夢のシネマパラダイス369番シアター:私はココで生きていく!
みなさん、さようなら
出演:濱田岳、倉科カナ、永山絢斗、波瑠、ナオミ・オルテガ、田中圭、ベンガル、大塚寧々
監督・脚本:中村義洋
(2012年・日本・120分)WOWOW
内容:1981年。マンモス団地に暮らす中学1年の悟は突然、「一生、団地の中だけで生きていく!」と宣言し、敷地から出ずに学校へも行かなくなった。しかし、規則正しい生活に努め、夜には団地のパトロールも欠かさない。そんな悟は16歳で団地内のケーキ屋に就職、その後恋人もでき、順風満帆な団地生活が続くかと思われたが、その間にも107人いた団地の同級生は次々と団地を去って行った・・・。
評価★★★/65点
団地の中から外に出ないで一生を生きていくと決めた主人公という奇想天外な設定には、社会問題となっている引きこもりやモラトリアムからの自立、また朽ちゆく団地そのものに豊かさを次世代につなげることができずに停滞化していく日本の現状を重ねたりといった様々なメタファーを見出すことが可能ではある。
いや、それどころか“団地”を別なワードに置き換えれば、自分の殻を打ち破ってその世界から外に出ることがいかに難しいことかというのは容易に理解ができることだ。
なのに、どこかでだからどうしたと冷めた視線で見てしまったのは、脱力コメディのノリとセットになるべき不条理性がなかったのと、団地から出ない理由がトラウマにあると明らかにされた途端、永遠につづく日常という寓話性がなくなって、ただのグダグダな物語になっちゃったかんじで面白くなかったからだ。
まぁ、そもそも寓話として見るにしても下系が過ぎてダメなんだけどねw
でも、12歳から30歳までをフツーに演じられる濱田岳はやはり凄いと思う。
ところで最近、“普通であること”を求めるフレーズを様々な映画で見聞きすることが多くなった。今回も倉科カナが涙ながらに普通でいたいと願っていて、あっ!また来たなと思ったけど、現在の閉塞的な社会状況と何か影響し合ってるのかね。。
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夜を賭けて
出演:山本太郎、ユー・ヒョンギョン、山田純大、樹木希林、李麗仙、清川虹子、唐十郎、奥田瑛二、風吹ジュン
監督:金守珍
(2002年・日本・133分)シネ・アミューズ
評価★★★★/80点
内容:1958年、大阪。かつて東洋一を誇った兵器工場跡地近辺に朝鮮人部落があった。ある日、その住人のヨドギ婆が、工場跡地から鉄クズを掘り起こして大金を得た。その噂は瞬く間に集落の住人たちに広まっていく。そんな時、かつて集落に住んでいた金義夫が帰ってきた。義夫たちも鉄クズ盗みを始め、そのうち彼らは“アパッチ”と呼ばれるようになる。しかし、鉄クズは国有財産のため、警察の取り締まりは日々厳しくなっていき・・・。
“今ではもはやアナクロとなってしまったアツさを画面に甦らせようと、モノづくりの情熱を賭けてジタバタドタバタ懸命に悪戦苦闘している姿に好感を覚えずにはいられない。”
アツさ、アツいことが表舞台を大手を振って歩けたのはひと昔もふた昔も前のこと。今それを直球で描こうというのは恥ずかしいとされる時代である。
さらに、そのアツさを描けたとしてもそれが直球であればあるほどコメディにしかならなくなってしまうというジレンマを抱えてしまう。
アツいことはもうすでに時代遅れのお寒いものなのだ。
がしかし、その点でこの映画を観ると、危うさはあるがギリギリ成功している映画だといえるのではないだろうか。
下手をするとドタバタ喜劇に陥ってしまう一歩手前でしっかりと地に足をつけ現実を直視している映画だといえると思う。
だが、下手をするとと述べたように、あくまでも危うさは抱えている。
ひと昔前ふた昔前のアツい映画にはなんといっても“鬱陶しさ”があった。
それはベットリとしたむさ苦しさであり、焼けつくような匂いであり、どす黒い汚さであり、それらがみなぎる生へとつながっていく。
みなぎる生とはつまり“人間”である。
この映画には、その“鬱陶しさ”がない。
ゆえにこの映画のアツさとは、湿度がない汗をかかないアツさなのだ。
言葉を変えれば軽い。重い剛速球ではなく軽い直球といったところか。
そういう意味ではやはり今の時代を反映してスマートなのだが、今の時代ではここまでが限界だろう。
しかもこれを在日ではないフツーの日本人だけで描けたかどうか。
たぶん無理。
アツさがまだちゃんと生きている朝鮮半島の血、そしてそれを受け継いできた在日の人たちの力がなければ今こういう映画を作り上げるというのは難しいだろう。
日本の役者陣もそれに応えてよく頑張ったと思うけどね。
うん、良い映画だ。
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ホテル・ハイビスカス
監督:中江裕司
(2002年・日本・92分)DVD
評価★★★/65点
内容:沖縄の名護にある家族経営の宿「ホテル・ハイビスカス」(ちなみに客室はたった1室)。三線とビリヤードが得意な父ちゃん、働き者で美人のチヨコ母ちゃん、黒人とのハーフのケンジ兄にぃ、白人とのハーフのサチコ姉ねぇ、そしていつもくわえタバコのおばぁ。小学3年の美恵子はこんな“インタァナソナル”な家族に囲まれ楽しい毎日を過ごしていた。。。
“ま、ようするに何が言いたいかっていうと、、、沖縄はエエところだっちゅうことサァ!それが分かればエエ。”
