイトの支えもあり日々成長していく八軒だったが・・・。

評価★★★★/75点

原作マンガ大好き人間としては、キャスティングからロケーション、そしてユルイ笑いが随所に織り込まれた演出に至るまでエゾノーライフをほぼ完ぺきに再現してくれたという点で十分合格点。

まぁ、マンガ自体が特に山場があったりするわけではないので映画化しても盛り上がりに欠ける不安はあったんだけど、北海道の田舎&農業高校あるあるネタをベースに都会暮らし&進学校では味わえない価値観とのカルチャーギャップの中で育まれる友情と成長譚という青春マンガのエッセンスは見事に抽出されていたと思う。

ただ、2時間の映画だとまだまだ食い足りないので次はぜひ連続ドラマで!

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天然コケッコー

1005558 出演:夏帆、岡田将生、柳英里沙、藤村聖子、夏川結衣、佐藤浩市

監督:山下敦弘

(2007年・日本・121分)DVD

内容:山と田んぼが広がる木村町。中2の右田そよは、小中学生合わせて全校生徒たった6人という小さな分校に通っていた。そんな新学期のある日、東京からイケメンの男子生徒・大沢広海が転校してきて、そよの心は波立つ。が、そんな彼女の期待とは裏腹に広海は自己チューでクールなワンマン男で・・・。

評価★★★★/80点

ああ、いい映画だったぁ、、以外の言葉が思いつかない典型的な作品。

おそらく大人の視点でこの田舎を描いていくと「松ヶ根乱射事件」(2006)になるのだろうけど、今回のは徹底的に子供視点オンリーで描くことで大人の出来事が完全にほったらかしになっているのが面白く新鮮で、あらためてこの監督さんの器用さに舌を巻いてしまった。

とはいっても、右田そよ(夏帆)の中2・中3という時期は子供から大人へさしかかる微妙な分岐点であり、天然の世界から打算の世界を垣間見てしまう恐怖や距離感というのはうまく描かれていたと思う。

天然の世界がずっと続いていけばいいのに、、という願望が、いわばノスタルジーなわけだけど、しかし成長するにしたがっていつしかその世界は大人の諸事情とその世界の外にある残酷なほどの“真実”に飲み込まれてゆく・・・。

それは例えば、小学1年生のさっちゃんが1学年上のカッちゃんに厳しいツッコミを入れられてジュース屋さんごっこを拒否られるシーンにも何気なく、しかし印象的に描かれているのだ。

そういうどこにでもある風景、どこにでもある日常、ここではないどこかはいつもここにあるということをこれだけ自然に描けてしまうのだから、この監督さんはスゴイし、なによりも映画というものの素晴らしさにまで気付かせてくれたこの作品に拍手を送りたい。

ようするに、イイ映画なんです

夢のシネマパラダイス245番シアター:クローズZERO

クローズZERO

Crowszero_1 出演:小栗旬、やべきょうすけ、黒木メイサ、桐谷健太、岸谷五朗、高岡蒼甫、山田孝之

監督:三池崇史

(2007年・東宝・130分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:偏差値最低&最凶最悪の不良学生の巣窟、私立鈴蘭高校。いまだかつて鈴蘭を制覇した者がいない中、現在は芹沢(山田孝之)率いる最大派閥を最右翼として日々抗争が繰り広げられていた。そんな鈴蘭にある日、暴力団組長の息子である滝谷源治が転入してくる・・・。

“笑撃のバカ映画”

頭スッカラカンにして何も考えずに楽しめる偏差値最低のバカ映画って日本映画にあまりないんだけど、今回の三池映画はそのド真ん中をいくようなクソバカ映画だった。最大のホメ言葉だからねこれw。

群雄割拠と下克上が支配する鈴蘭高校を舞台に繰り広げられる超ワルどものてっぺんを目指す天下布武への道!

どっからどう見てもバカです・・・。話だけ聞けば、なんかワンピースと似たようなかんじだけどね(笑)。

なんかマンガの見開きのコマに擬音でズッドォーーン!!と大見得を切ったようなシーンと迷いのないバカ台詞のオンパレードに、終始笑いのツボにハマッて面白おかしく見ちゃったな。

しかし、ラストの天王山大決戦で、黒木メイサの歌をかぶせてきたのにはまた別なサブッな笑いになっちゃったけど・・・。

でもこの超ワルども、なにげに手順をしっかり踏んでせっせと多数派工作に勤しんでるのよね(笑)。こいつら高校生ちゃうやんけーと思っちゃうけど。

ま、何も考えずに見るのが三池流だからいいんだけどさ。。ハリウッド行ってズドンと一発バカ映画を撮ってもらいたいな。タランティーノよ誘ってくれ。。

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クローズZERO Ⅱ(2009年・東宝・133分)WOWOW

 監督:三池崇史

 出演:小栗旬、やべきょうすけ、高岡蒼甫、桐谷健太、金子ノブアキ、三浦春馬、山田孝之、岸谷五朗

 内容:芹沢多摩雄(山田孝之)率いる芹沢軍団を倒した滝谷源治(小栗旬)だったが、最強の男リンダマンを倒せず、鈴蘭はまだ混迷の中にあった。そんな中、2年前の忌まわしい因縁以来、休戦協定が結ばれていた鳳仙学園が鈴蘭に攻勢を仕掛けてくる・・・。

評価★★★★/75点

“このメンツで水滸伝作ってほしい。。”

じゃなきゃ真田十勇士とかでもいいんだけど、とにかくそう思わせるくらいキャラの立ち方が際立っていて、前作の貯金があるとはいえここまでプラスアルファされているとは思わなかった。

沸点に到達するには程遠いグッダグダの滝谷源治はイマイチだったけど、その他のキャラは最凶に強烈!

ロベロベ解禁ならずの牧瀬(高橋努)や、バガボンドに出てくる佐々木小次郎を思わず想起してしまった漆原凌(綾野剛)、切り傷にはセメダイン!が合い言葉の三上兄弟(伊崎右典・伊崎央登)、そして滝谷、芹沢を向こうにまわして圧倒的存在感を見せつけた鳴海大我(金子ノブアキ)、さらにここに片桐(やべきょうすけ)と川西(阿部進之介)の北野映画ばりのサイドストーリーが絡まり、もはや逢沢ルカ(黒木メイサ)の出る幕なし!

なにやら命を大切にしろといった青くさい道徳心や、刃物に対し異常なまでの嫌悪感を示し、男は素手で勝負だ!という男気をうたったりして一線は守っているけど、そういう形式ばったことは抜きにして、これらのキャラが所狭しと暴れまくる肉弾バトルだけで十分見応えのある作品になっている。

あとはあれだな、片桐の「もがき苦しんで歯食いしばって泥水飲んだって生きろ!生き抜け!」というセリフがあったけど、“生きろ!”ってセリフにオイラは本当に弱いんだよねぇ(笑)。

それだけで合格点あげてもいいくらいなんだけど、少年ジャンプ系のアツい匂いを漂わせるワルメン武闘映画がこの時代に日本映画で出てきたのはちょっとウレシいかも。

若手俳優の登竜門映画としてシリーズ化してもいいんじゃないかな、なんてね。。

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クローズEXPLODE(2013年・東宝・129分)WOWOW

 監督:豊田利晃

 出演:東出昌大、早乙女太一、勝地涼、KENZO、やべきょうすけ、高橋努、高岡早紀、岩田剛典、永山絢斗、柳楽優弥

 内容:新年度を迎えた鈴蘭高校では、強羅(柳楽優弥)や高木(KENZO)ら新3年生たちが激しい頂点(テッペン)争いを繰り広げていた。そんな中、頭脳派の小岐須(勝地涼)陣営に勧誘された転入生の鏑木(東出昌大)は、そんなのには興味を示さない一方でクールな1年生の加賀美(早乙女太一)の存在が気になっていた。一方、柴田(岩田剛典)が束ねる黒咲工業高校では、少年院に送られていた藤原(永山絢斗)が地元暴力団をバックに不穏な動きを見せていた・・・。

評価★★☆/50点

メインキャストが一新されているということで、続編というよりはリブートといった方がいいと思うけど、リブートならスケールアップして進化してなきゃならないのに、逆にスケールダウンしてしまっては意味がない・・。

まずもって東出昌大に主役としてのパンチ力がないのは致命的。

鈴蘭の天下統一・テッペン争いを描き、また見る方もそれを期待しているのに、いや俺はそんなのに興味ないからと斜に構えているキャラ設定も問題だけど、東出の基本良い人感がにじみ出ていてワルになりきれていないのも大問題。主人公と同じく流れ者的な一匹狼のリンダマンに東出を当てた方がまだ活きたと思う。

あと、ストーリーの方も他校との抗争を盛り込むのはいいとしても、ヤクザ絡みのサイドストーリーまで入れたことでバランスがかなり悪くなっちゃってて、全体的に残念賞(笑)。

まぁ、高校生のケンカ祭りを何の変わりばえのしない同じスペックで3作続けて作る企画力の無さが1番の問題だけどね。、、って前作の感想でそれやれって言ってたの自分じゃん

