夢のシネマパラダイス582番シアター:最強のふたり
最強のふたり
出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、アンヌ・ル・ニ、オドレイ・フルーロ、クロティルド・モレ
監督・脚本:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
(2011年・フランス・113分)WOWOW
内容:パラグライダー事故で首から下が麻痺してしまった大富豪のフィリップ。24時間介護が必要なのだが、気難しい性格のため、どの介護人も長続きしない。そんな中、今回新しく雇ったのはスラム出身の黒人青年ドリス。障害を憐れむような目で見ないドリスのふてぶてしい態度に興味を抱いたからだったが、当のドリスは失業手当をもらうための求職証明欲しさに面接に来ただけで、介護の経験は全くなかった・・・。
評価★★★★/75点
身障者とスラム出身の黒人青年の絆を描く、しかも実話ということでお涙頂戴もののヒューマンドラマかと思っていたら、なぜかこの映画を見て思い浮かべたのは「ジム・キャリーはMr.ダマー」という超おバカロードムービーだったw
そう思わせるほど今回の作品は陽気なバディムービーというかんじで、面白おかしく見れてしまったのだけど、人種や生まれや育ち、貧富の差、趣味や年齢といった違いと同様、身障者と健常者という違いも人と人との友情や絆にとっては何の障害にもならないのだということを再確認させてくれる。
もっといえば、身障者に対する必要以上の同情や憐れみといった特別視は一種の差別になりうるのではないかという視点が、ドリスのフィリップに対する偏見ゼロの扱いを通して透けて見えてくるところは、ちょっと考えさせられる作品だなと思った。
その中で、この映画に嫌味や嘘くささを感じさせない最大のポイントになっているのがドリスの飾らない人柄だろう。
あけすけでデリカシーのかけらもないKY男というネガティブな面を、素直で本音を隠さずユーモアたっぷりでしかもそこに悪気は全くないというポジティブな面が完全に打ち消していて、その天衣無縫なパーソナリティに自然と納得してしまう魅力がドリスにはあるのだ。
言葉をかえていえば、善人面を装わない無邪気さ=憎めない人柄といっていいと思うのだけど、なかなかこういう人っているものじゃない。おそらく演者さんの地の部分がかなり入っているんじゃなかろうか。
なにやらハリウッドリメイクが決まっているそうだけど、キャスティングは興味津々だね。
でも、マジメ人間のオイラはどう考えてもドリスになれるはずはなく・・・。
やっぱり自分は気遣いと配慮とお・も・て・な・しの心を持って人と接していきたいと思いますww
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テッド
出演:マーク・ウォルバーグ、ミラ・クニス、ジョエル・マクヘイル、ジョヴァンニ・リビシ、セス・マクファーレン(声)
監督:セス・マクファーレン
(2012年・アメリカ・106分)WOWOW
内容:1985年のクリスマス。友だちのいない8歳の少年ジョンは、大好きなテディベアのぬいぐるみ・テッドと本当の親友になれるように願いをかけた。すると、本当に魂が吹き込まれ、テッドが動いて喋り出した。以来、27年間ずっと一緒だった2人。しかし、ジョンが中年オヤジになったのはともかく、テッドもそれに輪を掛けて下品なエロオヤジになってしまい・・・。
評価★★★/60点
80年代映画をはじめとするサブカルパロディでは笑えるけど、下ネタでは笑えないSO-SO映画。
クマのぬいぐるみがタチの悪いオッサンになるというコンセプト自体は面白いのだけど、笑いの要素が下ネタ一点張りで辟易しちゃうというか、顔射ネタまでくると引いちゃうよねっていう・・・。
きわどいレベルを優に超えてるハメ外しが大いに許されちゃうアメリカンコメディの懐の深さには毎度驚かされるけど、今回は毒が足りないぶん、より下品さだけがエスカレートしちゃったかんじでちょっとイマイチ。
テッドがやさぐれる理由を子役セレブの没落に見立てる着想は悪くなかっただけに、トイ・ストーリー3に出てくる同じくテディベアのロッツォのようにキャラクターの裏側にある悲哀をもっと描けていればもっと違う笑いの引っ張り方ができたと思うんだけど。。
しかし、アメリカではこれってデートムービーとしても成立するのだろうか(笑)。日本だとテディベアが可愛いからって理由でこれをデートムービーに選んだら絶対気まずくなりそうだけど
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最高の人生の見つけ方
出演:ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン、ショーン・ヘイズ、ビヴァリー・トッド、ロブ・モロー
監督:ロブ・ライナー
(2007年・アメリカ・97分)WOWOW
内容:傲慢なワンマン社長のエドワード。職場で倒れ、経営する病院に入院するも、全身にガンが転移し余命半年と診断される。そこで相部屋になった自動車修理工のカーターと出会うが、彼も同じく余命半年の命だという。性格は正反対ながらも意気投合した2人は、死ぬまでに叶えたい夢を実行しようと病院を抜け出し人生最後の旅に出る・・・。
評価★★★/65点
ハリウッドの大御所2人による「80日間世界一周」は、お気楽なノリで楽しめるヒューマンコメディになっていて安心して見ていられる。
ただ、カテーテルから血が噴き出しているのが、まるでケチャップが吹きこぼれているくらいにしか見えないほど2人ともピンピンしていて、余命半年には見えないのが玉にキズ(笑)。
死に対する底知れぬ不安や絶望感がほとんど伝わってこないので現実感に乏しくてちょっと物足りなかったかなと。それこそ秘書付きのプライベートジェットってだけでリアリティないんだからw
要は死に対する向き合い方や死への覚悟というものをもう少し真面目に描いてもらいたかった。
まぁ、でも死を目前にした2人がかけがえのない同志として生き生きと余生を送るというのはひとつの理想形ではあって、身近な家族だと心配かけたくないと思ったり遠慮したりして逆に距離ができてしまうことでも、同じ痛みや悩みを共有する者同士だとそういうネガティブな部分が軽減されるのかもしれない。
最高の友に出会えることこそが最高の人生の見つけ方なんだね♪
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人生の特等席(2012年・アメリカ・111分)WOWOW
監督:ロバート・ロレンツ
出演:クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・グッドマン、ロバート・パトリック
内容:メジャーリーグのスカウトとして名を馳せたガス。しかし近年は視力も衰え、さらに経験頼みのガスのような昔気質のスカウトマンはすっかり時代遅れに。そんな中、ガスの体調を案じた一人娘のミッキーがスカウトに同行することになる。しかし、すっかり疎遠になっていた2人は、久々の再会も互いに素直になれずにギクシャクしたままで・・・。
評価★★★/65点
イーストウッドがどこまでポストプロダクションに関わっているのか分からないけど、あまりにも直球勝負の平板さに逆にすかされちゃった感が・・・。
序盤に出てきたピーナッツボーイの方に視点を持っていくのかと思いきや、それには目もくれず父娘のわだかまりと和解を描いていくのは、えっなんでダイヤの原石に触れていかないの!?と訝ってしまった。
また、父娘の亀裂修復にしても、娘ミッキー(エイミー・アダムス)がことのほか魅力的で話の分かる才女で、父の方ではなく娘の方から歩み寄ってきてくれるので、いい意味での破綻がなくてちょっとヌルイよねっていう・・。
役者は悪くはない。
ただ、イーストウッドが監督してたらなぁとも思ったけど、今回の監督さんってこれが初監督作らしい。そう考えると、この妙な落ち着きと手堅さは何なんだろうw
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