お気に入り

最近のトラックバック

« 2015年7月 | トップページ | 2015年9月 »

2015年8月30日 (日)

夢のシネマパラダイス433番シアター:ALWAYS三丁目の夕日

20060806b000epe77s_09__ss500_sclzzz 出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、三浦友和、薬師丸ひろ子、須賀健太

監督:山崎貴

(2005年・東宝・133分)MOVIX仙台

評価★★★☆/70点

内容:東京タワーが建設され始めた昭和33年、東京下町の夕日町三丁目。ある日、青森から東京に集団就職で上京した六子(堀北真希)は、就職先である町の小さな自動車修理工場・鈴木オートにやって来るが、あまりの零細会社に落胆の色を隠せない。一方、鈴木オートの向かいにある駄菓子屋の店主で、小説家を目指している茶川竜之介(吉岡秀隆)は、ひょんなことから、飲み屋の女将・ヒロミ(小雪)のもとに連れてこられた身寄りのない少年・淳之介の世話をすることになるのだが・・・。

“まるでフレームの枠のすぐ外から消臭スプレーを吹きかけているかのような無香空間=テーマパークで繰り広げられるちょっとイイ話に少し違和感を感じながら見てしまった。”

いや、実にイイ話なのだ。それはたしかだし認めるし、昭和50年代生まれの自分でも十分に感動できたし楽しめた。

しかし、それは何か心の中にドスッと落ちてくるようなリアリティのある類のものではなく、まるで、ちびまる子ちゃんやサザエさんでも見ているかのような、実写というよりはセル画の匂いと清潔感に近いレベルでと言った方が自分にはしっくりきてしまう。

嘘っぽいと思ってしまうまでには至らないが、50年前のあの時代にあった何か、貧相で醜い何か、を編集でバッサリいかさせていただきますというかんじで、臭いものに蓋をするみたいに何かがスッポリ抜け落ちているというふうに心のどこかで感じてしまっている自分がいた。

その時点でこれをファンタジーと割り切って見るのか、あるいは気持ち悪さを感じながら見るのか。自分はその中間あたりでなんとかバランスを保って見続けることができたのだけども。

この美化された風景、情景をそのまま素直に受け取れないほど、自分の生きてきた時代と自分自身が汚れと閉塞感と欺瞞の豊かさで満たされているのかもしれない。

とはいえ、蒸気機関車から降りてきた顔が煤で黒くなってるところとか、納豆売りとか氷屋なんて初めて知ったし、冷蔵庫が木でできているッ!とか昔ながらの看板のルーツとかすごい興味あったし、やっぱ純粋に見れってことなんだろうねw

 ---------------------

ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007年・東宝・146分)盛岡フォーラム

 監督:山崎貴

 出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、薬師丸ひろ子、須賀健太、小日向文世

 内容:昭和34年。鈴木オートでは、事業に失敗した親戚の娘・美加を預かることになるが、お嬢さん育ちの美加は庶民の暮らしになじめずに一苦労。一方、黙って去っていったヒロミを想いながら淳之介と暮らしていた茶川は、淳之介の実父である川渕(小日向文世)から息子を返せと何度も迫られていた。茶川は人並みの安定した暮らしをするために、芥川賞受賞を目指して執筆を始めるのだが・・・。

評価★★★/65点

前作の単なる焼き直しにしかすぎない手法にノレるかノレないかが評価の分かれ目だと思うけど、正直自分はキツかった。

芥川賞を目指す茶川(吉岡秀隆)と淳之介(須賀健太)の貧窮した暮らしぶり。そこに息子を連れ戻しにやって来る川渕(小日向文世)との養育権争い。ストリップ劇場で踊り子として働くヒロミ(小雪)と茶川の結ばれぬ!?恋。

鈴木オートに預けられるわがままお嬢さん育ちの少女・美加が直面するカルチャーギャップ。六子(堀北真希)と青森の幼なじみ・武雄(浅利陽介)の再会。則文(堤真一)と戦友の再会。トモエ(薬師丸ひろ子)と初恋の男性(上川隆也)の「君の名は」をほうふつとさせる再会etc..

と、ほとんど脈絡のない、なおかつこれ見よがしなベタエピソードが2時間半ギッシリと詰め込まれていて、それらをゴジラと夕日でサンドイッチした特大バーガー¥1800!

、、、が、全くお腹一杯にならないのが玉にキズ

実に甘ったるくてしらける味といえばいいだろうか、とにかくまとまりがなくてダレる。

どうせだったら、茶川と鈴木オートはバッサリいっちゃって完全なサブにして、別な三丁目の住人を主人公にして撮るとか、あるいは触り程度でしか描かれなかった戦争の傷跡や影といった記憶を大々的にメインストーリーに持ってくるとかすればよかったのに。

なのにそんなのカンケーねぇといわんばかりに、ご都合主義のオンパレード、あげくの果てにはホタルなんてもんをこれ見よがしに飛ばしてくる始末。。完全にパクリじゃん。

デリカシーないよ、この映画(笑)。。

山田洋次だったらこうは撮らないでぇ~。

冒頭のゴジラでつかみはOKだったのに、肝心の中身にグヮッとくるものがなかったのはツライ。

とにかく、この甘っさとヌルっさに純粋に涙を流せる人もいれば、しらけちゃう人もいると。

自分は完全に後者ですた・・・。

 ---------------------

ALWAYS 三丁目の夕日’64(2011年・東宝・142分)WOWOW

 監督:山崎貴

 出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和、薬師丸ひろ子、須賀健太、染谷将太、森山未來、米倉斉加年

 内容:昭和39年、東京オリンピック開催を控え日本中が熱気にあふれる中、三丁目の住人もどこか浮き足立っていた。茶川は結婚したヒロミとの間にできた子供がもうすぐ生まれるし、鈴木オートにはいよいよカラーテレビがやって来る。一方、高校生の淳之介は進路のことで、六子は恋愛で悩んでいた…。

評価★★★★/75点

今や日本映画の中でも数少ない人情喜劇として貴重なシリーズになった東京の下町物語。つくりとしては朝ドラの方に近いけど、そういう点では男はつらいよシリーズに変わる新たな看板を背負ってしかるべき作品だといえると思う。

まぁ、山田洋次が情緒ある日本の懐かしい原風景をリアルタイムで切り取ることができたのに対し、こちらはCGを駆使したヴァーチャルアトラクションで再現するしかないもの悲しさはあるものの、街と人にエネルギーがあふれている時代の空気はよく描けていたと思う。

敗戦から20年、どん底から戦後復興を果たし、高度経済成長へと突き進んでいく中で、鈴木オートを世界を股にかける大企業にするんだ!という豪語が決して夢物語ではないことを知っている我々にとっては、“未来への希望”という今の閉塞した時代にはないメンタリティを感じられてちょっと羨ましくなってしまった。

