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2015年2月27日 (金)

うたばん狂想曲第31番:第23回オイラ的日本レコード大賞in2014

もはやオリコンチャートの曲が全部分からない前代未聞の時代に突入してしまった2014年。それでもひっそりと我が音楽人生はつづいていく・・・。

それでは~月間ランキングいってみよーッ!

1月

 1位  松田聖子&クリス・ハート       夢がさめて

 2位      ゆず               雨のち晴レルヤ

         JUJU               守ってあげたい

 3位    加藤ミリヤ               Only U

        東方神起                White

2月

 1位    浜崎あゆみ           Merry-go-round

 2位    earthmind              イノセント

        earthmind            Hello My Days

 3位    浜崎あゆみ             Feel the love

        家入レオ               太陽の女神

3月

 1位    クリス・ハート             まもりたい

 2位     植村花菜             輝く時間の中で

        臼澤みさき              八重の風

 3位      ゆず                  ヒカレ

        東方神起              HIDE&SEEK

4月

 1位    クリス・ハート             I Love you

 2位     Salyu                アイニユケル

        E-girls                 初恋

 3位     E-girls          ごめんなさいのKissing you

       サカナクション             グッドバイ

5月

 1位     一青窈                 霞道

 2位     chay                Twinkle Days

        ドリカム                 AGAIN

 3位     Rihwa                 春風

         DEEN               もう泣かないで

6月

 1位      AAA                 Love

 2位      Salley             あたしをみつけて

        Ms.OOJA           また会える日まで

 3位     SCANDAL            Departure

         柴咲コウ            ラブサーチライト

7月

 1位    三代目JSB           R.Y.U.S.E.I

 2位     コブクロ              陽だまりの道

         コブクロ             BEST FRIEND

 3位    Ms.OOJA           誰よりも好きなのに

        西野カナ                 25

8月

 1位      AAA             風に薫る夏の記憶

 2位    Ms.OOJA          また恋をすることなど

        Ms.OOJA            ワンモアタイム

 3位     Superfly               Live

         コブクロ              サイ(レ)ン

9月

 1位     May J.              本当の恋

 2位     EXILE            NEW HORIZON

      ナオト・インティライミ           花びら

 3位     GLAY                BLEEZE

         BoA            MASAYUME CHASING

10月

 1位  サザンオールスターズ       東京VICTORY

 2位     E-girls               Again

      MONKEY MAJIK     You Are Not Alone

 3位     JUJU               ラストシーン

        秦基博              ひまわりの約束

11月

 1位    徳永英明             さよならの向う側

 2位     Aimer                白昼夢

      いきものがかり            涙がきえるなら

 3位    西野カナ                Darling

        西野カナ             Still love you

12月

 1位    西野カナ                 好き

 2位     miwa                希望の環

        柴咲コウ                蒼い星

 3位    加藤ミリヤ               YOU...

      セカイノオワリ            Dragon Night

続いて各賞の発表~~!

ベストニューカマー賞    

  E-girls、セカイノオワリ、May.J

優秀パフォーマンス賞   

  Ms.OOJA、コブクロ、クリス・ハート

大賞      

  西野カナ

優秀曲   クリス・ハート         まもりたい

           三代目JSB       R.Y.U.S.E.I

            コブクロ          陽だまりの道

            徳永英明         さよならの向う側

            西野カナ            好き

以上です!

自分の場合、女性アーティスト好みの中で男性軍がどれだけ活躍しているかがその年の充実度を示す格好の指標になるけど、今年は月間チャート60曲中21曲となんとか3分の1を確保。しかし、アーティスト数では15組。

女性陣が26組なので、なかなか寂しいかぎりだけど、優秀曲は5曲中4曲が男と、ここでは気を張ってくれた。これら4曲は全部カラオケの鉄板曲にしたいかんじ♪

しかし、その4曲が束になっても西野カナにはかなわないw!

なんと史上最多の3回目の大賞をかっさらってしまったのだから。しかもほぼ独走状態での有無をいわさぬ受賞だった。

11月には2年ぶりに5thアルバムが出され、相も変わらずハマってしまった。

去年に引き続き言わさせてもらおう。

誰と結婚するんやろー(笑)。

さて、今年買ったアルバムは西野カナ以外にはJUJUの5th、Salleyの1st、竹内まりや7年ぶりの11th、映画サントラ「永遠の0」とそのどれもが良質なのだけど、中でもお気に入りになったのがクリス・ハートの初オリジナルアルバムだ。

バラード好きの自分にはドンピシャだったし、なにより声質が神がかり的に良い。心にギュッと響いてくるんだよねぇ。

日本テレビの外国人のど自慢番組でブレイクし、2013年にデビュー、その年のうちに紅白に出て2014年も2年連続で出場と、トントン拍子すぎるやろっ!とも思うけど、それだけ日本人の心をとらえちゃったということなんだろうね。

そして、もうひとつ取り上げるべきトピックは、コブクロの入賞だろう。なななんと、これが初受賞という驚き。デビューから苦節13年、やっとで獲りましたww!

でも、13年間も第一線で歌い続けるってなかなか無いことだし、やっぱりスゴイことだと思う。

そして敢闘賞最後の1枠は3年連続で入賞と完全安定銘柄になったMs.OOJA。東の横綱が西野カナで西の横綱がJUJUだとすると、Ms.OOJAは大関昇進したかんじかな♪

さあ、お次は将来が楽しみな登竜門・師勲賞の面々。今回は、E-girlsセカイノオワリMay J.の御三方。

AKBなどのアイドル含めて雨後のタケノコ状態の大人数女性グループにはほとんど触手が伸びていかないんだけどw、ここにきてかろうじてE-girlsが頭ひとつ抜け出たかんじ。しかし顔と名前はまだまだ一致しない状態でございます・・。ま、それでいいよねww

May J.はディズニーの「アナと雪の女王」効果で一気に来たかんじだけど、それで終わりになってほしくはない歌唱力の持ち主なので、2015年勝負の年として頑張ってもらいたいね。

そういう意味では国民的バンドに上がっていく階段に片足を乗せたセカイノオワリも勝負の年。独特なファンタジー世界に自分も浸り始めたかんじなので、これからの活躍が楽しみだ。

2015年2月23日 (月)

夢のシネマパラダイス515番シアター:執念の復讐劇

その夜の侍

Poster出演:堺雅人、山田孝之、綾野剛、谷村美月、でんでん、坂井真紀、安藤サクラ、田口トモロヲ、新井浩文

監督・脚本:赤堀雅秋

(2012年・日本・119分)WOWOW

内容:小さな町工場を営む中村は、5年前にひき逃げで最愛の妻を失って以来、絶望と孤独からノイローゼ状態の日々を送っていた。一方、ひき逃げ犯の木島は2年の服役後、元同僚の小林の家に居候し、相も変わらぬ悪逆非道ぶりを発揮していた。そんな木島のもとに復讐決行をカウントダウンする脅迫状が連日届くようになるが…。

評価★★★☆/70点

2015年の初笑いはこの映画だったと高らかに言ってしまおう(笑)。

まさかこんな陰鬱で残酷で、しかも平々凡々なありがたみを大っぴらにぶち上げるような湿り気100%な映画が、ヘタなコメディよりも断然笑えるものになっていたとは思いもよらなかったw

「バーミヤンで木島さんのこと言いふらしちゃいました」というセリフには思わず爆笑してしまったけど、魚民やらセブンイレブンやら聞きなれた場所が舞台となっていることで、自分の日常と映画が地続きになっていたことがこの映画の上手さといえるだろう。

話の展開としては、鬼畜・山田孝之を偏執的ともいえる形相で尾行する堺雅人を捉える冒頭シークエンスはじめ前半の予断を許さない鋭利な空気感は映画として一見の価値ありだったけど、後半につれて角が取れていくのはやや失速気味だったかも。。

ただ、絢香しか歌わない安藤サクラや木島から離れられない綾野剛など、若手役者陣のクセのある個性をこれだけ拝める映画も珍しく、やっぱり見る価値あり。

でも1番凄かったのはやはり木島役の山田孝之だろう。

単なるチンピラという枠を超えたところにあるようなドス黒い存在感とイカレ具合をあれだけのド迫力で表現できるというのはもはや上手いというレベルを優に超えていた。

それに対峙する堺雅人の演技力については今さら言うべきこともないだろうが、ポケットからブラジャーを取り出すキモ悪さはヤバかったw

全体的に谷村美月とか、もう少し登場人物のバックグラウンドを描いてくれれば映画として分かりやすくなったかもしれないけど、あえてそれを描かず人物の輪郭をボカしたことで、生きる目的も特になくダラダラと生きているような人物たちの惰性を強調したかったのだとすれば、それはそれで一応の成功をみているといっていいだろう。

ひと頃プリンが好きすぎて間食にプリンしか食べていなかったら逆に気持ち悪くなって食べれなくなったことがあるけど、これ見てまた食べれなくなりそう・・・

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親切なクムジャさん

20051201007出演:イ・ヨンエ、チェ・ミンシク、クォン・イェヨン、オ・ダルス、キム・シフ

監督:パク・チャヌク

(2005年・韓国・114分)仙台フォーラム

評価★★☆/50点

内容:幼児誘拐殺人の罪で13年間服役した、完璧な美貌の持ち主クムジャ。刑務所では誰に対しても優しい笑顔を絶やさず「親切なクムジャさん」と慕われていた。しかしようやく出所し、生き別れになった娘・ジェニーを取り戻した彼女は、自分を刑務所に追いやった張本人であるぺクという男に復讐を果たすべく動き出す・・・。

“不親切な監督さん”

パク・チャヌクは天才。それには誰も異論はないと思う。

フェルナンド・メイレレスがリアリズムの極致にあるものとエンターテイメントの極致にあるものを同時に見せる天才だとすれば、パク・チャヌクは善と悪の二面性を同時に見せる天才だといえる。

彼の描く復讐劇の凄さはこの点に集約されると思う。

善と悪の二項対立ではなく、善と悪の共存とせめぎ合いの中から復讐という鬼が顔を出す、それを美しくなおかつ赤裸々・醜悪に描き出したことに、今まで見たこともないゆえのとまどいと戦慄を覚えたはずなのだ。少なくともそのように自分の身体にパク・チャヌクの映画は刻まれてきた。

その視点でみれば、やはり「オールド・ボーイ」の完成度は群を抜いていたと思う。

さて、本作である。

違和感ととまどい。今までの作品とは異なる意味でのとまどい、、、正直がっかりした。

まるでM・シャマランの「アンブレイカブル」のごとき善と悪、天使と悪魔という完全な二項対立に、まずは物足りなさを感じたが、ここで問題なのは話はいたってシンプルなのに話の構成が複雑怪奇にすぎることだろう。

しかも描かれる人間関係の浅さといったらない。

クムジャと変態エロぺク先生(生徒たちとのぎこちないお遊戯シーンの後に夕食中の機能的なSEXシーンを出してきたトンでも落差がこの映画最大の見所だったかも・・・)にしても、クムジャと娘ジェニーにしてもその関係性が決定的に浅いし薄い。

それはつまり彼らの過去の描写が決定的に浅く薄いと言いかえることができるわけで、これでは感情移入さえままならないどころか、復讐の鬼と化すための執念というエネルギーさえ削いでいるように見えてしかたなかった。

そのため執念という激情を、計画・計算高さという冷静が上回ってしまった気がする。

それゆえクムジャの笑顔の裏に隠された能面も見ていて正直気持ち悪かった。

このように、本作には映画の中に観る者を引きずり込む何かが欠けているように思えてならない。

そういう中途半端な状態で観続けたものだから、痛い残酷描写だけが突出して、観ている自分をザクザク突き刺してきて痛ってぇのなんの。パク・チャヌクの映画でこんなにダメージ受けたのは初めてだ。。

復讐の後に残ったむなしさを描いたであろう本作を観終わった自分は、別な意味での大いなるむなしさに襲われてしまったのだった。

激辛スープに顔をおもいっきりうずめて目を覚ましたい気分だなこりゃ。。

天才肌パク・チャヌクの超絶パスを今回自分は受け取ることができなかった。目測を誤った自分が悪いのか、、それともパク・チャヌクの方が目測を誤ったのか、いやいや、超絶パスが自分の能力を遥かに超える凄さだったのか、、、しかし、これだけは言える。

彼の超絶パスを自分はこれからもスクリーンというピッチの中で受け取りたいのだと。そのパスさえ受け止められれば、あとはゴールへまっしぐらなのだから。その歓喜を自分は感じたい。

次も寄こせ!俺にパスを!

