オブリビオン
出演:トム・クルーズ、モーガン・フリーマン、オルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズブロー、メリッサ・レオ
監督:ジョセフ・コシンスキー
(2013年・アメリカ・124分)WOWOW
内容:2077年、地球はエイリアンの襲撃によって壊滅、わずかに生き残った人類は土星の衛星タイタンへ移住する。しかし、ドローンで地球を監視するため、ジャックとヴィクトリアの2人だけが地球上空1000メートル地点に駐留していた。そんなある日、1隻の宇宙船が地上に墜落し、現場へと向かった彼は、そこでジュリアと名乗る女性と出会う・・・。
評価★★★/60点
トム・クルーズが実は!?侵略してきた異星人が実は!?という設定とオチの付け方。またディストピア世界の無駄をそぎ落としたモノトーンのヴィジュアルイメージ。そしてオブリビオン=忘却という題名から逆説的にクローズアップされてくるメモリー=記憶と自己探求というテーマ。
そのどれもが悪くない。センスはピカいちだと思う。
なのにどうもツマラナイw
一言でいえば淡泊というか、登場人物を必要最低限に絞るのはいいとしても、主人公と女性2人の三角関係も、モーガン・フリーマンを配した彼らもイマイチ物語に深く根付いてこず、全体的に印象が薄いんだよね。
数々のナゾが矢継ぎ早に繰り出されてくるわりにあまり引き付けられなかった点も含めて、つまるところトム・クルーズに感情移入できなかったのが自分にとっての最大のウィークポイントだったのかも・・。それは例えば、パトロール機で空を駆け巡ったり折り畳みバイクで荒野を爆走するシーンで、トップガンでの爽やかスターっぷりを想起してしまい、いや違うだろそれ(笑)と自分の中で軌道修正しながら見たことにも繋がるんだけど
つまり地上に自分ともう一人しかいないというディストピア的絶望と、誰にも干渉されずに愛する人と2人だけでこの地上を謳歌できるというユートピア的幸福が実は背中合わせになっていて、それがジャックの場合どちらにも振れていないため感情移入しづらかったのかもしれないなと。
もちろんその中庸にジュリア(オルガ・キュリレンコ)が夢に出てきて内的揺動を引き起こすのだけど、それはあくまで断片的で、シャボン玉のように拡散し消え去ってしまう。
逆にヴィクトリアの場合は完全に後者に振れているため、感情移入というかどこか影のある不気味なかんじが出ていて魅力的だったんだけどもね・・。
まぁどうだろう、トム・クルーズのオレ様的なビッグ・バジェットでやるよりはもうちょっとマイナーな中規模程度のクラスでやった方がよかった気がするなぁ。。
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アフター・アース
出演:ウィル・スミス、ジェイデン・スミス、ソフィー・オコネドー、ゾーイ・イザベラ・クラヴィッツ、リンカーン・ルイス
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
(2013年・アメリカ・100分)WOWOW
内容:地球が環境破壊により住めなくなってから1000年。人類は別の惑星ノヴァに移住していた。13歳のキタイはレンジャー部隊司令官の父サイファに憧れ、自分もレンジャーを目指すが任官試験で落ちてしまう。それを知ったサイファは、次の任務へキタイを同行させることにする。ところが、2人を乗せた宇宙船が途中で嵐に遭ってしまい、見知らぬ星に不時着してしまうが・・・。
評価★★☆/50点
まずもって子供の成長物語に父親が強力なアドバイザーとして介入してくる時点でストーリーとしての魅力はないと断言しなければならない。
これが例えば子供が親を救いに行くというのだったら話は分かるけど、ただ単に発信器を取りに行くだけであれこれ指図してくるのだから、はっきりいって過保護なバカ親を描いた映画以外の何ものでもない。
また、五体を駆使してこそのスター、ウィル・スミスを寝たきりにしたままというのはあまりにも宝の持ち腐れだし、被写体としては悪くないジェイデン・スミスをウィル・スミスの親の七光りが相殺してしまっているという点でもこれは完全なミスキャストだったといえる。
