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2015年7月28日 (火)

夢のシネマパラダイス202番シアター:図書館戦争

図書館戦争

20130105_7b4155出演:岡田准一、榮倉奈々、田中圭、福士蒼汰、西田尚美、嶋田久作、児玉清、栗山千明、石坂浩二

監督:佐藤信介

(2013年・東宝・128分)WOWOW

内容:2019年に制定された“メディア良化法”による検閲とそれを実行する武装組織・メディア良化隊に対抗すべく、図書館が創設した防衛組織・図書隊。高校時代に大切な本を目の前で守ってくれた図書隊員に憧れを抱いたことをきっかけに図書隊に入隊した女性・笠原郁は、鬼教官・堂上の下で過酷な訓練の日々を送る。そしてついに彼女は女性初の図書特殊部隊・ライブラリータスクフォースに大抜擢される・・・。

評価★★☆/50点

子供だましのドンパチが始まった途端急激にツマラなくなった“ごっこ映画”という言葉が一番しっくりくるかな・・。

特定秘密保護法案が成立し、国民の知る権利が侵害されている現在、この映画で描かれるメディア良化法が制定された検閲社会は絵空事ではないリアリティがあるし、現に中国なんかは今でもそういうことやってるし、日本だって戦前はそういう世の中だった。

その点では武力による実行行使も辞さないメディア良化隊なる武装組織が存在する世界観には一定のリアリティがあり違和感はない。

が、問題はそれに対抗する図書隊も武装化が許され合法とされているところだ。

強制力がハンパない検閲を合法としておきながら、反検閲組織をも合法とするのは明らかな矛盾だろう。しかもその合法とされる者同士が撃ち合いをしてしまうのだからそんなオカシな話はないw

ここはどう考えても普通に違法なレジスタンスとした方が無理がないように思えるんだけど。そこがずっとピンと来ないまま安っぽい恋愛ごっこまで見せられちゃっては幻滅もいいところ・・。

ただ、唯一この映画の描写で考えさせられたのは、このトンでもない法案が施行されたにもかかわらず、世の中の景色が普段の日常と何ら変わりがないという点だ。

特定秘密保護法案や憲法解釈の変更だけすればオッケーというゴリ押しの安保法制とか現実の社会でもきな臭い空気が漂い始めていると思うんだけど、自分も含め無関心が生み出す世の中の空気に流され、ある時ふと気付いたら自分の国が平気で人を焼く国になっていたなんてことになったら怖いよなぁ、、と。

実は他人事ではない怖い映画なんだよねこれって。

だからこそ、そこんとこをちゃんと描くガチな映画を見たかったなってことで、残念賞

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華氏451

Fahrenheit451dvdcover 出演:オスカー・ウェルナー、ジュリー・クリスティ、シリル・キューザック、アントン・ディフリング

監督・脚本:フランソワ・トリュフォー

(1966年・イギリス・112分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

内容:極度に機械化され、あらゆる知識や情報がテレビで伝達される未来社会では、読書が禁止されていた。隠された本を焼却する焚書隊の一員のモンターグは、本を隠し持った妻にそっくりの女性と出会って恋に落ち、彼女を通して本の魅力を知る。彼を逮捕に来た隊長を殺害したモンターグは、人々が自由に読書を楽しみ、それを後世に伝えようと一冊ずつ暗記しているという「本の国」に逃亡するが・・・。

“これを観て、本を読みたいとは別に思わなかったけど、映画を見たいとはつくづく思った。”

サンダーバードかよっ!と思ってしまう消防隊ならぬ焚書隊の出動シーン、壁掛けテレビから流れてくる奇妙な双方向番組、乗り降りが大変そうな階段付きモノレール、車の走っていない郊外の街、ジェット噴射機を背負って空を飛ぶ人間、なのにボートは手漕ぎ・・。

そういうチープさとレトロ感の入り混じった40年前に捉えられた近未来を、赤や緑の原色を使った人工的な世界観で描写した絵づくりは素敵で、本の燃えていく様は美的ともいえるセンスを発揮している。

さすがはトリュフォー、映像詩人と呼ばれるだけのことはある。

この映画を観て、本を読みたいとは別に思わなかったけど、映画を見たいとはつくづく思った。本の良さというよりは、やっぱ映画ってイイよねていう、そういう気にさせられた作品だったと思う。

その中でも、やはり白眉はラストの白い雪で包まれた森の中で本を暗誦する人々のシーン。

聞くところによると、あの雪は撮影中に偶然降ってきたんだそうで、やはり人工ではない自然の白にはどのシーンもかなわないといったところだろうか。

でも、自分だったら何の本になろうかなぁ。

よし!官能小説を暗記して人々を癒そう!クゥ~~ッ

って、エロ本も発禁なのww!?

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アルファヴィル(1965年・フランス・100分)NHK-BS

 監督:ジャン=リュック・ゴダール

 出演:エディ・コンスタンティーヌ、アンナ・カリーナ、ラズロ・サボ

 内容:1984年。左利きの探偵レミー・コーションは地球から9千キロ離れた星雲都市アルファヴィルに潜入する。アルファヴィルはアルファー60という電子頭脳に支配された思考構造符号化社会で、住民のすべては記号化され、個人の自由は完全に剥奪されていた。そこには愛の言葉さえ存在せず、詩人や芸術家は処刑されまくっていた。そのアルファヴィルに潜入したレミーの目的は、アルファー60を開発したブラウン教授の救出と、先遣隊で行方不明のアンリの捜索だった。レミーは教授の娘ナターシャを救出するのだが・・・。

評価★★★/60点

第3級誘惑係てことは、もちろん第1級もあるわけっしょ。

いったいどんなことしてくれはるんやろ、、、うっ、、映画そっちのけで気になる

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ジョージ・ルーカスのTHX-1138(1971年・アメリカ・86分)NHK-BS

 監督・脚本:ジョージ・ルーカス

 出演:ロバート・デュバル、ドナルド・プレザンス、イアン・ウルフ

 内容:25世紀の未来世界。人類は地下都市に住み、コンピュータの支配下に置かれていた。セックスは禁止、精神安定剤の服用は義務。そんな中、主人公の“THX-1138”は、その管理社会からの脱出を企てる・・・。

評価★★★/60点

セックスは不浄だという未来社会だとぉ。許せん。オイラが言うと信憑性に欠けるけど、決して不浄じゃねえんだ!!

、、と思わせるほど、イヤ~な管理社会を描くことには成功している。

でも、ただそれだけ。。

ルーカスがやりたいこと、見せたいことがたくさんあるらしいってことは何となく分かるのだが、それが空回りしちゃってるかんじ。

見せ方次第ではかなり面白い映画にできると思う。例えば「ガタカ」(1997)だとか。

まぁ、初監督作品としてはこんなとこかといった出来。

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シックス・デイ(2000年・アメリカ・123分)MOVIX仙台

 監督:ロジャー・スポティスウッド

 出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、ロバート・デュバル、トニー・ゴールドウィン、マイケル・ルーカー

 内容:容易にクローンが作れる近未来。テクノロジーの暴走を防ぐための「6d法」により社会は秩序を保っていた。しかし、2010年、帰宅したアダムは、もう一人の自分を目撃。アダムは真相を突き止めようとするが・・・。

評価★★/45点

天下無双のシュワちゃんが2人出てきても、クローンものはやはりキモかった・・・。

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リベリオン(2002年・アメリカ・106分)WOWOW

 監督・脚本:カート・ウィマー

 出演:クリスチャン・ベール、エミリー・ワトソン、テイ・ディグス、アンガス・マクファーデン

 内容:第3次世界大戦後の警察国家。感情こそが戦争の源だとみなされ、人々は精神制御剤の服用を義務づけられていた。ある日、違反者を取り締まる役人プレストンが、忘れていた“感情”に目覚める。そしてただひとり、武術と銃の技術を融合させた究極の戦闘術“ガン=カタ”を駆使して国家に立ち向かう!

評価★★★/60点

好き勝手に人間同士で殺し合うのは自由だが、犬コロまで巻き込むのは頼むから止めれ。。

2015年7月15日 (水)

夢のシネマパラダイス505番シアター:これが歴史上の良い子・悪い子・普通の子!?

清須会議

Kiyosu_large出演:役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市、妻夫木聡、浅野忠信、寺島進、でんでん、松山ケンイチ、伊勢谷友介、鈴木京香、中谷美紀、剛力彩芽、浅野和之、中村勘九郎、天海祐希、西田敏行

監督・脚本:三谷幸喜

(2013年・東宝・138分)盛岡フォーラム

内容:1582年、織田信長が明智光秀の謀反「本能寺の変」で命を落とした。その直後、電光石火で羽柴秀吉が光秀を討ち取り、信長亡き後の主導権争いの筆頭に躍り出る。しかしそれに危機感を募らせる筆頭家老・柴田勝家は盟友・丹羽長秀の手引きで、清須城で織田家の跡目と領地配分を決める評定を開くことにする。信長の三男で優秀な信孝を推す勝家と、同じく次男でおつむが弱い信雄を推す秀吉の対立が顕在化する中、秀吉に恨みを抱く信長の妹・お市の方は色仕掛けで勝家に秀吉打倒を迫る。一方、秀吉のバックには天才軍師・黒田官兵衛が。かくして織田家四天王のうち滝川一益が大遅刻で清須に着かないまま、代わりに池田恒興を加えた4人(羽柴、柴田、丹羽、池田)が清須会議に臨む。

評価★★★☆/70点

原作読むんじゃなかったーっ!というのが真っ先に思った感想w

映画のキャスティングが決まった後に完全な当て書き状態で原作を読んだことに加えて、原作が各登場人物のモノローグ形式で進み、ほぼ映画のシナリオを読むような感覚だったので、映像化を見てもさしたる驚きがなかったのが正直なところ。

なので豪華キャスト陣のアンサンブルを拠り所に見たかんじだったけど、それだけでも十分元が取れるというのは三谷組のパフォーマンスの妙と安定感のなせるわざではある。

また、教科書からは推し量ることができない歴史上の人物のキャラクターに愛すべきコミカルな人間味を肉付けする三谷節のデフォルメの仕方もやはり魅力的で、戦国という修羅場に棲む者たちのロマンと打算が表裏をなす人間関係を濃密にあぶり出しているのはさすが。

なかでも特に大泉洋の秀吉と役所広司の勝家のハマりっぷりは特筆もので、今後秀吉と勝家の人物像はこの2人をイメージしちゃいそうw

あと、三法師擁立のキーパーソンが武田の血を残さんと執念に燃える松姫だったというところも三谷らしい人物の活かし方で上手いなぁと思った。

返すがえすも原作読むんじゃなかった・・(笑)。

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リンカーン

T0007445q出演:ダニエル・デイ=ルイス、サリー・フィールド、デヴィッド・ストラザーン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ジェームズ・スペイダー、トミー・リー・ジョーンズ

監督:スティーヴン・スピルバーグ

(2012年・アメリカ・150分)WOWOW

内容:南北戦争も4年目に入っていた1865年。再選を果たした大統領リンカーンは、奴隷制廃止を定めた合衆国憲法修正第13条の成立に向けて多数派工作に乗り出す。しかし一方、ドロ沼の南北戦争は和平を求める声も強くなり、憲法修正にこだわれば戦争終結を先延ばししなければならなくなってしまう。戦争終結か、奴隷制廃止か、ぎりぎりの選択を迫られるリンカーンだったが・・・。

