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2015年3月26日 (木)

夢のシネマパラダイス588番シアター:柘榴坂の仇討

柘榴坂の仇討

Poster2_2出演:中井貴一、阿部寛、広末涼子、高嶋政宏、真飛聖、吉田栄作、藤竜也、中村吉右衛門

監督:若松節朗

(2014年・松竹・119分)WOWOW

内容:安政七年。時の大老・井伊直弼が江戸城桜田門外で水戸浪士に暗殺された。その際、警護役を務めながら主君を守れなかった彦根藩士の志村金吾は、逃亡した水戸浪士を討ち取れとの藩命を受ける。それから13年、仇討禁止令が出された明治の世になっても仇を捜し続ける日々を送る彼は、ついに浪士の最後の生き残り、佐橋十兵衛の居所を突き止める・・・。

評価★★★☆/70点

まず主人公が幕末きっての悪役イメージがある井伊直弼の忠臣というのが面白い。例えば忠臣蔵で吉良上野介の側の視点がすっぽり抜け落ちているように、井伊側の視点というのもほとんどスルーされてきたように思う。

しかし、劇中で桜田門外の変から時が経った明治になって、佐橋十兵衛(阿部寛)が「井伊様のおっしゃっていたことももっともなことだと思い至るようになり」と言うように、攘夷派など多くの反対を押し切って開国に踏み切った井伊直弼の判断は結局のところ間違っていなかったわけで、もしそうしなければアヘン戦争で西洋列強のいいように植民地にされた中国・清の二の舞になっていたことだろう。

それを思えば、井伊直弼を救国者ととらえてもよさそうなものだけど、その功を吹き飛ばしてしまうほどの評判の悪さは一体何なのだろうといえば、それは幕末の有能な志士たちを断罪に処した安政の大獄ということになる。

この直接のきっかけとなったのは、第14代徳川将軍を誰にするかという将軍継嗣問題で徳川慶福を推していた井伊ら南紀派と徳川慶喜を推す水戸斉昭(慶喜の父)ら一橋派の対立が深まっていた時に、水戸とつながりのある尊王攘夷派グループが、孝明天皇は日米修好通商条約調印(開国)に反対だったのに天皇の許可を得ずに勝手に開国したのは許せないことだと糾弾する密勅を出したことだった。

これに対し井伊は、この一件は自分の息子を将軍にしようとしている水戸斉昭の大陰謀であるとして、加担した者たちを片っ端から処分していき、一橋派や倒幕派を一掃していった。

これが世にいう安政の大獄で、特に水戸藩は水戸斉昭から藩主、家老に至るまで徹底的に目の敵にされたわけで、それを思えば水戸脱藩浪士が井伊を討った桜田門外の変は水戸にとっての仇討だったともいえるわけだ。

しかし、逆に主君の暗殺を許してしまった彦根藩士はその後13年間に渡って仇討のために生きなければならなかった・・・。

そんな今回の作品、色合いとしてはイメージされるような男の執念の復讐劇でもなければ、主君への忠義が時に生み出す不条理をとらえた武士道残酷物語でもない。

時代の激流に翻弄され取り残されても己の信念を貫こうとするサムライの美学を哀感と優しさを込めて描き出した物語だ。

ここでいうサムライの美学とは、国のあり方や姿形は変わろうとも捨ててはならぬものがあるという武士の矜持であるとともに、武士道とは死ぬことと見つけたりというある種の呪縛でもある。そして、哀感と優しさとは時代に取り残された=生き永らえてしまった者の悔悟・苦悩と、その呪縛を解き放ち新たな時代を生きていこうという希望の灯である。

時代劇としてのパンチ力には乏しいけど、どこか人の情のぬくもりに包まれた温かみのある作品になっていたと思う。

そして、その作風の決め手となっているのが、主人公・志村金吾が言う「殿のことがたまらなく好きなのです」というセリフだ。

形式ばった主君への忠義を純粋な個人的感情に昇華させることで不条理性を消し去っているのがこの映画のミソなのではないかと思う。はたしてこのような直接的なセリフを言う時代劇が今まであっただろうかと思ってしまうけど(笑)、例えば現代サラリーマンが社長のことがたまらなく好きで仕方がない、なんて言うだろうかw

