夢のシネマパラダイス286番シアター:タイム・イズ・ループ
オール・ユー・ニード・イズ・キル
出演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ブレンダン・グリーソン、ジョナス・アームストロング、トニー・ウェイ
監督:ダグ・ローマン
(2014年・アメリカ・113分)盛岡フォーラム
内容:人類が宇宙からの侵略者“ギタイ”の攻撃により滅亡寸前に追い込まれていた近未来。劣勢の統合防衛軍は占拠されたヨーロッパを奪還すべく反攻作戦に打って出ることに。そんな中、軍の広報担当ケイジ少佐は、突然上から呼び出しを食らい、作戦の突入部隊に回されてしまう。しかし戦闘経験ゼロの彼はあっけなく戦死。ところが次の瞬間、気付くと彼は作戦前日に戻っていた。そして再び出撃しては戦死するという同じ一日を何度も繰り返していくが・・・。
評価★★★/65点
スーパーマリオで100UPして、これで100回ゲームオーバーしても大丈夫だ!と狂喜乱舞しようと、ドラクエで仲間を教会で甦らせてホッと一安心しようと、ドラゴンボールやキン肉マンで仲間が生き返って感動しようと、こと映画となると生き返っていいのはキリストとナウシカだけだと思っている良識派の自分(笑)にとっては、トム・クルーズの復活の無限ループは少々胸焼けした・・・。
しかし1回だけならともかく劇中確認できるだけで25回、省略分も加えればその5倍いや10倍は死んでいるわけだから、リセットの乱れ打ちもここまで突き抜けると受け入れざるをえないとはいえるんだけど・・
いや、ツマラなかったてことはなく、反復と省略を上手いこと使い、単調にならないようなリズム感と起伏をつけていて心地よい疾走感で見られるし、各チェックポイントを通過して順調に進んでいたと思われていた攻略チャートが実はそれではクリアできないことが分かり方針転換を余儀なくされるところなんかは、TVゲーム世代にとって楽しめる作りになってはいる。
ただその反面、主人公の死があまりにも軽々に扱われているので映画自体が軽く見えてしまうきらいがあって、「生きるのに疲れた」ではなく「死ぬのに疲れた」という徒労感をにじませるトム・クルーズの頑張りもほとんど効果はなかったかんじ。
またこのてのループものの醍醐味といえるタイムパラドックスの辻褄合わせもガン無視で突き進んでいくので、まぁこれはほんと、TVゲームのエッセンスを取り入れてみましたというだけの映画だよね。
まぁ、輸血によってループ能力を失い一発勝負になった大団円は、一転してまるで死神が主人公を避けていくかのようなご都合主義になっちゃって笑えたけどw
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LOOPER/ルーパー
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラント、ポール・ダノ、ジェフ・ダニエルズ
監督・脚本:ライアン・ジョンソン
(2012年・アメリカ・118分)WOWOW
内容:2074年。タイムマシンは開発されていたが、その使用は法律で固く禁じられていた。また、すべての人間の体内にマイクロチップが埋め込まれ、殺人も不可能になっていた時代。そのため、犯罪組織は殺したい人間を違法タイムマシンで30年前に送り、ルーパーと呼ばれる殺し屋に始末させていた。そして2044年。ルーパーのジョーは30年後の未来から送られてくるターゲットを淡々と始末する日々を送っていたが、そんなある日、彼の前に送られてきたのは30年後の自分だった…。
評価★★★/65点
タイムトラベルもので自分が自分と接触するというのはタブーとされてきた中、それを逆手にとった筋立ては誰も見たことのないエポックメイキングといえるものだと思うけど、まさかそれがオカルトホラーに舵を切るとはねぇ、、正直あっけにとられた。。
人口の1割に念力能力が備わっているという意味不明な設定に当初からイヤな予感はしていたのだけども、大々的にそれを物語の中でプッシュしてくるとは思わず…。
自分vs自分という前代未聞のプロットを立てた時点でタイムパラドックスといった整合性を気にかけることはほとんど意味をなさないわけだから風呂敷も広げ放題だったとは思うけど、タイムトラベルが未来→過去しかできない一方通行な設定のため話が思ったほど広がっていかないんだよね。
で結局、風呂敷たたむ前に別な小風呂敷広げてごまかしちゃったよみたいな。まさか、ざわわ♪×2なサトウキビ畑の一角だけで話が終わるとは(笑)。。
正直自分が見たいのとはベクトルがちょっと違ったかなと。
超能力少年の母親の名前がサラってことは当初からターミネーターのサラ・コナーに寄せていこうという意図があったのだろうけど、ディテールの適当さを埋め合わせるだけの魅力は今回の映画にはなかったね。。
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オーロラの彼方へ
出演:デニス・クエイド、ジム・カヴィーゼル、エリザベス・ミッチェル、アンドレ・ブラウアー
監督:グレゴリー・ホブリット
(2000年・アメリカ・117分)仙台フォーラム
評価★★★★/75点
内容:父親の事故死から30年。オーロラによる時空の裂け目で現在と過去がつながり、息子のジョンは父が愛用していた無線機で父と交信を行った。ジョンは父親の運命を変えようとするが、同時に未来も変わり、親子は時の流れに翻弄される・・・。
“俺たちはこれが撮りたいんだぁっ、これを見せたいんだぁっ、という明確なオーラに包まれた映画の力技に押し切られたかんじ。”
ちょっとした自分なりの反抗も、映画の力技とそれに屈したにもかかわらず感じてしまった快感の前では完全に霧散してしまった。
でもあえてささやかな反抗を言わさせてもらうならば、とにかくこの映画には至るところに小っちゃい穴がポツポツポツポツ開いていて、虚構というスクリーンの裏側で手ぐすね引いて蠢いている虚無の塊(ダークサイド)が見え見えで。
なんだけど、それらの穴が1つのでっかい穴にはなってないんだよね。だからダークサイドに引きずりこまれることもなく、なんとか映画としての枠組みは存立しているわけで。
それらの穴が1つのでっかい穴にならないように、表面をとにかく家族愛、父子愛という濃い~カリカチュア液でコーティングしまくっているのがこの映画の特徴であり、この映画を最後まで見させたでっかい要因なのだろう。しかもその濃さといったらなかったわけで、濃すぎて濃すぎておかげで★4つ付けちゃいました(爆)。
じゃあ具体的にこの映画にポツポツ開いている穴って何なのか。
いちいち全てを羅列していくのは面倒なので、1番の親玉といえる致命的な穴を挙げておこう。
それは一言でいえば、伏線の皆無そのものズバリだ。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」をはじめとするタイムスリップものの醍醐味は様々に張りめぐらされた伏線にある。断言。
それら伏線があって初めてタイムスリップもののお決まりのディテール変化とかタイムパラドックスといったエレメントが光り輝くわけで。
ところが、この映画には伏線が全くない!!