そのメンタリティとはつまり日本人がみんな上を向いて歩いていた時代の高揚感ともいえるけど、ブルーインパルスが青空に描いた五輪マークを人々が見上げるところは象徴的なシーンだったように思う。

また、希望をもって未来を切り開くというテーマに、六ちゃん(堀北真希)と淳之介(須賀健太)の成長と新たな巣立ちというプロットがものの見事にハマっていて共感しながら見れたのも前2作と比べて良かったし。

もうこうなったら70~80年代あたりまで変わりゆく東京とともに夕日町の住人を描きつづけていってもらいたいな。

個人的には新しく設置したコーラの自販機の横で見張りをしている氷屋のオッサン(ピエール瀧)が次はどうなっているのか楽しみ(笑)。

夢のシネマパラダイス592番シアター:アクションスターレジェンド列伝

大脱出

Poster2出演:シルベスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジム・カヴィーゼル、ヴィニー・ジョーンズ、ヴィンセント・ドノフリオ

監督:ミカエル・ハフストローム

(2013年・アメリカ・116分)WOWOW

内容:脱獄のプロであるレイ・ブレスリンは、刑務所に囚人として潜入し、セキュリティの弱点を見極めるコンサルタントをしている。ある日、そんな彼のもとにCIAから凶悪犯を収監する極秘刑務所への潜入依頼が舞い込むが・・・。

評価★★★☆/70点

脱獄ものがなぜ面白いかというと、抑圧から自由を獲得しようとする者はいつだって輝いてみえるからだ。

さらに圧倒的アクションスター不在の今、唯一その旗印を掲げることが許される二大巨頭スタローン&シュワルツェネッガーがそこに降臨するのだから面白くならないはずがないw

2人が活躍した80年代のアクションエンタメを彷彿とさせる何の裏表もない王道路線を踏襲しながらも、自ら抑圧に嬉々として飛び込んでいく自信家のスタローンがそのフィルモグラフィーに似つかわしくないIQ高めの知的キャラに扮し、一方のシュワちゃんもスタローンのサポートに徹する最強脇役キャラに扮していて一風違った味を醸し出していて微笑ましく見ていられる。

まぁ、結局最後はいつもの筋肉バカに落ち着くんだけどね

冷酷な所長ジム・カヴィーゼルは同じスタローンの脱獄映画「ロックアップ」(1989)の卑劣所長ドナルド・サザーランドを想起させるけど、意外におつむが弱くてw少しもったいない使い方。

けど、最新の全面ガラス張りの独房を見た時はどうやって脱出するんだこれ!?と難攻不落ぶりに仰天したけど、この独房以外の懲罰房や食堂がそれこそ80年代から使われているようなレトロチックな作りになっていて拍子抜けしたのは玉にキズ(笑)。

でもそれらご都合主義含めて安心して見ていられる夢のタッグに心は躍るのだった。

 ---------------------

ラスト・スタンド

O0320042512438987675出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、フォレスト・ウィテカー、ジョニー・ノックスヴィル、ロドリゴ・サントロ、ジェイミー・アレクサンダー

監督:キム・ジウン

(2013年・アメリカ・107分)WOWOW

内容:麻薬王コルテスが護送中に軍隊なみの重武装を要する仲間の手により脱走、そのままメキシコへ向かっていた。一方、テキサス州の小さな国境の町で保安官をしているレイは、コルテスの逃亡をこの町で食い止めることを決意する・・・。

評価★★★/65点

馬は時速400キロのスーパーカーに、馬車は大型バスに姿を変えたものの、やってることは「真昼の決闘」をはじめとする西部劇そのもの。

とうの昔に廃れたような使い古されたプロットに、とうの昔に盛りの過ぎたシュワちゃんをかち合わせるのも酷な話だけど、シュワちゃんがただの筋肉バカwではなくイーストウッド然とした人間臭さを垣間見せていて意外に見応えがある。

また、昨今のアクションが走って飛んで跳ねてのアクロバティックさとエクストリームな肉弾戦を兼ね備えためまぐるしいものになっている中、でん!と一人構える存在感だけで勝負できてしまうシュワちゃんの特異さが逆に新鮮に映える。10年のブランクは吉と出たかんじ。

かつてのアクションスターが老いをさらけ出すという点では正しいベクトルを向いた作品なんじゃないだろうか。

かつてのと言ったら失礼だけど、でもまだまだイケそうだねw

2015年8月23日 (日)

夢のシネマパラダイス87番シアター:インセプション

インセプション

T0008288p 出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディ、キリアン・マーフィ、トム・べレンジャー、マイケル・ケイン、ピート・ポスルスウェイト

監督・脚本:クリストファー・ノーラン

(2010年・アメリカ・148分)WOWOW

 

内容:コブ(ディカプリオ)は、他人の夢の中に潜入してその頭の中にあるアイデア・情報を盗み出すプロ中のプロ。そんなコブに、大企業のトップ、サイトー(渡辺謙)からある依頼が舞い込む。それはライバル企業の次期後継者の男の夢に侵入し、情報を盗むのではなく逆に植え付ける“インセプション”という困難なものだった。かつてない危険なミッションと自覚しながらも、コブはサイトーから提示された夢のような報酬を前にミッションに挑む決意をする・・・。

評価★★★★☆/85点

4回見た。

わけが分からなくて途中放棄して寝こけた1回目。もう1回チャレンジしようと手探りで見た2回目。難解な方程式をスラスラ解いたときのような快感に浸った3回目。

そして、4回目。愛する人となら地獄の底までついて行くという言葉を地でいくようなコブとモルの究極の愛に涙した。

50年間ただひたすら一緒に手をつなぎ合って過ごすことに没頭できるほどの2人の愛の深さ、そして線路に横たわって心中する2人の姿に戦慄にも似た憧れと畏怖の念を抱いた。

しかし、その50年が文字通り夢で一瞬にしてなかったことになってしまう儚さ、そして結局妻を自死に追いやってしまう残酷な末路がなんとも悲しい・・・。

そして、後悔と罪の意識、喪失感にさいなまれ、夜な夜な夢の世界に入り込み、妻との思い出に浸る夫の苦悩する姿と、恐ろしいまでの色気でまとわりついてくる妻の妖艶なまなざしが怨念のように脳裏に焼きついて離れない。

愛の悲しさ、せつなさ、美しさ、重さといった人が人を愛するということのどうしようもなさがこれほどまで胸に迫ってきた映画は他にはない。

夢の中の夢の中の夢の中の夢の中、、と夢の世界を階層化し、その階層の時間軸にズレをもたせたり、夢の中で死ぬことで目覚めるといった設定などSFゴコロをくすぐるような着想に心躍らされたところもあるけど、終わってみればコブとモルの愛の物語に心をわしづかみにされてしまった。