評価★★★/65点

偉人の生涯を長ったらしく描いていく伝記映画が苦手な自分にとっては、リンカーンはヴァンパイアハンターだったという奇抜な話の方に食指が動いてしまうのだけどもw、今回の南北戦争終戦間近の数カ月に的を絞った構成は伝記映画としては奇抜なアプローチで新鮮ではあった。

しかもそこでひたすら描かれるのは奴隷制を恒久的に廃止するための憲法改正法案を成立させるためにあの手この手を使って行われる多数派工作というのはちょっと呆気にとられた。

しかし、学校で南北戦争を習った時は、北部は奴隷制廃止・保護貿易を旗印に、南部は奴隷制維持・自由貿易を旗印にというキーワードで暗記してた覚えがあるんだけど、奴隷解放が戦争の目的ではなく、あくまで手段でしかなかったこと、そしてそれを法制化することで手段から目的にしようとしたのが憲法修正第13条で、戦争終結=奴隷解放という単純な図式ではなかったことには目が点になった。

さらに、北部の共和党も一枚岩ではなく、奴隷を一気に解放すれば社会が混乱するので廃止しなくていいという考えの人もいたりして、結局リベラルだろうと動かしようのない白人至上主義がはびこっていたんだなといった、自分にとって知られざる歴史の舞台裏に触れられたのは勉強になった。

また、その中で唯一人間の尊厳のことを考えているように描かれていたリンカーンは、純粋な理想主義者という今まで抱いていたイメージと変わらない面を見せる一方、政治課題をクリアにするためには汚い手段に出ることも辞さないしたたかな顔も見せていて、なるほど「平和を実現するためには、犯罪まがいの脅しや、商人が利を追うような奔走といった人脂のべとつくような手練手管がいる。」と言った司馬遼太郎の言葉を思い出して得心がいった。

ただ、そうはいっても映画としては地味だったなぁ、という印象も強くて、国会中継に2時間半どころか20分も付き合ったことがない自分にとっては、見せ場といった見せ場のない室内劇は少々キツかったかな・・

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ガンジー

Ganjia 出演:ベン・キングスレー、キャンディス・バーゲン、ジョン・ギールグッド、マーティン・シーン、ダニエル・デイ・ルイス

監督:リチャード・アッテンボロー

(1982年・英/インド・188分)DVD

評価★★★/65点

内容:無抵抗主義を貫き、インドを独立に導いた指導者ガンジーの生涯を、壮大な映像で綴った伝記映画。1893年、インド人が人種差別を受けていた南アフリカで、イギリスの大学を出た青年弁護士ガンジーは、身分証明焼き捨て運動を始める。その後1915年、インドに帰ったガンジーは英雄として迎えられ、後の首相ネールら若者たちと全国を巡回し、インドの独立を志すのだった。。アカデミー作品賞ほか8部門で受賞。

“映画の冒頭で述べられたごとく、記録に忠実に描きその人の心をうかがい知るのみであるというこの映画のスタンスにおいてはひとまず成功している。”

実は自分は、一歩間違えると時系列ごとに対象となる人の一生をただなぞっただけの薄っぺらい記述に陥りやすい伝記映画というジャンル自体あまり好みではないのだが、3時間という長さにやや辟易しながら観たこの映画も、やはりそのそしりを免れ得ないという印象を抱いてしまった。

しかし、この作品、ガンジーの内面描写が大甘なかわりに、のべ30万人ともいわれるエキストラを動員して活写した圧倒的な行動描写によってガンジーの心をうかがい知るというレベルに到達させているのは伝記映画として一応成功しているといえるのではないかと思う。

将軍でも地主でもなく科学者や芸術家でもない、富も地位もない一個の人間として自らの信ずる精神を世に知らしめたガンジーの信念はやはり偉大だし、それに触れられたのは良かったと思う。

余談になるけど、DVDの特典にガンジー語録というのがあって、ガンジーの不滅の精神を表した崇高な言葉ばかりが並んでいたが、ただ1つ承服できかねるお言葉が・・・。

「人間は生きるために食べるべきであって、味覚を楽しむために食べてはならない」

えーーっ、グ、グルメ否定なんですか

ああ~、やっぱ自分はあなたほど善良な人間にはなれないです。。

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ヒトラー~最期の12日間~

Down 出演:ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、ユリアーネ・ケーラー

監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル

(2004年・独/伊・155分)WOWOW

内容:1945年4月、ヒトラーが地下壕の要塞で過ごした最期の12日間に焦点を当て、彼の個人秘書を務めたトラウドゥル・ユンゲの目を通して歴史的独裁者の知られざる側面を浮き彫りにしていく実録ドラマ。

評価★★★☆/70点

ヒトラーといえば、ヒトラーをコケにしまくったチャップリンの独壇場が痛快に響き渡る「チャップリンの独裁者」。また、チャップリン以上に不気味で毒気たっぷりのブラックさが異様なユーモアを醸し出し増幅させていたキューブリックの「博士の異常な愛情」を思い浮かべてしまう。

また、「シンドラーのリスト」ではユダヤ人全滅作戦という人類史上最凶の狂気と悲劇の元凶となり、「ライフ・イズ・ビューティフル」では美しい人生をいとも容易く破壊してしまう存在として描かれたヒトラー率いるナチス。

デビッド・フィンチャーの「セブン」では、図書館の貸し出し記録から犯人の足がつくわけだが、手掛かりとなりそうな本に「神曲」や「失楽園」と並んでヒトラーの「我が闘争」が挙げられ、この地上に降り立った悪魔のシンボルとして犯人が重ね合わされていたりもする。

はたまたミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」や痛快アクション群像劇「大脱走」から「インディ・ジョーンズ」に至るまで、まさに悪の記号として描かれてきたナチスドイツ。

そう、少なくとも自分はナチスというものをその内部から眺めた視線で描かれた作品というものに出会ったことがなかったし、ひたすら戯画化されてデフォルメされてきたヒトラーを真正面から見据えた作品にも出会ったことがなかった。

だから、戦後ずっと封印され続けてきた、いわばタブーに挑んだ今回のドイツ映画を見て、純粋に新鮮な興味と驚きをもって見てしまった。

徹底した禁酒・禁煙の菜食主義者でヒステリックで神経質な一見弱々しそうなジジイ、、またそのジジイが時おり見せる優しげな眼差し。

今まで人間性のかけらも見出すことさえタブーとされてきたであろうヒトラーに人間性の光が当てられていたのは正直驚いたし、それをドイツ自らが描いちゃったというのはどう理解すればいいのか。。

ドイツの過去の歴史の清算が広くヨーロッパで受け入れられているとみればいいのだろうか・・。

さらに、ナチスを内部から見た作品としても大変興味深く見ることができたのも確かで、そのぶざまな崩壊の過程で、今まで記号でしかなかったナチスの悪魔たちが人間性の光を異常なほど肉付けされていく情景と人間模様には思わず見入ってしまった。

そういう意味では非常に画期的で意義深い作品であるのはたしかだろう。

しかし、ベルリン市民が傷つくことなど全く意に介さない冷酷さと、逃げ惑い死体の山となる市民の映像が重なるにつけ、ユダヤ人大量虐殺と合わせ考えても、何がヒトラーを狂気の独裁者たらしめたのかがいまだに見えてこなかったのはちょっと怖かった。

ただこれだけは言えるだろう。

地下に引きこもり、その密室の机上で戦線図を眺めながら無意味な命令を叫びまくる愚かな姿は、戦争の狂気そのものであり、決して戦場へ出て行くことがない戦争指導者の脳内妄想につき合わされたあげく、割りを食って悲劇をみるのはいつも女子供や一般市民であり、駆り出された少年兵であり、兵隊にとられた若者たちなのだと。

しかもこれはナチスに限った話ではない。戦争を遂行する国すべてに言えることだ。

ふと「シン・レッド・ライン」に出てくるブチ切れながら無謀な命令を下しつづけるニック・ノルティ扮する鬼中佐を思い出してしまった・・・。

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太陽

20061129_256025 出演:イッセー尾形、ロバート・ドーソン、佐野史郎、桃井かおり

監督:アレクサンドル・ソクーロフ

(2005年・露/伊/仏/スイス・115分)盛岡フォーラム

評価★★★/65点

内容:1945年8月。疎開した皇后や皇太子らとも離れ、地下の防空壕か唯一の息抜きの場所である海洋生物研究所での生活を送る裕仁天皇は空襲の悪夢にうなされていた。しかし、敗戦が決定的となる中、御前会議では陸軍と海軍がああでもないこうでもないと息巻く。やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日がやって来る・・・。

“究極の不条理劇”

口をパクパクするだけのナマズと喜劇王チャップリンを足したキャラクターが実際の裕仁天皇その人だったのかは知るよしもないが、明らかにどこぞやのおとぎの国の道化か、はたまた裸の王様にしか見れない人物造型に正直ウププッと吹き出してしまうところだった・・・。いや、思わず笑っちゃったシーンもあったけど。。

日本人にはやんごとなきお方をこんな風に描くなんて到底想像の域を超えてるだろう。例えば、天皇の口の中は臭い!なんてことをフツーに描けちゃうというのはタブーの中のタブーだろう(笑)。

でも、子供の時分にテレビで見た80歳を越えた御老人はたしかにナマズに似ていたような気もするな。

でもホントこう言っちゃぁなんだけど、脳の回路のネジが2,3本吹っ飛んじゃってるようなオカシな人に見えかねないぞこれ。

しかし、一般国民の前に姿はおろか声を聞かせることさえせず(玉音放送で歴代天皇で史上初めて国民に天皇の声を聞かせた)、現人神として崇めたてまつられたいわば“肖像”として、人格はおろか人間性まで否定された中で生きていかなければならない“人間”=裕仁の悲哀がいやが上にも滲み出てくるという意味では、滑稽に過ぎる人物造型は的を射ているのかもしれない。

例えば「あ、そう。。」という呟きに象徴される、闇巣食う虚無の監獄に喰われてしまうかのような絶対的な孤独はよく伝わってくるし。

しかしだ。この作品。どこか心に引っかかりも覚えてしまう。

それは、最も多くの虚無を生み出すのは戦争だということに全く触れることさえしていないことだ。

天皇陛下バンザイ!と叫んで死んでいった兵士220万人、一面焼け野原と化した中で亡くなっていった一般市民110万人、そしてアジアの国々で2000万人が日本軍との戦闘で犠牲になった事実と、為政者としての責任問題を完全無視して、“早く人間になりた~~い”と願う妖怪人間べムばりに個人的問題に2時間ブッ続けで没頭していくことに何か消化不良なかんじも・・・。

どうせだったら、アメリカ大使公邸でロウソクをコップで消したり、楽しげに踊ったりするだけじゃなく、風船型の地球儀で遊べばよかったのに。「チャップリンの独裁者」のパロディとしては最高かつ衝撃のシチュエーションになっただろう(笑)。。

まぁこんなことロシア人に言ってもな。

天皇の問題というのは日本人自身の手で描かなければならない問題なのだから。

現人神から解放され人間になった、自由になった天皇は今現在日本国の象徴として位置づけられている。

しかし、時々テレビで天皇を見ると可哀想に見えてしまうことがある。“現人神”から“象徴”に変わったとはいえ、それは言葉のアヤだけが変わっただけのような。

“象徴”という名の囲いの中で生きていかなければならない“人間”。正直ツライものがあると思う・・・。

ま、いろいろ考えさせられた映画ではあった。

夢のシネマパラダイス286番シアター:タイム・イズ・ループ

オール・ユー・ニード・イズ・キル

Img_0_2出演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ブレンダン・グリーソン、ジョナス・アームストロング、トニー・ウェイ

