夢のシネマパラダイス494番シアター:しねまロボット大戦
リアル・スティール
出演:ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ、エヴァンジェリン・リリー、アンソニー・マッキー
監督:ショーン・レヴィ
(2011年・アメリカ・128分)WOWOW
内容:かつて将来を嘱望されていたボクサーだったチャーリー。しかし、時代は人間に代わって高性能のロボットたちによるロボット格闘技の時代に突入、戦う場所を奪われたチャーリーは人生のどん底にいた。そんな中、別れた妻が急死し、赤ん坊の時以来11年間会っていない息子マックスの面倒を見るハメになってしまう。当然2人の関係はギクシャクするのだったが、ある日、ゴミ置き場でスクラップ同然の旧式ロボット“ATOM”を発見し・・・。
評価★★★★/80点
昨今ガンダムがエライことになっている。
お台場に等身大立像がお目見えし、ガンダムのキャラをイメージした豆腐や車までできてしまった。
長く愛されすっかり社会になじんだ感のあるガンダムだけど、自分にとっては今に至るまでガンダムは縁遠い存在であり続けてきた。
それはある意味今までガンダムを敬遠しつづけてきたからといってもよく、つきつめていえばロボットの内部に人が乗り込んで操縦する形態に魅力を感じなかったというところに行き着くのかもしれない。
と、今回この映画を見てはじめて思った。
つまり、ロボット=兵器という扱いであり、そこに人格や個性は認められないというところ、強いていえば「エイリアン2」でシガニー・ウィーバーが乗り込むロボットや「アバター」で大佐が乗り込むパワードスーツ以上の役割を担っていないことに魅力を感じなかったのだと。
そして、やはりロボットであっても自立した自我=“心”を持ったロボットが好きなのだということに気付かされたわけで。
そう、まさに鉄腕アトムのような。
で、今回の映画のアトムである。
今回、映画に出てくるロボットたちはリモコンで動かす遠隔操作型で、アトムも最初はリモコンで動かしていたのだけど、途中でそれをやめ音声認識機能と人の動きを真似する形態模写機能(シャドウ)でやり、最終的にはシャドウだけで動かすことになる。
電子制御という束縛から解放され、よりスタイルフリーになっていくことで人間的に見えてくるところが巧いし、何度打たれても立ち上がる姿はもはやロッキーそのもの!また、マックスの真似をしてダンスを踊るシーンなんかを見ると無機質であるはずのアトムにも心があるようにすら感じてしまう。
あとはやはりボクシングに目をつけたのが白眉で、ボクシング映画十八番のアメリカンドリームで王道感を盛り立てるとともに、ロボットボクシングに取って代わられたためにボクサー廃業を余儀なくされたチャーリーとアトムが同化していくというのがなんとも上手い。
あと、父子愛という点で取りざたされる「チャンプ」のような悲壮感漂うお涙頂戴というより、茶目っ気たっぷりで陽気なスタイルだったのも見やすくて良かったかも。
まぁ、そんなつもりはなかったけど、いい映画の拾い物をさせていただきました♪
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パシフィック・リム
出演:チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊地凛子、チャーリー・デイ、ロブ・カジンスキー、ロン・パールマン
監督:ギレルモ・デル・トロ
(2013年・アメリカ・131分)WOWOW
内容:太平洋の深海から突如現れた巨大生命体“KAIJU(怪獣)”により滅亡の危機に瀕していた人類は、イェーガーと呼ばれる2人で操縦する巨大ロボットを開発した。しかしそれでもなお劣勢が続く中、かつて怪獣との戦闘で操縦パートナーの兄を失いパイロットを引退していたローリーが最終決戦のために復帰を決意する。彼と新たに組むのは、幼い頃に家族を失った復讐に燃える日本人モリ・マコだった・・・。
評価★★★/65点
マジンガーZからエヴァンゲリオンに至るまで日本のロボットアニメのエッセンスをそのまま濃縮したようなクオリティで実写化してしまうハリウッドのクリエイティビティには今さらながら驚愕してしまう。