最大の驚きがクレジットの最後に出てきた監督名だったというのも哀しすぎるけど、ハッタリだけは一人前だったトンでも監督からハッタリを取ったら味も素っ気もないただの小粒監督になっちゃって、、とんだ見かけ倒し映画だったな。
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トゥモロー・ワールド
出演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、キウェテル・イジョフォー、チャーリー・ハナム
監督:アルフォンソ・キュアロン
(2006年・米/英・109分)MOVIX仙台
評価★★★★/75点
内容:人類に最後の子供が誕生してから18年が経過した西暦2027年。このままだと50年後には人類は滅びてしまうと希望を失った世界には暴力と無秩序が拡がっていた。そんなある日、エネルギー省の官僚セオは、元妻ジュリアン率いる反政府組織に連れ出される。そして、驚愕の秘密を持ったある移民の少女を“ヒューマン・プロジェクト”という組織に引き渡すための協力を請われるのだが・・・。
“未来予想図Ⅲ~今そこにある危機~”
観終わった第一声、、「え゛っ?これで終わり!?」
なんじゃこりゃ・・。人生あきらめているヤル気のない中年男が、赤ん坊と母親を引き連れて港を目指して逃げ回るだけという単純極まりないお話。ほんとそれだけ。。
なぜ子供が18年間も誕生しなくなったのか、、、人類が最後の希望を託す“ヒューマン・プロジェクト”の正体とはいったい何なのか、、、トゥモロー号はいったいどこへ向かうのか・・・。
これら重要なキーポイントに対し、この映画はほとんど情報開示してくれない。というかほとんどマクガフィンとしての映画的機能しか果たしていないといっていいだろう。
普通だったら絶対にハズさないポイントを無関心を決め込むごとくスルーしていく。それは例えば赤ん坊の父親が誰であるのかということにさえ関心を払わないほど徹底している。
さらに、序盤でジュリアン・ムーア、中盤でマイケル・ケインがあっけなく無造作に殺されてしまい、なおかつワイドレンズのカメラでロングショットかつ長回しを用いた突き放したようなドライな質感もドキュメンタリー風の冷静な画作りをすることによって確信犯的に徹底されている。
とにもかくにも人物の関係性においても、撮影やカット割りといった映画的手法においても、ドラマティックさを排除しようという確信的意図が読み取れるのだが、そこから見えてくるのは現在の世界と地続きなリアリティ溢れる世界の創造である。
西暦2027年というそう遠くない近未来の街並みや雰囲気といったビジュアル面は、絵空事ではなく現代とそう変わらない世界で、せいぜい車が未来的なデザインになっているくらいだ。
それは言い換えれば発展が滞っているともいえ、子供が18年間生まれなくなった世界、閉塞感と絶望感に苛まれ、テロや内戦が繰り返される希望のない世界が全編通して執拗に映し出される。
特に冒頭のコーヒーショップの唐突な爆破シーンはこの映画の世界観の決め手となっているとともに、珠玉の映画体験の開巻としてもただの突拍子のないSF映画とは何かが違うと感じてしまうには十分すぎるほどのリアリズムが現出されている。
そしてこの冒頭のリアリズムを指標に、その後映し出されていく描写は真に圧倒的だ。
政府の徹底した移民隔離と暴力、反政府ゲリラの暗闘、凄絶な市街戦、列車へ投石してくる人々、セオの元妻ジュリアンの殺害から車に横付けして疾走する2人乗りバイクの大転倒シーンに至るまで、リアリズムを映画内世界と共有できるほどのシーンが次から次へと連続して繰り出される。
そしてこのめまぐるしく続く映像世界を問答無用で見せられるにつけ、我々観る側はある感覚にとらわれていく。
それは“既視感”という名の我々に刻まれた歴史であり、今現在を流れる“現実”そのものである。
この映画は既視感のオンパレードといってもいい。
トゥモロー号はノアの方舟、牛小屋でセオに妊娠を告白するキーは聖母マリア、天の光を受けた赤ん坊、マリアの受難、さしずめセオはヨセフか、、、とまるで聖書をかたどったような意図が垣間見える既視感。そして「宇宙戦争」「ブラックホーク・ダウン」「プライベート・ライアン」といった映画で見たような既視感にも彩られている。