監督:ダグ・ローマン

(2014年・アメリカ・113分)盛岡フォーラム

内容:人類が宇宙からの侵略者“ギタイ”の攻撃により滅亡寸前に追い込まれていた近未来。劣勢の統合防衛軍は占拠されたヨーロッパを奪還すべく反攻作戦に打って出ることに。そんな中、軍の広報担当ケイジ少佐は、突然上から呼び出しを食らい、作戦の突入部隊に回されてしまう。しかし戦闘経験ゼロの彼はあっけなく戦死。ところが次の瞬間、気付くと彼は作戦前日に戻っていた。そして再び出撃しては戦死するという同じ一日を何度も繰り返していくが・・・。

評価★★★/65点

スーパーマリオで100UPして、これで100回ゲームオーバーしても大丈夫だ!と狂喜乱舞しようと、ドラクエで仲間を教会で甦らせてホッと一安心しようと、ドラゴンボールやキン肉マンで仲間が生き返って感動しようと、こと映画となると生き返っていいのはキリストとナウシカだけだと思っている良識派の自分(笑)にとっては、トム・クルーズの復活の無限ループは少々胸焼けした・・・。

しかし1回だけならともかく劇中確認できるだけで25回、省略分も加えればその5倍いや10倍は死んでいるわけだから、リセットの乱れ打ちもここまで突き抜けると受け入れざるをえないとはいえるんだけど・・

いや、ツマラなかったてことはなく、反復と省略を上手いこと使い、単調にならないようなリズム感と起伏をつけていて心地よい疾走感で見られるし、各チェックポイントを通過して順調に進んでいたと思われていた攻略チャートが実はそれではクリアできないことが分かり方針転換を余儀なくされるところなんかは、TVゲーム世代にとって楽しめる作りになってはいる。

ただその反面、主人公の死があまりにも軽々に扱われているので映画自体が軽く見えてしまうきらいがあって、「生きるのに疲れた」ではなく「死ぬのに疲れた」という徒労感をにじませるトム・クルーズの頑張りもほとんど効果はなかったかんじ。

またこのてのループものの醍醐味といえるタイムパラドックスの辻褄合わせもガン無視で突き進んでいくので、まぁこれはほんと、TVゲームのエッセンスを取り入れてみましたというだけの映画だよね。

まぁ、輸血によってループ能力を失い一発勝負になった大団円は、一転してまるで死神が主人公を避けていくかのようなご都合主義になっちゃって笑えたけどw

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LOOPER/ルーパー

Img_0出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラント、ポール・ダノ、ジェフ・ダニエルズ

監督・脚本:ライアン・ジョンソン

(2012年・アメリカ・118分)WOWOW

内容:2074年。タイムマシンは開発されていたが、その使用は法律で固く禁じられていた。また、すべての人間の体内にマイクロチップが埋め込まれ、殺人も不可能になっていた時代。そのため、犯罪組織は殺したい人間を違法タイムマシンで30年前に送り、ルーパーと呼ばれる殺し屋に始末させていた。そして2044年。ルーパーのジョーは30年後の未来から送られてくるターゲットを淡々と始末する日々を送っていたが、そんなある日、彼の前に送られてきたのは30年後の自分だった…。

評価★★★/65点

タイムトラベルもので自分が自分と接触するというのはタブーとされてきた中、それを逆手にとった筋立ては誰も見たことのないエポックメイキングといえるものだと思うけど、まさかそれがオカルトホラーに舵を切るとはねぇ、、正直あっけにとられた。。

人口の1割に念力能力が備わっているという意味不明な設定に当初からイヤな予感はしていたのだけども、大々的にそれを物語の中でプッシュしてくるとは思わず…。

自分vs自分という前代未聞のプロットを立てた時点でタイムパラドックスといった整合性を気にかけることはほとんど意味をなさないわけだから風呂敷も広げ放題だったとは思うけど、タイムトラベルが未来→過去しかできない一方通行な設定のため話が思ったほど広がっていかないんだよね。

で結局、風呂敷たたむ前に別な小風呂敷広げてごまかしちゃったよみたいな。まさか、ざわわ♪×2なサトウキビ畑の一角だけで話が終わるとは(笑)。。

正直自分が見たいのとはベクトルがちょっと違ったかなと。

超能力少年の母親の名前がサラってことは当初からターミネーターのサラ・コナーに寄せていこうという意図があったのだろうけど、ディテールの適当さを埋め合わせるだけの魅力は今回の映画にはなかったね。。

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オーロラの彼方へ

Dz10_l出演:デニス・クエイド、ジム・カヴィーゼル、エリザベス・ミッチェル、アンドレ・ブラウアー

監督:グレゴリー・ホブリット

(2000年・アメリカ・117分)仙台フォーラム

評価★★★★/75点

内容:父親の事故死から30年。オーロラによる時空の裂け目で現在と過去がつながり、息子のジョンは父が愛用していた無線機で父と交信を行った。ジョンは父親の運命を変えようとするが、同時に未来も変わり、親子は時の流れに翻弄される・・・。

“俺たちはこれが撮りたいんだぁっ、これを見せたいんだぁっ、という明確なオーラに包まれた映画の力技に押し切られたかんじ。”

ちょっとした自分なりの反抗も、映画の力技とそれに屈したにもかかわらず感じてしまった快感の前では完全に霧散してしまった。

でもあえてささやかな反抗を言わさせてもらうならば、とにかくこの映画には至るところに小っちゃい穴がポツポツポツポツ開いていて、虚構というスクリーンの裏側で手ぐすね引いて蠢いている虚無の塊(ダークサイド)が見え見えで。

なんだけど、それらの穴が1つのでっかい穴にはなってないんだよね。だからダークサイドに引きずりこまれることもなく、なんとか映画としての枠組みは存立しているわけで。

それらの穴が1つのでっかい穴にならないように、表面をとにかく家族愛、父子愛という濃い~カリカチュア液でコーティングしまくっているのがこの映画の特徴であり、この映画を最後まで見させたでっかい要因なのだろう。しかもその濃さといったらなかったわけで、濃すぎて濃すぎておかげで★4つ付けちゃいました(爆)。

じゃあ具体的にこの映画にポツポツ開いている穴って何なのか。

いちいち全てを羅列していくのは面倒なので、1番の親玉といえる致命的な穴を挙げておこう。

それは一言でいえば、伏線の皆無そのものズバリだ。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」をはじめとするタイムスリップものの醍醐味は様々に張りめぐらされた伏線にある。断言。

それら伏線があって初めてタイムスリップもののお決まりのディテール変化とかタイムパラドックスといったエレメントが光り輝くわけで。

ところが、この映画には伏線が全くない!!

例えていうならば、バック・トゥ・ザ・フューチャーで、リビアのテロリストにドックが殺されてしまうことを知っているマーティが、1955年のドックに手紙を渡したのにドックは最初見ようともせずビリビリ破いてしまった手紙、あの手紙をベラベラベラベラ最初っから喋くりまくっているのがこの映画なのだ。

これをタイムスリップものとしてみるならば、ホントご都合主義のオンパレードっしょ。それでしかもはやカバーできないからね。だから穴だらけというわけ。

でも観終わってみると、この映画をタイムスリップものとしてみること自体が実はギミックだったのではないかということが頭の中全体に広がっていくわけで。。

それほど“父子愛”は強力だった!?

いや、超強力だったのだ。

なんてったってフランクもジョンもドックみたいな博士でもなければ科学者でもないんだから。

一人の父親と一人の息子、ただそれだけだったのだから。

ここからは余談なんだけど、中学・高校時代はよくラジオを聴いてたんだけど、夜にラジオを聴こうとして周波数を合わせると、ロシア語とか韓国語の放送が聴こえてくる時があったなぁ。ちなみにウチの地域ではニッポン放送も夜しか聴けなかったし。昼間は全くかからなかったのね。

電波って不思議だな。

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タイムマシン(2002年・アメリカ・96分)DVD

 監督:サイモン・ウェルズ

 出演:ガイ・ピアース、サマンサ・マンバ、ジェレミー・アイアンズ、オーランド・ジョーンズ

 内容:1890年代のNY。大学の物理学教授のアレクサンダーは、暴漢に婚約者エマを殺されてしまい、過去に遡って彼女を救いたい一念で4年をかけてタイムマシンを発明。さっそく4年前のその日に戻り、エマを助けようとするが、今度は交通事故に遭って亡くなってしまう。過去は変えることができないのか!?そしてなぜかアレクサンダーは80万年後の世界に旅立ってゆくのだった・・・。え゛ッ?

H・G・ウェルズの同名原作の再映画化。ちなみに監督は原作者の曾孫にあたる。

評価★★☆/45点

“これはタイムトラベル映画といえるのか・・・?”

なんかタイムトラベルとはなんの関係もない話になっているような気がするんですけど・・・。

今までのタイムトラベルを扱ってきた映画から考えても、描き方がちょっと時代錯誤というか、、まぁ原作が古いからあれだけど。

でもねぇ、過去はおろか未来を変えるということに関していっても、かなり安易というかデリカシーがないというか。軽々と描いちゃってるもんなぁ。

あれじゃタイムパラドックスもヘッタクレもないだろ、、、って最初からそんなん描く気もなかったか

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12モンキーズ

12monkeys2出演:ブルース・ウィリス、マデリーン・ストー、ブラッド・ピット、クリストファー・プラマー、ジョン・セダ、デヴィッド・モース

監督:テリー・ギリアム

(1995年・アメリカ・130分)NHK-BS

内容:1996年12月28日、人類は謎のウイルスによって99%死滅した。2035年、原因究明の糸口が不気味な猿のマークと“12モンキーズ”なる謎の言葉にあることを突き止めた科学者グループは、囚人のコールを96年にタイムトラベルさせる。が、機械の故障で90年のフィラデルフィアに降り立ってしまった彼は精神病院に収容されてしまう。しかしそこでコールの世話係になった患者のジェフリーが原因のカギを握る人物であることを突き止める・・・。

評価★★★★/80点

バック・トゥ・ザ・フューチャーは別格としてもタイムトラベルSFとして自分の中ではかなり上位にくる作品。

初めて見た時は犯人は12モンキーズを立ち上げたブラピというミスリードに完全にハマり、ラストで出てきた真犯人にまるで「20世紀少年」のカツマタ君って誰やねんと同じような茫然自失を味わい、その後2,3回見たクチ(笑)。

まぁ、今でこそデヴィッド・モースは名の知れた役者だけど、この時は知らなかったからなぁ。。

ただ、モノクロ作品のような色あせた色調が世紀末を予感させる悪夢的世界観と、ミステリー調の込み入ったストーリーに反比例するご都合主義的タイムパラドックスの平易さの共存は、続けてまた見たいと思わせる魅力があったし、夢うつつの中でフラフラしているブルース・ウィリスと焦点の定まらない視線のエキセントリックなハイ男ブラピの頭のネジ外れちゃってる対決も見ものだったw

そして見終わった時、手塚治虫の「火の鳥」を想起させる無限ループの円環構造から逃れられない、つまり過去は変えられない(自分の死、ウイルスばらまき)という宿命性が実は1番好きなのかもと思った。