、、と、その前に観る力を養わないとダメかもなぁ・・

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ダブル・ジョパディー(1999年・アメリカ・105分)WOWOW

 監督:ブルース・べレスフォード

 出演:トミー・リー・ジョーンズ、アシュレイ・ジャッド、ブルース・グリーンウッド、ローマ・マフィア

 内容:「同じ罪で2度有罪にならない=ダブル・ジョパディー」というアメリカ合衆国憲法をテーマにしたサスペンス・スリラー。夫殺しの濡れ衣で服役した妻は、死んだはずの夫が息子を預けた親友と暮らしていることを知り、復讐を誓うが・・・。

評価★★★★/75点

注文の多いハリウッド料理店が新食材ダブル・ジョパディーを発見!

どんな味がするのかも分からずにまずは強引に調理してみるのがハリウッド料理店のやり方。そして美味い不味いに関係なく出来上がった料理を大々的に売り出すのです!

それがハリウッド料理店の繁盛している理由なのです。

、、ってお客がバカで踊らされているってことじゃねえかよ。。

              ・

              ・

              ・

ってオレだよ、、それww。。

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ゆりかごを揺らす手(1991年・アメリカ・110分)NHK-BS

 監督:カーティス・ハンソン

 出演:アナベラ・シオラ、レベッカ・デモーネイ、マット・マッコイ、アーニー・ハドソン

 内容:出産間近だったクレアは、診察を受けた産婦人科の医師に猥褻行為をされたとして訴訟を起こす。その事件は大きな社会問題にまで発展し、ついに医師は自殺。その妻であったペイトンは精神的ショックで流産してしまう。全てを失ったペイトンは半年後、ベビー・シッターとしてクレア一家の前に現れる・・・。

評価★★★★/75点

ジワジワと真綿で首を絞めるように追いつめていく女の復讐劇はオトコからするとかなり怖いものがあり、片時も目が離せない。

古典的なサスペンスのプロットを踏襲しつつ、復讐女に母性を与えているのが逆に狂気を増幅させていて怖いのだ。よく出来ていると思う。

終盤なんて女版シャイニングみたいだったし・・w

まぁ、あれだな、、レベッカ・デモーネイのシースルーおっぱいが1番印象に残ってるけど、よく誘惑を耐えたよ旦那も(笑)。。

2015年2月19日 (木)

夢のシネマパラダイス199番シアター:桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ

Poster出演:神木隆之介、橋本愛、東出昌大、大後寿々花、清水くるみ、山本美月、松岡茉優、落合モトキ、浅香航大、前野朋哉

監督:吉田大八

(2012年・日本・103分)WOWOW

内容:ある金曜日の放課後。バレー部のキャプテンで成績も優秀、彼女は学園一の美女という、校内ヒエラルキー最上位に位置する桐島が部活をやめたらしいとの噂が広まる。学校に来ず連絡も取れない桐島を巡って、バレー部の部員はもちろん、桐島の彼女や親友たちにも動揺が広がる。さらにその影響は、吹奏楽部の部長や映画部の前田ら、桐島とは無縁だった生徒たちにも及んでいき・・・。

評価★★★★★/90点

だめだ。

動揺を隠しきれない。

映画を見て登場人物に共感することはあっても、まさか海馬に電流が走る思いをすることになろうとは・・・

ドラフト形式で選ぶ体育のサッカーのチーム分けでは中位~下位指名が常で、しかもシネマ好きのメガネっ子、部活は体育会系とは程遠いテニス部だった自分は、前田(神木隆之介)にそれなりのシンパシーを感じながら見ていた。

それなりのというのは、学園カーストの中でなるだけ浮いた存在にならないように空気を読んで無難に生きる道を選んだ自分にとって、前田というのは実は最も遠い存在といえるからだ。

例えば映画雑誌の中でもマニアックな部類に入る「映画秘宝」を堂々と教室で読むような、それを小馬鹿にする者たちなんて眼中にないというメンタリティと、それほど夢中になれるものを持ち合わせ、それにまっすぐに取り組む嘘のない生き方を自分はしていたとは到底言えないということだ。

ドラフトが終わるまでは引退しないという野球部のキャプテンになんてなれない自分は、そういう意味では本質的には“中身空っぽ”な宏樹(東出昌大)たちの部類に入るのだと思う。

かといって例えば学園カーストの頂点にいる神のような桐島の不在によって自分の立ち位置がすぐにぐらついてしまうようなポジションに自分が居たわけでもなくw、カーストの底辺よりちょっと上のその他大勢の中でぬくぬくと馴れ合って生きていたのだ。前田やキャプテンのようにしっかりと自分というものを持っていないこと自体すでに負け組であることにすら気づかずに・・・。

いや、映画ではそれに気づいたのは宏樹ただ一人だ。普段はそんなこと誰も気づかない。

その点ではある意味、見たくなかった映画でもある(笑)。

そしてそれは、前田の恋の予感フラグが一瞬にして崩れ去るシーンを目の当たりにして確信に変わった。

こういうのどっかで見たことあるなぁ、、って俺だよw!!

あ、なんか思わせぶりな顔で自分の方見てるんだけど、、んなわけあるか!

じゃあまたね♪という一言に深い意味を見出してしまったり、、って普通の会話だろ!

、、というモテない男のたくましすぎる想像力と先入観はただの夢でしかないという、そんな封印していた記憶を掘り返すような地獄の断頭台をまともに喰らってしまった自分はもはや平静ではいられなかった。

最後に言おう。

凄い映画だった・・・。

P.S. 

唯一引っかかったのは吹奏楽部の部長さん(大後寿々花)が影が薄い生徒というところ。吹部の部長といったらかなり上位のステータスだと思うんだけど。。

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幕が上がる

Poster2_2出演:百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏、ムロツヨシ、志賀廣太郎、黒木華

監督:本広克行

(2015年・日本・119分)WOWOW

内容:今年もあっさりと地区予選で敗退した富士ヶ丘高校演劇部。引退した先輩たちに代わって新部長となった高橋さおりは、部員たちをどうまとめていけばいいのか分からず悩める日々を送っていた。そんな中、かつて学生演劇の女王と呼ばれた新任の吉岡先生が赴任してくる。そして全国大会出場という目標を高らかに告げる先生のもと、弱小演劇部員たちは高い壁に挑んでいく・・・。

評価★★★/65点

平田オリザが「演劇を作る面白さは、同じ日本語を話しているつもりでも相手の受け取り方がそれぞれ違ってくるように、バラバラのイメージを持った人間が集まって一定期間内で作品を作り上げていくことにある」と言っていたけど、演劇部の部員たち各々の多様性が主人公さおり(百田夏菜子)のモノローグによって矮小化され勝手に方向付けされてしまうのでちょっと興ざめしちゃったかなぁ。

まぁ、ももクロメンバーのキャラクターや特徴が登場人物にトレースされているであろうことを考えれば、それを脳内補完できるももクロFAN限定映画なのだろう。

でも、泣く前にまでモノローグでわざわざ説明入れるってのはやりすぎにもほどがある(笑)。

と、どちらかといえば不満点の方が目についたかんじだけど、でもメンバーたちは予想以上に演技できてたんじゃないかなとは思う。一人芝居やワンカット長回しなど自然体でこなせていたし、ドーム球場5万人の前でパフォーマンスできるだけのことはある強心臓ぶりをみせてくれたと思う。

また、無限の速さで広がる宇宙の果てには誰もたどり着くことはできず、どんなに遠くへ行ってもそこはどこでもないどこかでしかない=まだ何者にもなれていない将来に対する不安感と、しかし一方で人はどこまででも行ける切符を手にしている=何者にでもなれる可能性があるという学生時代特有の鬱屈感と夢を抱ける喜び=王道の青春譚を宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をうまいこと引き合いに出して表現していたのもナイスだった。

あとはやっぱり黒木華に助けられた部分はかなり大きかったね。これぞ女優っていう存在感をみせてくれたと思う。

しかし、天龍源一郎、、ってなんで(笑)?

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告白

260b67cbd1bec5ef95c2d165e4a38e99 出演:松たか子、木村佳乃、岡田将生、西井幸人、藤原薫、橋本愛、芦田愛菜、新井浩文

監督・脚本:中島哲也

(2010年・東宝・106分)CS

評価★★★☆/70点

内容:とある中学校の終業式。1年B組の担任・森口悠子は、その日で教職を辞することを生徒たちに告げ、ある告白を始める。それは数ヵ月前、一人娘の愛美が二人の生徒に殺害されたという衝撃的なものだった。そして、少年法に守られた彼らに自分なりの復讐をしたのだと。その後、森口は学校を辞め、事情を知らない熱血教師の寺田が新担任としてクラスにやってくるが・・・。

“すべての子供たちに宣戦布告する!大人版「バトルロワイアル」”

本屋大賞が好きなオイラはもちろん原作を読んでいたのだけれども、登場人物5人の視点から告白するという一人称形式の特異な文体とグサグサと突き刺してくるような復讐劇の面白さにスラスラと読んでいけたとはいえ、これが本屋大賞!?といぶかってしまうくらい後味は悪く・・。

こんな暗い話がはたして映画になるのか、、一人称独白スタイルが映画に転換できるのか、、クドイくらいのビジュアル波状攻撃を繰り出してくる中島ワールドとどう結びつくのか、、全く想像つかず・・。

で、、フタを開けてみたら、やっぱり暗く、その上グロく、それでもクドく、、正直また見たいとは到底思えないシロモノだったのだけど、しっかり映画として成立していてさすがだなという出来栄えではあった。

一貫して原作ものを題材にしながらも、多彩な演出と大胆なアレンジでオリジナルのイメージを超えた別次元のオリジナルにしてしまう中島監督のハイテンションマジックは今回かなり抑え目ではあった。

しかし、極彩色を排し、逆光とスローモーションを過剰なまでに多用した硬質な画面構成は隅ずみまでキメられており、その濃い陰影の中からかえって毒々しさがあらわに出てきて不快感は増すばかり。

同じ陰惨な原作という点では「嫌われ松子の一生」(2006)があるけど、めくるめくスピードでカラフルかつユーモラスに女の転落人生を描いたあちらとは対照的な作風となっていて興味深かった。

“役者”と“行動”によって話を展開させた「嫌われ松子」と、“映像”と“説明”によって展開させた「告白」といったところか。。

もっといえばあちらはどんな人間でも肯定しようというヒューマニズムがあったけど、今回は一方的な憎悪から生まれる虚しさしかなく、そこにはメラメラと燃えさかる生命力のカケラもない。

だから今回の映画ははっきりいってもう見なくていい。面白いけど好きくないつーか(笑)。。

ただ、原作が一方的な主観=語り部のカメラだけで紡がれる文法だったのに対し、映画は映像という神の視点=観客の視点が加わることで、彼らの独白ははたして本当のことを言っているのかという疑義が入り込む余地が生まれ、5人の語り手それぞれの解釈(告白)がそれぞれ異なるように、見ている自分たちの解釈をも揺さぶることで本作のテーマであるディスコミュニケーションを助長するという意味では上手いつくりになっていたとは思う。

「な~んてね」という言葉の選択は秀逸だったし、それで締めたのも上手かった。

とはいえ、もう一回見る気はさらさらないけどね・・・w

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櫻の園(1990年・日本・96分)NHK-BS

 監督:中原俊

 出演:中島ひろ子、つみきみほ、白鳥靖代、梶原阿貴、三野輪有紀、岡本舞、南原宏治

 内容:毎年チェーホフの「桜の園」が上演される私立櫻華女学園の創立記念日の朝。開演を控えた演劇部員たちだったが、前夜部員のひとりがタバコを吸って補導されたことで上演中止の危機に陥り動揺が広がる・・・。

評価★★★/65点

女子高特有の外界から閉ざされた異空間な雰囲気はよく描けていたと思うけど、それは同時に男目線からすると理解の範ちゅうを超えたところに感情線があるため、青臭さしか感じ取れない気持ち悪さに延々苛まれる副作用もある。しかもその副作用が少々強かった・・。

要は伝統ある名門女子高だけにいいとこのお嬢様しか通っていないのか、みんな大人な落ち着きがあって、異物が混在していない平板さが間口を狭めていて、正直これを清々しさや瑞々しさといった感傷には落とし込めなかったなぁと。。

まぁ、上演2時間前の限定シチュエーションという時間軸の制約を考えれば小綺麗にまとまってるとは思うけどね。。

ってこれ、「海街diary」の吉田秋生のマンガ原作なのか。今度読んでみよう。

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パリ20区、僕たちのクラス(2008年・フランス・128分)WOWOW

 監督:ローラン・カンテ

 出演:フランソワ・べゴドー、フランク・ケイタ、ナシム・アムラブ、ローラ・バケラ、ウェイ・ホァン

 内容:外国からの移民が多いパリ20区のとある中学校。様々な出身国からなる24人の生徒たちのクラスを受け持つ国語教師フランソワの新学期が始まった。彼は正しく美しいフランス語を教えようとしていたが、スラングに馴れた生徒たちの言葉は乱れ、フランス語すらたどたどしい生徒までいる始末。それでもフランソワは、彼らと粘り強く正面から向き合っていくのだが・・・。