しかし、今現在の世界情勢の中で現実に起こっているテロや戦争、イラク、パレスチナ、アフガン、ソマリア・・・。そして現在フランスやイギリス、ドイツをはじめとするヨーロッパで重大な社会問題となっている移民問題、ゲットー、アウシュビッツ・・・。これらの既視感が現在先進国であるイギリスを舞台にして描き出されていく。それはある意味ショッキングですらある。
また、18年も子供が世界に誕生しないのにせっせと大人たちは殺戮を続けている世界観というのも相当ショックだけど、いや考えてみれば現実問題イラクをはじめとして世界中で無防備な子供たちが次々と殺されているんだよね・・。
そんな夢を奪うような世界が実際に今れっきとしてあちらこちらに存在しているわけで、そのメタファーとして、また痛烈なアイロニカルとして人類に子供が生まれなくなったという極端な設定は非常にリアリティがあるように思う。
この映画は“今”を切り取った映画だったのだ。
今現在の世界と地続きの彼方の水平線にこの映画で描き出された世界が黒々と横たわっている、、、そう思うと凄く恐くなった。。
しかし、世界に希望の光を差し込む聖母子のような赤ん坊を見て戦闘が一瞬中断する珠玉のクライマックス、そして白いもやの中から現れるトゥモロー号のラストと希望をほのめかして終わるところがせめてもの救いか。
そして精緻かつ高度なチームプレーで見事なシーンの数々を作り出したアルフォンソ・キュアロンをはじめとする映画の作り手たちに、これからの映画体験における夢と希望を与えられたような気がする、といえば言いすぎかな。。
まぁ自分はこのラストの後も1時間は映画がつづくんだろうなぁとフツーに思ってたので、ええ゛っ?ここで終わっちゃうの?と、、正直もっと先を見たい、この映画の未来を見たいという思いに駆られてしまった。。
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ザ・ウォーカー(2010年・アメリカ・118分)WOWOW
監督:アレン・ヒューズ/アルバート・ヒューズ
出演:デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニス、レイ・スティーヴンソン、マイケル・ガンボン
内容:核戦争によって荒廃した近未来のアメリカ。イーライという男が、一冊の本を携えて荒野を西へ西へと歩き続けていた。行く手を阻むものは容赦なく倒していくイーライは、水を求めてとある町に立ち寄る。しかし、そこはカーネギーという男が独裁者として君臨する町だった。。
評価★★★/65点
最後に、え゛っ!?そうだったの!?というオチが待っているのだけども、かといってもう1回再見しようという気にならなかったのはこの映画の限界、、というか、“聖書”がどんだけスゲェ本なのかってことがいまいちピンとこない、宗教に無頓着な自分自身の限界にあるのかもしれない。
アメリカ大統領の就任宣誓式や裁判で証人が宣誓する時などに聖書が踏み絵のごとく使われるように、アメリカが聖書の国てことはなんとなく分かれども、例えばカーネギー(ゲイリー・オールドマン)がのたまうところの聖書の言葉があれば世界を支配できるてことが、これ本気でおっしゃってるのw!?と、現実感覚として湧き上がってくるものがないんだよね・・・。
しかしてこの映画、マッドマックスを想起させるようなB級アクションの体裁を取りながらも、“聖書”を単なるマクガフィンとして終わらせる気は毛頭ないらしく、本気テーマとして掲げてるのが逆に映画の立ち位置を複雑なものにしていて、、見づらい(笑)。
例えばインディ・ジョーンズで争奪戦を繰り広げる秘宝に意味を持たせることの無意味さに慣れてしまっている側からすると、ん?ん??なんだこの映画は!?と右往左往してしまうわけでw
そして、一冊の“聖書”の裏に秘められた意味がよく分からないままジ・エンド。
その聖書が実は点字で、カーネギーは読めない、そしてウォーカー(デンゼル・ワシントン)が実は盲目で、その聖書を丸々暗記していたというオチからは、救いの武器にも殺戮の武器にもなりうる宗教の威力というものを曇りなき眼で見定めよということなのかと思ってみたりもしたけど、、もう1回見る気はございませんww