不定律の音楽も不気味で良い。

2015年7月12日 (日)

夢のシネマパラダイス591番シアター:ゼロ・グラビティ

オデッセイ

T01a_168108出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・ペーニャ、ケイト・マーラ、ショーン・ビーン

監督:リドリー・スコット

(2015年・アメリカ・142分)盛岡フォーラム

内容:人類3度目となる火星の有人探査計画で火星に派遣された6人の探査隊は、巨大砂嵐に見舞われミッション中止を余儀なくされる。しかし、撤収の際にクルーの一人で植物学者のマーク・ワトニーが、突風に襲われ行方不明になってしまう。生存が絶望視される中、他の5人はやむなく捜索をあきらめ地球へ引き上げて行った。が、実はマークはかろうじて命を取りとめていた。食料は残り1年分、通信装置は故障、そして次の探査隊が来るのは4年後。そんな絶望的状況の中マークの生存をかけた挑戦が始まる・・・。

評価★★★★/75点

「ゼロ・グラビティ」を見て確信したことがある。

それは最もなりたくない職業は宇宙飛行士だということだ。

閉所恐怖症の自分にとって究極の密閉空間が宇宙であることを思い知らされたこの映画では、漆黒の宇宙空間を永遠に漂い続けるであろうジョージ・クルーニーの身の上を思っただけで恐怖と絶望で背筋に悪寒が走り続けたくらいだったわけで

そんな中で、今度は地球から2億3千万キロ離れた火星にたった一人置き去りにされてしまった宇宙飛行士の「南極物語」に勝るとも劣らない561日間に渡る究極サバイバルが描かれるということで、だから宇宙飛行士には絶対なりたくないんだよ!と再認識する、、はずだった。

しかし、フタを開けてみたら、80年代のダサいディスコミュージックをズンチャカかき鳴らしながらユーモアと茶目っ気たっぷりの主人公マーク・アトニーが伝授する“火星で楽しく自給自足するためのハウツーもの”になっていて、正直ややズッコケ

裏を返せば、平常心で見ていられたので良かったんだけど、なんか自分が大好きな漫画「宇宙兄弟」に通底するポジティブシンキングに満ちていて。。

その時、あそっか、ひとつのミスが命取りになる宇宙飛行士ってのはそもそもネガティブ思考では到底できない仕事なんだよなと当たり前のことに思い至った(笑)。

そして思い返してみると、このとにかく明るい安村wは、火星に置き去りにされてから一度も泣くことなく560日間過ごし続けたのだ。自分だったら三日三晩すすり泣き途中で発狂してしまうのがオチだろうけど、植物学者のマーク・アトニーは自分でセルフ手術するわ、水を作るわ、ジャガイモ育てるわ、あげくの果てに火星を植民地にしたどー!!と狂喜乱舞する始末。

コイツってもともと宇宙人なんじゃないかと思ってしまうようなレベルのポジティブ思考にはただただ脱帽する他にない。

しかし、火星脱出という561日目、ついに彼は緊張の糸が切れたように泣きじゃくる。

やはり地球人だったんだと一安心したマークの号泣シーンが映画の中で最も印象に残った。そして自分の宇宙服の手の部分に穴をあけて、救出に来た船長めがけてウルトラマンポーズでイチかバチかの宇宙ダイブをするマークの他者への渇望に痛いほど共感し、頼むから船長のもとにたどり着いてくれー!と完全に感情移入してしまった。

やはり人は一人では生きていけないんだなぁと痛感!

しかし、こんな真っ当な映画をリドリー・スコットが撮ったというのがけっこう意外で、壮大な大風呂敷広げたけどどっかが破綻しているのが常で、でもそのハッタリが重厚なハリウッド大作として昇華されてしまうのが巨匠リドリー・スコットたるゆえんなんだけど、今回は妙に上手くまとまりすぎていて、そういう意味では逆にちょっと消化不良だったかもw

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ゼロ・グラビティ

Poster2出演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー、エド・ハリス(声)

監督・脚本:アルフォンソ・キュアロン

(2013年・アメリカ・91分)盛岡フォーラム

内容:地上600kmの宇宙空間。ロシアが廃棄処分のため爆破した人工衛星の破片が、軌道上を周回していたスペースシャトルを直撃。ちょうど船外活動をしていた女性エンジニアのストーン博士とベテラン宇宙飛行士コワルスキーが、酸素も重力も音もない漆黒の宇宙空間に投げ出されてしまう。わずかに残された酸素と2人を繋ぐ1本のロープに望みを託さなければならない絶望的な状況の中、地球への帰還を目指し決死のサバイバルが始まるが・・・。

評価★★★★/80点

最近めっきり星空を見上げることもなくなったけど、子供の頃はプラネタリウムが大好きだったし、少年野球の帰り道に家までの長い坂道を登りながら天の川をしょっちゅう見ていたことを覚えている。

星々や星座の話を聞くのも好きだったし、宇宙の果てはどうなってるんだろうとか星はなんで光っているんだろう、宇宙ができる前はどんな世界だったんだろうと思いを馳せたりして宇宙に対する好奇心は人一倍持っていたように思う。

しかし、かといって宇宙飛行士になって宇宙に行きたいとはこれっぽちも思わなかった。

それは好奇心と同時に、空気がなく暗黒に包まれ、全てを飲み込むブラックホールがあり、何より地球に戻って来れなかったらどうなるんだろうという未知なるものへの恐怖心を抱いていたからだけど、それはあくまで無意識に思う漠然としたものだった。

しかし今回の映画を見て、なぜ自分は宇宙に行きたくないのか、その理由といっていい宇宙に対する言い知れぬ恐怖を如実に体験してしまった。

そう、体験といったけど、自分は宇宙に行ったことがある!なぜならこの映画を見たからだ!と豪語できるほど今まで見たことのない未体験ゾーンを味わわされた。

そして自分の宇宙に対する恐怖心の源泉は閉所恐怖症なのだということも思い知らされた(笑)。

船内ではなく広大な宇宙空間に人物がいる時の方が症状が重かったことには面食らってしまったけど、でも考えてみれば無限に広がる漆黒の闇と死の世界の中で自分の生を保証するものは一本の命綱と宇宙服をまとった極狭の中にしかないわけで、さらに酸素残量は減っていくばかり・・・。こちらの息苦しさが増すばかりなのは自明の理なのだった

しかし、かといってこの映画を見なければよかったとはこれっぽちも思わなかった。

この切迫する恐怖は劇場のスクリーンでなければ味わえないものだっただろうし、自分の意思で動くことができず、逆に一度動き出したら永遠に止まらないという無重力による足場のない浮遊感、さらに虚無の深淵に落ちていきそうな不安とアトラクション的快感が一緒くたに押し寄せてくるような不思議な感覚もまたスクリーンでなければ味わえなかっただろうからだ。

そして、だからこそ大地を身体全体で感じ踏みしめるラストはこの上ない喜びと安らぎを与えてくれたのだろう。全てを育む母なる大地・地球のありがたみをこれほど感慨深く思ったことはない。

“土に根を下ろし、風と共に生きよう!”“どんなロボットを操っても人は土から離れては生きられないのよ!”、、シータの名セリフが頭に響いて止まらなかった(笑)。

広大な世界の片隅に生きるちっぽけな自分。

ちゃんと生きなきゃ!

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アポロ13

B000062vr8出演:トム・ハンクス、ケヴィン・ベーコン、ビル・パクストン、エド・ハリス

監督:ロン・ハワード

(1995年・アメリカ・140分)盛岡フォーラム

内容:アポロ11号の月着陸成功から9ヵ月後の1970年4月、3人の宇宙飛行士を乗せたアポロ13号が打ち上げられた。しかし、月を目前にして爆発事故が発生。酸素と電力の供給システムが壊滅的なダメージを受けてしまう。地上では生還が絶望視されていたが、NASAのフライトディレクター、ジーンは何としても3人を生還させようと決意する。

評価★★★/65点

広い広すぎる広大な宇宙に取り残される小っぽけな宇宙船と人間。

正直いって酸素がなくなっていく宇宙船の圧迫感、閉塞感も薄ければ、人間描写も薄いと感じてしまった。

広大な宇宙の中で繰り広げられる小っぽけな人間が右往左往する格闘劇といえばいいのか、、あまりにもそのギャップがありすぎて、事実を基にしているという重みすらはっきりいって感じられなかった。

様々な宇宙SFものと同じ範疇にある端くれとして見てしまった、というかそう見ざるを得なかったと言った方が正しいかな。

ロン・ハワードといえばジャンル的に何でも撮れる万能タイプの監督だけど、「スプラッシュ」(1984)や「コクーン」(1985)から実績を積んできたように、最大の強みはSFファンタジー畑での自由奔放なイマジネーション能力にあると思う。

それは言いかえれば大げさでわざとらしい映像テクニックをディテールにどんどん盛っていくということだけど、その本領が最も発揮されて上手く人間ドラマとかみ合ったのが、まるで生き物のような炎のVFX映像に圧倒された「バックドラフト」(1991)だと思う。

ところが今回の宇宙からの脱出映画は、実話通りの実証的でリアルな映像作りにロン・ハワード本来の自由奔放さが抑え込まれてしまった印象が強くて、それが少々自分の肌に合わなかったのかなと。

あとはなんだろ、この映画って船長のトム・ハンクス以上に、管制室で救出作戦の地上スタッフの陣頭指揮を取るエド・ハリスの方が印象深かったりして、その冷静沈着ぶりが宇宙船の絶望感を削いでしまったような気も・・。

まぁ、ロン・ハワードと実話ものって、アカデミー賞獲った「ビューティフル・マインド」もそうだったけどなんか合わなくて

自分に問題ありか・・w

2015年7月 8日 (水)

太平洋戦争の記憶シリーズ第8号:広島への原爆投下とポツダム宣言

200903_27_19_f0166919_21113825今号のトピックは昭和20年8月6日、広島への原爆投下だったけど、今回なにより1番興味があったのが新聞記事だった。

原爆について当時の新聞はどう伝えたのか、あるいは伝えなかったのか・・・。

すると意外にも大本営発表は翌日の8月7日、紙面に載ったのは2日後の8月8日と、日本にとって悪い情勢は隠し通し、情報操作することが常套手段だった大本営発表としてはかなり早い。しかもこじんまりとした見出しではあるものの一面トップだし、詳細は調査中としながらも“B29小数機で来襲攻撃”、“落下傘付き空中で破裂”、“人道を無視する残虐な新爆弾”と的確に伝えていて、日本にとって最後の一撃となった原爆投下がいかに衝撃的だったかが推測される。

また、終戦を伝える8月15日の毎日新聞には、理化学研究所の専門家が原子爆弾とはどのような原理のものなのか説明した詳細のほか、9日に広島に調査に入った記者の現地報告も載せられている。

中心地の近くに1台の電車が焼けた残骸のまま停まっていたが、遠目から見るとその中に人がずらりと並んでいる。奇妙な所で休息しているものだなと近寄ってみると、なんとこれは全て死体なのだった。走っている電車の中で突如新型爆弾の一閃を受け、その爆風をこうむった人々が、席に腰かけたまま、あるいは吊り革に下がったままの姿で折り重なっている・・・。

あの日、疎開建物の取り壊しに義勇隊や学生たちが半裸体で忙しく活動していたが、魔の一閃は彼らの露出した皮膚面を一瞬に焼き尽くし、つるりと剥けた皮膚をあらわにしながらその場に悶え倒れたまま再び起き上がることはなかった。そしてそれに引き続いて起こった火災のため一片の骨すら残らずに焼かれてしまったのだ・・・。

