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2015年10月31日 (土)

夢のシネマパラダイス424番シアター:子供にはタジタジっス・・・。

おしん

Img_0出演:濱田ここね、上戸彩、岸本加世子、小林綾子、満島真之介、ガッツ石松、稲垣吾郎、泉ピン子

監督:冨樫森

(2013年・東映・109分)

内容:明治40年。山形の雪深い寒村の貧しい農家に生まれたおしんは、7歳になったとき、口減らしのために大きな町の商家に奉公に出された。頑張り屋さんのおしんは女中頭のイジメにもめげず、懸命に仕事をこなしていくのだった。しかしある日、お金を盗んだ疑いをかけられたことで受けた仕打ちが許せず、店を飛び出してしまう。雪山で行き倒れになったおしんは、脱走兵の俊作に助けられるが・・・。

評価★★★★/75点

幼稚園くらいの頃に見たであろうNHK朝ドラのおぼろげな記憶しかない自分にとっては、このベタベタな物語は正直、泣けに泣けた

映像面もすごく良くて、明度を落としたライティングとか厳しい自然の中で生きる人々の暮らしぶりが伝わってくるような美術セットとかすごい印象的だったし、我慢、忍耐、献身、純真、そして諦念や悲しみを抑制するジャパニーズスマイルという東日本大震災であらためて見直された日本人の美徳が、おしんという幼気な女の子を通して伝わってきて大いに心打たれた。

ただ、「女は自分のために働くのではない。夫、子供、親など人のために働くんだ。それが女なんだ!」と大女将さん(泉ピン子)の言う当時の女性観や職業観にその美徳を収れんさせるのは面食らったというか、なんか今の世には合わない気がしたけど、でも女性活躍推進を掲げる現代においても理念だけはご立派で実際そんなに変わってないしなぁ・・。

あ、あと面食らったといえば父親役の稲垣吾郎ww一人だけコントの衣装着てスマスマやってるようなかんじで思わず笑っちゃったんだけど、、オリジナルが伊東四朗だっけ?なんか稲垣吾郎ていうイメージじゃないんだよなぁ。まぁ、この親父さんの立ち位置が内面ともどもイマイチ中途半端だったていうのもあるんだけどね。。

あと、エンディング曲にフランプール×台湾バンドのポップスって、これまたどうなんだろう

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キンダガートン・コップ

Image10710 出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、ぺネロープ・アン・ミラー、パメラ・リード、リンダ・ハント

監督:アイバン・ライトマン

(1990年・アメリカ・111分)NHK-BS

評価★★★★/75点

内容:シュワちゃんVS幼稚園児!!以上!

“自分にとってアーノルド・シュワルツェネッガーをシュワちゃんと気楽に呼べるようになった記念すべき作品”

小1のときに観た「ターミネーター」における殺人マシーン“アーノルド・シュワルツェネッガー”によるトラウマ。

そしてそのイメージを踏襲したその後のアクション映画たち。

それにより不死身の肉体マシンというイメージとアーノルド・シュワルツェネッガーという固い響きがワンセットとして自分の中にインプットされていたわけで。

ところが、「ツインズ」での笑顔をふりまき、初エッチで至福の表情を見せた肉体マシン・シュワルツェネッガーに人間味を見出し、本作での子供たちとの交流に新たなヒーロー像を見出し、つづく「ターミネーター2」で極悪ヒーローから正真正銘のヒーローへと変身を遂げるさまを目の当たりにした。

そこで初めてそれまで“アーノルド・シュワルツェネッガー”としか呼ぶことができなかった自分は“シュワちゃん”と呼ぶことができるようになったのだった。

そういう意味でも今作は自分にとって印象深い作品なのでっス。

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機関車先生(2004年・日本・123分)DVD

 監督:廣木隆一

 出演:坂口憲二、堺正章、倍賞美津子、大塚寧々、伊武雅刀

 内容:昭和30年代初頭。北海道で教師をしていた吉岡誠吾は、剣道の試合中の事故で声を失ってしまい、母親の故郷である香川県の葉名島に臨時教師として赴任してきた。全校生徒7人との暖かな交流と成長を軸に、それを取り巻く島の大人たちの人間模様を織り交ぜたドラマ。

評価★★★/60点

視聴率9%くらいの民放の連ドラ総集編てかんじw

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アトランティスのこころ(2001年・アメリカ・101分)WOWOW

 監督:スコット・ヒックス

 出演:アンソニー・ホプキンス、デビッド・モース、アントン・イェルチェン

 内容:母と2人暮らしの少年ボビーの家に、年老いた下宿人テッドがやって来た。彼は不思議な力を持っていて、ボビーは彼と心を通い合わせながら成長していく。原作はスティーブン・キングのベストセラー小説。

評価★★★/65点

少年が線路の上を歩いているだけで、いやが上にも「スタンド・バイ・ミー」を想起させるが、そもそもスタンド・バイ・ミーと同じ俎上で比べられること自体今作にとって酷なことはない。

だって超えられるわけないもん(笑)。しかも同じ原作者ときたらもう、ね。結果は自ずと・・。

だから個人的にも予想の範疇で事は進んだけど、にしてもやや退屈が過ぎたな。。

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アバウト・ア・ボーイ

Aboutaboysmall 出演:ヒュー・グラント、トニー・コレット、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルト

監督:ポール・ウェイツ、クリス・ウェイツ

(2002年・アメリカ・101分)2002/09/25・MOVIX仙台

内容:亡き父の遺産で気ままに暮らしている、38歳・無職・独身のウィル。彼は恋したシングルマザーを口説くために、偶然知り合った12歳の少年マーカスを利用するが、彼は精神が不安定な母親を抱えていて・・・。

評価★★★★/75点

コメディとシリアスの微妙な狭間を英国の風が優しく吹き抜けていく。まさにキリング・ミー・ソフトリー♪

また、映画としての押しの弱さが鼻につかないのもこの映画のスゴイところで、ヒュー・グラントの特性が良い方向に出たのが勝因だろう。

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奇跡の人(1962年・アメリカ・106分)NHK-BS

 監督:アーサー・ペン

 出演:アン・バンクロフト、パティ・デューク、ヴィクター・ジョリー

 内容:ブロードウェイで大ヒットとなった、偉人へレン・ケラーの実話に基づく戯曲の映画化。少女へレンは生後19ヶ月の時にひどい熱病にかかったのが元で目が見えず、耳も聞こえず、言葉も話せない三重苦を背負う。家庭教師として、そんな彼女の面倒を見ることになったのは、不屈の盲目女性教師サリバンだった・・・。舞台版から継続して起用されたバンクロフトとデュークがアカデミー主演女優&助演女優賞をダブル受賞した。