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愛と誠(2012年・日本・134分)DVD

 監督:三池崇史

 出演:妻夫木聡、武井咲、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、余貴美子、伊原剛志、市村正親

 内容:1972年の新宿。財閥令嬢・早乙女愛は、復讐のために単身上京してきた札付きの不良・太賀誠にストーカーまがいの一途な恋心を抱いていた。彼を更正させようとした愛は自分が通う名門校に誠を編入させるが速攻退学処分になってしまう。そして関東一の不良校・花園実業へ転入した誠を追って愛も速攻で転校するのだった・・・。

評価★★★/60点

原作漫画を読んだことがない自分にとってはハイテンションかつけばけばしい世界観はなじみが薄くてほぼ置いてけぼり感覚に陥ってしまったんだけど(笑)、各役者に1曲ずつ割り当てられた昭和歌謡のミュージカル仕立てのパートが面白くてなんとか見続けられたかんじ。

特に余貴美子の「酒と泪と男と女」と安藤サクラの「また逢う日まで」は絶品だった。しかし安藤サクラのガム子はキャラ立ちしすぎて逆に怖かったけどね

しかし、つくづく三池崇史という男はスゲェなw

ジャンルを問わず年間数作ペースを一貫して守り続ける制作姿勢は、もはややっつけ仕事に走らなければ維持できないような多作ぶりなのだけど、リアリズムという縛りから映画を解き放ち圧倒的なフィクションを創作することにかけては右に出る者がいない三池節の中にしっかり取り込んでいて、そこがブレないところがスゴイ。

まぁその分、当たり外れが激しいのが玉にキズなんだけどね

今回は、う~ん、、やや外れかなww

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火山高(2001年・韓国・108分)渋谷東急3

 監督・脚本:キム・テギュン

 出演:チャン・ヒョク、シン・ミナ、キム・スロ、グォン・サンウ、コン・ヒョジン

 内容:生徒達と教師が学園の覇権をかけて闘う異色アクション。17年間もの覇権争いが続く“火山高”。そこに転校してきたギョンスは、その強大なパワーに目をつけられ、武術の極意を記した秘伝書を巡る争いに巻き込まれていく。。

評価★★★☆/70点

“何が1番ウケるってMAX級のおバカ映画なのに、作り手の映画にかける情熱がビシバシと伝わってくること。少年ジャンプ黄金時代の正統な後継者は韓国にあり!!”

サッカーW杯での韓国の熱さ、まさに赤い悪魔・レッドデビルの熱狂と情熱の波を目の当たりにすれば、少年ジャンプ黄金時代のバカ正直な熱血さを今再現できるのは韓国しかありえない。

日本じゃ今となってはまず無理。

男を“漢”と書き、闘った相手を“友”と呼んだ、そんなことがお笑いにならずにまかり通った時代はもう過去のものとなった日本では。。

ジャンプ黄金時代に小・中・高校と過ごしてきた自分でさえも思わず笑っちゃうシーン満載だった本作品。というか今の自分にはお笑いおバカB級ムービーにしか見えないんだ、、、ああ、あの頃にはもう戻れない・・・。

今のジャンプはすっかり雰囲気変わっちゃってるしね。

ま、韓国映画の裾野の広さと情熱に乾杯!ゴチになりました。

<追記>ジャンプ黄金時代とは、80年代中頃~90年代中頃のこと。幽遊白書、スラムダンクの終了でジャンプ黄金時代は終わったかなと。

しかしこの火山高は80年代のマンガだね明らかに。

キン肉マン、北斗の拳、ドラゴンボール、キャプ翼、星闘星矢、魁!男塾、ハイスクール奇面組、シティハンター、こち亀、ジョジョの奇妙な冒険etc..とにかくものすごいラインナップだったなぁ。まさに熱血!

そんな時代の雰囲気も今回の火山高は見事に継承してくれた気がする。

Posted at 2002.12.26

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マルチュク青春通り(2004年・韓国・118分)WOWOW

 監督・脚本:ユ・ハ

 出演:グォン・サンウ、イ・ジョンジン、ハン・ガイン、イ・ジョンヒョク

 内容:軍事政権下にある1978年の韓国。新興住宅地カンナムでもガラの悪いことで評判のマルチュク通りにある男子高校に転校してきたヒョンスは、ブルース・リーに憧れる高校2年生。通学中のある日、上級生に絡まれていたウンジュという美少女を助けるが、一目で恋に落ちてしまう・・・。

評価★★★/60点

“迫り来るオバハン、悶えるサンウ!マル秘青春悶々通り・・・てか。”

原題が“マルチュク通り残酷史”というだけあって、残酷な時代背景とともに青春の残酷な一面を友情と恋愛と暴力をもって映し出していく。

青春には生傷が絶えないが、この映画で描かれる傷は深くて重い。

そして押さえつけられ鬱屈していたエネルギーが、ブルース・リーの形を借りて「タクシードライバー」のロバート・デ・ニーロばりに爆発し、「韓国の学校なんて最低でクソ喰らえ!」とブチ叫ぶヒョンスの姿がとにかく印象的だった。

しかし、中途半端なシークエンスの連続だけだったと感じられることも否めず、ひとつの映画作品としても残酷な一面をさらけ出してしまった気がする。惜しいと言うべきなのか・・・。

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凶気の桜(2002年・東映・122分)WOWOW

 監督:薗田賢次

 出演:窪塚洋介、RIKIYA、高橋マリ子、須藤元気、原田芳雄

 内容:若きナショナリストの山口ら幼なじみ3人は東条英機版ネオナチともいうべき結社“ネオ・トージョー”を立ち上げる。特注の白い戦闘服を身にまとった彼らは、育った町・渋谷から汚いゴミを一掃しようと、日々街中でチーマー狩りに勤しんでいた。そんな彼らを右翼系の政治結社・青修同盟の会長も一目置いていた。が、やがて3人は青修同盟と対立する暴力団との抗争の渦に巻き込まれていく・・・。

評価★★★/55点

まった叫んでるよアイツは、、、

お前だよ窪塚ァ!

お前なぁ、そのハゲ頭みがいてよく考えてみろ。美味そーを、まいうそーって言う連中のバカ頭と一緒によく考えてみろ。

渋谷だけが日本じゃねえんだよ!

岩手さ来てみれ!

何もねぇから(爆)。

2015年12月11日 (金)

夢のシネマパラダイス510番シアター:世界最速の走り屋ども

ラッシュ/プライドと友情

F0064229_20414551出演:クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール、オリヴィア・ワイルド、アレクサンドラ・マリア・ララ、クリスチャン・マッケイ

監督:ロン・ハワード

(2013年・米/独/英・124分)WOWOW

内容:1970年。F3のサーキットで顔を合わせ、宿命のライバルとなっていくジェームズ・ハントとニキ・ラウダ。酒好き女好きの遊び人ながら天才肌のハントと、内省的な頭脳派のラウダという正反対の2人はF1レーサーへとのし上がっていく。1976年、そんな2人は年間チャンピオンを巡って熾烈なデッドヒートを繰り広げていた。そしてラウダ優勢で迎えた第10戦ドイツGPが悪天候の中で開催されるが・・・。

評価★★★/65点

自分が小中学生の頃、アイルトン・セナの黄金期である1990年前後の数年間だけF1をちょいかじりしたことがある自分にとっては、ニキ・ラウダもジェームズ・ハントも全く知るよしもなく・・・。

そんな中で、裸足でパンクした自転車に乗って毎日を人生最後の日のように享楽的に生きている感性・天才肌のハントと、公道では制限速度を守って走り、幸せは敵だとみなすような徹底したリスク管理のもとに生きている理詰め・完璧主義のラウダという好対照なキャラクターは魅力的ではある。

が、しかし、それが死線の淵で繰り広げられるライバル同士のしのぎ合いというカタルシスに昇華できていたかというと、やや中途半端な印象。

2人の関係が水と油というよりは、醤油とソースくらいにしか感じられなくて、つまりはそこに憎しみや怒りといった怨念が介在していないので心情的に盛り上がらないのと、レース外を詰め込みすぎて肝心のチャンピオン争いがダイジェスト的になってしまい、いまいちピンとこないのが乗りきれなかった所かなぁ。

要は感情移入できないんだよね・・・。

コクピットの両側に210リットルの燃料タンクを搭載した死亡率20%の走る棺桶というF1マシンのリスク面ももう少し分かりやすく前面に押し出してもよかったかなと思うし。。

実話ベースだけに脚色しづらい面はあったのだろうけど、全体的にもっと大げさでよかったかなぁ、と。

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世界最速のインディアン

2ce2a_2出演:アンソニー・ホプキンス、クリス・ローフォード、アーロン・マーフィ、クリス・ウィリアムズ

監督・脚本:ロジャー・ドナルドソン

(2005年・ニュージーランド/米・127分)DVD

評価★★★★★/95点

内容:ニュージーランド南端の町に独りで暮らしている63歳の初老バート・マンローは、1920年代製のオンボロバイク“インディアン”を自ら改造し、ひたすら速く走ることに人生を捧げてきた。そんな彼の夢は、ライダーの聖地、アメリカはユタ州のボンヌヴィル塩平原で行われる記録会に出て世界記録に挑戦することだった!