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アイ・アム・レジェンド
出演:ウィル・スミス、アリシー・ブラガ、ダッシュ・ミホク、チャーリー・ターハン、サリー・リチャードソン
監督:フランシス・ローレンス
(2007年・アメリカ・100分)盛岡フォーラム
評価★★★/65点
内容:2012年のニューヨーク。殺人ウイルスの猛威により66億人が絶滅した世界で、おそらくただひとり生き残った男ロバート・ネビル。科学者だった彼は、唯一の話し相手である愛犬サムとともに廃墟と化したNYで絶対的な孤独と闘う日々を送っていた。自分以外の生存者を探して、毎日無線電話で呼びかけるものの3年間応答はなく・・・。
“すごくもったいない映画”
不気味なまでに静まり返り、人っ子ひとりいないゴーストタウンと化したNYの街の光景だけをとっても、この映画を観た甲斐はあったとは思うし、ただのドンパチ映画かなと思っていた予想に反して、たった一人生き残った主人公の日常の孤独や絶望感にかなりの割合でスポットを当てていたのは逆に新鮮だったし、至極丁寧なつくりに見えた。
、、、のだが、中盤以降はまるで何かから逃げるかのような拙速につぐ拙速の展開で、ラストもイマイチ飲みこめず・・・。
まぁ、そもそものところ、ロバート・ネビル(ウィル・スミス)が、愛犬が鹿を追って入り込んだ建物の奥でモゾモゾとひしめき合っている“感染者”たち・ダークシーカーズを見つけた時点で、え゛ッ、これってそういうジャンルなの?とガクッとなっちゃったんだけど。
「サイレント・ヒル」や「28日後...」で十分見たやんていう。。
しかもこの“感染者”たち、ロバートを罠にかけて狂犬を放ったりだとかかなり組織的だし、リーダー風の男もいたりするんだけど、映画ではそこらへんのことに全く触れてないんだよね。
ラストに関しても、DVDに収録されている別バージョンではロバートの罠にかかって実験体にされた女性が実はリーダーの恋人で、彼らは彼女を取り返しに来ただけで、取り戻したら彼らはそのまま去っていくというある種の希望に満ちたものなんだけど、そっちの方が納得いくし、なんで今回自爆エンディングの方を採用したんだろう・・・。
どこの世界でも自爆しないとレジェンドにはなれないってことなのだろうか・・ww
あと、どうやって彼のみが生き残っていき、NYが廃墟と化していったのか、断片的すぎてその過程をもうちょっと丹念に描いてもらいたかったかな。
まぁ、1時間40分枠だと、これがギリギリなのだろうけど、別に2時間半でもええのよ(笑)。
なんだかそれ考えると、すごくもったいない映画だったなぁ・・・。
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イーオン・フラックス(2005年・アメリカ・93分)WOWOW
監督:カリン・クサマ
出演:シャーリズ・セロン、マートン・ソーカス、ジョニー・リー・ミラー、フランシス・マクドーマンド
内容:西暦2011年、人類は新種のウイルスにより99%が死滅。科学者トレバー・グッドチャイルドが開発したワクチンのおかげで生き残った500万人は、汚染された外界から隔てられた都市ブレーニャで暮らしていた。それから400年後、西暦2415年。グッドチャイルド家の圧政に対抗するべく、反政府組織モニカンは、最強の女戦士イーオン・フラックスに君主暗殺を命じるのだが・・・。
評価★★☆/50点
黒髪に染めて黒づくめのコスチュームを身にまとった青い瞳のシャーリズ姐さんを見るぶんには楽しめる作品だが、映画としてはイマイチはじけず、ノレない・・・。
日の丸に番傘に桜吹雪とかなり和風テイストだったのに加えて、あげくの果てに水盾の術まで出てきて、えっ何これ実は忍者映画なの?と思っちゃったけど、そのわりにアクションシーンが迫力ないし。
SFの設定もそれだけとれば面白いんだけど、イマイチまとめ切れていない印象。
いっそのこと藤原紀香で撮った方が良かったんじゃないかww?
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