鉄兜をかぶっている人々の一群が多数この災に遭ったところがあった。そこでは焼け跡に点々と鉄兜の残骸がみられたが、その中には人々の頭蓋骨が残っていた・・・。

9日に広島に到着した際、主要道路には1個の死体を見ることさえなく、その焼け跡の清掃の行き届いていることに感激したが、実はよくよく調べてみるとそうではなかった。中心地付近でふた抱えもあると思われる楠の木がへし折られるほどの爆風が真上から作用したので建物は完全にペチャンコに押しつぶされ道路にはみ出した物はなかったわけなのだ。しかも烈火がその跡を焼き尽くしたゆえに道路はきれいなままだったのだ。それに広島の焼け跡を見て特に感じたのは、コンクリート建物以外何も残っていないことだった。他所の焼け跡には必ず見られる土蔵の残骸がひとつもないのだ。爆風の強さがいかに強烈なものであったかが窺われる。”

と、このように広島の惨状は伝えられているものの、なんと8月9日に投下された長崎については一言も触れられていない。長崎への原爆投下は国民には知らされなかった・・・。

また、史上空前の残虐爆弾と銘打っておきながらも、肝心の放射能についてはほとんど触れられておらず、放射線よりも紫外線の方が大きく取り上げられている。

“輻射線(紫外線を主とし熱線および可視光線を伴う)の影響は爆発中心地に近いところの人は強度の火傷を受け、離れた地点の人は露出した皮膚に1度ないし2度の火傷を受けている。また輻射線の特殊の影響として次の現象が挙げられ、この光線は紫外線ではないかと思われる点が多い。

一、ガラス窓の内側にいた人は爆風力による裂傷を受けてはいるが火傷は受けていない。紫外線はガラスを通過しないからである。

一、白色の衣服を着た人はその衣服は焼けていないが、黒色または国民服の衣服は焼けている。また駅に掲示してあった列車時刻表の黒字が焼けているにかかわらず白紙には影響がなかった。なお中心点の建造物の室内でアルミの飯盒を手にしていた3名が全身無事だったのに飯盒を持っていた手が激しい火傷を受けている。これは窓の位置の関係でその部分のみが光線に当たりアルミに乱反射したものと思われる。

一、川の魚が背を焼かれて2日後に死んで浮き上がってきたのは、紫外線が数十センチならば通過するからそのための現象であろう。”

その上で新型爆弾への対策として挙げられているのが、

一、雨天または曇天の日は輻射線は雨滴に乱反射して効力が減少するが爆風圧に変わりはない。異常の閃光を中空に認めたときはすぐに遮蔽物に隠れるか、間に合わないときは伏せること。そして折り目をつけた白色の衣類を着用するか常携すること。警報発令中は防空頭巾と手袋をつけ、また帽子の後ろに白色の垂れをつけること。紫外線除け眼鏡(今でいうサングラス?)は非常に有効である。

一、火傷の治療法は一般の火傷とまったく同じだから動植物油か2、3倍に薄めた海水を常に携行すること。被ばく中心地は放射性物質が広く撒布されており身体に悪影響を及ぼすため長期滞在は危険である。

と、ここでようやく申し訳程度に放射能について述べられているが新聞を読んで事の重大さに気づいた人はほとんどいなかっただろう。しかもこれを戦争が終わった日に読んでももう遅いよねっていう・・w

ただ原爆投下に衝撃を受けたのは世界も同じだったようで、イギリス紙では自己破壊の域に達した技術の粋がついに人類を奈落の底に落としかねないとして原子爆弾の国際管理をこの時点ですでに主張していて興味深い。

さて、次は原爆についての紙面同様に最も興味をそそられる8月15日終戦を新聞はどう伝えたのか、、、。

で、最も目が点になったのは、テレビで8月15日といえばよく流れる“堪え難きを堪え~忍び難きを忍び~以て万世のために太平を開かんと欲す・・・”という天皇の玉音放送の一節なんだけど、これって終戦詔書の本当にごくごく一節だったんだねってことw

詔書の全文が15日の紙面に載ってるんだけど、こんなに長い文言だとは知らなかった。しかも何言ってるんだか分からないし 

よく玉音放送を聞いても日本が負けたことを言ってるとは思わなかったと言ってる戦争体験者がいるけど、たしかに分からんわw

次にその日の毎日新聞の社説や記事はどうなっていたのか。

“昭和16年12月8日大東亜戦争勃発以来3年8ヵ月、昭和12年7月7日支那事変以来8年、日本国民はついに戦勝の鐘を聞くことなくして終局に到達した。この時しどろに乱れんとする心境を貫く一念は、この大戦を通じて祖国の祭壇に貴い生命を捧げた勇士たちに対する熱い感謝の一念である。

日本国民が自衛のために剣を抜いて4年、目に余る敵に対して血と涙と汗とをもって戦い続けたが、結果は今日の事態となった。ここに至った理由と原因とを探求すれば、大なるもの小なるもの実に無数のことが指摘されるであろう。したがって責任論も国民の念頭を去来せずにはすまないであろう。

しかし、我々はこの際において責任論など省みようとは思わない。自身の不肖(新聞の責任)を意識することあまりにも強く、また国家の不幸から受ける悲しみがあまりにも深いからである。過去から得る教訓は貴いが、しかしながら我々は断じて過去にとらわれ過去の囚人となってはならない。強大日本の建設に失敗したがために日本民族が死滅するというならばそれまでの話である。しかしながら人類の歴史を見るに、民族的大不幸の例は枚挙にいとまがなく、それが価値ある民族であるかぎり、大不幸は民族に与えられた試練であったのである。更生の能力ある大民族はその試練を経て新しい運命を開拓するのである。

悲しみの中の大幸は皇室の御安泰である。国民は恭敬をもって皇室をいただき、いかなる悲しい境遇に遭っても精神的に崩壊することなき国民の奥ゆかしさと温かい心をもって新しい生活に入らねばならぬ。”

まず最も衝撃的なのが、この時点ですでに戦争責任を究明することはしないと宣言していること・・・。

で、その考えの裏には自衛のために剣を抜いてとあるように、この戦争は正しい戦争だったという考えがあるからだろう。別な記事では、この戦争についてこうある。

“大東亜戦争は、自存自衛の戦いであるとともに大東亜の解放戦であった。久しく植民地の地位にあった東亜諸民族は、わが公正な戦争目的によって相次いで自由なる独立を許された。今後東亜がいかなる事態になろうともわが正義は燦然として光を保ち東亜諸民族の心奥に生き続けるであろう。これこそ大東亜戦争が世界史に与える最大の成果である。”

つまり結局、要約すると、自分たちは悪くはないけど負けちゃったから仕方がないよねっていうことでしょ。

なななんと終戦の日に、すでに日本は開き直っていた!というオチwwって笑えねーよ。何百万死んだと思ってるんだ・・。

あとは戦争に負けたからといって天皇統治の大権はかわりなく維持すること、いわゆる国体護持が当たり前のように唱えられているのも興味深いところで、“貫き通せ国体護持”とか“皇国興隆へ新出発”といった見出しが載っている。

結局ここの点はアメリカGHQの圧力で日本国憲法が作られ、国民主権となっていくわけだ。

でも、今回の8月15日の新聞の主張や考え方って、まんま今の安倍晋三と自民党そのものなわけでしょ。

戦前の空気と今の雰囲気が似ていると最近聞いたりしてあまりピンと来てなかったけど、こういうのを見るとたしかにちょっと怖いかもって思う。

2015年7月 5日 (日)

夢のシネマパラダイス408番シアター:ジャッキー押忍!おススメ傑作列伝

プロジェクトA

51d98cnmw9l__sl500_aa240_ 出演:ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポー、ディック・ウェイ

監督:ジャッキー・チェン

(1984年・香港・105分)DVD

内容:20世紀初頭の香港を舞台に、海上警察と陸上警察のいがみ合いと海賊討伐を、徹底したアクションで描いたジャッキー・チェンの娯楽大作。ドラゴンが所属する海上警察隊と、ジャガーが率いる陸上警察隊は、事あるごとにいがみ合っていた。ある日、両者は酒場で乱闘騒ぎを起こし、その非が海上警察側にあるとの裁定が下ったことで、ドラゴンたちは陸上警察に組み込まれてしまう。しかし、大掛かりな密輸組織を追って、大立ち回りを演じたドラゴンは、ジャガーと意気投合した。

評価★★★★☆/85点

“ジャッキーに飛び蹴りされたい!”

しかし、ジャッキーの決死の時計台からの落下シーンでの落下直後のセリフが、

「1つ大事なことを学んだよ。地球には間違いなく引力があるよ。エヘヘ。」って(笑)。

この期に及んでもまだ笑いを取りにいくジャッキー。

深刻さなど微塵もみせないジャッキーの映画魂にはホントに感服してしまう。

オイラの中でジャッキーはハロルド・ロイドやバスター・キートンをも超えた!まさに伝説

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サンダーアーム龍兄虎弟(1986年・香港・98分)NHK-BS

 監督:ジャッキー・チェン

 出演:ジャッキー・チェン、アラン・タム、ローラ・フォルネル

 内容:数千年の昔、聖地エルサレムを中心とする宗教戦争で、6種の「神の秘宝」が各地に四散した。そして、その6種の秘宝を集めることに狂奔していた邪教集団の教祖は、宝探しのプロフェッショナル“アジアの鷹”ことジャッキーに目をつける・・・。ジャッキーが石垣から木に飛び移るシーンの撮影中に誤って落下、頭蓋骨陥没骨折の重傷を負ったことでも有名。

評価★★★☆/70点

誘拐シーンでさえも思わず笑ってしまうほどの演出で彩られている本編を味わった後は、演出の域を超えたシリアスなNGシーンでお口を調えて下さい。

ジャッキー命

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プロジェクトA2(1987年・香港・105分)DVD

 監督:ジャッキー・チェン

 出演:ジャッキー・チェン、マギー・チャン、ロザムンド・クワン、リッキー・ホイ

 内容:前作で海賊グループの壊滅に成功したドラゴンは、その功を買われ水上警察署長に任命された。が、ダイヤ泥棒の濡れ衣を着せられてしまい、さらにドラゴンの就任を快く思わない前署長がドラゴンを失脚させるために陰謀を張り巡らしてきて・・・。

評価★★★★★/90点

TVのリモコンの消音ボタンを押してそのまま観続けても面白さが全く減退することがない。この映画の凄さはそこにこそある。

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プロジェクト・イーグル(1991年・香港・116分)NHK-BS

 監督・脚本:ジャッキー・チェン

 出演:ジャッキー・チェン、ドゥドゥ・チェン、エバ・コーポ

 内容:「サンダーアーム/龍兄虎弟」のキャラクターである“アジアの鷹”が再び登場する、ジャッキー版インディ・ジョーンズ。

評価★★★★/80点

キートンとフェアバンクスはいつものことながら、インディ・ジョーンズにチャーリーズ・エンジェルかよ。ジャッキー最高っ!押忍!