“人に会ったら名乗って握手。これ鉄則!”

こういう純度120%の善人映画を見せられると逆にあざとさが透けて見えてツッコミを入れたくなってしまうことがままあるのだけど、今回のこの映画についてはどこまでも素直に見ることができた。

なにより25年間夢を追い続けてきた爺さん、バート・マンロー(A・ホプキンス)の人柄に見てるこっちが自然に惹かれてしまうのだから。

デヴィッド・リンチの「ストレイト・ストーリー」に出てくる頑固ジイちゃんを想起させるキャラクターだけど、あっちが時速数キロのトラクターでくるならこっちは時速300キロのモンスターバイクじゃい!

、、、と気を吐いたかどうかは知らないが、1920年ものの熟成ウイスキーならぬタイヤは割れ目だらけフォークはオシャカ寸前の40年以上乗り続けてきたオンボロバイクを、台所のドアの蝶つがいやブランデー瓶のコルクをつぎはぎして改造。もともと時速85キロまでしか出ないマシンを時速300キロのマシンへ生まれ変わらせてしまう。。

この18歳の心を持った御年63歳、心臓に持病有り&尿道つまり気味のジイちゃんの夢を追う一途な姿に、人々は自然に魅かれ、従順になっていく。

うら若きバアさんがベッドに連れ込むくらいだからね、言っとくけど(笑)。

とにもかくにもこのジイちゃんに名乗られ、握手しちゃったらもう終わり。どんな気難しい人間も心優しき人間になって後押ししないではいられなくなるのだから。

ゲイ、インディアンなどのマイノリティから白人に至るまで、まさにアメリカたるところのアメリカ人が、ある意味現実味のないおバカな夢を追う地球の裏側からやって来たニュージーランドの田舎ジジイを無条件で応援する。

日本の格差社会など足下にも及ばないほどの厳しい現実社会が横たわる現代アメリカにおいてアメリカンドリームはもはや過去のものとなっているのかもしれないが、1960年代への郷愁も含めてそれを信じ続けていたいというアメリカの希望と良心があらわになっていると言ったら言い過ぎだろうか。

何十年も夢を追い続けてきてなおかつ60数年も生きてきた人間は、ちょっとやそっとのハプニングが襲ってきても動じない。車輪がポロッと取れても、車体がドテッと横転しても人生とはそういうものなのだと泰然自若として笑顔で受け入れる。

まるで生死にまで動じないかのごときバート・マンローの姿は、しかし死を意識しているからこそ生きることの重みと幸せを噛みしめているのだ。

映画というものはどうあったって人間を描くことしかできないのだということを思い知らされるとともに、それが最良の形で観る者に伝わってくる。

これをおとぎ話だとは言いたくない。

最良かつ最高の映画だと言いたい。

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スピード・レーサー

20080718_194009 出演:エミール・ハーシュ、クリスティナ・リッチ、マシュー・フォックス、スーザン・サランドン、ジョン・グッドマン

監督・脚本:アンディ&ラリー・ウォシャウスキー

(2008年・アメリカ・135分)WOWOW

内容:レース界に彗星のごとく現れた若き天才、スピード・レーサー。彼を引き抜くべく巨大スポンサーのローヤルトンは高額のオファーを提示するが、スピードはレース中に命を落とした兄レックスの遺志を継ぐべく、今まで通り父が率いる家族経営の会社を選択する。が、その結果ローヤルトンの執拗な脅しに遭うハメに。スピードは、家族と恋人トリクシーに支えられながら、正体不明のレーサーXと手を組み、兄の命を奪ったクロスカントリーレースに挑む・・・。日本製アニメ「マッハGo!Go!Go!」の実写映画化。

評価★★★/65点

日本のオリジナルアニメはほとんど見たことがなくて、懐かしのアニメ特集といったテレビでかじった程度なんだけど、ふ~ん、、こんな内容だったんだww

という程度の感想しか思いつかないんだけど、まぁ「スパイキッズ」(2001)のレーシングカー版といったかんじで、家族の絆を前面に出してくる構成は微笑ましく楽しみながら見られるんだけど、決定的にレーシング場面に魅力を感じられなかったのが痛い。

ライブ・アクション・カートゥーンと銘打った新次元映像らしいけど、まるで氷上のスケートリンクをスラーッと流れていくかのようで、そこに重力を感じ取ることができないのだ。

それはつまり摩擦抵抗もなければ遠心力も感じられない世界で、端的にいえばスピードを感じ取ることができない。

その中でめまぐるしいカット割りとド派手な視覚映像の洪水がジェットコースターのように流れ込んでくるので、とにかく目ぇ疲れる×2・・

マッハ号に仕込まれた数々の特殊機能は面白かっただけに、レース映像には疑問符をつけざるをえない。

そういう意味では実写でありながら、どこまでもアニメ的な映像世界の構築にこだわっていて、それはかなりの面で成功していると思うんだけど、それを見て別段心が躍らされることがなかったというのが正直なところ。

でも、ヒップホップ調の主題歌はめちゃカッコ良かったし、大好きな海外ドラマ「LOST」に出てるマシュー・フォックスが重要な役どころで出てくるのも見所で、全体として見れば好きが嫌いを上回ったかんじかな。

それにしても、真田広之、、出る意味あったのか!?

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デイズ・オブ・サンダー(1990年・アメリカ・108分)NHK-BS

 監督:トニー・スコット

 出演:トム・クルーズ、ロバート・デュバル、ニコール・キッドマン

 内容:ストックカーレースに情熱のすべてを燃やす若者の友情や恋を、迫力のレースシーンとガンズ・アンド・ローゼス、ジェフ・ベックなど豪華アーティストのサウンドに乗せて描く。

評価★★/40点

やりたい、見せたい、描きたいところだけをただ箇条書きにして羅列する。典型的なアイドル映画といえば聞こえはいいが・・・。

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トルク(2004年・アメリカ・84分)WOWOW

 監督:ジョセフ・カーン

 出演:マーティン・ヘンダーソン、アイス・キューブ、モネット・メイザー、ジェイ・ヘルナンデス

 内容:無二のスピードとテクニックを持ちながら、身に覚えのない嫌疑をかけられ姿を隠していたライダー、フォードが街に戻ってきた。が、またしても無実の罪で命を狙われることに・・・。

評価★★★/60点

荒馬をバイク馬鹿に換えただけで、基本的に西部劇と変わらない。

ただ、単刀直入な物言い(おバカ一直線と言いなさいw)は嫌いになれない。

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頭文字<イニシャル>D THE MOVIE

Id 出演:ジェイ・チョウ、鈴木杏、エディソン・チャン、ショーン・ユー、アンソニー・ウォン

監督:アンドリュー・ラウ、アラン・マック

(2005年・香港・109分)盛岡フォーラム

内容:豆腐屋を営む父と2人暮らしの高校生・藤原拓海は、父のハチロク(AE86)で豆腐を毎日配達するうちに、いつしか完璧なドライビングテクニックを身につけていた。そんな彼はやがて、峠攻めのスペシャリストを自負する走り屋たちに次々にバトルを申し込まれる・・・。しげの秀一のベストセラーコミックの映画化。

評価★★★/65点

“え゛ーーっ!?で、、、結局・・・”

鈴木杏は援交少女のままジ・エンド!??あの終わり方はないやろう、いくらなんでも(笑)。しばし立ち上がれなかったよ・・・。

拓海となつきのわけの分からん恋愛パートをはじめとして、ストーリー展開としてはB級のどうでもいいかんじの出来なのだけど、しかし一転、峠バトルに関してはAAA級をやってもいいくらい見応えがあり、このてのレーシングバトル映画としては見応えは十分といっていい。

、、が、それもあのいい加減な尻切れトンボのような終わり方に一気に雲散霧消してしまった。

スポーツ万能、勉強オール1、てかんじ・・。

夢のシネマパラダイス162番シアター:地獄でなぜ悪い

地獄でなぜ悪い

Mig出演:國村隼、堤真一、長谷川博己、星野源、二階堂ふみ、友近

監督・脚本:園子温

(2013年・日本・129分)WOWOW

内容:一世一代の傑作映画を撮ることを夢見る30手前のフリーター・平田のもとについに映画製作の話が舞い込んだ。依頼者は獄中にいる妻のために、かつて子役として活躍した娘のミツコを主演に映画を作ろうとしていたヤクザの組長・武藤。当初、監督はミツコに無理やり頼まれたド素人の橋本だったが、映画を完成させないと殺されることに肝を冷やした橋本が奇跡的に出会ったのが平田だったのだ。こうしてスタッフ&キャストは手下の組員、しかもテーマは現実に敵対する池上組への殴り込みという前代未聞の映画撮影が幕を開ける・・・。

評価★★★☆/70点

映画バカにささげるオマージュを散りばめた映画愛をうたった映画って古今東西あるけど、そのてのものって甘酸っぱいノスタルジー色に彩られたものが多い。ニューシネマパラダイスはもとより三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」しかりJ.Jの「スーパーエイト」しかり「桐島、部活やめるってよ」しかりだ。

しかし、これはどうだ!