評価★★★/60点

98年フランスW杯で優勝したフランス代表は「ブラック・ブラン・ブール」(黒人・白人・アラブ人)の融合チームとして多民族移民国家のシンボルとしてもてはやされたことは記憶に新しい。

しかし、現実の社会ではその多様性は価値観の優れたバランスではなく崩壊寸前のカオスを生み出してしまう危うさをもった生半可なものではないということが、学校の教室という最も分かりやすい舞台を描いた今回の映画を見てよく分かった。

まぁ、それ以前に南アW杯で大惨敗を喫したフランス代表を見れば如実に分かることだけどww

ただ、子供の頃から見続けてきた学園ドラマのフォーマット-型破りな先生が保守的な職員室と対峙しながら問題児や落ちこぼれを熱血指導で立ち直らしていく-が身についている自分にとっては、解決の糸口が見えない現実の重さを見せられるのは少々荷が重く・・・。

たしかに中学生が直面するにはあまりにもシビアな現実には目が点になってしまうのだけれど。

しかし、異質な者を排除していく傾向にある日本の教室において、異質な教師が船頭役に立つ構図はカタチになるのかもしれないけど、逆に異質な者だらけのフランスの教室においては型破りとは程遠いフツーのオッサンが教師の方がカタチになるのかもしれない。

でも、にしたってスレイマンの退学すんなり決まりすぎだろー。。盛り上がりに欠けるやんw

フランス版二十四の瞳は、はっきりいって面白くなかったです(笑)。

2015年2月16日 (月)

夢のシネマパラダイス584番シアター:事実は小説より奇なり

アルゴ

Poster_4出演:ベン・アフレック、ブライアン・クランストン、アラン・アーキン、ジョン・グッドマン、ヴィクター・ガーバー、テイト・ドノヴァン

監督:ベン・アフレック

(2012年・アメリカ・120分)盛岡フォーラム

内容:1979年11月。イラン革命真っ只中のテヘランで、革命勢力がアメリカ大使館を占拠。52人を人質に前国王の身柄引き渡しを要求する事件が発生する。しかしその際、裏口から6人の大使館員が脱出し、カナダ大使の私邸に逃げ込んでいた。イラン側に見つかるのは時間の問題の中、救出のために白羽の矢が立てられたのはCIAの人質奪還の専門家トニー・メンデス。そこで彼が立案したのは、架空の映画企画をでっち上げ、6人をイランにロケハンに来た制作スタッフに偽装して出国させるというあまりにも荒唐無稽な作戦だった。かくしてSF超大作「アルゴ」の製作発表が大々的に行われるが…。

評価★★★/65点

事実は小説より奇なりとはよく言うものだけど、これこそ映画にするために生まれたようなウソのようなホントの話だね。

なんでこれを今まで誰も映画にしてこなかったんだろうと思ってしまうけど、映画にすると決めた時点で勝算はあったようなものだろう。

なのに、イマイチ自分のテンションが上がってこないのは、ニセのSF映画を作るためのロケハンクルーになりすますという救出作戦ネタを映画見る前にすでに知っちゃってたことが大きく・・

何の情報も仕入れずに見てたら突拍子のなさに俄然乗れていったと思うんだけど、、という言い訳(笑)。

、、いや、それは重々承知の上で言わさせてもらおうw

ちと演出がお堅いんじゃないかしら

なんだろ、緊迫のイランパートと陽気なハリウッドパートがお互いの良さを相殺しちゃってるんだよね。

そのため、サスペンスとしては脱出劇としてのミッションインポッシブル感があまり伝わってこないし、映画愛讃歌としてもコミカルなB級っぽさがハジケきれていないという、そんな印象を受けてしまった。

演出自体もかなり抑えめで単調なためメリハリが弱いし、登場人物の掘り下げが浅くて個々のパーソナリティが悪い意味で平均化してしまっているのもマイナスポイント。

ポリティカルサスペンスとコミカルな映画愛、どちらか一方に振り子を揺らす勇気がほしかったところだけど、この映画はその両方をいいとこ取りでなぞったため、逆に小さくまとまりすぎてしまったかんじだ。

面白いことは面白いのだけど、史実としての面白さ以上のものまで昇華できていないもどかしさは、それが十分できる格好の題材だっただけに少し残念だった。。

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ブリッジ・オブ・スパイ

Poster2出演:トム・ハンクス、マーク・ライランス、エイミー・ライアン、アラン・アルダ、スコット・シェパード

監督:スティーヴン・スピルバーグ

(2015年・アメリカ・142分)WOWOW

内容:1957年、米ソ冷戦下のNY。ソ連のスパイ容疑でルドルフ・アベルという男が逮捕された。国選弁護人を担当したのは保険事案の専門弁護士ジェームズ・ドノバン。彼は世間の批判にさらされながらも、アベルの死刑回避を勝ち取る。それから5年後、ソ連領空で偵察中に撃墜されソ連に拘束された米軍パイロットを服役中のアベルと交換する話が持ち上がる。そこで交渉役として一民間人のドノバンに白羽の矢が立つが・・・。

評価★★★/60点

東西冷戦真っ只中で一触即発の緊張状態にあった米ソ。そのスパイ交換の外交交渉を一民間人の弁護士が担っていたというウソのようなホントの話は映画にもってこいの題材ではある。

例えていえば、中東で拘束された日本人ジャーナリストの水面下の救出交渉に北村弁護士が赴くといったところでw、まさに事実は小説より奇なりだと思うのだけど、その割にサスペンスフルなハラハラドキドキ感をほとんど感じることがなかったのはなぜだろう・・。

と考えると、スピルバーグのそつのない手練れた歴史ものにいい加減飽きてきたのに加えて、そもそものところで米ソ冷戦という今や時代遅れのカビの生えたようなコンテンツにもはや魅力を感じず、ダブルで飽きが来ちゃって見てるこちらのテンションが上がっていかなかったかんじ。

それこそ脚本を書いたコーエン兄弟が撮っていれば単なる安パイには終わらないヒト癖ある作品になったと思うんだけどなぁ。。

2015年2月15日 (日)

夢のシネマパラダイス135番シアター:バンテージ・ポイント

バンテージ・ポイント

20080308v2出演:デニス・クエイド、マシュー・フォックス、フォレスト・ウィテカー、サイード・タグマウイ、シガニー・ウィーバー、ウィリアム・ハート

監督:ピート・トラヴィス

(2008年・アメリカ・90分)WOWOW

内容:スペインのサラマンカでテロ撲滅の国際サミットが開催される。記念式典が行われる広場では、米大統領によるスピーチが行なわれるため、多数の観衆とTVカメラが集まっていた。ところがその矢先、大統領が狙撃されたのに続き爆発も発生、一瞬にして広場はパニックに陥る。シークレット・サービスのトーマスとケントは狙撃犯の捜索に奔走するが・・・。

評価★★★★/80点

大統領の狙撃&爆弾テロの現場を複数視点からリピート構成していき事件の真相を明らかにしていく手法、それを90分にコンパクトに収める練られたシナリオ、そして偏差値50の分かりやすさと、ドンピシャで自分好みの映画だった。

ひとつの事象を複数視点から捉える“藪の中”方式はサスペンスミステリーにおいて使われてきた手法だけど、これをアクション映画に用いてきたのが新鮮だったし、偏差値50の分かりやすさといった通り、“真実はひとつ”に導いていく収め方も後味が良かった。

しいて難点を挙げれば、犯人視点を早々に出してきちゃったことだろうか。

8人なら8人の目撃者の視点でパズルをはめていき最後に犯人はコイツだ!!という作り方もあったと思うのだけども。けど、それだと90分は優に越えちゃうかw

まぁ、お茶漬け感覚な映画を最近求めていたので良しとしよう(笑)。

2015年2月14日 (土)

夢のシネマパラダイス217番シアター:運命のタイムリミット

3時10分、決断のとき

310yuma出演:ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイル、ローガン・ラーマン、ベン・フォスター、ピーター・フォンダ、グレッチェン・モル

監督:ジェームズ・マンゴールド

(2007年・アメリカ・122分)NHK-BS

内容:アリゾナ州ビスビーで凶悪強盗団の首領ベン・ウェイドが捕えられた。何度も痛い目を見てきた鉄道会社は公開処刑のために刑務所のあるユマへ連行することに。しかし、そのためにはユマ行きの列車が出発する3日後の午後3時10分までに遠く離れたコンテンションの駅に護送しなければならなかった。そこで護送隊が編成され、借金のために家と牧場を取られそうになっていたダン・エヴァンスは200ドルの報酬目当てに志願する・・・。

評価★★★★☆/85点

漢映画、ラッセル・クロウ、西部劇とくればハズレるわけがないとは思っていたけど、その上をいく出来で非常に心に残る映画だった。

冷酷・非道と良識・任侠の間を行き来する捉えどころの無さが逆にカリスマ性を倍増させているラッセル・クロウの演技は織り込み済みだったけど、ヘタレ親父挽回のため悲壮の決意で無謀な命のやり取りの場に飛び込んでいくクリスチャン・ベイルと、親分のために一途な美学を貫くベン・フォスターがことのほか良かった。

このトライアングルのバランスが絶妙で魅力的だったため、悪党と不屈のカウボーイの間に表裏一体のように生まれてくる奇妙なつながりに共感できたのかもしれない。

そして、状況ではなく面構え、視線、フェティシズムといった自己陶酔なキャラクター自らが物語を動かす基盤になっている映画というのは、やはり格段に面白いのだということに思いが至る。

ただ唯一、名優ピーター・フォンダの扱いが薄かったのだけはちと心残りだったけど。

しかし、命を賭して信念とプライドを守り抜こうとする男の意地というのは、なにか日本の武士道にも通じるところがあるように感じたけど、西部劇にそういうある種の非合理的カッコ良さを見たのはこれが初めてかもしれない。

しかし、かといってこれが異色ウエスタンの体を取っているかといえばしっかり王道を地で行っており、ジェームズ・マンゴールドの骨太演出もさすがだなと唸らされた。

これは傑作の部類に入れていいと思う。

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ニック・オブ・タイム

70726f647563742f3835353765356464373 出演:ジョニー・デップ、クリストファー・ウォーケン、チャールズ・S・ダットン、マーシャ・メイソン

  監督:ジョン・バダム

(1995年・アメリカ・89分)仙台フォーラム

評価★★★★/80点

内容:幼い娘リンをテロリストに誘拐された税理士のワトソンは、女性知事の暗殺を強要されてしまう。タイムリミットは90分!映画の時間と実際の時間の進行を一致させたヒッチコックの「ロープ」風のリアルタイム演出がキモとなっているサスペンススリラー。

“アメリカ合衆国の一般市民は誰でも銃を簡単に扱えるらしい・・・。”

ていうかあれだけの組織力とバックボーンを揃えてるならプロのスナイパーとか暗殺者くらい雇えるだろ、、とやはりツッコミたくなる。道行く人をつかまえて、お前、知事を撃てって、おいおい、オイラ銃使ったことないんですけどてヤツもおるやろ。しかもスナイパーと違って100%確実に仕留められるというわけでもないだろうし。

ま、ただ知事を撃ったヤツは知事を殺すことができなかったとしても100%グルの警備連中に撃ち殺されちゃうわけだ。

こんなはた迷惑な話もないよなぁ。

知事を殺す云々の前に自分が確実に殺されてしまう、そしておそらく娘まで。

自分と娘の命が握られている状況からいかに脱却するかをこの映画は描いていくわけだけど、いかんせんもともとの暗殺計画に土台無理があるため、綻びが至るところに見えてしまう。

そしてまさに順当ともいえる形で映画はこれらの綻びを突いていき展開させていく。

ま、つまるところ、こういう設定じゃないと描けないってことなんだろうね。。しかも90分に収めなきゃならないわけだし。

でも実はよくよく考えてみると、ジョニー・デップがK・ウォーケンに捕まって車の中で知事を撃って来い、そうしないと娘を殺すと言われたとき、時計はすでに12:17なんだよね。

リミットが13:30だから、正確には90分というよりは正味73分というわけだ。

たった73分で人間はやれば何だってできるんだなぁ、、ってビートルズの27曲入りベスト聴いてる間に??