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ツイン・ドラゴン

Pibf1182_l 出演:ジャッキー・チェン、シー・チェン、レン・シークアン

監督:チュン・チュアン

(1992年・香港・104分)DVD

評価★★★★☆/85点

内容:赤ん坊の時に生き別れになり離ればなれに育った双子の兄弟。兄はNYで一流指揮者となり、弟は香港の暗黒街で生きていた。その双子が再会を果たし、マフィアを相手に戦いながら繰り広げる恋のさや当てを描いたアクション・コメディ。ジャッキーは一人二役の大奮闘。

“ジャッキーこそサイレントどたばた喜劇の正統な後継者であるということをこれほどまでに示している映画もなかろう。”

大げさな仕草、単純明快な筋立て!

セリフなんていらない。字幕でいい!

音なんていらない。簡単な想像力だけでいい!

色なんていらない。モノクロでいいんだ!

サイレント映画にしても十分すぎるほど通じちゃうんだ。これぞジャッキーなのだ!

ジャッキー命!押忍っ!

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レッド・ブロンクス(1995年・香港・105分)盛岡中劇

 監督:スタンリー・トン

 出演:ジャッキー・チェン、アニタ・ムイ

 内容:NYのブロンクスで休暇を過ごしていたクーン刑事が、ダイヤ密売シンジケートによって荒廃した街を救うため、巨大な悪に立ち向かう!

評価★★★★★/100点

同時上映だったスタローンの「ジャッジ・ドレッド」がなんとチンケに見えたことか。。

ジャッキー映画の中で実はこれが1番好き。

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                 ・

この後ハリウッドに主戦場を映して約10年間(代表作「ラッシュアワー」「シャンハイ・ヌーン」「タキシード」「80デイズ」etc..)はどれもいまいちパッとしません・・・

                 ・

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THE MYTH/神話

Imgf27cfd53exz1i7 出演:ジャッキー・チェン、キム・ヒソン、レオン・カーフェイ、マリカ・シェラワット、チェ・ミンス

監督・脚本:スタンリー・トン

(2005年・香/中・120分)2006/03/27・MOVIX仙台

内容:我らがジャッキーが初めて挑んだ本格武侠アドベンチャー。考古学者のジャックは最近同じ夢ばかり見ていた。その夢に登場する美しい女性のことが頭から離れないジャックだったが、この夢が何を意味しているのか分からなかった。一方、今から2200年前、秦の時代。皇帝の信頼厚い将軍モンイーは、隣国の朝鮮から迎える新たな妃・ユシュウ姫の警護を任されるが・・・。

評価★★★★/80点

「グリーン・デスティニー」が火をつけ、それ以来毎年のように送り出されてきた武侠映画。

そこに最後の大物ジャッキー・チェンがついに重い腰を上げた、ということだけでもジャッキーファンの自分は感涙ものなのだが、一抹の不安としてあったジャッキーのアイデンティティであるコミカル要素がはたして武侠映画の要素と相容れるのかという部分も、現代(コミカルないつものジャッキー)と2200年前の昔(シリアスなジャッキー)という2段階構成にすることによって、ジャッキーの良さと特徴を活かすことに成功している。

2段階構成にしたことにより武侠映画としては異質になったものの、そのかわりストーリーに深みが増したこと、ジャッキーの硬軟織り交ぜた信頼に足るアクション、今までのジャッキー映画の中でピカ一の韓国美人女優キム・ヒソンが相手役となりロマン要素も十分、中国政府の前面協力によるスケール感アップと久々にジャッキー映画を心ゆくまで堪能できた気がする。

もちろんジャッキー映画に伝統的な稚拙さやご都合主義もいつになく健在なのだが、ジャッキーファンのオイラにとってはこの部分が健在であればあるほどジャッキー映画の良さが際立ってくると思っているので、その点でも合格点です。

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プロジェクトBB

Projekutobb 出演:ジャッキー・チェン、ルイス・クー、マイケル・ホイ、カオ・ユアンユアン、ユン・ピョウ

監督:ベニー・チャン

(2006年・香港・126分)2007/04/10・盛岡名劇

内容:ギャンブル狂のサンダル(ジャッキー)、妻がいながら他の女に貢いでいるフリーパス(ルイス・クー)、心を病んだ妻を抱える大家(マイケル・ホイ)は3人組の泥棒チーム。そんなある日、大家の家に空き巣が入り、盗んで貯めた大金が盗まれてしまった。追いつめられた3人は、ギャングのボスから仕事を請け負い、富豪のリー家から赤ん坊を誘拐してしまうのだが・・・。

評価★★★★☆/85点

「香港国際警察NEW POLICE STORY」(2004)でハリウッドナイズされたジャッキーの香港への原点回帰といえる帰還にもろ手を挙げて喜んでから3年、ついに香港でのジャッキーの本領発揮といえるアクションコメディがお目見えした!

「赤ちゃん泥棒」(1987)はたまた「スリーメン&ベイビー」(1987)をなぞったような、これぞ香港映画というユル~いストーリー、ジャッキー映画十八番のドタバタ劇、そしてジャッキーのコミカル&決死アクションの三拍子そろった、これぞ香港ジャッキー映画決定版といえる出来で、「ツイン・ドラゴン」(1992)を彷彿とさせる三拍子そろった楽天的なジャッキー映画を見ることができて非常に満足度は高かった。

必死の格闘バトルで死人が1人も出ないところもいつもながらに好感が持てるし、今回は吹き替えで観たんだけど、マイケル・ホイ役の広川太一郎の脱力オヤジギャグ満載のアドリブも炸裂して十分に楽しめる。

もうちょっとアクションの方に比重を置いてほしかったかんじもするけど、まぁ年だしねジャッキーも。あんまり無理されてもね。例えば、階段の長い手すり(しかもカーブがかっている)をうつ伏せになって頭から滑り降りるシーンひとつとっても、フツーに考えたら本当に危ないで。エンドロールのNG集にもあったけどさ。

ジャッキー最高!!

しかし、赤ん坊を投げるわ落とすわ引っ掴むわ爆走させるわ凍らせるわ電気ショックを与えるわ、、、アンタらちょっとやり過ぎだぞ(笑)。

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ドラゴン・キングダム

869cdda7 出演:ジャッキー・チェン、ジェット・リー、マイケル・アンガラノ、コリン・チョウ

監督:ロブ・ミンコフ

(2008年・アメリカ・105分)WOWOW

評価★★★★/80点

内容:ボストンに住む気弱なカンフーオタクの学生ジェイソン。ある日、彼は不良たちに脅されて、中国人の老人が経営する馴染みの質屋に盗みに入るハメに。そして不良に撃たれた老人に謎の棒を託されたジェイソンも追い詰められてしまい、ビルの屋上から転落・・・。が、目を覚ますと、そこは言葉も通じない古代中国だった。そんな中、ジェイソンの前にルー・ヤンという酔拳の達人が現れ、その棒がジェイド将軍によって石に封印されてしまった孫悟空の武器「如意棒」だと知らされる・・・。

“これがホントのドラゴンボールだ!!”

宮本武蔵vs佐々木小次郎、武田信玄vs上杉謙信、星飛雄馬vs花形満、バッファローマンvsウォーズマン、矢吹丈vs力石徹、孫悟空vsべジータ、アル・パチーノvsロバート・デ・ニーロ、、、

これらドリームマッチにまた新たな1ページが加わった。

ジャッキーvsジェット・リー!!

この2人の共演を見れただけでもファンとしては嬉しいかぎりだけど、往年のカンフー映画にオマージュを捧げつつ、元祖酔拳のジャッキーと元祖少林寺拳法のジェット・リーという最高の素材を甦らせた手腕もなかなかのもので、しかもこれを実現したのがアメリカ映画というところがスゴイしビツクリ。

かなり香港映画のお勉強というか好きじゃないとこういうのは作れないと思うんだけど、2人のキャラを殺さずに両雄並び立たせた作り手の上手さには思わず納得してしまった。

スター・ウォーズでいえば、オビワン・ケノービとマスター・ヨーダにジャッキーとジェット・リーをあてて、2人の間にルーク・スカイウォーカー役のカンフーオタク少年を介在させるつくりは、まぁ型にハマりすぎているといえばそれまでだけどもね。

でも、これしか選択肢はなかっただろうし、あるいはハリウッドに対抗して本場香港でホンモノの1本を2人に作ってもらうってのは欲張りかな。。

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ライジング・ドラゴン

Poster出演:ジャッキー・チェン、クォン・サンウ、ジャン・ランシン、ヤオ・シントン、リャオ・ファン、オリヴァー・プラット

監督:ジャッキー・チェン

(2012年・香港・124分)WOWOW

内容:19世紀の清王朝時代。英仏列強により清がズタズタにされた際に十二支をモチーフにした国宝が略奪された。そして現代、世界中に散らばった12体の秘宝を探し出すという依頼を受けた“アジアの鷹”と呼ばれるトレジャー・ハンターのJCは、特殊チームを結成し、世界各地へ繰り出していく・・・。

評価★★★/65点

まずは一言。ジャッキー!今まで本当にお疲れさまでした!

と、感謝とねぎらいの言葉をかけてあげたい。しかし同時に、今回の映画を見て、ああ、もうジャッキーの時代は終わってしまったんだなぁと納得せざるを得なくてやるせなくなってしまった。

それは言いかえればこの映画に心躍らなかった、つまりジャッキーアクションは古臭いと思ってしまったということだ。

ジャッキーアクションの神髄は何かというと、スタントマンを使わず自ら体を張ってアクションをこなし、素手で悪党に立ち向かうことにあるけど、その点でみればジャッキーアクションは長きに渡ってハリウッドを凌駕してきた。

例えばジャッキーアクションの頂点に立つといっていい「レッド・ブロンクス」(1995)を劇場で見たときに奇しくもスタローンの「ジャッジ・ドレッド」と同時上映だったのだけど、生身アクションのジャッキーがSFコスチュームに身を包んだスタローンを一刀両断にしたことは象徴的な映画体験だった。

しかし、手ぶれカメラとスピーディなカット割りを駆使し、子供だましではない息もつかせぬ接近戦を描いたジェイソン・ボーンシリーズ(2002~2007)が生身アクションの可能性を広げたことにより、007やミッション・インポッシブルといった老舗シリーズも定番を脱ぎ捨て体を張ったガチモードを標ぼう、アクション映画のハードルは一気にはね上がった。

そのハードルを上げた一因にはカーチェイスの怒涛の臨場感も寄与していることも付け加えておきたいけど、それらをふまえた上で今回の映画を見ると、ローラースーツを全身装備して峠道を疾走する冒頭アクションからして既にヌルくて拍子抜け。

全体的にカットの安直な継ぎはぎ技とCG合成が目立ち、アクションにキレやスピードは感じられず、ハリウッドアクションのスタンダードから一段落ちるレベルを目前にして少なからずショックを受けてしまった。

製作にも関与でき、自分のやりたいように映画を作れる香港映画だったからこそガッカリ度も大きかったかなぁと。

やはりジャッキーも寄る年波には勝てなかったか・・。

まぁ、還暦手前ということを考えれば、これだけ身体が動くというのも逆にスゴイことだし、ジャッキー十八番のコミカル&ハートフル演出の味付けは全く衰えていないのは買いだったけど、政治的な理屈っぽいメッセージも含めて、感触としては“らしくない”作品だったな。

本格アクション映画からの引き際としては正当な見極めだとは思うけど、「ベスト・キッド」(2010)のようにキャリアの積み重ねを次代に薫陶していく橋渡し役としてまだまだ映画に出続けていってもらいたいけどね。

マスター・ジャッキー!!押忍っ!