露悪的で破壊的で不健全でアンバランスでとにかく滅茶苦茶w、狂気の沙汰に針が振り切れた全力歯ぎしりレッツゴー!な超激辛ムービーを見せられてしまうとは。

甘酸っぱさとは真逆の唯一無二の悪趣味全開バカ映画!

それ以上でも以下でもない(笑)。

しかし、途中で息切れすることなく130分ハイテンションで突っ切る力技はスゴイの一言。これが撮れたら死んでもいいというほどの一生に一度の名作がヤクザのガチの殺し合いというハリボテ感をなんなく突き破っていく阿鼻叫喚のカタルシスが、映画にかける情熱をブラックなユーモアに昇華させている。過剰すぎる表現方法の好き嫌いは別にしてそこだけは認めざるをえない。

役者陣もこんな血みどろ大宴会によく付き合ったと思うよww

でも、なんというか、こんな雑極まりない映画を認めたくない自分もいたりして・・

映画愛を露骨にセリフで何遍も語らせるのもなんか違うし、結局映画はハリボテでしかないんだよと予定調和な落としどころをさらに突き破る「はい、カット~!」の掛け声で締めるラストも、ここまできて監督の照れ隠しかよっと引いちゃったしw

まぁでも、今回は園子温の映画バカっぷりの軍門に潔く降るよ。あー負けだ負けだ。こっちももうヤケッパチだww

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51286kamata_640 出演:松坂慶子、平田満、風間杜夫、清川虹子、蟹江敬三、原田大二郎、萩原流行

監督:深作欣二

(1982年・松竹・109分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:『新撰組』を撮影中の花形スター銀四郎は、お嬢様との見合い話が進み、妊娠してしまった恋人の女優・小夏が邪魔になり、取り巻きの大部屋俳優の一人ヤスに彼女を押し付ける。彼女の大ファンだったヤスは、小夏と結婚し、生まれてくる子供も我が子として育てることを承知するが・・・。

“戸籍は屁よりも劣るのかぁーッ!”

テンション5割増の超ハイテンションで繰り広げられる失笑もんの青くさいドタバタ劇に最初は付いていけなかったんだけど・・。

しかし、大見得を切りながら二枚目の大根役者・銀ちゃんを演じきった風間杜夫。その銀ちゃんにドツかれまくりながらも、「これがこれなもんで~」という名ゼリフとともに大部屋俳優としてのプライドと意地を見せていくヤスに扮した平田満。そして銀ちゃんの子をはらませた落ち目の女優とヤスとの結婚生活に本当の幸せを見出していく良き妻との間で揺れ動く女心を泣きじゃくりオッパイまでさらけ出しながら熱演した松坂慶子。

彼らの体当たり演技に裏打ちされたアツい空気とテンションに力づくで映画の中に引きずり込まれてしまった・・・。

永遠に続くかと思われるハイテンションを、これは劇中劇でっせというラストのオチで綴じたのも巧かったし、全てが納得できたかんじ。

しっかし、10メートルの高さの大階段は見てるこっちが足すくむわな(笑)。

人間が1番恐いと実感する高さは10メートルなんだそうな。くわばらくわばら・・・。

でも、タイトルに蒲田って付いてるから、松竹を思い浮かべちゃうけど、映画の舞台はどう見ても東映京都撮影所なんだよね(笑)。あてつけか何かなのかしらw?

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キネマの天地(1986年・松竹・135分)NHK-BS

 監督:山田洋次

 出演:中井貴一、有森也実、渥美清、松坂慶子、倍賞千恵子、すまけい、笠智衆、岸部一徳、田中健、松本幸四郎、柄本明、ハナ肇

 内容:昭和初期。浅草の活動写真小屋で売り子をしていた小春は、松竹の映画監督に見出されて蒲田撮影所の大部屋女優となる。彼女はすぐに演技の難しさに直面するが、周りの人々の励ましもあって少しずつ女優として成長していく。やがて、大作の主演に決まっていた大スター川島澄江が愛人と失踪し、小春に代役が回ってくるが・・・。

評価★★★/60点

山田洋次に井上ひさしに山田太一という個性の強すぎる巨匠がトリオで脚本に参加しているけど、えてしてそういうコラボってお互いの良さを消し合って逆効果になっちゃうんだよね。で、これもご多聞にもれず、あまり統一感のない作品に仕上がってしまった・・・。

ただ、松竹大船50周年企画のお祭り映画という意味では日本映画草創期の映画ネタと楽屋オチが楽しめるのもたしかで、個人的に1番面白かったのはアカ狩りで思想犯の部屋に踏み込んできた特高警察がマルクスの本を見つけるんだけど、その本がハリウッドのナンセンスギャグマイスターのマルクス兄弟の本だったというシーンw

他にも宮崎駿の「風立ちぬ」でドイツ人スパイのカストルプがピアノの弾き語りをしていた曲“ただ一度だけ♪”を木の実ナナがビアホールで歌ってたり、、って30年を経ての邂逅ってスゴッ。

あとは何といっても渥美清の名人芸にこの映画が救われていることは口を強くして言っておかなければならない。寅さんの父親役というのも珍しくて見どころだったけど、味わいがあって良いんだよね。特に渥美清と笹野高史のかけ合いは絶品だった。

まぁ、全体的にいえば駄作だけどw、見て損はしないso-so映画といえるだろう。

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イン・ザ・ヒーロー(2014年・東映・124分)WOWOW

 監督:武正晴

 出演:唐沢寿明、福士蒼汰、黒谷友香、寺島進、小出恵介、及川光博、加藤雅也、松方弘樹、和久井映見

 内容:戦隊ヒーローショーや特撮ドラマなどで着ぐるみをかぶるスーツアクターを25年やっている本城渉。いつか“顔出し”で映画出演するという夢を追い続けているが、妻子には逃げられ、訪れたチャンスも売り出し中の新人・一ノ瀬リョウに奪われてしまう。ところが、そんな本城のもとに、ハリウッドから忍者アクション大作への出演オファーが舞い込んできた。が、その内容は命がけのあまりにも無謀なスタントだった・・・。

評価★★★☆/70点

映画を見た後日に、日本のアクションスターのパイオニアである千葉真一がたまたまバラエティ番組に出ていて面白いエピソードを話していた。

自分が主演したアクション映画のアクションシーンで、相手役のアクションも自分が吹き替えでやらなければならないほどアクションスタントをこなせる人材がいなくて、これではいかんということで人材育成のために1970年にジャパンアクションクラブ(真田広之、伊原剛志、堤真一などを輩出)を立ち上げたというのだ。

ハリウッド映画で好きなアクション映画は?とか香港映画で好きなアクション映画は?という問いには真っ先に答えられるのに、日本映画で好きなアクション映画は?となると答えに窮してしまう理由が分かった気がしたけど、作り手の裾野の狭さがいまひとつクオリティが上がってこなかった要因なんだなぁと。。

まぁ、七人の侍やるろうに剣心、十三人の刺客といったチャンバラ活劇は世界水準を凌駕しているけど、それくらいだよね。

でも、普段何気なく楽しんで見ているアクション映画の裏には映画バカたちの夢と裏方スタッフの頑張りがたくさん詰まっているんだなぁと思えたし、アクションはリアクションがあって初めて成立するチームプレーという言葉が心に染みた。

大団円のアクションシーンも気合の入った仕上がりで説得力があったし、今回の映画は全体的にみても印象深い作品になっていたと思う。

しかし、戦隊ヒーローの中に入っているのがブラジャー付けたオッサンって、、この映画は子供には見せられないな(笑)。

2015年12月 5日 (土)

夢のシネマパラダイス292番シアター:それでも夜は明ける

それでも夜は明ける

Poster2出演:キウェテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ポール・ダノ、ポール・ジアマッティ、ルピタ・ニョンゴ、ブラッド・ピット

監督:スティーヴ・マックィーン

(2013年・アメリカ・134分)盛岡フォーラム

内容:19世紀。ニューヨークに暮らす自由黒人ソロモンはヴァイオリニストとして妻子とともに幸せな日々を送っていた。しかし、ワシントンでの演奏会に参加した際に、興行主に騙されてしまい、奴隷制が残る南部に送られてしまう。そして名前も人間としての尊厳も奪われ、奴隷として大農園主フォードに買われる。それでも聡明なソロモンは温厚なフォードに気に入られるのだったが・・・。

評価★★★★/80点

小学低学年まで夜8時に寝ることを義務付けられていた自分にとって夜9時からテレビで映画を見ることはほとんど許されず、唯一親が推薦した映画は見てもいいという決まりになっていた