マジかよ・・

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96時間(2008年・仏/英/米・93分)WOWOW

 監督:ピエール・モレル

 出演:リーアム・ニーソン、マギー・グレイス、リーランド・オーサー、ジョン・グライス、ファムケ・ヤンセン

 内容:妻に捨てられ、彼女の再婚相手のもとで暮らすひとり娘キムにもたまにしか会えないという寂しい日々を送るさえない親父ブライアン。そんな中、友達とパリに旅行に行ったキムが誘拐されてしまう。居ても立っても居られず単身パリへ飛ぶブライアンだったが、実は彼、CIAの元秘密工作員だった。96時間がタイムリミットとされる中、ブライアンは娘を奪還すべく捜索を開始する・・・。

評価★★★/60点

邦題から連想されるような時間まったなしのサスペンスもなければ、主人公が陥る絶体絶命のピンチもない、ただの無双映画だったというオチ。変わったことといえばキャストがセガールからニーソンに交代したことだけ(笑)。

それくらい問答無用に親父が強すぎて逆に心地よいくらいなんだけど、もうひと捻りくらいはあってもよかったし、小物すぎる敵ももうちょっと魅力的に描いてほしかった気も。。

ただ、善人で真面目なイメージしかないリーアム・ニーソンの容赦のない必殺仕事人ぶりがことのほか様になっていたのはたしかで、90分というサクサク感覚も含めて暇つぶしにはもってこいの映画だと思うw

ただ、アクションもこなせる姉御ファムケ・ヤンセンの使い方だけは宝の持ち腐れでもったいなかったなぁ・・。

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96時間/リベンジ

O0300040012376880139出演:リーアム・ニーソン、マギー・グレイス、ファムケ・ヤンセン、ラデ・シェルベッジア、リーランド・オーサー

監督:オリヴィエ・メガトン

(2012年・フランス・92分)WOWOW

内容:トルコのイスタンブールで要人警護の職務を終えたブライアンは、そのまま元妻レノーア・娘キムと休暇を満喫し、あわよくば復縁をも画策していたが、それは甘い考えだった。レノーアと2人で赴いたイスタンブールのバザールで突然謎の集団に襲撃され拉致されてしまったのだ。しかも彼らはかつて娘キムの誘拐事件でブライアンに殺されたアルバニア人実行犯の父親だった・・・。

評価★★★/60点

前作での恨みつらみを抱えた敵方の倍返しに対し10倍返しで返り討ちにしてみせる人間GPS親父の無敵ぶりは今回も健在。

さらに街中で手榴弾を投げたり無免許運転でカーチェイスしたりと親父のDNAを受け継いだ素人娘の無茶ぶりも加わって前作より見どころは多い。

ただ、敵のアルバニア人にも愛する家族がいたというバックボーンを描くことで記号だけの悪役から離れた人間性を与えたはずなのに、リーアム親父に家族のためなら何をしてもいいという罪悪感ゼロの正当性を与えるために結局は極悪ショッカーにしかなっていないのはちょっとイマイチだった。10倍返しの爽快感しか眼目にない中では妥当な切り捨てとはいえ、最後まで分かり合えない復讐の連鎖は見終わって何にも残らなかったのもたしかだ。

まぁ、難しいこと考えずに娯楽アクションとして見れば痛快なんだけど、心の片隅に残るモヤモヤしたかんじは何だろうと思ったら途端に消化不良になってしまった・・・。

しかし、眠れる獅子ファムケ・ヤンセンはいつ大暴れするんだww

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運命のボタン(2009年・アメリカ・115分)WOWOW

 監督:リチャード・ケリー

 出演:キャメロン・ディアス、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ、ジェームズ・レブホーン、ホームズ・オズボーン

 内容:早朝、ルイス夫妻宅の玄関のベルが鳴る。しかし、妻のノーマが出ると、そこには誰もおらず、ひとつの四角い箱が置かれていた。そして、夫のアーサーがその箱を開けると、中には赤いボタンが付いた木製の装置が入っていた。午後5時、今度はアーリントン・スチュワードと名乗る男が訪ねてくる。男は夫妻に、赤いボタンを押せば2つのことが起きると告げる。どこかで見知らぬ誰かが死ぬとともに、現金100万ドルが夫妻のものとなるというのだ。決断の期限は24時間。経済的に追いつめられていた2人は、結局ボタンを押してしまうのだが・・・。

評価★★☆/50点

世にも奇妙な物語の一編にあるようなショートショートレベルかなと思ってたし、それに付随するアッと驚くオチを期待してた部分もあったのだけれど、それは大味なハリウッドが許してくれるはずもなかった・・・。

いや、、それにしたってここまで風呂敷広げる必要あるのか!?と思っちゃったけど、CIAにNSAに、それだけでも食傷気味なのにあげくの果てに宇宙人!?反則だろコレ・・w

究極の選択という不条理劇を宇宙人ネタで回収しようなんてそれこそ不条理だわ。。

キャメロン・ディアスの女優としてのたしかな脱皮を確認できるという点でしか見る価値はないな。

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16ブロック

20061011_240243 出演:ブルース・ウィリス、モス・デフ、デヴィッド・モース、ジェナ・スターン

監督:リチャード・ドナー

(2006年・アメリカ・101分)2006/10/25・MOVIX仙台

内容:NY市警の刑事ジャックは、かつて捜査中の事故で足を負傷し、今では酒びたりの日々を送っていた。そんなある日、彼はチンピラのエディを16ブロック先の裁判所まで証人として護送することに。15分もあれば終わる仕事のはず、、が、その途中で何者かに襲撃されてしまう。なんとか難を逃れバーに身を潜めたジャックは応援を要請、そこに殺人課の同僚フランクがやって来るのだが・・・。

評価★★★★/75点

1.5kmの道のりを証人を連れて2時間以内にたどり着かなければならないという限定シチュエーションものだが、意外にソツのないつくりになっていて安心して見ていられる。

物語の進行時間と映画の上映時間をリアルタイムでシンクロさせるという手法は、古くはロバート・ワイズの「罠」(1949)やフレッド・ジンネマンの「真昼の決闘」(1952)、最近ではジョニー・デップの「ニック・オブ・タイム」(1995)などで見られるが、今回の映画でも四面楚歌状態の中で飲んだくれのやつれた主人公がギリギリのところで危機を切り抜けていくサスペンスを手堅く描き出し、作劇的制約を逆手に取ることには一応成功していると思う。

難点といえば、黒人の証人がしゃべくりまくってウザくて緊迫感が削がれることくらいなもので(いや、これが実に大きなマイナス要素なのだが)、舞台となるニューヨークの街並みも縦横無尽に活かされているし、ブルース・ウィリスのダメ人間ぶりからの再生というキャラ設定もあわせて意外な掘り出し物というかんじがした。

逆にいえば、いかに最近ブルース・ウィリスの映画に食傷気味だったかということが分かろうものだが・・・。

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真昼の決闘(1952年・アメリカ・84分)DVD

 監督:フレッド・ジンネマン

 出演:ゲイリー・クーパー、グレイス・ケリー、トーマス・ミッチェル

 評価★★★★/75点

 内容:日曜の午前10時40分から正午までの1時間20分の間に展開する白昼の決闘の顛末を、徹底したリアリズムで描いた西部劇。ゲイリー・クーパーがアカデミー主演男優賞受賞。1870年、西部ハドリービルの町で結婚式を挙げたばかりの保安官ウィルのもとに、彼がかつて逮捕した無法者が保釈となり正午の列車で町に着くという知らせが届く。無法者は4人で、ウィルを殺そうとしていた。ウィルは彼らと戦うため、町の人に助けを求めるが誰も力になってくれない。覚悟を決めた彼は遺言状を書き、たった1人真昼の決闘に向かった・・・。

“めちゃ急いでる時って、あれよあれよという間に時間が過ぎ去っていくもの。この映画はまさにそんなかんじ。合格点!”

話のプロットという点でいえば別にどうってことないことを80分やってるんだけど、タイムリミットの正午という極点に向かってイヤでも突き進んでいくわけで、それがちゃんとした映画の求心力になっているのがまずスゴイ。

さらにその求心力を強くするために、列車の到着を今か今かと待ち続けるならず者たちと、真っ直ぐに伸びた線路を正面低い位置から見据えたカット、そして時計のカットを約5分間隔で見せていく。時計のカットに限っていえばこの映画の中で15,6回出てきます。

普通に考えてみたら異常なんだけど、この映画ではうまくプラスに働いていたというか、このくらい強調してやらないと、やはりもともとのプロットがあまりにも脆弱すぎるんだよね。

正午を過ぎてからラストに至るまでも、なんか時間に追われるようなかんじでパッパッと終わっちゃうし、盛り上がりに欠けるかなと。

まあ見せ方の上手さでもっている映画かなぁ。。

あくまでもリアルタイムに徹したのが吉と出たのだと思う。

2015年2月 8日 (日)

夢のシネマパラダイス583番シアター:永遠の0

永遠の0

137916603798413229477出演:岡田准一、三浦春馬、井上真央、濱田岳、新井浩文、染谷将太、三浦貴大、上田竜也、吹石一恵、風吹ジュン、田中泯、山本學、平幹二朗、橋爪功、夏八木勲

監督・脚本:山崎貴

(2013年・東宝・144分)2014/02/03・盛岡フォーラム

内容:司法試験に落ちてブラブラしている青年、佐伯健太郎。祖母・松乃の葬儀の日、今の祖父・賢一郎とは血のつながりがなく、宮部久蔵という実の祖父が別にいたことを知る。そして健太郎はフリーライターの姉とともに太平洋戦争で特攻で戦死したという宮部久蔵のことを調べ始める。しかし、かつての戦友たちはみな口を揃えて宮部を海軍一の臆病者や、誰よりも生き残ることに執着した腰抜けだったと非難するのだった・・・。

評価★★★★★/95点

先日、寝たきりだった祖母が亡くなった。享年91歳。

何度も峠を乗り越え、その小さい身体からは想像できないほどの強靭な生命力に家族みんなが驚いたものだが、関東大震災のあった年に生まれ、激動の大正・昭和を生き抜いてきたたくましさは変わらず宿りつづけていたのだろう。

そして葬儀の際、家族親戚の間で話題にのぼったのが祖母の満州からの帰還だった。

祖母は戦時中満州に開拓団として渡り、祖父と結婚。しかし、終戦と同時に祖父はシベリアに抑留され、祖母は生まれたばかりの赤ん坊を抱え日本への逃避行を余儀なくされた。

1年半後、日本の親戚の家の軒先に娘を連れてひょこっと現れた時はまるで乞食と変わらない身なりになっていたという。

飢え、寒さ、病気、自決、ソ連軍や現地人の襲撃などで、日本が満州に送り込んだ開拓移民など36万人のうち10数万人が日本の地を踏むことなく命を落とした満州引き揚げ。

そんな想像を絶する苛酷な惨状の中、乳飲み子を決して手放すことなく生き抜いた祖母は、その1年半の逃避行についてほとんど語ることはなかったという。

一方、祖父はシベリアで5年もの抑留生活を経て日本に帰還。

その数年後に父親が生まれ、さらに27年後に自分が生まれた。

そして、その意味するところを30数年生きてきた中で今回この映画を見て初めてハッと気付かされた。

祖父と祖母があの時代を生き抜かなければ、今ここに自分はいないのだということ、そして祖父と祖母の命はいうまでもなく、回りまわって自分の命が多くの尊い犠牲の上に立っているのだということに。

そして、「あの時代、一人一人にそんな物語があった。皆それを胸に秘めて何事もなかったかのように生きている。それが戦争で生き残るということなんだ。」という健太郎の祖父の言葉が胸に突き刺さった。

自分の場合、祖父の手の人差指がなかったことが自分にも分かる戦争の傷跡だったけど、祖父と祖母は孫の自分の前ではたしかに何事もなかったように生きているように見えた。

はたして2人の間で満州での話が出たことはあったのだろうか。だとしたらそれは懐かしい話だったのだろうか、それとも悲しい話だったのだろうか・・・。

今はもうその2人もこの世にはいない。

60年世代が違うと字も読めなくなると映画の中でボヤいていたごとく、60年世代が違うと戦争の悲惨な話の10分の1も実際身に染みていないほど戦争体験者と孫世代の自分とは“雲泥万里の隔たり”があるのだと思う。

しかし、それでも命を引き継いだ者としてしなければならないのは、「それを無駄にしないこと」であり、「物語をつづけること」なのだと映画から教えてもらった。

そういう意味では人生観を一変させるような一生涯の映画になったけど、小説を読んで初めて泣いたくらいの素晴らしい原作をよくぞここまで映像化してくれたなと感謝してもしきれない思いだ。

その上で映画のクオリティを高めたのは原作の持つ物語の強度はもちろんだけど、VFX/CG技術の果たした貢献度は非常に高かったと思う。

宮部機が敵戦艦に向かって海面すれすれを疾空するオープニングシーンから一瞬で映画の世界に入り込んでいけたように、作られた偽物ではなく、本当にあの時代にタイムスリップしたようなリアルな感覚を味わわせてくれた。

監督が自分の演出に酔っているのが明け透けに分かるほどの演出のクドさに乗れるかどうかは若干問題だけど(笑)、本当に素晴らしい映画であるとともに、戦争は絶対にダメだと強く心に刻んだ。

P.S.