こんな愛のしがらみに自分もまとわりつかれてみたいゼww

最近ことに愛に餓えてるからなぁ、、ガクッ

 ------------------------

リアル~完全なる首長竜の日~(2013年・東宝・127分)WOWOW

 監督・脚本:黒沢清

 出演:佐藤健、綾瀬はるか、中谷美紀、オダギリジョー、染谷将太、堀部圭亮、松重豊、小泉今日子

 内容:人気漫画家だった淳美は1年前に自殺を図り、昏睡状態に陥った。幼なじみで恋人の浩市にもその理由が分からない中、浩市は彼女を目覚めさせるために“センシング”という最新医療で彼女の脳内に入り込み彼女の意識とコンタクトを試みる。しかしそれは成功したものの、脳内で出会った彼女は子供の時に描いた首長竜の絵を探してほしいと頼むばかり。さらに浩市はセンシングの後遺症で、見覚えのない少年の幻影を見るようになる・・・。

評価★★☆/50点

気持ちの悪い映画だった。

まるで寿司屋に行ったらナポリタン巻きが出てきちゃったかんじ(笑)。

要は何を言いたいかというと、この映画に黒沢清はミスマッチだったのではないかということだ。

主役2人がテレビのバラエティに出て宣伝しまくっていた時点で妙な違和感を覚えてしまったのだけど、それは安易な商業主義とは一線を画す黒沢清が東宝のメジャー娯楽作を撮って大丈夫なのかという不安と重なったといってもよく、そしてフタを開けてみればそれはものの見事に的中してしまった。

仮想世界が現実世界に侵食してきて境界があいまいになるという今回のネタは、自分が見ている現実を現実だと信じることはできないという不安定な文(あや)無しの世界を描き続けてきた黒沢清にとって格好の題材だったことはたしかだと思う。

しかし、虚実あやふやな世界にばかり力点を置きすぎて、もう一方の現在と過去のミッシングリンクを埋めていく作業をおろそかにしたことが映画に対する足掛かりを失わせてしまった感は否めない。

「このミステリーがすごい」大賞の原作を大胆に脚色したということだけど、そこのバランスがとれていないため中途半端さが際立ち、悪夢的なツマラなさwにつながったのだと思う。

いや、、実際よく分からなかった(笑)。

島の廃墟の姿なんかは図らずも3.11を想起させたりして印象深かったけど、こちら側を不穏にさせるような不可知なイメージには乏しかったし、フィロソフィカルゾンビとやらもオーソドックスすぎてイマイチだったし。

そもそも天然素材の綾瀬はるかは明るすぎて黒沢映画には合わないと思うんだけど・・

贅沢すぎるキャスティングももったいないなぁという感が強かったし、う~ん、、ダメ

 ------------------------

エンジェルウォーズ

M_angelwars_01 出演:エミリー・ブラウニング、アビー・コーニッシュ、ジェナ・マローン、ヴァネッサ・ハジェンズ、オスカー・アイザック、スコット・グレン

監督・脚本:ザック・スナイダー

(2011年・アメリカ/カナダ・110分)WOWOW

 

内容:愛する家族を奪われ、亡き母の遺産を狙う継父の陰謀で精神病院へと送られてしまった少女ベイビードール。彼女はそこで出会ったロケット、ブロンディ、アンバー、スイートピーの4人の仲間たちとともに自由を求めて、彼女の最大の武器にして最後の砦である空想世界へと飛び込んでいく・・・。

評価★★☆/50点

内容なんてあってなきようなもので、プレステのゲーム世界をそのまま移植したような脳内妄想が繰り広げられ、まさにハリウッド版紀里谷和明を見せられているかんじ。

ハッタリとノリだけで2時間付き合わされた気分は、、相当にダルイw

妄想の2段オチという多層構造は夢の無限オチの「インセプション」に通じるものがあると思うのだけど、妄想1段目=娼館でダンスをすると妄想2段目でバトルに突入するのはいいとして、肝心のダンスを一度も描かずバトル描写に終始するのはいただけない。

あるいは深読みするなら妄想1段目で行われているのはダンスではなくフツーに売春行為、なのかもしれないが。。

いや、単純にダンス撮れよー(笑)、、ってザック・スナイダーはそんなん全く興味がないわけね・・・。

はぁ~、とにかく疲れますた。。

 ------------------------

メメント

Meme 出演:ガイ・ピアース、キャリー・アン・モス、ジョ-・パントリアーノ

監督・脚本:クリストファー・ノーラン

(2000年・アメリカ・113分)WOWOW

内容:妻を殺されたショックから、10分しか記憶を保つことができなくなったレナード。大事なことはペンとカメラ、そして刺青で記録し、彼は必死で犯人を捜そうとするが・・・。ラストシーンから始まりへ、時間を逆行させていく斬新な構成が話題をよんだサスペンス。

評価★★★/60点

筋が分かっている本を何度も読み返して面白いのか?

まともだった頃のレナードの回想シーンで、同じ本を何度も読みふけっている奥さんにレナードが問いかけるセリフだ。もちろんこの問いに対して奥さんは「面白いからいいの。」と答えている。

そりゃそうだ。忘れた頃にまた読み返してみたくなる本、あるいはまた観たいと思わせてくれる映画なんて誰だってあるはずだし、自分だって数えきれないほどある。

しかし、翻ってこの映画はどうだ。

筋は何となく分かる。でも、完結するどころか推測の域を出ない何通りもの答えが出てきちゃう映画というのはまだいいとしても、映画というものが本来持つべき“未来”が何にも提示されていないではないか。

これはつまり冒頭の問いにかけていえば、筋が分からない本を何度も読み返した方が面白いんじゃないか?ということを時系列をシャッフルすることで形にした今までにない実験作といっていいと思うんだけど、まぁこういう類の映画は個人的にはもう見なくていいかなぁ

記憶には謎と欠落が付き物で、それをテーマにした映画は妄想と現実、虚偽と真実、過去と未来などが交錯しサスペンスを盛り上げるので好きだけど、見てるこちら側の記憶までダイレクトに試される映画というのはたしかに今までなかった。しかもこっちに勝ち目が全くないというやり方で・・。

でも言っちゃえばただそれだけなんだよね、この映画って。その先がないわけだから。

なんだろ、こういう作り手側、いやもっと突きつめていけば監督しか満足し得ない、ひとりでにんまりほくそ笑んでいるようなマスターベーション映画見ると胸くそ悪くなってくるわけ(笑)。

しかも嫌らしいことに、この映画ってスターウォーズでいえば第2部のエピソード2みたいなところに当てはまるわけじゃない。ズルいよ(笑)。

そう、結局1番言いたいのはそこなの。この映画はズルいってことww

だからといって第1部に当たるものは別に見たくはないんだけどさ・・

夢のシネマパラダイス548番シアター:人類に、明日はあるのか・・!?