2015年7月 3日 (金)

夢のシネマパラダイス19番シアター:9.11と映画

ゼロ・ダーク・サーティ

200出演:ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク、ジョエル・エドガートン、ジェニファー・イーリー、マーク・ストロング

監督:キャスリン・ビグロー

(2012年・アメリカ・158分)WOWOW

内容:9.11のテロ以降、CIAはアルカイダの首謀者オサマ・ビンラディンを血眼になって追うも居場所をつかめずにいた。そんな中、ビンラディン捜索の前線基地であるパキスタン支局にまだ20代の女性分析官マヤが配属される。しかし、彼女の奮闘むなしく捜査は困難をきわめ、その後もテロは続発し、マヤの同僚はじめCIA局員にも多くの犠牲が出てしまう・・・。2011年5月、米海軍特殊部隊によるビンラディン暗殺をめぐる舞台裏を映画化。

評価★★★/65点

はたしてこれを見たアメリカ人はビンラディン殺害にもろ手を挙げて快哉を叫ぶのだろうか。だとするならば幻滅せざるをえない。

なぜならテロ撲滅という名の正義のもとで行われる拷問、蹂躙、殺りくはただの醜悪な報復としか見れないからだ。

あげくの果てに他人の家に上がりこんで容赦なく人を撃ち殺す一方、おびえる子供たちには大丈夫だから怖がらなくていいよと言う無神経さには開いた口がふさがらず胸くそが悪くなった。

この映画を見るかぎり、どっからどう見てもアメリカのやってることは野蛮であり、これを正当化することはできない。

毒をもって毒を制することがはたして正義といえるのか、そういう善悪の線引きをあいまいにした描き方は確信犯だとは思うのだけど、いかんせん主人公である女性局員マヤがその狭間でもがき苦しみ感情を爆発させるようなシーンが皆無なため、見てるこちら側も映画に対するスタンスを測りかねてしまってどうもすっきりしない。

その中で伝わってくるのは、ビンラディンを見つけられないという焦燥のみだが、しかし2時間半だらだらと付き合わされて気付くことは、もう一歩も引くに引けないという強迫観念に晒された主人公の姿がアルカイダの狂信的テロリストと表裏一体、何ら変わりがないということだ。アメリカもアルカイダも同じ穴のむじな・・・。

そんな中で示されるラストのマヤの気の抜けたような涙は、やられたらやり返すという血と報復の連鎖の先にあるものは喪失と虚無しかないことを明白に示した表情だったのではなかろうか。

ビンラディンを消したところで憎悪のループが閉じられることはないのは誰もが分かっているのだから・・・。

それでも続けられる対テロ戦争とジハード、そのために一体どれだけの人が犠牲にならなければならないのか・・・。否応なく虚脱

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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

Poster1 出演:トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、マックス・フォン・シドー、ヴァイオラ・デイヴィス、ジョン・グッドマン、ジェフリー・ライト

監督:スティーヴン・ダルドリー

(2011年・アメリカ・129分)WOWOW

内容:2001年9月11日、あの日商談で世界貿易センタービルにいた父親からかかってきた電話に出られなかったことを悔やみ、その留守電に吹き込まれた父の声を忘れられない少年オスカー。そんなある日、彼は父の遺品の花瓶の中から一本の鍵を見つける。そして鍵が入っていた封筒には“Black”の文字が。オスカーはこの鍵に父のメッセージが託されていると確信し、Black姓の人物をしらみつぶしにあたっていくが・・・。

評価★★★☆/70点

9.11テロから10年。ようやくあの惨事を冷静に振り返り、いち家族の物語として語ることができるようになったという点で今回の映画は見るべき価値のある作品だといえる。

どんな些細なネタにも闇雲に飛びつくハリウッドでさえもこれを扱うのに10年を要したというのは、いかにアメリカにとってあの出来事が巨大な喪失と傷をもたらしたのかをうかがい知ることができる。

物語としては、父親を911で亡くし、しかもその時にかかってきた父からの電話に出ることができなかったという悲しみと罪悪感を背負った少年が、父親の遺品に残されたメッセージを探し回る過程でNY中の様々な人々と出会っていき、ポッカリと空いた心の穴を埋めていくというもの。

911自体にことさら拘泥するわけではなく、あくまで父親を亡くしたひとりの少年の視点に寄り添って親子のつながり、人と人のつながりという普遍的なテーマを描いていて、例えば少年だけが喪失に苦しんでいるわけではなく、誰もが何かしらの悲しみを抱えて生きていて、その心にあいた穴を埋めるのは人なのだということ、人はひとりでは生きていけないのだということを痛感させられる。

表情と身ぶりだけで感情を伝える言葉を話せない老人、実は少年のために秘かに先回りしてサポートしていた母親など、大人たちが言葉ではなく行動で示すことで愛と絆を形にしていくのも共感ポイントだったし、人の優しさや家族の愛を感じられる佳作だったと思う。

世の中が苦手でありながら理屈だけはのべつ幕なしに出てくる傍若無人な主観と、細かなことまで数値でデータ化する緻密な客観が入り混じったオスカー少年は、どっからどう見ても面倒で、たとえ彼がウチを訪ねてきても軽くあしらってしまう自信があるけどw、少年から手紙が送られてきたら思わず笑顔がこぼれてしまうのだろうな

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11’09’’01/セプテンバー11(2002年・仏・134分)スカパー

 監督:サミラ・マフマルバル、クロード・ルル-シュ、ユーセフ・シャヒ-ン、ダニス・タノヴィッチ、イドリッサ・ウェドラオゴ、ケン・ローチ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、アモス・ギタイ、ミラ・ナイ-ル、ショーン・ペン、今村昌平

 内容:2001年9月11日、アメリカで起きた同時多発テロ事件を、世界各国を代表する11人の監督が11分9秒1フレームという共通の時間枠にそれぞれの文化、立場を背景に描く。

評価★★★★/80点

“人の個性ほど素晴らしいものはない。どれとして同じものはなく、全てがダイヤの原石のように輝いている。しかし、時としてその原石が一瞬にして砕け散ってしまうことがある、、、この世の中”

サミラ・マフマルバフはイラン映画らしく“子供”。クロード・ルルーシュはやはり“男と女”。ケン・ローチはやっぱり“移民”。そして今村昌平は意地でも“エロ”。

麻生久美子の太股をさする必要があんのかい?と思いつつ、しかし、それでいいのだ。

表現するという行為が本当に素晴らしいものだということが、11人の監督の内面的、主観的な個性に触れてみてあらためて分かった。

1つのテーマを取り上げるにしたって全く異なるアプローチと思考が繰り広げられるのだから。

そしてより多角的な視点で物事を考えることができる。

大学で歴史を学んでいた自分としてはこの点は重要です。

大本営発表を鵜呑みにしてはいけない。例えば、日本書紀1つ採ったって当時の政権が自分たちのいいように書いているわけで、他の中国の史書等と対照してみなければならない。

9.11テロでも、いや最近の世界情勢の中ではますますもってそのことの重要さを感じてしまう。地球の裏側の情報が一瞬にして分かる今の時代だからこそ。

しかし恐ろしいことに、素晴らしい個性が国家という名のもとに1つの枠組みの中に埋没し、ときに排除されてしまうというとんでもないことが起こってしまう。

マジでヤバイことだ。そうならないことを切に願います。

個人的にはイドリッサ・ウェドラオゴの“掴め!2500万ドル”が面白かったな。ショーン・ペンはそう来たかぁ、と思わず唸ってしまいました。

Posted at 2006.09.11

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ワールド・トレード・センター

070223_wtc_dvd 出演:ニコラス・ケイジ、マイケル・ペーニャ、マギー・ギレンホール、マリア・ベロ、スティーブン・ドーフ

監督:オリバー・ストーン

(2006年・アメリカ・129分)2006/10/15・MOVIX仙台

評価★★★/65点

内容:2001年9月11日の早朝。いつものように家を出て署へと向かう港湾警察のマクローリン巡査部長。ところが、ありきたりな日常は突然破られた。世界貿易センタービルに旅客機が激突する大惨事が発生、港湾警察官たちに緊急招集がかけられた。現場へと急行したマクローリンは、4人の警官とともにビル内に入る。しかし、その直後、大音響とともにビル全体が崩れ始め・・・。9.11同時多発テロの際、崩落したビルの瓦礫の中から生還した2人の港湾警察官の実話をもとに映画化。

“いっそのことカーンズ軍曹を主人公にすれば・・・”

2001年9月11日火曜日。

オイラはPM7:30頃に仕事から帰宅し、シャワーを浴びてPM8:00から日テレ「踊るさんま御殿」を見ながら夕食をとる。PM9:00からTBSのバラエティ「ガチンコ!」を見る。優勝者は日本武道館で歌えるという企画“アイドル学院”をやっていて、学院生をケチョンケチョンのメッタ打ちにする歌唱指導の鬼教師に戦々恐々としながら見たのを覚えている。

そして、PM9:54、今日のトップニュースを見ようとニュースステーションにチャンネルを合わせる、、、と、どこぞやの高層ビルの上の方から白い煙がたなびくように出ている映像が映し出されている。

久米宏は夏休み中でいなくて、渡辺真理だったかがアメリカCNNからの中継だということを言っていて、オイラは真っ先に「タワーリング・インフェルノ」(1974)を思い出しちゃったりしたのだけど、ま、すぐに消化する火災だろと思ったし、国内ニュースに切り換わったので、土曜日に録っていたケビン・コスナーの「ポストマン」を見ようとビデオをセット。

そして、ビデオ画面に切り換えると、偶然にもNHKに合わさっていて、ニュース10でもビルの映像が映し出されている。へぇ~、NHKでもトップに持ってくるてことはけっこうな大火災なんだぁと意外に思ってしまった。

そしてテレビ画面を一応2分割して「ポストマン」を見ようとした、、、次の瞬間。

画面右から何かが飛んでくるのが見えた、気がした。

あ、カラスだ。え?アメリカにカラスっているのか?アメリカといえば鷲だろ、、のわりにはデカイ鳥だなぁ、とその間わずかゼロコンマ数秒の間に頭を駆け巡ったことまでもが鮮明な記憶として残っている。

しかし、その直後に巨大な火柱があがったことで、飛行機だーーーッ!とようやく認識できたのだった。

それからは誰しもが知っている通りの映画やフィクションをはるかに凌駕したショッキングな現実が刻まれていくことになる。おそらく今まで生きてきた中で、最も重く深く脳裏に刻まれた事件映像となった。

高3のときの阪神大震災や中1のときの湾岸戦争も衝撃だったが、リアルタイムで目撃してしまったという点では、やはりこの9.11同時多発テロはそれまでの自分の既成概念や常識をブチ破ってしまうくらいの衝撃を与えたという意味でも一生涯忘れえない事件となった。

さて、映画以上に映画的だった9.11同時多発テロの映画化をすると知った時、オイラはネタ尽きハリウッドのことだから9.11に飛びつくのも当たり前かと思いつつ、たいした作品にはならないだろう、というか果たして9.11を映画化することにいったいどういう意義があるのだろうという疑問を抱いてしまった。

スローモーションのように脳裏深くに刻まれた衝撃的な映像の数々を超える緊張感を生み出すのは不可能ではないかと思ったし、また、その映像を再現し、リピートすることに果たしてどんな意味があるというのか、とも思ってしまった。