それは例えば風の谷のナウシカであったりE.Tだったりしたのだけど、その中でもアンクル・トムの小屋のTVムービーは強烈に心に刻まれた。

人が人を差別する残酷さと不条理さを飲み込めずに、見終わった後に布団の中にもぐって泣いてしまったことを今でも覚えている。

その後、黒人差別を扱った映画というと1960年代の公民権運動を中心とした時代背景が主で、アンクル・トムの小屋と同年代(19世紀半ば)の映画は南北戦争が舞台の「グローリー」や奴隷が武器を取って反乱を起こした「アミスタッド」くらいしかなかったように思われる。

なので、今回の映画で人身売買や拷問、性的搾取など南部の綿花農園に半永久的に縛りつけられる黒人奴隷の凄惨な実態を目前にしてアンクル・トムの小屋を見た時の胸がしめつけられるような思いがよみがえった。

しかし、今回は奴隷制というものが単純な善悪ではなく、より複雑かつ多面的で一筋縄では理解できないものだということをまざまざと見せつけられた気がする。

例えば自由証明書があれば白人社会で不自由なく生きていける自由黒人という身分があったこと。

神の前では皆平等であると書いているはずの聖書に忠実な敬けんなキリスト教徒が黒人差別を差別とこれっぽっちも思っていない矛盾、つまり黒人を家畜としか見ていない社会が普通に成立してしまう怖さ。

また、主人公ソロモンが木に吊るされてかろうじて地面に爪先立ちしている中で白人はおろか他の奴隷たちもまるでそこにソロモンなどいないかのようにふるまっている異様な状況。

そしてラスト、12年ぶりに解放され自由の身になるソロモンと一生解放されることはないであろう女奴隷パッツィーの残酷なコントラスト・・・。

正直、今回も奴隷制というあまりにも残酷であまりにも不条理な真実を飲み込めないまま布団の中にくるまって全て忘れて無かったことにしたい気に駆られてしまいそうになったけど、絶望と祈りのはざまでカメラ目線でこちらをジッと見つめるソロモンの瞳が、そしてパッツィーの背中に切り刻まれた無数のムチの跡がそうはさせてくれなかった。

後味の悪さも含めて、とにかく目をそむけずに見て感じることが大切なのだと思う。

同じ歴史を繰り返さないためにも・・・。

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ヘルプ 心がつなぐストーリー

5831出演:エマ・ストーン、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ブライス・ダラス・ハワード、ジェシカ・チャステイン、シシー・スペイセク

監督・脚本:テイト・テイラー

(2011年・アメリカ・146分)WOWOW

内容:1960年代のアメリカ南部ミシシッピー州。上流階級に生まれ、黒人メイドに育てられた白人娘スキーター。大学卒業後、作家を目指す彼女は新聞のコラム記事を担当することになり、その取材過程で人種差別はびこる地元で黒人メイドたちが置かれた立場を知り記事にしようと思い立つ。ところが、相談したメイドのエイビリーンには、本音を語ると身の危険があるからと取材拒否されてしまう。そんなある日、別なメイドのミニーが、白人用トイレを使ったことで解雇されたことからスキーターに協力することにするのだが・・・。

評価★★★☆/70点

小さい頃に「アンクル・トムの小屋」を見て、子供ごころに黒人差別の悲惨さに胸が張り裂けそうになったことを覚えている。

その後、「風とともに去りぬ」で、しつけの厳しい黒人メイドが主人公一家に家族の一員のように慕われていることにホッとしたものだ。

昔のクラシック映画を見ると黒人ってメイド役くらいしか印象にない中、ひどく扱われているシーンはほとんど見たことがなかっただけに、今回の映画で描かれる厳しい現実にはやはりショックを受けざるをえなかった。

60年代のアメリカが法で認められるほど人種差別が苛烈を極めていたことは他のいろんな映画を見て知っていたけど、裕福な白人家庭の中で働くメイドも変わらず差別されていたというのは、あらためて差別の実体の根深さを思い知った気がする。

表玄関から入ってきたらダメだとか、同じ食器を使ってはダメとか、まさかトイレまで別々というのは仰天・・

しかも金持ちマダムたちの丸出しの差別意識が小学生レベルのバカさ加減でドン引きしてしまうのだけど、それがあの当時のスタンダードだったのだと思うと、なんて愚かな時代だったんだと思ってしまう。

また、保守的な白人コミュニティの中にも村八分的な監視システムが成り立っていて、ラストのエイビリーンの言葉を借りれば、そんな窮屈な生き方疲れない?と吐き捨てたくもなるよね。。

しかし、その中でも笑いと明るさを忘れずしっかりと自分を持ちながらたくましく生きる黒人女性たちの姿に見てるこちらがパワーをもらったかんじ。

しかし、ウ○コ入りチョコレートパイを食べさせちゃうってのは、なかなかそういう映画もあるもんじゃないよね・・。ハンニバル・レクターじゃあるまいしww

いや、そういえば「フライド・グリーン・トマト」ではある物をコトコト煮込んだスペシャルスープがあったのを思い出した。ま、この話はこれ以上広げなくていいか

でも、ヒリーがそのチョコレートパイをパクパク食べてるのを見てザマァ♪と快哉したのはたしかでw、それだけの憎々しい演技をみせたブライス・ダラス・ハワードは天下一品だった。

あと、最近イチオシのエマ・ストーンも好演だったし、見て良かったです。

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ミシシッピー・バーニング(1988年・アメリカ・126分)NHK-BS

 監督:アラン・パーカー

 出演:ジーン・ハックマン、ウィレム・デフォー、ブラッド・ドゥーリフ、フランシス・マクドーマンド、R・リー・アーメイ、ゲイラード・サーテイン

 内容:1964年6月、3人の公民権運動家が失踪した事件を捜査するため、アンダーソンとウォードの2人のFBI捜査官がミシシッピー州ジュサップを訪れた。アンダーソンは、非協力的な保安官スタッキーと彼の助手ベルに狙いをつけ、ベルの妻を問い詰めるが確証は得られず、逆に黒人を標的にした事件が相次いで起きるようになる・・・。

評価★★★★/80点

人権問題で他国に干渉することもいとわないアメリカが抱える大きな矛盾、人種差別。

黒人を人権が与えられる人ではなくモノとしか見てこなかった闇の歴史をこれほどまざまざと描き出している映画はない。

「フライド・グリーン・トマト」や「ドライビング・ミス・デイジー」などアメリカ南部の伝統的な風土をハートウォーミングに見つめた映画が好きな者としてはかなりショッキングだし、南部の田舎町に蔓延する閉塞感と、まるで家畜をなぶるかのごとく黒人を痛めつける凄惨な暴力にゾッとしてしまう。

しかも倫理や論理などまるであてにならない人種差別意識の高い壁には法でさえも無力どころか、それを正当化する法律(人種隔離法)まであったというのだからホントにどうにもならない。あげくの果てに聖書まで持ち出されるのだから・・・。

ハックマンが汚い手を使ってでも力づくで悪をこらしめるポパイ刑事にならざるをえなかったのも道理というわけだ。

しかし1番ショックだったのは、この差別と憎しみが7歳の時分までに教育で徹底的に植えつけられるということだ。いわゆる刷り込み教育というやつなのだろうけど、子供に何を教えるのかがどれほど重要なのか、これ見て肝に銘じた方がよさそうだ。

この映画の舞台となったのが1964年というから、あれから約50年。

黒人の大統領が誕生したということだけでもアメリカも変わってきたということなのだろうけど、実際のところはどうなんだろう。。

また、ヨーロッパでもサッカーの試合で有色人種の選手に対するファンの差別的ヤジがけっこうあって問題になってるし、相当に根深い問題なんだよね。

こういう映画をもう見なくて済むような世の中になってもらいたいものだね。

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アミスタッド

Wgnwtqpwq出演:マシュー・マコノヒー、モーガン・フリーマン、アンソニー・ホプキンス、ジャイモン・ハンスゥ、ピート・ポスルスウェイト、アンナ・パキン

監督:スティーヴン・スピルバーグ

(1997年・アメリカ・155分)DVD

評価★★★/60点

内容:自由を勝ち取るために戦った黒人奴隷たちを救うべく奔走した元アメリカ大統領ジョン・クインシー・アダムズの姿を描いたヒューマン・ドラマ。19世紀半ば、アフリカの大地で暮らす青年シンケは奴隷として拉致され、スペイン人に買われた53人の仲間とともにアミスタッド号に乗せられた。船員たちによる暴力にさらされた彼らは、やがて暴動を起こし、白人たちを惨殺していく。アメリカの沿岸警備船に取り押さえられたシンケたちは、殺人罪に問われ投獄されたが、彼らを救うためにアダムズが立ち上がった。。

“自分が単純なだけなのかもしれないが、この映画は絶対に時系列ごとに描写していくべきだった。すなわちシンケが体験した身の毛もよだつような惨劇を冒頭にもってくるべきだったと思う。”

自分の住んでいた村からシエラレオネの砦に連行され、奴隷船に乗せられ、鎖で繋がれ、鞭打たれ、ある者は海に投げ捨てられ・・・

この映画の中で1番重要な場面かつこの映画の中で1番重要な役柄シンケに迫っていくためにも冒頭にもってくるべきであり、それが長い映画の求心力にもなったはず。

それができるということはすなわちこの映画の主人公はシンケだ!と宣言することであり、それができなかったということはすなわちこの映画の中でシンケは単なる重要参考人にすぎないというようなものであろう。