唯一、違和感を感じたといえるのは、健太郎が合コンの席で友人から「特攻と自爆テロは同じ」「特攻隊員は軍国主義に洗脳された狂信的愛国者」「国のために命を捨てるというのはある種ヘンなヒロイズム」と茶化されて激怒するシーンだ。

正直、個人的には“自爆テロ”“洗脳”という指摘には共感するところがある。敵兵器に突っ込む特攻と一般市民を巻き添えにする自爆テロは厳密には違うのだろうけど、やはりその本質的なところでは通底するものがあると思うからだ。

景浦が言うところの「十死零生というこんなの作戦とは呼べない」ような狂気の沙汰を選択する以外に手段がないところまで追い詰められた状況、そして将来有望な学徒を半ば強制的に駆り立て、皇国に殉じて命を散らせば軍神に祭り上げる軍国主義の思想教育は、イスラム過激派のそれと何ら変わりがないではないか。

もちろんこの場合、特攻隊員に何ら非はない。それを命じた軍部、戦争を煽り立てた新聞、戦争を継続すること以外に策を講じなかった無能な政治家こそ糾弾されるべきだからだ。

そこまで踏み込めていればこの映画は100点満点だった。

あと、あるテレビ番組で元特攻隊員の証言で大変印象に残ったのが、出撃前夜の死を目前にした隊員たちの姿だった。兵舎ではみんな眠らず目をギラつかせながら鬼気迫る異様な雰囲気だったというが、夜が明けて出撃の朝を迎えるとそれがウソのように穏やかで朗らかな笑顔に変わっていたという。

それはまさに「死にに行く覚悟を決めた人間の目ではなく、ようやく家族のもとに帰れると安堵するような目をしていた」という景浦の言葉につながる。

出撃前夜の隊員たちのそういう姿を描いたシーンもあればよかったのになと少し思った。

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ホタル

Hotaru02出演:高倉健、田中裕子、夏八木勲、原田龍二、中井貴一、井川比佐志

監督:降旗康男

(2001年・東映・114分)NHK-BS

評価★★★☆/70点

内容:鹿児島の小さな港町で漁師をして静かに暮らす元特攻隊員の山岡秀治(高倉健)と腎臓を患っている妻の知子(田中裕子)。時代が昭和から平成に変わったある日、同じ元特攻隊員だった藤枝洋二(井川比佐志)の自殺の報せが届く。時を同じくして、金山という朝鮮籍の特攻隊員の遺品を故郷の韓国に届けに行って欲しいと頼まれた山岡は、ある決意を胸に妻を連れて海を渡るのだった・・・。

“桜島のぽっぽや”

北海道の“ぽっぽや”ならぬ南の国の“ぽっぽや”を彷彿とさせる夫婦愛を縦軸に、そして昭和天皇崩御による昭和という激動の時代の終焉を横軸にとり、過去の戦争による癒しきれない傷と悔恨、特攻から生きて帰ってきてしまったことによる複雑な様々な思い、戦争に翻弄された朝鮮人の特攻兵、そして夫婦の絆のドラマが淡々と綴られていく。

、、のだが、他愛のない純粋な夫婦愛が前面に出てきてしまい、根底にあるべき大事なテーマが裏に隠れて埋没してしまったような、そんな物足りなさは正直感じてしまう。

例えば、高倉健が朝鮮半島に渡って謝罪するというのは、ものスゴッ画期的なことだと思うんだけど、そこに至るまでの過程がやや平板に過ぎて現実感に迫ってくるものが乏しいというか、、、健さんと田中裕子の存在感だけでなんとか立脚していたかんじで、ちょっと残念だったかな。。

そういう意味ではすごい不器用な映画。高倉健だけに・・。

ただ、こういう過去の戦争を語っていこうとする真摯な映画はもっと多く作られていくべきだとは思った。

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俺は、君のためにこそ死ににいく(2007年・東映・140分)WOWOW

 監督:新城卓

 出演:岸惠子、徳重聡、窪塚洋介、筒井道隆、多部未華子

 内容:太平洋戦争末期、鹿児島の知覧飛行場から敵艦目指して片道燃料で飛び立っていく特攻隊の若者たちの儚い青春模様を、彼らから母のように慕われていた富谷食堂の女主人・鳥濱トメの視点で描く。ちなみに製作総指揮・脚本を手がけたのは石原慎太郎。

評価★★★/55点

“葛藤を描けない戦争映画ほど怪しいものはない。”

石原慎太郎が岸惠子を迎えるにあたって、あまりにも無難なところに軟着陸しちゃったなという印象。

歯に衣着せぬ暴言でおなじみの石原慎太郎としてはかなり控え目なかんじで、それがかえって映画として芯にまとまりと力強さがない印象を与えてしまっている。

また、食堂のお母さん・鳥濱トメの視点を一応借りてはいるものの、視点としてはかなり俯瞰的で、事象を細めに切り取ってただエピソードを羅列しているだけというかんじで、なかなか人物に入り込んでいくことができない。

そういう点では群像劇にすらなっていない散漫さばかりが目につき、なんというかもっと人物を絞って寄り添って描いていってもらいたかった。

つまるところ、葛藤を描けない戦争映画ほど怪しいものはないのだから。

そのため、特攻隊員が軍神と人間との間で宙ぶらりんになっている様相を呈している中で、「靖国で待ってるぜ!」なんざ連発されても、はたしてその意味するところは、“理不尽な犬死にという悲劇”なのか、それとも“「あなた」ではなく「君」のために儚く散っていった美談(美しい日本人の姿)”なのか、かなり意図的に曖昧にされているかんじでかえって不気味だし、バックにいる石原慎太郎がどうこうは別にしても映画としての重心の弱さにもつながっていて、なんとか岸惠子がつないでいたからいいものの、映画としての出来ははっきりいって悪いと言わざるをえない。

もっとバシッと、右なら右、左なら左と舵を切ってほしかったような、、、立ち位置はまるで違えど石原慎太郎が朝日新聞のような切り抜け方をしてどないすんねん(笑)。

(追記)

これをWOWOWで見たちょうどその日に民放で「千の風になってスペシャル 戦場のなでしこ隊」というスペシャルドラマがあって、おもわず見入ってしまった。

特攻隊員たちの身の回りの世話をするなでしこ隊については、映画の中でも鳥濱トメ(岸惠子)の次女(多部未華子)がその一員として描かれているけど、TVドラマの方は、なでしこ隊のリーダーだった前田笙子さん(当時15歳)の視点から、彼女がつけていた日記や、まだ御生存の方々の証言を交えて描いた証言ドラマで、映画の中でも「智恵子、会いたい。話がしたい、無性に、、、」という手紙の引用でちらっと出てきた穴澤少尉などにスポットを当てていた。

250キロの爆弾と片道燃料で敵艦に体当たりしていく特攻隊員たちの軍神などではない若者の本当の姿と23日間で106人もの若者を見送った彼女たちの苦痛と嘆きがよく伝わってくるドラマだった。

エピソードというエピソードを満タンに詰めこんで絨毯爆撃してしまった映画とピンポイントに絞って描いたTVドラマ。こりゃ映画の完全な負けだわ・・・。

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月光の夏(1993年・日本・112分)NHK-BS

 監督:神山征二郎

 出演:滝田裕介、田中実、渡辺美佐子、永野典勝、仲代達矢、若村麻由美、石野真子、内藤武敏、田村高廣、山本圭

 内容:昭和20年夏。佐賀の鳥栖国民学校に、出撃を明日に控えた2人の特攻隊員が最後にグランドピアノを弾きたいとやって来る。2人は音楽の夢を断ち切るために、ベートーベンのピアノソナタ“月光”を弾き、もう1人は子どもたちの歌う“海ゆかば”を演奏して死出の旅に旅立っていった。そして戦後、廃棄処分が決まったピアノの保存運動で、その演奏に立ち会った女性教師が語ったエピソードが大きな反響を呼ぶ・・・。

評価★★★☆/70点

特攻隊員は戦時中は軍神と崇められたものの、戦後は手のひらを返したように戦犯となじられ社会復帰もままならなかった・・・。

NHKBSで放送された「零戦~搭乗員たちが見つめた太平洋戦争~」を見て初めて知ったことだけど、死ぬも地獄、生き残るも地獄という特攻隊員の背負った悲劇には胸が締めつけられる思いがした。

十死零生という死ぬことしか許されない戦争の狂気そのもののような馬鹿げた不条理を飲み込んで死にに行かなければならない精神性、そして戦後そこから解放されて残ったのは、喜びではなく自分だけ生き残ってしまったという罪悪感だった・・・。

特攻隊員のそんな思いを推し量ることは今の平和な世の中でグウタラ生きている自分には到底理解しうるものではないくらい想像を絶するものだったとしかいえないけど、まさに「永遠の0」で山本学が言っていたように特攻に行った者と行かなかった者との間には雲泥万里の差があるのだろう。

そういった中で今回の映画は、特攻で生き残った者の苦悩がメインに描かれていて、永遠の0とはまた違った視点で見れたし、特攻出撃前夜のシーンがしっかり描かれていたのも印象的だった。

そしてなにより生きて帰ってきた特攻隊員を世間から隔離した振武寮なる収監施設があったというのを映画を見て初めて知って衝撃を受けた。

こんな非合理な仕打ちがあっていいものだろうか。軍国主義の恐ろしさをまざまざと見せつけられた思いがする。

あと驚いたのが特攻する際の心得を記したマニュアル本みたいなものがあったということ。

眼は開けたままで突っ込め!とか、人生25年!最後の神力を振りしぼれ!とか、、人生25年って・・・。

また、特攻作戦の最後の方は飛行機が足りないため援護機もなしに出撃していったということも初めて知って、しばし絶句。ただでさえ敵艦に近づくことすらままならないのに、、これではホントに無駄死にではないか・・。

戦争は本当に国を狂わせるだけだ!

夢のシネマパラダイス582番シアター:最強のふたり

最強のふたり

Poster出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、アンヌ・ル・ニ、オドレイ・フルーロ、クロティルド・モレ

監督・脚本:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ

(2011年・フランス・113分)WOWOW

内容:パラグライダー事故で首から下が麻痺してしまった大富豪のフィリップ。24時間介護が必要なのだが、気難しい性格のため、どの介護人も長続きしない。そんな中、今回新しく雇ったのはスラム出身の黒人青年ドリス。障害を憐れむような目で見ないドリスのふてぶてしい態度に興味を抱いたからだったが、当のドリスは失業手当をもらうための求職証明欲しさに面接に来ただけで、介護の経験は全くなかった・・・。

評価★★★★/75点

身障者とスラム出身の黒人青年の絆を描く、しかも実話ということでお涙頂戴もののヒューマンドラマかと思っていたら、なぜかこの映画を見て思い浮かべたのは「ジム・キャリーはMr.ダマー」という超おバカロードムービーだったw

そう思わせるほど今回の作品は陽気なバディムービーというかんじで、面白おかしく見れてしまったのだけど、人種や生まれや育ち、貧富の差、趣味や年齢といった違いと同様、身障者と健常者という違いも人と人との友情や絆にとっては何の障害にもならないのだということを再確認させてくれる。

もっといえば、身障者に対する必要以上の同情や憐れみといった特別視は一種の差別になりうるのではないかという視点が、ドリスのフィリップに対する偏見ゼロの扱いを通して透けて見えてくるところは、ちょっと考えさせられる作品だなと思った。

その中で、この映画に嫌味や嘘くささを感じさせない最大のポイントになっているのがドリスの飾らない人柄だろう。

あけすけでデリカシーのかけらもないKY男というネガティブな面を、素直で本音を隠さずユーモアたっぷりでしかもそこに悪気は全くないというポジティブな面が完全に打ち消していて、その天衣無縫なパーソナリティに自然と納得してしまう魅力がドリスにはあるのだ。

言葉をかえていえば、善人面を装わない無邪気さ=憎めない人柄といっていいと思うのだけど、なかなかこういう人っているものじゃない。おそらく演者さんの地の部分がかなり入っているんじゃなかろうか。

なにやらハリウッドリメイクが決まっているそうだけど、キャスティングは興味津々だね。

でも、マジメ人間のオイラはどう考えてもドリスになれるはずはなく・・・。

やっぱり自分は気遣いと配慮とお・も・て・な・しの心を持って人と接していきたいと思いますww

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テッド

P1394出演:マーク・ウォルバーグ、ミラ・クニス、ジョエル・マクヘイル、ジョヴァンニ・リビシ、セス・マクファーレン(声)

監督:セス・マクファーレン

(2012年・アメリカ・106分)WOWOW

内容:1985年のクリスマス。友だちのいない8歳の少年ジョンは、大好きなテディベアのぬいぐるみ・テッドと本当の親友になれるように願いをかけた。すると、本当に魂が吹き込まれ、テッドが動いて喋り出した。以来、27年間ずっと一緒だった2人。しかし、ジョンが中年オヤジになったのはともかく、テッドもそれに輪を掛けて下品なエロオヤジになってしまい・・・。

評価★★★/60点

80年代映画をはじめとするサブカルパロディでは笑えるけど、下ネタでは笑えないSO-SO映画。

クマのぬいぐるみがタチの悪いオッサンになるというコンセプト自体は面白いのだけど、笑いの要素が下ネタ一点張りで辟易しちゃうというか、顔射ネタまでくると引いちゃうよねっていう・・・。