いや、まぁミサンガが出てくるくらいの一風変わった時代劇だからすんなり受け入れるとしようかww

いや、受け入れてしまうだけの清らかな力がこの映画にはあったということだろう。

P.S. 飄々としたおとぼけコメディリリーフとして最強の力を発揮する阿部寛の真面目すぎる役柄は最初は違和感あったけど、最後はなんかとても良かったなぁと思えてしまったのでこれも良しとしようw

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桜田門外ノ変(2010年・東映・137分)CS

 監督:佐藤純彌

 出演:大沢たかお、長谷川京子、柄本明、生瀬勝久、永澤俊矢、西村雅彦、伊武雅刀、北大路欣也

 内容:嘉永6年(1853年)にペリーの黒船が来航して以来、井伊直弼(伊武雅刀)をはじめとする開国派と、水戸藩主・徳川斉昭(北大路欣也)を筆頭とする尊皇攘夷派の対立が激化。やがて井伊は大老になり尊王攘夷派の大量粛清“安政の大獄”に乗り出す。この暴挙を止めるには暗殺以外にないと、水戸藩を脱藩した関鉄之介(大沢たかお)ら18名の浪士が立ち上がる・・・。

評価★★☆/55点

クライマックスともいうべき井伊直弼暗殺を最初に持ってきたのは意外や意外で、それは例えていうなら忠臣蔵での吉良邸討ち入りを冒頭に持ってくるようなもので、キャラが立ち上がる前にそれをやるというのはその後のドラマによほどの力量と自信がなければならないはず。

その点、この映画は事件前の事の経緯と事件後の逃亡劇でキャラクタを描いていくのだけど、時系列が行ったり来たりで整理しづらくダラダラ感が拭えない。しかもその中で事件に関与したひとりひとりの浪士の名前・死にざま・享年を字幕をわざわざ付けて描いていくのだからたまったものではない。

結果、完全に蚊帳の外に置かれたまま眺めることしかできなかった。。

現在の国会議事堂を意味ありげに写すのもなにか説教くさくて好きになれなかったし・・。150年前の若者は命をとして日本のことを真剣に考えてたんだぞとでも言いたかったのか。

大きなお世話ですww

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最後の忠臣蔵

T0008437p出演:役所広司、佐藤浩市、桜庭ななみ、山本耕史、風吹ジュン、田中邦衛、伊武雅刀、安田成美、片岡仁左衛門

監督:杉田成道

(2010年・日本・133分)WOWOW

内容:赤穂浪士の吉良邸討ち入りから16年。四十七士の中で唯一切腹することなく生き延びた男、寺坂吉右衛門。大石内蔵助より生き証人として討ち入りの真実を後世に伝える使命を受けていた吉右衛門は、全国を渡り歩く旅の最中、討ち入り前夜に突如逃亡した親友の瀬尾孫左衛門と出くわす。裏切り者という吉右衛門の非難にも決して真相を語ろうとしない孫左衛門だったが・・・。

評価★★★★/80点

忠臣蔵というと、もうさんざん使い古されたマンネリネタでもはや見る必要もない題材だと思っていたのだけど、信頼できる役者の役所広司と佐藤浩市の共演という点だけを見所に見始めたら、これがななんと心にしみて×2

まず、四十七士を主軸に据える紋切り型のアプローチではなく、討ち入りに参加しなかった者、残された者の視点から描くというのは非常に新鮮だった。

忠義を全うし忠臣として華々しく散っていった四十七士に対し、はかなく美しい桜の花びらにも称賛されるべき美談にもなりえない生かされた者たちの苦悩や葛藤があったことは今までずっと見落としていた点だ。

その点だけでもこの映画を見た甲斐があったというものだけど、そこに武士としての生き様や親子愛、男と女の機微を織り込み、それを「北の国から」でおなじみの杉田成道監督の飾らない職人気質の演出がしっかりと映画という匠の技に昇華していて見応えも十分。

変に理屈っぽくならず、情感と心の佇まいを映像美の中にすくい上げ、語り足らない所は役者陣の抜群の演技力と貫録の存在感により推し量る、そんなそこはかとない按配が哀感と凛とした芯のある強さの同居した物語に見事にマッチしていたと思う。