評価★★★★/75点

オイラはこの映画を密かにこう呼んでいる。

「裏エクソシスト」と。。

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ポネット(1996年・フランス・99分)NHK-BS

 監督・脚本:ジャック・ドワイヨン

 出演:ヴィクトワール・ティヴィソル、マリー・トランティニャン、グザヴィエ・ボーヴァワ

 内容:事故で亡くしてしまった愛する母親の死に直面した4歳の少女が、死と向かい合いアながら乗り越えてゆくまでを心温かい眼差しで描いた一品。4歳で主演したティヴィソルはベネチア国際映画祭主演女優賞を受賞。

評価★★★/60点

感動と倦怠の間のエアーポケットにすっぽりハマッて身動きがとれなくなってしまった自分は、終始ボケーット。。

、、泣く気マンマンで泣けないとすっげぇストレス溜まるな

夢のシネマパラダイス173番シアター:狂気の人

地獄の黙示録

135047_01出演:マーロン・ブランド、マーティン・シーン、ロバート・デュバル、フレデリック・フォレスト、デニス・ホッパー

監督・脚本:フランシス・フォード・コッポラ

(1979年・アメリカ・153分)NHK-BS

特別完全版(2001年・アメリカ・203分)日本劇場

評価★★★★☆・85点オリジナル版/★★★★・75点完全版

内容:ベトナム戦争の最中、サイゴンのホテルから情報司令部へ呼び出されたウィラード大尉は、特殊部隊の作戦将校カーツ大佐の暗殺を命じられた。カーツ大佐は現地人部隊を組織、訓練するためにジャングルの奥地に潜入したが、後方との連絡を断ち、自らの王国を築いてその支配者に納まっているという。ウィラードは部下とともに巡回艇で河をさかのぼりながら、戦場の現実を目の当たりにする。カンヌ国際映画祭作品賞。

“巡回艇の乗員だけではなく、この映画の作り手の理性的判断までもが次第に失われ破綻をきたしていく。しかしそのことがこの作品の失敗を招くどころか、れっきとした勝因になっていることに恐怖を覚えずにはいられない。”

しかし、その恐怖は特別完全版で風前の灯となった。

作り手(ま、要するにコッポラ)の理性的判断は最後まで持続したままジ・エンド。強いていえばド・ラン橋を越える前と後でのオリジナル版の破綻現象の名残がまだ残っているくらいか。

このことははたして見る側の我々にとって良かったことなのだろうか。

ある意味この疑問は愚問である。

そりゃそうだ。完全版とよばれるほとんどがオリジナル版を補填するためにつくられたものなのだから、見る側にとって分かりやすくなることは良いことなはずだ。

この作品の完全版もしかり、明解な答えと主義主張が懇切丁寧に提示されている。

ならず者国家アメリカの狂気を暴く・・・。

ず、ずいぶんとこじんまりとしてしまったな。。というのが個人的印象。

と同時に明解な糸(意図)で構築されていくウィラード大尉とカーツ大佐の物語=懺悔録にオリジナルにはなかった快感を覚えたのもたしかである。

しかし、やはり心のどこかでこれで良かったのだろうかという思いはつきまとってしまうのだった。

そもそもオリジナル版で破綻をきたしていくことがなぜこの映画の勝因となるのか。

それは一言で言ってしまえば“言い知れぬ恐怖”ということに尽きる。

カーツがラストで「地獄の恐怖」を味わうのと同じように、自分も言葉では言い表すことのできない言い知れぬ恐怖をこの映画に覚えた。

言い知れぬ恐怖、、カーツは言う「私は地獄を見た。それを言葉では言い表せない。地獄を知らぬ者に何が必要かを言葉で説いて分からせることは不可能だ」と。同じように自分も、自分が感じた恐怖について言葉で言い表すことは難しい。

なぜならばこの映画には様々なメタファーが隠されていると思うのだが、いわばその様々なメタファーの収束されたものが、自分の感じる言い知れぬ恐怖につながっていると思うからだ。つまり、逆にいえばその言い知れぬ恐怖には様々な意味を見出すことが可能となる。

とにかくひとつ確かなことは、その収束体、重層的かつ重みがあるもの、が自分を鋭くえぐり、自分の生存本能にまで達しているということだ。言い知れぬ恐怖。

この恐怖を体感させたことは間違いなくこの映画にとっての勝利だと思う。

そしてこれが重要なのだが、物語が途中で破綻をきたしていることも言い知れぬ恐怖を喚起する一因となっていると個人的には思ったわけで。

そう感じた伏線としては、まずオープニングシーン。

まき上がる砂塵と黄色い信号弾、燃えさかる炎、この映像に覆いかぶさるようにして映し出される逆さ真上から写したウィラードの顔、天井で回転しているファンと空気を切る回転音。

後々の狂気の暗示でもあるが、不安定で何か言い知れぬ不安に駆られる。映画のオープニングからして不安定要素をはらんでいるわけだ。

次に決定的ともいえるのが、録音されたカーツ大佐の声、「私はカタツムリを見た。カミソリの刃の上を這っている。それが私の夢だ。それが私の悪夢だ。」

不安定、危うさ、、、これまた言い知れぬ恐怖という言葉がピタリとくるが、この映画そのものをカミソリの刃の上を這うカタツムリに例えることができるのではないか。不安定要素をはらんだところから出発したこの映画自体の危うさを。

しかもそのカミソリの刃を手に持っているのはこの映画の作り手なのだ。

そして前半理性を保ちながら進んでいたこの映画は、後半ついにカミソリの刃により裂かれてしまう。

いや、裂かれたというよりはカミソリを持っていた作り手が、手を動かしてしまい裂いてしまったと言った方が正確か。

その視覚的表れがラストで牛を鉈でぶった切る場面だと思うのだ。

つまり、作り手の理性的判断は破綻をきたしてしまったわけだ。

だが、ここで面白いのが、作り手の理性的判断の破綻とウィラードを乗せた船の乗員の理性的判断の破綻がシンクロしていることなのだ。

そしてそれは、カーツ王国の入り口に近い最前線のド・ラン橋における完全な狂気、指揮官が誰かも分からずにイカレたロック音楽とともに戦っているアメリカ軍、に一体化するわけで(実際に映像も狂気じみた印象を受けるようになってくる)。

要はイカレていく彼らの姿をして作り手のイカレた姿もダブって見えてしまう・・・。恐怖を覚えずにいられようか。

カーツはこのようなことを言っていた。

「理性的判断が敗北を招く。何の興奮もなく無機質に人を殺せる男たちでなければダメなのだ」と。

言わずもがな理性の対義語は感情・感性である。カーツはこの両方をも失くしてしまわなければダメだというわけだが(ま、このカーツという男もラストで「地獄の恐怖だ!」と叫ぶわけだけど)、はたしてこの映画の作り手は苦悩(※)に引き裂かれそうになって思わずカミソリの刃を動かしてしまったのか、それともただ無機質な感覚で動かしたのか、いずれにしてもそれを考えるだけでも十分恐いではないか・・・。