この映画において、あの悲劇を冒頭にもってくるというのは、同監督の「プライベート・ライアン」の冒頭とは全く意義も役割も異にするものである。

しかしながらこの映画は、完全に後者の道を選んでしまった。

そう、やはりこれも白人側からみた視点の映画にすぎないのだ・・・。

夢のシネマパラダイス450番シアター:偶然にも最悪な帰結

藁の楯

O065009191020029_650出演:大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、余貴美子、藤原竜也、山崎努

監督:三池崇史

(2013年・日本・125分)WOWOW

内容:財界の大物・蜷川隆興の7歳の孫娘が惨殺された。容疑者は8年前にも少女を殺害し、釈放されたばかりの清丸国秀だった。しかし、なかなかその足どりをつかめない中、業を煮やした蜷川は“清丸を殺した者に10億円を支払う”という新聞広告を出す。こうして全国民の標的になり観念した清丸は福岡県警に自首する。さっそくその身柄を東京・警視庁に移送するため、警護課の銘苅一基をリーダーとする5人の精鋭が護衛官として集められ、国の威信をかけた護送任務が始まるが・・・。

評価★★★/60点

例えばナベツネが同じように犯人を殺した者に10億やるって読売に一面広告出したらどうなるw!?

って考えただけで日本の国民性としてありえない話だし、さらにいえば、こんなのヘリで警視庁に飛べばいいだけの話だと思うけど、荒唐無稽な着想設定を2時間間延びせずいかにリアリティをもった娯楽演出で描き切るかが肝になってくると思う。

で、護送車にニトロを積んだトラックが突っ込んでくる前半までは見ていられるレベルだった。

が、新幹線に乗り換えてからの後半は急速にどっちらけ。。内通者探しの内部分裂を引っ張りすぎだし、刺客が単発だし、警察上層部の買収もありきたりだし・・。

ここで起承転結の“転”調ができていればまだ見れたと思うんだけど。

例えば、清丸を殺す動機が「金の話が絡むと全てが言い訳に聞こえる」という範疇を超えた刺客を登場させるとかね。清丸以上のカリスマ殺人鬼とか(笑)。藤原竜也のわめき散らしとは真逆の無表情なサイコパスにして、金なんていらないからただ人を殺したいっていう。

で、そのハンニバルレクターが清丸を殺しちゃって、え!?こいつに10億払っていいのかよ!?みたいなww

そこまでブッ飛んでいればまだダレずに見れた、かなw

まぁ、絵的にはよくも悪くもこれが日本映画の限界なんだろうけど、シナリオはまだまだこんなレベルじゃないだろ、、と思いたい。。

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S.W.A.T.(2003年・アメリカ・111分)NHK-BS

 監督:クラーク・ジョンソン

 出演:コリン・ファレル、サミュエル・L・ジャクソン、ミシェル・ロドリゲス、LL・クール・J、ジェレミー・レナー

 内容:ロス市警のSWAT隊員ストリートと相棒ギャンブルは、銀行強盗の作戦現場で人質に怪我を負わせてしまう。この件でギャンブルはクビになる一方、ストリートは備品係への左遷を受け入れる。そして半年後、彼はホンド巡査部長率いるSWATチームのメンバーに選ばれ復帰する。やがてその新チームに麻薬王を護送する命令が下るが・・・。

評価★★★/60点

前半はSWAT隊員の訓練や日常を描き、後半は護送される麻薬王が自分を逃がしてくれたら100億円払うでー!と豪語する中でのサスペンスフルなアクションが描かれるのだけど、前後半でかなり毛色の異なる作風になっていてやや面食らってしまう。

個人的にはSWAT隊員の日常に対してそもそも需要がないし(笑)、前半1時間以上もかけたわりにはチームのキャラクターがいまいち伝わってこなかったので、もう序盤から麻薬王護送の話で運んでいった方がもっと面白くなったと思う。

しかし、ラスボスが飛行機で逃げようとしてあえなく挫折するパターンはもう見飽きたなww

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コラテラル

Collateral 出演:トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス、ジェイダ・ピンケット=スミス、マーク・ラファロ

監督:マイケル・マン

(2004年・アメリカ・120分)MOVIX仙台

評価★★★/60点

内容:ロサンゼルスで12年間タクシーを運転してきたマックスは、ある夜、運悪くプロの殺し屋ヴィンセントを乗せてしまう。一晩で5人の殺しを請け負っていたヴィンセントは、タクシーで移動しながら冷徹に仕事を実行していくのだが・・・。トム・クルーズが初の悪役に挑んだ果てにあるものとは・・!?

“《ヴィンセント》・ドノフリオ!”

アンタ、「メン・イン・ブラック」に出てた奴だろ?そうなんだろヴィンセント。

銀髪の頭がパッカーーンて開くと中から小っちゃい宇宙人が出てくるんだろ(笑)?そうなんだろヴィンセント。

人物描写がマックスに比して極端に浅いのは、ようするにアンタ人間じゃないんだろ?そうなんだろヴィンセント。

本当の殺し屋ヴィンセントはすでにこの世にいないんだろ?アンタが消したから、だろ?

どうりでプロの殺し屋にはあるまじき行動をしちゃうんだろ?そうなんだろヴィンセント。

マックスが予想外の反抗を見せるとは思わず、対処の仕方がマニュアルの想定外でぶっちゃけわけ分からなくなったんだろ?そうなんだろヴィンセント。

ホントのことを言ってくれ。

地下鉄でのマックスとの撃ち合いもマックスとやり合うのがもう面倒臭くなって、自分で自分の胸撃ったんだろ?そうなんだろヴィンセント。

ラストの地下鉄の座席で眠ったようにうなだれて死んでる姿は、もうアンタが頭の操縦席から抜け出した後の抜け殻なんだろ?

そうなんだろ、、う、う、、宇宙人!!

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チェンジング・レーン(2002年・アメリカ・98分)WOWOW

 監督:ロジャー・ミッチェル

 出演:ベン・アフレック、サミュエル・L・ジャクソン、トニー・コレット、シドニー・ポラック

 内容:ハイウェイでの急な車線変更が原因で人生の危機に直面した2人の男が、互いに相手に対する怒りを爆発させ、やがて命がけの闘いへとエスカレートしていく・・・。

評価★★★☆/70点

基本的にこの手の他人の不幸を神の目線で悠々と眺めるのは好きなのだが、この映画の中に舞い降りてしっかりと地に足をつけられなかったのは、この映画の罪であり不幸でもある。

でも最初の事故の対応はやっぱベン・アフレックの方に落ち度があると思われ。。

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レディ・キラーズ(2004年・アメリカ・104分)WOWOW

 監督・脚本:イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン

 出演:トム・ハンクス、イルマ・P・ホール、ライアン・ハースト

 内容:アメリカ南部ミシシッピ州。カジノの事務所近くで一人暮らしをしている老婦人は、楽団の練習をするために部屋を借りたいという教授と名乗る男に地下室を提供することに。そして楽団仲間4人が新たにやって来るが、実は自称・教授率いる彼らは、カジノの金を盗もうとする強盗団だった・・・。1955年の「マダムと泥棒」をリメイク。

評価★★/40点

南部の匂いがしない、土の匂いがしない、汗の匂いがしない、人の匂いがしない、殺しの匂いがしない、ハンクスの匂いがしない、兄弟の匂いがしない、、

、、、心に残らない。

音楽に身を委ねたいんじゃない。映画に身を委ねたいんだよオレは。

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ブロークダウン・パレス(1999年・アメリカ・101分)DVD

 監督:ジョナサン・カプラン

 出演:クレア・デーンズ、ケイト・ベッキンセール、ビル・プルマン

 内容:高校の卒業旅行でタイのバンコクに旅をし、ハンサムな青年に出会った二人は、彼の荷物を預かるが、その中から身に覚えがないヘロインが発見され・・・。現在も東南アジアへ旅行する若者たちが何人も無実で投獄されているという痛々しい事実がもとになった作品。

評価★★★/60点

初めての海外旅行者向け安全危険マニュアル過酷友情編!