忠臣蔵ものとしてだけではなく、本格時代劇として最高点をあげてもいいくらいの良作だった。

しかし、役所広司の最後の切腹シーンは凄すぎ

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47 RONIN

O0599082712712590139出演:キアヌ・リーブス、真田広之、浅野忠信、菊地凛子、柴咲コウ、赤西仁、田中泯、ケイリー=ヒロユキ・タガワ

監督:カール・リンシュ

(2013年・アメリカ・121分)WOWOW

内容:将軍綱吉が治める鎖国時代の日本。赤穂藩藩主・浅野内匠頭に命を救われた混血児カイは、浅野への忠義を誓って領地に暮らしていたが、浅野の家臣・大石内蔵助らは異形の彼を冷遇していた。そんな中、隣国の藩主・吉良上野介と妖術使いミヅキの策略で、内匠頭が将軍の面前で刃傷沙汰を起こし、切腹に追い込まれてしまう。さらに家臣たちは浪人となり追放されてしまう。一年後、大石率いる47人の赤穂浪士は、吉良への仇討ちへと立ち上がるのだったが・・・。

評価★★/40点

日本人の心を象徴するものとして300年以上語り継がれてきた古典をグッダグダのゴッチャゴチャに換骨奪胎し、全く別物の異界ファンタジーに錬成してしまうハリウッドのたくましき創造力には逆に感服してしまうけど、その豪腕から放たれた産物があらぬ方向へ飛んで行ってしまう大暴投では何の意味もない。

忠臣蔵を抜きにしても、この中華風ロードオブザリングwは全くもってツマラない。

物語の素地としては例えば、とある国の大臣が悪女と組んだ強欲な宰相に貶められて失脚して命を絶ち、忠義を誓う銃士たちは仇をとり不穏な陰謀を阻止するためにetc..と三銃士やあるいはディズニー的な西洋のおとぎ話の方に近いものを感じるけど、古くから培われてきた鉄板フォーマットをもってしても共感・感情移入ポイントがひとつもないというのは、いかにシナリオがひどいかが分かるってもんだ・・・。

なによりキャラクターの掘り下げが全くなってないのは致命的。

主人公が悪者をやっつけたにもかかわらず自害して果てるという、欧米文化ではありえない結末は野心的ではあっただけに、そこにたどり着くまでの過程とキャラクターはもっと丁寧に描いてしかるべきだったはず。

製作費に200億近くかけるよりシナリオの推敲に200時間かけろw!って話。

あとは、さっき中華風LOTRと書いたようにファンタジー造形の相当な部分でこのサーガの影響を色濃く受けてるように感じたけど、やはりここでも世界観の構築があまりにもお粗末なために映画の中に入っていけない。

プラス200時間かけてもう一度白紙からやり直せって話

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花よりもなほ

061124_hanayorimonaho出演:岡田准一、宮沢りえ、古田新太、浅野忠信、香川照之、國村隼、原田芳雄、加瀬亮

監督・脚本:是枝裕和

(2006年・松竹・127分)盛岡名劇

評価★★★☆/70点

内容:元禄15年、徳川綱吉の時代。武士である青木宗左衛門(岡田准一)は、父の仇・金沢十兵衛(浅野忠信)を討つために信州松本から江戸に出てきたが、一向に仇を見つけられず、貧乏長屋に腰を据え、寺子屋を開くまでになっていた。おまけに向かいに住む美しい未亡人、おさえ(宮沢りえ)に恋心を抱いてしまう始末。が、切腹させられた浅野内匠頭の仇を討つべく動き出した赤穂浪士たちが長屋に潜伏し、宗左衛門が吉良の密偵ではないかと疑いをかけ始め・・・。

“嘘をつくのが大の苦手な是枝裕和が挑んだ「大江戸エンターテイメント!」、、が、やっぱり嘘つけない性分なんですな、この人・・・。”

元禄江戸の下流社会の底辺で生きる社会的弱者たちののどかで平和な超楽天生活を軸に、“武士道”をバッサリ斬り捨て、“庶民道”を大らかに謳い上げる今回の作品。

監督長編5作目にして時代劇という作られた世界の中で、どのように是枝監督は立ち回るのか、と思っていたが、物語の構図的には悪人が1人も出てこなくて、ただ市井の日常を見つめるだけという、定型的な時代劇の枠からはみ出た一風変わった「誰も知らない」時代劇という色合いが濃くなっている。