メカニックデザインはもとより最も驚かされたのはロボットの圧倒的な重量感で、例えばスケートのような滑らかな動きをするトランスフォーマーにはどこか二次元的な軽さがあったのに対し、今回のイェーガーには高さビル25階、重さ2千トンの巨大さを肌で感じられるような現実感があって見応えがあった。
が、、しかしである。
自分みたいにエヴァをちょいかじりした程度にしかロボットアニメに食指が動いてこなかったにわか者からすると、人物造形もそこそこに、のっけからロボットと怪獣のガチバトルに突き進んでいく作劇はイマイチ乗り切れず・・・。
また、視界不良の悪コンディションのオンパレードで目が疲れるのもマイナスだし、海上戦ばかりで地上戦が少ないのもダイナミズムが削がれて飽きてきたし・・。
まぁ結局、特撮が良くても肝心の人間ドラマがおざなりだとツマラないってことを肌で感じたな
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アイアン・ジャイアント
声の出演:ジェニファー・アニストン、ハリー・コニックJr.、ヴィン・ディーゼル
監督:ブラッド・バード
(1999年・アメリカ・86分)DVD
評価★★★★/80点
内容:嵐の夜、小さな村に空から鉄でできた謎の巨人が落ちてくる。記憶も言葉も失くした鉄人はやがて1人の少年と出会い、あたたかい友情を育んでいく。しかし、その鉄人の正体は異星人が戦争のために作り出した戦闘ロボットだった・・・。
“ロボットの悲しみは、人間の悲しみ”
片田舎の少年と鉄の巨大兵器ロボットのかけがえのない友情をコミカルに描いているだけでも十分面白い。
しかし、この作品が本当に心に残るのは、彼らが心を通わせていく過程を縦軸に、戦闘を宿命づけられたロボットの深い悲しみと、それを乗り越えてなりたい自分になるんだ!という意志の強さと心の素晴らしさを真摯に描き出しているところにあるからだと思う。
そして、ロボットが破壊の道具として使われることへの悲しみが、いわば自分たちの意志で、命を奪うための戦いという暴力にいわば永遠に憑かれてきた人間の凶暴性や悲しみさえあぶり出していく。
子供はもちろん、大人にも十分すぎるくらい伝わってくるメッセージとテーマを持っている作品だ。
悲劇的な美しさをたたえたクライマックスでのミサイル体当たりシーンから、思わず泣き笑いへと変化してしまう真のラストオチに本当に心の中が温かくなりました。
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ヤッターマン
出演:櫻井翔、福田沙紀、生瀬勝久、ケンドーコバヤシ、阿部サダヲ、深田恭子
監督:三池崇史
(2008年・松竹・111分)WOWOW
内容:4つ全部集めると願いが叶うという伝説のドクロストーンをめぐって繰り広げられるドロンジョ一味と、犬型の巨大ロボット・ヤッターワンを操るヤッターマン1号&2号の泥沼の争奪戦!
評価★★★/65点
最近カラオケのアフレコにハマッていて、その中にヤッターマンが入っているのだけど、そのシーンのほとんどはドロンジョ一味のもので、やっぱこのアニメの醍醐味はこの3人組がいかにいたぶられボロボロになるのかというサド的な快楽(?)にあるのだと実感したw
まぁ、このアニメは自分が生まれる1年前に放送されたので、リアルタイムでは見ていないのだけど、かなり小さい頃に再放送かなにかで見てはいて記憶の片隅にある程度。
でも、ドロンジョがやけにオッパイポロリしてたのは覚えてて・・
とまぁその話は置いといて、映画の方は、“ジャンボパチンコ”を“ジャンボ○チンコ”と読ませるような程度の低さで覆われているのだけど、ユルユルでナンでもありの作劇は決して間違ってはおらず、例えば福田沙紀のぞんざいな扱いなんかはよく分かっていらっしゃる。
映画のつくりとしては、それこそ「CASSHERN」とか「デビルマン」などとは一線を画するレベルにあるといっていいと思う。
その点では本気度の中に絶妙な遊び感覚を有する三池崇史の器用さとたしかな腕を感じさせるのだけど、それ以上に深キョン&生瀬&ケンコバ3人組のハマリっぷりが特筆もので、映画史に残る3バカトリオといってもよかったりしてw!?