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Apocalypsenow01 完全版に対するひとつの問いかけ。

はたして完全版で理性的判断が持続していることは、この映画を観る自分にとって良かったことなのか。

分かりやすくなったという意味では良かったかもしれない。そして“言い知れぬ恐怖”から相当解放されたともいえるわけで。

つまり先の問いを言い換えれば、“言い知れぬ恐怖”が軽減されることが、この映画を観る自分にとってはたして良かったことなのかという問いになる。

答えはもう言わずもがな、明らかにこの映画にとっても自分にとってもマイナスだと思う。

“ならず者国家アメリカの狂気”以外にも様々なメタファーが収束されたものが自分の“言い知れぬ恐怖”につながっているのだとすれば、完全版ではそれはならず者国家アメリカの狂気ただ1本に収束されてしまうわけで、そこに何の様々な意味も見出すことは不可能になるばかりか恐怖さえ感じなくなってしまう。カタツムリは星条旗の上を這っていた、ということになってしまう・・・。

これじゃあ自分の生存本能は安泰だわな。言い知れぬ恐怖にえぐられることもない。

でもそれでいいのかということになると、やはりマイナスっしょ。

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追記(※) 作り手の苦悩とは何かといえば、“イカレる”“不健全”⇔“正気”“正常”の間で作り手自身がブレていることではないだろうか。

まま偽善的倫理がまかり通る戦争というフィルターを通してみたとき、一体何が正気といえるのか何が狂気なのか作り手自身がその狭間で揺れてブレているということになる。

この場合作り手は「彼らの偽善的倫理を超えたところにいる」というカーツにはなれなかったわけだ。実はカーツもそんなところには辿りつけていなかったらしいことがラストの台詞で示されるのだが・・・。

その意味でいえば報道カメラマンのD.ホッパーがカーツのことを「苦悩に引き裂かれた男」と言ったのは非常に示唆深い。

完全版ではそれらをアメリカという国家自体が狂っているということで言いくるめてしまっているだけだ。

映画の中に作り手の姿がダブって見えてしまう怖さ。

完全版にはそれがない。

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タクシードライバー

Mp090出演:ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ジョディ・フォスター

監督:マーティン・スコセッシ

(1976年・アメリカ・114分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

 

内容:不眠症のためにタクシー運転手になったベトナム帰還兵トラヴィスは、夜の街を流して走っているうちに、堕落した都会の恥部を目の当たりにして激しい怒りを覚える。また、選挙事務所で働くベッツィとデートにこぎつけるも、彼女をポルノ映画観に連れて行ったため、あっさりと振られてしまうトラヴィス。孤独と不安、そして苛立ちから彼はついに大統領候補の暗殺を企てるが・・・。カンヌ国際映画祭で作品賞。

“よい子のみんなは部屋を明るくしてTV画面から5メートル離れた上で防毒マスクをつけて見ましょうね。”

マンホールの蓋から吹き上がってくる白い蒸気のごとく、タクシーの後部座席から湧き上がってくる猥雑な街のにおいとトラヴィスの身体から放たれる病的な異臭(彼にとっては正義のヒーローのにおい)が、画面から漂ってきて鼻につく。

はっきりいって不快です(笑)。

しかし、フィルムににおいを焼き付けるというのはすごい芸当であることには違いない。

バーナード・ハーマンの音楽がそれに一役買っていたのも特筆に値するし、デ・ニーロはもとよりハーヴェイ・カイテルやジョディ・フォスターの大物ぶり、そしてなによりもスコセッシの偏執的なハンドルさばきがトラヴィスのモヒカンよりなにより印象に残ったのは言うまでもない。

しかし、徐々に狂気を帯びていくトラヴィスの異常な精神状態は、現代版ノーマン・ベイツ(ヒッチコックの「サイコ」)を想起させたけど、ベッツィとの初デートでポルノ映画→彼女嫌がって席を立つ→彼女は冷たくてよそよそしい人なんだ→地獄へ落ちてしまえって、この思考回路はいったい何なんだw

なんだかアキバで刃物振り回して無差別殺傷した男を思い出しちゃうんだけど、常人では理解できないし、このシーン以降、この映画に対する自分の立ち位置がわけ分からなくなってしまったのも確かだ。

半分コメディとして見ていたような、そんなかんじになってしまった・・。

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ザ・マスター

Poster出演:ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ローラ・ダーン、アンバー・チルダーズ、ジェシー・プレモンス

監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン

(2012年・アメリカ・138分)WOWOW

 

内容:海兵隊員として第二次大戦に従軍したフレディは戦後、アルコール依存を抜け出せず、トラブルを繰り返しては職場を転々とする日々を送っていた。そんなある日、酔っ払っていたフレディは、港でふらりと忍び込んだ客船で“ザ・コーズ”という新興団体を率いる“マスター”と呼ばれるリーダー、ランカスター・ドッドと出会う。意外にも意気投合した2人はその後行動を共にしていくが・・・。

評価★★★/65点

どういう言葉で形容すればいいのか正直分からないんだけど、1段次元の異なるあちらの世界に逝ってしまった映画を久々に見た気がする(笑)。

次元の違うあちらの世界というのは、要するにマーケティングや観客に全く媚びず、映画という魔物に取り憑かれたかのように自分の撮りたいもの描きたいものに一心不乱に徹したストイックさが異様なレベルで体感できる映画といえばいいだろうか。

コッポラの「地獄の黙示録」とかマイケル・チミノの「天国の門」、またデヴィッド・リンチやキューブリック、テレンス・マリック、ロバート・アルトマンの一連の作品群が挙げられるけど、PTAもその領域に足を踏み入れたかんじ。

ただ、往々にしてこのての映画って小難しくて映画のハードルを超える前に挫折してしまうことが多いんだけど、今回も御多分にもれず

戦争でPTSDになった迷える子羊と宗教団体のカリスマ教祖の心の交流を描きながら結果、本質的には誰ともつながり合えないという残酷な事実を描き出している映画だと一応は見たけど、はっきりいってよく分かんなかったw

ただ、ストーリーはともかく、その美的センスに圧倒される映像美と、ホアキン・フェニックスとシーモア・ホフマンの圧巻の演技対決によって強引に見せ続けられたかんじ。

そういう意味では、これは久々にヤバい映画だぞ!と思いながら見ていたのだけど、何がヤバいんだかよく分からなかったのがまたゾクゾクして。ってオレは一体何を言ってるんだ(笑)。

