夢のシネマパラダイス87番シアター:インセプション
インセプション
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディ、キリアン・マーフィ、トム・べレンジャー、マイケル・ケイン、ピート・ポスルスウェイト
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
(2010年・アメリカ・148分)WOWOW
内容:コブ(ディカプリオ)は、他人の夢の中に潜入してその頭の中にあるアイデア・情報を盗み出すプロ中のプロ。そんなコブに、大企業のトップ、サイトー(渡辺謙)からある依頼が舞い込む。それはライバル企業の次期後継者の男の夢に侵入し、情報を盗むのではなく逆に植え付ける“インセプション”という困難なものだった。かつてない危険なミッションと自覚しながらも、コブはサイトーから提示された夢のような報酬を前にミッションに挑む決意をする・・・。
評価★★★★☆/85点
4回見た。
わけが分からなくて途中放棄して寝こけた1回目。もう1回チャレンジしようと手探りで見た2回目。難解な方程式をスラスラ解いたときのような快感に浸った3回目。
そして、4回目。愛する人となら地獄の底までついて行くという言葉を地でいくようなコブとモルの究極の愛に涙した。
50年間ただひたすら一緒に手をつなぎ合って過ごすことに没頭できるほどの2人の愛の深さ、そして線路に横たわって心中する2人の姿に戦慄にも似た憧れと畏怖の念を抱いた。
しかし、その50年が文字通り夢で一瞬にしてなかったことになってしまう儚さ、そして結局妻を自死に追いやってしまう残酷な末路がなんとも悲しい・・・。
そして、後悔と罪の意識、喪失感にさいなまれ、夜な夜な夢の世界に入り込み、妻との思い出に浸る夫の苦悩する姿と、恐ろしいまでの色気でまとわりついてくる妻の妖艶なまなざしが怨念のように脳裏に焼きついて離れない。
愛の悲しさ、せつなさ、美しさ、重さといった人が人を愛するということのどうしようもなさがこれほどまで胸に迫ってきた映画は他にはない。
夢の中の夢の中の夢の中の夢の中、、と夢の世界を階層化し、その階層の時間軸にズレをもたせたり、夢の中で死ぬことで目覚めるといった設定などSFゴコロをくすぐるような着想に心躍らされたところもあるけど、終わってみればコブとモルの愛の物語に心をわしづかみにされてしまった。
こんな愛のしがらみに自分もまとわりつかれてみたいゼww
最近ことに愛に餓えてるからなぁ、、ガクッ
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リアル~完全なる首長竜の日~(2013年・東宝・127分)WOWOW
監督・脚本:黒沢清
出演:佐藤健、綾瀬はるか、中谷美紀、オダギリジョー、染谷将太、堀部圭亮、松重豊、小泉今日子
内容:人気漫画家だった淳美は1年前に自殺を図り、昏睡状態に陥った。幼なじみで恋人の浩市にもその理由が分からない中、浩市は彼女を目覚めさせるために“センシング”という最新医療で彼女の脳内に入り込み彼女の意識とコンタクトを試みる。しかしそれは成功したものの、脳内で出会った彼女は子供の時に描いた首長竜の絵を探してほしいと頼むばかり。さらに浩市はセンシングの後遺症で、見覚えのない少年の幻影を見るようになる・・・。
評価★★☆/50点
気持ちの悪い映画だった。
まるで寿司屋に行ったらナポリタン巻きが出てきちゃったかんじ(笑)。
要は何を言いたいかというと、この映画に黒沢清はミスマッチだったのではないかということだ。
主役2人がテレビのバラエティに出て宣伝しまくっていた時点で妙な違和感を覚えてしまったのだけど、それは安易な商業主義とは一線を画す黒沢清が東宝のメジャー娯楽作を撮って大丈夫なのかという不安と重なったといってもよく、そしてフタを開けてみればそれはものの見事に的中してしまった。
仮想世界が現実世界に侵食してきて境界があいまいになるという今回のネタは、自分が見ている現実を現実だと信じることはできないという不安定な文(あや)無しの世界を描き続けてきた黒沢清にとって格好の題材だったことはたしかだと思う。
しかし、虚実あやふやな世界にばかり力点を置きすぎて、もう一方の現在と過去のミッシングリンクを埋めていく作業をおろそかにしたことが映画に対する足掛かりを失わせてしまった感は否めない。
「このミステリーがすごい」大賞の原作を大胆に脚色したということだけど、そこのバランスがとれていないため中途半端さが際立ち、悪夢的なツマラなさwにつながったのだと思う。
いや、、実際よく分からなかった(笑)。