オブリビオン

R082290496l出演:トム・クルーズ、モーガン・フリーマン、オルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズブロー、メリッサ・レオ

監督:ジョセフ・コシンスキー

(2013年・アメリカ・124分)WOWOW

内容:2077年、地球はエイリアンの襲撃によって壊滅、わずかに生き残った人類は土星の衛星タイタンへ移住する。しかし、ドローンで地球を監視するため、ジャックとヴィクトリアの2人だけが地球上空1000メートル地点に駐留していた。そんなある日、1隻の宇宙船が地上に墜落し、現場へと向かった彼は、そこでジュリアと名乗る女性と出会う・・・。

評価★★★/60点

トム・クルーズが実は!?侵略してきた異星人が実は!?という設定とオチの付け方。またディストピア世界の無駄をそぎ落としたモノトーンのヴィジュアルイメージ。そしてオブリビオン=忘却という題名から逆説的にクローズアップされてくるメモリー=記憶と自己探求というテーマ。

そのどれもが悪くない。センスはピカいちだと思う。

なのにどうもツマラナイw

一言でいえば淡泊というか、登場人物を必要最低限に絞るのはいいとしても、主人公と女性2人の三角関係も、モーガン・フリーマンを配した彼らもイマイチ物語に深く根付いてこず、全体的に印象が薄いんだよね。

数々のナゾが矢継ぎ早に繰り出されてくるわりにあまり引き付けられなかった点も含めて、つまるところトム・クルーズに感情移入できなかったのが自分にとっての最大のウィークポイントだったのかも・・。それは例えば、パトロール機で空を駆け巡ったり折り畳みバイクで荒野を爆走するシーンで、トップガンでの爽やかスターっぷりを想起してしまい、いや違うだろそれ(笑)と自分の中で軌道修正しながら見たことにも繋がるんだけど

つまり地上に自分ともう一人しかいないというディストピア的絶望と、誰にも干渉されずに愛する人と2人だけでこの地上を謳歌できるというユートピア的幸福が実は背中合わせになっていて、それがジャックの場合どちらにも振れていないため感情移入しづらかったのかもしれないなと。

もちろんその中庸にジュリア(オルガ・キュリレンコ)が夢に出てきて内的揺動を引き起こすのだけど、それはあくまで断片的で、シャボン玉のように拡散し消え去ってしまう。

逆にヴィクトリアの場合は完全に後者に振れているため、感情移入というかどこか影のある不気味なかんじが出ていて魅力的だったんだけどもね・・。

まぁどうだろう、トム・クルーズのオレ様的なビッグ・バジェットでやるよりはもうちょっとマイナーな中規模程度のクラスでやった方がよかった気がするなぁ。。

 -----------------------

アフター・アース

Poster_2出演:ウィル・スミス、ジェイデン・スミス、ソフィー・オコネドー、ゾーイ・イザベラ・クラヴィッツ、リンカーン・ルイス

監督・脚本:M・ナイト・シャマラン

(2013年・アメリカ・100分)WOWOW

内容:地球が環境破壊により住めなくなってから1000年。人類は別の惑星ノヴァに移住していた。13歳のキタイはレンジャー部隊司令官の父サイファに憧れ、自分もレンジャーを目指すが任官試験で落ちてしまう。それを知ったサイファは、次の任務へキタイを同行させることにする。ところが、2人を乗せた宇宙船が途中で嵐に遭ってしまい、見知らぬ星に不時着してしまうが・・・。

評価★★☆/50点

まずもって子供の成長物語に父親が強力なアドバイザーとして介入してくる時点でストーリーとしての魅力はないと断言しなければならない。

これが例えば子供が親を救いに行くというのだったら話は分かるけど、ただ単に発信器を取りに行くだけであれこれ指図してくるのだから、はっきりいって過保護なバカ親を描いた映画以外の何ものでもない。

また、五体を駆使してこそのスター、ウィル・スミスを寝たきりにしたままというのはあまりにも宝の持ち腐れだし、被写体としては悪くないジェイデン・スミスをウィル・スミスの親の七光りが相殺してしまっているという点でもこれは完全なミスキャストだったといえる。

最大の驚きがクレジットの最後に出てきた監督名だったというのも哀しすぎるけど、ハッタリだけは一人前だったトンでも監督からハッタリを取ったら味も素っ気もないただの小粒監督になっちゃって、、とんだ見かけ倒し映画だったな。

 -----------------------

トゥモロー・ワールド

Baqilkrmvs 出演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、キウェテル・イジョフォー、チャーリー・ハナム

監督:アルフォンソ・キュアロン

(2006年・米/英・109分)MOVIX仙台

評価★★★★/75点

内容:人類に最後の子供が誕生してから18年が経過した西暦2027年。このままだと50年後には人類は滅びてしまうと希望を失った世界には暴力と無秩序が拡がっていた。そんなある日、エネルギー省の官僚セオは、元妻ジュリアン率いる反政府組織に連れ出される。そして、驚愕の秘密を持ったある移民の少女を“ヒューマン・プロジェクト”という組織に引き渡すための協力を請われるのだが・・・。

“未来予想図Ⅲ~今そこにある危機~”

観終わった第一声、、「え゛っ?これで終わり!?」

なんじゃこりゃ・・。人生あきらめているヤル気のない中年男が、赤ん坊と母親を引き連れて港を目指して逃げ回るだけという単純極まりないお話。ほんとそれだけ。。

なぜ子供が18年間も誕生しなくなったのか、、、人類が最後の希望を託す“ヒューマン・プロジェクト”の正体とはいったい何なのか、、、トゥモロー号はいったいどこへ向かうのか・・・。

これら重要なキーポイントに対し、この映画はほとんど情報開示してくれない。というかほとんどマクガフィンとしての映画的機能しか果たしていないといっていいだろう。

普通だったら絶対にハズさないポイントを無関心を決め込むごとくスルーしていく。それは例えば赤ん坊の父親が誰であるのかということにさえ関心を払わないほど徹底している。

さらに、序盤でジュリアン・ムーア、中盤でマイケル・ケインがあっけなく無造作に殺されてしまい、なおかつワイドレンズのカメラでロングショットかつ長回しを用いた突き放したようなドライな質感もドキュメンタリー風の冷静な画作りをすることによって確信犯的に徹底されている。