例えば、9.11後に数々の関連番組が放送されたが、ちょうど事件の1年後に放送された日テレの特番「カメラはビルの中にいた」で映し出されたビル内部の映像は記憶に新しい。

ボコン、ボコンと落下してくる人間が天井にブチ当たる音はあまりにも生々しかった。

そこでやはり思うのは、はたしてこれを映画化することに何かテーマを見出し得るのだろうかということであり、さらにいえば映画という虚構をはるかに超えた現実を、映画が超えることなどできようはずがないではないかということだ。

せいぜいテレビの再現映像止まりが関の山であり、あとはそこにどのようなテーマをふりかけるかでどのくらいプラスアルファになるかといったところなのだろうけど多くは望めないだろう、と。

しかし、その中で唯一の興味といえたのは、監督が社会派の御大オリバー・ストーンだということだった。数々のセンセーションを巻き起こしてきたオリバー・ストーンが9.11をどのように料理するのだろうか。

スピルバーグやイーストウッドあたりなら安定地点に軟着陸できそうなかんじはするけど、オリバー・ストーンと9.11となるといやでも何かアブない匂いが漂ってきてしまう。

そして、出来上がった作品を観てみると、、、情熱の塊のようなオリバー・ストーンの作風とは対極にあるような非常に冷静かつ地味な筆致にまずは驚く。

朝日昇るNYの街並みの静かな目覚めを優しく描き出し、あの大惨事をことさら大仰に映像として描き立てることなどせず、瓦礫の下に閉じ込められた港湾局警察官とその家族、そして救助に駆けつけた人々の姿を淡々と映すのみ。

そこには何かを暴きたててやろうというような変な気概はなかった。

そこにあるのは、様々な人種と国籍が集うアメリカが受けた深い傷と深い鎮魂のまなざし、ただそれだけだった。

例えば誰しもの記憶に刻み込まれてしまっている数々の衝撃的なニュース映像の再現をこの映画は全くといっていいほど避けているが、単なるハリウッドテイストのディザスタームービーに陥らせたくないという思いがよく伝わってくる演出意図ではある。この映画は観客のエンタメ欲を刺激して満足させるような映画になってはならないのだという思い。

その中で、激突の瞬間をマンハッタンの上空を横切る機影として表現したことをはじめとして、オリバー・ストーンの演出には文句の付けようがなく、演出意図としてはけっして間違っていない作品に仕上がっていることはたしかだ。

しかし、そう理解した上で、イチャモンをつければやはりどこかで物足りなさを感じてしまうのも事実なわけで。。

なにか傷物に触るような当たり障りのないかんじで、オリバー・ストーンでさえもこのように描かざるをえなかったという意味では、アメリカが受けた深い傷はいまだに癒えていないのだということだけはよく分かったが、ある意味ただそれだけで、悪くいえば面白くもなんともない映画だな、と。

また、ぶっちゃけオリバー・ストーンである意味もないような・・・。人間ドラマのエモーショナルな部分をうまく引き出せる監督はオリバー・ストーンよりも他にいるだろみたいな。ちょっと畑違いというか。。

だって、あのオリバー・ストーンがキリストの光臨を描くなんて、どう考えたって異常だよ(笑)。

オリバー・ストーンが描きたいのは、どちらかといえばカーンズ軍曹の方だろ。怪しいというよりちょっとアブない元海兵隊員・・。ラストに、イラクに志願して戦った、とポツンと字幕で示されたのがまたなにか気味が悪くなっちゃったのだけど、オリバー・ストーンが監督するんだったら、この謎のカーンズ軍曹を主人公にすればよかったんじゃないかなとも思ってしまう。

10年後、また9.11が映画化されたらどんなふうになるのだろうか・・・。

Posted at 2006.10.17

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ユナイテッド93

United932706int27lus 出演:ハリド・アブダラ、ポリー・アダムス、オパル・アラディン、ルイス・アルサマリ、リチャード・ベキンス

監督・脚本:ポール・グリーングラス

(2006年・アメリカ・111分)WOWOW

評価★★★/65点

内容:2001年9月11日早朝、ニューアーク空港を飛び立ったサンフランシスコ行きのユナイテッド航空93便。しかしその頃、地上の管制センターでは針路を外れた旅客機数機がワールド・トレード・センターと国防総省ペンタゴンに激突したことが伝わる。そして、93便はハイジャックされた・・・。ターゲット(ホワイトハウスか連邦議事堂といわれている)に到着することなく、ペンシルベニア州郊外に墜落、全員が死亡した93便の乗客たちの緊迫した様子を描き出すノンフィクション・サスペンス。

“あれから5年・・・。”

リアルタイムで目撃してしまった9.11同時多発テロ事件の生々しい惨劇は、いまだに脳裏に焼きついて離れない。

あの日の夕食は何だったかだとか、あの夜見ていたTV番組だとか今でもはっきりと覚えている。そして、22時3分に目の前で起こったことも。

まるで永遠に時を止められてしまったかのようなあの衝撃は一生忘れることはないだろう。

そして約3千人にのぼる犠牲者の遺族の方々にとっては、いまだにあの9月11日から歩みを進められない人々も多いであろうことは想像に難くない。

一方で9.11後、急速に保守化したアメリカの常軌を逸した暴走は、アフガン、イラクで繰り広げられた対テロ戦争という名の報復により10万人ともいわれる犠牲者を出している。

9.11から始まった負の連鎖は今なお世界に大きな傷跡を残しつづけているのだ。

そのことを鑑みるに、いくらあれから5年経って冷静さを取り戻そうとも、9.11を物語ることにおいてフィクションや創作が入り込む余地など一寸もないことは明らかだろう。

それゆえエンタメ帝国ハリウッドと9.11がはたして結びつくのかという疑問は、オリバー・ストーンの「ワールド・トレード・センター」を見ても感じてしまったし、9.11を物語り描くことにおいてのテーマと意義は、ことさら大仰に傷を暴き立て掘り返すことなどではなく、ただ“真実”と“鎮魂”しかないのだということも不気味なほど冷静なオリバー・ストーンの姿勢と演出を目の当たりにして感じた。

9.11に対して陰謀論なども取りざたされる中で、“真実”と“鎮魂”を描くフィクションや創作たりえない物語を撮るには、今作のようなドラマ性や作り手の意思・主張を排除した疑似ドキュメンタリーになるのは当然の帰結だっただろうと思う。

ハッピーエンドではないと分かっている物語を手持ちカメラのブレのみが揺り動かし、リアルな感情を引き出していく。今までありそうでなかった斬新かつよく出来た演出だと思う。

が、、、一個の映画として見るには「ワールド・トレード・センター」同様、物足りなさを感じてしまったのもたしかだ。

アメリカとアメリカ映画がいつかは踏み越えていかなければならない9.11というテキストに5年経って手を付けたという意味では、映画としてどうこうというよりもメモリアルな作品としての意味合いの方が強いのかもしれない。

唯一この映画でメッセージ性を出したと思われるシーンが、飛行機内で神に必死で祈りを捧げるキリスト教徒とイスラム教徒が同じフレーム内に収まっているシーンだと思うが、それを見てなんともやり切れない複雑な悲しい気持ちになってしまった。

神って、、祈りって、、何のためにあるんだろう。。人殺しをするためにあるものでは決してないはずなのに・・・。

こんな悲しい映画が作られなくて済むような世の中になってほしいものです。。

Posted at 2007.06.15

夢のシネマパラダイス48番シアター:スラムドッグ$ミリオネア

スラムドッグ$ミリオネア

20090419093644出演:デヴ・パテル、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント、アニル・カブール

監督:ダニー・ボイル

(2008年・英/米・120分)WOWOW

評価★★★★☆/85点

内容:インドのムンバイ出身の青年ジャマールは、人気TV番組「クイズ・ミリオネア」に出演、次々に難問をクリアし1千万ルピーを獲得!ところが、最終問題を残した1日目の収録後、ジャマールはイカサマを疑われ警察に逮捕されてしまう。スラム育ちでまともに教育を受けたことがないジャマールがクイズを勝ち抜けられるわけがないとする警察に対し、彼はその過酷な過去を語り始める・・・。

“この映画を見てヨカッタ!ファイナル・アンサー!”

「クイズ・ミリオネア」で次々に問題を正答させていくジャマール、インチキだと疑われ警察に尋問されるジャマール、過酷な少年時代を生き抜いてきたジャマールの生い立ち。

この3つの視点をモンタージュやフラッシュバックを巧みに用いながら交差させていく今回の映画、そのリズム感と疾走感たるや特筆すべきものがあるのだけど、なにより過酷な中にも横溢する生命力と希望の光に満ちているのがイイ。

例えば、ジャマールがスターのサイン欲しさに肥溜めに飛び込むシーンがあったけど、ダニー・ボイルの名を一躍高めた「トレインスポッティング」(1996)で便器の中に落ちた座薬を取ろうと頭から飛び込むヤク中の主人公の倦怠感と閉塞感とは好対照をなしている。

そして、そのあふれんばかりのバイタリティが現代インドを象徴するエネルギーと結びつき、ジャマールのラティカへの一途な想いに集約されていくプロットは、魅力的なサウンドスケープの増幅効果もあいまって見る者の目をとらえて離さない。

ラティカがオイラ好みだったのもプラスに働いたし・・ww。

混沌と興奮のるつぼの日常のすぐそばにある貧困と闇、その負のベクトルをひっくり返さんばかりの躍動感と高揚感にあふれたこの映画は、今のインドでなければ作りようがないものなのかもしれない。

                    ・

                    ・

                    ・

D:幸せな映画だった!

ファイナルアンサー!!

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クイズ・ショウ(1994年・アメリカ・132分)NHK-BS

 監督:ロバート・レッドフォード

 出演:ジョン・タトゥーロ、ロブ・モロー、レイフ・ファインズ、ポール・スコフィールド、ハンク・アザリア

 内容:1956年にスタートしたクイズ番組「21」は、無敵を誇るチャンピオンのハービーが連勝を続けながら、社会現象になるほどの人気を得ていた。しかし、次第に視聴率が伸び悩み始め、スポンサーはもっと見栄えのするチャンピオンに変更しろと要求する。プロデューサーのダンは、オーディションを受けに来たイケメンのチャーリーに白羽の矢を立て、八百長を仕組むのだが・・・。

評価★★★/60点

実話としての実直さがそのままレッドフォードの監督としての資質ともろにかぶっていて、遊び心のないえらくクソ真面目な映画になっちゃったかんじ。

ジョン・タトゥーロをはじめキャスティングは絶妙だっただけに、もうちょっとシニカルさやブラックな毒気をまぶしてもよかった気がするんだけど。。

まぁ、今の感覚でいうとたかがクイズ番組でここまでなる!?ていうかんじだけどね

でも、当時のテレビ番組は生放送が主体だったんだろうし、その中で一躍スターの座に上りつめるというのは文字通りアメリカンドリームだったのだろうから、それがヤラセで作られた虚像だったということになれば一大スキャンダルになるのは当然のことだったのかもね。

その上でこの映画が興味深かったのは、事のてん末においてテレビ局やスポンサーは全くの無傷で、スターに祭り上げられた出演者個人だけが矢面に立たされ粛清されたことだ。

それは取りも直さず視聴者こそがスターを求め、またスターを引きずり下ろすことを欲し、それに加担したわけで、メディアに流されやすい大衆心理の残酷さを物語っていたと思う。

そういう意味では今も昔もテレビってのは本質的に何ら進化していないんだねぇ・・w

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