きわどいレベルを優に超えてるハメ外しが大いに許されちゃうアメリカンコメディの懐の深さには毎度驚かされるけど、今回は毒が足りないぶん、より下品さだけがエスカレートしちゃったかんじでちょっとイマイチ。

テッドがやさぐれる理由を子役セレブの没落に見立てる着想は悪くなかっただけに、トイ・ストーリー3に出てくる同じくテディベアのロッツォのようにキャラクターの裏側にある悲哀をもっと描けていればもっと違う笑いの引っ張り方ができたと思うんだけど。。

しかし、アメリカではこれってデートムービーとしても成立するのだろうか(笑)。日本だとテディベアが可愛いからって理由でこれをデートムービーに選んだら絶対気まずくなりそうだけど

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最高の人生の見つけ方

Img_0出演:ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン、ショーン・ヘイズ、ビヴァリー・トッド、ロブ・モロー

監督:ロブ・ライナー

(2007年・アメリカ・97分)WOWOW

内容:傲慢なワンマン社長のエドワード。職場で倒れ、経営する病院に入院するも、全身にガンが転移し余命半年と診断される。そこで相部屋になった自動車修理工のカーターと出会うが、彼も同じく余命半年の命だという。性格は正反対ながらも意気投合した2人は、死ぬまでに叶えたい夢を実行しようと病院を抜け出し人生最後の旅に出る・・・。

評価★★★/65点

ハリウッドの大御所2人による「80日間世界一周」は、お気楽なノリで楽しめるヒューマンコメディになっていて安心して見ていられる。

ただ、カテーテルから血が噴き出しているのが、まるでケチャップが吹きこぼれているくらいにしか見えないほど2人ともピンピンしていて、余命半年には見えないのが玉にキズ(笑)。

死に対する底知れぬ不安や絶望感がほとんど伝わってこないので現実感に乏しくてちょっと物足りなかったかなと。それこそ秘書付きのプライベートジェットってだけでリアリティないんだからw

要は死に対する向き合い方や死への覚悟というものをもう少し真面目に描いてもらいたかった。

まぁ、でも死を目前にした2人がかけがえのない同志として生き生きと余生を送るというのはひとつの理想形ではあって、身近な家族だと心配かけたくないと思ったり遠慮したりして逆に距離ができてしまうことでも、同じ痛みや悩みを共有する者同士だとそういうネガティブな部分が軽減されるのかもしれない。

最高の友に出会えることこそが最高の人生の見つけ方なんだね♪

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人生の特等席(2012年・アメリカ・111分)WOWOW

 監督:ロバート・ロレンツ

 出演:クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・グッドマン、ロバート・パトリック

 内容:メジャーリーグのスカウトとして名を馳せたガス。しかし近年は視力も衰え、さらに経験頼みのガスのような昔気質のスカウトマンはすっかり時代遅れに。そんな中、ガスの体調を案じた一人娘のミッキーがスカウトに同行することになる。しかし、すっかり疎遠になっていた2人は、久々の再会も互いに素直になれずにギクシャクしたままで・・・。

評価★★★/65点

イーストウッドがどこまでポストプロダクションに関わっているのか分からないけど、あまりにも直球勝負の平板さに逆にすかされちゃった感が・・・。

序盤に出てきたピーナッツボーイの方に視点を持っていくのかと思いきや、それには目もくれず父娘のわだかまりと和解を描いていくのは、えっなんでダイヤの原石に触れていかないの!?と訝ってしまった。

また、父娘の亀裂修復にしても、娘ミッキー(エイミー・アダムス)がことのほか魅力的で話の分かる才女で、父の方ではなく娘の方から歩み寄ってきてくれるので、いい意味での破綻がなくてちょっとヌルイよねっていう・・。

役者は悪くはない。

ただ、イーストウッドが監督してたらなぁとも思ったけど、今回の監督さんってこれが初監督作らしい。そう考えると、この妙な落ち着きと手堅さは何なんだろうw

2015年2月 2日 (月)

夢のシネマパラダイス30番シアター:トータル・リコール

トータル・リコール

Poster出演:コリン・ファレル、ケイト・ベッキンセール、ジェシカ・ビール、ブライアン・クランストン、ジョン・チョー、ビル・ナイ

監督:レン・ワイズマン

(2012年・アメリカ・118分)WOWOW

内容:戦争による化学兵器で荒廃した21世紀末。世界は富裕層が暮らす“連邦”と、それ以外の貧しい労働者が暮らす“コロニー”という二極化が進んでいた。コロニーの工場労働者クエイドは、妻ローリーと暮らしていたが、希望のない毎日に嫌気が差す日々。そんなある日、有名人やスポーツ選手など好きな人工記憶を選んで楽しむことができるというリコール社を訪れ、憧れのスパイの記憶を選んだクエイドだったが・・・。

評価★★★★/75点

あれ?火星行きは?とか、ミュータントが出てこないとか、1990年版とは設定だけを借りて、あとは似て非なるものに仕上がっているかんじ。

だけど、ポール・バーホーベンのえげつないまでのアクの強さとどぎつさが薄まっている分、シンプルな逃走劇に特化した非常に見やすいSFアクションになっていて、個人的にはこっちの方が好みかな。

ブレードランナーを露骨に意識した世界観とビジュアルも見ごたえがあったし、地球を貫通するトンネルで地球の裏側まで“ザ・フォール”落ちていくという映画ならではのハッタリも面白かった。

また、手の中に携帯電話が埋め込まれていたり、ハンドルが左右自在にスライドして助手席側でも運転できる車や、冷蔵庫の扉がタッチパッドになっているといった近未来的SF要素も新味があって良かった。

映画の本当の見所はサスペンスアクションではなく、このユニークで斬新なSF設定とそれがすっかり社会になじんでいる都市空間の構築にあるのではないかと感じてしまうくらいそのこだわりは見事だったと思う。

いまいちハジケないコリン・ファレルだけにあまり期待していなかったけどw、思わぬ拾いもんだった。。

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トータル・リコール(1990年・アメリカ・113分)WOWOW

 監督:ポール・バーホーベン

 出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン、マイケル・アイアンサイド、ロニー・コックス

評価★★★☆/70点

内容:フィリップ・K・ディックの短編を7000万ドルの巨費を投じて映画化したSFアクション大作。西暦2084年、平凡な建築技師のダグは、毎夜行ったこともない火星の悪夢に悩まされていた。ダグは人工的に旅の記憶を植えつけるリコール社を訪れるが、移植の途中で封印されていた本物の火星の記憶がよみがえる。

“バーホーベンの辞書にドメスティック・バイオレンスという言葉は存在しない”

シュワちゃん!いくら冷酷なシャロン・ストーンでもぶん殴ることはないんじゃないかい。果ては涙も流さず頭ぶち抜いちゃったりしてさ。

夜の夫婦生活なんて彼女に今までで最高の男よ!と言わせる程ハッスルしてイイ思いしてんのに。。あれもウソか・・・。

まぁこの点に限らずやはり過剰な描写がSFとしての面白みを殺しちゃっている。

シュワちゃんの盾にされて体に何発も弾ぶち抜かれた男の死体を敵さんが踏んづけて行くシーンがあるけど、わざわざ撮んなよっ。しかもどアップで。余計な場面が多すぎる。

が、しかし、いらない場面を取り除いちゃうとそれこそ映画にならなくなってしまうんだなぁ、これが・・・。恐っそろしい監督じゃ。。

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ピッチ・ブラック(2000年・アメリカ・108分)WOWOW

 監督:デヴィッド・トゥーヒー

 出演:ラダ・ミッチェル、コール・ハウザー、ヴィン・ディーゼル、キース・デヴィッド

 内容:事故に遭い、3つの太陽に照らされた灼熱の惑星に不時着した宇宙船。この星は22年に1度だけ皆既日食があり、その際に以前この星で生活していた調査隊が忽然と姿を消していたことが分かる。護送中の凶悪犯も含む12人の生存者たちの過酷なサバイバルが幕を開ける。

評価★★★/65点

グラサンとると途端に良い奴に見えてしまうヴィン・ディーゼル。そのあどけない瞳を隠すために本当はかけてたのね。

22年に1度、、、どこかで聞いたような話だなと思ったら、「ヒューマン・キャッチャー」に出てくる怪物って、23年に1度、23日間人間を喰らい続けるんじゃなかったっけ。似てるなぁ。。しかもアイツも飛ぶんだよな。。

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リディック(2004年・アメリカ・118分)MOVIX仙台

 監督・脚本:デヴィッド・トゥーヒー

 出演:ヴィン・ディーゼル、ジュディ・デンチ、コルム・フィオール、サンディ・ニュートン

 内容:5つの惑星から指名手配され、賞金稼ぎから追われるリディック。彼の存在自体に秘められた謎を巡って、全宇宙の存亡をかけた壮絶な戦いが始まる。CG全盛の時代に、あえて壮大なセットを作ったチャレンジ精神が話題を呼んだスペクタクルSF。「ピッチ・ブラック」の続編だが、作品としては独立したものとなっている。

評価★★/40点

おすぎにダマされたぁっ・・・

「オープニングの素晴らしい映画は最後まで素晴らしい!」だって、、、ふざけんなーーッ

たしかにオープニング10秒はLOTRをちょっと想起させたけども。残りの117分50秒は、、ネコロビタイガー・・・。はっきりいって、ものの30分も経たないうちにストーリー追う気が失せた。。

あとはこの世界の中でケンシロウを登場させて暴れまくらせてなんとか繋いでもたせたオイラの妄想力って、、凄くね??

んでジュディ・デンチがオードリー・ヘプバーンに見えてしまうオイラの想像力って、、スゴクね?だってあの吹き替えがw

2015年2月 1日 (日)

夢のシネマパラダイス374番シアター:007シリーズ

007/ドクター・ノオ(1962年・イギリス・105分)

 監督:テレンス・ヤング

 出演:ショーン・コネリー、ジョゼフ・ワイズマン、ウルスラ・アンドレス、バーナード・リー

 内容:英国諜報部きっての腕利きスパイ、007ことジェームズ・ボンドの活躍を描くスパイ・アクションシリーズの第1作。初公開時には「007は殺しの番号」のタイトルで公開された。フロリダから発射されるロケットの軌道を狂わせる怪電波の発信地を突き止めるべくジャマイカに飛んだボンドは、中国人のノオ博士が所有する島の人工要塞を見つけ潜入を開始するが・・・。

評価★★/40点

スパイアクションものの原点といっていいと思うけど、今見ると古臭いとしかいいようがなく・・・。

火を吐く竜のハリボテ感覚、レゲエ大国ジャマイカを土人の国と描写してしまう前時代ぶり、軽っるいキック&パンチ、放射能に対する浅はかな認識、あっけらかんとしたボンドガールなど突っ込みどころ満載で、しかも面白くない(笑)。

ボンドガールの豊満なボディだけが特A級でw、それ以外はBC級だったな。

でも最初の007はこんなにも地味だったんだねぇ。。

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007/ロシアより愛をこめて

From_russia_with_love 出演:ショーン・コネリー、ダニエラ・ビアンキ、ロバート・ショウ、ペドロ・アルメンダリス

監督:テレンス・ヤング

(1963年・イギリス・115分)

内容:英国情報部に、ソ連情報部の諜報員タチアナが亡命を希望してきた。彼女は手土産に、最新式の暗号機を持ち出すという。そして、彼女自身の希望で、ジェームズ・ボンドが派遣されることになったが、それは国際的犯罪組織スペクターが仕組んだ罠だった・・・。007シリーズの第2作。

評価★★☆/45点

“タチアナ・ロマノーヴァ!”