とにもかくにも人物の関係性においても、撮影やカット割りといった映画的手法においても、ドラマティックさを排除しようという確信的意図が読み取れるのだが、そこから見えてくるのは現在の世界と地続きなリアリティ溢れる世界の創造である。

西暦2027年というそう遠くない近未来の街並みや雰囲気といったビジュアル面は、絵空事ではなく現代とそう変わらない世界で、せいぜい車が未来的なデザインになっているくらいだ。

それは言い換えれば発展が滞っているともいえ、子供が18年間生まれなくなった世界、閉塞感と絶望感に苛まれ、テロや内戦が繰り返される希望のない世界が全編通して執拗に映し出される。

特に冒頭のコーヒーショップの唐突な爆破シーンはこの映画の世界観の決め手となっているとともに、珠玉の映画体験の開巻としてもただの突拍子のないSF映画とは何かが違うと感じてしまうには十分すぎるほどのリアリズムが現出されている。

そしてこの冒頭のリアリズムを指標に、その後映し出されていく描写は真に圧倒的だ。

政府の徹底した移民隔離と暴力、反政府ゲリラの暗闘、凄絶な市街戦、列車へ投石してくる人々、セオの元妻ジュリアンの殺害から車に横付けして疾走する2人乗りバイクの大転倒シーンに至るまで、リアリズムを映画内世界と共有できるほどのシーンが次から次へと連続して繰り出される。

そしてこのめまぐるしく続く映像世界を問答無用で見せられるにつけ、我々観る側はある感覚にとらわれていく。

それは“既視感”という名の我々に刻まれた歴史であり、今現在を流れる“現実”そのものである。

この映画は既視感のオンパレードといってもいい。

トゥモロー号はノアの方舟、牛小屋でセオに妊娠を告白するキーは聖母マリア、天の光を受けた赤ん坊、マリアの受難、さしずめセオはヨセフか、、、とまるで聖書をかたどったような意図が垣間見える既視感。そして「宇宙戦争」「ブラックホーク・ダウン」「プライベート・ライアン」といった映画で見たような既視感にも彩られている。

しかし、今現在の世界情勢の中で現実に起こっているテロや戦争、イラク、パレスチナ、アフガン、ソマリア・・・。そして現在フランスやイギリス、ドイツをはじめとするヨーロッパで重大な社会問題となっている移民問題、ゲットー、アウシュビッツ・・・。これらの既視感が現在先進国であるイギリスを舞台にして描き出されていく。それはある意味ショッキングですらある。

また、18年も子供が世界に誕生しないのにせっせと大人たちは殺戮を続けている世界観というのも相当ショックだけど、いや考えてみれば現実問題イラクをはじめとして世界中で無防備な子供たちが次々と殺されているんだよね・・。

そんな夢を奪うような世界が実際に今れっきとしてあちらこちらに存在しているわけで、そのメタファーとして、また痛烈なアイロニカルとして人類に子供が生まれなくなったという極端な設定は非常にリアリティがあるように思う。

この映画は“今”を切り取った映画だったのだ。

今現在の世界と地続きの彼方の水平線にこの映画で描き出された世界が黒々と横たわっている、、、そう思うと凄く恐くなった。。

しかし、世界に希望の光を差し込む聖母子のような赤ん坊を見て戦闘が一瞬中断する珠玉のクライマックス、そして白いもやの中から現れるトゥモロー号のラストと希望をほのめかして終わるところがせめてもの救いか。

そして精緻かつ高度なチームプレーで見事なシーンの数々を作り出したアルフォンソ・キュアロンをはじめとする映画の作り手たちに、これからの映画体験における夢と希望を与えられたような気がする、といえば言いすぎかな。。

まぁ自分はこのラストの後も1時間は映画がつづくんだろうなぁとフツーに思ってたので、ええ゛っ?ここで終わっちゃうの?と、、正直もっと先を見たい、この映画の未来を見たいという思いに駆られてしまった。。

 -----------------------

ザ・ウォーカー(2010年・アメリカ・118分)WOWOW

 監督:アレン・ヒューズ/アルバート・ヒューズ

 出演:デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニス、レイ・スティーヴンソン、マイケル・ガンボン

 内容:核戦争によって荒廃した近未来のアメリカ。イーライという男が、一冊の本を携えて荒野を西へ西へと歩き続けていた。行く手を阻むものは容赦なく倒していくイーライは、水を求めてとある町に立ち寄る。しかし、そこはカーネギーという男が独裁者として君臨する町だった。。

評価★★★/65点

最後に、え゛っ!?そうだったの!?というオチが待っているのだけども、かといってもう1回再見しようという気にならなかったのはこの映画の限界、、というか、“聖書”がどんだけスゲェ本なのかってことがいまいちピンとこない、宗教に無頓着な自分自身の限界にあるのかもしれない。

アメリカ大統領の就任宣誓式や裁判で証人が宣誓する時などに聖書が踏み絵のごとく使われるように、アメリカが聖書の国てことはなんとなく分かれども、例えばカーネギー(ゲイリー・オールドマン)がのたまうところの聖書の言葉があれば世界を支配できるてことが、これ本気でおっしゃってるのw!?と、現実感覚として湧き上がってくるものがないんだよね・・・。

しかしてこの映画、マッドマックスを想起させるようなB級アクションの体裁を取りながらも、“聖書”を単なるマクガフィンとして終わらせる気は毛頭ないらしく、本気テーマとして掲げてるのが逆に映画の立ち位置を複雑なものにしていて、、見づらい(笑)。

例えばインディ・ジョーンズで争奪戦を繰り広げる秘宝に意味を持たせることの無意味さに慣れてしまっている側からすると、ん?ん??なんだこの映画は!?と右往左往してしまうわけでw

そして、一冊の“聖書”の裏に秘められた意味がよく分からないままジ・エンド。

その聖書が実は点字で、カーネギーは読めない、そしてウォーカー(デンゼル・ワシントン)が実は盲目で、その聖書を丸々暗記していたというオチからは、救いの武器にも殺戮の武器にもなりうる宗教の威力というものを曇りなき眼で見定めよということなのかと思ってみたりもしたけど、、もう1回見る気はございませんww

 -----------------------

アイ・アム・レジェンド

N0013599_l 出演:ウィル・スミス、アリシー・ブラガ、ダッシュ・ミホク、チャーリー・ターハン、サリー・リチャードソン

監督:フランシス・ローレンス

(2007年・アメリカ・100分)盛岡フォーラム

評価★★★/65点

内容:2012年のニューヨーク。殺人ウイルスの猛威により66億人が絶滅した世界で、おそらくただひとり生き残った男ロバート・ネビル。科学者だった彼は、唯一の話し相手である愛犬サムとともに廃墟と化したNYで絶対的な孤独と闘う日々を送っていた。自分以外の生存者を探して、毎日無線電話で呼びかけるものの3年間応答はなく・・・。

