夢のシネマパラダイス14番シアター:言の葉の庭
言の葉の庭
声の出演:入野自由、花澤香菜、平野文、前田剛、寺崎裕香、井上優
監督・脚本:新海誠
(2013年・日本・45分)DVD
内容:梅雨時の6月。タカオは靴職人になる夢を持つ高校1年生。雨の日の1時間目は学校をサボって、新宿御苑の東屋で靴のデザインを描いている。そんなある雨の日、タカオがいつもの場所に行くと、缶ビール片手に佇んでいるスーツ姿の女性ユキノと出会う。どこかで会ったことがあるような気がするも思い出せないタカオだったが、その後2人は雨の日にだけそこで顔を会わせるようになる・・・。
評価★★★/60点
前作、ジブリのパクリでさえ物語ることができないことをさらけ出した新海が長編に見切りをつけ短編で勝負を挑んできたのは切に正しい。
風景描写がいの一番で、そこにモノローグと音楽をかぶせてくる独特の作劇は長編を回していくには弱すぎるからだが、今回はその作劇を思う存分炸裂させたかんじ。特に雨、緑、風、光、空、雲、水辺などの自然描写は息を飲むほどの描写力で、言葉や音楽が無意味に思えてしまうくらい。
もともと無機質な人工物に美的な憧憬といった意味を持たせて描き込むのが上手いのはこれまでの作品で分かっていたことだけど、今回は都市風景と自然風景が見事にあいまって情感たっぷりに迫ってきて、全てのシーンを壁紙にしたいくらいw
しかし、ストーリーラインは相も変わらずの中二病で、自分と同じ年代の男がよくもまぁこんな小っ恥ずかしい話をいまだに意気揚々と語れるものだと逆に恐れ入っちゃうんだけど、、だって雨宿りをきっかけにキレイなお姉さんと恋を育むって、まんまじゃん(笑)。
もうどこまでも青クサくて感情移入すらままならなかった・・・。
そもそも冒頭のタカオのモノローグからしてすでにダメ。制服のすそを濡らす他人の傘、誰かのスーツに染みついたナフタリンの匂い、、子供のころ空はもっとずっと近かった、だから空の匂いを連れてきてくれる雨は好きだ、っていうこの15歳の感性が妙に癪に障る
で、学校の教室で、靴職人になるためには僕はこんなことをしている場合じゃないんだと焦燥にかられるって、ここも癪に障るポイントなんだけど、例えばこれ見て真っ先に思い浮かべた「耳をすませば」の天沢聖司はヴァイオリン職人を目指すために中卒でイタリアに渡る決心をするけど、彼の場合は祖父や周りの人々とのつながりがしっかり描かれているし、家族の大反対があったとも言っている。
一方タカオは、人とのつながりが家族含めて希薄で自分の中にため込んでいるだけなので、結局なんでそんなに靴職人になりたいのかっていう描写が決定的に弱いんだよね。楽しそうに見えないっていうか。で、ひとりで思い詰めてるわけでしょ。伝わってこないんだよねこれじゃ。。
あと、さらに決定的だったのがユキノさんの弁当に勝手に手伸ばしておかずパクるって、絶対ありえないでしょ(笑)。了解も得ずに他人の弁当に箸を突っ込むなんて、ほんとドン引きしちゃったんだけど。
まぁ、要するにやはりモノローグの多さというのがさっきも言った自分の中にため込むだけという部分にもつながって、ただウザったいだけで共感ポイントがほとんどないんだよね。さらに、タカオばっかりダメ出ししたけど、ユキノ先生も年の割りに幼くて、まぁそれは新海誠の妄想力の幼さに通じるんだろうけどさ。。
とにかく絵面は一級品なんだから、もうちょっとこちらに想像させてくれる余地を残してもらいたいものだな。
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耳をすませば
脚本:宮崎駿
監督:近藤喜文
(1995年・東宝・111分)
評価★★★★☆/85点
内容:読書好きの女のコ月島雫は、ある日図書館で借りた本の貸し出しカードに「天沢聖司」という名前を見つける。そして注意してみると自分が読む本には必ず先にその名前があることに気づく。雫は顔も名前も知らないその名前に胸をときめかせていくのだった。そんな夏休みのある日、雫は1人の少年と出会う。