タチアナ・ロマノヴァ略してタニア、、イイ響きだ

ダニエラ・ビアンキ、、あの胸の谷間に(*^∇゜)(゜∇^*)スリスリ♪してぇ~~

007シリーズの中でも屈指の名作だから見れ!と言われてしぶしぶ見たのだけど、ボンドガールしか頭に残ってましぇん。。

だってアクションもちゃちいし、、なんか牧歌的というか、やっぱそういう点では今のアクション映画の方が断然上をいってると思う。

あの毒針クツを履いたオバハンも弱っえーし(笑)。

まぁ、60年代だからねぇ。当時はスゴかったのかもね。

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007/ゴールドフィンガー(1964年・イギリス・109分)

 監督:ガイ・ハミルトン

 出演:ショーン・コネリー、ゲルト・フレーべ、オナー・ブラックマン、ハロルド坂田

 内容:アメリカ中の金塊が貯蔵されているフォートノックスを放射能で汚染させ、自分の金の値打ちを上げようと画策する男ゴールドフィンガー。彼の企てを阻止せんとボンドが立ちふさがる・・・。

評価★★☆/45点

海鳥を象ったゴム帽子付きのウェットスーツを着て敵地に潜入するボンドの滑稽な出で立ちから始まる本作。

いたって真面目に作ろうとしてるんだろうけど、もうあまりにもディテールがちゃちくて思わず笑っちゃうシーンが随所に・・。くっだらないシーンのオンパレードとはこのことよww

24時間眠ってしまう神経ガスを空中から散布して一斉に兵士たちがバタバタと倒れていく光景なんて壮大なコントかと思ったわな。ゴールドフィンガーのボディガードもウガンダ・トラかと思ったしw

なんかどうしても好きになれないんだよねぇ007って・・・。

例えばボンドが、閉じ込められた牢獄から見張り番をあざむいて脱出するシーンのなんとチンケなことよ。そういうところが気になり出すとどのシーンにもクソミソつけたくなるのよね(笑)。これがルパン3世とかインディ・ジョーンズだったらそういう軽さも全然気にならないんだけど。

ようするにエロ顔満開の色ボケ紳士ショーン・コネリーのキャラがどうしても好きになれないんだわなぁ。。

ま、今回もボンドガール、プッシー・ガロアの胸元だけには目が釘付けになっちゃったけどねww

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007/サンダーボール作戦(1965年・イギリス・129分)

 監督:テレンス・ヤング

 出演:ショーン・コネリー、クローディーヌ・オージェ、アドルフォ・チェリ

 内容:核を積んだNATO軍機が国際的陰謀団スペクターによって強奪される。1億ポンドの身代金を要求されたNATOは“サンダーボール作戦”を発動する。核の所在探索を命じられたボンドは、バハマへ飛ぶが・・・。

評価★★☆/45点

海中アクションはお遊戯にしか見えず、船内バトルは“ごっこ”にしか見えず、最後の超速ボートの合成シーンはお粗末そのもの・・。

唯一、クローディーヌ・オージェからは目が離せなかった、、というかタイプです

毎回、ボンドガールにだけは目移りしちゃうんだよなぁ。。

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007は二度死ぬ(1967年・イギリス・117分)

 監督:ルイス・ギルバート

 出演:ショーン・コネリー、若林映子、浜美枝、丹波哲郎、ドナルド・プレザンス

 内容:米ソの有人ロケットが相次いで行方不明になる事件が発生した。事件の背後にスペクターの影を見出した英国情報部は、ロケットの着地地点であると思われる日本へボンドを派遣する・・・。

評価★★★/60点

“ナニコレ珍百景inニッポン”

スーツの襟さえ一糸乱れることのないアクション、胸毛ボーボーのボンドに無条件でホの字になってしまう女性たち、終始白ビキニで通す浜美枝、てんでデタラメの日本地理などリアリティもへったくれもないのだけど、意外にもそんなに嫌いになれない作品なのだった。

阿蘇山の火口下に秘密基地があったり、姫路城が一大スパイ基地だったり、「神戸と上海の間にある島」ってどこやねんといったツッコミ所は満載なのだけど、神戸港での空撮やオートジャイロを使った空撮などスケールはデカかったし、大相撲や忍者に海女、神前結婚式など日本の古式ゆかり風俗も面白おかしく出てきたりしてけっこう楽しめちゃうんだよね。駄作には違いないんだけども(笑)。。

「オースティン・パワーズ」のドクター・イーブルの元ネタもあったし、ニッポンのナニコレ珍百景と合わせていろいろ見所はある作品だったかな。

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女王陛下の007(1969年・イギリス・130分)

 監督:ピーター・ハント

 出演:ジョージ・レーゼンビー、ダイアナ・リグ、テリー・サヴァラス、ガブリエル・フェルゼッティ

 内容:コルシカマフィアのボス・ドラコの娘トレーシーを自殺未遂から救ったボンドは、ドラコからスペクターの首領ブロフェルドの秘密基地の在り処を聞き出し、スイスアルプスへ飛ぶ。一方、ブロフェルドは、催眠療法をかけた女性たちに世界各地で細菌をばらまかせるという人類抹殺計画を企てていた・・・。

評価★★★/55点

クライヴ・オーウェン!?ケーリー・グラント!?はたまた石田純一!?

、、と思わせる2代目ボンド、ジョージ・レーゼンビーはなかなかにオシャレで、ダンディズムをロマンティシズムが上回るボンドは個人的には好き。まぁ、フリル付きのキルト姿はやりすぎだけど(笑)

それまでの作品に比べるとアクションにも格段にキレがあったし、悲劇的なあっけない結末とあわせてまぁまぁ見れる作品だったかなと。

しかし、たった1作で見限られるほどの出来とは思えないんだけどなぁ。自分の嗜好の方がオカシイのかしら・・・。

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007/ダイヤモンドは永遠に(1971年・イギリス・125分)

 監督:ガイ・ハミルトン

 出演:ショーン・コネリー、ジル・セント・ジョン、チャールズ・グレイ

 内容:ある日、大量のダイヤモンドが密輸され、ボンドはその密輸ルートの解明する任務に就く。やがて、裏で糸を引いているのが宿敵ブロフェルドであることを突き止める。ブロフェルドはダイヤを散りばめた人工衛星を打ち上げ、ダイヤの反射を利用したレーザー光線を放射し地球征服を目論んでいた・・・。

評価★★/35点

煮詰まって何の味もしない映画ってこういう映画のことをいうんだなって思った(笑)。。

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007/死ぬのは奴らだ(1973年・イギリス・121分)

 監督:ガイ・ハミルトン

 出演:ロジャー・ムーア、ヤフェット・コットー、ジェーン・シーモア

 内容:麻薬事件を追うボンドは、麻薬を無料でばらまき社会の壊滅を図るアフリカのシンジケートの首領カナンガに行きつく。スラムに乗り込んだボンドは、タロットカードの使い手ソリティアから死を宣告されてしまうが・・・。

評価★★★/60点

え゛っ!?誰かと思ったら「ドクター・クイン」のジェーン・シーモア!?

まさかボンドガールやってたとは。しかもかなり可愛い&美乳

って内容の方は、黒魔術にオカルトにと007の看板を脱ぎ捨てたかのような開き直りっぷりをみせているのだけど、当時大ブームだったオカルトものに便乗しちゃったのかな。

その点ではスパイ映画というよりはアドベンチャーものといった方がいいような作風になっちゃってるんだけど、ソリティア(Jシーモア)の神秘性と処女性が映画を一段魅力あるものに押し上げていて、ストーリーラインもそれまでの007シリーズのまどろっこしさに比べたら全然見られるものになっている。といってもチープさと荒唐無稽さでいったら、どんぐりの背比べのようなレベルだけど・・

でも、3代目ボンドのロジャー・ムーアは個人的には歴代ボンドの中では1番しっくりくるかな。

それくらいショーン・コネリー版って生理的にダメなんだよね・・(笑)。

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007/黄金銃を持つ男(1974年・イギリス・124分)

 監督:ガイ・ハミルトン

 出演:ロジャー・ムーア、クリストファー・リー、モード・アダムス

 内容:ボンド宛に一流の殺し屋スカラマンガ(クリストファー・リー)から黄金の銃弾が送られてきた。ボンドの暗殺を回避するため英国情報部は一時的に解任するが、ボンドは単身、香港へと飛ぶのだった。。

評価★★☆/50点

中身はいまいちパッとしないけど、ボンドへの嫉妬と憧憬が入り混じったようなスカラマンガの悪役造型はかなり印象的で、こんなチープな映画に出してくるには惜しいくらい(笑)

だって、カンフーをバカにしすぎだろこれ。

だからさー、我が愛しのジャッキー・チェンをボンドにしろっつーのw。絶対面白いってば。

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007/私を愛したスパイ(1977年・イギリス・125分)

 監督:ルイス・ギルバート

 出演:ロジャー・ムーア、バーバラ・バック、クルト・ユルゲンス、リチャード・キール

 内容:英ソの原潜が行方不明になるという事件が発生。海運王ストロンバーグが関与している疑いが出て、ボンドが捜査に乗り出す。一方、ソ連側もKGBの女スパイ、アーニャを送り込み、2人はいつしか協力し合うが・・・。

評価★★★/60点

“ジョーズがジョーズを喰った!!”

不死身の殺し屋ジョーズの改良型がシュワちゃんのターミネーターだと思ってるのはオイラだけ(笑)!?あと、ホンモノのジョーズをかみ殺してしまうシーンなんかは、スピルバーグの「ジョーズ」(1975)のパロディだったのかしら。。

とはいえ、この作品くらいから今の目にもなんとか耐えうるエンタメ性を持ってきたような気がする。

アトランティスと銘打った大掛かりなセットは出色だったし、あとはやっぱなんといってもトリプルXの胸元は天下一品で、、、ってお前はいつもそこかい

ちなみに、カーリー・サイモンの主題歌はシリーズ中2番目に好き。1番は「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」のシェリル・クロウ。

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007/ムーンレイカー(1979年・イギリス・126分)

 監督:ルイス・ギルバート

 出演:ロジャー・ムーア、ロイス・チャイルズ、ミシェル・ロンズデール、リチャード・キール

 内容:イギリスへ空輸中の米スペースシャトル“ムーンレイカー”が何者かに奪われる事件が発生。モハベ砂漠に宇宙センターを築いている謎の科学者ドラックスが背後に浮上し、さっそくボンドが向かう。そこでNASAから派遣された女性科学者ホリーと出会うが・・・。

評価★★☆/45点

オープニングのスカイダイビングバトルはシリーズ随一の見世物になっているけど、それ以降はオチるわオチるわ、どこまで落とすねんというくらいオチて、パラシュートも開くことなくイッちゃったようなフザケすぎる出来ばえ・・・。

スパイ映画どころか007の名を借りたギャグ映画だろこれ(笑)。ここまでくるとコメントしようにも馬鹿馬鹿しくてやってらんないわな。。

ただ、不死身ジョーズのメルヘンチックなオチはツボにはまったけどねw

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007/ユア・アイズ・オンリー(1981年・イギリス・128分)

 監督・ジョン・グレン

 出演:ロジャー・ムーア、ジュリアン・グローバー、キャロル・ブーケ、トポル

 内容:東西軍事バランスを左右してしまうミサイル誘導装置を東側に売り渡そうとするギリシャの大富豪を阻止せんとボンドが大活躍!

評価★★★/55点

アクションネタ総ざらいのイイとこ取りだけではやはり面白みに欠ける、ということがこれ見て判明。肉体派アクションは特にそう。

ただ、当時リアルタイムで見てればもっと面白かったのかも。

007シリーズって、その製作年代におけるスタンダードのアクション映画だと思うのだけど、その製作年代においての偏差値50のアクションシーンを見せてくれるみたいな。

そういう意味では、時が経っちゃうと偏差値は下がる一方なわけで、それが007シリーズの悲しいさがなのかも。逆にいえば、これだけ長寿な理由も分かる気がするんだけどね。

リアルタイムで見ないとやっぱダメなんですな、たぶん!?

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007/オクトパシー(1983年・イギリス・130分)

 監督:ジョン・グレン

 出演:ロジャー・ムーア、モード・アダムス、ルイ・ジュールダン、デスモンド・リュウェリン

 内容:ロシアの宝石密輸にかかる陰謀を追っていた009が何者かに殺される。009の後を引き継いだボンドは、インド王族カマル・カーンと謎の美女オクトパシーと出会うが・・・。

評価★★★☆/70点

まるでオモチャ箱をひっくり返したようなテンコ盛りのドタバタ劇になってるけど、車のホイールを線路のレールにはめて疾走したりだとか、階段の手すりを滑り降りながら銃撃したりとか、機転の利いたユーモアが随所に活かされていて、アクションとコミカルさがちょうど良くブレンドされていて、13作目にして初めてあ~面白かったと満足できる作品。

ただ、秘宝とインドつながりということでいえば、なにかインディ・ジョーンズを思わせるけど、まんまそのての冒険活劇の様相を呈していてスパイ映画とはいえないよね、、っていう(笑)。

しかし、ワニにピエロにゴリラまで、まさかボンドの着ぐるみショーを見せられるとは思わなかったわな。。

あと、列車の上によじ登るのはまだしも、さすがにセスナ機にしがみつくのはムリがあるやろww

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007/美しき獲物たち(1985年・イギリス・122分)

 監督:ジョン・グレン

 出演:ロジャー・ムーア、クリストファー・ウォーケン、タニア・ロバーツ、グレイス・ジョーンズ

 内容:英国が開発した軍事用マイクロチップがソ連KGBの手に渡ってしまった。調査に乗り出したボンドは、裏でゾリン社の社長マックス・ゾリンが関わっていることを突き止めるが・・・。

評価★★★/60点

高さを意識したアクションは見応えがあるものの、いかんせんロジャー・ムーアがヨボヨボで動きにハリがない。

まぁ、キレキレのクリストファー・ウォーケンと胸キュンタニア・ロバーツ、さらにはド級のインパクトを放つグレイス・ジョーンズなど、脇がしっかりカバーしており、前作にひけを取らないエンタメ作になっていたとは思う。

