夢のシネマパラダイス584番シアター:事実は小説より奇なり
アルゴ
出演:ベン・アフレック、ブライアン・クランストン、アラン・アーキン、ジョン・グッドマン、ヴィクター・ガーバー、テイト・ドノヴァン
監督:ベン・アフレック
(2012年・アメリカ・120分)盛岡フォーラム
内容:1979年11月。イラン革命真っ只中のテヘランで、革命勢力がアメリカ大使館を占拠。52人を人質に前国王の身柄引き渡しを要求する事件が発生する。しかしその際、裏口から6人の大使館員が脱出し、カナダ大使の私邸に逃げ込んでいた。イラン側に見つかるのは時間の問題の中、救出のために白羽の矢が立てられたのはCIAの人質奪還の専門家トニー・メンデス。そこで彼が立案したのは、架空の映画企画をでっち上げ、6人をイランにロケハンに来た制作スタッフに偽装して出国させるというあまりにも荒唐無稽な作戦だった。かくしてSF超大作「アルゴ」の製作発表が大々的に行われるが…。
評価★★★/65点
事実は小説より奇なりとはよく言うものだけど、これこそ映画にするために生まれたようなウソのようなホントの話だね。
なんでこれを今まで誰も映画にしてこなかったんだろうと思ってしまうけど、映画にすると決めた時点で勝算はあったようなものだろう。
なのに、イマイチ自分のテンションが上がってこないのは、ニセのSF映画を作るためのロケハンクルーになりすますという救出作戦ネタを映画見る前にすでに知っちゃってたことが大きく・・
何の情報も仕入れずに見てたら突拍子のなさに俄然乗れていったと思うんだけど、、という言い訳(笑)。
、、いや、それは重々承知の上で言わさせてもらおうw
ちと演出がお堅いんじゃないかしら
なんだろ、緊迫のイランパートと陽気なハリウッドパートがお互いの良さを相殺しちゃってるんだよね。
そのため、サスペンスとしては脱出劇としてのミッションインポッシブル感があまり伝わってこないし、映画愛讃歌としてもコミカルなB級っぽさがハジケきれていないという、そんな印象を受けてしまった。
演出自体もかなり抑えめで単調なためメリハリが弱いし、登場人物の掘り下げが浅くて個々のパーソナリティが悪い意味で平均化してしまっているのもマイナスポイント。
ポリティカルサスペンスとコミカルな映画愛、どちらか一方に振り子を揺らす勇気がほしかったところだけど、この映画はその両方をいいとこ取りでなぞったため、逆に小さくまとまりすぎてしまったかんじだ。
面白いことは面白いのだけど、史実としての面白さ以上のものまで昇華できていないもどかしさは、それが十分できる格好の題材だっただけに少し残念だった。。
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ブリッジ・オブ・スパイ
出演:トム・ハンクス、マーク・ライランス、エイミー・ライアン、アラン・アルダ、スコット・シェパード
監督:スティーヴン・スピルバーグ
(2015年・アメリカ・142分)WOWOW
内容:1957年、米ソ冷戦下のNY。ソ連のスパイ容疑でルドルフ・アベルという男が逮捕された。国選弁護人を担当したのは保険事案の専門弁護士ジェームズ・ドノバン。彼は世間の批判にさらされながらも、アベルの死刑回避を勝ち取る。それから5年後、ソ連領空で偵察中に撃墜されソ連に拘束された米軍パイロットを服役中のアベルと交換する話が持ち上がる。そこで交渉役として一民間人のドノバンに白羽の矢が立つが・・・。
評価★★★/60点
東西冷戦真っ只中で一触即発の緊張状態にあった米ソ。そのスパイ交換の外交交渉を一民間人の弁護士が担っていたというウソのようなホントの話は映画にもってこいの題材ではある。
例えていえば、中東で拘束された日本人ジャーナリストの水面下の救出交渉に北村弁護士が赴くといったところでw、まさに事実は小説より奇なりだと思うのだけど、その割にサスペンスフルなハラハラドキドキ感をほとんど感じることがなかったのはなぜだろう・・。
と考えると、スピルバーグのそつのない手練れた歴史ものにいい加減飽きてきたのに加えて、そもそものところで米ソ冷戦という今や時代遅れのカビの生えたようなコンテンツにもはや魅力を感じず、ダブルで飽きが来ちゃって見てるこちらのテンションが上がっていかなかったかんじ。
それこそ脚本を書いたコーエン兄弟が撮っていれば単なる安パイには終わらないヒト癖ある作品になったと思うんだけどなぁ。。
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