まぁ、いずれにしてもPTAの映画は今後かなり身構えて見ていかないとダメだな

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渇き。

T0018159q2出演:役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、清水尋也、二階堂ふみ、橋本愛、國村隼、青木崇高、オダギリジョー、中谷美紀

監督:中島哲也

(2014年・日本・118分)WOWOW

内容:妻の不倫相手に対し傷害事件を起こして退職し、離婚もして荒んだ日々を送っている元警官の藤島は、別件の殺人事件の参考人として後輩刑事・浅井の監視下に置かれていた。そんなある日、元妻から17歳の娘・加奈子が失踪したとの連絡が入る。しかも残されたカバンからは薬物が見つかったという。藤島は何かに取り憑かれたように加奈子の行方を追うが、交友関係を辿っていくうちに、優等生で学園一のマドンナだとばかり思っていた娘の隠された一面が暴かれていく・・・。

評価★★/40点

映画のつくりとしては、失踪した娘・加奈子を父親が捜し回るうちに知られざる娘の裏の顔があらわになっていく現在パートと、その3年前に加奈子に一途な想いを抱いていた同級生の男子が加奈子にめちゃくちゃにされていく過去パートが交錯して描かれていくのだけど、これがまぁ被写体のドアップを基本視点にクロスカッティングやらカットバックやらフラッシュバック、はたまたフラッシュフォワードに至るまで事細かに多用。しかもこれといった説明もないその短いインサート映像しか伏線として頼るべきものがないという極めて不親切なつくりになっている。

それゆえ、おつむの弱い自分には生々しい暴力とグロさしか残滓として残らない極めて痛い映画となってしまった。

父親のリアルと娘のリアルがむなしくすれ違うことで、繋がりという土台が崩れかけている砂粒化した現代人の孤立感を深く浮かび上がらせようとしたのかどうかは知らんが、どちらにもリアルを感じられないのだからどうにもならない。

実際、感情移入できる人物が誰一人いないのは問題で、加奈子の復讐劇という顛末をもってしても加奈子にすら感情移入できないし、人間の中に潜む内なる二面性をクローズアップするというテーマ性をもってしても内面描写の掘り下げが皆無なのでこれまたホントにどうにもならない・・。

後味の悪さ含めて、これだけ悪意のある映画は久方ぶりに見たな。。

2015年10月21日 (水)

夢のシネマパラダイス222番シアター:ウソは生き抜くための芸術品!?

ユージュアル・サスぺクツ

Pya03_2出演:ガブリエル・バーン、ケヴィン・スペイシー、スティーヴン・ボールドウィン、チャズ・パルミンテリ、ケヴィン・ポラック、ピート・ポスルスウェイト、ベニチオ・デル・トロ

監督:ブライアン・シンガー

(1995年・アメリカ・105分)

評価★★★★★/100点

内容:コカイン密輸事件の陰で集められた5人の犯罪者たちと、それを追う捜査官の姿を描いたクライム・ミステリー。ある夜、コカイン取引き現場の貨物船が大爆発し、27人が死亡、大量のコカインと9100万ドルが消えるという事件が起きた。捜査官のクイヤンは、現場でただ1人生き残ったヴァーバルを尋問。ヴァーバルは、事件の黒幕が伝説のギャング、カイザー・ソゼで、彼が襲撃の実行犯として5人の犯罪者を集めたと語り始める・・・。

“映画を観つづけていく指標”

映画が好きになる端緒になったのが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「インディ・ジョーンズ」であるとすれば、週1必ずレンタル屋に行くルーティンワークを定着させるきっかけになったのが「ゴッドファーザー」(1972)と「スティング」(1973)だ。

そして映画なしでは生きられない体質にさせてしまった映画が、この「ユージュアル・サスペクツ」なのだ。

当時高校生だった自分は、この映画を観終わるやいなや親や友達、恋人にあたりかまわず薦めて、一緒に観て驚愕のラストの反応を脇で眺め、そうだろそうだろスゲェだろと一人ニヤケていたのを今でも覚えている(笑)。

とにかく誰かにこの興奮を伝えたくて伝えたくてタマらなくなった最初の映画でもあったわけで、間違いなく自分の中で殿堂入りしている映画といっていい。

二転三転するプロット、ドッヒェーと驚くどんでん返しのラスト、そしてそれとともにドミノ倒しのごとくそれまでの伏線や暗示が一気に答えにつながるカタルシスと快感を味わえるという点では、「スティング」の系譜に連なる映画といえるけど、この「ユージュアル・サスペクツ」が映画史に残る1回限りの大ウソにダマされる快感であるとすれば、ちょうど同時期に公開された「セブン」では、あまりにも理不尽な絶望のラストが同じケヴィン・スペイシーによってもたらされることになる。

さらに「ゲーム」(1997)における全く先の読めない展開と、開いた口がふさがらなかった幸福のどんでん返し、そして「シックス・センス」(1999)のトンでもない秘密と系譜は続いていくわけだけど、「ユージュアル・サスペクツ」ほど純粋にダマされた、シマッタァァ、、と思った作品はない。

たぶんこういう映画にまた出会いたいがために、自分はこれからも映画を観つづけていくのだと思う。

カイザー・ソゼに再び出会うために・・・。

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スティング

20051003220003 出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ロバート・ショウ、チャールズ・ダーニング

監督:ジョージ・ロイ・ヒル

(1973年・アメリカ・129分)

評価★★★★★/100点

内容:「明日に向って撃て!」の監督・主演トリオが再び組み、アカデミー作品・監督賞など7部門を獲得。全体を7章に分け、それぞれに本の扉のようなタイトルを挿入したクラシカルな構成、当時のファッションを念入りに再現した衣装デザイン、ラグタイムピアノをアレンジした音楽など、古き良き時代の雰囲気に満ちたノスタルジックなスタイルが特色の娯楽映画の傑作。

シカゴの下町を根城にケチな詐欺を働いていたフッカーら3人組のチンピラは、大組織の手下と知らずに1人の男をカモって大金を手にする。怒った組織はリーダー格のルーサーを殺害。ルーサーの親友ゴンドーフを頼ったフッカーは、ルーサーを殺したのが大親分のロネガンだと知るやゴンドーフとともに復讐を計画する。ゴンドーフは昔の詐欺仲間を集め、競馬のインチキノミ屋を開いてロネガンから50万ドルをだまし取る計画を練る。。。

“とどめの一撃!ヤラれた!イッた!ヌケる!鮮烈!快感!失神!オシャレな最強絶頂計画全7コース(前説付き)3800円!レンタル体験コースも実施中!”