ま、でもなんだかんだいってロジャー・ムーアのボンドが1番良かったけどね。

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007/リビング・デイライツ(1987年・イギリス・132分)

 監督:ジョン・グレン

 出演:ティモシー・ダルトン、マリアム・ダボ、ジェローン・クラッベ、ジョー・ドン・ベイカー

 内容:ソ連高官のコスコフ将軍が西側への亡命を希望したため、護衛のためチェコへ派遣されたボンドは、そこに待ち構えていた美しい女スナイパーの手からコスコフを守る。そしてコスコフから、KGBによる西側スパイの暗殺計画を告げられるのだが・・・。

評価★★★/60点

ガサツで無骨で濃い顔の4代目ティモシー・ダルトンは3代目ロジャー・ムーアとはまったく正反対で個人的にはあまり好きになれない・・。

ダイナマイトボディを身上とする今までのボンドガールとは一線を画した清純派カーラ(マリアム・ダボ)が、キャラ的にいえば「ルパン3世カリオストロの城」のクラリスを想起させる萌えキャラだっただけに、この堅物ボンドのキャラはマイナスだったような。。

ボンドを含めて全体的に華がないのもイマイチなんだけど、クライマックスの空中バトルなど見るべき点もあり、いっぱしのアクション映画としては及第点はつけられるかなと。

また、東西冷戦が終結する間際の作品ということで、対KGBを基軸としたスパイものの王道の締めをかざるものとしても見るべき価値は一応ある作品だと思う。あくまでも一応ね(笑)。。

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007/消されたライセンス(1989年・イギリス・133分)

 監督:ジョン・グレン

 出演:ティモシー・ダルトン、キャリー・ローウェル、ロバート・ダヴィ、タリサ・ソト

 内容:ボンドの友人フェリックスが中南米の麻薬王サンチェス一味に襲撃され重傷を負い、彼の新妻が殺されてしまう。ボンドは友人の仇を討つため、殺しのライセンスを返上してまで単身サンチェスへ挑んでいく。。

評価★★☆/50点

若き日のベニチオ・デル・トロが出てること以外に見所がない作品・・・。

なんか、まるで高倉健がボンドやってるような、、いい加減硬すぎるんだよね(笑)。

ボンドが私情オンリーで殺戮マシンと化してしまうくだりは「慰めの報酬」のネタ元だったりして。。

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007/ゴールデンアイ(1995年・イギリス・130分)

 監督:マーティン・キャンベル

 出演:ピアース・ブロスナン、ファムケ・ヤンセン

 内容:高性能プログラムディスク“ゴールデン・アイ”をめぐり、あの手この手で襲いかかる凶悪国際犯罪組織ヤヌスvsジェームズ・ボンド!

評価★★☆/50点

オナトップ、、名前からして凄まじそうな女だ・・。しかもファムケ・ヤンセン。コンプリート!

うーん、、オナトップ主演の映画を見てみたい・・。えっ?洋モノAV女優にいるって!?おいおい。。

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007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997年・英/米・119分)

 監督:ロジャー・スポティスウッド

 出演:ピアース・ブロスナン、ミシェル・ヨー

 内容:ジェームズ・ボンドがメディア王による世界戦争の陰謀に立ち向かうシリーズ第18作。

評価★★★☆/70点

“老舗映画の意地をみた!が、しかし・・・”

ブロスナンよりミシェル・ヨーの方が強く見えるのはどういうことだ。彼のスカスカパンチだけが引き立つとは。。

でも、これ見て確信した。

ジャッキー・チェンにボンドをやらせれば鬼に金棒だということが(笑)。ダンディとは言いがたいし、女癖が悪いとも言いがたいけど、小道具好きの007にジャッキーはもってこいだと思わない?東洋人は邪道ですか?

うー、、脇じゃなくてボンドで見てーー!!

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007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999年・アメリカ・127分)

 監督:マイケル・アプテッド

 出演:ピアース・ブロスナン、ソフィー・マルソー、ロバート・カーライル、デニス・リチャーズ

 内容:謎の石油王令嬢をソフィー・マルソー、すべての肉体感覚を失った最強テロリストにロバート・カーライルが扮する、ピアース・ブロスナンの007主演作第3弾。

評価★★★/60点

D・リチャーズの巨乳よりなにより、ソフィー・マルソーと一晩共にできるんだったら、次の日どうなったっていい。。翌朝間違いなく全裸死体で発見されるだろうけど・・w

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007/ダイ・アナザー・デイ

00000507746l 出演:ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、トビー・スティーブンス、ロザムンド・パイク

監督:リー・タマホリ

(2002年・アメリカ・133分)2003/03/11・MOVIX仙台

評価★★★/60点

 

内容:シリーズ20作目。北朝鮮で捕らえられたボンドは、14ヶ月間もの拷問を受ける。釈放されたものの、秘密を吐いたと疑うMI6からはライセンスを剥奪されてしまう。何者かの罠にはまったのだとボンドは調査を開始するのだが・・・。

“007映画を見ると、次の日にはあらかた映画の内容を忘れているというジンクスは今回も破られることがなかった。”

以前、007シリーズはその時代のアクション映画の偏差値50映画だと記したことがあるけど、これ見てその考えは確信に変わった。

2003年における偏差値50。

偏差値40でも60でもなく、いつも偏差値50なのだ。

だから心に残らない。

偏差値40であれば出来の悪さに逆に印象に残ってしまうこともあるかもしれないし、偏差値60はいわずもがなとしても、しかし、偏差値50ってフツーすぎて結局印象に残らないんだよね・・・。

でも、それが良くも悪くも“007シリーズ”なのだと思います。少なくとも自分にとっては。

スパイ映画としての、時代が違っても不変な007映画たる確固としたスタイルと、アクション映画としてのその時代の偏差値50のスタンダードさ。

それが007映画なのだと思う。

その点で本作を見ると、スパイ映画としてのスタイルをもしかしてブッ壊すのか?という意気込みで突っ走りだしたんだけど、中盤以降は一気にトーンダウンしてやっぱいつもの007映画に落ち着いたかんじだし、アクション映画としての要素はあいも変わらず偏差値50だった。。

まぁ、だから007映画はせめてリアルタイムで見ようとは心がけているんだけどもねぇ・・。

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007/カジノ・ロワイヤル

007_casinoroyal2706finalus 出演:ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジュディ・デンチ、ジェフリー・ライト、ジャンカルロ・ジャンニーニ

監督:マーティン・キャンベル

(2006年・米/英・144分)2006/12/19・盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

内容:2件の暗殺を実行し、殺しのライセンス“00(ダブル・オー)”を取得した諜報員ジェームズ・ボンド。犯罪組織の資金源を絶つという最初の任務に乗り出したボンドは、テロを未然に防ぐことに成功する。それにより巨額の損失を出したル・シッフルはモンテネグロのカジノ・ロワイヤルで損失の穴埋めをすることを画策する。一方、ボンドのもとには、財務省からお目付役として美女ヴェスパーが送り込まれる・・・。

“これがホントの007/危機一発!”

はたしてこれが007映画かと言われれば、紛うことなく首を傾げたくなるところだが、2時間半がこれだけあっという間に過ぎていった007映画も初めてだ。

「ボーン・アイデンティティ」のジェイソン・ボーンの影響も見え隠れするようなかんじだったけど、なんかアニメ第一シリーズの丸くなる前の硬派なルパン3世を見ているような感覚で、そういう意味では007の原点回帰というのはこれはこれで良いのかもしれない。

しかし、とにもかくにも歴代ジェームズ・ボンドの軟派なユーモア加減が一気に吹き飛んでしまうほど、今回の6代目ダニエル・クレイグにはやられまくった。。

硬派で短気で氷のハートを持つ男。

狙った獲物は逃がさない青い瞳の冷血動物の匂いを漂わせ、殺しの実績を平然と積み上げていくタマ。

そしてエゴが自制心に勝り、反省などすることなく、失敗さえも余裕でキメてしまうあつかましさは、まるで70年代映画のスティーブ・マックイーンやクリント・イーストウッドをほうふつとさせる出で立ちで、明らかに今までのジェームズ・ボンド像とは対極にあるようなキャラクターになっている。

そこに自分はハマッた。

まぁ、ティモシー・ダルトンも硬派系だったけど、あれは濃ゆすぎてダメww

また、血の涙を流したり、神経質にぜんそく用の薬を吸引したりする敵役ル・シッフルのキャラ造型もすこぶるイイ。

さらに冒頭の爆弾男の追跡シーン(まるでジャッキー映画)をはじめとして、息もつかせぬ過酷な肉体派アクションと、“運命の女”ヴェスパーとの儚い愛が見事に均衡を保っていて、ここらへんはシナリオにポール・ハギスを加えたのが大きかったのではないかと推測できるが、これが本当の「007/危機一発」(「007/ロシアより愛をこめて」の初公開時のタイトル名で、あの水野晴郎が考案したとされる)ではないかと思うほど、今回は過激でキワドい描写の連続だったと思う。

だって、心臓止まってるんでっせ(笑)。しかもル・シッフルの拷問もかなりキワドかったし。男ならずとも分かるっしょ、あの痛さは・・

いやぁしかし、、ダニエル・クレイグ・ボンドの続編早く見たいな。ボンドガールがただのセックスシンボルに終わらなかったのも良かったし、次も期待したいっス。

007映画に期待するなんて、ついぞ訪れるはずがないと思っていただけに、今回はうれしい誤算でありんした。。

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007/慰めの報酬(2008年・英/米・106分)

 監督:マーク・フォースター

 出演:ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック、ジュディ・デンチ、ジェフリー・ライト

 内容:前作の1時間後。命がけで愛するも、裏切られた末に死を迎えた女ヴェスパーへの悔悟と怨念にまみれたボンドはハイチへ向かう。そこで、カミーユ(オルガ・キュリレンコ)と出会ったボンドは、ボリビアで環境保護団体を隠れみのに暗躍するグリーン(マチュー・アマルリック)に行き当たるが・・・。

評価★★★/60点

“これがほんとの「007は殺しの番号」”

ヴェスパーの裏切りというまさかのオチで幕を閉じた前作のわずか1時間後の幕開けとなる本作なのだけど、前作の流れを踏襲しなければならないはずなのに、なぜ監督を代えたのか理解に苦しむ出来となってしまった・・。

シナリオも何がなにやら込み入っていて理解に苦しんだけど、その上に毎秒2,3カットのめまぐるしすぎるカット割りを繰り出されたもんにゃアータ見てるこっちは疲れるだけだっちゅーの。。

ダニエル・クレイグボンドが前作にも増して暴力的なのは別にいいとしても、演出までもが暴力的であっては意味がない。

聞けばシリーズ最短上映時間の中にシリーズ最多のアクション量をブチ込んだらしく、、それを考えてもアクション映画を撮るのは初めてのマーク・フォースターには荷が重すぎたのか、あるいはテンパってハリきりすぎたのか・・w

オルガ・キュリレンコが好みだったことだけが唯一の救いだったかも。。

、、で、結局どんな話なのこれ(笑)?

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007/スカイフォール

58544199_2 出演:ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ベレニス・マルロー、アルバート・フィニー、ジュディ・デンチ

監督:サム・メンデス

(2012年・英/米・143分)WOWOW

内容:イスタンブールでNATOが世界中に送り込んでいるスパイのリストが盗まれる緊急事態が発生。ジェームズ・ボンドは、そのリストを奪還する任務についていたが、列車上に追い詰めた敵エージェントと格闘中に渓谷に落下。さらにMI6本部がサイバーテロで爆破されてしまう。責任を負い窮地に立たされたMだったが、彼女の前に手負いのボンドが奇跡の生還。ボンドは首謀者を突き止めるため僅かな手掛かりをもとに奔走するが・・・。

評価★★★☆/70点

ヌルいユーモアもうわべだけのアバンチュールも一分も入り込むすきのないクールで冷徹なクレイグボンドにノックアウトされた1作目。

そしてガチモードがMAXに振り切れ、もはやCIA工作員のジェイソン・ボーンと見分けがつかなくなってしまった2作目。

これはもしや3作目はこのまま突っ走ってセガールにでもなるのか!?と思っていたけど、んなこたぁないw

老体を鞭打つMをまさかのボンドガールにもってきて、マネー・ペニーや武器調達係Qも登場、敵役は元MI6諜報員と、自らの出生の秘密やルーツと対峙するボンド像を示すことでバランスを取り、さらに世代交代をキーワードとすることで007という屋号の新たな存在証明を確立した。

時代遅れの烙印を押された諜報部の肩身の狭さやスパイの適性試験にもまともに通らないボンドというのも今風で面白かったけど、3作目にしてクレイグボンドが本格的な船出を果たしたといっても過言ではないだろう。

でも4作目は多少の色艶と、やっぱり飛び跳ねて動き回るボンドを見たいかなw

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