教材としては★5っつ。

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シークレット ウインドウ(2004年・アメリカ・96分)WOWOW

 監督・脚本:デビッド・コープ

 出演:ジョニー・デップ、ジョン・タトゥーロ、マリア・ベロ、ティモシー・ハットン

 内容:スランプ中の小説家モートを見知らぬ男が訪ねてきた。「俺の小説を盗んだ」と言いがかりを付ける男の狙いとはいったい・・・?原作はスティーブン・キング。

評価★★/45点

パッと見た目は足がつかないくらい深いのかなと思わせるが、ドボンと飛び込んでみたら膝下までしかない浅さで違う意味でドボン・・・。

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ガントレット(1977年・アメリカ・115分)NHK-BS

 監督:クリント・イーストウッド

 出演:クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、パット・ヒングル

 内容:フェニックスの警官ショックリーは、ギャングの絡んだある事件の重要証人のガスを、ラスベガスから護送してくる仕事を命じられる。ところが、男とばかり思っていたガスは、女学生のような顔をした売春婦だった。ガスはフェニックスに行けば殺されると同行を拒むが、ともかく出発した2人は次々と命を狙われる・・・。

評価★★★/65点

やっぱアメリカ人って、根本的に、、、

バカなんだねぇ

「男はつらいよ」の、おいちゃんも言うことだろう。

バカだねぇ、ホントにバカだよ。俺は頭が痛くなってきた、、、はあ~ぁ。。

って寝込んじゃうんちゃいまっかww

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裸足のピクニック(1993年・日本・92分)NHK-BS

 監督・脚本:矢口史靖

 出演:芹沢砂織、浅野あかね、Mr.オクレ、梶三和子、あがた森魚、泉谷しげる

 内容:女子高生の鈴木純子はある日、たまたま借りた定期券でのキセル乗車がバレて駅員に捕まってしまう。事情聴取から逃げ出した彼女は、疎遠になっていた祖母の家に駆け込むが、その祖母はたったいま息を引き取ったところだった。さらに、遺骨を抱え父母と一緒に帰る途中に車が交通事故に遭ってしまい・・・。

評価★★★/60点

男子高校生とシンクロ、女子高生とジャズ、おじいちゃんとロボット、東京育ちの浪人生と田舎暮らしの林業というふうに題材の組み合わせの意外性を借りてハートウォーミングなコメディを作り上げる矢口ワールドに慣れ親しんできた者としては、劇場デビュー作がこんなに毒気のあるブラックコメディになっているとはかなり意外だった。

また、次の展開が読めない破天荒ぶりも、破綻なく定番に落としていく現在の作風とは天地の開きがあり興味深い。

作りはまだまだ粗いんだけど、今回の不条理極まりない転落ロードムービーはすこぶる個性的で、引き込まれるに足る作品になっていたと思う。

もう最後の方なんて主人公が貞子状態になってたからなw

しかし、ブラックではあれど笑えないのは問題。やっぱり今の作風の方がいいね。

2015年12月 1日 (火)

夢のシネマパラダイス209番シアター:ジャック・ライアンシリーズ

レッド・オクトーバーを追え!

Phma101312_l出演:ショーン・コネリー、アレック・ボールドウィン、スコット・グレン、サム・ニール

監督:ジョン・マクティアナン

(1990年・アメリカ・135分)NHK-BS

内容:CIAの分析学者ジャック・ライアンが活躍するトム・クランシーの冒険小説シリーズの最初の映画化。ソ連の最新型原子力潜水艦レッド・オクトーバーが突然姿を消す事件が起きた。艦長のラミウスはレーダーで探査することのできない原潜を駆って、アメリカ東海岸のすぐ近くまでやって来る。アメリカへの攻撃か、はたまた亡命か、艦長の真意が分からず苦悩するCIAは、レッド・オクトーバーを追うアメリカの潜水艦ダラスにジャック・ライアンを送り込む・・・。

評価★★★★/80点

潜水艦の構造といった詳しい知識は自分自身ほとんど皆無。しかも米ソ両側から描いているためネタバレが常時浸水してくる。

それなのにこの面白さは一体何なんだ

潜水艦ものは余程のヘマをしでかさないかぎりハズレることはないということを示した典型的作品。

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パトリオット・ゲーム

Patriot_games出演:ハリソン・フォード、アン・アーチャー、パトリック・バーギン、ショーン・ビーン

監督:フィリップ・ノイス

(1992年・アメリカ・117分)NHK-BS

内容:妻子の目の前で、英国王室一家をIRA過激派テロの襲撃から守ったジャック・ライアンはナイトの称号を授与される。しかし、テロ集団の恨みを買ってしまい、家族の命が狙われることに・・・。 

評価★★★/65点

前作が国家レベルなら今回は個人レベル、、っておいおい随分スケールが小さくなったな。

単なる個人の復讐譚と化しちまってるじゃんかよ。しかも理性のかけらもない暴走男。

「ケープ・フィアー」見るためにこの映画見たんじゃないんですけど・・・。

前作のスケールと緊迫感は何処へ。。

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今そこにある危機

56850906_1出演:ハリソン・フォード、ウィレム・デフォー、アン・アーチャー、ホアキン・ド・アルメイダ

監督:フィリップ・ノイス

(1994年・アメリカ・141分)NHK-BS

内容:麻薬撲滅の指令を受け、南米コロンビアの麻薬カルテルを調査していたCIAのライアンは、アメリカ軍による非合法の軍事作戦の陰謀をつかむのだが・・・。

評価★★★★/75点

合衆国大統領をロクデナシ大統領として描いたのはこの映画のささやかな反抗ではある。

しかし、アメリカにとって麻薬カルテルの撲滅は絵空事であるどころか、麻薬そのものが“今そこにある危機”というよりも、既にあきらめがついているというのが現実なのだろう。。

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トータルフィアーズ(2002年・アメリカ・124分)WOWOW

 監督:フィル・アルデン・ロビンソン

 出演:ベン・アフレック、モーガン・フリーマン、ジェームズ・クロムウェル

 内容:CIA長官の右腕に抜擢された新米分析官のジャックは、ロシアの核兵器に関する調査を始めたが、捜査中にスーパーボウルの会場で核爆弾が爆発してしまう・・・。

評価★★★/55点

“原爆をお気楽にエンターテイメントで使うのはやめて下さい。”

「ターミネーター」はまだ許せる。

しかしこの映画でのお気楽レベルは目に余るものがあり、笑うにも笑えない状況・・。

アメリカとイスラエルの関係など、非常に挑戦的なテーマをも内包している面白い題材だっただけに残念だけど、どうもゲーム感覚の域を出ていない気がしたな。

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エージェント・ライアン

Poster2_2出演:クリス・パイン、ケヴィン・コスナー、ケネス・ブラナー、キーラ・ナイトレイ

監督:ケネス・ブラナー

(2014年・アメリカ・106分)WOWOW

内容:ウォール街の銀行で若き経済アナリストとして名を上げていたジャック・ライアンは、CIAに分析員としてスカウトされる。そんな中、世界恐慌を狙う大規模テロ計画がロシアで発覚。CIAは真相を暴くために現場経験ゼロのジャックをモスクワへ送り込むが・・・。

評価★★☆/50点

このてのスパイアクション映画って、ご都合主義やストーリー上の矛盾から逃れられない運命にあるものだけど、アクションの質や人物のキャラクター造形など細かいディテールにリアリティを付加することでツッコミ所を納得させるレベルのつくりが求められる。しかし、そこで粗がリアリティを越えてしまうと一気に作り物感が前面に押し出て白けてしまう。

で、今回、久々にその感覚を味わった(笑)。

まず、リアリティという点で最も大きくつまづくのが、恋人キーラ・ナイトレイがライアンの浮気を疑ってモスクワまで飛んできてしまうくだりだ。若い二人だけにそれだけの関係性と時間経過が描かれていたとも思えず、その中で映画の半券見つけたってだけで浮気!?でわざわざモスクワ!?ありえねーだろww

ここで4割くらい白けた

せめてここは夫婦設定の方がまだ分かりやすい気がしたけど・・。

あと、せっかく殺しもスパイ経験もゼロなホワイトカラーの金融アナリストを主人公設定にしたんだからもっとヘタレに描けよって話(笑)。

オリジナリティがゼロなんだよなぁこれ。。

今どき米ソの対立なんていう古臭いモチーフを持ち出してくる勇気があるなら、男女の痴話ゲンカなんてチープな話ではなく、もっと骨太な男の映画を見たかったよ・・。

夢のシネマパラダイス498番シアター:女の中にいる他人・・・

小さいおうち

Poster2出演:松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子、橋爪功、吉行和子、室井滋、中嶋朋子、小林稔侍、夏川結衣、笹野高史

監督・脚本:山田洋次

(2013年・松竹・136分)WOWOW

内容:生涯独身を通した布宮タキが亡くなった。晩年の話し相手だった甥っ子の健史は、タキが遺した自叙伝を託される。そのノートには、若かりしタキが女中として働いていた頃の出来事が綴られていた。昭和10年、山形から上京してきた18歳のタキは、東京郊外の赤い三角屋根が目を引く小さくもモダンな家で女中として働き始める。その家の主人の平井は玩具会社の重役で、若い奥様・時子と幼い一人息子・恭一の3人家族だった。タキはとりわけ美しくオシャレな時子に尽くすことに喜びを感じていくが、平井の部下の板倉の出現が平穏な暮らしにさざ波を起こしていく・・・。

評価★★★☆/70点

女中の視点とはいえ、山田洋次がブルジョワ家庭を描くというのはちょっとした事件ではある。

ところが、そこに何か特別な化学反応があるわけでもなく、文字通り小さいお話に縮こまっちゃってるのは、従来の山田節からすればやや歯切れの悪い印象を受ける。

ただ、戦争は金持ちだろうと貧乏だろうと関係なしに地獄を見せるという点で、丘の上に立つハイカラなおうちが焼夷弾に焼き尽くされる断末魔は心にトゲが突き刺さったような痛みを覚えた。