ダマされたと思ってご購入下さい。

なんてったって映画というものにのめり込むきっかけになったのがこの作品ですから。

「スティング」と「ゴッドファーザー」。

自分の生涯ベスト1です。

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アメリカン・ハッスル

Poster2出演:クリスチャン・ベイル、ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・レナー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンス、マイケル・ペーニャ、ロバート・デ・ニーロ

監督:デヴィッド・O・ラッセル

(2013年・アメリカ・138分)WOWOW

内容:ハゲ頭のセットに余念がない中年親父アーヴィンは、愛人シドニーと詐欺を働いていたが、ある時ついに摘発されてしまう。ところがFBI捜査官リッチーは司法取引として、カジノ建設に絡む政治家の汚職を暴くための捜査協力を2人に迫ってきた。そして市長を狙ったおとり捜査が開始となったが、アーヴィンは別居妻ロザリーとシドニーの間に挟まれ右往左往。さらに、リッチーがシドニーにベタ惚れしてしまい・・・。

評価★★★/60点

ダマしダマされの痛快な犯罪サスペンス劇であるコンゲーム映画を思わせるストーリーライン、アクの強い個性的なキャラクター、脂の乗り切った演出術、とそれぞれの要素は最高なのに、それらが面白さに全く繋がっていかない作劇に心底驚いた(笑)。

話の本筋はFBIと詐欺師がタッグを組んでカジノ利権に群がる汚職政治家とそのバックにいる大物マフィアを出し抜いて検挙することなんだけど、出し抜く側の捜査チームが一枚岩ではないことと、真っ黒だと思われていた市長(ジェレミー・レナー)が実はクリーンな善人だったことが話をややこしくしているんだよね。

特に前者については、そもそも上から目線で無理難題を吹っかけるFBIとそれに従うしかない詐欺師の危うい信頼関係があるところに、さらにハゲ詐欺師(クリスチャン・ベイル)&セクシー愛人(エイミー・アダムス)&チリチリ頭(ブラッドリー・クーパー)の三角関係と、ハゲ詐欺師&セクシー愛人&バカ妻(ジェニファー・ローレンス)の三角関係がダブルで加わって、そっちの方が本筋よりも本筋になっちゃってw、要するに命をかけた危険なおとり捜査の緊迫感を惚れた腫れたのグダグダ感が相殺してしまい、カタルシスの欠片もなくなっていき・・。

さらに市長が真っ当なシロだったことで、生き残りをかけた詐欺師の矛先がFBIに変わるオチも唐突でカタルシスはもはやゼロ。

もうこうなると役者陣の演技合戦しか見所がないよねっていう・・。まぁ、それで元は取れるっちゃあ取れるし、エイミー・アダムスの半チチ丸見えファッションは目の保養になったし

でも、アカデミー賞10部門ノミネートという勲賞を期待して見ると、正直肩すかしだよなぁ~。。

って、無冠だったのね。納得ww

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レインディア・ゲーム(2000年・アメリカ・104分)WOWOW

 監督:ジョン・フランケンハイマー

 出演:ベン・アフレック、ゲイリー・シニーズ、シャーリズ・セロン

 内容:クリスマスに起こったカジノ襲撃事件。犯人は射殺されたが、全員が殺されたわけではなかった。生き残ったのは3人。いったい誰が誰を欺き、誰と誰が憎みあっているのか?複雑に絡み合う人間関係とドラマが繰り広げられるサスペンス。

評価★★/40点

何なんだこれは。。出てくる奴みんな低脳。コメディとしても見れないという救いようの無さ。

ヌードになる価値があるのかいシャーリズさんよ・・。

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コンフィデンス(2003年・アメリカ・97分)WOWOW

 監督:ジェームズ・フォーリー

 出演:エドワード・バーンズ、レイチェル・ワイズ、アンディ・ガルシア、ダスティン・ホフマン

 内容:詐欺師のジェイクが奪った金は、暗黒街の大物キングのものだった。ジェイクは穴埋めのため別の詐欺計画を練るが、新たに女スリ師やFBI捜査官も登場し、二転三転の騙し合いが始まる・・・。

評価★★/40点

詐欺というかパクリというか盗用というか三番煎じというか盗作というか、、、ようするに訴えたら勝てるんちゃう。「スティング」からのまんま盗用だろこれって(笑)。

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パーフェクト・ストレンジャー(2007年・アメリカ・110分)CS

 監督:ジェームズ・フォーリー

 出演:ハル・ベリー、ブルース・ウィリス、ジョヴァンニ・リビシ、ゲイリー・ドゥーダン

 内容:毒薬で殺害された幼なじみのグレースの殺人事件を追う女性記者のロウィーナ。彼女は、グレースが出会い系サイトで知り合った広告業界の大物ハリソン・ヒルと不倫関係にあったことから、ヒルに疑いの目を向けるが・・・。

評価★★★/60点

<ラスト7分11秒、衝撃の事実にあなたは絶対ダマされる>というキャッチコピーからして胡散臭いものがあるけど(笑)、微に入り細をうがつような伏線を描いてこそ、その強弁も生きてくるだろうに、故意にそれを描かない中で豪語するんだから、ただのタチの悪い誇大広告でしかない。

たしかにラスト7分11秒までは真相が分からないんだけど、何度も言うようだけど、これといった伏線を描かないのだから当たり前なわけで、そんな中でネタばらしされても何のダマされた感も沸かないし、ただストーリーを追うことしかできない映画としか言いようがないっしょ。

そこに何の面白味も見出すことができない中で、ハル・ベリーのお色気しか印象に残らないという・・。まぁ、その目の保養にプラス1点なんだけど(笑)。

2015年10月14日 (水)

夢のシネマパラダイス14番シアター:言の葉の庭

言の葉の庭

16629声の出演:入野自由、花澤香菜、平野文、前田剛、寺崎裕香、井上優

監督・脚本:新海誠

(2013年・日本・45分)DVD

内容:梅雨時の6月。タカオは靴職人になる夢を持つ高校1年生。雨の日の1時間目は学校をサボって、新宿御苑の東屋で靴のデザインを描いている。そんなある雨の日、タカオがいつもの場所に行くと、缶ビール片手に佇んでいるスーツ姿の女性ユキノと出会う。どこかで会ったことがあるような気がするも思い出せないタカオだったが、その後2人は雨の日にだけそこで顔を会わせるようになる・・・。

評価★★★/60点

前作、ジブリのパクリでさえ物語ることができないことをさらけ出した新海が長編に見切りをつけ短編で勝負を挑んできたのは切に正しい。

風景描写がいの一番で、そこにモノローグと音楽をかぶせてくる独特の作劇は長編を回していくには弱すぎるからだが、今回はその作劇を思う存分炸裂させたかんじ。特に雨、緑、風、光、空、雲、水辺などの自然描写は息を飲むほどの描写力で、言葉や音楽が無意味に思えてしまうくらい。