赤穂浪士の仇討ちというオーソドックスな時代劇ネタを180度裏っ返してスクリーン上に焼き付けてしまうという大胆さにもさすが是枝監督だなと唸ってしまう。

しかし、ドキュメンタリータッチの是枝節ならではの弊害もなかったわけではない。

それは、この映画を桜の花びらに例えていうならば、ライトアップして見せることもせず、そよ風を吹きつけたりすることもせず、「フォレスト・ガンプ」のオープニングに出てくる羽毛のごとくヒラヒラ舞わせることもせず、触れることさえしない・・・。5メートル離れた所からただ優しく見つめるだけなのだ。

悪くいえば起伏がなくて平坦といったかんじなのだが、是枝監督のこの映画に対する距離感というのが、各登場人物との距離感にもろに反映されてしまっていて、あと一歩踏み込んでいけないもどかしさというのは、映画を観ている間中ずっと感じてしまった。役者陣が魅力的だっただけになおさら。。

定型的な時代劇という枠からはみ出してはいるものの、作られた世界という借り物の中で一定の距離を置いた是枝監督のスタンスというのが逆に定型化してしまっているのが垣間見えちゃって、ちょっと鼻に付いたかな。。

なんつうか、たぶんこの監督、嘘つくのが下手なんだろうね。対象が人であればなおさら苦手というか。それが距離感として映画に出ちゃってるんだもん。

もっと吹っ切れて対象に迫っていけるような赤裸々な嘘をついてもらわないと、物語世界としては脆弱だと思う。特に時代劇では。せっかくの魅力的な設定が生きないわな。

まぁ、ただそうはいっても、“武士道”というのを嘘として描いてしまう是枝監督のこの独特な視点というのは嫌いにはなれないし、心魅かれてしまう自分もいて、なんというか観終ってホント複雑な気持ちになっちゃいますた・・・。

この映画が好きか嫌いか、と訊かれたらやっぱ好きって答えちゃうもん。そういう是枝ワールドの魅力は消えてないんだけど。。。

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忠臣蔵外伝 四谷怪談(1994年・松竹・106分)WOWOW

 監督・脚本:深作欣二

 出演:佐藤浩市、高岡早紀、津川雅彦、荻野目慶子、渡辺えり子

 内容:鶴屋南北による狂言「東海道四谷怪談」に、もともと設定にあった「忠臣蔵」の物語を大きく組み込んで古典ドラマを再構築した異色時代劇。元禄14年、浪人に身をやつした赤穂藩士は主君の仇・吉良への仇討ちの時を待っていた。湯女のお岩と暮らす伊右衛門は、ある時、吉良家臣の娘・お梅に見初められる。仲間の脱藩で心を揺らしていた彼は、意を翻してお梅と一緒になってしまった。お岩は毒殺され、さらに伊右衛門は赤穂藩家老暗殺の命を受ける・・・。

評価★★☆/50点

オープニングテーマ曲にカール・オルフの“カルミナ・ブラーナ”が鳴り響いた時点で、ん?大丈夫なのかこの映画?と訝ってしまったが、、、いろんな意味でオカシイ映画だった。オカシイといっても可笑しくて思わず吹き出してしまうという方ね・・(笑)。

お岩さんの顔より渡辺えり子の顔の方にウギャーーッてなったのはともかく、佐藤浩市の白塗りの顔には爆笑!

志村けんのバカ殿さまでも十分通用するやろ。しかも、これだけ豪華なメンツで・・・。

美巨乳が強烈なインパクトを残した高岡早紀のもだえ苦しむ姿の体当たり演技は評価されてしかるべきなのかもしれないけど、それもチャイニーズ・ゴーストストーリーばりのサイキックパワー炸裂で雲散霧消。妖しさもなにもあったもんじゃない。いったい何を描きたかったのかサッパリ・・。

小林正樹や溝口健二といった往年の名監督の怪談映画を意識している節もチラホラ見受けられたけど、まぁ深作欣二の作風とは相容れない要素だからなぁ。

そういう点ではよく出来てる方なのかも!?

、、だからって、日本アカデミー作品賞獲っちゃうというのはいかがなものか・・・。

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