島の廃墟の姿なんかは図らずも3.11を想起させたりして印象深かったけど、こちら側を不穏にさせるような不可知なイメージには乏しかったし、フィロソフィカルゾンビとやらもオーソドックスすぎてイマイチだったし。
そもそも天然素材の綾瀬はるかは明るすぎて黒沢映画には合わないと思うんだけど・・
贅沢すぎるキャスティングももったいないなぁという感が強かったし、う~ん、、ダメ
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エンジェルウォーズ
出演:エミリー・ブラウニング、アビー・コーニッシュ、ジェナ・マローン、ヴァネッサ・ハジェンズ、オスカー・アイザック、スコット・グレン
監督・脚本:ザック・スナイダー
(2011年・アメリカ/カナダ・110分)WOWOW
内容:愛する家族を奪われ、亡き母の遺産を狙う継父の陰謀で精神病院へと送られてしまった少女ベイビードール。彼女はそこで出会ったロケット、ブロンディ、アンバー、スイートピーの4人の仲間たちとともに自由を求めて、彼女の最大の武器にして最後の砦である空想世界へと飛び込んでいく・・・。
評価★★☆/50点
内容なんてあってなきようなもので、プレステのゲーム世界をそのまま移植したような脳内妄想が繰り広げられ、まさにハリウッド版紀里谷和明を見せられているかんじ。
ハッタリとノリだけで2時間付き合わされた気分は、、相当にダルイw
妄想の2段オチという多層構造は夢の無限オチの「インセプション」に通じるものがあると思うのだけど、妄想1段目=娼館でダンスをすると妄想2段目でバトルに突入するのはいいとして、肝心のダンスを一度も描かずバトル描写に終始するのはいただけない。
あるいは深読みするなら妄想1段目で行われているのはダンスではなくフツーに売春行為、なのかもしれないが。。
いや、単純にダンス撮れよー(笑)、、ってザック・スナイダーはそんなん全く興味がないわけね・・・。
はぁ~、とにかく疲れますた。。
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メメント
出演:ガイ・ピアース、キャリー・アン・モス、ジョ-・パントリアーノ
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
(2000年・アメリカ・113分)WOWOW
内容:妻を殺されたショックから、10分しか記憶を保つことができなくなったレナード。大事なことはペンとカメラ、そして刺青で記録し、彼は必死で犯人を捜そうとするが・・・。ラストシーンから始まりへ、時間を逆行させていく斬新な構成が話題をよんだサスペンス。
評価★★★/60点
筋が分かっている本を何度も読み返して面白いのか?
まともだった頃のレナードの回想シーンで、同じ本を何度も読みふけっている奥さんにレナードが問いかけるセリフだ。もちろんこの問いに対して奥さんは「面白いからいいの。」と答えている。
そりゃそうだ。忘れた頃にまた読み返してみたくなる本、あるいはまた観たいと思わせてくれる映画なんて誰だってあるはずだし、自分だって数えきれないほどある。
しかし、翻ってこの映画はどうだ。
筋は何となく分かる。でも、完結するどころか推測の域を出ない何通りもの答えが出てきちゃう映画というのはまだいいとしても、映画というものが本来持つべき“未来”が何にも提示されていないではないか。
これはつまり冒頭の問いにかけていえば、筋が分からない本を何度も読み返した方が面白いんじゃないか?ということを時系列をシャッフルすることで形にした今までにない実験作といっていいと思うんだけど、まぁこういう類の映画は個人的にはもう見なくていいかなぁ
記憶には謎と欠落が付き物で、それをテーマにした映画は妄想と現実、虚偽と真実、過去と未来などが交錯しサスペンスを盛り上げるので好きだけど、見てるこちら側の記憶までダイレクトに試される映画というのはたしかに今までなかった。しかもこっちに勝ち目が全くないというやり方で・・。
でも言っちゃえばただそれだけなんだよね、この映画って。その先がないわけだから。
なんだろ、こういう作り手側、いやもっと突きつめていけば監督しか満足し得ない、ひとりでにんまりほくそ笑んでいるようなマスターベーション映画見ると胸くそ悪くなってくるわけ(笑)。
しかも嫌らしいことに、この映画ってスターウォーズでいえば第2部のエピソード2みたいなところに当てはまるわけじゃない。ズルいよ(笑)。
そう、結局1番言いたいのはそこなの。この映画はズルいってことww
だからといって第1部に当たるものは別に見たくはないんだけどさ・・
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