もともと無機質な人工物に美的な憧憬といった意味を持たせて描き込むのが上手いのはこれまでの作品で分かっていたことだけど、今回は都市風景と自然風景が見事にあいまって情感たっぷりに迫ってきて、全てのシーンを壁紙にしたいくらいw

しかし、ストーリーラインは相も変わらずの中二病で、自分と同じ年代の男がよくもまぁこんな小っ恥ずかしい話をいまだに意気揚々と語れるものだと逆に恐れ入っちゃうんだけど、、だって雨宿りをきっかけにキレイなお姉さんと恋を育むって、まんまじゃん(笑)。

もうどこまでも青クサくて感情移入すらままならなかった・・・。

そもそも冒頭のタカオのモノローグからしてすでにダメ。制服のすそを濡らす他人の傘、誰かのスーツに染みついたナフタリンの匂い、、子供のころ空はもっとずっと近かった、だから空の匂いを連れてきてくれる雨は好きだ、っていうこの15歳の感性が妙に癪に障る

で、学校の教室で、靴職人になるためには僕はこんなことをしている場合じゃないんだと焦燥にかられるって、ここも癪に障るポイントなんだけど、例えばこれ見て真っ先に思い浮かべた「耳をすませば」の天沢聖司はヴァイオリン職人を目指すために中卒でイタリアに渡る決心をするけど、彼の場合は祖父や周りの人々とのつながりがしっかり描かれているし、家族の大反対があったとも言っている。

一方タカオは、人とのつながりが家族含めて希薄で自分の中にため込んでいるだけなので、結局なんでそんなに靴職人になりたいのかっていう描写が決定的に弱いんだよね。楽しそうに見えないっていうか。で、ひとりで思い詰めてるわけでしょ。伝わってこないんだよねこれじゃ。。

あと、さらに決定的だったのがユキノさんの弁当に勝手に手伸ばしておかずパクるって、絶対ありえないでしょ(笑)。了解も得ずに他人の弁当に箸を突っ込むなんて、ほんとドン引きしちゃったんだけど。

まぁ、要するにやはりモノローグの多さというのがさっきも言った自分の中にため込むだけという部分にもつながって、ただウザったいだけで共感ポイントがほとんどないんだよね。さらに、タカオばっかりダメ出ししたけど、ユキノ先生も年の割りに幼くて、まぁそれは新海誠の妄想力の幼さに通じるんだろうけどさ。。

とにかく絵面は一級品なんだから、もうちょっとこちらに想像させてくれる余地を残してもらいたいものだな。

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耳をすませば

114945_01声の出演:本名陽子、高橋一生、立花隆、室井滋

脚本:宮崎駿

監督:近藤喜文

(1995年・東宝・111分)

評価★★★★☆/85点

内容:読書好きの女のコ月島雫は、ある日図書館で借りた本の貸し出しカードに「天沢聖司」という名前を見つける。そして注意してみると自分が読む本には必ず先にその名前があることに気づく。雫は顔も名前も知らないその名前に胸をときめかせていくのだった。そんな夏休みのある日、雫は1人の少年と出会う。

“高校生の時、人目をはばかることなく女友達から原作マンガを借りて堂々と読んでいたことがある・・・。”

いや、それだけではない。大学生の時なんか、狙っていた女のコに家に誘われてヨッシャ!と戦闘態勢を整えて彼女の部屋に突入していったら、「アタシ、ジブリの耳をすませば借りてきたから一緒に見よッ」と言われイヤイヤ見ているうちに、あろうことかエロ心が浄化されていくと共に純な男に変容していき、その後何事もなく2人でマタ-リ過ごしたことだってあるのだなんじゃそりゃ。

そして毎回見るたびに雫と聖司の青空のように純粋な恋に人知れず憧れている自分がいるのだ。そして、雫みたいな奴もイイなと妄想してみたりするのだ

が、しかし、社会人になってそういう女子とめぐり合ってしまった。

同じ会社に新入社員として入った同期のコ。電車に乗ってて猫が入ってきたら、「ネコちゃんネコちゃんどうしたの?」なんて平気で言ってそのネコについて行くであろう恐るべき女。

かくして憧れは吹き飛んだ。

オカシイ、やっぱりオカシイぞこの人。他人とは異なるもの凄い感性を持っているのだ。ゴメン、自分ついて行けませんでした・・。

が、しかし、この映画を嫌いにはならないのだ。

雫と聖司が夢に向かって頑張っている姿を見るとオレもやるぞーーーっという気持ちにさせてくれるのだ。

それで、いいのだww!!

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猫の恩返し(2002年・東宝・75分)銀座ガスホール

 監督:森田宏幸

 声の出演:池脇千鶴、袴田吉彦、前田亜季、山田孝之、佐藤仁美、丹波哲郎

 内容:女子高生のハルは憧れの男子が他の女子とイイかんじになっているのを目撃したりと最近何かと落ち込むことばかり。そんなある日、ハルはトラックに轢かれそうになった1匹の猫を助けた。しかし、その猫が“猫の国”の王子ルーンだったことから、ハルはお礼として猫の国へと招待される・・・。

評価★★/40点

おい、ちょっ待てよ、待てって、、おい待てよっ!と思う間もなくこちら側を置き去りにしたまま勝手に独走していってしまうトンだジブリ映画。タヌキよりもタチが悪いww

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未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~

1 出演:松下奈緒、竹財輝之助、原田泰造、西田尚美、関めぐみ、松坂慶子

監督:蝶野博

(2007年・松竹・115分)WOWOW

内容:大学時代のサークルで知り合い恋に落ちた宮本さやかと福島慶太。順調に交際を続ける2人の愛は、慶太が尊敬する建築家・ガウディを生んだ情熱の国スペインへの卒業旅行で沸点に達する!卒業後、さやかは印刷会社でOLをしていたが、雑誌編集者になる夢を叶えるために転職。が、同じ頃、建築家を目指す慶太がスペインに赴任することになり、2人は別々の道を歩むことを決断する・・・。

評価★★★★/75点

新海誠が好きそうな映画だなぁ(笑)。

学生生活、バイク、プラトニックな恋愛、夢追い人、、、なんつー陳腐この上ないお約束映画だろう。

って、大っ好きです!ジャーーン

こういうオーソドックスで最高に幸せな恋愛映画って邦画でもTVドラマでも最近お目にかかることがなくなっていたので、逆に新鮮だったのかもね。

しかも、劇中ラブシーンどころかキスシーンさえなくて、あな珍しやと思ってたら、ラストの結婚式できやがった。クゥ~~~ッ。。上手い!