“すごくもったいない映画”

不気味なまでに静まり返り、人っ子ひとりいないゴーストタウンと化したNYの街の光景だけをとっても、この映画を観た甲斐はあったとは思うし、ただのドンパチ映画かなと思っていた予想に反して、たった一人生き残った主人公の日常の孤独や絶望感にかなりの割合でスポットを当てていたのは逆に新鮮だったし、至極丁寧なつくりに見えた。

、、、のだが、中盤以降はまるで何かから逃げるかのような拙速につぐ拙速の展開で、ラストもイマイチ飲みこめず・・・。

まぁ、そもそものところ、ロバート・ネビル(ウィル・スミス)が、愛犬が鹿を追って入り込んだ建物の奥でモゾモゾとひしめき合っている“感染者”たち・ダークシーカーズを見つけた時点で、え゛ッ、これってそういうジャンルなの?とガクッとなっちゃったんだけど。

「サイレント・ヒル」や「28日後...」で十分見たやんていう。。

しかもこの“感染者”たち、ロバートを罠にかけて狂犬を放ったりだとかかなり組織的だし、リーダー風の男もいたりするんだけど、映画ではそこらへんのことに全く触れてないんだよね。

ラストに関しても、DVDに収録されている別バージョンではロバートの罠にかかって実験体にされた女性が実はリーダーの恋人で、彼らは彼女を取り返しに来ただけで、取り戻したら彼らはそのまま去っていくというある種の希望に満ちたものなんだけど、そっちの方が納得いくし、なんで今回自爆エンディングの方を採用したんだろう・・・。

どこの世界でも自爆しないとレジェンドにはなれないってことなのだろうか・・ww

あと、どうやって彼のみが生き残っていき、NYが廃墟と化していったのか、断片的すぎてその過程をもうちょっと丹念に描いてもらいたかったかな。

まぁ、1時間40分枠だと、これがギリギリなのだろうけど、別に2時間半でもええのよ(笑)。

なんだかそれ考えると、すごくもったいない映画だったなぁ・・・。

 -----------------------

イーオン・フラックス(2005年・アメリカ・93分)WOWOW

 監督:カリン・クサマ

 出演:シャーリズ・セロン、マートン・ソーカス、ジョニー・リー・ミラー、フランシス・マクドーマンド

 内容:西暦2011年、人類は新種のウイルスにより99%が死滅。科学者トレバー・グッドチャイルドが開発したワクチンのおかげで生き残った500万人は、汚染された外界から隔てられた都市ブレーニャで暮らしていた。それから400年後、西暦2415年。グッドチャイルド家の圧政に対抗するべく、反政府組織モニカンは、最強の女戦士イーオン・フラックスに君主暗殺を命じるのだが・・・。

評価★★☆/50点

黒髪に染めて黒づくめのコスチュームを身にまとった青い瞳のシャーリズ姐さんを見るぶんには楽しめる作品だが、映画としてはイマイチはじけず、ノレない・・・。

日の丸に番傘に桜吹雪とかなり和風テイストだったのに加えて、あげくの果てに水盾の術まで出てきて、えっ何これ実は忍者映画なの?と思っちゃったけど、そのわりにアクションシーンが迫力ないし。

SFの設定もそれだけとれば面白いんだけど、イマイチまとめ切れていない印象。

いっそのこと藤原紀香で撮った方が良かったんじゃないかww?

2015年8月20日 (木)

夢のシネマパラダイス26番シアター:華麗なるギャツビー

華麗なる賭け

Mp042出演:スティーブ・マックイーン、フェイ・ダナウェイ、ポール・バーク

監督:ノーマン・ジュイソン

(1968年・アメリカ・102分)NHK-BS

内容:紳士として知られていた大実業家のクラウンは、ただひとつ盗みに関してだけは異常なほどの欲望を持っていた。そして彼は部下をかき集めてボストン銀行から260万ドルもの大金を盗ませる。完璧に成功したと思われた今回の盗み。が、保険会社に依頼された美人探偵ビッキーはクラウンが怪しいと睨むのだった。

評価★★★☆/70点

この映画にルパン三世をみた、、というのは自分だけだろうか

オープニングの主題歌が流れた後のルグランの曲の入り方、あのメロディ。

まんまルパンじゃんって思っちゃったんですけどw

一旦そう思っちゃうと、なんか全てがルパンっぽく見えてきちゃって。あのカット割りとか、果てはマックイーンまでもがルパンに見えてくる始末・・・。

ビッキーは峰不二子からはちょっと遠いか、胸無いしなぁ。

でもクラウンとルパンは性格も似てる気したなぁホントに。。

チェスでビッキーの誘惑攻撃に陥落してしまう奴のデレ顔。まんまじゃないですか。

うん、ルパンとマックイーン、似合いだゼ。自分だけの秘密にしておこっと。そうでもない?

 ----------------------

トーマス・クラウン・アフェアー(1999年・アメリカ・114分)DVD

 監督:ジョン・マクティアナン

 出演:ピアース・ブロスナン、レネ・ルッソ、フェイ・ダナウェイ

 内容:富豪の泥棒と彼を追う美貌の保険調査員が危険なゲームを繰り広げるラブ・サスペンス。「華麗なる賭け」が元ネタ。

評価★★/40点

ヌルイ!あまい!ダルい!007より面白くないので★2っつ。簡単かつ正当な理由です。

 ----------------------

華麗なるギャツビー

T0010893p出演:レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン、アイラ・フィッシャー

監督:バズ・ラーマン

(2012年・アメリカ・142分)WOWOW

内容:1920年代。青年ニック・キャラウェイは就職のためNY郊外の街に引っ越してきたが、その隣の豪邸では週末になると絢爛豪華なパーティが開かれていた。館の主はギャツビーという大富豪だったが、誰も彼の素性を知らなかった。そんなある日、ニックのもとにもパーティの招待状が届く・・・。

評価★★★☆/70点

19世紀末パリを舞台にしたキッチュでファンタジック、ド派手で煌びやかな「ムーラン・ルージュ」の世界観を1922年狂騒のNYに置き換えただけのような相も変らずの過剰な演出には辟易とするも、往年の銀幕スター然としたディカプリオのオーラに引き寄せられて見入ってしまったかんじ。

それはつまり、浮世離れしていてどうでもいいツマラなさに彩られた話自体よりも、20年代というクラシカルなフレームの中でヒップホップを堂々と流してしまうMTV男バズ・ラーマンとディカプリオの綱引きの方が面白かったということだ。