「男はつらいよハイビスカスの花」で沖縄の魅力にとりつかれた自分の飛行機初体験が沖縄だった。
車走らせてると、どこまで続いてるんだと思うくらいフェンスが延々と巡らされてて、不思議に思って後で尋ねたら米軍基地のフェンスだと地元のおじいが教えてくれたっけ。
重い歴史を今も変わらず背負っているところではあるんだけど、それも含めてほんとエエ所なんだよね。
ヨーシ、洗剤1年分ホテル・ハイビスカスに贈呈ダァッ!!新しい洗濯機も入ったみたいだしネ。
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永遠のアフリカ(2000年・アメリカ・114分)NHK-BS
監督:ヒュー・ハドソン
出演:キム・ベイシンガー、バンサン・ペレーズ、エバ・マリー・セイント
内容:イタリアの上流階級で優雅な生活を送るクーキーは、ある日、恋人のパウロからアフリカで生活したときの話を聞く。幼いころからアフリカに憧れていた彼女は、母親の反対を押し切りパウロと一人息子の3人でアフリカへと旅立つ。
評価★★★/65点
学生時代、ケニアの留学生がこんな事言ってたな。
アフリカのほとんどの人たちは日本と同じで、動物園に行かないとキリンやゾウやライオンを見ることはできないと。
まぁ考えてみりゃそうだよな(笑)。
でもアフリカのイメージってどうしてもこの映画に出てくる大自然そのものだしねぇ・・・。
まだオイラには遠くて遠いところなんだなアフリカって。そんなことを考えさせられたりもしました。
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アンジェラの灰(1999年・アメリカ・145分)NHK-BS
監督:アラン・パーカー
出演:エミリー・ワトソン、ロバート・カーライル、マイケル・リッジ、ジョー・ブリーン
内容:1930年代アイルランドの街リムリック。マラキとアンジェラは5人の子供に恵まれていたが、マラキは仕事もなく、失業手当すら酒代に使ってしまうダメ親父。アンジェラはそんな夫の尻を叩く毎日だが、ひとりまたひとりと子供たちが天国へ旅立っていってしまう。そんな中、長男のフランクは自由の国アメリカへ行くことを夢見ながら毎日を懸命に生きていく。。
評価★★★☆/70点
“「わたしは神を信じますがここまでの仕打ちが続くとさすがに疑わざるを得ません。」、、、ってなんでお前が言えんねん!このゴキブリ糞親父!”
神さまがお手上げなのは、お前の飲んだくれとバカ気位の高さと果て無き性欲だろがボケ(笑)。
そのせいでアンジェラは真っ白に燃えつきて灰になりましたとさ、、と思ったら灰になったのは金貸し強欲ババァだったというオチ。。
神さまはお手上げです、ハイ。
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マグノリアの花たち(1989年・アメリカ・116分)WOWOW
監督:ハーバート・ロス
出演:サリー・フィールド、ジュリア・ロバーツ、シャーリー・マクレーン、ドリー・パートン
内容:アメリカ南部の小さな町を舞台に、6人の女性たちの愛と友情を映し出していく。シェルビーの結婚式の日、トルーヴィーの美容院には常連客が集まっていた。シェルビーの母マリン、町長の未亡人で温厚なクレリー、金持ちの未亡人で偏屈なウィザーたちだ。半年後のクリスマスの日、シェルビーは妊娠を発表したがマリンは素直に喜べない。シェルビーは糖尿病で、子供を産んではいけない体だったのだ・・・。
評価★★★/60点
“あの女性陣にとっては、ロットを頭に巻いてただダベッていることが実は何よりも1番幸せなひとときなのかもね。”
井戸端会議してるときの奥さま方の目って爛々と光り輝いてるもんな・・・。
ま、男のオレには何がおもろいのかよく分からんが(笑)。。。
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ケス
出演:デヴィッド・ブラッドレイ、リン・ペリー、コリン・ウェランド、フレディ・フレッチャー
監督:ケネス・ローチ
(1969年・イギリス・112分)1996/07/26・シネ・アミューズ
評価★★★★/80点
内容:イングランド北部ヨークシャー地方の寂れた炭坑町バーンズリーに住むビリー・キャスパーは年の離れた兄とケンカが絶えず、学校でもチビでおとなしい地味な少年。ある日、ビリーは修道院跡でハヤブサの巣を見つけ、巣からヒナを持ち帰り、そのヒナをケスと名付けて飼育を始める。ケスの調教は日ごとに成果を見せていくが、ひょんなことから悲劇が起きてしまう・・・。ハヤブサと戯れることだけが生きがいの労働者階級の少年の姿を、叙情性と冷酷さが同居する鮮やかなタッチで描き出した秀作。
“味も素っ気もない風景、味も素っ気もない日常、何の飾り気もない描写。しかしこれらもバイタリティーにあふれた子供たちの手にかかれば味のある色が付くのです。”
体育の授業でサッカーやってる場面が1番ウケる。
子供相手にマジになってる負けず嫌いの先公。しかもマンUの背番号9のユニ着てるんだもんなぁ。授業じゃねえよあれは(笑)。
ボビー・チャールトンに憧れるビールっ腹のオヤジ。ああいうオヤジ今でもいるんだよね。スカパーでプレミアリーグ見てるとああいうオヤジだらけだもん。
でも苛酷な環境の厳しい映画の中での何とも微笑ましいシーンだったね。
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