それでもこの点数なのは、ぶっちゃけヤッターマンに思い入れがほとんどないっつーことで(笑)。
要はやはりこの映画はドロンジョ様に尽きるわけで、その中で乙女チックな深キョンも十分ハマッてるんだけど、見ていてイタくなってくる存在感てところまでは突き抜けていなくて、そういう意味では女性芸人で誰かおらんかったかなぁと思っちゃったんだけどw。。
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ロボッツ(2005年・アメリカ・90分)WOWOW
監督:クリス・ウェッジ
声の出演:ユアン・マクレガー、ハル・ベリー、ロビン・ウィリアムズ、メル・ブルックス
内容:小さな田舎町の貧しい家で、中古部品で作られて生まれたロボット・ロドニーは、発明家ビッグウェルドの「外見が何で作られていても、誰もが輝ける」という言葉を信じながら発明家になることを夢見る。やがて青年へと成長したロドニーは、大都会ロボット・シティへと旅立つが・・・。
評価★★★★/75点
3DCGアニメから鼻につく鉄サビの匂いが漂ってきたことだけでもこの映画を観た甲斐はあったというものだ。
ニック・パークのウォレスとグルミットみたくクレイアニメーションだったら満点だったけども、それでもロボットのボディに映る背景だとか光沢、陰影などの質感には目を見張るものがある。
物語の平板さにも思わず目をつぶってしまうくらいだ。
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鉄人28号
出演:池松壮亮、蒼井優、薬師丸ひろ子、香川照之、阿部寛、柄本明、中村嘉葎雄
監督:冨樫森
(2004年・松竹・114分)MOVIX仙台
評価★★/40点
内容:横山光輝の名作マンガ「鉄人28号」を最新のCG技術で実写化。サイバーテロに始まり、巨大ロボット“ブラックオックス”が東京を破壊する。小学生の正太郎は父の遺志を受け継ぎ、鉄人28号を操り悪に立ち向かう。
“平成「鉄人28号」に対する違和感”
自分は横山光輝の「鉄人28号」を知らないし、見たこともない。テレビでやってる懐かし映像で見かけた程度だと思う。
しかし、昭和31年という戦後復興著しい時代に連載された昭和を代表する人気ロボット漫画ということで、今回の映画はてっきり「ALWAYS三丁目の夕日」テイストの昭和ノスタルジーを背景に、昭和という時代を背負った鉄人28号がウガーッと仁王立ちする絵を勝手に想像していたのだが・・・。
フタを開けてみたら、、、へっ?何?平成なの?げ、現代ですか!?
おもわず面食らっちゃったんだけど。
で、率直な感想といえば、平成の世に鉄人28号を降臨させる意味が全く分からなかったということ・・・。
だって、やっぱ現代を舞台にするならば徹底的にリアリティを追求してくれないと、とどうしても思っちゃうわけよ。在日米軍がミサイルぶっ放すとか(笑)。
あるいは、横山光輝の原作では金田正太郎くんは少年探偵なわけだから、それこそ「スパイキッズ」ばりに徹底的に荒唐無稽なキッズアドベンチャーとして描いてくれればストンと納得できたのかもしれないけど。
その方が、年端もいかない少年が日本転覆を企むテロリスト相手に担ぎ出されるという、およそ現実味のない展開も気にならないだろうし。
ところが、この映画ははっきりいってリアリティと荒唐無稽なファンタジーとの狭間であっち行ったりこっち行ったりしていかにも中途半端なんだよね。
1番リアリティがあったのは鉄人28号vsブラックオックスのロボット対決だったと思うけど、ぎこちなくてぎこちなくて皮肉にも絵としては1番ツマラなかった・・。
だから、要は時代設定からして間違ってると思うんだ。やっぱ昭和3,40年代を舞台にしてやった方が良かったのでは。。
リアリティとファンタジーの狭間における中途半端さも昭和ノスタルジーというフィルターを通すことによって逆に味が出るわけだし。
あとは、やっぱねぇ、、旧日本軍の秘密兵器として開発された巨大ロボット・鉄人28号を少年探偵・金田正太郎がリモコンを使って操作する、、っていくら任天堂のWiiが売れてるからって平成の世にこの設定は合わないと思うし、あとは何よりも鉄人28号のもつ時代性なんだよね。
その時代を背負った象徴的な漫画キャラクターやアニメキャラクターってあると思うのだけど、鉄人28号はやはり昭和のキャラクターだと思うんだよね。
そういう点でも今回の映画にはスゴイ違和感を感じてしまったな・・・。
例えば平成のキャラクターであるエヴァンゲリオンを現代を舞台に実写化するっつうなら分からんでもないけどさ。
平成の世で「鉄人28号」は何を背負うのか・・・。
それが全く見出せなかったのはあまりにも痛い。魂が入っていない人形を見せられても何も感じない。
残念な作品だ。
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スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー(2004年・米/英・107分)DVD
監督・脚本:ケリー・コンラン
出演:ジュード・ロウ、グィネス・パルトロウ、アンジェリーナ・ジョリー、ジョバンニ・リビジ
内容:1939年のNY。科学者失踪事件を追っていたポリーの前に突然、巨大ロボット軍団が出現。彼女を救ったのは、元恋人で空軍のエースパイロット、ジョーだった・・・。世界征服の陰謀と闘う空軍パイロットの活躍を、CGのフル活用と多彩なキャストで、レトロ感たっぷりに描くSFアクション。
評価★★/40点
この映画から人物を全て取っ払ったCG全カットをオレにくれ(笑)!
イメージ先行型の映画だと思うけど、イメージにストーリーとキャラが埋没しちゃっている映画を見せられるのは、この上なくツマラナイし、不快で疲れる・・・。
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