で、最終的にはディカプリオの方が勝ったと思うのだけど、最新のハイブランドと原色の洪水で塗り固めなければ気が済まないバズ・ラーマンのガチャガチャした画が、ディカプリオが出てくるとセピア調の渋い落ち着きに変わるところにディカプリオの凄さを見たかんじで、ウザいバズ・ラーマンを抑えこんだことはもちろん、いよいよ名優の面構えになってきたなと嬉しくなってしまった。

もういい加減アカデミー賞獲る機は熟しきってると思うんだけど、このままアカデミー賞最右翼のポジションを維持していった方が見る方としては逆にいいのかも(笑)。

プライベートでも大親友のディカプリオとトビー・マグワイアの共演も見られたし、意外に見どころはあったかも。

ま、2回は見たくないけど・・ww

 ----------------------

華麗なるギャツビー(1974年・アメリカ・141分)NHK-BS

 監督:ジャック・クレイトン

 出演:ロバート・レッドフォード、ミア・ファロー、ブルース・ダーン

 内容:1920年代。ロング・アイランドに住むギャツビーは豪華な邸宅で毎夜のようにパーティーを開いている。上流階級の人々はギャツビーが大金持ちになったのは密輸や殺人など法に背く行為の結果だと噂していた。そんなある日、ギャツビーは近くの豪邸に住む人妻デイジーを紹介されるが・・・。

評価★★★/65点

“影のないレッドフォードがビミョーに怖い・・・”

なんか、ふと「太陽がいっぱい」(1960)のアラン・ドロンを思い浮かべてしまったのだけど、その観点からいうと今作のロバート・レッドフォードはあまりにもストレートすぎるというか品が良すぎる。

貧しい生い立ちから、激しい劣等感と下卑た野心に満ち溢れた屈折した美男子を、さんさんと降り注ぐ陽光の下、鮮烈に浮かび上がらせたアラン・ドロン。

一方、対照的に、薄暗闇の中にじぃーっと佇むピンクのスーツを着こなすロバート・レッドフォードはまさに紳士然としているのだけども、その眼光はどこまでもイノセンスで、内面がほとんど見えてこずイマイチ伝わってくるものがない。

なんか宇宙人か何かに身体を乗っ取られてるようなかんじで、ラストで銃を何発も撃ち込まれて殺害されるシーンも、なんか死んだかんじがしないというか、ムクッと起き上がってきそうな

これってホラーなのか(笑)?ミア・ファローだけに・・。

 ----------------------

華麗なるヒコーキ野郎(1975年・アメリカ・108分)NHK-BS

 監督:ジョージ・ロイ・ヒル

 出演:ロバート・レッドフォード、エドワード・ハーマン、スーザン・サランドン

 内容:大空に命をかける飛行機の曲乗りパイロットたちの姿を描いた作品。

評価★★★/60点

胸の谷間を見せたがる女、スーザン・サランドン。

この頃からすでに露出狂だったとはww

さらにケタはずれの飛行機バカどもに、ただア然ボー然

2015年8月14日 (金)

夢のシネマパラダイス129番シアター:日本のいちばん長い日

日本のいちばん長い日

T0019725p3出演:役所広司、本木雅弘、松坂桃李、堤真一、山崎努、蓮佛美沙子、戸田恵梨香、キムラ緑子、松山ケンイチ

監督・脚本:原田眞人

(2015年・松竹・136分)WOWOW

内容:1945年7月。戦局が最悪の一途を辿る中、連合国による日本の無条件降伏を求めるポツダム宣言が発表された。その3か月前に組閣されたばかりの鈴木内閣では連日閣議が開かれるが、降伏か戦争継続かで紛糾したまま8月に入り、広島と長崎に原爆が投下されてしまう。そして8月14日、御前会議で戦争終結という天皇の聖断が下される。しかし、あくまで本土決戦を訴える陸軍の若手将校たちはクーデターを起こすべく決起する・・・。

評価★★★/65点

今から50年前の岡本喜八版が終戦の日の24時間を描いているのに対し、今作は鈴木貫太郎首相就任(昭和20年4月7日)から終戦までの4か月間を描いているのだけど、印象としてはやや間延びしちゃってるかなと。

さらに言えば岡本喜八版がキチガイじみた個性のぶつかり合いが見物の怪優祭りと化していたのに比べると、今回その匂いをまとっていたのは東条英機の中嶋しゅうくらいのもので、あとはかなり律儀かつ真面目でそのおとなしさも薄味たるゆえんか。。

まぁ、昭和天皇を主要な役どころに据えた時点でベクトルが格調に向かうのは致し方ないとはいえるし、あの時代、国家としてのリアリズムを軍機という秘密主義の中に押し込み、軍そのものと国家を神秘的な虚像に覆い隠したその深奥に御座します天皇をあれだけ饒舌なキャラクターとして実体的に描くというのはエポックメイキングなことではあろう。

ただ、これを描くには天皇の戦争責任という刃を突きつけられている覚悟を持たなければならないと思うのだけど、今回の映画は幻想と空想に縁取られた酔狂な思想が幅を利かせる無法国家日本において、あたかも天皇だけが純然たる平和主義者で、そのご聖断によって日本は救われたのだというような言祝ぎと美化に終始する批判精神の無さには、やはり喉に小骨が刺さったような違和感を感じざるをえなかった。

昭和から平成になって約30年、昭和天皇を歴史として咀嚼でき映画で描けるようになったとはいえ、まだ遠慮や難しさといった限界を露呈しているのもたしかで、だとするならばその対峙として8月15日の若手将校による宮城クーデターにもっと焦点を当てて描いてしかるべきだったのではないかと思う。そうすれば何度も叫ばれる国体護持の意味もより鮮明になったのではないか。

あるいは、「私の名によって始められた戦争を、私の本心からの言葉で収拾できるならありがたく思う。」という天皇のお言葉の“私の名によって始められた戦争”について、つまり開戦の経緯とそこでの天皇の開戦の聖断について描かなければならないのかもしれない。

でも、結局最後に1番言いたいのは、戦争は東京の密室で起きてるんじゃないってこと。今の国会議員にも言ってやりたいわw

 ----------------------

終戦のエンペラー

T0016889q出演:マシュー・フォックス、トミー・リー・ジョーンズ、初音映莉子、西田敏行、火野正平、中村雅俊、夏八木勲、桃井かおり、伊武雅刀、片岡孝太郎

監督:ピーター・ウェーバー

(2012年・米/日・107分)WOWOW

内容:1945年8月15日、日本はポツダム宣言を受諾し、第二次世界大戦が終結する。そして8月30日、GHQ最高司令官ダグラス・マッカーサーが厚木飛行場に降り立った。戦後処理に取り掛かったマッカーサーは、知日家のフェラーズ准将に戦争責任が誰にあったかを10日間で調べ上げるよう命じる・・・。