んで、この結婚式で、慶太の男友達が号泣してんのね(笑)。

最高にイイ奴。最高にイイ上司。最高にイイ家族。そして最高にイイ松下奈緒。友情、恋愛、親子愛に彩られた幸せめぐり三昧に素直に心打たれますた。

オイラも幸せになりてぇーーっ。(-人-)・・・†アーメン

夢のシネマパラダイス478番シアター:許されざる者

許されざる者

Mv705_1_f265400出演:渡辺謙、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、近藤芳正、國村隼、滝藤賢一、小澤征悦、三浦貴大、佐藤浩市

監督:李相日

(2013年・日本・135分)WOWOW

内容:明治維新から10数年経った1880年の北海道。かつて人斬り十兵衛と恐れられた旧幕府軍の殺し屋・釜田十兵衛。彼は落ちのびた最北の地で所帯を持ち農夫として暮らしていたが、3年前に妻を亡くし、残された2人の娘との生活は極貧の有り様。そんな時、昔の仲間だった馬場金吾が現われ、賞金首の話を持ちかける。もう人殺しはしないという亡き妻との約束を心に留める中、十兵衛はその話に乗るのだが・・・。クリント・イーストウッドが監督・主演したアカデミー賞受賞作のリメイク。

評価★★★★/75点

はたしてイーストウッド西部劇を時代劇としてリメイクしたらどうなるのか。

昔は黒沢映画の「七人の侍」や「用心棒」が西部劇にリメイクされたけど、今回はその逆、しかも「用心棒」のリメイク版「荒野の用心棒」で主役を張ったイーストウッドの作品ということで、歴史がひと回りしたんだなと感慨深くなった。

そして、そのバトンを受け継いだのは李相日。

ロマンや勧善懲悪とは一線を画すリアリストで、清濁のきれいごとではない荒んだ負の部分をしっかり描ける骨太演出が真骨頂の正統派監督だけに、三池崇史のスキヤキ・ウエスタンジャンゴのようなハチャメチャな娯楽映画にはなりようがないなと安心できる人選w

しかも、前作「悪人」では人間の奥底にある善悪のあやふやさを描き出していて、これは「許されざる者」に通底するテーマでもあり、李相日にとってはチャレンジ精神を大いにかき立てられる企画だったに違いない。

そしてその大胆な挑戦は、借り物ではないれっきとした日本映画として見事に結実していたように思う。

なにより北海道という大地がこれほど和風西部劇にマッチしているとは思いもよらなかった。まるでダンス・ウィズ・ウルブズに出てくるサウスダコタの平原かと見まがうばかりで、まさに目からウロコだったけど、本場西部劇のドライな風土とは異なる日本ならではのウェットな気質が反映されていたのはまた趣が違って面白かった。

陽気な空っ風に巻き上がる砂じんではなく陰うつな寒風に粉雪が舞う北の大地、そこはあくまでも“辺境”であり、そこに赴任するということは“左遷”を意味することは自暴自棄になっている警察署長(佐藤浩市)をみれば分かる通り。さらに、「賞金を元手に石炭でひと山当てるという話はウソで自分には行く場所がもうない。」という金吾(柄本明)の告白は決定的で、そこには無限の可能性を持ったフロンティアスピリットなど欠片もないことが明示される。

まさにそこは本土では生きていけない逆賊、敗残者、行き場のない人々がいやいや流れ着いた最果ての地なわけで、北海道=蝦夷地のもつ歴史性がイーストウッドのオリジナル作にはない閉塞感を醸成している。

しかし、アメリカの西部開拓史が先住民を暴力で駆逐し、土地を奪い取っていった暗黒史の一面を持っているように、蝦夷地開拓もアイヌ民族を迫害し駆逐していった歴史があり、その点をアイヌの血を引く青年・五郎(柳楽優弥)に仮託して描いているのも上手い。

総じて穴のないよく出来た作品だったと思う。

しいていえば、冒頭で佐藤浩市が森で熊と出くわす話を引き合いに出して、自分が殺されると分かれば人も獣も死に物狂いで向かってくると生存本能の強烈さを語っていて、死にたくない&生き残るためには何だってするという映画の開巻宣言と捉えたのだけど、そのわりにその点が思ったほどではなかったのは不満点だったかな。

結局、十兵衛も署長も自ら望んで彼岸に片足を突っ込んでいるようなキャラクターなので生きることに懸命じゃないんだよねw

少なくとも署長をその立ち位置に置いたのは失敗だったと思う。

その点では、死んだフリして生きるのはもう飽き飽きしたと吐き捨てる女郎や、初めて人を殺したことに後悔の念に駆られる五郎の方が生きることに執着しているわけで。一方、金吾は葛藤の末に脱落して去っていくけど、それはイコール生への執着からも脱落したことを暗示していて、あの後どこかで野たれ死にしたのではないかと思う。

そういう意味ではラストの十兵衛が涙をこぼしながら雪原を彷徨するシーンは強烈で、自分なんかは思わず仲代達矢が満州の雪原をひたすら彷徨し力尽きていく「人間の条件」のラストを想起してしまったけど、このラストになんか上手いこと言いくるめられてしまった感もするな

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夕陽のガンマン

5201 出演:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、ジャン・マリア・ヴォロンテ

監督・脚本:セルジオ・レオーネ

(1965年・イタリア・132分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:2人の賞金稼ぎ、モンコと初老の元南軍“大佐”は、凶悪な強盗殺人犯インディオを追いかけてエル・パソにやって来た。インディオの銀行襲撃を待ち伏せた彼らは、裏をかかれて逆にリンチに遭ってしまう。ようやく命が助かった大佐は、自分の弟を惨殺した犯人がインディオであることを知り、彼に決闘を挑む。。

“能ある鷹は爪を隠さない!”

この映画はどこからどう見たってモーティマー大佐が主人公だろう。

汽車の中で聖書を読んでいる登場シーンから、停車しないはずの駅で無理やり汽車を止めて悠々と馬で降りるシーン、そして街でお尋ね者を確実に仕留めるシーンとつづくオープニングは前菜からいきなり黒トリュフを使ってきやがったといってもいいくらい魅力満載なお腹一杯状態にさせてしまう。

そして猛禽類の風貌と、追う獲物は決して逃がさない鋭い眼差しに思わずゾクゾクしてしまうのだ。

さらに彼の秘められた過去と心の傷が明らかになってくるや、もうイーストウッドなんかどうでもよくなってくる。

そしてラスト、妹の思い出とともに響くオルゴール時計を耳に当てながらひたひたと夕陽に向かって去っていくモーティマー大佐の姿がなんとも印象的。イーストウッドの姿はもはやそこには、なかった。。

いやはや「夕陽のガンマン」という邦題はズバリこの映画の真実を見抜いていてよろし。

原題“For a Few Dollars More”はおそらく荒野の用心棒の原題“For a Fistfull of Dollars”からモジッたんだろうけど。金のために、というのはあまりにも味気ない。

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続・夕陽のガンマン(1966年・イタリア・155分)NHK-BS

 監督・脚本:セルジオ・レオーネ

 出演:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラック

 内容:お尋ね者の懸賞金をだまし取っていたジョーとテュコ。2人はある日、逃走中の強奪犯から20万ドルもの大金を奪う。だが、その金を狙ってセテンサという凄腕のガンマンがやって来て・・・。3人の男たちの虚々実々の駆け引きをユーモラスに描いた痛快ウエスタン。ちなみに原題は「いい奴、悪い奴、醜い奴」。

評価★★★★☆/85点

“実は「荒野の用心棒」よりも黒澤臭の濃度が高いセルジオ・レオーネのマカロニウエスタン集大成!西部劇史上最強のエンターテインメントだ!”