また、ぜいたくは敵だ!と叫ばれたあの時代を美化することは悪であると教えられてきた自虐史観の塊である現代っ子と、そういう時代でもぜいたくは素敵だったとしたたかに生きてきた実体験者の感覚の齟齬はとても面白かった。

その中でもラサール石井演じる社長さんたち男性陣の戦争に対する高揚感と楽観論、そして真珠湾攻撃の日に「風と共に去りぬ」を読んでいるような時子たち女性陣ののんびり感は興味深く、市民感情が戦争やむなしに流れていく様はよく描かれていたと思う。

しかし、戦争が長引くにつれて、いい加減な人間が生きづらい世の中になってきて、こんなはずじゃなかったのにと嘆くも時すでに遅し。景気が良くなるどころか物資不足で会社は立ち行かなくなったり、好きな人に赤紙が来たり、あるいは空襲で殺されるに至るまで戦争の本当の恐ろしさを肌身に分かっていなかった、、、そんな政治意識の低さと甘さが戦争を呼び込んでしまった一面もあるのだということがよく分かった。

戦争に巻き込まれるのではなく、戦争を呼び込んでしまうのだということを。

今の日本がそうならないことを願うばかりだけど、少なくとも戦争に対する嫌悪感だけは持ち続けていなければならないのだと思う。

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女の中にいる他人(1966年・東宝・102分)NHK-BS

 監督:成瀬巳喜男

 出演:小林圭樹、新珠三千代、草笛光子、三橋達也、若林映子、長岡輝子

 内容:エドワード・アタイアの推理小説を翻案した、成瀬監督には珍しい心理ミステリー。平凡な中産階級の夫が情事の末に殺人を犯し、良心の呵責に悩んで妻にすべてを話して自首しようとするが、妻は子供の将来を重んじてそれを許さずに・・・。

評価★★★/60点

“今村昌平の重喜劇でもって見たかった気も・・。”

ううむ、、なんだろう、今村昌平を洗濯機に入れてアブラ分をきれいさっぱり落としちゃったような、そんな物足りなさを少し感じてしまった。

人間のダークサイドに踏み込んでいこうにも登場人物が揃いにそろって絵に描いた優等生タイプの良い人なので、例えば新珠三千代の豹変ぶりもなにか底が浅く見えてしまった。

まぁ、ミステリーという題材を丁寧にすくい上げ咀嚼したマジメな演出には好感がもてるのだが、裏を返せば単なるクソ真面目にしか見えてしまいかねない・・・。そして、案の定そういう面ばかりが気になってしまったといったところか。

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木曜組曲

0301mokuyo 出演:鈴木京香、原田美枝子、富田靖子、西田尚美、竹中直人、加藤登紀子、浅丘ルリ子

監督:篠原哲雄

(2001年・日本・113分)DVD

評価★★★★/80点

内容:大女流作家・重松時子は、4年前ミステリアスな薬物死を遂げた。それから毎年、時子をしのび、彼女の邸宅に集う5人の女たち。今年も例年にならい、木曜日をはさんで3日間集まることになったが、彼女たちのもとに花束が届いた。そこに添えられていたカードには、「皆さまの罪を忘れないために、今日この場所に死者のための花を捧げます」というメッセージが・・・。

“五角形の食卓が5人の女たちのよどみない交錯によって黄金比で象られた五芒星へと変貌を遂げるさまに思わず舌鼓を打つ。”

その五芒星の中心にいたのはまぎれもない永遠の巨匠となった時子であった。

女の食い意地と食欲は何ものにも勝るといった風でもあったが、これ見て食欲が湧かなかったのはある意味不思議。

あっ、そっか、、毒ね

ちなみに自分は金曜日がお好き♪

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8人の女たち(2002年・フランス・111分)DVD

 監督・脚本:フランソワ・オゾン

 出演:カトリーヌ・ドヌーブ、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール、ファニー・アルダン

 内容:1950年代のフランス。クリスマスイブの夜、大邸宅の主が殺された。外から何者かが侵入した形跡はなく、集まっていた8人の女たちは疑心暗鬼を募らせ、やがて互いを詮索するようになる・・・。フランスを代表する大女優8人が歌って踊る夢の競演!

評価★★★/65点

8人の女たちの陳腐で見えすいた会話劇に全く魅力も救いようも感じられず、まるで騒々しい井戸端会議でも見せられているような気分になってくるのだが、それでもサラッと見れてしまうのがなんとも不思議な味わい・・。

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モンスター

20061026_136955 出演:シャーリズ・セロン、クリスティーナ・リッチ、ブルース・ダーン、スコット・ウィルソン

監督・脚本:パティ・ジェンキンス

(2003年・米/独・109分)2004/10/02・仙台フォーラム

評価★★★/60点

内容:娼婦の生活に疲れ果て、自殺を考えていたアイリーンは、ひとりの少女と出会う。彼女との新しい生活に希望を見出そうとするのだったが・・・。モンスターと恐れられたアメリカ初の女性連続殺人犯の哀しい人生を、シャーリズ・セロンが13キロ体重を増やして演じ抜き、アカデミー賞主演女優賞を受賞。

“酷い話ではあるが、可哀想だと同情できるような話ではない。”

性的虐待や父親の自殺、そして家族から捨てられた凄絶な子供時代。また娼婦として街に立って生きる自殺を考えてしまうような身の上はたしかに悲劇ではあるし、この映画の目線がアイリーンを「モンスター」としてではなく「人間」として捉えていこうとする点は評価できる。

、、のだが、しかし圧倒的社会の現実の前で、映画が彼女を掬い上げていこうとするのとは裏腹に、当のアイリーン自身の方が「勝手にほざけよ!」と我々を突き放し続けていくわけで、どうも救いようがないというか。同情の余地がないので、感情移入なんてなおさらできるはずがない。

しかし、救い上げるための社会がすでに救いようのない「モンスター」になっているということも反面この映画からは伝わってくるわけで、「モンスター」はアイリーンのことではなく、この今の社会のことを指しているのかもしれない。

美しい夢を見続けたダイヤの原石。

何ものにも押しつぶされない硬質なダイヤのごとく、アイリーンは「人生で大事なのは人と自分を信じること」という堅い意思のもとで、セルビーへの愛を貫き通し、生き抜いたといえるのかもしれない。

これが西部劇とかだったら、童貞は始末しない心優しき変態征伐隊として断然ヒーローになるのだけどもww

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ディスクロージャー(1994年・アメリカ・129分)WOWOW

 監督:バリー・レビンソン

 出演:マイケル・ダグラス、デミ・ムーア、ドナルド・サザーランド

 内容:ハイテク企業に勤務するトムは、昔の恋人メレディスに総括部長の座を奪われる。さらに彼女の誘惑を拒否したことでセクハラと訴えられ、窮地に追い込まれてしまい・・・。

評価★★☆/45点

これって49対51で理性がなんとか上回ったってだけの話やろ。勃起したお前も悪いんだよダグラスさん(笑)。

しかしこんな映画でも強引に家族愛という着地点にもっていくのはある意味さすが。。

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冷たい月を抱く女(1993年・アメリカ・107分)NHK-BS

 監督:ハロルド・ベッカー

 出演:ニコール・キッドマン、アレック・ボールドウィン、ビル・プルマン、アン・バンクロフト

 内容:大学の学長補佐を務めるアンディの学校では生徒の連続殺人が起こっていた。そこに現れたのは旧友の外科医ジェット。彼がアンディの妻トレイシーの手術で医療ミスを犯したことから裏に仕組まれていた陰謀に気付くのだが・・・。

評価★★★/60点

ヒッチコックに代表される古典的スリラーを現代風にアレンジした見事な創作料理といきたいところだが、フタを開けてみたら、なにやら欲張りすぎてわけの分からない一歩手前でなんとか形をとどめているにすぎないものが出てきてしまった。

ただ、ニコール・キッドマンは、ブロンド美女をこよなく愛するヒッチコック好みの女優さんだと思うのだけど、あの独特な彼女の眼力がヒッチコックスリラーと現代風スリラーの橋渡し役として見事に機能していることだけは買いたい。

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悪魔のような女(1955年・フランス・107分)NHK-BS

 監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー

 出演:シモーヌ・シニョレ、ヴェラ・クルーゾー、ポール・ムーリス、シャルル・ヴァネル

 内容:妻クリスティナの財力でパリ郊外の小学校の校長に納まっているミシェルは、妻に教鞭をとらせ、もう1人の女教師ニコールと公然と通じていた。しかし、乱暴で利己的な彼に対してついにガマン出来なくなった2人の女は、共謀してミシェル殺害の計画を立てる。そして、怖気づくクリスティナと気の強いニコールは、浴槽でミシェルを窒息死させるのだが・・・。

評価★★★★/80点

世にも奇妙な物語のテーマ音楽が地の底から響き渡ってくるような映画。タモリが出てきたら完璧でっせコレw

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