評価★★★/65点

劇中で1000年経っても真実は分からないというセリフが出てくるけど、おそらく1000年経っても日本人自身の手で総括されることはないであろう天皇の戦争責任というタブーに挑んでいる点で必見の価値がある作品ではある。

が、物足りない。

戦勝国という上から目線ではない日本に対する真摯な眼差しは買いたいけど、地雷原を恐る恐る踏みしめていかなければならないような重いテーマを扱うにはあまりにも行き当たりばったりとサクサク進みすぎだし、なにより主人公と日本人女性の取って付けたようなロマンスが邪魔で邪魔で仕方がないw

昭和天皇が戦犯になるかどうかの瀬戸際の歴史サスペンスを補完するまでの強度が恋愛ドラマには全くないため、映画の中に取り入れる必然性がどうしても感じられないのだ。

これはもう2時間半くらいみっちり時間をかけて証言ドラマを軸に描いてほしかったけど、それは日本人自身の手による映画での宿題とすべきかな。。

結局、天皇の戦争責任は免れえるものではないが確たる証拠がないし、アメリカの占領政策にとって天皇を利用することが都合が良いから罪に問わないという玉虫色的な政治判断の帰結になって、なんかモヤモヤしたものが残ったけど、天皇制に依拠するある種封建的な日本の精神文化を非人称的な法の支配に依拠する合理主義的なアメリカの視点でひも解いていく面白さはあっただけに、もうちょっとそこらへん濃密に描いてほしかったなと。

天皇制を維持することは当時の対ソ連、反共産主義の防波堤に日本を置くには必要だったという見方なんかはそうだったのかぁと目が点になったけど、もし天皇が裁かれて戦犯になろうものなら本当に日本は内乱が起こるほどの混乱に陥ったのか想像もつかないことで興味が湧くところだ。

個人的には、例えば開戦にあたって戦争の遂行意志が天皇にあったのかどうかという厳密なところまで追及したときに天皇の戦争責任の有無について明確な答えを出せるのか分からないけど、少なくとも天皇のために命を投げ打ったおびただしい数の尊い犠牲と、国土を灰塵に帰したことに対し、自ら責任をとって退位し、皇位を譲るべきだったと思う。

それが結果責任を負うべき国家元首としてのけじめであり、また日本国としてのけじめではなかったかと。

それがなされていれば、現在のグローバル世界において、福島の原発事故で誰も責任を取らないような矛盾の国であることは許されない中で、もう少し違った日本のかたちが実現していたかもしれない。

いつか日本人の手でこういう映画が作られることを願うばかりだ。

 ----------------------

日本のいちばん長い日

Nihon出演:三船敏郎、山村聰、志村喬、笠智衆、宮口精二、戸浦六宏、高橋悦史、黒沢年男、加藤武、加東大介、天本英世、小林桂樹、加山雄三、松本幸四郎

監督:岡本喜八

(1967年・東宝・157分)NHK-BS

評価★★★★/80点

内容:大宅壮一が終戦当時の政治家、宮内省関係者、元軍人、民間人を取材してまとめたルポルタージュを原作とする、東宝創立35周年記念の戦争超大作。昭和20年8月14日の宮城内地下防空壕の御前会議に始まり、ポツダム宣言受諾をめぐる陸軍省や総理官邸の動き、自刃を覚悟した阿南陸相の心境、玉音放送の準備に大わらわの宮内省とNHK、受諾反対の青年将校の玉音奪還作戦など、玉音放送がなされた翌15日までの24時間を、緊迫感あふれる描写で見せていく。

“黒沢年男のエネルギーで爆弾1個作れそう。。”

あのハイテンションはどう見てもキチガイにしか見えないのだけど、それは戦後70年経った今だから言えるのであって、あの当時はそれが真っ当な青年将校のあるべき姿だったのだろう、、か。いや、バラエティ番組で見る黒沢年男のキャラとたいして変わらないのにもビックリしたんだけど・・・(笑)。

それはともかく祖国を思う純粋な心と信念をあそこまで狂信的に駆り立てたものは何だったのか。

日本人の男子の半分2000万を特攻に出し続ければ必ず勝てます!と言わせしめるまで守り抜こうとしたものとは何だったのか。

祖国、国体護持、神国、天皇、、、すべてが戦後数十年経ってこの国に生まれた自分には現実離れしたものとして映ってしまう。

戦争は始めるのは恐ろしいくらいに簡単だが、やめるのは恐ろしいくらいに難しいというのは、今のアメリカに至るまで連綿として続く常識だが、教科書に載らない歴史の秘話を明かすこの映画を見せられると、このときの日本ほど愚かで無責任な事態はなかったのではないかとさえ思えてくる。

空虚な理念に支配された密室、しかも天皇=神を戴く祭殿の中でその理念は浮世離れしたもののように誇大妄想と化していく。

なによりタチが悪いのは、その理念が全くブレない強固なものであり、それを純粋に真摯に遂行し守ろうとするところにある。

日本教原理主義とでもいうべき宗教的な崇拝の鬼と化した戦争指導者たちの姿は狂気そのもの。

その中で粛々としてあらゆる手続きのもとで進む儀式(日本帝国のお葬式)がまた空しく目に映るわけだが、東京の焼け野原も一般市民の視点も欠如しているこの映画において、密室にこもった戦争指導者の思考停止状態と無知蒙昧ぶりが際立っていく作劇にはかろうじて岡本喜八のシニカルな視点を垣間見ることができる。

とはいえ、題名が出てくるまで20分もかかったこの作品、2時間40分ハイテンションな緊迫感が途切れることなく持続するアツイ映画であったこともたしかで、岡本喜八のテンポ良いリズム感あふれる演出技法が重厚な作品にあっても冴えに冴えわたっている。

そしてなんといってもアクの強い個性派俳優の恐ろしいほどの屹立した存在感のしのぎ合いに目をそらすことができない。

横浜警備隊長役の天本英世や児玉基地飛行団長野中大佐役の伊藤雄之助など、今の役者では到底お目にかかることのできない怪演ぶり。そして壮絶な割腹自殺シーンに息を呑んでしまう阿南陸相・三船敏郎の鬼気迫る力演。

これほど役者というものの力を認識させられる映画もそうはない。

日本の中枢の断末魔しかと見届けたり!

とはいえ、死屍累々たる末端の人々の断末魔に比べればちゃちいものだが。。

でもさ、腹かき切るだけじゃやっぱすぐには死ねないもんなんだねぇ・・。くわばらくわばら。。

« 2015年7月 | トップページ | 2015年9月 »

2024年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