黒澤が娯楽作をつくる際に「カツ丼にカレーとソースをぶっかけて思いっきりかき込む」というコンセプトを提示したことは有名だが、この作品はまさにこのコンセプトを具現化した作品ではないだろうか。

質量ともに見どころ満載、善玉・悪玉・卑劣漢という3人のキャラクターの造形力の魅力も凄まじい。

ハゲタカそのものの鋭い目を持ったリー・ヴァン・クリーフにエンジェル・アイという名前を付けたのには度肝を抜かれるとともになんとも乙だなぁと感心したし、あとは特にイーライ・ウォラック。

あの汚っねえ歯を前面に出してくる笑顔の憎めなさといったら(笑)、ホントいい味出してる。黒澤映画に出てくるよね、ああいうストーリーの道先案内人キャラ。

そしてラストの衝撃の三角形には思わずめまいが・・・。

西部劇って、すぐに分かる定型パターンがあって、自分の中で西部劇を見るというのはある種のダルさとユルさとのお付き合いでもあったのだけど、この作品は180度違っていた。

倦怠とは無縁の最高エンタメだ。

もう、今の自分はぶっちゃけ首に縄を掛けられてもいい気分だね。誰か、椅子の足を銃で撃ってくれ!

エンニオ・モリコーネにも乾杯!

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アウトロー(1976年・アメリカ・137分)NHK-BS

 監督:クリント・イーストウッド

 出演:クリント・イーストウッド、チーフ・ダン・ジョージ、ソンドラ・ロック

 内容:南北戦争末期、たった一人で北軍に抵抗を続ける7丁の銃を持つ男がいた。妻子を北軍のゲリラに惨殺され、復讐に燃えるその男の名はジョージ・ウェルズ。北軍は彼にアウトローの烙印を押し、多額の賞金をかけた。賞金目当ての殺し屋たちが次々と狙ってくるが、ジョージは彼らを早撃ちで倒し、開拓者たちを見方につけて北軍部隊との戦闘を繰り広げる。。

評価★★★☆/70点

“旧来の伝統的な西部劇では決して描かれることはなかった人々を描くというイーストウッドの性格と作家姿勢が表れていてヨロシイ。”

妻子を殺された農夫の復讐劇でありながら、まるでドラゴンクエストのパーティのごとき疑似家族を呈していく不思議かつ温もりのある旅を描いていて、なかなか見どころの多い作品だったと思う。

しかも仲間になるのが、老インディアン、宿場で虐げられていたインディアンの女性、南軍ゲリラ、犯されそうになるソンドラ・ロック、あげくの果てに婆さんときたもんだ。

さらに、その彼らが一丸となって銃で闘う大団円もフツーなら非現実的なんだけど、そこまでのストーリーの転がし方だとか描写力といったイーストウッドの手腕に加えて、孤高のジョージ・ウェルズのキャラクターにも確かな説得力があって一気に見させてしまう。

いわば、それまでの伝統的な西部劇では決して描かれてこなかった人々を描いているという点でも新しいし、ガトリング砲をブッ放すところなんかはやはりイーストウッドの原点であるマカロニ・ウエスタンの系譜を見て取れるという点でも、それまでの西部劇とは異なる匂いのする映画だと思う。

奇しくも、同じ年にジョン・ウェインの遺作となった「ラスト・シューティスト」が公開されているが、いわばこの作品をもって西部劇のもつ神話性は消滅し、西部劇=時代遅れという図式が成立してしまった。

ジョン・ウェイン&ジェームズ・スチュワートの「リバティ・バランスを射った男」(1962)で、“西部は事実よりも伝説を選ぶ”というセリフが語られたのは有名だけど、西部劇のもつ伝説や神話性はアメリカン・ニューシネマの台頭で完全に打ち砕かれることになるのだ。

そういう観点でみると、イーストウッドの作る西部劇というのは、決定的にオールド・ウエスタンのノスタルジーに欠けるし、伝統的な西部劇の醍醐味とはやはり異なる味のする西部劇なのだと思う。

なんかこの映画のジョージ・ウェルズが16年経つと「許されざる者」のアウトロー、マニーに繋がっていくのかと思うと、それもまた感慨があっていいね。

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許されざる者(1992年・アメリカ・131分)DVD

 監督:クリント・イーストウッド

 出演:クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン

 内容:1880年のワイオミング。列車強盗や殺人で悪名を轟かせたマニーは、今では農場を営みながら2人の子供と静かに暮らしていた。しかし家畜や作物は順調に育たず、妻にも先立たれたマニーは、2人組の強盗にかけられた1000ドルの賞金を得るために一緒に組もうという若いガンマン、キッドの誘いにのり11年ぶりに銃を手にする。マニーのかつての相棒ネッドも加わり、3人は保安官ダゲットが牛耳る町へ足を踏み入れるが・・・。アカデミー作品・監督賞受賞。

評価★★★☆/70点

この映画が当時公開された時は高校に上がったばかりだったけど、今どき西部劇なんて古臭くない!?みたいな認識を持っていて、それはいわば水戸黄門みたいな型にはまった勧善懲悪を見てスカッとする感性はジジババ連中しか持ち得ていないと思っていた

しかし、ふたを開けてみると、主人公はジョン・ウェインとは程遠いかつての凶悪な無法者、対する保安官もゲイリー・クーパーとは程遠い権力欲の強い偏見に満ち満ちた人物で、単純な勧善懲悪から脱したあやふやな設定になっていて、一筋縄ではいかない作品になっていた。

イーストウッドはこの映画を“最後の西部劇”と銘打ったけど、実際のところは“現代の西部劇”と言った方が正確なのかもしれない。

加害者、被害者、傍観者みんな罪びと。それが如実に垣間見える今この時代だからこそ鋭い印象を残す映画になったのだと思う。

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