夢のシネマパラダイス433番シアター:ALWAYS三丁目の夕日
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、三浦友和、薬師丸ひろ子、須賀健太
監督:山崎貴
(2005年・東宝・133分)MOVIX仙台
評価★★★☆/70点
内容:東京タワーが建設され始めた昭和33年、東京下町の夕日町三丁目。ある日、青森から東京に集団就職で上京した六子(堀北真希)は、就職先である町の小さな自動車修理工場・鈴木オートにやって来るが、あまりの零細会社に落胆の色を隠せない。一方、鈴木オートの向かいにある駄菓子屋の店主で、小説家を目指している茶川竜之介(吉岡秀隆)は、ひょんなことから、飲み屋の女将・ヒロミ(小雪)のもとに連れてこられた身寄りのない少年・淳之介の世話をすることになるのだが・・・。
“まるでフレームの枠のすぐ外から消臭スプレーを吹きかけているかのような無香空間=テーマパークで繰り広げられるちょっとイイ話に少し違和感を感じながら見てしまった。”
いや、実にイイ話なのだ。それはたしかだし認めるし、昭和50年代生まれの自分でも十分に感動できたし楽しめた。
しかし、それは何か心の中にドスッと落ちてくるようなリアリティのある類のものではなく、まるで、ちびまる子ちゃんやサザエさんでも見ているかのような、実写というよりはセル画の匂いと清潔感に近いレベルでと言った方が自分にはしっくりきてしまう。
嘘っぽいと思ってしまうまでには至らないが、50年前のあの時代にあった何か、貧相で醜い何か、を編集でバッサリいかさせていただきますというかんじで、臭いものに蓋をするみたいに何かがスッポリ抜け落ちているというふうに心のどこかで感じてしまっている自分がいた。
その時点でこれをファンタジーと割り切って見るのか、あるいは気持ち悪さを感じながら見るのか。自分はその中間あたりでなんとかバランスを保って見続けることができたのだけども。
この美化された風景、情景をそのまま素直に受け取れないほど、自分の生きてきた時代と自分自身が汚れと閉塞感と欺瞞の豊かさで満たされているのかもしれない。
とはいえ、蒸気機関車から降りてきた顔が煤で黒くなってるところとか、納豆売りとか氷屋なんて初めて知ったし、冷蔵庫が木でできているッ!とか昔ながらの看板のルーツとかすごい興味あったし、やっぱ純粋に見れってことなんだろうねw
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ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007年・東宝・146分)盛岡フォーラム
監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、薬師丸ひろ子、須賀健太、小日向文世
内容:昭和34年。鈴木オートでは、事業に失敗した親戚の娘・美加を預かることになるが、お嬢さん育ちの美加は庶民の暮らしになじめずに一苦労。一方、黙って去っていったヒロミを想いながら淳之介と暮らしていた茶川は、淳之介の実父である川渕(小日向文世)から息子を返せと何度も迫られていた。茶川は人並みの安定した暮らしをするために、芥川賞受賞を目指して執筆を始めるのだが・・・。
評価★★★/65点
前作の単なる焼き直しにしかすぎない手法にノレるかノレないかが評価の分かれ目だと思うけど、正直自分はキツかった。
芥川賞を目指す茶川(吉岡秀隆)と淳之介(須賀健太)の貧窮した暮らしぶり。そこに息子を連れ戻しにやって来る川渕(小日向文世)との養育権争い。ストリップ劇場で踊り子として働くヒロミ(小雪)と茶川の結ばれぬ!?恋。
鈴木オートに預けられるわがままお嬢さん育ちの少女・美加が直面するカルチャーギャップ。六子(堀北真希)と青森の幼なじみ・武雄(浅利陽介)の再会。則文(堤真一)と戦友の再会。トモエ(薬師丸ひろ子)と初恋の男性(上川隆也)の「君の名は」をほうふつとさせる再会etc..
と、ほとんど脈絡のない、なおかつこれ見よがしなベタエピソードが2時間半ギッシリと詰め込まれていて、それらをゴジラと夕日でサンドイッチした特大バーガー¥1800!
、、、が、全くお腹一杯にならないのが玉にキズ
実に甘ったるくてしらける味といえばいいだろうか、とにかくまとまりがなくてダレる。
どうせだったら、茶川と鈴木オートはバッサリいっちゃって完全なサブにして、別な三丁目の住人を主人公にして撮るとか、あるいは触り程度でしか描かれなかった戦争の傷跡や影といった記憶を大々的にメインストーリーに持ってくるとかすればよかったのに。
なのにそんなのカンケーねぇといわんばかりに、ご都合主義のオンパレード、あげくの果てにはホタルなんてもんをこれ見よがしに飛ばしてくる始末。。完全にパクリじゃん。
デリカシーないよ、この映画(笑)。。
山田洋次だったらこうは撮らないでぇ~。
冒頭のゴジラでつかみはOKだったのに、肝心の中身にグヮッとくるものがなかったのはツライ。
とにかく、この甘っさとヌルっさに純粋に涙を流せる人もいれば、しらけちゃう人もいると。
自分は完全に後者ですた・・・。
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ALWAYS 三丁目の夕日’64(2011年・東宝・142分)WOWOW
監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和、薬師丸ひろ子、須賀健太、染谷将太、森山未來、米倉斉加年
内容:昭和39年、東京オリンピック開催を控え日本中が熱気にあふれる中、三丁目の住人もどこか浮き足立っていた。茶川は結婚したヒロミとの間にできた子供がもうすぐ生まれるし、鈴木オートにはいよいよカラーテレビがやって来る。一方、高校生の淳之介は進路のことで、六子は恋愛で悩んでいた…。
評価★★★★/75点
今や日本映画の中でも数少ない人情喜劇として貴重なシリーズになった東京の下町物語。つくりとしては朝ドラの方に近いけど、そういう点では男はつらいよシリーズに変わる新たな看板を背負ってしかるべき作品だといえると思う。
まぁ、山田洋次が情緒ある日本の懐かしい原風景をリアルタイムで切り取ることができたのに対し、こちらはCGを駆使したヴァーチャルアトラクションで再現するしかないもの悲しさはあるものの、街と人にエネルギーがあふれている時代の空気はよく描けていたと思う。
敗戦から20年、どん底から戦後復興を果たし、高度経済成長へと突き進んでいく中で、鈴木オートを世界を股にかける大企業にするんだ!という豪語が決して夢物語ではないことを知っている我々にとっては、“未来への希望”という今の閉塞した時代にはないメンタリティを感じられてちょっと羨ましくなってしまった。
そのメンタリティとはつまり日本人がみんな上を向いて歩いていた時代の高揚感ともいえるけど、ブルーインパルスが青空に描いた五輪マークを人々が見上げるところは象徴的なシーンだったように思う。
また、希望をもって未来を切り開くというテーマに、六ちゃん(堀北真希)と淳之介(須賀健太)の成長と新たな巣立ちというプロットがものの見事にハマっていて共感しながら見れたのも前2作と比べて良かったし。
もうこうなったら70~80年代あたりまで変わりゆく東京とともに夕日町の住人を描きつづけていってもらいたいな。
個人的には新しく設置したコーラの自販機の横で見張りをしている氷屋のオッサン(ピエール瀧)が次はどうなっているのか楽しみ(笑)。
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