例えていうならば、バック・トゥ・ザ・フューチャーで、リビアのテロリストにドックが殺されてしまうことを知っているマーティが、1955年のドックに手紙を渡したのにドックは最初見ようともせずビリビリ破いてしまった手紙、あの手紙をベラベラベラベラ最初っから喋くりまくっているのがこの映画なのだ。
これをタイムスリップものとしてみるならば、ホントご都合主義のオンパレードっしょ。それでしかもはやカバーできないからね。だから穴だらけというわけ。
でも観終わってみると、この映画をタイムスリップものとしてみること自体が実はギミックだったのではないかということが頭の中全体に広がっていくわけで。。
それほど“父子愛”は強力だった!?
いや、超強力だったのだ。
なんてったってフランクもジョンもドックみたいな博士でもなければ科学者でもないんだから。
一人の父親と一人の息子、ただそれだけだったのだから。
ここからは余談なんだけど、中学・高校時代はよくラジオを聴いてたんだけど、夜にラジオを聴こうとして周波数を合わせると、ロシア語とか韓国語の放送が聴こえてくる時があったなぁ。ちなみにウチの地域ではニッポン放送も夜しか聴けなかったし。昼間は全くかからなかったのね。
電波って不思議だな。
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タイムマシン(2002年・アメリカ・96分)DVD
監督:サイモン・ウェルズ
出演:ガイ・ピアース、サマンサ・マンバ、ジェレミー・アイアンズ、オーランド・ジョーンズ
内容:1890年代のNY。大学の物理学教授のアレクサンダーは、暴漢に婚約者エマを殺されてしまい、過去に遡って彼女を救いたい一念で4年をかけてタイムマシンを発明。さっそく4年前のその日に戻り、エマを助けようとするが、今度は交通事故に遭って亡くなってしまう。過去は変えることができないのか!?そしてなぜかアレクサンダーは80万年後の世界に旅立ってゆくのだった・・・。え゛ッ?
H・G・ウェルズの同名原作の再映画化。ちなみに監督は原作者の曾孫にあたる。
評価★★☆/45点
“これはタイムトラベル映画といえるのか・・・?”
なんかタイムトラベルとはなんの関係もない話になっているような気がするんですけど・・・。
今までのタイムトラベルを扱ってきた映画から考えても、描き方がちょっと時代錯誤というか、、まぁ原作が古いからあれだけど。
でもねぇ、過去はおろか未来を変えるということに関していっても、かなり安易というかデリカシーがないというか。軽々と描いちゃってるもんなぁ。
あれじゃタイムパラドックスもヘッタクレもないだろ、、、って最初からそんなん描く気もなかったか
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12モンキーズ
出演:ブルース・ウィリス、マデリーン・ストー、ブラッド・ピット、クリストファー・プラマー、ジョン・セダ、デヴィッド・モース
監督:テリー・ギリアム
(1995年・アメリカ・130分)NHK-BS
内容:1996年12月28日、人類は謎のウイルスによって99%死滅した。2035年、原因究明の糸口が不気味な猿のマークと“12モンキーズ”なる謎の言葉にあることを突き止めた科学者グループは、囚人のコールを96年にタイムトラベルさせる。が、機械の故障で90年のフィラデルフィアに降り立ってしまった彼は精神病院に収容されてしまう。しかしそこでコールの世話係になった患者のジェフリーが原因のカギを握る人物であることを突き止める・・・。
評価★★★★/80点
バック・トゥ・ザ・フューチャーは別格としてもタイムトラベルSFとして自分の中ではかなり上位にくる作品。
初めて見た時は犯人は12モンキーズを立ち上げたブラピというミスリードに完全にハマり、ラストで出てきた真犯人にまるで「20世紀少年」のカツマタ君って誰やねんと同じような茫然自失を味わい、その後2,3回見たクチ(笑)。
まぁ、今でこそデヴィッド・モースは名の知れた役者だけど、この時は知らなかったからなぁ。。
ただ、モノクロ作品のような色あせた色調が世紀末を予感させる悪夢的世界観と、ミステリー調の込み入ったストーリーに反比例するご都合主義的タイムパラドックスの平易さの共存は、続けてまた見たいと思わせる魅力があったし、夢うつつの中でフラフラしているブルース・ウィリスと焦点の定まらない視線のエキセントリックなハイ男ブラピの頭のネジ外れちゃってる対決も見ものだったw
そして見終わった時、手塚治虫の「火の鳥」を想起させる無限ループの円環構造から逃れられない、つまり過去は変えられない(自分の死、ウイルスばらまき)という宿命性が実は1番好きなのかもと思った。
不定律の音楽も不気味で良い。
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