“高校生の時、人目をはばかることなく女友達から原作マンガを借りて堂々と読んでいたことがある・・・。”
いや、それだけではない。大学生の時なんか、狙っていた女のコに家に誘われてヨッシャ!と戦闘態勢を整えて彼女の部屋に突入していったら、「アタシ、ジブリの耳をすませば借りてきたから一緒に見よッ」と言われイヤイヤ見ているうちに、あろうことかエロ心が浄化されていくと共に純な男に変容していき、その後何事もなく2人でマタ-リ過ごしたことだってあるのだなんじゃそりゃ。
そして毎回見るたびに雫と聖司の青空のように純粋な恋に人知れず憧れている自分がいるのだ。そして、雫みたいな奴もイイなと妄想してみたりするのだ
が、しかし、社会人になってそういう女子とめぐり合ってしまった。
同じ会社に新入社員として入った同期のコ。電車に乗ってて猫が入ってきたら、「ネコちゃんネコちゃんどうしたの?」なんて平気で言ってそのネコについて行くであろう恐るべき女。
かくして憧れは吹き飛んだ。
オカシイ、やっぱりオカシイぞこの人。他人とは異なるもの凄い感性を持っているのだ。ゴメン、自分ついて行けませんでした・・。
が、しかし、この映画を嫌いにはならないのだ。
雫と聖司が夢に向かって頑張っている姿を見るとオレもやるぞーーーっという気持ちにさせてくれるのだ。
それで、いいのだww!!
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猫の恩返し(2002年・東宝・75分)銀座ガスホール
監督:森田宏幸
声の出演:池脇千鶴、袴田吉彦、前田亜季、山田孝之、佐藤仁美、丹波哲郎
内容:女子高生のハルは憧れの男子が他の女子とイイかんじになっているのを目撃したりと最近何かと落ち込むことばかり。そんなある日、ハルはトラックに轢かれそうになった1匹の猫を助けた。しかし、その猫が“猫の国”の王子ルーンだったことから、ハルはお礼として猫の国へと招待される・・・。
評価★★/40点
おい、ちょっ待てよ、待てって、、おい待てよっ!と思う間もなくこちら側を置き去りにしたまま勝手に独走していってしまうトンだジブリ映画。タヌキよりもタチが悪いww
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未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~
出演:松下奈緒、竹財輝之助、原田泰造、西田尚美、関めぐみ、松坂慶子
監督:蝶野博
(2007年・松竹・115分)WOWOW
内容:大学時代のサークルで知り合い恋に落ちた宮本さやかと福島慶太。順調に交際を続ける2人の愛は、慶太が尊敬する建築家・ガウディを生んだ情熱の国スペインへの卒業旅行で沸点に達する!卒業後、さやかは印刷会社でOLをしていたが、雑誌編集者になる夢を叶えるために転職。が、同じ頃、建築家を目指す慶太がスペインに赴任することになり、2人は別々の道を歩むことを決断する・・・。
評価★★★★/75点
新海誠が好きそうな映画だなぁ(笑)。
学生生活、バイク、プラトニックな恋愛、夢追い人、、、なんつー陳腐この上ないお約束映画だろう。
って、大っ好きです!ジャーーン!
こういうオーソドックスで最高に幸せな恋愛映画って邦画でもTVドラマでも最近お目にかかることがなくなっていたので、逆に新鮮だったのかもね。
しかも、劇中ラブシーンどころかキスシーンさえなくて、あな珍しやと思ってたら、ラストの結婚式できやがった。クゥ~~~ッ。。上手い!
んで、この結婚式で、慶太の男友達が号泣してんのね(笑)。
最高にイイ奴。最高にイイ上司。最高にイイ家族。そして最高にイイ松下奈緒。友情、恋愛、親子愛に彩られた幸せめぐり三昧に素直に心打たれますた。
オイラも幸せになりてぇーーっ。(-人-)・・・†アーメン
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